アキレス腱断裂かもときく刹那早くも兆したり跛行痛



病みまさるアキレス腱を友とするイカロスよりは確かに跳べる



直立歩行と直線歩行との差異確かめてリハビリ三昧



くさぐさの楽観論はひとときのつたなき我のともしびである



足を空にまどふが如き歩みにてリハビリビリと電気が走る



リンデロンＶＲ飲みけりこれでもう virtual、real どこにでも行ける


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　びつこ
今年また幻視の光、魔都の雪踏み込む足跡跛 行なりけり


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ふ　 やすい
ギプスはめられたりけりないたづらに我が身世に震る 安 眠 欲る間に



足なえて気もまたなえて血もなえてどこにどうしてゐようかわたし


　　　　　　　　　　　　　　　　　　  かぶ　　　　 かた
思ひ切つて異装としてのギプスつけようか傾き者、いな傾ぶき者



足元不如意にて買ひ物もままならずぽちりて言葉のサラダ買ひけり



足なえて右足なえて杖ついて我が行く道は敷島の道



歩くことできず食ふことはできるやつぱりわたしは食ひしん坊だ


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  なめくぢ
蟄居せる我に代はりて蟄啓き出でたる虫殿、蛞 蝓 殿よ



歩く練習と歩かぬ鍛錬と空に桜をかつとばす夢



杖ついて三本足で歩くてふヒトとは我か、スフィンクス殿



蕪、大根、白菜、キャベツと咲きにけりブロッコリ咲くまでに歩けるか



足なえの我に代はりて Siri 詠めるブロッコリーの十四五本も……



パズル解くつかのま脳に霧深し見捨つるほどの海馬はありや



寒ければギプスふて寝ぞすさまじき歩かば歩け小駱駝艦



桜咲くまでに二足歩行せよとありけり脱力系、電波系



またしても象さんの足になつたねウェーの友達だからだらうか



さういへば最近歩き神を見ない疾うに忘れられてしまつたのか



葉牡丹のいや高々と伸びて咲くある日やつぱり松葉杖であつた



補装具をサポーターと言ひ換へて後少しは歩けるそんな気がする



ステロイド飲めば花粉はこはくないされどクラビットはこはいのだ


　　　　　　　　　　　テ ラ
啓蟄に蟄居せざればこの地球の内部地球に行かましものを


　　　　　　　　　　　　　　　　　う た
春雨の降るに濡れて参らうぞわたしの短歌はイメージです❤️


                 　　　  めめこんじょ
我が耳を洗はば洗へ  蝸　　牛 その殻黒光り足生ゆるまで


　　　　　　　　　　　う た
ギプスとれ補装具とれて短歌できずなりぬる春に桜咲くなり



桜花散るも散らぬも大方は我に無関係はなから団子



ブロッコリの花一斉に咲く夕べ今につながるアキレス腱炎


　　　　　　　　　　　　　　 わ　た　し
病中吟これで終はると思ふなよ宇宙生命体の病はまだまだ続く