海風通信 after season...




PN:1 「平日じいさん」

 別冊モーニング移籍後の続編作品。
 ナンバリング・コードも改めて【PN】となり、これからどんどん続いていくのかな?と思いきや、まさかの1話以降の掲載がないまま、別冊モーニング自体が通巻5巻にて休刊となるという予想外の結末を迎えました。
 まぁ、そもそも今回の話も『PositioN』を知っている人ならいざ知らず、新創刊の雑誌で初見の読者さんに対してはどうよ?って思いましたが、芦奈野センセイ自身は気に入っているようで、後に並行世界にて早々にリメイク版を発表しましたね。どちらも大筋の内容はほぼ同じなのですが、舞台地が明確に異なっている点が興味深いです。
▲国道に沿う形で設けられた一層目の駐車場。(売店のある所) ▲すぐ下に見える未舗装の砂利敷き広場が二層目。
 『PositioN』版の舞台地は、ハッキリとした表示はされていないものの、おそらく長者ケ崎の駐車場だろうと思われます。
 すーちゃんが、「海岸の近くで、休日はそれなりに混む一応の観光地」と説明する条件にも合致していますし、防護柵の形状も似ている箇所が見つけられるのです。この長者ケ崎の駐車場スペースは、国道沿いのすぐ横と、斜面を一段降りた先の二層構造になっているのですが、それぞれの防護柵の形状の違いにも注目してみましょう。一層目はコンクリート地のフラットなもの、二層目は丸太を模した枠組みの柵になっています。
 今回のエピソードで、すーちゃんがお茶を飲みながら休憩していた所に、じいさんがラジコンのグライダーを持ってへっこへっことやって来た場所は、まさにこの二層目の駐車場と思われます。ただし、「平日は まぁ こんなもんだ」と言っていたコマ部分だけは、一層目の駐車場のロケーションを描写しているようにも見えます。おそらく両駐車場をミックスさせた、あくまで架空の風景だということを示唆しているのかも知れません。まぁ細かく言ってしまえば、丸太状の防護柵の構造も、若干の(と言うか、かなりの?)違いが見て取れますけどね。
▲休日になると、なかなかこのような構図では撮れない。 ▲柵の横棒は、作中では2本なのに現実では3本ですね。
 両駐車場の柵の向こう側はどちらも斜面上になっていますが、やはり雰囲気に合うのは丸太柵のほうです。じいさんに倣って(?)、柵に腰かけながら目の前に広がる相模湾を見渡すと、吹き抜ける風が心地よく感じます。あぁ、ここでグライダーっていう発想となるのも、解らないでもありません。
 ところで、すーちゃんは冒頭でカメラを買った(からこの場所に来た)というのに、結局撮影することはありませんでしたね。これは並行世界においても、まったく同じ展開となります。(なんとヨコハマでもそうですよ!)これはどういうことでしょう?カメラの機体は好きだけど、写真撮影は好ましくない、風景は心の中の記憶に留めておけ!という、芦奈野センセイの鉄の意志の表れなのでしょうか?だとすると、私のホムペ自体が全否定されてしまうなぁ…。
▲おじさんが座った柵の途切れ目というのも、微妙に違います。 斜面側から柵の撮影は角度的に難しく、これが精一杯。
 それにしても、これにて『PositioN』が強制終了してしまったのは、当時は残念に思えて仕方ありませんでした。
 多分この想いは芦奈野先生御自身も抱えていたようで、10年後、カタチをかえての続編再開(!?)となります。それはこのページにて、たびたび「並行世界」と表現してきた『コトノバドライブ』という作品。新たに始まるフシギ体験の続きは、こちらでどうぞ!


2013/11/05