20 石川門 兼六園(金沢市) 合掌造り集落(富山県相倉) 敦賀(福井県)


・平成27年2月9日(月) 石川門

 東京駅6時26分発の「ひかり501号」に乗る。米原駅に8時48分に着く予定であったが、雪のために徐行運転になり、約7分遅れで着いた。米原駅で乗り換える北陸本線「しらさぎ1号」は発車を待ってくれていた。
 「しらさぎ1号」も雪のために徐行運転になり、金沢駅に10時49分に着くところ、約30分遅れで着いた。金沢は吹雪になっていた。

 金沢駅で降りるのは10年ぶりである。
 奥の細道を歩いていたとき、金沢は、平成16年8月16日から翌17年12月23日まで何度も訪れた
「奥の細道旅日記」目次22同24同25同26同27同28参照)。

 金沢駅に着くときはいつも昼近くだった。そこで駅前の金沢全日空ホテルでランチバイキングの食事をしていた。
 今日も、以前のように、金沢全日空ホテルでランチバイキングの食事をする。
 能登牛と能登豚の合挽きハンバーグ、加賀蓮根入りキッシュ、絹ごし豆腐に金沢春菊のビューレをかけたものなどおいしいものが沢山ある。オムライスを注文してから作ってくれる。
 デザートも充実していた。抹茶のゼリーがおいしい。

 吹雪は止みそうにないが、駅前からバスに乗る。停留所「兼六園下」で降りる。急な紺屋坂を滑らないように気をつけて上がる。

 特別名勝・兼六園に入る。雪吊りを見たくて来た。
 雪吊りは、雪が積もって枝が折れないように、幹に沿って立てた支柱の先端から放射状に垂らした縄で枝を吊る。しかし、激しく降る雪のために、雪吊りは、ぼんやりと霞んで見えるだけである。
 今日は諦めて明日また出直そうと思って兼六園を出た。ところが、雪が小降りになって、一時雪が止んだ。

 兼六園を出てすぐの蓮池門通りから正面に石川門が見えた。
 石川門は、天明8年(1788年)建立。金沢城の遺構である。国重要文化財に指定されている。


金沢城 石川門


 紺屋坂に沿った、雪が積もった石段を滑らないように気をつけて降りる。バスに乗り駅に戻る。

 駅前広場に高さ13、7mの巨大な門が立っている。門柱の形状から鼓門(つづみもん)と名付けられている。金沢は、藩政の時代から能楽の宝生流(ほうしょうりゅう)の盛んな所である。


鼓門


 門に垂れ幕が下がっている。垂れ幕には、「新幹線が春を連れて、やってくる。」と書いてある。
 3月14日のダイヤ改正により北陸新幹線が開業する。東京駅と金沢駅が直通で結ばれ、最速2時間28分になり、これまでと比べて最大83分短縮する。
 金沢は年間を通して観光客が多いから、これからももっと賑やかになるだろう。

 金沢駅から高岡駅まで北陸本線下りの電車に乗る。高岡駅までは約40分だが、雪の影響で徐行運転を繰り返したり、途中、停車したりして1時間10分程かかって高岡駅に着いた。

 高岡も、奥の細道を歩いていたとき、平成16年3月21日から翌17年5月5日まで何度も訪れた(「奥の細道旅日記」目次21同22同23同25参照)。
 宿泊は、いつも
ホテルニューオータニ高岡だった。今回もホテルニューオータニ高岡を3泊予約している。食事がおいしいので楽しみである。

 駅のホームに降りて改札口へ向かっていたとき、初めての駅に降りたような気がした。ホームを除いて駅の建物が全部建て替えられたように感じた。
 観光案内所で、高岡駅が変わりましたね、と話したら、3年前に大規模な改築がありました、というお話だった。
 
駅前も大きく変わっていて、見知らぬ場所に降り立った気がした。

 深い雪やぬかるみに足を取られながら、滑らないようにゆっくりと歩いてホテルニューオータニ高岡に着いた。
 繁忙期でないからか、楽しみにしていたディナーバイキングはやってなかった。


・同年2月10日(火) 兼六園

 ホテルでバイキングの朝食を摂る。以前と変わらない豪華な内容だった。
 富山県の珍味の「イカの黒作り」、「ほたるいかの沖漬け」がある。富山県特産の「昆布巻きかまぼこ」もおいしい。
 ホテルニューオータニ高岡も「ますの寿し」を製造販売している。その「ますの寿し」が器に盛られている。「ますの寿し」は時々食べるが、やはりおいしいな、と思う。

 おいしいものを腹いっぱい食べてホテルを出る。

 大阪駅と札幌駅を結ぶ豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス」3月12日に廃止される。
 平成元年7月21日に運行を開始し、爾来25年余り走り続け、最終日まで残り約1ヶ月になった。

 昨日の14時5分、札幌駅を発車した「トワイライトエクスプレス」が8時18分に高岡駅に到着する。高岡駅で「トワイライトエクスプレス」を見ようと思った。
 今週、特に降雪量が多い東北、北陸の日本海側を走って来るから、雪で遅れて到着するだろうと思い、駅員に尋ねると、18分程遅れています、というお話だった。

 高岡駅の構内も、ホームの端も、線路も、雪で真っ白である。
 40分程遅れて9時近く、濃緑の車体に金色のラインが描かれた「トワイライトエクスプレス」が上り4番線ホームに滑り込んできた。


ホームに入ってくる「トワイライトエクスプレス」


 停車したが、高岡駅では乗り降りできないので出入口の扉は開かない。ホーム側は列車内の通路になっているので内部の様子は分からない。


「トワイライトエクスプレス」 車体


 1分程停車して動き出した。終着駅の大阪駅まであと4時間半程の旅になる。

 「トワイライトエクスプレス」が去った後、同じ4番線ホームに入線した北陸本線の電車に乗る。
 金沢駅に着いて、昨日と同じように駅前からバスに乗り、停留所「兼六園下」で降りる。

 兼六園に入る。雪は少し降っているが、空は昨日よりも明るく、雪吊りもよく見える。
 放射状にピンと張られた縄は、隣の雪吊りの縄と重なり、一層美しく見える。冷えた空気の中で見る雪吊りは、凛として美しく、精緻な工芸品を見ているようである。


兼六園 雪吊り




・同年2月11日(水) 合掌造り集落(富山県相倉)

 ホテルで朝食後、駅前のバスターミナルへ行く。
 富山県
相倉(あいのくら)合掌造り集落を訪ねる予定である。相倉は、11年前の平成16年10月10日に初めて訪れた(「奥の細道旅日記」目次23参照)。
 相倉は、20棟の合掌造りが存在する。雪の中の合掌造りを見たいと思った。

 8時発のバスに乗る。「世界遺産バス」となっている。リムジンバスである。このバスだと、停留所「相倉口」に着くのは9時8分である。とても速く着く。
 これも以前とは違っている。以前は、定期の路線バスに乗り、高岡駅から「相倉口」まで約1時間50分かかっていた。

 バスは高速道路に入り、ノンストップで城端(じょうはな)駅前まで行く。高岡駅から40分で着いた。城端駅前で5分間停車する。
 バスは
城端の町を通る。城端は、11年前の平成16年9月25日に訪ねたことがある(「奥の細道旅日記」目次23参照)。
 城端は、越中の小京都と呼ばれている静かな町である。右手の窓から
真宗大谷派城端別院善徳寺の巨大な山門が見える。  

 約20分後に五箇山トンネルを通る。道は下り坂になる。定刻に、停留所「相倉口」に着く。
 バスを降りて道路の反対側へ渡る。坂道を上がる。道が平らになる。樹木の間から、左手眼下に
庄川が見える。


相倉地区へ向かう道


 富山県には、相倉の他、上梨菅沼西赤尾に合掌造りが現存する。
 相倉は、昭和45年(1970年)、「越中五箇山相倉集落」として国の史跡に指定され、平成6年、「国重要伝統的建造物群保存地区」に選定された。
 平成7年、相倉は、菅沼、岐阜県の
白川郷とともに「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として、ユネスコの世界文化遺産に登録された(白川郷については、「奥の細道旅日記」目次23、平成16年9月26日参照)。

 豪雪地帯のため、雪を落としやすく、積雪し難い急傾斜の屋根を造り、手を合わせた形の合掌造りが生まれた。また、平地と耕地が少なく、大規模に養蚕の仕事を行うために大家族が一緒に住むことができるように大きな合掌造りが建てられた。

 20分程歩く。相倉地区の入口に着く。右側に広い駐車場がある。観光バスや外からの車はここに停める。ここから先は車は入れない。ここから先に入れることができる車は、住民の車と住民の用をなす車だけである。

 駐車場に立っている案内板に従い、駐車場の上の、肩までの高さまで積もっている雪の間の道を上がる。ここは段々畑だったから雪の間の窪んだ道は、畑の間に通っている道だったのだろう。




 20分程上る。集落のほぼ全景を見渡せる場所に出た。
 山に囲まれ、真っ白に変わった段々畑の斜面の下、合掌造り集落は静寂の中にあった


合掌造り集落


 1階部分が雪に埋もれていて、3階建ての合掌造りの高さが感じられない。

 下に降りて集落の中央を通る道を歩く。合掌造りも民家も、寺や蔵も雪に埋もれている。民家の間にあった田畑も雪の下になっている。出入口と通路は雪かきがされている。両側は雪の壁ができている。






 ゆっくりと歩いて集落の反対側の出入口に着く。後戻りする。
 急傾斜の屋根でも、降雪量が多いと、いつも自然に雪が滑り落ちることはないだろう。特に屋根の大棟は雪が残る。
 屋根に上って雪下ろしをしているのを見る。





同年2月12日(木) 敦賀

 朝、ホテルの窓から外を見る。雪は降ってないが、曇っていて山が見えない。
 予定では、今日、富山市へ行き、立山連峰を見ようと思っていた。これではどこへ行っても見ることはできない。予定を変更して、今日宿泊する敦賀へ早く行くことにする。

 高岡駅10時22分発の「サンダーバード18号」に乗る。敦賀駅に12時14分に着く。
 敦賀もこれまでに何度も訪れた(目次17、平成26年9月17日、同19日、「奥の細道旅日記」目次31、平成18年8月13日、同目次32、同年10月7日参照)。

 駅を出て30分程歩き博物館通りに入る。歩いていると三叉路に出る。正面に敦賀酒造の旧い建物が建っている。右へ曲がる。
 旧笙の川(しょうのかわ)河口運河に架かる港大橋が見える。その向こうは敦賀漁港である。


港大橋


 旧笙の川河口運河は舟溜まりになっている。

 橋を渡り、右手に舟を見ながら港の方へ歩く。
 敦賀観光ホテルの玄関の右横に、享和2年(1802年)に立てられた石積みの州崎の高燈籠(たかとうろう)がある。
 横に立つ説明板に「当時は毎夜この燈籠に灯が灯され、出船、入船の目標として重要な灯台であった」と書かれている。


洲崎の高燈籠


 駅に戻る。駅前の、予約していたホテルにチェックインする。


・同年2月13日(金) (帰京)

 ホテルで朝食後すぐ帰る。





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