三方背BOX・デジパック仕様 ◆内容物 *本編DISC *特典DISC ドキュメント・オブ・稲村ジェーン(2021Ed.) 劇場予告/TV CM/Scrapbook(メイキング) *スペシャルフォトブック *決定稿台本(A5変形サイズ縮刷版) *ダイハツ“ミゼット”1/50スケールミニチュアモデル (稲村ジェーンオリジナルカラーver.) 作品データ:1990年全国劇場公開作品 原題:稲村ジェーン 高かったけどよォ、やっぱ買っちまうよなァ、完全生産限定版Blu-ray。(字余り) ・・・って言うか、字、余り過ぎ。元ネタは言わずもがなの「暑かったけどよォ…」のオマージュです。けど原文の面影をほとんど残してないな。 これ、掲示板にて買うか買わぬか悩んでいた例のアレなのですが、先日、新宿のタワレコにフラリと立ち寄った際に偶然目について(←ウソをつけ!)しまいまして、「あっ!?なんだ、フツーに売ってるじゃん!」と思わず手に取り、その場の勢いで即購入してしまいました。そんなワケで、高い金額を払ったぶん、記事ネタとして元を取らせてもらいましょう。Blu-ray版になった『稲村ジェーン』はどうだったのか、特典物と併せてインプレッションしていきたいと思います。 まずは今回の特典物の最大のウリであろうミゼットのミニチュアモデルなのですが・・・まぁ、下の画像を見ていただきたい。
スペシャルフォトブックは、可もなく不可もなくといったところ。当時の資料を持ってない人にとっては懐かしく思えるかもしれませんが、この冊子から得られる情報はさほどのものではありません。「ロケ協力」も、相変わらず「南伊豆町弓ヶ浜」としか書いていませんしね。ちょっと良いなぁと思ったのは、P.16あたりの波子(清水美沙)がミゼットにもたれかかるシーンが、なんかイカスかなぁと。映像でも同じ場面で、波子がミゼットのバックミラーを鏡代わりに口紅を塗るその向こうで、ヒロシとマサシがガキのように戯れている姿が対称的に表現されていて良いなぁと感じたのですが、こちらも何故か本編カットでしたね。
実際、私もこの台本を読み込んで、多くの謎が解けました。いくつか挙げていくと…… ※注 ここからはネタバレ連発です。 まずは、泉谷しげるの床屋のシーン。あれゼッタイ要らんやろ!?とかって今まで思ってました。『稲村ジェーン』は当初150分超くらいの長編になるのを、止む無く120分に削減編集したと言われています。だとしたら、あの場面こそ真っ先に切るべきでは?だってストーリーの流れと全然関係ないやん!と思っていたからです。でも、実はちょっと関係があったのですね。あの場面で髪を切りに来たマッシュルーム頭の男、なんと彼はマサシのラテンバンドのドラマーだったのです。(←気付いてました?あれ、気付かなかったの私だけ?)そもそも、マサシのバンドメンバーのキャラも影が薄すぎるから、気付きにくいんだよなぁ。マサシがステージをすっぽかしたシーンも、謎の白スーツの老人のキャラが強すぎて、「このジイさん何??」としか思わなかったしねぇ。ステージの中央にギターをポツリと置いて、それがマサシがいないということを表現してるなんて思いもしませんでした。で、その後ろで何気なくマッシュルームの前髪を気にする男…あぁ、たしかに映ってますねぇ。で、この流れで床屋に行き、その後のバンドのシーンでは髪型がガラリと変わっている…と、気付かんわ!!こんなの! しかし泉谷しげるは良しとして、結局未だに解らないのは小泉今日子の存在です。あれ、一体何の意味があるんだろう?不気味なコトに、決定稿台本にも彼女は一切出て来ないんですよ。それなのにスゴく意味深な登場の仕方。当初は、伝説の3人のサーファーが思いを寄せていた少女の霊なのかも?とかって思いましたが、そうでもないみたい。まぁでも、彼女と原由子のおかげで久里浜療養所の貴重な内部シーンが記録として残ったのは、とても意義あるところです。ちなみに草刈正雄のいた病室はスタジオセットなのでお間違いのないように。どうせならこれもこの場所で撮影して欲しかったですよねぇ。 その他も多くの映像と台本との違いが見て取れるのですが、それは限定版を購入された方がじっくりと探すためのお楽しみということで。それこそいろいろな発見があると思います。「暑かったけどよォ、短かったよなァ、夏」のあの有名なセリフは、当初マサシが言う予定だったとか……etc.あぁもう、挙げ出したらキリが無いし、とんでもなく膨大なレポートになってしまうのでこの辺で。ただ、あと一つだけ、これだけは書いておきましょう。通常版を買ってしまった人には決して判らないであろう、台本から見える隠しストーリーがあるのですよ。これを知るだけでも、30年来の目からウロコだと思いますよ。 映画本編で、光明寺の竜の目が赤くなったことを示唆するシーンがライダーズ達の又聞きによって表現されていますが、この竜の目が如何にして赤くなったのかは、結局は不明のままだったと思います。しかし台本では、この辺りがしっかりと書き出されているのですね。それは、東京からMG車でやって来たカン違いマッハ族(言うのか?)の男女が、マサシ達のバンドにケチをつけて睨み返され、捨て台詞を吐きながら店を出ざるを得なくなったことの腹いせに、光明寺の竜の壁画の目を口紅で赤く塗ってしまうというもの。まぁ、けっこう無茶な設定ですよね。これは光明寺側的に撮影OKが出なくて、止む無くボツになったのかも知れません。事実、光明寺は言葉だけの登場で、映像って一切出ないんですよね。でも、この口紅で赤く塗る前の一連のシーン(赤下線で示した部分)は、きっとアナタも何処かで目にしているハズ。さて、何処でしょう? ・・・・・分かりましたでしょうか?そう、エンディングのクレジット・ロール左脇の小窓に流された映像に、この場面があるのです!私も台本でこの事実を知るまでは、エンド・ロールに流れる見覚えのない映像は何なのだろう?と、以前から疑問に思っていました。しかしこんな重要とも思えるシーンをカットしてしまうとは・・・願わくば、本来150分超あったと言われる『ノーカット超完全版・稲村ジェーン』というのも、この機会に世に出して欲しかったですね。それこそが、まさにコンプリートエディションと呼べたのではないでしょうか?あ、あと思い出してしまいましたが、特典映像も「Scrapbook」や「ドキュメント・オブ・稲村ジェーン」だけでなく、加勢大周の「faces -Special Edition of INAMURA JANE」も入れるべきだったと思います。これ、幻想的な風車のシーンのロケ地に関する大きなヒントが示されているのですよ。まぁでも、ほぼセットのようなカラクリを知ってしまうと、探す気も失せてしまうと思いますけど。
画質は、よくぞここまで精彩&精細に再現出来たなァと、感激しました!(それとも、私のVHSの画質がツブれ過ぎてるのか!?)とにかく映像がクリアで、引き締まった雰囲気があり、古臭さをほとんど感じさせないのです。おかげで作品内映像においても、様々な新たなる発見がありました。 それは例えば、すごく当たり前で何を今さら?それってフツーに映ってたじゃんと言う人が多数かも知れませんが、あの茅ヶ崎のパシフィックホテルが映像内に映り込んでいたというのが、もう衝撃でした!これ、映像を赤いフィルターで加工していたのと、夜明けのおばちゃんが拾い忘れていったヒールのほうに目が向くように演出されているから、正味気付かなかったのです。あと、私自身がパシフィックホテルそのものの建物の形状を認識していなかったっていうコトもあります。ですから以前、稲村ジェーンのロケ地を徹底調査した際も、驚くべきことに最初からリストアップすらしていませんでした。たぶん、なんかエロいホテルとカン違いして、無意識に避けていたのかも知れません(←それはアン・デル・セン♪ ←バカ)。なんだ、パシフィックホテル(パシフィックパーク茅ヶ崎)って、ファミリー層でも楽しめる複合レジャー施設のようなものだったんですねー。うーん…建物が消失する前に、一度は肉眼で見ておくべきだったなぁ。 あと、画像の精細化により、なんと30年ぶりにロケ地を特定できたシーンが2ヶ所ありました!(※緊急事態宣言が明けたら撮影に出かけ、いずれアップしたいと思ってます。)そして小物や雑貨も、細かく判別出来るのが地味に楽しい!チャプターポイントも、サザンの楽曲の始まる手前に付けられているのが、ちょっと便利で嬉しいコダワリぶり。なかなか細かくガンバっているのですよ。あっぱれ、Blu-ray!やっぱり買って良かったよー。 ファンの皆さんも、いろいろと自由な見方で『稲村ジェーン』を楽しんでみては。そしてどうせ買うなら、台本付き限定版のほうが断然おススメです! |