海風通信 after season...

route08 「トンネルのこと」



 夏のある日、超ひさしぶりに見に行ったお祭りの帰りに寄ったトンネルでのお話。
 トンネルはもちろんなのですが、今回のお話でまず目を引くのは、すーちゃんが手にしている花飾り棒(!?)のようなもの。これはお祭りでもらってきたものなのでしょうか?これに似たようなモノは、第6話の花神輿の装飾の一部にも見られましたが、あれとは違うようです。
 このような特徴的な飾りつけをするお祭りが、三浦のどこかにあるのでしょうか。ざっと調べて見たところ、直感的に目に留まったのは、菊名地区で今も伝統的に行われている『飴屋踊り』でした。このお祭りでは、踊りを披露する会場のステージ枠を、色とりどりの「お花紙」(※運動会や文化祭などで装飾に使う、紙製のお花のポンポンのこと)で飾り付けするのですね。その縦枠方向の装飾の一部が、すーちゃんが持っていた花飾り棒によく似ているのです。
 でも、菊名だとずいぶん見当違いの方向だし、第一お祭りが催されるのは10月下旬のことなので、これだとなんとも的外れ・・・と思っていたら、なんと長井地区にも『飴屋踊り』の風習があるということなのですよ。さらにこちらの例祭日は7月15日、今回の条件にピッタリではないですか!さっそく長井の『飴屋踊り』を調べて見たら、残念なことに現在では例祭日に踊りは行われていないようです。しかも写真資料がほとんど見つからないので詳細は不明なままですが、お祭りのスタイル(そして飾りつけ)はそう違わないのではないかと思います。
▲花飾り棒を自作。飴屋踊りの舞台装飾に似ている。 ▲特徴的な佐島隧道。すぐ脇には石切場跡がある。
 こうした流れを踏まえて、次はトンネルです。トンネルそれ自体は、あのスロープ状の入口の形態と、朧げに『佐島隧道』と読める作品上の一場面から、すぐに判別がつきました。長井のお祭りを見た帰りに、佐島にも立ち寄るというプランは、そんなにも無理のない行程でしょう。
 それにしても佐島という地域を訪れるのは、私にとっても久々のことでした。『ヨコハマ買い出し紀行』でもまず出てこなかった場所ですし、『佐島マリーナ』というなんとなくおシャレくさいイメージが、足を向かせないという要因にもなっていました。同様の理由で、逗子・葉山マリーナにも近寄ったことがありません。店長の言う、「おれ的には「オシャレ」なんだよ 「めし」じゃねぇの!」という意見にも賛成です。(←関係ありませんね。)
 そんなことはおいといて、実際の佐島トンネルも「向こう側が空!で、いい海風が通る」場所でした。ただし、長さは200mもありません。トンネル脇に設えた銘板を見ると、83.4mとちょっと短めです。。だからこそ、向こう側がハッキリと見通せるんですけどね。
▲トンネル内部。その真ん中過ぎたあたりで・・・ ▲素掘りの細長いトンネル。十数年前の記憶・・・。
 トンネル内を歩いて見ても、別段何も感じることはありません。両側から光が差し込むので、むしろ普通のトンネルよりも開放感があり、「気持ちのいいトンネル」という感じ方も自然です。けれど、今現在のこのトンネルが改修される前のトンネルは、結構怖かったようですね。すーちゃんの記憶は、この旧トンネルのことを言ってるのでしょうか?それとも・・・・?今の道と、かなり方向がずれていると言ってますよね・・・・・?
 10年以上前、私はある素掘りの細長いトンネルを人づてに聞いて、見に行ったことがあります。詳細はあえて書きませんが、このお話を読んだ時、真っ先にその場所が思いだされて、懐かしさと不気味さとが綯い交ぜになった記憶が甦りました。私がこれまで「佐島」地区になんとなく立ち寄らなかったのは、マリーナがおシャレとかそうした理由ではなく、実のところ、その時の体験が元になっているのかも知れません・・・。
 「あのトンネルが・・・、ひょっとして???」
 今回は、『コトノバ』らしいフシギな結論に落ちつけてみました。


 【追 記】
2015年10月23日(金)、実際の『菊名・飴屋踊り』を取材してきました!
ついに、あの花飾り棒の真相が明かされますよ・・・!!
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2015/02/24