職員のお気に入りの絵本を紹介していきます。
クラスの子どもたちに読み聞かせた時の反応や、 自分が子どもの時に読んだ(読んでもらった)時のエピソード、 是非おすすめのこの一冊等々、連載したものです。
この絵本は、物語の絵本ではなく“ことば”の絵本です。見開きに1つずつ詩が入っていて、11のおはなしからなっています。“ことば”の楽しさ、おもしろさ、不思議さ、心地よさを満喫できる本です。
この本は、2歳~3歳児向きの本なのですが、なぜか? というと、その年齢の子どもたちを引きつけるものや、言葉が、その詩の中にたくさん出てくるのです。文章の始めが「め」「みみ」「くち」で始まったり、動物や食べ物の名前が出てきたり。「ぼたん」「あめ」に日常を結びつけ、広がる言葉くんたち。そして「せっけんさん」が主人公のお風呂の場面は、ついくちずさみたくなります。そんなおはなしにピッタリなのは2~3歳児ですが、4~5歳児なら、もっと言葉や内容を理解して楽しむことができるでしょう。でも、もしかしたら、言葉の楽しさ、心地よさを考えられるのは、むしろ、大人の方かもしれません。
私は、2歳児クラスのお昼寝やおやつの前など、ちょっとした時間によく読みました。子どもたちはとても静かに聞いてくれます。言葉をしっかりきいています。理解するというより、言葉のひびきに引きつけられるようです。わらべ歌のように、スーっと体と心に入ってくるお話です。よくわからなくっても、なんか楽しくて心地よいのです。だから、この本に関しては、絵も見ているけど、読み手の顔や表情、口元をよく見ています。たくさんの子どもたちを前にして読むとき、熱い視線を感じ、声の出し方、文章の間、ページのめくり方を緊張しつつも、言葉での一体感、その空気がなんともいえず心地よくて、また読みたくなるのです。
いろいろ解説してしまいましたが、大人が読んでも楽しい、文章がよくできていると、妙に感じてしまいます。子どもが読むと、世界を共有できます。お父さん、お母さんの声で、読み方で、是非読んであげて欲しい一冊です。