海風通信 after season...

ムサシノのカタクリを探しに


▲あのマーク…に、似てなくもないのですよねぇ…。
現地調査日:2014年04月08日
対象所在地:練馬区大泉町1-6
調査の目的:カタクリのお花見
備    考:ココネの帽子やマグカップのマークおよび、
        2001年カレンダー描きおろし『アルファの認識する全世界』地図参照。









◆ココネのトレードマークは、『カタクリ』?

 ココネの帽子やマグカップに描かれている3つの花弁のマークは、カタクリをモチーフとしたもの……『ヨコハマ買い出し紀行』が全盛期だった頃のファンページに、こうした考察をされたサイトがけっこうありましたよね?当時の私もヨコハマのロケーション以外のネタに関しては深く考えていなかったので、「あぁ、そうなのかもね。カタクリって控えめで謙虚なイメージだから、ココネらしいかも。」とフシギと納得してしまっていたのですが、これって明確な根拠や出典先ってあるのでしょうか?
 今回、この件に関して非常に気になってしまったため、過去のアフタヌーンのスクラップ記事を引っ張り出してみたり、画集やCD,DVDのリーフレットなども読み返してみたのですが、確定的な資料が見つかりませんでした。これは一体どういうことなのでしょう?これでは今回のレポートも、初っ端から始められない事態となってしまいました。これらのことでご存知の方が居られましたら、是非ともお知らせいただけると助かります。
 しかししかし!ここでつまづいてしまうと後が続けられないので、ひとまず『ココネのマークはカタクリである!』と暫定措置をしたうえで話を進めさせていただきます。何故って?だってネタに困ってるんだもん。(←苦し紛れ)

 というわけで、気を取り直して検証を進めていきましょう。ココネのあのマークがカタクリだとすると、ムサシノにはカタクリが綺麗に咲いている場所があるのかも?そしてそこはココネのお気に入りの場所で、だから帽子や小物のワンポイントにカタクリのマークを入れているのでは?(←これこそが強引な解釈だよ!)と、そのような観点から、ムサシノ…とりわけココネの住んでいるであろうエリアに近い場所に、カタクリが大量に自生する場所があるのだろうか?と思って調べてみたら……、ありましたよ!場所は練馬区の光が丘に近い、『清水山憩いの森』。
 ん…!?光が丘……?ここでヨコハマの作品設定上の地図を目を皿のようにして見ていたファンの人なら、ある事実に気が付きますよね?
 そう、『光が丘』とは、未来世界に存在するであろう『かんぱち線』のターミナル駅として、『とどろき』と共に地図上に確認できる地名なのです!これまで作品上に描かれてこなかった『光が丘』というニッチな地名が、なぜ地図上に表記されているのかが長らく疑問だったのですが、ここにその繋がりが見い出されるのかも知れません。もしかしてムサシノを舞台としたエピソードがもう少し増えていたら、この真相が語られていたのかもですよ?
 何はともあれ、ムサシノの地にカタクリの自生地が本当に存在していただけでもネタとしては収穫です。いざ行きましょう、カタクリのお花見に!
▲緑地の管理小屋。まずはここで情報収集を。 ▲一面に群生するカタクリ。地味にスゴイ!けれどどこか儚げ。
 まずは作品の世界観に倣い、『とどろき』から環状八号線に乗って北上して行きましょう。交通量が極めて多く、アップダウンが連発するこの路線は、トロトロ走るスクーターには少々緊張する道路。途中、甲州街道へと差し掛かるあたりで、思わずココネのアパート探しを再検証してみたくなるところですが、こここはグッと堪えて通過して下さい(本当にダメですよ!時間を大幅にロスします。)それにしてもこんなに立体交差だらけの環八線に、未来世界ではよくも路面電車の軌道を敷くことが出来たものですね。
 目白通りと交差する『谷原』を抜けると、光が丘は目前です。いつの間にやら通りの名称が『環八通り』から『笹目通り』へと変わっているのが少々気に掛かりますが、道なりなのでここも環八と見做すのでしょう。そして都営線『光が丘』駅に最も至近であろう高松六丁目交差点あたりが、ヨコハマ世界でのかんぱち線『光が丘』駅になるものと思われます。『清水山憩いの森』は、ここから西に1.2km程の場所にあります。

 住宅地に囲まれた中にかろうじて残るその緑地は、武蔵野の雑木林の面影を色濃く残した雰囲気の良い公園です。北側入口付近は良くある典型的な自然公園なのですが、園内の管理小屋を抜けた付近からは植生が一変。あたり一面には薄紫色の花々が、緑地に僅かばかりでも彩りを添えようと広がりを見せ始めます。これがまさしくカタクリの花なのですね。その数、実に15万株!(*1)それなのに、ほとんど自己主張の感じられない奥ゆかしさを感じるのは何故なのでしょう?「さぁ、咲きましてよ?御覧なさい!」というようなインパクトがないのですね。どちらかと言えば、「あの…咲きましたけど、よろしかったら見て行って下さい…。」的なカンジ。ここらへんがココネちゃんをイメージさせるのかも。(←ちょっと妄想気味。)
(*1)園内には約30万株あると推定されてますが、毎年その半数ずつが交代で花を咲かせていると考えられるため。
▲桜と同時期の見頃なのも、あまり注目されない理由かも。 ▲暖かい晴天の日にしか花弁は開かないそうです。
 あ、ここで大事なことを書くのを忘れていました。このカタクリの花が咲くのは3月下旬から4月上旬までのわずかな期間。しかもこの時期に行っても曇りや雨だったり、気温が低かったりすると花が開きませんので注意が必要です。なるべく晴れた暖かい日を狙って行きましょう。
 先ほどの管理小屋でも、ボランティアスタッフの方々が詳しくアドバイスしてくれますよ。夏島貝塚の時もそうでしたが、最近はこうしたガイドの方々が本当に良く勉強をされていますよね。「カタクリと片栗粉の関係は?」という私のダジャレのようなしょーもない質問にも、「今はジャガイモのデンプンから作っていますけど、昔は本当にカタクリの「りん茎」(地下にできる球根のようなもの)から片栗粉を作っていたんですよ。」とアッサリ。あれ?この質問って結構されるのかな?と思って聞くと、「意外と多いですね。」と笑っていました。うーむ、やっぱりそうなのか…。でも、一つ勉強になりました。

 この時期、桜のお花見も良いですが、足元のけなげな花にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
▲うつむいて、何か自信なさげな咲き姿勢…。 ▲この謙虚さは、やっぱりココネのイメージに合うかも。
 

★2017年3月、『清水山憩いの森』は、23区唯一の大規模なカタクリ群生地として再整備され、『清水山の森』と改称されました。
2017/04/10(加筆修正)