海風通信 after season...

route29 「潮マインドのこと」



▲「山に行く光」とまでは言いません。青く光る海を、いつか…
 久々の店長との、仕入れを兼ねてのドライブに行くすーちゃん。
 「『夏休みのにおい』がしますよー」とか、「仕入れの助手席 私のリゾートなんですよ」など、浮かれた気分を表しているのか、けっこう詩的な言い回しをしていますね。
 ドライブに向かった先は、砂浜にビーチパラソルの花咲く、夏の海岸道路。イメージ的には鎌倉の由比ヶ浜か、あるいは三浦海岸あたりでしょうか?港湾に赤潮が発生しているのを見て、すーちゃんが「やだな〜 『きたない海』って言われんの…」と言ってる感じからして、どうも地元の海っぽいようです。
 この赤潮の原因となる夜光虫が、夜になるとキレイに光るという話をしてしまった店長は、成り行き上、渋々ながらもすーちゃんと光る海を見に行くこととなります。そして、お約束の不思議タイム。
 今回は題材が「夜光虫」ということもあって、ビジュアル面もより幻想的に描かれていますね。この回は、出来ればカラー着色のページで掲載して欲しかったものです。しかしそれよりも特筆すべき点は、店長の気持ちの変化の表れでしょうか。これまでは、かなりつっけんどんな態度ですーちゃんに接していた店長ですが、「超満月のこと」→「にぎやかしの日のこと」へと続くエピソードを経て、かなり気持に穏やかさが目立ってきています。そして、これまで半信半疑だったすーちゃんのフシギ能力を、素直に認めるようになってきている姿が印象的です。
 「すーちゃんのその目よー おれ羨ましいんだよ 今すげーそう思う」。 …この作品の、ある意味もう一つの帰結点のように感じられました。

 このような幻想的な「光る海」の光景を、私も是非ともその目で見、写真に収めたいと常々思っているのですが、残念ながら未だにその機会には恵まれていません。惜しむらくは…本当に惜しむらくは、2017年のゴールデン・ウィーク後半に起こった、湘南一帯の赤潮大発生現象でしょうか。
 この日、私には由比ヶ浜まで行く時間と暇は充分にあったのですが、ヘンにワイドショーなどで採り上げられて盛り上げられてしまい、逆に行く気が失せてしまったのですね。しかも海岸周辺は大混雑&大渋滞、そんな所にミーハーな連中に混じって行けるかぁ!と憤慨し、品川あたりで引き返してしまったのです。こんな早い時期に赤潮が発生するのだから、以後も見られる機会は何度もあるだろう、とも踏んだのですね。しかし、ここまで大規模な赤潮の発生と夜間の夜光虫の発光現象は、それ以降起きることはありませんでした。
 あの時もっと自分に素直になって、ミーハーと呼ばれても良いから見に行くべきだったなぁ…と、毎年ゴールデン・ウィークが来るたびに思います。そして、赤潮なんて、まぁ起こらなければ良いに越したことはないのでしょうが、もしまたあのような大規模な赤潮&発光現象が起こった時は、万難を排してでも撮影に行く気概を忘れないよう、このページは「no photographs」としてあるのです。


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