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外患に関する罪
外患に関する罪は国家の外部からその安全な存立を害する行為を内容とする犯罪であり、国家の対外的存立がその保護法益である。国民の祖国に対する裏切り行為を内容とする点で内乱罪と性格を異にする。刑法81条(外患誘致) 外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は死刑に処する。(罰則に「死刑のみ」としているのはこの「外患誘致」だけである)「外国」とは外国政府で、私的なゲリラ組織は含まない。刑法82条(外患援助) 日本国に対して外国から武力の行使があったときにこれに加担し、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えた者は、死刑または無期もしくは2年以上の懲役に処する。刑法83〜85条 通謀利敵罪 削除刑法87条(未遂) 81条及び82条の罪の未遂は罰する。刑法88条(予備および陰謀) 81条または82条の罪の予備または陰謀をした者は、1年以上10年以下の懲役に処する。刑法89条 戦時同盟国に対する行為 削除外国人犯罪
外国人犯罪の急増は多くの国で共通した問題となっているが、その歴史は古い。[ シーボルト事件 ] 19世紀の初め、ドイツ人医師シーボルトが長崎出島のオランダ商館付医官として来日し高野長英らを指導したが、帰国時に国禁の地図所持が発覚し、1829年、長崎奉行の審問後、国外追放処分となった。[ ゾルゲ事件 ] 1941年(昭和16年)10月、「フランクフルターツァイトゥング」東京特派員リヒャルト・ゾルゲらは尾崎秀実らと共に日本帝国主義の活動に関する情報を共産主義陣営に提供した疑いによって逮捕された。ゾルゲは1933年(昭和8年)以降の日本の軍事力、工業力、政策を報告し、また事前にドイツ軍のソビエト侵略、日本軍の南進などを通報したと言われる。1944年(昭和19年)11月7日、ゾルゲと尾崎秀実が処刑された。外国人犯罪は実行された国にとっては犯罪であるが、同じ行動が他の国において称賛されることがある。[ 伊藤博文暗殺事件 ] 1909年(明治42年)、ハルビン駅頭で前韓国統監の伊藤博文を射殺した安重根が処刑されたが、朝鮮民族においては英雄扱いされている。[ 日本赤軍テルアビブ空港事件 ] 1972年(昭和47年)5月30日、イスラエルのテルアビブ空港において日本赤軍の岡本公三ら3人が自動小銃と手投げ弾で24人を殺害し、国際社会から非難を浴びたが、一部のアラブ人社会ではむしろ高く評価された。その後の裁判で3人のうち生き残った岡本は終身刑となった。外国人は偏見をもたれ差別されることが多く、そうした状況下で冤罪事件が発生することも少なくない。[ サッコとヴァンゼッティ事件 ] イタリア生まれでアメリカの無政府主義者であるニコラ・サッコとバルトロメオ・ヴァンゼッティが1920年(大正9年)に起きた強盗殺人事件の被疑者として逮捕され、陪審員と判事が被告たちに対して偏見を抱いている中で証拠によってではなく、その急進的な政治信念によって有罪とされた。2人の強盗殺人罪は無実であると確信した全世界の人々の6年以上に渡る救命闘争にもかかわらず、1927年、2人はボストンで処刑された。外国判決の効力
再審事件だけでなく、日本人が国外でも有罪判決を受けた場合も、日本で裁判をやり直すことができる。判決の確定した裁判のやり直しを認めないのは、ひとつの事件で二重の処罰を与えないようにするためだが、国外で受けた裁判は日本とは違うという考え方によってカウントされない。日本では重大な犯罪にあたるものが、国によっては信じられないような軽い刑になることがあるからで、適正な処罰を与えたいと考える検察側にとって有利なものといえる。また、国内できちんと裁かなければ国民が納得しないということもあるからだ。
刑法5条には、「外国で受けた裁判がすでに確定した者であっても、その同じ行為について、さらに処罰してさしつかえない。ただし、犯人が外国で言い渡された刑の全部、または一部の執行をすでに受けてしまったときには、刑の執行を減軽または免除する」と規定されている。
[ 勝新太郎コカイン&マリファナ密輸事件 ] 1990年(平成2年)1月16日朝(日本時間17日未明)、米ハワイのホノルル税関で俳優の勝新太郎(本名・奥村利夫/当時58歳)が麻薬密輸入の疑いで逮捕された。羽田発の中華航空18便に乗った勝はホノルル空港の通関の際、パンツの中に隠し持っていたコカイン1.04g、マリファナ9.49gを見つけられた。同日午後、ホノルルの連邦地裁で略式起訴され、即決裁判で罰金1000ドルと訴訟費用350ドルの支払いを命じられた。勝はただちに罰金などを支払い、国外退去処分となって日本に強制送還。日本に戻ってきた勝は麻薬取締法違反と大麻取締法違反(いずれも密輸出)で警視庁に逮捕された。6月12日、起訴され、1992年(平成4年)3月27日、東京地裁は勝に懲役2年6ヶ月・執行猶予4年の判決を言い渡した。1978年(昭和53年)5月25日、勝(当時46歳)はアヘンの不法所持の容疑で書類送検され、起訴猶予処分を受けたことがある。
回避
刑事訴訟法および刑事訴訟規則は主体の面から公平な裁判所を確保する制度として(1)除斥(じょせき)、(2)忌避(きひ)、(3)回避という制度を設けている。回避とは裁判官が自ら職務の執行から退くことをいう(刑事訴訟規則13条)。これは刑事訴訟法にはないが、刑事訴訟規則により予断排除の観点から規定された制度になる。ちなみに、除斥とは裁判官が被害者であるときなど刑事訴訟法20条で規定された条件に該当する場合、当然に職務の執行から排除されることをいい、忌避(きひ)とは所定の事由がある場合に検察官または被告人の申し立てにより裁判官が職務の執行から排除されることをいう。予断排除の原則として、除斥、忌避、回避の制度があることを上記で説明したが、予断排除の原則の例外とされている制度もある。(1)上訴審の審理・・・上訴審は原判決の当否を審理する制度であるから予断排除の原則が適用されないとされている。(2)破棄差し戻し後の第1審・・・破棄差し戻しの第1審では控訴裁判所の判断に拘束されるため、訴訟記録を参照しないわけにはいかず、予断排除の原則が適用されない。(3)略式手続き・・・比較的軽微な事案に適用される制度であることから予断排除の原則が適用されない。快楽殺人
かつては「淫楽殺人」などと訳されていた時代があるが、元々のドイツ語は Lustmord といい、英語では Pleasure murder という。快楽殺人者では最初の殺人の快体験が刺激となって殺人を繰り返し、連続殺人犯になることが多い。殺人の後に凄惨な死体損壊などをともなうことが多いことからバラバラ事件となって発覚したり、特に性的な器官の損壊が行われたり、食人(カニバリズム)が行われたりすることがある。歴史的に有名なケースとしては、ドイツのデュッセルドルフの連続殺人者のペーター・キュルテン、ロンドンの連続殺人者の「切り裂きジャック」、ジャンヌダルク時代のフランスの元帥ジル・ド・レ侯爵などがある。解離
人生の中で思い出したくないような体験を普段の記憶システムに組み入れず、別の記憶システムに刻み込んでしまうというメカニズム。これによって人間は自分のおぞましい記憶を通常意識しないで済む。この記憶システムに自分がいたときの記憶が抜け落ちてしまい、思い出すことができない「解離性健忘」、あるいは、その間に、別の場所に行ってしまい、そこでは、すべての記憶を失い、自分が誰なのか、どこに住んでいたのか思い出すことができなくなる「解離性とん走」、急に別の人格になり、前の人格のときのことをまったく覚えていない「解離性同一性障害(多重人格)」などがある。現在では軽いレベルの解離も想定されており、読書に集中して、周囲のことに気づかないような正常な解離状態から、解離性同一性障害のような重症な解離に至るスペクトラムモデルが考えられている。
解離性家族
1988年(昭和63年)〜1989年(平成元年)の宮ア勤幼女連続殺人事件の宮ア勤の内沼・関根による精神鑑定において、その家族がお互いに非常に不仲であることや、7人家族であるのに食卓のイスが4つしかない状況のように家族がバラバラであるため、これをこの鑑定では「解離性家族」と呼んだ。精神医学用語ではない。
火炎びん
火炎びんは第2次大戦中のフランスで一般市民がナチスドイツの戦車を攻撃できる武器として使われたのが始まりとされている。日本で初めて使われたのは1952年(昭和27年)の「神戸米軍キャンプ襲撃事件」で、その年だけで火炎びん使用事件は55件発生した。しかし、最高裁大法廷は「火炎びんは爆発物にあたらない」と明確に示し、爆発物取締罰則を適用しなかったため、代わりに放火罪や公務執行妨害罪などで、火炎びん使用者を検挙していた。昭和40年代に入ってから過激派の学生による大学闘争が全国各地で起こり、東大闘争や日大闘争はそれらの頂点であったが、大学闘争において火炎びんが約7000本使用され、さらに1万本以上が押収されたと言われている。そこで、火炎びんを明確に取り締まる法律の整備が急務となった。火炎びんの使用等の処罰に関する法律 施行:昭和47年5月14日1条(定義) この法律において、「火炎びん」とは、ガラスびんその他の容器にガソリン、灯油その他引火しやすい物質を入れ、その物質が流失し、又は飛散した場合にこれを燃焼させるための発火装置又は点火装置を施した物で、人の生命、身体又は財産に害を加えるのに使用されるものをいう。
2条(火炎びんの使用) 火炎びんを使用して、人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、7年以下の懲役に処する。
2項(未遂罪) 前項の未遂罪は、罰する。
3条(火炎びんの製造、所持等) 火炎びんを製造し、又は所持した者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
2項 火炎びんの製造の用に供する目的をもつて、ガラスびんその他の容器にガソリン、灯油その他引火しやすい物質を入れた物でこれに発火装置又は点火装置を施しさえすれば火炎びんとなるものを所持した者も、前項と同様とする。
4条(国外犯) 2条の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)4条の2の例に従う。
科学警察研究所・科学捜査研究所
科学警察研究所(略称・科警研)は警察庁の付属機関(警察法28条)、科学捜査研究所(略称・科捜研)とは都道府県警察の刑事内部の機関であり、いずれも科学捜査の研究、実験、鑑定、検査を目的とし、科警研は犯罪、少年非行、交通事故の防止等に関する研究や都道府県警察の鑑定技術職員に対する研修、指導も行っている。生物、医学、薬学、化学、物理学、工学、心理学等の専門知識・技術を有する研究職員がそれぞれの専門に応じた部門に配属され、司法警察員等からの鑑定嘱託により、血痕・体液・毛髪(血液型やDNA型検査等)、薬物(覚せい剤等の規制薬物や毒劇物の含有の有無)、銃器(銃器としての性能や弾丸の発射痕跡による発射銃器の特定等)、火炎(出火原因の特定)、文書(筆跡の同一性や紙幣等の真贋等)、画像・音声ビデオ等に写った人物の同一性や声紋の同一性等)、心理(ポリグラフ検査等)などの鑑定を行っている。確信犯
自己の倫理、宗教、価値、信条、思想などの信念から犯罪を行うもので、暗殺や政治的テロなどに典型的に認められる。一般に自己の高邁な理想を実現させるための犯罪は矮小あるいはやむを得ない手段に過ぎないと考える。ドストエフスキーの『罪と罰』のラスコーリニコフの殺人、1970年代に起きた連合赤軍によるリンチ殺人事件、東アジア反日武装戦線による連続企業爆破事件などはそうした考えにある。逮捕後の公判において彼らは後悔を示すことはなく、彼らの思想、信条が表明される。連合赤軍によるリンチ殺人事件については連合赤軍あさま山荘事件、東アジア反日武装戦線による連続企業爆破事件については日本赤軍と東アジア反日武装戦線を参照。世間一般では「確信犯」はそれをすればトラブルが起きることだと知りながら行うこと、あるいはその人のこと、というように思っている人が多い? (本来の意味からすれば違っているが、ふたつ目の意味としてこちらの意味も掲載されている国語辞典もあるらしい)「確信犯」より「故意犯」のほうがピッタリな感じがするが。覚せい剤
覚醒剤は、1888年(明治21年)に、日本で発見された薬物で、突如として睡眠に陥るナルコレプシーや抑鬱病の治療薬に用いた。アンフェタミンとメタンフェタミンの2種類があり、日本で製造されたのは主としてメタンフェタミンで、現在の密造品もこれである。純度の高い覚醒剤を、0.005グラム静脈注射すると、すぐに中枢神経興奮作用が現れる。眠気や疲労が消えて、仕事に対する意欲も増すが、2〜5時間の興奮作用が消えると、逆に虚脱感や脱力感に襲われる。第2次大戦では、日本軍は興奮作用に着眼し、大量生産をした。敵前上陸や特攻隊は、出撃の際に「突撃錠」として、また斬込隊や夜間の歩哨には「猫目錠」として支給され、軍需工場の能率増強にもさかんに用いられた。敗戦とともに膨大な覚醒剤が放出され、製薬会社は競ってアンプル製造した。「ヒロポン」は大日本製薬の商品名である。ヒロポンはメタンフェタミン=フェニル・メチルアミノプロパンで、アンフェタミンより薬理作用が強くなる。戦後の混乱の中で、“ポン中”と呼ばれる薬物汚染が広がった。
[ 第1次濫用期 ] 1951年(昭和26年)には覚せい剤取締法が制定されたが、密造品が出回って、全国に常用者が55万人と言われ、覚醒剤事犯の検挙者数は年間で1万7000人ほどだった。1954年(昭和29年)に覚醒剤取締法が改正されるが、このときがピークで、常用者は100万人とも言われ、検挙者数は5万5000人に達した。この時代から大阪に多く、西成区あたりが最も密度が高い。純度の高い覚醒剤に混ぜ物を入れるのを、この界隈で「シャブシャブする」と言った。ここから「シャブ」という隠語が使われるようになった。
[ 潜伏期 ] 1957年(昭和32年)になると、激減し、検挙者数は毎年、2000人ほどになり、1970年(昭和45年)ごろまで続いた。
[ 第2次濫用期 ] だが、1971年(昭和46年)以後、増え始め、1973年(昭和48年)に、再び、覚醒剤取締法が改正され、この年の検挙者数は9000人ほどで、翌年、7000人に減ったが、また、増え始め、深川通り魔殺人事件のあった1981年(昭和56年)の検挙者数は2万5000人ほどになった。以後、1994年(平成6年)まで、ほぼ減り続け、検挙者数は1万5000人ほどになった。
[ 第3次濫用期 ] だが、1995年(平成7年)以後、増え続け、1997年(平成9年)の検挙者数は2万人ほどになった。翌1998年(平成10年)の検挙者数は1万7000人ほどに減ったが、この年の覚醒剤の押収量は549.0キログラムで、前年の171.9キログラムの3倍を超えた。翌1999年(平成11年)の検挙者数は1万8000人ほどだが、この年の覚醒剤の押収量は、なんと過去最大の1975.9キログラムで、前年の約3.6倍になった。翌2000年(平成12年)の検挙者数は1万9000人ほどで、9月に、シンガポール国籍の2人の男が、成田空港で49キログラム(末端価格約30億円)の覚醒剤を航空貨物で密輸入しようとして現行犯逮捕されているが、同空港での押収量としては、1978年の開港以来、過去最高となった。この年の覚醒剤の押収量は1026.9キログラム。
覚せい剤取締法では、覚せい剤の製造、輸出入、所持、譲渡、譲り受けること、使用などあらゆることを禁止している。無理やり打たれたり、知らずに打っても罪に問われる。
[ 1 ] 輸出入、製造は1年以上の懲役。営利目的は無期または3年以上の懲役および1000万円以下の罰金。
[ 2 ] 所持、譲渡、譲り受けた場合は10年以下の懲役。営利目的は1年以上の懲役または情状により1年以上の懲役および500万円以下の罰金。
[ 3 ] 覚せい剤の使用禁止、輸出入の制限及び禁止、製造の禁止などに違反すると10年以下の懲役および500万円以下の罰金。
覚醒剤事犯の検挙状況は次の通り。
平成 3年 |
平成 4年 |
平成 5年 |
平成 6年 |
平成 7年 |
平成 8年 |
平成 9年 |
平成 10年 |
平成 11年 |
平成 12年 |
平成 13年 |
平成 14年 |
平成 15年 |
平成 16年 |
平成 17年 |
|
検挙 件数 |
21704 | 20853 | 21342 | 19730 | 23382 | 26624 | 26834 | 22493 | 24167 | 25913 | 24791 | 23225 | 20129 | 17699 | 19999 |
検挙 人数 |
16093 | 15062 | 15252 | 14655 | 17101 | 19420 | 19722 | 16888 | 18285 | 18942 | 17912 | 16771 | 14624 | 12220 |
13346 |
押収量(kg) | 121.0 | 163.7 | 96.2 | 313.3 | 85.1 | 650.8 | 171.9 | 549.0 | 1975.9 | 1026.9 | 406.1 | 437.0 | 486.8 | 406.1 | 118.9 |
ガスライティング
Gaslighting 『ガス燈』(原題:Gaslight)という演劇(1938年)および映画化したもの(英国版1940年/米国版1944年)にちなんで付けられた名前。作品の中で描かれているのは、家の中の物を動かしたり奇妙な音をたてることで妻の正気を失わせようとする虐待的な夫。気づいた妻がその点を指摘しても、夫は「妻の勘違い」だと主張しつづけ、追い込んでいく、というように、心理的虐待の一種で被害者にささいな嫌がらせをしたり、わざと誤った情報を提示し、被害者が自身の記憶、知覚などを疑わせるように仕向ける手法。『ガス燈』(DVD/監督:ジョージ・キューカー/出演:イングリッド・バーグマン&シャルル・ボワイエ)ガスライティングは、加害者が長い時間をかけて少しずつ導入していく傾向があるため、特定するのが非常に難しい。また、ガスライティングを受けている被害者は、混乱や不安、そして落ち込みなどを感じてはいるものの、こうした感情の原因がなんなのかがわからないことも多い。さらに、ガスライティングの被害者は「お前の記憶が間違っている」「そんなの妄想だ」と非難される続けることで、感情が封じ込められてしまう傾向になる。学校裏サイト
各学校が運営する公式ホームページとは異なり、在校生や卒業生らが独自に運営している非公式の掲示板。2008年(平成20年)1〜3月に実施した文部科学省による調査では全国47都道府県で計3万8260件の裏サイトが確認された。確認した裏サイトのうち、群馬、静岡、兵庫県内の中高生の裏サイト約2000件を抽出し、書き込みの内容を詳細に調べた結果、半数以上のサイトに「キモイ」「うざい」などの言葉が含まれていた。わいせつな言葉が書かれていたサイトは37%、「死ね」「消えろ」「殺す」などの言葉が書かれていたサイトも27%あった。一方、この3県の中高生約2400人に対し、裏サイトについてアンケート調査したところ、回答があった1522人のうち、裏サイトの存在を知っていたのは全体の33%。見たことがある生徒が23%。書き込みをしたことがあるのは3%となっている。家庭裁判所調査官
1949年(昭和24年)1月1日、「家庭に光を、少年に愛を」という標語を掲げて家庭裁判所が誕生したが、それと同時に生まれた専門職が家庭裁判所調査官である。家裁調査官は主に家事事件と少年事件を扱うが、少年事件では審判の前に調査を行う。これを少年法で「調査前置主義」という。調査には非行事実に関するものと要保護性に関するものがある。非行事実に関するものは裁判官によって行われ、「法的調査」と呼ばれる。要保護性に関するものは少年が非行を克服して成長を遂げるためにどのような処遇を与えていったらいいのかを判断するものであり、裁判官の命によって家庭裁判所調査官が行い、「社会調査」と呼ばれる。調査官は「少年、保護者または関係人の行状、経歴、素質、環境等について、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識、特に少年鑑別所の鑑別の結果を活用して」(少年法9条)調査を行うことになっている。火薬類取締法
火薬類取締法3条、58条経済産業大臣の許可なく、勝手に火薬や爆薬(ニトログリセリンなど)、雷管や導火線などを製造、変形、修理すると、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。両罰規定として法人に100万円以下の罰金。仮釈放
真面目に刑期を務めている模範囚であれば「一定の条件」をつけ釈放すること。仮釈放(刑法28条)の要件に、「懲役または禁錮に処せられた者に改悛の情があるときは、有期刑については、その刑期の3分の1、無期刑については10年を経過した後、行政官庁処分によって、仮に釈放を許すことができる」とある。だが、実情は「刑期の3分の1を過ぎれば仮釈放に対する審査を行うことができる」と解釈され、実際に仮釈放になるのは「刑期の3分の2を過ぎて、真面目で改悛の情がいちじるしい者」とされている。
ただし、次の場合には仮出獄の処分を取り消すことができる(刑法29条)。
[ 1 ] 仮釈放中にさらに罪を犯し罰金以上の刑に処せられたとき。
[ 2 ] 仮釈放前に犯した他の罪について罰金以上の刑に処せられたとき。
[ 3 ] 仮釈放前に他の罪について罰金以上の刑に処せられた者に対し、その執行をすべきとき。
[ 4 ] 仮釈放中に遵守すべき事項を遵守しなかったとき。仮釈放の処分を取り消したときは、釈放中の日数は、刑期に算入しない(刑法29条2項)。
拘留に処せられた者は、情状により、いつでも、行政官庁の処分によって仮に出場を許すことができる(刑法30条)。罰金または科料を完納することができないため留置された者も前項と同様となる(刑法30条2項)。
カルト
Cult 本流の宗教を教会(church)、その枝分かれを宗派(sect)、さらに小さい異端の宗教集団をカルト(cult)と呼ぶ。特に、近年は神秘的な教義を主張するカリスマ的教祖に対して絶対的服従する、過激で狂信的な宗教集団を指すようになった。
★宗派と犯罪の関係については・・・
(1)一般的犯罪(窃盗・風俗犯)は比較的少ない。
(2)宗派のもつ集団的排他性が外部と衝突する。
(3)個々の信者が持続的な宗派、闘争の中で挫折、崩壊して精神障害を起こし、それが犯罪の契機になる。
(4)宗教・迷信を利用する事例があることなどが指摘されてきた。
★さらに、現代のカルトが生み出した社会病理現象については・・・
(1)カルトに所属する成員が家族、職業を放棄するために生じる葛藤、離婚、家出、行方不明などがある。
(2)カルトの中には信者およびその家族の全財産を教団に拠出することを求めるものがあり、そのために終末思想を持ち込む。
(3)信者または依頼人への罪障、祟りなどを信じ込ませ、詐欺または恐喝の手段に用いて全財産を取り上げる。
(4)周囲の社会との葛藤の中でテロリズムを手段とする。
(5)カルト内部で教主による性的虐待が行われ、あるいは教団による不信者に対する私刑が行われる。
(6)教団における「修業」あるいは悪魔祓いの過程で殺人に発展する。
(7)武装宗教化したカルトが官憲と衝突し、人民寺院(People's Temple)やブランチ・デヴィディアンのように銃撃戦の上、集団自殺を遂げるもの。あるいは太陽の寺院教団(Order of Solar Temple)や日本の「真理(みち)の友教会」のように集団自殺を遂げるものがある。
鑑定
裁判官の判断を補うため、裁判所が指名した特別の知識・経験をもつ第三者(鑑定人)に専門的知識・判断を報告させることを目的とした証拠手続き調べのこと。裁判官は鑑定結果を無視することはできないが、その証明力をどう評価するかは裁判官の自由な心証に委ねられている。これを「自由心証主義」という。
感応精神病
1人の精神障害者の妄想や精神症状が、親子や兄弟などの緊密な結びつきをもつ人に取り込まれ、一致した症状を呈するようになる精神障害のこと。たとえば、親が分裂病でわけの分からない妄想の話をすると、子どもがその妄想を信じて、本当に妄想をもつなど。
毀棄及び隠匿の罪
刑法258条(公用文書等毀棄) 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、3ヶ月以上7年以下の懲役に処する。刑法259条(私用文書等毀棄) 権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した者は、5年以下の懲役に処する。刑法260条(建造物等破損及び同致死傷) 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。刑法261条(器物損壊等) 前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。刑法262条(自己の物の損壊等) 自己の物であっても、差押えを受け、物権を負担し、又は賃貸したものを損壊し、又は傷害したときは、前3条の例による。刑法262条の2(境界損壊) 境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。刑法263条(信書隠匿) 他人の信書を隠匿した者は、6ヶ月以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。刑法264条(親告罪) 259条、261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。棄却 却下
棄却は、刑事訴訟法では公訴、控訴、上告および抗告を排斥するすべての場合に用いられる。民事訴訟法では訴えまたは上訴を理由がないとして排斥する場合に用いられる。
却下は、刑事訴訟法では訴訟手続きの進行に関する申し立てを排斥する裁判について用いられる。民事訴訟法では当事者その他の関係人の訴えやその他の申し立てに対して、不適法として排斥する裁判について用いられる。
期日間整理手続
刑事裁判で、初公判後、公判期日以外に手続き日を設け、裁判官、検察官、弁護人が証拠や争点を絞り込んで審理計画を立てる手続き。2005年(平成17年)11月の改正刑事訴訟法施行で導入された(刑事訴訟法316条の28〜)。裁判員制度導入では、対象となるすべての刑事裁判について、初公判前に証拠や争点を絞り込む公判前整理手続が行われるが、初公判以降に被告の主張が変わったり、制度の対象裁判以外で審理中に争点整理を行うときに期日間整理手続が用いられる。偽証罪
刑法169条(偽証) 法律により宣誓した人が虚偽の陳述をしたときは3ヶ月以上10年以下の懲役に処する。本罪の主体は「法律により宣誓した人」である。刑法170条(自白による刑の減免) 前条の罪を犯した者がその証言をした事件について、その裁判が確定する前または懲戒処分が行われる前に自白したときはその刑を減軽し、または免除することができる。「自白」とは虚偽の陳述等をした事実を告白することをいう。刑法171条(虚偽鑑定等) 法律により宣誓した鑑定人、通訳人または翻訳人が虚偽の鑑定、通訳または翻訳をしたときは前2条の例による。起訴状一本主義
公訴提起の際に検察官は起訴状という書面だけを裁判所に提出し、裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある書類や証拠を添付し、またはその内容を引用してはならない原則のこと(刑事訴訟法256条6項)。この原則は裁判所の予断を排除して白紙の状態で初公判に臨ませることにより、公平な裁判を確保するため。規定で禁止されているのは書類・証拠の添付・引用だけだが、裁判所に予断を生じさせる前科・経歴・性格などの余事記載も原則として禁止されている。起訴独占主義
起訴独占主義
公訴提起の権限を特定の機関または人物に独占させる方式をいう。刑事訴訟法247条は「公訴は検察官がこれを行う」と規定しており、検察官による起訴独占主義をとっている。この方式の利点は訴追政策の統一性を保つことによって公平かつ適法な公訴提起が行われることにあるとされる。しかし、検察官は起訴するに充分な証拠が存在する場合でも不起訴処分にすることができる(起訴便宜主義)ことから起訴独占主義を徹底すると、検察官による恣意的な起訴・不起訴を許すおそれがある。そこで、不当な不起訴処分を是正する制度として検察審査会による起訴議決に基づく公訴提起(刑事訴訟法262条以下)が設けられており、例外となっている。他方、不当な起訴処分に対する救済のための具体的な法制度はないが、公判において公訴権濫用論が主張される場合がある。起訴便宜主義
起訴便宜主義
訴追の必要性を判断して不起訴とすることができる裁量権を認める法制をいう。対立概念の「起訴法廷主義」は犯罪の嫌疑があり訴訟条件が満たされる場合には必ず起訴しなければならないとする法制であるが、日本では起訴便宜主義がとられており、このような場合であっても検察官は被疑者を起訴猶予することができる。刑事訴訟法248条は「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは公訴を提起しないことができる」と規定している。
起訴前の身柄引き渡し
1995年(平成7年)に沖縄で起きた女児暴行事件を受け、日米地位協定の運用が改善され、殺人、強姦などの凶悪犯罪に限り、起訴前の身柄引き渡しが可能になった。日米合同委員会で協議し、米国側が同意すれば、身柄が引き渡される。起訴猶予
起訴猶予
検察官が行う不起訴処分の一類型で、被疑事実が明白であっても被疑者の性格、年齢、および境遇、犯罪の軽重および情状ならびに犯罪後の状況により起訴を必要としない処分をいう。起訴猶予に付すべきかどうかを決めるにあたっては個々の具体的事件につき諸般の事情を考慮すべきであって、その基準を一様に定めることは難しいが、刑罰を科さないことが犯人の社会復帰を容易にするかどうか、また、刑罰を科さなくても被害者を含む一般社会の理解が得られ、社会秩序の維持を図ることができるかどうかといった点に重点を置いて、長い間の検察実務の経験に基づく一定の判断基準が刑されているのが実情。
忌避
刑事訴訟法および刑事訴訟規則は主体の面から公平な裁判所を確保する制度として(1)除斥(じょせき)、(2)忌避(きひ)、(3)回避という制度を設けている。忌避(きひ)とは所定の事由がある場合に検察官または被告人の申し立てにより裁判官が職務の執行から排除されることをいう。ちなみに、除斥とは裁判官が被害者であるときなど刑事訴訟法20条で規定された条件に該当する場合、当然に職務の執行から排除されることをいい、回避とは裁判官が自ら職務の執行から退くことをいう(刑事訴訟規則13条)。これは刑事訴訟法にはないが、刑事訴訟規則により予断排除の観点から規定された制度になる。忌避事由は裁判官に(1)除斥事由があるとき、(2)不公平な裁判をするおそれがあるとき、とされている(刑事訴訟法21条)。「不公平な裁判をするおそれ」とは裁判官がその担当する当事者と除斥原因にあたらないが、特別な関係にあるとか訴訟手続きですでに事件について一定の判断を形成しているなど手続き外の事情で公正で客観的な審判を期待できない場合をいう。予断排除の原則として、除斥、忌避、回避の制度があることを上記で説明したが、予断排除の原則の例外とされている制度もある。(1)上訴審の審理・・・上訴審は原判決の当否を審理する制度であるから予断排除の原則が適用されないとされている。(2)破棄差し戻し後の第1審・・・破棄差し戻しの第1審では控訴裁判所の判断に拘束されるため、訴訟記録を参照しないわけにはいかず、予断排除の原則が適用されない。(3)略式手続き・・・比較的軽微な事案に適用される制度であることから予断排除の原則が適用されない。偽名
『図解 科学捜査マニュアル』(同文書院/事件・犯罪研究会編)
によると、『犯罪捜査法』(桜桃社/牧内節男&山崎宗次/1962)の中で偽名には次のパターンがあると紹介している。
分類型 代表的な例 「自分の名前 → 偽名」 (1)同一音型 「高橋和夫 → 高橋一雄」「中村道男 → 中村三千夫」 (2)類似音型 「大西 → 大石」「健司 → 恵次」 (3)意味類似型 「森 → 三木」「林 → 二ツ木」 (4)省略型 「大河原 → 大原」「野木沢 → 野木」 (5)添加型 「山田 → 小山田」「谷川 → 長谷川」 (6)逆転型 「田宮 → 宮田」「岡村 → 村岡」 (7)混合型 自分の名前が「山田」として、知人や友人などの「川崎」を混合して「田崎」「山川」というように使う。 (8)そっくり型 知人や友人などの名前をそっくり借用する。 (9)平易・難易型
鈴木、佐藤、田中などのようにありふれた偽名を使うケースと蛭子沢、諏訪などのように難解な偽名を使うケース。 (1)〜(7)の偽名のパターンは見て分かる通り、推測されやすいと思われるので、ほとんど使われていないと思われるが、実際の事件ではどうなっているのかをこちらで分かっている範囲で調べてみると次のようになった。
1936年(昭和11年)5月の阿部定事件で、阿部定は5年の刑に服して「吉井昌子」という偽名で出所したが、この偽名は26歳のときに神戸のカフェーで働いていたときの源氏名の「吉井信子」から取ったようだ。「昌子」は不明だが。
1951年(昭和26年)2月22日の築地八宝亭一家惨殺事件が発生したが、犯人の山口常雄は共犯の西野つや子の名前を「太田成子(なりこ)」と偽っていた。「成子」は「しげこ」と読むのが普通で、そのことを新聞記者に指摘されて山口は狼狽した。
1966年(昭和41年)から翌年にかけて発生した混血少年連続殺人事件で、少年は15歳くらいの頃に児童自立支援施設で共同生活を送っていたが、理想の母親像を求めていたそこの寮母の苗字である「塚本」を名乗っていた。
1971年(昭和46年)、8人の女性を殺害した大久保清連続殺人事件で、大久保清は「渡辺哉一」という偽名を使い、のちに結婚することになる相手の女性には「佐藤清司」と名乗っていた。
1972年(昭和47年)の日本赤軍テルアビブ空港事件で、岡本公三は「ナンバダイスケ」という偽名のパスポートを犯行に使った。「難波大助」は実在の人物で1923年(大正12年)12月27日に当時、皇太子だった昭和天皇・裕仁を暗殺しようとした共産主義テロリストだった(虎ノ門事件)。詳しくはテルアビブ空港事件の項、参照。共犯の奥平剛士のパスポートにあった偽名の「スギザキ・ジロー」、安田安之のパスポートにあった偽名の「トリオ・ケン」はどこから拝借したのか不明。
『逃げる福田和子 極限生活15年の全真相』(リヨン社/大庭嘉文/1999)によると、1982年(昭和57年)の松山ホステス殺しの福田和子が15年間の逃亡生活で実際に使った偽名は20以上あるようで、「中田和子」「中田初美」「高井はつ美」「小野寺忍」「三島加奈子」「中村れい子」「藤原千里」・・・・・。
1983年(昭和58年)の練馬一家5人殺し事件の朝倉幸治郎は殺害後、その現場で様子を見にきた隣りの主婦に対し、とっさに、自ら「イチノセ」と名乗っている。
1999年(平成11年)10月26日の桶川女子大生ストーカー殺人事件で見張り役の伊藤嘉孝が被害者の自宅に事件を起こす前に「田中」という偽名で電話をかけている。
1999年(平成11年)12月21日の京都日野小児童殺害事件では犯人の岡村浩昌が犯行時に自分の自転車を使用したが、この自転車を購入したときに防犯登録の名義を「山室学」とした。
2001年(平成13年)、徳島市に住む松田 優(66歳)と長男・浩史(38歳)を相次いで殺害した疑いが持たれていて、警察が「おい、小池!」のポスターを作成して行方を追っていた小池俊一(52歳)が2012年(平成24年)10月19日、岡山市内で死亡した。小池容疑者は「小笠原 準一」という偽名で岡山市内に潜伏していた。同居していた女性は「仕事先で知り合い、およそ7年前から同居していた。偽名とはわかっていたが、小池容疑者とは知らなかった」と話している。
2009年(平成21年)9月25日に逮捕された首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗は本命≠ニされたSに対して「吉川桜(よしかわ・さくら)」と名乗っていた。
1974〜1975年(昭和49〜50年)に起きた連続企業爆破事件の一つに関与したとして、爆発物取締罰則違反容疑で指名手配されていた過激派「東アジア反日武装戦線」のメンバー桐島聡を名乗る男が、「内田洋」という名前を使い、数十年前から神奈川県藤沢市の工務店で、住み込みで働いていた。日本赤軍と東アジア反日武装戦線
逆送
家庭裁判所が死刑、懲役、または禁錮にあたる罪を犯した14〜19歳の少年について調べた結果、刑事処分に付すのが相当と判断した場合に、事件を検察官に送致すること。少年事件は普通、検察官から家庭裁判所に送致されるので「逆送」という。送致を受けた検察官は原則として少年を起訴しなければならない。少年法の手続きで、16歳以上が故意に被害者を死亡させた事件は原則逆送と定められているが、家庭裁判所が動機や性格、環境などを考慮し、逆送しないこともできる。却下 棄却
却下は、刑事訴訟法では訴訟手続きの進行に関する申し立てを排斥する裁判について用いられる。民事訴訟法では当事者その他の関係人の訴えやその他の申し立てに対して、不適法として排斥する裁判について用いられる。
棄却は、刑事訴訟法では公訴、控訴、上告および抗告を排斥するすべての場合に用いられる。民事訴訟法では訴えまたは上訴を理由がないとして排斥する場合に用いられる。
求刑
刑事裁判の手続きで検察官が事実や適用される法律についての意見を述べる論告に際し、検察官が考える被告人に対する刑罰が適用されるべく裁判所に請求すること。犯罪を構成した事実と刑法などに定められた刑罰の適用の仕方について検察官の意思を明らかにすること。求刑の7、8割掛けが実際に言い渡される量刑、というのが相場になっているが、ごくまれに求刑した刑罰よりも重い判決となる場合もある。教誨師
「きょうかいし」と読む。刑務所の受刑者の道徳心を養い、人として生きる道を説いたりする宗教家。一般的な道徳や倫理というより宗教的な側面の強い教誨がなされる場合は受刑者の信教の自由を保障することから参加は任意となる。教誨師は死刑執行の際にも立ち会う。恐喝罪
刑法249条 人を恐喝して財物を交付させた者は恐喝罪になり、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。刑法250条 罪の未遂は、罰する(未遂罪)。凶器準備結集罪 凶器準備集合罪凶器準備結集罪 凶器準備集合罪
2人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は凶器準備集合罪(刑法208条の3)になり、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金になる。
2項 前項の場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合させた者は、凶器準備結集罪(刑法208条の3の2項)となり、3年以下の懲役になる。
教唆犯
「きょうさはん」と読む。誰かを挑発したり、依頼したり、説得するなどの働きかけによって犯罪を行わせること。ただし、働きかけた相手が犯罪の実行行為を始めなければ教唆犯は処罰の対象にならない。行政解剖 司法解剖
脅迫罪 強要罪行政解剖は死体解剖保存法8条などに基づいて、犯罪とは無関係のようでも死因が普通でない場合、たとえば伝染病や中毒、災害、自殺などの変死体について行なわれる。
司法解剖は刑事訴訟法165条と168条に基づいて、犯罪の疑いのある死体(他殺体)について行なわれる。殺人事件のときだけでなく、交通事故、爆発事故、遺棄致死、原因不明など犯罪の被害者である可能性の高い場合にも、法医学の専門医によって行なわれる。
ちなみに警視庁管内における司法解剖は、都内23区については東大・慶応大・東京医科歯科大、都下については杏林大・慈恵医科大に委託されている。
司法解剖を行なうためには「鑑定処分許可状」という裁判所の令状が必要だが、行政解剖は令状なしで行なわれる。
解剖するにあたり遺族の了解は求めるが、たとえ遺族が拒否したとしても、警察が必要だと判断すれば止めることはできない。
脅迫罪 強要罪
生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を相手に伝えて脅迫すると脅迫罪(刑法222条)になり、2年以下の懲役または30万円以下の罰金。「金を返さないと生きていけなくなるかもしれない」などと言えば脅迫罪になる。同じ内容を書面で伝えても同罪になる。危害の内容で相手が恐怖を感じたかどうかは問題にならず、一般の人が聞いて恐ろしいと感じるかどうかが基準となる。そのため、腕まくりをして威嚇しただけでも脅迫罪になりうる。脅す相手がその親族であっても同罪(刑法222条2項)になる。
生命、身体、自由、名誉もしくは財産に対して害を加える旨を相手に伝えて脅迫し、または暴行を用いて、人に義務のないことを行なわせ、または権利の行使を妨害すると強要罪(刑法223条)になり、3年以下の懲役。強要する相手がその親族であっても同罪(刑法223条2項)になる。強要罪は未遂罪(223条3項)であっても罰せられる。
公務員に、ある処分をさせ、もしくはさせないため、またはその職を辞めさせるために、暴行または脅迫を加えると職務強要罪(刑法95条2項)になり、3年以下の懲役または禁錮。
自己若しくは他人の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をすると証人威迫罪(刑法105条の2)になり、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(裁判員法)107条 (裁判員等に対する威迫罪) 被告事件に関し、当該被告事件の審判に係る職務を行う裁判員若しくは補充裁判員若しくはこれらの職にあった者又はその親族に対し、面会、文書の送付、電話をかけることその他のいかなる方法をもってするかを問わず、威迫の行為をした者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
2項 被告事件に関し、当該被告事件の審判に係る職務を行う裁判員若しくは補充裁判員の選任のために選定された裁判員候補者若しくは当該裁判員若しくは補充裁判員の職務を行うべき選任予定裁判員又はその親族に対し、面会、文書の送付、電話をかけることその他のいかなる方法をもってするかを問わず、威迫の行為をした者も、前項と同様とする。
共犯
共犯
刑法60条(共同正犯) 2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
刑法61条(教唆) 人を教唆(きょうさ)して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
2項 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。
刑法62条(幇助) 正犯を幇助(ほうじょ)した者は、従犯とする。
2項 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。
刑法63条(従犯減軽) 従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。
刑法64条(教唆及び幇助の処罰の制限) 拘留又は科料のみに処すべき罪の教唆者及び従犯は、特別の規定がなければ、罰しない。
刑法65条(身分犯の共犯) 犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。
2項 身分によって特に刑の軽重があるときは、身分のない者には通常の刑を科する。
業務上過失致死傷罪
業務上過失致死傷罪
業務上必要な注意を怠り、人を死傷させると、業務上過失致死傷罪(刑法211条)になり、5年以下の懲役若しくは禁錮または100万円以下の罰金に処する。
「業務」とは「仕事」という意味ではなく、社会生活上継続反復してやる行為で、人を死傷させる危険性を含んでいるものを指すため、仕事上でなくても事故を起こすと、罪名は「業務上過失致傷罪」となる。
2 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。→「自動車運転死傷処罰法」に移行されて、「過失運転致死傷罪」に名称変更。
虚偽告訴
虚偽告訴
刑法172条 人に刑事または懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、3ヶ月以上10年以下の懲役に処する。
刑法173条 前条の罪を犯した者がその申告をした事件について、その裁判が確定する前または懲戒処分が行われる前に自白したときは、その刑を減軽し、または免除することができる。
緊急避難
緊急避難
刑法37条では「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。 2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。」と規定されている。
[ 成立要件 ]
○切迫していること・・・ 自分や他人の生命・身体・自由・財産に危険が切迫している事。台風・火災・自動車事故など危険が進行中か差し迫っている時に緊急避難が認められる。 たとえ、他人の財物を傷つけ、あるいは他人を突き飛ばして損害を与えたり死なせたりする結果になっても、切迫した状況の中での「助かりたい」との防衛本能が重視されるため、緊急避難は認めらる。
○他に方法がないこと・・・正当防衛と違って他に方法があるのに他人を死なして避難したら過剰避難になる(緊急避難の補充性)。たとえ、自分が危険であっても、他人も守れる他の方法があれば、その方法で避難しなくてはならない。
○被害程度の限度・・・避難することで他人に与えた被害が、防ごうとした害の限度を越えてはならない。火災から自分の持ち物を守ろうとして他人を突き飛ばして怪我をさせたら過剰避難となる。
虞犯
虞犯
「ぐはん」と読む。 本来は「罪を犯す虞(おそれ)のあること」をさすが、現実にはもっぱら少年非行に対して用いられる用語である。(1)保護者の正当な監督に服しない性癖があること。(2)正当な理由がなく家庭によりつかないこと。(3)犯罪性のある人。(4)自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあることなどの不良行状を虞犯事由といい、このいずれかの事由があり、さらに将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれのある(虞犯性)少年をいう。少年法がこれを審判対象にしたのは早期発見、早期治療の予防教育主義を原則としたからである(少年法3条)。
グルーミング
グルーミング
Grooming 毛繕い。動物が体の衛生や機能維持などを目的として行う行動。性犯罪においては、子どもへの性的虐待を行おうとする者がその対象に近づき、親しくなって信頼を得る行為をさす。チャイルドグルーミングとも呼ばれる。グルーミングは、加害者が被害者に性的虐待に同意するよう強要し、逮捕される危険を減らすために用いられる。幼い子どもに対して最も多く用いられるが、10代の若者や、大人も同様な危険に晒されることがある。家族や親しい友人、コミュニティのリーダーなど、被害者と自然に接することのできる関係のある人物がグルーミングの加害者となり得る。関連書籍・・・ 『「だれにも言っちゃだめだよ」に従ってしまう子どもたち たくみに手なずける「ずるい言葉」』(WAVE出版/櫻井鼓/2024)
黒い羊の仮説
黒い羊の仮説
アメリカの女流精神医学書ジョンソンとスズレクが提唱した概念。
人は誰しも明るく清く美しく、社会に容認されるような一面としての「仮面」(ペルソナ)と暗く、情動的、衝動的、攻撃的な「影」(シャドウ)の部分をもっており、普通の人はこの両面をある程度、妥協させて生きている。
例えば、宗教家、教育者、管理職など、社会のリーダーと言えるような人々のなかにはシャドウを完全に抑圧して生きている場合がある。こういう両親が子どもを育てるとき、意識的には社会的に好ましい行動をとるように教育しているが、無意識的には自分が生きることができなかったシャドウの部分を子どもに投影し、子どもたちが衝動的、攻撃的、反社会的な行動をとることを期待してしまうことになる。
たまたま、子どもが2人いるような場合に長男には自分たちのペルソナを投影してアベルのような「良い子」に育て、次男には自分たちのシャドウを投影してカインのような「困った子」に育ててしまう。この場合の長男が「白い羊」であり、次男が「黒い羊」となる。
「黒い羊」となった子どもが実際にいたずら、非行、犯罪などの好ましくない行動をとった場合、親は表面的・意識的には常識的な道徳や社会的規範を掲げて叱るが、その一方で「度を過ぎた理解」を示してみたり、「たいしたことではない」などと容認したりする。なぜなら、子どもの非行は親たちが生きられなかったシャドウの部分を発現したことになり、親たちに「代理満足」を与えるから無意識的には子どもたちに共鳴してしまう。また、親がエリートでない場合でも子どもの非行のなかに親が自分のシャドウの「代理満足」を見ることはある。
クローン技術規制法
クローン技術規制法
Clone 元来はギリシア語で「小枝」という意味。 ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律 略して、クローン技術規制法。
クローン技術規制法3条(禁止行為) 何人も、人クローン胚、ヒト動物交雑胚、ヒト性融合胚又はヒト性集合胚を人又は動物の胎内に移植してはならない。
クローン技術規制法16条(罰則) 3条の規定に違反した者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
両罰規定として法人に1000万円以下の罰金。
警察官の階級
警察官の階級
階級のトップから、警察庁長官(1名)、警視総監(1名)、警視監(47名)、警視長(ノンキャリでもここまで昇ることができる)、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長、(巡査長)、巡査となっている。
「警視総監」とは警視庁のトップのことで、道府県警のトップは「警察本部長」だが、階級では「警視監」や「警視長」になる。「巡査長」は正式な階級ではないが、そう呼ばれている警察官は存在するという意味で( )で括った。ちなみに、警察法62条には「警察官の階級」が定められているが、「警察庁長官」と「巡査長」は記されていない。
「巡査」から「警視」までは地方公務員、「警視正」以上は国家公務員。
「警視正」は警察内では「ケイシマサ」と呼ぶ。
殉職すると、階級が2階級特進になり、巡査の場合、警部補になる。これによって退職金や遺族年金の額が変わるシステムになっている。
警察庁
警察庁
国の警察行政機関として、内閣総理大臣の所轄の下に国家公安委員会(委員長は国務大臣、委員は5人)が置かれ、さらに、国家公安委員会の管理の下に警察庁が設けられている。
一般にはアメリカのFBI(連邦捜査局)のような存在というイメージが強いが、法律上は各都道府県警との連絡調整機関にすぎない。FBIのように実力部隊をもつ警察組織ではない。だが、日本でもFBIのような組織が求められており、各都道府県警から優秀なメンバーを出向という形で警察庁に集めて、実質的な日本版FBIを準備している。
警察法
警察法
旧警察法は、警察の民主化を図るものとして画期的な意義を有するものであったが、市町村自治体警察制度による警察単位の地域的細分化によって、広域的な犯罪等に効率的に対処できなかったことや国家地方警察と自治体警察が独立対等の関係にあるため、国の治安に対する責任が不明確であったことなどの制度的欠陥があった。そこで、1954年(昭和29年)、旧警察法の優れた点を受け継ぎつつ、その制度上の欠陥を是正するため、旧警察法が現行警察法に全面改正された。
現行の警察法では、能率的な運営や国の治安責任の明確化を図るため、国家地方警察と市町村自治体警察の2本立てを廃止し、執行事務を行なう警察組織を都道府県警察に一本化した。
形式裁判
形式裁判
裁判はさまざまな観点から分類されるが、特に重要なのは形式裁判と実体裁判の分類であり、分かりやすくいうと、形式裁判は事件の内容に入らず門前払いとする裁判で、実体裁判とは事件の内容に入って裁判することをいう。
形式裁判には(1)管轄違い、(2)公訴棄却、(3)免訴の3つがある。
(1)管轄違い・・・被告事件が裁判所の管轄に属しないときに原則としてなされる裁判。
(2)公訴棄却・・・刑事訴訟法338条・339条に規定されているが、最も重要なのは、「公訴提起の手続きがその規定に違反したため無効であるとき」(刑事訴訟法338条4号)である。
(3)免訴・・・刑事訴訟法337条に規定されており、下の場合、免訴を言い渡すことになっている。
1号 確定判決を経たとき。
2号 犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。
3号 大赦があつたとき。
4号 時効が完成したとき。
実体裁判とは、申し立ての理由の有無についての裁判をいい、有罪・無罪の判決をいう。
刑事裁判 民事裁判
刑事裁判 民事裁判
刑事裁判はある行為が殺人、強盗、傷害といった犯罪となるかどうか、犯罪だとすればどのような刑罰をを科すかを審理するもの。すべての刑事裁判は、検察官の起訴に基づいて行なわれ、[ 検察官 VS 被告人・弁護人 ]という図式になる。
刑事事件では、被害者が加害者を起訴することができず、起訴ができるのは検察官だけだが、被害者が加害者に対して何もできないわけではなく、捜査機関に対して告訴することによって「この犯人を処罰してもらいたい」という意思表示することはできる。起訴するかどうかは検察官が決めるが、捜査の結果次第では不起訴になることもある。
「検察官にとって裁判に負けることは屈辱」という意識があるため、少しでも裁判に負ける可能性がある事件については不起訴にしてしまうことが多い。そのため、刑事裁判での有罪率は実に99%を超える。つまり、事実上、有罪無罪を争うというより、情状酌量をつけるかつけないかを決める場になっている。(もちろん、極めて少ないが、無罪を主張して争うケースもある)
民事裁判は、損害賠償請求、家屋からの立ち退き請求、借金の返済をめぐるトラブルなど、私人間の紛争を解決するためのもので、原告の提起した訴えに基づいて行なわれ、[ 原告 VS 被告 ]という図式になる。国や都道府県といった行政機関が原告や被告になることがあるのも民事裁判の特徴。
刑事裁判の場合、懲役3年以上の犯罪なら、「必要的弁護事件」といって弁護士なしでは審理できないが、民事裁判の場合、「本人訴訟」といって、原告や被告が自ら法廷に出て裁判活動を行なうことができ、弁護士を雇わずに裁判ができる。
刑事裁判では原則として必ず被告が出廷しなければならないが、民事裁判の場合、被告が出廷しなくても公判は行なわれる。その場合、原告の主張が全面的に通ってしまう。争う姿勢を見せないと、相手の言い分をすべて認めたことになるのだ。
訴えられた側を刑事事件では「被告人」と呼ぶが、民事事件では「被告」と呼ぶ(マスコミではともに区別なく「○○被告」と呼ぶことが多い/○○は名前)。また、刑事事件では弁護する人を「弁護人」と呼ぶが、民事事件では「代理人」といい、「原告代理人」「被告代理人」などと呼ぶ。
刑事裁判の流れ
[ 冒頭手続 ]
裁判官が現れ「起立!」「礼!」が済むと、裁判官の開廷宣言に続いて、人定質問が始まる。本籍、住所、氏名、生年月日、職業を被告人にたずね、起訴された本人に間違いないかを確認する。
次に検察官による起訴状朗読がある。起訴状にある公訴(犯罪)事実(犯罪が行なわれた日時、場所、行為の様態、被害者名、被害品などが記載されている)と罰条(罪名と適用法令、条項が記載されている)を読み上げる。口頭による起訴は許されず、この起訴状という書面によらなければならない。起訴状に書かれるのは、被告人にかけられた容疑事実だけ。裁判官に予断を持たせるような書類や物品を添付したり、書類の内容を引用したりすることはできない。これを「起訴状一本主義」という。
起訴状の内容に不明な点があるときは、弁護人から検察官に対して裁判官を通して釈明要求がされることがある。起訴内容に不明な部分があったのではその罪状をどこまで認め、どこまで否定すべきか分からないからだ。
次に裁判官は被告人に対して、「被告人がこの法廷で述べたことはすべて証拠となります。被告人は答えたくないときは答えなくてかまいませんので、よく考えて述べるように」といった黙秘権の告知がなされる。
次に罪状認否に移る。裁判官が起訴状記載の公訴事実に間違いがないかどうかをたずねる。そのほとんどは「認めます」「間違いありません」と答えることになる。裁判官は弁護人にも意見を求めるが、たいていは「被告人の述べた通りです」という答えが返ってくる。
[ 証拠調手続 ]
次に検察官の冒頭陳述に入る。検察官が立証する予定の事実を読み上げる。被告人の生い立ちや事件の背景、犯行の動機などが、かなり詳しく説明される。
次に検察官側の証拠調べ請求があり、これに対して弁護人が同意するかどうかがたずねられる。証拠ひとつひとつについて弁護人が同意するか不同意かを答えていく。たとえば、誰かが証拠書類(書証)に同意すれば、供述者を法廷に呼ばなくても検察官の請求した書証をそのまま証拠として採用していいということになる。証拠調べが始まると、書証はその要旨が読み上げられ、証拠物は被告人にも確認させ、裁判官に見せることになる。こうして認められた証拠を材料に犯罪事実に関する立証をしていく。
書証のうち、検察官が提出する代表的なものとしては、被告人や被害者、目撃者等の供述調書があり、そのほかに、捜査報告書、被害届、実況検分調書、鑑定書、写真撮影報告書などがよく登場する。一方、弁護人は検察官と同様の書証を提出するほかに、被害者と取り交わした示談書、嘆願書(上申書)などを出すことがある。
ちなみに、証拠には取調べの際の供述調書の朗読、凶器などの証拠物の展示、目撃したなどの情報をもった証人の尋問の3つがある。
次に被告人側の出番となる。犯罪事実について争うのであれば、検察官と同様に、弁護人が冒頭陳述を行い、用意した証拠を提示する。争わないのであれば、情状の酌量にポイントが置かれ、情状証人といって家族や職場の上司などが呼ばれ「普段はいい人なんです」というようなことを語ってもらう。弁護人の主尋問のあと、検察官が反対尋問を行なう。
次に検察官側、弁護側双方から被告人質問が行なわれ、それぞれの立証が終わって証拠調べ手続きが終結する。
[ 弁論手続 ]
次に検察官の論告・求刑を行なう。ここで改めて被告人の犯した罪を明確化する。続いて、弁護人の最終弁論を行なう。無罪の主張または情状酌量の趣旨を述べる。
そして最後に裁判長が「これで審理を終えることになるが、被告人はなにか言いたいことはあるか」などと被告人の最終陳述を促す。被告人は「二度と繰り返しません」などと陳述したところで、裁判長は弁論の終結を宣言し、後日、判決の宣告がされる。
刑事事件の90%以上は被告人が最初から罪を認めるため、判決まで何年もかかるようなことはなく、ほとんどの裁判は2〜4回で終了する。
刑事事件の裁判記録の閲覧
刑事事件の裁判記録の閲覧
刑事事件の裁判記録の閲覧は事件が確定するまではできない。たとえば地方裁判所で判決が下っても、控訴したら高等裁判所、上告したら最高裁で判決が下るまで、事件が確定したとは見なされない。地裁で判決が下っても控訴猶予期間の2週間が過ぎるのを待ち、事件を担当した裁判所の部係に控訴の有無を確認しなければならない。仮に控訴しないで刑が確定したとしても、さらに、記録を作成するのに時間がかかるので1〜2ヶ月待たされることも。また、記録の閲覧を請求するのは、刑事事件の場合は裁判所ではなく、担当検察官、つまり検察庁になる。東京地裁の事件は東京地検ということになる。プライバシー保護の観点から閲覧する人の目的などがチェックされる。
詳しくは刑事確定訴訟記録法
ただし、犯罪の被害者やその遺族は犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(犯罪被害者保護法)により、判決が確定する前であっても裁判記録の閲覧やコピーをとることができる。ちなみに、この犯罪被害者保護法により、その刑事事件の裁判での傍聴席は報道陣向けの他、犯罪被害者やその遺族に優先的に確保される。
刑事責任能力
刑事責任能力
現代の刑法では、責任能力の有無が問題にされているが、刑法39条では、心神喪失者は責任能力がないとされている。「心神喪失」とは「ものごとの是非善悪を理解する能力がなく、またはこの理解に従って行動する能力を欠く状態」を指すとされ、処罰されない。また、刑法39条2項では、「理解し、理解に従って行動する能力の著しく低い」者は、「心神耗弱」として、刑を軽くすることになっている。但し、心神喪失も心神耗弱も医学的判断とは別で、法律上の考え方であり、精神鑑定では責任能力なしと出ても、裁判官が独自に能力を認める場合もある。
起訴されたあとで、何らかの理由で記憶喪失などの精神障害を起こした場合は、自分が誰だか分からない状態になっているわけだから、人定質問さえ満足にできなくなるため、症状が回復するまで公判手続きが停止される。
警視庁
警視庁
大阪府の警察組織は「大阪府警」と呼ばれるが、これは「大阪府警察本部」の略である。同じく、神奈川県なら「神奈川県警」と呼ばれるが、東京都の場合、「東京都警」と呼ばずに「警視庁」と呼ぶ。
この「警視庁」という名前は明治時代からの伝統で、警察法47条でも「都警察の本部として警視庁を、道府県警の本部として道府県警察本部を置く」と定められている。この条項がなかった頃は「大阪警視庁」と呼んだ時期もあった。
法律上は警視庁と道府県警察本部との間に権限の違いがあるわけではないが、現実には警視庁が圧倒的な力をもち、警察界をリードしている。
警視庁は、東京都公安委員会の管理も下に置かれ本部組織として総務部をはじめとする8部と警察学校が設けられている。2001年(平成13年4月1日現在)で、警察官4万1721人(うち女性警察官1800人)、事務・技術職員2871人、警察署が101署、交番954ヶ所、駐在所241ヶ所、パトカー1008台、白バイ951台、水上警備艇28隻、ヘリコプター14機、警察犬33頭、馬16頭(世田谷の馬事公苑にいて、警視庁交通機動隊騎馬隊に所属している。主な活動は交通安全教育。外国大使の信任状奉呈の際の馬事警護という仕事もある)。
刑事の隠語
刑事の隠語
「デカ」・・・刑事の別称。明治7年ころ、日本の警察はフランスをモデルに創設されたため、警察官の制服はファッショナブルで目立ちすぎた。そこで、隠密で犯罪の捜査をするときは私服にしたが、明治の初めのころだったため、和服姿だった。でも動きやすい格好でなければならないために、下は股引に地下足袋、上は角袖(かくそで)という柔道着の上着に近い着物を着る捜査員が多かった。この「カクソデ」の語尾の「デ」と語頭の「カ」をつなぎ合わせて「デカ」と呼ぶようになった。
「いあき(居空き)」・・・空き巣とは逆に、在宅中に侵入する窃盗犯の手口。
「叩き」・・・強盗。
「赤」・・・放火。「ながし(流し)」・・・通りがかりの犯行。
「さんずい」・・・汚職。
「ごんべん」・・・詐欺。
「にんべん」・・・偽造。「ぶ」・・・警部。
「ほ」・・・警部補
「まさ」・・・警視正。
「なが」・・・警視長(ノンキャリの最高ポスト)。
などなど
刑事補償
刑事補償
身柄を拘束され刑事裁判で無罪となった場合に支給される補償金。この補償は憲法40条に基づき、刑事補償法によって定められている。
憲法40条・・・何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたきは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
補償を受ける者は、(1)無罪の判決を受けた者が未決の抑留・拘禁を受けたとき、または刑の執行もしくは死刑のための拘置を受けたとき、(2)免訴または公訴棄却の裁判を受けたが、もし免訴または公訴棄却の裁判をする事由がなかったならば、無罪の裁判を受けるべきものと認められる充分な事由がある者が、未決の抑留・拘禁を受けたとき、または刑の執行もしくは死刑のための拘置を受けたとき、である。
刑事補償法4条 補償の請求は無罪・免訴などの裁判が確定した日から3年以内に、その裁判をした裁判所にする。抑留または拘禁による補償については1日1000円以上1万2500円以下で、死刑の執行による補償については3000万円以内で、裁判所がいっさいの事情を考慮して定める。
再審によって無罪になった人たちの補償額を見てみると・・・
免田栄(免田事件/死刑確定後に無罪)・・・9071万2800円 拘束〜釈放の12602日=34年6ヶ月+3日 (初日含む) 当時の補償限度額は1日7200円
谷口繁義(財田川事件/死刑確定後に無罪)・・・7496万6400円 拘束〜釈放の12400日=33年11ヶ月+12日 (初日含む) 当時の補償限度額は1日7200円
斎藤幸夫(松山事件/死刑確定後に無罪)・・・7516万8000円 拘束〜釈放の10450日=28年7ヶ月+10日 (初日含む) 当時の補償限度額は1日7200円
袴田巌(袴田事件/死刑確定後に無罪)・・・2億1700円 拘束〜釈放までの17389日=47年+7ヶ月+10日(初日含む) 補償限度額は1日1万2500円
富士茂子(徳島ラジオ商殺し事件/懲役13年が確定した後に無罪)・・・3234万9600万円 当時の補償限度額は1日7200円
菅家利和(足利事件/無期懲役が確定した後に無罪)・・・7993万7500円 拘束〜釈放の6396日 (初日含む) 補償限度額は1日1万2500円
西山美香(湖南病院患者死亡事件/懲役12年が確定後に無罪)・・・5997万5000円 拘束〜満期出所で釈放の4798日 (初日含む) 当時の補償限度額は1日1万2500円
免田事件、財田川事件、松山事件 → 死刑確定後再審無罪事件 / 北海道男児行方不明事件
刑の執行
刑の執行
実刑判決が確定すると、ただちに刑が執行される。その指揮をするのは判決を下した裁判官ではなく、その判決を出した裁判所に対応する検察庁の検察官。1審の地裁の判決で確定したら地検、高裁の判決なら高検、最高裁の判決なら最高検に属する検察官が指揮する。
懲役刑や禁錮刑の場合は、犯人を刑務所に収容することになる。死刑囚は死刑そのものが刑罰なので、拘置所に収容することになるが、死刑の執行に関しては、慎重を期するために法務大臣の命令が必要。命令を受けた上で、検察官などが立ち合い、絞首刑が行なわれる。死刑執行の命令は判決の確定から6ヶ月以内に行なわなければならないことになっているが、遅れているのが現状。その理由のひとつとして、再審の請求をする者が多いことである。再審の訴えを審理している間も、死刑を執行してもいいのだが、通常は執行されない。また、そのときの法務大臣が死刑に対して消極的な考え方をもっている場合にも執行が遅れることがある。そのため、現実には死刑確定から執行まで、少なくても4〜5年かかっているのが現状である。
死刑に立ち会うのは、その判決が確定した裁判所に対応する検察庁の検察官になる。たとえば、地裁の1審判決が死刑、2審が控訴棄却、最高裁が上告棄却となった場合、地裁の判決が確定したことになるので、地検の検察官が立ち会うことになる。ただし、東京の場合は昔からの慣行で、東京地裁の死刑判決が確定したとき、東京地検ではなく、東京高検の検察官が立ち会うことになっているらしい。
刑の変更
刑の変更
刑法6条 犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる。
刑法の時間的適用範囲について定める。刑法不遡及の原則に対する重大な例外で、犯罪時の法の刑より裁判時の法の刑のほうが軽いときはその適用を受ける者の利益を図って例外的に裁判時の法を適用しようとする。
正犯の処罰後の法改正により、刑罰が軽くなった後に、教唆犯人が捕まったときは、この教唆犯人には正犯の場合とは異なって新法が適用される。
刑罰の種類
刑罰の種類
刑罰には2つの効果が期待されている。ひとつは罪を犯した本人に対する教育効果(死刑囚にはないが)。もうひとつは、社会全体に対する警告である。
[ 1 ] 生命を奪う刑罰を生命刑といい、死刑がある。
死刑・・・監獄内において絞首して執行すると定められている(刑法11条)。死刑の言渡しを受けた者は、その執行に至るまで監獄に拘置される(刑法11条2項)。
また、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律178条では「死刑は、刑事施設内の刑場において執行する」、2項では「日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日、1月2日、1月3日及び12月29日から12月31日までの日には、死刑を執行しない」と規定されている。
死刑の執行は法務大臣の命令による(刑事訴訟法475条)。また、法務大臣の命令は判決確定の日から6ヶ月以内にしなければならない。ただし、上訴回復もしくは再審の請求、非常上告または恩赦の出願や申し出がされ、その手続きが終了するまでの期間および共同被告人であった者に対する判決が確定するまでに期間は、これをその期間に算入しない(刑事訴訟法475条2項)。
再審の請求は、刑の執行を停止する効力を有しない。ただし、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官は、再審の請求についての裁判があるまで刑の執行を停止することができる(刑事訴訟法442条)。
法務大臣が死刑の執行を命じたときは、5日以内にその執行をしなければならない(刑事訴訟法476条)。
死刑の言い渡しを受けた者が心神喪失の状態にあるときは、法務大臣の命令によって執行を停止する(刑事訴訟法479条)。死刑の言い渡しを受けた女性が懐胎しているときは、法務大臣の命令によって執行を停止する(刑事訴訟法479条2項)。刑事訴訟法479条と刑事訴訟法479条2項の規定により死刑の執行を停止した場合には、心神喪失の状態が回復したあと、または出産後に法務大臣の命令がなければ、執行することはできない(刑事訴訟法479条3項)などと定められている。
だが、実際には、刑事訴訟法475条2項の規定にある再審請求などの申し出がない死刑囚や刑事訴訟法479条などで規定されている心神喪失などの状態にない死刑囚であっても、刑事訴訟法475条の規定通りに、判決確定から6ヶ月以内に法務大臣の命令が下されることはなく、1998〜2001年の例で言うと、死刑確定してから5〜8年ほど経過したのちに死刑が執行されているのが実状。
[ 2 ] 身体的自由を奪う刑罰を自由刑といい、懲役、禁錮、拘留がある。
懲役・・・監獄に拘置して労働(刑務作業)を強制する(刑法12条2項)。
禁錮・・・監獄に拘置する(刑法13条2項)。労働(刑務作業)を強制しない。政治犯や過失犯罪といった「非破廉恥犯」に科せられる。ほとんどの禁錮囚が「請願労働」を行なうため、懲役刑との差は実質的にはない。
拘禁刑・・・懲役刑と禁錮刑を統合する形で創設された新しい刑罰。刑法が明治40年に制定されて以来、新しいタイプの刑罰が創設されるのは拘禁刑が初めて。拘禁刑を定めた「刑法等の一部を改正する法律案」は、2022年6月13日に国会で可決・成立し、同年6月17日に公布された。実際に拘禁刑が導入されるのは改正刑法の施行後になる。施行日については「公布の日(2022年6月17日)から3年を超えない範囲内において政令で定める日」とされている。そのため、2025年6月17日までに拘禁刑が導入されることになる。導入された時点で懲役や禁錮を受刑中の方は、そのまま懲役や禁錮の執行を受けることになる。
禁錮刑が定められている犯罪は、内乱罪などの政治犯と過失運転致傷などの過失犯で、禁錮刑の実刑判決を受ける人はほとんどいない。2022年に懲役の実刑判決が確定した人が1万4000人余りであるのに対し、禁錮刑はわずか50人だった。(2022年版検察統計年報)。このように禁錮刑の受刑者は非常に少なく、処遇の面でも、ほとんどの受刑者が自ら刑務作業を志願して懲役の受刑者と一緒に働いている。刑務作業をした方が単調な生活にめりはりがつき、少ないとはいえ報奨金をもらえるからだ。そのため、懲役刑と禁錮刑を分ける意味がないと言える。近年、罪を犯す人の数は徐々に減ってきているが、再犯者の比率は上昇傾向にあり、2021年は48.6%で、約2人に1人が再犯に及んでいることになる。このような傾向に歯止めをかけるため、刑罰の目的として罪を犯した人を更生させるという面が重視されるようになり、改善更生を主眼とした拘禁刑が導入された。
拘留・・・1日以上30日未満とし、拘留場に拘置する(刑法16条)。刑務作業は科せられない。
懲役には無期と有期があるが、刑法12条により、有期は1ヶ月以上20年以下と定められている。ほかの罪と併科され加重されたとしても、刑法14条により最長30年と定められている。
禁錮にも無期と有期があるが、刑法13条により、有期は1ヶ月以上20年以下と定められている。ほかの罪と併科され加重されたとしても、刑法14条により最長30年と定められている。
[ 3 ] 財産を奪う刑罰を財産刑といい、罰金、科料、没収がある。
罰金・・・1万円以上の財産を奪う。ただし、減刑する場合は1万円以下になることがある(刑法15条)。
科料・・・1000円以上1万円未満の財産を奪う(刑法17条)。刑事罰ではなく、行政罰などで「過料」というものがあり、両者を区別するため、科料を「とがりょう」、過料を「あやまちりょう」と言うこともある。
労役場留置(刑法18条)・・・罰金を完納することができない者は、1日以上2年以下の期間、労役場に留置する。
2 科料を完納することができない者は、1日以上30日以下の期間、労役場に留置する。
3 罰金を併科した場合又は罰金と科料とを併科した場合における留置の期間は、3年を超えることができない。科料を併科した場合における留置の期間は、60日を超えることができない。
4 罰金又は科料の言渡しをするときは、その言渡しとともに、罰金又は科料を完納することができない場合における留置の期間を定めて言い渡さなければならない。
5 罰金については裁判が確定した後30日以内、科料については裁判が確定した後10日以内は、本人の承諾がなければ留置の執行をすることができない。
6 罰金又は科料の一部を納付した者についての留置の日数は、その残額を留置1日の割合に相当する金額で除して得た日数(その日数に1日未満の端数を生じるときは、これを1日とする。)とする。没収・・・犯罪に使った凶器や文書、犯罪から生じた物、報酬などを奪う(刑法19条)。
なお、死刑、懲役、禁錮、拘留、罰金、科料が単独で科しうる「主刑」であるのに対し、没収は主刑に付随してのみ科しうる「付加刑」である(刑法9条)。
軽犯罪法
軽犯罪法
軽犯罪法1条 左(下)の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
1号 人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいた者
2号 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
3号 正当な理由がなくて合かぎ、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
4号 生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの
5号 公共の会堂、劇場、飲食店、ダンスホールその他公共の娯楽場において、入場者に対して、又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者
6号 正当な理由がなくて他人の標燈又は街路その他公衆の通行し、若しくは集合する場所に設けられた燈火を消した者
7号 みだりに船又はいかだを水路に放置し、その他水路の交通を妨げるような行為をした者
8号 風水害、地震、火事、交通事故、犯罪の発生その他の変事に際し、正当な理由がなく、現場に出入するについて公務員若しくはこれを援助する者の指示に従うことを拒み、又は公務員から援助を求められたのにかかわらずこれに応じなかつた者
9号 相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者
10号 相当の注意をしないで、銃砲又は火薬類、ボイラーその他の爆発する物を使用し、又はもてあそんだ者
11号 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者
12号 人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠つてこれを逃がした者
13号 公共の場所において多数の人に対して著しく粗野若しくは乱暴な言動で迷惑をかけ、又は威勢を示して汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公共の乗物、演劇その他の催し若しくは割当物資の配給を待ち、若しくはこれらの乗物若しくは催しの切符を買い、若しくは割当物資の配給に関する証票を得るため待つている公衆の列に割り込み、若しくはその列を乱した者
14号 公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者
15条 官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者
16号 虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者
17号 質入又は古物の売買若しくは交換に関する帳簿に、法令により記載すべき氏名、住居、職業その他の事項につき虚偽の申立をして不実の記載をさせた者
18号 自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体若しくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかつた者
19号 正当な理由がなくて変死体又は死胎の現場を変えた者
20号 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者
21号 削除 [動物を虐待する行為で動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)44条により、更に厳罰(愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。)が科せられるようになったため、削除された。]
22号 こじきをし、又はこじきをさせた者
23号 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
24号 公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した者
25号 川、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした者
26号 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者
27号 公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者
28号 他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がって立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者
29号 他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かがその共謀に係る行為の予備行為をした場合における共謀者
30号 人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者
31号 他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者
32号 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者
33号 みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者
34号 公衆に対して物を販売し、若しくは頒布し、又は役務を提供するにあたり、人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした者
2条 前条の罪を犯した者に対しては、情状に因り、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。
3条 1条の罪を教唆し、又は幇助した者は、正犯に準ずる。
4条 この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない。
刑務所
刑務所
刑務所は懲役刑または禁錮刑が確定した者が入る場所。受刑者分類規定の10条によると、次のようになっている。
[ 1 ] 性、国籍、刑名、年齢及び刑期などによる収容分類級
無印 26歳以上の日本人男子、または日本人と同じ処遇をする外国男子
W級 女子
F級 日本人と異なる処遇を必要とする外国人
I級 禁錮に処せられた者
J級 少年
L級 執行刑期8年以上の者
Y級 26歳未満の成人
M級 精神障害者
P級 身体上の疾患または障害のある者[ 2 ] 犯罪傾向の進度による収容分類級
A級 犯罪傾向の進んでいない(初犯)者
B級 犯罪傾向の進んでいる(再犯[累犯])者ただし、暴力団員は初めからB級となる。
A級初犯刑務所には、市原刑務所、山形刑務所、黒羽刑務所(栃木県大田原市)、静岡刑務所、滋賀刑務所、三重刑務所、加古川刑務所、福井刑務所、松山刑務所、広島刑務所(尾道刑務支所も含む)、山口刑務所、大分刑務所、沖縄刑務所がある。
L・A級の刑務所には、千葉刑務所と岡山刑務所がある。
千葉刑務所に収監された主な懲役囚に、狭山事件の石川一雄(無期懲役/1994年12月21日、仮出所)、新宿バス放火事件の丸山博文(無期懲役/1997年10月7日、所内で自殺)、連合赤軍あさま山荘事件の吉野雅邦(無期懲役/現在、服役中)、1982年のスパイ粛清事件の見沢知廉(本名・高橋哲央[てつお]/懲役12年/1994年12月8日、満期出所/2005年9月7日、自宅マンション8階から飛び降り死亡。遺書はなかったが、自殺と見られている。46歳だった)などがいる。
W級の女子刑務所には、A級もB級もない。札幌刑務所の女区(札幌市)、福島刑務支所(福島市)、栃木刑務所(栃木市)、笠松刑務所(岐阜県羽島郡笠松町)、和歌山刑務所(和歌山市)、岩国刑務所(山口県岩国市)、麓(ふもと)刑務所(佐賀県鳥栖市)、沖縄刑務所(沖縄県南城市)の女区がある。
ちなみに東京で事件を起こした阿部定事件の阿部定(懲役6年/1941年5月17日、5年で出所)は栃木刑務所で服役している。
行刑施設の数は2008年(平成20年)5月9日現在、本所(刑務所62ヶ所、少年刑務所7ヶ所、拘置所7ヶ所 [東京、名古屋、広島、福岡に各1ヶ所、大阪3ヶ所] )、支所(刑務支所8ヶ所、拘置支所104ヶ所)となっている。さらに、62ヶ所の刑務所のうち、4ヶ所は新たにつくられた社会復帰促進センター(PFI方式)になっている。
なお、死刑囚は、死刑そのものが刑罰なので刑務所ではなく、拘置所に収監され、死刑の執行を待つことになる。死刑執行場のある拘置所は、札幌拘置所(正確には、札幌刑務所札幌拘置支所)、仙台拘置所(正確には、宮城刑務所仙台拘置支所)、東京拘置所、名古屋拘置所、大阪拘置所、広島拘置所、福岡拘置所の7ヶ所で、高松を除く高等裁判所の所在地にある。高松管区(四国4県)には死刑処刑場がないため、ここの管区の死刑囚は大阪拘置所に収監される。
高等裁判所所在地以外の地方裁判所、簡易裁判所で1審の判決を受けた被告人が控訴になった場合、高等裁判所所在地の拘置所に移送される。さらに、東京以外の高等裁判所(および高等裁判所支部)で判決を受けた被告人で上告になった場合、東京拘置所には移送されずに高等裁判所所在地の拘置所で刑が確定する。
拘置所は未決囚(起訴された被告人)や死刑確定囚、刑務所は受刑者を収容する刑事施設と記したが、実際には拘置所にも受刑者を収容したり、地方の刑務所の多くには受刑者のほか、施設内を塀などで区切って未決囚などを収容している。その区画を「拘置場(こうちじょう)」とか「拘置区」と呼んでいる。
「刑務所」を略して「ムショ」と言ったりするが、囚人の食べる主食の飯が「麦6:米4」の割合であったことから「ムショ」と言われ、これが「刑務所」という言葉がある前から使われていたことからも「ムショ」が「刑務所」を略した言葉ではないとか。本当かどうかは分からないが・・・。
劇場犯罪
劇場犯罪
1984年(昭和59年)3月18日、江崎勝久・グリコ社長誘拐〜1985年(昭和60年)8月12日、終結宣言を出すまでの一連の企業脅迫事件いわゆる「グリコ・森永事件」が起きた頃にマスコミで作られた言葉。「グリコ・森永事件」では犯人の素顔や声は分からなかったが、度重なる脅迫状や犯行、キツネ目の男の似顔絵、子どもの声の録音テープなどが公開された。
テレビカメラによって生中継され、犯人の要求や主張が全国にリアルタイムで報道された主な事件に次のようなものがある。犯罪がドラマ、犯人が俳優、大衆が観客という役割が成立し、その全体が「劇場」という構造になる。
1960年(昭和35年)10月12日 浅沼社会党委員長暗殺事件
1965年(昭和40年)7月29日 少年ライフル魔事件
1968年(昭和43年)2月20〜24日 金嬉老事件
1970年(昭和45年)3月31日〜4月3日 「よど号」ハイジャック事件
1970年(昭和45年)5月13日 瀬戸内シージャック事件
1972年(昭和47年)2月19〜28日 連合赤軍あさま山荘事件
1977年(昭和52年)10月15〜16日 長崎バスジャック事件
( → 瀬戸内シージャック事件の項、参照)
1979年(昭和54年)1月26〜28日 三菱銀行猟銃強盗殺人事件
1981年(昭和56年)6月17日 深川通り魔殺人事件
1985年(昭和60年)6月18日 豊田商事永野会長刺殺事件
2000年(平成12年)5月3〜4日 西鉄バスジャック事件
激発物破裂罪
激発物破裂罪
刑法117条 火薬、ボイラーその他の激発すべき物を破裂させて、108条に規定する物又は他人の所有に係る109条に規定する物を損壊した者は、放火の例による。109条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は110条に規定する物を損壊し、よって公共の危険を生じさせた者も、同様とする。
2項 前項の行為が過失によるときは、失火の例による。
108条(現住建造物等放火) 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
109条(非現住建造物等放火) 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の物が自己の所有に係るときは、6ヶ月以上7年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
110条(建造物等以外放火) 放火して、前2条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
2項 前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
月経要因説
月経要因説
犯罪における月経要因説の最も有力な根拠とされているのが、イギリスの婦人科医のキャサリーナ・ダルトン(1916〜2004)によるPMS(Premenstrual Syndome=月経前症候群)の研究である。PMSとは「月経前、3〜10日の黄体期の間続く精神的あるいは身体的症状」(日本産婦人科学会)のことで、「精神的あるいは身体的症状」には、不安感、憂鬱、悲しみ、頭痛、腹痛、肌荒れ、浮腫(むく)みなど、150以上もの症状が含まれる。このうち、ひとつでも当てはまる症状があればPMSという診断名が下されるため、全有経女性の90%以上がPMSを経験しているという報告もある。ダルトンの主張はあくまで月経前に犯行が行われるというPMS要因説であり、月経時に犯行が行われると日本社会で幅広く信奉されてきた月経要因説とは異なることにはなるが、、、。PMSの原因については諸説あるが、ダルトンは月経前に女性ホルモンのひとつであるプロゲステロンの分泌量が急減するために様々な症状が引き起こされ、これに血糖値の低下などの条件が加わると、人によっては犯行に至るほど精神症状が悪化すると説明している。ダルトンの研究の集大成である『PMS法廷に行く 月経前症候群と女性の犯罪』(誠信書房/1998)ではPMSが原因とされる暴力や犯罪の事例が数多く紹介されているが、ダルトンの研究に対しては様々な批判がある。『PMS法廷に行く 月経前症候群と女性の犯罪』(誠信書房/1998)『月経と犯罪 女性犯罪論の真偽を問う』(批評社/田中ひかる/2006)には次のような内容の記述がある。1974年(昭和49年)3月、兵庫県西宮市の知的障害児施設「甲山(かぶとやま)学園」内の浄化槽から2人の園児が遺体で発見された事件が発生。事故の可能性もあったこの甲山事件で、警察は当初から学園の女性職員の沢崎(のちに入籍により「山田」に改姓)悦子(当時22歳)に嫌疑をかけていたが、「女性は生理のときにカッとして何をするか分からない」という考えから女性職員全員に事件前後1ヶ月間の月経日を申告させ、それをひとつの根拠として沢崎を逮捕した。『月経と犯罪 女性犯罪論の真偽を問う』(批評社/田中ひかる/2006)
決定 命令
決定は裁判所や裁判官による判断という意味では判決と同じだが、それより重要度が低く、口頭弁論も必要ない。たとえば、公判中に、弁護人が新たな証拠の提出を請求しても、裁判官がその証拠や証人を調べる必要がないと判断すれば、請求は却下される。これが決定。つまり、公判の途中で判決とは違う裁判が行なわれているのである。
命令は決定よりもさらに重要度の低い裁判だと言える。たとえば、警察からの請求を受けて逮捕状を発行したり、検察官から被疑者の勾留請求を受けて勾留状を発行したりするときの判断が命令である。
決闘罪
決闘罪ニ関スル件は明治23年1月19日に施行された法律。ここでいう「決闘」とはお互いに事前に約束して、お互いにある程度のルールを決めて、暴行し合うこと。必ずしも「1対1」である必要はなく、3人以上でも、あるいは武器を使わなくても、特にルールを決めていなくても、法律上の「決闘」に該当する。第一条 決闘ヲ挑ミタル者又ハ其挑ニ応シタル者ハ六月以上二年以下ノ重禁錮ニ処シ十円以上百円以下ノ罰金ヲ附加ス
第二条 決闘ヲ行ヒタル者ハ三年以上五年以下ノ重禁錮ニ処シ二十円以上二百円以下ノ罰金ヲ附加ス
第三条 決闘ニ依テ人ヲ殺傷シタル者ハ刑法ノ各本条ニ照シテ処断ス
第四条 決闘ノ立会ヲ為シ又ハ立会ヲ為スコトヲ約シタル者ハ証人介添人等何等ノ名義ヲ以テスルニ拘ラス一月以上一年以下ノ重禁錮ニ処シ五円以上五十円以下ノ罰金ヲ附加ス
2 情ヲ知テ決闘ノ場所ヲ貸与シ又ハ供用セシメタル者ハ罰前項ニ同シ
第五条 決闘ノ挑ニ応セサルノ故ヲ以テ人ヲ誹謗シタル者ハ刑法ニ照シ誹毀ノ罪ヲ以テ論ス
第六条 前数条ニ記載シタル犯罪刑法ニ照シ其重キモノハ重キニ従テ処断ス
以上検挙
「検挙」は通常、犯罪者を突き止め、犯人を逮捕し、起訴に持ち込むことまでの手続きをいう。検挙は法律用語ではなく解釈には幅がある。一般には「犯人を検挙した」「検挙率が高い」などの用語例が示すように被疑者の逮捕と同じ意味合いで用いられる。
検察官
公訴権をはじめとする検察権は検察庁という組織に与えられているわけではなく、1人ひとりの検察官に与えられている。そういう意味で1人ひとりの検察官はそれぞれ独立した「官庁」といえる。また、検察官は被疑者を起訴するかどうかを決め、裁判所の判決にしたがって刑罰を執行する権限が与えられている。刑罰そのものは裁判によって決められるが、そこでも検察官による求刑が参考にされる。
その検察官を総括する組織が検察庁で、各裁判所に対応して設置されている。最高裁判所に対しては最高検察庁、高等裁判所に対しては高等検察庁、地方裁判所と家庭裁判所に対しては地方検察庁、簡易裁判所に対しては区検察庁となっている。高裁に持ち込まれた控訴事件は高検、最高裁への上告事件は最高検が扱うことになる。
最高検のトップを「検事総長」、ナンバー2を「次長検事」、高検のトップを「検事長」、ナンバー2を「次席検事」、地検のトップを「検事正」、地検のナンバー2を「次席検事」(高検と同じ)と呼ぶ。区検察庁に属する検察官を「副検事」と呼び、司法試験に合格しなくても資格を得ることができる。
検察審査会
検察官の不起訴処分の妥当性を一般国民の目でチェックして、捜査の適正化を図る目的で設けられた独立機関。地域の衆院選の選挙人名簿搭載者の中からクジで選ばれた11人の審査員で構成される。審査は非公開で、議決には不起訴を疑問とする「不起訴不当」と、さらに強い意味の「起訴相当」、逆に妥当とする「不起訴相当」がある。検察審査会法は、「不起訴不当」か「起訴相当」の議決が出た場合は事件処理を再考するよう検察に求められるが、法的拘束力はなく、起訴は義務付けられない。過去には、不起訴になったひき逃げ事件の容疑者が「不起訴不当」の議決のあとに改めて起訴され、実刑になった例もある。
検視 検屍(死)
変死体の死因を判断するために、警察官が現場検証とともに死体を見分することを検視という。刑事訴訟法では「検視」は検事の役割とされているが、日本の検事はアメリカの検屍官のような専門家ではないから、現実には死体を見て判断を下すことはできないので、専門的な知識と経験のある警察官に検視を代行させているが、死体取扱いの専門担当官として検死官の存在がある。職務の責任上、この検死官には、幹部警察官クラスが就くことになっており、「学校教育に定める大学の法医学教室、あるいは科学警察研究所で所定の法医学の研修を受けた者」という、厳しい条件もつけられている。
医師(監察医や警察医)が死体の検案を行なう場合を検屍(死)という。その結果、犯罪の疑いが濃厚となれば、裁判所に「鑑定処分許可状」の交付を求め、大学の法医学教室で司法解剖が行なわれることになる。
最初から殺人事件と分かっている場合は、検視を行なわず、死体は司法解剖に回される。
詳しくは死体解剖保存法 / 監察医を置くべき地域を定める政令
けん銃110番報奨制度
2008年(平成20年)5月1日から警察庁が銃に関する情報でけん銃押収と被疑者検挙に結びついた場合、1丁につき10万円を目安に報奨金を支払う制度。銃を使用した凶悪事件が相次ぐ一方、情報収集が難しくなっており、警察庁は新たなチャンネルとして期待している。 電話は通報者の所在地を含む都道府県警の銃器取締部門につながり、24時間対応。この番号への通報のみ謝礼支払いの対象となる。通報は実名、匿名のどちらでも可能。匿名希望者には謝礼支払い時の本人確認のため、最初の情報提供の時点で情報識別番号と固有の暗証番号を伝え、改めて警察に連絡してもらう。けん銃情報の受け付けは、フリーダイアル0120−10−3774(銃、みな無し)。懸賞広告
日本では、懸賞広告はほとんど実施されていなかったが、1982年(昭和52年)8月19日の愛媛県松山市で発生したスナックホステスの安岡厚子(31歳)殺害事件、いわゆる「福田和子事件」について、1996年(平成8年)8月、愛媛県警察協会が犯人逮捕に結び付く情報提供を行なった者に対して懸賞金100万円を支払うという懸賞広告を実施し、大きな反響を呼び、これがきっかけとなって、時効成立3週間前の1997年(平成9年)7月29日に被疑者の福田和子(逮捕時49歳)が逮捕された。福田は犯行から10日余り経った8月30日に、東京都港区新橋の美容整形外科「十仁病院」で、隆鼻と二重まぶた手術を受けていたが、十仁病院院長も、整形手術を悪用した犯人は許せないとして、有力情報提供者に400万円の懸賞金を出すと発表した。懸賞金がかけられた事件に次のような事件がある。(日付は事件発生または発覚した日/懸賞金額は現在、変わっている場合があります。リンク先で確認してください)★1995年(平成7年)3月30日 警察庁長官狙撃事件(200万円/2010年[平成22年]3月30日、事件から15年経ったこの日、時効が成立)★1996年(平成8年)9月9日 柴又三丁目女子大生殺人放火事件 (800万円) → 柴又上智大生刺殺放火事件★1997年(平成9年)7月30日 大和田町スーパー事務所けん銃使用強盗殺人事件 (八王子スーパー「ナンペイ」事件/600万円)八王子スーパー「ナンペイ」事件・・・1997年(平成9年)7月30日午後9時15分ころ、八王子のスーパー「ナンペイ」大和田店の2階の事務所内でアルバイトで高校2年生だった前田寛美(16歳)と矢吹恵(17歳)の2人、パート従業員の稲垣則子(47歳)の計3人が拳銃で頭を撃たれ殺害された。事務所内には店の売上金約526万円が入った金庫があり、金庫は鍵とダイヤルロックの二重構造で、解錠方法を記載したメモが事務机の目につきやすい場所に置かれてあったが、金庫の中の現金は奪われていない。犯人は現在も特定されていない。2009年(平成21年)9月、麻薬密輸罪で中国で死刑判決を受けた日本人の男が警視庁の時事情聴取に「カナダ在住の中国人の男が八王子の事件の実行犯を知っているかもしれない」と証言。2010年(平成22年)4月、日本政府がカナダ側に中国人の男の身柄引き渡しを要請。 2012年(平成24年)7月、事件に使われたフィリピン製拳銃「スカイヤーズ・ビンガム」捜査のためフィリピンに捜査員を派遣するも有力な情報が得られず。 9月、カナダ・トロントの裁判所が1審で中国人の男の身柄引き渡しを認める決定。男が控訴。 2013年(平成25年)9月、2審も引き渡しを認める。その後、「旅券法違反事件以外で処罰しない」などのカナダ側の条件を日本側が受け入れる。 11月、旅券法違反容疑で逮捕した中国人の男を日本へ移送。 2014年(平成26年)9月、旅券法違反事件で男に執行猶予付きの有罪判決。警視庁は「八王子事件解決に直結する情報は得られなかった」とコメント。男がカナダに出国。 2015年(平成27年)2月、被害者の女子高校生2人が縛られた粘着テープから指紋の一部が採取され、約10年前に60代で病死した日本人の男の指紋とほぼ一致していたことが警視庁への取材で分かった。指紋は鑑定する12点が全て一致すると同一人物と判断される。粘着テープから検出されたのはうち8点で、8点について男の指紋と一致したという。 2018年(平成30年)7月17日、捜査本部によると、現場に残された靴跡から、容疑者の靴をサイズ26センチの2種類のスニーカーに絞った。一つは白や青、赤など7色あり、19890〜91年に東京や神奈川、埼玉で計439足(一足7800円)が販売された。もう一つは黒と白の2色で、198993〜94年に全国で計94足(同1万2000円)が販売されていた。使用状況からある程度履き込んでおり、靴の特徴などから若年層が履いていた可能性もあるという。また、現場となったスーパー2階事務所にあった灰皿に、たばこの吸い殻が11本残っていたことが新たに公表された。同じ銘柄で数本に口紅が付いており、捜査本部は事件前に女性が出入りし、事件について何らかの事情を知っている可能性もあるとみて情報提供を呼び掛けている。 2020年(令和2年)7月21日、現場に残されていた銃弾の線条痕と酷似している拳銃があることが捜査関係者の取材で分かった。この拳銃は2009年(平成21年)に警視庁が暴力団組員の男から押収した拳銃で38口径の「スカイヤーズ・ビンガム」とみられている。捜査関係者によると、組員の男は任意の事情聴取に対し、事件への関与を否定した上で、「拳銃を誰にもらったかは絶対に言えない」と供述していた。★2000年(平成12年)12月31日 上祖師谷三丁目一家4人強盗殺人事件 (2000万円) → 世田谷一家惨殺事件死刑になる殺人などの公訴時効は2005年(平成17年)1月1日施行の改正刑事訴訟法により「15年」から「25年」に改正。さらに、2010年(平成22年)4月27日施行の改正刑事訴訟法により殺人、強盗殺人は公訴時効が廃止されたため、公訴時効が完成することがなくなった。また、改正刑事訴訟法は施行時点で時効未成立の事件にも適用されるため、上記の柴又上智大刺殺放火事件、八王子スーパー「ナンペイ」3従業員射殺事件、世田谷一家4人殺人事件も公訴時効廃止事件の対象となった。2007年(平成19年)5月1日から始まる懸賞金公費負担制度の対象について、警察庁は北海道、千葉、愛知、大阪の4道府県の強盗殺人事件など5事件とすることを決めた。懸賞金の上限は300万円で、警察庁や各警察本部のホームページに公費の懸賞広告を掲載する。懸賞期間は原則1年。これまで被害者遺族や警察関係団体が懸賞金を出してきたが、遺族の経済状態などで対応に差が出ることもあるため、今月から公費で賄う制度をスタートさせた。対象となった事件は、(1)殺人や強盗など凶悪な事件で社会的反響が大きい(2)発生から半年が経過し、広告で解決につながる情報が期待できる(3)古い事件ではない――などの基準で、各警察本部が申請してきたものから選んだ。懸賞金は、容疑者逮捕などへの貢献度によって額を決める。情報提供者が複数いる場合は分割する。匿名や警察関係者、共犯者、情報入手の過程で違法行為をした人は支払い対象から外す。今回の5事件のうち、千葉市と大阪府茨木市の事件は遺族らが懸賞金を既に始めており、期間が終了し次第、公費による懸賞金制度に移行する。2007年(平成19年)6月29日、警察庁は事件解決のため有力な情報の提供者に懸賞金を出す「公費懸賞金制度」の対象事件として、千葉県市川市の英国人女性のリンゼイ・アン・ホーカー(22歳)殺人・死体遺棄事件(被疑者・市橋達也/当時28歳)など新たに5件を選んだ。対象事件はこれで10事件になった。7月27日、警察庁は殺人など重要未解決事件に公費で懸賞金を支払う対象事件として、1995年に東京都八王子市で起きたスーパー射殺事件や、2005年に栃木県旧今市市であった小1女児殺害事件など4事件を新たに指定した。公費懸賞金制度は今年5月1日に始まり、今回が3度目の指定。対象事件はこれで14事件になった。その後、対象事件は随時、追加されている。2007年(平成19年)3月、千葉県市川市で英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカー(22歳)が殺害された事件で、2009年(平成21年)6月25日、警察庁は死体遺棄容疑で指名手配している市橋達也(当時30歳)に関する情報の公的懸賞金の上限を100万円から最高額の1000万円に引き上げることを決めた。最高額が適用されるのは初めて。ただ、自宅から裸足で逃走していから2年余り、消息はプッツリ途絶えている。懸賞金の運用を定めた警察庁の取り扱い要綱では、懸賞金の上限は容疑者が手配されている場合は100万円。殺人などで犯人が未判明の場合は300万円が原則。これまでの最高額は300万円だった。2009年(平成21年)11月10日、指名手配の市橋達也が逮捕されたことで、逮捕に結びついた有力情報の提供者に総額1000万円の懸賞金を貢献度に応じて支払う手続きを始めた。殺人など重要未解決事件に公費で懸賞金を支払う懸賞広告制度の適用は初めて。懸賞広告制度は2007年(平成19年)5月にスタート。警察庁や関係警察本部のホームページ、ポスターに掲載し情報を受け付ける。期間は原則1年間。原則、容疑者が手配されている場合は100万円、それ以外は300万円が上限額で、特に必要がある時は1000万円まで引き上げることができる。リンゼイ事件は制度導入直後の2007年(平成19年)6月に懸賞対象に指定された。2009年(平成21年)6月で2回目の延長となったが、毎月約150件の情報が寄せられ効果がみられるとして、17件の対象事件で唯一、最高額に引き上げていた。1000万円の支払先を巡っては最終的に大阪市内のフェリー乗り場で「似た男がいる」と大阪府警に110番した人物のほか、1年2カ月間の潜伏先だったことを通報した大阪府茨木市の土木会社関係者、整形手術をしたことを通報した名古屋市中村区のクリニックなどが対象となるとみられる。市橋達也は逮捕された後、起訴され、2011年(平成23年)7月21日、千葉地裁で無期懲役の判決。のちに弁護側が控訴。2012年(平成24年)4月11日、東京高裁で控訴棄却。4月25日の期限までに弁護側、検察側ともに上告せず、無期懲役が確定している。2012年(平成24年)8月9日、警察庁は元オウム真理教信者の菊地直子と高橋克也の両被告の逮捕に結び付いた情報提供者3人に対し、公的懸賞金の支払いを決定したと発表した。警視庁OBらの私的懸賞金計400万円と合わせ、計2000万円が支払われる。公的懸賞金の支払い決定は2例目。警察庁は「ご協力に感謝している。今後も(懸賞金制度を)有効に活用したい」としている。警察庁によると、菊地に関する情報提供者は1人で、支払額は私的懸賞金と合わせて1000万円。高橋克也の逮捕については、2人の情報提供者に私的懸賞金と合わせて計1000万円が支払われる。同庁は対象者保護のため、情報提供者の名前や高橋の逮捕に関する支払い対象者2人の懸賞金の配分を明らかにしていない。現場検証 実況見分
持ち主のはっきりしている人家やビルの内部などは、勝手に入って捜査をするわけにいかず、令状を取ってから強制的に行なうが、これを現場検証という。
山林の死体遺棄現場のような公共の場所での捜査は令状なしで行なえるが、これを実況見分という。
どちらも犯行現場の状況を調べたり、証拠を集めたりする作業を行なう意味では内容に変わりはない。
検面調書
検察官面前調書の略で、被告人以外の者が検察官の面前で供述した内容を録取した書面などを指す。コインロッカーベイビー
Coin locker Baby 「コインロッカー」という言葉は和製英語かもしれないと思い、調べてみたら次のような文章が出てきた。< Coin lockerは通じにくい和製英語で基本的にはLuggage locker(Luggage:荷物)あるいはCoin Operated locker (Operated:運営)と言うが、Coin lockerも海外からの旅行者を中心に世界中に広まり、一般に通じるようになってきた。> とのこと。敗戦直後の食糧難時代に流行った捨て子が1960年代以降、また目立ってきた。貸しロッカーやゴミ捨て場など発見しにくい場所が多く、1972年(昭和47年)5月、新宿西口地下街のコインロッカーで新生児の死体が発見された。翌1973年(昭和48年)には同様の捨て子が46件も発生している。性は享楽目的となり、豊かな消費文化は不用品のポイ捨てを日常化し、ついでにできてしまった子どもも、、、。母子家庭に対する福祉面での整備の遅れや託児所設備の不足などの行政面の責任が大きいという声もある。公安警察
公安警察が捜査対象にするのはカルト教団(オウム真理教/現・アレフ)や左翼系過激派(革マル派・中核派・革労協)、右翼や国際テロリストなど。このほか、外事関係の職務として、不正輸出のような日本の安全保障に関わる事件や各国のスパイから日本の国益に関わる機密情報を守る役割もある。国の治安を守るため、過去に暴力的な破壊活動を行った団体などを注視し、未然に破壊活動などの犯罪を防ぐことを目的にしており、一部の合法政党(日本共産党)もいまだに公安警察の監視対象団体になっている。勾引 召喚
勾引(こういん)とは被告人などを一定の場所に引致する強制処分。被告人を勾引する要件は被告人が(1)住所不定の場合、(2)正当な理由なく召喚(しょうかん)に応じない、またはそのおそれがある場合(刑事訴訟法58条1号・2号)、(3)正当な理由なく出頭命令・同行命令(令状や猶予期間が不要という点で召喚とは異なる)に応じない場合(刑事訴訟法68条)である。被告人を勾引した場合、裁判所に引致したときから24時間以内に釈放しなければならない(刑事訴訟法59条)。召喚(しょうかん)とは被告人などに対して一定の日時に裁判所などの一定の場所への出頭を命じる強制処分(刑事訴訟法57条・153条・171条)。召喚は裁判所が発した召喚状(刑事訴訟法63条・刑事訴訟規則102条)によって行われる。召喚自体に強制力はない。被告人を召喚する場合、一定の猶予期間をおかなければならない(刑事訴訟法57条・275条・刑事訴訟規則67条・179条など)。拘禁反応
拘禁反応反応性精神障害のひとつで、拘禁中に起こるものをいう。裁判や服役から逃れたいという願望や常に監視下にある圧迫感が幻覚、幻想の内容に反映されやすい。疾病逃避の傾向が目立つ例や意図的な詐病との鑑別が難しい例も少なくない。拘禁は拘置所や刑務所など矯正施設への収容をさすが、特殊なものとしては戦時下の強制収容所がある。矯正施設でも犯罪の被疑者、被告人、受刑者、死刑囚という法的扱いの違い、独居か雑居という処遇の違い、短期か長期あるいは無期という刑期の長さによっても拘禁反応は違ってくる。特に独居房での拘禁は外部からの刺激の制限によって感覚遮断の状況が人為的に作り出される。しかも常時、監視という形でコミュニケーションは一方向的になる。こうした物理的条件から独居収容者は急性の幻覚妄想状態や「監獄爆発」と呼ばれる興奮が起こることが古くから知られている。同時に心理的条件も被拘禁者を葛藤に陥らせる重要な要素である。妻子の安否について、被告人であれば尋問や判決、受刑者であれば仮釈放についての不安などが拘禁反応の誘因となる。抗告 準抗告
抗告 準抗告控訴抗告とは日本の司法制度における不服申し立ての一種であり、決定又は命令に対して、その決定又は命令をした裁判所(原裁判所)の上級裁判所(地方裁判所や家庭裁判所でいえば原則、高等裁判所が上級裁判所。高等裁判所決定なら最高裁判所)になされる不服の申立て、あるいは、この申立てにより開始される上級裁判所における審理・判断の手続をいう。
準抗告とは勾留や保釈、押収など、裁判官の裁判に不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所に、その裁判の取消又は変更を請求する不服申立てや検察官や司法警察職員の接見指定に関する処分や押収に対する処分に対する不服申し立てをいう。
第1審の判決に納得がいかない場合、被告、原告、検察官といった当事者は、さらに上級の裁判所に不服申立をすることができる。刑事訴訟の場合、第1審が地裁でも家裁でも簡裁でも、不服申立は高等裁判所に対して行なうが、これを控訴と呼ぶ。控訴は判決を言い渡されて翌日から2週間以内であれば行なうことができるが、しない場合は2週間経つと自然と刑が確定する。上告も不服申し立ての猶予期間は同じく2週間。 期間の末日が日曜日や祝日、休日に当たるような場合、あるいはその日に取引しない慣習がある場合には、その翌日が期間の末日となる。民事訴訟に限って、簡易裁判所からの控訴を地方裁判所に対して行なうことになっている。したがって、上告は高等裁判所、さらに最高裁まで持ち込むことができ、これで計4審となる。ただ、簡裁で扱う民事訴訟は請求額が140万円以下なので、訴訟にかかる費用を考えれば、最高裁まで争うことは考えにくい。控訴を申し立てる者は控訴理由として原判決の瑕疵(かし/不完全なこと)を主張しなければならない。控訴理由は法律に規定されているものに限られ、(1)訴訟手続きの法令違反、(2)法令適用の誤り、(3)事実誤認、(4)量刑不当の4つの種類になる。控訴審で自判する場合、例外的に控訴審での訴因変更も許されるとされているが、訴因変更できるのは原審で取り調べられた証拠のみで自判できる場合に限るべきと思われる。控訴審においても事実の取り調べをすることができる。ここでいう事実とは控訴理由を構成する具体的事実をいい、このような事実の有無を確認するために取り調べを行うことができる。公訴棄却
公訴棄却公訴手続きが規定に違反して無効である場合や被告人が死亡した場合など一定の訴訟条件に欠ける場合に公訴を無効として訴訟手続きを打ち切る形式裁判をいう。判決による場合(刑事訴訟法338条)と決定による場合(刑事訴訟法339条)がある。判決による場合には口頭弁論を経なければならず、決定による場合は口頭弁論を経る必要はない。公訴棄却の裁判には免訴の判決とは異なり、一時不再理の効力は発生しないので公訴棄却の裁判の後でも欠けていた訴訟条件を新たに備えれば、改めて公訴提起することが可能である。公訴提起の基本原則
公訴提起の基本原則公訴提起の基本原則は国家訴追主義、起訴独占主義、起訴便宜主義、起訴状一本主義という考え方である。○国家訴追主義・・・公訴提起・追行は国家機関である検察官が行なう。○起訴独占主義・・・公訴権は検察官だけが行使し、ほかの国家機関には公訴権がないことをいう。○起訴便宜主義・・・被疑者が犯罪を犯したことが明らかであっても、検察官は被疑者の性格・年齢・犯情・犯罪後の状況などを考慮し、訴追を必要としないときは公訴を提起しないことができることをいう(刑事訴訟法248条)。○起訴状一本主義・・・公訴提起の際に検察官は起訴状のみを裁判所に提出し、それ以外の裁判官に予断を生ぜしめるおそれのあるものを添付してはならないこと。拘置所
拘置所拘置理由開示送検された被疑者および起訴された被告人を勾留するのが拘置所で、こちらは国(法務省)の施設。だが、実際には、被疑者を拘置所に勾留するケースは少なく、初めから検察官が捜査した事件では拘置所を使うが、ほとんどの場合、送検後の被疑者勾留もそのまま警察の留置場(逮捕された被疑者が入れられるのが留置場。俗に言う「ブタ箱」。これは都道府県[警察]施設で、本来は送検される前の被疑者を拘束する場所)で行なわれることが多い。その理由は、拘置所の数が少なく、各地に点在しているため、取り調べをする警察署から遠くて不便なことが多いため。
これに対し、日弁連(日本弁護士連合会)は「被疑者を捜査機関の手元に置く代用監獄は冤罪の温床になる」と批判しており、各国の法律か団体が加盟する国際法曹協会(IBA)も「被疑者の取り扱いが不当で設備も国際基準に達していない」と廃止を求めている。
なお、死刑囚は、死刑そのものが刑罰なので刑務所ではなく、拘置所に収監され、死刑の執行を待つことになる。死刑執行場のある拘置所は、札幌拘置所(正確には、札幌刑務所札幌拘置支所)、仙台拘置所(正確には、宮城刑務所仙台拘置支所)、東京拘置所、名古屋拘置所、大阪拘置所、広島拘置所、福岡拘置所の7ヶ所で、高松を除く高等裁判所の所在地にある。高松管区(四国4県)には死刑処刑場がないため、ここの管区の死刑囚は大阪拘置所に収監される。
高等裁判所所在地以外の地方裁判所、簡易裁判所で1審の判決を受けた被告人が控訴になった場合、高等裁判所所在地の拘置所に移送される。さらに、東京以外の高等裁判所(および高等裁判所支部)で判決を受けた被告人で上告になった場合であっても、東京拘置所には移送されずに高等裁判所所在地の拘置所で刑が確定する。
拘置理由開示刑事訴訟法に定められた手続き。逮捕、拘置されている被疑者や弁護人らが、裁判所に拘置理由の開示を請求した場合、裁判所は具体的に説明しなければならない。原則として、被疑者らが出廷した公開の法廷で裁判官が説明し、被疑者や弁護人らは意見陳述できる。説明に不服がある場合は拘置の取り消し請求などができる。強盗罪 窃盗罪高齢者虐待防止法他人の財物を盗むと窃盗罪(刑法235条)となり、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
これに対し、暴行または脅迫という手段で他人の財物を奪うと強盗罪(刑法236条)となり、5年以上の懲役。
強盗する目的で、その予備をした場合は強盗予備罪(刑法237条)になり、2年以下の懲役。
また、単なる万引きやひったくりは窃盗だが、追いかけてきた警備員などを殴ったり、突き飛ばしたりすると事後強盗罪(刑法238条)、人を昏睡させて財物を奪うと昏睡強盗罪(刑法239条)となり、共に、強盗罪と同じく5年以上の懲役。
さらに、このとき怪我させたり死に至らしめた場合は強盗致死傷罪(刑法240条)になり、強盗致傷罪は無期または6年以上の懲役、強盗致死罪は死刑または無期懲役(最初から殺意のあった殺人強盗もこれに準じる)。
強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強制性交等の罪(刑法179条第2項の罪を除く。以下この項において同じ。)もしくはその未遂罪をも犯したとき、又は強制性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは強盗・強制性交等罪及び同致死罪(刑法241条)となり、無期または7年以上の懲役に処する。
2 前項の場合のうち、その犯した罪がいずれも未遂罪であるときは、人を死傷させたときを除き、その刑を軽減することができる。ただし、自己の意思によりいずれかの犯罪を中止したときは、その刑を軽減し、又は免除する。
3 第1項の罪にあたる行為により人を死亡させた者は、死刑又は無期懲役に処する。また、刑法235条〜238条(ただし、刑法237条の強盗予備罪を除く)の未遂罪(刑法243条)も罰せられる。
高齢者虐待防止法高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律 略して、高齢者虐待防止法。この法律において「高齢者」とは、65歳以上の者をいう。高齢者虐待防止法11条、30条養護者によって、高齢者が虐待を受けているおそれがあるとして市町村の職員が立ち入り調査を行おうとしたり、質問をしたりしているのに正当な理由がなく拒むと30万円以下の罰金になる。校内暴力
校内暴力学校暴力には、「対教師暴力、施設破壊、授業妨害等」と「生徒間暴力(いじめ)」がある。昭和37年から40年代にかけて前者の暴力が多発し、一時少なくなったが、昭和47年ころから再発、昭和50年ころには全国に広がった。昭和50年代は「公然たる」「反抗的な」校内暴力が多く、それなりの「反抗の論理」があった。高圧的で差別する教師、感情的で気まぐれな教師、拒否的で誠実味の乏しい教師などが対象とされ、一貫した教育的姿勢をもって子どもたちの言葉や主張に耳を傾ける教師には暴力はふるわれなかった。だが、次第に理由なき反抗や遊び的な暴力が増え、おとなしい弱い教師などにいじめ的な「幼児の暴力」が目立つようになった。さらに、平成になると内向化、陰湿化し、目に見えにくい友だちに対するいじめへと変化していった。公判の基本原則
公判の基本原則公判の基本原則には公判中心主義、公開主義、弁論主義、口頭主義という考えがある。○公判中心主義・・・刑事訴訟における審判は公判期日においてなされることをいう。公判期日に所定の手続き・決まりに従って審理を進めることで、裁判所の公正さが確保されることになる。○公開主義・・・一般国民が自由に公判の審判を傍聴できることをいう。この点に関して憲法が裁判の公開を規定している(憲法82条)。また、憲法37条では「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」としている。○弁論主義・・・当事者の主張および立証に基づいて審判を行うことをいう。この点について現行刑事訴訟法はあまり徹底しておらず、場合により裁判所が職権で証拠調べや訴因変更を命じることができるとしている。これらは当事者主義を貫くことによって不当な結果になることをカバーしようとするものと見ることができる。○口頭主義・・・口頭で提供された訴訟資料に基づいて審判を行うことをいう。これにより、裁判所はより適正な心証を形成しやすくなる。だが、この点も徹底されておらず、重要な訴訟行為については訴訟手続きの確実性の観点から書面主義が採用されている。公判前整理手続
公判前整理手続裁判員制度の導入に向け、刑事裁判の充実・迅速化を図るための手続きで、2005年(平成17年)11月の改正刑事訴訟法施行で導入された。(刑事訴訟法316条の2〜)裁判員制度では対象となる刑事裁判すべてが公判前整理手続に付される。裁判官、検察官、弁護人が初公判前に非公開で協議し、証拠や争点を絞り込んで審理計画を立てる。既に多くの事件の裁判で公判前整理手続は行われている。類似する手続きに公判と公判の間に行われる期日間整理手続がある。公務執行妨害罪
公務執行妨害罪公務員が職務を執行するにあたり、これに対して暴行または脅迫を加えると公務執行妨害罪(刑法95条)になり、3年以下の懲役または禁錮。公務執行妨害罪の目的は、公務員を守るためにあるのではなく「公務」を保護することにある。将来の職務を妨げるような行為は本罪にはあたらない。たとえば、消防署のガレージに入って消防車のタイヤをパンクさせても公務執行妨害罪にはならない。 逮捕されそうになったとき、抵抗すると公務執行妨害罪が成立するが、逮捕行為が裁判で違法と認められれば、公務執行妨害罪にはならない。公務員に、ある処分をさせ、もしくはさせないため、またはその職を辞めさせるために、暴行または脅迫を加えると職務強要罪(刑法95条2項)になり、3年以下の懲役または禁錮。公務員が施した封印もしくは差押さえの表示を損壊し、またはその他の方法で無効にすると封印等破棄罪(刑法96条)になり、2年以下の懲役または20万円以下の罰金。強制執行を免れる目的で、財産を隠匿、損壊、もしくは仮装譲渡し、または仮装の債務を負担すると強制執行妨害罪(刑法96条の2)になり、2年以下の懲役または50万円以下の罰金。偽計または威力を用いて、公の競売または入札の公正を害すべき行為をすると競売等妨害罪(刑法96条の3)になり、2年以下の懲役または250万円以下の罰金。公正な価格を害しまたは不正な利益を得る目的で、談合した者も前項と同様(刑法96条の3-2項)。勾留 拘留勾留とは、逮捕した被疑者または被告人に対する刑事手続き上の強制的な拘束で、刑事訴訟法60条にある。住所不定だったり、証拠を隠滅するおそれや逃亡するおそれがあるとき認められ、警察署の留置場や拘置所(監獄の一種)に入れることになる。「拘留」と区別するため、「未決勾留」という言い方をすることも多い。拘留とは、刑罰としての拘束をいう。自由を奪う刑を「自由刑」と言うが、それには懲役刑、禁錮刑、拘留刑がある。刑法16条には「拘留は、1日以上30日未満とし、拘留場に拘置する」と規定されている。小型無人機等飛行禁止法
小型無人機等飛行禁止法2015年(平成27年)4月、内閣総理大臣官邸の屋上に男が小型無人機を落下させた事案により、翌2016年(平成28年)3月、国会議事堂、内閣総理大臣官邸等の国の重要な施設等に対する上空からの危険を未然に防止するため、重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律 略して、小型無人機等飛行禁止法が制定され、同年4月7日から施行された。2015年(平成27年)4月22日、東京都千代田区永田町にある総理大臣官邸屋上に小型のドローン(正確には小型マルチコプター)が落下した。2日後の24日夜8時過ぎ、「ドローンを官邸に飛ばした」とする福井県小浜市在住の元自衛官の男・Y(当時40歳)が福井県警の小浜警察署に自首し、威力業務妨害容疑で逮捕された。Yはドローンを官邸へ飛ばした動機を「反原発を訴えるため」とし、4月9日の午前3時半ごろ、東京都港区の駐車場から「福島の砂(放射性物質を含む土砂)100 g」入りの容器を装着したドローンを飛ばしたと供述。また、Yは「官邸サンタ」と名乗り、犯行の詳細な一部始終や犯行に使用されたドローンの写真などを掲載したブログを出頭直前に公開していた。Yは官邸の業務を妨げた威力業務妨害罪で起訴され、さらにドローンに取り付けた発炎筒について遠隔操作で電気着火できる状態に無許可で改造した火薬類取締法違反(無許可製造)で追起訴された。公判で弁護側は「被告はドローンで職員を怖がらせるつもりはなかった。発見した職員も警備担当者への連絡などはしたが、業務は妨害されていない」と指摘。「ドローンを飛ばしたのは、原発再稼働を止めさせるための表現行為だった」として無罪を主張した。2016年(平成28年)2月16日、東京地裁で男・Yに対し懲役2年・執行猶予4年・ドローン没収の判決が言い渡された。小型無人機等飛行禁止法は、対象として指定された施設の敷地または区域及びその周囲おおむね300メートルの地域の上空ついて、ドローン等の小型無人機、気球、ハンググライダー、パラグライダー等の機器を用いて人が飛行することを規制の対象とするもの。対象施設及びその指定敷地等の上空で小型無人機等の飛行を行った者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(11条1項)。警察官は、規定に違反して小型無人機等の飛行が行われていると認められる場合には、当該小型無人機等の飛行を行っている者に対し、当該小型無人機等の飛行に係る機器を対象施設周辺地域の上空から退去させることその他の対象施設に対する危険を未然に防止するために必要な措置をとることを命ずることができる(9条1項)。 警察官の命令に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(11条2項)。2015年(平成27年)12月、警視庁は小型無人機を捕獲するためのネットを装着した迎撃ドローンを運用する「無人航空機対処部隊」を編成した。国際テロリズム緊急展開班
国際テロリズム緊急展開班Terrorism:語源は18世紀末のフランス革命時代の「恐怖政治」に起因するとされている。 1996年(平成8年)、ペルーでの日本国大使公邸占拠事件の教訓を踏まえ、警察庁では国際テロ緊急展開班(TRT:Terrorism Response Team)を設置。国外で邦人や日本の権益に関係する重大テロ事件が発生した際に、このチームを派遣し、現地治安機関と密接に連携しつつ、情報収集や人質交渉などの捜査活動支援を行ってきた。2002年(平成14年)10月のインドネシアのバリ島での爆弾テロ事件ではインドネシアの治安機関から日本に対する支援要請に基づき、DNA型鑑定の専門家をTRTの一員として現地に派遣した。こうした支援要請にはさまざまなものがあることから、2004年(平成16年)8月、従来のTRTを発展的に改組し、現地治安機関に対してより広範囲に支援活動を行う能力をもつ国際テロ緊急展開班(TRT−2:Terroisum Response Team−Tactical Wing for Overseas)を発足させた。TRTの派遣状況・・・1998年9〜10月 コロンビアでの邦人誘拐事件
1998年8〜9月 キルギスでの邦人技師誘拐事件
2001年2〜3月 コロンビアでの邦人誘拐事件
2002年10月 インド インドネシア・バリ島での爆弾テロ事件
2003年5月 サウジアラビア・リヤドでの外国人居住区連続爆破テロ事件
2004年4月 イラクでの3邦人人質事件TRT−2の派遣状況・・・2004年9月 インドネシア・ジャカルタでのオーストラリア大使館前爆弾テロ事件
2004年10〜11月 イラクでの香田証生殺害事件
2005年10月 インドネシア・バリ島での同時多発テロ事件
2013年1月 アルジェリアでの「日揮」人質事件
2015年1月 シリアでの「イスラム国」日本人人質殺害脅迫国選弁護人
国が選任する弁護人のことで、私選弁護人と職務および権限の内容に違いはないが、一般的にいって弁護士に依頼する資力がないために弁護人をつけられない人もいることから、被告人請求に基づき、裁判所が弁護人を付すことにした。また、(1)被告人が未成年者であるとき、(2)被告人が70歳以上であるとき、(3)被告人が耳が聞こえないまたは口がきけない者であるとき、(4)被告人が心神喪失者または心神耗弱者である疑いがあるとき、(5)その他必要と認めるとき、いずれかに該当する場合には請求によらず裁判所の職権で国選弁護人を付すことができる(刑事訴訟法37条)。死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件について被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない(刑事訴訟法37条の2)。前項の請求は、同項に規定する事件について勾留を請求された被疑者も、これをすることができる(刑事訴訟法37条の2 2項)。告訴 告発 被害届
国内犯犯罪の被害者が犯人の処罰を求める意思表示することを告訴という。強姦や名誉毀損のように被害者の意思を重視する親告罪では、告訴がなければ犯人を処罰することができない。
一方、被害者以外の者が捜査機関に働きかけることを告発という。直接の被害を受けていなくても、何らかの犯罪事実を知り、その犯人を処罰してもらいたいと思えば、誰でもその意思表示ができる。
犯罪の被害者がこういう犯罪があったから捜査してもらいたいと申し出ることを被害届という。被害者が告訴すると、警察は必ず送検(検察庁に送ること)しなければならないが、被害届の場合は、当事者同士の話し合いで決着すれば、必ずしも送検しなくてもいいことになっている。
人に刑事または懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をすると虚偽告訴罪(刑法172条)となり、3ヶ月以上10年以下の懲役。
ただし、その申告をした事件について、その裁判が確定する前または懲戒処分が行なわれる前に自白したときは、その刑を減軽、または免除することができる(刑法173条)。
国内犯刑法1条1項 この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。 2項 日本国外にある日本船舶または日本航空機において罪を犯した者についても前項と同様とする。刑法の場所的適用範囲について、属地主義を原則とすることを規定した。属地主義とは自国の領域内で起きた犯罪に対し、犯人の国籍いかんを問わず、自国の刑罰法規を適用するという立法主義をいう。「日本国内」とは領土内のほか領空・領海内も含む。日本国の在外大使館、公使館なども日本国の一部である。「罪を犯した」とは犯罪構成事実の一部分が日本国内で実現されたものであればよい。共犯の犯罪地は教唆・幇助(ほうじょ)の場所のほか、正犯の犯罪地も含む。日本国外にある日本船舶・航空機内の犯罪にも日本刑法が適用される。外国の領空内を飛行中の日本航空機内で外国人が犯罪行為をした場合や外国人が日本国内から外国人を略取し外国に移送した場合にも適用されることになる。個人情報保護法
個人情報保護法個人情報の保護に関する法律 略して個人情報保護法。個人の権利と利益を保護するために個人情報を取扱う事業者に対して個人情報の取り扱い方法を定めた法律。2003年(平成15年)5月23日に成立し、一般企業に直接関わり罰則を含む第4〜6章以外の規定は即日施行された。2年後の2005年(平成17年)4月1日に全面施行した。個人情報保護法および同施行令によって、5000件以上の個人情報を個人情報データベース等として所持し、事業に用いている事業者は個人情報取扱事業者とされ、個人情報取扱事業者が主務大臣への報告やそれに伴う改善措置に従わない等の適切な対処を行わなかった場合は事業者に対して刑事罰が科される。国交に関する罪
国交に関する罪刑法90条及び91条 削除刑法92条(外国国旗損壊等) 外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。2項 前項の罪は、外国政府の請求がなければ公訴を提起することができない。刑法93条(私戦予備及び陰謀) 外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その予備又は陰謀をした者は、3ヶ月以上5年以下の禁錮に処する。ただし、自首した者は、その刑を免除する。刑法94条(中立命令違反) 外国が交戦している際に、局外中立に関する命令に違反した者は、3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処する。[ 犯罪関連用語の基礎知識 index ] [ 事件 index / 無限回廊 top page ]