昔よく登った裏山で、大量の樫の実を見つけたすーちゃん。思わず集めずにはいられない衝動に駆られていると、樫の守り人(!?)なる女性が現れ、樫の実をカツアゲされてしまうお話。あれ?これじゃ話の内容を歪曲化してる?でも、大体こんなカンジですよね? このエピソードは、一見するといつもよりもフシギ要素が薄い感じを受けるのですが、読み返してみると、やはり様々な謎が浮かび上がってくるのが印象的です。最も気に掛かるのは、すーちゃんが樫の実を返却したお礼に貰った《竹のナイフ》。あれには何か深い意味合いが含まれているのでしょうか?習俗儀礼的なもの?それとも今後のストーリー展開に関わる?(三話後に終わっちゃうけれども!)これらのことを考え出すと話が進まないので、このあたりにしておきましょう。メインとなるのは、ずばりタイトル通り『樫の実』のことです。
そこでいろいろと調べてみると、実に厄介な定義になっていることが分かりました。メンドくさいので詳しく書きませんが、気になる人はwikiとかで調べてみて下さい。超乱暴にまとめると、マテバシイはブナ科の常緑高木で、分類上マテバシイ属になり、シイノキが属するシイ属とは別属であるということ。そしてブナ科の常緑高木の一群を総称して「カシ」と言うので、マテバシイ属もカシのひとつと呼ばれるのです。つまり、マテバシイを樫の木と呼んでもいいけど、椎の木とは呼べないのですね。作中で「らしいけど」と曖昧な呼ばれ方をされているのは、あれはまさに適切な表現でもあったわけです。 ややこしい展開になってきましたが、要は『大量のドングリの見つかるマテバシイの山』を見つけ出せれば、今回の舞台設定に近い場所を見つけられる手掛かりとなるわけです。とは言え、三浦半島はかつてマテバシイを薪炭材とするために植樹しまくったので、「マテバシイ半島」とでも呼べるほど、あっちこっちにマテバシイ山が広がっているのですね。そんな中でも「子供でも登れる裏山レベル・バイクでも行ける場所に大量ドングリ」となると、これはもうかつて第20話『キイチゴのこと』で訪れた三峰神社以外、思いつく場所がありませんでした。当該レポートではちょっとしか触れませんでしたが、あそこ物凄い数のドングリが落ちているのですよ。前回では三峰神社の由緒や由来も結局判明できませんでしたし、ここは再検証を兼ねて訪れてみましょう。
秋口に訪れると、ホントにドングリでいっぱいです。バイクが停められる道路上でももちろん拾えるのですが、三峰神社の本殿へと続く石段がさらにスゴイ!斜面から転がり落ちてきたドングリが集まり、ゴロゴロと降り積もっているのです。この石段、滑らかに擦り減っている上に苔むしていて、さらにはこのドングリのコーティングですから、地味にかなり危険です。くれぐれも足を踏み外さないよう、細心の注意で上がっていきましょう。 本殿の前の平地も、見事なまでにドングリが敷き詰められています。今回は晩秋に訪れたので、残念ながら相当数が動物や虫に食べられてしまい、綺麗な状態のものが少なかったのですが、それでも帽子付きや色ツヤの良いドングリは容易に見つけられます。果たしてこうした基準が「一等級」のものなのかは解りませんが、十粒程度を頂くなら守り人さんにも文句は言われないでしょう。
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