杉の子保育園

園便り

Home > 園便り > ~連載シリーズ~ > おおきいなかま、あつまれ~! > おおきいなかま2015年 > 5月号

おおきいなかま、あつまれ~!

 保育者と父母を結ぶ雑誌「ちいさいなかま」の紹介をします。
 「ちいさいなかま」を読んで感じたこと、思うことを伝えたい! そんな気持ちをお届けする連載です。

2015年5月号
2015年5月号

 こいのぼりが、気持ちよさそうに泳いでいますね。子ども達も外でたくさん遊んでいます。門の外の桜の木にサクランボがなっていたり、葉っぱの影にたくさんだんご虫が隠れていたり、きっとちょうちょになるであろう?青虫がたくさんいて子ども達の目が輝いています。これから始まる5月が楽しみです。
 ゴールデンウィークでは、楽しい休日を過ごされたと思います。みなさん、「ちいさいなかま」の5月号は読まれましたか?4月からたくさんの新しい連載が始まっていて、同じ雑誌なのに違う雑誌を読んでいるような感覚になりました。
 今回の5月号の特集は『子どもが「イヤ!」と言った時』です。私は、昨年れんげ組(1歳児)を担当し、14人中11人が新入園児というクラスでした。初めて保育園と出会い、仕事と子育ての両立、1歳児のイヤイヤも始まって、朝夕の忙しい時間に「いやいや」を行って困らせる姿もたくさん見てきました。また「野菜を食べてくれません。」「自転車に乗ってくれません。」「眠ってくれません。」など初めての子育てで、本当に大丈夫だろうかと悩まれる姿をたくさん見てきました。そんな時、必ず伝えた言葉があります。「大丈夫! 大丈夫! ちゃんと大きくなっていきます。今は難しくても、あきらめなければ必ず大丈夫になりますよ。」と。そう声をかけるには、前年度に年長児を担任したことが大きく影響しています。小さい頃、泣いてばかりだった子、食べるのが苦手だった子達が大きくなって、ちゃんと自分の気持ちを話したり、何でも食べる姿、乗り越えていった姿をみたからです。子ども達の成長って、すごいんです。それもお、お父さんお母さんの努力と保育園生活で培っていったものだと思っています。
 また、特集の中の保護者のページでは、年齢ごとの「イヤイヤ」エピソードと対処法も書かれていて、本当にそうだなあと思うことがたくさんでした。
 先日、3歳以上児クラスの延長保育の時の出来事ですが、次のような「イヤイヤ」の姿に出会いました。お母さんが迎えに来てから、激しく泣き出してしまったのです。「だっこ~」と泣く子、それを優しく見守る兄弟の子。お迎え前までは、何事もなく遊んでいたのですが、とにかく大泣きです。しばらく様子を見ていたのですが、なかなか泣きやめません。そして、お母さんの言葉が聞こえてきます。「ちゃんと涙を止めて話してごらん。抱っこしてはわかったよ。言葉で言ってごらん。」と。その子もすごく疲れていたのでしょう。なかなか泣きやめませんでした。私はタイミングをみて声をかけました。実は、その子も気持ちを切り替えたかったのだと思います。涙が少し止まりました。そして立ち上がって帰っていきました。
 私は、そのお母さんがその子の1~3歳のころ「イヤイヤ」に向き合って、困っていらっしゃった姿を知っています。お母さんも仕事帰りで疲れているはず、上手くごまかして帰ってしまえばきっと簡単なのに、そのお母さんはその子にしっかりと向き合われたのです。私は、そのお母さんの対応に深い愛を感じました。そして、子どもと向き合っているお母さんも見ながら、私達保育士も見守りながらも手助けをしたいと思いました。
 今回の特集の中に、「子どもの“いや”は大人への信頼」という発達について書いてあるページもあります。その中に「わがままをのりこえるというのは、子どもの自分の要求を引っこめるということではなく、周囲の状況に目をむけ、状況認識をくぐり抜けたうえに自分の要求を実現する方法を探れるようにすることではないでしょうか」と神田英雄先生が書いています。つまり大人が「~したかったんだね」と言葉に出して受けとめる事、その後に、子どものがまわりの状況に目を向けて、心の余裕を取り戻せるように、あの手この手を繰り出す事、でもそれが難しいことで、かなりの時間がかかります。そんな時は、保育士にも頼ってみてください!一緒に子どものイヤイヤに向き合っていきましょう。