海風通信 after season...

route19 「夏の線のこと」



▲夏空に、境目一線。
 カメラを持ち出し、残暑厳しい炎天下の土手を彷徨うすーちゃん。
 耐えきれずに本屋さん、そして牛丼屋へと逃げ込んだ先で、夏から秋?いえいえ一気に冬へと向かう勢いの「季節の変わり目」となるフシギ現象を目撃することになります。
 このエピソードの舞台は、なんとなく三浦半島っぽくない雰囲気が特徴的ですね。こんなに広く見渡せる川沿いの土手はそうそう無いでしょうから、場所はやっぱり多摩川もしくは相模川あたりでしょうか?そもそもすーちゃんが何を撮影しに来たのかも謎です。
 そしてもう一つ気になるポイントは、本屋さんと牛丼屋さん。今現在、レポートを書いてる時点(2018年)でふと気づいたのですが、こうした『本』!というように馬鹿デカく表示された看板って、実は減ってきているのかも?(コンビニの看板なども、この傾向にあるらしいです。)
 確かに本屋さん自体、確実に減ってきているという悲しい事実ももちろんなのですが、今回、改めていろいろと探し回っても、作中のような理想的な看板が見つけられなかったのですね。私が東京から三浦へと向かう帰路でも立ち寄っていた中堅の本屋さんも、ここ数年で3軒も廃業してしまいました。本当に、町がどんどんとつまらない方向へと均質化してしまっているのを、止めることは出来ないのでしょうか?コンビニと医療関連と外食産業しかない町に全く魅力を感じないのは、私だけではないはずです。
 思わず愚痴がこぼれてしまいましたが、続いては牛丼屋さん。『十六や』という耳慣れない店舗名ですが、これはおそらく……↓
 『十六や』→『4×4や』→『四(よ)四(し)や』→例の牛丼チェーン店ということではないかと思われます。だからと言って、どこの店かという特定はもちろん出来ないのですが……。ちなみに「十六屋」という屋号の飲食店は、ラーメン屋さんとして新潟のほうで見つけたのですが、なんだかこれ、春日ちゃんの出身地と微妙にかぶっているのが、ちょっと気になるところです。(←考えすぎ?)
 さて、この牛丼屋さんの窓越しに、すーちゃんは不思議な現象を目にします。
 何かの気象前線のせめぎ合いをヴィジュアルとして表現したようですが、これをいざ写真で示すとなると、かなりの抽象的な難問となり、ずいぶんと悩まされることとなりました。実際、こんな「線」なんて、まず見たことがないですよね?けれども今回、このエピソードに関する被写体がまるで見つけられない以上、このテーマをもとに素材を見つけ出すしかありません。
 結果、夏から秋への境目に行われる神楽舞台での、その神域境界となる藁縄の結界線を夏空を背景に写し込むことによって、なんとか苦し紛れにも「夏の線」を表現してみました。…そうです。強引なのですが、何かこの構図に惹かれるものがあったのです。
 この御霊神社の鎌倉神楽が行なわれた日は、9月も月半ばだというのに日焼けするほどの厳しい暑さ。ここから季節は一気に冬へ!…とはならないのは、今年の異常な暖冬ぶりが示す通りですが、それでも夏の終わりを何処となく感じた一日でした。


2018/09/18