職員のお気に入りの絵本を紹介していきます。
クラスの子どもたちに読み聞かせた時の反応や、 自分が子どもの時に読んだ(読んでもらった)時のエピソード、 是非おすすめのこの一冊等々、連載したものです。
このお話は、私が小さい頃に読んでもらった記憶の深いお話です。
主人公の「ぶたぶたくん」は、ある日お母さんに頼まれて、ひとりでお使いに行きます。パン屋さん、やおやさん、そして自分の好きなものを買ってもいいといわれたお菓子屋さんにも行きます。
ぶたぶたくん、という名前は、本当は違う名前だったのに、いつもぶたぶたくんが歩くときもそうでないときも、ぶたぶた ぶたぶた っという癖があったのでいつの間にか、みんなが ぶたぶたくん と呼ぶようになり、お母さんまで自分がつけた名前を忘れて ぶたぶたくん と呼ぶので、ほかの名前はなくなってしまったらしいのです。
こーんなのんびりしたお家に育った、おっとりさんの、ぶたぶたくんが、でも本当はちょっとどきどきしながら、自分で自分を励ましながら?ずんずん歩いていく様子が大好きです。お母さんに結んでもらった黄色のリボンも、きっと、ぶたぶたくんに勇気をくれていたと思います。
ぶたぶたくんがお買いものに行って出会う、いつものパン屋のおじさんも、いきなり出てきてぺらぺらすごい勢いの、八百屋の早口お姉さんも、お菓子屋さんの、ゆっくり ゆ っ く り ゆ っ く りおばさんも、きっと、ぶたぶた君にとってはどんなに新鮮で、ドッキドキの大冒険を感じさせたことでしょう。八百屋でであった、からすのかあこちゃんとは、旅は道づれの心強さを感じつつ、お菓子屋でであった、おおきなくまの こぐまくんとのやりとりは、ぶたぶたくんの必死な冒険の心中が感じられるのです。
そしてこのお話で一番大好きなシーンは、かあこちゃんと、こぐまくんにおしえてもらった道、ほんとうにこっちに行けば僕のおうちに行くのかな~・・と最後までどきどきして進む道の向こうに、見覚えのある木があってお母さんみたいな人があちこちを見ている場面。そうです!それこそ、お母さんが待っていてくれたのです。ぶたぶた君はそれがお母さんとわかるや否やおもいっきり駆け寄っていっておかあさんにかじりついて言います。「ぶたぶた。ぼく ひとりでおかいもの できたよ」