海風通信 after season...

瞳の中の夕なぎ 〜遠い記憶の郵便局 (かしこドラマスペシャル『郵便配達夫の恋』ロケ地追加調査:1)

2004/06/22(撮影)・2019/01/08(解体時撮影)

旧みうら漁協・毘沙門支所に設置されていた味のある看板。今もどこかに保存されているのかな…。

 『ヨコハマ買い出し紀行』を代表とする芦奈野作品の世界観に沿って三浦半島を旅するとき、その接点は全く見出せないにも関わらず、時として氏の描く作品構成要素に非常にマッチした風景や物件に出くわすという「思わぬ副産物」が得られることがあります。
 この「みうら漁業協同組合・毘沙門支所」の建物もその一つ。作品内には毘沙門という土地も、もちろんこの施設も登場してきませんが、風景の一部として何となく描かれていそうな雰囲気さえ感じませんか?そしてこのお魚(マグロ)が彫り込まれた看板も非常に良い!漁港周辺の長閑な風景と併せて、毘沙門を訪れる際には毎回立ち寄って看板をチェックしてしまう、お気に入りの場所となりました。

 そのような味のある建物、実はヨコハマとはまた別の作品の舞台地となったのではないかということに、つい最近気が付いたのでした。
 それは、私の旧ホムペでのコンテンツの一つ『ドラマツアーズ』でも採り上げた、かしこドラマスペシャル「郵便配達夫の恋」での1シーンです。
 このドラマを見た人ならば「え!?そんなシーン無かったよ?」と思うかも知れませんが、エンディングテロップをよ〜〜く見て下さい。【撮影協力】画面に剱埼灯台や松輪郵便局に並んで、何故か「みうら漁業協同組合毘沙門支所」がリストアップされていますね?これ、私も当初は海岸や漁港の撮影をするのに地元漁協の許可がいるため、そう表記されたのだと思い込んでいました。
 だったら何故、松輪支所(間口漁港)や松輪漁協(江奈湾)は記されていなかったのか?これはひょっとしたら、毘沙門支所は建物自体が使用されていたのでは?そう考えた末に、今一度ドラマを観て思い当たったのが、郵便局内部の壁面、窓枠の形状とブラインドの掛かった大窓でした。下写真の番号の振った画像と、ドラマの映像内で浦崎あかりが書いた手紙が「あて所に尋ねあたりません」として戻ってきてしまったシーン周辺の内部レイアウトを比べて見て下さい。@の内側が手紙を書いていた作業机のある場所、その隣のAの窓枠の形状、Bは分かり難いとは思いますが、ここにもブラインドが掛かっています。そしてCの丸い照明器具もガラス越しに透けて確認できます。
 これはもう、おそらく、たぶん?ここで確定なのではと思いますが、どうでしょう。グーグルマップ検索窓で「35°08'31.7"N 139°38'52.1"E」と入力して、タイムマシンで過去画像を見てみると、より具体的に把握できます。郵便局の内部シーンは、まさにこの毘沙門支所内部で撮影されていたのでした!
 あぁ、これ、もっと早くに気づくべきだったなぁ…。
▲逆視点から。組合の看板より向こう側が使用されていたと推測。 ▲この裏側にあの場景が!内部を見ておきたかったなぁ…。
▲足場が組まれ、解体消失寸前の建物。ただ見守るだけでした。 ▲2000年当時の郵便局。中でお話を聞けたのは良き思い出。

 残念ながらこの毘沙門支所、2019年1月に訪れた時には解体作業が始まっており、現在では更地になり跡形も残っていません。(隣の漁具倉庫のようなものは、まだあるのに!)もう充分に見てきたので未練はありませんが、出来れば残しておいて欲しかった郷愁漂う魅力的な物件でした。
(ここまで、2019年3月:執筆)

※実はこのページ、ボツ原稿…というかヒミツにしておきたかった未公開記事だったのですが、劇中のBGMの一つともなっている浦崎あかりのパートで流れる曲が30年ぶり(!!)に判明したことから、嬉しさのあまりUPしてしまいました。その情報元となり、また長年に亘って私の旧ホムペを密かに(!?)紹介してくれていたサイト『アパートの鍵借りてます』「アパート管理人」さん、有難うございました!
 判明した曲は、村松 健氏の「瞳の中の夕なぎ」。しかしこれ、なんで30年間も気付かなかったかなぁ…。村松さんのCD3〜4枚持ってるし、チェックしてないワケじゃなかったのに。「夕なぎ」なんてフレーズも、ヨコハマファンとしては真っ先に気になるようなワードなのに、30年間一度もニアミスしなかったのが不思議でなりません。ともあれ、G.YAREDの「ロレッタのワルツ」と併せてとてもお気に入りの曲だったので、原曲を聴いたときには思わず涙が……。
 ひさびさに、当時の記憶が蘇りました。やっぱりあのドラマは、今も、そして何度観ても色褪せませんね。

 ★今回の発見に加えて、旧ホムペでの発表以降に判明した新規追加写真もいくつか掲載しておきます。
 ここまで来た以上、ドラマツアーズ「郵便配達夫の恋」の完全版も作成してみようかとも考えたのですが、結局のところ剱埼灯台内部の写真を撮る機会がいつまで経っても得られなくて、実現できませんでした。(これまでも極めて稀に一般公開の日がありましたが、全てタイミングを逃していたのです…。)
 今年(2025年)も実は一般公開されていた(!!)のですが、その情報を知ったのは、なんと当日の夕方……orz。これにはサスガに凹みました。
 「またいつか」の楽しみのために、とっておいてくれているのかな?完成に至らないことが、ある意味「幸せ」なのかも知れません。
(2025年10月14日:追記)
▲第二章で、あかりが散歩していた波打ち際の浜。 ▲花火をしていた岩場と小電柱?(未確定のまま消失)
▲民家なので詳細は控えますが、こちらは健在でした。 【オマケ】毘沙門界隈を走る郵便配達夫。バイクだけど…。