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weekly book

[ No.301〜400 ]

[ weekly book ]

実際にあった事件や犯罪に関する新刊本・注目本などを週単位で紹介しています(更新は主に水曜日)。
下記の★の日付は更新日で、その日付は下(↓)が古く、上(↑)が新しい。

関連ページ・・・amazon


★2015.8.12 (No.400) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『昭和史10大事件の謎 戦後70年目に封印をとく。』
(宝島社/黒井文太郎[編]/2015.7)

戦後70年を迎えて、昭和の裏面史にあらたな関心が集まっている。本誌は、帝銀事件、下山事件、ロッキード事件、平和相銀事件……有名な10大事件に加え、「昭和天皇とA級戦犯の闇」など、戦後の昭和史に刻まれた不可解な謎とその背景について、あらためてその真相を掘り起こす。「この国の最も豊かな時代を、誰が動かしてきたのか?」 田原総一朗氏や佐藤優氏、門田隆将氏、青木直人氏など裏面史に造詣の深い識者のインタビューも交え、豊富な図版と写真で戦後史の謎に迫る。


関連ページ・・・帝銀事件 / 下山事件
★2015.8.5 (No.399) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』
(同文舘出版/単行本/加藤晃&大越修&和田大樹ほか/2015.7)


年間の誘拐件数=3万5000件!
今、水面下で起きている脅威!危機管理の専門家による、テロ・誘拐対策に関する実務・啓蒙書。海外進出企業の事前のリスクマネジメントおよび実際に事件・事故が発生した場合の危機発生時対策について、豊富な事例を基に実践的な方策を解説する一冊。
★2015.7.30 (No.398) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『冤罪の戦後史 刑事裁判の現風景を歩く』
(岩波書店/単行本/菅野良司/2015.7)


何十年という長い時間,無実を叫び続けてきた人たちの声をジャーナリストが丁寧に聞きながら、なぜ冤罪が起きるのかを問う。帝銀事件、狭山事件、名張毒ぶどう酒事件、東電OL事件、足利事件など戦後の著名な17事件を取り上げ、日本の刑事司法の問題点を追及。巻末には冤罪事件年表を付す。


著者の他の著書・・・『裁判員時代にみる狭山事件』(2009)

関連ページ・・・帝銀事件 / 狭山事件 / 名張毒ぶどう酒事件 / 東電OL殺人事件
★2015.7.22 (No.397) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『グッド・ラック 日本航空123便のコックピットで何が起きたのか』
(講談社/単行本/清水保俊/2015.7)


1985年8月12日、午後6時24分。日本航空123便のコックピットを「ドドーン、ドーン」という爆発音が震わせた。「スコーク77!」機長が咄嗟に叫んだその言葉は、「緊急事態」を意味していた。元JALフライト・エンジニアが、コックピット・ボイス・レコーダやフライト・データ・レコーダをはじめ多数の資料から当時の状況を再現。事故調査委員会の提出した結論とは異なる事故原因をリアルに検証する。御巣鷹山飛行機事故から30年。あの日のコックピットを描く迫真のドキュメント・ノベル!

著者・清水保俊・・・1947年、兵庫県生まれ。神戸商船大学航海学科卒業。1970年から海運会社にて主に南太平洋を航海士として海上勤務。1978年、日本航空に入社。DC8型機、B747型機フライト・エンジニアとして乗務し、運航訓練部技術教官、運航技術部試験飛行室、運航技術部次長を経験し、飛行機の受領、各種テスト・フライトの経験も多い。総飛行時間は1万1000時間。2007年に国土交通大臣より航空功労賞を授与される。同年、定年退職。その後、羽田整備工場にて見学・航空教室を担当。
他の著書・・・『ラスト・フライト ジャンボ機JA8162号機の場合 (The New Fifties) 』(講談社/2009)
★2015.7.15 (No.396) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『ネット私刑(リンチ)』
(扶桑社新書/安田浩一/2015.7)


インターネットで事件の加害者の名前をさらし、その家族の個人情報までも、 その真偽に関係なく拡散していく――。これを今、「ネット私刑(リンチ)」と呼んでいます。このネット私刑(リンチ)は、ここ最近、どんどん過激になっていて、顕著な例が「川崎の中1殺害事件」である。 同事件では事件発覚の数日後には、容疑者の名前が暴露され、被疑者の家族や恋人の個人情報までも、その真偽に関係なくさらされています。ネットでさらす人のほとんどは、「正義」を大義名分にしています。しかし、それは「正義」をはき違えている感があります。本書は「在特会」をはじめ、ネット右翼に関しての取材を行っている気鋭のジャーナリストで、第46回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した安田浩一氏が、 さらす人、さらされる人の実態に迫りました。安田氏が川崎の事件だけでなく、大津市で起きたいじめ自殺の現場を徹底取材。さらには、あの「ドローン少年」の親にも直撃しました。 最終章にはネットで殺人事件の犯人にされた「誤爆」被害者のスマイリーキクチのインタビューも収録しています。今、ネットで起きている「闇の実態」が明らかになります!


著者・安田浩一・・・1964年、静岡県生まれ。週刊誌、月刊誌記者などを経て2001年よりフリーに。事件、労働問題などを中心に取材・執筆活動を続けている。他の著書・・・『ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力 』(文春新書/2015) / 『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて 』(講談社/2012)など。
★2015.7.8 (No.395) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『上海36人圧死事件はなぜ起きたのか』
(文藝春秋/単行本/加藤隆則/2015.6)


2014年12月31日夜11時過ぎ、上海の観光名所・外灘(バンド)で恒例行事となっていたカウントダウン映像ショーのイベントに参加しようと集まった31万人の列が乱れ、衝突した人波にのまれて若者36人が圧死した。日本で起きた明石花火大会歩道橋事故と似た事件と見られていたが、子細に検証していくと、中国政府は被害者の出身地を隠し、公安当局は遺族を監視下においた。それはなぜなのか。習近平政権のタブーに迫る!

著者の他の著書・・・『習近平の政治思想 「紅」と「黄」の正統』(勉誠出版/2015) / 『「反日」中国の真実』(講談社現代新書/2013)など。
★2015.7.1 (No.394) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『日英対訳 世界が驚いた重大事件 トップ20』
(IBCパブリッシング/単行本/ニーナ・ウェグナー/2015.6)


長い歴史の中で、世界を揺るがした事件や事故、歴史的出来事の中から20話を厳選。
誰もが耳にしたことのある事件の内容、知っておくべき事件の真相を読みやすい英語と対訳で簡潔に解説します。「タイタニック号沈没」「切り裂きジャック」「ボニーとクライド」「JFK暗殺」「アポロ13号計画」「チェルノブイリ事故」「ダイアナ王妃の事故 」「9/11」他。


著者の他の著書・・・『CD付 英語で聞く 世界を変えた女性のことば【日英対訳】』(IBCパブリッシング/2014) / 『バラク・オバマ・ストーリー The Barack Obama Story (ラダーシリーズ Level 4) 』(IBCパブリッシング/2013)など多数。
★2015.6.24 (No.393) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『トマス・クイック 北欧最悪の連続殺人犯になった男』
(早川書房/単行本/ハンネス・ロースタム/2015.6)


トマス・クイックと名乗り、30人以上の男女を殺害したと自白して8件の殺人で有罪判決を受けた男、ストゥーレ・ベルグワール。気鋭のジャーナリスト、ハンネス・ロースタムは執念の調査の末、驚愕の真実を明らかにする。想像を絶する大事件の全貌を描く衝撃作。
★2015.6.17 (No.392) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『犯人たちの黒い告白 捜査係長16年間の事件簿』
(元就出版社/単行本/深沢敬次郎/2015.5)


実録ベテラン刑事の犯罪ファイル。人はなぜ、法を犯し、自らの人生を破滅に追い込むのか!? 殺人、死体遺棄、連続強姦、詐欺、窃盗、暴力団、薬物依存などなど、犯罪に手を染めた悪い奴らの肉声が聞こえる。捜査、取り調べを基に、警察VS犯人たちの攻防をリアルに再現した。

著者・深沢敬次郎・・・大正14年11月15日、群馬県高崎市に生まれる。県立高崎商業学校卒業。太平洋戦争中、特攻隊員として沖縄戦に参加、アメリカ軍の捕虜となる。群馬県巡査となり、前橋、長野原、交通課、捜査一課に勤務。巡査部長として、太田、捜査二課に勤務。警部補に昇任し、松井田、境、前橋署の各捜査係長となる。警察功労賞を受賞し、昭和57年、警部となって退職する。平成7年4月、勲五等瑞宝章受章。他の著書・・・
『詐欺師たちのマニュアル 罠を暴いた能勢警部補の事件簿』(元就出版社/2014) / 『女と男の事件帳 戦後を生きた巡査の手記』(元就出版社/2010)など多数。
★2015.6.10 (No.391) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『絶歌 神戸連続児童殺傷事件』
(太田出版/単行本/元少年A/2015.6)


1997年6月28日。
僕は、僕でなくなった。

酒鬼薔薇聖斗を名乗った少年Aが18年の時を経て自分の過去と対峙し切り結び著した生命(いのち)の手記。「少年A」‐それが、僕の代名詞となった。僕はもはや血の通ったひとりの人間ではなく、無機質な「記号」になった。それは多くの人にとって「少年犯罪」を表す記号であり、自分たちとは別世界に棲む、人間的な感情のカケラもない、不気味で、おどろおどろしい「モンスター」を表す記号だった。

関連ページ・・・神戸須磨児童連続殺傷事件
★2015.6.3 (No.390) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『「社会」のない国、日本 ドレフュス事件・大逆事件と荷風の悲嘆』
(講談社選書メチエ/菊谷和宏/2015.3)


国家による冤罪事件として知られるフランスのドレフュス事件(1894〜1906年)と日本の大逆事件(1910年)を取り上げ、日仏両国の比較を通して、日本に見出される問題が今日もなお深刻なまま続いていることを明らかにする。スパイの嫌疑を受けて終身刑に処せられたユダヤ系の陸軍大尉アルフレッド・ドレフュスは、軍部や右翼との闘いの末、最終的に無罪になった。その背景に作家エミール・ゾラをはじめとする知識人の擁護があったことはよく知られている。一方、天皇暗殺計画を理由に起訴された24名が死刑宣告を受けた大逆事件では、幸徳秋水をはじめとする12名が実際に処刑されるに至った。二つの事件に強く反応した永井荷風は、ゾラと自分を比較し、自分の情けなさを痛感した、と告白している。そこで刻み込まれた悲嘆の深さは、荷風に戯作者として隠遁生活を送ることを余儀なくさせるほどだった。ここに見られる違いは、どうして生まれたのか。本書は、両事件を詳しく分析することで、その理由が日本には「社会」がないという事実にあることを突きとめる。「日本」というのは国家の名称に尽きるものではない。国家が存在しなかったとしても、社会は存在しうる。そして、国家が個人に牙を剥いてきたとき、社会は個人を救う力をもっている。しかし、この国には、国家はあっても社会はない。それが、ドレフュスは無罪になったのに、幸徳らは見殺しにされた理由である。今日も何ら変わっていないこの事実に抗い、「共に生きること(コンヴィヴィアリテ)」を実現するための処方箋を示す、日本の未来に向けられた希望の書。

著者・菊谷和宏(きくたに・かずひろ)・・・1969年生まれ。1998年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。現在、和歌山大学経済学部教授。専門は、社会思想史、社会哲学。著書に『トクヴィルとデュルケーム  社会学的人間観と生の意味』(東信堂/2005/日本社会学史学会奨励賞) / 『「社会の誕生」 トクヴィル、デュルケーム、ベルクソンの社会思想史』(講談社選書メチエ/2011) ほか。

はじめに──問題の設定と本書の構成
第一章 ドレフュス事件
 1 「事件」の事実経過
 2 エミール・ゾラ──人間の社会的生の事実を見据え国家の虚偽を暴く者
 3 エミール・デュルケーム──近代実証主義社会学の創始者
 4 国家の道具性と社会の人間性
第二章 永井荷風 I──生い立ち〜渡米〜渡仏
 1 洋行前
 2 アメリカ体験──事実としての普遍性への接近
 3 フランス体験──経験的普遍性の獲得
第三章 大逆事件
 1 「事件」の事実経過──幸徳秋水を中心に
 2 幸徳秋水──人間の社会的生の事実を見据え国家の虚偽を暴く者、再び
第四章 永井荷風 II──帰朝〜大逆事件〜太平洋戦争〜敗戦
 1 帰朝後の永井荷風とその時代──『断腸亭日乗』より
 2 社会と人間──永井荷風の社会思想
結論──日本「社会」
★2015.5.27 (No.389) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『涙のあとは乾く』
(講談社/単行本/キャサリン・ジェーン・フィッシャー/2015.5)

日本で起きたレイプ被害者が実名・写真を公開して綴る、正義を求めた12年の勇気ある闘い!深い感動に包まれるノンフィクション自伝。

2002年4月5日、神奈川県横須賀市で、キャサリン・ジェーン・フィッシャーは当時米海軍航空母艦キティホークの乗組員だったディーンズという男に強姦された。フィッシャーは被害者でありながら神奈川県警から屈辱的な取り調べを受けた。さらに、同年7月、横浜地検は理由を明らかにしないまま加害者のディーンズを不起訴処分にした。その後、フィッシャーはディーンズに損害賠償を請求する民事訴訟を起こし、2004年11月に東京地裁で勝訴判決(暴行認定、被告に300万円支払いを命じた)を勝ち取るが、ディーンズは審理中に名誉除隊し帰国した。その後のディーンズの所在がわからず、賠償金は支払われないままとなった。2012年5月、フィッシャーはディーンズが住む米国ウィスコンシン州ミルウォーキーのウィスコンシン郡巡回裁判所に、2004年11月の東京地裁判決の履行を求めて提訴し、2013年10月15日、勝訴の判決を得た。さらに日本での民事訴訟の審理中に米軍がディーンズに指示をして帰国させたということも、米国での裁判の過程で明らかになった。この判決は性暴力事件に対する外国判決を容認し、執行した米国で初めての判例であるとされる。強姦、セカンドレイプ、日米地位協定の実態を抉る驚愕のノンフィクション自伝! 公正な裁きを求めて財産も家も失いながら闘い続けた顛末が、一切包み隠すことなく綴られた感動と勇気の書!(「近刊情報」より)

著者・キャサリン.ジェーン・フィッシャー・・・オーストラリア・パース出身。1980年代に来日。以来日本在住。2002年4月、神奈川県横須賀で米空母キティホーク所属の米兵にレイプされ、駆け込んだ神奈川県警で“セカンドレイプ”にあい、深刻なPTSD(心的外傷後ストレス)におちいる。本書は、日米地位協定により審理中にアメリカに帰国した犯人を追い詰め、日米双方の裁判所で「正義」を勝ち取った勇気と感動のノンフィクション自伝。現在はシングルマザーとして子育てをしつつ、国際的な性犯罪被害者支援のNGOと交流を重ね、啓蒙活動に取り組む。日本社会にいまだ無い、24時間体制のレイプ緊急センターの設立をめざす。
★2015.5.20 (No.388) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『FBIプロファイラーが教える「危ない人」の見分け方』
(河出書房新社/単行本/ジョー・ナヴァロ&トニ・シアラ・ポインター/2015.5)


「誰でもよかった」と人をはね、「人を殺してみたかった」と殺人者になる──
恐ろしい事件が起きるたびに、「なぜあの人が?」と話される事の多い世の中。
人を平気で傷つける人物に共通して見られる特徴とは何か?
FBIプロファイラーが「危ない人」の見極め方を徹底解説。
危ない人物を見分けるためのチェックリストも掲載。

著者・ジョー・ナヴァロ・・・25年にわたってFBIスパイ防止活動特別捜査官を務め、ノンバーバル・コミュニケーション専門のスーパーバイザーとして活躍。著書に 『FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学』(河出書房新社/2011)がある。

著者・トニ・シアラ・ポインター・・・ライター・編集コンサルタント。出版業界で25年以上のキャリアをもつ。

【目次より】
はじめに──この本を書いた理由と、この本の使い方
1「私が世界の中心だ」──ナルシシスト
2「好き、嫌い、でも愛して」──情緒不安定
3「誰も、何も、信じない」──パラノイア
4「すべては俺のためにある」──プレデター
5 最悪のモンスター──混じり合った人格
6 危険な人格から身を守るには
★2015.5.13 (No.387) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『名作裁判 あの犯人をどう裁く? 』
(ポプラ新書/森炎/2015.3)


『異邦人』『模倣犯』『羊たちの沈黙』『悪人』など犯罪をテーマにした名作文学や名作映画たち。もしそこに登場する犯罪者たちが実際に逮捕されたとして、あなたはその犯人がどのように裁かれ、どのような判決を受けるか、想像できますか? 本書で、誰もが名前くらいは聞いたことのある15の名作を題材に元裁判官が実際に犯人に判決を下していきます。刑事裁判における罪の裁き方を知ると同時に人が人を裁くとはどういうことかを考えられる一冊です。

著者・森炎(もり・ほのお)・・・1959年、東京都生まれ。東京大学法学部卒。東京地裁、大阪地裁などの裁判官を経て、弁護士(東京弁護士会所属)。著者の他の著書・・・『死刑肯定論』(ちくま新書/2015) / 『司法権力の内幕』(ちくま新書/2013)など多数。

○もくじ
まえがき ・・・・・・3
1.ラスコーリニコフを裁く(ドストエフスキー『罪と罰』) ・・・・・・18
2.「ふつうの殺人」とは何か(ロバート・ワイズ『ウエスト・サイド物語』) ・・・・・・33
3.湖上のボート転覆は事故か偽装殺人か(ジョージ・スティーヴンス『陽のあたる場所』) ・・・・・・44
4.「太陽のせい」で人を殺したら、果たして……(カミュ『異邦人』) ・・・・・・57
5.華麗なる死体亡き殺人事件の結末(ルネ・クレマン『太陽がいっぱい』) ・・・・・・70
6.アリバイなき殺人容疑と完全犯罪(ルイ・マル『死刑台のエレベーター』) ・・・・・・83
7.無頼派不良の考えなしの警官殺しは死刑か(ジャン=リュック・ゴダール『勝手にしやがれ』) ・・・・・・97
8.男女関係のもつれによる殺人は軽いか重いか(スタンダール『赤と黒』) ・・・・・・106
9.マフィア、暴力団にかかわるバイオレンス殺人(フランシス・フォード・コッポラ『ゴッドファーザー』) ・・・・・・119
10.未成年の凶悪犯罪はどう裁かれるか(アーサー・ペン『俺たちに明日はない』) ・・・・・・130
11.ハンニバル・レクター博士と責任能力(ジョナサン・デミ『羊たちの沈黙』) ・・・・・・140
12.同情すべき殺人の刑罰はどこまで下がるか(東野圭吾『容疑者Xの献身』) ・・・・・・153
13.「決定的な一言」は本当に決定的な証拠になるか(宮部みゆき『模倣犯』) ・・・・・・164
14.それほど悪人とは思えない凶悪犯の扱い(吉田修一『悪人』) ・・・・・・176
15.主人公「青豆」は死刑になる運命にあり(村上春樹『1Q84』) ・・・・・・188
あとがき ・・・・・・200

★2015.5.6 (No.386) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『殺人者 戦慄の発言集』
(鉄人社/単行本/鉄人ノンフィクション編集部/2015.3)


人の心に大きな影響を及ぼす名言・格言は数多いが、大きな功績を残した偉人のものばかりではない。「殺人」という一線を越えた行為を働いた人間もまた、 彼ら独特の論理で印象深い言葉を口にしている。 犯行の動機、殺人の瞬間、裁判の過程、死刑の寸前。そのとき殺人者は何を思い、何を語ったのか。

酒鬼薔薇聖斗、アンドレイ・チカチーロ、宅間守、ユ・ヨンチョル、 都井睦雄、エド・ゲイン、西口彰、フレデリック・ウェスト、梅川照美、リチャード・ラミレス、アーサー・ショウクロス、関根元、吉田純子、アイリン・ウォーノス、造田博、マリウシュ・ブレイビクetc

犯罪史に名を刻む111人による負の発言集!

★2015.4.29 (No.385) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『九州大学生体解剖事件 七〇年目の真実』
(岩波書店/単行本/熊野以素/2015.4)


軍の命令か、医の倫理の逸脱か。終戦直前の1945年春、名門大学医学部で行なわれたおぞましい「実験手術」により、米軍捕虜8人が殺された。当時、医学部第一外科の助教授であった鳥巣太郎は、この生体実験手術に抵抗し、4回あった手術のうち参加したのは最初の2回(正確には1回半)であった。しかし、戦後に行なわれた「横浜裁判」で、首謀者の1人として死刑判決を受けた。鳥巣は苦悩の末、死を受容する心境に達したが、鳥巣の妻・蕗子は様々な妨害をはねのけ、再審査を請求し、減刑を勝ち取った。本書は、鳥巣の姪である著者が、膨大な戦犯裁判記録のほか、知られざる再審査資料、親族の証言などを基に、語り得なかったその真実を明らかにするものである。医師たちの戦争犯罪、その首謀者として死刑判決を受けた鳥巣太郎氏の姪が、知られざる真実を明らかにする。

目次

第1章 生体実験(九大医学部第一外科「捕虜は適当に処置せよ」これは実験手術だ)
第2章 告発(敗戦 告発 逮捕 西部軍と医学部の共同行為としての生体実験)
第3章 B級戦犯裁判「九大生体解剖事件」(巣鴨プリズン 救援活動 裁判開始 スケープゴート 被告人証言 死刑判決)
第4章 再審査(再審査の闘い 死と向き合って 対決 減刑)
終章 伯父と私


関連書籍&DVD・・・
『汚名 九大生体解剖事件の真相』(文藝春秋/東野利夫/1979)
『生体解剖 九州大学医学部事件』(毎日新聞社/上坂冬子/1980)
『海と毒薬』(新潮文庫/遠藤周作/1960)
『海と毒薬』(DVD/監督・熊井啓/出演・奥田瑛二&渡辺謙ほか/2001)
★2015.4.22 (No.384) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実』
(早川書房/単行本/リチャード・ロイド・パリー他/2015.4)


あの蒸し暑い夏の夜、彼女は東京の路上から永遠に消えた――。
2000年7月、六本木でホステスとして働いていた元英国航空の客室乗務員ルーシー・ブラックマン(21歳)が、突然消息を絶った。失踪当初から事件を追い続けた英紙『ザ・タイムズ』の東京支局長が日英豪関係者への10年越しの取材で真相に迫る。滞日20年、日本を知り尽くした著者にしか書き得なかった底知れぬ闇とは? 複雑に絡み合う背景を丹念に解きほぐして「文学」にまで昇華させ、海外で絶賛を浴びた犯罪ノンフィクション。著者が事件現場のその後を訪ねる日本版あとがき収録。


関連ページ・・・戦後の主なバラバラ殺人事件 → 織原城二事件(ルーシー・ブラックマン事件)

関連書籍・・・
『ルーシー事件の真実』(飛鳥新社/ルーシー事件真実究明班[編]/2007)
『ルーシー事件 闇を食う人びと』(彩流社/松垣透/2007)
『刑事(デカ)たちの挽歌 警視庁捜査一課「ルーシー事件」ファイル』(財界展望新社/高尾昌司/2010)
★2015.4.15 (No.383) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『昭和、平成秘録 “憂国”事件の男たち』
(青志社/単行本/大下英治/2015.4)


内容紹介

撃つ!諭す!潰す!
当事者が初めて語った!
政財界のドンたちを震え上がらせた数々の右翼事件
その闇に初めて切り込んだ迫真の問題作!

河野一郎邸焼き討ち事件
経団連会館襲撃事件
稲川会、大行社結成
ハマコー攻撃事件
住友不動産会長邸立て籠もり事件
竹下登へ日本皇民党ほめ殺し事件
中曽根元首相暗殺未遂事件
本島長崎市長銃撃事件
訪朝金丸信襲撃事件
野村秋介、朝日新聞で自決事件
武富士をめぐる大行社VS山口組
読売のドン、ナベツネ巨人軍追放事件

わたしは、左であれ、右であれ、反権力的なはみ出さんばかりのエネルギーを秘めた人物について取り組み描きつづけている……。
今回、昭和、平成に世を震撼させた数々の右翼事件の当事者に会い、取材し、これまで決して口を開くことのなかった真相について初めて赤裸々に語ってもらった……。

――まえがきより

著者・大下英治(おおした・えいじ)・・・1944 年広島県に生まれる。1歳のとき被爆。父を失う。苦学の末、広島大学文学部仏文科を卒業。大宅壮一マスコミ塾第七期生。1970 年、『週刊文春』特派記者いわゆる“ トップ屋” として活躍。圧倒的な取材力から数々のスクープをものにする。月刊『文藝春秋』に発表した『三越の女帝・竹下みちの野望と金脈』が大反響を呼び、三越・岡田社長退陣のきっかけとなった。1983 年、『週刊文春』を離れ、作家として独立。政治、経済、芸能、闇社会まで幅広いジャンルにわたり旺盛な執筆活動を続ける。『小説三越・十三人のユダ』、『美空ひばり 時代を歌う』、『実録田中角栄と鉄の軍団』、『巨頭 孫正義』、『田中角栄秘録』、小社から『小泉純一郎「原発ゼロ」戦争』『日本最大の総会屋「論談」を支配した男』『昭和、平成 震撼「経済事件」闇の支配者』『稲川聖城 石井隆匡二人の首領』などを刊行。著作は400 冊以上に及ぶ。

【目次】
まえがき 雅が、人を撃つ
第一章 凶暴なる序章
第二章 諭す、潰す
第三章 撃つこと否にあらず
第四章 自決と結実
第五章 義を貫く
第六章 ”憂国”の矜持
終 章 進むべき道
★2015.4.8 (No.382) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『死者の軍隊(上) 連合赤軍の彼方に』
(彩流社/単行本/金井広秋/2015.4)


『死者の軍隊(下) 連合赤軍の彼方に』(仮)
(彩流社/単行本/金井広秋/2015.5)
・・・予約受付中

戦後事件史 最大の悲劇!
連合赤軍事件を克明に描くノンフィクション・ノベル

著者・金井 広秋・・・1948年、群馬県生まれ。1964年 前橋高等学校入学。1968年 慶應義塾大学文学部入学。1969年から1971年にかけて最後の時期の三田新聞の編集にかかわった。1980年、慶應義塾大学大学院博士課程修了(日本近代文学)。2014年3月まで慶應義塾高等学校教諭(国語科)。


関連ページ・・・連合赤軍あさま山荘事件
★2015.4.1 (No.381) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『マーシーの薬物リハビリ日記』
(泰文堂/単行本/田代まさし/2015.3)


人気絶頂から覚醒剤で3度の逮捕! 計7年の刑務所暮らしへ。

現在、「薬物依存症」のリハビリ施設に通いながら、薬物体験者として、
全国の講演会などで「薬物の本当の怖さ」を訴えている田代まさし。
そんな田代まさしが、自身の薬物体験、ミニにタコ事件の真相、逮捕から刑務所生活、
現在の薬物依存症のリハビリの日々までを、赤裸々に綴った初のコミックエッセイ! !

なぜ人気絶頂だったマーシーは「薬物」に手を染めてしまったのか?
なぜ復帰後もマーシーは「薬物」をやめることができなかったのか?

著者の他の著書・・・『審判』(創出版/2009) / 『自爆 THE JUDGEMENT DAY』(ケイツー出版販売/2002) / 『田代まさしの道徳読本』(講談社/1988)など。

第1章:人気絶頂から地獄の「転落人生」へ
第2章:世にも奇妙! ?な「刑務所」の日々
第3章:「薬物依存症」のマーシーです! リハビリの日々
★2015.3.25 (No.380) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『ハイジャック犯は空の彼方に何を夢見たのか』
(亜紀書房/単行本/ブレンダン・I・コーナー/2015.3)


アメリカでは社会の閉塞感を背景に、1961年からの11 年間に159 件のハイジャックが発生した。犯人たちは何を求めて凶行に及び、何を手に入れ、そしてどうなったのか。 劇的なハイジャックを成功させ国外へ逃亡した黒人帰還兵と白人女性のカップルは、その後運命のいたずらでブラックパンサーに深く関わり、フランスへ逃れ、やがて別れる。 彼らのドラマチックな物語を中心に、数々の事件の顛末と多彩な手口、またハイジャック防止のための規制をめぐる当局と航空業界のせめぎ合いを、スリリングに描きだす傑作ノンフィクション! ひとは何を求めて“テロリスト"になるのか!?

著者・ブレンダン・I・コーナー・・・『New York Times』『Slate』元コラムニストで、『Wired』誌の寄稿編集者。コロンビア・ジャーナリズム・レビューの「新進若手ライター10人」に選ばれる。著書に『Now the Hell will Start』がある。
★2015.3.18 (No.379) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『古地図に憑かれた男 史上最大の古地図盗難事件の真実』
(青土社/単行本/マイケル・ブランディング/2015.3)


その日、イェール大学である男が捕まった。アメリカでも屈指の古地図ディーラーであるエドワード・フォーブス・スマイリー三世。彼は、長い間、その社会的な地位を利用し、アメリカ国内だけでなく海外の図書館や博物館から人類の遺産ともいうべき古地図を盗みだしていた。なぜ彼は地図を盗んだのか、なぜ彼は古地図に魅せられたのか。めくるめく古地図の世界を紹介しながら、稀代の古地図泥棒スマイリーの人生の謎にせまる渾身のドキュメント。口絵カラー図版16頁。
★2015.3.11 (No.378) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『止まった時計 麻原彰晃の三女・アーチャリーの手記』
(講談社/単行本/松本麗華/2015.3)


オウム真理教が起こした地下鉄サリン事件から20年。あの頃、教祖・麻原彰晃の後継者としてメディアを賑わせた、ひとりの女の子を覚えているだろうか。アーチャリー正大師、当時11歳。社会から隔絶された地に育った彼女は、父の逮捕後も、石もて追われ、苦難の道を歩んだ。アーチャリーとしてではなく、松本麗華として、これまで歩んできた「オウム」「父」「わたし」のすべてを明かすことに決めた。本書は、父の逮捕の日から止まっていた時計を、自らの手で動かそうとする苦闘の記録である。

著者・松本麗華・・・1983年4月、オウム真理教の教祖・麻原彰晃と松本知子の三女として生まれる。1995年に父が逮捕された後は、唯一の「正大師」としてさまざまな問題に巻き込まれていく。その後、教団から離れ、文教大学に入学、心理学を学ぶ。現在も心理カウンセラーの勉強を続けている。

関連ページ・・・オウム真理教
★2015.3.4 (No.377) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『我、逆探知に成功せり』
(幻冬舎/単行本/志村勲/2015.2)


1981年、山梨県で起こった一つの誘拐事件。日本で初めて逆探知によって誘拐犯を追い詰め解決した事件の全貌が、今明らかになる。ある誘拐事件にかかわった逆探知チームがその後の「捜査」を変えた!

著者・志村勲・・・1953年8月生まれ。山梨県出身。高校卒業後、日本電信電話公社に入社。現在、株式会社NTT東日本‐南関東に勤務。

日本で初めて逆探知によって誘拐犯を追い詰め解決した事件→山梨主婦誘拐殺人事件・・・1981年(昭和56年)7月22日、山梨県北巨摩郡武川村で、株に失敗して借金を抱えた甲府林務所職員(当時36歳)が、旧家の三沢教子(58歳)を誘拐し、クロロホルムを嗅がせ布団をかぶせぐるぐる巻きに縛って殺害。身代金5000万円を要求するが、逆探知で逮捕された。1審で確定的殺意ではなく「未必の故意」による殺人と認定され無期懲役が確定した。
★2015.2.25 (No.376) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『切り裂きジャック 127年目の真実』
(KADOKAWA/単行本/ラッセル・エドワーズ/2015.2)

1888年にロンドンを震え上がらせた連続猟奇殺人「切り裂きジャック」事件。
5人の売春婦をバラバラにし、犯行予告を新聞社に送りつけながら迷宮入りしていた。
最先端の科学技術が歴史を遡り、真犯人に迫る!


関連ページ・・・海外の事件
★2015.2.18 (No.375) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『進化する中国系犯罪集団』
(PHP新書/一橋文哉/2015.1)


危険ドラッグや振り込め詐欺など、多くの犯罪にいまだ撲滅の道が見えないのは、それらの多くに中国系犯罪集団が関与しているためである。彼らは大陸からの豊富な資金・人脈を駆使し、知能犯罪を繰り返して、土地やカネといった日本の富を強奪し続けている。本書では、事件ジャーナリストの泰斗が、中国系半グレ集団「龍グレ」の実態を、丹念な取材と周辺調査を元に明らかにしていく。暴走族出身の武闘派集団「半グレ」の歴史から、現在まさに日本を脅かしている危険ドラッグ製造や土地の買い占め、会社偽装まで。現在ここにある危機をあぶりだす、戦慄のルポルタージュ!

著者・
一橋文哉・・・1954年生まれのジャーナリスト。本名・広野伊佐美(ひろの・いさみ)。ペンネームは元『毎日新聞』記者・『サンデー毎日』副編集長であったことから一ツ橋に本社がある毎日新聞社の記者→「一ツ橋のブン屋」→「一橋文哉」とした。昭和から平成の大事件に関する次のような著書がある。『闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相』 / 『三億円事件』 / 『オウム帝国の正体』 / 『宮崎勤事件 塗り潰されたシナリオ』 / 『「赤報隊」の正体 朝日新聞阪神支局襲撃事件』 (共に新潮社) / 『餃子の王将社長射殺事件』(角川書店)

第1章 蠢動―六本木の危険な兆し
第2章 浮上―半グレ界を制す怒羅権
第3章 暗闘―変貌を遂げた黒社会
第4章 侵食―日本の食を貪る中国
第5章 標的―先兵が狙う獲物と復讐
★2015.2.11 (No.374) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『カミーラと呼ばれた230日』
(東京図書出版/単行本/雨宮洋子&雨宮正明/吉岡正和[編]/2015.2)


極限状態を彼女はいかに生き抜いたのか?  またその時息子達はどう行動したのか?  身代金目的で2002年11月17日に誘拐され、2003年7月4日に生還した在ベネズエラ日本人とその息子の苦闘の記録。
★2015.2.4 (No.373) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

全柔連「騒擾の一年」の記録
(東京図書出版/単行本/加藤英樹/2015.1)


2013年、東京五輪招致活動のさなかメディアを賑わした「全柔連の一連の不祥事」事件。メディア報道の嵐の中、全柔連内部からはどう見えていたのか。当時の事務局職員の記録から辿る全柔連のもうひとつの「騒擾の一年」。女子ナショナルチームにおける暴力的指導問題が社会事件化していく過程。続いてメディア報道された「助成金問題」に対する第三者委員会と全柔連の対応。「全柔連の一連の不祥事」事件が社会に提起した問題の深層。

著者・加藤英樹・・・1949年、大分県(津久見市)生まれ。一橋大学(法学部)卒業後「旭化成工業株式会社」入社。2002年、日本社会事業学校(研究科)卒業後「社会福祉法人ロングライフ小諸」入職(介護老人福祉施設勤務生活相談員)。2009年、「財団法人全日本柔道連盟」入職(事務局参与)、世界柔道選手権2010東京大会の開催準備(大会事務局次長)、公益財団法人への移行等の業務に携わり、2014年1月に退職。


目次

第1部 「全柔連の一連の不祥事」事件の事実経過(「全柔連の一連の不祥事」問題の経過(まとめ)(平成25年10月18日)
「暴力的指導問題」の経過(備忘メモ):なぜここまで社会問題になったのかの検証のために(平成25年4月18日)
理事会での監事団による報告の内容:「全柔連一連の不祥事について(執行部らの責任の考察)」(平成25年8月21日))
第2部 「振興センター助成金問題に関する第三者委員会」への疑問(平成25年10月18日)(平成26年8月21日追記)(指導者個人助成金問題の本質
第三者委員会Y委員長への疑念
指導者の受給資格判定についての疑問
「最終報告書」全体の印象)
第3部 その後の全柔連:「指導者個人助成金問題」に関する全柔連内部通報事案の顛末(平成26年7月30日)(指導者個人助成金問題に関する内部通報事案の経過(平成26年7月30日)
山口香氏の指導者個人助成金問題への関わりについて(内部通報書面の内容)(平成25年12月4日)
全柔連からの回答に対する追加質問・意見等(平成26年1月29日)
全柔連に対する質問について(平成26年4月3日)
全柔連執行部・山口監事のメディアへのコメント内容についての意見(平成26年4月18日)
指導者個人助成金問題の実態(個人単位での分析結果)(平成26年7月3日)
「柔道MINDプロジェクト」について(意見)(平成26年7月3日))
★2015.1.28 (No.372) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』
(文藝春秋/単行本/ロレッタ・ナポリオーニ/池上彰[解]/2015.1)


アルカイダの失敗は、アメリカというあまりに遠い敵と第二戦線を開いたことにあった。バグダッド大学で神学の学位をとった一人の男、バグダディはそう考えた。英米、ロシア、サウジ、イラン、複雑な代理戦争をくりひろげるシリアという崩壊国家に目をつけた、そのテロリストは国家をつくることを目指した。領土をとり、石油を確保し、経済的に自立。電力をひき、食料配給所を儲け、予防接種まで行なう。その最終目標は、失われたイスラム国家の建設だと言う。

著者・ロレッタ・ナポリオーニ (Loretta Napoleoni )・・・1955年、ローマ生まれ。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で国際関係と経済学の修士号、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで哲学修士号を取得。ハンガリー国営銀行に就職、通貨フォリントの兌換通貨化を達成、そのスキームは、後にルーブルの兌換通貨化にも使われる。北欧諸国政府の対テロリズムのコンサルタントを務め、各国の元首脳が理事をつとめる民主主義のための国際組織「Club de Madrid」の対テロファイナンス会議の議長も務める。

解説・池上彰・・・1950年、長野県生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学卒業後、NHK入局。記者やキャスターを歴任し2005年に退職。2012年より東京工業大学教授。主な著書・・・『池上彰の「経済学」講義 歴史編 戦後70年 世界経済の歩み』(角川マガジンズ/2014) / 『新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方』(文春新書/2014)など多数。

目次

中東の地図を塗り替える
序章 「決算報告書」を持つテロ組織
第1章 誰が「イスラム国」を始めたのか?
第2章 中東バトルロワイヤル
第3章 イスラエル建国と何が違うのか?
第4章 スーパーテロリストの捏造
第5章 建国というジハード
第6章 もともとは近代化をめざす思想だった
第7章 モンゴルに侵略された歴史を利用する
第8章 国家たらんとする意志
終章 「アラブの春」の失敗と「イスラム国」の成功
★2015.1.21 (No.371) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『日本軍は本当に「残虐」だったのか 反日プロパガンダとしての日本軍の蛮行』
(ハート出版/単行本/丸谷元人/2014.12)

「従軍慰安婦」「南京大虐殺」の次は「人肉食」に「捕虜虐待」!? 私たち日本人の誇りと先人たちの名誉を傷つけるため、次々と繰り出される、世界的な反日プロパガンダ。この終わりなき戦いに、気鋭のジャーナリストが挑む──

反日プロパガンダの嘘を正面から論破せよ!! 「黙っていることは、相手が正しいと認めること」 これが、世界の“常識"である──

著者・丸谷元人(まるたにはじめ)・・・1974年生まれ。オーストラリア国立大学卒業。同大学院修士課程中退。オーストラリア国立戦争記念館の通訳翻訳者を皮切りに、長年、通訳翻訳業務に従事。現在は、講演や執筆活動、テレビ出演などもこなす、国際派ジャーナリストとして活躍中。また、パプアニューギニアを始めとする海外での事業展開のほか、コーディネーターとして海外大手テレビ局の番組制作や書籍の出版などにも参加し、2008年に制作した戦争ドキュメンタリー番組『Beyond Kokoda』は、地元オーストラリアで数々の賞を受賞した。他の著書に『ココダ 遙かなる戦いの道』(ハート出版/2012) / 『日本の南洋戦略 南太平洋で始まった新たなる〈戦争〉の行方』(ハート出版/2013)がある。

目次

第一章 全米ベストセラー『アンブロークン』の何が問題なのか
第二章 誰がプロパガンダを仕掛けるのか
第三章 世界で日本を売る人々
第四章 捕虜虐待をめぐる問題
第五章 連合軍による戦争犯罪
第六章 今こそ世界に「正しい」反論を
第七章 品位と誇りある日本を作るために
★2015.1.14 (No.370) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『虚偽自白はこうしてつくられる  狭山事件・取調べ録音テープの心理学的分析』
(現代人文社/単行本/浜田寿美男/2014.12)


石川一雄さん(再審請求人)は、取調べ過程で自白し、裁判でも自白を維持した。あらたに開示された取調べ録音テープに石川さんと捜査官との実際のやりとりが克明に記録されていた。この記録から、石川さんはなぜ自白したのか、この自白は「真犯人の自白」なのか、それとも「無実の人の虚偽自白」なのかを明らかにする。

著者・浜田寿美男・・・香川県生まれ。京都大学大学院文学研究科(心理学)博士課程単位取得後退学。花園大学助教授、教授、奈良女子大学教授。2009年、定年退任、名誉教授。立命館大学特別招聘教授。主な著書・・・『<子どもという自然>と出会う』(ミネルヴァ書房/2015) / 『「私」とは何か』(講談社選書メチエ/1999)など多数。

<目次>

はじめに

序章 事件と裁判と、そして供述鑑定と
第1章 供述の判断・分析をめぐる2つの考え方
第2章 1986年意見書と裁判所の判断に見る検証枠組の検討
第3章 虚偽自白過程論と録音テープ分析の着眼点
第4章 録音テープの心理学的分析 5つの着眼点から
第5章 石川さんの自白は無実の人の虚偽自白である


関連ページ・・・狭山事件
★2015.1.7 (No.369) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『捏造の科学者 STAP細胞事件』
(文藝春秋/単行本/毎日新聞科学環境部 須田桃子/2014.12)


はじまりは、生命科学の権威、笹井氏からの一通のメールだった。ノーベル賞を受賞したiPS細胞を超える発見と喧伝する理研の記者会見に登壇したのは、若き女性科学者、小保方晴子。発見の興奮とフィーバーに酔っていた取材班に、疑問がひとつまたひとつ増えていく。「科学史に残るスキャンダルになる」STAP細胞報道をリードし続けた毎日新聞科学環境部。その中心となった女性科学記者が、書き下ろす。

【目次】

第一章 異例づくしの記者会見
笹井氏から「絶対に来るべきです」とのメールを受け取り、発表会見へ

第二章 疑義浮上
発表から二週間で、論文には様々な指摘が

第三章 衝撃の撤回呼びかけ
テラトーマ画像とTCR再構成。この二つが崩れた

第四章 STAP研究の原点
奇妙な実験を繰り返すバカンティ氏。彼の論文が全てのはじまりだった

第五章 不正認定
他細胞の混入・すり替えの可能性を示唆する解析結果が。事態は深刻さを増していく

第六章 小保方氏の反撃
小保方・笹井両氏が相次いで会見。その中、私は残存試料の取材を進めていた

第七章 不正確定
CDB自己点検検証委員会の報告書案を入手。そこから見えた事件の背景とは

第八章 存在を揺るがす解析
STAP細胞の遺伝子データが解析された。その結果はSTAP=ES細胞説を強く支持するものだった

第九章 ついに論文撤回
小保方氏立ち会いの再現実験に批判が高まる中、私たちは竹市センター長と面会した

第十章 軽視された過去の指摘
過去のSTAP論文の査読資料を独自入手。そこでは既に、ES細胞混入の可能性が指摘されていた

第十一章 笹井氏の死とCDB「解体」
笹井氏の一言ではじまったこの取材。それ以降、私は約四十通のメールを受け取っていた

第十二章 STAP細胞事件が残したもの
「シェーン事件」との比較から見えてくる、本事件の特徴と本質とは(「近刊情報」より)


関連書籍・・・
『STAP細胞に群がった悪いヤツら』(新潮社/小畑峰太郎/2014)
『背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?』(講談社/ウイリアム・ブロード他/2014)
★2014.12.31 (No.368) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

「『宅間守精神鑑定書』を読む」
(言視舎/飢餓陣営せれくしょん/単行本/2014.12)


大阪教育大学付属池田小学校事件・加害者の精神鑑定書について、鑑定人をまじえ可能な限り多様なアプローチを試みる。「理解し難さ」の根源に、医療と司法のせめぎ合い、現代社会における「人格障害」の位置づけ等、多くの課題を見出す。

関連書籍・・・ 『宅間守精神鑑定書』(亜紀書房/岡江晃/2013)
関連ページ・・・
大阪池田小児童殺傷事件
★2014.12.24 (No.367) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『世界一騙されやすい日本人 演技性パーソナリティ時代の到来』
(ブックマン社/単行本/和田秀樹/2014.12)


自分が注目の的になっていないと楽しくない。他者とのやりとりは、不適切なほど性的に誘惑的、挑発的。浅薄で、すばやく変化する感情表出。適度に印象的だが、内容のない話し方…。知的な人間よりも、演技性を持ち合わせた人間のほうが騙す能力に長けている!? なぜ「演技性人間」が増えたのか? あなたは今日も騙されている! 小保方氏、佐村河内氏、野々村氏など過剰な演技をする人が増えたのは何故か? 精神科医が演技性と思われる実例から社会の病巣を暴く。

著者・和田秀樹・・・1960年、大阪府生まれ。日本神経学会認定医、臨床心理士、日本精神分析学会認定精神療法医、日本内科学会認定内科医、日本精神神経学会精神科専門医。東京大学医学部卒業後、東京大学附属病院精神神経科助手、アメリカ・カールメニンガー精神医学校国際フェロー等を経て、国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長。専門は老年精神医学、精神分析学、集団精神療法学。他の著書・・・『感情的にならない本』(新講社ワイド新書/2013) / 『自分は自分 人は人』(新講社ワイド新書/2012)など多数。


目次

第1章 「演技性パーソナリティ」の時代とメディア・リテラシー
第2章 騙しの心理…「演技性パーソナリティ」 「自己愛性パーソナリティ」の本質を知る(あなたも「いいね!」が気になってはいないか?「演技性パーソナリティ」が増殖している理由
「自分は特別な才能に満ち溢れているのに、周囲が馬鹿ばかりで、誰もわかってくれない」と思う病 ほか)
第3章 だからあなたは、今日もテレビと新聞に騙される!(身なりのきちんとした人は「エリート」だと思い込み、風貌のおかしな人は「芸術家」だと思い込む
「大学教授」「元官僚」という肩書きを信用し過ぎてはいないか? ほか)
第4章 その医療・健康情報に騙されてはいませんか?(医者は患者にどう説明するのが正しいか?
都合の悪い数字は医者も製薬会社も隠す ほか)

★2014.12.17 (No.366) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『ペテン師と天才 佐村河内事件の全貌』
(文藝春秋/単行本/神山典士/2014.12)

18年間、ゴーストライターを務めた新垣隆の懺悔告白によって暴かれた、何重にも嘘に塗り固められた佐村河内守の虚飾の姿。二人の奇妙な共犯関係はなぜ成立し、誰もが騙され続けたのか。テレビ、新聞、出版、音楽業界…あらゆるメディアを巻き込んで繰り広げられた壮大なペテンの真相に迫った渾身のノンフィクション。クラシック業界の恐るべき闇を告発する渾身のルポ。

著者・神山典士(こうやまのりお)・・・1960年、埼玉県入間市生まれ。1984年、信州大学人文学部心理学科卒業。1996年、『ライオンの夢コンデ・コマ=前田光世伝』で小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞し、デビュー。2014年、週刊文春(2月13日号)に発表した佐村河内守のゴーストライター新垣隆氏への独占インタビュー記事「全聾の作曲家はペテン師だった!」で第45回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞。こうやまのりお名義で児童書も執筆。他の著書・・・ 『新・世界三大料理 和食はなぜ世界料理たりうるのか』(PHP新書/2014) / 『不敗の格闘王 前田光世伝 グレイシー一族に柔術を教えた男』(祥伝社黄金文庫/2014)など多数。

目次

第1部 奇妙な出会い 二重人格 衝撃の告白(バランスの悪い会話
2013年の軋轢 その1 不協和音
2013年の軋轢 その2 大人は嘘つきだ
衝撃の告白)
第2部 二つの三角形 転機 メディアの饗宴(出会い 96年8月
とにかく大きなことをしでかしたい S極・野望に満ちた男
貧しくても好きな道を歩む幸せ N極・早熟な天才
交響曲第一番HIROSHIMA 最初の三角形の完成
二つ目の三角形の完成 障害児とのかかわり
メディアの狂宴
疑義まみれのNHKスペシャル)
第3部 説得 懺悔 虚構の上塗り(松本からのメール
謝罪と強弁 二つの記者会見
もう一人のゴーストライターを探せ
『ソナチネ』の行方は)
★2014.12.10 (No.365) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』
(朝日新聞出版/単行本/島沢優子/2014.12)


2013年に発覚した大阪の名門高校バスケ部キャプテンの自殺。17歳が死を選んだ理由は、顧問による体罰だけが原因なのか? 遺族や関係者への綿密な取材に基づき重大事件の真実と裏側に迫る衝撃のルポルタージュ。

著者・島沢優子・・・ノンフィクションライター。筑波大学体育専門学群卒業。英国留学を経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。スポーツ記者として、ラグビー、サッカー等を取材。1998年よりフリー。雑誌等で教育関係、スポーツノンフィクションを中心とした精力的な執筆活動を行っている。主な著書・・・『少年サッカーは9割親で決まる』(カンゼン/2014) / 『王者の食ノート』(小学館/2011) 著者のサイト・・・島沢優子ライター / フリーライター島沢優子のブログ

【目次】
序章 君は、なぜ逝ってしまったの?

第1章 固かった決意
・白い泡
・「有り得ないでしょ?嘘でしょ?」
・「お父さんみたいな父親になりたかった」
・辛すぎる索状痕――父の哀しみ
・最後の「おやすみ」――母の後悔

第2章 届かなかった声
・バスケで束ねられた家族
・渡せなかった手紙
・現れない顧問
・「指導ですか? 体罰ですか?」
・傷だらけの遺族
・疑念から失望へ
・嘘だらけの記者会見

第3章 混迷を裏切り
・真実を伝えたい
・壮絶な体罰動画
・嘘の自白
・事件の波紋
・笑い声が漏れ聞こえた焼香
・暴力と縁がなかった親子
・やりたくなかったキャプテン

第4章 急転した5日間
・最後のクラブノート
・心が壊れ始める
・翻弄された3日間「もうわけがわからないです」
・落胆「先生の考えがわからへん」
・担任についた嘘
・最期の日

第5章 なぜ救えなかったか
・法廷で兄をにらみつけた顧問
・死を選ばせた四つの外的要因
・うつ状態だった可能性
・なぜ止められなかったか
・温かい家庭ほど

第6章 体罰をする側の心の闇
・児童虐待と桜宮事件の共通構造
・無力感を埋めるべく純哉を支配した顧問
・体罰をなくす方法
・スポーツは社会を変えられる

終章 亡くなった子の歳を数えて
・卒業式の沈黙
・二つ違いなのに
★2014.12.3 (No.364) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『餃子の王将社長射殺事件』
(角川書店/単行本/一橋文哉/2014.11)


2013年12月19日早朝、王将フードサービスの社長・大東隆行氏が本社前で何者かに射殺された。1年経っても捕まらない真犯人とその黒幕を、関係者への極秘取材から明らかにする!


著者・一橋文哉・・・1954年生まれのジャーナリスト。本名・広野伊佐美(ひろの・いさみ)。ペンネームは元『毎日新聞』記者・『サンデー毎日』副編集長であったことから一ツ橋に本社がある毎日新聞社の記者→「一ツ橋のブン屋」→「一橋文哉」とした。昭和から平成の大事件に関する次のような著書がある。『闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相』 / 『三億円事件』 / 『オウム帝国の正体』 / 『宮崎勤事件 塗り潰されたシナリオ』 / 『「赤報隊」の正体 朝日新聞阪神支局襲撃事件』 (共に新潮社)

目次

序章 老婦人の告白
第1章 暁の銃弾
第2章 企業テロ
第3章 原点回帰
第4章 ブラック企業
第5章 創業家一族の闇
第6章 中国進出の罠
第7章 新華僑コネクション

★2014.11.26 (No.363) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『私記 白鳥事件』
(日本評論社/単行本/大石進/2014.11)


1952年、札幌の夜の雪道、公安警察官が射殺された。事件の襞に分け入り、時代を読み、実証を重ね真相を糾し、鎮魂を祈る。白鳥事件の紙の碑。

白鳥(しらとり)事件・・・1952年(昭和27年)1月21日夜、札幌市内の路上で市警警備課長の白鳥一雄(36歳)が拳銃で射殺された。その後、20人近い日本共産党員が芋づる式に検挙され、集中的な弾圧捜査が行なわれた。10月、共産党札幌委員会委員長の村上国治が逮捕され、2年10ヵ月の勾留後、殺人の共謀共同正犯で起訴された。このとき、他に2人、起訴されている。法廷では謀議の有無、伝聞証拠の違法性などが争われたが、最大の焦点は唯一の物証である遺体から摘出された弾丸と試射現場土中から発見された2発の弾丸が同一か、また、同一の拳銃から発射されたものであったかどうかということであった。土中に長時間埋没していたにもかかわらず試射弾には腐食割れがなく、また、3個の弾丸は線条痕(銃から発射された弾丸に付く線条の模様のことで、それぞれの銃にはそれ特有の線の模様が付く)が違うので1丁の拳銃から発射されたものなどではなく、物証の捏造が科学的に明らかになった。また、事件発生5ヶ月後、札幌信用組合元従業員の原田政雄が、首謀者は札幌信用組合理事長の佐藤英明、実行者は拳銃殺人の前科がある東出四郎と公表したが、別件で逮捕された佐藤は保釈中の1952年(昭和27年)12月23日、黒い疑惑の中で自殺してしまった。1957年(昭和32年)5月、札幌地裁は村上に無期懲役の判決を下した。1960年(昭和35年)6月、札幌高裁で懲役20年の判決。1963年(昭和38年)10月、最高裁で上告を棄却し、懲役20年の刑が確定した。その後、村上は無実を訴えて、1965年(昭和40年)10月に再審請求を起こした。だが、1969年(昭和44年)、棄却。1971年(昭和46年)7月、異議申し立て棄却。1975年(昭和50年)5月、最高裁で特別抗告棄却となった。しかし、この間、ひとつの成果を残した。従来、再審の開始は“開かずの門”とされてきたが、この条件を「疑わしいときは被告人の利益に」の刑事裁判の原則を適用し、確定判決の事実認定の中に合理的な疑問があれば開始してよいというレベルに緩和する判例を引き出したことである。以降、弘前事件、米谷事件、財田川事件、島田事件、松山事件などの再審への道を開くこととなった。

著者・大石進・・・1935年、東京生まれ。『法律時報』編集長等を経て1980年〜2008年、日本評論社社長・会長。浙江大学亞法研究中心名誉教授・三鷹事件再審を支援する会代表世話人。

目次

序 章 事件を素描する

第一部 私史
第一章 中核自衛隊回想
第二章 四つの記憶

対談1 白鳥事件前後 辛昌錫氏に聞く

第二部 天誅ビラをめぐって
第三章 「見よ天誅遂に下る!」
第四章 活版印刷技術からの検証

対談2 昭和二〇年代活版印刷業における経営と技術 西村正彦氏に聞く

第三部 裁判・裁判官・裁判所
第五章 村上國治有罪判決への疑問
第六章 最高裁事務総局と三人の下級審裁判官
第七章 白鳥決定への途 岸盛一と團藤重光

第四部 現代史のなかで
第八章 それぞれの不幸
第九章 階級闘争としての白鳥事件

あとがき


関連書籍・・・
『網走獄中記 白鳥事件 村上国治たたかいの記録』(日本青年出版社/村上国治/1970)
『白鳥事件』(新風舎文庫/山田清三郎/2005)
『白鳥事件 偽りの冤罪』(同時代社/渡部富哉/2012)
『亡命者 白鳥警部射殺事件の闇』(筑摩書房/後藤篤志/2013)
★2014.11.19 (No.362) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『脱法ドラッグの罠』
(イースト新書/森鷹久/2014.10)


若者はなぜ脱法と快楽≠ノハマるのか?  2014年7月、厚生労働省と警察庁により「危険ドラッグ」と名称を改められた脱法ドラッグ。街で容易に入手でき、事件・事故が相次いでいるが、法規制をくぐりぬけ、十数回モデルチェンジを繰り返し進化した脱法ハーブは、覚せい剤よりも危険だとされている。このドラッグが若者中心に中高年まで関心を惹きつけている主な理由の一つはセックスでの快楽。問題を理解する鍵は、「脱法」という言葉にある。本書では、関連業者に取材を重ね、製造工場にまで潜入。初めて脱法ドラッグ問題の全貌を明らかにした、緊急書き下ろし出版。

著者・森鷹久・・・1984年生まれ。佐賀県唐津市出身。高校中退後、番組制作会社を経て出版社でヤングカルチャー誌やファッション誌を編集。その後、フリーランスの編集者・ライターになる。精力的にドラッグ問題やネトウヨ問題を取材し、若者の文化・生態全般に詳しい。他の著書に『スピーチとネット右翼 先鋭化する在特会』(オークラ出版/安田浩一&岩田温&古谷経衡との共著/2013)がある。

第一章 起きるべくして起きた「事件」
第二章 脱法ハーブとは何か
第三章 ルポ・製造工場潜入
第四章 「脱法」を許容した果てに
第五章 誰が脱法ハーブに手を出すのか
終章 脱法からの脱却法
★2014.11.12 (No.361) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『降りられない船 セウォル号沈没事故からみた韓国』
(クオン/単行本/ウ・ソックン/2014.10)


2014年4月16日、韓国南西部沖合で旅客船・セウォル号が沈没。300名余りの犠牲者を出した衝撃の事故から半年。経済的差別や安全問題、民営化と公共性、悲劇の裏側に隠された災害資本主義の姿など事故を通じてみえた韓国社会のゆがみを、韓国の辛口評論家が鋭く切り込む。

著者・禹 ル熏(ウ・ソックン)・・・1968年、ソウル生まれ。1990年、延世大学経済学科卒業。1996年、フランスパリ第10大学 経済学(生態経済学)博士。現代環境研究員、金融経済建久所研究委員を経て国際連合枠組条約の政策分科議長、技術移転分科理事を最後に公職から退いた。現在は韓国生態経済研究会の会員、「緑色評論」編集諮問委員、市民運動グループ「我らが夢見る国」の共同代表を務めている。他の著書・・・『病んだ子どもたちの世代』(2005) / 『食べ物、国富論』(2005) / 『韓米FTA暴走を止めろ』(2006) / 『まな板の上のごはん』(2007) / 『88マンウォン世代』(朴権一との共著/2009年、明石書店から『韓国ワーキングプア 88万ウォン世代 絶望の時代に向けた希望の経済学』として翻訳出版された) / 『直線たちの韓国』(2008) / 『田舎者の帝国主義』(2008) / 『生態ペダゴジ』(2009) / 『革命はこのように静かに』(2009) / 『文化で生きる』(2011) / 『私とあなたの社会科学』(2011) / 『一人前人生』(2012)。

目次

前書き 
プロローグ 
しかし、自分一人が幸福になるということは、恥ずべきことかもしれないんです 

一章大韓民国という船、誰がオールを漕いでいるのか 
一俺たちは幽霊船に乗ったのさ 
二最初から乗らないというのは不可能だったのか 
三再び戻ってきた巨大なガレー船  

二章ガチョウの夢
一二〇一四年四月十五日、セウォル号 
二悲しい通話 
三船長‐船主‐企業‐政府 
四国はなぜ船の中に残っていた人を誰も助けることができなかったのか 

三章幽霊船が漂う国
一飛行機に乗るのか、船に乗るのか 
二私たちはみな文盲だった、ほぼ全員が 
三三十五万ウォンという金 
四なぜ私たちは日本が引退させた船を乗ることになったのか 
五船をどうするつもりなのか 

四章花のような魂たちへ捧げたい未来
一経済的な差別、民営化そして公共性 
二準公営化と公営制、沿岸旅客のソリューションのために 
三便乗しようとする人々「災難資本主義」 
四セウォル号メモリアル、忘れないために 

エピローグ 子どもを置いて行くのでよろしく頼みます
★2014.11.5 (No.360) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『映画になった戦慄の実話 Vol.3』
(鉄人社/単行本/鉄人ノンフィクション編集部/2014.9)


劇中では描かれなかった衝撃の事実。実録シネマ55タイトル。

contents

「凶悪」……上申書殺人事件・死刑囚が告発した恐怖の“ 先生 "
「コンプライアンス/服従の心理」……卑劣の極み ! ストリップサーチいたずら電話詐欺
「ブリングリング」……ハリウッドセレブから3億円を盗んだ恐るべき女子高生たち
「THE ICEMAN~氷の処刑人」……裏社会の冷徹な仕事師クリリンスキー
「フローズン・グラウンド」……“ アンカレッジ連続殺人事件 "犯人の鬼畜な人間狩り
「キャプテン・フィリップス」……映画には出てこないソマリア海賊人質事件の、その後
「子宮に沈める」……大阪2児餓死事件の悲惨極まりない現実
「あなたを抱きしめる日まで」……アイルランド“ マグダレン洗濯所 "の悲劇
「絞死刑」……小松川女高生殺人事件の犯人、李珍宇の“ 罪と罰 "
「ミシシッピー・バーニング」……公民権運動家リンチ殺害事件、40年後の主犯逮捕
「フレンジー」………売春婦連続殺人鬼ジャック・ザ・ストリッパーは誰だったのか ?
etc.


関連書籍・・・
『映画になった戦慄の実話』(鉄人社/単行本/鉄人ノンフィクション編集部/2011)

『映画になった戦慄の実話 Vol.2』(鉄人社/単行本/鉄人ノンフィクション編集部/2012)
★2014.10.29 (No.359) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『反社会勢力 その組織と実態』
(ジェイズ・恵文社/単行本/2014.8)


社会にはびこる組織暴力 警察庁指定21団体

目次

第1章 警察庁指定21団体その組織と実態
第2章 反社会勢力との遭遇
第3章 反社会勢力団体の生態
第4章 反社会勢力団体のアングラマーケット
第5章 反社会勢力の撃退法
★2014.10.22 (No.358) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』
(幻冬舎/単行本/池谷孝司/2014.10)


「学校でそんなことが許されていいはずがない」という強烈な怒りに突き動かされて私は学校で起きる性被害「スクールセクハラ」の取材を続けてきた。なぜスクールセクハラは後を絶たないのか。一部の不心得者の問題ではない。学校だから起きる性犯罪の実態。10年以上にわたって取材を続けてきたジャーナリストによる執念のドキュメント。

著者・池谷孝司(いけたに・たかし)・・・1988年に共同通信社入社。松江支局、広島支局、大阪社会部を経て、1995年から本社社会部で教育班や東京地検を担当する。大阪社会部次長の後、2009年5月から本社社会部次長兼文部科学省キャップを務めている。主に教育や若者関係、少年事件などの取材を続けてきた。大阪姉妹殺害事件で2009年7月に刑が執行された山地悠紀夫刑死者の一生を追った「『反省』が分からない−大阪・姉妹刺殺事件」を大阪社会部時代、真下周記者と共に50回連載。全国の新聞に掲載され、新聞労連が人権に寄与した報道に与える「疋田桂一郎賞」を受賞した。連載に加筆した『死刑でいいです 孤立が生んだ二つの殺人』(共同通信社/池谷孝司[編著]&真下周[著]&佐藤秀峰[イラスト]/2009.10)が出版された。
★2014.10.15 (No.357) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『最終推理 狭山事件 浮びあがる真犯人』
(明石書店/単行本/甲斐仁志/2014.9)


事件発生から51年、前著『狭山事件を推理する Vの悲劇』(三一書房/1988)から26年。脅迫状を読み解き、死者に聞いた新たな犯人像。再審関係者に向けて書かれた本書であるが、ミステリーファンへの本格的な推理ドキュメントでもある。

目次

はじめに 市民の経験則による評決を

第一部 狭山事件の構図

 第一章 事件のあらまし
 第二章 捜査地図
 第三章 営利誘拐事件と誘拐推理小説・映画
 第四章 吉展ちゃん事件の真似?
 第五章 誕生祝いの最終食事
 第六章 下校時刻
 第七章 最終目撃者
 第八章 犯行現場はどこか
 第九章 犯行時刻を推理する

第二部 奇妙な脅迫状

 第十章 書き換えられた脅迫状・封筒
 第十一章 狭山湖四人組強盗犯の犯行か?
 第十二章 犯人は詩歌俳人
 第十三章 「かい人21面相」を超える犯人
 第十四章 脅迫状の一二の偽装工作
 第十五章 脅迫状の言葉遊び──「通夜・溺死なしへ」

第三部 死体は語る

 第十六章 強姦か、合意の性交か
 第十七章 背後からの腕締め
 第十八章 自己主張する善枝さん
 第十九章 「捜索後発見七物証」の仕掛人
 第二十章 死体埋没の謎

第四部 真犯人は別にいる

 第二十一章 多重偽装・狭山事件
 第二十二章 最終推理
 第二十三章 五つの犯人・犯行仮説の検証
 第二十四章 石川一雄さんは無実

おわりに 冤罪を生まない捜査・裁判と弁護へ

 あとがき
 参考文献

関連ページ・・・狭山事件
★2014.10.8 (No.356) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『「大型フェリー」はなぜ横転したのか』
(日本図書刊行会/単行本/佐久間誉/2014.10)


新聞・テレビと違った視点から分析。その真相は? フェリー型大型船の歴代の事故例から原因の要所急所を指摘し、今後の事故を防止するため、シンプルな結論を導き出す。復原性の理論を一般教養に!

著者・佐久間誉(ほまれ)・・・1944年、東京都生まれ。1968年、東京商船大学(現・東京海洋大学)商船学部航海科卒業。1969年、大阪商船三井船舶株式会社に三等航海士として入社、5年半にわたり定期貨物船を主に計6隻に乗船勤務。1975年、日本沿海フェリー株式会社に二等航海士として入社、半年間長距離フェリーに乗船し、その後約8年間陸上勤務。40歳のとき、海上勤務に復帰し、一等航海士、船長として56歳まで継続。2001年、株式会社ブルーハイウェイライン(前・日本沿海フェリー)退職(本人希望)。以後、海難事故防止等のための文筆活動に専心。他の著書に『ロマンチック海道』(成山堂書店/2006)がある。

目次

第1章 定義など
第2章 カーフェリーの黎明期
第3章 船が傾くということ
第4章 大型フェリーの荒天事故
第5章 船での車両輸送は危ないか?
第6章 大型フェリー内で車両が転倒するということ
第7章 車両転倒の計算式
第8章 コンテナ輸送の危険性
第9章 結論
★2014.10.1 (No.355) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『突破者外伝 私が生きた70年と戦後共同体』
(祥伝社/単行本/宮崎学/2014.9)


昭和20年、終戦直後の京都に生まれた著者にとって、最初の「共同体」は家族だった。解体業を営むその家はヤクザでもあり、幼い著者は裕福に育てられた。 成長するにしたがい、「学校」「共産党」と新しい共同体に出会い、高度成長期には革命運動の闘士としてゲバをふるった。 その後、家業を継ぐが、恐喝容疑で逮捕の果てに倒産し、裏社会に身を沈める。世はバブル景気に沸いていた。 ……「突破者」(無茶なことをする者)こと宮崎学が、幼少時から現在に至るまでの半生を回顧し、同時に戦後日本の「共同体」の変容ぶりを描く問題作。

著者・宮崎学・・・1945年、京都・伏見のヤクザ、寺村組組長の父と博徒の娘である母の間に生まれる。早稲田大学在学中は学生運動に没頭し、共産党系ゲバルト部隊隊長として名を馳せる。『週刊現代』(講談社)記者を経て、家業の解体業を兄とともに継ぐが倒産。その後、 グリコ・森永事件では「キツネ目の男」に擬され、重要参考人Mとして警察にマークされるが、事件は2000年2月13日に時効を迎え真相は闇に消えた。主な著書・・・『突破者 戦後史の陰を駆け抜けた五十年』(南風社/1996) / 『近代ヤクザ肯定論 山口組の90年』(ちくま文庫/2010)など多数。宮崎学オフィシャルサイト

目次

1 そこに「共同体」があった
2 「社会」への離脱
3 変質する「家族」、変貌する「地域」
4 「突破者」の浮上
終章 「魂のふるさと」を創る

★2014.9.24 (No.354) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『戦後ニッポン犯罪史 (SERIES:事件と犯罪を読む)』
(批評社/単行本/礫川全次/2014.9 [新装増補版])


戦後ニッポンで勃発した事件と犯罪はそれぞれの時代の世相を象徴している。53の事件と犯罪の実相を解読し、転変する世相と社会構造を検証する。さらに、新装増補版のために、補論「オウム真理教事件について考える」を付し、宗教と国家をめぐる犯罪論的視点から事件の重大な意味を問う。

著者・礫川全次(こいしかわぜんじ)・・・1949年生まれ。ノンフィクションライター。歴史民俗学研究会代表。犯罪、呪術、女装、いじめなど様々なテーマに対して民俗論を展開し、活躍している。著書に『サンカと説教強盗 闇と漂泊の民俗史』(批評社/1992) / 『大津事件と明治天皇 封印された十七日間』(批評社/1998) など多数。


目次

占領軍の犯罪と報道 1945
小平義雄連続暴行殺人事件 1946
山口判事「餓死」事件 1947
帝銀事件 1948
下山事件 1949
三鷹事件 1949
松川事件 1949
東大医学部助教授毒殺事件 1950
印藤巡査殺害事件 1951
白鳥警部射殺事件 1952
静岡県上野村村八分事件 1952
菅生事件 1952
オランダ兵タクシー強盗事件 1954〔ほか〕

★2014.9.17 (No.353) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『警視庁重大事件100 警察官の闘いと誇りの軌跡 警視庁創立140年』
(学研パブリッシング/単行本/佐々淳行[監]/2014.9)

創立140年を迎えた警視庁が全職員に対してアンケートを実施。警察官目線で見た100大事件が決定した。本書では、警視庁の協力のもと、警視庁史に残る歴史的事件を紹介するとともに、時代ともに変遷していった警視庁の姿に迫る!

監修・佐々淳行・・・1930年、東京生まれ。東京大学法学部卒業後、国家地方警察本部(現・警察庁)に入庁。目黒警察署勤務を振り出しに、警視庁外事・警備・人事課長、警察庁調査・外事・警備課長を歴任、「東大安田講堂事件」「連合赤軍あさま山荘事件」等では警備幕僚長として危機管理の現場の中枢に携わる。その後、三重県警察本部長、防衛庁官房長、防衛施設庁長官等を経て、1986年より、初代内閣安全保障室長をつとめ、昭和天皇大喪の礼警備を最後に退官。1993年、 『東大落城 安田講堂攻防七十二時間』(文芸春秋)で第54回文藝春秋読者賞受賞。2000年、第48回、菊池寛賞受賞。佐々淳行ホームページ

目次

第1章 重大事件ランキング1〜10位(オウム真理教事件 発生年月:1989年(平成元年)より
東日本大震災 発生年月:2011年(平成23年)3月 ほか)
第2章 重大事件ランキング11〜30位(立川署警察官による拳銃使用殺人事件 発生年月:2007年(平成19年)8月
制服警察官女子大生殺人事件 発生年月:1978年(昭和53年)1月 ほか)
第3章 重大事件ランキング31〜50位(世田谷署警部補殉職 発生年月:2001年(平成13年)8月
六本木クラブ襲撃事件 発生年月:2012年(平成24年)9月 ほか)
第4章 重大事件ランキング51〜80位(新潟県中越地震 発生年月:2004年(平成16年)10月
三島事件 発生年月:1970年(昭和45年)11月 ほか)
第5章 重大事件ランキング81〜100位(三鷹事件 発生年月:1949年(昭和24年)7月
血盟団事件 発生年月:1932年(昭和7年)2〜3月 ほか)
★2014.9.10 (No.352) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『引き裂かれた青春 戦争と国家秘密』
(花伝社/単行本/北大生・宮澤弘幸「スパイ冤罪事件」の真相を広める会[編]/2014.9)


健朗快活な北大生・宮澤弘幸は、ある日突然スパイ容疑を着せられ、重罪を背負わされて、その将来と命を奪われた。 冤罪の真相を詳細に検証。時代をこえてよみがえる特定秘密保護法への警鐘。

レーン・宮澤事件・・・1941年(昭和16年)12月8日、日本が太平洋戦争を仕掛けた日に、旧・北海道帝国大学(現・北海道大学)予科の英語教師ハロルド・レーン、ポーリン・レーン夫妻(アメリカ人)とその教え子の北大工学部2年生の宮澤弘幸が軍機保護法違反で逮捕された。当時、リンドバーグ大佐の飛来などで根室の海軍飛行場の存在が既に知れ渡っていたにもかかわらず、宮澤がレーン夫妻に直接話したことが、軍事機密の漏洩とされた。国防意識を高めるために特高警察が仕組んだフレームアップ(でっちあげ)事件であった。宮澤は警察署で「逆さ吊り」拷問と取り調べを受け、その後、起訴された。1942年(昭和17年)12月14日、札幌地裁で夫のハロルド・レーンに懲役15年、妻のポーリン・レーンに懲役12年の判決。12月16日、札幌地裁で宮澤に懲役15年の判決。3人ともに大審院(現・最高裁)に上告したが、上告棄却で刑が確定した。1943年(昭和18年)9月、レーン夫妻は刑の執行停止を受け、アメリカに帰国。1945年(昭和20年)10月、宮澤は釈放されたが、1947年(昭和22年)2月、結核で死亡。27歳だった。

●内容●
序文 藤森研(専修大学教授)
第一部  冤罪の真相
 第一章 仕組まれたスパイ冤罪
 第二章 引き裂かれたエルムの師弟   
 第三章 冤罪──底のない残虐
 第四章 戦争も秘密もない世へ      

第二部 犯罪事実(冤罪事実)の条条検証
 第一章 探知の部      
 第二章 漏泄の部     

【冤罪の構図】
再審(名誉回復)と顕彰──あとがきに代えて
資料編    
 判決全文
 軍機保護法全文
 関係年表

関連サイト・・・北大生・宮澤弘幸「スパイ冤罪事件」の真相を広める会

関連書籍&DVD・・・『ある北大生の受難 国家秘密法の爪痕』(花伝社/上田誠吉/2013) / 『レーン・宮沢事件 もうひとつの12月8日』(DVD/監督・秋元健一/2013)

★2014.9.3 (No.351) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『明治天皇“すり替え”説の真相 近代史最大の謎にして、最大の禁忌(タブー)』
(学研パブリッシング/単行本/落合莞爾&斎藤充功/2014.8)

明治天皇はすり替えられていた・・・。この近代史最大の謎が語るものはいったい何なのか。明治天皇すり替え説を複層的な視点から検証し、この説に隠された真実を通して、明治という時代の闇と、それに連なる現代日本の歴史・社会構造を鋭く斬る一冊。

著者・落合莞爾・・・1941年、和歌山市生まれ。東京大学法学部卒業後、住友軽金属を経て経済企画庁調査局へ出向、住宅経済と社会資本の分析に従事し、1968〜69年の『経済白書』の作成に携わる。その後、中途入社第1号として野村証券に入社、商法および証券取引法に精通し、日本初のM&Aを実現する。1978年に落合莞爾事務所を設立後は経営・投資コンサルタント、証券・金融評論家として活躍。主な著書・・・『京都ウラ天皇と薩長新政府の暗闘』(成甲書房/2014) / 『奇兵隊天皇と長州卒族の明治維新』(成甲書房/2014)

著者・斎藤充功・・・1941年、東京都生まれ。ノンフィクション作家。東北大学工学部中退。主な著書・・・『「フルベッキ群像写真」と明治天皇“すり替え”説のトリック』(ミリオン出版/2012) / 『消された「西郷写真」の謎 写真がとらえた禁断の歴史』(学研パブリッシング/2014)

目次

序章 幕末維新の闇
第1章 対談・明治天皇すり替え説と鹿島昇
第2章 「奇兵隊ノ天皇」と大室寅之祐
第3章 対談・「國體天皇」と「政体天皇」
第4章 「フルベッキ写真」が示唆する歴史の闇
第5章 対談・南北朝問題の深層
第6章 対談・写真で紐解く明治天皇“すり替え”説
第7章 古写真が投げかけ続ける謎

★2014.8.27 (No.350) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『消えた神父を追え! BOACスチュワーデス殺人事件の謎を解く』
(共栄書房/単行本/大橋義輝/2014.8)

ついにとらえた! 迷宮入りの怪事件、執念の大追跡。「戦後最大の謎」とも言われた迷宮入り殺人事件。半世紀の時を超えて、ついにとらえた重要参考人の肉声。

著者・大橋義輝・・・フリーランス・ライター。東京都小岩で生まれ育つ。明治大学(文芸学科)、米国サンノゼ州立大学(ジャーナリズム学科)、中国アモイ大学(中国語)、二松学舎大学(国文学科)等で学ぶ。元フジテレビ記者・プロデューサー。元週刊サンケイ記者。黒澤映画のエッセイ「私の黒澤明」で最優秀賞(夕刊フジ)受賞。他の著書・・・ 『毒婦伝説 高橋お伝とエリート軍医たち』(共栄書房/2013) / 『韓国天才少年の数奇な半生 キムウンヨンのその後』(共栄書房/2011)

関連事件・・・スチュワーデス怪死事件
★2014.8.20 (No.349) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『詐欺と詐称の大百科』
(青土社/単行本/イアン・グレイアム/2014.8)


現実はなりすましで溢れている! 妻にさえ正体を知られていなかったニセモノの大富豪。見破られないように独学で勉強しつづけ、いつしか信頼を得てしまったニセ医者。足が速すぎて、どんな職業を詐称しても、いつも走る姿でバレてしまう長距離ランナー。巨額のカネを稼ぐため、なりたい職業に就くため、生活に刺激を得るため、戦争に行くため、差別を逃れるため・・・・・・職業・性別・年齢・人種・血統・学歴を詐称し人びとを欺く、それぞれの理由。多種多様な「なりすまし」たちの、笑いも感動もひっくるめた実話集。
★2014.8.13 (No.348) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『世界が驚いた科学捜査事件簿』
(河出書房新社/単行本/ナイジェル・マクレリー/2014.8)


犯罪捜査の手法を塗り替えた技術はいつ、どのように生まれたのか? 数々の難事件を再現しつつ検証する、科学捜査の発達史!

著者・ナイジェル・マクレリー・・・脚本家・作家。警察官として重大犯罪に取り組んだ後、ケンブリッジ大学に進み近代史を修める。その後、BBC(イギリス放送協会)に入社し、『法医学捜査班』や『ニュー・トリックス』などのドラマシリーズを製作する。
★2014.8.6 (No.347) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『犯罪捜査ハンドブック ミステリー・刑事ドラマのお供に』
(宝島社/単行本/法科学鑑定研究所/2014.7)


刑事ドラマやミステリー小説において、犯人を逮捕するためには推理だけでなく科学捜査が必須になってきた昨今。ときどき出てくる専門用語や複雑なトリックに、モヤモヤ感を抱いたことはありませんか? 本書ではそんなモヤモヤを吹き飛ばし、好きな作品をより楽しむために最新の科学捜査方法から警察用語まで犯罪捜査のあれこれを解説。ルミノール反応って何? という人から、刑事ドラママニアの人まで楽しめる一冊です。
★2014.7.30 (No.346) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『ある日、わが子がモンスターになっていた 西鉄バスジャック犯の深層』
(ベストブック/単行本/入江吉正/2014.7)


2000年5月、日本中を震撼させた「西鉄バスジャック事件」。犯人は17歳の少年。イジメ、不登校、引きこもり、家庭内暴力…。最後はモンスターと化し、無差別殺傷事件を起こすに至る。少年の心が壊れていく過程を、家族の苦悩を、いま改めて追う。

著者・入江吉正・・・1952年佐賀県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。月刊文藝春秋、週刊ポストの記者を経て現在はフリーランス。文藝春秋(2000年12月号)で「『バスジャック少年』両親の手記」を発表し、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞スクープ賞」を受賞。主な著書・・・『死への扉 東海大安楽死殺人』(新潮社/1996) / 『SMアンダーグラウンド』(バジリコ/2002)

目次

第1章 子ども時代に顔を見せるモンスターの片鱗
第2章 荒れた心を深化させた飛び降り事件
第3章 引きこもりと父親との「お出かけ」
第4章 壊れ始めた心
第5章 保護入院という牢獄
第6章 復讐への旅立ち
第7章 バスジャックの決行
第8章 逮捕されて振り出しに戻った
第9章 モンスターの心象風景
第10章 ブラックヒーローになれたのか


関連ページ・・・西鉄バスジャック事件
★2014.7.23 (No.345) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『冤罪を生む構造 アメリカ雪冤事件の実証研究』
(日本評論社/単行本/ブランドン・L・ギャレット/2014.7)


なぜ冤罪が発生するのか。アメリカでDNA鑑定によって無実の罪を晴らした250人の事例を実証して冤罪を生む構造を明らかにする。

目次

第1章 はじめに
第2章 虚偽の自白
第3章 誤った目撃者
第4章 誤った科学的証拠
第5章 嘘をつくジェイルの情報提供者
第6章 有罪判決を言い渡してしまった裁判
第7章 救済手続の高い壁
第8章 雪冤に向けた闘い
第9章 刑事司法制度の改革
補遺

アメリカにおける冤罪究明運動の歴史と現状……笹倉香奈
本研究の意義――日本の誤判研究、刑事司法改革への示唆……豊崎七絵
★2014.7.16 (No.344) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『犯人捕捉 映像捜査官』
(千葉日報社/単行本/金剛秀明/2014.4)


柏市連続通り魔事件解決の緒も映像捜査だった・・・。
現場を知り尽くす元刑事の書き下ろし!


柏市連続通り魔事件・・・2014年(平成26年)3月3日夜、千葉県柏市の市道で通り魔による連続事件が起きた。最初に襲われたのは帰宅途中の女性Aで、「すいません、ちょっと」と男に声をかけられ、Aは「気持ち悪い」と感じて駆け足で逃げた。次に、自転車に乗っていた男性B(当時25歳)がナイフのような刃物を突き付けられて脅された。Bは「何ですか? お金ですか?」と言って、左手で払いのけた際に切られて軽傷を負った。続いて、事件現場の近くに住む会社員の男性C(31歳)が襲われ、ナイフのような刃物で刺された。次に近くに停車中の車に乗っていた男性D(当時44歳)が「金を出せ。もう人を殺している」と脅され、財布を奪われた。さらに、車を運転していた別の男性E(当時47歳)が倒れていたCを発見して車を降りた隙に車を奪われた。女性Aに声をかけてから車を奪うまで、わずか10分の間の出来事だった。車は約1.5キロ離れたコンビニの駐車場で見つかった。この際、男が車外に出て徒歩で立ち去った様子が防犯カメラの映像で確認されている。Cは病院に運ばれたが、首や背中の複数個所を刺されており、死亡が確認された。2日後の3月5日、被害者と同じマンションに住む無職の竹井聖寿 (せいじゅ/当時24歳)が逮捕された。
★2014.7.9 (No.343) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『炎を越えて 新宿西口バス放火事件後三十四年の軌跡』
(文藝春秋/単行本/杉原美津子/2014.7)


1980年、新宿西口バス放火事件で瀕死の大火傷に。輸血から肝臓ガンとなった今、加害者を、自分の心を「赦す」思索の旅を描く。

関連ページ・・・新宿駅西口バス放火事件
★2014.7.2 (No.342) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『実践 訴訟戦術 弁護士はみんな悩んでいる』
(民事法研究会/単行本/東京弁護士会春秋会[編]/2014.2)


勝つためのノウハウ・負けないための留意点・和解のための段取り等を詳解!法廷マナー、訴状・答弁書の書き方、尋問の手法、控訴の留意点、依頼者との関係のあり方など、訴訟戦術の視点から若手・中堅・ベテランが新人弁護士の質問に答える貴重な研究会の内容を開示!

目次
本書の主要内容
第1章 勝訴判決を得るには
第2章 紛争解決方法の選択
第3章 訴状・答弁書
第4章 法廷マナー
第5章 主張・立証
第6章 控訴
第7章 依頼者との関係
★2014.6.25 (No.341) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『なぜ、スポーツ選手は不正に手を染めるのか アスリート不正列伝』
(エクスナレッジ/単行本/マイク・ローボトム/2014.6)


ベン・ジョンソン(陸上)、ディエゴ・マラドーナ(サッカー)、ランス・アームストロング(自転車)、スカルク・バーガー(ラグビー)、ミハエル・シューマッハ(F1)たちはどんな違反行為を行ったのか。成功するための悪の代償、カネ・クスリ・トリックを解き明かす迫真のルポ。

■もくじ
第1章 ドーピング
第2章 カネ
第3章 状況に手を加えて操作する[基礎編]
第4章 状況に手を加えて操作する[上級編]
第5章 マインドゲーム
第6章 倫理の迷宮
第7章 「私たち」の力
★2014.6.18 (No.340) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『怪奇事件の謎 (mu NONFIX) 』
(学研パブリッシング/単行本/小池 壮彦/2014.6)


事件は作られる。現実は隠される。だから実に奇っ怪なことではあるが、この世は怪談でできている。世で起こる奇妙な事件の背後には、いかなる謎とタブーが隠されているのか。“怪奇探偵”小池壮彦が、さまざまな怪事件の謎をひもとく。 事実は小説よりも奇なり―だが、ある人物は、その事実が「フィクション」であると言う。この世は「フィクション」で成立している。この世で起こる「怪事件」やさまざまな「事象」「出来事」の真相や真実は巧妙にコーティングされ、“監禁”されてきた。監禁された真相や真実には何が隠されているのか―すべては、日本という国家の本当の姿へと繋がっていく…。

著者・小池 壮彦・・・1963年、東京都生まれ。國學院大學文学部卒。巷に流布する怪奇譚の傾向から独自の社会史論を展開した評論や歴史的な事件の分析を通じて日本の暗部と宿命にメスを入れたルポルタージュを発表している。主な著書・・・『日本の幽霊事件』(メディアファクトリー/2010) / 『怪奇事件はなぜ起こるのか 「生き人形」から「天皇晴れ」まで』(洋泉社/2008)
★2014.6.11 (No.339) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白』
(講談社/単行本/東小雪 元タカラジェンヌ/2014.6)


私は実の父から性虐待を受けて育った。そのことをこうして告白するには長い時間が必要だった。記憶が意識から切り離され、自分の被害を思い出せなかった時間……。つらすぎる記憶に、恐れ、とまどい、逃げ回り、葛藤した時間……。それでも私は、私が受けたすさまじい暴力を「なかったこと」にはできなかった。2010年、芸名と自身がレズビアンであることをカミングアウトし、2013年には東京ディズニーリゾートで、初の同性カップルによる結婚式を挙げ話題になった元タカラジェンヌの著者による渾身の書き下ろし作品。

著者の他の著書(2点ともに共著)・・・『レズビアン的結婚生活』(イースト・プレス/東小雪+増原裕子/すぎやまえみこ[マンガ] /2014) / 『ふたりのママから、きみたちへ』(イースト・プレス (よりみちパン! セ) /東小雪+増原裕子/2014)
★2014.6.4 (No.338) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『謝るなら、いつでもおいで』
(集英社/単行本/川名壮志/2014.3)

友だちを殺めたのは11歳の少女。被害者の父親は新聞社の支局長。僕は駆け出し記者だった。世間を震撼させた「佐世保小6同級生殺害事件」から10年。新聞には書けなかった実話。第11回開高健ノンフィクション賞最終候補作を大幅に加筆修正。

著者・川名壮志・・・1975年、長野県生まれ。新聞記者。2001年、早稲田大学卒業後、毎日新聞社入社。初任地の長崎県佐世保支局で「佐世保小6同級生殺害事件」に遭遇する。被害少女の父は支局の直属の上司、毎日新聞佐世保支局長だった。事件から約10年にわたり取材を続け、佐世保支局を離れた後も、少年事件や犯罪被害者の取材にかかわる。警察回りや証券取引等監視委員会なども担当し、現在は東京地方裁判所・東京高等裁判所を足場とした司法取材に取り組んでいる。

目次

第1部(1本の電話
僕は新聞記者
昼日中の教室で
抱き上げてやれなかった
加害少女は ほか)
第2部(御手洗さん/被害者の父として
加害者の父として
被害者の兄として)


関連ページ・・・佐世保小6同級生殺人事件
★2014.5.28 (No.337) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『死体捜索犬ソロが見た驚くべき世界』
(エクスナレッジ/単行本/カットワレン/2014.5)


私たちの最高のパートナーである、犬たちの持つ優れた能力と人間との深い絆を探る全く新しい 「現代・働く犬事情」

遺体の捜索だけではなく、災害時の救助など様々な場所で活躍する「働く犬」たち。嗅覚など優れた能力を持っていることは勿論、犬たちは何よりも「人を喜ばせたい」という想いを強く持つ生き物です。だからこそ、私たち人間と犬は、有史以来の長い間、良きパートナーとして共に過ごしてこられたと言えるでしょう。本書では、著者の愛犬、やんちゃなジャーマン・シェパードの「ソロ」が死体捜索犬として成長し頭角を現していく様子を通じ、最新の科学調査や専門家へのインタビュー、過去の歴史などを交え、犬の持つ驚くべき能力と、人間とのパートナーシップについて解き明かしていきます。

著者・カット・ワレン (Cat Waren)・・・ノースカロライナ州立大学の助教授で1995年から同大学で科学ジャーナリズム、編集、メディア論、ジェンダー学を教える。犯罪や貧困、環境問題などを主なジャンルとした新聞記者時代を経て教職に。パン職人であり、ノースカロライナ州立大学哲学科教授である夫のデビッド・アウアーバッハと2頭のジャーマン・シェパードのソロとコーダ、たくさん蜂蜜がとれるミツバチの巣箱ふたつとともにノースカロライナで暮らす。
★2014.5.21 (No.336) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『無罪請負人 刑事弁護とは何か?』
(角川oneテーマ21/新書/弘中惇一郎/2014.4)


刑事裁判の有罪率99.9%が示す日本の恐ろしい現実とは。多くの著名事件を手がけ「無罪請負人」の異名を取る辣腕弁護士が日本の刑事司法の問題や特捜検察の腐敗ぶり、世論を真実から遠ざけるメディアの問題点などを提起する。

著者・弘中惇一郎(ひろなか じゅんいちろう)・・・1945年、山口県生まれ。日本の弁護士。元自由人権協会代表理事。東京大学法学部卒。1967年、司法試験合格。クロロキン、クロラムフェニコール、日化工クロム職業病裁判(六価クロム)など多くの薬害事件を担当したほか、マクリーン事件などを担当。ロス疑惑の銃撃事件で三浦和義の無罪、薬害エイズ事件における安部英の1審無罪、障害者郵便制度悪用事件で村木厚子の無罪を勝ち取り、逆に大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件を見抜いた。芸能人など著名人の弁護人としてメディアに登場することも多い。主な著書・・・『安部英医師「薬害エイズ」事件の真実』(現代人文社/武藤 春光との共著/2008) / 『刑事裁判と知る権利』(三省堂/中村 泰次、飯田 正剛、山田 健太、坂井 真との共著/1994)


関連ページ・・・「疑惑の銃弾」事件
★2014.5.14 (No.335) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『詐欺師たちのマニュアル 罠を暴いた能勢警部補の事件簿』
(元就出版社/単行本/深沢敬次郎/2014.2)


捜査2課係長の知能犯ファイル、劇場型詐欺師たちの罠を全て公開。人の弱みや欲を刺激し、人生そのものを奪い取る詐欺師たちの手口の数々。脅し、だまし、恫喝し、そして優しく懐柔しながら金品や人格まで攫い尽くすテクニックをベテラン刑事が暴く。

著者・深沢敬次郎・・・大正14年11月15日、群馬県高崎市に生まれる。県立高崎商業学校卒業。太平洋戦争中、特攻隊員として沖縄戦に参加、アメリカ軍の捕虜となる。群馬県巡査となり、前橋、長野原、交通課、捜査一課に勤務。巡査部長として、太田、捜査二課に勤務。警部補に昇任し、松井田、境、前橋署の各捜査係長となる。警察功労賞を受賞し、昭和57年、警部となって退職する。平成7年4月、勲五等瑞宝章受章。主な著書・・・ 『捜査係長の警察日記』(元就出版社/2013) / 『だます人だまされる人 実録・知能犯刑事の事件帳』(元就出版社/2006)

目次
アカキ家具の倒産騒動
家具業者の告訴
参考人の事情聴取
当座取引
隠し倉庫
資料押収
債権委員長の抗議
座卓の被害者
高峰商事の事務員
高峰商事の社長〔ほか〕
★2014.5.7 (No.334) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『歪曲捜査 ケンカ刑事が暴く警察の実態』
(第三書館/単行本/飛松五男/2014.2)


TVで見れない「警察力崩壊の真実」

著者・飛松五男・・・1944年11月15日、鹿児島県阿久根市生まれ。高校卒業後、神戸市内の自動車販売会社で勤務。1964年6月1日、兵庫県警巡査を拝命。飾磨署警ら課を皮切りに、兵庫県警本部刑事部捜査1課、同部機動捜査隊、姫路署刑事2課、県警本部交通部交通指導課、兵庫署警ら1課、神戸西署交通課、県警本部地域部鉄道警察隊、同交通部運転免許課などで勤務。2005年3月31日、警部補で定年退職。この間、警察庁長官賞6回、兵庫県警本部長賞26回を獲得。他の著書・・・ 『なぜ警察官の犯罪がなくならないのか 元熱血刑事がテレビで言えなかったこと』(インシデンツ/2013) / 『飛松五男の熱血事件簿 私だけが知っている不可解事件の裏側と真相』(鹿砦社/2011)

目次

第1章 警察官としての出発
第2章 叩き込まれた刑事魂
第3章 底知れぬ腐敗と闘う
第4章 目撃した暴力団と警察との癒着
第5章 暴走族を壊滅に追い込む
第6章 自殺も考えた「視察対象者」の日々
第7章 暴力団事務所に単身乗り込む
第8章 つかんだ裏金作りの決定的証拠
第9章 バラバラ殺人事件の深い闇
第10章 女教師殺人事件の謎に迫る
★2014.4.30 (No.333) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『遺書 関東連合崩壊の真実と、ある兄弟の絆』
(太田出版/単行本/瓜田純士/2014.4)


初めて明かされる真実。関東連合が唯一敗北した「伝説の兄弟たち」の物語。


関連書籍・・・
『ドブネズミのバラード』(太田出版/瓜田純士/2008)

『ピラニア 雨の街、俺たちの絆』(太田出版/瓜田純士/2009)
『泥だらけのありがとう アウトローのカリスマ44のメッセージ』(武田ランダムハウスジャパン/瓜田純士/2010)
『関東連合 六本木アウトローの正体』(ちくま新書/久田将義/2013)

『いびつな絆 関東連合の真実』(宝島社/工藤明男/2013)
『不良録 関東連合元リーダーの告白』(双葉社/石元太一/2012)
★2014.4.23 (No.332) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『モンスター 尼崎連続殺人事件の真実』
(講談社/単行本/一橋文哉/2014.4)


少なくとも10人を超える死者・行方不明者が出ているとされ、我が国犯罪史上有数の凶悪事件に発展した兵庫県尼崎市の連続殺人事件。2012年(平成24年)12月12日に県警本部の留置場で自殺した主犯の角田美代子はいかにして、ありふれた5つの家庭に食らいつき、家族が互いに殺し合うような冷酷な犯行に及ぶことになったのか。また、被害者たちはなぜ、暴力と虐待に支配された地獄絵図のような家庭環境や、奴隷のような人間関係から逃げ出さなかったのだろうか。そして、鬼畜の所業を繰り広げた「不世出のモンスター」はどうして死んだのか。知られざる事件の真相に迫る超一級のノンフィクション!


著者・一橋文哉・・・東京都生まれ。早稲田大学卒業後、全国紙・雑誌記者を経てフリージャーナリスト。本名など身元に関する個人情報はすべて非公開。1995年、月刊誌『新潮45』連載「ドキュメント『かいじん21面相』の正体」(雑誌ジャーナリズム賞受賞)でデビュー。主な著書・・・『オウム帝国の正体』(新潮社/2000) / 『宮ア勤事件 塗り潰されたシナリオ』(新潮社/2001) / 『三億円事件』(新潮社/1999) / 『闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相』(新潮文庫/2000)

目次
序章 怪死
第一章 荒野
第二章 肉親
第三章 降臨
第四章 蹂躙
第五章 淘汰
第六章 崩壊
最終章 真相

関連書籍・・・『家族喰い 尼崎連続変死事件の真相』(太田出版/小野一光/2013)
★2014.4.16 (No.331) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『怪物執事 英国を魅惑した殺人鬼の真実』
(太田出版/単行本/A.M.ニコル/2014.4)


1978年、スコットランドでひとりの人間が終身刑を言い渡された。ロイ・フォンテーン(本名・アーチボルド・ホール)は数々の屋敷に執事として入り込んで金品を盗み、実弟をふくむ5人の人間を殺害。「執事になりすまして主人を殺す」「著名人との華麗でエロティックな交友関係」「男女問わずとりこにする爛れた性生活」など、彼が獄中から語るスキャンダラスな物語はタブロイド誌をにぎわせ、大衆の興味をそそった。だが、彼の語る華やかな物語は、どこまでが真実なのか。その謎に、“彼自身の証言"と“事実"の両面からはじめて光を当てる。

著者・A.M.ニコル・・・法律と歴史を学び、1980年にスコットランドで事務弁護士の資格を得る。グラスゴーで働いたのち、西部スコットランドの検察官として12年間勤める。1993年よりスコットランド法廷弁護士。現在も高等裁判所で裁判に携わりながら、犯罪に関する著述を続けている。著書に『Manuel: Scotland's First Serial Killer(マニュエル スコットランドで最初のシリアルキラー)』(Kindle版/英文/Black & White Publishing/2008)など。


【目次】

◆第一部 私はいかにして犯罪をおかしたか――執事が語る

1 才能あるミスター・フォンテーン
2 貴族の素質
3 〈モーブレー・ハウス〉の犯罪
4 いかさまシークとごまかしフィアンセ
5 〈モンタギュー・アームズ〉とヘンリーでの家宅侵入
6 刑務所奉公からお屋敷奉公へ
7 一九六五年 犯罪の宴
8 パークハースト刑務所の看守の一件
9 バーナード
10 ソヴィエト領事館の事件
11 レディ・ハドソン、そしてデイヴィッド・ライト殺し
12 ドロシー・スコット = エリオット殺し
13 三人目の犠牲者 ウォルター・トラヴァース・スコット = エリオット
14 メアリー・コグル殺し
15 最後の殺人―ドナルド・ホール
16 終着地
17 自由の終わり

◆第二部 真実のロイ・フォンテーン

18 怪物執事 二度目の検証
19 若きロイ
20 性的冒険 その一 ミセス・フィリップス、ポーランドの士官、そしてピカデリー・サーカス
21 〈モーブレー・ハウス〉の犯罪 真相
22 司法との対立 〈モンタギュー・アームズ〉とヘンリーでの家宅侵入
23 性的冒険 その二 本物の政治的スキャンダルの時代
24 崇高なる詐欺
25 実り多き仮出所
26 逃亡の果ての窃盗罪
27 寄せ集めの家族
28 看守への罰 パークハースト刑務所の一件
29 大使館の困惑 ソヴィエト領事館事件
30 性的冒険 その三 メアリー、ルース、そしてヘイゼル
31 第一の殺人 デイヴィッド・マイケル・ライト
32 宴の始まり―ドロシー・スコット = エリオット
33 サイコパスの人質 ウォルター・トラヴァース・スコット = エリオット殺し
34 メアリー殺し
35 ドナルド・マクミラン・トムソン・ホール殺し
36 メディアという命綱

◆第三部 怪物の誕生

37 彼はスターに魅せられていたのか?
38 彼は典型的なサイコパスだったのか?
39 でなければ狂っていたのか?
40 来たるべき審判

解説:岸川 靖
★2014.4.9 (No.330) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『いま死刑制度を考える』
(慶応義塾大学出版会/単行本/井田良&太田達也/2014.2)


人の生命を奪う刑罰について問う。最大の問題でありながら建設的・生産的な議論が行われないこの閉塞状況を打開し相互の理解を深めるため、第一線の法律家たちが制度の存廃と今後のあり方をめぐる冷静な議論を積み重ねる。

編著者・井田良(まこと)・・・1956年生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科教授。法学博士(ケルン大学)。名誉法学博士(ザールラント大学、エアランゲン大学)。日本学術会議会員、最高裁判所司法修習委員会幹事、日本刑法学会理事などを務める。2006年にフィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞、2009年にオイゲン・ウント・イルゼ・ザイボルト賞を受賞。他の編著書に『基礎から学ぶ刑事法(第5版)』(有斐閣/2013) など。

編著者・太田達也・・・1964年生まれ。慶應義塾大学法学部教授。日本被害者学会理事、日本犯罪社会学会理事、日本更生保護学会理事、最高検察庁刑事政策専門委員会参与、法務省矯正局矯正に関する政策研究会委員、法務省研究評価検討委員会委員などを務める。他の著書に『刑の一部執行猶予:犯罪者の改善更正と再犯防止』(慶応義塾大学出版会/2014)など。


目次

はしがき

序 章 いま死刑制度とそのあり方を考える
 T はじめに
 U 本書に収録された各論稿について
 V 死刑制度をめぐる主要な論点
 W 日本人の死生観・刑罰観と死刑
 X 結 語

第2章 死刑存廃論における一つの視点
     ――応報的正義(Retributive Justice)から修復的正義(Restorative Justice)へ
 T これまでの死刑存廃論
 U 被害者(遺族)と死刑制 ……
★2014.4.2 (No.329) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『裁かれるのは我なり 袴田事件主任裁判官三十九年目の真実』
(双葉社/単行本/山平重樹/2010.6)


1966年(昭和41年)6月30日未明、静岡で起きた味噌工場経営者一家4人惨殺事件。逮捕されたのは、同工場従業員の袴田巌だった。袴田は自白するが、裁判では一転、無罪を主張。だが、判決は死刑。しかし、その後、主任裁判官・熊本典道から「袴田君は無罪だ」との衝撃的なコメントが……。日本の裁判制度の在り方を世界に問う問題作。

関連書籍&DVD・・・
『袴田事件 冤罪・強盗殺人放火事件』(新風舎/山本徹美/2004)
『主よ、いつまでですか 無実の死刑囚・袴田巌獄中書簡』(新教出版社/袴田巌&袴田巌さんを救う会[編]/1992)
『自白が無実を証明する 袴田事件、その自白の心理学的供述分析』(北大路書房/浜田寿美男/2006)
『はけないズボンで死刑判決 検証・袴田事件』(現代人文社/袴田事件弁護団/2003)
『地獄のゴングが鳴った』(三一書房/高杉晋吾/1981)
『美談の男 冤罪袴田事件を裁いた元主任裁判官・熊本典道の秘密』(鉄人社/単行本/尾形誠規/2010)
『袴田巌は無実だ』(花伝社/矢澤昇治[編]/2010)

『BOX 袴田事件 命とは』(DVD/監督・高橋伴明/出演・萩原聖人&新井浩文&石橋凌・・・/2010)

関連ページ・・・袴田事件
★2014.3.26 (No.328) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『死刑のための殺人 土浦連続通り魔事件・死刑囚の記録』
(新潮社/単行本/読売新聞水戸支局取材班/2014.3)


死刑制度は誰のためにあるのか?  最高刑の根源を問う犯罪ドキュメント! 「自殺は失敗すると痛いだけ。確実に死にたい。そうだ、死刑になろう」 自ら望んで“極刑になるため”に9人を殺傷した男。執行は彼の歪んだ欲望を満足させるだけではないか わが国犯罪史上、前例のない「動機」に戸惑い、30回以上も本人との面会を重ね、苦悩しつつ対峙する記者たち。真の贖罪とは何かを問う壮絶な記録!

土浦連続通り魔事件・・・2008年(平成20年)3月19日と23日に茨城県土浦市で起きた通り魔事件。3月19日、土浦市内の住宅の玄関先で無職の三浦芳一(72歳)が背中を刺されて死亡している姿が発見された。現場に放置されていた自転車から無職の金川真大(まさひろ/当時24歳)が浮上。2日後の3月21日、金川が指名手配されたが、その2日後の23日、JR荒川沖駅改札口南側などで捜査の網をかいくぐり、金川が男女8人の首などを文化包丁やサバイバルナイフで切り付けて、会社員の山上高広(27歳)を殺害し、男女7人に重軽傷を負わせた。2009年(平成21年)12月18日、水戸地裁で死刑判決。即日控訴したが、12月28日、金川が控訴を取り下げ、死刑が確定した。2013年(平成25年)2月21日、東京拘置所で死刑執行。29歳だった。
★2014.3.19 (No.327) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『犯罪学 理論的背景と帰結 (第5版)』
(金剛出版/単行本/J・ロバート・リリー&フランシス・T・カレン&リチャード・A・ボール/2013.11)


現代の犯罪には、ストーカー、ハラスメントなど現代型新型犯罪も生まれ、多種多様な側面をもつ複雑な事象のため、犯罪者学、被害者学、犯罪社会学等の協力、共同作業といった、多面的・総合的なアプローチが必要不可欠となっている。本書は、初版から20年かけて改訂を重ねた『犯罪学』第5版の全訳である。犯罪学理論について、主に犯罪社会学の視点から、古典から現代の最新理論までをわかりやすく解説している。さらに知識社会学的文脈から各理論の誕生を分析し、これら諸理論のその後の運命、現在的状況までも言及するという包括的内容で、しかもこれらの理論の分析と紹介、記述、比較、利点と短所、批判は一党一派に偏らず、きわめて客観公正な立場から論じているのが特色である。最後は、まだ進展中の領域である犯罪学研究の将来的展望を示し、刻々と変化する社会的背景に合わせた多面的、統合的な理論構築の可能性を秘めている。犯罪学を志すすべての方に読んでいただきたい一冊。
★2014.3.12 (No.326) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『暗躍する外国人犯罪集団(クリミナル・グループ) 』
(花伝社/単行本/齋藤真/2014.2)


未解決事件の陰にうごめくクリミナル・グループの実態。この国に深く忍びよるアジア系犯罪専門集団。衝撃のノンフィクション。


著者・齊藤真・・・ジャーナリスト。週刊誌記者を経て、フリーランスに。

目次

第1章 粗大ゴミ
第2章 豊明一家殺人放火事件 2004.9.9
第3章 新宿歌舞伎町放火事件 2001.9.1
第4章 八王子スーパー強盗殺人事件 1995.7.30
第5章 宇土市病院長夫人殺害事件 2004.3.13
第6章 玉突きの日々
第7章 板橋資産家殺人放火事件 2009.5.25
第8章 対峙
第9章 ジャングルへようこそ
★2014.3.5 (No.325) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『津山三十人殺し 七十六年目の真実 空前絶後の惨劇と抹殺された記録』
(学研パブリッシング/単行本/石川清/2014.3)


岡山県の寒村で一人の青年が一晩で30人もの村人を惨殺した「津山三十人殺し」。70年以上前に起きた惨劇の足跡を追った筆者は知られざる事実と真相にたどり着いた。惨劇の真実と真相を明らかにするノンフィクション・ルポ。

著者・石川清・・・1964年、埼玉県生まれ。上智大学文学部卒。NHK記者を経てフリーに。時代の隙間に埋もれた奇妙な事件やエピソードの発掘が得意。また年に十回以上、アジアや沖縄を歩く“南洋フリーク”でもある。他の著書・・・『津山三十人殺し 最後の真相』(ミリオン出版/2011)

目次

序章 始まりの地、惨劇の地、最期の地
第1章 「山口連続殺人放火事件」とのシンクロニシティ
第2章 津山事件のバイブル『津山三十人殺し』の矛盾と虚構
第3章 名家・都井家の知られざるお家騒動と陰謀
第4章 祖母の愛情が育んだ惨劇の芽
第5章 都井睦雄が抱えたドグマ
第6章 燃え上がる狂気
第7章 闇の中の修羅
第8章 津山事件報告書
終章 残された謎


関連ページ・・・津山三十人殺し事件
★2014.2.26 (No.324) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『絶望の裁判所』
(講談社現代新書/瀬木比呂志/2014.2)


裁判所、裁判官という言葉から、あなたは、どんなイメージを思い浮かべられるのだろうか?  ごく普通の一般市民であれば、おそらく、少し冷たいけれども公正、中立、廉直、優秀な裁判官、杓子定規で融通はきかないとしても、誠実で筋は通すし、出世などにはこだわらない人々を考え、また、そのような裁判官によって行われる裁判についても、同様にやや市民感覚とずれるところはあるにしても、おおむね正しく信頼できるものであると考えているのではないだろうか? しかし、残念ながら、おそらく、日本の裁判所と裁判官の実態はそのようなものではない。前記のような国民、市民の期待に大筋応えられる裁判官は今日ではむしろ少数派、マイノリティーとなっており、また、その割合も少しずつ減少しつつあるからだ。そして、そのような少数派、良識派の裁判官が裁判所組織の上層部に昇ってイニシアティヴを発揮する可能性も、ほとんど全くない。近年、最高裁幹部による裁判官の思想統制「支配、統制」が徹底し、リベラルな良識派まで排除されつつある。33年間裁判官を務め、学者としても著名な著者が知られざる裁判所腐敗の実態を告発する。情実人事に権力闘争、思想統制、セクハラ・・・、もはや裁判所に正義を求めても、得られるものは「絶望」だけだ。

著者・瀬木比呂志・・・1954年、名古屋市生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。1979年以降裁判官として東京地裁、最高裁等に勤務、アメリカ留学。並行して研究、執筆や学会報告を行う。2012年、明治大学法科大学院専任教授に転身。民事訴訟法等の講義と関連の演習を担当。著書に『民事訴訟の本質と諸相』(日本評論社) 等多数の専門書の外、関根牧彦の筆名による『内的転向論』(思想の科学社)などがあり、文学、音楽(ロック、クラシック、ジャズ等)、映画、漫画については専門分野に準じて詳しい。
★2014.2.19 (No.323) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『サリン事件 科学者の目でテロの真相に迫る』
(東京化学同人/単行本/AnthonyT.Tu/2014.1)


サリン事件を中心にオウム真理教が起こしたテロ事件について科学者の視点から事件の真相を記述したもの。著者は世界的な毒物学者であり、松本サリン事件では警察からの依頼でサリン分解物の分析法の情報提供を行った。事件に深くかかわった中川智正死刑囚との4回の面会で直接得られた裏側の情報を盛り込みながら警察による捜査、医療関係者による救助と治療、教団による兵器開発の実態に科学の側面から光を当てる。

著者・Anthony T.Tu(アンソニー・トゥ/杜祖健[と・そけん])・・・1930年、台湾の台北市に生まれる。1953年、国立台湾大学理学院化学系卒業。1954年に渡米。スタンフォード大学でPh.D.(化学)取得。コロラド州立大学名誉教授。順天堂大学客員教授。動物毒、特にヘビ毒タンパク質の構造と生理活性の相互関係のラマン分光法による研究が専門。2009年「我が国における危機管理学の発展に寄与」の功労で旭日中綬章を受章。主な著書・・・『サリン事件の真実』(新風舎文庫/2005) / 『中毒学概論 毒の科学』(薬業時報社/1999)など。

主要目次

T.二つのサリン事件

(化学兵器,生物兵器の基礎知識 /松本サリン事件/暗中模索の捜査/東京の地下鉄がサリンで襲われる/教団のサリン製造/サリンの分解物メチルホスホン酸はどこから来たのか/米国や海外への影響)

U.オウムの兵器開発と薬物製造

(最強の神経毒VX/サリン,VX以外の化学兵器の製造/失敗に終わった生物兵器開発/非合法薬物の製造/化学テロからの教訓/死刑確定囚の化学テロへの関与)

付:死刑囚中川智正との面会


関連ページ・・・オウム真理教 / 松本サリン事件
★2014.2.12 (No.322) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『教誨師(きょうかいし)』
(講談社/単行本/堀川惠子/2014.1)


許されざる罪を犯し、間近に処刑される運命を背負った死刑囚と対話を重ね、最後はその死刑執行の現場にも立ち会う、教誨師(きょうかいし)。その仕事を戦後半世紀にわたって続け、死刑制度が持つ矛盾を一身に背負いながら生き切った僧侶の懊悩とは。一筋縄ではいかない死刑囚たちと本音でぶつかりあい、執行の寸前までその魂を救おうとする教誨師の姿に心を打たれます。また、あまりにリアルな執行の場面では「死刑とは何か」「人を裁くとは何か」について深く考えさせられます。

著者・堀川惠子の他の著書・・・『死刑の基準 「永山裁判」が遺したもの』(日本評論社/2009/第32回講談社ノンフィクション賞受賞/第10回新潮ドキュメント賞受賞 ) / 『裁かれた命 死刑囚から届いた手紙』(講談社/2011) / 『永山則夫 封印された鑑定記録』(岩波書店/2013)


目次

序章 坂道
第一章 教誨師への道
第二章 ある日の教誨室
第三章 生と死の狭間
第四章 予兆
第五章 娑婆の縁つきて
第六章 倶会一処
終章 四十九日の雪
★2014.2.5 (No.321) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『裁判官の品格』
(現代人文社/単行本/池添徳明/2013.12)


新聞やテレビの裁判報道では必ず裁判長の名前も紹介される。しかし、その裁判長がどんな経歴の持ち主で他にどんな裁判を担当してきているのか知っているだろうか。 学生時代のこと、司法修習を受けていた頃のこと、裁判官になりたてのころ、裁判長として訴訟指揮をするようになってからのこと。どのように勉強し、どのようなことを友と語り、どのようなことを法廷で述べてきたのか。 長きにわたり司法問題に取り組んできたジャーナリストが弁護士や市民活動家などを数多くインタビュー。あの有名事件の裁判長の人となりに迫る。

著者・池添徳明(のりあき)・・・1960年生まれ。埼玉新聞記者、神奈川新聞記者を経て、1999年からフリージャーナリスト。その傍ら、2003年から関東学院大学非常勤講師。教育・人権・司法改革・メディアなどの分野に関心を持って取材している。「大岡みなみ」のペンネームでも執筆。著書に 『日の丸がある風景』(日本評論社) / 『教育の自由はどこへ』(現代人文社) / 『裁判官Who's Who/首都圏編』(現代人文社) など多数。

<目次>
○門野博/「名張毒ブドウ酒事件」再審決定を取り消し
○川口宰護/飲酒運転3児死亡に「危険運転」適用せず
○原田國男/東京高裁でいくつも逆転無罪を言い渡し
○大渕敏和/「東電OL」一審無罪、「所長襲撃」差し戻し
○池田耕平/「強制執行妨害事件」で、安田弁護士逆転有罪
○大島隆明/「横浜事件」再審で免訴、「葛飾ビラ配布」に無罪
○小倉正三/「質店強殺」で逆転有罪、「ウィニー事件」は無罪
○中川博之/「3人死亡放火」に無罪、羽賀研二にも無罪判決
○岡田雄一/「東電OL」や「狭山事件」、再審請求審理が集中
○楢崎康英/「光市事件」で死刑判決、「広島女児」は差し戻し
○池本壽美子/「足利」再審請求を棄却、付審判決定や無罪も
○多和田隆史/「裁判所前の男」に実刑、退廷命令を繰り返す
○倉澤千巌/両手は携帯と吊り革、それでも痴漢冤罪か
○あとがき


関連ページ・・・名張毒ぶどう酒事件 / 東電OL殺人事件 / 狭山事件 / 山口母子殺人事件
★2014.1.29 (No.320) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『振り込め犯罪結社 200億円詐欺市場に生きる人々』
(宝島社/単行本/鈴木大介/2013.11)


振り込め詐欺実行犯の正体は、裏の金融ビジネスとしてフランチャイズ化された「犯罪結社」である。その組織は、集金係である「ダシ子・ウケ子」、電話専門部隊「プレイヤー」、組織を統括管理する「番頭」、出資金のかわりに配当を受け取る「金主(オーナー)」という役職に分かれており、あくまで利益を追求する理念や組織論は、もはや一般企業がぬるいと思えるほどに卓抜したものだった。暴力制裁、関東連合やヤクザとの関係、資金洗浄と詐偽マネーの行方……振り込め詐偽10年の興亡を追った衝撃のノンフィクション。

著者・鈴木大介・・・「犯罪する側の論理」「犯罪現場の貧困問題」をテーマに裏社会・触法少年少女らの生きる現場を中心とした取材活動を続けるルポライター。著作に『家のない少年たち』(宝島社/2010) / 『援デリの少女たち』(宝島社/2012)などがある。現在、『週刊モーニング』(講談社)で連載中の『ギャングース』(原案・『家のない少年たち』)でストーリー共同制作を担当。
★2014.1.22 (No.319) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『いま語りえぬことのために 死刑と新しいファシズム』
(毎日新聞社/単行本/辺見庸/2013.11)


おぞましい時代がやってきた! 甦る過去と猛る現在ーー。語ろうとして語りえない「虚の風景」を至当の言葉で撃ちつらぬく、覚悟の書。

著者・辺見庸・・・1944年生まれ、宮城県石巻市出身。早稲田大学第2文学部卒業後、共同通信社入社。小説『自動起床装置』(文藝春秋/1991)で芥川賞受賞。『もの食う人びと』(角川文庫/1997)で講談社ノンフィクション賞受賞。共同通信社退社後、執筆活動に入る。死刑に関する他の著書・・・『愛と痛み 死刑をめぐって』(毎日新聞社/2008)
★2014.1.15 (No.318) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『「心の闇」と動機の語彙 犯罪報道の一九九〇年代』
(青弓社/単行本/鈴木智之/2013.12)

地下鉄サリン事件や神戸連続児童殺傷事件で急速に広まり語られるようになった「心の闇」。1990年代の犯罪をめぐる新聞報道を詳細に追い、その語りを「動機の語彙」という視点から読み解いていく。そして、「心の闇」という言葉が犯罪とどう結び付き、その行為主体=「犯人」のイメージをどう作り上げたのかを、行為と動機の関係性から分析する。2000年代の犯罪報道ではすでに常套句と化している「心の闇」。しかしその言葉は、他者の理解しがたさを強調することで自己と他者の結び付きに亀裂をもたらしている。「心の闇」に私たちの社会は何を見ようとし、またそれを語ることでどのような可能性を排除してきたかを問い、他者との関係性をどう再構築していくのかを明らかにする。

著者・鈴木智之・・・1962年、東京都生まれ。法政大学社会学部教授。専攻は理論社会学、文化社会学。著書に『村上春樹と物語の条件』(青弓社)/ 『眼の奥に突き立てられた言葉の銛』(晶文社)など。

目次

はじめに
第1章 「心」を「闇」として語るということ
第2章 「心の闇」の浮上――酒鬼薔薇事件(一九九七年)までの新聞報道から
第3章 「動機」が「わからない/わかる」と言うこと――「酒鬼薔薇聖斗」をめぐる大学生たちの語りから
第4章 「心の闇」の定着――一九九八―二〇〇〇年の新聞報道から
第5章 対話としての動機の語り
おわりに


関連ページ・・・オウム真理教 / 神戸須磨児童連続殺傷事件
★2014.1.8 (No.317) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『とらわれた二人 無実の囚人と誤った目撃証人の物語』
(岩波書店/単行本/ジェニファー・トンプソン・カニーノ&ロナルド・コットン&エリン・トーニオ/2013.12)


レイプ被害に遭った上、誤った目撃証言でえん罪を惹き起したことを悔やむジェニファー・トンプソンと無実でありながら終身刑を言い渡されたロナルド・コットン。11年後、DNA鑑定によってコットンの無実が証明されて2人が出会った。ニューヨーク・タイムズ誌ノンフィクション部門ベスト20入りなど全米の読者の心をつかんだ希望に胸が膨らむストーリー!

著者・・・

ジェニファー・トンプソン・カニーノ(Jennifer・Thompson・Cannino)・・・ノースカロライナ州に家族と共に住む。司法制度の改革の必要についてしばしば講演をおこなっている。ジェニファーの意見はニューヨークタイムズ紙をはじめとする新聞でも掲載されている。

ロナルド・コットン(Ronald・Cotton)・・・ノースカロライナ州に家族と共に住む。働きながらジェニファーと共に学校やカンファレンスでスピーチをしている。

エリン・トーニオ(Erin・Torneo)・・・ロサンゼルスに家族と共に住む。2007年にアーツ・ノンフィクション・フェローとしてニューヨーク財団から表彰された。
★2014.1.1 (No.316) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『統合失調症の責任能力 なぜ罪が軽くなるのか』
(dZERO/単行本/岡江晃/2013.11)


91件の精神鑑定を行った精神鑑定医の著者が、精神障害者の犯罪に切り込んだ衝撃作。取材殺到の話題作『宅間守精神鑑定書 精神医療と刑事司法のはざまで』(亜紀書房/2013)の著者による第2弾。 精神障害とりわけ統合失調症(精神分裂症)に対して厳罰化を求める風潮、そして裁判員制度のスタート。 鑑定事例を詳細に引きながら、「責任能力あり・なしの境界線」を世に問う。 〈本書収載の鑑定事例〉 [事例1]車で通勤途上の人たちを次々とはねて多数を殺傷 [事例2]父親を包丁で刺して重傷を負わせ、止めに入った母を刺殺 [事例3]長年各地を放浪したホームレスがコンビニで焼酎などを万引き。

著者・岡江晃・・・精神科医。1946年、高知県に生まれる。京都大学医学部卒業後、1972年から京都府立洛南病院に勤務し、重大犯罪を犯した精神障害者や覚醒剤精神病者の治療に精力的に取り組む。1998年に副院長、2003年から2011年まで院長を務める。1992年より刑事事件の精神鑑定を担当するようになり、2002年の宅間守の精神鑑定を含め、2013年までに91件の精神鑑定を行ってきた。

目次

1 なぜ厳罰化が進んでいるのか(現状をどう見るべきか厳罰化の背景にあるもの)
2 「統合失調症の責任能力」を考えるための三つの鑑定事例(殺人、殺人未遂=Y鑑定書
殺人、殺人未遂=M鑑定書 窃盗=N鑑定書 統合失調症と診断した他の鑑定例)
3 責任能力のある・なしの境界線をどこで引くべきか(責任能力を論じるときに押さえておくべきこと
裁判員制度における精神鑑定の問題点)
★2013.12.25 (No.315) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『弁護人のための指紋鑑定』
(現代人文社/単行本/齋藤保/2013.12)

指紋鑑定は、犯罪捜査にとって、犯人特定など事実究明の有力な手段である。しかし、犯罪現場の遺留指紋のほとんどが不完全なもので、現場での指紋検出、その一致・不一致の判定を誤ると、重大な冤罪を生む。本書は、指紋の基礎知識から検出・鑑定方法までを解説するとともに、実際の事例を紹介し、捜査側の指紋鑑定に対する弁護人の見方・留意点を提示する。


著者・齋藤保・・・株式会社齋藤鑑識証明研究所・鑑識鑑定士。栃木県警で29年間指紋鑑識(約7000件)にたずさわった後、民間の指紋研究所を創設し、名古屋窃盗否認事件、布川事件など21件の冤罪事件鑑定で真相に迫った。現在も、再審請求事件などの指紋鑑定で活躍している。

<目次>

はじめに

第1部 指紋の基礎知識

第1章 指紋の歴史
第2章 指紋の構造と種類
第3章 指紋の特性
第4章 指紋の採取・検出方法
第5章 指紋の鑑定方法

第2部 指紋鑑定の基礎知識

第1章 警察の鑑定体制
第2章 「鑑定」の信憑性
第3章 指紋捜査がなくならないのは、なぜ
第4章 現場指掌紋の採取・照合・鑑定

第3部 指紋鑑定の実際(ケース紹介)

第1章 埼玉窃盗否認事件(ケース1)
第2章 名古屋窃盗否認事件(ケース2)
第3章 狭山事件(ケース3) 
第4章 布川事件(ケース4) 
第5章 日野町事件(ケース5) 
第6章 質店主強盗殺人事件(ケース6) 
第7章 鹿児島老夫婦惨殺強盗事件(ケース7) 
第8章 遺産相続裁判(ケース8) 

おわりに


関連事件・・・狭山事件
★2013.12.18 (No.314) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件
(新潮社/単行本/清水潔/2013.12)


犯人が野放しになっている? 「桶川ストーカー事件」を手掛けた記者が迫る! 5人の少女が標的になった知られざる大事件。それを追う記者が直面したのは、杜撰な捜査とDNA型鑑定の闇、そして司法による隠蔽だった。執念の取材で冤罪「足利事件」の菅家さんを釈放へと導き、真犯人を特定するも、警察は動かない。事件は葬られてしまうのか。5年の歳月を費やし、隠された真実を暴きだす衝撃作。

北関東連続幼女誘拐殺人事件・・・1979年以降に発生した栃木県と群馬県の県境、半径20キロ以内で4件の女児誘拐殺人事件と関連のある1件の女児連れ去り事件(失踪事件)の計5つの事件。これらの事件の共通点として、被害に遭ったのが4〜8歳までの女児であること。3つの事件においてパチンコ店で行方不明になっていること。3つの事件において河川敷で死体遺棄されていること。5つの事件において金曜、土曜、日曜および祝日に事件が発生していること。これら5つの事件全てが未解決事件となっていること。

[1] 1979年(昭和53年)8月3日(金曜)、栃木県足利市の福島万弥(まや)ちゃん(5歳)が自宅近くで遊んでいるうちに行方不明となり、6日後の8月9日、渡良瀬川近くで全裸のまま遺棄されている遺体が発見される。

[2] 1984年(昭和59年)11月17日(土曜)、栃木県足利市の長谷部有美(ゆみ)ちゃん(5歳)がパチンコ店から行方不明となり、1986年3月8日に自宅から1.7キロ離れた場所で白骨死体で発見される。

[3] 1987年(昭和62年)9月15日(火曜/祝日)、群馬県新田郡尾島町(現・太田市)に住む小学2年の大沢朋子ちゃん(8歳)が自宅近くの公園へ遊びに出かけたまま行方不明になり、翌年11月27日、利根川河川敷で白骨死体の一部が発見される(宮崎勤が書いた告白文でこの事件について触れていることや殺害方法など共通点が多いことからこの事件に対する関与が疑われたが、立件されることはなかった。ちなみに宮崎の一連の4人の幼女殺害事件は1988.8〜1989.6に発生している。1989.7 逮捕)。宮崎勤幼女連続殺人事件

[4] 1990年(平成2年)5月12日(土曜)、栃木県足利市の松田真実(まみ)ちゃん(4歳)がパチンコ店から行方不明となり、5月13日に渡良瀬川河川敷で全裸のまま遺棄された遺体が発見される。この事件でDNA型鑑定結果が犯人と同一人だったことで、足利市内に住む当時幼稚園バス運転手だった菅家利和が逮捕され、無期懲役の判決が確定したが、当時のDNA型鑑定は精度が低いことが指摘され、再度、DNA型鑑定を実施した際に菅家と犯人は同一人物ではないという結果が出たため、釈放され、再審で菅家には無罪判決が下され、確定した。

[5] 1996年(平成8年)7月7日(日曜)、群馬県太田市の横山ゆかりちゃん(4歳)がパチンコ店から行方不明となる失踪事件が発生。


著者・清水潔・・・1958年、東京都生れ。ジャーナリスト。新潮社『FOCUS』編集部を経て、現在は日本テレビ報道局記者・解説委員。『FOCUS』在籍時に連載「交通大戦争」で警視総監感謝状。「桶川事件」取材記事と 『遺言 桶川ストーカー殺人事件の深層』(新潮社/2000)で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」「JCJ大賞」を受賞した。日本テレビでも現場の事件記者として活躍、「北関東連続幼女誘拐殺人事件」報道及び「足利事件」の冤罪キャンペーン報道で「日本民間放送連盟最優秀賞」「同テレビ報道番組優秀賞」「ギャラクシー賞」「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」などを受賞。
★2013.12.11 (No.313) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『誘蛾灯 鳥取連続不審死事件』
(講談社/単行本/青木理/2013.11)

刑事、新聞記者…上田美由紀の周りでは6人の男が死んだ。この事件の背景には、木嶋佳苗事件(首都圏連続不審死事件)とは別の深い闇がある。なぜ男たちは肥満のホステスに惹かれたのか?

鳥取連続不審死事件・・・2004年(平成16年)から2009年(平成21年)にかけて、鳥取県鳥取市を中心に元スナックホステスの上田美由紀(2009年当時35歳)の周りで計6件の連続不審死事件が起きた。2009年(平成21年)11月に女性が別件の詐欺罪で逮捕された後に一連の不審死に関する捜査が行われた。2010年(平成22年)1月に美由紀は強盗殺人罪で逮捕され、最終的に2人を殺害した罪で起訴された。2012年(平成24年)12月4日、鳥取地裁(野口卓志裁判長)は求刑通り死刑を言い渡した。被告側は判決を不服として即日控訴した。2013年(平成25年)12月10日、広島高裁松江支部で控訴審初公判が開かれ、美由紀は改めて無罪を主張した。

著者・青木理・・・ジャーナリスト、ノンフィクションライター。1966年、長野県生まれ。共同通信社で警視庁公安担当、ソウル特派員などを務めた後、2006年からフリーに。2000年に発表した『日本の公安警察』(講談社現代新書) は公安警察の内実を赤裸々に描いて大きな話題を呼び、ベストセラーとなった。他の著書に『絞首刑』(現代プレミアブック/2009) などがある。

目次

太ったホステス
一人目の男
二人目の男
三人目の男
県警の蹉跌、男たちの蹉跌
なぜ溺れたのか
ウソツキだけど可愛い女
「真犯人」は誰なのか
「真犯人」の証言
上田美由紀との対話
「みちづれ」
ラブ・レター
★2013.12.4 (No.312) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『塀の中の患者様 刑務所医師が見た驚きの獄中生活』
(祥伝社/単行本/日向正光/2013.12)


受刑者1人に年間250万円の税金が! 「快適・安住の地」に再入所者(リピーター)が急増中!!  知られざる獄中医療の現場と囚人たちの心と身体の真実をレポート 6年間の「獄中体験」は驚きの連続! 1997年の春に福島県立医大を卒業した私は・・・(略)・・・2004年4月にひょんなことから福島刑務所の医師(法務技官)としての職を得ました。それから2010年3月までの6年間、常勤ないし非常勤医師として同刑務所に勤務し、受刑者たちの診療に携わったのですが、これがまたとない大変貴重な体験となりました。 現在は仙台に住み、山形の精神科病院に勤務する身ですが、この福島刑務所での6年間は、医師として社会人として驚きの連続でした。(略)・・・刑務所の医師とならなかったら到底知ることのなかった、それまでの生活では想像もできなかった経験が山ほどあります。それを塀の外の皆さんにも知っていただき、刑務所にも関心を持ってもらいたい、というのが本書執筆の動機です。(「まえがき」より)

著者・日向正光(ひなた・まさみつ) ・・・1971年、千葉県出身。1997年、福島医大を卒業、同年より東京・虎の門病院内科研修医となる。その後、福島医大大学院(薬理学)を経て、2004年より2010年まで福島刑務所医務課に勤務し、受刑者の医療に携わる。一陽会病院(福島市)精神科を経て、現在は若宮病院(山形市)精神科勤務。医学博士。日本内科学会認定内科医、日本精神神経学会精神科専門医、日本薬理学会学術評議員。専門は精神医学一般。他の著書に『糖尿病を改善する食物繊維食のすすめ』(日東書院本社/小山律子との共著/2010)がある。


[本書の内容]
まえがき
プロローグ──刑務所の医師になるまで
1章 刑務所とはこんなところ
2章 さまざまな患者様
3章 「女囚」たちの素顔
4章 「欲」が渦巻く塀の中
5章 刑務所医ならではの意外な「収穫」
6章 体験者から見た「医師不足」
7章 震災私記──福島・仙台・山形
あとがき
★2013.11.27 (No.311) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』
(新潮社/単行本/山田敏弘/2013.10)

モンロー、ケネディ、ベルーシ、ジョプリン・・・全ての「死の謎」に立ち会った男! その偉大な足跡であり、真実と勇気の記録。


著者・山田敏弘・・・写真週刊誌『フライデー』編集部、ロイター通信社などを経て、現在『ニューズウィーク日本版』の編集記者。国際情勢や社会問題を中心に取材・執筆を行う。

目次

第1章 検視官・トーマス野口
第2章 マリリン・モンロー怪死の深層
第3章 サムライ、海を渡る
第4章 ケネディを撃ったのは誰だ?
第5章 殺人鬼の犠牲になったシャロン・テート
第6章 大スターを襲ったアルコールの恐怖
第7章 新たなる挑戦と日本への想い


関連書籍・・・『検死捜査 LA(ロサンゼルス)検死局長の事件ファイル』(クレスト社/トーマス野口&ノーマン酒井/1996) / 『検死官 Dr.刑事トーマス野口』(講談社/トーマス野口&ジョゼフ・ディモーナ/1984)
★2013.11.20 (No.310) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『ケネディ暗殺 50年目の真実 KILLING KENNEDY』
(講談社/単行本/ビル・オライリー&マーティン・デュガード/2013.11)


1963年(昭和38年)11月22日(日本時間23日)、史上最年少で選出された第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディが暗殺された。大統領就任式から暗殺の瞬間、そして事件の裏側や後日談まで臨場感あふれる筆致でドラマチックに描き出す。

著者・ビル・オライリー(Bill・O’Reilly)・・・アメリカのケーブルネットワークで最も高い視聴率を誇るニュース番組『ジ・オライリー・ファクター』のアンカーマン。新聞のコラムニストとしても活躍する。リンカーン大統領の暗殺事件をテーマにしたマーティン・デュガードとの共著『キリング・リンカーン』は200万部を売り上げる大ベストセラーになった。

著者・マーティン・デュガード(Martin Dugard)・・・ビル・オライリーとの共著をはじめ、主に歴史関係の著書で『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラーリスト入りを何度も果たした。


関連書籍・・・『ケネディ暗殺 ウォーレン委員会 50年目の証言 上』(文藝春秋/フィリップ・シノン/2013.11) / 『ケネディ暗殺 ウォーレン委員会 50年目の証言 下』(文藝春秋/フィリップ・シノン/2013.11)
★2013.11.13 (No.309) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『家族喰い 尼崎連続変死事件の真相』
(太田出版/単行本/小野一光/2013.11)


2012年(平成24年)12月12日、兵庫県警本部の留置施設内でひとりの女が自殺した。女の名は角田美代子。尼崎連続変死事件の主犯である。美代子と同居する集団、いわゆる“角田ファミリー”が逮捕され、これまでの非道な犯行が次々と明らかになってきていた矢先のことだった。主犯の自殺によって記憶の彼方に葬り去られたこの事件の裏側には何があるのか? 尼崎を中心とした徹底取材をもとに驚愕の真相を白日の下の曝す問題作!

著者・小野一光・・・1966年生まれ。福岡県北九州市出身。雑誌編集者、雑誌記者を経てフリーライターに。「戦場から風俗まで」をテーマに北九州監禁殺人事件、アフガニスタン内戦、東日本大震災などを取材し、週刊誌や月刊誌を中心に執筆。 主な著書・・・完全犯罪捜査マニュアル 』(太田出版/1995) / 『風俗ライター、戦場へ行く』(講談社文庫/2010)

目次

角田美代子と裏稼業
グリコ森永事件との奇妙なつながり
親の愛に飢えた少女
非公然売春地帯への紹介者
最初の家族乗っ取り
警察の怠慢
美代子の暴力装置
被害者と加害者の父
谷本家の悲劇
自由への逃走、追跡後の悲劇
崩れる大人たち
さまようファミリー

★2013.11.6 (No.308) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『狼の牙を折れ 史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部』
(小学館/単行本/門田隆将/2013.10)


日本初!公安捜査官「実名」ノンフィクション。史上最大のテロ「三菱重工爆破事件」を引き起こした謎の犯人グループは天皇暗殺まで企てていた。「狂気の犯罪」に刑事たちはどう立ち向かったのか。今、最大の秘密組織がヴェールを脱ぐ。

著者・門田隆将・・・1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒。ノンフィクション作家として、政治、経済、司法、事件、歴史、スポーツなど幅広い分野で活躍している。『この命、義に捧ぐ台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社/2010)で第19回山本七平賞受賞。他の主な著書・・・『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』(PHP研究所/2012) / 『なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日』(新潮社/2008)

目次

爆発
駆けつけた公安部幹部
呼び寄せられる猛者たち
ブン屋と捜査官
浮上する犯人の「思想」
端緒
極秘捜査
土田警視総監
緊迫の張り込み
熾烈な攻防
密議
決定的証拠
“謎の女”を追え
主犯への肉迫
「逮捕状」の攻防
スクープ記事
犯人逮捕
声をあげて哭いた
事件は終わらず


関連ページ・・・日本赤軍と東アジア反日武装戦線
★2013.10.30 (No.307) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『毒婦たち 東電OLと木嶋佳苗のあいだ』
(河出書房新社/単行本/上野千鶴子×信田さよ子×北原みのり/2013.10)


「東電OL」、木嶋佳苗、角田美代子、上田美由紀、下村早苗、畠山鈴香…etc彼女たちはなぜ殺し、殺されたのか?頻発する〈女の事件〉を私たちが語り直す。その底にある女と男をめぐる社会の矛盾と闇、女たちの絶望と希望とは。

関連ページ・・・東電OL殺人事件(渡邉泰子/1997) / 首都圏連続不審死事件(木嶋佳苗/2009)

角田美代子(尼崎市の連続変死事件/2012) / 上田美由紀(鳥取連続不審死事件/2009) / 下村早苗(大阪二児置き去り死事件/2010) / 畠山鈴香(秋田児童連続殺人事件/2006)

著者・上野千鶴子・・・1948年、富山県生まれ。社会学者、立命館大学特別招聘教授、東京大学名誉教授。認定NPO法人WAN(ウィメンズアクションネットワーク)理事長。日本における女性学・ジェンダー研究のパイオニア。主な著書・・・『女たちのサバイバル作戦』(文春新書/2013)など多数。

著者・信田さよ子・・・1946年、岐阜県生まれ。臨床心理士、原宿カウンセリングセンター所長。アルコール依存症、摂食障害、DV、子ども虐待などを専門とするほか、母娘問題の第一人者。主な著書・・・『コミュニケーション断念のすすめ』(亜紀書房/2013)など多数。

著者・北原みのり・・・1970年、神奈川県生まれ。コラムニスト、女性のためのセックストーイショップ「ラブピースクラブ」代表。時事問題から普遍的テーマまでをジェンター視点で考察した寄稿・連載多数。主な著書・・・『さよなら、韓流』(河出書房新社/2013)など多数。

目次

第1部 東電OLと木嶋佳苗のあいだ(彼女の事件に惹かれた理由
木嶋佳苗と「東電OL」の共通点
女目線で事件を語る ほか)
第2部 女はケアで男を殺す(支配する女 角田美代子
角田のサティアン
脅しの社会 ほか)
第3部 性と女たち(彼女たちは傷ついていたか
性的な居場所
リベンジのその先 ほか)
★2013.10.23 (No.306) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい 正義という共同幻想がもたらす本当の危機』
(ダイヤモンド社/単行本/森達也/2013.8)


当事者でもないのに、なぜこれほど居丈高になれるのか? 不安や恐怖、憎悪だけを共有しながら、この国は集団化を加速させていく。取り返しのつかない事態を避けるため、今何ができるのか。

著者・森達也・・・映画監督、作家。1956年、広島県呉市生まれ。テレビ・ドキュメンタリー作品を多く制作。1998年、オウム真理教の荒木浩を主人公とするドキュメンタリー映画『A』を公開、ベルリン映画祭に正式招待され、海外でも高い評価を受ける。2001年、映画『A2』を公開し、山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞する。現在は映像・活字双方から独自の世界を構築している。明治大学情報コミュニケーション学部特任教授。主な著書・・・『「A」 マスコミが報道しなかったオウムの素顔』(角川文庫/2002) / 『A2』(現代書館/安岡卓治との共著/2002) / 『A3(エースリー)』(集英社/2010/第33回講談社ノンフィクション賞)

目次

第1章 「殺された被害者の人権はどうなる」このフレーズには決定的な錯誤がある
第2章 善意は否定しない、でも何かがおかしい
第3章 「奪われた想像力」がこの世界を変える
第4章 厳罰化では解決できないこの国を覆う「敵なき不安」
第5章 そして共同体は暴走する
★2013.10.16 (No.305) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『傍聴弁護人から異議あり!』
(現代人文社/単行本/北尾トロ/2013.10)


傍聴弁護人(自称)として挑む裁判員裁判。弁護人目線で見た法廷にはどんな攻防があったのか。弁護人の意図はきちんと裁判員に伝わったのか。検察官 vs 弁護人の熱い戦いを傍聴席から実況リポート!

著者・北尾トロ・・・福岡県福岡市生まれ。東京都立日野高校、法政大学社会学部卒業。フリーター、編集プロダクションのアルバイトなど経て、フリーライター。主な著書・・・『裁判長! ここは懲役4年でどうすか』(文春文庫/2006) / 『裁判長! おもいっきり悩んでもいいすか 裁判員制度想定問題集』(文春文庫/2012)

<目次>

[第1法廷]長女の将来をめぐる駆け引きは功を奏するか――危険運転致死事件
[第2法廷]状況逆転の執行猶予判決なるか――傷害致死事件
[第3法廷]無罪に向かって弁護せよ!――現住建造物放火事件
[第4法廷]あやふやな証拠を叩きつぶせ!――傷害致死事件
[第5法廷]謎の組織に操られた、卵配達人の妄想と暴走――殺人未遂、公務執行妨害事件
[第6法廷]裁判員は連続強姦魔を更生可能と見なすか――住居侵入、強姦致傷事件
[第7法廷]少年はどこで裁かれるべきなのか――傷害致死事件
[第8法廷]知らない国の、未知なる犯罪に関わった少年の罪を日本で考える――海賊対処法違反事件
[対  談]弁護士さん、そこんとこぶっちゃけどうなんすか? 坂根真也×北尾トロ
★2013.10.7 (No.304) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人』
(河出書房新社/単行本/KEI/2013.9)


口コミだけで累計1万部を突破した『KEI チカーノになった日本人』第2弾! KEIの少年期から米刑務所時代のエピソード。HOMIEを通じての日米チカーノ・カルチャー交流等々。 米国刑務所内で日常的に起こる殺人、非情なる人種差別、津波のように押し寄せる理不尽―厳しい現実の下で、長きに渡り投獄された一人の日本人が生き抜いた壮絶な実話!


著者・KEI・・・1961年、東京生まれ。ヤクザ時代にFBIのおとり捜査で捕まる。米刑務所に日本人は唯ひとり。徒党を組まず暴れまくるも、刑務所内で知り合ったチカーノと呼ばれるメキシコ系アメリカ人との交流によって人生における大切なものを学ぶ。現在は「HOMIE」というチカーノ系ブランドを経営。自身の半生を綴った『KEI チカーノになった日本人』が若者の間で話題騒然。主な著書&関連DVD・・・『KEI チカーノになった日本人 改訂版』(東京キララ社/2009) / 『プリズン・ルール』(東京キララ社/2009) / 『チカーノ・KEI アメリカに10年服役した男』(DVD/監督・勝利一/2009) / 『チカーノ・KEI&HOMIE』(DVD/監督・勝利一/2009)
★2013.10.2 (No.303) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『わるいやつら』
(集英社新書/宇都宮健児/2013.9)


拡大する新型詐欺の被害、債務者を食い物にする悪質弁護士、跋扈する貧困ビジネス・・・。現代の「わるいやつら」の手口と実態を、ヤミ金、貧困問題などの最前線で社会悪と戦ってきた著者がリアルに解説。

著者・宇都宮健児・・・1946年、愛媛県に生まれる。1959年、熊本県に住む母方の叔父の元に預けられる。1965年、熊本県立熊本高校卒業後、東京大学法学部入学。1968年、司法試験合格。1969年、東京大学法学部を中退、司法研修所入所。1971年、弁護士登録、東京弁護士会所属。以後、日弁連消費者問題対策委員会委員長、日弁連上限金利引き下げ実現本部本部長代行、東京弁護士会副会長、豊田商事破産事件破産管財人常置代理人、KKC事件・オレンジ共済事件・八葉物流事件被害対策弁護団団長などを歴任。現在、内閣に設置された多重債務者対策本部有識者会議委員、日弁連多重債務対策本部本部長代行、全国クレジット・サラ金問題対策協議会副代表幹事。主な著書・・・『弁護士、闘う 宇都宮健児の事件帖』(岩波書店/2009) / 『反貧困 半生の記』(花伝社/2009)
★2013.9.25 (No.302) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『ルポ 虐待 大阪二児置き去り死事件』
(ちくま新書/杉山春/2013.9)

なぜ2人の幼児は餓死しなければならなかったのか? 現代の奈落に落ちた母子の人生を追い、女性の貧困を問うルポルタージュ。


大阪二児置き去り死事件・・・2010年(平成22年)7月30日、大阪市西区のマンションの一室で女児の羽木(はぎ)桜子(3歳)と男児の羽木楓(かえで/1歳9ヶ月)の死体が発見された。子どもたちは猛暑の中、服を脱ぎ、重なるようにして死んでおり、遺体は腐敗が進み、一部が白骨化していた。同日午後、この部屋に住んでいたファッションヘルス「クラブリッチエレガンス」の店員の下村早苗(現姓・中村/当時23歳)が死体遺棄容疑で逮捕された。この部屋は店が借りていたもので子ども2人は前年5月に離婚した元夫との子で早苗が1人で育てていた。司法解剖で死因は特定できなかったが、死後1〜2ヶ月が経っており、栄養不足が疑われ、死亡前数日は食事を取っていなかったとみられている。遺体発見時、室内はごみが散乱し、冷蔵庫に食べ物は入っていなかった。マンションの住民によると、この部屋やベランダからはごみが腐ったような異臭がし、1〜2ヶ月前まで中から赤ちゃんの叫び声のような泣き声がしていた。 大阪市の「こども相談センター虐待ホットライン」には虐待を疑う通報が2010年(平成22年)3月以降3度あり、職員が5月18日までに5度訪問したが、応答がなく、室内に入れなかったという。6月中旬、早苗が2人の子どもを部屋に残して家出。6月下旬、早苗は一度帰宅したが、子ども2人が死んでいるのを確認して再び家出。7月29日、早苗が再度帰宅。遺体が腐敗しているのを見て再び家出。7月30日、早苗が勤務していた風俗店の同僚男性が早苗の部屋で2人の子どもの遺体を発見。同日午後、早苗が逮捕される。早苗は大阪府警の調べに「ホストクラブで遊ぶのが楽しくて育児が面倒になった。もっと遊びたくて家を出た」と供述。早苗は男と遊び回っている様子をSNSで紹介していた。2012年(平成24年)3月16日、大阪地裁で懲役30年(求刑・無期懲役)の判決。12月5日、大阪高裁で控訴棄却。2013年(平成25年)3月25日、最高裁で上告棄却で懲役30年が確定。

著者・杉山春・・・1958年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。主な著書・・・『ネグレクト 育児放棄 真奈ちゃんはなぜ死んだか 増補版』(小学館文庫/2007/第11回小学館ノンフィクション大賞受賞作)
★2013.9.18 (No.301) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『関東連合 六本木アウトローの正体』
(ちくま新書/久田将義/2013.9)


六本木界隈で事件が起こると、あるいは芸能スキャンダルがあると必ずと言っていいほど、あるグループの関与が取り沙汰される。捜査当局から、ついに準暴力団と規定された関東連合だ。いったい彼らは何者なのか。なぜそれほど影響力を持てるのか。数々の事件の背景には何があるのか―。捜査当局はもとより、関東連合幹部、暴力団関係者を直撃。さらに、暴走族、チーマー、ギャングと変遷した昭和・平成の不良少年シーンを、著者の実体験も交えて辿る。綿密な取材・分析から見えてきた、新しい反社会的なネットワークの正体に迫る。

関連書籍・・・『いびつな絆 関東連合の真実』(宝島社/工藤明男/2013) / 『不良録 関東連合元リーダーの告白』(双葉社/石元太一/2012)

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