海風通信 after season...

稀少対談! 芦奈野×ウルバノヴィチ




 ◆さて、ネタもいよいよ尽きてきたので、ここらで久々にメディア情報を。
 芦奈野先生って、公式での露出や告知が非常に少ない控えめな方ですから、新情報を得られることもホントに稀ですよね。今回採り上げた雑誌も、たぶんそれほどPRされることもなかったし、表紙にも氏の名前がまるで示されていないことから、その存在がほとんど知られていないのではないでしょうか?(なんと検索でも、よっぽどピンポイントにワードを打ち込まないとヒットしなかったりします。)
 ただ、これだってもう3年近く前の記事ですよ!?芦奈野先生の動向が伺える新情報と言うには遅すぎるきらいがあるのですが、これまであまりにも話題として採り上げられていない(ネットでも数件しか記事が見つかりませんでした)のと、作品に関する風景や世界観の構築法において非常に共感する部分がありましたので、ここに遅ればせながら紹介しようと記事を起こしました。

 掲載雑誌は、『イラストノート Premium』2023年8月発刊号。劇場版「君の名は。」の背景画を手掛けたイラストレーターとして注目され、のちに『東京店構え マテウシュ・ウルバノヴィチ作品集T』にて脚光を浴びたマテウシュ・ウルバノヴィチ氏を特集した号で、この中のスペシャル対談企画として芦奈野先生がご指名にあずかっているのです。
 この対談の中で、二人が風景の描き方に対する認識を共感しあう場面があるのですが、そこで芦奈野先生が「実は、僕は写真を見て描くということはほとんどなく、すべては記憶から生まれるイメージ」と言い、その理由は「描き手の記憶はその人の血肉とも言えるもので、それは何より強いのではないか」と述べます。自分自身が感じ、記憶したものを作品の風景として描き出していく。これは実にその通りだなぁと感じました。
 芦奈野先生の表現する風景描写は、何処かそこらじゅうにあるようなありふれた場所にも見え、実はそのどこでもないという疑似既視感を覚えます。それは、かつての先生自身の「記憶」と他者の「記憶」が共感し合って生み出され、それが読み手の共通体験として伝わっていくからに他なりません。
 顧みてみれば、私がたいした地形検証や方角・位置関係も気にせず、ただただ直感的に三浦半島をフラフラと彷徨っているのも、まさにこのような記憶の共感を捉えようとし、そこに合致するような風景との出会いに愉しみを見出しているからなのです。(←ホントかな?)

 これ、出来れば全文記事を紹介したいところですが、これ以上は引用ではなく転載にあたってしまいそうなので控えましょう。気になった方は、是非とも雑誌を手に取ってみて下さい。マテウシュ・ウルバノヴィチ氏の特集記事や掲載作品も興味深く、ノスタルジーの漂う風景は、どこか通じ合うものが感じられます。私は個人的には、鵠沼の賀来神社の絵がグッときました。あの場所を、あんなに味のある風景として描き出すことが出来るものなんですねぇ。写真で全く同じアングルから撮ったとしても、なかなかこの感じにはならんのです。
 そう言えば、前年(2022年)に芦奈野先生が『コミックナタリー』にて坂月さかな氏と対談をした際も、刺激を受けた作家としてウルバノヴィチ氏の名前を挙げられていましたねー。このようなところからも繋がりが生まれた対談だったのかも知れません。

 【書籍DATA】─────────────────────
『イラストノート Premium』 マテウシュ・ウルバノヴィチの手描きの技
2023年8月1日発行:誠文堂新光社
(2026年01月20日撮影)