◆『カブのイサキ』#2で、シロさんのパシリ(!?)として大山へと向かう途中の海沿いに現れる、巨大な立岩。
これ、雑誌掲載時に見た瞬間から「ここじゃないのかな?」と推測しつつも、あまりにも話題に上らなかったことから自分でも忘れていて、いつの間にやらお蔵入りになっていた一枚です。写真を撮ったのも作品発表時から6年後、そしてさらに12年の時を経て、ようやく陽の目を見ることとなりました。
巨大な岩柱の元ネタは、やはり横須賀西海岸の秋谷にある立石をモデルとしているのではないかと思われます。長井から海沿いに飛んで鎌倉まで向かう途中にあるタケノコのような岩は、まずこれ以外には候補が見つかりませんし、この立石を10倍ほどに巨大化させれば、岩の隙間に充分に家を建てられそうなスペースも生まれそうです。良い感じの松も所々に生えてますし、これはほぼ確定的か!?…って言うよりも、当たり前すぎて誰も口にしなかったのかも知れませんね。
この場所は景勝・立石のほか、「波の数だけ抱きしめての」ロケ舞台ともなったレストラン「Don」がある場所としても有名。ですが私の個人的な思い出としては、駐車場の裏手から階段を上って辿り着ける素朴な浜茶屋「富士見亭」がお気に入りでした。
ここは通年営業をしているため、いつ行っても「昭和の海の家」気分を味わえるのが格別です。そして肩肘を張らないお店の雰囲気と大衆食堂的なメニュー群が全く気取っていなくて、すごくリラックス出来たのです。ラーメン、カレーライスの他、なんと「おでん」なんかもラインナップされていました。でもサスガにクソ暑い夏の時季に、すーちゃんのように「──夏の海はおでんだよ」(*1)とはならなかったですねぇ。それでもいつかは食べてみたいと思っていたら、しばらくご無沙汰しているうちに、いつの間にやら閉業されて、店舗部分はすっかり消失してしまいました。
茶屋の屋根に使われていた半透明で乳白色の樹脂製の波板が昭和的で、いつの日かヨコハマ第85話「かえる」に出てきた仮店舗カフェアルファの庇(ひさし)のように、「だいだいいろの輪っか」を見てみたいと思っていたのですが、これもまた、今では叶わぬ夢と消えました。
時代の流れとはいえ、三浦半島もこうしたお店がどんどん無くなっていきます。淋しい限りです。
(*1)コトノバドライブroute18「松林のこと」参照のこと。
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▲海の景色に見惚れていると、気付かないかも知れません。 |
▲ここでジャワティーを飲みながら海を見るのが好きでした。 |
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