白鳥神社例祭(18.04.29) 長野県下伊那郡売木村
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振る舞ふ。この家でほぼ終はりである。 |
東三河春の鬼は終はつたが、南信ではまだ鬼が出る。下伊那郡売木村白鳥神社である。新野峠からも、新野回りでも行ける。役場のすぐ近くにあるお宮
である。
こ
の春祭に鬼が出る。鬼は赤青2匹、般若面はない。杖を持つ。青鬼の衣裳が水色であるのが珍しい。青鬼の面の裏には「贈昭和五十二年龍清作」とあり、赤鬼に
は「龍清作」「寄贈」とあるから、この人が面を作つて寄贈したと知れる。それが昭和52年である。それ以前には一時的に面をつけない時期もあつたときいた
が、現在の面はこの時に作り替へたものであるといふ。はつきりしないが、どうもここの鬼は戦前からあつたらしく思はれる。
鬼は例祭神事前の正午に子供の曳く神輿とともに神社出発、赤青別々に家々を回る。基本はかうである。家人が金一封を差し出す。それに対して酒一献、以上である。更に一昨年は、
求めに応じて杖で頭を軽くたたく、あるいは触れることをしてゐた。これは無病息災であるらしいが、これを求めない人の方が多いことからすれば、既に忘れられつつあること
であるのかもしれない。今年はこれを行ったのであらうか。きいた範囲ではこれを知らない人ばかりであつた。鬼は基本的に子供達の御輿とは別行動なので、神社帰参は必ずしも同時刻にはならない。しかし、今年はほとんど皆一緒に
神社帰参であつた。その後、午後2時過ぎから神事である。
売木の鬼はその面形といひ、青鬼の水色衣裳といひ、杖といひ、東三河平野部の鬼とはいささか趣を異にする。想像を大胆にたくましくしてしまへば、オン
ビ、オンベは杖の発展形だとも言へるかもしれない。それにしても、こちらと関係があるのかどうか、それ以上にこの鬼がどこから来たのか、気になるところで
ある。