過去の日記

更新日: 2003/10/01

2003年 01月


Generated by nDiary version 0.9.2

2003.01.29 (水)

見ていて面白いスタジアム

スポーツの話。

スポーツには、たいてい「観客」というものが存在する。
その観客を、選手もろとも収容する建物が、いわゆるスタジアムだ。

スポーツの面白さは、スタジアムの面白さに左右されることが多い。
要するに、スタジアムが面白くないと、スポーツも面白く感じないのだ。

そこで、軽度のスタジアムオタクである私が、今日は
「面白いスタジアム学」
というものを語りたいと思います。

具体例も、所どころ入れつつ。
 

1.客がたくさん入っている

 
これは必須条件だろう。
いくら試合が面白くても、ガラガラのスタジアムでは面白さも半減以下だ。
特に、その競技に詳しくない人間なら、なおさらそう思うだろう。

野球を知らない妻が、夫と一緒に野球を見ていて

妻「なにこれ、内野も外野もスカスカ! 全然盛り上がってないじゃん!」
夫「いや、これは試合が面白いんだよ。ほらここで栗原選手がねえ・・・」
妻「誰それ? 全然知らないんだけど!」
夫「そんなことないよ。5年後には有名になってるよ」
妻「ともかくねー、そんなの見てると性格が暗くなっちゃうよ!」

と、客の入りでメジャーかマイナーかを判断され、どんどん興味を失っていく。

ただ、同じ32,000人の観衆であっても、広島市民球場(収容32,000人)の32,000人と、
甲子園球場(収容55,000人)の32,000人とでは、密度が違うが。
 

2.得点、ゴール、勝利決定のときの声援が大きい

 
これも必須条件、といえる。
もちろん、人数がいても盛り上がらないスタジアム、というのはある。
それはファンの気質(ヤクルト等)だったり、国民性だったり、原因はいろいろあるが、
劇的な勝ち方をしても、歓声が少ないと

「あんたら嬉しくないんかい。」

と思ってしまうのだ。
 

3.発煙筒・爆竹など、ビンの投げ込みといった、試合の妨害がない

 
これは、スタジアムどうこうの話ではなく、モラルの問題。
日本では、それほど深刻ではないが、海外ではかなり深刻のようだ。
イタリアとスペインのサッカーリーグを比べてみると、よくわかる。

両国は、ともに治安が悪い。

特にスペインの都市部の治安は、かなり悪い。
交差点ではクラクションで煽るわ、スリ、引ったくり、強盗などなんでもアリだ。
ところが、サッカー場の中ではスペイン人は一転、行儀が良くなる。

ビンの投げ込みは、ごく一部の例外を除いて無いし、爆竹・発煙筒などもめったに
お目にかからない。
投げるのは、たいていオレンジ(当たっても痛くない?)だし、投げても選手に
当たらないよう、うまく投げている。

一方のイタリアの場合は、逆だ。

もちろん都市部での治安は、ヨーロッパの中でも悪いほうだ。
それが、サッカー場の中でも引き継がれる。

去年も、客の投げ込んだ物がレフェリーに当たったり、投げ込まれた爆発物を処理
しようとした警備員が負傷したりしている。
ミラノやローマなどの大型スタジアムでは、ホームチームが得点を入れるとだいたい
爆竹がどこかしらで鳴る。

また、ファンのスタジアムへの「乱入」。これも多い。
優勝決定戦では、ここ2,3年必ずどこかでファンの大規模乱入がある。
最下位チームのスタジアムでも、ストレスが鬱積したファンが怒り狂い、その試合が
没収試合(マケ)とされたこともある。

というように、イタリアとスペインとでは、テレビで見ている限り全くスタジアムの
雰囲気が違うのだ。
原因はよく分からないものの、行儀が良いスタジアムは、ある意味成熟した、大人の
雰囲気を漂わせており、かっこいい。

またイギリスも、スタジアム内での目立った悪さは、それほどない。
これは、入場料が引き上げられて、低所得者層が入れなくなったこととも関係がある
のだろうか??
 

4.老若男女、揃っている

 
これは、実は前項とも関係が深いこと。
イタリアでは若者が中心なのに対して、スペインでは文字通り、小さな子供から若い
女性、祖父(グランパ)、祖母(グランマ)まで、さまざまである。

これは、当然スタジアムの治安とも関係がある。
もっと重要なのは、おばあちゃんの存在である。

日本のスタジアムでは、野球、サッカーなどを問わず、かなり安全なのであるが、
女性があまり多くない。
特に、おばあちゃんの姿というものは、日本のスタジアムではほとんど見ない。

年配女性によるスポーツの生観戦といえば、相撲とか、箱根駅伝の沿道くらいでしか
見ない。

スペインやイギリスのサッカー場では、おばあちゃんの姿がよく見られる。
こういう姿を見ると、国民をあげて、このスポーツが愛されていることが分かって
観客の熱の入りようが伝わってくる。

と、別に私はスペインを擁護しているわけではありませんよ。
イタリアが嫌いなわけでもないので。
 

5.応援団とか効果音がなくても、観客が自然と盛り上がる
 

日本では、応援団が一生懸命リードして、観客を一体化させる。
これにはいろいろ賛否があるし、自分自身も応援団は必要だと思うけど、スポーツを
見ているぶんには、ちょっと物足りない。
無理やりやっている、という感じがしてしまうのだ。

アメリカの野球(メジャーリーグ)では、応援団は基本的にない。
盛り上がるときに、盛り上がる。
これは理想的な形だと思うのだが、あいにく自宅にはBSアンテナが無く、大リーグ
を見る機会がないので、あまり多くを語ることができない。

しかし、理想的に見えても、メジャーには残念な^^; 点がひとつある。
効果音の存在だ。
打席のあいまに流れる「幸せなら手を叩こうバンバン」とかいろいろある、あれだ。

去年の11月に、東京ドームへ行って「日米野球」なるものを見た。
球場の声援は、日本式のタイコ、トランペットなどは一切無し。
その代わり、大リーグ式の効果音が流れてくる。

試合に集中しているときに、
「ジリリリリ・・・」(電話の音)
とか
「ピヨーーーーン」(?)
とか音を鳴らしてくる。

あの効果音は、試合の緊迫感を妨げているような気がする。

そもそも日本、アメリカのスポーツは、選手は本気でも客は楽しんでいる場合が多い。
スポーツだけではなく、友人との談笑・ビールを楽しんでいる、という意味だ。

これに対して海外のサッカーでは(たびたび引き合いに出して悪いが)、地元のチームが
地元の誇りであり、負けると地元民のプライドが許さないらしい。
なので、ファンも真剣で、ふがいない試合をすると、自軍の選手を平気で罵倒する。
このように観客も真剣なほうが、見ていて面白い。

つまりは、応援させられている、のではなく、一人一人が進んで応援しているような
雰囲気があるのだ。

これは、国民性の違いなので仕方がないが。
日本とかアメリカは、国境がほとんど海だし。
 
もちろん、ヨーロッパにも応援団長にあたる人とか、マーチングバンドはある。
それでも、日本ほど応援が強制されている雰囲気はない。
日本の野球から応援団をとっぱらってしまったら、試合の序盤は無音と化すだろう。
 

6.ほとんどがホームチームのファン

 
ここまでは、一般論であった(ほんとか?)
これからは、自論を語る。

横浜スタジアムの巨人戦、ヤクルトの神宮球場などは、だいたいファンが半々に分かれる。
そして、どっちが点を入れても、盛り上がる。
ビジターのファンとしては、ビジターファンも多い神宮球場はありがたい存在だ。

しかし、これではホームスタジアムの意味がない。
ホームとは、圧倒的に敵チームを不利な精神状態に追い立て、自軍を勝利に持ち込む
ものだ。
やはり、スタジアム全体がホームチームのファンで埋め尽くされることが望ましい。

そして、敵チームが得点をしても、誰も喜ばない。
それを見て、応援席を挑発する敵チームの得点者。
それを見て、激しいブーイングを送りたてる観客。

それよりなにより、ホームチームの得点でワーッと盛り上がるさまは、見ていて壮快な
ものである。

野球では甲子園、広島市民球場、ナゴヤドーム、東京ドーム(巨人戦)など。
サッカーではスペイン、イタリアあたりが、ホームファン比率が高い。
イギリスは、意外と相手チームのファンも多いので、その点は少し残念(笑)だ。
 

7.専用の競技場である

 
イタリアは、サッカー場の外周にトラックがあり、観客席からピッチまでが遠い。
日本のサッカー場も、一部(鹿島など)を除いて、ほとんどが競技兼用グラウンド
なので、スリリングさに欠ける。

試合をやっているグラウンドから応援席まで、距離があればあるほど、観客は冷めて
くる。
選手が、観客席のすぐ近くまで迫っているスタジアムは、おのずと盛り上がるものだ。

だから、日本の野球場とかで、外野席のフェンスの高さが5m、6mとかあるような
球場は面白みに欠ける。
 
 
8.犬がいない

 
これはどうでもいいのだが(笑)、イタリアのパルマ、レッジーナなどのスタジアムで
よく犬が吠えまくっているのを耳にする。
これは警備用の犬らしいのだが、試合中ずっと吠えているのはどうかと思ったり(笑)
 

9.特徴がある(謎)
 
 
広島戦には、スクワット応援がある(嫌いだという人も多いが)。
巨人戦には、独特の応援がある(清原登場時のトンボ、清水登場時のGo Westなど)。
千葉ロッテ戦には、日本では考えられないような熱烈なサポーターがいる。
相撲では、必ず一人は変な客がいる(金のセンスを振り回す人、絶叫する人、、)。
スペインでは、ホームチームが惜しいシュートを放つと観客が「ウィッ!」と叫ぶ。

その他、球場のマスコットが暴れたり、いろいろと球場、チーム独特の応援があり、
見ていて面白い。
 

以上グダグダと述べてきたが、面白い試合作りは、まずスタジアムから。
客の態度次第で、試合内容は一変する。
スタジアムは、魔力を持っている。

ページの先頭へトップページへ


他の月の日記

ウルソー内閣・トップへ戻る
http://www.boreas.dti.ne.jp/~silence/