長楽正八幡社例祭(18.03.25) 豊橋市石巻本町
赤鬼 |
黒鬼 |
拝殿前で行はれるミアイ、ここの鬼は雌雄とか。 |
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獅子、例の如く。 |
獅子、皆でタンキリと粉をまき散らす。 |
豊橋市石巻本町長楽、長楽と書いてナガラと読む。姫街道沿ひの集落で、豊橋市街側からすると大念仏の行はれる嵩山の手前になる。ここの正八幡社は石巻神社
里宮の北、直線距離にして約2キロほどの場所にある。車なら10分程度であらうか。ほぼ同時刻に鬼が出てゐる、石巻本町の高井正八幡社も直線距離にしてほ
ぼ南西2キロといふところにある。車なら5分であらう。更に、第2週に鬼の出た石巻本町太田の太田神社は南西約2キロであらうか。第3週に鬼の出た豊川市
三上町勝山の白山神社はほぼ北西、直線距離にしてに3キロはなささう
である。いづれも近い。
長楽の鬼は赤、黒の2匹、太鼓の音とともに出てきて最後に石巻神社風に見得を切る。さうして赤鬼は拝殿前の注連縄を引きちぎる。黒鬼は拝殿
を出て石垣まで進んでそこの注連縄を引きちぎる。これは珍しい。小高い丘に社殿があるといふ神社の位置、構造によるのであらうか。段差があるのである。出
てくると一暴れ、いや大暴れである。ここもタンキリを撒く。菱形の大きなものである。石巻神社里宮や高井は粉が多かつたのだが、
ここは粉よりもタンキリの方が多さうで
ある。しかし、粉があることに違ひはない。鬼に目をつけられれば皆頭から真つ白である。それでもきちんとタンキリをくれる。そのうちに獅子も出てくる。頭
1名、口
取り2名、中には何人入るのであらうか。10人くらゐはゐさうである。賀茂系である。ただし石巻神社の所謂地擦り獅子ではない。これも走りながら
タンキリと粉を撒く。時には特定個人を巻き込んでそこに集中攻撃を加える。だから、うつかりして獅子を見逃すと大変である。予期しないところ
から粉とタンキリが飛んでくる。
これが始まるのは午後1時半、約1時間後に獅子から引つ込む。鬼は引つ込みの時にも見得を切つて引込む。これも珍しい。ちなみに、午後2時頃には両鬼の
ミアイ(見合ひ)が行はれる。地元の方の言ではこの鬼は雌雄、あるいは男女であるらしい。私はこれを知らなかつたのだが、もしもさうであるのならば、これ
は一種のかまけわざ(感染呪術)ではないかと思ひたくなる。擬似的な性行為をして五穀豊穣を祈るのである。このミアイが春の鬼に春の予祝が入り込んだもの
だとしたら、いかにも農村地帯の鬼らしいといふことになるのだが、さて……。