海風通信 after season...

route15 「白いへびのこと」



 第2話・第5話に続き、このエピソードも『PositioN』のリメイク的なエピソードです。いや、この回は多少違うのかな?どちらも海霧の不思議現象を「白または透明の蛇」・「フトン」と形容する共通項はあるのですが、静的な自然現象として捉えられた『PositioN』に対し、『コトノバ』ではより激しい動的な表現として描かれており、もはや現実の世界では有り得ない状況にまで昇華してしまっています。霧が発生した時間帯も早朝と深夜ということで、若干の違いが見られますね。
 この「へびのような海霧現象」を再現するのはまず無理でしょうから、今回の現地考察は『PositioN』のP:4「白い夜のこと」P:5「月曜の朝」とほぼ同じロケーションのレポートです。しかし、それではあまりにも変化に乏しいということで、ここは作中に合わせて真夜中に訪れてみることにしましょう。
▲この時間はトンネルさえ、まるごと光源だ。 ▲北の大崩れ午後11時。海が近づくと空気が変わる。
 酒癖の悪い友達の引き留めを振り切って、真夜中に自宅へと戻るすーちゃん。これまで、意外にもこういった俗っぽいつき合いや繋がりの描写ってなかったので、ちょっと新鮮です。すーちゃんの人間っぽい(!?)一面が見られましたね。ともあれ、友人の家から自宅までは20km、長者ヶ崎を南方向に走っていることから、出発地点は鎌倉もしくは横浜あたりでしょうか?
 このあたりのトンネルといえば、それはもうやたらめったらにあるので、どれが『まるごと光源トンネル』なのかは見当もつきません。(というか、探すの面倒クサイ……)というわけで、ここは私が毎回三浦半島に向かう際に、必ず通るであろう「池子トンネル」を参考例に挙げさせていただきました。
 このトンネルは私が「あ、三浦半島エリアに入ったな…」と実感する、通過儀礼的な感覚を持つお気に入りのトンネルです。なんか、明らかに空気感が変わるのですよ。横浜に住んでいる友人曰く、「それって、心霊的なものじゃ?」とか脅かされますが、いやいや、私には霊感なんてまるっきりないのでスよ?ともあれ、いろいろ流説あるようですが、まわりには光源となるようなものが全くない場所なので、トンネル光が一際クッキリと浮かび上がるのです。まぁ、あくまで個人的感覚なので、ホントに参考程度に流して下さい。反論はナシですよ?
▲料金所・土産物屋・山の輪郭が、作中と合致する? ▲峯山から大崩れ遠景。青白い人工のへびがとぐろを巻く。
 続いて夜の大崩れ(長者ヶ崎)へ。今回、訪れた日は金曜の夜=フライデー・ナイトといえば、湘南爆走族のようなヒトたちが群れをなしているのではないの?と懸念していましたが、実際は無人でしたよ!これは逆に怖かったです。最近、不景気により、どこもかしこも夜間の車の交通量が激減しているのは実感していましたが、この辺りもそうなのでしょうか。
 その後も久留和まで国道134号線を南下するも、車の流れは本当に稀、そもそも人の気配がまるで感じられません。すーちゃんの体験したような、ヒミツの5分が始まる要素はたっぷりあるハズなのですが、残念ながら暗闇に海鳴りがただ響くだけなのでした。


2015/10/23