老津神社例祭(19.10.05) 豊橋市老津町
拝殿前での拝礼、前傾、後傾を3度繰り返す。 |
拝殿前での拝礼、前傾、後傾を3度繰り返す。 |
小太鼓2名の位置替へ、3人一列、拝殿前で。鳥居にワカイシュー(若い衆)。 |
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大太鼓が小太鼓の間を抜ける。拝殿前で。 |
豊橋市老津町は豊川から離れてゐる。他の笹踊りが豊川流域といへる位置にあるのに対し、ここだけはさう言ひが難い。老津に笹踊りが伝はつたのは昭和の初
め、吉田神社からであるといふ。今は食肉検査場になつてゐる、三河湾に面した地にあつた天王社の縁によるものと思はれる。それらを合祀して現在の老津神社
はある。笹踊りの伝承としては最も新しい。昭和といふのはここと大村だけである。
老津の踊りはきびきびした踊りである。先の天王社は江戸期から花火まつりで有名であつた。「天王と申するは日本一の荒神だ」と始まる笹踊り歌からして、
リズムだけの荒々しい歌である。しかし、踊りの中心と思はれる大太鼓が小太鼓の間を通り抜ける所作の前に、小太鼓2名がその左右の位置を入れ
換へる所作があるのは吉田神社と同じである。この点でも、老津と吉田神社の関はりがうかがはれる。ただし、老津では抜けた大太鼓を笹持ちが受けるといふ
「所作」がある。また、開始以前に、前傾後傾を三度繰り返す拝礼がある。拝殿前では、最初に極小型の手筒煙火、ヨーカン煙火を出す。また、小太鼓が前傾し
て大太鼓の前で斜めに行き合ふ(?)といふ所作がある。こ
れらの所作は他のどの地区にも見られない。更に言へば、老津の太鼓は3人とも同じ大きさである。他の地区ならば小太鼓であらうか。それを傘の違ひで区別し
てゐる。
衣裳も金襴ではなく木綿である。老津ではオメン(お面)と言つてゐる顔を隠す赤い布、写真では分からないが、この口の部分が空いてゐる。更に言へば、ワカ
イシュー(若い衆)は揉み合ひながら笹踊り歌を歌ふ。このやうに、吉田神社に似て非なる(と言つては言ひ過ぎか)笹踊りが老津なのである。町と田舎といふ
地域性に基づく差異であらうか。
豊津神社例祭(18.10.20)豊川市豊津町
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