海風通信 after season...

ヨコハマみかんビル


▲今回はアレじゃなく、こちらが主役です。
現地調査日:2021年10月05日
対象所在地:横浜市西区みなとみらい18街区
調査の目的:みなとみらい地区ビル群めぐり
備    考:『ヨコハマ買い出し紀行』第0話。比較対象として、
        第33話・第140話(最終話)の横浜風景描写を参照のこと。









◆はじめての !?ヨコハマ撮り出し紀行

 扉絵更新写真館の「横濱野宿」のページを作成した時にふと気づきましたが、これまで『ヨコハマ買い出し紀行』に関連するホームページを20年以上続けていながら、「ヨコハマ≒横浜」エリアを扱った記事・写真を一切掲載してこなかったという事実に、我ながら驚きました。いくら気乗りがしなかったとは言え、ここまで後回しにしてしまうとは思いもしませんでしたよ。その間にも「みなとみらい」地区は急激な変貌を遂げ、このまま行くとアルファさんの存在する並行世界での近未来風景とは似つかぬものに変わってしまう可能性もあります。(もう既に遅すぎる感もあるのですが。)そうならないためにも、あらためて少しずつ横浜界隈を採り上げていこうと思います。
 そこで最初にランドマークタワー・・・・とならないのが、私のヒネくれたところ。まずは国道16号を桜木町から関内へと抜ける橋の上から見える、特徴ある半月状のビル、『ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル』にスポットを当てていきましょう。『ヨコハマ買い出し紀行』第0話においても、「その時点」ではランドマークタワーと共に印象的な建物として描かれていますね。
 ところでこのビル、私は初めて見たとき、直感で「あ、みかんだ!」と思ってしまったのですが、皆さんはどうでしょう?これ、知り合いに話してもあまり共感してくれないんですよね。そこで先日、このコラムを書くにあたりyahooでサーチをかけてみたところ、検索:[横浜 みかんビル]で、見事トップに引っ掛かってきましたよ!何だ、みんな考えてるコトは同じなんじゃないか!?
 ちなみに、この『ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル』の外観は、公式には「海に浮かぶヨットの白い帆をイメージ」しているのだそうです。でも、私にはもう「みかん」にしか見えません。なので、これからはこのビルを「みかんビル」と呼ぶことにします。(←横暴。)
▲半円ビルのヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルは→ ▲→こんなふうに、みかんのスライスに見えなくないですか?
 『ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル』は、インターコンチネンタル ホテルズ グループ日本初進出のホテルとして、1991年に誕生したとのこと。意外にも1993年開業のランドマークタワーよりも歴史が長いのですね。にもかかわらず、このビルの名称をズバリと答えられる人は少ないのではないでしょうか。そもそもが『パシフィコ横浜』の複合施設の一部として認識されているから、このビル自体が『パシフィコ横浜』だと勘違いしてた人もいるかと思われます。実は私もそのクチで、今回検索をかけて初めて、展示会場やイベントホール、ホテルやショッピングモール等の全てを含めた施設全体で『パシフィコ横浜』なのだという事実を知りました。
 だからこの『ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル』も・・・って、しかし長い名前だな、これ。略して示すとどうなるんだろう。『YGIC』でいいのかな?でも、英語名で表記してみると、『Inter Continental Yokohama Grand』になるんですよね。とすると、『ICYG』となるのか?あー、もうメンドくさいから、「みかんビル」でいいじゃないか!?(←記憶を植え込もうとしてるヤツ。)それにしても、地元の人や横浜通の人間はいったい何て呼んでるのでしょうか?とあるネット上のコメントや情報欄では「三日月ホテル」なんて呼んでる人がいましたが、これは読み方の順番を一歩間違えると、まったく別の土地を連想してしまいそうナンですよね。思わず、♪ゆったり たっぷり の〜んびり とかってなってしまいそうです。
▲いつの間にか、都市型ロープウェイというものが出来ていました。 ▲みかんのひと房ビルとも言える。しつこい?
 さて、今回の本題はここからです。『ヨコハマ買い出し紀行』第0話の作品内において、この「みかんビル」と「ランドマークタワー」が、つごう三度、しかも「仲良く一緒に」描写されているんですよね。野毛の町並みと「ランドマークタワー」を俯瞰するコマ、野宿をした丘から夜景として見るコマ、ちょっと分かり難いかも知れませんが、輸入雑貨店の前を歩くアルファさんの背後にも、「ランドマークタワー」の足元と「みかんビル」の先端部分のようなものが描かれていますね。
 (追記1:そう言えば『芦奈野ひとし画集』の「カラーイラスト案 ボツラフ1」においても、両者が描かれているカットがありました。また、画集表紙裏の見開き描き下ろし地図上にも、しっかりと描き込まれています。)
 この「仲良く一緒に」存在している状況、殊に野毛側から見る風景というものは、かつてはいろいろなポイントで見られたものですが、今ではその中間にビルが林立して、理想的に見える場所がほとんど無くなってしまいました。ヨコハマ舞台地検証全盛時代の1990年代後半にベストなポジションとして知られていた野毛山公園展望台からの景色も、もはやビル群が重なり合って、なんだかゴチャゴチャとした景観に変わってしまっています。辛うじて当時と変わりなく見えるのは、紅葉坂の途中にある、青少年センター付近くらいでしょうか。ここからだと「ランドマークタワー」と「みかんビル」が仲良く寄り添って見られるのですが、「みかんビル」の存在感がイマイチ控えめ過ぎるんですよね。※頁末の追加画像参照。
 そこで今回、野毛側はとりあえず置いといて、「ランドマークタワー」と「みかんビル」をしっかりハッキリと、しかもカメラのファインダー内で同時に収めることの出来るスポットを求めて、みなとみらいエリアを探索してみることにしました。
 そうして辿り着いたのが、ハンマーヘッドパークから眺めたこの景色↓です。
▲ハンマーヘッドパークの展望デッキより見る、みなとみらいビル群。「みかんビル」の先っちょには女神さまがいるって知ってましたか?
 とりあえず「臨港パーク」や「ぷかりさん橋」、桜木町駅前の「ヨコハマエアキャビン」(ロープウェイ)発着所前など、いろいろ見て回りましたけどねー。どっちかが大き過ぎたり、また小っちゃ過ぎたりで、バランス良く撮れたのはこのポイントが一番でした。ここは2020年に新設開放されたばかりのようで、また朝早くでありコロナ禍でもあったので、こんな良いビューポイントなのに人が全くいないという、とても不思議な気分を味わいました。
▲三浦半島の帰りにも立ち寄って夜景を撮影しました。 ▲ハンマーヘッドパークの由来となった、土木遺産のクレーン。
 それにしても、改めて見ると「みかんビル」、良いですねぇー。しかし『ヨコハマ買い出し紀行』の最終話では、アルファさんがあれからもう幾度目かの買い出しに訪れているであろうヨコハマの地で、衝撃の事実が発覚します。なんと、この「みかんビル」が突如として姿を消しているのですね!これは一体、どういうことだー???さらには、なんかランドマークタワーのてっぺんに一軒家みたいなのが建ってるし・・・。
 芦奈野センセイ、謎を残し過ぎです・・・。

※追記(2021年11月30日)※
 野毛側からの画像を追加掲載。紅葉坂からの景観は変わらず。野毛山公園展望台は2011年に二代目展望台が新造されたようで、高さや広さが向上したぶん、むしろ以前よりは見え易くはなったのかな?でもやっぱり、手前のビル群が・・・・。
▲2つのビルの位置関係が、輸入雑貨店のコマ風景と似ています。
この見え方が、紅葉坂を舞台地最有力候補とする所以でしょう。
▲野毛山公園展望台からの眺め。かつては「みかんビル」と
ランドマークタワーの間には、遮るものが無かったのですけどね。