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Eメール危険な古代史=古事記と易学〜発見!想像を絶する真実の古代日本
3.神世と易六十四卦の序次〜円を描く皇統譜とその不合

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@神世と易六十四卦の序次 A円を描く皇統譜とその不合〜歴史を腐敗させた女帝?

この章の内容は神々&古代天皇と易六十四卦の危険な関係!古事記日本書紀のトリッキーな数字の仕掛け2として、プロローグから1.2.3.までと共に、約40分の動画にまとめてあります。

 

@神世と易六十四卦の序次

 初代である神武天皇のA列は、六十四卦の序次4番目の山水蒙(さんすいもう)B列は同じく30番目の離為火(りいか)と、共に中途半端な位置である。とすると、この対応関係は神世(かみよ)にもおよんでいる可能性がある。
 そこで、夜は明けたがまだ神経が立っていてとても眠れそうにないばかりか、運よくこの日は仕事が休みだったので、このまま神世との対応関係を確認することにした。すると『古事記』冒頭の天之御中主神(あめの みなかぬしのかみ)までのすべてが、この易六十四卦の序次に従って数を揃えたものであることが判明した。と同時に、神世前半には、A列B列の他に、二つの新たな配列があった。
 新しい配列は、仮にC列D列と呼び、C列については伊邪那岐神(い ざ な きのかみ)妹伊邪那美神(いもい ざ な みのかみ)のところで、D列については天照大御神(あまてらすおほみかみ)のところで、それぞれ触れることにする。
 次に掲げる「表U 神世と易六十四卦の序次」(別ウィンドウで開きます)は、神々とA〜D列の位置関係をまとめたもので、色文字部分が対応箇所であるが(赤はA列緑はB列オレンジ色はC列青色はD列との対応を示す)、複数の列と対応している場合は、適宜塩梅している。
 表中、天之御中主神から天之常立神(あめのとこたちのかみ)までを「別天神五柱(べつてんじんごはしら)」、国之常立神(くにのとこたちのかみ)から伊邪那岐神・妹伊邪那美神までを「神世七代(かみよ ななよ )」と示しているが、それは『古事記』がそう呼んで分類しているのにしたがったものである。ただし、このうちの伊邪那岐神・妹伊邪那美神以外は、ただ『古事記』にその名が連ねてあるだけで、何ら物語らしい物語はない。また、『日本書紀』のこの部分の記述では、神々の登場順序が異なる上に、異伝も示されているので、どの順を取ればよいのか判然としない。要するに『日本書紀』の態度は、暗号攪乱のためであるかのようなのである。だからこそ、『古事記』の順にしたがったのである。
 なお、「別天神五柱」は、正式には「(ことわかつ)天神(あまつかみ)五柱(いつはしら)」と読むものなのだが、これから話す内容においては、正式に読む必要はないので、ここでは簡略に、別天神五柱(べつてんじんごはしら)とルビを振ることにした。
 また、神世については、神武天皇の父親から、時代を遡りつつ対応関係を見ていくことにする。

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天津日高日子葺草葺不合命

アマツヒコヒコナギサタケウカヤフキアヘズノミコト A列3水雷屯 B列29坎為水 

 この(みこと)は神武天皇の父親であり、次の穂穂手見命(ほ ほ でみのみこと)が祖父、邇邇藝命(に にぎのみこと)が曽祖父ということになる。
 上の天津日高日子の部分は、神武天皇の曽祖父の邇邇藝命、祖父の穂穂手見命、この命と三代に共通するが、この6文字は何れの命の位置でも対応しない。
 続く葺草葺不合の9文字のうち、は、は水面に出来ることから水を意味する(水)は22雄略天皇と同様に、建御雷神という神名があることにちなみ(雷)とすれば、A列3水雷屯を示していることになる。

 続く葺草葺の三文字は、以下のように、B列29坎為水を示している。
 葺草葺を分解すると、「艸・口・耳、艸・日・十、艸・口・耳」となり、それぞれを易の卦に置き換えれば、艸は草冠だから草を意味する(風)(草は風に靡き地に伏す)、口は(沢)で耳は(水)(人体各部に八卦を配す時の約束)、日は(火)、十は(地)となるので、順に並べると図13のようになり、これは、次のように読める。

 が示す三つの卦(風)(火)(地)は、20風地観の中に(火)が包み込まれている形だから、「(火)を包み込んで(隠して)観よ」との指示と受け取れる。
 この場合の(火)は、の字の艸が示す(風)と口が示す(沢)を合わせて二本ずつまとめた形以外にはない。
 そこで二組ある艸口の(風)(沢)を隠し、これを指示するの艸日十の(風)(火)(地)を取り除く。すると、B列の29坎為水が浮上する。
 残る限・鵜・不合の四文字は対応しない。

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天津日高日子穂穂手見命

アマツヒコヒコホホデミノミコト A列2坤為地 B列28沢風大過

 この神名は対応しない。しかしA列の2坤為地は、この命が地上で生まれた最初の皇祖であることと一致する。ちなみに父親の邇邇藝命は、高天原すなわち天上界で生まれたことになっている。

天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇藝命

アメニキシクニニキシアマツヒコヒコホノニニギノミコト A列1乾為天 B列27山雷頤

 邇邇藝は『紀』で瓊瓊杵と表記していて、()(ケイ)は美しく陽気が満ち溢れた玉を意味する文字だから、八卦で表現すれば(天)となるので(7孝霊天皇参照)、これを重ねた瓊瓊である邇邇は、A列1乾為天となる。
 名前の他の部分は対応しない。

 しかし、天孫降臨(てんそんこうりん)の物語はB列27山雷頤とオーバーラップする。
 天孫すなわち天照大御神の孫に当たる邇邇藝命一行は、天界から地上への旅の途中、いよいよ天界から離れる天の八衢(やちまた)というところで、地上からの使者の猨田毘古(さるた び こ )に迎えられ、その猨田毘古の案内で地上に向かう。
 なぜ、地上からの使者が必要なのか、と考えると、この卦が思い出されるのである。
 B列27山雷頤は、24顕宗・25仁賢天皇のところで話したが、口の様子を意味する卦である。
 上卦の(山)は止まり、下卦の(雷)は動くという意味を持つのだが、口はこのように上顎(うわあご)=上の歯は止ったまま、下顎(したあご)=下の歯だけが動くことで機能している。
 口を開けたり閉めたりして試してみるとよくわかるだろう。
 猨田毘古の出迎えは、恰も、下顎=下の歯が動いて上顎=上の歯と出会い、また動いて下に戻る、という様子に擬えたかのようではないか・・・。

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正勝吾勝勝速天之忍穂

マサカツアカツカチハヤヒノアメノオシホミミノミコト A列64火水未済 B列26山天大畜

 この神名は、まず、頭のの字に注目する。
 の字は、ご存知のように、数を数えるときに使ったりする。
 小学校の学級委員の選挙のときなど、投票数を数えるときに、黒板にの字を書いて数えた経験は、多くの人にあるだろう。
 それと同様に、の字は五という数のこととし、このの字の次から五文字をまとめよ、という指示と考えられる。
 そこで、の次からの五文字、勝吾勝勝速に注目する。
 は、陰陽を考えれば、が陽、負が陰、が陽、遅が陰で、共に陽だから、それぞれ一本の陽に置き換えられ、は五と口に分ければ、五は(風)、口は(沢)で共に少陰だから、合わせて二本の陰となる。
 これを順に並べればだから、図14のようにB列26山天大畜となる。

 下に続く天之忍穂のうちの、は、(火)(水)だから、この二文字でA列64火水未済となる。
 しかし、残る天之忍穂の計四文字は対応しない。

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天照大御神

アマテラスオホミカミ A列63水火既済 B列25天雷无妄 D列13天火同人

 天照大御神は皇祖の中でも最も重要な神様として、伊勢神宮に祭られているし、拙宅近くの天祖神社にも祭られている。
 そんなこともあり、まさかこの神様は違うだろうと思っていたのだが、意に反して、この神名も六十四卦の序次と繋がっていた。
 天照(天)は昭と灬に分ければ、灬は二本の陰に置き換えられる。
 御神のは陽だから(小が陰)一本の陽に置き換えられる。
 したがって図15のように、天灬大B列25天雷无妄となる。

 この卦には「天を祀る」という意味があるのだが、天照大御神は高天原(たかまのはら)と呼ばれる天上界の最高神と位置付けられている。

 残る照の字の昭の部分は、日・刀・口に分解すれば、日は(火)でこの卦には身に付ける装飾品という意味があるから古代の装飾品の勾玉、刀は剣、口は(沢)だから鏡を連想させられるので、勾玉、剣、鏡の「三種の神器」を示していることになる。なお、易が(沢)を鏡とするのは、最上の一陰の窪みに水を溜めれば鏡のように顔が写ることによる。

 すなわち天照大御神という神名は、B列25天雷无妄と「三種の神器」をヒントに考案されたものだったのである。
 なんなんだ、これは!!!
 こんなことがあっていいのか???
 しばし呆然としたが、すでに乗りかかった船である。ここで辞めるわけには行かない。先を続けよう。

 さて、このような天照大御神という神名だが、もうひとつの解釈ができる。
 の字は、その「明らかにらす」という意味から易の卦に置き換えれば(火)となるので、この場合の天照13天火同人を示す。
 この卦は易六十四卦の序次13番目であり、天照大御神も『古事記』冒頭の天之御中主神から数えて13番目となっている。
 そこで、これにしたがって六十四卦の序次を新たに並べたのがD列である。

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《これより「神世七代」》

伊邪那岐神・妹伊邪那美神

イザナキノカミ・イモイザナミノカミ

A列62雷山小過 B列24地雷復 C列24地雷復 D列12天地否

 B列24地雷復は、冬至を通過することを意味する卦である。
 易は六十四卦の中から、十二の卦を選び出し、図16のように、陰陽の記号の増減をもって並べ、これを旧暦の1年12ヶ月に配し、十二消長卦(じゅうにしょうちょうか)と呼んでいる。

 十二消長卦には、次のような意味がある。
 陰は静、陽は動という基本的な意味があるので、陰の記号が増えるときは静観期、陽の記号が増えるときは活動期とする。
 したがって、陽の記号が増える(日が長くなる)冬至から夏至の期間は活動期、陰の記号が増える(日が短くなる)夏至から冬至までは静観期とする。
 その静観期の終わりで、いったん全て陰となった後に、最下に一陽が来復した形が、B列24地雷復である。だから冬至を指して一陽来復という。
 その冬至を通過する月を、旧暦では11月としている。その結果、新年の1月を迎える頃には立春となるので、正月を新春と呼ぶのである。
 しかし、明治6年改暦後の新暦では、知ってのとおり12月21日頃が冬至となるので、その十日後には正月となってしまう。まだこれから小寒大寒となる時期である。真冬のただ中である。こんな時期に新春と言われても、違和感を拭えない。
 が、そのことは、ここではあまり関係ないので、これ以上に深入りはしない。大事なのは、この24地雷復がその十二消長の中心的な卦であって、夏至から冬至まで七ヶ月、冬至から夏至までも七ヶ月だから、七番目に至って活動開始、七番目に至って活動停止、という意味を持つことである。
 七番目に至って活動開始という点が、神世七代の構造と合致しているのである。
 神世七代は、初代から六代まではただ神名が記載されているのみで、七代目のこの伊邪那岐神・妹伊邪那美神に至って、初めて物語らしい物語=国生み神話が始まる。
 とすると、神世七代は、この24地雷復を中心とした十二消長卦の法則に合致していることになる。
 そこで、確認するために、その十二消長卦を神世七代と、念のため別天神五柱にまで配列した。それがC列である。
 なお、伊邪那岐・伊邪那美という神名は、A〜D列の何れにも、直接の対応はないが、24地雷復の活動開始という意味から、「誘う」という言葉を想定してのことだろう。

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於母陀流神・妹阿夜訶志古泥

オモダルノカミ・イモアヤカシコネノカミ

A列61風沢中孚 B列23山地剥 C列2坤為地 D列11地天泰

 於母陀流という音の響きは、何やらゆったりとした流れを連想させるが、とすれば空気の流れである風すなわち(風)の表現と受け取れ、訶志古泥は「堅固な土」とすれば、それを易では(だ)で表現するから(最上の一陰を、大地の表面にひびが入った様子とするので、水気がなくなった堅固な土のイメージとなる)、於母陀流訶志古泥A列61風沢中孚となる。
 残る阿夜は、文のこととすれば、(地)の持つ意味となる。(地)は八卦の中で最も細かく分かれた図形であることから文=文模様を意味するのである。そして、同じ八卦を重ねた形は八卦の意味を兼ねる。したがって、C列2坤為地が示すところとなる。

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意富斗能地神・妹大斗

オホトノヂノカミ・イモオホトノベノカミ

A列60水沢節 B列22山火賁 C列23山地剥 D列10天沢履

 大斗の字には「切り分ける」という意味があるから、「大斗で切り分けよ」との指示と受け取れる。
 
大斗意富斗と読みが共通する〜大(おほ)を万葉仮名で書くと意富となる。
 そこで、意富斗能地を意富斗と能地に切り分ける。切り分けて、まずは前半の意富斗を見る。
 意富のことだから同じ事象を指し、大は陽だから(小が陰)その極みの(天)は柄杓すなわち水を量り分ける道具だから(沢)となる。
 したがって、大斗意富斗は、共にD列10天沢履を示していることになる。
 残る後半の能地は、は熊を意味する文字でもあり、熊は山に居て人の行く手を阻み止める動物として(山)とすれば、(地)だから、能地と合わせてC列23山地剥を示していることになる。

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角杙神・妹活杙

ツノクヒノカミ・イモイクグヒノカミ

A列59風水渙 B列21火雷噬嗑 C列20風地観 D列9風天小畜

 この二神はの三文字で、次のように、B列21火雷噬嗑の卦の形の表現となる。
 は頭上にある堅い物だから、最上が陽であることを意味する。例えば、35火地晋の最上の記号の位置の意義を説明する文章には、「晋のとき、其のなり」、44天風姤には「姤のとき、其のなり」などとある。
 は水が勢いよく流れる様子を意味する文字だから水を示す(水)となる。
 (杭)は地面に垂直に建てる棒だから陽の上に陰を重ねたという形を連想させる。下の陽が地面、上の陰の真ん中の切れ目がその地面に建つ垂直な棒のイメージである。
 これらを順にならべると、図17のようにB列21火雷噬嗑となるのである。
 また、この卦はもともと「噛み砕いて食べる」という意味があるわけだが、(くひ)と読む時の響きには、「()ひ」という言葉に相通じるものもある。

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地邇神・妹智邇

ウヒヂニノカミ・イモスヒヂニノカミ

A列58兌為沢 B列20風地観 C列12天地否 D列8水地比

 この二神の神名は、漢字の意味ではなく音だけを拾って並べたいわゆる万葉仮名だから、別の意味のある漢字に置き換えながら考える。
 まず、双方の頭のを合わせると宇須になるが、これを臼のこととすれば、餅をつく臼は上に窪みがあることから、易ではこれを(沢)とするので、その(沢)を二つ重ねたA列58兌為沢を示していることになる。
 続くの字は、D列8水地比の卦名の「」そのものである。と同時に、下の地邇智邇を合わせると、は邇邇藝命のときと同様に(天)の音の借用としてと共に(地)の表現とすれば、比地邇比智邇は共に比地天となる。そして、この神名は万葉仮名風の文字の使い方なので、11垂仁天皇の国風諡号のときと同様に、これを「本来の漢文を想定して文字の順を逆にせよ」という指示と受け取り、この比地天の順を逆にして天地比とした上で、9開化天皇の国風諡号の大毘毘の時のように、比を否の音の借用とすれば、C列12天地否となる。

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野神

トヨクモノノカミ

A列57巽為風 B列19地沢臨 C列33天山遯 D列7地水師

 この神名は「野に浮かぶ豊かな」を連想させるが、は風が運ぶものだから(風)の表現となる。
 A列57巽為風は、この(風)が二つ重なった形、C列33天山遯は、六本の記号を二本で一本と見なせば、これも(風)である。

国之常立神

クニノトコタチノカミ

A列56火山旅 B列18山風蠱 C列44天風姤 D列6天水訟

 この神名は、A〜D列の何れにも対応しない。

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《これより「別天神五柱」》

之常立神

アメノトコタチノカミ

A列55雷火豊 B列17沢雷随 C列1乾為天 D列5水天需

 頭に之とあるが、(天)である。C列1乾為天は、その(天)だけを二つ重ねた形である。
 残る常立は対応しない。

宇摩志阿斯訶備比古遅神

ウマシアシカビヒコヂノカミ

A列54雷沢帰妹 B列16雷地予 C列43沢天夬 D列4山水蒙

 この神は、本文に葦牙のようなものによって生まれたとあるので、阿斯訶備は葦牙=葦の芽吹きの様子の神格化とすれば、芽吹き=生まれたて=幼い=童蒙と連想できるので、D列4山水蒙と繋がる。
 しかし、他の部分は対応しない。

神産巣日神

カミムスヒノカミ

A列53風山漸 B列15地山謙 C列34雷天大壮 D列3水雷屯

 この神名はA〜D列までの何れにも対応しない。

高御巣日神

タカミムスヒノカミ

A列52艮為山 B列14火天大有 C列11地天泰 D列2坤為地

 産の字は生産を意味するから、C列11地天泰の万物生成の意味と合うが、他の部分は対応しない。

中主神

アメノミナカヌシノカミ

A列51震為雷 B列13天火同人 C列19地沢臨 D列1乾為天

 天之常立神と同様に、天は(天)とすれば、D列1乾為天を連想させる。
 と同時に、5孝昭天皇のときと同様に、を数の3のこととすれば、3は(火)だから、B列13天火同人を示していることになる。
 残る部分は対応しない。

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 別天神五柱は、神世七代に比べて、あっさりとした関係がちょっとあるだけではあるが、それでもこのような関係があるからには、ここまでのすべてが、A〜D列にしたがって数を揃えたものだとしか言えない。
 しかし、なぜ、そこまでこだわったのだろうか?
 その答えは、このA〜D列までを図にしてみて、なるほど!と思い当たった。

A円を描く皇統譜とその不合〜歴史を腐敗させた女帝?

 神世から41持統天皇に至る対応関係確認作業を終えてみると、その全てが易六十四卦の序次に従って創作された虚構である可能性が極めて高いことがわかった。しかし、単に架空の歴史物語を作成するために、易が用いられたのではないようである。
 国之常立神と41持統天皇の位置にある卦に、重大なメッセージを込めている気配がある。 

 国之常立神の位置に並ぶのは、
 A列56火山旅(か ざんりょ)、B列18山風蠱(さんぷうこ )、C列44天風姤(てんぷうこう)、D列6天水訟(てんすいしょう)、である。
 41持統天皇の位置は、A列44天風姤、B列6天水訟、である。

 とすると、41持統天皇と国之常立神の位置は、共に44天風姤と6天水訟で繋がっていることになる。
 あるいは、列は異なるが、44天風姤と6天水訟の位置に戻って来た、ということである。
 要するに、国之常立神から始まり、持統天皇で一周する円が成立しているのである。
 文章ではわかりにくいので図で示すが、ここに示すのは縮小版であって、本来の大きいサイズは別窓で開くようにした。
 できればクリックorタップして本来の大きいサイズでご覧いただきたい。

図18円を描く皇統譜(別窓で開きます)

 この図はどこかの電車やバスの路線図を彷彿とさせもする。
 例えば東京の都営地下鉄大江戸線だ。
 大江戸線は光が丘駅を出発して練馬→中野坂上→都庁前→新宿→六本木→大門→門前仲町→蔵前→飯田橋を経由して都心を一周し、最後にもういちど都庁前駅に着いて終点となる6の字に運行している。
 実際の駅数は違うが、天御中主神が光が丘駅、国之常立神と一周して最後に辿り着く持統天皇の位置が都庁前駅といった風情だ。
 が、それはともかく、その国之常立神の位置の四つの卦に注目したい。
 この火山旅、山風蠱、天風姤、天水訟の四つ卦は、(りょ)には歴史((たび)は歴史の詩的表現でもある)、()には腐敗、(こう)には女帝、(しょう)には「(うった)える」という意味があるので、繋げれば、
 「歴史を腐敗させた女帝を訟える」
となる。
 と同時に「女帝を訟える」(姤と訟)の部分は41持統天皇も共有している。
 持統天皇が歴史を腐敗させた、ということなのか?
 歴史を腐敗させるとはどういうことだろうか?何を言おうとしているのか?

 しかし、そう読み取れるのは単なる偶然なのではないだうか?
 そもそも、そんな暗号など、小説の中だけのことで、実際にはあろうはずがない。
 ましてこれは、国家の根本となる歴史書である。

 と、これまでの検証を顧みず、まだそんなことが頭を過ぎりもするが、易六十四卦の序次と十二消長卦を並べたら偶然こんな円周になったとは考えにくい。むしろこうなるように意図的に設計されたのでなければおかしい。
 まず、何らかの目的で易六十四卦を、序次の順を利用して環状に配置し、その配置されたそれぞれの卦の意義を参考に、各天皇や神々を並べたのでなければ、こんな皇統譜は作れないはずだ。目的は、一周して戻ったところに、旅・蠱・姤・訟の四卦を配置することで、「歴史を腐敗させた女帝を訴える」と読み取れるメッセージを込めることに違いない。
 ちなみに天皇や神々を抜いて、六十四卦だけにすると、こんな感じになる。


 仮に偶然だとしても、この円周は国之常立神から41持統天皇までが、このように53人だからこそ成立するのであって、たった一人抜けて、52人だったとしたら成立しないのである。無論ひとり多い54人でも成立しない。
 成立しないことを不合ともいう。

たったひとりの不合を強調する神名!

 不合とは耳慣れない響きだが、何故こんな言葉を持ち出したのかと言えば、皇統譜の中にたった一人、この不合の二文字がとても印象的な名前があるのだ。
 1神武天皇の父親に当たる()葺草(かや)(ふき)不合命(あへずのみこと)である。

 他の神名や天皇の国風諡号は、漢字の訓読、あるいは万葉仮名(音読)の別はあっても、とにかくそのまま読めるのだが、この(みこと)に限っては、特異なことに返り点が必要で、それが不合(あへず)の部分なのである。
 東京は上野の「不忍の池=しのばずのいけ」と同様に、日本語としての語順ではなく、漢文のままなのである。

 なぜこの命の名前だけ、読むのに返り点が必要なのか・・・。
 他の天皇や神々の名前を参考にすれば、不合の部分は万葉仮名で阿倍受(あへず)とでも表記したほうが自然である。
 これまでの研究では、明解が得られず、謎として棚上げにされたままである。

 しかしこの円周を知った今は、これは「一人抜けただけでも円周は不合すなわち不成立となる」というアピールであって、暗号解読者に対し、この円周の存在を確認させているのだ、としか考えられない。
 だからこそたった一人だけに、この不合の二文字を用い、それが目立つように返り点が必要な箇所をそこだけに設けたのに違いない。
 「歴史を腐敗させた女帝を訟える」というメッセージ。
 「皇統譜の円周」と、その存在を強調する「不合」の二文字。
 何やら、ただならぬ気配である。
 これは、『古事記』冒頭の序文から、改めて検証し直してみなければいけない。
 そう思うと心が騒いだ。

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もくじ

☆ プロローグ  1.暗号発見までの経緯 2.古代天皇と易六十四卦の序次〜謎めく数字137 3.神世と易六十四卦の序次〜円を描く皇統譜とその不合 4.『古事記』序文に隠されたメッセージ〜歴史を腐敗させた女帝 5.暗号解読[1]神武天皇と辛酉革命 6.暗号解読[2]持統天皇暗殺と不倫が不倫でない時代 7.暗号解読[3]41ピースのジグソー・パズル 8.暗号解読[4]男帝と女帝の二王朝に分裂していた時代 9.暗号解読[5]暗号が示す皇統譜の親子兄弟姉妹関係 10.暗号解読[6]女帝たちの壮絶な実態と母権制社会とは 11.暗号解読[7]母権制社会脱却の失敗 12.暗号解読[8]応神女帝から推古女帝までの正しい年代 13.暗号解読[9]神武男帝のクーデター、イザ!・オウ! 14.暗号解読[10]雄略男帝から聖徳太子までの真実 15.暗号解読[11]大化の改新〜父権制社会としての出発! 16.暗号が示す歴史の全容! 17.卑弥呼の正体は崇神女帝だった! 18.解明!雅楽器「笙」に伝わる「亡国の音」の秘密

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最終更新日:令和05年01月24日 学易有丘会
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