[ 無限回廊 top page ]

weekly book

since December/2007


実際にあった事件や犯罪に関する新刊を週一で紹介。更新は主に水曜日。

下記の
★の日付は更新日で、その日付は下(↓)が古く、上(↑)が新しい
関連ページ・・・amazon
weekly book [ No.1〜100 ] [ No.101〜200 ] [ No.201〜300 ] [ No.301〜400 ] [ No.401〜500 ] [ No.501〜600 ] [ No.601〜700 ] [ No.701〜800 ] [ No.801〜900 ]

[ No.901〜 ] ↓


★2025.6.11(No.913)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『警察捜査の真実』(SB新書/古野まほろ/2025.7)


コメンテーターが語る警察捜査。法曹や元刑事が語る警察捜査。映画・ドラマの語る警察捜査。
あふれるほどの情報が、どこかしっくりこないのは何故だろう。感想や仮定や憶測が、必ず付いて回るのは何故だろう。
逮捕は捜査の目的じゃないし、警察は自白フェチじゃない──擁護でも暴露でも武勇伝でもない純粋な「捜査の基礎とファクト」を、ひたすら実例と実務によって解きほぐす、義務教育で学びたかった警察捜査

著者・古野まほろ・・・東京大学法学部卒。リヨン第3大学法学部修士課程修了。我が国学位授与機構より学士(文学)。警察庁T種警察官として交番、警察署、警察本部、海外、警察庁等で勤務し、警察大学校主任教授にて退官。2007年、『天帝のはしたなき果実』で第35回メフィスト賞を受賞。作家として有栖川有栖・綾辻行人両氏に師事。本格ミステリを中心に、警察小説、青春小説、新書等多数。

はじめに
第1章 基礎からの「捜査」――目的、概容、端緒
第2章 捜査の流れ、捜査の諸タスク
第3章 有事の任務部隊、「捜査本部」
第4章 捜査員と刑事部屋――イキモノ・習性・タイムテーブル
第5章 捜査をめぐる大きな謎――取調べ・自白・冤罪にフォーカスして
★2025.6.4(No.912)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『知るほどヤバイ 知らないともっとヤバイ 法律の闇』
(KADOKAWA/単行本/弁護士のたむじろう/2025.6)


第1章「知らないと損するお金の話」では、「あるひとつの判断ミスで、亡くなった父の借金300万円が降りかかってくる怖い話」や、「母親思いの子どもの優しさと無知が、家を売らざるを得ない状況に追い込まれる話」などを収録。第2章「知らないとヤバイ離婚で地獄」では、「不倫された側がなぜか離婚時にお金を払わないといけない話」や「離婚せずに別居と、今すぐ離婚。計算すると今すぐ離婚したほうが4万円お得?」などを収録。第3章「知りたくなかった司法の闇」では、大きな話題を呼んだ戦後最大の冤罪事件「袴田事件の闇」にまつわる話や、「これを法律で裁けないの司法の欠陥だろ」という話を収録。結婚、離婚、不倫、相続、お金、借金、冤罪……人生において誰もが経験する法律の絡むあれこれ、知らないと損してしまう法律ホラーをマンガと豊富な解説で紹介した一冊。

著者・弁護士のたぬじろう・・・弁護士としてばりばり働きながら、平日夜に弁護士あるあるネタなどの四コマ漫画をXで更新している。Xアカウント:@B_Tanujiro

P.5…第1章 知らないと損するお金の話
P.7…遺産相続
P.19…相続放棄
P.31…相続放棄失敗
P.41…第2章 知らないとヤバイ離婚で地獄
P.43…不倫されたのにお金を払う!?
P.55…今すぐ離婚で4万お得?
P.67…女性側の離婚苦労話
P.77…ペアローン契約後の離婚
P.85…第3章 知りたくなかった司法の闇
P.87…袴田事件
P.99…袴田事件 その後
P.106…パチンコの闇
P.117…司法の欠陥
P.129…司法の欠陥 下ネタ編
★2025.5.28(No.911)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 『部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本』
(日本能率協会マネジメントセンター/単行本/加藤京子/2025.6)


「パワハラ」と聞くと、上司から部下へのベクトルを想像する。
しかしながら昨今、かつての年功序列中心の牧歌的な日本的経営の時代(=年功序列のラインに乗ればそのまま上にいける、また誰もが昇格することに疑いを持たなかった「平和的な要素が強くなっていた時代」)と異なり、皆がみな上役的役割を担いたい人ばかりがいるわけでは無い時代である。さらには「ハラスメント」「コンプライアンス」などの文脈を背景に、パワハラが怖くて言い返せないで悩んでいる上司(例えば概ね40代以降、圧倒的に優秀ではないが、実直で生真面目、不本意ながら上司になってしまったヒト)は少なくない。それどころか、上司が躊躇して言い淀んでしまうのをいいことに、部下から上司への“逆パワハラ”という状況すら生まれている。

そうした<悩める上司たち>に向けた類書では、「傾聴しましょう」「感情的になってはいけません」「押しつけではなく考えさせましょう」という性善説に立脚した一般論・精神論が謳われているが、それではうまくいかない。
なぜなら、上司を馬鹿にしている相手(部下)は“逆パワハラ”を仕掛けてきている場合も多々あるわけで、論理が通用する相手ではないこともある。そんな<悩める上司たち>がたくさんいる職場で“逆パワハラ”は横行しているが、多くの上司が反論できず、「もう無理」と思わされてしまっている。

本書ではそんな<部下からの“逆パワハラ”に日々悩みを深める上司たち>に向けて、以下のような処方箋を示していきたい。

上司たちに共通する「逆パワハラの実情」
― その逆パワハラが想定外であり、とっさのことにビビってしまう
― 逆パワハラをされたときに切り返すフレーズを持っていない
― 誰にも打ち明けることができず、孤立してしまう

本書では「部下からの逆パワハラが怖くて何も言えない」と思ったとき、以下のような【処方箋】をお伝えします。
― 逆パワハラ部下のパターンを理解する
― その逆パワハラが、自分の「どの感情を煽ってきているか」を理解する
― その場で切り返すフレーズを身につける

著者・加藤京子・・・H・Rサポート代表  www.bureau01.com/ 青山学院大学文学部フランス文科卒業、日商岩井株式会社(現 双日株式会社)入社。1998年社会保険労務士資格取得、2000年独立開業〜現在 H・Rサポート(港区西新橋にて社会保険労務士事務所経営)2004年研修講師として活動開始し、管理職選抜・昇格審査事業の一環として、部下育成の相談(面談)を受託。年間約100日(20年間)、約2万人対応。現在、研修講師および人材アセスメントのチーフコンサルタントとして活動中。著書に『Z世代に嫌われる上司、嫌われない上司』(ぱる出版)がある。

《目次》
はじめに
第1章 パワーハラスメントについて
第2章 部下がモンスター化したときの処方箋
第3章 ハラスメント・ハラスメントエリア 部下からの奇襲 
第4章 世代間ギャップの向こうに、逆ハラスメントが見える
第5章 限りなくモンスター 部下からの攻撃 助けてゾーン
第6章 あなたが、あなたを守るために、やらなければいけないこと
おわりに
★2025.5.21(No.910)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『獄中を生きた 監獄法の懲役刑』
(Independently published/単行本/岩崎風水/2025.4)


この本は、1999年(平成11年)から2006年(平成18年)までの7年に及ぶ監獄法下の懲役刑の生活を書いた。2014年(平成26年)に出所するまでの受刑生活の前半分の記録である。 

監獄法は、収監の手続きや拘禁の形式、作業や教誨(きょうかい)、接見など、自由刑の執行方法や死刑の執行について規定した法律だ。1908年(明治41年)に施行され、2006年(平成18年)に施行された「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」によって廃止された。 懲役刑は、自由を奪う自由刑の一種で、犯罪者を刑務所に収監して刑務作業を強制させる刑事罰だ。 刑法第28条には、刑期の3分の1を過ぎれば行政官庁の処分によって仮釈放を得られるとある。

私は、従順で寡黙な生活をすることからはじめた。3分の1で仮釈放を得るため、模範囚として受刑生活を送るつもりだった。しかしそれは、全打席ホームランを打ちたいと願うバッターと同じで、実現は不可能だった。 受刑生活が始まってから、少年刑務所で風邪をこじらせて体調を崩し、3ヶ月間療養をした。その後も帯状疱疹が出て、結核に罹患し、医療刑務所で一年間の療養をした。医療刑務所から長期刑務所に戻る頃には、私は、仮釈放を欲しなくなった。刑務所には一般の社会とはかけ離れた独自の文化がある。また、その文化を担う者たちは、罪を犯したとされて服役している者たち。自己の利益獲得に余念がない者、寡黙に生活を続ける者、生きるのを諦めた者など、様々な受刑者がいた。
★2025.5.14(No.909)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『渇愛 頂き女子りりちゃん』
(小学館/単行本/宇都宮直子/2025.7)

選考委員の心を強く揺さぶり、受賞に至った第31回小学館ノンフィクション大賞受賞作。

◎酒井順子さん
「りりちゃんの孤独、騙された男性の孤独に迫るうちに著者もりりちゃんに惹かれて行く様子がスリリング。都会の孤独や過剰な推し活、犯罪が持つ吸引力など現代ならではの問題がテーマが浮かび上がって来る」

◎森健さん
「今日的なテーマと高い熱量。とくに名古屋に部屋を借るほど被告人への面会取材を重ねる熱量は異様。作品としての力がある」

◎河合香織さん
「書き手の冷静な視点とパッションの両者がある。渡邊被告がなぜ”りりちゃん”になったかに迫るうちに著者自身もまた、”りりちゃん”という沼に陥り、客観的な視点を失っていく心の軌跡が描かれているのが興味深い」

大きな話題を集めた「頂き女子りりちゃん事件」に真っ向から挑む姿勢と、そこに映し出された現代社会の姿がいま読むべきノンフィクションとして高く評価された1冊です。

【編集担当からのおすすめ情報】
ターゲットとする年上の男性を「おぢ」と、彼らから金銭を詐取することを「頂き」と名付けたキャッチ―さや、その手法を「魔法のマニュアル」として販売していたこと、だまし取った金をすべて歌舞伎町のホストクラブに勤務するホストにつぎ込んでいたこと、「頂き女子りりちゃん」と名乗り、アッシュブロンドに染め上げた肩までボブヘアに、ピンクを基調としたファッションで「配信」を行っていたことなど、様々なエピソードや特異なキャラクターによって、逮捕から裁判、そして実刑判決まで一挙手一投足が注目を浴びた事件を、週刊誌で20年以上事件・芸能記者として活動しながら、歌舞伎町に住み込んで「ホス狂い」を取材してきた女性記者が全力取材。

“りりちゃん”との面会や手紙のやりとりを重ね、裁判を傍聴するうちに、少しずつ心の距離が縮まり、記者でありながら共鳴し「彼女の罪がわからない」と逡巡しつつ家族や被害者、「りりヲタ」を名乗り、彼女をフォローしていた女性たち、支援を申し出た関係者などに取材を重ね、深く、事件の核に迫ろうとする著者の姿に心揺さぶられること間違いなしです。

対象に飲み込まれながらも真っ向から対峙し続けた著者にしか書くことができない
情動と熱気に満ちた全く新しいノンフィクションです。

《アクリル板の向こうにいる彼女の言葉に心を揺さぶられ、逡巡し、また新たに発覚した事実をぶつけると、彼女の言葉によって、覆される。振り返れば、この一年間は、その繰り返しだった》

ターゲットとする年上の男性を「おぢ」と、彼らから金銭を詐取することを「頂き」と名付けたキャッチ―さや、その手法を「魔法のマニュアル」として販売していたこと、だまし取った金をすべて歌舞伎町のホストクラブに勤務するホストにつぎ込んでいたこと、「頂き女子りりちゃん」と名乗り、彼女をフォローしていた女性たち、支援を申し出た関係者などに取材を重ね、深く、事件の核に迫ろうとする著者の姿に心揺さぶられること間違いなし。

対象に飲み込まれながらも真っ向から対峙し続けた著者にしか書くことができない情動と熱気に満ちた全く新しいノンフィクションです。

〈 目次 〉

プロローグ

第1章 彼女の罪がわからない

第2章 魔法のマニュアルを取り巻く人々

第3章 逆転する「母」と「娘」

第4章 極彩色の牢獄
★2025.5.7(No.908)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『好きだったあなた 殺すしかなかった私』
(鉄人社/単行本/事件備忘録@中の人&高木瑞穂/2025.5)


複雑に絡み合う男女の事件
人は激情に駆られた瞬間、どのように理性を失い、取り返しのつかない結末へと突き進んでしまうのか。
「夫ガソリン焼殺事件」
「同居女性バラバラ殺人事件」
「歌舞伎町ホスト殺人未遂事件」など、
恋愛、夫婦、不倫、ストーカーといった関係性のもつれから生まれた衝撃的な事件の数々、人間の心の深淵を描くリアルドキュメント!

著者・・・


事件備忘録@中の人(じけんびぼうろくあっとなかのひと)・・・1974年愛媛県生まれ。幼いころより新聞に掲載される事件を読むのが好きで、2016年頃から個人的に気になる事件をまとめるサイト『事件備忘録』を運営。現在までに300以上の事件、その背景をまとめ、地元愛媛の裁判を中心に傍聴も行っている。家族や隣人、恋人同士など日常の中の普通の人々による事件が中心。

高木瑞穂(たかぎみずほ)・・・1976年生まれ。ノンフィクションライター。著書に『売春島「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』『東日本大震災 東京電力「黒い賠償」の真実』『覚醒剤アンダーグラウンド「日本の覚醒剤流通の全てを知り尽くした男」』(彩図社)、『裏オプ JKビジネスを天国と呼ぶ「女子高生」12人の生告白』(大洋図書)『ルポ新宿歌舞伎町 路上売春』『事件の涙 犯罪加害者・被害者遺族の声なき声を拾い集めて』『殺人の追憶』(小社刊)などがある。
X @takagimizuho2 https://note.com/takagi_mizuho

殺害依頼した女の「それでもいいと思えた366日」
東京都多摩市・闇サイト殺害依頼事件

不倫で始まり不倫で終わる私たち
東京都練馬区・夫殺害事件

殺害と死体遺棄を手伝ったオンナ友だちの絆
千葉県千葉市・前夫殺害死体遺棄事件

暴力夫を餓死させて晴らした女の怨
三重県四日市市・通風夫餓死殺害事件

愛憎「好きで好きで仕方がなかった」
新宿歌舞伎町ホスト殺人未遂事件

and more…
この事件の中に、あなたの姿はないですか?
★2025.4.30(No.907)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『あの日、妻の信号は青色だった。 司法に葬られた福井衝突事故の謎』
(若葉文庫/山崎義一/2025.4)


福井で発生した衝突事故の不自然な捜査と経緯。これが地方の警察、裁判所の「常識」なのか。司法や捜査機関の都合にふりまわされる妻を、傍聴席から見守ることしかできない夫の苦悩と憤りが交通事故の実態を、烈火のごとくあぶり出す!

【本文より】

実際に、事故の発生直後から妻本人の証言とはまったく異なる信号の色や走行ルートが、捜査機関の「捜査なき決めつけ」によって、すべて「事実」にされてしまいました。その結果、事故の当事者である妻と事故相手が負う「3つの責任(処分)」も次のようなチグハグな結末を迎えています。刑事=双方が不起訴。行政=双方が信号無視。民事=妻の過失が10割(事故相手は過失なし)。刑事、行政については、喧嘩両成敗のごとく、双方が痛み分けをするかたちで終わりましたが、なぜか民事では妻が一方的に「加害者」に仕立て上げられてしまい、裁判官も妻の言い分に耳を傾けることはありませんでした。〈序章より抜粋〉

調書1の見取図は事故相手K氏の主張に沿ってまとめられたものだが、衝突位置は妻の主張とは大きく異なっている。今回の衝突事故は出会い頭のはずだが、双方が主張する衝突位置には「約5メートル」のずれがある。あくまでもK氏の主張がベースなので、このような「誤差」が生じる可能性はあるかもしれないが、私にはどうしても腑に落ちないことがある。それは、この「誤差」について、具体的な捜査をした痕跡がどこにもない点だ。K氏の実況見分は「事故当日(直後)」におこなわれている。そのため、実況見分のときにはK氏が主張する衝突位置の付近には、事故車両から落下したパーツの一部や破片などが路面に残っているはずだが、それらに関する記録(現場写真や記述)はいっさいない。明らかに不自然な調書だと思った私は、南署の担当者にそのことを問いただした。すると担当者は自信満々にこう答えた。「実況見分調書に衝突位置の写真はいらない。停止位置の写真しか撮らない」これが福井県警の捜査方針なんだろうか……。この時点で衝突位置を明確にしなかった(できなかった)のは、捜査機関にとって大きな「捜査ミス」といえるだろう。〈第1章より抜粋〉

著者・山ア義一(やまざき・ぎいち)・・・兼業農家。1946年5月、福井県福井市に生まれ現在に至る。高校卒業後、当時の福井市企業局に定年まで勤務。主に維持管理作業に従事。定年後は親のあとを継ぎ、わずかな水田畑の耕作、時間をみては妻の残したプランターの手入れをしている。

【もくじ】

序章 心の後遺症
・交通事故の一報
・警察官の怒声
・理不尽な捜査
・動かぬ証拠

当時の画像で振り返る
・交通事故の概要1 事故現場
・交通事故の概要2 事故車両

第1章 実況見分調書
・実況見分は任意
・謎の調書
・調書1 衝突地点が5メートルも違う
・調書2 K氏は交差点の南側から進入
・調書3 目撃者の位置
・調書4 福井地検が再捜査を指示

第2章 妻の証言
・最大の争点「走行ルート」
・妻の主尋問
・妻の反対尋問

第3章 事故相手
・初対面
・事故時の証言
・K氏の陳述書

第4章 目撃者
・教え子
・調書3の疑問点
・証言が二転三転
・メモと調書の違い
・後日談

第5章 警察と保険会社
・調書の日付が違う
・日記が証拠品に
・診断書の受け取り拒否
・目撃者探しの電柱幕とチラシ
・警察官スクラム
・過失割合の変遷

第6章 検察と行政処分
・不起訴処分の類型
・検察審査会
・双方が赤信号無視
・交通事故の時効が完成

第7章 弁護士
・意見書
・目撃者との通話
・自動車会社の見解
・文書偽造の時効

第8章 裁判
・尋問の回数
・一審での和解勧告
・謎の交通量調査
・一審判決のポイント
・2回で終わった高裁
・最高裁からの通知
・裁判の結果

終章 妻への想い
・乳がんが転移
・やりきれない気持ち

巻末資料
・交通事故年表
★2025.4.23(No.906)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『死刑について私たちが知っておくべきこと』
(ちくまプリマー新書/丸山泰弘/2025.5)


・犯罪抑止力はあるともないとも言えない
・「国民世論の多くが賛成」の根拠には問題がある
・「絞首刑は残虐か」の検証は70年以上行われていない
・政府は執行の具体的な情報を公開していない

死刑制度に「なんとなく」で賛成または反対していませんか。冤罪があれば取り返しのつかない「究極の刑罰」にもかかわらずその実態は知られておらず、十分な議論もなされていない。日本の死刑制度とその運用にはどのような問題があるのか、維持するのならどうあるべきか、考えるための材料を示す。

著者・丸山泰弘・・・立正大学法学部教授。博士(法学)。専門は刑事政策・犯罪学。日本犯罪社会学会理事、日本司法福祉学会理事。2017年にロンドン大学バークベック校・犯罪政策研究所客員研究員、2013年から2020年にカリフォルニア大学バークレー校・法と社会研究センター客員研究員。著書に『刑事司法における薬物依存治療プログラムの意義――「回復」をめぐる権利と義務』(日本評論社)などがある。

【目次】
第1章 死刑はどのように運用されている?
第2章 刑事政策の暗黒時代とその後
第3章 被害者を支援するとはどういうことか
第4章 死刑存置派と死刑廃止派の水掛け論
第5章 日本の市民は本当に死刑を望んでいるのか
第6章 「死刑は残虐な刑罰か」の過去・現在・未来
第7章 アメリカが死刑を維持するためにとった7つの観点
第8章 死刑存廃論のミニマリズム
★2025.4.16(No.905)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『神山啓史流あきらめない弁護術 伝承していく刑事弁護』
(人文社/単行本/神山啓史/2025.3)


依頼者のために、@力を尽くす、A先手を打って審理を主導する、B妥協しない、C手を抜かない、そしてD本に書いてあることしかできないわけでない――。神山啓史弁護士は、弁護活動には限界がないことを教える。そうした弁護活動は、刑事弁護に携わるすべての弁護士に、多くの発見と勇気を与えてくれる。本書では、事実と証拠の獲得、そして得るべき結論を目指して、考え、悩み、工夫を凝らす刑事弁護人・神山啓史弁護士(元司法研修所教官)が、事情聴取、尋問、論告、弁論などについて、「私ならこうする」とすべてを見せる。

刊行によせて
理想の刑事弁護人●田岡直博
刊行にあたって●神山啓史弁護士の弁護の「技」を伝承する会、神山啓史

第1部 無罪獲得の弁護術 楽しくやって、あきらめない

第1章 東電女性社員殺害事件──その1(確定審)
[座談会]神山啓史・神田安積・鈴木郁子・宮村啓太
1.東電女性社員殺害事件―どんな事件だったか
2.無罪なのに勾留?
3.一審無罪判決を受けて
4. 再勾留をめぐる攻防
5. 「否認しているから」再勾留
6.逆転有罪判決

第2章 東電女性社員殺害事件──その2(再審)
[座談会]神山啓史・神田安積・鈴木郁子・宮村啓太
1.再審請求にあたって
2.再審の重い扉を開けた神山流弁護術
3. 再審請求後の弁護団の体制
4. 決してあきらめない活動の継続
5. みんなで議論をして常に成果と課題を確認
6. 迷ったらやってみる
7. 「証拠を創る」という発想
8. 常に手続の主導権を
9. 神山流弁護術からの学び

【掲載資料@】 東京高裁2000(平12)年4月20日の職権不発動判断
【掲載資料A】 検察官の勾留職権発動申出に対する弁護人意見書(2000年5月8日)
【掲載資料B】 東京高裁2000(平12)年5月19日の勾留決定に対する弁護人の異議申立てに対する棄却決定
【掲載資料C】 弁護人の特別抗告申立書(2000〔平12〕年5月23日)
【掲載資料D】 最高裁2000(平12)年6月27日の特別抗告棄却決定

Column 再審請求を考えている事件の証拠物の保管●神山啓史

ゴビンダさんからのメッセージ 私を励まし勇気づけた「ことわざ」

第2部 捜査段階・証拠づくりの弁護術 思いついたら、まずやってみる

第3章 神山啓史弁護士に聞く 捜査段階における活動
[聞き手]野傑
1.強盗殺人事件
2.傷害致死事件
3.殺人未遂事件
4.まとめ

第4章 神山啓史弁護士に聞く 証拠づくりにおける活動
[聞き手]高津尚美
1.強盗事件
2.草加事件
3.名張事件
4.草加事件――血液型
5.名張事件――歯痕
6.足利事件
7.まとめ

Column[刑事弁護日誌] 3月31日 一勝一敗(名張事件と草加事件)●神山啓史

第3部 死刑求刑事件の弁護術 あるべきことは、遠慮も妥協もしない

第5章 オウム事件10講●神山啓史
1. はじめに
2. 第1講―黙秘:供述させて後悔しないか
3. 第2講―勾留理由開示公判:供述させなくて後悔しないか
4. 第3講―起訴状の朗読:刑事訴訟法を守らなければ
5. 第4講―公訴事実の認否:これで認められるか
6. 第5講―書証に対する認否:原則は不同意である
7. 第6講―伝聞例外に対する異議:結果はわかっていても
8. 第7講―鑑定:被告人の意思に反しても
9.第8講―被害者尋問:検察官の不誠実さを正す
10. 第9講―被告人質問:被告人の人間性を暴く
11. 第10講―弁論:この裁判に何を残すか

第6章 オウム事件第一審の弁論●神山啓史
1.弁論
2.裁判員裁判の課題

第4部 裁判員時代の弁護術 被告人が分かる公判をやる

第7章 原則は不同意──調書裁判克服の実践イメージ(『季刊刑事弁護』からの厳選論考@)●神山啓史
1.K弁護士、国選事件を受任する
2.K弁護士、第一回公判を行う
3.K弁護士、S修習生から質問を受ける

第8章 黙秘権の確立をめざす弁護活動(『季刊刑事弁護』からの厳選論考A)●神山啓史+後藤 昭
1.問題の所在
2.弁護活動のポイント
3.理論上の課題

第9章 どんどん見せてもらおう──こんなことも証拠開示(『季刊刑事弁護』からの厳選論考B)●神山啓史
1.記録を閲覧したとき
2.同意・不同意を考えるとき
3.証人尋問をするとき
4.客観的状況をもっと知りたいとき
5.捜査状況をもっと知りたいとき
6.検察官の証拠が採用されたとき
7.情状資料を得たいとき

第10章 刑事弁護は経験から学ぶ(『季刊刑事弁護』からの厳選論考C)●神山啓史

第11章 裁判「官」裁判傍聴記
[語り手]神山啓史、[聞き手]久保有希子
1.きっかけ
2.印象
3.問題点
4. これから

司法研修所で神山クラスだったみなさんにインタビュー! 神山啓史教官の教えと実践
教え子へのメッセージ 神山啓史

本書のむすびにかえて シンプルさは究極の洗練である●虫本良和

編著者プロフィール
神山啓史弁護士の弁護の「技」を伝承する会
★2025.4.9(No.904)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『事件記者 今だから明かせる真相、そして裏話』
(パブファンセルフ/単行本/中島健一郎/2025.4)


取材当時は関係者に配慮した真相や裏話を、もう時効ということで記載した本なので副題に「今だから明かせる真相、そして裏話」というキャッチを採用しました。著者は警視庁担当時代に58件の殺人事件捜査本部をカバーした他、連続企業爆破事件、金大中事件などを追いかけ、その後は慶応大学不正入試事件など調査報道を行いました。ワシントン特派員時代には中米紛争、IBM産業スパイ事件、第五福竜丸被曝の実態解明に取り組みました。
★2025.4.2(No.903)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『少年に付き添う人 「愛された体験」が少年を変える 少年法と付添人の記録』
(現代人文社/単行本/野口善國/2025.4)


著者は、神戸連続児童殺傷事件、姫路タクシー運転手強盗殺人事件といった著名な少年事件を担当するだけでなく、「すべての少年に更生の可能性がある」と考え、60年間でのべ300人の少年を見守ってきた。
著者のこれまでの付添人活動の事例を紹介しながら、子どもに付き添うにあったて何を考え、どのように少年に接してきたのか、その結果として少年にどのような変化があったのか、奏功したのはどういった点だったのか、失敗点はどこにあるのか、を分析する。非行少年にどのように接するべきかと考え悩む読者に豊富な事例と分析から気づきを、そして、少年法の問題点を分析し、非行少年の更生に関わる者として忘れてはならない姿勢を提供する。

著者・野口善國(のぐち・よしくに)・・・弁護士(兵庫県弁護士会)。1970年東京大学法学部卒。卒業後は刑務官として法務省矯正局で働く。1980年に弁護士登録、矯正局時代の経験を活かして少年事件を多く担当。神戸連続児童殺傷事件の弁護団長を務める。著作に『歌を忘れたカナリヤたち』(共同通信社、2005年)、『それでも少年を罰しますか』(共同通信社、1998年)等。

〇目 次

第1部
第1章 心に残る少年たち
第2章 神戸連続児童殺傷事件
第3章 タクシー運転手強殺事件――虐待のはて

第2部
第1章 付添人は何をなすべきか
第2章 守ろう少年法
第3章 少年法の変遷
第4章 少年法「改正」の結果
第5章 少年に対する厳罰論について
第6章 少年法に未来はあるか

Column
リンゴはリンゴの力で育つ
小柄な先生の大きな背中――元少年から見た野口弁護士の活動@
先生のくれた、心の余白――元少年から見た野口弁護士の活動A
儲からなくてもやりたいこと――O事務員から見た野口弁護士の活動
少年と、事件と、ひたすら向き合う――秋山侑平弁護士から見た野口弁護士の活動
未来への架け橋――羽柴修弁護士から見た野口弁護士の活動
★2025.3.26(No.902)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『まさか私がクビですか? なぜか裁判沙汰になった人たちの告白』
(日経BP/単行本/日本経済新聞「揺れた天秤」取材班/2025.3)


パパ活なのか恋なのか? 会社役員が「恋人」と信じた女子高生には「本当の彼氏」がいた。
泥酔で失った商社内定。入社歓迎会で吐いた「記憶にない暴言」の重過ぎる代償。
銀行副店長が解雇されたあまりにも些細な理由。洗剤の試供品を持ち帰ったら「窃盗」に?
・・・積水ハウス「地面師事件」にソフトバンク部長の隠れ副業、有名企業の社員も例外ではなく、私たちの日常は意外に怖い。身につまされて学びになるリーガル・ノンフィクション。日本経済新聞電子版の人気連載を書籍化。

[目次]
【第1章】会社員たちの転落劇。小さな慢心が悲劇を呼ぶ
洗剤「お持ち帰り」で失った銀行副店長のポスト。懲戒解雇はやりすぎか?/入社歓迎会で泥酔からの暴言、失った「商社内定」の切符は重かった……
【第2章】まさか、あの会社で。有名企業のスキャンダル
ソニー生命不正送金、詐欺でも「返した」ビットコイン運用益は53億円/隠れ副業の負債で追い込まれたソフトバンク部長、起死回生策は投資詐欺……
【第3章】平穏な家庭が壊れていく。溶けていくお金に、ご近所トラブル
「仕組み債」で1000万円を溶かした母、証券会社の責任は?/たった1人の住人が乱す平穏、マンション理事長は103号室の競売を求めた……
【第4章】会社員はつらいよ。今どき職場の悲喜こもごも
「文句があるなら代案を出せ!」、会議で手が出て1億4000万円の賠償請求/チャットでこぼした愚痴が社長に知られ、「テレワーク禁止」からの自主退職……
【第5章】パパ活なのか、恋なのか。男女のすれ違いが事件になるとき
理事長の秘密の「隠し子」、母が書いた誓約書は子を縛るのか?/認知症の妻を絞殺した元大学教授、「妻がここにいて、ワイン1杯があれば」……
【第6章】秘密資金に粉飾、脱税……闇落ちする経営者たち
秘密資金2800億円に騙された外食チェーン会長、「まだ先生らを信じたい」/「自分の代で潰すわけにはいかない」、100年企業を守るため手を染めた粉飾……
【第7章】職場であった本当に怖い話。日常に流れる狂気
上司を消火器で殴打、「パワハラを受けた」の主張は認められなかった/勤務中にパンダのかぶり物、「最低評価を目指す」という社員をどうする?……
【第8章】SNSの闇。バズリから生まれる誹謗中傷、毀誉褒貶
編み物系ユーチューバーが削除申請を乱用、ライバル動画を次々と封殺/「バズる」動画で"男気"が売りの社長が暴走、ハラスメントで訴えられる……
【第9章】若者たちの心に、司法はどこまで迫れるだろうか
歌舞伎町リンチ死、「トー横」に集まる若者たちの希薄な関係と暴力性/東大前刺傷事件、「偏差値70以下は人間じゃない」と語った少年の嗚咽……
★2025.3.19(No.901)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『総括 戦後公安事件秘録』
(小学館/単行本/緒方重成/2025.3)


2025年3月で、オウム真理教による地下鉄サリン事件から30年を迎える。当時、公安調査庁長官として捜査を担った緒方重威氏は91歳を迎えた。「思えば国家転覆を謀る勢力と戦い続けた日々だった」。そう振り返る緒方氏が、自身が担った戦後の重大公安事件を総括する。東大闘争、よど号ハイジャック、新宿騒擾事件、三菱重工ビル爆破事件、そして地下鉄サリン事件まで、最後の生き証人となった緒方氏が見た革命勢力との対峙風景。

第一章 オウム真理教
第二章 新宿騒擾事
第三章 大学紛争
第四章 赤軍派の時代
第五章 爆弾闘争
第六章 公安調査庁
第七章 インテリジェンス・マスター
第八章 朝鮮総連
おわりに

[ 無限回廊 top page ]