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weekly book

since December/2007


実際にあった事件や犯罪に関する新刊を週一で紹介。更新は主に水曜日。

下記の
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★2024.7.24(No.867)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『旧統一教会 大江益夫・元広報部長懺悔録』
(光文社新書/樋田毅/2024.8)


この世に真実を語り残しておきたい――。1992年に統一教会の広報担当になり、翌年から1999年まで約7年間にわたって広報部長を務めた大江益夫氏。『彼は早稲田で死んだ』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した著者が、その生い立ちから60年近く過ごした旧統一教会での日々、そして病を患ってからの心境の変化まで、氏の心のうちに肉薄。霊感商法、日韓トンネル、韓国への送金問題、赤報隊事件……。大江氏が人生をかけた懺悔。

著者・樋田毅(ひだつよし)・・・1952年、愛知県生まれ。県立旭丘高校卒業、早稲田大学第一文学部社会学科卒業。1978年、朝日新聞社に入社。高知支局、阪神支局を経て大阪社会部へ。大阪府警担当、朝日新聞襲撃事件取材班キャップを務めたのち、京都支局次長、地域報道部・社会部次長、和歌山総局長。朝日カルチャーセンター大阪本部長等を経て、2012〜2017年まで朝日新聞社・村山美知子社主の大阪秘書役を務め、同年12月退社。著書に『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』 / 『彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠』などがある。

◎目次

プロローグ
【第1章】出会い
【第2章】生い立ち
【第3章】早大原理研究会
【第4章】川口大三郎君事件
【第5章】霊感商法
【第6章】幻のクーデター計画
【第7章】日韓トンネル事業
【第8章】旧統一教会広報部長の時代
【第9章】自民党との「絶縁」を求める
【第10章】赤報隊事件
【第11章】今後の教団について

エピローグ
★2024.7.17(No.866)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『加害者にさせないために 社会的孤立の予防と罪に問われた人の更生支援』
(晃洋書房/単行本/2024.7)


本書では、触法・累犯障がい者とさまざまな生きづらさを抱え孤立している人を支える第一線の現場の取り組みを紹介します。更生支援の実例やひきこもり、ドラァグクイーン、薬物依存など当事者の語り、ヤングケアラー、女性、外国人の孤立など課題を抱える人への理解を深め、地域づくり、ネットワークづくりから、よりよく生きるための社会を考えます。

目   次

は じ め に

第一部 罪に問われた障がい者の再出発のために

第1章 なぜ罪に問われた障がい者に手を差し伸べるのか……石野英司
第2章 触法障がい者の概観……小川多雅之
第3章 地域生活定着支援センターについて……小川多雅之
第4章 受け入れ後の対応……石野英司
第5章 事実と異なることを言ってしまう傾向がある人への対応……堀 清和
第6章 罪に問われた障がいのある人の受け入れ
第7章 いわゆる虞犯少年、触法・犯罪少年との関わりとその更生支援……伊丹昌一
第8章 少年の更生……伊丹昌一
第9章 少年法と令和4年4月1日改正のポイント……末永貴寛

第二部 社会的孤立の予防

第10章 『浮草手帖』……流草
第11章 ドラァグクイーンの世界から見た世の中の変遷と性的少数者の生き方……foxy-o
第12章 覚醒剤と再出発……中野瑠美
第13章 被害・加害予防のために……林 吾郎
第14章 被害者にも加害者にもさせないための「0歳からの安全教育」……宮田美恵子
第15章 家でも学校でもない子どもの第三の居場所……白木早苗
第16章 孤立の予防と居場所としての子ども食堂……宮ア充弘
第17章 逆境体験のあるこどもとの関わり……北野真由美
第18章 ヤングケアラー……三好真基子
第19章 行き場のない高校生との関わり……横平 謙
第20章 ひきこもり状態にある人の孤立との関わり、孤立の予防……礒野太郎
第21章 女性の社会的孤立と支援……村木太郎
第22章 今後増加する外国人労働者の社会的孤立を防ぐために……見田勇二
第23章 農福一体のソーシャルファーム……新井利昌
第24章 孤立を予防して不幸の連鎖を断つ……堀 清和

付録1 司法・福祉用語の「やさしい日本語」での言いかえ
付録2 支援ツールの紹介……坂根匡宣

あ と が き
★2024.7.10(No.865)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『犯罪被害と「回復」 求められる支援』
(現代人文社/単行本/伊藤富士江/2024.6)


犯罪被害者は、長い間刑事司法手続で「証拠」の立場しか与えられず、支援のための制度・施策は不十分であった。2004年に「犯罪被害者等基本法」が制定され、ようやく被害者の問題に光が当たるようになった。その後、「犯罪被害者等基本計画」が策定され、5年ごとの見直しによって被害者支援は大きな進展を見せている。しかし、不十分なところが多々ある。本書は、「犯罪被害者調査」の結果から、性被害、交通被害、身体的な被害にあった被害者たちの声をまとめている。その貴重な語りをもとに、被害の実態とその影響、必要な支援策、被害後の変化、そして被害者支援への具体的要望などを分かりやすく解説する。また、被害者の声を受けて、刑事司法機関、医療機関、民間支援機関、教育現場は、どのように被害者に対応しているかについて、支援者側の声を提示する。

著者・伊藤冨士江(いとう・ふじえ)・・・早稲田大学第一文学部(心理学専攻)卒業。アメリカ合衆国ウィスコンシン州立大学マディソン校ソーシャルワーク大学院修士課程修了。東洋大学大学院社会学研究科社会福祉学専攻博士後期課程修了(社会福祉学博士)。警視庁(心理職)、警察庁科学警察研究所(心理技官)、聖カタリナ女子大学等の勤務を経て、上智大学総合人間科学部社会福祉学科教授(2020年3月定年退職)。現在、法務省中央更生保護審査会委員、警察庁犯罪被害者等施策推進会議専門委員、公益社団法人被害者支援都民センター理事、公益財団法人犯罪被害救援基金理事等。主な著書に『司法福祉・実践と展望─少年司法、刑事司法、医療観察、被害者支援─』 / 『福祉が世界を変えてゆく─社会の課題に取り組む現場の声』などがある。

目次

第1章 犯罪被害に関する制度・施策や支援はどこまで進んだか[伊藤冨士江]
1.犯罪被害にあうとは
2.被害者支援の発展経緯
Column @ 被害者支援創成期を振り返って[山上 皓]
Column A 被害者参加制度の創設――検察官への意見表明権と検察官による説明義務[橋正人]
Column B 「第3次犯罪被害者等基本計画」の策定と推進[安田貴彦]

第2章 「被害からの回復」に関する犯罪被害者調査について[伊藤冨士江]
1.犯罪被害者調査の概要
2.インタビュー調査の実施
3.インタビュー結果の分析方法と公表
4.倫理的配慮等

第3章 被害にあった人々の声を聴く[伊藤冨士江]
1.性被害にあった人々の語り
2.交通被害にあった人々の語り
3.身体的な被害にあった人々の語り

第4章 被害者の語りから被害からの「回復」を探る[伊藤冨士江]
1.「心的外傷後成長(PTG)」という考え方
2. PTGと「回復」に関わる語り
3.PTGとして捉えられなかった「回復」に関わる語り
4.被害からの「回復」を促すもの――支援者として求められること
5.被害当事者の自助グループの重要性
Column C だれも被害者にも加害者にもならない社会実現のために――あいの会の活動[小沢樹里]
Column D 沖縄で被害者支援に取り組んで――〜犯罪被害者支援〜ひだまりの会okinawaの活動[河井(川満)由美]
Column E「ゆるやかな連携」を大切に――犯罪被害者団体ネットワーク「ハートバンド」の活動[鴻巣たか子]

第5章 支援者側からの声を聞く――被害者支援を改善するために
1.警察の立場から/今後の被害者支援活動の展望[奥田暁宏]
2.検察の立場から/検察における被害者支援の取組み[梶 美紗]
3.弁護士の立場から/弁護士と被害者支援[長谷川桂子]
Column F 被害者参加制度について多角的に考える[平山真理]
4.更生保護の立場から/犯罪被害者等の思いに応える更生保護の実現に向けて[川本悠一]
Column G 性犯罪者の再犯を防ぐために――更生保護における新たな取組み[伊藤冨士江]
5.精神科医から/より良い被害者支援に向けて[飛鳥井 望]
6.性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターから/性暴力被害者に寄り添う[坂本理恵]
7.病院のソーシャルワーカーから/喪失体験をした家族に寄り添う[牧 祥子]
8.民間支援団体の相談員から/ともに考え、ともに歩む――犯罪被害者支援センターの関わりから[工藤美貴子]
9.教育現場から/スクールソーシャルワーカーから見た学校の被害者対応[横井葉子]

第6章 被害者支援の新たなステージに向けて
[伊藤冨士江]
Column H 自治体の総合的対応窓口に福祉専門職を置く意味[大岡由佳]
Column I 自治体における総合的対応窓口の充実に向けて――研究者の視点から[大塚淳子]

おわりに
執筆者一覧
編著者プロフィール
★2024.7.3(No.864)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『帰る家がない 少年院の少年たち』
(さくら舎/単行本/中村すえこ/2024.8)


女子少年院の少女たちを取材した著者が、今度は多摩少年院、久里浜少年院の4人の少年を取材し、少年たちの心と犯罪の背景に迫った。幼少期から親に虐待されて家出、食うために窃盗や強盗をした子ども。友達の身代わりに詐欺の受け子をして抜けられなくなった子ども。それぞれの犯罪の裏には、まだ自立できない年齢なのに、頼れる大人も安らぎもないという家庭や社会の問題がある。また、少年院を出ても昔の仲間が足を引っ張る。追い詰められた結果、闇バイトの実行犯として懲役刑を受けた18歳の「特定少年」は「捕まってホッとしている」と言った。自暴自棄になっていた別の少年は「犯罪をして、ダメになったら死ねばいいやと思ってた」――。

頼れる人のいない少年が生きていくには多くの困難がある。だが少年犯罪厳罰化は進み、2022年、改正少年法が施行された。自身も少年院経験者の著者は、彼らが犯罪へと踏み込んでいくのは少年だけの問題ではなく、社会、すなわち大人の問題でもあると語る。人は人とつながることで生きていける。支えがあれば、人は変われる!

著者・中村すえこ・・・1975年、埼玉県に生まれる。15歳でレディース(暴走族)「紫優嬢」の4代目総長となり、多くのメディアに取り上げられるが、抗争による傷害事件で逮捕され女子少年院に入る。17歳で仮退院後、レディースを破門となって生き方を見失い、覚醒剤に手を出し再逮捕。だが、周囲の支えを受け新たな道を歩みはじめ、2度の結婚、離婚を経て4人の子を持つ母となる。2009年、少年院出院者自助グループ「セカンドチャンス!」を仲間とともに立ち上げる。2020年、最終学歴中学校から通信制大学を卒業し、44歳で高校教員免許を取得。現在、高校教師を務める。少年院での講話活動をつづけるかたわら、少年院の少年・少女たちの思いを伝えて社会を変えたいと考え、2019年、映画『記憶 少年院の少女たちの未来への軌跡』、2023年『記憶2 少年たちの追憶と贖罪』を製作・監督し、各地で上映会を開く。その過程で、全国の少年院訪問を達成した。著書には『女子少年院の少女たち 「普通」に生きることがわからなかった』 / 『紫の青春――恋と喧嘩と特攻服』がある。

【本書の内容】
序 章 逮捕を望む少年たち
第1章 虐待されるより、少年院にいたい
第2章 家にいられず、犯罪をして生きてきた
第3章 犯罪の事実を抱えてどう生きるか
第4章 追い詰められ闇バイトで再び犯罪へ
第5章 支えられて、自分の未来を考えはじめた
★2024.6.26(No.863)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『贖罪 殺人は償えるのか』
(集英社新書/藤井誠二/2024.7)

少年犯罪を取材してきたノンフィクションライターの著者のもとへ、ある日、見知らぬ人物から手紙が届いた。それは何の罪もない人の命を奪った、長期受刑者からの手紙だった。加害者は己の罪と向き合い、問いを投げかける。「償い」「謝罪」「反省」「更生」「贖罪」---。

加害者には国家から受ける罰とは別に、それ以上に大切で行わなければならないことがあるのではないか。著者の応答からは、現在の裁判・法制度の問題点も浮かび上がる。さまざまな矛盾と答えのない問いの狭間で、本書は「贖罪」をめぐって2人が考え続けた記録である。

著者・藤井誠二・・・1965年愛知県生まれ。ノンフィクションライター。少年犯罪について長年にわたって取材・執筆活動をしている。著書に『人を殺してみたかった―愛知県豊川市主婦殺人事件』 / 『少年に奪われた人生―犯罪被害者遺族の闘い』など多数。

◆目次◆
はじめに 加害者からの手紙
第一章 獣
第二章 祈り
第三章 夢
第四章 償い
第五章 贖罪
おわりに 受刑者に被害者や被害者遺族の声を交わらせるということ
★2024.6.19(No.862)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『ヒューマンエラーは裁けるか 新装版 安全で公正な文化を築くには』
(東京大学出版会/単行本/シドニー・デッカー/2024.6)


懲罰優先の思想に一石を投じた名著を新装版化!
日本の航空・鉄道・医療事故に関する解説を監訳者が書き下ろし
許すべきミスと罰すべきミスの線引きを司法に任せることは果たして有効か? 誰もが公正と感じる安全な風土を築くには? 医療・航空などの事故当事者から得た豊富な実例を用いて、認知心理学的な視点を取り入れながら具体的に論じる。日本での過失事故を振り返る解説を監訳者が新たに書き下ろし。

著者・シドニー・デッカー(Sidney Dekker)・・・豪グリフィス大学教授・クイーンズランド大学名誉教授。専門は人間工学・安全システム。主著に『ヒューマンエラーを理解する』などがある。

【主要目次】

推薦の言葉――安全文化構築への画期的提言(柳田邦男)

まえがき プロローグ 看護師のエラーが犯罪となるとき

第1章 なぜ公正な文化が必要なのか?
第2章 失敗をとがめるべきか許すべきか?
第3章 報告の重要性と報告のリスク
第4章 情報開示の重要性と情報開示のリスク
第5章 すべての失敗は同等か?
第6章 後知恵による責任追及
第7章 悪いことをしていないならおそれる必要はない?
第8章 検察官がいなければ犯罪は存在しない
第9章 裁判は安全を害するか?
第10章 公正さを追求する裁判の関係者たち
第11章 公正な文化に対する三つの問い
第12章 「個人かシステムか」から「システムの中の個人」へ
第13章 公正な文化を構築するためのアプローチ

エピローグ

監訳者による解説とあとがき

新装版の解説(芳賀繁)

★2024.6.12(No.861)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『不適切保育はなぜ起こるのか 子どもが育つ場はいま』
(岩波新書/普光院亜紀/2024.6)


暴力を加える、強く叱責する……。保育施設において子どもの心身に対する深刻な被害が相次ぐ。いま保育の現場はどうなっているのか。長年、保育問題に取り組んできた著者が豊富な事例をもとに背景を丹念に検証。保育の「質」を置き去りにした政策を問い、子どもが主体的に育つ環境づくりへ向けて具体的に提言する。

著者・普光院亜紀(ふこういん・あき)・・・出版社在職中に二人の子どもを保育園に預けて働く。「保育園を考える親の会」代表を務め、現在はアドバイザー・顧問・保育ジャーナリスト。保育、仕事と子育ての両立の分野の執筆・講演活動を行うほか、国や自治体の保育・子ども施策に関わる委員会等の委員を務める。浦和大学講師。主要著作に『共働き子育てを成功させる5つの鉄則』/『共働き子育て入門』など。

目 次

 はじめに

第1章 相次ぐ不適切保育の実態
 裾野市の事件が照らし出した暗がり
 見えているのは氷山の一角
 保護者の立場からの要望
 ブラックボックスになりがちな特性
 「訴え」や「通報」が葬られる背景
 保育は止められないライフライン
 改めて不適切保育とは何か
 全国保育士会のセルフチェックリスト
 報道や「親の会」への相談でよく見られる事案

 ◆コラム1 保育施設の種類
 ◆コラム2 イギリスのDBS
 ◆コラム3 保育所保育指針
 ◆コラム4 指導監査とは

第2章 不適切保育の背景にあるもの――子どもが育つ場で何が?
 不適切保育の背景をみる
 園の保育観・理念という背景
 「しつけ」「指導」という不適切保育
 保育者の資質という背景
 エスカレートする強者の行為
 保育の質を左右する「風通し」とは
 保育体制はなぜ「苦しい」のか
 保護者が子どもを守るために
 カメラ導入の是非

 ◆コラム5 子どもの権利委員会が示した「体罰禁止」の理念

第3章 子どもを見失った少子化対策――子どもの権利の視点から検証する
 一・五七ショック
 女性が働き続けられる社会へ
 両立支援のための保育制度改革
 「利用者ニーズ」という印籠
 共働き一般化へ
 無頓着な「詰め込み保育」はいまも続く
 都心の園庭は「ぜいたく品」か?
 週六六時間を週四〇時間労働の保育士が支える
 気がつけば「長時間保育大国」
 働き方改革の出遅れ
 保育士という職業の位置づけ
 「パート保育士活用」が打ち出される
 「保育の市場化」をめぐる議論

 ◆コラム6 保育ママ
 ◆コラム7 二〇一四年に起きたベビーシッター事件
 ◆コラム8 子育て支援員

第4章 「保育の質」は社会の未来を左右する――子どもが育つということ
 保育の質への無理解が制度を歪めた
 子どもは安全と栄養だけでは育たない
 アタッチメント理論は政策に活かされたか
 保育者の専門性や経験値が必要とされる理由
 三・四歳を六対一で保育したペリー・プリスクール
 コロナ禍の調査から見える保育の実像
 五歳児の調査結果について
 三歳児の調査結果について
 家庭の養育力と保育の質の関係
 非認知スキルの育ちをどう支えるか
 「早生まれ問題」に関する大人の責任
 「習い事保育」は本当に付加価値なのか
 有料サービス化による子どもの分断
 質の高い保育は質の高い子育て支援を実現する

 ◆コラム9 子どもの安心感――発達心理学の理論から
 ◆コラム10 二一世紀出生児縦断調査
 ◆コラム11 保育環境評価スケール

第5章 不適切保育のない社会へ――子どもの育つ場をどう支えるか
 「子どもの権利」がようやく表舞台に
 一人一人を大切に育む時代
 動き出した保育士配置の改善
 徐々に進んできた処遇改善
 改善分が保育士に確かに届くために
 不正・不祥事の被害者は子ども
 「見える化」は実現するのか
 低迷する第三者評価制度
 監査・評価制度の混線
 保育の質と保育政策の関係
 「子どもを真ん中に」施策をブラッシュアップする必要
 「女子ども」を軽んずる社会からの脱皮
 不適切保育防止から質の高い保育の実現へ

 あとがき
★2024.6.5(No.860)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『真相731部隊 シリーズ第1号』
(社会評論社/ムック/近藤昭二[編]/2024.6)


「日中戦争(1937〜1945 年)における日本の犯罪に、細菌兵器を開発・製造し、中国各地で細菌戦を実行した「731 部隊」の残虐行為があります。中国黒竜江省ハルビン市郊外の平房に広大な基地を置き、人体実験を行って中国人、ロシア人など捕虜数千人を殺害し、浙江省の衢州・寧波・江山や湖南省の常徳市などでペストやコレラなどの疫病を流行させ数万人の中国人を殺傷しました。人体実験や細菌戦は国際法に違反する重大な戦争犯罪です。1995年と97年には中国人被害者や遺族が日本国を相手に裁判を起こし、判決で加害の事実が認定されました。しかし現在に至るも、日本政府はその事実を認めておらず、調査すら行おうとしません。「NPO 法人731 部隊・細菌戦資料センター」は、その加害と被害の事実を調査記録し、立法府・行政府に働きかける活動を行ってきました。その一環として、元731 部隊員や憲兵隊員等の取材インタビュー、戦友会での証言、映像記録などを一人ずつ上映し、証言に関連する記録文書と照合して、検討・解説する勉強会を続けています。本書は、この「映像証言に探る731 部隊」の成果をブックレットにまとめ、紹介するものです。」

編集者・近藤 昭二・・・1941年、名古屋生まれ。ディレクター、シナリオライター。主に事件・司法問題を取材、「NHKスペシャル」「ザ・スクープ」などの番組を制作。シナリオでは『ニワトリはハダシだ』が、ベルリン映画祭招待上映・東京国際映画祭最優秀芸術貢献賞・2004年度年間代表シナリオに選出される。主著に『今明らかになる衝撃犯罪と未解決事件の謎』 / 『731部隊・細菌戦資料集成』などがある。
★2024.5.29(No.859)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『会社や社員が犯罪に巻き込まれたときどうする?
小さな事件からITセキュリティまで警察への依頼の仕方』
(技術評論社/単行本/海老谷成臣&林秀人/2024.6)


会社内で問題が起きたとき、警察に依頼すべきかどうか、現場担当者にとってそれは非常に悩ましいものです。本書は、元警察官がそうした悩みに応えるべく書き下ろされたものです。社員による窃盗、もしくは暴力団などの反社会勢力との対決といった問題から、最近のトレンドであるインターネットセキュリティに関わる問題まで企業はさまざまな問題に耐えねばなりません。時流の変化は残酷で過去にうまくいった対処方法も、すぐに陳腐化してしまいます。また、新しい技術を使った犯罪は対応しきれるものではありません。その中で最も有用で費用もかからない対処方法は問題が起きたら「警察」にお願いすることです。企業活動は人間の行動結果の写し鏡です。警察にはそうした問題に対応するノウハウが叩き込まれています。本書は、具体的な事例をもとに、どのように警察に依頼すれば効果的なのか、元警察官が自身の経験で得られたさまざまな対処方法からベストなアドバイスを提示します。企業経営におけいろいろな悩みをすっきり解決しましょう。

著者・・・

海老谷成臣(えびたに なるおみ)・・・大手総合オンラインサービス リスク管理部長。静岡県富士市出身の元警視庁警察官。交番、刑事、機動隊、白バイ、爆弾処理班を経てサイバー犯罪捜査の道へ。アメリカNCFTA(National Cyber Forensics & Training Alliance)のインターナショナルタスクフォースに派遣、世界各国のサイバー捜査官との共同捜査に従事。その後カーネギーメロン大学CyLabにおいて客員研究員としてサイバーセキュリティ及び犯罪捜査手法の研究及び講義を行う。警視庁を20年で退職し、外資系金融企業の捜査チーム責任者に就任。サイバーセキュリティ法制学会会員。2021年から現職。CISSP。趣味は靴磨きと包丁研ぎ。

林 秀人(はやし ひでと)・・・大手総合オンラインサービス 管理部犯罪対策課長。大阪府茨木市出身の元警視庁警察官。交番勤務ののち機動隊で水難救助、その後刑事を経てサイバー犯罪対策、捜査を行う。警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課(現:サイバー警察局サイバー捜査課)に出向し、国際捜査共助業務(G7コンタクトポイント)を担当、FBIをはじめ外国捜査機関との合同オペレーションに参加。その後警視庁を退職し、2021年から現職。サイバーセキュリティ法制学会会員。趣味はジョギングとバンド活動。
★2024.5.22(No.858)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『特殊詐欺と連続強盗 変異する組織と手口』
(文春新書/久田将義/2024.5)


世間をにぎわし続けている特殊詐欺や集団強盗事件、その手口は日に日に高度化しているようにみえる。本書は、「ワルとカネのクロニクル」をテーマに、80年代からのマネーをめぐる犯罪の流れを描き出す。キーワードは、現ナマ重視の「デフレ犯罪」、「ファスト(拙速)犯罪」、「テクノロジーの進歩とグローバル化」だ。

著者・久田将義・・・1967年、東京都世田谷区生まれ、神奈川県横浜市育ち。ニュースサイト「日刊ナックルズ」編集長。ブロマガ「ニコ生ナックルズ」発行人。フリーライター、編集者。明治大学付属中野中学校・高等学校ではラグビー部に所属。法政大学社会学部卒業後、産経メディックス、三才ブックス、ワニマガジン、ミリオン出版、選択出版、「週刊朝日」編集部などに在籍。ミリオン出版では、「ダークサイドJAPAN」「実話ナックルズ」「ノンフィクスナックルズ」「THE HARD COREナックルズ」「実話ナックルズRARE」などの立ち上げや編集長を歴任。
★2024.5.15(No.857)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『世界の殺人カップル 愛欲と支配と絶望の果てに』
(鉄人社/単行本/鉄人ノンフィクション編集部/2024.5)


日々、世界中で起きる殺人事件。その中でも、男と女、あるいは同性愛のカップルが犯す殺人行為は残虐性を極める。両者間の愛情が歪んだ欲望に発展し、主従関係と支配の下、人間の尊厳を損なうまでの危害を加えるケースが多いからだ。本書は古今東西、非道の限りを尽くした31組の記録を取り上げた1冊である。彼らはなぜそこまで鬼畜になれたのか。その歪でグロテスクな犯行を正確に伝えるため、残酷な記述も厭わず用いている。閲覧にはくれぐれもご注意を。

Chapter1 Before the 1960s
ジョン&サラ・メイキン/ルース・スナイダー&ジャッド・グレイ/ボニー・パーカー&クライド・バロウ/レイモンド・フェルナンデス&マーサ・ベック/ジーン・リー&ロバート・クレイトン/イヴ・エヴヌー&シモーヌ・デシャン/チャールズ・スタークウェザー&キャリル・フュゲート/イアン・ブレイディー&マイラ・ヒンドレー

Chapter2 1970s〜1980s
フレデリック&ローズ・ウェスト/ジェラルド&シャーリーン・ギャレゴ/ダグラス・クラーク&キャロル/日高安政&日高信子/アルトン・コールマン&デブラ・ブラウン/ジェイムス・マーロウ&シンシア・コフマン/デヴィッド&キャサリン・バーニー/グウェンドリン・グレアム&キャシー・ウッド/レイ&フェイ・コープランド/ミシェル・フルニレ&モニク・オリヴィエ

Chapter 3 1990s
パメラ・スマート&ビリー・フリン/ポール・ベルナルド&カーラ・ホモルカ/関根元&風間博子/マルク・デュトルー&ミシェル・マーティン/デイビッド・パーカー・レイ&シンディ・ヘンディ/松永太&緒方純子/外尾計夫&山口礼子

Chapter 4 Since 2000s
クリスティーン・パオリラ&クリストファー・スナイダー/リサ・コールマン&マーセラ・ウィリアムズ/ジャスミン・リチャードソン&ジェレミー・スティンク/キム・エドワーズ&ルーカス・マーカム/ドミトリー&ナタリア・バクシェーエフ/オーブリー・トレイル&ベイリー・ボズウェル
★2024.5.8(No.856)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『そして、「悪魔」が語りだす 司法精神科医が出会った狂気と共感の物語』
(海と月社/単行本/グウェン・アズヘッド&アイリーン・ホーン/2024.5)


悪魔という言葉でこの本に登場した人々の記憶が甦るなら、心に刻んでおいたほうがいい。「運に恵まれなければ」私たちだってその一人になっていたかもしれないのだ、と。

著者・・・

グウェン・アズヘッド (Gwen Adshead)・・・英国を代表する司法精神科医。セント・ジョージズ病院、精神医学研究所、集団分析研究所で学び、30年にわたり国民保健サービス (NHS)の司法精神科医および司法心理療法士として、ブロードムア病院等の警備病院、地域コミュニティで活躍。100本以上の論文を発表し、医事法・医療倫理学の修士号を取得。セント・ジョージズ病院医学校からの名誉博士号に続き、2013年には王立精神医学院学長章も授与された。エール大学客員教授やグレシャム大学精神医学部教授などを歴任し、世界各地で講演をおこなう。

アイリーン・ホーン (Eileen Horne)・・・Tvドラマのプロデューサーを20年間務め、2012年にロンドン大学ゴールドスミス・カレッジでクリエイティブ&ライフ・ライティングの修士号を取得。著書2冊、BBCのラジオドラマの脚本も多数担当。

【目次】

はじめに
おことわり

トニー
ガブリエル
ケズィア
マーカス
シャーロット
ザーラ
イアン
リディア
シャロン
サム
デヴィッド

おわりに
謝辞

★2024.5.1(No.855)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『刑事捜査の最前線』
(講談社+α新書/甲斐竜一朗/2024.5)


30年を超える記者生活で警察庁・警視庁・大阪府警をはじめ全国の警察に深い人脈を築き、重大事件を追ってきた記者が明らかにする刑事捜査の最前線。

・1990年の「1000人に1.2人」から「565京人に1人」の精度へ、格段の進化を遂げているDNA鑑定
・初動で圧倒的な力を発揮する防カメ捜査
・長く「客観証拠の王様」とし君臨し、いまでも重要度は下がらない指紋鑑定
・サリン事件でも和歌山カレー事件でも威力を発揮した毒物捜査
・取調刑事はどのように容疑者に真実を語らせるのか
・近年言われる取調力の低下の理由とは
・近年苦戦する汚職捜査にどう対応するのか
・神戸連続児童殺傷事件を早期解決に導いた指揮官の勘。
・工藤会壊滅作戦
・新たな犯罪として登場し、増殖・変化を続ける特殊詐欺にどのように立ち向かうのか。
★2024.4.24(No.854)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『再生 西鉄バスジャック事件からの編み直しの物語』
(岩波書店/単行本/山口由美子/2024.4)


2000年5月3日、佐賀駅から福岡天神行きの西鉄高速バスが17歳の少年にバスジャックされ1人が死亡、2人が負傷した。事件に遭遇した山口由美子は重症を負い、恩人を喪った。その後、山口を子どもたちの居場所をつくる活動に邁進させた原動力は? 穏やかな筆致が胸に迫る当事者ノンフィクションの書き下ろし。

著者・山口由美子・・・1949年、佐賀県生まれ。2男1女の母。元洋裁専門学院教師。2000年5月、西鉄バスジャック事件に遭遇し重傷を負う(この事件で同行の恩人・塚本達子先生を喪う)。事件後、参議院法務委員会で参考人として意見を述べる。2001年、不登校の親の会を仲間と立ち上げ代表に。2002年、不登校の子どもの居場所「ハッピービバーク」 を開設。2005年、京都医療少年院にて加害少年と面会。2012〜2015年、九州大学大学院にて、子どもの感性等について学ぶ。佐賀少年刑務所で月一回の講話の他、各地で講演活動も行う。本書が初の著書。

目次

 T

第1章 事件のこと
 1 バスの中
 2 リハビリの日々
 3 カウンセリングを受ける
 4 「居場所」のヴィジョン

第2章 塚本先生と私
 1 塚本達子先生との出会い
 2 塚本先生の「幼児室」
 3 塚本先生の子どもへのまなざし
 4 塚本先生との信頼関係

第3章 事件の後の変化
 1 子どもが持つ、育つ力
 2 「少年」の両親
 3 人前で話す
 4 「修復的司法」という言葉は知らずに
 5 塚本先生の本
 6 「少年」の両親と3度目に会う
 7 事件から一年の頃

 U

第4章 関係の波打ち際
 1 不登校の子を持つ「親の会」から始まる
 2 娘の「居場所」探しの頃

第5章 子どもたちの「居場所」ができていく
 1 「親の会」からの提案
 2 「なんもしてもらわんでよか」
 3 子どもが観察する側にも
 4 ケンジくんのタバコ
 5 「道具」が必要なわけ
 6 居場所の引っ越し

第6章 「親」「大人」のありかたとは?
 1 28歳で反抗期?
 2 低学年のマサコちゃん
 3 「親の会」のやくそくごと
 4 2回目の引っ越し
 5 次男にさとされる

 V

第7章 被害者の視点、加害者の視点
 1 少年刑務所で話す
 2 シャイなカズオくんのその後
 3 ハッピービバークの別邸の始まり

第8章 「少年」と出会い直す
 1 京都医療少年院からの打診
 2 渡辺位先生を迎えて
 3 少年との面会
 4 「ハッピービバーク」は治療の場ではない
 5 2回目、3回目の「少年」との面会
 6 「少年」の出院
 7 「修復的司法」とは

第9章 事件から10年
 1 「少年」への手紙
 2 ときどきペースダウン
 3 親の心を子どもは敏感に感じる
 4 「ただ聴く」ということ

 おわりに――幾つもの波をこえて
 あとがき


関連ページ・・・西鉄バスジャック事件
★2024.4.17(No.853)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『事件報道の裏側』
(東洋経済新報社/単行本/三枝玄太郎/2024.4)

警察は認否を明らかにしていません その本当の意味を言えますか? これ1冊で、ニュースの真実と社会のしくみがよくわかる!

著者・三枝 玄太郎(さいぐさ・げんたろう)・・・フリーライター、元産経新聞記者。1967年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1991年、産経新聞社入社。静岡支局、東京社会部(警視庁、国税庁、国土交通省などを担当)、大阪社会(大阪国税局担当)、東北総局次長などを経て、2019年退社。WEB編集チームとしてネット記事制作の専門部署にも在籍した。著書に『十九歳の無念』(角川書店)。現在はYouTube「三枝玄太郎チャンネル」で日々のニュースの解説動画を配信。インターネット番組「文化人放送局」レギュラー出演中。
★2024.4.10(No.852)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
(日本文芸社/単行本/越智啓太(監)/2024.2)


昨今、様々な事件や特殊詐欺など凶悪な犯罪が増えており、ニュースで犯罪に関する情報を聞かない日はないといえます。誰もが利用するSNSを介した犯罪も当たり前になっており、より巧妙化しながら身近に潜む問題にもなっています。こうした問題や実態について研究し、犯罪予防や再犯防止に役立てようとするのが『犯罪心理学』です。犯罪心理学は、心理学の中でも実際の現場や実践に役立つことを目的とした“応用心理学”の1つで、特に犯罪行動・非行や犯罪者の心理・行動パターンに焦点を当てた研究分野です。専門書や教科書が多いジャンルですが、本書では図やイラストを用いて、1トピックを見開き1ページでわかりやすく解説。犯罪に手を出してしまう経緯、犯行内容から見える犯人像や周囲の環境、巧妙化する手口や防犯法など、知らなかった犯罪心理学を、楽しみながらもしっかりと学べる一冊です。

監修・越智啓太(おち・けいた)・・・法政大学文学部心理学科教授。1965年、神奈川県横浜市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員、東京家政大学文学部助教授、法政大学文学部准教授を経て2008年より現職。臨床心理士。専門は犯罪捜査への心理学の応用。著書に『犯罪捜査の心理学』/『ケースで学ぶ犯罪心理学』ほか多数。
★2024.4.3(No.851)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『「ルフィ」の子どもたち 』
(扶桑新書/週刊SPA!編集部 特殊詐欺取材班/2024.3)


あまりに短絡的で、心も懐も貧しくなった〜現代日本の写し鏡「広域特殊詐欺事件」実行犯たちの知られざる素顔に迫る! フィリピンに潜伏し、指示をしていた今村磨人をはじめとする4人の幹部が強制送還され逮捕されたが、未だ被害は減っておらず、いまだに日本を震撼させている広域特殊詐欺事件。2023年1月19日、狛江で強盗殺人事件が発生した。「ルフィ」を名乗る今村たちから指示を受けた、実行犯による犯行であった。実行犯、カネの受け子、アポ電などのかけ子など、犯人逮捕で次第に明るみになっていった構造。実行犯たちはいったいどうそうした犯罪に関わるようになったのか? そこに透けてくるのは、犯行の動機はあまりにも短絡的で、周囲の環境の悪さだった。逮捕されたのは20代を中心とする若者であった。闇バイト、貧困、若者たちが直面していたものとは? ルフィ周辺からどう指示され、どう仲間を集め、犯行に至り、逮捕されたのか? 実行犯たちの親族、近隣を訪ね歩き、その素顔に迫ったルポルタージュ。

「ルフィ」の子どもたち――もくじ 
※容疑者の年齢は逮捕当時
・ まえがき――広域連続強盗事件とはなにか
・[資料] ルフィらが関与・起訴された事件
第1章 逃げてばかりの人生――加藤臣吾(24歳・職業不詳)
ビジネスホテルの3人組/「ルフィ」一色になった日/50人超の実行犯/充足感/半笑いの容疑者/ふてぶてしい態度/女、ネット配信、ホスト/無免許、物損事故/再びの無免許運転、自損事故/2人目の女/「100万円稼いだ」/父の証言/「闇バイト」の形跡
第2章 連続強盗の代償
リサイクルショップの凶行/異様な雰囲気の法廷/居酒屋での出会い/「人生をめちゃくちゃにした」/翌日の強盗未遂/軽い雰囲気の逮捕劇/「格下げ」された罪状/広島・時計店強盗事件/「いつか親孝行したい」/転落のきっかけ/「おっちゃん」の証言/生活を変えた女/「狛江事件」長男の告白/
第3章 自衛官の父との確執――上野晴生(23歳・自称タレント)
歌舞伎町のホスト/関西訛りの「ルフィ」/新たなる指示/1億円の仕事/自損事故/久米川のルフィ/虚栄心/高輪のマンション/地下アイドル/自衛官の父/父からの和解金/祖母の哀しみ
第4章 住所不定、陸上自衛官――中桐海知(23歳・自衛官)
スナックの客/小さな集落の警戒感/現役自衛官の逮捕/事件のほとぼり/「もう、あるもん、なんにもない」/父の謝罪と500万円の見舞金
第5章 4人の子と3人の“妻”――福島聖悟(34歳・柔道整復師)
柔道整復師/強盗殺人ほう助/4人の子供/ネアカのバスケ少年/両親を訪ねて/「運転がヘタなんだよ」/別の名前/源氏パイ/3人の女と4人の子供/親友についた嘘/おばあちゃん子
第6章 ルフィを壊滅させた女――柴田千晶(33歳・飲食店勤務)/ 山田李沙(27歳・風俗店勤務)
二人の女幹部/錦糸町での取引/鳴かず飛ばずのキャバ嬢/異国で恋に落ちた男/リクルーター/不仲な家/居場所を求めて/蜜月の終焉/顔なしの女/リゾートバイト/売り上げ2000万円/コンプレックス/4年間のかけ子生活/VIPルームの犯行/組織を壊2人の女の裁判/裁判での異例の説論
第7章 “ナミ”の帰還――寺島春奈(28歳・飲食店勤務)/熊井ひとみ(25歳・無職)
女容疑者への好奇の眼差し/地方欄の女/名門女子高隣の「名家」/異質な証言/高校中退/六本木のキャバ嬢/ミスコン/美大中退/ささやかな抵抗/だまされた男/法廷の告白
第8章 ルフィ後の強盗事件――瓜田翔(20歳・とび職)/江口将匡(20歳・専門学校生)/土岐渚(22歳・とび職)
狙われた「金塊の家」/ルフィ逮捕後の強盗/名簿屋の予言/ターゲットは震災復興予算/十数年前の闇名簿/闇バイト仲間は同級生/多摩ニュータウンの残像/やんちゃな先輩/3か月の入院/ハーレーダビッドソンの男/共犯者は「上司」/「ヤマモトヨシノブ」の指示/ススキノの男が頼った人脈/70倍を超える慰謝料/顔の見えない「組織」
第9章 ルフィの正体――今村磨人(38歳・職業不詳)
事実上の捜査終結宣言/ススキノの住人/札幌の有名半グレ/「ルフィ」の原型となる事件/今村を知る元裏社会の男/オレオレ詐欺マニュアル/「講習会」に来たルフィ/黄金の三角地帯/今村とフィリピンの接点/ルフィの誤算/ルフィの”本当”の顔
・ あとがき
★2024.3.27(No.850)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『覚せい剤精神病のダメ男さんとわたし 日常に潜む異常』
(Independently published/単行本/山口恵美/2024.3)


覚せい剤を乱用して壮絶な人生を歩んだ体験談は、世の中にはたくさんある。しかし、この本は、家族の視点で日常に潜む異変が、具体的に書かれてあるところに注目していただきたい。「愛している」と深い愛情を示す割に、常に人の揚げ足を取って攻撃し、ありもしない浮気を疑う夫に、否定してもなぜ疑い続けるのかと悩む妻。被害妄想に嫌というほど苦しめられる日常を赤裸々に告白。どこか憎めない可愛い夫が、別人のような怖い男に変貌する。このモラハラ夫は、もともと性格が悪いのか、それとも精神疾患を患っているのか、はたまた覚せい剤を乱用しているのか、妻である筆者は真実が分からないまま翻弄される。幻覚や妄想の症状が、どんな時に、どんな風に出るのか、具体的に書かれていて興味深い。「家の近くでグレーや赤の車が僕を執拗に付け回すんだよ・・・もうすぐ僕は死ぬかもしれないよ」と焦る夫。世間一般とは少し環境の違う生活をしていた筆者だが、薬物中毒になった夫がどんな症状を見せるのかを知ることにより、あなたの周りのあの人もこっそり使っているのではと、気付かされることになるかも!?
 
★2024.3.20(No.849)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『正義の行方』
(講談社/単行本/木寺一孝/2024.4)

文化庁芸術祭賞大賞、ギャラクシー賞選奨を受賞、映画化も決定した映像ドキュメンタリーの名作を書籍化。芥川の名作『藪の中』のような、圧倒的な読書体験。

飯塚事件・・・1992年2月21日、福岡県甘木市の山中で2人の女児の遺体が発見された。着衣は乱れ、頭部には強い力で殴打された傷があった。2人は、約18キロ離れた飯塚市内の小学校に通う1年生だった。同じ小学校では、この3年3ヶ月前にも同じ1年生の女児が失踪しており、未解決のままだった。遺体から採取した血液などをもとに、犯人のDNA型を鑑定。さらに、遺体に付着していた微細な繊維片を鑑定することによって、発生から2年7ヶ月後、失踪現場近くに住む久間三千年(くまみちとし)が逮捕された。1990年5月12日、栃木県足利市で4歳の女児が殺害され、翌日に遺体が発見された足利事件は、DNA型鑑定の結果、幼稚園バスの運転手だった菅家利和が逮捕・起訴され、無期懲役判決が確定したが、発生から18年後にDNA型の再鑑定が決まり、再審・無罪への道を開いた。その2年後に起きた飯塚事件でも、DNA型鑑定の信頼性が、問題となった。DNA型、繊維片に加え、目撃証言、久間の車に残された血痕など、警察幹部が「弱い証拠」と言う証拠の積み重ねによって久間は起訴され、本人否認のまま1999年9月29日、福岡地裁で死刑判決。2001年10月10日、福岡高裁で控訴棄却。2006年9月8日、最高裁で上告棄却で死刑が確定した。しかも、死刑判決確定からわずか2年後の2008年10月28日、福岡拘置所で死刑が執行された。70歳だった。2009年10月28日、久間の妻が福岡地裁に再審請求。

著者・木寺一孝・・・1988年、京都大学法学部を卒業後、NHK入局。2003年、NHKスペシャル「父ちゃん母ちゃん、生きるんや~大阪・西成こどもの里~」で文化庁芸術祭賞優秀賞・ギャラクシー賞特別賞受賞。2011年、ハイビジョン特集「死刑~被害者遺族・葛藤の日々~」でギャラクシー賞奨励賞受賞。2016年、福岡発地域ドラマ「いとの森の家」で放送文化基金賞奨励賞受賞。2019年、映画「“樹木希林”を生きる」を監督。2022年、BS1スペシャル「正義の行方~飯塚事件 30年後の迷宮~」で文化庁芸術祭賞大賞、ギャラクシー賞選奨受賞。2023年、NHKを退職し、現在は「ビジュアルオフィス・善」東京支社長。

関連書籍・・・ 『死刑執行された冤罪・飯塚事件 久間三千年さんの無罪を求める』(現代人文社/飯塚事件弁護団/2017)
 
★2024.3.13(No.848)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『ナチ親衛隊(SS) 「政治的エリート」たちの歴史と犯罪』
(中公新書/バスティアン・ハイン/2024.3)


ナチ政権発足後、ヒトラーの護衛に過ぎなかった親衛隊は、党や全国の警察組織を掌握。強制収容所を創設し反対派を弾圧する。第2次世界大戦開始後は、行動部隊、アウシュヴィッツなど絶滅収容所を起動しユダヤ人の大量殺戮を実行、80万人の巨大な軍事組織・武装親衛隊も併せ持った。本書は、ヒトラーに最も忠実だった「エリート」たちについて、その選抜から、「人種戦争」の実践、カルト的信仰、追及され続ける戦後の姿まで、その全貌を描く。解題・芝健介

著者・バスティアン・ハイン・・・1974年生まれ。2001〜2004年ミュンヘン=ベルリン現代史研究所研究員。2004年レーゲンスブルク大学で博士号取得。
★2024.3.6(No.847)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『世界を震撼させた女毒殺者たち[上]
クレオパトラからベル・ガネスまで』
(原書房/単行本/リサ・ペリン/2024.3)


『世界を震撼させた女毒殺者たち[下]
カトリーヌ・ド・メディシスから武則天まで』
(原書房/単行本/リサ・ペリン/2024.3)


毒を用いて敵や周囲の者を陥れたとされる女性たちや、保険金目当てに家族を亡き者にした女性、夫を殺したい妻たちに美容化粧品として毒を販売していた女性など、動機別に、恐ろしくも魅惑的な毒殺悪女の系譜をたどる。
★2024.2.28(No.846)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『私が出会った少年について 韓国の少年事件裁判官が語る、子どもたちとの歩み』
(現代人文社/単行本/チョン・ジョンホ/2024.2)

非行に走る少年・少女たちを時には叱咤し、時には励まして、 更生へと導いた、少年事件の裁判官が、子どもたちへの支援について語る。

近年、日本と韓国において少年犯罪が減少しているにもかかわらず、未成年による凶悪事件が発生するたびに、メディアで大々的に報道され、世間の「少年法」に対する見方が厳しくなっている。本書は「少年法」のあり方を考え、青少年の健全育成に、いかに取り組むべきか考える手掛かりとなり得る。

著者・チョン・ジョンホ(千宗湖)・・・1965年韓国釜山で生まれ、釜山大学法学部を卒業後、1994年に司法試験に合格し、1997年に釜山地方法院判事に任官した。その後、釜山高等法院判事、昌原地方法院少年部部長判事、釜山家庭法院少年部部長判事、大邱地方法院部長判事を歴任。現在は釜山地方法院部長判事の職にある。著書に『いや、私たちが悪かった』/『この子たちにも父親が必要です』等がある。

〇目 次

まえがき 私たちが気づけなかった少年について
日本語版への序文

少年がここにいる
幼きジャン・ヴァルジャンのための弁明
1人の子が、あなたを一生懸命に愛しています
盗みたい誘惑に駆られたら、この財布を思い出して
父親の心、裁判官の良心
いや、悪いのは私たちのほうだ
判事さん、この恩は絶対に返しません
お母さんと呼ばせてください
判事さん、サムゲタンをどうぞ
僕は大丈夫、僕ならできる
判事さんのせいで、お腹がすいても我慢しました
「最近の若者」が問題?
楽しい学校? 災難学校?
ともに痛みを分かち合えますように
人間のための法と正義
扉が1つ閉まれば、別の扉が開く
少年法を改めて考える

あとがき 少年の人生の旅を応援します
監訳者解説
監訳者あとがき 日本語版の発刊にあたって
 
★2024.2.21(No.845)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『VIVANT監修 勝丸円覚から学ぶ 誰も教えてくれない公安警察 スパイの裏側』
(Independently published/単行本/勝丸円覚/2024.2)

勝丸円覚は、元公安警察、セキュリティコンサルタントとしての経験を生かし、スパイやテロリストの手口についての知識を共有することで、皆さんの日常の防犯やテロ対策に役立ててもらいたいという思いから、本書を執筆しました。是非、本書を通じて、スパイ事件やテロ事件についての知識を広め、自己防衛や対策に役立ててください。VIVANT監修時の裏話も盛り込みました。

【TV番組監修】
公安監修 TBS系日曜劇場『VIVANT』 
警察監修『スパイめし 異国グルメ潜入記』

【テレビ出演】
じっくり聞いタロウ(テレビ東京)、AMEBA Prime
さらば森田のファンキーナイト界隈〜裏ニッポン極秘会議(ABCテレビ)
めざまし8(フジテレビ)、グッド!モーニング(テレビ朝日)
news zero(日本テレビ)、スーパーJチャンネル(テレビ朝日)
この本ダレが書いとんねん(テレビ大阪)、60秒で学べるNews(テレビ東京)
ヒコロヒーとニッチな苦労人(関西テレビ)〜 悩みの集まる不思議なアパート
あれ見た?(MBS毎日放送)、教えてニュースライブ正義のミカタ(ABC朝日放送テレビ)

【ラジオ】
辛坊治郎(ニッポン放送)、STEP ONE(J-WAVE)
アリス矢沢透のなんでも応援団!(渋谷クロスFM & Youtube)
DIVERSITY NEWS 経済 Lucky FM(茨城放送)
鈴木おさむのシン・ラジオ・ヒューマニスタは、かく語りき(bayfm)

【新聞、雑誌など】
新潮オンライン(連載)、プレジデントオンライン、日経ビジネスオンラン
現代ビジネスオンライン 、ダイヤモンドオンライン

朝日新聞デジタル、アサヒ芸能(徳間書店)、週刊現代(講談社)
女性自身(光文社)、SPA(扶桑社)、スポーツニッポン
東京新聞、月刊WiLL(ワック)、週刊文春(文芸春秋)
FLASH(光文社)、週刊大衆(双葉社)、News Picks

【漫画】
ヤングマガジン(講談社) ビッグコミック(小学館) ビッグコミック・スペリオール(小学館)

【YouTube、X等の出演】
丸山ゴンザレスの裏社会ジャーニー、山田敏弘のスパイチャンネル
ウマヅラビデオ、ニューヨークジャック、Naokiman Show、シークエンスはやとも
街録ch、関暁夫、コヤッキー、TOLAND VLOG
古舘伊知郎、千原せいじ、ナナフシギ、たっくーTV
都市ボーイズ、MATT SHOW、島田秀平、たかまつなな、上念司、名越泰文、角由紀子

著者・勝丸円覚・・・・1990年代に警視庁に入庁。2000年代に警視庁公安部外事課での経験を積んだ。
数年前に退職し、現在は国内外でセキュリティ・コンサルタントとして活動している。

本書タイトル:VIVANT監修 勝丸円覚から学ぶ  誰も教えてくれない公安警察 スパイの裏側
〜Q&A方式でわかる、知られざる世界の新事実〜
はじめに 
第一章 勝丸円覚について
Q ドラマ「VIVANT」のこと教えてください 7
Q ドラマ「VIVANT」に出てきた警視庁公安部外事課は本当にあるのですか、どれくらいの規模で活動していますか 8
Q、公安の外事警察官にはどのような過程でなれますか 11
Q、ドラマのような「別班」って存在するのですか? 12
Q、勝丸円覚先生の著書について教えてください。 20
Q、著書で伝えたい事は何でしょうか 21
Q、警察になろうとしたきっかけを教えてください 22
Q、勝丸さんはエリート、キャリアですか 23
Q、勝丸さんの仕事上の「しくじり」を聞きたいです 24
Q、殺されそうになったことはありませんか 26
Q、スパイに自宅を突きとめられた経験はないですか 27
Q、外国で死にそうになったことはありますか 28

2章 公安警察の事 教えてください29
Q、警察と公安の違いを教えてください 29
Q、公安にはどのようにすればなれるのですか 30
Q、公安っていうのは人気がある部署なのでしょうか、勝丸先生が入った時は人気でしたか 32
Q、公安は、休みはあるんですか 33
Q、公安の給料、残業代はどうなっていますか 34
Q、公安に勤めていて、やめたいと思った時はありますか 36
Q、公安に配属されて続く人とやめる人の割合 37
Q、勝丸さん自身が公安をやめようと思った理由は? 37
Q、公安を続けたかったという気持ちはありますか 38
Q、公安の過酷な任務の中、続けられたモチベーションはどこにありましたか? 38
Q、公安は事件の担当とかあるんですか 39
Q、勝丸さんが担当した事件にはどんなものがありますか? 40
Q、公安は何かを調べる部署ですか 42
Q 北朝鮮の拉被害者の方の調査も行いますか 42
Q、勝丸さんが公安だったという事は、家族や他の同僚の警察官は知ってたんですか? 43
Q、相手に「公安ってバレてるかも」と感じることもあるんですか 46
Q、公安の潜入捜査ってどんな時にしますか? 47
Q、公安の外事警察と別班ってどう違いますか 49
Q、情報が欲しい組織への情報を聞き出す戦略を教えてください 50
Q、最近の公安は外部講座を行っていると聞きました。どのような内容でしょうか 52
Q、人気アニメ「名探偵コナン」に公安のキャラクターが出てきますが、公安が出資しているという事はありますか 53

3章 スパイの話54
Q、日本国内に外国のスパイっているんですか 54
日本に外国人スパイが入り込むタイミング 56
日本でスパイ活動してる国 57
Q、外国のスパイが、日本に来て「情報を盗む」ということがあるんですか 59
Q、外国人スパイが狙っている日本の技術とは何ですか 60
Q、今、日本で1番 狙われやすいものって何なんですか 60
Q、外国人スパイについて教えてください。 61
・ロシアのスパイの話 62
・北朝鮮のスパイの話 63
・中国のスパイについて 65
Q、一般人の情報もスパイにハッキングされていますか? 68
Q、国会議員に外国のスパイはいますか? 69
Q、スパイ事件はどうなることが解決ですか? 70

4章 勝丸円覚の考察72
Q、安倍首相の事件についてどうお考えですか 72
Q、岸田首相襲撃事件についてどうお考えですか 75
Q、報道を見ていて気になる事はありますか 76
Q、人気マンガ・アニメ「スパイファミリー」はご存じですか?感想をお聞かせください 78
ロイド・フォージャーは現地で結婚するのか 78
ロイドはヨルが「殺し屋」という事に気がつけないか 79
終わりに 80

勝丸円覚から一言
著書1冊目 『警視庁公安部外事課』(光文社) 81
著書2冊目 『諜・無法地帯 暗躍するスパイたち』(実業日本社) 82
公安警察になるスクールの紹介 83
勝丸円覚の出演しているYouTubeの紹介 86
勝丸円覚 X(旧ツイッター)の紹介 87
勝丸円覚のココナラの紹介 88
スタッフの紹介 89
★2024.2.14(No.844)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『全員“カモ” 「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法』
(東洋経済新報社/単行本/ダニエル・シモンズ&クリストファー・チャブリス/2024.2)


\「見えないゴリラ実験」で世界が騒然/
\世界有数の認知心理学者、待望の最新作!/

「見えないゴリラ実験」とは、私たちが動画の中で人がバスケットボールを投げる回数を数えることに集中していると、意外にも画面の中でゴリラの着ぐるみが歩いていてもそれに気づかない、という現象を証明した(この実験はイグ・ノーベル賞も受賞)。

「社会科学におけるもっとも重要な研究の1つ」と称される実験だ。 また、ダニエル・カーネマン、キャス・サンスティーン、ナシム・タレブ、リチャード・ドーキンスといった有名著者たちの作品中でも大きく取り上げられている。 本書は、同著者の満を持しての新著である。

かつてないほど人間の頭脳と判断力があてにならない時代に備える!!

いつのまにか巻き込まれるズルい手法を徹底検証!!

◆知らずしらずのうちに……ズル賢い人が使う巧妙な手口
◆「なぜ私はこれに心当たりがあるのか」と自問せよ
◆意志決定者が気をつけるべき「3つの原理」
◆こうして「答えになっていない答え」にうっかり引き込まれる
◆相手の弱点を見破る「3つの質問」
◆世界的に有名な心理学の研究も「ウソ」だらけ

著者・・・

ダニエル・ シモンズ・・・心理学者。イリノイ大学教授。カールトン・カレッジにて認知科学を専攻後、1997年、コーネル大学にてPh.D取得(心理学)。1997年にハーバード大学でチャブリスと出会い、「見えないゴリラ」実験の共同研究者となる。イグ・ノーベル賞受賞(2004年)

クリストファー・チャブリス・・・心理学者。ニューヨーク・ユニオンカレッジ教授。1966年生まれ。ハーバード大学にてコンピュータ・サイエンスを専攻。チェス王者たちの認知メカニズムの研究によりPh.D取得(心理学)。「見えないゴリラ」実験の研究にてイグ・ノーベル賞受賞(2004年)
 
★2024.2.7(No.843)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『幼少期の家庭環境から読み解く 凶悪犯プロファイル』
(駒草出版/単行本/阿部憲仁/2024.3)

私たちの想像を絶するような「異常行為」の原点は、彼らがまだ乳飲み子であったころまで遡る可能性が高い。
そして、多くの場合、その環境の主役は「親(特に母親)」なのである。

日本のモデル国としているアメリカでは、凶悪犯罪に枚挙にいとまがないことは周知の事実である。
そのような罪を犯す者たちはなぜ「凶悪犯」となってしまったのか?
著者は、その答えを見つけるため数多くの「アメリカの凶悪犯」たちと実際にコンタクトを取り続けてきた。
そこから見えてきた日本の凶悪犯罪者たちとの共通点とは?
0〜3歳の「臨界期」呼ばれる時期に、どういう家庭環境と家庭内力学が関係していたのか?
これらをつぶさに探ることから見えてきた、凶悪犯罪者を生み出す真理を解き明かす。

著者・阿部憲仁(けんじん)・・・1964年生。国際社会病理学者(桐蔭横浜大學法学部教授/府中刑務所篤志面接員)。アメリカと日本の「究極の凶悪犯罪」の研究をもとに、真の「社会の安全」と「人間の幸せ」のあり方を提言。
数多くの「究極の凶悪犯」たちと直接やり取りを交わす一方、広島・長崎の被爆者代表を初めてノーベル平和賞に招待。犯罪を犯す者たちの考え方に精通するDr.クリミナル。著書に『人格形成は3歳まで』 / 『無差別殺人犯の正体』などがある。

【目次】

はじめに

第1章 母親によるネグレクト
 プロファイル1 チャールズ・マンソン サイコパス・カルトの典型
 プロファイル2 デニス・レイダー 幼児期の性的興奮への病的執着
 プロファイル3 レジナルド・カー ネグレクト家庭で育ったスプリーキラー
 プロファイル4 リチャード・ファーリー ネグレクトからくる病的執着と自殺願望によるストーカー行為・大量殺人


第2章 父親による虐待
 プロファイル5 リチャード・ラミレス 極度の「感情のハンディキャップ」によるサイコパス連続殺人

凶悪犯たちの直筆イラストと手紙の一部

第3章 母親による虐待
 プロファイル6 ボビー・ジョー・ロング 病的な性欲を抱えたセックス中毒
 プロファイル7 クレオファス・プリンスJr. 母親による心理的抑圧からの解放
 プロファイル8 サミュエル・リトル 性欲と暴力の融合

第4章 性的虐待
 プロファイル9 ハーヴィー・カリニャン 幼いころの性的虐待による女性たちへの怒りと復讐
 プロファイル10 ドナルド・ハーヴェイ 母親と祖母による支配から他者の命の完全支配へ

第5章 母親による過剰な介入
 プロファイル11 デイビッド・バーコヴィッツ 養子家庭での孤独から生まれた病的な承認欲求
 プロファイル12 ケネス・ビアンキ 連続殺人コンビのリーダーとフォロワー

第6章 過剰な期待
 プロファイル13 セオドア・カジンスキー 母親の教育虐待による社会性の完全否定

おわりに

著者が直接やり取りを重ねた凶悪犯罪者
 
★2024.1.31(No.842)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『悪事の心理学 善良な傍観者が悪を生み出す』
(ディスカヴァー・トゥエンティワン/単行本/キャサリン・A・サンダーソン/2024.2)


なぜ、不正を目撃した会計士の半数がその事実を黙っているのか?
なぜ、警官の正当性のない16発の発砲を他の警官は止めなかったのか?
なぜ、職場でのセクハラは発見されないのか?

いつの時代も企業や個人の不正、ハラスメント、いじめ、性加害の問題に関するニュースは後を絶たない。
その原因を探ったところにあるのは、たった数人の「悪人」ではなく、沈黙する大多数の「善人」であると言ったら驚くだろうか。

本書は心理学・神経科学を用いて、悪事の現象を「傍観者」に着目して、解説する。
そして、傍観者が同調圧力に打ち勝ち、勇気ある反抗者に変わるにはどうすればよいのか、という具体的な実践法まで展開していく。

著者・キャサリン・A・サンダーソン(Catherine A. Sanderson)・・・アマースト大学マンウェル・ファミリー生命科学(心理学)教授。スタンフォード大学にて心理学の優等学士号と健康と発達に関する専門知識を習得した後,プリンストン大学にて心理学の修士と博士の学位を取得。性格や社会的変数が健康に関連する行動にどのように影響するのか、不健康な行動を予防するための説得力のあるメッセージや介入方法の開発、人間関係の満足感の予測因子について研究している。これらの研究は、米国国立科学財団および米国国立衛生研究所からの助成金の交付を受けている。複数の学術誌の編集委員、教育テストサービス(ETS)の共通試験の心理学委員会メンバー、米国医科大学協会のコンサルタントを務める。2012年には、プリンストン・レビュー誌において,全米トップ300の教授の一人に選出された。これまでに4冊の大学の教科書、健康に関する中学・高校の教科書、子育てに関する本に加えて、25本以上の学術論文や本の章を発表している。幸福に関する科学、感情知能のパワー、心身相関、善と悪の心理学などをテーマに一般市民や企業向けに定期的に講演を行っている(SandersonSpeaking.comを参照)。これまでの講演は、ワシントンポスト誌、ボストングローブ誌、アトランティック誌、CBSニュース・サンデーモーニングなど,多数の主要メディアで紹介された。現在、マサチューセッツ州ハドリー在住。夫のバート・ホランダーと3人の子どもたち、アンドリュー、ロバート,キャロラインと暮らしている。

目次
はじめに
第1部 善人の沈黙
 第1章 怪物神話
 第2章 誰の責任?
 第3章 曖昧さの危険性
 第4章 援助にかかる多大なコスト
 第5章 社会集団のパワー
第2部 いじめと傍観者
 第6章 学校でいじめに立ち向かう方法
 第7章 大学で性的不正行為を減らす方法
 第8章 職場で倫理的行動を育む方法
第3部 行動の仕方を学ぶ
 第9章 道徳的反逆者を理解する
 第10章 道徳的反逆者になるための方法
 
★2024.1.24(No.841)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『死刑囚になったヒットマン 「前橋スナック銃乱射事件」実行犯・獄中手記』
(文藝春秋/単行本/小日向将人[著]山本浩輔[解]/2024.1)


2003年、暴力団抗争により一般人3人の尊い命が奪われた「前橋スナック銃乱射事件」。
前代未聞の凶悪事件はなぜ起きたのか? 実行犯の死刑囚が綴る衝撃の手記!

目次

はじめに

第一章 嚆矢 手記1

出なかったGOサイン
納得がいかない手打ち
日医大病院事件
掘られた穴

解説 住吉会幸平一家と当時の捜査
「時代を象徴する大事件です」(元組対四課管理官・櫻井裕一氏)

第二章 失態 手記2

火炎放射器
出発
密偵君の情報
報復理由の変遷
ロケットランチャー

解説 佐川自宅襲撃の真相
拳銃が暴力団にとって身近なものに

第三章 覆水 手記3

思いがけない事故
マシンガンウージーの試射
「伏せない奴は殺っちまえ」

解説 警視庁が見た「平成の殺人鬼」矢野
「ヤクザではなくテロリストだ」(櫻井氏)

第四章 乱射 手記4

再び群馬へ
狂った隊長
メンバーの交代
ついに来た電話
不測の事態
突撃 スナック乱射事件
「何で俺をおいて逃げた!」

解説 判決文から読むスナック銃乱射事件
三回矢野に襲撃中止を訴えた小日向/四人の被害者/遺族の悲痛な思い

第五章 潜伏 手記5

「死人に口なし」の恐怖
偽造パスポート
フィリピンへ逃亡
幽霊を見る
帰国

解説 なぜフィリピンへ逃げたのか?
暴力団とつながるブローカーの存在


第六章 逮捕 手記6

最後の面会
日本からのお迎え
組織と縁を切る

解説 自白、そして再審請求へ
家族への謝罪の道を選ぶ/単なる「使い勝手のよい部下」にすぎなかった/地下鉄サリン事件の林郁夫との共通点

第七章 謝罪 手記7

私の経歴
キリストとの出会い

解説 泣いた裁判長
元妻とも連絡が途絶える

おわりに

元ヤクザの過去を持つ進藤龍也牧師に聞く
キリスト教の洗礼を受けて
小日向から届いた礼状、そして

「遺言状」

確定死刑囚・小日向将人をめぐる住吉会幸平一家矢野睦会が起こした事件年表

 
★2024.1.17(No.840)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『証言 タブーの昭和史』
(宝島SUGOI文庫/別冊宝島編集部[編]/2024.1)

昭和史のタブーは相変わらず話題になります。田中角栄はなぜロッキード事件を仕掛けられたのか。三島由紀夫の首はどこにいったのか。中川一郎の怪死事件の真相は。別冊宝島編集部がその真相に迫ります。アメリカにはめられた田中角栄。新聞に掲載された三島由紀夫の首。睡眠薬を盛られた中川一郎など、昭和史の謎に迫ります。

奇々怪々な昭和史の謎

第一章 昭和七大ミステリー
第二章 闇に消えた「真犯人」
第三章 スポーツ界の「黒い霧」
第四章 昭和スターの事件簿

本書は2022年2月に宝島社より刊行した宝島社新書『証言 昭和史の謎』を改訂・加筆・改題し、文庫化したものです。
 
★2024.1.10(No.839)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『おれの歌を止めるな ジャニーズ問題とエンターテインメントの未来』
(講談社/単行本/松尾潔/2024.1)


ジャニーズ問題について見解を述べたら、山下達郎が所属する事務所に契約解除された──EXILEやJUJUから天童よしみまで、さまざまな楽曲を手がける音楽プロデューサーが、芸能界の「ど真ん中」で、いま伝えたいこととは?

各界絶賛の嵐

学び、変わり、声を上げる言葉には、未来への希望と力が溢れている。
ーー斎藤幸平(哲学者)

性加害を告発する時代の鼓動と、自由と権利を求める音楽が響き合う。新たな歌を全身で感じてほしい。
ーー望月衣塑子(東京新聞記者)

みずみずしく綴られた「義」と「思索」の数々。その奥底に漂う、ひとかけらの「感傷」が、私を惹きつける。
ーー小池真理子(作家)

音楽に政治を持ち込むな?音楽は、文化は、生活は、常に政治的だ。これは、音楽と政治をともに変える、革命の記録である。
ーー竹田ダニエル(ライター)

メロウな音楽人で、クリアな名文家で、フェアな発言者……我らが時代の松尾潔。本書は絶望から立ち上がる、希望の歌なのだ。必読!
ーー中森明夫(作家・評論家)

著者・松尾 潔・・・1968年、福岡市生れ。早稲田大学卒業。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。SPEED、MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。その後、プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、東方神起、三代目J SOUL BROTHERS、JUJU等を成功に導く。これまで提供した楽曲の累計セールス枚数は3000万枚を超す。日本レコード大賞「大賞」(EXILE「Ti Amo」)など受賞歴多数。
 
★2024.1.3(No.838)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『俺たちはどう生きるか 現代ヤクザのカネ、女、辞め時』
(講談社+α新書/尾島正洋/2023.12)


「それでもヤクザになりたいという若い入門希望者は少なからずいる。警察から目を付けられるから、最近はあえて盃を与えず組員と同じ扱いにしているんだ」

警察の徹底した締め付けによって、車を買うことも、ゴルフをすることも、自分名義のスマホを持つことさえ許されない現代ヤクザ。それでも覚醒剤、闇カジノ、風俗店など「シノギ」の道が途絶えることはない。現実に、ここ数年暴力団員数の減少は止まり、増減なく横ばいになっている。ヤクザ取材歴25年以上、暴力団組員、幹部、組長に取材を重ね、業界にパイプと人脈を持つ筆者が聞き出した肉声と本音。暴力団組員は、実はその多くが国民健康保険に加入し、抗争でケガをしたときも、保険証を提示して治療を受けている。また、ストーカーになった元組長、気に入った女性をホストクラブに連れていく理由、組長の妻と愛人の生態など、現代ヤクザのリアルに迫る。誰もが知りたい以下の疑問に答える必読の一冊。

「みかじめ料」を払う店はなくなったのか?
バブル期のヤクザはどのくらい潤ったか?
「暴排条例」がもたらした壊滅的な打撃とは?
闇カジノはなぜ「おいしいシノギ」なのか?
コロナ後に覚醒剤密輸が激増したのはなぜか?
ヤクザはマイナンバーカードを持てるのか?
元総理秘書はなぜ暴力団に裏ガネを払ったのか?
歌舞伎町で「スカウト狩り」が起きた理由は?
ヤクザはどうやって女性を口説くか?
なぜ刺青を入れ指詰めをするのか?

著者・尾島正洋・・・ノンフィクション作家。埼玉県出身、早稲田大学政治経済学部卒業。1992年、産経新聞社入社。主に社会部で事件取材を続け、警察庁記者クラブ、警視庁キャップ、神奈川県警キャップ、司法記者クラブなどを担当した。2019年退社。著書に『総会屋とバブル』 /『山口組分裂の真相』がある。
 
★2023.12.27(No.837)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『異常殺人 科学捜査官が追い詰めたシリアルキラーたち』
(新潮社/単行本/ポール・ホールズ他/2024.1)

撲殺、顔面銃撃、隠された遺体、18年におよぶ少女監禁――。執念の「未解決事件」捜査実録。
不気味で凄惨な犯行現場に臨場し続ける科学捜査官は、密かに「最凶の連続強姦殺人鬼」を追っていた。10数人が殺害され、50人以上が凌辱された未解決事件。「犯人はまだ生きている」。40年間、警察を出し抜いてきたサディストをどう炙り出せるか。DNA解析の最新技術や犯罪捜査の複雑な力学も明かす驚愕のドキュメント。

著者・ポール・ホールズ(Paul Holes)・・・カリフォルニア州ベイエリアに位置するコントラコスタ郡保安官事務所と地方検事局に27年間勤務。科学捜査と事件現場捜査の両方の経験を持ち、キャリアを通じて未解決事件と連続凶悪事件を専門とする。地方検事局在職中に、FBIとサクラメント郡地方検事局とタッグを組んで革新的な捜査技術を応用、アメリカ史上最大の被害を出した連続強姦殺人犯「黄金州の殺人鬼」の正体を突き止めた。逮捕以来、数々のテレビ番組に出演。また退職後も、世間の注目を集める難事件において現場の捜査官たちの相談役を務めるほか、未解決事件の被害者家族の支援を続けている。

(目次)

プロローグ

1 旅路の果て
2 「黄金州の殺人鬼」はまだ生きている
3 はじまり
4 薬物研究所の研究員
5 人生の階段
6 EAR――イースト・エリア強姦魔
7 犯罪現場捜査官│CSI
8 アバナシー殺害事件
9 点と点を結ぶ
10 結婚生活の終焉
11 アンティオック殺人事件
12 ピッツバーグ連続殺人事件
13 ボッドフィッシュ殺害事件
14 連続殺人鬼たち
15 オリジナル・ナイト・ストーカー
16 検視
17 変化
18 パメラ・ヴィタール殺人事件
19 ジェイシー・リー・デュガード誘拐監禁事件
20 社会病質者│ソシオパス
21 新たな容疑者
22 ポッツを追った二年間
23 ミシェル・マクナマラ
24 レイプ魔から殺人者への変身
25 ジョセフ・ジェイムズ・ディアンジェロ
26 「黄金州の殺人鬼」を捕まえろ
27 襲撃を追体験する
28 ライフワーク
謝辞
解説 デーブ・スペクター
 
★2023.12.20(No.836)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『JFK暗殺60年 機密文書と映像・映画で解く真相』
(ワニブックス/単行本/瀬戸川宗太/2024.1)


文書公開で浮上した驚愕の真実
JFK暗殺陰謀論の歴史的意義
オリヴァー・ストーンの『JFK』公開の意義 
元CIA職員ロバート(ボブ)・ベアによる新証拠発見
カストロと亡命キューバ人の暗躍 
オズワルドの背景にソ連・キューバの謀略
米ソの全面戦争に発展する可能性があった!?
新しいマフィア暗殺説の登場とキューバとの繋がり
ヴェノナ文書が明かす、国際共産主義の陰謀
日本の左翼マスコミが軍産複合体説を報じる理由
魚雷艇艦長時代とその映画化の意味
なぜマスコミはアメリカの不都合な話を報じないのか 
安倍元首相暗殺が酷似しているのは偶然ではない

ケネディ大統領が暗殺された時、私はまだ小学校五年生だった。今から約六〇年前の出来事だが、母親の「ケネディ大統領が殺されたわよ」という声で、朝、眼がさめたのをよく覚えている。暗殺の第一報は、偶然にも日米のテレビ衛星放送開始と重なっていた。この大事件は、私の少年時代の思い出と深く結びついているため、本書の出版は、私にとっても極めて重要な意味をもつ。少年期が、人間形成にかけがえのないものだけに、ケネディ暗殺の真相を追求するのは、過去の真実を知るだけでなく、人生にとって貴重な日々の意味を考え直す作業を伴う。悲劇が起きた一九六三年前後の雰囲気は、今でもありありと脳裏に焼き付いている。(中略)本書は、一九六三年一一月二二日のダラスでの悲劇が、今日における歴史的意義を映画やドキュメンタリー作品を基に明らかにしたものだ。執筆しながら、再認識したのは、映画、映像のもつ絶大な力、そしてケネディ暗殺は、決して過去の出来事などではなく、現代に生きる我々の将来と固く結びついていることに他ならない。 本文より

著者・瀬戸川宗太・・・1952年、東京都生まれ、上智大学法学部卒業後、中学・高校の教員、立教大学法学部客員研究員(ケネディ政権とキューバ危機の研究)を経て、映画評論家となる。社会派・サスペンス映画に詳しい。現在、「夕刊フジ」「正論」「Hanada」「Voice」等の新聞、雑誌に映画評論を寄稿。著書に『世界を予言した映画80本』 / 『世界の戦争映画100年』などがある。
 
★2023.12.13(No.835)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『外事警察秘録』
(文藝春秋/単行本/北村滋/2023.12)


中国、ロシア、北朝鮮……。
海外からの脅威に日本の「外事警察」はいかに対峙してきたのか――。
北朝鮮による日本人拉致事件、日本赤軍メンバーの追跡、オウム真理教「ロシアコネクション」の解明、プーチンのスパイとの攻防、山口組マフィア・サミットの阻止、中国スパイのTPP妨害工作の摘発……。
警察官僚、前国家安全保障局長として、数々の修羅場をくぐり抜けてきたインテリジェンス・マスターと『見えざる敵』との闘いは、外事警察が抉る平成の裏面史でもあった。
知られざるスパイとの闘い、水面下での極秘任務の数々がいま初めて明かされる!

著者・北村滋・・・前国家安全保障局長 1956年生まれ。東京都出身。私立開成高校、東京大学法学部を経て、1980年4月、警察庁に入庁。1983年6月、フランス国立行政学院(ENA)に留学。1989年3月、警視庁本富士警察署長、1992年2月、在フランス大使館一等書記官、1997年7月、長官官房総務課企画官、2002年8月、徳島県警察本部長、2004年4月、警備局警備課長、2004年8月、警備局外事情報部外事課長、2006年9月、内閣総理大臣秘書官(第1次安倍内閣)、2009年4月、兵庫県警察本部長、2010年4月、警備局外事情報部長、2011年10月、長官官房総括審議官。2011年12月、野田内閣で内閣情報官に就任。第2次・第3次・第4次安倍内閣で留任。特定秘密保護法の策定・施行。内閣情報官としての在任期間は7年6ヶ月で歴代最長。2019年9月、第4次安倍内閣の改造に合わせて国家安全保障局長・内閣特別顧問に就任。同局経済班を発足させ、経済安全保障政策を推進。2020年9月、菅内閣において留任。2020年12月、米国政府から、国防総省特別功労章(Department of Defense Medal for Distinguished Public Service)を受章。2121年7月、退官。現在、北村エコノミックセキュリティ代表。

目次

第一章  横田めぐみさん「偽遺骨」事件 
外事課長初の訪朝/警察内部からも反対の声/鏡が多い高麗ホテル客室の謎/医師や看護師への聴取/「よど号」メンバーと「KYC」/最大の脅威は米軍/横田ご夫妻への報告/二カ所で「遺骨」を鑑定/DNA型は一致せず/被害者の帰国で加速した捜査/世論も政治も動かない/親朝ムードが支配していた/拉致は関心事でなかった

第二章  日本赤軍との闘い 
フランス留学の内示/恐怖のテロ組織として/テロリストを海外まで追う/田中義三をめぐる攻防/「我が国に身柄を移送せよ」/「ミスター・シゲルか?」/国際的なテロ・ネットワーク/「ベイルート5」の一斉拘束/「ベイルートに飛んでくれ」/「アラブの大義」の体現者/国家間の国益をかけた戦い

第三章  オウム真理教「ロシアコネクション」 
ロシアへの一二〇回以上の渡航記録/刑事警察との考え方の違い/五〇〇万ドル寄付の「効果」/KGB元幹部をスカウト/オウム真理教に協力的だった諜報機関/豪州でも毒ガスを使用/「警察に我々を守れるのか」/警察の勝利宣言

第四章  経済安全保障―― 中国企業「華為」の脅威 
中国の発展がもたらす危機/創業者は研究機関の出身/シカゴで拘束された女スパイ/日本の産業界が「抜け穴」に/洞爺湖サミットの無線基地/ソフトバンク買収に「待った」/独国防次官との非公式会合/ITT(見えない技術移転)に目を光らせるべき

第五章  不正輸出を摘発せよ――北朝鮮 
「万景峰92」号/忠誠心を得るための日本製品/自衛隊の反撃能力が「流出」/核実験が大きな転機/「執拗さ」は最大の美徳/「金王朝」の大規模物資調達網/なぜ厳光哲は野放しだったか

第六章  ロシアの背乗 りスパイ 
西側情報機関からの極秘情報/工作員は朝鮮系ロシア人/オペレーション名「シロハラ」/アンチャン管理官/「鱗が見えた」瞬間を捉えた/デッド・ドロップ・コンタクト/本物の「黒羽」はどこへ消えた?

第七章  プーチンのスパイとの攻防 
プーチンはボールペンで……/プーチン氏の人心掌握術/SVRスパイの手口/ロシア・スパイの貪欲さ/スパイの悪夢の瞬間=^「外一は存亡の危機だな」/課題は外交関係≠ニの駆け引き/プーチン来日直前に送検/腹を空かせた一匹の猟犬

第八章  三・一一福島第一原発をめぐる日米協力 
日米の信頼関係を再構築/「燃料棒は冷却できるのか」/米軍に注水の支援を依頼/安倍元総理が石原知事に連絡/日米協議が動き始める/地下鉄サリン事件との共通点/危機の時に情報は武器となる

第九章  在日コリアン 総聯+民団「統一計画」 
「朝鮮総聯ではなく民団をですか」/北との「近さ」は政治的資産/危機に瀕する「脱北支援」/「民団の総聯化≠ェ心配だ」/破防法の視察対象になり得る/「国会答弁」で認識を示す/「総聯の動向に重大な関心」/韓国当局による関与の痕跡

第十章  山口組 マフィア・サミット計画 
仏当局と日本赤軍の因縁/女性鍼灸師とJRAメンバー/厳戒態勢のシャルル・ド・ゴール空港/山口組若頭・宅見勝の渡仏情報/我われこそ「フランス治安の要」/ミラノで伊マフィアと会議/カネ・ヒト・トチで追い詰める/「組織犯罪者に国土を踏ませない」
/ラバンド大佐の情報力

第十一章  中国スパイのTPP妨害工作
中国が農水省高官に接触/「レフチェンコ証言」を想起/「李春光はただ者じゃない」/コメ一〇〇万トンとレアアース/「最低でも県外」の代償/「政界ルート」の解明/一・四億円の使途不明金

第十二章  特定秘密保護法案に職を賭した 
「北村、静かにしていろよ」/スパイを直接罰せられない/国家安全保障局の役割と情報保全の意義/日本の決意を米国に表明/読売新聞に頭を下げる/廃案の際は職を辞する/「治安維持法の原本を見せてくれ」/国家の存立そして国益のために

〈特別付録〉追想・安倍晋三内閣総理大臣 
 
★2023.12.6(No.834)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『人が人を罰するということ 自由と責任の哲学入門』
(ちくま新書/山口尚/2023.12)

ひとを責めることは無意味?
責任は近代社会の虚構にすぎない?
自由意志をめぐる論争に決着をつける。

「人間として生きる」とはどういうことか?

人間は自由意志をもつ主体であり、過ちを犯した者が咎められ罰されることは、古くから共同体における基本的なルールと考えられてきた。一方、自由の存在を否定し「刑罰は無意味だ」とする神経科学や社会心理学の立場がある。はたして人間は自由な選択主体か。私たちが互いを責め、罰することに意味はあるのか。抑止、応報、追放、供犠といった刑罰の歴史的意味を解きほぐし、自由否定論、責任虚構論の盲点を突く。論争を超えて、〈人間として生きること〉を根底から問う哲学的探究。

著者・山口 尚(やまぐち・しょう)・・・1978年生まれ。京都大学総合人間学部卒業。同大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は形而上学、心の哲学、宗教哲学、自由意志について。著書に『難しい本を読むためには』 / 『日本哲学の最前線』(講談社現代新書)など。

【目次】
序 責めることと罰すること――自由と責任の哲学へ

I
第一章 刑罰は何のために?――〈応報〉と〈抑止〉
1 なぜ刑罰について考えるのか
2 刑罰とはなんだろうか
3 刑罰の意味をめぐる問い
4 抑止効果
5 応報とは何か――正義のバランス
6 応報と抑止

第二章 身体刑の意味は何か?――〈追放〉の機能
1 抑止と応報にとどまらない刑罰の意味
2 古代中国の身体刑
3 苛酷で残虐な刑罰に何の意味があるのか
4 社会からの排除
5 刑の軽重と追放の体系
6 なぜ刑罰は追放の意味をもつべきなのか
7 現代にも残る追放

第三章 刑罰の意味の多元主義――〈祝祭〉・〈見せもの〉・〈供犠〉・〈訓練〉
1 刑罰が多様な目的を持ちうることの何が重要か
2 祝祭としての刑罰――ミシェル・フーコーはこう考えた
3 見せものとしての刑罰
4 供犠――刑罰の宗教的意味
5 訓練――犯罪者を更生させる権力
6 パノプティコン――隠微な権力のモード
7 刑罰の意味が多様であること
コラム 意味をめぐる問い、正当性をめぐる問い

II
第四章 応報のロジック
1 応報の何が問題なのか
2 犯人とは何か
3 行為・責任・主体
4 責任の条件は何か?
5 責任を疑うロジック
6 それは彼の選んだ行為なのか?
7 応報は不可能か?

第五章 自由否定論
1 神経科学からの問題提起
2 脳の神経活動と意識的意図
3 リベットの実験
4 拒否する自由意志
5 拒否は無意識の原因をもたないのか
6 見せかけの心的因果
7 責任も錯覚の一種になる?
コラム 神経科学と刑事司法

第六章 責任虚構論
1 社会心理学からの責任批判
2 小坂井敏晶『責任という虚構』について
3 ミルグラム実験――人間の責任の脆弱さ
4 原因と結果の連鎖
5 責任の正体
6 虚構を通じて社会は存立する
7 変転する虚構

III
第七章 それでも人間は自由な選択主体である
1 人間の生の一般的枠組み
2 罰すること、責めること
3 罰することがすべて無意味になる世界
4 科学的世界観の下で自由に居場所はあるか――私自身の経験から
5 ひとが何かをすること
6 自由の否定の自己矛盾
7 人間の条件

第八章 責任は虚構ではない――自由と責任の哲学
1 私たちはどのように生きているか
2 自由と怒り
3 人間が責めるのは人間である
4 反応的態度
5 道徳的要求と道徳的期待
6 ナンセンスな問い
7 人間の生活と科学の実践
コラム ストローソンの「自由と怒り」

第九章 自由・責任・罰についての指摘
1 人間として生きるということ
2 自由否定論には何が足りないか
3 拒否権説の不足――人間の自由は理論によって確証される必要はない
4 責任が実在する空間
5 刑罰廃止論を問いなおす

おわりに
読書案内
 
★2023.11.29(No.833)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『未解決殺人クラブ 市民探偵たちの執念と正義の実録集』
(大和書房/単行本/ニコラ・ストウ/2023.12)


身元不明の遺体を数十年ぶりに家族の元に返したり、殺人犯の居場所をネットの画像から特定したり――手に汗握るノンフィクション。
 
★2023.11.22(No.832)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『体罰と日本野球 歴史からの検証』
(岩波書店/単行本/中村哲也/2023.12)

部活動など、日本のスポーツにおける体罰の問題が絶えない。厳しい上下関係を背景に、指導の名のもとに繰り返される暴力。こうした歪な状態はいつ発生し、なぜ広がっていったのか。日本の代表的スポーツである野球の歴史をたどりながら、膨大な史料を駆使し実証的に考察。体罰なきスポーツ界の実現へ向け具体的に提言する。

著者・中村哲也・・・千葉大学大学院自然科学研究科博士後期課程修了 博士(農学)東北大学大学院経済学研究科博士後期課程修了  博士(経済学)共栄大学国際経営学部教授。
 
★2023.11.15(No.831)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『潜入 旧統一教会 「解散命令請求」 取材NG最深部の全貌』
(徳間書店/単行本/窪田順生/2023.11)


「カルト教団」として 解散命令請求された旧統一教会 。その正体の語り部はジャーナリスト、弁護士、「被害」を訴える元信者だった。本書では、取材NGとされた教団の 内部に足を踏み入れて施設、信者、教団系企業、キーマン、政治団体の決起集会に潜入 。この目で見て、耳で聞いた「カルト」の実像をルポ!

著者・窪田順生・・テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経てノンフィクションライターとして活動中。主な著書に『スピンドクター ”モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』 / 『「愛国」という名の亡国論」「日本人すごい」が日本をダメにする』など。

第1章「マザームーン」の暮らす宮殿
韓総裁からの信頼も厚い幹部職員が「聖地」を案内
K‐POPのコンサートも行う「清心平和ワールドセンター」
大理石を上ると、「マザームーン」の居住スペース

第2章 教団聖地の最深層
ジャーナリストらが霊感商法と批判する「先祖解怨」の爆心地
清平は「堕落した人類」を生まれ変わらせる場所
35年前のバッシング時に小学5年生だった「祝福2世」の感想
平和活動の記念館「天寶苑」にメディア初潜入

第3章 韓鶴子が「オーナー」のホテル&リゾート
豪華施設と海外進出の資金源は「日本」?
従業員にとって韓氏は「教祖」ではなく「オーナー」にすぎない

第4章 合同結婚式で渡韓した「日本人妻」たち
日本人女性を待っていた「結婚したくて入信した韓国人男性」
日本人女性信者が明かす「マインドコントロール」の正体
「ねえ、お父さんってもしかしたら統一教会に騙されているんじゃない?」

第5章 政界と教団を結ぶキーマンが語る「洗脳」と「選挙」
富山で選挙3連勝の「政界の旧統一教会フィクサー」
多くの宗教団体が自民党を支えていたのに、なぜ「旧統一教会」ばかりが注目?
相手の都合などおかまいなしにリンチするTBS「報道特集」の金平キャスター

第6章 現役信者にとっての「山上問題」
「私たちの親には子どもを犠牲にしてもやらなくてはいけないことがあった」
「山上徹也被告の気持ちはわかる」という2世信者たち
「収入の3分の1」を献金する敬虔な信者は教団内でも珍しい

第7章 教団トップ・田中会長を直撃
韓鶴子総裁が幹部を「現場」に戻した「狙い」
物々しい雰囲気が漂う「教団本部」で会長にインタビュー
教団トップの素顔
「献金ルール」を徹底しているか教会に「査察」も入れる
「2世を会長にしたい、私は今でもそう思ってる」
田中会長が語る「岸田を呼んで教育しろ」発言の真意
もっと早く名前が変わっていたら事件は起こらなかった

終章──勝共連合の正体
 
★2023.11.8(No.830)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『届かぬ悲鳴 尊属殺人罪が消えた日』
(Independently published/単行本/杉浦司/2023.11)

もくじ
一章 事件勃発 襖越しの出来事 弁護士・八幡正雄
二章 地獄の始まり 奪われた純潔 繰り返す不安な夜 母に打ち明ける 生い立ち 一家の離散 再び同居 おさまらない暴行
三章 あきらめ 妊娠 家出 切れない繋がり 出産 新居
四章 垣間見た世間並みの幸福 就職 世の中を知る 職場と家庭
五章 縛り付けるもの 中絶 職場での出会い 不妊手術 疑惑
六章 廻り始めた運命 初恋 苦悩 自由を乞う
七章 監禁生活 監禁生活 永遠の別れ 「お父さんを殺してしまった」
八章 判決まで 起訴 第一審判決 第二審判決 最高裁判決
その後 知っておいてもらいたい物語がある。 現行の日本国憲法が1人の女性を救った出来事だ。 約50年前に起こった実父殺害事件である。 14歳の頃から15年の歳月にわたり実の父親から性暴力を受けてきた娘が、ついに父親を絞殺した事件だ。 15年間にわたり、その娘は父親と夫婦同然の生活を強いられ、5人の子どもを出産し、数回の中絶を行っている。 娘の苦悩は家父長制度が色濃く残る社会と親族の世間体に蓋をされ続けてきた。 当時、刑法200条の尊属殺人罪(自己または配偶者の直系尊属すなわち父母や祖父母を殺した者)は、その刑罰の下限が無期懲役または死刑と、極めて重く設定されていた。 長年にわたる実父からの性的虐待の末、その父親を絞殺した娘には無期懲役か死刑しか道が残されていないのか、憲法訴訟にまで至った。 そこには、娘とともに親子二代で戦った時代を切り開いたとも言える弁護士達の姿があった。 1973年、ついに最高裁大法廷は尊属殺人罪などの刑の加重規程に対し、違憲判決を下した。 それに至るまでには、言い知れぬ苦悩を背負って生きようとしたひとりの女性の物語があった。


関連ページ・・・栃木実父殺し事件
 
★2023.11.1(No.829)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『おろそかにされた死因究明 検証:特養ホーム「あずみの里」業務上過失致死事件』
(同時代社/単行本/出河雅彦/2023.11)


介護現場を震撼させた重大事件! 無実の看護職員がなぜ、起訴されたのか? そこには死因究明をないがしろにする日本の刑事司法があった。 渾身のルポルタージュ。

「あずみの里」業務上過失致死事件・・・2013年12月12日、長野県安曇野市にある特別養護老人ホーム「あずみの里」で入所者の女性(85歳)がおやつの時間中ドーナツを食べた後に突然意識を失い、救急搬送され回復しないまま一ヶ月後に死亡。施設側と遺族との間では示談が成立、1000万円を超える賠償金が支払われているにも関わらず、検察は配膳などに関与していた准看護師の山口けさえ(当時50代)を業務上過失致死罪で起訴した。2019年3月25日、長野地裁松本支部は「おやつの形態変更(固形物からゼリー状のものに変える)確認の義務違反」で有罪とし、罰金20万円を言い渡した。弁護側が即日控訴。2020年7月28日、東京高裁は「(被告は)自ら被害者に提供すべき間食の形態を確認した上で、これに応じた形態の間食を配膳し、ドーナツによる被害者の窒息事故を未然に防止する注意義務があったということはできない」とし、「過失の成立を認めた1審判決の結論は是認することは出来ない」と逆転無罪を言い渡した。その後、検察側が上告を断念。無罪が確定した。

著者・出河雅彦・・・ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。1960年、長野県生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。著書に『ルポ 医療事故』/『混合診療』などがある。
 
★2023.10.25(No.828)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『アメリカ人が語る アメリカが隠しておきたい日本の歴史』
(ハート出版/新書/マックス・フォン・シュラー/2023.11)


元海兵隊員がアメリカの嘘を告発!
MAXよくわかる!

「南京大虐殺」「性奴隷」「強制徴用」など反日の主戦場はアメリカ

アメリカは日本に永遠の贖罪意識をもたせることで日本を抑え続けている
We should revive the spirit that led Japan to create the East Asia Co-Prosperity sphere. The West has chosen their fate,
to fall into ruin. We should not share that fate, but create our own destiny.

日本が大東亜共栄圏を作り上げた精神を復活させるべきです。欧米は破滅する運命を選びました。
我々はその運命を共有するのではなく、自らの運命を切り開くべきです。
(本文─「普及版に寄せて」より)

著者・マックス・フォン・シュラー(Max von Schuler)・・・本名・マックス・フォン・シュラー小林。元海兵隊・歴史研究家。ドイツ系アメリカ人。1974年岩国基地に米軍海兵隊として来日、その後日本、韓国で活動。退役後、国際基督教大学、警備会社を経て、役者として「釣りバカ日誌8」等、ナレーターとして「足立美術館音声ガイド」等、日本で活動。YouTube公式チャンネル「軍事歴史がMAXわかる!」でも情報発信中。著書に『アメリカ人が語る 日本人に隠しておけないアメリカの“崩壊”』/『アメリカ人が語る日本の歴史 日本に迫る統一朝鮮(コリア)の悪夢』などがある。


目次

はじめに
1章 日本は侵略国だったのでしょうか?
日本人にとっての“戦争”の意義
日本における伝統的戦後統治
日露戦争の真実
アメリカは悪いことができないと信じる多すぎる日本
アメリカ流儀のプロパガンダ
アメリカによる残虐行為
自国を擁護しない愚かな日本人
白人国家の攻撃的な性質
植民地主義の本当の意味
日独伊三国同盟の真実
日米開戦の真実
2章 日本陸海軍は本当に残虐だったのでしょうか?
日本人を理解できないアメリカ人
海兵隊での私の体験
米兵の残虐行為を決して認めないアメリカ人
傲慢で自己中心的なアメリカ人
米兵によるレイプ犯罪
アメリカが隠し続ける戦争の真実
南京事件の真相
マニラ事件はアメリカの責任転嫁
アメリカのプロパガンダに騙されるな
自国の軍隊を尊敬できない日本人
3章 大東亜共栄圏
欧米にとって脅威だった大東亜共栄圏
大東亜共栄圏の真実
4章 日韓関係はなぜ修復できないのでしょうか?
全てのトラブルの原因は韓国
韓国の歴史
日本の歴史
李氏朝鮮の身分制度
李氏朝鮮の文化と識字率
国を滅ぼした両班
李氏朝鮮と対照的だった活気ある江戸時代
朝鮮併合の真因
日清戦争
末期状態だった李氏朝鮮
日露戦争
5章 併合時代の真実
併合当時の資料を読む
原始的な始まりから生まれた法制度
何もないところから作られた警察組織
混沌とした金融システムを秩序に置き換える
教育
新しく近代的な医療産業
農業
田園から蘇った工業の宝石、興南の街
6章 日韓問題の現実
韓国の歴史上最も平和で豊かだった時代
朝鮮人ゲリラを抑えた日本
韓国人の被害者意識
韓国人の優越感
慰安婦問題を検証する
米兵と韓国人売春婦
慰安婦問題の真実
日本は本当に朝鮮の文化を破壊したのか?
創氏改名の真実
韓国人による自分たちこそ日本文化の起源との主張
「愛国無罪」の手に負えない迫害
韓国人の自業自得
韓国人の「大便フェチ」
韓国人の日本バッシング熱
韓国における反日教育
外国人の「韓国疲れ」
韓国に対する私の思い出
韓国はベトナムに学べ
7章 思い違い
平和ボケと自虐史観
日韓合意についてのアメリカの誤解
目隠しされているアメリカ人
いまだにくすぶる南北戦争の遺恨
欺瞞の達人・北朝鮮
アメリカが目指すべきもの
南北再統一の幻想
コリアの本当の悲劇「朝鮮戦争」
韓国人は何を目指すのか?

おわりに
普及版刊行に寄せて
注記
参考文献
 
★2023.10.18(No.827)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『n番部屋を燃やし尽くせ デジタル性犯罪を追跡した「わたしたち」の記録』
(光文社/単行本/追跡団火花/2023.10)


韓国社会を震撼させたデジタル性犯罪「n番部屋事件」。その実態を暴いた2人の大学生による取材記録!「n番部屋」と呼ばれるテレグラム内のチャットルームでは、卑劣な手口で未成年者を含む女性たちが性的搾取の対象とされていた。被害者を救うべく「追跡団火花」として立ち上がったプルとタンによる潜入取材、そしてフェミニズムとの出会いやメディアの反応など事件前後の出来事を記した「わたしたち」の連帯のための一冊。
 
★2023.10.11(No.826)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『刑事弁護人のための隠語・俗語・実務用語辞典[第2版] 』
(現代人文社/単行本/下村忠利/2023.10)


弁護士が接する依頼人たちは、それぞれ特有の隠語や業界用語を使用することがたびたびある。これらの用語の正確な意味を知っていることは,事案についての理解を深め,依頼人とのコミュニケーションを円滑にし,信頼関係を築く基礎となる。本書は、弁護士経験45年の中で知った隠語や業界用語1500以上を集めてその使用例や意味を解説する。第1版から大幅に用語を増やし、アップデートした。

著者・下村忠利・・・1972年、京都大学法学部卒業。1977年、弁護士登録。日本弁護士連合会刑事弁護センター副委員長、大阪弁護士会刑事弁護委員会委員長、大阪弁護士会裁判員本部副本部長、刑事弁護フォーラム副代表世話人などを歴任。2004 年、日本初の刑事弁護専門事務所「刑事こうせつ法律事務所」を開設。弁護士法人大阪パブリック法律事務所所長を経て、現在、下村・辻法律事務所で執務中。主な著作:『実務刑事弁護』 / 『刑事弁護の技術』など。

〇目次

第2版まえがき
第1版まえがき

1 よく使われる用語
2 交渉ごと関係の用語
3 脅し文句関係の用語
4 金融関係の用語
5 携帯電話関係の用語
6 犯罪の種類関係の用語
7 車輌犯罪関係の用語
8 違法薬物関係の用語
9 暴力団・抗争関係の用語
10 入れ墨関係の用語
11 賭博関係の用語
12 風俗関係の用語
13 テキ屋関係の用語
14 若者関係の用語
15 暴走族関係の用語
16 韓国・朝鮮語等関係の用語
17 刑事手続及び警察関係の用語
18 収容施設関係の用語
19 各地で使われる用語
20 仕草編
用語索引
 
★2023.10.4(No.825)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『知れば知るほど面白い警察組織』
(宝島SUGOI文庫/稲葉圭昭[監]/2023.8)


営業マンもビックリ! 過酷すぎる「ノルマ」の実態、「警察学校」教官は警察官の落ちこぼれ!? 「冷凍マグロ」の腹の中から密輸拳銃を発見! 日本警察史上、最大の不祥事を引き起こした元“悪徳刑事”が教える、捜査、階級、裏ガネ、隠語……30万人組織のマル秘インサイダー情報! この一冊であなたも警察通に! ※本書は2019年9月に刊行した単行本 『警察組織パーフェクトブック』、2021年2月に刊行した単行本『警察のウラ知識』の2冊を再編集し、文庫化したものです。

監修・稲葉 圭昭・・・1953年、北海道生まれ。北海道警察銃器対策課・元警部。東洋大学を卒業後、1976年に北海道警察に採用され、機動隊に柔道特別訓練隊員として配置される。道警本部機動捜査隊、札幌中央署刑事第二課、北見警察署刑事課、旭川中央署刑事第二課を経て、1993年、道警本部防犯部保安課銃器対策室(後の生活安全部銃器対策課)に異動。道警銃器対策課が主導した「警察庁登録50号事件」や「ロシア人おとり捜査事件」、「石狩新港泳がせ捜査」など、数々の”違法捜査”に関与。捜査費を捻出するため、自ら覚醒剤の密売に手を染めるようになった。2002年、現役の警部としては道警史上初めて覚醒剤使用で逮捕され、懲戒免職。覚せい剤取締法違反、銃刀法違反の罪で懲役9年を宣告される。2011年9月、刑期満了。
 
★2023.9.27(No.824)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『諜 無法地帯 暗躍するスパイたち』
(実業之日本社/単行本/勝丸円覚&山田敏弘/2023.11)


各国のスパイたちが日本でどのように動いているのか、その瞬間をとらえた鮮烈な筆致で描かれている。一度手にすれば、日本がいかにしてスパイたちの天国となっているかが明らかになるだろう。

これぞリアル『VIVANT』だ。

・スパイが入国する際は申告制
・尾行・盗聴・ハッキング ・・・スパイ活動の実態
・自衛隊の秘密組織「別班」は実在する
・スパイに公安の自宅がバレると猫の死体が届
・CIA支局長が断言「日本はスパイが活動しやすい国」
・CIAに協力している日本人は多くいる
・日本の有名女優似の留学生がハニートラップを仕掛ける
・日本では数万人規模の中国スパイが活動している
・ウクライナ侵攻後、日本で見せたロシアスパイの不穏な動き
・日本のドラマに出演していたロシア人俳優がスパイだった
・日本人のビットコインを盗む北朝鮮ハッカー

著者・・・

勝丸円覚(かつまる・えんかく)・・・1990年代半ばに警視庁に入庁し、2000年代はじめから公安・外事分野での経験を積んだ。数年前に退職し、現在は国内外でセキュリティコンサルタントとして活動している。TBS系日曜劇場『VIVANT』では公安監修を務めている。著書に『警視庁公安部外事課』がある。

山田敏弘(やまだ・としひろ)・・・国際ジャーナリスト。ロイター通信社、ニューズウィーク誌、MIT(米マサチューセッツ工科大学)フルブライト・フェローを経てフリーに。著書に『CIAスパイ養成官』 / 『サイバー戦争の今』など多数。
 
★2023.9.20(No.823)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『男性の性暴力被害』
(集英社新書/宮崎浩一&西岡真由美/2023.10)


性暴力とは、同意のない中で行われる性的言動すべてのこと。その被害者は女性であることがこの社会では自明とされてきたが、しかし、現実には性暴力被害は男性にも起こりうる。なぜ彼らの被害は今まで見えなくされ、いかに「なかったこと」にされてきたのか? その背景には、社会的に構築された「男らしさ」の呪縛があるのではないか? 今ようやく様々な事件が報道されるようになり、事態の深刻さが認識されつつある中、本書は男性の性暴力被害の実態、その心身へ及ぼす影響、不可視化の構造、被害からの回復と支援の在り方まで等を明らかにする。

著者・・・

宮崎浩一(みやざき・ひろかず)・・・1988年、鹿児島県生まれ。立命館大学大学院人間科学研究科博士課程後期課程。研究テーマは男性の性被害。臨床心理士、公認心理師。

西岡真由美(にしおか・まゆみ)・・・1976年、佐賀県生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程研究指導認定退学。臨床心理士、公認心理師、看護師、保健師。

◆目次◆
第1章 「男性の」と言わないと見えない性暴力被害とは何か
第2章 被害後の影響--心と身体
第3章 性暴力と「男性被害」--歴史と構造
第4章 生き延びる過程--回復と支援
第5章 個別的な苦しみと社会をつなげる
全国のワンストップ支援センター紹介
 
★2023.9.13(No.822)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『巣鴨日記』
(ハート出版/単行本/重光葵/2023.6)


重光のような人材を擁しながら戦略的大失態を演じた事実には謙虚に向き合わなくてはならない。
我々日本人は未だにその弱点を克服していないからである。重光に学ぶことは日本人の弱点を学ぶことでもある。


【本書の特徴】
新字・新仮名遣い 文字が大きい 難易語に注釈 
原書にはない写真 重光の直筆イラスト 人物の情報に注釈

獄中から見た東京裁判の舞台裏
元外相が見た東條英機ら“A級戦犯”の素顔
今残っている二十五名のA級戦犯者の裁判は、極刑の言い渡しに近づきつつある。
彼等の心境は…如何なることがあっても、皇室に御迷惑をかけぬ、
天皇陛下に御安泰のあれとする精神は日々の言動に現われている。
この点は人々の心の中に一点の曇りも懸ってはおらぬことに明かに看取出来る。
これが日本精神の結晶であり彼等の人生観である。 −重光 葵

巣鴨日記は、東京裁判の復讐劇としての実態、検事、裁判長、弁護人らの言動、
A級戦犯として捕らえられた人々の横顔、重光の思想などが詳細に記された貴重な資料である。
戦争回避に尽力しGHQと戦い、独立後は日本の国際社会復帰に貢献した重光。
いかなる状況においても絶望せず、降伏文書への署名と、国連加盟受諾演説の両方を行う
という数奇な運命を辿った重光は、逃げることなく一貫して国家を背負い続けた。
かつてこのような人物が存在したことを、日本人は決して忘れてはならない。
― 山岡鉄秀「解説」より

重光葵は、戦前は中華民国との停戦協定を纏めるもテロで片脚を失う。ハンデにも挫けず外務次官・駐在大使として欧州戦への日本介入回避に努めた。戦中も外務大臣の立場でアジア諸国の人種差別撤廃と自主独立に向け尽力。終戦時は首席全権として降伏文書に調印し、戦後も国際派政治家として活躍した。『巣鴨日記』は、非軍人でありながらA級戦犯容疑者として収監された重光が巣鴨プリズンで便箋に認めたもの。東京裁判の詳細な様子、プリズンでの非人間的な扱い、英国人、米国人との国を超えた信頼関係、家族と網越しの面会などを綴り、世界が米ソの陣営に分断されていく情勢を分析、そして日本の行く末を憂いた。

著者・重光 葵(しげみつ・まもる)・・・1887年、大分県生まれ。子供の頃朝の沐浴と教育勅語の朗読を日課とする。東京帝大法科大学独法科卒業。外務省に入り、上海総領事、駐華特命全権公使等を歴任、上海事変停戦協定を成功させた直後、上海天長節爆弾事件で右足を失う。その後、外務次官、駐ソ、駐英、駐華の各大使、さらに東条内閣、小磯内閣、東久邇宮内閣で外相を務める。日本政府全権として戦艦ミズーリ艦上で降伏文書調印。昭和天皇の信頼厚く、調印前天皇から激励を受ける。張鼓峰事件の解決、ビルマ援蒋ルートの一時的閉鎖、戦後の占領軍による軍政阻止などは、重光の卓越した交渉能力を示す例である。大東亜共同宣言も終戦の御聖断も重光の提言によって実現。日華和平を目指し、三国同盟や日米開戦には反対の立場だったが、極東国際軍事裁判ではソ連の横やりでA級戦犯の被告人となり、禁固7年の判決。政界復帰後、改進党総裁、日本民主党、自由民主党副総裁、そして鳩山内閣の外相として日本の国際連合加盟に尽力。1957年没、享年69歳。

解説・山岡 鉄秀(やまおか・てつひで)・・・1965年、東京都生まれ。中央大学卒業後、シドニー大学大学院、ニューサウスウェールズ大学大学院修士課程修了。公益財団法人モラロジー道徳教育財団研究員、令和専攻塾塾頭。 著書に『vs.中国(バーサス・チャイナ)─第三次世界大戦は、すでに始まっている!』 / 『新・失敗の本質』などがある。
 
★2023.9.6(No.821)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『被害者家族と加害者家族 死刑をめぐる対話』
(岩波書店/単行本/原田正治&松本麗華/2023.8)


弟を殺害した死刑囚と面会し対話を続けた原田氏。オウム真理教・教祖の娘として大学への入学拒否など社会から排除されてきた松本氏。立場が異なりながらも、事件に巻き込まれ差別や孤立を強いられてきた二人の対話から見える、この国の形とは。被害者を置き去りにしながら加害者への憎悪を煽り、死刑を存置する社会を問う。

著者・・・

原田正治(はらだ・まさはる)・・・1947年愛知県生まれ。1983年、「半田保険金殺人事件」で末弟を殺害された。事件後10年目、加害者である長谷川敏彦死刑囚(2001.12.27 死刑執行)と、被害者遺族として面会。以後、彼の死刑停止および面会継続を求める活動をしてきた。死刑制度に関心を寄せながら、犯罪被害者・加害者双方の支援や講演活動などを行っている

松本麗華(まつもと・りか)・・・1983年4月、オウム真理教の教祖・麻原彰晃(松本智津夫/2018.7.6 死刑執行)と松本知子の三女として生まれる。1995年の麻原教祖逮捕後は、教団唯一の「正大師」としてさまざまな問題に巻き込まれたが、16歳のときに教団から離れた。執筆のほか、インストラクター、カウンセラーとして活動。文教大学臨床心理学科卒。日本産業カウンセラー協会、日本人間性心理学会所属。


目次

はじめに………長塚 洋
T 社会から消される私たち――被害者家族と加害者家族、それぞれの孤独(二〇一八年二月、東京)
U 死刑がある国の命の重さ(二〇二二年七月、大分)
 注
 図 死刑をめぐる日本の世論
 
★2023.8.30(No.820)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『断絶 冤罪事件とその後の人生』
(デザインエッグ社/単行本/岩根山達人/2023.9)


この話しは実話を元に書いたものです。母一人息子一人の何気ない普通の暮らしが、冤罪事件により予期せぬ方向へ変わって行ってしまうのです。その後の人生は過酷を極めます。その内容からは現代社会の様々な問題が浮き彫りになります。労働問題や犯罪者の更生など、深く知りうる内容になっています。病める現代社会において、みなさんも様々な苦悩を抱えられていると思います。そんな方々にぜひ読んで頂きたい一冊です。果たして、努力は報われるのか、人間に超えられない壁はあるのか、人生に行き詰った方の何かのきっかけになれば幸いです。

著者・岩根山達人・・・1974年愛知県三河地域に生まれ。メンタルに疾患を抱えながら、転職を繰り返しつつも単身で自立して暮らしている。見た目は癒し系、行動は肉食系、性格は癒し系。趣味は、音楽鑑賞、楽器演奏、読書etc.好きなキャラクターは、ちいかわ。興味分野は、政治問題、労働問題、小動物研究、音楽の歴史研究、格差社会問題、古書研究、ゆるキャラ研究、犯罪学、心理学など多岐に渡り、常に考察している。
 
★2023.8.23(No.819)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『テロルの昭和史』
(講談社現代新書/保阪正康/2023.8)


血盟団事件、五・一五事件、神兵隊事件、死なう団事件、そして二・二六事件……。
なぜ暴力は連鎖し、破局へと至ったのか?

昭和史研究の第一人者による「現代への警世」。

【本書の内容】

・「安倍晋三銃撃事件」と昭和テロの共通点
・「正義を守るための暴力」という矛盾
・現代の特徴は「テロの事務化」
・ピストルではなく短刀にこだわった将兵
・「三月事件」と橋本欣五郎
・「血盟団」井上日召の暗殺哲学
・五・一五事件の「涙の法廷」
・昭和テロリズムの「動機至純論」
・愛郷塾の存在と「西田税襲撃事件」
・言論人・桐生悠々の怒り
・大規模クーデター計画「神兵隊事件」
・罪の意識がまったくない相沢一郎
・血染めの軍服に誓った東條英機
・「死のう団」のあまりに異様な集団割腹
・二・二六事件が生んだ「遺族の怒り」
・一貫してクーデターに反対した昭和天皇 ……ほか

著者・保阪正康・・・1939年北海道生まれ。現代史研究家、ノンフィクション作家。同志社大学文学部卒業。1972年『死なう団事件』で作家デビュー。2004年個人誌『昭和史講座』の刊行により菊池寛賞受賞。2017年『ナショナリズムの昭和』で和辻哲郎文化賞を受賞。近現代史の実証的研究をつづけ、これまで延べ4000人から証言を得ている。『昭和の怪物 七つの謎』/『近現代史からの警告』など著書多数。

【本書の目次】

序章:昭和テロリズムから見た安倍元首相銃撃事件
第一章:残虐のプロローグ――三月事件から血盟団事件へ
第二章:昭和ファシズムの形成――五・一五事件が歴史を変えた
第三章:暴力の季節への抵抗者たち――ジャーナリスト・桐生悠々と政治家・斎藤隆夫
第四章:「血なまぐさい渇望」のクロニクル――神兵隊事件から永田鉄山刺殺事件まで
第五章:国家暴力というテロリズム――死のう団事件の異観
第六章:テロから戦争への転換――二・二六事件の残虐さが意味すること
不気味な時代の再来を拒むためにーーあとがきにかえて
 
★2023.8.16(No.818)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『死刑囚238人 最期の言葉』
(鉄人社/単行本/鉄人ノンフィクション編集部/2023.8)


戦争責任者、テロリスト、大量殺人鬼など、大罪を犯し死刑判決を下された古今東西238人が死を前に残した台詞、辞世の句、遺書などから印象的な文言を集めた1冊。被害者への真摯な謝罪、神への祈り、無実の訴え、命乞い、罵倒、ジョーク。彼らが発した言葉は百人百様ながら、いずれも読む者の心に突き刺さる。

「脳は撃つな。日本人に売れる」(アンドレイ・チカチーロ)
「喜んで死んでいける」(東條英機)
「心臓を狙え」(ベニート・ムッソリーニ)
「生まれてこない方がよかった」(山地悠紀夫)
「尻にキスしろ!」(ジョン・ゲイシー)
「(獄中結婚した妻に)たとえ死んだって誰よりも深く愛している」(土谷正実)
「電気椅子のベルトが緩すぎる」(チャールズ・スタークウェザー)
「ふみえ〜!もう一度会いたいよ〜!」(古屋栄雄)
「私はやってない」(久間三千年)
「裏切り者を殺せ!」(ニコラエ・チャウシェスク)
「効かないよ。それじゃあ効かないって!」(ジョセフ・クラーク)and more
 
★2023.8.9(No.817)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『特捜検察の正体』
(講談社現代新書/弘中惇一郎/2023.7)


「まさか、特捜検事が相手の話をまともに聞こうとせず、脅しやだましによって、あらかじめ用意した供述調書に無理矢理サインさせるとは思わなかった」(村木厚子・元厚労省事務次官)

村木厚子、角川歴彦、小沢一郎、カルロス・ゴーン、堀江貴文、鈴木宗男らの弁護を担当した、検察が最も恐れる「無罪請負人」が、冤罪を生み出す日本最強の捜査機関の「危険な手口」を詳細に解説する。

手口1 ストーリー優先の証拠集め
手口2 供述調書は検事が「作文」
手口3 別件捜査で相手の弱みをつく
手口4 客観的事実にはあえて目をつむる
手口5 不都合な証拠を隠蔽・改竄・破棄
手口6 マスコミ捜査で犯罪者に仕立てる
手口7 長期勾留で心身ともに追い込む
手口8 家族や部下を人質にして揺さぶる
手口9 ニセ情報を与えて、記憶を捏造

著者・・・弘中惇一郎・・・弁護士。法律事務所ヒロナカ代表。1945年、山口県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。1970年に弁護士登録。クロマイ・クロロキン事件などの薬害訴訟、医療過誤事件、痴漢冤罪事件など弱者に寄り添う弁護活動を続けてきた。三浦和義事件(ロス疑惑)、薬害エイズ事件、村木厚子(郵便不正事件)、小澤一郎事件(「陸山会」政治資金規正法違反事件)など、戦後日本の刑事訴訟史に残る数々の著名事件では無罪を勝ち取った。著作に『生涯弁護人 事件ファイル1』『生涯弁護人 事件ファイル2』/『無罪請負人』などがある。

【本書の内容】
はじめに
序 章 特捜事件とはなにか
第一章 修正不可能! 検察官ストーリー強要捜査
第二章 裏司法取引
第三章 「人質司法」という拷問
第四章 マスコミ情報操作で「犯罪者」を作り出す
第五章 裁判所を欺く姑息なテクニック
第六章 特捜検察は変わっていない
第七章 さらなる暴走を食い止めるには
あとがき
 
★2023.8.2(No.816)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『「山上徹也」とは何者だったのか』
(講談社+α新書/鈴木エイト/2023.7)


山上はなぜ接見に応じないのか/「なかったことにしたい」勢力/山上に送った四通の手紙/宗教2世との微妙な距離感/統一教会・政治家・メディアの恥ずべき関係性/狙いは本当にテロだったのか/私の責任について/山上からの「回答」/被害者と加害者

著者・鈴木エイト・・・1968年、滋賀県生まれ。日本大学卒業。2009年創刊のニュースサイト『やや日刊カルト新聞』で副代表、主筆を歴任する。カルト問題、そして2世問題などを精力的に取材し、統一教会に鋭く斬り込む最前線のジャーナリストとして活躍する。著書には『自民党の統一教会汚染』シリーズがある。

(主な内容)
序 章 風化する「統一教会問題」と「なかったことにしたい」勢力
第一章 山上徹也と安倍晋三、鈴木エイトをつなぐ「奇妙な縁」
第二章 銃撃事件後、逮捕された山上が供述した「恨み」
第三章 鑑定留置中の山上徹也に送った手紙
第四章 事件の約一週間前に山上徹也から届いていたメッセージ(前編)
第五章 山上徹也に複雑な思いを抱く「宗教2世」たち
第六章 事件の約一週間前に山上徹也から届いていたメッセージ(後編)
第七章 山上徹也が抱えていた「マグマのような憤り」の正体
第八章 山上徹也は事件前からSOSを発していた
第九章 山上徹也が見た「絶望」の正体
第十章 「統一教会の被害を食い止めた」ために罪が重くなる可能性
 
★2023.7.26(No.815)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『性問題行動のある子どもへの対応 治療教育の現場から』
(誠信書房/単行本/藤岡淳子ほか/2023.8)


子どもたちの性被害・性加害防止に取り組む最前線である児童相談所・児童自立支援施設では、限られた時間と資源のなか、性問題行動への治療教育プログラムに取り組み、効果を上げている。 本書では、こうした現場の実践を振り返りつつ、まず介入の第一歩となるアセスメントについて、実際の初回面接の流れや聞くべき要点など、基本と理論的背景をおさえて論じる。さらに治療教育を実践する際のポイントとコツを、さまざまな例を示しつつ詳細に解説する。また、組織の中でいかに治療プログラムを開始し、実践し、継続していくかについても述べる。 子どもの性暴力による被害と加害をなくすために、日々取り組む支援者にとって、心強い助けとなる一冊である。

著者・・・

藤岡淳子・・・1979年上智大学文学部卒業。19811年上智大学大学院博士前期課程修了。1988年南イリノイ大学大学院修士課程修了。府中刑務所首席矯正処遇官、宇都宮少年鑑別所首席専門官、多摩少年院教育調査官を経て、大阪大学大学院人間科学研究科教授、臨床心理士。

野坂祐子・・・1999年お茶の水女子大学大学院家政学研究科児童学専攻修士課程修了。20044年お茶の水女子大学大学院人間文化研究科人間発達科学専攻博士課程単位取得退学。現在、大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター准教授(。

毛利真弓・・・同志社大学准教授、博士(人間科学)、臨床心理士、公認心理師。少年鑑別所で心理技官として勤務した後、官民協働刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」で支援員として働き、日本で唯一の刑務所内治療共同体のリーダーとして、治療共同体を作ってきた。大学の心理臨床センターで心理臨床を経て、現職。

【目次】
はじめに

第T部 性問題行動のアセスメント
 第1章 アセスメントとは何か
 第2章 アセスメントと介入の原則
 第3章 アセスメントの実際

第U部 治療教育実践のポイントとコツ
 第4章 動機づけと性問題行動の理解
 第5章 治療教育における重要な概念と実践

第V部 治療教育プログラム実施のシステムづくり
 第6章 治療教育プログラムを開始する
 第7章 治療教育プログラムを継続する
 第8章 保護者支援を組み込む

【座談会】性問題行動の治療教育――20年をふり返って
 
★2023.7.19(No.814)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『見直そう! 再審のルール この国が冤罪と向き合うために』
(現代人文社/単行本/安部祥太ほか/2023.7)

そもそもどうして冤罪が生まれるのか、その原因に迫り、そして、ひとたび間違って有罪判決を受けると、そこから救済されるのに何十年もかかってしまう現在の日本の再審制度の問題点を解説。日本の再審制度は機能不全に陥っており、「再審法(刑事訴訟法の再審に関するルール)」の改正が必要である。日本の法制度に倣って刑事司法制度を構築した隣国である台湾と韓国の再審をめぐる改革の動きも紹介。

著者・・・

安部祥太(あべ・しょうた)・・・Part1、Part2「再審制度」「再審制度の問題点」 、Part3「韓国の再審制度」
1987年東京都生まれ。関西学院大学法学部准教授、博士(法学)。専門は、刑事訴訟法、刑事政策、韓国刑事法。誤判・冤罪や再審手続と関連して、日本弁護士連合会再審法改正実現本部外部研究者委員、龍谷大学刑事司法・誤判救済研究センター客員研究員、「イノセンス・プロジェクト・ジャパン」メンバーを務める。

鴨志田祐美(かもしだ・ゆみ)・・・小説「えんざい」、Part2「実際に起こった問題」、Part3「台湾と韓国から日本が学ぶべきこと」
1962年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学法学部卒業後、会社員、主婦(母親)、予備校講師を経て、2002年、40歳で司法試験合格。2004年鹿児島県弁護士会に登録。2021年4月より京都弁護士会に移籍し、Kollect京都法律事務所に所属。大崎事件再審弁護団事務局長、日本弁護士連合会再審法改正実現本部本部長代行として、再審弁護と再審法改正運動に心血を注ぐ。著書として、『隠された証拠が冤罪を晴らす――再審における証拠開示の法制化に向けて』(共編著、現代人文社) / 『大崎事件と私――アヤ子と祐美の40年』(LABO)など。

李 怡修(リー・イシュウ)・・・Part3「台湾の再審制度」
台湾出身、台北大学財経法学部卒業後来日、2019年一橋大学法学博士取得。同大学院法学研究科特任講師、龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員を経て、現在龍谷大学刑事司法・誤判救済研究センター嘱託研究員。研究テーマは再審と証拠開示。研究の他、翻訳、通訳も兼業。2017年に、碓井真史『誰でもいいから殺したかった!』(ベストセラーズ)の中国語版『誰都可以就是想殺人!』(時報出版)出版。2023年共訳で浜田寿美男『虚偽自白を読み解く』(岩波書店)中国語版出版予定。また、日本と台湾の架け橋をミッションに、2021年株式会社ジニーを設立。刑事司法だけでなく、日本と台湾との交流を念頭に活動している。

〇目次

小説「えんざい」

Part1 冤罪はどうして起きるの?
○「冤罪」とは何か?
○小説「えんざい」に見る日本の刑事司法手続とその問題点
1 捜査段階
2 公判段階

○冤罪事件・誤判研究が示す冤罪原因
1 虚偽自白
2 共犯者供述により引っ張り込み
3 誤った目撃供述
4 誤った科学的証拠・科学鑑定とその過信
5 その他

○日本の冤罪事件
1 冤罪事件を分類する難しさ
2 再審事件の概況

Part2 日本の再審はどうなっているの?
○再審制度
1 再審とは何か?
2 再審手続の流れ
3 再審手続の構造――再審請求審を中心に
4 再審を請求するための要件
5 再審請求事件と再審事件の概況

○再審制度の問題点
1 規定の不備に起因する問題
2 証拠開示
3 検察官抗告
4 その他

○実際に起こった問題
1 はじめに
2 再審における証拠開示のリアル
3 再審開始決定に対する検察官抗告のリアル
4 その他、現実に起こった「不具合」の数々

Part3 台湾と韓国に学ぼう
○台湾の再審制度
1 陳龍綺事件
2 2015年台湾刑訴法「再審編」の改正――再審請求理由
3 確定判決後DNA鑑定法の成立
4 2019年台湾刑訴法「再審編」の大幅な改正
5 法務部有罪確定事件審査委員会の成立
6 おわりに

○韓国の再審制度
1 韓国の再審法制の歴史と特徴
2 「過去事」とその清算
3 刑訴法による再審
4 特別法による再審
5 裁判所の積極姿勢と再審
6 検察改革と再審
7 刑訴法上の再審への影響――法改正へ向けた動き
8 おわりに

○台湾と韓国から日本が学ぶべきこと
1 はじめに――なぜ、台湾と韓国の動きが重要なのか
2 台湾の「ここに注目」
3 韓国の「ここに注目」
4 変わる台湾・韓国と、変わらぬ日本との違い

Column 死刑と再審 (高平奇恵 たかひら・きえ 一橋大学准教授・弁護士)
Column 大正刑事訴訟法と「再審」 (春日 勉 かすが・つとむ 神戸学院大学教授)
Column 再審制度に関心を寄せる高校生 (山室浩二 やまむろ・こうじ 京都府立嵯峨野高等学校教諭)
Column アメリカにおける誤判救済制度 (笹倉香奈 ささくら・かな 甲南大学教授)
Column ドイツにおける誤判救済制度 (斎藤 司 さいとう・つかさ 龍谷大学教授)

巻末付録
○冤罪被害体験を語る(徳島弁護士会「大崎事件と再審法改正」トークセッション)
○日本弁護士連合会「刑事法再審に関する刑事訴訟法等改正意見書(要約版)」(2023年2月17日)
○台湾刑訴法の再審関連改正条文と日本の現行規定
○本書で取り上げた重要事件一覧表
 
★2023.7.12(No.813)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『法律の抜け穴全集』
(自由国民社/単行本/法律書編集部/2023.8)


短編小説の面白さで法律の急所がわかる。悪用は厳禁です。ワルの手口がつぶさにわかる、読んで面白い「ウラ六法」。「ズルイやつ」ほど法律の「穴」を知っている…!
民法改正ほか、最新の法改正に対応!
 
★2023.7.5(No.812)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『日本一長く服役した男』
(イースト・プレス/単行本/NHK取材班/2023.6)


令和元年秋、1人の無期懲役囚が熊本刑務所から仮釈放された。「日本最長」61年間の服役期間を経て出所したのは、80代のやせ細った男。出所後も刑務所での振る舞いが体に染みつき、離れないでいた。男はかつてどんな罪を犯し、その罪にどう向き合ってきたのか?

一地方放送局の記者2人とディレクター1人の取材班は、男に密着取材を行った。更生の物語を期待し、取材を進めるものの、一向に態度が変わらない男。それでも彼らは、この謎めいた男がなぜ服役し、どう罪と向き合ったのか伝えることをあきらめなかった。取材班が一丸となって、各々の巧みな取材手法を使い分け、番組制作を進めていった。

度々の全国放送が見送られつつも、いよいよ放送前日となったある日、取材班に衝撃的な連絡が入った。その時、彼らがとった行動とは――

「更生」とは。「贖罪」とは。そして「報道」とは。3年にわたる取材の全記録。

著者・・・

杉本宙矢(すぎもと・ちゅうや)・・・NHK報道局ネットワーク報道部記者 1989年生まれ、埼玉県出身。早稲田大学文学部で西洋史を専攻し、早稲田政治学研究科では政治哲学を学ぶ(修士)。2015年に入局し、熊本局に赴任。自身の「生きづらさ」を元に幅広いテーマで取材する中、2017年以降、受刑者・非行少年の立ち直り支援を継続取材。勤続2年目に熊本地震に遭遇し、遺族取材にもあたった。2020年から現職で、WEB記事の特性を活かしたデジタル発信の取材・編集手法を探究するとともに、部署の垣根を越えた様々なプロジェクトに携わっている。

木村隆太(きむら・りゅうた)・・・NHK福岡放送局記者 1992年生まれ、埼玉県出身。早稲田大学文化構想学部卒業。大学時代の2013年から2015年にかけて、中国・北京大学に留学。1年間、対外漢語学院で中国語を学んだ後、国際関係学院の学士取得。2017年4月にNHKに入局、初任地は熊本放送局。熊本で事件・事故をはじめ、再審無罪となった「松橋事件」のほか、新阿蘇大橋の再建など熊本地震からの復旧・復興や令和2年7月豪雨などを取材した。2022年8月から現職で、2023年6月現在、福岡県警担当。

【目次】
はじめに
第1章 その男との出会い
第2章 偶然か、必然か 取材班結成秘話
第3章 プリゾニゼーションの現実
第4章 裁判記録、その入手までの長い道のり
第5章 日本一長く服役した男“誕生”の秘密
第6章 彼は「ありがとう」と唱え続けた
第7章 刑務官たちの告白 無期懲役囚と社会復帰の理想
第8章 遺族はいま 母との思い出を辿って
第9章 もう一度、問いかけることができたなら
終章 〈鏡〉としての日本一長く服役した男
おわりに
注・参考文献
 
★2023.6.28(No.811)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『犯罪心理学者は見た 危ない子育て』
(SB新書/出口保行/2023.8)


心理学者サイモンズは、子育ては4つのタイプに分けられると言いました。

著者は法務省心理職として1万人を超える非行少年・犯罪者を見てきた結果、サイモンズの言ったとおり、子育てには4つのタイプが存在すること、いずれかのタイプに偏った家庭に犯罪者が育つことを確信しました。

その4タイプとは「過保護型」「高圧型」「甘やかし型」「無関心型」。この4つの言葉を見て、「私の家庭は過保護でも高圧でもないし……」と思った親御さんへ。実は……親は誰でも知らず知らずのうちに
この4タイプのどれかに偏っていることがあるのです。

非行少年・犯罪者の育った家庭環境の事例とともに、各タイプにありがちなこと、気をつけるべきことを伝えていきます。

偏っていない子育てはありません。でも、少しでも真ん中に寄せる意識はできる。その一歩として。やさしい子育て入門書です。

著者・出口保行・・・犯罪心理学者。1985年に東京学芸大学大学院教育学研究科発達心理学講座を修了し同年国家公務員上級心理職として法務省に入省。以後全国の少年鑑別所、刑務所、拘置所で犯罪者を心理分析する資質鑑別に従事。心理分析した犯罪者は1万人超。その他、法務省矯正局、(財)矯正協会附属中央研究所出向、法務省法務大臣官房秘書課国際室勤務等を経て、2007年法務省法務総合研究所研究部室長研究官を最後に退官し、東京未来大学こども心理学部教授に着任。2013年から同学部長を務める。内閣府、法務省、警視庁、各都道府県庁、各都道府県警察本部等の主催する講演会実績多数。独自の防犯理論「攻める防犯」を展開。現在、フジテレビ「全力!脱力タイムズ」にレギュラー出演するほか、各局番組にて犯罪解説等を行う。前作『犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』(SB新書)は累計9万部突破の話題作となった。

はじめに すぐ隣にある「危ない子育て」

序章 子育ては4タイプ
・親の養育態度は4つに分けられる
・非行少年の心理分析でも使われる4タイプ
・非行少年の親はどのタイプが多いのか?
・厳しくないのに厳しく感じられる理由
・気まぐれな親とは信頼関係が築けない
・偏らない親などいない、けれど
・仮説をもとに修正点を話し合うコミュニケーション
・思い込みを外すとラクになる

第1章 自分で決められない子――過保護型の身近な危険
・ヒロカズのケース
・解説:過保護型とは?
・過保護型は自己成長の機会を奪う
・共依存親子
・自己決定が幸せを左右する
・ヘリコプターペアレントとカーリングペアレント
・それは誰のための手助けなのか?
・子どもの発達段階欲求不満耐性を高めるには?
・他罰的な子と自罰的な親
・人のせいにする子にどう接するか?
・ハードルが下がった薬物犯罪
・人間でなくなる恐ろしさ
・薬物乱用は「被害者のいない犯罪」ではない
・薬物にハマる「現実逃避型」と「快楽追求型」
・他罰的思考は薬物犯罪と親和性が高い

第2章 自分で考えて動けない子――高圧型の身近な危険
・トモヤのケース
・解説:高圧型とは?
・一方的に命令して、子どもの気持ちを無視
・教育とマインドコントロールは紙一重
・マインドコントロールはどこでも起こる
・子どもの心を追い詰める「教育虐待」
・劣等感を子どもに補償させようとする親
・スパルタ教育は「愛のムチ」か?
・劣等感をプラスに変えるには?
・成功者はスパルタ教育を語りたがるけれど
・指示待ち人間が陥ってしまう闇バイト
・命令すべきこと、そうでないこと
・わが子を指示待ち人間にしないためには?
・やる気が出る目標設定のコツ
・セルフエスティームの回復
・知っているのに騙される、特殊詐欺
・犯罪素人が複雑化する犯罪に巻き込まれないために

第3章 人の気持ちがわからない子――甘やかし型の身近な危険
・ナルミのケース
・解説:甘やかし型とは?
・人は折り合いをつけて大人になる
・「甘え」と「甘やかし」は違う
・甘やかし型は子どもの将来を考えていない
・おこづかい制度の決定は社会経験になる
・甘やかし型と原始的犯罪「強盗」
・内省を深める方法
・自分の気持ちは伝わっているという思い込み
・共感性を高めるには?
・欲求不満耐性の低さが家庭内暴力を引き起こす
・欲求不満耐性の低い男子による性犯罪
・パートナーや祖父母が甘やかしてしまうときは?
・下の子をつい甘やかしてしまう

第4章 愛に飢えて暴走する子――無関心型の身近な危険
・アヤノのケース
・解説:無関心型とは?
・一見、親としての義務を果たしているようでも
・更生への道が険しい非行少年
・親が陥りがちな行為者-観察者バイアス
・子どもに関心がない親の生活――アヤノの両親以外の例
・情緒的ネグレクトとは?
・なぜ子どもを愛せないのか?
・虐待増加の背景
・孤独な子育ては危険
・なぜ非行に走るのか?――虐待回避と心理的距離
・愛情飢餓状態につけこむ「犯罪の誘い」
・悪いグループから抜け出させるには?
・半グレという新しい組織
・信頼を失ってもかまわないという人たち
・迷惑行為をSNSで広める若者の心理
・「承認」が人を変える
・周囲の人が相談できる場所
・「放置」と「放任」は違う
・集団行動ができる子に育てるには?
・大切なのは家族の心理的距離

付録 子育て4タイプのチェックリスト
・過保護型のチェックリスト
・高圧型のチェックリスト
・甘やかし型のチェックリスト
・無関心型のチェックリスト

終章 親が気づけば子どもも変わる
・気づくことが変化の第一歩
・性格は変えられるのか?
・問題があれば修正すればいいだけ
・言葉で表現する練習を
・話し合う習慣を作ろう

おわりに なぜ犯罪心理学者が子育てを語るのか?
 
★2023.6.21(No.810)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『昭和の不思議101 2023年 夏の男祭号 (ミリオンムック 55) 』
(大洋図書/ムック/2023.6)


南国ビーチはクサ天国
世界のやばいスラム街
新橋闇市の顔役 松田義一
迷宮入り事件簿
・第二の帝銀事件69年目の現場
・消えたダイヤモンド
・・・
番外編~お前がゾディアックなのか?
映画の中に真実がある
昭和の時代、誰もが一度は「不幸の手紙」をもらっていた
喜び組と北朝鮮美女軍団
明日きっと誰かに話したくなる 不思議な話
アンダーグラウンドの「知の巨人」 コリン・ウィルソンこの10冊
昭和天皇自粛報道に消された演歌「不如帰」
レディース雑誌「ティーンズロード」の製作舞台裏が34年ぶりに明かされる「特攻服少女と1825日」
網走刑務所を脱獄した男
・・・ETC
 
★2023.6.14(No.809)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『ビジュアル 世界の偽物大全 フェイク・詐欺・捏造の全記録』
(日経ナショナル ジオグラフィック/単行本/ブライアン・インズほか/2023.6)


私たちはいつもだまされている――。
フェイクニュースや疑似科学が氾濫する今こそ、本書を!


偽造されたヒトラーの日記からフェルメールの贋作、レオナルド・ディカプリオ主演映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の原作者にして稀代の詐欺師フランク・アバグネイル、エッフェル塔や自由の女神の売却騒動、偽札を巡る攻防、シェイクスピアの偽の未発表原稿、50年間男性医師のふりをした女性、数十億ドルの評価を受けた血液検査の不正企業セラノスまで、世界の歴史に残る奇抜な詐欺の経緯と、その独創的な手法に迫る。
有名な偽造者や伝説的な詐欺師の詳細なプロフィール、疑わしいものを検査するために開発された多くの現代科学技術も紹介。専門家が調査した数世紀にわたる歴史上最も巧妙な詐欺の数々を、200枚にのぼる写真とともに掲載する。
物理的なモノによって構築された現実が、実は変幻自在で、不穏で、奇妙なものであることを私たちは目の当たりにする。何が本物で、何が偽物なのか、そしてなぜそれを気にしなければならないのか。本書によって読者は、ものごとの真偽に対する考え方が覆されることになるだろう。

【目次】
CHAPTER1 偽金
CHAPTER2 贋作
CHAPTER3 偽書
CHAPTER4 考古遺物の捏造
CHAPTER5 詐称
CHAPTER6 信用詐欺師
CHAPTER7 大義のための偽り
CHAPTER8 怪しげな科学
 
★2023.6.7(No.808)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『ナルコスの戦後史 ドラッグが繋ぐ金と暴力の世界地図』
(講談社+α新書/瀬戸晴海/2023.5)


日本のヤクザの資金源・シャブの韓国、台湾ルート、最凶地帯メキシコ・コロンビア、最大の生産地ゴールデン・トライアングルとアフガニスタン(ゴールデン・クレセント)、そして浸食される「病める巨大マーケット」アメリカーー。禁断の世界麻薬マーケットの暗部と、世界の反社がどうつながっているのか? 伝説のマトリだから書ける「人類、欲望の裏面史」!

ナルコスとは――
「感覚を失わせる」という意味のギリシャ語のナルコン「narkoun」に由来する英語「narcotics」から派生したスラングで、海外ではドラッグとともに麻薬を意味するものとして認知されている。

著者・瀬戸晴海・・・1956年、福岡県生まれ。明治薬科大学薬学部卒業後、1980年に厚生省麻薬取締官事務所(通称:マトリ)に入所。薬物犯罪捜査の第一線で活躍し、九州部長などを歴任。2014年に関東信越厚生局麻薬取締部部長に就任し、2018年3月に退官する。2013年、2015年に人事院総裁賞受賞。著書に『マトリ 厚労省麻薬取締官』/『スマホで薬物を買う子どもたち』(ともに新潮新書)がある。

第一章 アメリカの戦争に翻弄された戦後日本のナルコス汚染
第二章 マトリの私が体験した山口組のナルコスビジネス
第三章 日本に覚醒剤を供給してきた「闇の韓国・台湾ルート」
第四章 世界最凶のナルコス地帯「メキシコ・コロンビア」とアメリカの影
第五章 オウム、ロシア 薬物テロがもたらす惨劇
第六章 世界最大の麻薬地帯「ゴールデン・トライアングル」とその先にある新たな脅威
 
★2023.5.31(No.807)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『戦前の日本で起きた35の怖い事件』
(鉄人社/単行本/鉄人ノンフィクション編集部/2023.5)


あなたが生まれるはるか昔、明治・大正・昭和期前半に
国内を震撼させた大事件を写真と資料で完全再現。

<CONTENTS>

堀江六人斬り事件
大米龍雲尼僧連続強姦殺人事件
吹上佐太郎連続少女強姦殺人事件
津山三十人殺し
岡山・少女串刺し殺人事件、キリスト教伝導師・島倉儀平事件
玉の井バラバラ殺人事件
浅草青酸カリ事件
鈴弁殺し事件
ピス健事件
谷口富士郎事件
少年臀部削ぎ取り殺害事件
愛知貰い子殺人事件
三毛別羆事件
下谷サドマゾ事件
群馬連れ子殺人・人肉食事件
鈴ヶ森おはる殺し事件
鬼熊事件
首なし娘事件
阿部定事件
チフス饅頭事件
宮城県「仮の一夜」事件
新潟一家四人死刑事件
中山歌子一家殺害事件
小笛事件
日大生保険金殺し
浜松一中大福餅食中毒事件 and more
 
★2023.5.24(No.806)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『メンヘラ製造機だった私が鼻にフォークを刺された話』
(KADOKAWA/単行本/前田シェリーかりんこ/2023.7)


この体験を漫画にすることが、私の最大の復讐です。

メンヘラ製造機と呼ばれていた20代の頃。当時付き合っていた彼氏も例外ではなく、些細なことで言い合いになる。彼氏の怒りが高まりはじめ、帰ろうとすると更に彼氏は怒り出し…。怒りが頂点に達した彼氏が手にしたのは、フォークだった―。「このままでは殺される」そして、命をかけた一か八かの賭けに出る!喧嘩し、負傷し、匿われ、追い込まれ、予想だにしない人物が登場し…読み始めたら止まらない、SNSで話題沸騰の実話に基づくノンストップコミックエッセイ。SNSでは描かれなかった事件のその後を描き下ろしに加え、待望の書籍化!

著者・前田 シェリー かりんこ・・・1児の母。NAPBIZ公式ブロガー。インスタグラム、ブログ、ツイッターに自身の体験を元にしたコミックエッセイを投稿。
 
★2023.5.17(No.805)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇』
(五月書房新社/単行本/辻野弥生/2023.6)


四国から千葉へやってきた行商人達が朝鮮人と疑いをかけられ、正義を掲げる自警団によって幼児、妊婦を含む9名が惨殺された。
映画『福田村事件』(森達也監修)が依拠した史科書籍。長きに渡るタブー事件を掘り起こした名著。【森達也監督の特別寄稿付き】

福田村・田中村事件・・・関東大震災が発生した1923年(大正12年)9月1日以後、各地で「不逞鮮人」 狩りが横行するなか、 9月6日、 四国の香川県からやって来て千葉県の福田村に投宿していた15名の売薬行商人の一行が朝鮮人との疑いをかけられ、地元の福田村・田中村の自警団によって、ある者は鳶口で頭を割られ、ある者は手を縛られたまま利根川に放り投げられた。虐殺された者9 名のうちには、 6歳 ・ 4歳 ・ 2歳の幼児と妊婦も含まれていた。犯行に及んだ者たちは法廷で自分たちの正義を滔々と語り、なかには出所後に自治体の長になった者まで出て、事件は地元のタブーと化した。そしてさらに、行商人一行が香川の被差別部落出身者たちだったことが、事件の真相解明をさらに難しくした。

著者・辻野弥生・・・福岡県生まれ。1981年より千葉県流山在住。流山市立博物館友の会会員。『東葛流山研究』企画編集委員。1988年、地域の文化賞「北野道彦賞」受賞。2003年、子育て後の人生を楽しむ女性の会「あしたば」創設。2006年、吉目木ひなこ氏と『ずいひつ流星』創刊。 著書に本書の旧版『福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇』(崙書房出版・ふるさと文庫)のほか『呉服屋のお康ちゃん奮戦一代記』などがある。
 
★2023.5.10(No.804)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『白装束集団を率いた女 千乃裕子の生涯』
(論創ノンフィクション/単行本/金田直久/2023.1)


2003年4月末に突然あらわれた真っ白≠ネ集団。奇怪な装束と行動で話題をさらった千乃正法会/パナウェーブ研究所とは。彼らは何を信じ、何を求めていたのか。「教祖」である千乃裕子の生涯をたどり、その謎を解き明かす。

著者・金田直久(かねだ・なおひさ)・・・東京都生れ。都内在住の40代。国内外のスピリチュアル、超常現象の情報を収集・考察する在野の研究家。精神医学、民俗学、歴史学など学際的なアプローチを志向。本書が初の著作となる。宗教に対しては懐疑主義であるが「人はなぜ宗教を信じるのか」ではなく、「私はなぜ宗教を信じないのか」を着眼点にして考察をおこなっている。学生時代に遭遇した「白装束集団騒動」が忘れられず、10年程前から千乃正法会の取材・調査を開始した。そのほか、過去の怪奇事件、カルト事件のいま≠鋭意取材・調査中。

目次
序章 老女の死
第一章 告白
第二章 誕生
第三章 初期の千乃正法
第四章 共産主義と孤独と大川隆法
第五章 電磁波攻撃
第六章 報道スクラム
第七章 キャラバンが終わって
第八章 千乃裕子の死
第九章 予言が外れたあと
エピローグ
 
★2023.5.3(No.803)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『信仰か、マインド・コントロールか カルト論の構図』
(法蔵館文庫/櫻井義秀/2023.5)


著者・櫻井義秀・・・1961年、山形県出身。北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学)。現在、北海道大学大学院文学研究科教授。専門は宗教社会学、タイ地域研究、東アジア宗教文化論。著書に『統一教会 性・カネ・恨から実像に迫る』 / 『創価学会 政治宗教の成功と隘路』などがある。

社会はカルトやマインド・コントロールの問題にどのように対処すべきであろうか。90年代以降のマスメディアの言説や裁判記録などの分析を通じて、これらの問題を考えるための基礎的理論を提示する。

「ドグマの正当性を疑わず、手段を選ばずにそれを他者に強要し、受け入れないものには存在の価値を認めない独善性こそ、公共性の対極にある。そのような生のあり方をも信教の自由の名の下に認めよと主張することは可能だろうか。自らの決断としてそのように生きることを選択した人達がいるとしたら、それは私たちにとって私たちの生を揺さぶる衝撃的な事実となる。マインド・コントロール概念が提起した問題はここにある。」(本文より)

【本書の目次】

再版(文庫収録)によせて
はじめに

第I部 カルト論の構図

第一章 カルト論の射程
第二章 カルト問題におけるフレーミングとナラティブ
第三章 カルトと宗教のあいだ

第II部 マインドコントロール論争と公共性

第四章 マスメディアによるカルト、マインドコントロール概念の構築
第五章 「宗教被害」と人権・自己決定
第六章 強制的説得と不法行為責任
第七章 カルト問題と公共性

引用文献
あとがき
初出一覧
 
★2023.4.26(No.802)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『謎と闇に覆われた 恐怖の未解決ミステリー』
(鉄人社/単行本/鉄人ノンフィクション編集部/2023.3)


神隠しのように姿を消した少年・少女、防犯カメラに映った怪しい人物、殺害現場に残された不可解な証拠品、身元不明の遺体、謀殺・他殺が疑われる謎の転落死、原因不明のポルターガイスト現象、怪事件。果たしてその真相は? 知れば知るほど背筋が凍る79のコールドケース。

<CONTENTS例>

●伊達市・砂浜佳祐くん失踪事件
●韓流ファン・棚橋えり子さん失踪事件
●サイパン日本人姉妹行方不明事件
●女優タミー・リン・レパード失踪事件
●大量殺人鬼、ペドロ・ロペス失踪事件
●和歌山市新聞配達女子高生刺殺事件
●新宿歌舞伎町ラブホテル連続殺人事件
●トレーシー・ミード殺害事件
●JR池袋駅山手線ホーム上立教大生殺人事件
●広島市佐伯区スーパー強盗殺人事件
●米ニューメキシコ州ウエスト・メサ「ボーンコレクター」事件
●世界的画家、ファン・ゴッホの死の真相
●オーストラリア首相、ハロルド・ホルト水難死亡事故
●南相馬市高3女子失踪・遺体発見事件
●荒川区東尾久和菓子店娘殺害事件
●岐阜県富加町「高畑住宅」のポルターガイスト現象
 
★2023.4.19(No.801)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました。 なんで言わないの?』
(扶桑社/単行本/ゆっぺ/2023.1)


「お昼寝中、隣の男子が私のパンツに手を入れてきて…楽しいはずの幼稚園が恐怖の時間になりました」

著者ゆっぺが、5歳のときに同級生から受けた“性被害”をマンガ化した本作。
『なんで言わないの?』としてブログに掲載されると大きな話題を呼び、ついに書籍になりました。

「子どもの性被害」と聞いて多くの方が思い浮かべるのは大人による加害。
ですがあまり知られていないだけで、小さな子ども同士の被害も発生しているのです。

「ただの遊びでしょ?」
「性的な意味はないから」
「男の子だから仕方がない」

といった言葉で性被害を見過ごしていませんか?
その実態は、私たち大人が思っているよりも深刻なものかもしれません――。

「ライブドアブログ OF THE YEAR2021」最優秀グランプリ受賞ブロガー・ゆっぺが、
子どもを取り巻く“性”の問題をはじめとした
「知らなかったでは済まされない」さまざまな問題に斬り込みます。

・幼児から幼児への「性暴力」
・思春期の子ども同士で起こった「性的おどし」
・子どもを加害者にも被害者にもしないための「性教育」
・もし子どもがいじめられたら?「親のとるべき行動」
ほか

著者・ゆっぺ・・・「ライブドアブログ OF THE YEAR2021」最優秀グランプリ受賞した『ゆっぺのゆる漫画ブログ』(https://yuppe2.blog.jp/)を運営。2022年にはライブドアブログ殿堂入りも果たす。『女教師Aが地位も名誉も失った話』、『女友達の裏の顔!?』などのヒット作を連発し、2021年には主婦ブロガー初の月間3000万PVという快挙を達成。田舎住みの二児の母。蟹座のB型。趣味はお菓子作りと絵を描くこと。本作が初の著書となる。
 

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