海風通信 after season...

久留和の紫月




『へちま流し』の始まる直前の、静けさに包まれた久留和漁港の夜。
 北の大崩れと同様に、ここもよく藤色に染められた光景を目にすることがあります。撮影時には薄い雲に覆われつつも、この日は満月。ひときわ強い光が空の青と雲の白を妖しく染め上げ、不思議タイムの発生しそうな雰囲気は充分です。しかしながら、なかなか「すーちゃん」のようにはいかないものですね。当たり前ですが何事も起きることなく、ただただ静かな時間だけが過ぎてゆくのでした。
 …あっ、でも『へちま流し』の行事を事前に知ることなく、偶然ここに居合わせたとしたら、それはそれでかなりの不思議展開となったでしょうね。
 なにせこれより数十分後、大量にへちまを載せた1台の軽トラが横づけされ、漁船へと怪しげに運び込まれてゆくのですから…。
(2017年10月04日撮影)