所在地:埼玉県越谷市大字大吉271−1 開園時間:午前9時〜午後4時まで(ただし午後3時30分までに入園) 休園日:毎週月曜日(月曜が祝日の場合はその翌日) 入場料:大人100円・小人30円 ◆越谷市とオーストラリア・キャンベルタウン市の姉妹都市提携10周年を記念して、1995年9月にオープン。キャンベルタウン市から贈られた鳥類などを通して、オーストラリアの「自然」を理解することを願って建設されました。 [キャンベルタウン野鳥の森・園内リーフレットより] 今回、別件にて同時にUPしたページの素材写真を集めるため、なるべくならケージの網目越しにならぬよう、ダイレクトに鳥を撮影できる施設というものを探して辿り着いたのが、この『キャンベルタウン野鳥の森』です。ここは言わば、鳥の放し飼いにされている巨大なケージに、人間自らが入り込んで観察できるという、鳥好きにとっては堪らないスポットなのだというのです。 こうした施設は『掛川花鳥園』が圧倒的知名度を持って有名ですが、東京近郊にも人知れず(!?)存在していたということが驚きでした。それにしてもこの場所、何でそれほど有名になってないんだろう?と思っていたら、オウム好きの知人が「いやいや、インコ・オウム好きの人にとっては、かなり有名な場所だと思うよ。クルマサカさんもいるしね。」と宣います。あー、やっぱりそのスジの世界の人たちにとっては、知ってて当たり前くらいの情報なのですね。と、それ以前に…クルマサカ?まさか、あのクルマサカオウムがいるのか!? 『クルマサカオウム』と言えば、見事な冠羽とピンク色の羽毛がキュートな、「世界一美しい」と言われる貴重なオウム。別件の「ちぬ」のモデルは、実は個人的にはこれにしたかったくらいにラブリーな容姿をしています。これまで東京近辺の動物園や野鳥園では見ることの出来ない鳥だと思っていただけに、これは何は無くともご挨拶に行かないワケにはいかなくなってきました。 もう、居ても立っても居られません。クルマサカさんに会いに、『キャンベルタウン野鳥の森』へと向かいましょう。
入園料はなんと、驚きの100円!たしかに施設には鳥しかいなくて、動物園や水族館のようなアミューズメント感覚を期待してしまうと地味に思えるのかも知れませんが、鳥好きの人にとっては破格のドリームパークと言えるでしょう。たぶん、1〜2時間は平気でいられると思います。私は午後すぐに入場して、結局閉園時間まで居続けてしまいました。しかも平日に訪れたので、ほぼ貸し切り状態!思う存分、鳥たちに癒されてきました。 (※「鳥しかいない」と書いてますが、実際にはワラビーやモルモットもいます。) それでは、さっそく園内へ。鳥がうっかり逃げてしまわないよう、出入り口は小部屋を跨いだ二重扉になっています。例えて言うなら、気密室と同じような構造ですね。この小部屋にもし鳥が入り込んでしまったら、係員を呼んでケージ内に戻してもらうような仕組みになっています。二重の扉を抜けると、そこはもう鳥たちが自由に飛び回るケージ内。さっそくお出迎え(!?)というか、気だるそうに立ち上がったのは、オーストラリアイシチドリたち。このイシチドリ、まるでニワトリのようにあちこち気ままに歩いており、最初は立ち上がったものの、すぐに再び座り込んでくつろぎ始めてしまいました。な、なんたる警戒心の無さ。しかも人がすぐ横を通り過ぎても、避けようともしないのです。無論、写真もバシバシ撮り放題なのですが、あまりにも簡単に撮影できてしまうため、逆に撮る意欲が無くなってしまうほど。イシチドリは、もはやそこらにある石と同じような感覚です。
こうした中、ひときわ私の心を射抜いたのが、キンショウジョウインコでした。このインコ、私の眼の高さにある丁度いい位置の枝に止まっては、カメラで撮ってくれと言わんばかりにポーズをつけるのですね。挙げ句には、地面にまで降りてきて上目遣いに小首を傾げ、まるでグラビアアイドル並みの視線を投げかけてくるのです。思わず「いいよ、いいよ〜。もうちょっと大胆に見つめてみようかー?」と、いろいろとカメラアングルを変えながら撮りまくっていると、いつの間にやら私の尻の後ろで呑気に昼寝(!?)をしていたイシチドリとぶつかってしまい、お互いがビックリすることに。ここの鳥、どこまで警戒心が無いんだろう?
もう、キンショウジョウインコのことはいいです。(←逆ギレ)今回の主目的であるクルマサカさんのもとへと向かいましょう。 ちなみに園内には約20種の鳥たちがいますが、その全てが放し飼いにされているというわけではなく、貴重な種や大型で爪や嘴で怪我をする恐れのある鳥は、専用のケージに入れられています。もちろんクルマサカさんもそれに該当しますので、控室(!?)付きの立派な専用ケージで飼育されていました。それ故に、ケージの格子越しにしか撮影できないのが残念なところですが、まぁ、それも仕方のないことでしょう。 ところで、先程から「クルマサカさん」と馴れ馴れしく呼んでいますが、正式な名称はクルマサカオウム、感じで表記すると「車冠鸚鵡」となり、文字通り車輪のような冠羽を持つ鸚鵡ということになります。この車輪とは、平安時代の貴族とかが乗っていた牛車の車輪を見立てたものだということで、冠羽を全開させると、まぁ「車輪に見えなくもないかな?」という模様が浮かび上がります。
これは再び来園する必要がありそう。と言うか、是非ともまた訪れてみたい魅力的な場所です。「エサやりイベント」とかが無いのがちょっと残念なのですが、それが無くても鳥たちが近づいてきてくれたり、伸び伸びとした行動を見せてくれる園内の空気感が素晴らしい。きっとこれまでの鳥好きの来園者が、しっかりとマナーを守って積み上げてきた「信頼」から形成されたものなのでしょう。…まぁ、ちょっと警戒心無さ過ぎな鳥もいますけど。 いよいよ閉園時間ギリギリとなり、二重扉の出口側へと向かうと、そこにはたくさんのイシチドリがだらしなくゴロゴロとうずくまり、行く手を塞いでいます。 「こらこら、そこの鳥たち!まだ営業時間は終わっていないのだよ。早々に気を抜いてうずくまってるんじゃあない!」 思わずイシチドリを蹴散らしてやりたい気持ちにもなりましたが(←先程のマナーの話が台無しだよ!)、そのあまりの無防備・無関心ぶりに圧倒され、もはや呆れるしかありません。ホントにこの鳥、終始勝手気ままに行動してるなぁ……。 仕方なしに私は潔く負けを認め、イシチドリたちの隙間をソロリソロリと抜けて出口へと辿り着き、野鳥園をあとにしました。
参考文献:『キャンベルタウン野鳥の森』リーフレットおよびホームページ |