海風通信 after season...

FunSaver




◆「写ルンです」などの使い捨てカメラというものがめっきり姿を見せなくなった昨今、偶然にも新宿の北村写真機店の前を通り過ぎた際に目にする機会がありまして、思わず衝動買いをしてしまいました。選んだのは「写ルンです」ではなくて、コダックの「ファンセーバー」。まるでトイカメラのような遊び心のあるデザインが魅力的で、なんか味やコダワリのある写真が撮れる(ような気がする)感覚にさせてくれる、イカしたヤツです。
 衝動買いのきっかけとなったのは、テレ東系ドラマ25『猫』(*1)のスピンオフとして、DISH//のアルバム『X』に収録されていた特典映像から。メンバーの4人が三崎の商店街にある元・米山船具店のテーブルでカメラ談義をはじめた際に持ち出されたのが、このファンセーバーでした。
 内容はさしたるものではありませんでしたが、彼らが楽しく話をしながらシャッターを切る様子を見て、「あ、フィルムカメラも結構良いかも?」と改めて思い出させてもらったのです。フィルム・コストや現像料は通常のカメラと大して変わらないのに、使い捨てカメラが発売開始された当時は、ヘンに写真撮影というものが手軽・安価になった感じがして、料金など気にすることなくパシャパシャと撮っていた時代がありましたよね。
 ということで、当時のそんな気分を味わおうと、実に何十年ぶりかの使い捨てカメラを入手。さっそくコイツを持ち出し三浦半島に撮影に行きました。
 ところが、これがなかなか勿体無くてシャッターを押せません。試し撮りとかもできないし、もちろんモニターで確認なんてコトも出来ない。撮影に成功したか失敗したかも現像に出すまでは分からない。こんな不安なモノに現像料+プリント代まで払っていたとは、ちょっと今では信じ難いことですね。ただ、それだけに当時の写真撮影は「ここぞ!」とばかりにシャッターを押す覚悟や、うまく撮れたかどうかのワクワク感もひとしおだったのだと思います。
 結果、私がこの三浦行でシャッターを押せたのは、僅かに2枚。これじゃあとても現像には出せないので、ファンセーバー君には然るべき時が来るまで眠りについてもらうことになりました。そもそも、このカメラでファンセーバー本体自身の写真を撮ることも出来ないワケですから、表題の写真はいつものデジカメからの撮影ということになります。ついでに、以下のロケ地撮影写真も同様です。まったく、なんのこっちゃって話ですね。
 (*1)あいみょんが作詞作曲、DISH//が歌った『猫』を原案として作られた、三浦ロケがメインのドラマ。劇中でもファンセーバーが使用される場面がある。 

劇中のカメラは、社名ロゴ部分が加工されたデザインに。 ▲ドラマのエンディング曲『猫』が歌われた突堤。
『岬ヶ浜』バス停のモデル地。上空の雲が鯛のよう。 ▲バス停近くにある漁具倉庫。
(2024年01月09日撮影)