海風通信 after season...

海とバイクとチェアリング




◆コロナ禍で、「チェアリング」というものが注目されているようです。
 チェアリングとは、海山野川土手公園などに簡易なイスを持って赴き、そこで各々の趣味などに興じて寛ぐというもの。まぁ、大雑把な言い方をしてしまえば、『イスだけキャンプ』みたいなものでしょうか。言葉自体は前々から存在していたようですが、おそらくソーシャルディスタンスという観点から流行し始めたらしいですね。なかにはテレワークよろしく仕事を持ち込む人もいるようですが、出来ればそれはあまりしたくないところですねぇ。
 このチェアリングという言葉自体は全く知りませんでしたが、実は私は以前からこのスタイルを実践していました。というのも、私はアウトドアを趣味に持ちながら、キャンプというものがあまり好きではないのです。そもそもテントを張ったり、料理を作ったり、後始末をしたりするのがスゴく煩わしい。本来私は、キャンプというのは宿や施設の見られない特殊な環境下で「やむを得ず」するものであり、「近くに宿があるんだったら、そこに泊ればいいじゃん!」的な考えの人なのです。これは山岳サークルや自転車長期ツーリングで沁み込んでしまった経験からなのでしょう。食事はレトルトで手短に済ませ、早朝スタートに向けて充分な睡眠を得るためにすぐさま寝る、こんな状況でのテント使用が多かったため、あまり楽しいイメージがないのですね。そのため、テントが消え、寝袋が消え、銀マットが消え、コンロが消え(コンロもかよ!?)…最終的には軽量チェアとミニテーブルだけになっておりました。
 このスタイルは実にお手軽かつお気楽でクセになります!でも、こんな貧弱な装備で一体何をするのか?と思われるでしょうが、ホントに大したコトはしてません。近年ではお察しのように三浦半島ぐらいしか行けてないので、海辺や高台のお気に入りの場所でチェアを組み立て、本を読むくらい。それでも、不思議と非日常感が味わえるのです。ソロツーリングでチェアリング……、おぉ!これってコロナ禍における究極のソーシャルディスタンス旅と言えるのではあるまいか!?政府もフザけた『Go To トラベル』などを推奨してないで、こういうスタイルを提唱していってもらいたいものですね。(経済効果はほとんど無いでしょうが。)
 このようなことを知り合いに話したら、「貴様はシマリンか、シマリングしてるのか?」というツッコミが入りました。何のコトかと思ったら、『ゆるキャン△』というマンガに、そういうキャラクターがいるんですね。「緊急事態でなかなか外出できないぶん、いい気分転換になるよ」と薦められた作品なのですが、これが見事にハマってしまいました。当初は「ケッ、ユルいキャンプだと〜、ケッ、どうせ美少女萌えのマンガだろ〜、ケッ」とかバカにしておりましたが、一つ一つのキャンプ・エピソードがすごく丁寧に描かれていて、特に最近のキャンプ事情や道具の進化っぷりには驚かされました。キャンプでのマナーも、押し付けではない感じで気持ちよく描写されているので、再認識することもしかり。昨今、キャンプのマナーが悪化してることが問題視され、三浦半島でも次々と浜辺への立ち入りが制限されるという事態になってきているので、そういうヒトたちの目にも止まれば良いですね。なによりも、ゴミの不始末と砂浜での直焚火はホントにやめて欲しいです。あれって浜辺に黒い煤が残って、すごく見苦しいし、なんだか悲しくなるんですよね。
 少し脱線してしまいましたが、話を元に戻しましょう。先述したように、この作品の中でのメインキャラの一人でもあるシマリン→(正しくは「志摩リン」というバイク乗りの女のコ)がメインとなるエピソードが、ソロライダーにとってはいちいち共感アリアリで素晴らしいです。中でも秀逸なのが、第5巻の『年末ソロキャン編』。ソロ旅好きな方には、是非とも読んでいただきたい。ほんの一例ですが、その作中でのセリフをいくつか挙げてみましょう↓
 「浜で一日 本読んで… 温泉浸かって… 贅沢な時間の使い方だ…」
 「やっぱり 一人のキャンプも好きだ 私」
 「一人でゆっくり 物思いに耽ったり 何ていうか… ソロキャンは寂しさも楽しむものなんだって」
 なんてトコは、思わず「そうだろう!そうだろう!」と、大きく頷きながら読んでしまいましたよ。あぁ、ひょっとしたら俺ってば志摩リンなのかも!?(←日本各地でそうカン違いしているお花畑ソロライダーが多数いると思われ。)
 この志摩リンが好んでよく行なうのが、浜辺やキャンプサイトでの読書チェアリング→シマリング(造語…だよね?)ということなのです。そんなワケで、今回は私なりのシマリングっぽいチェアリング風景をちょっと再現してみようかな、という試みなのでした。
 何気にマグカップは今回のために購入した『志摩リンスクーター』のステンレスマグなのですが、ヘリノックスのチェアは、まさに偶然の近似!(※色やモデルは違うけど、実写版ドラマの作中で使用してました。漫画版はALITEのメイフライチェアらしい。)このチェア、たまたまフライングフィッシュのクリーンカンティーン(マグボトル)のブルーに合わせて買っていました。ブルー系統のアイテムが好きなゆえのコンボです。で、さらには志摩リンもカンティーンのボトルを所持していて、アルミテーブルも同じようなものを使用しているのですよ!何このセンスの一致感!?俺ってば、やっぱり志摩リ…(←しつこいよ!)
 と、まぁ、気付けば『ゆるキャン△』の魅力にずいぶんと感化されてしまったわけなのですが、さすがに今後、舞台地検証とかはやらないかな?この作品、あまりにもロケーションが克明かつ具体的に描かれ過ぎていて、あらためて探してみようという意欲が起きないのですね。加えて『古民家カフェ』とかも、あまり好きじゃないし、そういうガラでもないし…。そう言や作品内の彼女たち、高校生でお金がないとか言ってるわりに、旅先でけっこうウマいものを色々と食ってるなぁ。ウチらが高校生の頃は、ランチパックとかカロリーメイトしか食ってなかったぞ(←それもどうかと思うが)。

 さて、それでは撮影も済んだし、そろそろ優雅に読書チェアリングでも始めますかね…。でもせっかちだから、2時間も持たないんだよなぁ……。

▲飲み物と楽しみにしていた本さえあれば、充分満足です。 ▲実際は海をボ〜ッと見ていることの方が多かったり…。
(2021年06月01日撮影)