川越グルメ

川越の食に関する案内書です

<目 次>
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日本酒日本の酒づくりほんものの名酒百選現代の名酒二百選
ビール全国[地ビール]大全
食生活聞き書埼玉の食事日本の朝ごはん日本の「伝統」食江戸歌舞伎役者の<食乱>日記

 トップページ  サイトマップ  → 名産  さつまいも(1)  さつまいも(2)  さつまいも(3)  菓子屋横丁  川越と茶
     
グルメ ※お店の情報は、あくまでも本出版時のものです。
「川越・所沢・狭山とっても上等なランチ」 ジェイアクト メイツ出版 2010年 ★★
川越市
小江戸会席 風凛
ビストロ岡田
モダン亭 太陽軒
料亭 山屋
美味料理 旬
ファザーズファーム
旬彩香味 穂花
割烹 ささ川
銀座アスター 川越丸広店
ばぁ〜ぐば〜ぐ
和料理 はな甚
L'oiseau bleu
鉄板焼 ケルン
レストラン エルブローズ
フランス食堂 ビストロピンキオ
HERMITAGE
リストランテ ベニーノ
FRUMENTO MERCATO 小麦市場 PASTA&PIZZA

「埼玉のおいしいケーキ屋さん」 レブン メイツ出版 2006年 ★★
第2章 街で人気のケーキ屋さん part2
その他のエリア 29軒
川越市
・洋菓子 リヨン
・パティスリーア・ラ・メゾン
 
喫茶店・カフェの人気ケーキ5軒
・シマノコーヒー大正館のさつまいもチーズケーキ
・ライトニングカフェの豆腐のチーズケーキ
・あぶり珈琲のチーズケーキ

「川越グルメ 美味百選2000 企画・発行/川越商工会議所 編集・制作/(有)ぷらんず社 2000年 ★★★
川越アートマップ
川越グルメ・和食
 うなぎ・いも料理・割烹・そば・うどん・自然食・すし・とんかつ・天ぷら・しゃぶしゃぶ・やきとり・すきやき・すっぽん・その他 
1.うなぎ いちのや 松江町1-18-10
2.いも料理 いも膳 小室15-1
3.函館 海や(川越クレアモール店) 脇田町7-1(鳥熊ビル2階)
4.おこわ 右門(一番街店) 幸町1-6
5.四季の家庭料理 えぷろん亭 元町2-1-19
6.そば処 篭屋(かごや) 豊田本2180
7.わらび・ぜんまい 自然食 くるみ 幸町16-2
8.割烹 ささ川 大手町5-19
9.日本料理 さわや 脇田本町11-26
10.日本料理 登茂恵(ともえ) 脇田町17-10
11.料亭 鳥清 大手町13-14
12.ご宴会・お届け料理 初かり亭 宮元町61-4
13.割烹 初音屋 元町1-9-8
14.大衆割烹 百万石 脇田本町29-43
15.割烹 福登美・懐石 古雅 新富町1-3-7
16.うなぎ ぽんぽこ亭 藤間151-7
17.京割烹 松鮨 新富町1-5-2
18.そば御膳 むさしや 福田121-1
19.遊食倶楽部 むら井 脇田町3-16(丸石ビル2階)
20.料亭 山屋 幸町11-2
21.やきとりの名門 吉長 脇田本町23-33
22.すき焼・しゃぶしゃぶ・フランス料理 すき亭 吉寅 元町1-9-3(市役所通り)
23.串焼き・おばんざい 茜屋 連雀町2-10
24.創作饂飩・鰻・喫茶 開運亭 脇田町17-4(川越ニューシティーホテル2F)
25.割烹 川島 通町18-5
26.鐘つきうどん きんちょう 幸町6-13
27.鮨会席・江戸前にぎり鮨 川越 幸すし 元町1-13-7
28.茶そばと料理 寿庵喜多院店 小仙波町1-2-11
29.割烹・旅館 佐久間 松江町2-5-4
30.笛木醤油・川越店 うんとん処 春夏秋冬 幸町10-5
31.日本料理・すっぽん料理 仙とも 砂新田32-2
32.味処 たち花 福田1000
33.手打蕎麦 田中屋 氷川町52-7
34.ふぐ・すっぽん 十和田 新富町1-7-1
35.とんかつ・宴会料理 中宿亭 古谷上3806
36.北海道料理 ばっさん 菅原町1-12-5
37.和料理 はな甚 新富町1-9-12(NSプラザ川越V5階)
38.手打そば 百丈 元町1-1-5
39.小江戸・味処 深井屋 仲町2-8
40.そば処 冨久屋 連雀町10-1
41.割烹 ふ久よし 久保町2-3
42.手打ちそばと天ぷら 松庵 菅間801
43.手打ちうどん・手打ちそば 松崎屋 連雀町24-6
44.日本料理 美鈴(みすず) 仲町5-2
45.手打ちうどん もみじ庵 砂新田74-6(高階小学校裏門前)
46.江戸前寿司 柳寿し 西小仙波町1-12-4
47.川越 藪蕎麦 小室2-10
48.とんかつ 楽天 仲町3-39

川越グルメ・洋食・中国料理・喫茶・のみ処
 レストラン・欧風・スペイン・中国・やきにく・イタリア・喫茶・バースナック・その他
49.サツマイモラガー 小江戸ブルワリー 大字福田59-1(城西高校入口下車)
50.スペイン料理 すぺいん亭 旭町3-25-25
51.陶舗 やまわ 幸町7-1
  .話処 陶路子(とろつこ)
52.中国料理 新喜乃(しんきの) 旭町2-17-47
53.焼肉レストラン 大昌園 菅原町21-13
54.シマノコーヒー 大正館 連雀町13-7(大正浪漫夢通り)
55.惣菜劇場たべものや 新富町2-27-12
56.元町珈琲店ちもと 元町2-3-12
57.イタリア料理 Figlia(フィリア) 新宿町1-18-9(第3MSビル2階)
58.カフェテラス ロッジ 野田町2-18-9
59.ダイニングバー (アール) 新富町1-2-4(ホンダ壱番館ビル5F)
60.洋風居酒屋 えすと 新富町1-18-8
61.レストラン&バー SεrSe(シェルシェ) 菅原町5-21(2F)
62.ダイニングバー シンプルサイモン 南通町16-5
63.スナック 瀬利奈 菅原町21-4

川越グルメ・集客施設
 大型店・ホテル・結婚式場・健康ランド・その他
《川越駅東口 アトレ 7階レストラン街》 脇田町105 → 最新情報は「アトレ川越」をご覧下さい。
64.イタリアンディナー 王様の台所
65.チャイナパーティー 花冠 川越アトレ店
66.フランスカジュアルレストラン グリル満天星
67.築地 玉寿司
68.うなぎ いちのや 六代目
69.とんかつ 登茂恵

70.川越健康ランド 健寿村 神明町16-3

川越第一ホテル》 菅原町7-34
71.海鮮処 光太夫(こうだゆう) (1階)

《ブライダルホール ラ・ボア・ラクテ》 脇田本町22-5
72.中国料理 桃林(とうりん)

73.結婚式場 氷川会館 宮下町2-11

ホテル三光》 新富町1-9-1
74.川越 湯遊ランド

川越プリンスホテル》 新富町1-22
75.ブッフェレストラン エトワール (9階)
76.中国料理 古稀殿(こきでん) (2階)
77.仏蘭西料理 ボーセジュール (9階)
78.和食 むさし野 (2階)

東武・川越マイン》 脇田町103
79.川越マイングルメ街
  .グリル双葉亭 (3F)
  .ザ・お好み焼きコミュニケーション (かい) (3F)
  .コーヒー&レストラン 日本橋ボンテ (3F)
  .喫茶飯店 香港 (3F)
  .釜飯、味処 都田川(つだがわ) (3F)
  .らあめん 妻有(つまり) (3F)
  .手打ちうどん・串焼き 讃岐路(さぬきじ) (3F)
  .喫茶室、銀座 ルノアール 川越店 (3F)
  .いつでもそこに マクドナルド 川越マイン店 (1F)

川越グルメ・物産・ギャラリーほか
 お菓子・お茶・そば・うどん・醤油・だんご・卵・物産・酒・藍染め体験・ギャラリー・その他
80.製造販売 井口甘納豆本舗 久保町12-4
81.天明三年創業 亀屋 仲町4
82.元祖芋菓子 亀屋栄泉 幸町5-6
83.川越菓匠 くらづくり本舗 久保町5-3(本社)
84.川越菓舗 道灌(どうかん) 郭町2-11-3(博物館前)
  .姉妹店 おさつ 元町1-15-3
85.麺老舗 舟運亭 戸田製麺 西小仙波町1-7-3
86.風味豊かな味と香り 松本醤油商店 仲町10-13
  .カフェ エサーゴノ
  .だんご 川野屋
  .ギャラリー 野守(のもり)
87.喜多院門前 紋蔵庵(もんぞうあん) 小仙波町1-19-1
88.味の店 いせや 連雀町13-6
89.こだわり菓房 稲葉屋 元町2-7-6
90.生菓子 右門 (時の鐘店) 幸町15-13
91.川越地鶏の卵生産直売 江田養鶏場 中老袋320
92.鏡山酒造 新富町1-10-1
93.菓匠 かとう 元町2-11-3
94.喜多院境内みやげ品店 小仙波町1-20-1
95.駄菓子と駄菓子の資料館 田中屋菓子屋横丁店 元町2-7-7
96.アメ菓子 玉力製菓(たまりきせいか) 元町2-7-7
97.小粋な郷土民芸品 つちかね 新富町1-5-4(中央通り商店街)
 この店のご主人は観光ガイドブック「小江戸川越」の著者で、川越の生き辞引として知られる人。
できたら川越の歴史や観光の見どころなどを聞いてみたいものだ。
98.いもせんべい (有)東洋堂 松江町2-6-9
99.蔵元直送地酒販店 星野清次郎商店 仲町2-4
100.沖縄物産・こだわり食材 真南風(まはえ) 仲町3-17(大正浪漫夢通り)
101.和守煎餅(みこもりせんべい) 連雀町15-1
102.元祖芋まん むろおか 元町2-9-1
103.創業蔓延元年の茶店 吉野園 新富町1-12-2
104.こんがり芋菓子 隆清堂 久保町3-17
105.藍染め・草木染め体験 桜庵(おうあん) 仲町5-2
106.藍・草木染・手織り ギャラリー蔵 幸町7-5(本の店太陽堂2階)
107.美術工芸ギャラリー 染悟空(せんごく) 新宿572-15(旭町郵便局ななめ前)

小江戸巡回バス小江戸バス

川越グルメマップ
トラベルガイド
 交通宿泊施設・ハイヤー・タクシー/川越歳時記

「そば・うどんの本埼玉 そば好きが選んだおいしい店幹書房 2001年 ★★
全県地図
そば好きが選んだおいしい店
 鎌倉(かまくら) 久保町6-6
 花万木(はなまき) 久保町7-4
 はすみ 小仙波町2-15-10
 手打ちそば百丈(ひゃくじょう) 元町1-1-15
 手打ちそば鈴や(すずや) 新宿町5-20-7
 昌平(しょうへい) 小室499
 桜庵(さくらあん) 的場930-2
 そば手打ち工房けんとう 鯨井658
 松庵(まつあん) 菅間801
そば・うどん用語辞典
手打ち基礎講座と教室案内
手打ち道具・そば道具
お蕎麦屋さんにおける自家製粉の現状

「たべあるき 埼玉県」 昭文社味シリーズ18 1989年 ★★
 新座・川越・越生・寄居周辺
 江戸から13里、小江戸≠ニもいわれる川越。時の鐘、蔵造りの建物が往時を偲ばせる。新座では古刹、越生は梅林、和紙の里小川町と見どころが多いエリア。味でもバリエーションに富んでいる。
 川越では次の12のお店が紹介されています。
 
 ・そば 寿庵 小仙波町1-2-11
 ・そば・うどん はすみ 小仙波町2-15-10 
 ・すき焼・フランス料理 吉寅 元町1-9-3
 ・うなぎ いちのや 松江町1-18-10
 ・うなぎ 小川藤(おがとう) 松江町2-3-1
 ・うなぎ 小川菊(おがぎく) 仲町3-22
 ・和菓子 亀屋 仲町4
 ・焼だんご だんご藤倉 久保町7-4
 ・日本料理 とねがわ 脇田町5-8
 ・日本料理 山屋 幸町11-2
 ・そば いせ清 幸町16-1
 ・いも菓子 芋十 松江町2-1-5

「埼玉いい味うまい店」 毎日新聞浦和支局+埼玉グルメ研究会 さきたま出版会 1999年 ★★
 川越・朝霞エリア

 ・地ビール 小江戸ブルワリー …「イモラガー」が評判
   川越市福田59の1
   営業時間/11時〜22時 定休日/第1・第3月曜
 ・喫茶・ケーキ カフェ・セジュール …良いものを安く
   川越市新富町2の1の4 山田ビル2階
   営業時間/8時〜22時半 定休日/無休
 ・タイ料理 ゲウチャイ …満喫できるタイ料理
   川越市脇田町9の3 Kスクエアビル5階
   営業時間/11時半〜14時半、17時半〜21時半 定休日/ビル休館日以外は無休
 ・鮮魚割烹 こまい …魚はイキのいいのが一番
   川越市脇田本町14の29 杉田ビル1階
   営業時間/11時半〜14時、17時〜23時 定休日/なし
 ・スペイン料理 西班牙市場(スペインいちば) …「世界一」のパエヤ
   川越市今成字月吉535の1
   営業時間/12時〜15時、17時〜23時半 定休日/月曜
 ・豆腐料理 とうふ処小江戸 …ヘルシー、女性に人気 
   川越市砂新田1の3の8
   営業時間/11時半〜14時、17時〜22時 定休日/月曜
 ・鮨 汐浜(しおはま) …魚への愛情とこだわり
   川越市新宿町3の15の15
   営業時間/12時〜14時、17時〜22時 定休日/日曜
 ・ギリシャ料理 タペルナ ヨルゴス …ダンスと音楽で異国情趣
   川越市南通町16の5
   営業時間/17時〜23時、ランチタイムは予約のみ(4人以上) 定休日/日曜
 ・懐石料理 はな甚(はなじん) …天然物を無駄なく工夫
   川越市新富町1の9の12 NSプラザ川越V
   営業時間/11時半〜14時半、17時半〜21時半 定休日/日曜、第3月曜
 ・洋食 MILKY WAVE …おいしいもの追求し続ける
   川越市志多町17の2
   営業時間/11時〜22時 定休日/月曜 駐車場10台
 ・家庭料理 えぷろん亭 …旬の素材、工夫し生かす
   川越市元町2の1の19
   営業時間/11時半〜14時半(売切次第)、予約受付 定休日/月曜、第1日曜
 ・焼き肉 東洋(とうよう) …家ではできない絶妙な味
   川越市今成538
   営業時間/15時〜翌1時 定休日/無休

地域の食文化
 ◆駄菓子/川越菓子屋横丁の手作りの技
 ◆川越イモ/農家庭先売りに残る伝統の味

「もっとソバ屋で憩う きっと満足123店 杉浦日向子とソ連編著 新潮文庫 2002年 ★★
うまい「ソバ」と「酒」(と「湯」)があれば、たとえ火のなか水のなか。行ってきました123店。北は北海道から、西は四国まで。東北上越信州関東はもちろん、たとえば名古屋の街なかも、ディープな香川のお遍路道も。『ソバ屋で憩う』が世に出て5年、いまやニッポン全国に広がった「ソ中(ソバ屋中毒)」の期待にお応えする、21世紀改訂版。

 旅先東≠ナ出会ったソバ屋
はすみ  埼玉・川越  ゆったり憩える川越の奥座敷

 蔵造りの町川越にもソバ屋は多く見かける。天台宗の寺院・喜多院の門前町を抜けしばらく進むと住宅街の一角に禅味(ぜんみ)・はすみがある。
 こぢんまりとした門と暖簾(のれん)、それに玄関に続く石臼を利用した踏み石、ここに来るとソバを食べるんだという気持になるのがうれしい。
 ソバ料理とあって、品数は豊富で、お酒は黒松白鹿や八海山等があり、山ふぐ、そば豆腐、煮こごり、からすみ、わらび、板わさ、茶わんむしと数多いつまみの中から鴨焼(かもやき)で一杯やることにする。料理が運ばれて来る間が楽しい。ふと目を外に移すと猫の額ほどの庭と巾(はば)の広い廊下を通して差し込む外光が柔かく、ほどよく座敷にとどき何んともその調和がいい。気持の和らぐ瞬間でもある。
 鉄皿の上でジュージューと音をたてた鴨焼は、タレの焦(こ)げた香が鼻をつく。厚めの肉四枚はボリュームがある。ほどよく酒が体になじんだ頃、再びしな書きに目を通す。ざるそば、変りそば、種そばの中から深山を注文してみる。これは、田舎ソバだが、最近の田舎ソバも食べやすくするために細く色も薄くなっているのが常だが、ここの深山は、太く、黒ずんでおり、なんともコシが強く、ソバの風味がおしよせて来る感じで、こんなにしっかりしたソバは久しぶりに出合った。さらに酒が進んでしまう。
 おせいろは、信州の川上産のソバを使用していると言う。細打ちのソバは、少々ダシの香が強いが、辛からず甘からず、そのつゆと薬味の辛味大根おろしとがうまく合って、ソバは、どこに入ってしまったのかわからないほど進んでしまう。 (相田)

 各お店の詳しい情報は、つぎのホームページを見て下さい。
 川越商工会議所のホームページ   川越インターネットモール

・日本酒
「日本の酒づくり」 篠田次郎 中公新書636 1981年 ★★
 副題…吟醸古酒の登場
  −「幻の日本酒」吟醸酒づくりの秘密を酒蔵の建築設計者が語る−
 巻末の「市販吟醸酒一覧」に、
  「限定鏡山」 鏡山酒造梶@埼玉県川越市新富町
 とあり、本文では、つぎのように紹介しています。
 吟醸酒の商品化は、古く、かつ新しい問題である。そして吟醸酒の古酒化は、これからの問題である。
 埼玉県川越市の「鏡山」の七年古酒にめぐり会ったことがある。この酒は、びん詰された小売店の倉庫に五年ほど眠っていたものである。店主のご好意で譲り受け、飲んだのである。 青の透明びんで、薄い包装紙につつまれての保存状態であったが、着色・濁りなどはなく、香りは少し老ね香があったが、吟醸香と調和し、味を引き立てる絶品であった。

「ほんものの名酒百選」 稲垣眞美 三一新書943 1983年 ★★
 ○鏡 山(かがみやま)            川越市新富町1-10-1 鏡山酒造

 『鏡山』は、むかしから小江戸≠ニいわれて、徳川家ゆかりのお寺なども多い川越のなかでも、古いのれんを誇る銘醸造の酒で、『小江戸』の銘をもつ。とくにその逸品ぶりに驚いたのは、やはり『特選街』誌(昭和五十六年二月)の各地方別予選を経た最後の日本酒日本一をきめる決勝コンテストで審査員をつとめたとき、この『鏡山』の一級酒に出会い、総点で十位であったが、全国から選り抜いた三百点あまりの純米酒や本醸造酒のなかで、普通酒でこのベストテンに進出したのはほかには『江田島』(広島)があっただけで、改めて『鏡山』の存在に注目したのだった。しかもこの決勝審査のとき、私は『鏡山』に色・香り、味とも満点を与え、「滋味、個性すぐれる」と評した。
 その後、同僚審査員の英文学者船戸英夫氏が川越住まいなので、いっしょに『鏡山』の蔵を訪ねた。西武新宿線の本川越駅のすぐ前のメインストリートの裏手にある。竹内孝也蔵元は東北大農芸化学出身の醸造のエキスパート。坂口謹一郎博士の「美酒依心」の色紙を座右に、四季折々の老若男女をよろこばせる楽しい酒をつくりたい、と語った。全国鑑評会にも『鏡山』の吟醸はいつも金賞に入る。その吟醸や特級酒を利き酒して、これらが前記の利き酒コンテストに出品されていたら、まちがいなくもっと上位に進出して日本一を『西の関・美吟』(大分)などと競ったであろうと思われた。
 山田忠一杜氏は新潟県中頚城出身。普通酒の原料米は高嶺錦にトドロキワセ、仕込み水は明治以降不変の水質を誇る自家の井戸水。なお吟醸古酒も秘蔵し、十年ものの「美酒依心」の銘の入った陶器入りを賞味したが、ほのかな色香。床しい風味、まさに名酒の鑑であった。

「現代の名酒二百選」 稲垣眞美 三一新書980 1986年 ★★
 関 東〔埼玉〕
 ○鏡山(かがみやま)、小江戸(こえど)                 川越市新富町1-10-1 鏡山酒造株式会社

 「鏡山」はむかしから小江戸といわれた埼玉県川越の酒である。川越はむしろ江戸よりも歴史的には古くから開けたところである。太田道灌が開いた霞ヶ関という関所に由来する地名も、まず川越にできたぐらいだ。
 「鏡山」はその歴史と文化を育てた川越にふさわしい名酒である。川越の郊外には荒川の上流に当る入間川が流れ、喜多院などの名刹 (めいさつ)のある市内には、元の城跡をめぐる堀割の新河岸川が流れて、秩父連峰からの清冽な地下水が井戸から湧き出た。その水よき里に「鏡山」は明治初年の創業以来百十余年、代代酒づくりに理解の深い蔵元が、関東、東京はおろか全国に誇る酒質を育ててきた。とくに現在の竹内孝也蔵元は東北大で醸造を学んだエキスパートで、全国新酒鑑評会でも幾度となく金賞に輝いている。
 五年、十年秘蔵した吟醸酒も、それぞれの年度の微妙な風味のちがいを蔵して楽しい。「美酒依心」と坂口謹一郎博士が銘うった「小江戸」は、その「鏡山」の秘蔵古酒の酒名である。
 ※今日、鏡山酒造の前を通りましたが、店の商品は全て撤去されていました(2000/11/11)。
 ※張り紙によると、同社は平成12年9月30日をもって廃業したそうです(2000/12/9)。

「コンサイス日本人名事典改訂版 三省堂編修所 三省堂 1990年
 坂口謹一郎(さかぐち きんいちろう)
1897〜  (明治30〜  )昭和期の化学者。
(生)新潟県。(学)東大。

・ビール
「全国[地ビール]大全」 嵐山光三郎/編 光文社知恵の森文庫 1996年 ★★
 「これからは地ビールの時代だ!」酒税法改正で続々誕生した「地ビール」。北海道から九州・沖縄まで、一挙に五十を超える新銘柄が登場し、さらに新規参入も続く。全国各地のご当地ビールの個性あふれる「のどごし」「切れ味」を飲み比べ、飲める店、入手法も徹底ガイド。食の達人・嵐山光三郎とともに気になる地ビールをとことん楽しむ案内書。
 ・小江戸蔵の街
 特産農産物が副原料の新しいビール。蔵の街・川越生まれの地発泡酒
 ◆なぜ地ビールを造ったか―歴史と由来
 埼玉・川越は、舟運により江戸の台所として栄えた町。今でも蔵造りの古いたたずまいが数多く残り、小江戸≠フ風情を漂わせている。そんな市街を抜け、特産のサツマイモ畑が広々と続く中に小江戸ブルワリーはある。運営するのは地元で有機農産物の販売を手掛ける協同商事。地域復興のパワー源になればと、なんと川越名産のサツマイモを使ったサツマイモラガーを商品化している。ネーミングも地元川越にちなんで「小江戸蔵の街」。
 このサツマイモラガー、厳選した麦とホップを主原料に神泉の湧水で仕込むが、副原料にサツマイモを使うため、酒税法上はビールではなく発泡酒。発泡酒と聞けばビールより格下という印象があるが、ビール≠ニいう名前のステイタスにこだわるより、地元産農産物の持つ豊かな特性を引き出した地域性と季節感のある新しい飲み物を造ることがここのモットーだ。
 発泡酒はビールに比べ材料などに制限が少なく特色が出しやすいうえ、ビールより酒税が安いため、安く提供できるのもメリット。限りなくこれまでのビールに近づけるのではなく、ビールじゃない地発泡酒という新しい醸造文化の確立を目指す。サツマイモのほか、有機栽培によるリンゴを使ったものもあり、さらに今後はイチゴ、ハーブ、ニンジンなどラインナップも多彩に、地発泡酒の世界をさらに広げていく予定だ。
 ◆どんな種類と特徴がある?
 基本は「ペイルラガー」「ピルスナー」「ラガー」「ビター」「スタウト」の5種類。プラス、ラガーに焼いて皮を剥いたサツマイモを入れた「サツマイモラガー」、ペイルラガーにリンゴを入れた「リンゴペイルラガー」などが楽しめる。ペイルラガーはすっきりした喉ごし。ピルスナーはホップの爽やかな香りと苦み、キレのあるすっきりとした味わい。ラガーはすっきりした飲み口にコクをプラス。ビターは焙煎した麦芽を使った香ばしい香りと深いコクが楽しめる大人の発泡酒。濃褐色の色合いのスタウトは重厚で深みのある飲み応え。麦汁の風味をダイレクトに楽しめる。また、熱処理やろ過をしないで酵母を生かしているのも自慢の一つ。豊かなコクとフレッシュで爽やかな味わいが楽しめ、体調を整える作用があるといわれる酵母がいっしょに飲めるからヘルシーというわけだ。
 ◆飲んでみたら
 焼きイモ入りのビールとはどんな味がするのだろうかと飲む前から興味津々。サツマイモラガーを試したが、色は黄金色、泡も生き生きとしており、たしかにほんのりと焼きイモっぽい香りもする。口に含むとこれがビール? と思うほどの甘みがあるのにおどろき。さらに、意外とさっぱりとした飲み口でまろやかな舌触りとくれば、一番人気があるというのもうなずける。飲み飽きせず、たくさん飲めそうな気がした。特に女性におすすめだ。また、リンゴを副原料にしたリンゴペイルラガーもさっぱりした飲み口。
 ◆飲めるところと買い方
 「小江戸ブルワリー・川越」は発泡酒の醸造ラインと、パブレストランが一体化した設計。タンクからダイレクトにグラスに注ぎ、酵母が生きるできたてのおいしさをその場で楽しめる。食事のメニューはドイツ人シェフの作る本格的なドイツ家庭料理。ジャーマンポテトやポテトグラタン、無添加のハム・ソーセージの盛り合わせなど、どれも「小江戸蔵の街」との相性は抜群! ビールはブルワリーで販売もしているので、お土産にして家庭で楽しむこともできる。ブルワリー以外では川越市内の丸広百貨店、京王百貨店新宿店でも取り扱っている。

 KOEDO BREWERY


食生活
「聞き書 埼玉の食事」 「日本の食生活全集 埼玉」編集委員会/編 (社)農山漁村文化協会 1992年 ★★
 川越商家の食
  ――蔵造りの街の折り目正しい暮らしと小江戸の味
T 四季の食生活
 1 冬――町内頭が仕切る商人町の門松の軒ぞろえ
 (1)寒い夜は家族も店の者も煮こみうどん――日常の食生活
  朝――麦入りごはん、大根のおみおつけ、納豆、おこうこ
  昼――朝のごはん、つくだ煮、たくあん、あり合わせのもの
  お三時――おやき、あんこ玉、蒸し羊かん
  夜――煮こみうどん
 (2)待ちどおしい恵比寿講のお膳――晴れ食・行事食
  酉の市 恵比寿講 冬至 大みそか 正月 初荷 大師さま 水天宮さま 七草がゆ 蔵開き 小豆がゆ
 2 春――ぼんぼりの灯がゆれる月遅れのひな祭り
 (1)御用聞きが運ぶ春の野菜と魚――日常の食生活
  朝――麦入りごはん、しじみのおみおつけ、生卵、おこうこ
  昼――朝のごはん、目刺し、うのはな、つくだ煮、しらす干しと大根おろし
  お三時――だんご、あめ、玄米パン
  夜――麦入りごはん、さばの煮つけ、ふきの煮もの、うどの吸いもの
 (2)彼岸のおはぎは町内頭がお配り――晴れ食・行事食
  節分 甲子 彼岸 ひな祭り 雪塚さま大祭 お花見 遠足 一萬度 端午の節句
 3 夏――土蔵造りを吹き抜ける風に客もほっとする
 (1)買い食いを許さず、衛生に気をつける――日常の食生活
  朝――麦入りごはん、にらのおみおつけ、おこうこ
  昼――そうめん、てんぷら、おこうこ
  お三時――すいか、まくわうり、栗まんじゅう
  夜――麦入りごはん、冷ややっこ、かぼちゃの煮もの、こんにゃくのおかか煮、卵とじのお吸いもの
 (2)お盆さまには折り目ただしく三度の膳を供える――晴れ食・行事食
  初山 天王さま 土用の丑の日 弱い組 七夕 お盆さま 
 4 秋――おそろいの祭り衣装で山車を引く
 (1)お三時にはふかしたての本場のおさつ――日常の食生活
  朝――麦入りごはん、里芋と大根のおみおつけ、白菜のおこうこ
  昼――朝のごはん、コロッケ、きゅうりとなすのおこうこ
  学校のお弁当――のりごはん、卵焼き、梅干し、ゆうべのおかず
  お三時――どんどん焼き、蒸しさつまいも
  夜――麦入りごはん、さんまの塩焼き、ゆず味噌でんがく、お吸いもの
  お客さまのもてなし――カツレツ、口取り、割烹料理、すし、天どん、そば、うな重
 (2)十五夜は、だんごに果物、丸いものを供える――晴れ食・行事食
  お月見 氷川神社の大祭 
U 川越商家の日常と晴れの食べもの
 1 商家の基本食とその料理
 (1)利用のしくみ
 (2)日常食とお三時
   麦入りごはん おじや おかゆ 混ぜごはん、きがらちゃ 栗ごはん そうめん きつねうどん、ひきずり出し どんどん焼き 蒸しさつまいも 大学いも 茶巾しぼり
 (3)晴れの日の料理
   五目ずし おいなりさん おはぎ お赤飯 あかのごはん、小豆がゆ
 2 購入する季節素材とその料理
 (1)青物利用のしくみ
 (2)青物の食べ方
   きゃらぶき うどの酢のもの、煮もの なすのしぎ焼き ふろふき大根 里芋の味噌でんがく とろろ汁 けんちん汁
 (3)海産物利用のしくみ
 (4)魚貝類の食べ方
   とびうおの塩焼き 初がつおの刺身 さんまの塩焼き いわしの酢漬 たにしの煮つけ どじょうの柳川 どじょう汁
 (5)木の実、果物など
 3 伝承される味いろいろ
 (1)味覚を支えるもの――味噌
 (2)漬物――ぬかみそ漬 たくあん 白菜漬 京菜の塩漬 梅干し らっきょう漬 なすの塩漬
V 川越の街の成り立ちと商家
 (1)「まちかん刃物店」の歴史
 (2)火災から守る土蔵造りの店と奥蔵
 (3)商家の慣習とおかみさんの役割
 (4)江戸の文化を受け継ぐ川越の風土

「日本の朝ごはん」 向笠千恵子 新潮文庫 1998年 ★★
 一日のはじまり、朝ごはんを、あなたはどんなふうに摂っていますか?北は北海道の酪農農家の牛乳豆腐から、南は沖縄のホテルの長寿食まで、全国の朝ごはん上手、自慢の20膳。たかが朝食、されど…気にかかりながらおろそかにしてきた人も、こだわってちょっぴり自信もあるからなおさら気になる人も、覗いてみませんか、人生を大切に生きる気持がひしひし伝わる、心意気の朝の工夫を。
 東京の朝ごはん 自宅にて
 ――都会の目覚めは十人十色
     (前略)
 小竿さんの恵まれた朝食は、職住近接だからできるのかもしれない。でも、ラッシュにもまれるサラリーマン、とりわけ朝の早い遠距離通勤の人はどうなのだろう。ハウス食品特販部の加藤政義さんの場合、日本橋の会社と埼玉県川越市の自宅間は35キロ。8時50分の始業だから朝食はなんと6時だった。妻子は寝かせたままのセルフサービスである。
 川越市の新興住宅地。はや明かりのついた家がいくつもある。マイホームの前で加藤さんは体操中だった。夏は4時半、冬は5時起床で、朝一番のストレッチ体操は、都内通勤で早起き揃いの近所でも有名になっている。
 二階では奥さんと一男三女が布団の中。この習慣は3年前に引っ越してきてからで、年子を出産したばかりの妻をいたわった結果である。といっても、前夜のうちに支度を完璧にしてくれる奥さんに不満はないし、もともと朝には強いから、ひとりだけの早起きも平気である。
 常連献立は自家製いかの塩辛、ひじきの煮物、きんぴらなどの常備菜。ごはん。味噌汁。漬物。ごはんは電気釜にセットしてあるし、味噌汁も鍋にだし汁、具、味噌が入っている。
 ごはんはたっぷりよそう。大のお米好きで、出張先でも地元米を味わうため和風朝食にしているぐらいだが、家では北海道産きらら397。「6人家族で月に15キロは食べるから、安くおいしいお米は家計上も大歓迎」と言い切った。
 続いてわかめと豆腐の味噌汁を注ぎ、塩辛、切り干し大根の煮物、白菜漬けを並べる。テーブルにセットしたら6時。朝刊に視線を向けたまま、箸をてきぱき行き来させる。
 朝ごはんは加藤さんの好みのものばかり。味噌はデパートの物産展で購入した仙台味噌だし、塩辛は週末に甘塩に漬け込んだもの。白菜は庭の菜園製。ほかに大根、にんじん、春菊、キャベツも作っており、汁の実にサラダにと毎朝重宝している。切り干し大根は名古屋の実家から届いた。ひとりぼっちの食卓だって、おとうさんは好物を食べて英気を養っているぞ――そんな満足感が表情にあった。
 6時20分に出発。東武東上線霞ヶ関駅までは約2キロ、バス路線がないので朝晩は自転車が頼り。途中、同様な自転車が集まってきて、闇の一本道を駅へと驀進(ばくしん)する。すきっ腹ではこの耐久レースはとてものりきれまい。
 駐輪場に愛車を入れ、改札に着くとホームはささやかながら人波。数えると35人であった。次の川越市駅で始発に乗換える。うまく座れた。窓が白んでくる。これからの55分間が、年間60冊目標の読書タイムである。
 池袋から山手線。神田駅の改札を出ると、立ち食いそばやスタンドカレーから強烈な匂い。わたしは思わず足が止まってしまった。ぺこぺこのところに、醤油やカレーの香りが手招きすれば、朝からでもそばやカレーを食べてしまう……。元気に外食しているサラリーマンの心模様に、わたしは思いをはせた。
 だが、自前朝食で満ち足りている加藤さんには無用の匂い。地下鉄で三越前までひと駅乗車。会社までちょうど2時間だった。

「日本の「伝統」食 本物の食材に出会う旅 森枝卓士 角川SSC新書 2008年 ★★
 人が生きていく上で、もっとも大事なものであるはずの食。その食がアヤシイ。賞味期限の改ざん、表示の偽装、農薬や肥料、遺伝子組み換え……。毎日、口にするものは自分の手で守る時代なのか? 私たちが日々、口にする味噌、醤油などの調味料から豆腐や漬け物のような食品まで、真っ当なものを探して、全国を歩き……。まだまだ真っ当な食べ物は探せば、あります。食べられます。
 
 豆腐   埼玉県川越市
     (前略)
 和田さんと二人で、小野食品を訪ねた。和田さんは何度となく訪れている、しかし、同じく食のプロとしては、仕事の邪魔はしたくないので、意図して豆腐作りの時間は遠慮していたのだとか。こちらは、そういう訳にもいかない。作るところを見せてもらわねば。だから、和田さんもちょうど良い、見てみたいと一緒に行ったのだ。
 いやはや。
 豆腐のイメージが強烈だったもので、どんなところにあるのかと思ったら、川越も市内。住宅地である。川越とはいっても、郊外の人里離れた、清流の脇あたりで作っているものかと勝手に思ったのだけど。
 その住宅兼店兼工場は、こじゃれた建物ながら、中を覗くと、まあ、どこにでもあるふつうの豆腐屋である。見たような機械が並んでいるということだ。古い道具があるわけでも(シャレで作ったという木樽はあったが)、最新鋭の特別なものがあるわけでもない。
 挨拶もそこそこに、小野哲郎さんに豆腐作りを見せてもらう。大柄でしっかりとした体格ながら、人の良さが表情に出ているような小野さんは、一つ一つ丁寧に説明しながら、そのプロセスを見せてくれた。
 使う大豆は信州の中千成などだが、ブレンドはしない。それぞれの大豆で相性が良いものを作る。国産でなくても、豆腐に合う大豆もあることを認めるには吝(やぶさ)かではないが、まあ、氏素性がはっきりしているものを、ということで、国産を使うという。
 季節によって時間は異なるが、前日から水に浸けてある大豆をセラミックの臼で潰す。これも石が良いとかいう話もあるが、それだと時間がかかりすぎ、その間に変質する恐れもあるから、ちょうど良いのはセラミックだという判断だとか。
 すり潰された大豆はそのまま圧力釜に入っていく仕掛け。水分量を作るものによって合わせる。圧力釜の温度も、作るものによって異なる。
 炊き上がると、これまた自動的にオカラと豆乳に分かれて出てくる。まあ。このあたりは今ではふつうの、どこにでもあるもの。
 で、出てきた温かい豆乳にニガリ(これはあれこれブレンドしたあるのだとか。これも、あれこれ試しての結果ということらしい)を投入。そして、一混ぜ。
 これでそのまま置くと、小一時間で豆腐になっている。それをザルに入れ、布で包み、それから奥さんにバトンタッチすると、彼女はビニール袋に詰めて、冷水に放り込む。これで、出来上がり……。
     (後略)
 
 ・小野食品
 〒350−0034 埼玉県川越市仙波町2−7−23
 営業時間/9時〜18時 定休日/日曜

「江戸歌舞伎役者の<食乱>日記」 赤坂治績 新潮新書 2011年 ★★
第一章 山の幸
 焼き竹の子――首と引き換えの美味しさ
 文政三(1820)年五月、中村仲蔵など、子どもたちだけで一座を組み、武州(埼玉県)川越在の寺で『忠臣蔵』を上演した。
 楽屋入りするため、本堂の傍を通ると、見事な竹の子(筍・笋)が生えていた。仲蔵たち悪童はそれを盗って宿に帰ってから他の子どもに見せびらかした。それを見ていた宿の主人は「殿様に献上する竹の子だから、盗ったのがわかれば、討ち首か遠島だ」。仲蔵たちは震えあがって不安な夜を過した。
 朝まで何の沙汰もなかったから、「もう安心して良いですか?」と宿の主人に確認すると、「大丈夫だろう。ところで、竹の子はどうする」と聞いてくる。「怖いので、捨てます」と仲蔵が答えると主人は、「もったいない。私が料理してあげよう」という。
 主人は、「筍を土の着いたまま、皮毎に庖丁にて真二つに割り、玉子を十四五、大丼へわり、掻きまはして味をつけ、その玉子を割りたる筍へつぎ込みて、もとの通りに合はせて、その上を荒縄にてグルグル巻いて、穂のところを握り、根元を囲炉裏のぬくばひ(熱い灰)の中へ突っ込む。縄も皮も焦げるに随って、中がよい塩梅に焼けて能い時分、灰の中より出し、皮をむいてポッポと湯気のたつのを、小口から切って『サアサア食べてみなさい』」と食べさせてくれたという。
 その味は「何に譬へんものもなく、穂先のところなどは綿のやう」だったという。仲蔵たちが「このような美味いものは食べたことがない」と言うと、主人はいわく「そりゃそうだ。首と引き換えの竹の子だもの」。
 主人は大袈裟なことを言って子どもの悪戯を咎めたのである。

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作成:川越原人  更新:2015/9/1