メディアとつきあうツール  更新:2015-12-15
すべてを疑え!! MAMO's Site(テレビ放送、地上デジタル放送・BSデジタル・CSデジタル本当の話)/サイトのタイトル
<ジャーナリスト坂本 衛のサイト>

放送を中心に取材・執筆を重ね、専門誌「放送批評」「GALAC」編集長も務めた坂本衛の「すべてを疑え!! MAMO's Site」。最大の影響力を持ちながら、放送自らはもちろん新聞・雑誌も報じないテレビや放送局の実情や本音、地上デジタル放送・BSデジタル・CSデジタルの真の姿を伝えます。最大限に活用しメディア・リテラシーを高めてください。

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すべてを疑え!! MAMO's Site(テレビ放送、地上デジタル放送・BSデジタル・CSデジタル本当の話)/坂本衛の他画像 byブブリン
2014年12月11日「表現の自由」と報道を考える会合
・緊急記者会見
(お申し込みもこちら)
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★3.11直前に開設したサイト★アナログ「終了延期」ブログアナログ「終了延期」掲示板
★ご一読お願いします★「地上デジタル放送完全移行(現行アナログ放送停止)の延期を求める」記者会見・提言発表地上デジタルTV原理NHK受信料政治介入ネットとテレビ融合8耐シンポ「テレビを問う!」Bush現代キーワードQ&A事典琵琶湖塾テレビは何をすべきか『もしも日本が戦争に巻き込まれたら!』テレビ報道を考える!!
<日録メモ風の更新情報>

2015-12-15
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本日2015年12月15日「放送法の誤った解釈を正し、言論・
表現の自由を守る」ことを呼びかける記者会見を開きます。
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★★★新聞社・雑誌出版・テレビ/ラジオ放送局、ネットメディアなど言論・表現の自由に関心をお持ちのみなさんに、広く取材・報道していただきたくお願いいたします。★★★
          記
◆日時:2015年12月15日(火)14時〜15時30分
◆場所:FCCJ日本外国特派員協会
 千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル 北館20F
 FCCJ日本外国特派員協会サイト
◆登壇者:坂本 衛 砂川浩慶 綿井健陽
◆司会:神保哲生
◆備考:会見でアピールを発表します。アピール(日/英)、放送法ほか資料(一部英訳)、賛同署名リストなど当日配布資料は、12月20日ころをメドに特設サイト http://broadcast0law0mamoru.web.fc2.com/ で公開します。
◆取材(写真・テレビカメラを含む)される方は、FCCJ(電話03-3211-3161)事前にお申し込みください。受付で名刺が必要です。
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アピール案文(坂本Facebookや特設サイトをご参照)への
★★★賛同人の署名を集めています。★★★
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賛同人として署名してもよいという方は、
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メッセージに賛同し署名する
●お名前
●肩書き(複数ある場合は/で区切ってください)
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以上の文面を broadcastlaw.mamoru@gmail.com までメールで送信してくださいますようお願いします。
【1】メール件名を「賛同署名(お名前)」としていただければ整理の都合上たいへん助かります。
【2】賛同署名人には200文字以内でコメントをお願いしています。
【3】賛同署名は12月20日以降、特設サイトでコメントとともに公開します。
  (201字以降は自動的に削除されますのでご注意ください)
賛同署名についての情報は、ご自由に転送・拡散いただいてかまいません。

2015-12-08
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「放送法の誤った解釈を正し、言論・表現の自由を守る」
ことを呼びかける緊急記者会見のお知らせ
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テレビ放送に対する政治・行政の乱暴で根拠のない圧力が目に余ります。
自民党筆頭副幹事長らによる在京テレビ報道局長への「公平中立」の要請(2014年11月)、総務大臣によるNHK『クローズアップ現代』への厳重注意、自民党情報通信戦略調査会によるNHK経営幹部の事情聴取(2015年4月)、同党勉強会で相次いだ「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけを」といった政治家発言(6月)、政治・行政圧力を批判するBPO放送倫理検証委員会の意見書を真摯に受け止めない安倍晋三首相・菅義偉官房長官・谷垣禎一自民党幹事長らの発言(11月)などです。
こうした政治・行政のテレビ放送に対する圧力が、テレビ報道を萎縮させ、人びとに多様なものの見方を伝えるテレビという表現の場を狭め、日本の「言論・表現の自由」をいちじるしく損なっている、と私たちは考えます。
とくに政治家や行政責任者が、日本の放送を規定する「放送法」の趣旨や意義を正しく理解できず、錯誤に満ちた条文解釈に基づく行動や発言を繰り返していることは、大問題です。
そこで、下記のように緊急記者会見を開き、「放送法の誤った解釈を正し、言論・表現の自由を守る」ことを呼びかけるメッセージを発表いたします。私たちは、会見やメッセージを通じて問題の所在を内外のマスメディアに広く訴え、メディア関係者のみならず多くの人びとに言論・表現の自由について真剣に考え、議論してほしいと願っています。
新聞社・雑誌出版・テレビ/ラジオ放送局、ネットメディアのみなさんには、広く取材・報道をしていただきたくお願い申しあげます。
          記
◆日時:2015年12月15日(火)14時〜15時30分
◆場所:FCCJ日本外国特派員協会
◆登壇者:坂本 衛 Mamoru SAKAMOTO(ジャーナリスト/日本大学藝術学部放送学科講師)
 砂川浩慶 Hiroyoshi SUNAKAWA(メディア総合研究所所長/立教大学社会学部准教授)
 綿井健陽 Takeharu WATAI(ジャーナリスト・アジアプレス/映画監督)
 ※あと1名を調整中
◆司会:神保哲生(ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表)
◆備考:
メッセージ読み上げ(5分)、登壇者・賛同者発言(25分)、Q&A60分という流れを予定しています。
会見は主として日本語でおこない、英語通訳がつきます。
緊急メッセージは12月9日から各方面に告知し、賛同人の署名を求めます。
準備ができしだい特設サイトを開き、記者会見当日のご案内、メッセージ案、賛同人の署名とコメント、関連資料などを掲載いたします。
アクセス(千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル 北館20F))
FCCJ日本外国特派員協会サイトの会見告知

2015-03-16
●NHK会長問題・続報。
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◆今日から参議院予算委員会質疑をNHKが中継。午前中、民主党・新緑風会の小川敏夫がNHK関連質問を予定。13日時点ではNHK会長出席が未定だったところ、急遽、呼ばれるかもしれないようです(確定情報は得ていません)。16日夕方の総務委員会・理事懇でも当然、取り扱いが話し合われます。
◆一方、3月24日のNHK経営委員会で、NHK監査委員会が調査結果を報告する予定です(監査委員は、経営委の委員から経営委が任命し、役員の職務の執行を監査。NHK役員の不正行為[おそれ含む]・法令違反か定款違反・著しく不当な事実があれば、遅滞なく経営委に報告──以上、放送法第42〜第48条)。経営委が「厳重注意」して済む問題とは、到底思えません。
◆よって、この前後まで、参院予算委はNHK問題で荒れる見通しです。世の中と国会とNHKが「狂って」いなければ、遅くとも23日(月)に始まる週内までに会長辞任表明でしょう。
◆私用ハイヤー代を公共放送NHKにつけ回す人物に正常な判断ができるとは思えず、自発的には辞めないだろうから、むろん、辞めさせる必要があります。麻生太郎が「てめえは、もうダメだ」といえば、辞めるのでは。経営委員長も当然、責任をとるべきですね。

2015-03-15
●これはダメ、アウトです。
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事実であれば、NHK会長・籾井勝人の辞任は避けられません。自民党は見捨てるでしょう。NHKによる私用ゴルフ・ハイヤー代の「一時立て替え払い」が認められるならば、日本国民は「おっかさんに立て替えてもらう」「息子に……」「親戚に……」「知人に……」と、みんなNHK受信料を2〜3か月払うのを辞めたほうがよい。 籾井会長:私用車代、NHKに請求 監査委が調査(毎日15-03-15)

●2015年3月16日、NHK会長・籾井勝人が国会に呼ばれるようです。
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◆もう、どうにもなりません。恥をさらすだけですから、さっさと辞任させたほうがよい。自民党通信族(旧逓信族、郵政族)もすっかり小粒となり、こういうとき頼りになるヤツがいないので困ります。同じ三井物産出身の池田芳蔵も、むちゃくちゃでした。物産が秘書と専用車の提供を申し出たのを当然断ったNHKは、本人が着任して初めて、物産側が何を心配していたかわかったほどです。来てすぐ机を総取っ替え(むろん受信料のムダ遣い)とか、自分勝手でうるさい人物だった。
◆もっとも、当時は旧制三高の旧友、住友銀行の磯田一郎が経営委員長。イラン・ジャパン石化で国家的な大損害を出した池田に「最後の花道」を用意した磯田が、池田の首に縄をつけ、自分の道連れに辞めさせた。実力会長の島桂次も「胃が痛い」と嘆きつつ、後処理をしました。池田芳蔵もゴルフ狂いでした。大喪の礼のときNHKのハイヤー(会長車)を出してゴルフに行こうとした、という話があり、月刊文春はNHK車両係から証言を取ろうとした。担当編集はロス疑惑(三浦和義事件)の週刊文春記事『疑惑の銃弾』のキャップ安倍隆典です。
◆なんで、こんなことを知っているかといえば、当時文春本誌でNHK池田会長論(辞任を勧告するレポート)を書いたのは、私なので。突如辞任したため、お蔵入りとなりましたが、なにしろエグい原稿。こんな話も出てきます。池田芳蔵がアメリカで勝手に某事務所とNHKのエージェント契約を結んでしまい、役員一人が渡米し現地特派員と必死でもみ消した(みなさまの受信料から莫大な違約金を支払った)。こんな話、知らないでしょう? 池田、シマゲジ、その腹心のインサイダー、昨年に安部とみんな亡くなってしまったから、知っているのは2〜3人か。

2015-03-12
●1〜4歳の乳幼児が年齢別の死者数で上位を占めることが、「すみだ郷土文化資料館」(東京都墨田区)などの調査でわかった。(読売新聞 2015年3月7日
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だって? 戦後70年もたって、なに寝ぼけたことを書いているんだ?
◆読売新聞紙記者も、すみだ郷土文化資料館の関係者も、国勢調査による昭和20年の人口ピラミッドを調べたことがないのか? 昭和20年の日本の年齢別人口でもっとも数が多いのは1〜4歳(いずれも、男女とも100万人前後)だ。0歳は70万人と極端に少なく、5歳〜20歳は90〜80万人前後(だいたい上にいくほど減る)。
◆だから、いちばん人数が多い1〜4歳児が、年齢別の空襲死者数でいちばん多いのは当たり前だ。いちばん人数が少ない0歳児が、年齢別空襲死者数でいちばん少ないのは、当たり前だ。年齢別に風邪を引いた人数を数えても、階段から転げ落ちた人数を数えても、そうなる。肺炎で死んだ人数を数えても(0歳児がやや増えるはずだが)基本的にはそうなる。そんなことは、調べなくてもわかっている。
◆それを戦後70年たって「わかった」「判明」って、馬鹿である。本当にバカな記事だ、と愕然としたほうがよい。読売新聞紙記者も、900万人だかいるらしい読売新聞紙読者も、である。この記事を読んで「なんでこんなのがニュースなんだろう」と不思議に思わなかった人は、自分の新聞リテラシーを疑うべきだ。新聞紙記事にコロリと騙されてしまう人だからである。
◆「年齢別人口」(絶対数)以外で、空襲死者数を左右する主な理由(要因)は、昭和20年3月9〜10日に東京下町にいたか、いないかである。疎開で田舎に、勤労動員で武蔵野や多摩の工場にいけば、大空襲には遭わない(工場を狙うピンポイント爆撃には遭う)。これまた当たり前。以上を吟味し、空襲地域にいた年齢別100人当たりで何人(何百人という数でなく何%という割合)が空襲の犠牲になったか比較しなければ、「乳幼児のほうが大人より余計に死んだ」とは結論できない。墨田区も新聞紙記者も、その吟味をまったくしていない。
◆年齢別死者の話を新聞(子どもの作文や学生のレポートではない!)に書くのに、日本の年齢別人口を事前に調べない(または調べたうえで知らないふりをする)なんてことが、なぜ起こってしまうのか? しかも、「自力で逃げることができない幼子たち」(とくに歩くことができない0〜1歳児)は、おんぶなどされ、事実上、大人と同じ逃げ方をすることができたはずだ。これが、そもそも絶対数が少ないこと、出産で田舎に移った母親が多く、そこにとどまった者が多かったことと合わせて、0歳児の空襲死者が少ない理由である。
◆記事は、以上のような分析すらできておらず、「幼子たちが、なすすべもなく犠牲になった空襲の実態を物語る。」と書いて、0歳児の空襲死者が極端に少ない事実(見出しとまったく矛盾する不都合な事実)を、ただ無視している。よくこんな記事を書くものだ、と呆れる。取材・執筆記者だけではない。編集チェック機能が、極端に劣化している、と思わざるをえない。
◆こんな惨状で、朝日新聞のW吉田証言(慰安婦と原発)記事を批判できるだろうか? 最初に「空襲で幼子が多数犠牲になった(に違いない。かわいそう)」という情緒的な結論ありきから出発し、取材結果を結論に当てはめておかしな記事を書き、矛盾点は一切無視する──この「構造」が、まったく同じだからである。

2014-12-17
●12月11日(木)の「表現の自由」と報道を考える会合・記者会見では、みなさまご協力誠にありがとうございました。とりわけ発起人に加わってくださった岩崎貞明・石丸次郎・岸井成格・砂川浩慶・原寿雄・水島宏明の諸氏、ご出席ご発言してくださった綿井健陽(石丸さん代理)・白石草(ネット中継も深謝)・篠田博之・田原総一朗の諸氏、さらに当日受付(通行証配布)担当のうえ飲み物を差し入れてくださった田中典子さん、スチール担当の黒川公人さん、配布文書校正・印刷担当の小林潤一郎さん、取材してくださったメディア関係者のみなさん、本当にありがとうございました。以下のpdfは、メディアむけ事前送付文書と当日配布文書です。案内告知文(128KB) 緊急メッセージ/【資料その1】【資料その2】(169KB) 【ご参考】ジャーナリスト坂本 衛の主張(139KB)

●12月8日午後11時16分に息を引き取った母・坂本幸子(皮革工芸作家、昭和3年9月21日生まれの86歳)については、10日に自宅で親族による通夜、12日に桐ヶ谷斎場で荼毘、13日に源照寺(世田谷区奥沢3丁目)で告別式を済ませました。葬儀にご参列くださりご供花お香典ご弔電などお見舞いいただきましたみなさま、ありがとうございました。自分のときは心にぽっかり穴が開いた、と心配してくれた人がありましたが、どうもそんな感じはなく、さあ弔い合戦だといった高揚した気分。ま、そのうちガクンとくるのかも。取り急ぎ御礼ご報告まで

●これから滋賀県大津・ピアザ淡海にて琵琶湖塾最終回です。ゲストはマザーハウス代表・山口絵理子さん。竹中平蔵氏の教え子のお一人ですね。大津プリンス泊予定

2014-12-11
●今日12月11日(木)14時10分〜、参議院議員会館にて、「表現の自由」と報道を考える会合(記者会見を含む)を開き、緊急メッセージを発表します。定員まで余裕があり、報道関係者はもちろん、研究者・学生のみなさんも入場できそうです。ご取材ご紹介をよろしくお願い申しあげます。申し込みはこちら

2014-12-09
●2014年12月11日(木)14時10分〜16時10分(開場13時55分)、参議院議員会館 地下1階 B109会議室にて、「表現の自由」と報道を考える会合(記者会見を含む)を開き、緊急メッセージを発表します。田原総一朗、岸井成格はじめジャーナリスト、研究者など二十名ほど(発起人を含む人数)が発言する予定です。ご取材ご紹介を、なにとぞよろしくお願い申しあげます

●当サイトの関連ページ(取材申し込みページ)はこちらです。このページを個人サイトにおくのは適切とは思いませんが、セキュリティ上、事前の申し込みが必要で、時間もないことから、ご容赦いただきたく。おってメッセージへの賛同人を募ります。「お名前・ご職業(ご所属)・200字メッセージ」をセットにして、こちらは新しいサイトで公開したいと考えています。12月11日は出席者の意見発表が中心となりますが、賛同人メッセージでは広くみなさんの声を公表したい、と思います。よろしくお願い申しあげます

●昨8日午後11時16分、母・坂本幸子(皮革工芸作家)が昭和大学病院にて、息を引き取りました。昭和3年9月21日生まれの86歳でした。私が救急車に乗せて病院につれていき、最期を看取ることができました。お世話になったみなさま、本当にありがとうございました。11日の会見には必ず出席します

2014-12-08
●2014年12月11日(木)14時10分〜16時10分(開場13時55分)、参議院議員会館 地下1階 B109会議室にて、「表現の自由」と報道を考える会合(記者会見を含む)を開き、緊急メッセージを発表します。田原総一朗、岸井成格はじめジャーナリスト、研究者など二十名ほど(発起人を含む人数)が発言する予定です。ご取材ご紹介を、なにとぞよろしくお願い申しあげます

●当サイトの関連ページ(取材申し込みページ)はこちらです。このページを個人サイトにおくのは適切とは思いませんが、セキュリティ上事前の申し込みが必要で、時間もないことから、ご容赦いただきたく。おってメッセージへの賛同人を募るつもりです。「お名前・ご職業(ご所属)・200字メッセージ」をセットにして、こちらは新しいサイトで公開したいと考えています。12月11日は報道関係者が中心となりますが、賛同人メッセージは広くみなさんの声を反映させたいと思います。よろしくお願い申しあげます

●これから(いま12時40分)世田谷の実家行き。一晩泊まり、明日母の病院です

2012-12-19
●13〜15時、小川和久と打ち合わせ@アスコム。小川和久が理事長を務める国際変動研究所(SRIIC)というNPOがあります。実は私も設立発起人の一人ですが、スタッフではなく、同研究所のNPO活動に従事しているわけでもありません。ただし、同研究所が発行するメールマガジン『NEWSを疑え!』のストラテジック・アイだけは、毎週1回「聞き手と構成」を担当しています。その打ち合わせ

●たとえば、このメルマガの最新号(12月17日号)には米ランド研究所マルクス・シラー博士の報告書『北朝鮮の核ミサイルの脅威の特徴』の要約が載っており、北朝鮮が持つミサイル(スカッドB、スカッドC、スカッドD、ノドン、テポドン1号、テポドン2号、ムスダン)の推定数がわかります。何は約100発、何は40発未満、発射部隊の数がミサイル・発射機数よりも不足といった具合で、ネットにもなく、日本政府も軍事オタクも知らない情報ですね。中国大使館はこのメルマガを講読しているそうだから、日本のメディアも読んだほうがよろしいです

●関連して、小川和久著『日本の領土 これが答えだ!』(アスコム刊)は、10月下旬に私がまとめを手伝いました。まあ、いま出ている国境・領土本のなかでは、いちばんまともな内容でしょう(当然そうなるようにつくった)。とくに尖閣諸島問題については、政治家諸氏はこの本を読んでおくべきだと思います。どうか、早めに読んでいただきたい

●というのは、小川和久著『この1冊ですべてがわかる 普天間問題』(ビジネス社刊)も坂本が企画した本で、当時首相だった鳩山由紀夫が2010年5月に沖縄で「学べば学ぶほど抑止力がわかった」といったのは、この本を読んだからです。直前の4月には、小川和久は民間人の立場ながら訪米し各方面と折衝しています。もっと正確にいえば、2009年11月に首相に対して普天間問題の小川プレゼンがあり、それならばと12月に私が出版社と話をつけ、10年1月8日に西早稲田かわうちで小川見解を詳細に聞き、この本をつくった。そのときは首相はわかっていると思っていたが、実は5月にわかったと。わかるの遅すぎ!

2012-12-18
●昨日記事の最後【8】に、「選挙結果は民意を反映していないというのは間違いだ」と思う、と書きました。同じように、理屈はわからんでもないが、そんなことを声高に主張して何になると思うのが、「一票の格差」が是正されないままの衆院選を違憲といい、「選挙無効」を求めて全国で一斉提訴した弁護士たち。違憲判断を求めるのであれば、わかる。しかし「選挙無効」を求めるのが、どうもわからない

●仮に最高裁が選挙無効という判決を出すと、選挙の結果、大臣になったヤツの資格も無効で、その大臣の判断や行動も無効なのか。弁護士たちは「無効だ。やり直せ」というのでしょう。すると、法務大臣が裁可した死刑執行も無効のはずだと思うけど、死刑は粛々とおこなわれてしまうわけです。すると弁護士たちは、どうするのか? 無効ったって、首つりにしちゃった後では、どうしようもない。弁護士たちは、法務省だの死刑判決を受けた者が入る刑務所だのに毎日詰めて、死刑が執行されないように監視でもしているのか? たぶん、していませんね。ならば、実効性なんてどうでもよく、ただ「違憲・無効という判決だけがほしいパフォーマンス」なのだろう、と見るしかありません。そんな運動やパフォーマンスは、私はどうかと思います

●条約なんかも「無効だ」というのでしょうが、そんなアホな理屈が国際社会で通用するはずがない。総理大臣は自衛隊に出動命令を出し、日本の若者を死地に追いやる場合すらありうる仕事です。その職を決める選挙がそもそも無効などというアホな判決を、最高裁が出すとは思えない。ところが、東京新聞12年12月18日朝刊によると「無効にまで踏み込むことはあり得る」と話す憲法学者がいるらしい。なんとも驚きです

●日本国憲法には、第6条2「天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する」、第79条「その(注:最高裁判所のという意味)長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する」、第80条「下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する」とあり、内閣は日本の全裁判官の任命に関与します。言い換えれば、内閣総理大臣が「あんなヤツはダメだ」といった者は、日本では裁判官になれません。そして総理大臣は国会で最多得票を得た国会議員(普通は最大与党の党首)なのだから、日本の裁判所は国会・内閣のハッキリ下位(劣位)にあります。人事を握られており、国会・内閣の強い影響力の下にあるのです。小学校の教科書に出てくる「三権分立」は建前にすぎません。もちろん「司法の独立」といえば、これは大ウソです。水俣裁判やアスベスト裁判など、国民が行政を訴える裁判が、最高裁までダラダラやった挙げ句に国が勝って終わるのは、もちろんこのためです。凶悪犯を死刑にするか何年ブチ込むかという裁判(それも一審だけ)にしか裁判員制度を適用せず、もっとも国民・市民感情を反映させるべき行政訴訟に手をつけさせないのも、内閣と裁判所の馴れ合い・ゴマカシの象徴です。なお、私は憲法を改正して司法の独立性を強めたほうが日本のためだ、と思っています

●これまで最高裁が示したいわゆる「違憲状態判決」は、明らかに一票の格差は大きすぎ「違憲状態」にあるが、国会の裁量権を尊重し、あえて違憲判決とはしないというもの。高等裁がさらに踏み込んで何度か出したいわゆる「違憲違法判決」は、現状は違憲で、選挙も違法だが、選挙を無効とはしないというもの。その先「違憲無効判決」が出たことはありません。そして私は、内閣が指名・任命した裁判官15人からなる最高裁が、国会議員の職も大臣の地位も無効であるという「選挙無効」の判決を出すことは、これまでと同じく絶対にないと思います。それは、そこらの会社の部課長会議が「社長はクビだ!」と結論するのと同じくらい、ありそうにない話です。選挙が無効、内閣も無効、その指名・任命も無効……と、玉突き的に考えていくと当然、(任命時期によって)裁判官の地位も無効となりかねず、無効のヤツが無効の判決を出すとそれは有効か無効かというパラドックスに陥る。そうなったらおもしろいですが、そこまではいかない。もともと国会・内閣の劣位にある裁判所に「国会にちゃんとしろといってくれ」と無理を頼むよりは、国会をつくる各政党に「あんたたち、もっとちゃんとしろ」と直接いったほうが話が早い、と思いますけれども

2012-12-17
●サイトアップ準備中の記事がいくつもあるのですが、取り急ぎ衆院総選挙の総括から

●【1】解散時から、自公で少なくとも300議席は取るだろう、と思っていました。総議席480の内訳は自公300、民主70、維新60、みんな20、未来10、共・社・その他20といった具合かと。自民294、民主57、維新54、公明31、みんな18、未来9、共産8、社民2、大地1、国民1、無所属5という結果は、自公は予想より多く、民主は予想より少なかった。NHKが「自公で320議席うかがう」と出したときは、こりゃ325前後までいくかもと思いましたが、民主60割れは最後までわからず。自民が民主からごそっと取り、維新・みんな・未来からちょっとずつ取ったという感じ。日本国民は、まずまず妥当な選択をしたと思います

●【2】民主大敗の理由は、きわめて単純です。ようするに、約束を守ることができないウソつき政党は信頼がおけず、投票対象からはずした、というだけの話です。民主党は、マニフェストに書いたことをほとんどやらず、マニフェストに書かなかった消費税増税だけを、ほかならぬ政敵の自公と組んでやった。それで「決断する政治」などと胸を張ったのだから、2009年に民主党に投票した人びとの大半は「裏切られた」と思って当然。まったく自業自得の敗北であって、とくに不可解とか不思議という点はありません

●【3】小選挙区の投票率が過去最低の59.32%となった(総務省発表)のも自然で、さほど嘆く必要はないと思います。というのは、小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降、最高だったのは2009年の69.28%。このとき民主党に大いに期待し、頑張って投票した人びとを民主党が裏切った。その結果、今回は民主党に入れたくない。といって何も変わったように見えない自民党にも入れたくない。そう思う者が10人に1人2人いても、何の不思議もないからです。「政治離れ」の責を負うべきは、政治をシラケさせた民主党でしょう。なお、筆者の周囲の若者はみな投票し、娘の同居人は、カネもないのにわざわざ山梨の実家に帰って投票しました。日大の授業でも学生たちは、「住民票を実家から移しておらず、帰るヒマもない」という者以外は投票するつもりのようでした。若年層の投票率が低かったのはたしかでしょうが、そのデータや棄権理由は、もっと分析が必要でしょう
◆若年層の低い投票率は、総務省による衆議院議員総選挙「結果調」《けっかしらべ》のうち「年齢別投票状況について」というデータでわかります。総務省自治行政局選挙部管理課に聞いたら、21.8.30執行の第45回衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果調を総務省サイトに載せたのは翌22年5月で、今回の結果もかなり先になる見込みとのこと。こんなものに2013年秋までかかるというのは、まさに役所仕事の典型ですね。若年層の投票率は、共同やNHKの出口調査と有権者名簿を照らし合わせれば、ある程度わかるだろうと思いますが、面倒だからやらないか。24歳の娘によると「大学に入るため東京に出てきた者は、ほとんどが住民票を移していない。移すと親の扶養からはずれるとか自分のところに請求書がくるとか、面倒くさいことが起こるのでは、と思っているから。しかもカネがなくバイトで忙しいから、実家に帰って投票せよというのは無理。若者の投票率が低いというとき、誰もこの話をしないのはおかしい」と。実際には扶養家族からはずれませんし、保険なども親のもので大丈夫。しかし、入学時は未成年だから親も住民票を移す必要はないと思い、途中20歳になって選挙権を得ても、扶養うんぬんの誤解があるのと、役所に出向くのが面倒だから、そのままにしているわけです。大学は新入生やその親に「住民票を移せ」というべきですね。メディアも「投票に行こう」と呼びかけるだけでなく、なぜ投票に行かないか若者に取材し、改善策を提案すべきです

●【4】「経済、復興、原発、TPP、外交防衛、改憲と争点が多すぎ、有権者は絞りきれなかった」というマスメディアや政治学者がいるが、まったく的はずれです。TPP、外交防衛、改憲などは、もともと争点ではありません。事前の世論調査で、有権者の数%しか重視しない諸問題が、選挙の争点になるはずがない(毎日新聞12月11日調査によれば、外交・安保4%、TPP2%、憲法改正2%しか、関心がない!)。そんな幻の争点を掲げた政党や候補者が、まともに相手にされないのは当たり前です。最大の争点は、約束を守ることができない現政権を存続させるかどうかで、次に大きな争点は経済問題。以上の観点から国民は民主にノーを突きつけたが、別に自公に「憲法改正してくれ」「自衛隊を国防軍に昇格させよ」とは頼んでいない。自民党でもまともな政治家は、このことをわかっていると思います
◆メディアにはアジェンダ設定(議題設定)機能がある、とされているわけですが、日本のメディアはこの機能が弱い。そもそも意見表明や批判をあまりしない、自らの党派性を薄めようとする、記者クラブ中心で決まった相手にしか取材をしない、などの理由から、政治家の主張を右から左にそのまま伝えがちで、政党が10あれば10とおりの主張をそのまま報じてしまう。つまり、どれが主たる議題か検討しないまま読者や視聴者に伝え、議題を設定しない。むしろ10の主張のどこがどう違うか、という細部の違いばかりに重きをおくことになる。そうではなく、「わが社(局)が思うに、今回の総選挙の争点は三つだ。それで政党を分類するとこうなる。これに基づいて投票したら?」と提案するメディアがあってもよさそうだが、ほとんどなかった。で、「争点が多岐にわたって、わかりにくかった」と愚痴る。わかりにくければ、あなた方がわかりやすくしなさいよ、それがメディアの仕事でしょう、と思います

●【5】さらにいえば、日本国民の大多数は「なるべく原発をなくしていきたい」という点で合意しているのだから、原発問題すら主たる争点ではありません。ただちに福島第1原発のような深刻事故が起こることは絶対にない、という確実な保証さえあれば(注:大飯原発にはその保証がない。それでも再稼働させる関西の連中の気が知れません。福島の事故がまったく他人事で、飲み水の心配も家の目張りの心配もした経験がないからでしょうね)、廃炉(の決定)が3年後か10年後か20年後かなんて、どうでもよい。どうでもよいでしょう? だって、全原発をいますぐ廃炉にしたところで、30年やそこら原子炉の解体・撤去はほとんどできず、どの原発も更地にできず、どの原発周辺にも誰も住みたくないのだから、当面は(ここ数年間は)、全原発を30年全停止にするのと大した違いはないのだから(念のため、もちろん30年後は違いますよ)。たとえば、2009年1月に運転終了した浜岡原発1号炉の廃炉計画の完了予定は2036年(原子炉の解体撤去予定は29年、34年以降は使用済み燃料の保管場所が未定!)。同様の廃炉計画が来年50本並んだとしても、燃料棒取り出しだけで数年〜10年といった期間が必要で、完了予定は2040年か2050年か、あるいは2060年かという話。
◆そもそも「廃炉」とは何を指すのかも、実は国際的なコンセンサスがありません。普通は原発敷地を更地にするまでをいいますが、核のゴミの持っていき場がなく、カネもない日本では、遮蔽隔離をもって廃炉とすること(周辺は立ち入り可能だが、本体は100年そのまま封印)も検討せざるをえないでしょう。もちろん本気で原発ゼロにするなら、電力自由化・業界大再編、投資額年10兆円といった規模の代替エネルギー開発、福島第1一帯の巨大核燃料基地化(未来永劫もう人は住めない!)、原子力大学や専門学校をガンガンつくり技術者や労働者を大量養成(海外からも大量招聘)などして、世界トップの原発廃炉ビジネスを立ち上げ、世界で商売すべき。以上のようなことを「先送り」にした自民党を選んだのが、今回の国民の判断。これまた妥当な判断だと思います

●【6】すべての選挙というものは、理想的で非の打ち所のない政治家を選ぶプロセスではなく、どうせろくでもないだろう政治家のなかから、もっともましと思われる政治家を選ぶ(同時にましと思われない政治家を落とす)プロセスです。この意味で有権者は、かなりまともな判断をしたと思います。というのは、(1)民主党政権の指導的な政治家の多く(小選挙区の菅直人前首相、平野博文・仙石由人・藤村修の歴代官房長官ら)、(2)舌禍事件などを起こしたしょうもない民主党閣僚経験者の多く(鉢呂吉雄前経産相、松本龍元環境相、田中慶秋前法相、田中真紀子前文科相ら)、(3)離党して看板を付け替えただけの候補者の多く(名前略)、(4)70歳超の大物候補者の何人か(加藤紘一元内閣官房長官、横路孝弘前衆院議長ら)などを「ちゃんと」落としたからです

●【7】筆者の住む新宿を含む東京1区の得票率は、自民新(公明推薦)29.3%、民主前28.9%、維新新17.2%、みんな新11.3%、共産新6.7%、未来新5.3%。維新とみんなの連携がうまくいったとすれば三つどもえの接戦ですから、有権者のバランス感覚というのはなかなかだ、と思います。東京15区は、それが成功した例で、みんな前(維新推薦)36.9%、自民新(公明推薦)31.0%、民主前12.3%、未来前11.9%、共産7.8%。「第三極」は、以上のようなデータを急ぎ真剣に分析し、来年の参院選と次の衆院選に徹底的に生かすべきです。第三極は、比例区ではそのままでよいが、小選挙区では連携するしか道はありません。次の参院選は、自民党が必ず負けるでしょう。いうまでもなく、みんな「自民党を勝たせすぎた」と思っているからです。消費税を実際に5%から10%に上げる政権も、必ず倒れるでしょう。この意味で、第三極にも民主党にも、まだまだ大きなチャンスがあります

●【8】いまの話でわかるように、今回の選挙で自公候補に投票した人は、投票総数のせいぜい3〜4割でしょう。開票速報を見ていても、得票率が、第三極と民主を加えれば自公を上まわるという選挙区が少なからずありました。棄権した者も含めれば、自民党の支持者は4人に1人くらいというのも、そのとおりでしょう。しかし、だからといって「選挙結果は民意を反映していない」というのは間違いだ、と私は思います。「偏りは大きいが、これも民意だ」といわなければ、3年前の政権交代も民意ではなかった、小泉改革も民意ではなかった、民意なんてどこにもない、という話になってしまう。以上、取り急ぎ

2012-12-16
●朝、子ども2人が選挙へ。うち1人の同居人と家人の母も、散歩がてらついていく。うち1人の同居人(25)は「今回だけは、はずせない」といい、住民票のある山梨の実家へと旅立った。家人と私は昼すぎ投票所の牛込一中へ。投票所への往復の道にも老人が多いが、これは投票率の問題というより、矢来町住民の年齢構成の問題。やけに暖かく、上着はいらない

●午後8時から選挙速報に見入る。家人はチャンネルを頻繁に変えるのを、落ち着かないといって嫌がるが、私はCMを見るつもりがないので、メモを取りつつガチャガチャ変える。NHK、テレビ朝日、TBSを見ていた時間が比較的長かったと思う。小泉進次カ、安倍晋三はじめ自民党関係者が誰も笑わない。笑顔禁令でも出たかと思って見ていたら、飯島勲が「顔をごらんなさい。誰一人笑わない。きわめて異例だ。自分たちが支持された結果ではないと思っているからだろう」という意味のことをいった

●野田佳彦の辞任会見で驚いたのは、質問が三つ出たあと司会の安住淳が「ほかにありませんか」といったのに、質問が出なかったこと。息子に「ほら、見たか。あれだけの数、記者がいて、首相に直接質問する機会があるのに質問しないって、信じられるか。大学の授業じゃない。給料取って仕事で来ていて、ああなんだぜ」と口走る

●結果そのものは、予想とたいして変わらないが、自民は予想よりやや多く、民主は予想よりかなり少ない。残り5〜6議席となり、ほとんど動きがなくなったところで寝る。分析や感想は、また明日

2012-11-01
●前日夜の記事で、志賀信夫の訃報を伝える共同配信記事を紹介しましたが、朝日も11月1日2時37分、Webに訃報を載せました。内容は以下(字の大きさの違いや改行は無視)。<放送評論家の志賀信夫さん死去 ギャラクシー賞を創設 志賀信夫さん 志賀信夫さん(しが・のぶお=放送評論家、前放送批評懇談会理事長)が10月29日、肺炎で死去、83歳。葬儀は近親者のみで行い、後日しのぶ会を開く予定。福島県出身。早稲田大で映画研究を専攻、1957年から3年間は同大講師を務め、映画評論や放送評論の草分け的存在となった。63年に放送批評懇談会を設立し、優れたテレビ・ラジオ作品に同会が贈るギャラクシー賞を創設した。>

●しかし、朝日のおくやみ記事には、詳細な情報がない。関係者に取材して裏を取ったとは到底、思えない内容ですね。共同の記事を参考にすれば書くことのできる情報で、新しい独自の情報がないから、共同の記事を参考にして書いた(裏取りをしていない)と思われても仕方がない記事です。他社の後追い記事には、ちゃんと取材をしたという証拠となる独自ネタを必ず入れなければなりません。読売が裏取りをせず大誤報を流した直後ですから、なおさらです

●私に確認(裏取り)を求めてきた文化部記者とは電話で3度話しましたが、この新聞社は今朝の段階で伝えておらず、掲載を見送っています。これが正しいやり方です。なお、朝日おくやみ記事中「志賀信夫が映画評論の草分け的存在」という話は、私は初耳。「映画評論」は戦前からさまざまな人が手がけていますから、明らかに間違いですね

●放送批評懇談会にも、志賀信夫のことを直接知らない人が多くなりました。志賀信夫らしいエピソードをいくつか追記しておきます

●90年代半ば、NHK広報が放送評論家や放送を取材するフリージャーナリスト・ライターを渋谷の中華料理屋に招いてくれたことがある。青木貞伸、松尾羊一が一緒でしたが、その場に当然いておかしくない人物が二人いなかった。志賀信夫と大森幸男で、私はなぜ二人が欠席なのか広報に聞いた。すると正直に「その二人は個別にやります」と応えました。料亭かなにかでやったんでしょう。今回、二人とも故人となりました。二人とも民放連の番組審査を長くやりました。民放連の担当者が、そろそろ世代交代してもいい頃合いだろうと入れ替えようとしたら、民放連専務理事に猛烈な働きかけがあり、入れ替えはナシになったと聞いています

●あるとき、放懇の長老たちが維持会員獲得のため各地の放送局を手分けして回ることになった。社長に面会して入会を求めるわけです。青木貞伸から聞きましたが、長野県担当になって長野駅に降り立つとNHKの黒塗りが用意されていた。「俺、それに乗っちゃったんだよ」と青木貞伸は苦笑していました。GALAC創刊からしばらくたち、当時販売をお願いしていた勁文社(現在は角川)の有力役員を志賀・編集長坂本・事務局中島の3人で接待することになった。場所を決めるとき、志賀信夫が「先日NHKの誰某とやった新宿御苑の店がよかった。名前を忘れたから、NHK総務の誰某に電話して聞いてくれ」というので、放懇事務局がNHKに電話すると、丁寧に場所や電話番号を教えてくれたあと、「それはこちらでお支払いすればよろしいですね」と、頼みもしないのにいった。もちろん丁重にお断りしましたが、NHK受信料はそういうのにも使われるわけだ、と私は思いました

●志賀信夫はNHKや民放に大いに顔が利き、放懇を金銭面で支えたのは、ほとんど彼だけ。報道がどうドラマがこうとエラそうなことをいうヤツは、局に頭を下げてカネ集めなどハナからやる気がないか、下手クソかのどちらか。もちろん私も含めてね。もっとも、ときには志賀信夫でもうまくいかないことがある。フジテレビが総会屋などとの縁をすべて切る(たとえば付き合い広告を出すのをやめる)ことにしたとき、GALACを総会屋雑誌とは思わないが、例外なく一律にやるしかないから、GALACへの広告出稿もやめるという話があった。放懇側では、代わりに維持会費の口数を増やしてもらおうとしたが、たまたま志賀信夫が何か書いたことでフジ会長の日枝久が機嫌を損ね、会えないという。仕方がないから、編集長の私がまずフジ広報室長と会い「GALACは総会屋雑誌と形はまったく同じ。しかし、唯一、総会屋雑誌と異なるのは、総会屋雑誌がカネをもらえば悪口を書かないのに、GALACはカネをもらってなお、放送局が嫌がる記事を書くこと。放送界にそんな雑誌が一つくらい必要だと思う。そういうことなので、ご支援をよろしく」と頼んだ。最終的に村上光一専務(のち社長)に会ってお願いし、維持会費を増額してもらいました

●志賀信夫は、人にものをくれるのが大好きでした。どこかで土産をもらったあとで放懇にくると「誰某にもらった。みなで食べなさい」とくれる。ネクタイだのネクタイピンだのも、何度かもらいましたね。番組批評を30年ほど(税金対策も兼ねて)自費出版していて、20冊ほど放懇事務所に持ち込んでは、理事たちに一人ひとり名前を書いて贈呈していた

●2003年頃までGALACの内容には口出ししなかったと前にいいましたが、「GALACに書かせろ」とも滅多に口にしなかった。記憶にあるのは8年間で2度だけ。1度はアジアの放送事情を視察してきたときで、これは2〜3回に分けて載せた。もう1度は「ある番組のことをどうしても書きたい」といったが、当月のGALAC編集がほとんど終わっており、ページが捻出できない(捻出するつもりもない)。「読者投稿欄ならば3分の1ページくらい取れる」とかなんとか伝えたら「それでいい」と書いた。番組を誉める文章で、たぶん「よかった。誉めておくよ」とでも制作者に伝えたあと、書き忘れたか、書くスペースがなくなったかしたのでしょう。発行人が読者欄に登場するのは妙ですが、そんなことは一向に気にしない人でした

2012-10-31
●志賀信夫さんが亡くなりました。10月31日夜、共同通信が訃報を配信。私のところには23時過ぎ、ある新聞から「確認したい」と電話があり、事務局に問い合わせたうえで「親族の意向で未発表。放送批評懇談会(放懇)が11月1日に訃報を出す。事務局が開くのは朝10時。それ以上の詳しいことは知らない」と回答。Webで東奥日報が22時24分に、『スポーツ報知』が22時39分に掲載したのは、いずれも共同配信です

●共同の配信記事は以下。<放送評論家で前放送批評懇談会理事長の志賀信夫(しが・のぶお)さんが10月29日午後4時45分、肺炎のため東京都練馬区の病院で死去した。83歳。福島県出身。葬儀は近親者のみで行い、後日しのぶ会を開く予定。テレビ評論の草分けとして知られ、1963年に放送批評懇談会を設立、長年理事長を務めた。優れた番組に贈るギャラクシー賞を創設し「日韓中テレビ制作者フォーラム」を開催するなど、放送文化の向上に尽力した。自薦の番組の台本や関係者の証言を集めた「年間テレビベスト作品」を30年出し続けた。ほかの著書に「テレビ番組事始」「映像の先駆者125人の肖像」など。>

●志賀信夫と私が初めて会ったのは、田原総一朗が『月刊現代』で「テレビ仕掛け人たちの興亡」の連載を始める前の1980年代末頃。テレビ史の節目節目のキーパーソンには、どんな人物がいたかというアウトラインを、まず私が志賀信夫と青木貞伸に聞いた。志賀信夫とは銀座・三笠会館で、青木貞伸とは西麻布・北海園で食事しました。会ってしばらくしたら青木貞伸から「放送批評という雑誌がある。手伝ってくれないか」と電話があった。「私にできることがあれば、もちろん」と答えたら、放送批評懇談会から会費納入書が送られてきて「えっ? カネ払って手伝うの?」と思ったのが、私が放懇に入ったきっかけでした

●志賀信夫という人は、よくも悪くも放送批評の草分けで、「テレビ批評がカネになる」ことに日本で最初に気づいた人の一人ともいえます。放送批評懇談会は志賀信夫が一人で立ち上げたわけではないが、途中からは「志賀信夫個人商店」の趣きだった。放懇のカネ集めは、ほとんど志賀信夫が一人でやった。子どもがいないこともあってか、放懇をわが子のように育て、会に1億円を寄付しています(福島出身の山もちで、自宅周辺にもビルや喫茶店を持っていた)。放懇はもちろん、放送界の大功労者であり大恩人の一人であることは確かでしょう。そのテレビ評論の評価は、また別の話だとしても。私もいろいろとお世話になりました。ありがとうございました(合掌)

●私が放懇の機関誌・同人誌的な雑誌だった『放送批評』最後の編集長を務め、『GALAC』最初の編集長としてリニューアルしたときも、「GALACを別会社にして社長をやるか?」とか、いろんなことを言っていましたが、ある時点まではGALACの内容に一切口をはさまなかった。ただし、最終段階では「これ以上はやめてくれ。NHKを取るか、あんたを取るかという話になる」と言った。だから、どうぞNHKを取ってください、ということで、GALACで地デジやNHK問題を追及するのはやめました。私が『GALAC』編集長(編集委員長)になったのは1997年。放懇の規約に委員長や委員の任期の規定がないのはおかしいと私が提案し、弁護士の内藤篤と規約案を起草して毎月の理事会で1章ずつ検討し、2期4年の任期制が始まったのが2000年。以上は、私の任期が6月に終わる2004年はじめくらいのことで、当時のNHKは理事会で「GALACと坂本をなんとかしろ」と話していた

●いま、テレビと同様に放送批評懇談会も、大きな曲がり角を迎えています。よくも悪くも「志賀商店」時代は、放懇は志賀信夫の生活がかかっていたが、いまは違う。彼のように心血を注ぐ人は誰もおらず、発言力も存在感も薄れています。個人商店から会員数千人を擁する放送NPOへと脱皮できたわけでもありません。放懇は来年で設立50周年ですが、そろそろ潮時なのかもしれません

04-06
5市町の不明者、警察庁集計に含まれず 数千人分か……警察庁は5日、東日本大震災で被害の大きい岩手県山田町と宮城県仙台市、東松島市、山元町、南三陸町の5市町の行方不明者の数が、現在も同庁の集計に1人も入っていないことを明らかにした。(中略)警察庁によると、集計は各県警からの報告に基づく。5市町を担当するそれぞれの所轄署では親族らからの行方不明の届け出はあるが、被災者への対応などに追われて人数の確認に手間取っているため、警察庁への報告数に含まれていないという【以上、朝日サイト記事】
●当然です。毎日新聞の図説集では以上5市町村の行方不明者数は「不明」とあるから、朝日記事が特段新しい情報を付け加えたわけでもない。また朝日記事は「5市町の行方不明者は計数千人の規模になる可能性」と書くが、実際はそれよりはるかに多く、数倍以上です
だから、最初から言っているではありませんか。警察の発表報道だけでは話にならないのだ、警察発表(確認済みの死者数と届け出受理済みの行方不明者数)だけを伝えることは社会をミスリードする「誤報」同然だ、と。三陸リアス式の漁村は、左右に山が迫っており、しかも急斜面。つまり30〜50mの高台がすぐ近くにあるから、海岸線と平行に逃げて山に登ることができれば助かる。しかし仙台市若林区、名取市閖上地区、あるいはそれより南の沿岸部に山は少ない。地震の後、片付けなどをしていて逃げなかった人が少なくなかったという証言もある。しかも、車で逃げた人のうち、車列の後ろのほうは津波に飲まれた。ならば、歩いて逃げた人の大半は津波に飲まれたでしょう。関係者による(坂本が言ったのではない)行方(安否)不明の推定数が報道された自治体は、山田町1万5000、大槌町1万、南三陸町8000、陸前高田市1万、女川町5000、石巻市1万など、以上だけで合計5万8000人(3月25日現在。その後の報道はチェックしていないので、若干の変動はありえます)。これに、宮古、釜石、大船渡、気仙沼、仙台、名取、相馬、南相馬など、人口が多い市の行方不明者が加わる。依然として10万人規模が行方不明(当然、安否も不明)と考えるしかないでしょう
●そもそも、10万人規模が行方不明と思っていて、たとえば3万人が見つかって、どうやら最終的な行方不明者は7万人くらいと今年の夏に確定すれば、「3万人生きていてよかったね」という話。しかし、行方不明2万人規模と思っていて、たとえば5万人が追加されて、どうやら最終的な行方不明者は7万人くらいと今年の夏に確定すれば、「いいことなんか全然ない」と思いませんか? そのときまでの対応はすべて後手後手ですよ。田原総一朗によれば、遺体処理の責任者であるらしい内閣府副大臣が「最終的な死者は3万人くらい」と言ったそうだから、この政府は話にも何もならない。募金が1000億円集まっても、死者・行方不明者数が一切不明では、配りようがない。だいたいのあたりをつけるのは、政府として当然の仕事なのに、つけない。何度でも書くが、「統治」ができていないのです。統治の基本は人の数をかぞえること。秦の始皇帝も秀吉もやった。やらない日本政府は、本当に愚かです

04-05
●雑用いろいろ

04-04
●15時アスコム。高橋克佳と打ち合わせ。薬師寺・山田法胤管主の本を作ろうと
●17時、久野明に会いに放懇へ。先月末、ご母堂が亡くなりました。合掌
●18時、西早稲田かわうち。イーストプレス畑祐介と21時すぎまで。地上デジタル放送の本を出します

04-03
【04-02記事のつづき】2005年2月の中央防災会議「首都直下地震対策専門調査会」による被害想定の項目別詳細は、次の通り。なお、3月11日に首都圏で起こった出来事(たとえばコンビナート火災、液状化による停電や断水など)から、想定に漏れというか、甘い部分があったことがおわかりでしょう
【人的被害】午後6時に風速15メートルという最悪の想定で、震源が「東京湾北部」(東京湾北の奥直下)の場合死者1万2000人、震源が「都心西部」(都庁直下)の場合死者1万3000人
【建物被害】冬の強風下の夕方という最悪の想定で建物の全壊・焼失が約85万棟
【避難者】震度5弱以上に達するとされる地域の人口3680万人のうち、地震から1日後に540万〜700万人の避難者が発生。うち避難所生活者350万〜460万人、残りは親戚・知人宅などへ。1か月後に断水が95%復旧したとしても、150万〜270万人が避難所生活。うち家屋被害理由が120万〜240万人
【帰宅困難者】正午に発生した場合、都内で390万人、1都3県で650万人が、勤め先などから帰宅できず
【ライフライン】地震直後(1日後)の断水最大340万戸(1100万人に影響)、停電160万戸、ガス停止120万戸、固定電話の不通回線数110万。復旧は停電が数日だが、上水道は1か月、ガスは2か月近くかかる見込み
【交通】首都圏の高速道路は耐震補強が済んでおり落橋・倒壊などの大被害はなく、亀裂など中小被害700件。一般道路は大被害70件、中小被害が480件。鉄道は高架下を店舗に利用する箇所の耐震補強が遅れ、JRや私鉄など大被害30か所、中小被害780か所。1071ある岸壁は約480が被害を受ける。羽田空港は液状化によって滑走路の一部が使用不能になる恐れがある
【細い街路】倒壊した周辺家屋の倒れ込みで幅13m未満の狭い道路では通行支障。世田谷区、江戸川区、墨田区などをはじめ、環状6、7、8号線にかけて広く分布する老朽木造密集市街地で閉塞が発生し、通行やライフラインの応急復旧活動に支障
【交通被害による死傷者】朝8時のラッシュ時、脱線などによって新幹線100人、在来線や地下鉄200人の合計300人(「都心西部」の場合は400人)、道路では落橋など20人、ハンドル操作ミスで10人の計30人が死亡。負傷者は全体で1万3000人
【地下街・ターミナル駅】新宿地下街で群衆殺到事故が起こった場合は死者40人、負傷者900人。震度6強前後になるターミナル駅は新宿、池袋、上野、東京、品川、渋谷で、午前8時の発生想定では死者10人、負傷者420人
【中高層ビルのエレベーター】利用がピーク時の停止エレベーター基数は、住宅内が約18万(閉じ込め1500人)、事務所内が約12万(閉じ込め1万1000人)
【石油コンビナート】千葉県市原市では漏えい約120施設、破損約1500施設。神奈川県川崎市では漏えい約70施設、破損約870施設。いずれも出火は少ない
【直接的な経済被害】住宅、企業、家財、償却資産、在庫資産などの直接被害は35兆〜61.9兆円、ライフライン施設0.6兆〜1.1兆円、交通施設3.1兆円、河川施設0.2兆円、その他公共土木施設0.4兆円で、合計66.7兆円
【間接的な経済被害】人流・物流など道路・鉄道網の寸断による影響額は、1か月で5.0兆円、3か月で5.5兆円、6か月で6.2兆円。経済被害の波及は東京都13.2兆円、東京都以外の国内25.2兆円、海外0.6兆円の合計39.0兆円。合計45.2億円。前項の数字と加えれば、直接被害と間接被害の合計は112兆円

04-02
●以下、前日記事に書いた「南関東直下型地震」に関する追加情報
●中央防災会議の地震防災対策強化地域指定専門委員会は1988年6月の中間報告で、とくに南関東地域直下の地震の発生について「ある程度の切迫性を有している」と指摘
●1992年8月の検討結果報告で、南関東地域直下の地震のうちプレート境界近くで発生するものについて、次のように記載。「相模トラフ沿いの規模の大きな地震に先立ってプレートの潜り込みによって蓄積された歪みのエネルギーの一部がいくつかのマグニチュード7程度の地震として放出される可能性が高いと推定される。関東大地震の発生後既に70年が経過していることを考慮すると、今後その切迫性が高まってくることは疑いなく、次の相模トラフ沿いの規模の大きな地震が発生するまでの間に、マグニチュード7程度の規模のこのタイプの地震が数回発生することが予想される」
●政府の地震調査研究推進本部・地震調査委員会の長期評価(2004年8月)は次のように記載。「南関東直下でM6.7〜7.2の地震が、10年以内に発生する確率30%程度、30年以内に発生する確率70%程度、50年以内に発生する確率90%程度」
●政府の中央防災会議(会長=小泉純一郎首相)首都直下地震対策専門調査会(座長=伊藤滋・都市防災研究所会長)は2005年2月25日、首都圏で東京湾江東区沖を震源とするマグニチュード7.3(阪神・淡路大震災級)の首都直下型「東京湾北部地震」が起こった場合、冬の夕方6時に地震が起き、毎秒15メートルの強風が吹くという厳しい条件では、死者1万2000人、建物・道路・水道光熱網などが破壊される直接被害が約67兆円、設備被害による企業の生産低下や、物・人の流れの停滞・途絶による損失など間接被害が約45兆円、合計被害総額約112兆円と試算
●付言すれば、首都直下地震は、首都圏で200〜300年ごとに起こるマグニチュード8クラス(関東大震災級)の地震の合間に数回発生するとされるマグニチュード7クラスの地震。現在、関東平野北西縁断層帯、神縄・国府津―松田断層帯、伊勢原断層帯、立川断層帯、三浦断層群などの断層が知られているが、都心部では厚い沖積層に覆われて断層の存在が確認できず、しかも歴史的に動いた記録のない断層が2000〜数万年に1度動くことがありうる。したがって首都圏では、ほとんどの場所で、直下型地震が発生する可能性を否定できないと、坂本は考えています。なお、2004年8月の政府長期評価の「50年以内に90%」は、

04-01
●実家の地震対策をチェック。1970年竣工と古いビルだが、世田谷区奥沢駅付近に防災街区をつくる一環として建てられた10階建てで頑丈(地下をえらく深く掘ったのを子どもの頃に見た。ただし、衝立《ついたて》として大火災の延焼を防ぐというコンセプトだったが、このビルと裏の東急電鉄ビル2棟以外に衝立らしきビルはない)。柱は太いし、まあ震度7でも倒れないでしょう。家具も作り付けで、作り付けでないキッチンの食器棚だけは私が壁に固定してあったので問題なし。母親は「紙一枚動かなかった」と豪語
●しかし、余震(子地震)はともかく、兄弟地震(スマトラ島沖で3か月後に発生したような巨大地震。南北いずれかの震源域の延長線上で起こる恐れが否定できない)や、必ず起こるとされている南関東直下型地震が心配なので、食糧、電池、トイレットペーパーその他をチェック。以下はご参考まで。水を少々買い足したほかは前から準備してあるもの
●【実家(母親一人暮らし)の災害用備蓄】
・飲料水/茶20L(賞味期限秋〜来年までのペットボトル10本)
・チンするご飯200g×25(賞味期限秋まで)
・もち1.5kg(同)
・インスタントラーメン×10(同)
・カセットコンロ、カセットボンベ10本
・シーチキンなど缶詰×10
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・避難用ザック
・キャンプ用マット、寝袋、アルミ蒸着ブランケット、レインコート
・軍手、マスクその他
・懐中電灯、電池、ラジオなど(※ロウソクは厳禁
・リライアンス製ホールドキャリア(折りたたみ水タンク)20L×2
・キャリーカート
●もちろん風呂は流さない。また風呂にバケツを二つ置き水を溜めている(母が自分でそのようにしていた)。上記の備蓄以外にふだんの買い置きや冷蔵庫内の水が1週間分やそこらあり、孤立しても半月やそこらは大丈夫

03-31
●震度5で揺れた仕事部屋ほか、震災から初めて片付け。むろん全然片づいていないが、足の踏み場は確保。3時Speigelの依頼でTorin Boyd(Polaris Images東京チーフ)が写真撮影に来訪
●夕方、3週間ほど行けなかった世田谷・奥沢の実家(昭和3年生まれの母が独り暮らし)へ。2日ほど泊まる予定。家人が食糧や水を持って顔を出したり、兄が中国から帰ってきたりしたのに、まかせっきりでした。いざというときは自分が駆けつけると言ってくれた黒川公人カメ(カメラマン)ありがとう。何日か前には、義理の母や家人(中3のとき父を病気で亡くした)がたいへん世話になった伯父が亡くなったが、通夜にも葬式にも行けず。各方面に不孝不義理ご迷惑をおかけして申し訳ありません
●「面倒くさいことは最低のときに連続して起こる」とかいう法則があったと思いますが、それ。このクソ忙しい年度末に、クルマ(独国民車ステーションワゴン)の車検の時期となり、車検を通すのに五十何万円だかの見積もりが届き、仕方がないから新しいのを買った。確定申告もまだ出していない。なお、お陰さまで娘は大学を卒業したらしいです

03-30
●当面かかりきりだった仕事が一段落。4月中にアスコムがタイトルに「日本復興」と打って新書を発刊見込み。著者は竹中平蔵
●打ち合わせを止めていた編集者ほかのみなさん。来週お会いできます。ご連絡をお願いします

03-29【2:00】
●昼すぎ、ドイツのニュース誌『シュピーゲル』の北京支局長ヴィーラント・ワーグナーの取材@神楽坂。日本のメディアが今回の大地震や福島原発問題などをどう報道しているかを東京で取材中。「話にならない『発表報道』を続けている」との私の見方を、ヨーロッパでいちばん発行部数の多い週刊誌が伝える見込み

03-28【12:30】
●昨晩、田原総一朗から電話あり小一時間の長話。一点だけ、きわめて重大な問題(念のため先ほど田原に電話で確認)。日本政府による「最終的な死者数」の推定が少なすぎます。口にはしなくても、およその数字をつかんで動いているはずだと思っていたが、どうやら違う。間違った推定で動いています。政府中枢のどの副大臣がどのくらいの数字を言ったかも確認済み。きわめてまずい状況です
●政府関係者は、28日付け記事だけでよいから読んでください。そして(1)航空写真から全壊家屋数を推定し、(2)最大で何万人ほどが家を失ったかを推定し、(3)避難所にいる避難者数を引けば、それが最大の推定行方不明者数。(4)さらに避難所ではなく親戚・知人の家にいる人の数を引けば、それが現実に近い推定行方不明者数。「それは最終的に3万人くらいだろう」というのが政府中枢の現状認識とは、いったい何事ですか?
●毎日新聞の東日本大震災図説集から26日の被災状況(3月27日付朝刊)……大きく見やすいことはたいへん結構。数字を見ると、名取市は死亡者数640、行方不明者数1000、避難者数1934です
名取市閖上地区の被災後の航空写真……閖上《ゆりあげ》地区の人口は7103人。ほぼすべての家屋が消滅し、残った共同住宅にも現時点で人が住んでいないことは確かですね。では7103人は、どこにいるのですか? 上記の数を合計すると3574人。全員が閖上地区の人だったとして残り3529人は、どこにいるのですか? さらに名取市の別の場所で閖上同様の被害を受け、家を失った「万を超える」人びとは、どこにいるのですか? メディアは発表のタレ流しでなく、以上の問いに答える報道をして、安心させてくれませんか? ところで、判明分の被災状況は現実と大きく異なるかもしれないとは、思いませんか?
●【注】名取市は人口7万3229人、世帯数2万6433。名取市で家を失った人の推定数=名取市の大震災前後の航空写真から確認できる消滅家屋数×2。2.77倍しないのは、空き家、離れ、店、工場、作業小屋などを見込んで。別に1.5倍でも結構
●何が起こっているのか、数字だけを読まずに、想像力を働かせてください。南相馬市では確認済み死者が259人(26日現在)。どうなっているのか? 「原発の退避区域だから遺体収容が遅れているのだ」という説明は正しい。しかし、それは現実の説明になっていない。「南相馬市の沿岸部では、何百という遺体が放置され、カラスやカモメがたかり、取り残された犬もたかっている。鳥や犬が遺体を食い荒らしている」のです。明治三陸の古文書は、そういう状況だと絵と文字で記録した。平成大震災でも、海岸に遺体が放置されれば同じことが起こる。現地に行けないから、それは想像するしかない。江藤淳か吉本隆明だったか、松本清張『或る「小倉日記」伝』をめぐって「事実乞食」という言葉を使ったことがあると記憶します(たぶん小沢書店『江藤淳全対話』全4巻のどこかに出てくる)。そんな想像力がない者を、私は「事実乞食」として35年ほど前から軽蔑しています

03-27【14:30】
●だから、03-23【3:00】「レベル6が相当だと思う(とくに2号機)」と書いた。いちばん問題があるのは2号機だという認識を、書いたではないか。真水注入の件も03-19【0:30】「海水注入中だが、塩が弁やパイプにこびりつき滞るなど問題あり」と書いた。メディアは「なんで長靴をはかないか」なんてくだらないことを、居丈高に追及し、報道している場合だと思うか? 2号機の漏れた箇所の放射線量は、ほとんど致死量で、決死隊しか近づけない状況だぞ

03-26
●2時間ずつ2回寝るというような毎日で(目覚ましなしなのに2時間で起きるのが不思議)、テレビもチラと見るだけですが、昨日の朝NHKで、ようやくまともと思えるレポートを見ました。釜石市箱崎町(注:Google Earthで検索し、大震災前と比較してください)のレポート。「県も市も自衛隊も何もなし」と漁民。高台に100人が暮らし下の80人が行方不明とのこと。重機(2台あったうち燃料切れで稼働1台)を使い自分たちで瓦礫を片付け(遺体が見つかると「1人いたぞ」)、トンネルを通そうとし、瓦礫からカップ麺やペットボトルを拾い、ドラム缶で湯を沸かし風呂を作る。風呂を指して漁師は「哀れなもんだろ」と自嘲したが、とんでもない。力強い立派な暮らしぶりに敬服する。彼らのように生きている人びとが何千何万といることを願います。彼らの元に自衛隊がたどり着いていない。彼らへの支援が必要です
●ちなみに、明治三陸のレポート(1896年)はこちら。打上浪二十尺とは6mの波。家が2軒しか描いてないのは、残り全部が流されたのでしょう。前川伝蔵宅の海側の石垣は海抜7.5mで、「新宅地見込地」をそれより陸側に設定している(流れた宅地は36m陸側に移せといっている)。国土地理院の航空写真にかぶせた地図の「3」は海抜3mで、いちばん海側の等高線が海抜10m。実際、今回の大津波で、海抜10m以下の家は軒並み流された。みんな「未曽有《みぞう》の大津波」という。そのとおりだが、明治三陸(1896年)の津波に洗われた場所に家を建てなければ、多くの家が助かったことも事実。昔の人は偉かった。みんな115年前のことを忘れていたのだと思います
●箱崎は浪走り百七十間。つまり湾の幅300m。両側は山で高さ10m、20mと急に立ち上がっています。だから、平地を囲む山の左右と奥の3か所に階段を設け、20〜30m上れるようにしておけば、平地のどこにいても2〜3分(150m+α)で階段までたどり着くことができ、10分ほどで全員が避難できるはず。今回はそのようにすべきです。三陸のほかの漁村も同様です
●必見です→津波ディジタルライブラリィ津波文献大水海……1000体の遺体が流れ着いた場所は、時間がたったこともあり、大水海が描くよりもはるかに悲惨、凄惨な状況でしょう
放射性物質:食品や飲料水、規制値緩和へ 食品安全委(毎日新聞 2011年3月25日 22時42分) 食品や飲料水に含まれる放射性物質について、内閣府の食品安全委員会は25日、暫定規制値の根拠となっている健康への安全性の許容範囲を広げる方針を固めた。……「このままでは、東日本産の野菜や果物が全部食えなくなりかねないというのは、当然の懸念。ならば、キャベツは外側から何枚むきよく洗えば問題ない(ただし乳幼児はダメ)というように、考え方や指針を変えるべきでは?」「安全ナンタラという審議会には、専門家はいない。御用学者の数をいくら集めても無意味」「長期化する想定のなかで早期に厳格な基準を適用してしまうと、広範囲で問題が生じて大混乱し、後で困るのでは?」と当欄に書いたのは23日未明。頼むから先を見通してくれ

03-25
【この項のみ24日午後執筆】SPEEDIの内部被曝の予測(原子力安全委員会)……◆屋内でも最大4分の1の被曝と明記している。就学前の子どもは全員、いちばん外側の等値線の外に脱出しなければなりません(大人は関係ない。残りたい年寄りは残ればよい)。
◆放射能物質の広がり方に注目。拡散図はチェルノブイリ同様にチョウチョウ型(右方向から飛んできたチョウチョウを上から見た形)。メディアが誰一人解説しないため、坂本があえて素人判断を書きます。福島第一原発付近で吹く「陸向きの風(海からの風)」は、(1)南南東から北西(やや北北西より)向きの風、(2)南南西から北北東向きの風の二つ。以上の風向きは昼夜または日によって逆転しがちと思われる。(3)西から東には山から海に吹き下ろす風が(わりといつも)吹く。(4)放射性物質の広がり方は、標高とあまり関係がない(浪江町西部、葛尾村、田村市東部、川内村などは標高400〜600mの阿武隈山地。山が海に迫る場所を除き、どこも海岸線から数キロ〜8キロも陸に入れば200mほどの山。にもかかわらず、飛んでいる場所と飛んでいない場所があるので)。福島市で比較的高い数値が観測されるのは(1)による
◆放射性物質は今後も出続けるため、40〜50キロ圏内の汚染地域は、だいたいこのチョウチョウ型(の拡大型)のように広がる(現在の等値線内では汚染度が増す)と考えてよい。ただし、日によって風の様子が大きく変わる場合は話が違う(専門家の分析が必要。さっさと分析すれば)。なお、千葉や東京は(2)の延長線上にある。途中に風の道がある(たとえば鹿島灘から都内に海風が吹き込む)ことや、日によって風の様子が大きく変わるかもしれないことから、100〜200キロ圏までチョウチョウ型を拡大できるかどうかは不明(専門家の分析が必要。同)。SPEEDIは時刻・高度によって風向き・強さが違うといった気象・地理的条件と、放射線量が時間に比例して増え、距離の二乗に反比例して減ることを考え合わせて計算する。放射性物質の多くが海に広がり、首都圏にあまり飛んでいないことを示す図があるかどうか。いずれにせよ地震から13日目にこの図1枚では、SPEEDIは、SPOILED Information=System for Prediction of Environmental Emergency Dose Informationに名称変更したほうがよい
【東北関東大震災の被害概要】(これも、どのメディアも一切触れないため坂本が★超大雑把に★推定)◆死亡1万(警察発表)・行方不明12万人以上(推定根拠は03-14記事を参照。当初推定の16万人から自衛隊などが孤立状態から救出した3万人と警察が確認した死者数1万人を引く。警察が届け出受理済みの行方不明者1万7000は含む。【26日追記】仙台市沿岸を過小に見ている分、さらに増える恐れはある。「16万は16万±4万でもよい」と書いたのは、その分。なお、この推定は超大雑把だが、それでも警察発表を現実と思うよりはるかにマシだから敢えて出した。「その推定は粗っぽい」と批判したつもりの声をネットで見かけたが、もちろん粗っぽい。当たり前。念のため「★超大雑把に★」と書いておく)◆家屋全壊20万棟以上?(新旧の航空写真を並べて数えればわかるが、数えるヒマがない。米軍は孤立集落に支援物資を届けるため、被災地上空から人を確認できる精度で写真を撮影し生存者の有無を分析中数えたはずだが、日本政府が数えたかどうかは不明)◆家屋半壊・一部損壊計100万棟以上◆避難人数24万500022万人(ピーク時40万人以上)◆被災者100万人規模◆被害総額20兆円以上(福島第一原発関連分を含まず)
【補足1】関係者による行方(安否)不明の推定数が報道された自治体は、山田町1万5000、大槌町1万、南三陸町8000、陸前高田市1万、女川町5000、石巻市1万など。以上だけで合計5万8000人。【補足2】上記と、自治体別の警察確認済み死者数(25日)を比べると、山田町405、大槌町481、南三陸町398、陸前高田市875、女川市245、石巻市1946。陸前高田市と石巻市を除けば3〜5%にすぎず、確認済み死者が二百数十人という自治体も少なくない。瓦礫撤去の困難さ、水没・未到達・原発避難地域などの広さ、陸上で遺体を発見することの困難さ、情報の途絶などによると思われる。名取市の確認済み死者は552人だが、この写真たった1枚から推定される行方不明者だけでその数倍以上。【補足3】大津波映像を見ればわかるように、行方不明者の多くは海に流された。沿岸部に展開する艦艇(海上自衛隊、海上保安庁、米軍など)が海上で相当数の遺体を収容するものと思っていたが、数字が発表されないのは、見つけても収容しない方針か、ほとんど見つからないか、どちらなのか。なお、ほとんど見つからなくても不思議はない。海ではクジラ、イルカ、マグロなど大きなものも含めて何億何十億という生物の寿命が尽きるが、それが海上に漂っているのをほとんど見かけないので。時をへて、どこかの国の海岸に「△△小×年×組○○○○」と書いた水筒や学用品が流れ着くとしたら、やりきれない。【補足4】最終的な死者数は、2011年3月時点の住民台帳に名前があり、生存が確認できない人のうち、大震災以外の理由で亡くなった人を除く人数をかぞえて推定するしかない
【参考:阪神・淡路大震災の被害概要】◆死者6434人、行方不明者3人、負傷者4万4000人弱◆家屋全壊10万5000棟◆家屋半壊・一部損壊計53万5000棟◆避難人数31万7000人(ピーク時)◆被害総額10兆円
【福島第一原発の現状】◆1〜3号機で原子炉格納容器(配管、弁、2号機圧力抑制室など)から放射性物質が漏れている恐れ◆1〜3号機でメルトダウンが起こった恐れ◆1〜3号機とも国際原子力事象評価尺度INESレベル6相当の恐れ◆チェルノブイリのような爆発は回避できており、今後も格納容器の大破壊は(放射性物質の放出と引き換えに)回避できる見込み◆電力復旧・冷却のプロセスが軌道に乗り、問題がなくなるまでには4月いっぱいかかるとの見方も◆漏れと放出が長期化すれば、いずれチェルノブイリと同様かそれを超える放射性物質が放出されてしまう。そのときはレベル7で世界史上最悪の原発事故に。【追加】チェルノブイリよりよいニュースは、(1)格納容器がある、(2)大爆発していない、(3)黒鉛減速材による黒鉛火災がない。チェルノブイリより悪いニュースは、(1)少なくとも3基に問題があり出力は1号機46万kw2号機78.4万kw3号機78.4万kw(チェルノ4号炉100万kw)、(2)放射性物質の放出が長期化する(チェルノ大量放出は10日間)、(3)1〜4号機で使用済核燃料プールの問題がある、(4)3号機でプルサーマル燃料を使っている

03-24【1:00】
●24日9時〜1時間半、衆議院総務委員会。主なテーマはNHK予算の承認だが、被災地における「地上デジタル放送完全移行(地上アナログ放送終了)の延期」につき、複数の議員が質問する見込み。提案理由説明は総務大臣・片山善博、補足説明はNHK会長・松本正之、質疑者は永江孝子(民)、橘慶一郎(自)、稲津久(公)、塩川鉄也(共)、重野安正(社民)、柿澤未途(み)で各15分。東北の被災3県では、7月24日までに現行の地上アナログ放送を終了することは、絶対にできません。そんなことは、ほとんどすべての日本人が許さない。また、3月11日以降「最終行動計画」が頓挫《とんざ》中。アナログ放送の終了告知も停止中。全国でお年寄りの家を訪ねるはずだったボーイスカウトは大震災の募金をしているし、首都圏で新規にデジタルテレビやアンテナを買うカネのある者は、ペットボトル(水)、コメその他の食糧、ガソリンなどを買っています。この非常時に、簡易チューナーを配るヒマな役所もない。東芝や日立は薄型テレビを売るより原発をなんとかするほうが先。東京電力管内では、7月になってもまだ計画停電が続く見込み。全国的にも、事実上の延期しか打つ手はありません。福島第一原発の問題には人災の側面がある。総務省や放送局が地デジ強行で人災を追加することは許されない。この件、明日の『日刊ゲンダイ』に寄稿します
浦安市、選挙を拒絶…「期日通りは不可能」と(2011年3月24日00時39分 読売新聞)千葉県浦安市の松崎秀樹市長は23日の記者会見で、「投票所の安全が確保できない。期日通りの実施は不可能」と述べ、国と県選挙管理委員会に対し、投票所の使用許可を出さず、市職員を選挙事務に従事させない方針を示した。……浦安市長の主張は正しい。市議会と共闘すべき。「地方自治」はその地域の住民のためであって、総務省のためではない。全国自治体は、停電もない霞ヶ関に安住し勝手な言い分を被災地に押しつける総務省に「ふざけるな!」と猛抗議すべき。彼らが地方に配るカネは、彼らのカネでは全然ない。配る事務をやっているだけの連中に、デカい顔をさせる必要はない
地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後 修正版(大前研一、YouTube75分)東京電力をクズ会社と断定しています。中長期的な視点は参考になるはず
石橋克彦「原発震災−破滅を避けるために」(岩波書店『科学』Vol.67, No.10 1997年10月号)……今回のような問題は起こりうると警告していた地震学者の主張。もっぱら浜岡について警鐘を鳴らしていたが、福島でした
●放射性物質の量と拡散地域の推定を日本政府が発表しない(または推定しない)ため、各国組織がどんどん推定値を出し始めています。オーストリア気象当局は、福島第一で3〜4日の間に放出された放射性物質セシウム137の量は、旧ソ連チェルノブイリの原発事故後10日間の放出量の20〜50%に相当すると試算(共同)。もし正しければ、いずれ福島が超えてしまう。また、チェルノブイリの汚染地図がチョウチョウ形(原発は左側の上下の羽根の付け根付近)をしているように、日本でも汚染地域は同心円状にならない。北西40キロ地点ではセシウムによる土壌汚染が確認された(NHK)。当欄12日付け記事で原発トラブルの処理につき「大丈夫、数日間の猶予はあるはずです」と書いたが、期待していた初動に失敗し、すべてが後手後手となった。「放射線量に変化はないが、煙が上がったから退避」だの、原子力安全委員会トップが事故後初の記者会見(23日)で「1号機の核燃料はかなり溶融している可能性。原子炉内の温度、圧力の異常上昇が続き、危険な状況」(読売新聞)と言うようでは、圧力容器の破壊を食い止めるのが精一杯で、放射性物質のダダ漏れが続きます。私のように50代とかお年寄りは心配しても(動いても)仕方ないが、若い人や子どもたちで離れることができる人は、そうしてください。そのほうが暮らしやすい。しっかり勉強して海外に出るのもよいでしょう。地方から出て来て東京で一旗上げようと思う人は、違う国で頑張って。すでに書いたとおり「原爆が落ちたと思うべき」深刻な状況です

03-23【3:00 適宜追加13:00】
●必要なことを丁寧にサイトにupしたいが、時間がなく残念です。最小限のことだけ。死亡・不明2万2000人超(3月23日0時30分NHKサイト)に「明治以降、最悪の津波災害となり、関東大震災に次ぐ甚大な被害となりました」とある。3月11日に発生した巨大地震は、10日間以上最悪ではなかったのに「とうとう最悪になった」と言いたいらしい。100%間違い。このニュース原稿を書いたのは誰? こんな情報に何の価値がある? 3月11日時点で、行方不明者が数万以上の規模であることは、まともな分析力のある者にはわかっていた。NHKは分析力がないのか? 分析力があって黙っていたなら、なぜなのか?
●メディアは「厚生省局長が郵便不正事件に関与した」と報道してはいけない。メディアは「『厚生省局長が郵便不正事件に関与した』と検察が発表した」と報道しなければいけない。検察が証拠を捏造《ねつぞう》し、いい加減な供述証書をでっち上げていたのだから、そのことは、もう学習済みではないのか? なぜNHKは過去の失敗に学ばない? 同じことである。メディアは「死亡・行方不明が2万2000人超である」と報道してはいけない。メディアは「『死亡・行方不明が2万2000人超である』と警察が発表した」と報道しなければならない。そして、厚生省局長が郵便不正事件に関与したかどうか疑わしければメディアは独自に取材すべきだったように、死亡・行方不明が2万2000人超が本当かどうか疑わしければメディアは独自に取材すべきである(注:NHKだけを名指ししているが、その他多くの放送局・新聞も同様)
●たとえば、今回の大震災による全壊戸数は、Google Earthと国土地理院の映像を比べて数えれば(未撮影地域があるにせよ)だいたいわかる。アルバイトを動員して数えさせれば、少なくとも自治体発表より現実に近い数が出る。「全壊戸数はわからない」「取材できない」という言い訳は通用しない。宮城県名取市閖上《ゆりあげ》地区には2551世帯7103人が住んでいた。閖上三丁目は119世帯341人、閖上四丁目は272世帯762人、閖上五丁目171世帯530人、閖上六丁目は426世帯1069人。1世帯あたり3人近く、2人以下の東京とは事情が違う(例:東京・新宿区は17万世帯28万人+外国人2万8000世帯3万5000人)。しかも漁村で職住近接だから、オヤジは20キロ離れた会社で勤務中で難を逃れた、という話にならない。子どもたちも家に帰る時間帯。車ですぐ逃げた人は助かったはずだが、その他地区の生存者証言から、逃げずに片付けなどしていた人が多かったと思われる。その人びとが住んでいた家のほとんどが消滅した。それは3月11日に起こったことで、行方不明もその日に発生した。それなのに警察発表にないから報道しないという態度は、おかしい。そもそも行方不明者に申し訳ないと思わないか? 閖上住民から受信料を取っていたNHK職員は、胸が痛まないのか?
●さらにNHKは、不謹慎にも、大震災報道をスポーツ報道か何かと勘違いしているように思われる。何が不謹慎といって、明治三陸地震(1896年)の犠牲者2万2000人というのは「死者数」なのだ。ところがNHKは「警察庁によりますと、今回の大震災で、これまでに死亡が確認された人は9199人となり、警察に届け出があった行方不明者をあわせると2万2000人」と言い、しかも「明治以降の国内の災害では、大津波でおよそ2万2000人が犠牲となった1896年の『明治三陸地震』を超える最悪の津波災害」と言ってしまった。つまり、警察に届け出があった行方不明者を全員死者と見なしたうえで「明治三陸を超える」と断言した(注:見なさなければ死者9000だから、明治三陸を超えない)。これは身内に行方不明者を抱える人びとを絶望させる、あまりにも無神経、不謹慎で、異常な報道である。警察に届け出をした人は、NHKに抗議して当然だ。私は「行方不明者16万人規模」と書いても「死者16万人規模」と書いたことはない。この二つは違うのだ。行方不明者の多くが亡くなった恐れがあると認識していても、断定は一切していない。そんなことは(NHK記者を含めて)物書きの初歩だ。NHKは、自分が何を報道しているか、わかっていないのではないか
●そもそも今回の死者・行方不明数が、100年以上前の地震の死者数を超えたから、何だというのだろう。いま、何が起こっているかを、もっとも現実に近い形で伝えるのが報道の役割だ。それをやらず、3月23日未明に死者・行方不明数に関してNHKが報道したことは、(1)警察発表を右から左へとそのまま伝え、(2)ついでに「明治以降、最悪の津波災害」という新情報を付け加えたわけだ。この新情報は、警察発表にはなく、NHKの「分析」による(警察は行方不明と死亡を分けて発表した。NHKがごっちゃにした)。無神経で不謹慎なことはさておき、原稿を書いた記者や、読んだアナウンサーに聞きたい。警察発表に、理科年表を開けば載っている数字を新情報として付け加え、ニュースとして放送することは、恥ずかしくないか? あるいは虚《むな》しくないか? 東北の空に向かって考えてごらん。私ならば、居ても立ってもいられないほど恥ずかしくて虚しい。メディアに関わる者は「こんなことしか伝えられず恥ずかしい」「こんなことしか伝えられず虚しい」という感覚を失った時点で失格だと、私はつねに思っている
【相変わらず福島第一が大問題】1〜3号機、とくに2号機。当方の見落としもあるかもしれないが、次がわからない。記者のみなさんは質問し、報道してください。【1】原子力災害本部の発表資料で、モニタリングデータを取る場所を移動し、最近は「事務本館北」に限っている理由は? 空欄は、なぜ空欄?(故障なら交換せよ。電気は通じたはずでは)【2】モニタリングポストMP1〜MP8の敷地内の詳細な位置とおよその風向きは?【3】事務本館北で3〜4ミリシーベルトならば、原子炉建屋そばでは数百ミリシーベルト以上が出ている恐れがある。出ていないという証拠はあるか?【4】弁を開けて圧力を下げるとき、どこからどの方向へ放射性物質が出る?(例:これこれの排気筒から上に向かって、とか)【5】上空のモニタリングをなぜしない?(米軍に頼んで無人機を飛ばすか、無線の飛行船でも飛ばせば?)【6】弁を開けるといった操作で出る放射性物質と、操作しないのに出る(漏れている)放射性物質を、どこから、どれくらいと推定している?(どこまでわかって操作している?)【7】水位と圧力の測り方は?(通電前と通電後は、何がどう違う?)【8】58メートルのアームを持つ生コン圧送機を使って放水したと。その先っぽにカメラをつけて、使用済核燃料プールの映像を撮ったのか?(撮ってないなら、なぜ撮らない?)【9】米軍放射能即応部隊の応援を、なぜ頼まない?【10】国際原子力事象評価尺度(INES=、International Nuclear Event Scale)は、主として基準1(事業所外への影響)と基準2(事業所内への影響)を判断し、「基準1で見てレベル6・基準2で見てレベル5」なら高いほうを取ってレベル6とするのが私の理解。基準1でレベル5と6を分けるのは、放射性物質の外部放出量。多くの箇所で落ちているものを拾って測れば、出元の全体量は推定できる。これは現段階でどの程度と推定? 経産省の資料では、レベル6は「相当量の放出」でレベル5は「限定的な放出」。広範囲に放射性物質が降下しており、コントロールができていないことからレベル6が相当だと思う(とくに2号機)が、暫定的にレベル5は怠慢では?
【野菜から放射性物質の件】露地ものとハウスもの、どちらも放射性物質が出るのはなぜ?(ちゃんと覆いをしたハウスでもダメなのか?) すでに日本の47都道府県のうち10分の1近くで、野菜類を出荷できない事態。放射性物質は時間に比例して増えるから、さらに10日、1か月と続けば、都道府県数はもっと増える。このままでは、東日本産の野菜や果物が全部食えなくなりかねないというのは、当然の懸念。ならば、キャベツは外側から何枚むきよく洗えば問題ない(ただし乳幼児はダメ)というように、考え方や指針を変えるべきでは? 私は52歳だが、10年後にガンで死ぬ確率が何%上がろうがかまわない(タバコを吸うから、もともと何%か上がっている)。子どもや乳幼児は別だが、ホウレン草を売っていれば買って食べようと思うし、年寄りもそうすべきだと思う。先の見通しがないのであれば、政府はそのように先手を打て。メディアも先を見通した報道をせよ。風評被害についてはこちら。食品安全ナンタラという審議会には、専門家はいない。御用学者の数をいくら集めても無意味。各方面の専門家でPTをつくり(農業の専門家と原子力の専門家だけではダメ。財務、貿易、物流、商業、食品衛生、栄養、調理法、広報、メディア、大衆心理などのプロが必要)、検討を開始せよ。水道も同様
“状況の長期化 想定し指示”(3月23日12時30分NHKサイト)枝野長官は、「一時的に食べても健康に害を与えるものではないが、こうした状況が長期にわたって継続することが想定されるなかで、念のため、早い段階から出荷を控えて摂取しないことが望ましいとして指示した」。……話が逆では? 長期化する想定のなかで早期に厳格な基準を適用してしまうと、広範囲で問題が生じて大混乱し、後で困るのでは? 新潟の穀倉地帯と福島第一は200キロも離れていない。現在の対応を決めたとき、ちゃんと秋の収穫のことを考えたのか?
3県全域で地方選挙の延期は常識。総務省はとんちんかん。地方自治体と議会が「うちは選挙はできない」と決めれば、総務省にやらせる権限はあるまい。だって「地方自治」なのだから。総務官僚を東北3県の自治体に出向させ、実体験を積ませよ。アナログ終了延期も既定だが、どうしても延期したくなければ、総務官僚が被災地(福島第一の半径30キロ圏内を含む)に行き、簡易チューナーを配ってアンテナを建てるがいい
●東京電力からの広告収入をあてにしているメディアは、年内にこの会社はなきものと思え(日本政府が接収する)。福島第一にかかる全コスト、その他全原発の地震対策費、損害賠償額、および通常コストの合計が総資産額を超えれば、存続はできない。過去にあったメディア関係者の接待攻勢も、もはやありえない。広告収入をあてにして必要な報道を抑制する時期は過ぎた。そんなものをあてにするのはやめ、自ら必要と思う報道を始めるべきである。なお、広告収入に依存しないNHKだけは、原発について比較的よく報道している

03-22
東北三県被災地の航空写真(左側が大震災前)──取り急ぎ、準備できたものだけ(坂本衛)(地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトのブログ 2011-03-22記事)

03-21【0:40】
1〜6号機の表面温度は「安心の数値」…防衛相 読売記事によれば、北沢防衛相は「すべて安心していただける数値だ」と述べた。バカじゃないか? 安心できる低温なら、なんで命懸けで冷やし続けるんだ? 日本国政府は、原子炉のことを何も知らないド素人の防衛大臣が、原子炉建屋の温度を外から測っただけで、全国民に「安心できる」と伝えてよいと、本気で思うのか? 福島原発の安全性についての政府見解を出す責任者は、誰なのだ? 防衛大臣のはずがない。野党はただちに更迭を要求せよ。官房長官は、何をやってんだ?
【この項のみ13:10追記】 某新聞ラテ部と電話で1時間話したのち14:20up。福島第1原発:「全プール100度未満」防衛相(毎日) 「発表報道」以外に専門家の分析(温度測定、建屋構造に詳しい専門家複数の合議が必要)をつけよ。【1】900m離れた場所からの赤外線による温度測定の誤差、【2】3号機格納容器上128度の場合の、格納容器内と圧力容器内の推定温度、【3】天井の下に隠れている2号機格納容器上がピンポイントで50度、100度、150度、200度だった場合の建屋表面における各推定温度、以上を示せ。常識的に考えて、2号機格納容器上の温度がピンポイントで3号機同様128度だったとき(現在は不明)、その熱が空気(=断熱材)を隔てて天井全体に広がり、2号機建屋の表面温度が35度示すことは、当然ありうるのでは(その温度は雨が降っただけで何度か下がるはず)。それが、なぜ「国民が安心してよい数値」なのか? 「建屋表面が35度だから、2号機格納容器内の温度が300度、圧力容器内の温度が数百度以上には絶対になっていない」という確証はあるのか? 確証があるならば、示したうえで「小康状態だ」と言え。確証がないならば、大臣は「安心できる」という妄言を吐くな
●当サイトに「消防車は? 電源とポンプを遠く離れた場所に置く作戦は?」と書くと(16日)、消防車が出てきて(18日東京を出発)そのオペレーションをする。「戦車は? 放射能に強いし、障害物を吹っ飛ばせる」と書くと(19日)、戦車が出てくる(「原発内のがれき除去に戦車投入へ 防衛省」2011年3月20日18時55分 朝日)。朝日記事は「放射線が高い場所でも、隊員が車両内にとどまったまま作業できるメリットがあるという」と書く。なんで? 記者が、地震や軍事や危機管理について書いたことのある私より遅いのは当然だが、なんで消防や自衛隊は、もっと早く言い出さないんですか? こちらは別の仕事をしながらだから、考えたことを1〜2日遅れでサイトにupしているんですよ。頼むから先手を打ってください
●面倒くさいから書かなかったが、自衛隊が放射能汚染下オペレーションのまともな訓練をしたことがなく、装備も手薄なことが、そもそもおかしいのです。「テロとの戦い」の時代に入った2000年代以降は、原発がテロの標的となるかもしれないと考えるのは当たり前。装備を拡充し訓練を繰り返すのも当たり前。やっていないのが軍隊として怠慢。今回ブルドーザ代わりに使う74式は、40年近く昔のポンコツ戦車。90式は高価で数が少ない虎の子だから「『排土板』なんてみっともないもの、つけられるか」と思っている。それが間違い。極論すれば、日本の防衛に戦車なんて要らない(注:戦車は、第一義的に対戦車用兵器。日本の戦車が戦うときは海自・空自・米軍が全滅して敵の侵略を許したとき。そのとき戦争は終わっている。陸続きのドイツの戦車は侵略を許さないために戦うことができるが、日本の戦車にはできない。だから要らない。二義的には歩兵の支援兵器。それは占領オペレーション用だから要らない。自衛隊の歩兵は「侵攻」や「占領」ということをしない。それが必要なときは手遅れ。注の注:以上は元防衛大臣・防衛庁長官の石破茂と長時間議論し、石破・小川和久著ビジネス社『日本の戦争と平和』に執筆済み)。どうせ要らないのだから、74式部隊はさっさと手仕舞い、90式だけにして(少しはないと格好がつかない)、うち何台かをブルドーザ仕様にしておくのは当然。それから今回は、90式も持っていけば。万が一、2号機や4号機の建屋上部にデカい穴を開ける必要が生じた場合に備えて(よく知らんが、爆発させずに穴だけ開けられるでしょ)
●ええっ? 戦車、自走しないのか? かっこ悪すぎ。昔は戦車、そこらをよく走っていましたけどねえ。聖パトリック幼稚園のとき、山手通りを走るのを見た覚えがある

03-20
【リンクいくつか】平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震正射写真地図(国土地理院) 被害の全貌を見るのは、これが最良でしょう。Google Earthと並べて見れば、何が起こったかわかる。等高線が入っているから、津波が標高何メートルにある家まで壊したかもわかる。当欄で繰り返し書いたように、メディアがまったく報道しない小漁村や集落が軒並み、ほぼ壊滅状態です。発表も報道もない(注:発表がなければ発表報道はない)から、自衛隊が入ったか、自治体が存在しているか、食糧や飲み水が足りているかなどは不明。したがって依然として10万人以上(十数万人)が行方不明。小さい漁村は山までの距離が短いため、地震発生から一目散に全速力で高台を目指せば、命だけは助かった可能性がある。可能性はあるが、情報がない。なお、鮮明でサイズの大きい航空写真ですが、すぐ表示するものとなかなか表示しないものがある。人口密集地域や有名地区の写真は大勢がアクセスしているのかしれません。国土地理院には複数のミラーサイト開設を勧めます
Japan Earthquake and Tsunami(GeoEye)
Satellite Photos of Japan, Before and After the Quake and Tsunami(The New York Times 中央つまみを左右にスライド)
大震災前後の俯瞰写真95枚(Google)
東北関東大震災・非公式・放射性物質モニタリングポストMAP
●もう四半世紀前の1986(昭和61)年7月、家人と東北に行ったことがあります。建ったばかりだった宮城県松島町の「ホテル一の坊」(母の知人が設計)に泊まり、家人はプールで泳ぎ(水がキライな私はパス)、町を歩き、五大堂を見物し、松島タワーにも上った。小さな船で松島巡りもした。あの付近一帯が壊滅したとは、どうにも信じられません【18:30追記 ホテル一の坊付近の航空写真を見ると、駐車場に整然と車が並んでおり、機能しているよう。橋を渡った松島海岸郵便局付近は水につかっているようですが、家屋は建っている。松島は島々が衝立《ついたて》になって湾の入り口が非常に狭いため、津波被害が小さくて済んだかも】。隣の塩竃にも行き、塩竃神社にお参りも。さらに花巻まで行って、賢治さの墓に花を手向けた。羅須地人協会の黒板の「下ノ畑ニ居リマス」の字(弟・清六さの字)も撫でた。その日は鉛温泉に泊まりました
●いま、宮澤賢治の『グスコーブドリの伝記』を思い出します。すでに何人ものグスコーブドリがいて倒れたはずで、福島でも何人か出るかもしれない。クーボー大博士やペンネン技師も、苦悩のなかにいるのでしょう。賢治ならどうするか、何を言うかとも思います。ただ大循環の風に放射能が乗るかもしれないという事態だけは、これは賢治には想定外。私たちには想定できたはずだが、しなかった。虚しい
●「湾の形が陸地側にむけて先細り(上から見ればV字型。立体的に見ればメガフォンのような円錐形を半分にした形)になっていれば、行き場を失った波は、ますます高くなります。こうして、もともとは高低差が数mの波でも、場所によっては数十m、十数階建てのビルを越える高さになります。」「震源域からの距離とともに重要なのは海底の地形。三陸地方のリアス式海岸のように入り江の奥に集落がある場所では、津波は予想外の高さになります。過去に津波災害で犠牲者が出ている場所では、大きな地震があったら、すぐに高台に避難することが大切。テレビやラジオの情報は間に合わないことがあります。」「インド洋大津波では、海水がいったん引いた、沖に一筋の津波が見えたなど、海の様子が変だとわかっても、ビデオを撮り続けている人が大勢いました。あのような異変に気づいたら、とにかく陸の少しでも高い場所に、一目散に逃げなければなりません。津波はふつうの意味の波ではなく『海水の壁』です。沖に見える一筋の白波の後に、2階建てや3階建ての高さの盛り上がりがずっと続いていることを忘れないでください。」──これは6年前、部数40万ほどの月刊誌に私が書いた文章です。三陸を襲う大津波は30〜40m級になりうると書いているから間違ってませんが、だから何だってんだと、我ながら思わざるをえない。やはり虚しい。この文章を覚えていて高台に駆け上った人が一人でもいてくれればと思うが、やっぱり、だから何だってんだ、ですね

03-19【0:30】
【リンクいくつか】Google Crisis Response(Person Finder=消息情報は当サイトにも貼り付け済み。33万件の情報あり。これに比べてNHK教育の安否情報は、まったく役に立たないうえ受信料の浪費)
IAEA Update on Japan Earthquake(国際原子力機関)
Institute for Science and International Security(科学・国際安全保障研究所。アメリカのシンクタンク)
DigitalGlobe(福島第一、南相馬、仙台などの衛星写真)
首相官邸
※以上にアクセスできる人は「発表報道」しかやらないテレビ・新聞など不要(直接アクセスしたほうが早い)。そんな人の数は今後どんどん増える一途。テレビ・新聞がみんなから不要あつかいされ、おまんま食い上げになりたくなければ「非・発表報道」をやるしかない。でもやらないのは、言論報道機関として自滅の道。一方、WEBさえあればよいと思う者たちも、情報リテラシーがなければ原発は安全と言い張る「発表報道」だけに頼るも同然だから、自滅の道
宮城県警察(「氏名の推測ができない(身元不明)犠牲者の方々の一覧」というようなファイル。これでもほんの一部かと思うと、本当に悲しくやるせない。名札や車のナンバーの記載まであるのに)
都道府県別環境放射能水準調査結果(文部科学省)
原子力・エネルギー図面集pdf(第5章「原子力発電の安全性」)
東京電力(計画停電マップなど)
●締め切りに追われているので、19日昼の情勢判断のみ。優先事項は【1】原発安定化。福島原発1〜3号機はINESレベル5で、同5「メルトダウンで燃料の45%62トンが圧力容器底に溜まったが、冷却系が作動し1日で収束。死者なし」のスリーマイルよりはるかに深刻・危険な状況に陥った原発が3基、東京の200キロ北に存在。海水注入中だが、塩が弁やパイプにこびりつき滞るなど問題あり。4mの燃料棒が浸る水位は1〜2m程度。温度不明。燃料溶解量不明。原子炉(圧力)容器(内側カプセル)内と原子炉格納容器(外側フラスコ型)内の圧力が低いことは爆発危険性の低下を示すと思われ朗報(むろん漏れているから圧力が低いわけだが)。電源復旧で冷却できる可能性も残っている(万策尽きれば本格的メルトダウンで、そのときはそのとき。大爆発だけは避けたい。さらにその先の可能性は、書いても無意味)。【2】生きている被災者への水・食糧・医薬品・燃料の供給(システム構築)。避難所にいる被災者は30〜40万人規模。避難所民と同様に水・食糧が足りず自宅にいる人数は、最大数十万人規模(過去の例では避難所にいる人より多い)。なお、推定行方不明者約16万人のうち2〜3万人を自衛隊・警察・消防などが救出した可能性があり、警察が確認済みの死者は約7000人。以上を除き、依然として行方不明12万人以上。【3】被災していない地域の被災者受け入れ準備(システム構築。とくに小さな子どものいる家族は移住の検討を。再び大津波を被る場所に仮設住宅を建てても無意味)。【4】今後の余震または巨大地震への準備(とくに首都圏もろもろ手薄。民間が初期消火に全力を)。緊急性があるのは【1】と【2】で、これ以外たいていのことはどうでもよい
●気になるのは、たとえば「消防車に放射線防御がない」という。だったら「つけろ!」と。鉛とタングステンとゴムをどうにかした厚さ3cm×30cm×30cmの板を誰かに作らせ(たとえば東京・大田区の中小企業で作れるところがあるかも。あるいは生きている原発から引っぺがして)もってきて、アロンアルファでくっつけろという話。やったのか? あるいは装甲が厚い90式戦車は、そこらの車より放射能に強い。それを「鉛+タングステン+ゴム」板で覆えば、なお強い。それをなぜ用意しない? 何かを吹っ飛ばす必要が生じたときのため、戦車がそばにいたほうがよいとは思わないか?

03-18【1:00 14:30更新】
避難所のみなさんへ。【暖房情報その1】「寒い寒い」と、座して石油ストーブと灯油が来るのを待つ必要はないはず。若い人たちをはじめ動ける方は、瓦礫《がれき》の山から適当な材木を拾い、安全な場所で焚き火《たきび》をする。薪は井桁《いげた》に組んで積み上げ、漏れた油でも下部に少々かければよく燃える。多少の雨や雪でも大丈夫。上に濡れむしろ・濡れ布団《ふとん》・トタンの類をかぶせるとよい。この火にそこらで拾った、なるべく丸い石ころを放り込んで焼く。この石はとても熱く、しばらくは暖かい。タオルその他で包むと、カイロ代わりとなる。昔の人はこれを懐に入れて暖を取った(「懐石」。そのように石で腹を温めるほどの軽い食事が、懐石料理のもとの意味)。焼きすぎるとタオルが燃えてしまう。どの程度焼けばよいかは適宜、試行錯誤を。【暖房情報その2】のようにして温度を下げてから使えば、なおよい。延焼および運搬時や使用時の火傷《やけど》、とくにお年寄りや子どもの低温火傷には厳重注意。石油ストーブで暖かいのは周囲だけで、熱のほとんどは体育館の天井付近にたまってしまう
【暖房情報その2】ドラム缶、灯油缶、タライ、浴槽、壊れた冷蔵庫などを拾ってきて水を溜める。木箱や段ボールの内側にゴミ袋大を二重にして入れ、底に(熱くない)石を敷き詰めた容器でも可。水は、川の水でも濁り水でも雪の塊でも可。そこに上記の焼け石を放り込むと、湯が沸く(「焼け石に水」の逆で「水に焼け石」。水が少なく焼け石が大きいと危険。焼け石は、炭ハサミ、お玉、太めの針金で自作した石すくい[例:長さ1mの針金の50cmを蚊取り線香のように巻き、中央をへこませ、残りを柄とする]などで扱う。袋製の容器は焼け石で穴を開けないよう注意)。その湯を空のペットボトルに詰めれば、湯たんぽとなる。「寒い寒い」というお年寄りがいたら、周囲の人がすぐにやってください。ストーブよりはるかに暖かいことは保証します
【温かい食事情報】テレビで避難民が「食べ物、飲み物(ペットボトル)すべて冷たい。温かいものを口に入れたい」と話していた。上記焼け石でお湯をわかし、そこにペットボトルを入れておけば、温かい飲み物となる。おにぎりを二重のビニール袋で密封し入れておけば、温かいおにぎりとなる。周囲に燃えるものはいくらでもあるはず。木箱もゴミ袋もみつかるはず。燃料はいつ届くかわからない。避難所の若い人たちは自分の力で生きのび、お年寄りなど周囲の弱者をなるべく救ってください
▲▲▲以上の情報を、報道やツイッターで広めることができる方はご協力をお願いします▲▲▲
【参考情報】井桁を1m以上の高さに組み上げ、うまく点火できれば、遺体を焼くことができます(背の高さとか、高いほうがうまくいく)。『スターウォーズ』第6話ラストでルークがダースベーダを焼いた要領ですが、映画のやり方ではダメ。太い柱(丸太)をレールのように2本敷き、焚きつけ(細木や油をふったねじり新聞紙など)を入れ、薪を枕木のように隙間なく並べる。2段目以降も縦2本に枕木の繰り返し。高さ90cmの段で枕木をなくし遺体を寝かせ、さらに縦2本に枕木の繰り返しを背の高さまで。崩れないよう両側から太い柱を何本か斜めに立てかけて補強。燃えだしたら必ず上を濡れむしろ・濡れ布団・トタンの類で覆わなければいけません(内部を高温にするため)。また複数の人が周囲につき、物干し竿などを入れて火力の強い場所に適宜(下記の本では「内蔵を火の中に広げるように」)焼き広げるなど、うまく焼く工夫が必要です。数時間かかると思いますが、火葬場のように骨を拾えます。以上、自衛隊も警察も医師も誰一人来ず、しかも遺体の処理に困り、親族が「土葬にはしたくない。火葬にして骨を拾い、灰を天に昇らせてやりたい」と意見一致した場合の参考にしてもらうために、書いておきます。静岡空襲のときそのようにトタンをかぶせて焼いた(焼け跡では、こんな本格的な井桁ではなくて大きな焚き火の類)と母から聞いているほか、岡部一彦『新版・登山技術』(山と渓谷社1964)という古い本にも同様の焼き方が詳細に書いてあります(崩れた本の山で確認できず記憶で書き、その後発掘できたので補足)
●なお、「何百という遺体の土葬もやむなし」と日本政府が判断したならば(責任者名と判断日時は記録が必要)、それは仕方がない。ただし重機投入ならば、映画『夜と霧』にある映像(日本公開時にはカット)に近い処理をする、あるいは宮崎県の家畜処理に近い処理をするということです。日大放送学科「放送特殊研究V」受講生には『夜と霧』の映像を見せただろう。受講生諸君は、あれと同じようなことが日本の東北地方で始まったのだと、胸に刻み込みなさい。当然その記録映像は伏せられる。映像がないからその出来事はなかったのだ、と思ってはいけない
福島第一原発 新たな映像公開(NHK) 東電が航空機から撮ったとのことだが、何が何やらわからない。これが自衛隊や警察の命懸けの作業手順を決める根拠とは、じつに心許《こころもと》ない。NHKの持つ高性能カメラとカメラマンならば、もっと離れた安全な位置から、もっとまともな映像を撮ることができるはず。そこでNHKは、安全を保証するならばカメラとカメラマンを出すと交渉し、撮影協力を申し出てはいかがだろうか。自衛隊の大型ヘリを使うのが、よいかも。東京ドームの中に浮かぶ小型飛行船はカメラ付きなのでは? ワタツネは3月25日から野球をやってる場合じゃない。あれに「提供:読売グループ/渡邉恒雄」と大書きしてよいから、現地に運び込み、使用済燃料プールの映像を日本国民に提供してくれませんか。【21:00追記】今回は選手会のボイコットに全国民が賛同する。数千軒の電力を食うドーム使用も、計画停電が続くうちは多くの都民が認めない。誰か石原慎太郎に意見を聞いてみて
東京消防庁 放水高い位置から(NHKサイト3月18日 17時3分) 東京消防庁は、政府の対策本部からの要請を受けて、18日午前、深刻な状態が続いている福島第一原子力発電所に向けて特殊な機能を備えた消防車30台と隊員139人を派遣しました。(中略)また、2キロ余り離れたところから水を送ることができる「遠距離大量送水車」という車両を使って、離れたところでくみ上げた海水をホースで放水車に補給して放水するということです。……「政府の対策本部」の判断力は、私たちより劣っていることがハッキリわかる。当欄には03-16【17:00第五報】で、「なおわからないのは、地上からの消防車ではダメだという話になっているが、高層ビル用(50m級)の消防車は現地にいるのかということ。その消防車に海水を送るポンプと電源を離れた場所に置き、海水を出しっぱなしにし、最低限の要員だけで原子炉建屋に近づいて、ハシゴを最大限に延ばすという作戦は、検討のうえで放棄したのか?」と書いた。それが出発したのが2日後の朝ですから。寺田寅彦は「天災は、忘れたころにやってくる」と言った。私、坂本衛はこう思いはじめました。「天災は、政権が無能なころにやってくる」。村山政権下の阪神・淡路大震災、菅政権下の東北・関東大震災。政権が無能なせいで、死ななくてよい人が大勢死ぬのです
【18日夜各局のテレビニュースを見て】どこも死者が6500人を超え、戦後最大・最悪の自然災害に「なった」と言っています。間違い。トロい人たちが「やっと言えた」だけ。そんなことは3月11日段階でわかっていた。1週間立たなければそう報道できない不自由で鈍重なメディアを、心底情けなく思います。「発表報道をするな」とは言っていない。「発表報道だけではダメだ」と言っている。それでも、発表に依存しない自己調査報道・自己責任報道ができない。デジタル化を機に見るのを止めようと思う人びとの気持ちがよくわかります。放送はアナログ停波強行で滅びの道に進むかなと思っていたら、今回の対応で、どうしようもなく空気の読めないメディア、存在しようがしまいがどうでもいいメディアであることが本格的に露呈し、滅びの道を転落し始めたようです
【今回の大震災のネーミングについて(ある新聞記者から18日午前着信。そのまま転載)】 些細な話をちょっと。1995年の兵庫県南部地震(気象庁)を、阪神大震災と名づけたのは毎日新聞でした。その後、阪神・淡路大震災という表現もありましたが……。今回も、みなさん気付かないでしょうが、メディア間で「ネーミング」の闘いが展開されています。◆今回、地震発生直後にこの闘いにエントリーしたのは以下の3社局。朝日新聞…一面の大見出しに「東日本大震災」。表記も統一。読売新聞…当初から「東日本巨大地震」表記で統一。日本放送協会…当初から「東北関東大震災」表記で統一。民放はチェックしていません。ちなみに、新聞ではほとんどが「東日本大震災」の表記で収斂《しゅうれん》しております。今回の災害状況全般を総合すると、読売、NHKの敗色濃厚です。ネーミングなんて、その場で決めることではなく、社会が、歴史が決めればいいと個人的には思うのですが……。◆各社そろそろ通常モードです。まあ広告についてはしばらく「壊滅的」で、昭和天皇崩御の時以上の打撃になるでしょう。死者・安否不明者の全容が明らかになるにつれ、広告出稿マインドが低下することも間違いない。「あるべき報道」を行わないことが、結局は自分に跳ね返ってくることに、誰も気付いていない様子(電通さんはご承知でしょうが)。◆それはともかく、メディアが肝心なことをつたえる前に、実はこんな「つまらない」ことに血道をあげていることが「発表報道」(私は客観偽装報道、もしくは無責任報道と呼ぶことにしていますが)の現場で起きていることは、多くのみなさんが知っていていいことだと思い、記させていただきます【ここまで】
●命名合戦につき少々。新聞は見出しの制約からなんでも短くしたがる。「地デジ」も「アナログ停波」(「アナログ放送終了」より短い)も。だから東日本大震災なのだと思うが、違和感は否めない。東日本は北海道、関東甲信越、東海を含み、当然東北の日本海側も含むので(含めすぎは1道6県ほど)。だいたい糸魚川─静岡線以東が東日本でしょう。だから「東北関東大震災」のほうが正確(含めすぎは3県ほど)で、当サイトもNHKと同じ表記。より正確には「東北太平洋岸大震災」または「東北関東太平洋岸大震災」だと思うが、いかにも長い。いずれにせよ、在京メディアは「関東・東京を含む名称にして、自分たちも被災地にいることにしておきたい」様子

03-17【23:59】
「発表報道」「発表ジャーナリズム」という言葉があります。「メディアの役割は、政府・企業・個人などが発表した内容を、そのまま右から左へと流すことである」と考え、発表があればそれをそのまま報道する考え方や立場、またそのような報道・ジャーナリズムそのものを指します。東北関東大震災の死者・行方不明者は、警察が確認した死者数と、警察に届け出があった行方不明者数(以上は警察が発表する)だけをそのまま伝えればよく、警察発表以外の死亡・行方不明に関する情報は伝える必要がないという考えに基づく、現在の日本の、ほぼすべての大新聞およびNHK・民間放送局の報道が、発表報道の典型です
●たとえばネットから拾えば、「地震から1週間、死者・不明者約1万5000人」(2011年3月17日18時25分 読売)、「死者5429人、不明9594人〈17日午後4時〉」(2011年3月17日16時51分 朝日)、「東日本大震災:死者5000人超える」(2011年3月17日10時43分 毎日)「死者・不明者1万4650人 17日午後2時現在 警察庁」(2011.3.17 15:17 産経)、「死亡確認 5400人超える」(3月17日17時38分 NHK)など。このうち見出しに「警察庁」と入れている産経だけが、何を報道しているかについて自覚的。記事本文を読んでも、どこの誰が数字を出したか一切不明なのが毎日記事。この記事を書いた記者はデスクに「馬鹿野郎!」と怒鳴られないのかと思います。私は日大藝術学部放送学科で教えていますが、明らかに大学生のレポート以下の低レベルです
●死者・行方不明者数について、大手メディアが「発表報道」しかしていないのは、発表報道だけをしても別に問題はないと思っているからですね。問題はこうです。「発表報道」だけをすると、発表に隠蔽《いんぺい》、間違い、混乱によるブレ、遅延、限界などがあったとき、「隠蔽、間違い、混乱によるブレ、遅延、限界などをそのまま含む報道をすることになる」からダメである。なお、「間違い、遅延、隠蔽、混乱によるブレなどは発表者のせいであって、発表者は悪くても、メディアは悪くない」という言い逃れが、できない場合があります。たとえば松本サリン事件で、警察発表(リーク)に基づき多くのメディアが河野義行さんを犯人視したケース。多くのメディアが責任を認めて謝罪しました(警察だけのせいにはできなかった)
●死者・行方不明者数の発表報道については、基本的に「隠蔽」はなく(誰も隠す気などない)、「間違い」「混乱によるブレ」があったとしてもわずかでしょう。しかし、大幅な「遅延」と死者・行方不明者を数えることの大きな「限界」が無視できません。◆まず死者の数は、つまり遺体の数であり、それは広大な海や広範囲の瓦礫の下にある可能性が高く、海ではすでに物理的にどうやっても発見できない状態になってしまった遺体も多数あると思われます。つまり、瓦礫をすべて取り除くという時間(1年かけてもムリかも)の限界と、物理的に発見できない限界があるため、警察発表だけに頼ると正確な数字が出ません。5年かかっても絶対に出ない。◆次に行方不明者の数は、警察に届け出があった数だけで、届け出がない分は含みません。津波被害の映像を見れば、町(市街地)の大半がのみこまれる被害が、岩手県・宮城県・福島県の沿岸地域のほとんどすべてで起こった。一家全員が行方不明、親戚や近所の人も含めて行方不明というケースが多く、その場合は被害者全員の数が、届け出数から漏れます。また、ある人の周囲で数十名が行方不明なのに、電話が不通、警察署までたどり着けない、本人が入院中などの理由によって、数十名の届け出が届かない場合もあります
●以上、17日現在で死者・行方不明1万5000人という発表報道は、現実のものとはケタ違いに小さい。現実の行方不明者数(死者を含むが割合は不明)は、推定で約16万人です。別に16万人±4万人でも結構。「何いい加減な幅のある数字を言ってんの?」と思わないように。推定値は幅があって当たり前。にもかかわらず、坂本による推定値のほうが、警察発表の1万5000人よりもはるかに現実に近い数字です。そのような行方不明者のいる巨大災害に私たちは直面しているのだと考えない限り、まともな対策を講じることができません。また「6日たって死者・行方不明1万5000人か。あと増えても2〜3万人かな」というような誤ったイメージを視聴者や読者に与え、社会を大きくミスリードします。この意味で現在の発表報道は有害であり、「誤報」に近い報道というべきです。私は、地震発生から2時間後には死者は最大数万人と身内にメールし、翌12日には東北に原爆が落ちたと思えと当サイトに書いた。官邸にその判断力があれば、12日には自衛隊は10万人規模に増強すると指令を出すことができたでしょう。8000人、2万人、5万人、10万人と増やしていった日時は検証できる。そのデータは官邸に判断力がなかったことを如実に示すはずです
●参考まで、自衛隊や地元首長などが「行方不明者数はこのくらい」と推定した数字が報道された自治体は、次の通りです。岩手県陸前高田市1万4000人、大槌町1万、南三陸町8000人、女川町5000人、石巻市1万人。以上5自治体だけの合計で行方不明者4万7000人です。その5倍ほどの数(30弱)の自治体が、同様の津波被害を受けています。それなのに「警察発表は1万5000人」と伝えて、あとは知らんぷりを決めこむメディアは、何のために存在しているのか? メディアは東北を見捨てたのか? 昔メディアのありようを「見わたすかぎり茫茫たる荒野」と言った人がアメリカにいた。私には、ちょっと表現する言葉が見つかりません
●Google Earthの俯瞰画像は見ましたか? 私は岩手県久慈市から福島第一原発付近に至る沿岸部を全部見ました。人口1000〜数千というような比較的大きな町と町の間に、小さな集落が点々とあります。田野畑から宮古へと沿岸部を南下していくと羅賀、松前沢、島越、本茂師、田老といった漁村があり、家一軒一軒も、ボートや漁船一つひとつもハッキリ識別できます。Googleで地名が表示されない地区もある。地形が似ているから、どこも同じような大津波が襲っただろうとしか、考えようがありません。しかし、羅賀、松前沢、島越、本茂師、田老といった地名は、まったく報道されていません。自衛隊その他の空撮映像には、実態が映っているはずです。この大災害で被害地域の映像を撮らないマヌケな軍隊など、近代国家には存在しない。尖閣ビデオを見なかった首相が、その映像を見たかどうかが非常に心配です。見ているのであれば、もっと動きが早かったはずだろうと思うからです。なお、Googleでは一部地域のようですが、大震災後の俯瞰画像も見ることができます。石巻や松島町あたり
●たとえば官房長官の枝野幸男は、支援物資は都道府県に一元化を、と言った。言いっぱなしなのかどうか、報道からは不明。都道府県に丸投げではダメ。たとえば、不要不急の業務は中止し、人口×人の自治体は××人の、△△人以上の自治体は△△△人の緊急チームを作り、各々責任者を決め、町村─市─県の情報システムを構築し、自衛隊・総務省・国土交通省その他の出向者からなる支援PTとつなげ。県は拠点箇所を陸海空と何か所か設定せよ。今後はPTから必要な指示を出し、輸送車両・船・航空機を差し向ける──というような体制づくりが必要なはず。そこはどうなっているんだと質問し、やらせるのがメディアの役割です。枝野会見だけをタレ流すのは、これまた悪しき「発表報道」の典型
●昨夜、田原総一朗と電話で30分ほど、「政府は何やってんの」につき"大激論"した。田原は「官邸で素人集団でわかるはずない」というから、「じゃあダメじゃん。何とかしてくれ。専門家の知恵を借りろと、連中にアドバイスしてくださいよ」と。遺体のことは内閣府副大臣の大塚耕平がやっていると言っていたが、宮城県あたりでは土葬にしてよいかと厚労省に聞き、どうぞという話らしい。穴を掘るのに重機がいるし、燃料を食うからやめたほうがよい。材木が大量にあるから海辺で燃やしたほうが、衛生上もよいのでは? 内閣府副大臣は本当にリーダーシップを発揮しているのか?
●昨日当欄記事に書いた原発作業員は、ただちに命にかかわることはなく、現在は原発から300キロほど離れた場所にいます。原発内では飲み水や食糧も不足していたらしい。少なくともNHK、日刊ゲンダイ、週刊新潮が取材しましたが、未確認の部分が少なからずあり記事にはしていないはず。ただし、東電関係も含めて地元関係者は、もともと原発や東電を信じていない(前に書いたように監査の前日に芝生を張り替えるような現実をみんな知っている)こともあって悲観論が大勢。「原発周囲の人間は『もう、ダメなほうに70〜80%くらい近づいたのでは』と思っている」が、原発周辺からの避難民を何人も家に泊めている知人の話。それはともかく、大前研一がいうように、米スリーマイル島原発事故よりまずい状況であることはたしか。ある程度の放射性物質の拡散は、もう仕方がない。とにかく海水を入れ、冷やすことでしょう。3号機プールへの自衛隊ヘリによる注水作業は、4回中3回はハズレで、1回だけ7.5トンの何%が入ったかという程度。あのヘリ隊員の受けた放射線量が1ミリシーベルト以下なら、もっと低く、ゆっくり飛ばすべきだと思います。あと「今日が限り」というようなことを言った防衛大臣には会見させないほうがよい(「『今日が限り』なのに2機2回とは何だ?」と言われるだけ)

03-16【10:10】
【★★★福島原発作業員の悲痛な声★★★】福島県川内村の出身者(在東京)で、故郷の人びとが避難し、自宅でも何人かの親戚を受け入れている知人から、悲痛な連絡あり
◆いま福島第一原発事故で、地元採用の若い東電社員たちが、第一線に立って、不眠不休で働いている。その一人で被曝した29〜30歳男性から、その母親に電話連絡があった。「被曝した仲間たちに死者が出ている★ようだ★【←10:30第二報で追加修正】。自分もダメかもしれない。うちに帰りたい。おかあさんの顔を一目見たい。★助けてくれ★【←14:30第四報で追加】」と。★作業員は入れ替わり立ち替わり交代で(放射線量が大きく長時間その場にいられないため)作業中で、電話があった段階で80名ほどの具合が悪かった(吐き気などはあるようだが、詳細な容態は不明。死者や重篤者がいたのか、いたとすれば何人かも不明)と、その男性が伝えてきたようです。一部メディアは東京電力に確認中です★【←14:30第四報で追加】
◆ところが、被曝者として隔離されており、最期を看取ろうと母親が彼を抱きしめたり手を握ったりすれば、その母親も被曝する。だから、家に帰してもらえず、会わせてももらえない。母親は「老い先短い自分が被曝しようが、かまわない。一目会わせてください」と東京電力に掛け合っているが、取りつく島がない。村長や【←17日夜訂正。村長には言わなかった由】地元有力者に仲介を頼んでも「原発の中のことは、私たちにはどうしようもない」と
◆川内村出身の自分は、その電話があった若者を子どものころから知っている。その母も子も自分の親戚のようなものだ。なんとかしたい、死ぬ前に一目会わせてやりたいと、いまできる限りのことをしている。東京でも政治家に掛け合っているところだ。協力してくれ。自分はテレビ報道を見て、悔しくて、腹がたってたまらない。地元の若者たちが不眠不休で、命懸けで作業し、死者まで出ている★らしい★【←10:30第二報で追加修正】ことが、まったく報道されていない。そのような問題が起こっていることを、頼むから報道してほしい。そして、老いた母親を、死んでいく息子に一目会わせてやってください【10:10とりあえず第一報をup。以下、続報あり】
【12:00第三報】いま、どういう採用をしているか知らないが、かつては東電学園という、東京電力の技術系社員の養成学校があった。その若者もそこの出身だ。福島原発で働くことを前提に地元で採用され、奨学金(貸し付け金)など手厚い補助を受け、一生面倒を見てもらうという話になっているから、東電には強いことがいえない
◆福島の沿岸では数千人が行方不明なのに、原発問題ばっかりやって、全然報道されないのはどういうことか。これも悔しくて、腹が立ってならない。もともとテレビの伝えることなんてロクでもないと思ってきたが、今回、心底そう思う【ここまで福島県川内村出身の証言】
◆上で伝えた29〜30歳の男性は「帰された」との報告あり(11:45)。その者は意識があり、話はできる(少なくともできた)状態。歩ける状態かどうかは不明。その者が「仲間たちに死者が出ているようだ」と話した模様ですが、その者以外の詳細情報は一切不明です
【14:30第四報】上で伝えた29〜30歳男性は病院へ。容態不明。母親も病院へ向かったため連絡取れず。夕刊紙が取材中。
【17:00第五報】東北関東大震災から丸五日以上が経過しました。もう瓦礫や土砂の下などで生きている人の捜索は中止すべき段階です。現時点での優先事項は、当欄03-12記事下から四つ目の●で書いたこととは違い、三つだけです。日本国は次の三つに全国力を傾注すべきです。(1)原発トラブルの処理(12日に「大丈夫、数日間の猶予はあるはず」と書いた猶予期間は、ほぼ切れた)。(2)生きている人(避難所や病院)への飲み水・食糧・医薬品・燃料などの供給、(3)(1)の処理に失敗したときの準備
●(1)は福島第一原発1〜6号機が、程度の差はあれ危機的な状況にある、または放置すれば危機的な状況になるという現状を食い止め、安定させる(少しずつでよいから収まる方向にもっていく)こと。もう現地で何ミリシーベルトが観測だの、水位が4mの燃料棒のどの高さまでだのという細かい話は、どうせはっきりせず、しかも変動するのだから、こだわる必要はありません。原子炉格納容器が二つ(2号と3号)まで損傷し、中身(放射性ガスその他)が漏れ出した可能性がある以上、水素爆発もへったくれもない。「また400ミリが出た、東電は何をやっているのだ!?」という段階は過ぎた。「400ミリシーベルトが何回記録されてもかまわないから、とにかく原子炉を冷やせ」という段階。5分前より今のほうがより冷やすことができたかどうか、そしてそれを継続できているかどうか、だけが重要です。自衛隊ヘリでその作業をするならば、「志願者は一歩前に出てくれ」と隊員を募る段階でしょう。なるべく若い隊員を温存し、予備役も含めて年配者を出すべきです。なおわからないのは、地上からの消防車ではダメだという話になっているが、高層ビル用(50m級)の消防車は現地にいるのかということ。その消防車に海水を送るポンプと電源を離れた場所に置き、海水を出しっぱなしにし、最低限の要員だけで原子炉建屋に近づいて、ハシゴを最大限に延ばすという作戦は、検討のうえで放棄したのか? 自衛隊の大型揚陸艦でその消防車を運べるかどうか知らないが、運べるなら現地に送り込むのに、たいした時間がかからないかもしれない。それを誰か検討したのか? 消防署では「これを使えばよいのに」と思い、現地では「50m高に水が届く消防車があればよいのに」と思い、自衛隊は「大型揚陸艦を使えばよいのに」と思い、そしてなお、官邸も東電も右往左往するだけということがありうる。統合本部のメンバーは誰で、補佐している専門家は誰と誰なのだ? 枝野幸男や福山哲郎の周囲にどの専門家がいるのだ? 5・6号機は、このままでは4号機の二の舞三の舞になりかねない。監視を強めよ。「4号機の火災を東電社員が消防に電話したが通じない」なんてバカなことが、なぜ起こる? 電源と無線機を10台でも20台でも、現地社員に渡して使い方を教えよ
●(2)は、避難所情報の集積・統合管理を一か所でやらなければ、話にならない。その担当者は誰なのだ?
●(3)は、たとえば首都圏の住民は焦らなくてよい。仮に福島第一から1キロ離れた場所で7000ミリシーベルト(人間は即死)が観測されたとしても、なお222キロほど離れている東京・神楽坂(距離はGoogle Earthによる)では4万9000分の1の0.14ミリシーベルト(140マイクロシーベルト)にしかならない。退避した屋内ではさらに低線量になるから、臨床的な症状は出ない(全身の急性被曝時に臨床的な症状が出るのは250ミリシーベルト以上)。警戒はすべきで、生活に必要なもの(たとえば物干し)を屋外にしまう、家をチェックし密閉性の悪い箇所をテープとビニール袋などで覆う、マスクを用意するなどはしたほうがよい(うちはやった)。50キロ離れたところでは7000÷(50×50)=2.8ミリシーベルトだから、やはり臨床症状が出る量の90分の1にしかならない。広島に原爆が落ちても、岡山や山口や松山で死者が(たぶん)出なかったのは、以上と同じ話。ところで、天皇皇后お二人は皇居にとどまり「つねに日本国民とともにある」とのご決意を示されたようだが、皇太子・秋篠宮一家は早々に京都にでもお移りいただくべきでしょう。若い皇族男子は放射能を1ミリだって浴びてはならない
【産経サイト2011.3.16 16:36配信】菅直人首相は16日午後の緊急災害対策本部で、東日本大震災への対応について「これから復興にも歩み出さなければならない」と語った。──いったい何を考えている? 復興に歩み出す前に、まず原子炉を安定させよ。死者・行方不明者の数を、だいたいでよいからかぞえよ
【NHKニュースサイト3月16日 18時10分配信】政府の対策本部からの要請を受けて、福島第一原子力発電所の3号機へ水を投下する準備を進めていた自衛隊のヘリコプターは、上空の放射線量が規定された上限を大幅に超えていることから、16日の作業を断念しました。──断念? いったい何を考えている? 断念し放棄した最悪の結果を想定のうえでか? それは誰の判断だ? 結果を想定できないのであれば、「もう年配だから子どもは要らない、20年後にガンが発病してもかまわない」という志願者を、万一の場合があればどんな栄誉で報いると告げ、その家族には最大限の補償をすると提示のうえ、募集せよ。強風で飛べないならば、より厳しい条件に慣れている海上保安庁のパイロットから募れ。本当に間に合わなくなるぞ
推定行方不明者は十数万人規模と、『日刊ゲンダイ』に書きます。お読みください(「東北三県はアナログ終了・地デジ移行が不可能。アナログ終了延期・段階的停波は必至」の原稿注文のほうが先だが、後回しに。この件は『週刊新潮』『週刊現代』にはコメント済み。なお、今回のテレビ報道については全局の初期報道2時間分をDVD化しており、その後も昼夜2時間ずつという具合にしばらく記録します。その検証が必要な日が来ると思っています)【続報入ればupするかもしれません。時間をおいてアクセス願います】

03-15【執筆10:30、サイトup25:10】
何ですか? この右往左往するばかりの「発表報道」は。言論報道機関は以下を独自に取材して報道するか、記者会見で質問しその映像かテキストを報道してください
【1】東北三県の海に面する全自治体ごとの、自衛隊・海外援助隊その他の投入部隊名・人数・投入機材(船・航空機・車両等)・主たる作業状況。自治体枠を超えた広域活動部隊についても同様。国民の税金で運用している自衛隊や、日本国民を助けにきてくれた海外援助隊が、どこで何をしているか、国民は知る権利があります
【2】東北三県の海に面する全自治体の人口、確認済みの自治体別避難所数・それぞれの避難民受け入れ数、津波で木造家屋の過半数が流出した地区名・その地区ごとの戸数概数。日本の同胞たちがどこでどんな目にあっているか、国民は知る権利があります
【3】遺体の処理方針と、処理の実施状況。その全体計画の責任者名・職名
【4】自衛隊・警察は三県沿岸部で津波が襲来した地域の全空撮映像を持っているか。それを分析済みか。その映像をどう評価し諸活動にどう生かしたか。官邸では誰がそれを見て、分析し、全体のオペレーションにどう生かしたか。国民は知る権利があります
【5】自衛隊・警察は三県内陸・山間部の被害地域の全空撮映像を持っているか。それを分析済みか。その映像をどう評価し活動にどう生かしたか。官邸では誰がそれを見て、分析し、全体のオペレーションにどう生かしたか。国民は知る権利があります
【6】福島原発の原子炉の簡潔な構造図(注水系、減圧弁、排気弁?など格納容器の外と通じている全系統とバルブを明記したもの)※これはNHKが作って出した
【7】福島原発の作業員数、その所属・役職、1〜4号ごとの貼り付け人数、現状と作業内容、作業員の防曝対策、現地本部の場所と要員、指揮系統の詳細。見回りに行った隙に燃料が切れるとは、そこには一人しかいないのか。なぜ、そんな阿呆なことが起こるのか。国民は知る権利があります
【8】福島原発で万が一起こるかもしれない最悪の事態とは具体的に何か?(例:爆発はしないが、放射性物質が漏れる。漏れたものの濃度が1キロ離れた場所で1の数値であれば、それは何キロ離れた場所で何万分の1となる。首都圏の健康被害はありえない、といった「安心情報」)。東京電力・保安院以外に、以上【7】【8】を分析評価する組織はあるのか。あるならば、その責任者名とメンバー。国民は知る権利があります
【9】日本政府は海外諸国に、いつ何をどのような言い方で要請したか。国民は知る権利があります
【10】13日夜、テレビは「計画停電の詳しいことは東京電力のホームページを参照」と報じた。これは何事か? この国にパソコンが100%普及していると本気で思うのか? 政府は、なぜそんな言い方を許すのか?
●以上の国民の知る権利に、メディアは応える責任があります。その責任を担うことと引き換えに、国民の共有財産である電波を占有させ、とくにNHKには国民の多くが受信料を支払っている。その責任を担うことと引き換えに、新聞の輪転機などに優遇税制を適用している。違いますか? NHKは山田町の中継を何分流しましたか? 人口1万8000の山田町にNHKと受信契約を結んでいる人は、一人もいないのですか? 1万人やそこらいたはずだと思うが、彼らがどんな目にあっているか、報道したほうがよいと思わないのはなぜですか?
NHKはじめ各局の災害報道が何を伝えようとしているのか、まったく理解に苦しみます。NHKはじめ各報道によれば、女川町は5580人が避難し(避難所におり)5000人が安否不明。南三陸町では1万人が安否不明だったところ新たに2000人が見つかり8000人が安否不明。大槌町では人口1万5000人で6000人が避難所におり9000人が安否不明、陸前高田市は9000人が避難し1万4000人が安否不明。福島県では1200人が安否不明。これだけで、安否不明者は4万人近くですね。小学生でも計算できる。しかも、これは岩手県と宮城県の自治体四つ分+福島県の数。そして、岩手・宮城だけでも沿岸部に自治体が30近くあり、海に近い人口集積地はどこも同じような壊滅状態なのだから、安否不明者が4万人で済むはずがない
●たとえば、陸前高田市の面積は232km2だが、70%が山林で宅地面積は2.5%の5.8km2。これは、仮に真四角とすれば2400m四方の面積にすぎない。この面積のなかに2万3000人ほどが住んでいた。その市街地が壊滅的被害を受け、そこに人は見あたらない。9000人は避難した。他市の避難所や親戚宅にいる人は、ゼロとは言わないが少ない。わざわざ遠くの場所にいくとは思えないからです。すると残り1万4000人は、宅地以外の道路や田んぼや畑や山林にいるかどうかです。そこに4日間も居続けて見つからないことは考えにくいから、誠に残念ですが、瓦礫の下か海にいる恐れが強いと考えざるをえない。陸前高田市だけで行方不明者は1万4000人なのです
それなのに、「行方不明(安否不明)1万5000人以上」とテレビ画面の隅に出し続ける公共放送NHKというのは、つまり何がしたい? 私はこれは完全に「誤報」であり、日本社会に誤ったメッセージを伝えていると思います。少なく見積もれば、被害者が減るのか? できるだけ事実に近い数を出したほうが、救援・捜索活動も促され、全国からの支援もより多く集まるとは思わないか? 警察発表の行方不明者は、警察に「誰某《だれそれ》がいない。捜して」と届け出があった、その誰某の数の合計。これは、これでかまわない。しかし、一家4人全員津波にのまれ、近くに住んでいた親戚も津波にのまれたら、警察に「誰某がいない。捜して」と連絡が入らない。その一家4人は一般常識によれば、行方不明者であり安否不明者であり生存(所在)未確認者。警察に届け出がないからそれは伝えなくてよい、というものではないはず。で、警察発表とは異なるようだが、ようするに「1万5000人以上」と数える根拠は何なのだ? ひょっとして、被害の全貌は伝えるなと政府筋から指示でもされているのか? それも大本営発表なのだということに、なぜ気づかない?
●NHKは世界最大級の放送局なのだから、仙台で1000人以上が避難し、47組にわかれた避難民それぞれにリーダーがいて、うまく回っている恵まれた避難所の中継(15日夜にやっていた)で、何が足りないなどと紹介している場合ではない。そんな、NHK仙台放送局から車で行けるような場所の取材でお茶を濁さず、まったくといってよいほど情報が入っていない自治体の避難所をなぜ取材しないんだ?
【3月15日午前10時半に受け取ったメディア関係者からのメール】(そのまま転載) この期に及んで、朝4時の放送終了時(終夜放送のため建前上)に地デジ化の宣伝CM(アナログ視聴者が見ると砂嵐になるCM)を放送したフジテレビには呆れております。
【3月15日午前11時に受け取ったメディア関係者からのメール】(そのまま転載) 緊急放送体制に”疲れ”が見えてきました。昭和天皇崩御よりも長時間になり”飽き”も見えてきました。◆テレビは通常編成に戻したくて仕方ない様子。新聞ラジオ・テレビ欄を見れば明らかです。でも、戻したところで不謹慎な「おバカ」番組ばかり。まあ、ACのCMを流してもらいましょう。◆新聞も、地元紙はともかく、結局は「対岸の火事」なのか。読売は、はやくも32ページ体制にして、一般の新聞スタイルに戻しました。就職活動のページなんて「ゆるい」面を、こんな状況で……。世間の動き(機能不全ぶり)がまったくわからないとしたら、空気読めなさ過ぎ。◆あと気になるのが、実は大きな被害が出ている千葉(旭市)、茨城・鹿島灘の被害などについての情報がほとんど伝えられていないこと。絵にならないからでしょうか?◆NHKも、全国紙も、キー局も、実は(東京23区以外の)関東地区についての報道体制が思いっきり脆弱なことを露呈していることの証左ともいえますが。◆あとは東電の対応、旭市や茨城沿岸部など、被害を受けた地域で「計画停電」するという思いやりのなさを誰も突っ込まない。まあ、取材メディアが「他人事」だから仕方ないのかも。しかし、この積み重ねが信頼を確実に損ねていることには、そろそろ気付かないとヤバいと思います。まあ、現場でこんなこといってもお偉さんは聞く耳持ちませんがね。【ここまで】
●13〜15時、竹中平蔵、中田宏と打ち合わせ。アスコム高橋克佳、小林英史と。各国大使館員は続々と東京を離れている由。3月12日夜に友人のところに届き、その後転送してもらったドイツからのメールによれば「今、こちらでは、ドイツの外務大臣が、公式にテレビに出て、東北はもちろん東京や横浜に住んでいるドイツ国民にも日本を離れるよう呼びかけています」。13日朝のメールによればドイツでは「今日はずっと日本の原発事故についての議論ばかり放送しているテレビ局がいくつもあります。当然、日本からのニュースも限りがあり、もう何時間も議論していますので、話題は日本から離れて、原発の存在そのものの議論に変わりつつあります」。東京に本社を置く企業が大阪のホテルをガンガン予約中。万一に備えて、東京の司令部機能の一部を大阪に移す準備

03-14【14:25】
●2011年03月11日14時46分に東北地方の太平洋沖でM9の巨大地震が発生してから丸3日が経過するところです。メディアは相変わらず「被害の全貌がつかめない」など寝とぼけたことをいっていますが、つかめなければ推定すればよい(推定するしかない)。読売サイトの太平洋沿岸の被災状況および助けを待つ人びとが参考になります
メディアの動きが非常ににぶいので、あえて被害の全貌=行方不明(安否不明)者の概数を坂本が推定しておきます。自治体がまるごと消滅したなど「情報なし地域」は隣接地域の状況から推定します。岩手県は北から、洋野町〜岩泉町/宮古市/山田町/大槌町/釜石市/大船渡市/陸前高田市で各1万。すると岩手県だけで行方不明7万人。宮城県は北から、気仙沼市/南三陸町/石巻市/女川町+東松島市/松島町〜仙台市宮城野区/仙台市若林区/名取市/岩沼市+亘理町+山元町で各1万(注:松島町〜仙台市宮城野区の人口は三十数万なのに情報が欠落! 数万かもしれないがここでは1万とする)。すると宮城県だけで行方不明8万人。福島県は北から新地町/相馬市/南相馬市以下いわき市まで合計し、福島県だけで行方不明1万人。なお、これらはあくまで推定の概数ですから、1万人と書いたのは現実には数千人か、あるいは1万2000〜1万3000人か、悪くすれば2〜3万人以上かもしれません。ただし、自衛隊や県の発表で行方不明者1万人という自治体が複数あり、1万という数字がじつは1000人や2000人ということは考えにくいでしょう
●以上、現時点の行方不明者は推定16万人規模です。推定によれば、二つの県のそれぞれで「長崎原爆級の行方不明者」、東北三県で「広島原爆級の行方不明者」が発生しています。3日たてば、孤立した集団の存在(と各集団の人数)の多くは確認済みと思われますから、16万人規模の行方不明者の大多数が亡くなっている可能性を、誠に残念ながら否定できない状況です
●思考停止している機関むけに、あえていやな話を書きます。狭い地域で1万人が死亡して1万の遺体が出たときは、通常の火葬(火葬場の火葬)はできません。棺桶も作るだけムダです。全遺体の写真を撮り、全遺体からDNAを小瓶かビニール袋に採取した後、何十体かずつ現場で荼毘《ダビ》に付すのが普通のやり方でしょう。では、そのデジカメ撮影要領とDNA採取要領と容れ物は、誰が用意しているのかという話です。やったことがないのだから、日本政府にも自治体にもその専門家はいない。わかるヤツを連れてこいという話です
●繰り返します。行方不明が十数万人で、死者が十数万人かもしれないと想定して行動したとき、結果的に数万で済めば、想定より少なくてよかったねという話です。しかし、そう想定して行動しなければ、本当にそうだったとき、どうにもならなくなる話です。全世界に報道され、全世界を震撼させている東京電力の無様な姿を見れば、過小の想定がいかに有害で、犯罪的ですらあるかが、おわかりでしょう。想定は過大なほうが、対策が過大になるから、よい結果を生むのです。その想定をするのが「危機管理」です。死者数がだんだん増えていって昨日より今日、今日より明日と対策を拡大していくのは「危機対応」にすぎない。それは後手後手に回るその場しのぎで、「管理」ができていないから「危機管理」ではありません
メディア関係者は、以上推定のような、世界史上でもめったにない異常事態に直面しているのだと認識しなければなりません。歴史上起こったすべての大戦争や大災害を見ても、ほぼ一瞬にして10万規模の犠牲者が出るという出来事は、数えるほどしかないのです。近代日本では原爆二発と東京大空襲と関東大震災だけ。伊勢湾台風や阪神・淡路大震災とはケタ違い(10倍以上)の大災害なのだと認識してください。たとえば、阪神・淡路の際200人を現地に送り込んだ民放系列は、今回は2000人を送り込まなければ同じレベルの報道ができないと思うべきです(2000人はムリと承知だが、200人に50人でも100人でもなるべく追加・増強を)。被災地が東京・名古屋・大阪から遠いこと、福島原発や首都圏停電・交通マヒなど東北より近いで問題が生じたこと、土日の休みをはさんだことから、メディアの立ち上がりが阪神・淡路と比較して非常に遅れています。メディア各社は、OBの応援を要請するなど非常時体制を組んでください。巨大災害に対する戦争状態なのだから、10万規模の自衛隊員の投入は当然ですが、メディアも何が必要か戦略的に考えてください。これまでの惰性で、官邸担当は官邸、厚労省担当は厚労省、東京電力担当は東京電力の「発表報道」だけを伝えていてはダメなことは、おわかりでしょう? 視聴者のため、国民のためを第一に考えて動いてください
「緊急被ばくの事態への対応は冷静に」と題する、独立法人国立病院機構 北海道がんセンター院長(放射線治療科)西尾正道氏のメールが3月14日、MRIC by 医療ガバナンス学会発行で届きました。いずれサイトアップされると思いますが、13時半現在で見あたりませんので、急ぎ要約します。【注 以下は坂本による要約です。参考にとどめて引用や転送はせず、詳しくはもとの情報を直接参照してください】
◆13日14時現在までの情報をもとに放射線被ばくについての基本的な考え方を報告し、冷静な対応を期待したいと思う◆12日午後1時に原発の敷地境界で1015μSv(マイクロシーベルト)/hの放射線量が計測◆人類は宇宙や大地から、自然放射線を受けており、日本では年間2.4mSvの被ばくを受け、医療被ばくを加えると日本人一人平均約5mSv(5000μSv)の被ばくを受けている。また東京・ニューヨーク間一往復では宇宙からの放射線が多くなり0.19mSvの被ばくを受けると言われており、低線量の放射線被ばくは日常的なもの◆放射線は被ばくしないことにこしたことはないので、テクニツクとして放射線防護の3原則がある。(1)距離(2)時間(3)遮蔽《しゃへい》がある。(1)距離は放射性物質からできるだけ離れることであり、これは遠くへ避難することである。放射線の量は距離の二乗に逆比例するので、原子力発電所から1Kmの地点での放射線量を1とすると10Kmの地点では1/10×10=1/100となり、百分の一の被ばく量となる。20Kmの距離に避難すれば、四百分の一となる◆(2)時間はそのまま加算されるので、同地点に1時間滞在よりも1日滞在すれば、24倍の被ばく量となる◆(3)遮蔽は放射線の種類やエネルギーによっても異なるが、密度の高い建材で造られた室内に退避することにより、外部からの放射線をより多く遮蔽することができる。屋外にいるよりも木造建築の室内にいれば建造物が遮蔽体となりより少ない被ばく線量となる。さらにコンクリート造りの室内では低減する。さらに空気中に含まれている放射線物質からの被ばく量の低減のために皮膚を露出しない服装と帽子の着用、内部被ばくを避けるためにマスクの着用などを心掛けること◆なお放射線が人体に与える影響は被ばくの時間的・空間的(被ばく範囲)な違いも考慮することも重要である。(1)急性被ばくか、慢性被ばくか、(2)全身被ばくか、局所被ばくかにより人体への影響は異なる。放射線被ばく者の対応であるが、まず正確な被ばく線量を把握することである。◆今回の被ばくは急性の全身被ばくであるが、極めて低線量であると考えられることから問題となることはない◆全身の急性被ばく時の人体への影響は、250mSv(250,000μSv)以下では臨床的な症状は出現せず、影響はない。また500mSvで白血球の一時的な現象が見られ、1000mSv以上で吐き気や全身倦怠感が見られると言われている。こうした医学的な見地から見れば、今回の被ばく者の健康被害は深刻なものではない◆こうした事態に対して分析・指揮・対応指示などを行うオフサイドセンターがどこなのかが報道されておらず、情報開示の不手際が気になるところである◆原発事故への対応に全力をあげて働いている原発施設の従業員をはじめとする方々の健康被害が極めて深刻なものとなる可能性があるが、致命的でない被ばく量であることを祈るばかりである【断片的な引用による要約ここまで】
【3月13日夜7時半に受け取ったメディア関係者からのメール】(そのまま転載) 「NHKニュース7」を見て、のけぞりました。青森・八戸の避難住民の老女が、避難所生活の中継画面を見て、神奈川在住の娘が避難所に電話をしてきて連絡がとれたと喜んでいる場面を(どことなく誇らしげに)放送していました。報道のトーンが、普段の「他人事モード」に戻りつつあります。自分たちが必死に(前例踏襲で)放送している教育テレビの「安否情報」が機能していないことを、どう考えているのか。聞いてみたいものです。あと、被災者向けの生活情報がBS1で放送されているらしい(現在、視聴環境が整っていないので未確認)のですが、なぜ衛星放送なのでしょう?地元のラジオ第一、第二、FM放送と連動していればいいかもしれませんが、避難者が多いこと、停電が広範囲という点からすれば、ほぼ現地には届かず、本当に無用の長物としか思えません。

03-13
【この項18時すぎに追加】若者たちのツイッターなどネットを中心に「ヤシマ作戦」発動が伝えられ、協力への動きが強まっています。全国節電運動を、日本全国から電力を集めてエヴァ初号機が第五使徒ラミエルを超長距離ライフル射撃した「ヤシマ作戦」(考案・命名はNERV=ネルフ作戦部長葛城ミサト一尉)になぞらえたもの。日本の若者たちをたのもしく思います。ボランティアで現地入りしたい若者も少なからずいると思いますが、食糧・水すら足りない場所に徒手空拳で入ってはいけない。今後現地入りする人は、せっせとバイトして稼ぎ、滞在日数分の自分の携行食糧・水を準備しなければダメだよ。
●締め切りに追われているので、最低限のことだけ
●宮城県が南三陸町で1万人(9500人以上)が安否未確認(行方不明)と発表。宮城・岩手の沿岸部で、10m以上(建物の3階以上)の大津波に襲われ木造家屋がほぼ消滅した地域では、住民の半数以上が行方不明(亡くなった恐れあり)と推定するのは自然なこと。発表していませんが、危機管理部門はその「最悪の推定」で動きます。推定していなければ危機管理がお粗末すぎて、国や政府の体《てい》をなさない。昨日ブログ記事では「原爆」という言葉で婉曲《えんきょく》な示唆にとどめました。最悪の推定は数万〜10万人規模(以上)で、長崎7万前後や広島14万前後に匹敵します。陸前高田の映像を見て、いちばんよく似ているものは東京大空襲や広島の写真だと思わないほうが、どうかしているのです。私は北海道南西沖地震のとき(1993年7月12日)死者数人の情報が入った時点から死者・行方不明230人となるまで、ずっとメモを取りつつテレビを見ていた。阪神・淡路大震災の当日(95年1月17日)9時ころ、テレビが警察発表の死者数300人を伝えている段階で死者数千人規模と判断していた。今回も警察発表・マスコミ情報は参考にとどめ、自分で判断します
●政府やメディアに欠けているのは、過去や経験に学ぶ「大局観」と、物事を総合的にとらえたうえでの「判断力」です。たとえば、過去の経験から明らかなように、被害が最大だった場所の情報は、その場所(の役場や住民)からは基本的に入らない(北海道南西沖のときは奥尻の情報が、阪神・淡路のときは神戸の情報が、もっとも遅れた)→情報は現地に入って取るか、とりあえず空撮して推定するしかない→空撮映像(自衛隊や警察は独自に航空機を飛ばして撮影)は一部しか公開されない→隣接地域は空撮映像のある地域と同様の被害を受けたはず、と推定するしかない。──これが欠けている大局観の例です。いまは沿岸部の空撮映像しかないが、岩手、宮城、福島の山間地域にある小集落が山崩れに巻き込まれ何軒か生き埋めになったという場所は複数ありえます。その情報は一切入っていません。昨日、大手新聞記者と話したら「全然情報がないので、早々と締め切りにした」と。各紙が大きなカラー写真で紙面を埋めているのは、情報がなく記事が書けないという面もあるわけです【以下、大手新聞記者からのメール(13日17時着信)を転載】情報とは、結局「政府発表」「自治体発表」「警察・消防発表」しかありません。テレビも新聞も、裏を取れない情報(お墨付きのない情報)は流さない。全国紙もNHKもキー局も、被災地の取材人員が少ないから、「情報」が入らない。自社(局)のためだけの取材で、同じ場所にうじゃうじゃいて、志津川(南三陸)みたいな空白地帯を生み出す……。「壊滅」地域については、安否情報なんてムダなことはせず、本当は「ここには何人無事でいる」みたいな情報を「積み上げる」ほうが大切なんですけれどね。もうひとつの理由は、読者に「朝までに届ける」ため。道路状況ほか、某紙では印刷工場被災が影響したようです。【転載ここまで】
●あるいは、なぜ福島第一原発の爆発が避けられなかったのか。一つには専門家が必死で対策を講じていたが、専門家は自分の専門分野のことしか知らないからでしょう。科学者や技術者だから「水の電気分解と同じような反応で水素が発生し、水素と酸素が一定の混合比になったとき、火の気があれば爆発する」「高温のものが水に触れると水蒸気爆発を起こす(火山噴火の一類型にもある)」ことは知っている。しかし、原子炉建屋に空間がどれくらいあり、そこに水素と酸素が充満して爆発したとき、どのくらいの破壊力があるかは、建物の設計者と爆発の専門家が相談しなければわからない。東京電力の担当者だけではわからず、まして保安院官僚にわかるはずがない。で、わからないヤツの質問にわからないヤツが答える記者会見をメディアが伝えても、視聴者にわかるはずがない。──これが欠けている総合的な判断力の例です。この判断力を持つ者が政府中枢にいることを願っています
●なお、福島第一・第二原発付近の震度は6以下でしょう。海岸べりにあるから「震度6で大津波」は当然、想定内の事態。注水系その他を震度7に耐えられるように作るとか、非常電源は10mの津波が来ても働くようにしておくのは当たり前。「震度6で大津波」ごときで炉心融解(メルトダウン)が起こったのであれば、話にならない原発であり、電力会社です。東電の社長・会長はしかるべき時期に引責辞任すべきで、保安院長ももちろん更迭必至です。さらに、原発の杜撰《ずさん》な管理体制の問題を報じることができなかったメディアは、深刻に反省すべきです。たとえば、◆放射能の危険をともなう原発や関連施設では(軽度の)知的障害者が多数働いています。◆過去にその死者も出ています。◆東海村JCO臨界事故で作業者がバケツに入れたウラン溶液を混ぜるなどして青い光を見たのは、高校物理化学レベルの常識すらなかったからです。◆原発周辺では「原爆の子の像」のモデルとなった禎子と同じ病気による死者も出ています。◆今回の原発映像や写真で原子炉建屋の周囲に芝生が張ってあるのが見えますね。あれは、ただ見栄えのためだけでなく放射能漏れなどの異常を検知するためのもの(炭鉱のカナリアと同じ)。福島の原発では過去に「明日監査が入る。だから今晩中に芝生を張り替えなければ」ということがありました(証言者がいます。そう言ったのは監督者で、徹夜で作業したのは軽度の知的障害者です)。以上、多くの人は初耳のはずです。なぜメディアは誰も取材しないか。もちろん最大のスポンサーだからです
すでに何人かの専門家が警告しています。スマトラ沖のときは隣接地域でM8クラスが発生した。スマトラ沖の震源域は長さ800〜1000キロ規模。長さ1000キロの線分のどちらの端で、次の巨大地震が起こっても不思議はない。今回の震源域は長さ400〜500キロ。そのどちらの端で今後(たとえば1か月〜3か月〜半年〜1年間のうちに)次の巨大地震が起こっても不思議はない。(今回の破壊が北から始まったことから、北のほうが発生確率が高いかもしれないが、それは専門家が語るべきこと。ただし)東京に近い端で起こる場合は、茨城沖大地震や房総沖大地震となる恐れがあり、その場合は東京は震度6になる恐れがあります。今回の事例から、その大地震がまた別の直下型大地震を誘発する恐れも否定できません。これらに対する備えが、早急に必要です。今回、東京が震度5とかなり揺れたものの、死者が二ケタに達するような揺れでなかったことは、不幸中の幸いでした。とくに帰宅難民について、ある程度のシミュレーションができたことは大きい。東京都は「震度×以上の地震が発生し、×ターミナル周辺に×万以上の帰宅不能者が生じたときは、開放して受け入れる」という公共施設リストを早急に作り、広報を開始すべきです。首都圏住民は可能な限りの耐震対策を始めていただきたいと思います。私が書いた原稿のうち参考になりそうなものへのリンクを以下に示します。ぜひ、お読みいただき、ご自分やご家族の命や財産の安全を守ってください。メディアのみなさんも、これくらいの話は知ったうえで取材・報道してください
緊急地震速報
インド洋大津波
活断層
マグニチュード
北海道南西沖地震(奥尻島津波)
阪神・淡路大震災報道の記録<前篇>――神戸局・大阪局
阪神・淡路大震災報道の記録≪後篇≫――NHK&東京キー局
検証!阪神大震災テレビ報道戦争の現場
●間に合えば「阪神・淡路大震災報道の記録<前篇>――神戸局・大阪局」を書いたときの局へのアンケート(坂本が設計したA3何枚かの詳細なもの)と許可を得たうえでラ・テ16局分の全回答(地震直撃時に局に何人いて何をした、何人のクルーを何時に何波出した、携行食糧不足で困ったなど、きわめて詳細なデータ)をupします。また、これも間に合えば、危機管理推進会議・危機管理研究プロジェクトチーム(消防庁次長OBなども参加)のメンバーとして私が執筆した報告書(2006年頃に関心のある国会議員には渡ったはず)のうち、南関東を襲うと思われる地震に関する項目をupします。
●「地震が来る」は狼少年ではない証拠を一つ。すでに政府の地震調査研究推進本部・地震調査委員会は、2004年8月に出した長期評価で、次のように述べています。「南関東直下でM6.7〜7.2の地震が、10年以内に発生する確率30%程度、30年以内に発生する確率70%程度、50年以内に発生する確率90%程度」。以上は、いわゆる南関東(都と周囲3県)のいずれかの場所にかかる、阪神・淡路クラスの直下型大地震が起こる確率として、国が発表したもの。評価時点から6年半が経過しているので、今後20年以内に発生する確率が、70%に近づいています。50年以内の90%は、国の報告書には100%絶対と書けないだけの話で、事実上100%の確率です

【03-13午後に追記】★NHK、全民放テレビ、テレビを所管する総務省に警告します。NHK教育の安否情報を、ただちに被災地むけの災害情報に切り換え、民放テレビも同チャンネルへの情報提供に協力すべきです★
●効果が薄いことはわかっているのだから、NHKは教育テレビの安否情報をただちに中止して、被災者に対するライフライン情報チャンネルに衣替えすべき。そこで避難所情報を伝えつつ、電話・携帯・ネット各社の安否掲示板の情報を30分ごとに流したほうが、絶対に効果的。総務大臣は、そのようにNHKに要請すべき。NHKは、受信者対策より公共放送の使命を優先させなければならない。ライフラインとしてのテレビはテレビ史上最大の正念場を迎えた。情緒的で効果の薄い放送を、惰性や前例踏襲で流してはならない
●行方不明者・安否未確認者の想定数を控えめに10万人と見積もる。NHK教育テレビが10万人のうち1人の安否情報を伝えるのに10秒かかるとする。すると10万人の安否情報を伝えるには、10秒×10万=100万秒=1万6667分=278時間=11日半かかる。10日間以上24時間放送して、「誰それさん(←特定の人名)をさがしています」という情報が10秒しか流れない。そんな虚しくムダな放送に受信料を使い、1チャンネルを割くことは、許されません。ただちに中止することを求めます
●災害情報を伝えるテレビには、(1)全国むけの情報提供(被災地を含めて概要を伝える)と、(2)被災地むけの情報提供の二つがある。阪神・淡路ではサンテレビやラジオなど一部を除き、(2)があまりにも手薄だった。NHKの安否放送は(2)に含まれるが、避難民30万人のごく一部の名前しか読まれず、避難民は停電が復旧した後もテレビにかじりついているヒマがなく、事実上、効果はゼロだった。今回の避難民は50万人以上と阪神・淡路よりはるかに多く、被災地域もはるかに広域である。断じて、その轍を踏んではならない
★内容を切り換えるべき、、NHK教育放送のプラン★
●公共放送NHKは次のようにして、その使命をまっとうすべきである。(1)NHK総合放送は全国むけ(ただし被災地を含む)の情報提供、つまり現在の放送を継続すべき。(2)NHK教育放送は被災地むけの情報提供に特化すべき。その内容プランは、おおむね以下の通り
●(イ)「NHKに電話することができた、被災者または被災者でない、Aさんからの情報に基づき、漫然と「Bさん(被災した安否未確認者や行方不明者)はAさんに連絡して」という放送をやめる
●(ロ)Bさんは(a)必死にAさんに連絡を取ろうとしている(のに電話が通じない)か、(b)高齢者や幼児だから連絡できないか、(c)死亡したまたは電話などで連絡できないほどの重傷であるか、(d)連絡するつもりがないのうち、いずれかである。このうち(a)のケースは、放送するまでもなく連絡しようとしているのだから、放送する必要がない。(d)の典型的なケースは、Aさんが「高校で同級だったBはたしか仙台に引っ越したはずだ」とNHKに電話した場合であって、放送する必要はない。
したがって、NHK教育放送は(1)避難所・病院その他にいて自ら連絡を取ることのできない高齢者・幼児などのリストを放送する(=上記(b)を心配している人びとに安心情報を伝える)。(2)避難所・病院その他にいて自ら連絡を取ることのできない重傷者リストを放送する(=上記(c)を心配している人びとに安心情報を伝える)。(3)遺体によって死亡が確認された人のリストを放送する(=上記(c)を心配している人びとにたしかな事実を伝える)。NHKは以上(1)〜(3)をNHK教育放送で順次放送するから、そのリストを作成・提供してほしいと、全避難所・病院・人びとが取り残されている建物、自治体・警察・消防・自衛隊に要請すべきである(すでに作成している機関も多い。避難所や病院には必要な紙や筆記用具を配り、動ける者に作成協力を依頼する)
●(ハ)L字型画面を使い、電話・携帯・インターネット各社などが運用している災害伝言掲示板の使い方、電話番号やURLを放送する
●(ニ)どの地域で機能している避難所・病院はここ、そこで何が得られる(食糧・飲料・医療など)という情報も、今後数ヶ月やそこら必要となる。入ってきた情報を手当たり次第に流すのではなく、岩手県情報は午前と午後何時から、というように伝える。あわせて避難所・病院が何を必要としているかの情報も伝える
繰り返します。ライフラインとしてのテレビは史上最大の正念場を迎えていると思います。前例踏襲や惰性を排し、いま何が必要かを考え、全力で実行してください

03-12
●消防が「ほぼ壊滅」といっている岩手県陸前高田市の人口は、およそ2万3000人。不幸にして1割が津波にのまれたとすれば2000人規模です。付近の自治体は大船渡市4万、宮城県気仙沼市9万、南三陸町1万7000人、石巻市16万、女川《おながわ》町1万といった人口ですから、津波被害を受けた人びとの安否が非常に心配です。危機管理の要諦は最悪のケースを想定することです。国(政府)として相当数の犠牲者が出ることを覚悟すべきで、すでに万単位を想定していると思います。
●最悪のケースを想定したうえで、何をすべきか、情緒的でない冷静な優先順位をつけることがきわめて重要です。遺体収容は後回しでよい。いや、後回しにしなければなりません(レーガンの到着を待てばよい)。火災も放っておいてかまわない。(1)大津波警報の発令地域に取り残されている人(それも頑丈な建物内ではなく、屋根の上にいる人など)を安全な地域に移すこと(各機関はツイッターを要チェック!! ピンポイントの救助要請が大量に流れています)、(2)生きている人(避難所や病院)への飲み水・食糧・医薬品などの供給、(3)生きてそこにいると思われる人(生き埋めなど)の救出(掘り出すのに一目何日かかかりそうな山崩れは後回し)、(4)原発トラブルの処理(大丈夫、数日間の猶予はあるはずです)などが、最優先事項でしょう
●効果が薄いことはわかっているのだから、NHKは教育テレビの安否情報をただちに中止して、被災者に対するライフライン情報の専門チャンネルに衣替えしなさい。そこで避難所情報を伝えつつ、電話・携帯・ネット各社の安否掲示板の情報を30分ごとに流したほうが、絶対に効果的。総務大臣は、そのようにNHKに要請しなさい。NHKは、受信者対策より公共放送の使命を優先させなければならない。テレビの正念場です。放送(番組)を惰性や前例踏襲で流してはなりません
●自衛隊8000人規模が2万人に増強されたようですが、全然足りません。数万人規模が必要です。機動隊はじめ各地の警察も、食糧・飲み物を持たせて送り込むべきです。サミット警備に2万人や4万人を出すのだから当然。日本は戦争はしないと決めた。しかし、いま空前の大災害に対する大規模戦争が始まったのだと考えるべきです。東北地方に原爆が落ちたと思って対応しなければ、ダメだと思います
●以上、仕事にならず、6時までメモを取りつつテレビをチェックしたうえでの、私の見解(12日正午時点)。未明4時前に栄村(中越)で震度6強と30分後に震度6弱、さらに規模は小さいものの秋田沖地震の連発には驚いた。東北太平洋沖とはメカニズムが違う「異なる地震」だが、海溝型に影響されつつ、内陸型は内陸型でプレートの歪みエネルギーを溜めている。東北太平洋沖による地下の巨大崩壊が、長野や秋田の引き金になったことは、まず間違いない(三つ重なったのは偶然ではない)と思います
少なくとも岩手、宮城、福島では、地上デジタル放送への完全移行=地上アナログ放送の終了は、延期です。当たり前です、そんなことは。くだらない国民運動を手伝うヒマのあるボーイスカウトがいれば、東北に言ってくれと頼むべき。違いますか?

03-11
●14時46分ころから、東京・神楽坂は体感震度5の強い地震。揺れはしばらく続く。仕事部屋で執筆中だったが、部屋から出て「玄関のドアを開けろ!」と家人に怒鳴る(うちはマンション4階)。揺れているうちにプラズマテレビをつけ、その脇で収まるのを待った。家内は収まるまで玄関ドアを抑え、息子も自室から出てきて様子見
●収まったら、室内点検は二人にまかせ、消火器を持ち出して3階外玄関のところ(4階はうちだけで入り口が3階)に置き1階の大家さん宅へ。被害なしを確認し、まず2階、次に3階の各戸(各2軒ずつ)のドアホンを鳴らしドアを叩いて「上の坂本です。大丈夫ですか?」と確認(在宅は2軒で、不在宅も問題なし)。さらに4階ルーフバルコニーから周囲を見わたし、煙が上がっていないことを確認(ボヤを見つければ消しにいくつもりだった)
●うちに戻ると結構な被害。本棚・サイドボード・タンス・食器棚・冷蔵庫・テレビの類はすべて鎖で壁に固定してあり、倒れたものはなし。本も基本的には本棚から飛び出さなかったものの、AVラック(三つでたぶん二百数十kgと重いので、それ自体は微動だにせず)や棚の上にいい加減に置いてあったもの、積み上げてあった本や新聞、本棚に2列に入れたうち手前の本の一部などが落下。仕事場は、これまでほとんど足の踏み場がなかったが、地震後は完全に足の踏み場がなくなり、デュアルモニタってことでPCケースの上に載せていた21.5インチも倒れる。食器棚もすべて耐震ラッチがつけてあったので、中身は飛び出さなかったが、棚の中で互いにぶつかるなどして、ワイングラスや茶碗が数個割れた。以上、チェックしながら状況をデジカメで撮影。冷蔵庫も開きました
●同時に家人と息子は、娘と母親二人の安否確認を開始。私もテレビで情報収集しながら参加。兄が中国勤務のためメールを打つなどしました。以下、打ったメールを件名・発信時刻とともに掲載。赤字はサイト掲載時につけた強調
東京震度5(14:57)東京震度5以上? 神楽坂は娘以外無事確認済み。奥沢(注:私の実家)は金曜で静岡か。確認中。まず大丈夫の見込み。
おふくろも無事(15:18)奥沢(母)は植木鉢一つが落ちただけで問題なし。神楽坂全員問題なし。東京は震度5以上。ごく一部では火災発生中。15時16分震度4の余震あり。
大地震(16:51)16時半現在、東京数十件で火災。千葉でガスタンク炎上中。原発全停止。東北広範囲に数〜10メートル以上の津波。岩手の情報なし。宮城、福島、茨城などで、おそらく死者数千〜1万以上〜数万か。東京405万世帯で停電。神奈川130万世帯。東日本のほぼすべての鉄道・高速・空港機能停止。
大地震2(16:55)海上自衛隊全艦艇、東北沖へ。おそらくは海保、米軍も。陸上自衛隊の多くの部隊、東北へ。都心部、帰宅できない者たちであふれ中。
大地震3(16:59)気仙沼市の海岸部木造家屋は津波でほぼ消滅。岩手、宮城の沿岸部でも同じことが起こった恐れ大。空前の大災害か。
大地震4(17:08)東日本で広範囲に携帯不通。東北各県ほぼ停電中。うちから歩いていける九段会館天井落下、死者1負傷者。東北各地の都市で火災発生中。日経平均暴落。原発停止は11基。
大地震5(18:25)東電、火力12基停止、水力22停止。今後、停電の恐れあり。M8.8日本史上最大。世界史上5番目の巨大地震。津波被害も過去最大か。都内繁華街で帰宅不能者(会社員以外も)続出。官房長官枝野・会社にとどまれと要請。娘は帰宅不能で友人宅に宿泊予定。宮城沖M8.8以外に茨城沖、福島沖、三陸沖などでM7規模2回、M6が1回など誘発地震が連発。
大地震5(18:56)福島第一原発、停止するも冷却機能全停止。緊急事態宣言。2〜3日間は暴走しない見込み。仙台新港、津波10mが直撃。被害総額は数兆円以上か。(阪神淡路10兆以上)
以上に対する中国からの兄の返信は、以下
Re: おふくろも無事(15:54発信だが19:45着信了解しました。東戸塚(注:兄の自宅)はまだ連絡が取れません。
東戸塚無事確認(16:19発信だが19:45着信携帯が繋がり、無事を確認。
Re: 大地震4(17:13発信だが、20:45着信インターネットTVでNHKを見ています。東戸塚は全員無事。
Re: 大地震6(12日1:45発信だが、2:45着信奥沢へは何回も電話したがなかなか繋がらず、3/11、20:00やっと通じて無事を確認。東戸塚は3/11、16:00携帯が通じて無事を確認したが、その後、自宅電話がなかなか通じず。22:00頃まで停電していて、電話が使えなかったとのこと。いずれにしても、皆無事で安心。しかし、津波被害は甚大で、いったい何人亡くなっていることか?

2011-03-06
■3月4日記者会見は、60名ほどのご参加(発起人・スタッフ計14名を除く)を得て終了。ありがとうございました。OurPlanet-TVさんが取材し、記者会見の映像をYou Tubeにアップしてくださいました。ノン編集完全版(1時間54分)です。長いですが、どうかご覧ください。3月7日以降、アナログ「終了延期」サイトに当日の全配布資料を掲載します

2011-01-30
●あまりにも遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。時期はずれで妙ですが、2011年最初の更新なので、このご挨拶をさせていただきます
●"国策"によれば2011年7月24日までに現行のアナログ放送を終了することになっています。その半年前の1月24日、私たちは地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトを始動致しました。当面の地上アナログ放送「終了延期」PT(プロジェクトチーム)メンバーは、『放送レポート』編集長・岩崎貞明、ジャーナリスト坂本衛、立教大学准教授・砂川浩慶の3名です。以下(別ウィンドウで開きます)で概要をご覧ください。このサイトの紹介・引用はご自由に。2011年7月段階での地上デジタル放送(地デジ)の完全移行=地上アナログ放送の全面終了(アナログ停波)は無理だ、しばらく終了を延期すべきだと考えていらっしゃる方は、どんどん紹介・引用し、ご自分のサイトからリンクを張っていただければ幸いです
●もちろん予定通り2011年7月までに完全移行すべきだとお考えの方も、どこに無理があるか、完全移行するとどんな不都合が(国民・視聴者・大衆、NHK放送局、民間放送局、総務省、メーカーなどに)起こるか、延期して困るのは誰か、どうすれば自分たちはもっとも得かについて、以下をお読みになり熟慮していただければ幸いです
地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトのサイト
地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトのブログ
地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトの掲示板
●3月上旬に都内で(おそらくは)最後の警告記者会見を開きます。このときは少なくとも20〜30人以上の賛同者を募り、それぞれの方に200〜400字程度のメッセージを寄せていただき同時に発表する予定です(2月上旬にはご案内します)。PTメンバーも、もう2〜3人増やせればと考えています
●日大芸術学部放送学科教授の兼高聖雄は、サイトには「断じて7月24日に放送終了すべき」論者の主張をそのまま掲載し、逐一わかりやすく反論し粉砕するページを設けるべきとの意見。そのようなぺージも作ります。ただし、あまりにも時間がありませんので、しばらくお待ちを。3月第一週までに新書を2冊(1冊は「地上デジタル放送の真実」本)書き、これから明日までに『放送レポート』にサイマル放送のうち地上アナログ放送を続けるコストはNHK・全民間放送局を合計しても最大で年間125〜130億円程度(キー局技術系首脳がそう断言)という原稿を書かなければなりません。取り急ぎ、地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトを最優先させますので、当サイトの更新は滞りがちになると思いますが、あしからず
●アスコムから小川和久・坂本衛(聞き手)『もしも日本が戦争に巻き込まれたら! 日本の「戦争力」vs.北朝鮮、中国』が出ます。坂本が最終チェックの校正ゲラを戻したのが1月14日。1月31日に取次搬入で、書店店頭には2月1〜2日ころから並ぶでしょう。本体価格952円(税込定価1000円)で、初版部数18,000部と、このご時世にかなり多い。北朝鮮の延坪島砲撃事件、中国の尖閣漁船衝突事件に興味がおありの方は、ぜひお読みください

12-31
●1年間、本当にお世話になり、ありがとうございました。2011年もよろしくお願い申し上げます。このところ毎年、暮れに本の仕事が入り正月休みに書くという繰り返しで、おまけに一人暮らしの母親宅にも行かなければならず、賀状を書く時間が取れません。誠に申し訳ありませんが、前年に同じということで失礼致します
●30、31、1日夕方のKinKi Kidsコンサート、31日23時〜嵐を呼ぶ年越し生歌合戦だピョン!!(以上東京ドーム)、1日昼の新春滝沢革命(通し稽古、帝国劇場)ともに代理に行ってもらうことに
●『GALAC』2011年1月号の表紙は稲垣吾郎。グラビア執筆は坂本です

12-30
●10時37分飯田橋駅待ち合わせで、母・坂本幸子と埼玉のヒノキ工芸へ。日本を代表する特注家具の製作所で、設立した戸澤忠蔵は三越製作所出身の家具職人。うちの母は皮革工芸家で昔から額装なんかをお願いしています

12-29
●大掃除というほどのこともないが、終日掃除・片付け

12-28
●日刊ゲンダイ峯田淳から電話。日刊ゲンダイ地デジ連載で総務省から「ご説明にうかがいたい」と連絡があった由。「忙しいから、こちらからは行かないが、どうしてもというなら会ってもいい。席を設けて」と
●雑用いろいろ。夜、家人・息子と西早稲田かわうち。北朝鮮問題でGALACにも出てもらった毎日出身の早大教授・重村智計《としみつ》がいたが、熱心に話し込んでいる様子なのでご挨拶はせず

12-27
●朝、実家を出て帰宅。車両故障ということで都営三田線(目黒線に乗り入れ)のダイヤが乱れ、すし詰め状態。途中駅で気分が悪くなった乗客が出て長く停車するなどして、ガンガン冷房
●10時半〜12時、サイゾー逸見信介の取材@神楽坂ジョナサン。企画内容:「2011年 沈む企業浮く企業」(仮)、掲載号:サイゾー2011年2月号(1月18日発売)だそう
●13〜15時、竹中平蔵と打ち合わせ@六本木ヒルズ森ビル49階アカデミーヒルズ(理事長が竹中平蔵)。アスコム高橋克佳・小林英史も

12-26
●へちま新年会(2011年1月14日もー吉)の案内出し。未達の方はメールしてください
●12時、父の墓参り@新横浜・貴雲寺。母、家人、兄嫁、姪っ子と。新横浜駅ビル内のつばめグリルで昼食。牡蠣のオーブン焼きと帆立ガーリック焼きのほか、各人がハンバーグ、カキフライ、ポークソテーなど頼む。リーズナブルでボリュームもあり、まずまずうまい。世田谷の実家に戻り、窓ふき(基本は水+スクイージー+空拭き。洗剤は不要で、とくにシリコン入りは全然ダメ)など、大掃除というほどのこともないが掃除。私だけ泊まる

12-25
●13〜15時、赤旗記者・佐藤研二と打ち合わせ。「波動」というコラムに隔月で連載することに。現在の執筆陣は、白石草(アワープラネットTV代表)、醍醐聰(東大教授)、鶴橋康夫(演出家)、戸崎賢二(元NHKディレクター)、利元克巳(広島マスコミ9条の会)、藤久ミネ(放送評論家)、松尾羊一(放送評論家)だそう

12-24
●小川和久との北朝鮮・中国軍事本第一稿全文を書き終え、送信

12-23
●昼すぎの新幹線で帰宅。車中も帰宅後も原稿書き

12-22
●昼までに北朝鮮・中国軍事本を9割方書き終え、送信。15時過ぎの新幹線で京都へ。車中でもノートPCで原稿書き
●18時45分〜琵琶湖塾第6回@大津ピアザ淡海ピアザホール。ゲスト講師は香山リカ(精神科医・立教大学現代心理学部教授)。田原総一朗は休みで、坂本が司会進行。45分ほどの講演趣旨は以下
●いまは自己責任、オウン・リスクなどといわれ、競争に負けた者は努力が足りなかった、その人のせい、という話になりがちな社会。しかし、週2回診療所で患者さんたちを見ていると、到底「努力が足りない。頑張れ」とは言えない。たまたま病気や事故に見舞われたり、倒産・リストラに遭ったり、親しい人を亡くしたりして心の病(鬱病など)をかかえ、診療所にやってくる。それは、たまたまその人だが、いつ自分に降りかかるかも知れない問題。努力不足のせいではない。自己責任の問題だと断定できる患者は一人もいない。とくに、トラブルや病気による落ち込みにプラスして、落ち込んで敗北者になった自分に落ち込む(負け感、敗北感に苛《さいな》まれる)人がとても多い。たとえば詐欺にあって落ち込む人、多重債務をかかえて落ち込む人が診療所に来る。精神科より消費者センターか弁護士を訪れたほうがよいが、そうしないのは「あなたが悪い!」と怒られてしまう、それが怖いと思い込んでいる。それは負けでも挫折でもない、頑張らなくてもいい、自立などせずもたれかかる人生でよいのだ。甘やかすなといわれてしまうが、彼らを自己責任と突き放さずに助けようという懐の深さが、社会にも人びとにも必要だ
●質疑応答はたいへん活発でした。詳しくは後ほど
●車座集会ののちあゆらに移動し、10時すぎ〜25時前まで飲み会(通称「裏塾」)。出席者は、田村邦昭、服部健一、津田貞次、井内省吾、西岡裕洋《やすひろ》、入江賢治、津田英男、三好孝夫、上羽みき枝、駒井久子、奥野修、駒井千代、岡田博史、神田輝代、山名真貴、駒井美代、片岡大輔、坂本衛。駒井千代は4月の地方統一選で滋賀県議会議員に立候補するそう。撮ったデジカメ写真は、そのうちフォトサイトにupするんでよろしく。大津プリンスホテル泊、26時就寝

12-21
●放懇理事会・忘年会は欠席。『フリーター、家を買う』をVTRで見た以外、原稿書き。フジ『フリーター〜』は日テレ『Mother』と並んで、2010年連ドラのトップ2本だと思います。二宮和也、相変わらずイイ。泣きながら笑えて、笑いながら泣ける、相変わらず二十代後半でピカイチの俳優

12-20
●終日、原稿書き

12-19
●終日、原稿書き

12-18
●1月刊行アスコム『(仮タイトル)緊急出版 北朝鮮・中国の戦争力』原稿書きに分秒を争っているので、以下、どうしても書いておく必要があると思うことだけ、取り急ぎ
●昨17日の田原総一朗「忘年会」は、本人へのサプライズとして、そう呼んでいた。実際に行われたのは「ジャーナリスト50周年のお祝いの会」です。来賓挨拶の最初は広瀬道貞(2006年から民放連会長、テレビ朝日元社長・会長)、乾杯の音頭は西川善文(元三井住友銀行元頭取・日本郵政社長)。広瀬道貞とは地デジ問題について話しました。10分もなかったと思うが、坂本が言った要点は以下。【1】2010年7月時点の普及率はせいぜい75%以下だ(後からの注:ビデオリサーチ調べでは6月に74%。NHK技術局の受信料支払者を対象とする調査では7月に75%[受信料未払い者・未契約者を対象に入れれば、さらに低いことは当然]、NHK放送文化研究所調べでは9月に75%)。9月時点で90%は総務省のデタラメ数字。現時点でも、よくて80%いくかいかないかだろう。2011年4月(エコポイント3月終了)以降、テレビ出荷台数はガタッと落ちるかも。2003年から7年かかって80%いくかいかないかのものを、あと半年で100%にすることはできない。【2】必要なのはソフト・ランディング。2011年7月にやろうとするとハード・ランディングになる。放送局のダメージが大きすぎて無理だ。もちろん国民視聴者大衆のダメージも大きすぎる。アナログ停止を2〜3年延期するしかない。【3】80歳以上世帯(単身と夫婦)の数は全世帯の5%250万世帯、この数を誰も知らない。当然250万世帯の普及率も不明だが、所得その他から考えて若年世帯より普及が遅れているはず。その250万世帯の普及率が50%なら、残り全世帯が100%普及でも世帯普及率97.5%にしかならない。現実には、残り全世帯の100%普及はありえない。5000万世帯の20%が年収200万以下だから。【4】想定外のリーマン・ショック(世界金融危機)があったのだから、それを理由にアナログ停止を延期しても誰も文句は言わない。しかも、私たちはそのほうが「放送局も得だ」と主張している。それを示すデータの提供は惜しまない。すべて伝える。【5】広瀬さんは、本当にいい人だ。いい人すぎますよ。新聞出身なのに地デジ完遂に、ここまで熱心なのだから。ほかの放送局首脳は、2011年7月の完全移行はたぶん無理だと思っていながら、広瀬さんに全部押しつけていると見える。ヒドい話だと思っている。【6】放送局の連中は、普及の話もサイマル負担の話もよくわかっていない。本当にわかっていないから、これには注意してほしい
●民放連会長が言ったのは、7月に提言した4人はテレビのことをもっとも愛し心配している4人だと思っている。最終段階で何が必要か、できるだけ言ってもらいたい。最終段階では、その80歳以上世帯が「どうすればよいのか」と申し出てきたら、テレビを配りアンテナ工事をするくらいの対応が必要ではないか、など。私が答えたのは「その言葉はありがたい。ただし、まだ最終段階には遠すぎる。それに、80歳以上世帯は申し出てこない。だから問題なんですよ」
●ここから先は、昨日は言わなかったことですが、総務省が言う最終段階が確かに近づいている。その段階では「残り未対応は約何百万世帯。うち3月末に約何万世帯の対応を済ませる。4月末には、5月末には、6月末には……」という最終計画を実施する必要があります。それを実施するには、信頼できる科学的合理的な調査によって、未対応世帯のおおよその数を見積もらなければならない。ところがその数を出した段階でヤバすぎるという話になるから、2011年には最終段階に入る(最終計画をスタートさせる)ことができません。現段階はもっと手前です
●付け加えれば、鍵は3月中旬以降に国会を通過する見込みのNHK新年度予算(2011年4月から執行の予算計画)です。あまねく普及義務を負うNHKは、いい加減な予算を国会に出すことは許されない。ある程度の受信料減収を見込む必要があり、ということは未対応世帯数についての見込み数字をある程度盛り込み、「うちはここまでやる」と言わざるをえない。つまり、NHKは「全力を挙げてここまでやるが、あとは責任持てない。総務省、あんたの責任だ」と、国にゲタを預ける形をとらざるをえない。その前の段階で、私たちはもう一度、記者会見なりなんなりをします(半年前の1月24日はという案も出たが、準備期間が足りないので却下)
●ある民放系列の元労組委員長の放送局員とも話しましたが、全然わかっていないようなので非常に驚いた。彼にはいちいち反論しました。◆いわく局員:「総務省が決めたスケジュール通りやるしかない」坂本反論:「総務省が決めた通りになんでもやるべきなら、国土交通省が決めた通りダムも高速道路も空港も造ればよい。ならば御社のニュースは要らない。××テレビは放送局をやめちまえという話だ」。◆局員:「いや、国のスケジュールは国民の代表が決めた。国権の最高機関たる国会の議決による」坂本反論:「それが国民と相談していないからダメだと言っている。2001年の電波法改正が10年後にアナログ放送を何がなんでも止めるという法律だと思っていた国会議員が、何人いるか。賛成議員のほとんどが知らなかった」(坂本追加:国会が全会一致で決めたスケジュールに全国民が従う義務などない。たとえば首都移転。現実に、全会一致の決定を誰一人尊重してない。国会が戦争すると議決しても、おかしいと思えば反対するのがメディアの役割)。◆局員:「現実問題としてサイマルコストをどうしろというのか。当系列は200億円かかる。誰が負担する?」坂本反論:「200億円? 何を言っているの? 地上2波を全国あまねく放送するNHKのサイマルコストが年60億円なのに、××系列局が200億円かかるはずがないじゃないか。それは民放全局の金額だ。売り上げ1兆7000億から出せない額ではない。ホリエモンにフジがいくら払ったか知っているか? 400億円だ。それで給料下がってないぜ」(坂本追加:堀江貴文は夏に会ったとき「400億円を一切受け取るな、黙って株を返せとアドバイスしてくれた人がいたが、僕は聞かなかった。聞いておけば、こんなことにはならなかったかも」と言っていた)。◆局員:「いや、現実にアナログ送信マスターの更新で200億円かかった」坂本反論:「ん? アナログ停波を2年延期したとして、なんで全系列局のアナログ送信マスターの更新が必要なの? 開局時が違うんだから全局同時にぶっ壊れるわけない。10年持つなら、更新時期を迎えるのは系列局の5分の1、数局だけだ」。◆局員:「前は10年だったが、いまは6年で減価償却」。坂本反論:「なに言ってんだ? ベンツが6年で更新時期を迎えたって、全部買い換える必要はないんだよ。直し直しあと2〜3年乗りゃいい。減価償却てのは税法上の処理にすぎず、全部の車が壊れる期間のことじゃない。減価償却が認められず困るなら、『ふざけんな。例外として認めろ』と税務署にねじ込めばいいだけの話。それでも、どうしてもマスター更新が必要な弱小局があれば、総務省が支援すればよい。地デジ対応コストをあと半年で10万円出せないヤツも、あと3年なら出せる。ならば、そこには地デジ支援が不要だ。じゃあ、それで浮いたカネを放送局に回す。そういうことをやりゃいいんだ」◆局員:「あと半年で対応できない世帯は、3年たっても対応できない」。坂本反論:「全然まちがいだ。カラーテレビの普及を見てごらん。ほぼ100%普及になるまで、どの3年を取っても普及率は必ず上がった。地デジでも3年待てば必ず上がる。当たり前だ、そんなことは」◆局員:「売上高2000億円。うち人件費が9%だから削れない。何を削れというのか」坂本反論:「だから年200億円もかからないと言っている。サイマルコスト(アナログを3年続けるコスト)を精査しなさいよ。人件費もちょっと削って、制作費も削ればいい。ちゃんと話をしよう。このあと喫茶店で話してもいいよ」局員:「いや、今日はこれから予定があるので」
放送局、とくに民間放送局の労働組合関係者へ。2011年7月のアナログ放送停止はハードランディングになり、経営企画局が最大600億円の受信料減収と言っているNHKも、テレビ台数が3分の2に減ることでテレビ広告費が減る民放も、必ず減収になる。あなた方の給料は必ず下がる。しかし、民放局のサイマルコストは、「アナログ送信マスター更新コスト」ではない。オバケみたいな数字を「怖いこわい」と言ってないで、ちゃんと精査しなさい。各労組が技術職員をかかえ、組織としてアナログ停波延期を言い出せないことは知っている(組合中央の個人的な意見を集約すれば、もちろん延期必至)。だから、次のように説得すべきだ
●「アナログ停止を2〜3年延期するコストは、送信マスターをだましだまし使えば、ここ2〜3年にかかった毎年のサイマルコストにメンテナンス費を追加するだけで済む。決して、耐えられないコストではない。総務省から支援を引き出す手もある。しかも、あと半年をあと2〜3年に延ばせば、いまの過酷な作業を軽減できる。きっと徹夜も休日出勤も減る。だが、そうせずに予定通りアナログ停止を強行すると、受信料も広告収入も減り、組合員の給料が必ず減ってしまう。それは避けたほうが得策だ。そして、放送の現場で働く者の使命や気概を奮い立たせよう。たとえば気象情報(天気予報)に携わる放送局員は、2011年7月24日に、数百万世帯(もちろん600万か、300万か、100万か、まだよくわからない)にテレビによる気象情報が届かないことに耐えられるか。災害報道に携わった者や局内災害担当は、大地震が明日にも襲うかも知れないという番組を作り局内でも警戒しながら、7月24日以降、数百万世帯にテレビによる地震情報も津波情報も届かないことを納得できるか。テレビは津波警報を、CM画面の上であれ常時流し続ける。それはインターネットにも携帯電話にもラジオにも、他のすべてのメディアにできないことだ。その誇り高い仕事を私たちはやっているのだ。それを中断してよいのか。もう一度、私たちの仕事を見直そうではないか」と
●昨日話した放送局社員は、人件費が9%だと言った。どの局とは言わないが、売上高2000億円で社員1000人なら、平均年収は1800万円です。「われわれは、それを1円たりとも削りたくないし、削る必要もない。だから、とにかく2011年7月にアナログを切るんだ。それが規定路線だ」という理屈は、少なくとも1億人くらいの日本人には通用しない。それが私の情勢判断です

12-17
●アスコムから榊原英資著『世界同時不況がすでに始っている!』が絶賛発売中。定価1000円。この同時不況のご時世に、なんと初版2万7000部。私も手伝わせてもらった。おもしろいです。お読みください
●10時40分〜日大放送特殊研究Vの授業。夕方、田原総一朗の忘年会。あとはずっと1月刊行アスコム『(仮タイトル)緊急出版 北朝鮮・中国の戦争力』の原稿書き

12-16
●1月刊行アスコム『(仮タイトル)緊急出版 北朝鮮・中国の戦争力』の原稿書き
菅首相:脱税で起訴の弁護士献金「返却する」(毎日新聞記事) まあ、返したければ返せばよいが、何党のどの政治家への献金であれ、後から発覚した悪事を理由に遡《さかのぼ》って返金しなければならないという”ルールらしきもの”は、いかがなものか。そう昔から思っています
●逮捕されたら即、返金か。起訴・有罪ならば返金なのか。控訴や上告で逆転無罪になったらどうするのか? 個人・企業どちらでも返すのか? 何年まで遡るのか? 献金が返すべきなら、政治資金はどうなのか? 逮捕・起訴で必ず返金すべきなら、自民党田中派の政治家たちは田中角栄からもらったカネ(政治資金)を返したのか? 民主党の小沢チルドレン政治家たちは、小沢一郎が一審有罪になれば小沢一郎からもらったカネ(同)を返すのか? ──という話になると思いますが。そんなややこしい問題は考えないことにして、指摘があって面倒だから返金、という感じが露骨すぎ。見つかったものだけについて、さも「不浄なカネを受け取った」かのように報じるメディアも同様に、どうかと思います
●菅直人が今後100万円返せば、菅直人に1万円献金した100人分がムダになるともいえる。仮に私がその100人の一人だとすれば、二度と献金したくないと思うでしょうね。「ダーティーなヤツのカネなんだから、持たせておくと悪事に使われるかも。自分が受け取った以上、必ず国民のために使う。で、もう国民のために使った。自分は鳩山さんのように金持ちではないから、返金は献金から出すしかない。それは献金してくださった人に申し訳ない。だから返さない」と言ったら、どうなりますかねえ。「じゃあ、ポケットマネーから返せ」と言われるか。まあ、いずれにせよこんな返金より、国の補助金を受け取った企業からの献金を禁止するほうが先でしょう
●今日届いた『週刊朝日』の[国会通信簿]御厨貴東大教授×松原隆一郎東大教授 ポスト菅は「選挙管理内閣だ」という記事はおもしろい。松原「マニュフェストには中国漁船の衝突も、北朝鮮の韓国砲撃も書いてない。書いてないことが起きると、この政権は何もできない」とか、仙谷由人について松原「弁護士的ですよね」御厨「いまは『被告・菅直人』を守らなくちゃいけないから、自分が前面に出て闘っている」とか、松原「反自民、反民主の受け皿はみんなの党しかないから伸びます(苦笑)」御厨「この政党は名前の付け方からして、継続性や永続性がないことを自ら認めているわけでしょ」とか、肯《うなず》ける話が多い。その結果、通信簿は民主党D、自民党C(ただしDに近いC)という悲惨な成績。まったく国民は救われない。とりわけ若者たちが気の毒でなりません

12-15
●1月刊行アスコム『(仮タイトル)緊急出版 北朝鮮・中国の戦争力』の原稿書き

12-14
●アスコムから榊原英資著『世界同時不況がすでに始っている!』が出ました。定価1000円。この同時不況のご時世に、なんと初版2万7000部です。私もいささか協力させてもらった本で、非常におもしろい内容だと思います。欧米の経済が悪く、来年の日本経済はホント、かなりヤバくなりそうです。それはなぜか、なぜ世界同時なのか、日本では円高はじめどんなことが起こるか、それに備えて政府や企業や個人はどうすべきかを、簡潔にまとめてあります。ぜひお読みください!
●アスコムから1月刊行予定の小川和久著(聞き手:坂本衛)『緊急出版 北朝鮮・中国の戦争力』の原稿書き。21日までは、かかりっきりとなり、電話コメントくらいしかできそうにないので、あしからず。17日の日大授業には行きます
●菅直人が「これまでは仮免許だった」発言。もちろん軽率な発言です。たとえば首相につくSPは、身体を張って狙撃の銃弾を防ぐ。自分の命を捨てる覚悟で、日本国首相・菅直人の命を守る仕事をしています。彼らは「仮免」のヤツのためなんかで命を捨てたくないに決まっている。だから、仮免なんて言ってはいけない
●でも、つい言ってしまった。問題はその後です。みんながなるほどと思うように、うまく謝らなければならない。一例はこうです。「言葉足らずで申し訳なかった。自分が仮免といったのは、たとえば首相在任2798日、7年半も首相だった老練な政治家吉田茂さんと比べたら、自分はまだまだひよっこで、仮免が終わった免許取り立てみたいなもの、という意味だ。そう言えば誤解されなかったと思うから、いま付け加えさせていただく。この意味では、小泉政権以降毎年、任期1年の年替わりで退陣した自民党の総理大臣のみなさんも、もちろん仮免同然のひよっこだ。だが、首相としての経験が浅く、老練さで吉田さんに及ばないとしても、自分は歴代自民党の首相たちのようなカネの汚さとは無縁だし、財界や官僚との癒着もない。首相在任歴代2位の佐藤栄作さんのように、沖縄密約などないと国民にウソをついたこともない。だから先の総選挙で国民は、クリーンな民主党に政権交代せよと1票を投じてくれたのだと思っている。その期待にそうよう頑張りたい」
●私が、以上のように思っているかどうかは、また別の話。自民党のために菅直人をもっとうまく攻撃する例文だって、すぐ書けるのでね。上の例文では、仮免と言ったことを否定せず、ちょっと違う意味にすり替える。同時に(すり替えた意味での)仮免は、自民党首相も同じことだと、批判が批判する者にも跳ね返る形をつくる。さらに、(すり替えた意味での)仮免同然だって歴代自民党首相よりいいのだとできるだけ論点をズラす。「何十年も免許を持っていても暴走し、事故ばかりの人よりは、免許取り立てでも無事故のほうがマシですよねえ」なんか、イヤ味を付け加える手もあるが、やりすぎると開きなおりと取られるから注意が必要──って、誰かアドバイスしてやればよいのにと、思うんですけどねえ
●仙谷由人の「自衛隊は暴力装置」発言もそう。「暴力装置は、暴力団みたいな装置っていう意味じゃありませんよ。当たり前の話ですが、実力装置の意味ですから、言い換えます。失礼しました」と、【1】違う言葉に言い替える(このケースはすり替えじゃない)。そして、「ヒトラーのヨーロッパ侵攻とかユダヤ人虐殺は明らかに国家、それも国家の軍隊が深く関与した暴力だ。だから、その軍隊を暴力装置と見なしても不都合はない。軍隊を暴力装置と言ってはダメというみなさんは、ナチスの軍隊は暴力装置ではないという特殊な歴史観をお持ちなのか」とか、「石破茂さんは、政治学的な定義として『警察と軍隊という暴力装置』と発言されたことがある。警察一般に日本の警察が、軍隊一般に日本の自衛隊が含まれることは当然だから、石破さんのおっしゃる政治学的な定義では、日本警察も自衛隊も『暴力装置』になるはずだ。なぜ石破さんを批判しないんですか」と【2】批判する者に跳ね返る形をつくる。さらに「ナチスの軍隊は『暴力装置』でなく『実力装置』だと言い換えて、何か歴史の真実が明らかになることでもあるのか。あったら、ぜひ教えていただきたい」とか「仙谷はやめろとおっしゃるからには、『暴力装置』とおっしゃったお身内もお辞めになるんですか」などと【3】論点をズラす

12-13
メディア関係のみなさんにご参考まで。総務省の「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査の結果」(リリースの日付けは平成22年11月26日)から、80歳以上の世帯が漏れている件で、総務省の担当者と30分ほど話した内容をご紹介。なお、担当者の名前は聞いたが、ここでは出しません。「名前を出す必要があるときは改めて連絡し、局長名にするか総務大臣名にするか別途、相談させてもらう」と伝えたので。【 】は坂本の質問
【浸透度調査の対象から80歳以上を除いた理由は?】80歳以上の高齢者に調査票への記入という負担を強いることになるため。体力的な問題や判断力なども含めて負担が大きすぎるから、対象から外した。政府による調査事例全般を見ても、そうしている例が多いので参考にした。調査の継続性という意味でも、当初のやり方を変更せずに続けている
【80歳以上の日本人が何人いるか、ご存じか?】統計を記憶しておらず、すぐに出てこないが、かなり多い。数百万人では
【800万人以上だ。では、80歳以上だけで構成される世帯が日本にどのくらいあるか、ご存じか?】知らない。見積もったこともない。見積もらないことに、とくに理由はない
【80歳以上の単身(単独)世帯は約150万、二人とも80歳以上の夫婦世帯は約100万、合わせて250万。日本の全世帯5000万の5%だ。これら世帯は、所得や判断力から考えて、日本の世帯平均より対応が遅れがちで、地デジ普及率は低いと思う。それを対象から外すのはまずくないか?】デジサポで高齢者宅を個別に訪問して説明するなど、サポートしている。高齢者だけに情報が届かない状態で事態が進む、ということはない
【デジサポは、相談を寄こさなかった者も含めて、80歳以上の単身・夫婦世帯を訪問しサポートしている? 「250万世帯のうち何世帯を済ませた」というようにサポートしているのか? やっていないのでは?】サポートしている高齢者に、80歳以上の全世帯が必ず含まれるかどうかは、わからない。デジサポでどのようにやっているかも、わからない。必要なら、別の担当者が答える
【総務省は今回の調査で5000万世帯の普及率が90.3%になったと言っている。だがその調査は、5%250万世帯を調べておらず、そもそも「250万」という数字も知らないと。では、90.3%という発表数字は、わからない部分を含んでおり、信頼できない数字ではないか?】80歳以上世帯を除けば、科学的で信頼に足るしっかりした調査である、と考えている
【「80歳以上世帯を除けば」そう考えていることは、知っている。いま聞いているのは「5%250万世帯を除いた調査」の信頼性だ。「5%が対象外であっても、科学的で信頼性に足るしっかりした調査である」というのが総務省見解か? あなたの名前を出して、そう報じてよいのか?】全数調査はできず、そのような調査しかできない。高齢者についても、普及率は若い層とあまり変わらないという調査結果が出ている
【その高齢者は65〜79歳世帯(注:今回調査で1730世帯、普及率90.4%)で、退職金を受け取ったばかりの世帯も含む。いまは80歳以上世帯の話をしている。80歳、90歳、100歳……という世帯の地デジ普及率が、総務省調査の65〜79歳世帯と同じに違いないと、本気で思っているのか?】いや、80歳以上世帯は調査していない。だから、その世帯の普及率はわからない。
【全世帯の5%を調査せず、しかも5%を含めて全世帯の普及率が90.3%という調査は、私はいい加減で信頼するに足らないと思う。そのような調査に基づいて地上デジタル放送政策を進めることを、問題だとは思わないか? たとえば、必要な農業用水・飲み水の量や最大雨量など元になるデータが信頼性に欠けるのに、国交省がダム建設を強行するのはおかしい。そのように、おかしいとは思わないか?】いや、アナログ停波も含めて地上デジタル放送政策を進めるには、信頼するに足る調査結果であると考えている
【80歳以上世帯を除く全国調査をする担当者は、調査対象から漏れる世帯数を知っておくべきだ、とは思わないか?】それは、そう思う。250万世帯という数字が載っている統計を教えてほしい
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●総務省の担当者には、電話の最後に「厚労省のデータで、国立社会保障・人口問題研究所の推計も裏づけになる。調べれば見つかるデータ」と伝えておきました。調査を担当する総務省官僚が、調査から省いた80歳以上世帯の実数を知らないんだから、すべての新聞記者・放送記者・雑誌記者・市民記者も知らないわけでしょうね、きっと。でも、総務省のニュースリリースに次のように書いてある。これを読んで「80歳以上の個人って何人なんだろう」と疑問に思わないのは、なんで?
【調査概要】
○ 調査実施時期  平成22年9月
○ 調査対象地域  全国47都道府県の全域
○ 調査対象者  男女15歳以上80歳未満の個人
○ 調査方法  RDD法によりサンプルを抽出した後、郵送調査を実施
○ 有効サンプル数  13,170
○ 調査実施団体  社団法人デジタル放送推進協会
○ 調査請負先  株式会社サーベイリサーチセンター

12-12
●『日刊ゲンダイ』に短期連載する地上デジタルについての原稿書き。全9本を書き送る

12-11
●従弟の結婚式・披露宴@ハイアットリージェンシー東京(新宿)。父(故)坂本文雄の二人下の弟・春男の長男・満と法子が十何年かの交際期間をへてめでたく結婚。10時に母・幸子とJR目黒駅で待ち合わせ。11時前に控室へ。11時半〜5階チャペルで式。12時半〜28階スカイルームで披露宴
●私の父方の兄弟姉妹は、上4人が男で下4人が女。私のオヤジは次男で、東京に出てきた妹たちにとっては年も離れ、親代わりのような存在だった。叔母さんたちは大学や高校くらいのとき入れ替わりうちに下宿し、うちの隣の家に嫁に行った人もある。私の母は、私たち兄弟が五つと三つ(私は弟)くらいのとき、確か高校生だったいちばん下の叔母に平気で二人を預け「田舎(埼玉県騎西町)に連れてって」と頼んだりしていた。この叔母は「一人でロクに旅行したこともないのに、本当に困った」と、いまだに呆れて昔話をします。「夜中にトイレに起こすのが大変だった」とも。その8人きょうだいも、次男・三男・長女が亡くなって5人になった。幸い満のオヤジは車椅子ながら元気で出席。とてもよい結婚式でした
●そのまま神楽坂に戻り16〜18時、『週刊新潮』井上保昭の取材。広告が沈むなか放送外収入の獲得に必死のテレビについて特集する、ということらしい。放送界の全般的な解説をあれこれ。本題と違うが、こんな話も
ところで『週刊新潮』は、「エコポイントがヘンだ」という話を取り上げたことはないの?(『週刊新潮』記者「ないです。ポイントがついて喜んでいる編集部員はいるかも」との返事) じゃあ、ヘンだと説明するぜ(以下、実際にした話を、わかりやすく改編して掲載)
政府が特定の電機メーカーに対し、国費で販促品を配り、メーカーはそれを自社製品にオマケとしてつけ、「オマケつきで安いですよ」と宣伝して売ったとする。販促品はなんでもいいが、製品価格に応じて目覚まし時計・置き時計・柱時計のオマケがつくことにしようか。この販促品の購入コストは政府のメーカーに対する補助金だ、ということは認める? (「ええ、もちろん補助金でしょうね」)
◆じゃあ、販促品はやめて、政府が国費で商品券を買い、メーカーに配って補助することにする。3000円、5000円、1万円、3万円分の商品券をメーカーに渡し、メーカーは液晶テレビや冷蔵庫の価格に応じてオマケに商品券をつけて売る。この商品券は何? やっぱりメーカーへの補助金だね? (「ええ、補助金でしょう。時計が商品券に代わっただけですから」) その商品券で、液晶テレビや冷蔵庫を買った人が、時計以外の何か好きな物を買っても、メーカーへの補助金であることに代わりはない? (「ないでしょうね」)
◆じゃあ、この商品券を「エコポ」という名前のカードで代用しよう。特定の電機メーカーは、特定の自社製品に、販売価格の一定割合のポイントがつく「エコポ」カードをオマケにつけて売ることにする。で、政府がカネを前払いして商品券をメーカーに渡すのはやめて、「エコポ」カードが使われたとき政府がその店にポイント分のカネを後払いする仕組みに改めることにする。この政府が負担するカネは、メーカーへの補助金であることに代わりはないね? (「ですよね」)
◆ところで、この「エコポ」カード制度、何かに似てないか? 現在のエコポイント制度とまったく同じじゃないか。つまり、エコポイント制度で、みんな政府からカネをもらったと思っているのは、大嘘だよ。あれはメーカーへの補助金なんだ。エコポイントの本質は、政府がコストを負担してメーカーに渡す販促品なんですよ。その補助金の対象企業は、自動車メーカーや家電メーカーなど日本を代表する国際的な巨大企業だね。なんで? 日本でいちばん強いとされ、給料も高く、外国まで名前が売れている国際的な企業に、なんで補助金が必要なの? 財界よりの自民党政府がこれをやるなら、わからんでもない。だが、やっているのは民主党政府よ。全学連政府が、なんで財界を応援するんだ。全然わけがわからん。そうは思いませんか?
◆しかも、その財源は国民から集めた税金、または足りないからと国債を発行して得たカネだ。それは国民大衆から広く集めたカネなわけ。そのカネを使って、65インチのプラズマテレビを買う金持ちや、500リッターの冷蔵庫を買う金持ちに、商品券と同然のオマケ(しかも高額商品ほどポイントが高い)を渡すって何なのだ? なんで貧乏人は怒らないんだ? 完全に所得再分配の逆で、高所得者ほど有利な制度なんですよ
◆さらに、「エコポイント」なんて称しているが、全然エコじゃない。65型のプラズマテレビの消費電力は650Wくらい。いちばん新しいブラウン管型テレビ21型の消費電力は100W以下で85Wくらい。前者には3万円だかのポイントがつくが、消費電力が7〜8分の1でも、後者にはつかない。そんなポイントの、どこがエコなんだ? 一人あたりに必要な冷蔵庫の容量は70リットルとされている。一人暮らしなら70〜100リッターの冷蔵庫で十分、4人家族でも300〜400リッターで十分だ。500リッターって7人分の食い物が入るバカでかい冷蔵庫だぜ。それでも省エネタイプならエコポイントがつく。70リッターの小型冷蔵庫のほうが、消費電力が少なくエコに決まってるにもかかわらずだ
◆エコな乗り物にもポイントがつく、と。自動車だ。自動車は省エネタイプの車種によって、何万円だか十何万円のエコポイントがつくと。じゃあ、なんで究極のエコ乗り物である自転車に、エコポイントが1円分もつかないんだ? 頭おかしいだろ、そんなエコポイントは。「エコはエコロジーのエコじゃない。エコノミーのエコだ」と言われるゆえんだ
◆もちろんテレビ局は、エコポイント制度が地デジ受信機普及に役立つから、「この補助金はよくない」とは言わない。新聞も、テレビと一体の面があるから言わない。連合など労働組合も、電機労連と自動車労連の力が強いから、「この補助金はよくない」とは言わない。連合に支えられている民主党政権も、「この補助金はよくない」とは言わない。まあ、ここまではわかる。わからんのは『週刊新潮』だ。何に遠慮して取り上げないわけ?
●18時半〜近藤真彦デビュー30周年記念全国ツアーのファイナル公演ラスト@武道館。帰宅のヒマがなく、引き出物の紙袋を下げていく。冒頭曲を歌ったあと近藤真彦は「うゎーーー気持ちいい。ああ気持ちいい。これ、ご褒美? ご褒美なの?」と、えらく気持ちよさそうでした。MCは「みんなも40歳になったんだなぁ。そもそもペンライトの振り方が古い!」とか、40のオバサンをおちょくりつつ笑わせる。東山紀之・滝沢秀明・今井翼を紹介するくだりで彼らがスポットライトを浴びると、「いつまでキャーキャーいってんの。ほら、さっさと前を向いて。回れ右!」とか。実際、2階席(近くに黒柳徹子がいた)から見ると、みんなライトを大きく左右に振っていて、細かく(倍速で)縦に振る嵐コンなんかとは違う。もう一つ大きく違うのは、冬で厚着のせいもあるかと思うけどアリーナ全体の色味が黒っぽい(笑)。茶・グレー・鶯色といった服が多く、真っ赤・ピンク・水色なんかのハデな服を着ているファンが明らかに少ない。それだけ高齢化しているわけですね。レセプションにちょっと顔を出し、22時帰宅

12-10
●10時40分〜日大授業。マイケル・ムーア『ボウリング・フォー・コロンバイン』を上映。坂本は戻れないが、米山助手に流してもらう。受講生はブログ書き込みを急げ!
●車中やホテルではノートPCでせこせこ原稿書き。昼、京都駅八条口側の近鉄名店街「みやこみち」にあるHarves(ハーベス)食品専門館(京都名産も並べるおしゃれなスーパー)で、丹後黒豆・ゆず飴・エノキ梅和えを土産に買う。清水三年坂までタクシーで行き、例によって谷口松韻堂でカップを二つ購入。オヤジさんは外出中で、若店長が「田原さんの情熱大陸を見た。元気ですねえ」とかなんとか。「こんな色の丼《どんぶり》でそばやうどんを食いたいと思うんだけど」と言ったら、「作っておきます」と。次に行くのは来年5月の予定。清水順正おかべ家にて、湯豆腐で昼食後、京都駅に戻り喫茶店で、さらに新幹線でも原稿。19時すぎ帰宅。夜は仕事する気にならず、スタ・ーチャンネルでやっていた『パブリック・エネミーズ』を見て寝る。ジョニー・デップ演じる大恐慌時代の伝説的ギャング・デリンジャーの話。やたら撃ちまくり、懲りも飽きもせず銀行強盗しまくる。いくら無法時代たってそんなに撃つかい、と呆れるほど撃つ。まあ、それだけの映画ね

12-09
●17時半〜19時半、立命館大学「報道ジャーナリスト養成塾」講義@びわこ草津キャンパス(ラルカディア202)。昼すぎの新幹線で京都へ。駅前はキツネの嫁入り状態(天気雨)。東京が暖かかったので、コートや傘がいるかもとは一瞬たりとも思わず、あれまあと思う。講義は黒板にいっぱい絵を描き、質問や意見もたくさん出て、楽しかった。担当教授の柴山哲也と京都に戻り、駅ビル2階(京都劇場となり、鉄腕アトムそば)の京やさい料理「接方来」《せっぽうらい》で夕食。若狭ぐじかぶら蒸し、山科産茄子と穴子唐揚げポン酢、季節の天ぷら盛り合せ、お造り盛り合せ6種、鶏と牛蒡の釜飯なんかを頼む。京都八条口のビジネスホテルで一泊
●日刊ゲンダイの連載開始日をカン違い。13日(月)からでした。失礼

12-08
●日刊ゲンダイの原稿書き
●『GALAC』巻頭グラビア(稲垣吾郎)の原稿書き

12-07
●日刊ゲンダイの取材と原稿書き

12-06
●日刊ゲンダイ(9日から地デジ連載を10回ほど)の取材と原稿書き
●前衆院議員の鈴木宗男が収監されました。鈴木宗男と佐藤優の対談本『反省 私たちはなぜ失敗したのか』(アスコム刊 2007年6月)をまとめた私は、鈴木と何度も会って話を聞きましたが、まあ、どう考えても無罪、または百歩譲っても刑務所にブチ込むことにはまったく該当しない軽い罪だと思っています。以下は、神保町フォーラムが2回終わった段階(まだ単行本のための対談が始まらない段階)の2007年4月下旬に私が作った『反省』本の内容構成案
【アスコム刊 佐藤優×鈴木宗男(仮題)『大反省!』内容構成案(070427版)】
まえがき 鈴木宗男
     第1章 国策捜査
●反省1:検察による国策操作を甘く見すぎていました。
●反省2:検察のでっち上げがあれほど杜撰とは思いませんでした。
●反省3:裁判所の検察ベッタリという偏向に無知すぎました。
●反省4:検察の筋書きに乗せられた世論の恐ろしさを知りませんでした。
●反省5:メディアの愚劣さを見抜けませんでした。
     第2章 外務省
●反省6:ときどきの最高権力者たる歴代首相から信頼されすぎました。
●反省7:外務官僚の無能さが私たちの理解をはるかに超えていました。
●反省8:外務省にはびこる自己保身・無責任体制を軽視しすぎました。
●反省9:外務官僚のカネの汚さは、想像を絶するものでした。
●反省10:共産党に職員を売るほど自己防衛本能が強いと気づきませんでした。
●反省11:外務省が仕掛けた田中真紀子さんとのケンカに乗せられました。
●反省12:国会でのデマゴギー攻撃に抗しきれませんでした。
     第3章 日本外交
●反省13:ロシアとのパイプが切れ、日本の国益を大きく損ないました。
●反省14:特命を帯び推進中の北方領土交渉を途切れさせてしまいました。
●反省15:外務省のインテリジェンス活動に致命的な障害を招きました。
●反省16:これまで外務省改革の処方箋を提示できませんでした。
●反省17:日本外交の将来像についてあまりに語ってきませんでした。
     第4章 友へ、そして家族へ
●反省18:同志、支持者、同僚、部下たちに多大な迷惑をかけました。
●反省19:かけがえのない人びととの友情を汚してしまいました。
●反省20:信じ続けてくれた家族たちにかける言葉がありません。
あとがき 佐藤 優
●本にした最終的な「反省」項目は5章全26項目。キリのよい25か30項目にしたかったが、なりゆき上、ま、いいかと。企画段階の目次だけ見ても、おもしろそうと思ってもらえるでしょうが、実際ムチャクチャおもしろい(ように手を尽くした)。7万部ほど出たはずです。アマゾンのレビュー20件も星5(11)、星4(6)、星3(3)、無印(1)ですから、まずまずの評価。もっとも星の数ではおもしろさが実感できないでしょうから、一部を紹介しておきます。いまランダムに開いた149ページは、こうです
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佐藤 そのとき、いろいろな行き過ぎが生じる。どこまでが行き過ぎで、どこまでが行き過ぎではないかは、担当者のモラルに次第。ひどい例はいくらでもある。
 酔っぱらって芸者さんの胸元に手を入れようとする。芸者さんが驚いて離れたら、幼児言葉になって「ボクチャン、チャミチイ(寂しい)でチュ」などと言って、そいつは足を上げてオムツを替えてくれみたいなポーズを取った。
鈴木 前ロシア課長(現・駐イスラエル大使館公使)の■■■■(209頁参照)さんが私の前でやった行状ですね。
 ロシア課首席事務官だった95年の秋、赤坂の料亭「大乃」でロシア人を接待したが、彼らが帰った後「まだ飲み足りない」と飲み出した。そのうち「ボクちゃん、チャミチイでチュ」なんて言うんで、始まったな、そろそろ本番になってきたなと私は思った。両足をバタバタさせて、しばらくオムツを替えてほしいというような「プレー」をやっておったですね。で、やおら起きあがって「先生、私の誕生会をやってください」と、しつこく繰り返した。「妻とうまくいってなくて、誰も祝ってくれないんです」とね。
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●もちろん■■■■部分は、『反省』本では実名です。この本がさらにすごいというか、エグいのは、209〜213ページに[特別付録]本書に登場する外務官僚の皆さん@Aとして、顔写真とともに■■■■さんの名前・現職・経歴、登場ページを掲載していること。外務官僚28人分あって、外務事務次官だった現職の最高裁判事も登場します。その現・最高裁判事は、総合外交政策局長だった2000年3月28日に東京・赤坂の料理屋「古母里」の2階奥の座敷で、鈴木宗男に対して土下座したと、その場にいた佐藤優が対談で語っています
●鈴木宗男の事件は最高裁で上告棄却となりました。その決定をした最高裁の裁判官の一人が、かつて鈴木宗男に土下座した外務事務次官OBです。で、こういう天下りは、誰も問題にしません。マスコミが批判したこともありません。法曹出身でもない(京大法学部卒というほか、とくに法律に詳しいとも思われない)外務官僚上がりが、15人いる最高裁判事の一人に入っていることは、外務省にとってとてつもないメリットです。外務官僚何十人がナンタラ財団に天下ったなんてことより、圧倒的にデカいメリットですね。しかし、その一人を最高裁に送り込むために、外務省が何をしたか、福田康夫内閣や麻生太郎内閣がどんな判断をしたか、誰も取材していません(日本国憲法 第七十九条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。)。ヘンだとは、思いませんか?

12-05
●原稿書きや取材もろもろ
●ウィキリークスが米公電25万通を流出させた、その中には米外交官がどの国のトップをどう評したなんて話が満載だと、問題になっています。確かにやりすぎた面がある。創設者アサンジが主張する「人間の戦いは個人対公的機関だ」は、そうであるときも、そうでないときもあります。当たり前の話ですが、人間の戦いは「公的機関とそれを支持する個人」対「別の公的機関とそれを支持する個人」の場合があり、すべての公的機関の情報をすべてバラせばすべての個人が幸せになるわけでは全然ない
●だから、しょうもない公的機関がもっぱら自己都合を考えて情報を秘匿し、その結果、その公的機関を税金によって支えたり、その公的機関によって支配されている人びとが生活や生命・財産の安全を脅かされるような場合には、公的機関がそうすることを阻むために、その公的機関の情報をバラしてもいい。ただし、内部告発者がウィキリークスに情報を渡す段階で、どの情報がバラすべきものかを判断することは、事実上きわめて難しい。それはウィキリークス側が精査し(それはやっている、とウィキリークス側は主張しているが)、既存メディアにいる専門家の意見を聞くなどして判断し、仕分けした情報を小出しにするしかないでしょう
●クリントン米国務長官や前原誠司外相が、味噌もクソも一緒くたにして「犯罪行為」と断言するのは、公的機関の代表者なのだから当然だが、その通りであると素直に賛同するわけにはいきません。もちろん北朝鮮政府も公的機関の一つです。そして、公的機関がウソをついたり情報を秘匿したりして国民その他を騙すことは、よくある普通のことだからです。だから当サイトは「すべてを疑え!!」という名前にした。日本でもよくある。沖縄返還をめぐる秘密交渉も、エイズ問題も、ダム建設も、大規模干拓や河口堰建設も、大阪地検の証拠偽造も、地上デジタル放送も、そうです。で、菅直人も前原誠司も野党だったときは、バラせと主張し、実際にそのようにした。与党なったらすべて隠せ、バラすのは犯罪行為だというのは、ご都合主義というほかありません
●これはウィキリークスが公開したほうがよかったという例は、7月6日にバラしたCollateral Murderです。まだ見ていない人は、見たほうがよい。この映像公開よりは、米軍の攻撃のほうがよほど犯罪的だと、私は確信しています。詳細はテレビ報道を考えるブログ(WikiLeaksに関して見ておけ! 101205)をご参照
●イラク戦争は2003年3月20日に開戦して、4月9日頃にバクダッド陥落、5月はじめにブッシュ米大統領が大規模戦闘の終結宣言を出した。それから4年たってなお、イラクの米軍が戦闘地域と勝手に決めたエリア内で、白人ではないイラク人が、望遠カメラ(RPGとか言っているのが、肩乗せのロケット砲と誤認? 映画『ブラックホーク・ダウン』でヘリを撃墜したRPG-7は、北朝鮮不審船も積んでいた)とかカメラバッグ(三脚バッグには、確かに銃が入るけど)なんか持っていて、徒党を組んでいると、いきなりヘリから攻撃されると。子どもだって容赦しないぞ、と。もちろん補償なんか一切出ないし、謝罪もない。交戦規定通りの、アメリカ軍としての通常業務であると。──というのはまずいんじゃないか、という内部告発(機密漏洩)だったわけです。これは、ほんとうに(アメリカ首脳がいうように)ただの盗人で犯罪者の仕業なのかという問題は、よく考えたほうがよい。いまアメリカを中心に、ウィキリークスを、ロクでもない下世話なスキャンダルをバラまいて国益を損ねる連中と見なし、事態を矮小化しようとする動きが強い。しかし、ウィキリークスが流した機密に、公開したほうが世界のためになる情報が含まれていることは、間違いありません
●ウィキリークスが立ち上げを呼びかけた外交公電データを公開するミラーサイトはこちら。GoogleやYou Tubeは止めることができても、これらは止めることができません。中には当然、アメリカと対立する国や政府の情報セクションが支援して立ち上げるサイトだってあるはずだからです。アサンジが戦う相手という公的機関が、ウィキリークスを支援する場合がありうる。つまり、一度出した情報は勝手に一人歩き≠オ、元には戻せません
●【この項7日に少々改稿】映画『ダウト─あるカトリック学校で─』(2008)は、人間的な教育を推進するフィリップ・シーモア・ホフマンの神父が、メリル・ストリープの頑迷な女校長に生徒へのセクハラを疑われる。神父は教会の説教で、うわさ話をした女が悔いて懺悔《ざんげ》したとき、別のある神父が諭した話をします。「神父さま、私はどうしたらいいでしょう」とすがる女に、その神父は「家に帰り、屋根に上がって枕を切り裂いて、中の羽根をバラ巻きなさい」と言った。またやってきて「言われた通りにしました」と告げる女に神父は言う。「では帰って、羽根をすべて拾い集めなさい」「そんなことできません。風に巻かれて飛んでいってしまいました」「そうだろう。それこそが噂だ」

12-04
●原稿書き
●17時すぎ、たまたまスター・チャンネルで『アイス・エイジ3』をやっていたので見る。おもしろい。なかなかの傑作。声優陣(太田光=シド、竹中直人=ディエゴ、山寺宏一=マニー、豊口めぐみ=エリー、永澤菜教=クラッシュ)イイ。スターウォーズを思わせるシーン(片目イタチ回想はエピソード5のクラウド・シティ←ただし上下逆、翼竜の追跡は1のポッド・レース、恐竜の倒し方は5のAT-ATの倒し方、溶岩流は3の火焔星ムスタファーなど)が頻出し、オマージュっぽい。ドングリ偏執狂の小動物、今回はやりすぎ気配濃厚

12-03
●10時40分〜日大授業。『ゆきゆきて神軍』後半を上映。受講生は放送特殊研究Vブログをチェックせよ。12月4日付け記事に成績に関する重要な告知がある
●18〜11時半、立教大准教授・砂川浩慶、NHK中村正敏と久しぶりに飲む。刺身、天ぷらをさかなに地デジ情勢ほか。記者の誰だかが総務省課長に「普及率90.3%はどこまで信じていいのか」と聞いたら「信じられるはず、ないじゃないですか」と言われた。新潟日報の記者が「新潟県は95.1%と全国トップになってしまった。社内で調べたら6割程度だったんですが、どう考えればいいですか?」と聞いてきた。沖縄の先島や宮古島はまだ普及率5割である。12月1日の地デジお祭り騒ぎはさすがに自粛。もっともテレビ局は浮世離れしているというか、危機感なさすぎ。などなどアホな話が5時間にわたって大量に噴出
●NHK会長問題もちょっと話したが、東芝OBはマズイでしょう。テレビ製造メーカーで放送局と利害が直結しすぎる。そもそも大企業すぎ、巨大放送局のトップにはなじまない。また、原発製造メーカー関係者では原発報道が影響されかねないとの声も。NHK元会長の池田芳蔵(三井物産)が国会で突如、英語で話し出した昔話では、中村正敏は「まだNHKに入っていない」そう。砂川浩慶は民放連職員で国会にいて、NHK副会長の島桂次(シマゲジ、故人)が会長に「だまれ」と書いたメモを渡すのを見たと。私は文藝春秋本誌でNHK会長問題を取材し、原稿を書き上げたところでした。シマゲジの腹心だった産経新聞の某放送キャップ(故人)の自宅で数時間インタビューし(頻繁にシマゲジから電話が入り「俺は胃が痛えよ」と嘆いていた)、とんでもない初耳スキャンダルを満載した原稿。捨て置けないと見た住友銀行の磯田一郎(当時、NHK経営委員長)が、池田を道連れに辞任。旧制一高のよしみで、イラン石化で日本国に大損害を与えた池田の最後の花道≠ノと、NHK会長にした責任を取った。文春は、これでNHK会長のクビが飛ぶとか盛り上がっていましたが、辞任によって没原稿にされてしまった。いまでも持っていますが、とんでもない中身。ヒマになったらサイトに出すから乞うご期待

12-02
●13時〜田原総一朗と打ち合わせ。アスコム高橋克佳、小林英史と。これ以外は北朝鮮・中国本の原稿書き

12-01
●原稿書き

11-30
●原稿書き

11-29
●朝から資料調べや質問項目の書き出し。13〜17時、北朝鮮・中国緊急企画出版につき、小川和久に尖閣問題、北朝鮮砲撃問題を聞く。虎ノ門アスコム本社にて。1月なるべく早く本にします。帰りに「きや」で煎餅3袋。18時半〜映画『GANTZ』完成試写会・舞台挨拶@後楽園JCBホール。2階席の中央後列に座っていたら、肩を叩く者これあり。ジャニーズ白波瀬傑で、最前列が空いちゃったから移動してくれと。二宮和也の話は後送。夕食を食いっぱぐれ、神楽坂まで戻ってチャンポン屋へ

11-28
●北朝鮮・中国緊急企画出版の準備

11-27
●新宿で買い物(本屋で軍事・戦争の新刊を漁ったが、参考になりそうなものなし。C&Cカレー5箱1000円を買う)。北朝鮮・中国緊急出版の準備

11-26
●10時40分〜日大授業。『ゆきゆきて神軍』前半を流す

11-25
●前日から榊原本の校正作業。13時に戻し

11-24
●12時半〜16時、アスコム高橋克佳と打ち合わせ@ANAホテル。北朝鮮がやらかした件につき、尖閣問題も合わせて小川和久著『日本の戦争力』シリーズの北朝鮮・中国最新版をやろうと。あと二つ三つ単行本の企画など。和田真理、田原総一朗とも、少々話す
●総務省が「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査の結果(pdf)」を発表。地上デジタル放送(地デジ)を視聴できるテレビやチューナーの世帯普及率が9月時点で90.3%と、初めて9割を超えたが、目標の91.0%は下回ったと。新聞紙が発表通りに書くというのは「政府発表を疑う」ことを知らないのでしょう。ジャーナリズムもここまで腐ってきたかと呆れます。時間がないので結論だけ書いておくと、調査手法に問題があり、この数字は信用できない。これは調査に協力的になグループの中での普及率であって、国民全体の普及率ではありません。もちろん、このような調査結果によって2011年7月24日にアナログ放送を停止することは許されませんし、できません。やれば日本のテレビ放送は多くの人に信用されなくなり、テレビ・ジャーナリズムはオシマイでしょう。「何を根拠にそういうんだ」と思いますか?
◆【根拠その1】鹿児島県を例に取ろう。鹿児島県の人口は2010年11月1日現在170万3764人で、世帯数は74万3184。鹿児島県の地デジ世帯普及率は前回調査の2010年3月段階で84.6%だった。今回調査の2010年9月段階で86.1%だから1.5%の増加。つまり鹿児島県では半年間に74万3184×0.015=1万1147世帯に地デジが新しく普及した。鹿児島でこの半年で新規に地デジ対応した家は74軒あたりたったの1軒だけ。こんな阿呆なデータ、どうやった信用できるのか。鹿児島県の人口・世帯数は日本全体の13〜1.4%。ならば日本で出荷されるテレビの1.3〜1.4%前後は鹿児島県で売られ、買われると考えるのが自然。2010年3〜8月の半年間に出荷された地デジテレビは983万台。すると鹿児島で捌《は》けたテレビは半年で13万台前後(幅を見て10〜15万台でもかまわない)。うち12万台がすべて2台目以降で、1万台だけが普及に寄与したなどというバカな話は、断じてありえない。ならば、おかしいのは普及率の数字。10年3月の84.6%、または10年9月の86.1%、またはそのいずれもがデタラメな数字だ、と考えるほかない。こんなおかしなデータが信用できるとすれば、鹿児島県ではあと10か月で新規普及世帯を2万ほどしか上乗せできず、2011年7月段階の普及率は90%に達しない見通しとなる。「そんなバカな」と言いたい人は「総務省の出してきた鹿児島のデータは全然、信用できない」と言うしかない。違うか?
◆【根拠その2】厚生労働省の2010年5月発表「平成21年(2009年)国民生活基礎調査」によると年収200万円未満世帯は全体の19.3%である。貧困化が進んでおり、日本の全5000万世帯のほぼ2割(1000万世帯)が年収200万円未満である。一方、浸透度調査の年収200万円未満世帯(1288サンプル)は全体(1万3170サンプル)の9.4%である。つまり浸透度調査は、ほぼ「5軒に1軒」の低所得世帯を「10軒に1軒」としか数えていない。所得が高い層に極端に偏った調査であり、実態をまったく反映しておらず、デタラメな調査である
◆【根拠その3】上記の厚労省調査によると65歳以上の者のみの世帯数は960万(夫婦のみ467万、単独463万)。全世帯5000万とすると割合は19.2%。一方、浸透度調査の高齢者(65歳以上)のみで構成される世帯数(1730サンプル)は全体(1万3170サンプル)の13.1%。つまり浸透度調査は年齢が比較的若い層に大きく偏っている。ただし、携帯の電話番号を生成しておらず、固定電話を持たない若者層(当然、所得が低い)は無視している。いずれにせよ、実態をまったく反映しておらず、デタラメな調査である
◆【根拠その4】浸透度調査は80歳以上の者を調査対象から外している。総務省が「敬老の日」にちなんで発表した高齢者人口推計によると、日本の80歳以上人口は827万人(男282万、女545万)。都道府県別人口で4位の愛知県736万人より多い。3位の大阪府881万人に近い数の日本人を無視するトンデモ調査である。80歳以上高齢者が全員、若い家族と住んでいる、あるいは施設に入っているならば無視してもよいが、そうではない。当欄にすでに書いたように兵庫県尼崎市は21万世帯あり、80歳以上の単独世帯が1万(4.76%)ある(これに夫婦とも80歳以上の世帯を加えなければならない)。上記の厚労省調査によると65歳以上の単独世帯は463万で、うち80歳以上の単独世帯数は151.4万である(国立社会保障・人口問題研究所の推計では2010年に145万世帯)。これ以外に夫婦とも80歳以上という世帯があり、同研究所の推計では2010年に104万世帯である。ようするに浸透度調査は「80歳以上の者で構成される世帯」約250万世帯(全5000万世帯の5%)を調査対象から外している。なぜ最初から5%もの世帯を除外するのか、意味不明である(高齢すぎて、ボケボケで、質問に答えられないに決まっているからか? では、質問にすら答えられない250万世帯が、なんで地デジをすんなり導入できると思うんだ?)。新聞紙が「5%250万世帯をハナから除外した調査結果」に基づき、注釈なしで全世帯の普及率について記事を書く理由も、理解しがたい。NHKはなんで、こんなデタラメ調査を許すのだ? 250万世帯から受信料が取れなくてもよいか? 年に500億円分だ。その分、あんた方の給料が減るという話だぞ
◆【根拠その5以下、ざっと10項目ほど略】3月の調査と手法は同じだから、批判すべき点も、デタラメな点も以前と同じ。詳しくは地デジ完全移行/現行アナログ放送停止の延期を求める「10の根拠」をご参照。総務省の浸透度調査は、話にならない税金のムダづかい。民主党はなんで仕分け対象にしないのだ、という愚劣な調査です。こんな杜撰な調査で「100%になったからアナログ放送を切る」では、日本国民は本当に救われません
●私の母親は、昭和3年生まれで80歳代(父は昭和2年生まれで13年前に亡くなった)で、都内で一人暮らしをしています。私が生まれた日(1958年5月16日)にNHKの受信契約が100万件になりました。いまの80代は、当時から今日まで、テレビを何台買ったことでしょう。NHKに受信料をいくら払ったことでしょうか。テレビ局というのは、そういう問題を考えたことはないんですかねえ

11-23
●午前中から資料整理、新聞や本の廃棄、掃除。夕方、北朝鮮による韓国・延坪島《ヨンピョンド》への砲撃を新聞サイトで知る。しょうもない国が、また愚かなことを始めやがった、いつもの冒険主義・挑発行動だが今回のは度を越した乱暴狼藉だ、というのが第一感。すぐテレビをつける。以下、見ながら取ったメモに基づくテレビ報道チェック
◆16:45現在、報道しているのはTBS報道特番(そのままNスタに移行)とテレビ朝日スーパーJチャンネルの2局のみ。司会はTBSが堀尾正明・長峰由紀、テレ朝が渡辺宜嗣・上山千穂。テレ朝は韓国YTNニュースを同時通訳付きで流す。〈14時半〜40分ころから、北鮮がいきなり韓国・延坪島を砲撃。韓国海兵隊員1名死亡。負傷者13名。韓国も砲で数十発反撃。民家の破壊・火災や山火事が発生。韓国空軍が出動し現場上空を警戒。16時半現在では交戦は止んでいる〉といった基本情報は両局ともほぼ同じ。ただ、撃ち込まれた砲弾数が数十、80、200発とソースにより異なる
◆テレ朝は、ゲスト小川和久が冷静な語り口で「北朝鮮では最高指導部の承認なしに、このような攻撃はできない」「北朝鮮は延坪島のどこに何があるか熟知している。わかっていて市街地を砲撃した」「金正恩への権力継承体制づくりの一環」などと分析。TBSは鈴木琢磨(毎日新聞編集委員)が「金正恩が命じたと思う。彼は砲撃も学んでいる。(労働新聞に載った戦車が雪原を征く写真を示し)10年正月には、ここは韓国のどこと地名をつけて演習をやった。軍事の天才≠フデビューが今回で、朝鮮戦争を知らない金正恩のミニ朝鮮戦争≠ニ言える。アメリカにせっかくウラン濃縮を見せたのに乗ってこないといういらだちも」と解説。17:05、テレ朝は元ソウル支局長・宮川晶が延坪島付近のNLL北方限界線を解説。「事件映像・画像は韓国軍が提供したもの。統制地域になっている(自由に取材はできない)」と、現時点での報道の限界を伝えたのはよかった。
◆17時すぎ〜17:13、NHKも相撲を中断してニュース。KBS映像、国際部記者の解説、官邸レポートなど。米軍「今回の戦闘にかかわっていないが注視」、米第七艦隊「注視している。米軍の動きは平常通り」とも。日テレは『every』で報道。17:14テレ朝はYTNを同時通訳付きで流し、東京からのレポートが始まるところでCMへ。やたらCMをはさんだ印象。17:16TBSが官邸・菅直人首相の囲みインタビューを放送。テレ朝は17:18からとやや遅れて首相囲み。菅直人「報道があり、3時半頃に秘書官を通して連絡があった。公邸から先ほど官邸に移り、官房長官にも来てもらった。官房長官、防衛大臣に(1)情報収集に全力を挙げよ、(2)不測の事態に備えて準備してほしいの二点を指示した。今後も情報収集し、何が起きても対応できる態勢を講じる。国民の皆様に対して備えが万全と言える態勢をつくりたい」
◆官邸サイドでは、一刻も早く首相が何か言うという形をつくりたかったのだと思いますが、ハッキリ大失敗。第一に、「不測の事態」「何が起きても対応」「備えが万全と言える態勢」など、とんでもない事態が日本に降りかかってくるかもしれないという曖昧で不正確な見方を伝え、国民の恐怖心を煽った。第二に、情報収集と備えという抽象的で誰でも(事務方や報道官でも)言える内容しかなく、国際的に通用する日本国トップとしてのメッセージがなかった。第三に、どうでもいいことを言いすぎた。「報道があって」「事件から1時間近くたってから秘書官から聞いた」「官房長官に来てもらった」「国民の皆様に対して」なんて、全部いらないどうでもいい話。日本国首相の第一声が「報道があって」は、まずい。というか、ありえない。ようするに、囲みの立ち話ごときでコメントすべき問題ではないのに、あえてそれをやり、内容がなく、あたふた感ばかりが伝わってしまった。首相の第一声は、当然「北朝鮮の蛮行は許しがたい。断固抗議する。韓国にはお見舞いを申し上げ、立場を共有する。韓米中など関係国と連携し、事件の拡大を防ぐ。日本国民は心配いらない。冷静な対処を望む」でしょう。これが各国に国際ニュースとして伝わるからです。そのようなことは、仙谷由人官房長官が記者会見で言った。話が逆です。官房長官が誰かに「首相から情報収集・各方面の対応を万全にとの指示があった。××時から首相が会見する(または首相談話を出す)」と言わせ、首相は大事なことだけを言うべき。官邸スタッフに入った下村健一は、そのようにアドバイスしなければダメ
◆17:20TBSは次のニュースへ。テレ朝は継続。田岡俊次が登場し、渡辺宜嗣「どうですか、小川さん」とかいうのを引き取ってガンガンしゃべる。今回のような不確実で進行中の事態を報道するときは、絶対確実∴ネ外のことは言わないほうがよいのだけれど、相変わらずそれができていない人が多い。背景を暗くして、いかにも怪しげな軍事評論家に「次の攻撃があると思う」と断言させ、CMにいったから、CM開けに根拠を話すかと見ていたら、何もない。こんなのは人心を乱すデマ報道同然です

11-22
●13〜14時半、地デジ関係で取材@神楽坂ジョナサン

11-21
●榊原本のチェック

11-20
●当欄では尖閣漁船衝突事件について、中国人船長の逮捕・取り調べは当然として、那覇地検は起訴に持っていこうとした。これに対し、私は「菅直人や仙谷由人は、以上のことを最初のうちわからず(または半信半疑で前原誠司あたりにまかせ)、中国が居丈高になって初めて身に染みてわかったのだろう」と書きました(11-12当欄)。しかし、彦根で田原総一朗と話したことを総合すると、どうも「違う」と。特定の閣僚が主導したのではなくて、菅・仙谷・前原含めて「どうしてよいかわからなかった。確たる方針はなかった」。それが船長釈放に一気に動いたのは「アメリカの強い示唆があったからだ」、ということのようです。ようするにクリントン国務長官が、前原外相に何か言ったのでしょう(9月23日深夜の前原・クリントン会談で「日米安保は尖閣に適用される」との発言があったことになっているが、それ以外に「釈放せよ」という趣旨の米側発言があった。なぜ、そのように新聞に書いていないのかは知りません)
●なお、田原は政権与党では仙谷由人、枝野幸男、前原誠司、細野豪志、福山哲郎、蓮舫、辻元清美らと頻繁に会ったり、電話で話しています。自民党では石原伸晃、菅義偉《すが・よしひで》、安倍晋三ら。公明党は山口那津男。共産党は穀田恵二。こういう付き合いに「節操のない男だ」という見方はあって当然ですが、昔、「田原総一朗は一個のメディアである」と言った人がある。彼は「テレビ局が、首相や閣僚インタビューも、野党党首のインタビューや野党政治家の政府追及発言も報じるように、田原は全部と付き合うんだ」と言っていましたが、その通りでしょう。むしろ私は、そんな節操のなさ≠アそを高く評価します。で、大方の見方とは違い、田原はこれら政治家たちから相当に信頼されています(ここが肝心。佐藤優のいう「権力党」党員)。ぶっちゃけ、あれこれ相談も受けているでしょう。そういうことは、田原と打ち合わせなんかしているとき、携帯がかかってきて中断され、電話を切った後「いまのは××だ」とかいうので、わかるわけね
●田原のところには最近、新聞記者から政治関係の電話質問もよくあるそう。これこれの問題はどう考えればよいか、詳しいのは誰かというようなことを、みんなよく聞いてくると。それから政治家はみんな「田原さん、どうしたらいい?」と聞くと

11-19
●日大授業はなし。本日は、全学が休み、または芸術学部(江古田キャンパス)全体が休みらしい。片付けやら雑用いろいろ
●夜、CSのシネフィル・イマジカで『ブラックブック』をやっていて、見る。エグい。なかなかの映画。主人公を演じた女優カリス・ファン・ハウテンは大熱演。どうでもいいけど、いまどきぼかしなんか入れて、ブチ壊しにするんじゃない!!

11-18
●昨夜の琵琶湖塾は、ゲストの杉山愛が実におもしろかった。現役の頃は、色が真っ黒で、小っちゃいが肩や腿《もも》の筋肉もりもりで、はしっこく動き回る選手という印象でしたが、会うと全然違う。色白で、明るいが、とてもしとやかな女性。あんまり小さい人なので驚いた(公称163cmだが、本当は161cmだそう)。もう一つびっくりしたのは手(てのひら)の小ささ。こんな小さな手で、あのデカいラケットをばっこんばっこん引っぱたいていたのかと、いや、ホント驚きました
●あの身体で世界ランクがダブルス最高1位、シングル最高8位、4大会(全豪、全仏、ウィンブルドン、全米)連続出場世界最多62回、オリンピック連続出場4回は、とてつもなくすごい。「無事之名馬」という言葉も思い出します。15歳でのとき18歳以下の世界1になった大選手ですが、「世界1位で見たどん底の世界」の話が、実に興味深いものでした。2000年にダブルスで世界ランク1位になり、この年タイトルを九つも取ったのに、シングルスの打ち方がわからなくなった。まったく勝てる気がせず、初めてテニスを辞めたいと思った。フォームがグチャグチャに狂って、若さという勢いだけでは全然前に進めなくなってしまったという。そんな杉山愛を救ったのはおっ母さん。お母さんがコーチについて初めて、本当のプロフェッショナルになったと
●講演の最後に語った「遊戯三昧《ゆげざんまい》」もイイ。これは「楽しいことをする」のではなく「することを楽しむ」という意味だと。質疑応答の質問も活発で13件ほど。現役のときは朝起きてから夜寝るまで40〜50のルーティンを自分に課していた。その一つは呼吸法。田原が「どうやるんですか」と聞くから、実際に舞台でやってもらいました。終了後は田原総一朗と県大学生との車座集会。彦根キャッスルホテル泊
●18日は田原総一朗と朝食。杉山愛はすごい、たいしたものだと、田原もしきりに感心していました。予定の新幹線を早めて午後帰宅。午後まで彦根で、夕方帰宅。21時〜飯田橋「もー吉」で日刊ゲンダイ峯田淳と打ち合わせ。12月9日から地上デジタル放送につき10回ほど連載します。もー吉・安部俊彦が本日解禁のボジョレーヌーボーを開けてくれて、25時半まで

11-17
●裁判員裁判の初の死刑判決で、朝山芳史裁判長が「重大な結論となった。裁判所としては、控訴を勧めたい」って、バカじゃないですか。朝日記事はこちら。だって、国費で裁判を開き、国民から選んだ裁判員(日当付き)と職業裁判官(手厚い給与や地位保証付き)が仕事として議論を尽くし、その結果「この犯罪者は日本国として抹殺すべきである」と決定したわけです。つまり「お前は死刑だ! 死ね!」と、日本国裁判所が言い渡した。でも「控訴したほうがいいよ」って、そんなアホな話がどこにある? 第一審裁判は、いや、裁判というのは、そんなにも軽薄なものか? 第二審以降の裁判を受けたほうがいいというのは、プロだけの裁判を受けるべきで、裁判員裁判なんてロクでもないと言いたいのか? いずれにせよ、完全にふざけています
死刑判決とは、日本の国家権力が日本国民に対して行う、これ以上ない最大限の権力の行使であって、「違う人の意見も聞いてみたほうがいいと思うよ」などといういい加減なものであっては、断じてならないと私は信じます。判決を受けるほうは、控訴を選べる。しかし、判決を出すほうは、これしかないという判決を出すべきで、判決はこれしかないと言い続けるべきです。裁判員の気持ちを和らげるため? そりゃ彼らは気持ちが沈み、寝覚めも悪いでしょう。だって、彼らの決定によって人を新たに一人殺すんだから。そいつが二度と息をせず、そいつが気持ちというものを一切持てなくすると決めたんだから、気持ち悪くなって当然。嫌なら引き受けるなというだけの話です。控訴で第二審裁判官が死刑、上告で第三審裁判官も死刑なら、あと二人の職業裁判官が死刑を宣告することになるが、二人増えてもやっぱり寝覚めは悪いでしょう。この場合は、気持ちを和らげる効果はあまりない。控訴しない場合は、かえって逆効果。「裁判長がわざわざ『控訴を勧めたい』と付け加えた判決で、被告が絞首刑に……。自分たちの判決は間違っていたのではないか」と思えば、気持ちを和らげることには全然ならない
●18時45分〜第5回琵琶湖塾(公開琵琶湖塾、彦根会場)。ゲスト講師はテニスの杉山愛。4歳でラケットを握り、15歳で日本人初の世界ジュニアランキング1位。17歳でプロ入りし、17年間にグランドスラム3度の女子ダブルス優勝(2000年全米、2003年全仏、2003年ウィンブルドン)、グランドスラム連続出場62回(世界最多)、オリンピック4回連続出場(アトランタ、シドニー、アテネ、北京)。WTAツアー最高世界ランクはシングルス8位・ダブルス1位と、すごい選手。石川遼の世界ランクは四十何位、日本サッカーも同じくらいだから、最盛期の杉山愛はケタ違いに偉大なプレイヤーというべきでしょう
●琵琶湖塾で過去に来ていただいたスポーツ関係者は、井村雅代(シンクロ鬼コーチ)、宇津木妙子(ソフトボール鬼監督)、有森裕子(バルセロナ五輪マラソン銀)、大家友和(横浜ベイスターズからメジャーへ)、山本佳司(野洲《やす》高校サッカー部監督)など。彼らは、活躍がハッキリ目に見える(学者先生や政治家の活躍は、やっぱりわかりにくい)うえに、目に見えないたいへんな苦労を積み重ねていて、それを講演で語る。論ではなく、リアルな体験とそれに基づく考えを自分の言葉で話してくれるので、たいへんおもしろい。たとえば、スイミングクラブを開くときものすごい妨害を受けた(井村)とか、寮の住み込み管理の仕事ではトイレの詰まりを直すのがたいへんだった(宇津木)とか。塾生のアンケートをとると「おもしろかった」の上位はいつもスポーツ関係。今回もおおいに期待し、楽しみにしています
●なお、17日は彦根の滋賀県立大学を会場とする「公開琵琶湖塾」で、塾生でない一般のみなさんも入場できます。事前申し込みは終了していますが、当日18時30分くらいまでに県立大学・交流センターの受付にお出でください(一般:1000円、学生:500円、滋賀県大生:無料)。よろしくお願いいたします

11-16
●尖閣漁船衝突問題で、読売テレビの映像はないの? と当欄に書いたのは11日。その後、日テレで映像が流れたようですが、いまだに見る機会がない。ところで、神戸の五管(第五管区海上保安本部)に張りついていた関西局の記者が言っていたのは、「1系列に十数台カメラが出ていて、すごいことに。ヒマだから各社記者などと情報交換した話では、流出させた海保職員は、やしきたかじん『たかじんのそこまで言って委員会』のファンで、最初は面会相手に勝谷誠彦を指名してきた。社外の人を出すわけにもいかないので、記者が会って撮影もしたようだ」とのこと。先週聞いた話で、これ以上調べていませんが
●15日夜にはNHK『クローズアップ現代』が立花隆(ジャーナリスト)、田中均(日本国際交流センターシニア・フェロー)をゲストに「“尖閣映像”流出の衝撃」をやっていた(司会は国谷裕子)。おおむね同意できる話ですが、11月4日午後9時〜12時に起こったことについての立花隆の見方は、事実とまったく違うと私は思います。以下、立花隆のコメント「ものすごい大きな、日本のメディアにとって事件だと思うんですね。それは一つは、まずああいう行為によって、ほとんど個人的にはテレビ局を持ったと同じような、そういうパワーをインターネットのユーチューブというメディアを使うと、そういう力が発揮できる社会になっちゃったということですね。それともう一つは、みんな、忘れているというか、知らない人が多いと思うけれど、専らあの保安官の話だと思ってるでしょ。だけど、あの保安官がやったことは、あの日、午後9時にアップしたことだけなんですよ。それから3時間のうちに、3時間というのは、午後9時から夜中の12時、夜中の12時というのは、翌日の新聞の締め切りなんです。そこまでの3時間の間に、ほとんど本流のような情報の流れになって止まんなくなった。それでそのあと、今も膨大な数の子・孫の放送局ができて、それを再生産し続けてるんですね。要するにその過程、拡散過程でこれがものすごくたくさんの人が加わってるんです。たった一人の人がやった行為だったけれども、3時間の間にそれが止まらない動きになった。それは、ものすごい数の人がそれに参加したからなんです。具体的な緊急拡散に加わる人がいなきゃ、いかなかったんです。それで、あっという間に数千人が数万人になり、何百万人になりって、その過程が3時間であっという間に進行した。」【立花コメントここまで】
最初の3時間では数万人も見ていません。以下、11-05付当欄記事より◆私が見たのは5日午前2時台。このときはアクセス集中のためか閲覧数が300を超えたところで止まっており、ついたコメントは数百。明け方見たときの閲覧数は、冒頭「No3 みずきと衝突」のタイトル画面が出る3分32秒の映像(ファイル名「日本の尖閣 海上保安庁5」)が6万5000回ほど(コメント件数2700以上)で、その他はおおむね3万台。◆朝見ると「sengoku38」がアカウントをまるごと削除し、4日深夜のup映像も、それについたコメントも残っていません。◆新聞サイトは毎日が5日午前1時31分、読売が同34分に短く速報。朝日は2時台だったと思います。NHKは5日朝から、You Tube映像のさわり部分をガンガン流しつつ報道しています
●数百万が知ったのは、明らかにNHKをはじめとするテレビのニュースがYou Tubeの映像付きで報道したからです。世の中の情報の流れが、立花隆の言うような方向に向かっていることは確か。日本のメディアにとっての大事件もその通り。しかし、「ほとんど個人的にはテレビ局を持ったと同じような、そういうパワーをインターネットのユーチューブというメディアを使うと、そういう力が発揮できる社会になっちゃった」わけでは全然ない。「ユーチューブというメディアに流れたネタのうち、テレビ局が選択し繰り返し流したものに限っては、テレビ局を持ったのと同じようなパワーが発揮できる」のだから、メディアは、個人的にテレビ局を持ったのとは異なる段階にあるというほかない。ただし、朝っぱらからガンガン流すというテレビ局の判断には「朝までにユーチューブでのべ二十万人やそこらが見た」ことが大きく影響した。数万人がテレビに「流せ」と電話したわけではないが、それ同然の大きな影響力はあった
●これもどうでもいいが、自民党総裁の谷垣禎一は14日午後、さいたま市での講演で「二・二六事件でも『将校の若い純粋な気持ちを大事にしないと』という声があり、最後はコントロールできなくなった」と指摘したそう。何が言いたい? 二・二六事件では、重臣を殺された昭和天皇が怒り心頭で「自分が出ていって鎮圧する」とまで口走り、実際、将校らをほとんど銃殺刑にした。将校たちの若い純粋な気持ちなんて大事にしなかったのが、天皇以下、当時の世の中の大勢。大事にした(将校たちと通じていた)軍の上層部は、軒並み左遷や予備役編入の憂き目を見た。「大事にしなかったけれども、軍部をコントロールできなくなった」のが歴史。谷垣は「大事にしないという声があって、その結果、軍部をコントロールできなくなった」と言っているから、ムチャクチャな歴史理解。何をバカなことを言っているんだと、なんで誰も指摘しないのか

11-15
●昼前、世田谷の実家へ行き一泊。18時〜母と家人で奥沢駅南口1分・諏訪山通りのわっか亭で夕食。付きだし3(煮しめ)、焼き鳥串レバ3・もも3・ぼんじり3・皮4・手羽先2(ここは基本的に塩。皮のみ2本タレで注文)、鶏せんべい、蒸し鶏とほうれん草サラダ、鍋一人前(コラーゲン鍋。鶏肉と鶏つみれ竹筒1皿にネギ、水菜、しいたけ、豆腐など)、鍋の〆にラーメン二玉、あと焼酎と日本酒で1万円いかない(昭和3年生まれの母が小食とは言え、三人でもう食えんという量。オヤジが「鍋は一人前で十分です」と言った)。ここのレバ串は見事。神楽坂では断じて食えない。新宿でも、これだけのものを出す店は、ちょっと記憶にありません。おススメです
●海保職員逮捕せずと、白鵬連勝ストップのニュース。どちらも落ち着くところに落ち着いた印象。前者については、基本的に「逮捕」を誤解している人が多いように思います。「逮捕=刑事手続のために(法律上許される)人の身体を拘束すること」で、刑事訴訟法においては、公訴提起前に被疑者の身体を一時的に拘束すること。これには通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の三つがある。通常逮捕は、捜査機関が請求し裁判官が出した逮捕状で被疑者を逮捕するが、軽い罪については被疑者が住所不定か、任意出頭の要求に応じないときでなければ逮捕できない。現行犯逮捕は、現行犯人を令状なしに逮捕する(一般人が逮捕してもいい)。緊急逮捕は、重い罪についてとりあえず令状なしの逮捕を認めるもの(もちろん後に逮捕状が必要)。以上、軽い罪・重い罪については刑事訴訟法209条以下をご参照(日没後〜日出前のガサ入れは、日没以前に当該建物・船舶に入るか、令状に夜間検証可の旨の記載が必要とか、ふーんと思うことがいろいろ書いてある)
●以上のうち、海保職員に適用できるのは通常逮捕だけ(現行犯ではないし、緊急逮捕の要件も満たさない)。被疑者の容疑は、国家公務員法違反(「第100条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」に違反し、「第109条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。12 第百条第一項若しくは第二項又は第百六条の十二第一項の規定に違反して秘密を漏らした者」に該当)で、逮捕できないほど軽い罪ではないが、公務員で、自ら名乗り出て捜査に協力しており、逃亡の恐れも証拠湮滅《いんめつ》の恐れもない。ならば逮捕しないというのは、妥当な判断でしょう
●で、「誤解」というのは、逮捕は罰を科するとか、何かで償わせることを意味しないからです。悪いヤツは裁判で有罪にすべき。しかし、必要がなければ逮捕しなくても全然よいのです。日本で「逮捕=捜査機関が被疑者を取り調べるための手続き」とされている理解すら、英米では「逮捕=裁判所の勾留、つまり出頭確保のための手続き」であると考えられていて、見方が異なる(日本でも最近は後者の考え方が強くなっている)。警察が犯人らしきヤツを逮捕してよいのは、捕まえて本当に悪いヤツかどうか決めるためであって、警察に本当に悪いヤツかどうか決める権限はない。だから、必要以上に逮捕しまくってはダメだと、法律に細かく書いてある。戦前、警察や特高警察が怪しそうなヤツをバンバン逮捕してリンチなんかで殺していたから、それはやめようじゃないかという話。当たり前。でも、なんとなくみんな、逮捕されるヤツは悪いヤツ・されないヤツは悪くないヤツと思っているでしょう。それは本当は誤解です。「逮捕されるヤツは、後に裁判でほとんど悪いと決まるヤツ」と「逮捕されるヤツは、全員悪いヤツ」は、似てるけど違うわけ。この点、弁護士の仙谷由人が当然、逮捕と思っていたらしいのは、ちょっと理解しがたい話。弁護士なんだけど、それを忘れるほど内閣官房長官兼陰の総理の仕事が忙しすぎるということでしょうかね
●もちろん以上に書いたことからも明らかなように、逮捕はなくても、お咎めなしと決まったわけではありません(逮捕は罰じゃないんだから、それがなくても罰なしと決まったとはいえない)。国家公務員として、海上保安庁職員としてルールを破ったことは確かだから、処分されます。当たり前。それと、尖閣漁船衝突映像が公開されてよかったことは(処分内容に影響するとしても)別の話
●白鵬連勝ストップに相撲界は大喜びですね。朝青龍がいてくれれば、こんなにやきもきしなくて済んだでしょうけれども。まあ、衆人環視の中でぶんなぐってパトカーまでくりゃ、横綱は続けられない。本人も悪いが、朝青龍に頼りきり甘やかした周囲も悪い。賭博常習犯がいまだに相撲を取ったり、後進を指導したりしているしょうもない世界。大相撲によって日本の歴史と伝統文化が維持されているなどと思う連中は、なおしょうもない世界

11-14
●13日は、日大江古田校舎までカメラバッグを転がしていく。控室にて、放送批評懇談会ギャラクシー賞報道活動部門・前委員長として一言ご挨拶。「遠路はるばるありがとうございます。私たちが、2009年度、日本でいちばんすばらしい報道活動だと6本を選ばせてもらったのが、今日お出でいただいたみなさんの作品です。改めて見て活発に議論し、楽しい集いにしたいと思います。よろしくお願いします」とかなんとか
●で、part1で早速トラブル発生。北海道テレビさんのDVDが認識できず、札幌テレビさんのDVDがカクカク一瞬止まりつつの上映(終わりのほうで止まっちまった)。現・委員長で司会の碓井広義が「生放送みたいですね。よくあることです」とつなぎ、ディスカッションに移行。現・委員の兼高聖雄・日大教授とスタッフ学生が汗だくで、異なるプレーヤー二台とPCに接続を換えて試すも、北海道テレビDVDは認識不能。あとで別のDVD(応募時の1時間もの)を流すことに
●part2は私も登壇したので、やや詳しくレポしておきましょう。伊那CATVの伊藤秀男「戦争関連の報道といえば、とかく終戦の8月15日や東京大空襲の3月10日にからめてとなるが、そういうものではないだろうと。毎週1人を取材し番組にしていった」。朝日放送の天本周一「きっかけは年金の不正免除(収納成績を上げるため勝手に免除世帯にしてしまう)の取材。それを進めるうち、年金受給の窓口で『記録が消えている』という人が多いとの話をつかんだ。5〜6回放送した後、テレビ朝日・報道ステーションが伝えて大反響に。これが2007〜08年。その後、政権交代があっても問題は依然として解決していないから報道を続けた。東京キー局に言っても『年金じゃ、数字取れないからなぁ』といわれる」。露木茂「東京キー局と地方局の違いが如実にわかる。東京では『A面・B面』という。A面は全中(全国中継)の大きなネタで、キー局はそれを全国発信し、数字を取ろうとする。伊那CATVも朝日放送の報道は、そうではないからこそ貴重であり、高く評価できる」。坂本「いま露木さんが、キー局の大きく強い反省を込めて解説されたことに、あまり付け加えることもない。伊那CATVは小さい。どのくらい小さいですか?」。伊藤「2万6000件加入」。「東京では町の人口にすぎない。しかし、戦争責任の問題は、そんな地元にこそある。65年前に日本人は平和主義だったが、軍部によって戦争に巻き込まれたみんな被害者だ、なんてバカな話はない。日本人一人ひとりが戦争をやった。長野の教育界は戦争協力者どころか戦争推進者だ。そんな問題を地域で一つひとつつぶしていくことが重要だろう。それを伊那CATVはやろうとした。キー局は『折折の報道』以外、やっていない。たとえば差別問題。新宿で学区撤廃をしたとき特殊学級(若竹学級)のある小学校に子どもを通わせたくないという親たちによって、小学校が一つつぶれた。差別は厳然といま、ここにある。しかし、これを報道した東京の放送局は一つもない。伊那CATVの報道は、昔のエラい人の責任を追及することになるから、地元ゆえの難しさもあっただろう。それに挑戦した意欲を買う。大阪朝日も消えた5000万の年金記録問題を、まだ3000万は消えたままではないかと、しつこく報じた。海保映像流出報道を見ても、キー局は『集中豪雨型報道』『瞬間湯沸かし器的報道』で、ワーッと過熱しスーッと冷めてしまう。そうではない、しつこい報道を高く評価する」。例によって、ICレコーダを聞き直すなんて面倒なことはしてないので、こんな感じの話だったということで
●part3は、照明を落とし、まずラジオを聴く。阪神・淡路大震災のときの現場レポートで記者「どうされました?」「いま家から逃げてきた。自宅は丸焼けだ」「たいへんな目に……」「息子が家の下敷きになった。足を引っ張ったが出せなかった。息子は『オヤジ、逃げてくれ』と言った」「えっ!? 息子さんが下敷きに? おいくつですか」「30、ええと38かな(←30代は間違いないが、聞き直していないので、34だったかも。オヤジさんはちょっと考えて年を言った)。火が回ってきて」「……(絶句)」。まさに言葉を失う生中継です。これもキー局には絶対、報道できない。テレビにもできず、機動力あるラジオにしかできない。記者側も何と言ってよいかわからず、かろうじて年齢を聞いた。なお、この息子を亡くされたオヤジさんは、このラジオ中継をまったく記憶していないそう。余談ですが、NHKラジオは震度5以上だとラジオ・テレビともに同じ全国向け総合放送になる(ラジオでテレビの音を流す)ので、神戸市長田区でラジオを聞きながら逃げ惑う人に役立つ情報を伝えることができない(いまもその体制かどうかは調べていません。私はこのことを繰り返し批判的に書いています。教育テレビの安否情報もクソの役に立たないから止めるべきだとも、繰り返し書いている。当時のNHK経営企画室の若手は「あれはただの視聴者対策。実効性は皆無で役に立たない」と断言した。いつかNHKの災害報道は反省が足りないとGALAC巻頭で書いたら、NHK広報が「取材せずに、何てことを書くんだ」と抗議電話を寄こしたので、「ふざけんな! あんたが広報に来る前に、さんざん広報を通じて取材した」と怒鳴りつけたことがある。海老沢会長時代の話ですけれども)
●最後に、北海道テレビDVDをしばらく流し、質疑応答。朝日放送・天本周一(32)の学生向けコメントを紹介しておきます。「みなさん、放送局に入って一緒にやりましょうよ。『自分はこういうことをやりたい』と『自分は放送局に就職したい』という人では、気持ちが全然違う。何かやりたいという強い気持ちがあれば大丈夫。東京の記者は夜討ち朝駆けばかりでドキュメンタリーなんて作れない。大阪なら作れる。テレビの将来がどうといろいろ言われますが、全然大丈夫です。あと15年は大丈夫。自分の嫁にもそういっています。20年後はわからないけど(笑)。大阪まで受けに来てください。お願いします」
●終了後、江古田駅南口、郵便局そばのカフェテリア「レガロ」で懇親会。感慨深かったのは各局のみなさんから、ギャラクシー賞をもらったのは名誉なことでうれしかったという以上に、局内で番組や報道活動への評価が高まり、番組見直しの声を抑えたり、企画を通しやすくする効果があってありがたかった、という声を聞いたこと。この現場の声は、審査員に対する最大のねぎらいの言葉で、皆やっててよかったと思ったはずです。今日はお台場で泊まるという伊藤秀男と飯田橋で別れ、もー吉。小林英美も来る。矢来町の長崎ちゃんぽんで26時まで。赤ワインを飲み過ぎ、久しぶりに酔っぱらいました

11-13
●13時〜〈報道活動部門ギャラクシー賞受賞「報道活動」を見て、制作者と語る会〉。どなたでも入場できます。坂本担当の日大芸術学部放送学科「放送特殊研究V」受講生は出席必須(出席した者または書面にて正当な欠席事由を提出した者以外には、成績をつけない)
◆日時:2010年11月13日(土)13:00〜17:00(開場12:30)
◆場所:日本大学藝術学部江古田キャンパス(西武池袋線各駅停車にて江古田駅下車 北口より徒歩3分) 東棟2階 E207教室
◆入場無料(定員100名) ※事前申込み不要。どなたでも入場できます。
◆主催:放送批評懇談会ギャラクシー賞報道活動部門委員会(委員長/碓井広義 副委員長/市村元 委員/今村庸一 小田桐誠 加来由子 兼高聖雄 鈴木典之 鈴木嘉一 中村正敏 堀木卓也 宮前周司)
◆後援:日本大学藝術学部放送学科
【プログラム】※局から来ていただいた6名以外は、放送批評懇談会の報道活動部門選奨委員(ただし2010年6月に任期が終わり退任した者を含む)
12:30 開場/受付開始
13:00〜13:05 開会あいさつ
13:05〜14:15(part1)
◆北海道テレビ「議会ウォッチ」上映
◆札幌テレビ「聴覚障害偽装事件における一連の報道」上映
◆ディスカッション《終了後10分休憩》
北村稔(北海道テレビ)、眞鍋浩史(札幌テレビ)、麻生千晶(作家)、山田健太(専修大学)
14:25〜15:35(part2)
◆伊那ケーブルテレビジョン「上伊那の戦争遺構シリーズ」上映
◆朝日放送「NEWSゆう+ 追及!終わらない年金問題」上映
◆ディスカッション《終了後10分休憩》
伊藤秀男(伊那CATV)、天本周一(朝日放送)、露木茂(東京国際大学)、坂本衛(ジャーナリスト)
15:45〜16:55(part3)
◆AMラジオ災害問題協議会「関西発いのちのラジオ 災害への備え」試聴
◆鹿児島テレビ「ナマ・イキVOICE〜オンナたちの小さな挑戦・20年」上映
◆ディスカッション
谷五郎(ラジオ関西)、石神由美子(鹿児島テレビ)、鈴木典之(放送批評家)、小田桐誠(ジャーナリスト)
16:55〜17:00 閉会あいさつ

11-12
●10時40分〜日大授業。「放送特殊研究V」では、毎回ドキュメンタリー映像を見せて議論する。ドキュメンタリー映像は、ノンフィクション映像(つくりものでなく、起こっている出来事を撮す映像。ホームビデオなんかもそう)の一つ。当然、ノンフィクション映像と共通する要素を持っている。それについて考えるために、世を騒がせているノンフィクション映像であるところの尖閣漁船衝突映像は格好の教材。ということで、先週5日の授業では流出(4日夜21〜22時頃)直後の映像を見せた(「諸君、流出の翌朝に120インチ・スクリーンの大音響で上映って、普通はないぜ。日本の大学でほとんど最速でしょ」)のに続き、今週改めて見せたうえで、あれこれ講義と質疑応答。詳しくはテレビ報道を考える!!をご参照
●子どもたちに伝えたいことは、ようするに以下。映像はつねに主観的、一方的、断片的なものだ。断片的とは、空間的(視覚的)・時間的にだ。どんな映像を見るときも、「その映像だけ」で映像の意味や価値を考えたり、判断材料にしてはいけない
●いま起こっていることを縮めて言えば、日本の領海で中国漁船が不法操業し、酔っぱらい同然の中国船長が退去を求めた海上保安庁の巡視船に嫌がらせで二度衝突し、その船長を逮捕し勾留が長引いたら、中国政府が強硬姿勢を見せ、それにビビって日本政府が船長を釈放し、それに対して海保職員が映像を見せて「本当はこうだった」と広く伝えようとした。◆何が問題か。海上保安庁の逮捕までの行動は、彼らの仕事をいつも通りやっただけで、問題はない。その映像を庁内で共有するのも当たり前。◆問題はその後で、中国の圧力によって日本が船長を釈放し、日本が中国に屈服したと国内外に見えた。これは外交上の大きなマイナスであり、大問題。◆で、この大問題(中国に対する日本の屈服)を回避するには、二つやり方があった。一つは、【A】逮捕・取り調べの後に船長を強制送還し、事を荒立てないこと。もう一つは、【B】逮捕・取り調べの後に船長を起訴し、有罪にすること。◆明らかに中国側は、【A】に決まっていると思い込んでいた。【A】でいくなら、「屈服ではない」と国内に丁寧に説明するとともに、海上保安庁の現場には「諸君の行動は間違っておらず、日々の努力を多とする。政治判断はそれとは別だ」と納得させる必要がある。【B】でいくなら、一時的には屈服しないように見えるが、中国はさらに猛反発し、日中関係はさらにガタガタになることを覚悟する必要がある(その後、屈服したかたちで収めるか、突っ張って日中が緊張し続けるかのどちらか)。◆だから、後者【B】はアホらしい。そんな覚悟は誰にもない。よって、前者【A】しかない。そのような判断ができなかった日本の外交が問題で、つまり首相官邸の判断が誤りだったということです。これが問題の本質であって、衝突かこすった程度か、船長が泥酔状態かやや酒気帯び程度か、映像が出たか出ないか、その管理がどうだったかなど、まったくどうでもよい末梢的な問題。◆だから、政府は「一連の経緯において政府の判断に若干の誤りがあった」と謝罪し(細かくは言わないでよい。誰かに「誤りとは」を解説させればよい。日本外交はアホだったという話を広めることは、国益上さらにマイナス)、さっさと海保職員を略式起訴だか書類送検だか不起訴だか、お咎めなしの形にすればよい。中国漁船の船長が釈放(中国では英雄)で海保職員が逮捕(日本では犯罪者)では、格好がつかない。世界的・国際的に日本の格好がつかないからダメ(あれは機密であるか証拠物であるかなんて議論はどうでもよい。世界から見て「やっぱり日本のほうが悪かったんだ」という形になるから、ダメなのです)。◆絶対に譲れない一線は、尖閣諸島を北方領土や竹島にしないこと。そうなりさえしなければ、たいていのことはどうでもいいと、日本人は鷹揚に構えていればよいと思います。13億だか14億だかと日本の10倍以上の人口で、やっとGDPが日本に追いついたという貧しい国なんだから。しかも、中国は日本の最大の輸入先・アメリカに次ぐ第二の輸出先で、日中ともに中日なしに経済発展はないのだから。中国の田舎もんが酔っぱらって船をぶつけてきたなんてことに、いちいち国家として目くじらを立てる必要はない。そりゃ、2ちゃんねるのみなさんにまかせておけばいい。国土交通大臣や外務大臣が2ちゃんねると同じレベルなら、これはヤバいでしょうよ
●菅直人や仙谷由人は、以上のことを最初のうちわからず(または半信半疑で前原誠司あたりにまかせ)、中国が居丈高になって初めて身に染みてわかったのだろう、と私は思います。自民党の政府批判がダメなのは「なぜ屈服したのか。弱腰で軟弱だ。売国政府だ」としか言わないから。「じゃあ【B】案で突っ張るべきだったのか。対中進出した日本企業がどうなってもよいのか。大豆やネギが輸入できなくなったらどうするんだ」と言われたとき、回答を用意しているとは思えない。「オヤジが2004年に強制送還したのは、売国政府か」と言われても、小泉の息子は困るでしょう。まして、9時半に知った話を昼休みまで首相に伝えなかった国土交通大臣は罷免に値するなんて、些末も些末、話にならないイチャモンだと思います。官房長官も国会内撮影の望遠レンズ使用がどうたらと、子どもじみたことを言ってるんじゃない。もうちょっと冷静な人物かと思っていましたけどねえ

11-11
数日前、読売テレビ記者と接触 海上保安官 読売テレビサイト11月10日19:20付けの記事は、以下の通り
●【引用ここから】「尖閣ビデオ」の流出事件で神戸海上保安部の43歳の海上保安官が映像の流出を認め、警視庁などが国家公務員法違反の疑いで事情聴取をしているが、読売テレビ記者が、この人物に数日前から接触、話を聞いていた。直接接触した記者に、本人が海上保安官の身分証明証を提示。「なぜ公開したのか」と尋ねると「この映像は国民の誰もが見るべきものだ」と話した。今回の映像の流出は自分ひとりでやった。誰にも相談もしていないし協力した人間もいないと、はっきり語った。また「この映像は海上保安官であれば誰もが見ることができる状態だった。特に機密的な扱いになっていなかったことは間違いのない事実だ」と強調した。【引用ここまで】
●衝突映像は、当初はメディア向けに配るDVDを用意したという話があるくらいで、機密扱いは途中から(10月18日以降)。海上保安庁が全庁内で徹底処分の方針を出すまでは、さまざまなルートで広がっていました。「研修用」がその一つですが、「おい、あれどうなってんの? 送ってくれ」「あれですか。取扱注意でお願いしますよ」というように、先輩後輩など個人ルートで流れたものもあるかも。パソコンから消せと言われると、そんなヤバいものなら個人的に持っていようと思う担当者もいる。そんな流出を防ぐには、全フロア携帯持ち込み禁止(全員に支給携帯の使用義務づけ)とかX線・金属探知器検査なんかが必要ですが、そんな面倒なことはどこもやっていません
●ところで、読売テレビは映像を持っていないのか。初回は話だけでも、間を置かずメシでも食わせて撮るでしょう、普通は。だって、大スクープもいいところですからねえ。あとこれ、こういう映像をYou Tubeにガンガン上げていき、中国人を含む全世界に見せるべき。管区まかせの仕事でなく、日本政府が戦略的にやるべき話だと思います

11-10
●昼前、田原総一朗から電話あり。ペンクラブ声明、尖閣衝突映像の流出などにつき、ちょっと話す。尖閣衝突映像については、田原「大した話じゃない。騒いでいるのはマスコミと自民党だけ。仙谷も別に困ってなんかいない。映像が出たことはよかった。出たことのマイナスは何もない。流出させた者は早く名乗り出たほうがいい。大した罪にはならず執行猶予でしょ。いま名乗り出れば英雄になるよ」
●実は尖閣衝突映像は、報道されたように石垣島(海保)と東京(検察)だけにあったのではなくて、海保関係に広く(コピーが)流れています。なので私は「神戸の漫画喫茶が怪しいといっても、流出させた本人が利用したかどうか。防犯ビデオなんていい加減だし、途中に2〜3人介在するかも。流出者の特定は難しいのでは」と応えた。と、電話を切ってまもなく、神戸の海保職員が自己申告のニュース。神戸海上保安部から徒歩10分の漫喫(MANBOO!神戸三宮店。ハンズ近く、洋菓子屋の上)が特定された時点で、これで捜査が自分に及ぶ、逮捕は免れないと思ったのか。ただ、神戸でなく門司とか仙台とか、別の場所から流出しても不思議はない状態だったようです(すると捜査手法がマヌケだったという話になる)
●流出問題についての私の考えは、以下。【ここからは、10〜11日にかけて書き、11日にup。「強制送還」と「釈放」という言葉が混在していたので同日中に前者に統一】まず一連の出来事を整理すれば、【1】中国漁船の日本領海侵犯と海上保安庁巡視船への意図的な衝突、【2】同船長の逮捕・勾留・取り調べ、【3】中国側の猛抗議と日本側の狼狽《ろうばい》をへた同船長の釈放、【4】日中関係修復に動く日本側と強硬姿勢を続ける中国側のすれ違い・対立・緊張、【5】海保が撮影した事件映像の公開を求める声の高まりと、それを受けた国会議員の限定視聴、【6】海保職員による事件映像のYou Tubeへの流出、【7】流出させた職員の逮捕、となるでしょう
●以上をふり返って私が抱く最大の感想は、日本側が──というのは日本政府、与野党政治家、日本のメディア、国民大衆が、とんでもない大事件が発生したと問題を大きくとらえすぎていることです。最初に断っておくと、「尖閣なんて中国に取られてもいい、ちっぽけな問題」だからではない。話はまったく逆で、尖閣諸島は日本領であり、その北小島には日本人が建てた灯台様の構造物があり、他国の勢力が上陸してそれを破壊しようとしたという話も聞かない。尖閣諸島は日本の実効支配下にあり、これを外国が侵すような事態になれば、アメリカは日米安保条約を適用する(早い話が、日本を母港とする世界最強の第7艦隊を出して防衛する)と米クリントン(ヒラリー)国務長官が断言している。その周囲の日本領海に入って違法操業する中国漁船に対して、海保が出ていけと言ったら、いやいや立ち去る際に、嫌がらせで船をぶつけてきたという話。パトカーが暴走族に出てけと言ったらぶつけてきたような話であって、この意味で大事件ではないのです。ソ連が違法に占領し現在は完全にロシアの支配下にある北方領土、韓国が灯台・桟橋・ヘリポートなどを建設し警備隊(警官)を常駐させている竹島と比べても、大事件でもなんでもないでしょう
●それを大事件にしたいのは、中国のほうです。中国政府の基本的なモチーフは、国内の諸矛盾で高まる不満や批判を、政府や共産党に向かないように国外にそらすこと。国内の諸矛盾の最大のものは、拡大する格差問題でしょう。中国の人口13億超のうち農民が7億人以上で、国連や世銀の定義に該当する貧困層は数千万規模か、たぶんもっと多い。富裕層と貧困層の格差、戸籍からして違う都市と農村の格差は、日本の比ではないが、福祉や社会保障は未整備。失業問題も深刻で、農村出身の出稼ぎ労働者やその家族、4割が就職できないとされる大卒など若年層の不満も募る。中国国内には、腐敗する地方政府、自由を許さない中国共産党・政府への潜在的な不満が積もり積もっています。中国ではこうした諸矛盾に、地方権力のせめぎ合い、軍部や党内の権力闘争、少数民族(といっても、加えていけば億の人口)問題などがからむので、問題はさらに大きく複雑になります。それを抑え込むことができているのは、GDP対前年比で二ケタの高度成長を続けているから。格差が拡大し、失業や就職難が広がり、住宅事情や環境が劣悪でも、「自分の生活は、去年よりはマシだ」と思えれば暴発はしないし、政権交代も革命も起こらない(まさに日本がそうだった)
●それでもガス抜きが必要だから、中国政府は今回のような姿勢を見せるのです。中国外務省の報道官が「事態を悪くしているのは日本だ」と居丈高な姿勢を繰り返すのは、中国国内向けのアピール。反日デモを黙認するのも、反日にとどまる限りにおいてです。共産党独裁の中国に政治的な自由はなく、政党を作れば監獄行き。もちろん反政府デモも監獄行き。中国のデモは、基本的にすべて政府公認デモであって、容認できないデモは89年の天安門事件のように軍隊を出して制圧します。だから、ヒマな失業者や就職浪人や貧困層は公認の反日デモに出かけていき、レンガなんか投げたり火をつけたりして憂さ晴らしする。気分は反政府でも、反日デモ以外やってないのでね。だから、中国政府が日本に見せる高圧姿勢に「けしからん。中国は許せん」といきり立つのは、「いいぞいいぞ、もっとやれ。小日本をやっつけろ」と喜ぶ中国大衆と同レベル。子どもじみた反応というべきです。大事件にしたい中国側に乗せられているという意味では、利敵行為にすら近いでしょう。日本のメディアも「中国でまた反日デモ」と伝える。たとえば中国の田舎都市で100人が集まり、警官隊が取り囲むなか反日を叫んで解散したと。これは中国13億人の「世論」かという吟味が必要です。たとえば日本の進出企業が多く、農産物の多くを日本向けに生産する山東省では、反日デモは起こっていない。それは報道しないのがメディア。「今日もほとんどの日本人は平穏無事に暮らしました」なんて夜ニュースはなく、人殺し、盗み、事故、災害などヒドい話を報じるのがメディア。当たり前ですが、それと社会全体がヒドいかどうかは別の話です
●ところが日本政府は、【1】が起こると「ダメなものはダメ、逮捕だ」と【2】をやった。そして【3】〜【4】のように、中国政府の強硬姿勢を読み誤って、混乱に拍車をかけました。外交をやったことがない外交オンチで、しかも「政治主導」とは「専門家や官僚の意見を聞かないこと」だと思い込んでいるからでしょう。私は、穏便に済ませたいのであれば、次のようにすべきだったと思います。【1】中国漁船の日本領海侵犯と海上保安庁巡視船への意図的な衝突、【改2】同船長の逮捕・取り調べ・強制送還、【改3】国内・国際社会向けに、海保が撮影した事件映像の公開、尖閣諸島が日本の実効支配下にあることの確認、それをいっそう確実なものにする政策などを推進、【改4】とくに中国向けに、衝突は一漁船の偶発的事件、それが日中関係を損なうことはないと宣言。ここまでは時期を置かずワンセットでやる。【改5】あとは放っておき、淡々と事務的にAPECでも何でも準備すればよい。弱腰じゃないかと野党に攻められたら、「あんた方のやり方と同じ」と言えばよいだけの話(小泉政権の2004年、中国側活動家ら7人が不法上陸したときは沖縄県警が現行犯逮捕、のち強制送還。7人の上陸と今回と、中国側のやったことはどちらが悪質か。もちろん前回でしょう)。たとえばGoogleに「Senkaku Islands」と入れて検索すると、いまはウィキペディアがトップに表示される。だから日本政府の見解を主要言語何種かで読めるページをつくり、Google検索でトップに表示されるようにすべきです(【改3】の一つ)。インチキしなくても、それはできるのだから、やればよい。(やり方がわからなければ、私が教えてもいい)
●それにしても日本政府は、国民大衆への説明の仕方が実にヘタクソですね。たとえば菅直人は「戦略的互恵関係が大事」と盛んにいう。まあ間違ってはいないが、具体的に何を指すのかわかりにくいうえ、最初にアメリカが言い出した言葉。わかりやすく言えば、こうです。◆中国の輸入はどこからが多いかと言えば、日本だ。日本からの輸入は約13%で世界一。EU全27か国からの輸入よりも大きい。中国の輸出はどこむけが多いかと言えば、一位がアメリカの18%、二位が日本の8%だ(14%弱の香港むけは、半分が中国への再輸出なので無視できる)。◆同じことを日本から見ると、日本の輸入は中国からが世界一多い。日本の輸出は、一位がアメリカ向け、二位が中国向けだ。◆ようするに、世界一の消費大国むけである対米輸出を除けば、日本と中国は互いに相手を最大の輸出・輸入先にしている。日中ともに相手が最大の仕入れ先で、しかもアメリカに次ぐ上得意客なのだ。この重要な取引関係が、一漁船が突っ込んできて崩れるとか揺らぐなどというアホな話は、絶対にありえない。中国・日本とも、そんなことは望んでいない。◆この抜き差しならない日中関係(互恵関係)は、双方の国益である。日本政府は、その国益を最重視して、船長を釈放強制送還することにする。だが、同時に、尖閣諸島における日本の実効支配が揺らぐことがないよう全力を期す──こう説明すれば、日本国民は船長の釈放強制送還に同意すると思います。同意するでしょう? 中国との貿易なんか止めりゃいい、中国依存という経済のあり方こそ変えるべきだなどと妄言をタレ流す者は、輸出入が1割止まると何が起こるか明示すべきだし、依存をやめる具体策も提示すべき。提示できないから妄言ですけどね
●そのような大局観のかけらもなく、衝突映像を見た政治家が「明らかにぶつけてきたのは中国側だ」と興奮気味に語るとか、船長の釈放は検察が決めたことで官邸は関知しない風を装うとか、お話にならない。中国側が日本大使を明け方たたき起こして呼びつけたのは、早く何とかしてくれというサインに決まっています。それに気づかないのは、鈍感なだけです。そして、中国漁船が突っ込んできたことが大事件でないなら、その映像流出も大騒ぎするような話でないことは当たり前。ところが、鳩山由紀夫は11月6日に佐賀市の講演で「情報によるクーデターのようなことを政権の中にある人間が行うことは、大変厳しい話」と言ったと報じられています(時事)。野党の谷垣禎一や小泉進次郎が「あんた方の政権はクーデターが始まったも同然。もうガタガタだ。解散しろ」と迫ったというなら、話はわかる。しかし、民主党の前首相が言うのだから、理解しがたい。世間には「前首相が政権内の情報クーデターと言った」と伝わるわけですよね。そのような発言を政権の中にいた人間(前首相で前党代表)が行うことは、民主党にとって大変厳しい話とは、思わないんですかねえ
●18時半〜22時過ぎ、かわうちで夕食。家人・息子と

11-09
●23時前、アスコムの単行本(新書)、榊原英資著『(仮題)世界同時大不況が始まった!』の仕事がとりあえず一段落。12月中に出るでしょう。2011年以降の世界(とくに米欧と印中)と日本の経済、とりわけ円高・株安・デフレについてその動向を見通し、国(日本政府、民主党政権)が掲げるべき大戦略から企業・個人の戦略・生き方・考え方までを、わかりやすく簡潔にまとめた本です。おもしろい! 政府関係者、政治家、メディア関係者、経営者、ビジネスマン&ウーマン、就職学生は必読!
●ようするに、元大蔵省財務官で「ミスター円」の異名を取った日本を代表するエコノミスト榊原英資によれば、世界同時大不況の時代であると。08年ノーベル経済学賞のクルーグマンが憂う1870年代型不況(1873〜96年「大不況」の再来)説と、自分も同意見である。円は年内に1ドル70円台に突入(95年4月19日の史上最高値を更新)し、以後80〜70円の水準で推移する。デフレも続く。現在のそれは貨幣的現象でなく、東アジア市場統合の結果だからだ。避けられない円高・デフレは、所与の大前提として対応するほかない。世界同時大不況は少なくも3〜4年、おそらくは10年(世界が「失われた10年」に!)、ことによっては10年以上続くであろうと
これは、たいへん。日本は破産する式のタイトルの本を、手を変え品を変え10年や20年も前から出し続けている人がありますが、そんなオオカミ少年が言うのではない。経済閣僚をやってもおかしくないエコノミストが言うので、私は傾聴に値すると思います。そんな話、初耳だって? 確かに日本の新聞には載っていないでしょう。ワシントンポストやニューヨークタイムズには載っています。エビサラダ大好きなヒゲ男が「第3の大不況」を警告し続けてきたとか、街灯が消されてアメリカが暗くなっていくとか

11-05
【この項、21時15分に追加】下記の読売記事は、後ろ部分が「◆動画投稿サイト」から始まる解説に差し替えられ、謎の大手セキュリティー会社が認定した4時というサイトアップ時刻も消えています。紙の新聞は消せないが、サイトの記述は後からわからないように改変できてしまう。たとえば当サイトで、私が万一誤報や不正確な記事を書き、後から訂正する必要が生じたときは、「抹消線で訂正する」「追記時刻を書く」などを自分のルールにしており(たとえばこのページ二つ目の見出し直後とか)、日大ブログに学生が書くコメントもそうせよと言ってある(テニオハなんかは煩雑になるので、断りなしに直しますが)。新聞サイトも何らかのルールを決めたほうがよいと、前から思っています。いま読売サイトにある事件第一報は03時04分付ですが、これは01時34分のものに追加していき、最終更新が03時04なのです。俺のところはもっと早く伝えたぞ、という証拠を残すためにも、最初の時刻は残したほうがよい。時刻を併記して記事を追加していくやり方に変えたほうがよかろうと思います
【この項、15時40分に追加】読売サイトは、2010年11月5日14時30分付の記事で〈「大手セキュリティー会社によると、この映像はユーチューブに4日午後4時過ぎに登録名(アカウント)「sengoku38」によって投稿された。〉と書いていますが、誤報なのでは。夕方早い時間にあの映像があれば、夜ニュースの時間帯に騒ぎになっていると思う。5日午前2時台に見たときついていたコメントの最初のほうは「5時間前」表示だった。あの映像がYou Tube上にあって4〜5時間コメントがつかないことは、考えにくい
●ここ1週間以上、24時間で2時間〜2時間半ほど2回寝るというような仕事中なので、取り急ぎ、海上保安庁撮影の尖閣・中国漁船衝突事件の映像流出につき事実経過と、短いコメントのみ
●4日夜10時よりも前に、You Tubeに約3〜11分の映像ファイル6本、計約44分の映像が、「sengoku38」なるアカウントでアップ(投稿)されました。私が見たのは5日午前2時台。このときはアクセス集中のためか閲覧数が300を超えたところで止まっており、ついたコメントは数百。明け方見たときの閲覧数は、冒頭「No3 みずきと衝突」のタイトル画面が出る3分32秒の映像(ファイル名「日本の尖閣 海上保安庁5」)が6万5000回ほど(コメント件数2700以上)で、その他はおおむね3万台。一部コメント部をざっと眺めたところでは、「よくやった」「敬意を表する」など投稿を評価するものと、政府の非公開方針や対中配慮を批判するものが中心でした
●朝見ると「sengoku38」がアカウントをまるごと削除し、4日深夜のup映像も、それについたコメントも残っていません。その後に見ることができるのは、誰かがダウンロード(自分のパソコンなどに保存)した映像を再アップした、または(ヤバすぎるから、まさかやらないと思うが)「sengoku38」が違う名前で再アップしたものでしょう。前者のうちですが、NHKや産経サイトでも見ることができます
●新聞サイトは毎日が5日午前1時31分、読売が同34分に短く速報。朝日は2時台だったと思います。NHKは5日朝から、You Tube映像のさわり部分をガンガン流しつつ報道しています。もっと慎重にやるかと思っていたので、これは意外でした(なにしろ投稿者が、国家公務員法違反や窃盗罪その他で逮捕されるかもしれず、しかも政府が流すなと言う映像なので。官房長官に怒鳴り込まれたら困るから、昔のNHKなら流さない)。NHKが定時ニュースで(時間を延長してまで)尖閣・中国漁船衝突映像を流すことは、事実上、日本の全5000万世帯で視聴可能な状態になったことを意味します。sengoku38がupしたオリジナル映像を明け方までにインターネットで見た者は、おそらく全国で数万〜10万人といった数でしょう(のべ閲覧数が20万でも一人が複数本見る、1本見て再度保存しながら見るなど重複する)。テレビでさわり映像を見た者の数は、関東地区だけでも数百万以上と100倍の規模です。You Tube映像をダウンロードできない人もいるようですが(今回も「どうやるの?」「こうだ」「ありがとう」といったコメントを見た)、テレビ映像の録画ははるかに簡単です
●すると、日本政府が尖閣・中国漁船衝突事件の映像を非公開にすることは、「非公開にするという態度を示し続ける」以上の意味はありません。それを除けば、起こっている事態(大勢が見て、あれこれ言っている状態)は、公開に踏み切った場合と大きく変わらないでしょう。ただし、中国に対しては、その態度を示すか示さないかで話が大きく違いますし、犯罪を構成するかどうかも違います。いずれにせよ、インターネットの時代にはこの種の問題が頻繁に起こるのだと認識することが、誰にとっても必要です

10-27
田原総一朗氏に取材テープ提出命令 拉致被害者巡る発言(朝日10月24日付)◆北朝鮮・拉致問題:有本さん生存否定発言 神戸地裁、田原氏に取材録音の提出命令(毎日10月25日付)◆田原総一朗氏、取材テープ提出命令に即時抗告(読売10月26日付)
●以上をお読みくだされば、だいたいの流れはわかるでしょう。まともなジャーナリズムの常識からすれば、「取材テープの録音内容の一部を文書に起こしたもの」と「取材テープそのもの」の意味は、まったく異なります。ジャーナリストは前者を公開しても取材源を秘匿することができますが、後者を公開すると秘匿できません。今回のテープの発言者は、外務省の高官≠烽謔「ところの人物であって、声を聞けば誰とわかる。その人物の声を録音した音源は各方面に出回っていますから、声紋鑑定すれば科学的に個人を特定できてしまう
●従って私は、田原総一朗側がテープの内容を文書化し提出したことをもって「(田原側は)秘密保持の利益を放棄した」と判断し、田原側が取材源の秘匿を理由に提出を拒んだことを「幹部の特定につながる情報が録音されているとしても、田原氏が守秘義務を負う場合に当たるとはいえない」と退けた神戸地裁(長井浩一裁判長)の10月18日付の決定(テープ提出命令)は、おかしいと思います。「取材テープの録音内容の一部を文書に起こしたもの」と「取材テープそのもの」の違いをまるで理解していない、稚拙で非常識な判断であって、取材をしメディアで発言する者としては受け入れがたい決定であると考えます
●なお昨夜、夕刊紙にいる知人から「週刊誌レベルの話だが、そもそもテープは存在しないのではという噂が回っている」と聞きました。田原総一朗と電話で話しましたが、テープは『週刊現代』編集部ではなく弁護士が持っているそう。田原は「出さなければ裁判に負け、へタをすれば提出文書をでっちあげたインチキ・ジャーナリストの烙印を押されかねない」と言いましたが、私は「そんなことはないでしょう。明らかに文書と違うから、テープは出すべきではない。裁判に負けても、田原さんが刑務所に入れられたとしても、出すべきではないですよ。そのように頑張ってください」と言いました。だって、週刊誌の取材でやってきた人物に対してした話が、テレビで断片的に語られ、それをきっかけに自分の録音テープが裁判所に渡ってしまう(原告にも渡る)のでは、そりゃ今後、その人物の取材は警戒されて当然です。取材には応じるとしても、少なくともよそで語られては困る内緒話はしないようにするのが普通でしょうから。内緒話ができないジャーナリストと思われないためには、テープ提出を拒否し続けるしかないでしょう
●あと田原が言ったのは、「朝日も読売も記者と話した。でも、『これは田原個人の問題ではない。ジャーナリズムの情報源秘匿という問題で、新聞記者であるあなたの問題でもあるんだよ』と言っても、『そうですか』と言うばかりで、まったく他人事なんだ。いまの時代に仕方がないのかもしれないけど、情けないことだね」と。若い記者ですかと聞いたら「電話だからわからない」と
●元外務官僚の佐藤優は、【佐藤優の眼光紙背】「権力党員」田原総一朗氏と国民の真実を知る権利(10月25日付)で、この際テープを出しても田原がジャーナリズムの掟を破ったことにはならないと、独特な論を展開しています。私の意見は違い、取材相手がしょうもない外務官僚だろうが、名も知れない路上生活者だろうが、当人が発言者と特定されることを想定していない(取材時に名前を出すと伝え、了解を取っていない)場合は、ジャーナリストは情報源を秘匿すべきだという考え。もちろんそのジャーナリストが、情報源との約束を違えても(たとえば国民の知る権利に応えるためとか、名前を出すことによって結果的に人命が救われるとかいう理由で)やっぱり名前を出すべきだと思えば、そのときは出せばよい。情報源の秘匿(情報源との信頼関係の維持)に優先する事情があれば、秘匿の約束など破ればよいのです。それで賠償金を取られることになれば黙って払えばよいし、刑務所に入れられることになれば黙って入ればよい。ただし、その決定をするのはジャーナリスト本人であって、裁判所ではありません。当たり前の話ですよね。で、今回の裁判所の決定は、情報源の秘匿にとくに優先する事情とは、私には思えない

10-26
●アスコムから12月中に榊原英資著『(仮タイトル)世界同時大不況が始まった!!』という本が出ます。この仕事であと10日ほど身動きが取れませんので、よしなに。同じアスコムから6月に出た榊原英資・竹中平蔵著(司会・田原総一朗)『絶対こうなる!日本経済』は現在7万3000部を突破し、10万部が射程に。執筆した本人がいいますが、おもしろいですよ。とくにビジネスマンや学生のみなさんにおススメ。同じシリーズで10月には勝間和代・堀江貴文著『嫌われることを恐れない 突破力!』が出て、こちらも大好評。田原総一朗、勝間和代、堀江貴文がネット放送で大激論!は、この本のさわりで、私も収録に立ち会いました。このまとめも坂本
●昨日付の当欄記事に一部追加しました。お手数ですが、既読の方もざっと目を通していただければ幸いです。総務省の「地デジ普及率調査」なるものが無視している(調査対象からはずしている)80歳以上の老人は全国に700万人以上おり、80歳以上の老人で一人暮らしという世帯は百数十万以上あります。後者の百数十万世帯に加えて、夫婦どちらも80歳以上という世帯で、地デジ対応がどの程度進んでいるか、日本政府も全放送局も全メディアも、まったく把握していません。そんなバカな国策≠ェどこにある?
●昨日は17〜19時、六本木スタジオ23にて稲垣吾郎のGALAC表紙・グラビア撮影と取材。掲載は2011年1月6日発売の2月号です。編集部から久野明、お茶くみ要員に家人も同行。撮影はTADの末武和人と佐々木友一。稲垣吾郎は、一見控えめで寡黙な感じを受けますが、とてもおしゃべりですね。非常に早口で、ポンポンと先回りしながらインタビューに応える。『十三人の刺客』はじめ映画の話で盛り上がりました
●撮影前の雑談で、フォトグラファーの末武和人が地デジについておもしろいことを言っていた。彼は東京・練馬で一戸建てに住んでおり、自前でアンテナを立てデカいハイビジョンも買って、地デジ対応を済ませたと。ところが最近、ケーブルテレビJ:COMの営業がケーブル化しませんかと家に来た。もう済んでいるからと断ったのは当然ですが、そのときJ:COM営業は「地上デジタル放送への完全移行は2年延期になります」とハッキリ断言したそうです。ちなみにJ:COM(ジュピターテレコム)は、日本最大のケーブルテレビの統括運営会社。終了後、六本木交差点まで歩き、俳優座ビル地下「土風炉」《とふろ》にて夕食と飲み。23時半帰宅

10-25
●あまりにも忙しく、抜けている部分は後日upさせていただきます。取り急ぎ、今日の毎日新聞朝刊につき。まずは「地上デジタル放送:完全移行に延期論 広瀬道貞さんと坂本衛さんに聞く」をお読みください
●民放連会長でテレビ朝日元社長・会長の広瀬道貞には、筆者はGALAC巻頭でインタビューしたことがありますし、放送関係のパーティーなどでもよく話をします。とても人のよい、たいへん誠実な人物です。ただし、基本的には新聞人で、放送やテレビについては、さほど詳しくない。あまりにいい人≠ネので、いま、損な役割を一手に押しつけられてしまっています。民放連会長は、とっくに誰かにまかせてよい時期ですが、本人がその座にしがみついているわけではなく、放送プロパーの経営者たちに火中の栗を拾わされている気配が濃厚です。以下、広瀬コメントに対して、いくつか指摘しておきます
【コメント引用その1】◆アナログ停波がテレビ離れのきっかけになり、テレビ事業が大変になるだろうという親切心からの、ありがたい忠告と受け止めている。実態はそうした心配はあまりないし、延期しても普及率が一気に伸びることはない。3月時点の世帯普及率は83・8%となっているが、いまアンテナで直接受信できる世帯はすでに90%は超えていると思う。来月以降発表される9月調査では目標(91%)を十分超えるだろう。今回のデジタル化計画は、政府が各国の状況をみながら国会に提案して決めた。国を挙げた大プロジェクトの成功例になると思う。
【坂本指摘その1】「延期しても普及率が一気に伸びることはない」という段階が始まったからヤバい≠フです。テレビは月百数十万台規模で出荷されていますが、すでに普及率は低減状況にある。これは、地デジ未対応世帯のなかで、地デジ化したくてもできない(経済的にできない、または経済的余裕はあるが共同住宅の大家が対応しないなど自己都合以外の理由でできない)世帯の割合が増えているからです
●「いまアンテナで直接受信できる世帯はすでに90%は超えていると思う」は、意味不明です。民放連の会長室が、あるいは毎日新聞の校閲が、なぜ、この発言をそのまま掲載させたのか、理解に苦しみます。大雑把にいえば、日本の5000万世帯のうち40%=2000万世帯はアンテナ直接受信をしていない(ケーブル受信)。だから、これまでアンテナで直接受信していた世帯がすべて地デジ対応を終えても、全世帯に占めるアンテナ直接受信世帯の割合は60%にしかならない。それが90%超なら、ケーブル受信世帯は10%弱=500万以下に減るわけだから、日本のCATV会社の4分の3はつぶれている。むろん、そうはなっていない。すると、この発言は「5000万世帯の60%を占めるアンテナ受信世帯の90%以上が地デジ対応を済ませたと思う」という意味でしょう。その推定には何の根拠もないが、そういう意味であるならば、「3月時点の世帯普及率は83・8%となっているが、いまアンテナで直接受信できる世帯はすでに90%は超えていると思う。来月以降発表される9月調査では目標(91%)を十分超えるだろう」という言い方・書き方は、悪質なデマの類に近いと指摘せざるをえません。毎日新聞の一般読者の大半は「3月時点83.8%→(広瀬推定で)いま90%超えた→(来月以降発表でも)91%超の見込み」としか受け取らない(真ん中の90%超が、前後と母集団をまったく異にするデータであることには気づかない)だろうからです
●「3月時点の世帯普及率は83・8%となっている」……総務省のデタラメ数値については、当サイト提言ページ資料をご参照。たとえば兵庫県尼崎市では全21万6000世帯のうち、80歳以上の高齢単身世帯が約1万。全世帯のざっと5%近い(約4.63%)のです。いいですか。総務省の世帯普及率には、80歳以上は最初から含まれていない≠フですよ。こんないい加減な調査数字で放送を打ち切ることは犯罪的な行為≠ニすら言うべきではないかと、私は思います。一人で暮らす80歳以上の年寄りが見るテレビなんて、どうでもいいですか? この人たちこそ、テレビを生活の唯一の友にしていることに、なぜ思いが至らない? この人たちこそ、約しい《つましい》年金暮らしを余儀なくされ、そのうえ新しい機器を使いこなすことが難しく、相談する人もいないだろうことに、なぜ目をつぶる? テレビ放送が始まった1953年、彼らは23歳以上の、まさに働き盛りだった。彼らが、一生懸命働いて白黒テレビを買い、NHK受信料を支払い、やがてカラーテレビを買って放送局を育てた。あるいは、高度成長期に家電製品をあれこれ買って企業を育て、テレビ広告費を出せるようにしたのではないのか? 誰のお陰で都心に超高層の自社ビルを持てる企業になれたと思っているんだ。ふざけるな!──という話だと、私は確信しています。彼らを代弁する者が出てこない限り、私は発言を続けようと思います。【注】尼崎市内の全世帯数21万6000、うち65歳以上の高齢者世帯5万1000、うち65歳以上の単身世帯3万2000、うち80歳以上の単身世帯1万。以上は概数で、市役所に電話取材して聞いた数字
●まあ、どうでもよいですが、「今回のデジタル化計画は、政府が各国の状況をみながら国会に提案して決めた」につき、一言。日本が計画を決めた2001年7月段階で、地上デジタル放送計画を確定させていたのは、1998年9月放送開始のイギリス、99年4月放送開始のスウェーデン、同年11月放送開始のアメリカ、2001年7月放送開始のオーストラリア、以上4か国だけです。このうちイギリスはスタートから15年かけて2012年末までに段階的に移行完了予定。アメリカは2006年末の移行完了予定を2009年2月まで延期し、さらに4か月延期してなお(ということはスタートから11年かけて)、250〜300万世帯が取り残されました。スウェーデンは人口900万余の小国、オーストラリアは人口2000万ほどながら広大な国土を持ち放送開始時は都市だけで、ほとんど参考になりません。日本がスタートから9年(事実上は7年8か月)で完了するというのは、各国の状況をまともに見ていれば到底ありえない無謀で無責任な計画です。しかも、高精細度のハイビジョンテレビを全世帯に普及させることを地上デジタル放送計画の根本にすえている国は、ほかにありません
【コメント引用その2】◆地デジの相談や生活保護世帯などへの視聴者対応に、NHKや民放、テレビメーカーがかかわる「デジサポ」などで日々働く人は約2万5000人に上る。計画の基本的な部分も順調に進んでいる。関係者も住民と直接向き合って対応しているのに、ここで延期する必要はない。仮に3年延期して買い替えが進めば少しは普及率は上がるかもしれないが、人員を維持するための財政や関係者の緊張感、やる気なども低下し、かえって完全移行は不可能になる。いまこれだけの人員をかけて対応している時期にすべてやってしまうべきで、あと3年間この態勢を維持していくことはありえない。ただ、経済的理由からテレビの買い替えができないという人を置き去りにしてしまえば、デジタル化の失敗になる。
【坂本指摘その2】アナログ停波の延期に反対する理由が、テレビ業界の都合だけなのかと、溜息が出ます。たった2万5000人が何? としか、いいようがありません。繰り返しますが、尼崎市内の80歳以上の単身生活者だけで1万人いるんですよ(ただし、総務省もNHKも民放も、その存在を無視している)。2万5000人というのは、サンヨー(三洋電機)グループの日本国内の社員数よりも少ない(全世界では10万人規模)。そのサンヨーがパナソニックに買われたって、何年か後にサンヨーという社名が消滅したって、別にどうということはない(私は10年来、サンヨーが電池と太陽光発電部門だけ残して他部門を全部売り飛ばせば、世界有数の企業に飛躍する活路が開けると思ってきましたけれども)。同じように、放送で働く2万5000人がどれほど苦労しようと、緊張または弛緩しようと、そんなことは全国に400万人いる65歳以上の一人暮らし老人にとっては、どうでもよい。少なくとも百数十万人いる80歳以上の一人暮らし老人にとっても、どうでもよい。彼らのテレビが来年以降も映り続けるかどうかのほうが、国家的政治的社会的にはるかに重要な問題です。一人暮らし百数十万人を含む80歳以上の老人700〜800万人には、地デジ対応を済ませたかどうかハナからたずねない(対象から除外する)総務省調査は、ナンセンスの極み。そのデータを黙って引用するメディアも、完全にイカレています。ところで、延ばすとヤル気がなくなるって、そんな馬鹿な。そんないい加減な連中の集まりですか、テレビというのは。なお、「経済的理由からテレビの買い替えができないという人を置き去りにしてしまえば、デジタル化の失敗になる」は、おっしゃる通り。私は2003年秋のGALAC原稿でそう書いています。2011年7月段階でアナログ放送を打ち切れば、日本民間放送連盟会長のいうように、地上デジタル放送の失敗になります。私たちは、だから「延期せよ」と主張している。なお、この号は、当時のほとんどの放送局の社長に献本しました。逓信委員会(現・通信委員会)所属の全国会議員にも
【コメント引用その3】◆そういう世帯は実際はそう多くないだろうし、できるだけ減らしたい。ただし、世帯、事業所がすべてのテレビを地デジ対応受信機に買い替えるかというと話は別。いったんは一家に1台しかテレビがない状況になるかもしれない。今のところ、それを理由に、CM単価の切り下げ要求が出ることはないと考えている。なんといっても影響力はまだテレビが一番大きいからだ。1億2000万台のテレビが、たとえ来年7月に1億台に落ち込んだとしても、メディアとしての魅力が増しているのでテレビは見てもらえるだろう。ほかに代わるものもないので、減収の心配はしていない。
【坂本指摘その3】楽観の根拠が、まったくわかりません。現実には、メディアとしてのテレビの魅力は、急激に減衰しています。サブプライムローン破綻は2007年夏、リーマン・ショックは2008年9月だったことを想起しつつ、次のデータをご覧ください。魅力が増していれば、2兆円が1兆7000億まで減るわけがないでしょう
低落する広告費──見放されつつあるテレビ
・テレビ広告費(電通)
06年2兆0161億円▲1.2%……番組0.8% スポット▲2.9%
07年1兆9981億円▲0.9%……番組8773億円▲0.6% スポット1兆1208億円▲1.1%
08年1兆9092億円▲4.4%……番組8656億円▲1.3% スポット1兆0435億円▲6.9%
09年1兆7139億円▲10.2%……番組7596億円▲12.2% スポット9543億円▲8.6%
以上は、10月16〜17日に徳島市で開かれた「中四国制作者フォーラムinとくしま」に講演者・審査員として参加したときの講演レジュメ『ローカル放送局、いま、どこへ向かうべきか? 崖っぷちのテレビ。転落せず、抜け出すために』の一節です。民放全体で年2兆円とほぼ一定だった広告収入が1兆7000億円まで落ち続けているのは、単純に「不況だから」ではありません。講演で私は、「昔、テレビの大スポンサーの一社である花王宣伝部の人たちと酒を飲みながら話したことがある。彼らは、『自分たちの最大の悩みは、テレビCMを打って効果がどれだけあるのか、よくわからないことだ。といって1か月CMを止めて確かめることはできないし。できれば放送局を持ちたい』と言った。私は『CSチャンネルはいつでも持てるが、辞めたほうがいいですよ』と答えた。その後、テレビCMを打たなくても、ものは売れることがハッキリした。たとえばトヨタが2005年から北米で展開した若者向けのサイオン(bB、北米限定仕様など3車種)。あるいは2005年12月のボーナス商戦でテレビCMの3分の1を石油温風器に関する告知に差し替えたにもかかわらず、プラズマテレビをぶっちぎりで売った松下電器」と話しました。そのようなことは数年前から始まっています
●テレビは、まさに崖っぷちにあるというのが、私の現状認識です。ここでテレビ放送が視聴者大衆を裏切り、切り捨てるのであれば、どんな将来が待っているかは明らかでしょう
●今日17時〜SMAP稲垣吾郎取材@都内。GALAC表紙に登場してもらいます

08-05
●産経新聞:【地デジカウントダウン あと1年】(上) モデル地区・珠洲 特例づくし「参考にならない」 私どもの主張をまともに取り上げてくださり、ありがとうございます
●午前中、総務省宛てパブリックコメントを少々手直しして送信
●午後、勝間和代・堀江貴文対談(司会:田原総一朗)

08-04
●13時半〜18時すぎ、勝間和代・堀江貴文対談(司会:田原総一朗)。本は9月28日ころ発売予定。おもしろいです。乞うご期待! 都心ホテルの部屋を押さえ、ハンディカム2台で同録・編集し、さわり部分を本のPRとしてUstreamで流す。もちろんスチール写真も撮影。よって大がかりな収録となり、堀江・田原はTシャツながら、勝間和代はヘアメイク・スタイリスト付き。以上だけで(著者や本を作るスタッフ分を除き)1日30万円以上かかる。出版社はたいへん
●別れ際に聞いた、田原総一朗による政治情勢のご託宣は次の通り。菅直人はあと1年。現・菅政権はつまり事実上の仙谷由人(官房長官)内閣だ。民主党の次(次期代表で首相)は前原・枝野世代だが、一人挙げるなら玄葉光一郎だろう。もちろん仙谷は首相になるつもりなどなく、彼らのうち一人を推すだろう。小沢一郎の影響力はもうない。辻元はしばらく間を置いて民主党に入るだろう。自民党の谷垣禎一の次は石原伸晃だろう。石原は渡辺喜美と組もうとするだろう。みんなの党は民主党を露骨に攻撃しすぎでは。新党組はどうしようもない。舛添要一も一人なら自民党に戻ればよいが、議員をかかえちゃったからね。3年後の衆議院選挙のとき、党の顔ぶれ・名前がどうなっているかは、まだわからないが、基本線は以上──だそうです
●私がまとめを担当した榊原英資・竹中平蔵著『絶対こうなる!日本経済』(アスコム刊)が順調に売れており、本日7刷5000部の刷り増しが決定。累計4万8000部
●夜、総務省宛てパブリックコメントを執筆。当サイトでも公開します

08-03
●片付け、掃除、庭の水まきなどして帰宅
●明日の単行本企画の準備など

08-02
●午前、ウッドデッキ2度塗りと、ついでにエアコン室外機のウッドカバーも塗装。途中、降水確率20%のくせにかなりの雨で中断。午後遅く、乾いてから念のため3度塗り
●夕食は母と奥沢銀座の焼き鳥屋「鳥汎」へ。付きだし(鳥と里芋煮)2、煮込み、焼き鳥皮2、焼きトンはつ・かしら各2、冷や奴、ニラ玉、焼きそば、ビール生1、レモンサワー2、お茶で5000円ちょっと。この日はお客の一人の誕生祝らしくケーキ屋がケーキを届けにきたと思ったら、これが実家マンションの下・サンケイビルに昔入っていたケーキ屋(プランタンとかいったかな)のオヤジ。「だんなさん(私の父)が亡くなって何年になる?」「14年目」「やたら姿勢のいい人だったねえ」とかなんとか。奥沢銀座でケーキ屋を続けているそう。誕生祝で開いたワインのお相伴にあずかる。この店、メニューがとんち文字で、「鬆破゜夏艇」なんてデカい毛筆書きで並んでいるのがおもしろい。これは読めなかった。実家で二泊目

08-01
●午後、世田谷・奥沢の実家へ。何かというと、ベランダのウッドデッキ(たたみ2畳分くらいのスノコ状)を塗装するので。キシラデコール4L(8400円となかなかの値段)を塗るが、マキタのダブル仕上サンダ9035Nでしっかり下地づくり(古い塗膜は完全に取り除き、#80→#120とサンドペーパーの粒度を上げて仕上げる)と養生が肝心。以上に夕暮れまでかかる。ハロゲン投光器300W(持っているのとちょっと違うがこんな感じ)をつけ、夕食をはさんで21時まで塗装。塗り方はこんな感じ。スノコ状のものを塗るときは。すきまベンダーが必須。キシラデコールはペイント薄め液を使ってはダメで、刷毛やベンダーは使い捨てにする(2日にわたるときは、溶きバケツに塗料を2cmほど張り、それに浸けっぱなしにして、バケツ全体をビニール袋で密閉しておく。刷毛洗い用にペイント薄め液を買うのは、返ってムダ)。実家で一泊

07-31
●原稿書き
●7月17日の「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表に触れてくださったメディア(新聞・サイト・番組など)の一覧。まだ調べ中で暫定版ですが、ありがとうございました。リンク(都合により緑字)は別窓で開きます

07-30
●昨29日は夕方『週刊ポスト』が坂本コメント部分を送ってきたが、要領を得ない内容なので、本文要約を電話で聞き、明白な誤りを二、三訂正のうえ、再コメントするかコメントなしかどちらかにしてくれと言い、時間がないとの理由で後者に。記者が困った様子なので「俺が粂ちゃんに言おうか」(編集長だった粂田昌志は私が週刊ポストの仕事をしているとき新入社員で入ってきて、当時粂ちゃんと呼んでいた)と言ったら「編集長はもう交代した」そう。29日夜の日大旧マスコミII宴会は4人しか集まらず、9月にやりなおすとのことで欠席
●30日は昼までに勝間和代・堀江貴文対談(司会:田原総一朗)の質問項目を作って送る。8月4〜5日集中的に話を聞き、速攻で原稿をまとめて、見本完成9月17日、発売予定9月28日。乞うご期待!
●夜、シネフィル・イマジカでパヴリコフスキー監督『My Summer of Love』(英2004年)をやっていた。これはおもしろい。傑作! 最後の水辺シーンは思った通りの展開だったが、姉さんには騙され。少年少女の友情と幻想のはてに為出《しで》かしてしまうことを描く、最高の映画3本のうちの1本。残り2本は指輪物語のピーター・ジャクソン監督『乙女の祈り』(1994年)とニール・ジョーダン監督『ブッチャー・ボーイ』(1997年)。『乙女』以外の2本が劇場未公開であることが、日本の映画(館または配給)産業の貧困を象徴しています。DVDは3本とも入手可

07-29
●昨28日は12時半〜韓国KBSの取材チーム4人(プロデューサー朴晋笵、通訳の谷関薫ほか)と西早稲田かわうちで食事。13時20分〜14時40分、三脚を立てライトもつけてビデオ撮り。3日間の日本取材で「日本ではすでに受信機が1億2000万台普及している」などムチャクチャな話を仕入れており(「そんなバカなことを言ったのは、どこの誰?」と聞いたが、まあ名前は伏せます)、スタッフの一人は「いい話ばかり聞かされ、洗脳されていた」と
●最後に「韓国デジタル化へのアドバイスを」と聞かれたので「テレビ本来の役割は何か考えるべき。テレビシステム全体としての”目的”があり、それを実現する”手段”としてデジタル化がある。”手段”にすぎないデジタル化の実現を至上命題にして、国中の人びとが生きていくのに必要不可欠な情報を伝える、国民全体に楽しみや憩いを与えるといった”目的”を見失ってはならない。それを日本語では”本末転倒”という。デジタル化という”手段”は実現したものの、テレビを失う世帯が百万単位で生じるとか、そのためにカネや人手が取られて取材が薄くなったり番組がつまらなくなっては、話にならない。本来の”目的”を遂行するのに必要不可欠ならば、”手段”を犠牲にする、つまり完全移行(アナログ一斉停波)延期の選択肢もあって当然だ。御国では、そんな国民全体のことを考えた、国民全体が幸せになるデジタル化政策を進めるべきでしょう」と(テープに録ったわけじゃないから、だいたいそんな話)
●通訳をしてくれた谷関薫は、実は漆作家。昨秋の展覧会はこちら神楽坂でも展覧会を開いたそう
●29日13〜15時『フライデー』誌・ジャーナリスト亀井洋志が地デジ移行・アナログ停波問題につき取材。20時半、六本木ヒルズ森タワー33階J-WAVE局入り。『JAM THE WORLD』生放送に20時55分からおよそ25分間出て、現行アナログ地上放送を1年後に停止してはならないと話します。パーソナリティは仲野博文(ジャーナリスト)、小林まどか(レポーター)。メールで送られてきた資料によると、【番組内容】国内外の様々なニュースを音楽と共に送るライヴプログラム。ニュースを自分で考える楽しさ、世の中の動きを自分なりに考える楽しさを伝える番組です。【聴取者層】20代以上の首都圏在住・在勤の男女(主にビジネスマン)。その後、日大昨年度マスコミIIの飲み会をまだやっていたら、駆けつける予定
●新聞記者やブロガーなどの中には、地上デジタル放送への完全移行に関して「アメリカは4か月延期し、なお約250万世帯が地デジ対応に取り残された」と理解している者が少なくない。いい加減なことを書かないでもらいたい。「アメリカは1998年11月にスタートし、2006年末または世帯普及率85%(全世帯の85%が機器を購入済み)の時点でアナログ放送を終了することとしていたが、まずアナログ停波を2009年2月17日まで2年余り延期し、それでも間に合わないのでなお4か月延期したが、それでも250万世帯が取り残された」のです。なお、アメリカには「あまねく普及」義務を負うNHK(的な巨大放送局)が存在しないことに注意。250万世帯が地上放送を受信できないならば、NHKは放送法上の規定や趣旨からして当然、アナログ放送を停止することなどできない
●これも多くの者が調べもせずに主要国がデジタル化を済ませたようなことを書いているが、アメリカとドイツ以外の主要国は、地上デジタル放送に完全移行(アナログ放送の完全停波)などしていない。終了時期は、イギリスが1998年9月地デジ開始で2008〜2012年に段階的アナログ停波予定、フランスが2005年3月地デジ開始で2008年3月31日〜2011年11月30日に段階的アナログ停波予定、韓国が2001年10月地デジ開始で2012年末にアナログ停波予定。2003年12月開始の日本が2011年7月24日にアナログ停波すれば、米独の次で世界第3位。そのアメリカが98年スタートから11年かけたのに日本は8年弱で、しかもヨーロッパはハイビジョンの本格普及はこれから(高精細度テレビの全世帯普及ではなく、伝送路のデジタル化とチューナーの普及が「終わった」「2012年頃までに終わる」と言っている)だから、ハイビジョン普及では事実上、世界最速の第1位。なお、英仏の人口6000万、韓国5000万が、日本の半分以下であることにも注意。そこで蓮舫のように、総務省に聞かなければならない。「なんで世界1や世界第2位じゃなきゃダメなんだ?」と

07-28
●ご参考:シュリシア共和国(有識者が地デジ延期を提言。) トクシマ地底魔城のアニメ視聴環境に関する情報はこちら
●昨27日17時40分〜19時半、『週刊ポスト』橋本安彦記者の取材@神楽坂ジョナサン喫煙席。4pくらいで地上デジタル放送を取り上げたいといっていたが、話が終わると「予定通りの現行アナログ放送停止は無理ですね。問題が多すぎて、4pでは到底収まりませんねえ」。CATVのアナログ再送信について触れたら、2011年に地デジを終わらせる一方、CATVでは数年間アナログを流させる(「流せ」とCATV業界に強く要請している。たとえばCATV技術協会は地デジ対策では総務省の下請けを務めており、年十数億円だかの特需があるから、逆らえない)総務省のやり方を、まったく理解しがたい様子。そりゃそうでアメリカがやったからマネするというだけの、支離滅裂な政策事業仕分けで地デジ説明会の回数を減らしておいて、電話受付を10倍に増やすという民主党政府も同様に支離滅裂
●帰宅後メシを食い、ジョーカーかなんかやってるテレビの前でうつらうつらしたら、そのまま爆睡。起きたら午前4時。明け方、『放送レポート』の原稿チェック。8月中旬発売号で、17日会見の様子を伝え、「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める提言」と「地デジ完全移行/現行アナログ放送停止の延期を求める『10の根拠』についての資料」を全文掲載してくれるそうです
●本日13時〜14時、韓国公営放送KBSの取材@西早稲田かわうち。KBSドキュメンタリー局リサーチャーのミンソルヒョンによると、韓国「放送の日」である9月3日に放映される予定の特集ドキュメンタリー(担当P朴ジンボム)でデジタル放送を扱うので、インタビューしたいと

07-27
●昨26日夜は22時すぎ、放懇事務局・久野明とGALAC校正紙を取りに来た小林英美を久しぶりに「軽く飲んでく?」と誘い、新宿三丁目のどん底へ。詩人・金子光晴も「ドンカクをなみなみ注いで/コップをまえにおくと/ふしょうぶしょうに/この世界はうごきだす」(ドンカクの唄)とうたったオリジナル・カクテル「ドンカク」、ジンジャエール(小林のみ)、たっぷりチーズの定番「ミックスピザ」(普通サイズ)、元祖カフェめし「林さんのライス」(「林さんのみ」から変更)、牛肉の生ハム燻製「セシーナ」を頼んで24時まで。どん底スタッフのくーちゃん、モモちゃんらと話す
●愛媛新聞社の24日付けサイト記事:地デジ化あと1年 国は完全移行延期の英断を──これは、まともな社説ですね
●一方、新聞大手各紙は、総務省のデタラメな「世帯普及率」を論評抜きに引用し、さらに地上デジタル放送の完全移行には残り1000万〜1100万世帯の対応が必要という「推定」を、なんら根拠を示すことなく記事にしている。この部分は、やっぱり無責任すぎるでしょう。65年以上前の「大本営発表」から、あまり進歩していませんね。社会保険庁の宙に浮いた5000万件の年金記録問題から、「役所のデータを信じると騙される」と学習していないのか? 総務省発表の世帯普及率は信用できないという記者会見に出席し、専門家が書いた詳細な根拠を渡されてなお、総務省のデータだけを伝えたがるのは、なぜ、誰に遠慮しているのか?
◆朝日新聞:地デジ、2割が未対応 移行まで1年「負担重くて…」……「2011年7月24日の地上デジタル放送(地デジ)完全移行まで、あと1年。日本の全世帯の2割強にあたる1100万世帯が、地デジへの対応を終えていない。」
◆読売新聞:地デジ普及へ対策急務……「地デジ受信機の世帯普及率は83・8%(3月時点)と国の目標をかろうじて上回るが、地デジに対応していない世帯数は1000万近く残っており、総務省は普及対策を強化する必要に迫られている。」
◆毎日新聞:クローズアップ2010:地デジ移行まで1年 全世帯普及間に合うか……「来年7月24日の地上波テレビのアナログ放送停止とデジタル放送への完全移行まで残り1年を切った。受信機の普及率こそ8割を超えたが、電波受信に必要なアンテナ交換などが遅れており、今年3月末時点では、全世帯の2割強にあたる約1100万世帯が未対応だ。」
●念のために書いておきますが、私たち(坂本・清水英夫・砂川浩慶・原寿雄)の推定する3月時点での「地デジ世帯普及率はせいぜい60%台」(70%以下)は、総務省調査や内閣府調査に基づいて、誰が計算しても普通に導くことができる数字であって、しかもビデオ・リサーチ社の調査(ただし未公表)にも近い。無責任な総務省や総務大臣が、いくら自分たちの調査数字(83.8%)を強弁しても、私たちの主張する数字(せいぜい60%台=70%以下)を疑う余地はなく、普及の実態という「現実」をひっくり返すことはできません。これは、戦前に大本営発表が米空母何隻大破と大げさに言い、NHKラジオや新聞がそれを伝えても、米軍優位という現実をひっくり返すことができなかった(日本国民は軍部や役所やマスメディアに騙されていた)のと同じことです

07-26
●NPO放送批評懇談会の理事会は期(理事や委員長は任期が2期4年)の変わり目初回ということで出席多数。席がないので椅子を4脚買った由。出席者は、飯田みか、石井彰、入江たのし、碓井広義(報道活動部門委員長)、小田桐誠(選奨事業委員長)、音好宏(理事長)、川喜田尚、隈部紀生、上滝徹也(テレビ部門委員長)、河野尚行、五井千鶴子(CM部門委員長)、坂本衛、桜井聖子(ラジオ部門委員長)、嶋田親一、滝野俊一(マイベストTV賞プロジェクトリーダー)、中島好登(事務局長)、橋本隆(専務理事)、稗田政憲、藤田真文(企画事業委員長)。欠席は市村元、兼高聖雄、丹羽美之(出版編集委員長)、山田健太の4名のみ。事務局からは中島のほか福島美子、久野明
●冒頭20分ほど(株)PTP代表取締役社長・有吉昌康、同社営業グループマネージャー鈴木貴裕による全チャンネル録画機スパイダーのプレゼンあり。テレビ放送8チャンネル分をCMも含めて常時録画し、1週間分ほど(標準でHDD2.5TBだが、増設で2週間分も可)たまったら、古いものから消していく。地上放送については常時全チャンネルをモニタしデータ化し(昼間は放送後2時間ほどで)インターネットで送ってくるので、これを使ってさまざまな検索が可能。たとえば「二宮和也が出てくるCM」をすべて表示させ、DVDに保存可。現在あるのはアナログ放送用で残り在庫数台。イニシャル(初期導入)コスト29万円、ランニングコスト月6万円で、2011年4月にデジタル放送用が出る(アナログからの更新コストは29万円、新規は80万円。ランニングコスト月額6万円は同じ)。放懇のギャラクシー賞テレビ部門は、応募作だけを審査する他の賞と違い、常時見ている番組の中から選奨委員が勝手に月間賞を決めるシステムなので番組録画が欠かせない(他の賞は、応募のあったDVDだけを見ればよいから録画不要)。で、これを導入するかどうかを、理事会でも話し合う。結論は、前向きに検討するが、いかんせん値段が高い! 予算主義の放懇は、初年度コスト約100万円を、そうそう簡単にはひねり出せないと(まあ、そんなこともないはずだが、事務局的には)。みんなGALACに記事広告を掲載せよ、広告も出してもらえ、2〜3か月試用期間として値切れ、はては維持会員になってもらったらなど、勝手なことを言い募る
産経記事より。中井洽《ひろし》拉致問題担当相は26日午後、首相官邸を訪れ(中略)「何ら成果のなかったことの報告に来た」と記者団に発言。首相への報告後には「どこが国賓級でございましたか」などとすごんだ。(後略)──こんなヤツ、さっさと辞めさせてもらいたい
●午前、GALAC原稿の校正。午後、放送批評懇談会。18時半〜同理事会
榊原英資・竹中平蔵著『絶対こうなる!日本経済』(アスコム刊)が先週5刷5000部、今日さらに6刷5000部の重版が決定。累計4万3000部。アスコム小林英史によると「いままで都心の主要書店で売れていたのが、ここにきて周辺地域での書店でもランキングに入るようになってきました。裾野が広がりつつあると見ています」と。ありがとうございます
●9月には同じ田原総一朗責任編集シリーズ(ソフト新書)で堀江貴文vs.勝間和代の人生論を出します(まとめ坂本)。8月4〜5日に集中鼎談をする予定

07-25
●サイト更新作業など

07-24
●昼は日がな一日、手足の空くひまもなく片付け。昨日から家人が実家なので
●当欄07-23付記事に関してご参考:朝鮮日報日本語版→金賢姫元死刑囚、後味悪い3泊4日の日本訪問

07-23
●当サイト放送デジタル化(地上デジタル放送、BSデジタル放送、CSデジタル放送)のジャンルに、「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」提言(2010年7月17日記者会見で発表)ページを新設。提言を紹介した記事リストはこちら
●1987年11月29日に大韓航空機を爆破し、乗客・乗員115人全員を殺した元・北朝鮮工作員の女テロリスト(金賢姫、当時25歳)が、日本政府の招きで来日していたが、本日帰国。大量殺人犯のテロリストは前首相が軽井沢に持つ別荘に入った、拉致被害者家族に手料理を振る舞った、家族とプレゼントを交換した、政府はヘリで移動中に遊覧させた、家族側の一人は韓国人115人をブチ殺したテロリストの元死刑囚と接して「母親と錯覚する感じ」と感想を述べた(以上、各種報道より)。なお朝日新聞は〈金元死刑囚には日本政府から「謝礼」が支払われるという。〉と報道
日本政府はバカじゃないか? 政府のやったことは”気違い沙汰”だ、と思います。被害者家族も、自分たちが何をしたのか、わかっているのか? テロの犠牲者115人の国籍を調べようとしたが不明ながら、まあ大半が韓国人で、その家族や親戚は1000人規模で韓国に現存するはず。彼らは生涯、自分たちの家族115人を殺したこの女を絶対に許さないでしょう。そして、日本人拉致被害者の家族も、彼らの気持ちがわかって当然。自分の家族を拉致し、場合によっては殺したかもしれない北朝鮮の工作員を、絶対に許さない、もう殺してやりたいくらいに思っているはずだから
●だったら、大韓航空機爆破被害者家族が、自分たちの家族を殺した実行犯として憎んでいる北朝鮮の元工作員(元死刑囚の女テロリスト)と、公然と抱き合ったり、公然と会って親しげに話したり、その女の手料理を喜んで食ったり、プレゼントを渡したりなどというバカげたことは、断じてすべきではない。そのように女テロリスト(115人を殺した大量殺人犯で元死刑囚)を、ちやほやしたら、自分たちと同じように家族を失った韓国の家族を傷つける(彼らの神経を逆なでし、嫌な思いをさせる)と、なぜ思わないのか? 日本人拉致家族は、自分たちさえよければ、北朝鮮のテロによって苦しむ他国の人びとの気持ちなど、どうでもよいのか? 藁にもすがりたい気持ちは痛いほどわかるが、すがってよい藁と、すがってはならない藁がある。こんなバカげたことを続けていると、世界の誰からも相手にされなくなってしまう
●これだけ税金をムダに使って「特段新しい、期待していたような情報は出なかった」(拉致被害者家族の一人)。当たり前です。女テロリストは事件直後の87年に拘束されて以後、北朝鮮に帰っておらず、北との接触も禁じられている。今回得られたのは、23年前に北朝鮮工作員でテロリストだった人殺しの女の証言にすぎない。常識で考えてください。あなたが23年前に故郷を離れたとして、23年前またはもっと前に行方不明になった日本人の写真(当然、23年以上古い写真)を見せられ、以前に故郷で会ったことがあるかと問われて、確かな返答ができると思いますか? 私はできるはずがないし、「会ったことがあるような気がする」などといういい加減な証言に振り回されてはならないと信じます
●私は、これは世界に対する恥さらしだと思います。ご参考:英『The Independent』記事→Former North Korean spy who bombed jet welcomed by Japan

07-22
●午前中、GALAC報道活動部門ページの原稿書き。18時〜21時半、家人と天王洲アイル夏祭りへ。天王洲セントラルタワーがキャナルガーデンパーティを主催。藤森隆がこの4月から中川特殊鋼(同タワーの大家)に勤めており、誘われた。ついでに、伊藤大地(日大映画学科OBで現・芸大大学院)が撮影した17日の会見・提言の記録テープ(miniDV2本)を持っていき、24日(土)早朝『新・週刊フジテレビ批評』のメディアニュースでを紹介するというバンエイト制作部の田中真二に手渡し(くれたメールの住所が東品川だったので「これはどこ?」と聞くと、天王洲アイルだと。ならばバイク便なんて面倒だから持っていくと)
●セントラルタワーと天王洲運河の間の広場に舞台やテントが設《しつら》えてあり、テーブルと椅子が並ぶ。藤森はサッポロビールの前掛け姿で仕事中。おっつけ吉本義人(彫刻家)・蓉子夫妻も現れ、ビール、焼酎、ワインをガンガン飲む。お蓉は「(佐野から)久しぶりに東京に出てきて、行き交う人の多さと速さに当たった」というようなことをブツブツ。二人で鎌倉の神奈川県立近代美術館で渡辺豊重展を見て、元町の画廊にも寄ってきたそう。林武のことなど、あれこれ話す。ステージではソプラノ歌手の雨谷麻世が熱演。藤森が紹介してくれて、一緒に写真を撮る。帰りは品川駅まで歩く。途中、吉本がふれあい橋の上から放尿。楽水橋を渡り駅まで来たら、タクシーで戸山に帰るというから、同乗して帰宅

07-21
●午前中、単行本の資料づくり。14〜16時すぎ、田原総一朗、アスコム高橋克佳・小林英史と単行本の打ち合わせ

07-20
●夜20時〜NHK-BShiで『スター・ウォーズ』第1作「エピソード3 新たなる希望」を、部屋の電気を消して見る。昔、映画館で見たりLD(2枚組み9800円とかいう値段!)で持っているのとは、色や効果(たとえば爆発シーン、電磁ビーム、惑星大気とか)が違い、全体としてハデというかケバくなっています。昔なかったシーンも追加されている(タトゥーン出発の直前にジャバと会うとか)。以前スターチャンネルでやったので、全作ともDVDで持っていますけれども、6作のうち一つだけといえば、やはりこの第1作でしょう。ちょっと考えたらおかしなところが満載だが、そんなのは無視して素直に楽しめばいい(妙な点というのは、真空中で音が出る、無重力空間に下向き重力がある以外にも、ロボット医者がいる時代に妻の妊娠した子が双子だとオヤジが知らない、あの洞察力を持つ皇帝とダースベーダがルークの居所として真っ先に探すべき星を見逃した、ヨーダ「修行には歳を取りすぎた」ってなんでもっと幼いうちに引き取って修行せんか、とかね。んなこと言ってたらキリない)。皇帝に会いたい人はこのページ
●どうでもいい話ですが、プラズマテレビの音は、AVアンプの電源を入れ「DTV」を選ぶと五つのスピーカから、ウーファの電源を入れると六つのスピーカから出る。テレビ以外のソース(カセットテープ、CD、VTR、LD、DVD、AM・FMラジオ、WOWOW、スカパー)の音はアンプをかまさないと出ない。アンプのボリューム-80〜0を-25以上にすると、ガンガン鳴るんだけど、夜はせいぜい-35〜-30まで。本来のいい音を出すには-10以上にしたいところですが、東京では防音室がない限り無理。まあ、一度テレビやAVラック(中央にアンプ6台が入る横長、その左右に各6台ほど入る縦型が二つ。メーカーの若月製作所は3年ほど前に倒産してしまった)の裏側を見せたいもんです。ラックだけで一台何十キロかだから、簡単には引き出せないけれども、ナインいくつの銅にセラミックシールドとか、配線がものすごい
●昼、Googleに「地デジ 延期 提言」と入れて検索すると、約15万3000件に増えていますね。東京新聞は18日朝刊で速報したほか、20日朝刊では特報面で写真付きで紹介。レイバーネットの報告はこちら。取り上げてくださった記者のみなさん、ありがとうございます。17日、たとえば毎日新聞からは経済部、生活報道部、学芸部二人の計4人の記者が来て、ロビーで話し合っていました。どう記事化するかの相談でしょう。毎日新聞は「主筆」の岸井成格に直接、私が記者会見の案内を手渡した。ちゃんとした記事を書いてくれるだろうと期待しています。共同通信も編集委員・論説委員が来て質問していました。総務省も放送局も、地デジ完全移行を延期し現行アナログ停波を延期すべきだという主張があることを、もう黙殺するわけにはいかないでしょう

07-19
●母が日本橋三越に買い物に行く、兄嫁もつきそうというので、家人と二人で同行。本店7特別食堂で鮨定食、うな重、天重二つ、ビール中瓶1本を注文したが、天重は驚きの大ハズレ。あれなら「てんや」で(お好み天ぷらを追加して)食ったほうが、はるかにまし。四人で1万3000円以上なのだから、話になりません。B1であれこれ食品を買い、ハロッズのティルームで一休み(冷たい茶を頼んだ私以外が注文した紅茶シャーベットはイイ)して帰宅
●17日の会見は、ネットでは読売、産経、時事などが速報したほか、朝日は時事、日刊スポーツは共同を引用して伝えている。18日、Googleに「地デジ 延期 提言」と入れて検索すると、11万件弱だった

07-18
●記者会見の後始末いろいろ。清水・原の両御大にもお礼メール。清水英夫からは「反響が大きかったので驚いている。これをきっかけに、よい方向に向かえばいいと思う。眠りについた17日夜23時ごろ、会見内容を教えてほしいと、朝日経済部の女性記者から電話あり。何でも各紙の電子版を見て、慌てた様子だった」との趣旨のメール、原寿雄からは「反応を心配したが、53人も集まったとは驚き。豊富な資料と話で問題点への理解が深められただろう。今後の報道に期待している」との趣旨のメールあり
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表のページも、PDF文書の掲載など最新のものに更新

07-17
●16日夜〜17日午前いっぱい「地デジ完全移行・現行アナログ停止の延期会見・提言」の準備。当日配布資料(別窓でPDF文書が開きます提言賛同者一覧資料5枚発起人プロフィールのA4版全8枚)100セット作成(賛同者一覧は直前に変更があり、11時過ぎに100部を刷り直し)だの、看板(垂れ幕)づくりだの、公式記録(スチール・ムービー)の手配だの。車で14時半にJR四ッ谷駅前プラザエフ。坂本以外の発起人である砂川浩慶(立教大准教授。大学に移る2006年まで民放の業界団体・民放連の地上デジタル担当者)と清水英夫(青山学院大名誉教授、弁護士。映倫委員長、出版学会会長、放送倫理・番組向上機構(BPO)理事長などを歴任)、会場スタッフも相次ぎ到着。なお、発起人のうち原寿雄(元共同通信社編集主幹。民放連放送番組調査会委員長、放送倫理・番組向上機構「放送と青少年に関する委員会」委員長などを歴任)は急な所用にて、残念ながら欠席
●予定通り15時〜開場。新聞・専門紙誌の記者、放送局(NHK・キー局・地方局東京支社)はじめ各組織(消費者団体・局の研究所・放送労組ほか)の関係者、研究者など、53名が出席(うち事前申込あり34・申込未達3・申込なし16)でした。メディアは朝日・毎日・読売・産経・日経・共同・時事・日刊ゲンダイ・東京スポーツ・電波タイムズ・サテマガBi・新聞協会報・放送レポート・レイバーネット日本・GALACなど。ENGを入れて取材すると申し込んできたキー在京テレビ局の姿は見えず。会見冒頭でも申し上げましたが、猛暑の中、また三連休初日でお休みのところ、私どもの会見・提言発表にご出席くださり、本当にありがとうございました
●15時半〜記者会見・提言発表。冒頭で提言を読み上げ、名前のみ3人が言う。こういうのは、発起人に女性がいればその人に読んでもらうところだが、残念ながら男ばかり。いちばん格好がつくのは清水英夫だが、A4一枚びっしりと長いので、砂川浩慶が代表して読む。続いて発起人3人が3〜5分でコメント。ここで一旦切り、細かい点は除き提言全体と直前のコメントに対する質問を募る。質問なしだったので、登壇者の一人が記者のみなさんを差しおき別の登壇者に質問するという異例の展開ながら、坂本が清水英夫に「清水先生は、憲法や言論法がご専門です。日本国民は等しくテレビを見る権利があると、日本国憲法に書いてあるわけではない。にもかかわらず、1年後の地デジ完全移行・現行アナログ放送停止が『最大の人権問題となりうる』とおっしゃるのは、なぜですか?」と聞く
●その後、A4五枚の「地デジ完全移行/現行アナログ放送停止の延期を求める『10の根拠』についての資料」に基づき、坂本・砂川が代わりばんこに、延期を求める根拠となる事実、または現在までに知られている正確な事実に基づく合理的な推測について解説。2011年7月段階で普及するテレビの数7000万台前後は、アナログ時代のテレビの数1億2000万〜1億3000万台の3分の2以下にすぎないこと。現在流布されている総務省発表の83.8%という世帯普及率はデタラメであり(その根拠も4項目を列挙)、現状は60%台であること。その、きわめて問題がある総務省調べによっても地デジ普及率トップの富山県と最下位の沖縄県で23ポイントもの大きな開きがあり、この差を1年で解消することは不可能なこと(持ち家比率が80%超と日本一で県民所得も全国9位[域内に本社がある企業所得を含めるから、東名阪の大都市圏を除けば事実上日本一]の富山県は、あと1年で11%強の世帯に普及させればよい。しかし、県民所得最下位の沖縄県は34%強の世帯に普及させる必要がある。テレビ単体で見れば、沖縄は1年で50%規模の普及が必要)。総務省・NHKが地デジ化支援が必要とする低所得者層最大270万のうち200万世帯以上が未対応であり、生活保護世帯と同じかそれ以下の生活レベルの世帯(フロー所得で見た最低生活費未満の世帯)が約600万世帯もあること。南関東(東京・千葉・埼玉・神奈川)の共聴受信施設、つまりマンション・アパート・事業所などのデジタル化が大幅に遅れており、2010年3月時点でも50%台にとどまるため、あと1年では対応できないこと。テレビの台数が3分の2以下に減るため、NHKは受信料収入が激減する(世帯普及率99%となった暁に、全世帯の1%=50万軒から受信料を取り損なっただけでも、受信料年平均1万5000円として年75億円の減収となる。サイマル放送コスト年60億円のほうが安いことは確実)。テレビの台数が3分の2以下に減るため、民放は広告収入減が激減する(テレビの台数が3分の2以下なのに、なお以前と同額の広告費を支払い続ける企業の経営者は、株主から責任を追及されたり、背任の疑いをかけられたりする恐れすらある。その減収が売上高の1%以上なら、系列ごとに年売上高の1%程度と見込まれるサイマル放送コスト15〜30億円のほうが安いことは確実)──などなど
●以上の細かい話を終え、3人が一言ずつまとめのコメントをして前半終了。ここで清水英夫が退席。清水先生はご高齢にて、最近眩暈《めまい》があるとのことで、直前まで出席できるか不明だった。ですから、記者さんたちは拍手で見送ってくださいました(なお、ロビーで清水英夫に食い下がる記者が何人かいた。私や砂川ならば「はいはい、もう終了!」とやったと思うんだけど。16時半〜質疑応答。17時半、予定通り終了。なお、会見のやりとりはすべて記録していますが、各社記者さんが報道されるでしょうから、しばらくは公開しません。期日1年前の7月24日前後に、新聞各社は特集記事や3〜5回の連載記事を組みます。その中でどう紹介されるか注目しています
●スタッフは、スチール撮影:黒川公人(写真家)、ムービー撮影1:伊藤大地(日大映画学科から現・芸大大学院)、ムービー撮影1:岩本太郎(フリーランスライター)、会場準備統括:小林潤一郎(在京新聞記者)、会場係1:張セッビョル(砂川ゼミ)、会場係2:山縣友里恵、受付1:坂本睦美、受付2:坂本ももの8名。お疲れさま。もちろん全員がボランティアで、本当にありがとうございました。なお、「この会見、誰かにそそのかされてやったんじゃないか」など愚かな推測がネット上に流れても迷惑なので、念のため。今回の記者会見・提言発表は、坂本がまず砂川を誘い、次いで清水・原のお二人に加わっていただいたもので、会場費6万円弱は坂本が負担するつもりでいたところ、砂川が2万円カンパ。清水先生は川崎の自宅から往復タクシーで参加(二人で払うと申し出たけれども)。資料コピーは坂本。そういうことなので、よろしく
●砂川、坂本、スタッフ全員(小林潤一郎は仕事を終えて後から)のほか、会見に出席してくれた中島優・中村重治・小磯亮・岩崎貞明・小林道雄の15名がタクシー4台で西早稲田「かわうち」に移動し、18時すぎから懇親会。21時20分に中〆。中村重治は連休初日にもかかわらず(おそらくはご家族に文句を言われながら)参加してくださり、最終の新幹線で大阪に帰ると。ありがとうございます! 小林道雄は「『価値観の多様化』などという言葉を軽々に使うんじゃない! ライフスタイルもメディアも、確かに表面的には多様化している。だが、日本人の価値観が本当に多様化していると思うのか? よく考えてからものを言え!」など、若い連中に説教。『放送レポート』編集長・岩崎貞明にも「冗談じゃない。俺は大声を出すぞ。それはだねえ……」と激論。坂本「だから『放送レポート』は小林道雄インタビューを載せなさいよ。いつになったら終わるんだって連載より、よほどいい話じゃん」と。小林潤一郎は『放送レポート』が中綴じ(針金綴じ)じゃなくなった第何十号から読んでいる(70年代だか80年代だかから全部持っている)といい、岩崎編集長もビックリ。最終的に岩崎・小林・坂本でかわうち並びの油ラーメン(並み・大盛りとも600円)を食い、24時すぎ解散。みなさん、お疲れさまでした!

07-16
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表(7月17日午後@四ッ谷。発起人:坂本衛、清水英夫、砂川浩慶、原寿雄)をぜひご取材ください(中継も可)。出席される記者や関係団体のみなさんは、上ページにあるメール・フォームを使ってお申し込みください。提言への賛同者も募っています。名を連ねてもよいと思われる方は、上ページの趣旨をよくお読みのうえご連絡ください
●7月17日会見出席の申し込みメールは、16日19時現在で40通ほど(入場は申し込んだ方優先)で、詰めればあと25人くらい入れそう。全国紙・通信社がもれなく来るほか、ENGを持ち込むキー局報道もある。専門誌記者や報道以外のテレビ局関係者も来ます。ただ、いわゆる「市民メディア」や「ネット・メディア」は全滅で、出席申し込みゼロ。理由はよくわからない。「市民」だから、連休の前日は休みと決まっているのか。さっさと地デジ化して、テレビを見ることができない者はネットを見ろということなのか。今日授業で話したのは、「阪神・淡路大震災のようなときは、携帯も固定電話もネットも不通になる。無線のラジオとテレビを持つことができる者は、持っていろ」とか、「田舎の爺ちゃん婆ちゃんは、ネットが使えんだろ。しかも、家も田畑もあるが年金暮らしで年収120万、資産持ちで生活保護は受けられないという世帯が、100万単位である。都会に出た息子や娘がハイビジョンを買ってくれればいいが、子どもがいない老夫婦はどうする」とか。市民メディアてのは、そういうことに興味があるのではと思っていましたが、どうやら期待はずれだったようです
●10時40分、日大前期の最終授業。前回上映のNHK『JAPANデビュー』について、NHKに対して8000人が一人1万円の損害賠償(慰謝料? 興味がないので詳しく知らない)を求めて訴訟を起こした話をしたら、「自分もその8000人の一人です」と言った学生がいたのには驚いた。あとは地デジの話で、映像を見せる時間なし。日大放送学科助手の米山明李には、資料コピーとか書類綴《と》じとか、ちょっと面倒な作業を頼む。ありがとう! 月末の飲み会で埋め合わせ予定!!
榊原英資・竹中平蔵『絶対こうなる!日本経済』(アスコム刊)が5刷決定。ほぼ4万部に達し、担当編集・小林英史によれば「発刊以来、衰えを見せない順調な売れ行き」だそう。お読みくださった方、ありがとうございます

07-15
●未明、民放連賞のDVD視聴を残り1本で中断。一眠りしてから見て、13時前TBSへ。編成制作局編成部長・田代秀樹、編成部編成課の高島美穂、前田麻友と挨拶。昨年度の琵琶湖塾でたいへんお世話になり、夜12時すぎまで「裏塾」に付き合ってくれた毎日新聞主筆・岸井成格《しげただ》に、榊原英資・竹中平蔵『絶対こうなる!日本経済』(アスコム刊)を献呈すると、「こりゃおもしろい、この二人をぶっつけるのは。いつも互いに悪口ばっかり言ってる。しかも民主・自民の財務大臣級だ」と。坂本「だから、二人が一致してダメだということは本当にダメ、二人が対立してかみ合わないのが日本の真の対立点で重大な岐路」。岸井「そうだ。どんな点で一致し、対立した?」というので、国のかたち(大きな政府か小さな政府か)、財政赤字、国債、消費税などにつき、中身を簡単に紹介。そのうち音好宏も到着。冒頭、議論の進め方の話になって、「3審査員がまず全9作品に、とてもよい◎・よい○をつけ(今回は1作品だけを選ぶので、普通△・悪い×・とても悪い××は付けずに空欄)、評価の低いものから議論して落としていく」ことを提案。サクサクとまず4本、続いて2本に絞られ、とくに議論紛糾もなく1作品を選出。帰りに岸井に今後の政局について聞くと、「分裂の恐れがあるから、小沢も迂闊《うかつ》には動けない。9月の代表選を通り越し、年内いっぱいごたつくんじゃないか」と
●これはギャラクシー賞報道活動部門の審査(坂本は6月まで4年間やって退任)でも、つねに委員全員が思っていることですが、早々と済マーク(落選)がつく何本かは「これはまずい」とハッキリ指摘できる問題がある。にもかかわらず応募してくるのだから、制作者はたいした問題と思っていないか、問題に気づいていないことすら少なくない。実は審査側は、それを制作側にいちばん伝えたいわけです。殴り書きだが、清書すればA4一枚びっしりというくらいのメモを取りながら見ており、「問題点を10か所教えてくれ」と言われれば、もちろん全作品について指摘できますからね。逆に、この作品は上位1〜2本には来ないが狙いや方向性がとてもいいとか、総花的だがこのネタを見つけてきたのは見事で、このエピソードに絞り込めばぐんとよくなるというように、誉めたい点も多々ある。だからいつも、もったいないなと思います。今回は9作品中8作品の評価は一切表に出ない。ギャラクシー賞でも100字の短評しか表に出ないので。たとえば、ギャラクシー賞の贈賞式に続く記念の宴はただの立食パーティでなく、審査員「狙いはいいけど、構成に難があると思う」制作者「どういうふうに?」審査員「たとえば……」というような懇談や議論の場にしたいわけです
●深夜、17日会見に出す提言・資料の最終チェックにつき砂川浩慶とメール・電話でやりとり

07-14
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表(7月17日午後@四ッ谷。発起人:坂本、清水、砂川、原ほか)をぜひご取材ください(中継も可)。出席される記者や関係団体のみなさんは、上ページにあるメール・フォームを使ってお申し込みください。提言の賛同者も募っています。名を連ねてもよいと思われる方は、上ページの趣旨をよくお読みのうえご連絡ください
●17日会見・提言発表の告知作業。12日(月)までにやろうと思っていたのが、サッカー、選挙、会見・提言ページづくり、急な取材などで大幅に遅れてしまった。新聞学芸部や文化部・メディア誌にFAX、名刺交換した記者にメール、外国特派員協会にリリース80部を持ち込みなど。もっと早く知らせてほしかったという方には、お詫びします。ごめんなさい! 出席申し込みメールを見ると、放送局の経営企画・メディア戦略・広報といった部門、地方局東京支社の地デジ担当者、広告会社、消費者団体など、報道以外の関係者も少なくないようです。会場が狭いので、出席申し込みをくださった方の入場を優先させていただきます。詰めれば70人くらい入るはずで、まあ溢れることはないだろうと思いますけれども。17日会見後の懇親会は西早稲田「かわうち」の座敷を全部予約。会費は3000円メド。タクシー何台かに分乗して移動
●夕方から、日本民間放送連盟賞(民放連賞)東京地区審査「番組部門のうちテレビ報道番組」のDVD9本を見始める。15日13時〜審査員3名(あと二人は音好宏と岸井成格)による合同評議会@TBSで1本を選び、8月の中央審査で(各地区のものを集めたうえで)賞を決めると。明日未明までには見終わる予定

07-13
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表のページに、「地デジ完全移行/現行アナログ放送停止の延期を求める『10の根拠』についての資料」をupしました。2011年7月24日の地デジ完全移行/現行アナログ放送停止が不可能であることを示す、現時点でもっともまとまっており、的を射た資料である(これ以上の根拠が日本で示されたことは、私どもが知る限りでは、ない)と、資料をまとめた砂川浩慶・坂本衛の二人は確信しております(さっき、こう↑書いてよいかと砂川に聞いたら、「その通り」との返事)。会見にご出席の記者さんや関係者のみなさんは、事前にお目通しをお願いします。出席されない総務省や放送局関係者のみなさんも、お読みになったほうがよろしいでしょう。なお、砂川は立教大学に移る前、2005年まで日本民間放送連盟(民放連)の地上デジタル放送担当でした
●午後、中日新聞能登通信部・中平雄大記者から電話取材。総務省は能登半島最北端の石川県珠洲市と能登町の一部地域で、地上アナログ放送終了を1年先行して7月24日に実施する予定。アナログ放送停止リハーサルなどを実施し、総務省などは「大きな問題はなかった」と判断しているが、「本当にそうか」「奥能登でのリハーサルが全国に通用するのか」といった疑問があるとの取材趣旨。同紙はアナログ放送の先行終了直前に5回ほどの連載企画を予定しているそう。「CATVが60%以上普及した場所で、自治体首長が大乗り気で(全国紙やテレビで紹介される!)、自治体が熱心に推進し、チューナーもタダで配り、自治会や町内会の類も組織化され、ビル陰難視聴もない場所で、そりゃうまくいって当然。だって、うまくいきそうな場所を選んでリハーサルしているわけだから。ただ、2011年7月24日の参考には、まったくならない。3〜4年後、世帯普及率が90何%かになった暁には、同様に条件のよい場所で参考になる。北海道の原野で、瀬戸内海の島々で、東京の下町で、参考になるはずがない」という趣旨のコメントを1時間。さらに中日新聞浅井正智記者からNHKの名古屋場所中継中止につき電話取材が30分。何日か前、同じテーマで東京新聞から電話取材があったが、こちらは没に

07-12
●W杯が終了。7日以降12日未明までサッカーを見るヒマがなく、当欄でも触れることができずに失礼しました。四強のうちドイツが敗れたのはハッキリ予想外。オランダはまあ順当だが、ウルグアイは対オランダ、対ドイツ3位決定戦の健闘がすばらしかった。決勝のスペイン対オランダは、絶対に負けたくない思いと身体的な疲労とがともに頂点に達していることから、イエローカード連発の荒れ模様で、しかも1点を争う展開に。最初の反則はイエローを出すべきだった(レッドカードが出て不思議ではないファウルもあったが、これはブチ壊しを避けて出さないのが正解)。「そこで足に当てりゃ1点!」「キーパーと一対一!」というシーンで、空振りやキーパーのファインセーブが何度か出ましたね。連中の技術からすれば当然1点だろ、というのがハズレまくった。スペイン守備陣の「何それ?」という凡ミス(横パスの失敗など)も、じわじわ来ている疲労と、特別な試合の緊張によるのだと思います
●で、選挙情勢分析に引き続き、うつらうつらしながら前後半90分を見たところで、あまりにも眠く、おやすみカードが出てしまった。朝スペインの勝利を知りました。当欄既出の話の流れからすれば、ラテン系の2大勢力が早々に姿を消し、コンチネンタル系・軍隊系の勝ちかと思ったら、ぎりぎりラテンが面目を保った。やはりサッカーは1点を入れなければ勝てない。コンチネンタル系・軍隊系・組織的な守備で押さえ込もうとしても、攻撃は一人二人の個人技でなんとかなってしまう。そのバランスや意外性やらが、サッカーのおもしろいところですね。本田圭佑と松井大輔がおらず、遠藤保仁のFKが入らなければ、日本はゼロ封にされていた可能性が大きいわけで、誰がどう見たって世界ベスト16に入る実力など備えていない。サッカーでも、企業やビジネスの世界でいわれる「ガラパゴス化」が当たっています。そこそこ巨大な日本市場でなんとかなってしまう(日本代表クラスなら、テレビCMだってきちゃう)が、世界で通用するのは出て行った若いヤツだけだ、と
●参院選の総括をとり急ぎ。◆【1】日本の選挙民は実にまともだ、というのが第一印象です。タレント候補をほとんど落とし、政策実現性が望み薄のミニ政党や雨後の竹の子政党をほとんど落とし、二人区を見事に民主と自民に振り分けた。谷亮子当選や真山勇一落選はどうしようもないとしても(筆者は逆の当落を期待)、三原じゅん子と他のゴミ・タレント候補をちゃんと区別した
◆【2】当欄記事で繰り返し指摘しているように、一部「確信政党」(もう「革新政党」は流行らない)を除き、民主・自民の主張に大差はない(どちらも有権者の最大セクターである無党派層を取り込もうとするから)。消費税10%も同じ、「普天間移設先は辺野古しかない」も同じ。同じでしょう? で、選挙結果は「100人中55人がこっち、45人があっち」というような選択で決まる(有権者は7対3や8対2の比率には、断じて分かれない。だから、もう「革命」は起こらない)。小泉郵政選挙も政権交代選挙もそう。ということは支持者55人のうち1割弱が考えを変えただけで、50対50になる。2割弱が変えれば45対55と逆転する。最近10か月の民主政権を見れば、2割やそこらが考えを変えて当然。とはいえ、地方(一人区)を除き「自民党に入れる気にならない」のも確か。だから、みんなの党が躍進した。この点でも日本の選挙民はまともだと思うし、とくに驚くような結果でもない
◆【3】私が驚くのは、有権者がどんな判断をし、どんな投票行動を取るか見えておらず、見えないままに自分の政治信条だけに従って自滅の方向に進む政治家が、少なくないことです。舛添要一は、黙って自民党にとどまれば次期総裁の最有力候補だったはずなのに、なんで我慢できないのか。横浜市長や杉並区長は、なんであんな形で自爆してしまうのか。よくわからない。もったいないことです
◆【4】もう一つわからないのは、みんな、なんで「選挙運動」があんなにへタですかね? これは演劇をやっている娘(日藝演劇学科演出コース4年)の評ですが、「自民や民主の選挙CMは、なぜ、あんなにへタクソで、見せ方が弱いのか。ちょっとセリフを練習するだけで格段によくなるのに、なぜやらないのか。演出家が演技をつければ、さらによくなる」と。同感です。「一番」の復活を訴える自民の主張は、「歴史上、いつ、どの部門で日本が一番だったことがあるの?」と混ぜっ返されて終わりだと思うけど。平沼赳夫も、演説でどんなにすばらしい主張をしても、病み上がりの印象がぬぐえず、評価を大きく落としてしまう。「選挙とはそんなものだ」という理解が、なんでないのか、本当に不思議です。平沼赳夫と小泉進次カが、聴衆100人を前にまったく同じ内容の演説をしたら、100人が100人平沼ではなく小泉に投票すると思います。別に平沼をくさしているんじゃなくて、それが選挙でしょう? それを前提として選挙の作戦を立てるべきだと思うが、なんでそうしないのか。これも個人攻撃をするつもりはないけれども、参議院民主党のドン輿石東という人は74歳で、参議院議員の任期中に80歳になってしまう。こういう人を国会に送る時代ではなく、そのことは党派によらないし、右も左も関係ないと思いませんか?
●ついでにいえば、NHKが党首の選挙戦を振り返っていたが、なんで政治家は、あんなにダサい、みっともない姿をテレビに撮らせるんですかね。公明党代表の山口那津男が、遊説中に暑くて汗だくになるので奥さんが代えの下着の入った紙袋を渡すシーンはよい。だが、車内の下着姿(上半身ワイシャツを脱いだ下着姿)はまずい。仮にも公明党の総理大臣候補です。夕食時に何百万人も見るんですよ。庶民的でいいという声もあるかもしれないが、私は政治家の品格を落とすと思う。テレビでオバマ大統領の水着姿やTシャツ姿は見ても、ワイシャツを脱いだ下着姿は見ない。それは周囲が撮らせないでしょう。あと、暑いときはワイシャツの腕まくりをすると、”仕事ができる男”に見える(小泉純一郎もオバマもその演出をしている。ネクタイはつける)。そういうところ、もっと研究したほうがよいと思いますね

07-11
●日中は地デジ関係の作業。午後、家人と牛込一中の投票所へ。家人は途中にあるポスター掲示板を念入りにチェックし、「投票したい候補者がいない」と。これ、多くの有権者の感想だったと思います
20時前〜12日未明3時半、選挙特番チェック。【NHK】19:55〜プレ特番。おばちゃんたちのアイドル武田真一アナが「夜を徹して報道」と。19:56「出口調査による推計はすでに終了」。全国1700か所で21万6000人に聞き、74%の約16万人から回答を得た、独自の情勢分析その他も加えて、開票前の当確もあり、インターネットでも逐一報道などとアナウンス。20:00特番開始。武田第一声「与党、過半数割れの情勢。民主党は改選前の56議席に届かず、50議席を割り込む可能性も。自民党は改選第一党を争う」。20:02民主44〜51、自民46〜52の予測議席数(後からの注:実際の結果は民主44自民51で、民主は予測下限・自民は予測ほぼ上限まで振れた)。8:06当確の蓮舫一言。12日3:15社民党最後の一議席が決まったと報道
【テレ東】池上彰の解説イイ。選挙報道と同時に、事前収録した”よくわかる選挙入門”を流す。巣鴨地蔵通りロケでは、4日の縁日で10万の人手、投票率の高い高齢者が集まるなど、各党が党首演説の場所に選ぶ理由を解説。聴衆には動員された人がいる(政党カラーのシャツを着た夫婦に「その色は偶然か?」、地元地方議員「支持者30人と来た」、創価学会のおばちゃん取材といった証拠も提示)、亀井静香の第一声「嫌われ者の亀井」はうまいつかみだが、谷垣禎一の第一声「今回の選挙の争点は」はつかみなしでヘタな演説、なども的確
とくに、当確者や党幹部へのインタビューは他局インタビュアー(アナやキャスターや記者)には見られない出来といってよい。若い記者やアナが参考にすべきその特徴は、(1)回答を聞きっぱなしにせず、必ず念押しする(例:谷亮子が「政務に一生懸命励《はげ》む」と言ったら、「国会と柔道大会が重なったら国会を優先するということか?」と念押しする。責任問題の帰趨《きすう》を問われた民主党幹事長・枝野幸男が「仲間が一人でも多く国会に出てくるよう見守っているところ」と言ったら、「コメントできないということか?」と念押しする)。(2)「感想はどうか?」など漠然とした質問でなく、答えざるをえないような具体的で限定的な質問をする(例:執行部の責任に関する質問に対し、まだ答える時期ではないと答をはぐらかそうとする民主党幹事長に、「枝野さんの辞任を総理総裁・菅さんの身代わりにするのではと言われている。そのことをどう思うか?」と質問する)。ただ、残念だったのは、すべて池上彰に丸投げし、サブの女子アナやスタッフその他が池上のレベルについていけてなかったこと。自民・若林元農水相による議会欠席者の無断ボタン押し事件の説明で、ボタン模型がうまく出ず、池上が「失礼しました」と話を先に進めたのに、女子アナが模型が出たとき用のコメントを言いかけるなど、妙なシーンも。ベテランアナが進行し、ここぞというとき池上彰に振るほうがよかったのでは(進行も池上がやるから、「えーと、次は」という感じで段取りする「間」が気になってしまう)。ただ、ギャラクシー賞月間賞を出しても、あるいは他の業績も含めて池上彰に個人賞を出してもおかしくないと評価すべき番組でしょう(6月に報道活動部門選奨委員の任期を終えたから書くけれども)
【TBS】たけしは相変わらず。「大相撲は野球賭博で八百長相撲を隠した。民主党は消費税で他の争点を隠した」というようなことは、なかなかいえない。ただ、堀尾正明アナが、たけしを使いこなせておらず、もてあまし気味の印象。耳がデカく回文がうまい山内あゆの自民党本部レポートは、「怖い顔で有名な大島理森幹事長は……」とベテランの貫禄。松原耕二が当確の猪口邦子に「前回落選した小泉チルドレンとしての感想は?」というようなことを聞き、猪口は「落選でなく不出馬ですが」と話を続けた。不勉強で失礼だ、猪口インタビューが終わったら謝罪の一言をいうかなと見ていたら、一切触れずに次のネタに行った。あれはマズい。キャスターや記者は、間違ったことを口にしたとき、他者が訂正すればおしまい(それでいい)と考えてはならず、必ず自分の言葉で、直後に訂正しなければならない
【フジ】安藤優子のほお紅が、普段より濃い。前髪を一部分けて目の上に持ってくるのは、家人によれば「いまふうの若づくりでは」。ただ、11時すぎには普段の髪型に戻した。家人によれば「やっぱりいつものほうがいいってことでしょ」。安藤・木村太郎コンビは、私には新鮮みが薄かった
【テレ東(座談会)】榊原英資・竹中平蔵はじめ(ちょっと多すぎるが)なかなかの人選。内容はアスコム刊『絶対こうなる!日本経済』や昨年後半以降に『サンプロ』あたりでやっていたのと大きくは変わらないけれども。これも模型を出す段取りとか、画面下に出るデータと討論画面のかぶり(発言者の名前が見えない)とか、スタッフの不慣れな感じがありあり。スタジオ観客は大学生に限ってヤジらせる、若者・ビジネスマン・高齢者などグループ分けして質問させるなど、もっと工夫を(クイズ番組ではなく、賑やかしでいればいいってもんじゃない)。フリップに字を書かせるために渡すマジックは、先の丸いものを。先っぽが四角いと書きにくく、字がへタに見えるんですよ。フリップの上のほう、グリーンの帯より上の余白は全然いらないでしょ。下のほう、筆者の名前が小さすぎ、その右側の番組ロゴも20インチ以下の小さなテレビでは意味不明。以上はADにまかせきりではダメで、DかPがちゃんとチェックしなければ
【日テレ】島田紳助に新鮮みがなく、全体的にあまりパッとしないように見えた。深夜の若者の議論は、意欲は買うが消化不良という印象
【テレ朝】前半は、報道ステーションと代わり映えがせず、あまり見る気にならず。12日0時半頃からの田原総一朗司会の討論は、まあ、いつもの調子。メンツも、さえぎりや持論展開も『朝生』風だが、ただ、以前より気持ち優しい感じになった?

07-10
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表(7月17日午後@四ッ谷。発起人:坂本、清水、砂川、原ほか)をぜひご取材ください(中継も可)。出席される記者や関係団体のみなさんは、上ページにあるメール・フォームを使ってお申し込みください。提言の賛同者も募っています。名を連ねてもよいと思われる方は、上ページの趣旨をよくお読みのうえご連絡ください
●13〜15時、産経新聞文化部・佐久間修志記者@神楽坂ジョナサン。「地上デジタル完全移行まで1年」につき3回連載するとのこと

07-09
●放送業界紙・文化通信社の『文化通信(速報)』(編集・発行人/指田洋)が22年7月8日(14989号)付けで、7月17日の記者会見・提言発表について紹介してくれました。中島優記者、ありがとうございます。【以下、同通信の掲載記事を引用】
◎受信側準備に問題、世帯普及率調査に不備
 有識者が地デジ完全移行延期を17日提言へ

 地デジ完全移行の延期を求める有識者が、完全移行1年前式典の1週間前にあたる今月17日(土)に提言を発表する。ジャーナリストの坂本衛氏、前BPO理事長で青山学院大名誉教授の清水英夫氏、元民放連で立教大准教授の砂川浩慶氏、元共同通信社編集主幹の原寿雄氏が発起人となり、受信側の準備が整っていない現状を踏まえ、完全移行の延期を訴える内容となる。
 この提言では、放送局の努力で送信側の準備は整いつつあることを評価。その上で、家庭のみならず、店舗、病院、学校、宿泊施設など受信側の準備が依然として整っていない現状や、今年3月時点で83・8%に達したとしている総務省発表の世帯普及率調査にも不備があると指摘し、完全移行を予定期日から2〜3年をめどに延期することを訴える。
 現在、賛同者を募っており、これまでに作家の小林道雄氏、元朝日新聞で現代メディア・フォーラム代表の柴山哲也氏、立教大教授の服部孝章氏が名を連ねている。発表当日は15時30分から東京・四谷の主婦会館プラスエフで記者会見を行う予定。
●【以上、引用記事】7時半すぎ京都発の新幹線で帰宅。10時40分〜日大授業(補講)あり。坂本は間に合わないので、助手さんに頼んでDVD「NHK JAPANデビュー第1回」を視聴。ちゃんと授業用ブログにコメントすること。16日は前期最終

07-08
●11時ホテル発。京都に出て昼すぎ、清水・産寧坂下の谷口松韻堂へ。前々回訪れたとき、いつぞや買ったコバルトブルー(店先の写真にちらほら見える水色。これが昔から妙に好き。釉薬《うわぐすり》の調子、厚さや温度で紫がかったり薄緑っぽくなったりする。こんな感じの色)のジョッキはないのと聞いたら、今度作っておくとのことだった。で、5月に行ったら、まだできていないというので、じゃあ次回と。今回はちゃんと作ってくれており、八つほど見せてくれたので三つ(いちばんデカいのは0.5リットル入り、超重い)と、別に酒器セットを購入。京都は今年いちばんの暑さとかで、石畳の照り返しがムチャクチャ暑い。ちょっと歩いた後、五龍閣カフェで涼み一服。さらに同じ敷地向かいの清水順正おかべ家で遅い昼食(単品で湯豆腐と野菜天ぷらとそうめん)。以前は五龍閣が湯豆腐屋だった
●16時すぎ、立命館大学衣笠キャンパスへ。【乗ったタクシー運転手さんによる裏技情報】京都のタクシーは3時間貸し切りにすると中型5名まで12000円/小型4人まで9780円なんだけど、30分につき中型2000円/小型1630円で時間延長・短縮可。「短縮可」がミソで、1時間貸し切りは3260円であると。なので、嵐山から大原三千院までなんてときは、1人で乗っても貸し切りにしちゃう。すると40〜50分で到着し、4000〜5000円取られるところ3260円で済むそう。東京だと15分乗って1500円、以後5分ごとに500円てな感覚だから安いでしょう。少人数のグループ旅行で割り勘なら、なお安い
●17〜19時、立命館大2010年度マスコミ対策講座「報道ジャーナリスト養成塾」の講義。その後に中華コンパ。出席者は、指導教授・柴山哲也、冨永佳弘、林勇志、塚本友里江、金子咲希、芝田佳浩、鈴木豪、坂本衛、三浦航資、森下千歩、流王理子。22時半、京都駅前の堀川通アパホテル(アパグループのオーナーが田母神軍曹の論文に賞を出した。部屋にそっち関係の冊子が置いてある)

07-07
●午後の新幹線で滋賀県・大津へ。琵琶湖塾(塾長:田原総一朗、副塾長:坂本)の第1回。嘉田由紀子知事は選挙中だから来ませんね。今回の知事選で現職に挑む上野賢一郎は、琵琶湖塾の塾生です(初年度だったか、数年前)。本日のゲスト講師は田中均。言うまでもなく2002年9月17日の日朝首脳会談をお膳立てした、田原曰く「骨のある外交官」。すると田中均は「立派な外交官」と言ってくれと
●控室で、外交官としての最初の任地がインドネシアというから、ジャカルタの日本料理「よしこ」はご存じですかと聞いた。母の古い友人の近藤芳子(故人。1950年代は静岡にいて、うちとは親戚のような付き合い)がマダムだったジャパニーズ・レストラン。彼女を「ジャカルタでいちばん有名な日本人」と書いた週刊新潮の記事を読んだことがある。帰国するたびに「日本画家の平山郁夫(のち芸大学長)が店に来た。あのエロ爺はカネにどうこう」なんて、よく話していた。極楽鳥(風鳥)を腹に巻いて来たこともある(高2のときフェリスと一緒にやった展覧会に油絵を描いて出した)。ジャカルタに赴任した外交官なら必ず行っているはずと思ったんだけど、30〜40年前の話で覚えていないそう。【9日付記】いま探したら、おお、これはマダム芳子の息子リヨじゃないか。リヨかリオだと思っていたら「良」って書くのか。最後に会ったのは40年以上前で、その後ホテルの勉強をしていると聞いていた。多摩川園に行ってざるそばを食べたとき、つゆをいきなりざるの上からかけたので、隣にいた俺のほうが慌てたんだよね
●田中均は「外交官としての私の生き方」といった趣の講演を50分ほど。ほとんどメディアで語ったことがないと思われる話もあり、たいへん興味深い内容
◆父は神戸の商社マンで、日米開戦の時ペルーで当局に拘束され死刑判決を受けた。しかし米軍捕虜との交換で帰国(アメリカが南米で捕虜交換のため日本人狩りをしたらしい)。その後、赤紙が来て中国戦線に行ったが無事帰国。敗戦直後に自分が生まれた。国家の政策によって個人の運命が大きく変わってしまう。外交が機能しなかったから戦争に突入した。その政策、外交に携わりたいという強い思いがあった
外交官としての生き方の鍵、外交官が決して忘れてはならないキーワードは次の四つだと思う。【1】確信を持つ、【2】力を持つ、【3】大きな絵を描く、【4】信頼関係を作る、の四つだ
◆【1】確信は一朝一夕に得られるものではない、長い経験から揺るぎないものとなった確信だ。【例1】80年代の日米経済摩擦で担当課長だったときの「閉鎖的な市場を開かなければ日本の繁栄はない」という確信。アメリカの要望を聞くのではない、アメリカの「外圧」を利用しても開くべきだという確信。【例2】1995年村山談話の実務責任者だったときの確信。広島・長崎で被爆した韓国人(当時は日本人)がソウルに帰ると被爆手帳がもらえないのは、断じておかしい。日本は朝鮮からサハリンに労働者を強制的に連れていったが、彼らは1948年に日本国籍を失って以後、無国籍者として放置された。韓国とソ連に国交がなかったからだが、これは断じておかしい。そのような確信。【例3】1991年の湾岸戦争で日本は130億ドルのカネを出し、まったく評価されなかった。圧力をかけられ小出しにする貢献はまったく評価されないとの確信。【例4】イランの米大使館人質事件のとき、アメリカは奪還作戦に失敗。結局、外交交渉だけが物事を解決する(人質解放につながった)との確信。そんな確信に基づき、2002年9月のときも、先立つ1年間に25回、たいていは週末に数時間、北朝鮮と交渉を重ねた。北京、上海、大連、マレーシア、ブルネイでもやった。外交官の揺るぎなき確信は、外交を動かすもっとも大事な点だ
◆【2】の力とは、軍事力や武力ではない。(1)情報の力、(2)同盟やアメリカの力(を利用すること)、(3)最高権力者の力(と結びつくこと)などだ。(1)交渉相手については、あらゆる情報を駆使して徹底的に調べる(キャンベルは野心家のbig picture manだとか)。(2)は、ガイアツがそうだ。(3)は、船橋洋一が私に「新聞の首相の動勢(1日)欄によれば、あなたは9.17以前に88回官邸に行っているよ」と教えてくれた。うち50回は北朝鮮の話だ。北朝鮮側は、日本の新聞を見ており、NHKもモニタしている。だから「この外交官は首相の直接の指示で動いている」と交渉相手にわかる
●【3】大きな絵を描くことは、つねに意識する。拉致問題をなんとしろと机を叩いて怒っても、何も解決しない。「一方が100、他方が0(ゼロ)」という外交はない。Win-Winで、互いに利益がなければ。しかし「拉致を認めさせ、対価を支払う」ことはできない。それはダッカ日航機ハイジャック事件の超法規的措置(人命は地球より重い)と同じで、テロを認めることになるからダメだ。どうするか? そこで、より大きな絵を描く。将来国交を正常化し、経済交流が始まり、北にもカネが行くと、妥協できるところまで絵を広げる。これが外交の鉄則だ
◆【4】信頼関係がなければ、外交はできない。鳩山さんは普天間以前に、アメリカとの信頼関係が崩れた。重要なのは首脳同士の個人的な信頼関係ではなく、国家間の信頼関係。約束したことを実行できるかどうかだ。とりわけアメリカが「人を見る」のは「実現する能力があるかどうか」を見る。スパイ容疑で北朝鮮に捕らえられた日経記者を無条件で解放せよと交渉したことがあるが、記者は帰国する飛行機の中で「いくら払ったのか?」と聞いた。日本政府は鐚《びた》一文払っていない。信頼関係はカネではない
◆2002年の首相訪朝で自分は批判された。03年9月には自宅に爆発物を置かれた(坂本注:石原慎太郎は「爆弾を仕掛けられて当然だ」と、立場をわきまえないきわめて愚劣な発言をした)。当時、私から被害者調書を取った検事は「あなたを『売国奴』と批判するすべての雑誌を読んだが、自分には、なぜあなたが批判されるのか理解できなかった」と言った。世の中は思惑で、「批判の利益」がある者は批判する。だが、確信があれば揺らぐことはない。ある新聞記者が「安倍晋三は、日に2回あなたの批判をしているよ」と教えてくれたことがある。安倍さんは北朝鮮に対する強硬姿勢で総理になった政治家。私は官僚だから、批判も自己弁護もしない。しかし、時がたって「自分は正しく生きてきたか」と思うだろう。そのとき自分の使命感に照らして、後悔だけはしたくないと思って生きてきた。外務省をやめることは2000年に決めていた。家内に「やりたいことがある。大使にならなくてよいか」と聞いたら「いいですよ」と言った。ただし、私の更迭論が出たこともあるが、外からの圧力では絶対に辞めないつもりだった。うんぬん
●車座集会で私が「田中均さんの言った四つは、とても参考になる。ジャーナリストの生き方で大事なこと四つと、まさに同じだ」と言うと、田原も「まったくそうだ」と同意しました。経営者、営業マン、教師、どんな仕事や生き方にもいえると思います。たとえば地上デジタル放送で私には、ハード至上主義ではダメという確信が90年代から、今回のやり方は2011年までには無理だという確信が2003年11月の段階からある(その証拠はこのサイトで読める)。
●「地デジを延期すると、サイマル放送負担がNHKと民放局で年200億円くらいになる。大変だ」という人がある。「NHKは60億円で大変だ」と福地会長が言った。私の反論はこうです。受信料収入6500億円の1%以下で、何が大変なんだ? 地デジ化コストが普通の家庭で年収の何%に当たるか、考えたことはないのか? 薄型テレビ7万円+アンテナ工事3万円=10万円が1%で済むのは、年収1000万円の世帯だ。年収500万円の世帯では2%。300万円なら約3%、200万円なら5%。NHKの1%が、何だっていうんだ? しかも、年収200万円の世帯は、年2万円以上のNHK受信料だけで収入の1%超を占めてしまう。テレビ購入とアンテナ工事で10万円かかったら、初年度に年収の6%超を地デジ対応とNHKに取られ、以後10年たっても20年たっても年収の1%超をNHKに取られ続ける。福地会長は、以上のことを考えたことがあるのか? そんな国民(20%前後)に、とにかく2011年7月までの1年間で年収の何%かを割いて地デジ化してくれ、うちは2011年7月以降に年収の1%を払うことなど一切お断りだ(延期は困る)からと、どの面下げていえるのか? ふざけないでいただきたい。受信料を支払ってあなた方NHKを支えてきたのは、貧乏人も含めた日本国民ではないのか!?──これが、私の「確信」です。「いまのやり方は、断じて許されない」という「確信」があるのです。そのことを7月17日の会見で訴えたいと、私は思っています。【2】〜【4】については、また今度
●田中均は明日早いとのことで、8時半の塾終了とともに帰京。引き続き車座集会。田原総一朗は塾の質疑応答もだが、たいへん饒舌。その後22時前から、大津駅近くの下田屋にて探求会(琵琶湖塾のボランティア運営スタッフ)メンバーと通称「裏塾」こと飲み会。出席者は後送(誰かメールして)。24時すぎに大津プリンス

07-06
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表(7月17日午後@四ッ谷。発起人:坂本、清水、砂川、原ほか)のページに、提言本文をupしました。記者会見への出席申し込みも上記ページからできます。発起人は本日以降、提言への賛同者を募るメールを順次送信する予定です
●地上デジタル放送の世帯普及率が83.8%なんて、ムチャクチャな数字が流通していますね。私たちの見解は次の通り(17日には、A4で10枚くらいの詳細な資料を記者さんたちに配布しますが、以下はその一部。もちろんすべて上記ページに掲載します)
●総務省が発表した「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」(以下「浸透度調査」)が示す3月時点での地デジ普及率83.8%は、以下の理由から、正しい普及率を示しているとは到底いえない。
(1)RDD法(Random Digit Dialing=ランダムに生成した番号に電話する)により電話を30万本かけ、通じた家庭に「地上デジタル放送に関するアンケート調査票を送ってよいか」と聞き、「よい」と答えた家庭だけに郵送調査する。したがって、電話がかかる時間帯に不在がちの単身世帯や共稼ぎ世帯、携帯しか持たない若者世帯、「よくわからない」「面倒くさい」と答えがちな高齢者世帯、受信機を持たないなど調査に非協力的な世帯が、高い割合で調査から漏れている。
(2)厚生省の2009年「国民生活基礎調査」によると年収400万円未満世帯は全体の46.5%。浸透度調査の年収400万円未満世帯(4822サンプル)は全体(1万2875サンプル)の37.4%。浸透度調査は所得が比較的高い層に大きく偏っており、実態にそぐわない。
(3)理由は不明だが、都道府県によってサンプル数が大きく異なる。面積8万3456平方キロと国土の22%を占め人口552万人(10年3月)の北海道は402サンプル。面積2276平方キロと香川・大阪・東京についで小さく人口138万人(09年10月)の沖縄は1012サンプル。社会調査の専門家によれば、「少なくとも、なぜそのようなサンプリングをしたかとの理由を明記すべき。それがないから信頼性に欠ける調査だ」という。
(4)調査票の郵送を拒否した者を除く調査は、「調査に協力的なグループ」だけをピックアップした調査であり、普及率調査にはなじまない。メーカーが商品開発の参考のため「好きな酒の種類は?」と聞く調査ならば、酒が嫌いで調査に非協力的な者を排除してもかまわないが、日本のテレビ放送を停止する参考のために聞く調査で、調査に非協力的な者を排除してはならない。特定グループでなく日本人全体の傾向を知る必要があるからだ。地域を限定した全数調査や、より信頼のおける訪問調査をすべきである。
●2003年暮れからやって普及率がやっと「60%台」のものを、あと1年でどうせいっちゅうの、って話。また別の話で、隅田のスカイツリーは関東広域圏の地上デジタル放送に必須の600m級電波塔とされていた。その開業は2012年春で、フルパワー送信は12年12月以降にズレ込む予定なんですよ。2011年7月に現行アナログ放送を打ち切ったらマズいでしょ? 東京・千葉・埼玉・神奈川など南関東はどうしようもない状況で、湘南のほう(東京から見て山陰の海側)なんか大変。鎌倉あたりでも調査のたびに難視聴世帯数が増えて、鎌倉市庁舎の屋上に中継局を建てるが、それでもダメな世帯はどうするとかね。まあ散々な状況です

07-05
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表(7月17日午後@四ッ谷。発起人:坂本 衛、清水英夫、砂川浩慶、原寿雄ほか)の案内ページを新設しました。取材していただける方はご覧ください。一部コンテンツは鋭意準備中で、7日昼までにupします。この記者会見の予定は、掲示板その他にご自由に転載していただけます。告知にぜひご協力のほどよろしくお願い申し上げます
●7月4日午後5時59分から1分間、アナログ放送を砂嵐にして視聴者の注意を喚起するというので、見てデジカメを撮ったが、ええっ、砂嵐はそれだけなの? 2003年からアナログ停波の延期が必要と主張し、7月17日にも自腹で(カンパは受け付けます)記者会見まで開いて延期を求める提言を出そうと準備している私でさえ、「こりゃダメだ。こんなんじゃ、ちゃんとしたアピールにはならない。弱すぎ、見過ごされてしまう。爺さん婆さんたちには、何のことかわからない」と思った手抜きの1分間でした。推進側のアリバイづくりの類で、本気ではないのが、ありありでしたね。これでは抗議の電話もかかってこないでしょう。だからホッとして「PRがうまくいった」と考えるのが、おかしいわけ。それは、ちゃんと伝わっていない証拠だから
地デジ普及率が80%以上なんて大嘘で、まだ60%台です。二人以上世帯を対象にした3月の内閣府消費動向調査ですら、薄型テレビ(もちろんハイビジョンテレビのほか、アナログの薄型液晶を含む。ちなみに2006年1-12月の薄型テレビ出荷台数はプラズマ76万・16対9液晶453万・4対3液晶106万だから薄型テレビの6台に1台は地デジ非対応だった。さらに年次を遡れば地デジでない薄型テレビの比率が上がる)の普及率は69.2%。これは、ただでさえ高所得者層に偏るとされる調査で、単身者1000万世帯(うち高齢者単身世帯400万)をすべて無視して、の話です。また、厚生労働省によれば日本には生活保護世帯が134万世帯(10年3月現在)あり、さらに所得が生活保護基準を下回る世帯が229万世帯(2007年の厚労省国民生活基礎調査のデータに基づく社会・援護局保護課の推計。10年4月公表)ある。合わせて360万世帯だが、その3分の1強の生活保護世帯に限る簡易チューナー配布と無料アンテナ工事すら、予定より大幅に遅れています(生活保護をもらっているのが近所にバレてしまうと考える世帯が多いようで、なかなか申請しない)。これ以外に、共同受信施設(山間地域、都市難視聴地域、難視聴とは関係ないアパートやマンション)のデジタル化が大幅に遅れているんですよ。このままでは、2011年7月段階で、数百万規模以上の世帯が地上デジタル放送に対応できない可能性がきわめて濃厚です。私たち(発起人は坂本衛、清水英夫、砂川浩慶、原寿雄ほか)はそのことを7月17日の提言で主張します。今日明日で当サイトに専用ページを新設する予定です(それまでは06-23の項をご参照)
●大相撲が大甘処分。ふて腐れ、仕方なくいやいや謝っている理事長は何様なのか? NHKが相撲協会に支払う放映権料は年間30億円。その一部が力士に給与として渡り、その一部が野球賭博で暴力団に流れていたわけだから、早い話がみなさまの受信料の一部が相撲を通じ暴力団に渡っていた。名古屋場所のテレビ中継を軽々に決めることができないのは当然です。もちろんNHKは、一目その筋とわかる連中がずらりと特等席に並ぶ映像を持っている。顔にぼかしをかけて出す手はあるが、エグすぎて出せない。みなさまの税金で運営される文部科学省も、税金を使って財団法人日本相撲協会を優遇してきたから、早い話がみなさまの税金の一部が相撲を通じ暴力団に渡っていたも同然。さっさと事業仕分けの対象にすれば?

07-04
●昨昼12〜15時20分堂本光一『エンドレス・ショック』公開稽古、16時〜囲み取材@帝国劇場。時間がなく代わりに家人に行ってもらい、白波瀬傑にご挨拶(放懇の連中はまるでわかってないらしいが、こういう準備を重ねてGALAC表紙を依頼するわけ)。NHKの取材が入っており、8月18日(水)22:00〜22:48NHK総合テレビで(仮題)『堂本光一とSHOCKの10年』を放映するそうです
●昨夜は久しぶりに家人と神楽坂で夕食。赤城下町(赤城神社裏の石段向かい)のもつ焼き加賀屋へ。ここは、たとえば焼酎緑茶割りを注文すると、「焼酎と氷入りグラス+濃いめの緑茶入り小瓶(ジュースや炭酸なんかと同じ感じ)」をくれる。で、緑茶を半分くらい使って一杯目を飲み、二杯目は「中お代わり」と頼むと焼酎と氷の追加をくれる。ホッピー・システムの焼酎割りです。定番は煮込み500円、シロ・ハツ・レバ・タン・カシラなど串焼き2本240円、メンチやコロッケ、なす1本漬けなど。安く、平日は近所の印刷屋のオヤジなんかで早い時間から一杯になる。土曜は家族連れもちらほら。もー吉安倍俊彦の奥さん・津久戸臼井従姉妹カッちゃんと遭遇
●隣に若いカップルが座っていたんだけど、ビールを飲んでタバコを吹かし、頼んだ串焼きをかなり残して帰った。「残すなら頼むんじゃねえ!」って思うんだけど、残してサラリと帰るのが格好いいとでも考えているのか。まあ私の経験では、育ちがいい者ほど残さない。財閥や医者やらの息子が多い飲み会で、店員がじゃがバタを下げようとしたら、「待って」とジャガイモの皮を平らげたヤツがいて、たいへん感心したことがある(たしか李家)。私は、とくに育ちがいいとは思わないけれども、刺身のつまを店員が下げようとすると「待った」と言って残らず食う(そう言うのがイヤなので、刺身が一切れ残っているうちにつまを完食することにしている)。『日本人とユダヤ人』に、ユダヤ人が「魚の切り身に添えた野菜や、サンドウィッチのパセリを残すのは、日本人の宗教的タブーか?」と聞いたという冗談が出てくるが、そう思われるのもなんかシャクだし
●旧・赤城神社を抜けて神楽坂へ出て、理清蘭に余って帰る。赤城神社は、旧本殿と幼稚園(うちの子らも通った)を壊し、鎮守の森の大部分を潰して高級マンションを建ててしまった。歴史的な経緯を考えれば神社の境内(土地)というのは、神主の家の”純粋な私有財産”ではないはずですね。神社は氏子《うじこ》(牛込地域一帯の住民たち)が支え、神社の土地や森は、共同体の主要行事をおこなう集いの場だった。それを受け継いだから、宗教法人として税金も一般企業のような額を納めなくてよかった。その土地を神主が更地にして、マンションを建てる。しかも、このエコロジーの世に、牛込一帯でいちばんと思われる巨木を何本も切り、森を潰した。とんでもない話ですね。うちの子が根元に死んだカブトムシを埋めた木も、もうない。「新宿区保護ナンタラ」という札のかかった大木が何本かあったと思うが、何のために下げていたんだか。まあ、氏子ったって、町内会を牛耳る老人連中しか機能しておらず、神社側は彼らをうまく丸め込んだわけでしょう。赤城幼稚園の風山繁子園長は、商店街のオヤジたちを下の名前で「○○ちゃん」と呼ぶような女傑で、反対もしにくかった。私は仲よしで、幼稚園の式典で万歳三唱の音頭を取ったこともあるし、子どもらもずいぶんお世話になったけれども(息子が小学校の家庭科でマフラーか何かを編み、学芸会で「園長先生へ」と書いて出したら園長が涙ぐんだとか、長女が七五三の着物姿を見せに行ったらご祝儀をくれたとか)、もう高齢で次の世代にすべてをまかせてしまったんでしょう。神社は小規模にリニューアルされ、いま結婚式の募集をしているそうだけど、ま、高級マンションオーナー(収入面からは当然そっちが本業のはず)に祝詞なんか上げてもらいたくないですね。私が赤城神社に賽銭を上げたり参拝することは(20年近く続けてきたが)もう二度とあるまいと思います
●帰宅後サッカー。うーん。ドイツ強い。強いというか、ものすごく「硬い」感じ。アルゼンチンを応援していたけれども、4-0とは。やはり応援していたパラグアイも善戦したが、スペインが勝ち。こりゃ順当にいけば74年大会の再現で、ドイツ優勝ですね。それじゃ、つまんないから、南米を応援していたわけだけど
●まず前半3分の失点が、あまりに不用意。その後アが立て直し、とくに後半開始15〜20分まではよく攻めたが、あそこで同点にできなかったのが痛すぎ。2点目で勝負あり。アはメッシが風邪気味らしく精彩を欠いたうえ(力ない正面シュート連発)、全体的に動きが悪かった。守備・攻撃とも人数が絶対的に足りないうえに、パスをもらうべき選手が動かない。危なそうなとき独は自陣に全員が引き、ペナルティエリアの上付近に8人以上で二重三重の壁を作ったが、アは多いときでも6人。攻めも前のイグアイン・テベス・メッシの3人が中心で押し上げが足りず、サイドからディマリアの突っ込みが目立ったくらい(それもパスの出し所がなく、遠すぎて見込みの薄いシュートに)。独の得点シーンを見ると、クローゼの後ろに3〜4人がフリーで走り込んでいて、第2波3波が用意されている。アにはそれがなく、3〜4人で虚しくボールを回しては、一人が隙を見つけて個人技で突っ込んでいくと。統制の取れた組織サッカーの勝利でした。いくらうまくても、やっぱ走らなきゃダメでしょう。あと4点目、エジルのアシストは、ありゃすごい。あれで21歳かと、溜息が出ますねえ。アルゼンチンは、あの監督を何とかしなくてはダメ(おもしろいから好きなんだけどね)

07-03
おおっ、まい、がーっ! ブラジルがオランダに負けてしまった!! 楽しい酒を飲んでいたのと”油断”により見ておらず、今日午後にネットで知った。06-27当欄で「カカの出来しだいで思わぬ落とし穴も」と書いたが、フェリペ・メロが勝てた試合をブチ壊しに。主審を務めた日本の西村雄一、イイ。結果、ブラジルがいた山の決勝進出は、オランダか。ウルグアイはスアレスを欠くのが痛い。ガーナは大善戦、というか(見ていないがネット記事から判断すると)勝っていた
●これで今夜のアルゼンチン-ドイツ戦が、ますますおもしろくなった。ドイツは、オランダに続いて俺らも南米粉砕だ、決勝は74年を再現してやろうじゃないかと思っている。今後8年間ドイツ代表を牽引するエジルも、何かやらかしそう(21歳の彼はトルコ系で、いってみればドイツ軍隊式サッカーの傭兵)。W杯を伝える新聞各社のサイトは、産経が圧倒的にイイ。読売・朝日はいくら日本が姿を消し、週末に入ったからって、あそこまで手を抜くもんですかねえ。西部謙司の7月2日付け「インテル化するW杯 変わりゆく戦術トレンド」という記事は、当欄既出の守備的サッカー、負けにくいサッカー、サッカーの軍隊化などに関わる話。ご参考まで

07-02
●昨日の当欄サッカー審判とオフサイドについての記事、ご理解いただけましたか。典ピーわかった? 一つ補足しておくと、主審は対角線上を行ったり来たりと書いたけど、実際はコーナー付近まで行くことはまずなく、対角線にある幅30mくらいのベルト(でフィールド四角形に内接する部分)上を走る。角まで行くと帰ってくるのが大変なので。それと攻守のジャマになるからペナルティエリアには入らない。よく動く選手は90分で10キロ以上走ります(闘莉王や中澤は攻撃参加の往復があるから無茶苦茶たいへん。120分ならなお大変)が、よい審判も両チームを通じて移動距離が最大の選手と同じくらいの距離を走ります
●国境なき医師団JAPAN元会長の臼井律郎が、世界サッカーの戦力分布(?)に関する考察を面白く読んだ。それに刺激されてかワールドカップを見ていろいろ考えていたことを書いてみる気になったと、次のようなメールをくれましたので、許可を得て掲載。臼井は中高でサッカー部だったかな。まあ、こんな鋭いことを考えるヤツが新聞を読んだりテレビを見たりするんだから、記者という仕事は実に難しい。担当になって2〜3年では、現象を追いかけるだけで手一杯
◆【臼井メールここから】近年,南米・ヨーロッパのサッカーはともに,組織化への道をひた走っているような気がします.守備はもちろん,攻撃に関しても,相手の組織的守備を崩すための組織的戦術が,さまざま考案され実現されてきたように思います.こうしたサッカーの中で個々のプレーヤーにまず求められるのは,計算された戦略を実現するために必要な,肉体と精神の強さ,規律,忍耐,命令への服従などです.90分間安定した戦いを実現して勝つためには,こうした美徳が,個人の自由な発想やインスピレーションに優先される傾向が強くなってきているように思います.そして,こうした組織サッカーに求められる美徳は,実は,優秀な兵士の条件と同じようにも見えます.ですから,僕はこうした現象をひそかに“サッカーの軍隊化(militarization)”と呼んでいます.
◆“すべてのスポーツは戦争のシミュレーション”という言い方もあるくらいで,組織化されたサッカーを徹底することは,手っ取り早く結果を出すための近道だと思います.そして,現在のナショナルチームでこれにもっとも成功しているのは,彼らの強さ,速さ,高さ,組織力を見ると,多分ドイツに違いないと思います.日本も,組織サッカーで効率よく結果を出すことに努力を集中してきましたし,一次リーグでスペインを破ったスイスなども同様だろうと思います.
◆ところで,軍隊なら,目的は効率よく勝つことだと思います.もしハナから勝ち目がないときには,被害を最小限に抑えてしのぐことも大切で,これは,格上のチームを相手に引き分けを狙うサッカーの試合に少し似ています.では,サッカーの目的も軍隊と同じかと言うと,サッカーには,ときには勝利よりも大切なものがあるというのが大多数の考えのような気がします.たとえば,2006年ワールドカップ決勝でジダンがとった行動は,軍隊でなら銃殺刑に価するかもしれませんが,実際には,彼の行動を支持するフランス人は多いようです.これは,フランス人たちがサッカーを戦争のシミュレーションというよりは,むしろ芸術だと信じていることの一つの証拠だと思います.(芸術家たちの集団は,まとまれば強いのですが,つねに空中分解の危険をはらんでいるようです)
◆サッカーにはこうした文化があるようで(ラグビーやテニスにもあると思います),サッカーの試合の戦評にはつねに,組織・戦術に関する評価などとともに,inspiration,imaginationといった,普通は芸術を評価するための言葉が使われます.ですから,ドイツは確かに強いけれども,内心では彼らにはあまり勝ってほしくないという人も少なくないと思います.強くて速くて高い奴らを集めて組織すればいいのなら,サッカーに芸術はいらないことになります.(かつての,オベラーツやベッケンバウアーの西ドイツは,今よりもっと芸術的だったように思いますが,いかがですか)
◆今回のワールドカップで日本のサッカーが多少は評価されたとすれば,そこにはまず,経済は大国でもサッカーは小国のJapanがなかなか頑張っているぞという,一種のエクゾティシズムのような感覚があると思います.これには当然,結果を残したことが前提となるわけで,この点に関しては日本の組織サッカーの功績だと思います.いずれも強豪の4国を相手に,キーパーチョンボとPKの計2点だけに抑えた守備は大したものです.(川島のスーパーセーブに救われた場面が何度もあったにせよ.)ただ,遠藤のように本来はインスピレーション溢れるプレーヤーや,攻めが大好きなTulioが,彼らの能力の99%をひたすら守備に割いて,やっとこのレベルを維持できたという言い方もできると思います.
◆僕の個人的な意見では,世界が一番評価したのは,日本のようにすべてが組織的に動く国のチームが,組織力だけではなく,芸術的ともいうべきプレーを何回か見せて得点を重ねたことです.これには,本田と松井と遠藤の力が大きいと思います.スーパーフリーキック2本はもちろんですが,同様に,デンマーク戦の岡崎の1点も多くの人の印象に残ったと思います.現在の組織サッカーの中でチームプレーというときには,個々が全体の歯車としての仕事を正確にこなすというニュアンスが強いように感じます.しかし本来,チームプレーというのは,チームメート相互の信頼と敬意の上に成り立つものだと思います.本田が,一体何を思ってあのラストパスを出したのか知る由はありませんが,あの二人の間に,信頼と敬意が存在したことは間違いないと思います.70年代ごろ,まだサッカーが紳士のスポーツと呼ばれていたころには,チームメートにゴールの栄誉を譲るというシーンは時々見られたように記憶しています.あの岡崎のゴールは,多くのファンの琴線に触れ,印象に残るプレーになったと思います.
◆日本サッカーが少しは進歩を遂げ,ときには“サッカーの軍隊化”を超えて芸術の領域に手が届きそうなところまで来たのだとすれば,再び“軍隊化”して戦ったパラグアイ戦は少し残念な気がします.ただこれは結局,僕個人の好みの問題で,力が均衡した同士がどうしても負けられない試合をすると,しばしば“息詰まる凡戦”になるというのも,サッカーにはありがちだと思います.
◆蛇足ですが,あまり言われていないようなので一言触れると,日本を含めアジア代表の5チームは,どこもフェアプレーヤーだったと思います.これは,誇りに思っていいことではないでしょうか.【臼井メールここまで】
●おもしろいですねえ。メディアは寄稿を頼んだらいかが? 坂本見解は以下。まず組織化・守備化=サッカーの軍隊化というのが、イイ。「ファンタジスタ」の本家イタリアやイベリア半島など南欧ラテン系は芸術のほう。中・北・東欧コンチネンタル系は軍隊のほう。フランスは大陸っぽい部分もあるが、プラティニなんかは芸術のほうで、とくにアフリカ系が入るとそっちに近づく。ドイツの軍隊式に対して、ブラジルやアルゼンチンは芸術家・職人集団が軍隊式を採用したようなもの(「そっちのほうが強い」が坂本予測)。で、身体能力が弱い、または赤ん坊のときからボールを触っているわけではない連中は、軍隊式でいくと。「日本サッカーは欧州のサッカーが忘れた献身・他者への貢献の精神を持っている」というようなヨーロッパ人の評を読んだ記憶があるが、これも軍隊式の大きな美徳の一つでしょう。ただ、日本が芸術的なのは、ほとんど「置いた(停止した)ボール」を扱うときだけなのが、痛い。芸術の領域はまだまだ遠いと思う。日本やアジアのフェアプレーはその通りだが、これはレベルが違いすぎてうまく反則できない、という側面もあるのでは。「オベラーツやベッケンバウアーの西ドイツは、今よりもっと芸術的だった」のは、まあ、そうですね。でも、”フライング・ダッチマン”こと芸術的なヨハン・クライフにドイツのバックがスッポンのように食いついて離れず、オランダを下した。全体としていまより芸術的だったとしても、74年は軍隊式ゆえの勝利だったと思うな。ベッケンバウアーがネッツアを嫌ったのも軍隊式だからでしょう
●10時40分〜12時10分、日大授業。明朝の東京新聞特報面で、地デジ問題をやるようです。先ほど少々コメントし、資料をメール。18時〜彫刻家・吉本義人、藤森隆と天王洲で飲む。

07-01
●わっ、2010年も半分が終わってしまった。時間がない、ますます追い詰められてきたなと感じる今日このごろ……
●今日はサッカーはナシですが、ちょっと書いておきたい。ベスト8が出そろったところで、二つの大誤審が問題とされました。対ドイツ戦でイングランド・ランパードが放ちバーに当たって直下に落ちたシュートが得点と認められなかったのと、対メキシコ戦でアルゼンチン・テベスのヘディングシュートがオフサイド見逃しで得点になった二つのケース。関与した審判は外され、FIFAは新技術の導入を検討すると報じられています。一部の新聞記事は二つをごっちゃにしていますが、間違いですね。前者は、全審判が最善を尽くしても判定が難しく、ゴール裏カメラかスタンドその他からの俯瞰《ふかん》カメラ(または以上と同じ視点)によらないと正確には判定できない。後者は、副審(線審)が普通に仕事をしていれば見逃すはずがない単純ミス。両者は問題の質が異なるから、対応策も異なる
●主審というのは、フィールド内を斜め対角線上に走り、なるべくボールのそばにいて、ボールがある地点で起こるハンドや危険なタックルなどの反則を取る。ゴール判定や、ゴール付近でボールをゴールラインから出したのはどちらか(ゴールキックかコーナーキックか)も見る。副審(線審)二人はフィールド外にいて、自分に近い場所での反則やボールを出したのはどちらかを見るほか、重要な仕事としてオフサイドかどうかを判定する(ただし、最終決定するのは、どんな問題についてもつねに主審。副審は自分の判断に基づき旗で合図し、求められれば意見を言う)。以上三人のほか「第四の審判」がつく場合がある。W杯で両ベンチ間のライン際にいて交代選手の表示を出したり、監督が前に出すぎると注意したりするのがそうです
●サッカー大好きなんだけど、オフサイドがどうもイマイチわからないという女性も少なくないのでは。そこでちょっと解説しておくと、オフサイドは、敵陣で、しかもボールより前(敵ゴールに近い位置)にいる味方選手に対してパスする(ボールを送る)ときは、その味方選手と敵側ゴールラインとの間に、敵ゴールキーパー以外に最低もう一人敵選手がいなければならない(または、以上の条件を満たさない味方にパスを出してはいけない)というルール。その「もう一人」がいない場合は、オフサイドの反則を取られ、敵が間接フリーキックをもらう。パワープレーなどでキーパーがゴールを守っていないときは、上の文章は「味方選手と敵ゴールラインとの間に、敵選手が二人以上いなければならない」と読み替えます
●ようするに、ゴールを一人で守る敵キーパーのすぐ前にいる味方選手にパスを出してキーパーと1対1の勝負をさせるのは、フェアでないというか、紳士的でない。たとえば背が超高い選手をいつもキーパーから4〜5m離れた場所にへばりつかせて、そいつに高いボールを集めればヘディングでポンポン入るかも。でも、そんなゲームはつまんない、という趣旨のルール。ただし、味方のゴールキックとスローインはオフサイドの例外で、反則にならない(今大会はボールがよく飛ぶので、ゴールキック1発でトップ選手と敵キーパーが1対1となって得点したシーンがあったでしょう。バックスが蹴ればオフサイドになる)。また、ボールとまったく関係ない位置にいる(干渉もしないし、利益も得ない)味方選手は、その者にボールが出ればオフサイドになる位置にいたとしても、オフサイドにはならない(私がやっていたころはそれも反則だった)。敵陣でのコーナーキックや、一人がドリブルで斬り込んでいき深い位置から後方や横にパスを出すときは、キッカー以外の味方全員がボールより後方にいるから、オフサイドにはならない。最後にボールに触ったのが敵ならばパスではなく、もちろんオフサイドにはなりません
●ところでオフサイドは、「パスを出す瞬間に、味方選手がオフサイドとなる位置にいるかどうか」で判定する。ボールが空中を飛んでいるうちに、敵を追い越してゴール前に駆け込み、ゴールキーパーと1対1の位置でボールを受けても、オフサイドにはならない。で、主審はいつもボールのある地点を中心に見ているから、パスが出た(蹴った)瞬間に、遠くにいるそいつの味方と敵キーパーの間に守備選手がいるかどうかなんて、わからない(頭の後ろに目が付いていないので)。そこで副審の出番です
●副審Aは、フィールドのサイドライン(=タッチライン)ぞいに、ハーフライン(=センターライン。真ん中の横線)付近から一方のゴールラインまで行ったり来たりする。反対側サイドに副審Bがいて、ハーフライン付近から他方のゴールラインまで行ったり来たりする。文章の説明だけで、わかるかな。フィールドを真上から見たとき「日」の形になるでしょ(天地の横棒中央にゴールがある)。主審は対角線上に走ると書いたのは、日の右上角から左下角までを斜めに行ったり来たりする。このとき副審Aは日(=口が上下に二つ重なっている)の上側の口の左辺ぞいを上下に動く。副審Bは下側の口の右辺ぞいを上下に動く
●なぜこんな動きになるかというと、副審は、つねに自分の担当するフィールド半分にいる守備側の選手のうち後方から二人目の者(キーパーを除きいちばんゴールに近い者)と位置を合わせる。つまり、自分の位置と守備の最終ラインを一致させる(ただし、ボールが守備の最終ラインを越えてゴールに近づいたら、なるべくボールのラインに合わせてゴール方向に動く。強いシュートは時速110〜130キロほどだから現実には動けないけれど)。すると最終ラインを飛び出している攻撃側の選手がいれば、一目瞭然。しかも、サイドラインの外側にいるのだから視野が広く、パスを出した瞬間もわかる。そこで、オフサイドの合図の旗を上げるという段取りなのです。こうして副審二人がフィールドのほぼ半分ずつを行ったり来たりして、全フィールドをカバーする。半分を越えて行かないのは、バックスの一人がたいてい自陣に残っているからです。すると、日の字の上側の口の右辺と下側の口の左辺に副審がいないでしょ。主審はそこをカバーするように動くから、右上と左下を行ったり来たりするわけ。蛇足だが、うまい主審はつねにボール(つばぜり合いが起こっているプレー)を自分と副審一人とではさむような位置取りを心がける。ボール(や選手のぶつかり合い)と副審の両方を視野に入れ、副審の合図を瞬時にとらえるためです
●もっとも副審からは、他の選手が死角を作って、パスを出す瞬間が見えないことがある。また、ボールの出所が遠いと、蹴ったのを見てから最終ラインを見るという二段動作になり、オフサイドではない位置から駆け込んできた選手にオフサイド判定を出してしまうことが、よくある。しかし、副審が通常求められる動きをしていれば、テベスのように露骨なオフサイドを見逃すことはあり得ません。モメたとき「絶対にオフサイドだ。間違いない」と主審に意見具申できなかった副審は、ちんたら走って守備の最終ラインに追いつかなかったか、ボールをよく見ていなかったか、いずれかです。これは審判の技量の問題で、論外。そして、オフサイド判定はそもそも微妙(パスを出す「瞬間」とは、ボールが足から完全に離れた一瞬だが、そんなのは足元を横方向から見るときと斜め・縦方向から見るときでズレて当然)だし、微妙な判定でオフサイドにされたら、次は駆け込むのを一歩遅らせればよい。オフサイド判定をいちいちビデオで確認など、馬鹿バカしい。しかし、得点かどうかの判定は別。これは試合中に1回あるかないかの話で、しかも勝敗を決定的に左右してしまう。だから、ゴール裏に複数のカメラを置き必要なときチェックするか、ゴール判定審判を二人追加するかすればいい

06-30
●昨夜は23時から、サッカー日本-パラグアイ戦を家人とテレビ観戦し、近所迷惑も顧みず大声を出して応援。松井のバーに当てたシュート、ゴール左にわずかにそれていった本田のシュートは惜しい! だが、フリーキックやコーナーからの闘莉王らの攻撃は、枠をとらえることができず。どれも遠藤が放り込むばかりは、一本調子すぎてやや疑問。パラグアイは決定力を欠いたうえ、日本の守備陣(とくに川島)が大健闘。岡崎、中村憲剛、玉田圭司の交代も、うまくいったほうだが(とくに中村。スピード、うまいパス出し、ミドルシュートの信頼性は、持ちすぎのうえ虚しい大ハズレの枠外シュートを連発した他の選手とは比較にならない)、十分には機能せず。結局、延長の末PK戦で負け。しかしながら、日本は本当によく戦い、実力以上のものを出しきった。「へたなりに」行けるところまで、いやその先まで行ったと思う。立派!
●繰り返すが、ベスト16に進むことができたのは御の字。カメルーンが半崩壊(日本戦は崩壊で、その後に立て直し)したから、タナボタで上に行ったので、グループリーグでちゃんと「勝った」といえるのはデンマーク戦だけ。しかも、結果オーライで分析なしのメディアは、代表監督の岡田武史を「名将」であるかのような持ち上げようだが、直前の二流相手の練習試合で初めて試した戦術を一か八かでやってみたなど、愚の骨頂。あんなのは、追い詰められ、打つ手がなくなって、苦し紛れに採用した愚劣な作戦で、たまたま第一戦が壊れた相手だから通用したように見えただけ。あんたはいつから代表監督をやっているんだ? いままでずっと続けてきた練習やらフォーメーションやら戦術やらは、何だったんだ? 2010年に入ってから負けた試合(つまり、ほとんど全試合)直後のインタビューで「課題が見えてきた。やるべきことがわかった」とか「やるべきことはやった」などと言っていたのは、全部デタラメだったわけか? という話です
●だから、誉めるべきは監督の采配ではなく、直前の唐突でデタラメな作戦変更によく対応した選手たち。フランスあたりだったら「ふざけんな、このヤロー」となるところ、よく耐えて一丸となり、工夫を凝らし、気力と体力を振り絞って戦った。そもそも岡田新(珍)作戦では、センターフォワードがいない、というかフォワード(FW)が一人もいないんですよ! ミッドフィールダー(MF)とディフェンダー(DF、バックス)だけで戦い、途中から出したフォワードは岡崎・玉田だけ(二人とも実質的には0点)。こんなアホな作戦は、世界のサッカーでも、日本のJリーグでも、小中高大のサッカーでも、ほとんど採用された例がない(いわゆる「ゼロ・トップ」。久野明によると、セリエAなんかでは例があると)。各国のフォーメーション図でトップにいる選手名の脇には(FW)とついているが、ワントップ本田だけは(MF)と書いてあるわけ。つまりMFのうち得点力ある一人をFWにコンバートし、従来のFWを先発レギュラーからはずした異常な作戦で、代表監督は、日本のFWには世界に通用する得点力がないことに、W杯の本選直前にようやく気づいたと。こんなアホな話がどこにある?
●なお、ベスト8の顔ぶれは、26日夜の事前予測通り(06-27の項をご参照)。トーナメント表の一方の山の大将は、ブラジルでまず間違いなし。もう一方の山の大将は、アルゼンチン-ドイツ戦の勝者でしょう。【以下、放懇サッカー担当・久野明による追加情報】今回のボールを使っているのは、Jリーグの日本とブンデス・リーガのドイツのみ。あれはアディダス製で、他リーグではスポンサーの関係で使いたくても使えない。練習でもダメ。イングランドは日本との試合で初めて触った(闘莉王と中澤で3点入れ、ただしうち2本は入れたゴールが違い、ルーニーが苛《いら》ついたときね)。今大会でフリーキックがなかなか決まらないのはそのせいで、ということは本田・遠藤のFKも割り引いて考えたほうがよい、と
●ずっと自宅で、雑用あれこれ

06-29
●昨夕、世田谷の実家に行き1泊。昼前帰宅
●アスコム刊、榊原英資・竹中平蔵著『絶対こうなる! 日本経済』(聞き手は田原総一朗で、構成坂本)が、ちょっと前に5000部の2刷となり、今日また5000部の3刷が決定。初版2万部で、ここまで累計3万部です。これを読んで参院選に行き、さらに中長期レンジの日本経済の方向性について、一人ひとりが自分の問題として考えていただきたいと願っています

06-28
●今回のW杯については、決勝トーナメント行きの16チームが出そろったところで、新聞各紙が「南米好調・欧州不振」と書いた(たとえば27日朝刊掲載、ルステンブルク発の共同配信記事)。ただ、その理由が書いてありませんね。フランス・イタリアなど世代交代の失敗を指摘する声があるくらいで、じゃあなぜ失敗したとは書いてない。調査・分析はテレビより新聞の仕事だと思うが、上の共同記事も「欧州以外で開催したW杯は、すべて南米勢が優勝しているというデータもある」など、”分析”でなく”引用”でお茶を濁している。そこで、それらしい”仮説”を書いておこうと思います。本格的に調べているヒマはないから、本業である記者さんたちが、ちゃんと取材して書くといい
●まず、ベスト32から16へという顔ぶれ(国や地域)に見る今大会の特徴は、【1】南米勢の好調、【2】欧州勢の不振(とくにフランスのチーム崩壊、伊英ポルトガルなど強豪の出遅れ)、【3】旧東欧圏の善戦(決勝進出のスロバキア、敗退したがスロベニア・セルビアも)、【4】アメリカ・アジア・オセアニアなど新興勢力の善戦(決勝進出の米日韓、敗退したが豪ニュージーランド北朝鮮も)、【5】アフリカ勢の不振(とくに半崩壊のカメルーン)などです。これらは次のように説明できるでしょう
●第一に、興行としてのサッカーが非常に盛んで、大金を積み世界中から選手を集めているのは、スペイン・ポルトガル・イタリア・イギリス。次にドイツ・フランス・オランダなど。成金が増えたロシアもそうです(旧ソ連時代は違った)。つまり、世界の有力選手は基本的に、以上ヨーロッパの国々のプロチームに所属してプレーする。15〜16歳で将来を嘱望された南米やアフリカの若者は、中3や高1で欧州にサッカーをやりにいく。もちろん南米も興行としてのサッカーが非常に盛んですが、カネの面で欧州先進国にかなわないから、次点の選手が国内でプレーする。すると欧州プロリーグで鍛えられた選手が、W杯のときだけ母国代表となるから、世界トップと国内残留トップを足すことになる。だから南米はムチャクチャ層が厚く強いのです
●第二に、以上のような傾向を加速させたのが、1990年前後の東欧・ソ連圏(社会主義)の崩壊、自由化、国際化(グローバル化)、BRICsなど新興工業国の成長、それに次ぐアジア・アフリカ諸国の成長、といった一連の国際社会の大変化です。情報化の進展(たとえば衛星放送の普及)でサッカー人気が盛り上がり、興行規模が大きくなったことも、背景の一つ。これによって、旧東欧圏諸国(セルビアは旧ユーゴでもともとかなり強いけど)や韓国などが、経済面でも人的交流面でも世界に(欧州サッカー国に)出ていった。南米やアフリカ出身選手の欧州への進出も増えた。BRICs(ブリックス)は成長著しい新興工業国ブラジル・ロシア・インド・中国の頭文字ですが、資本主義国ロシアは石油成金その他がカネを注ぎ込んで各国の選手を集めている。呼ばれる東欧やアジアの選手も多い。ブラジルも国全体が豊かになっているから、たとえば中流オヤジが息子をヨーロッパ留学に出す機会は以前より増えた。さすがに印中は人口がデカすぎて、サッカーはまだまだですが
●第三に、以上に書いたことと裏腹で、サッカー興行が盛んな欧州では、かえって自国選手が育たない(なかなか上にいけない)という現象が起こります。いわゆるウィンブルドン現象(テニスの本家本元のイギリスで、自国選手がウインブルドンに出られない。男子シングルスで1936年以降、女子シングルスで1977年以降、イギリス選手の優勝がない)と同様のことが起こりつつあるわけです。たとえばフランスは1998年、ジダンが率いてフランス大会で優勝したが、この段階で従来の白人主体から旧植民地出身者(その子孫含む)主体のチームへと変質している。フランスの閣僚が「これがフランスチームなのか?(黒人ばっかりじゃないか)」と疑義を呈したと。今回のチームも白人は2〜3人しか出ていなかったでしょう。代表チームがそうなら、国籍不問の国内リーグの強豪チームはなおさらそうで、自国選手がはじかれてしまう。このような変化は、90年代以降のグローバル化が強く関係している。海外植民地が少なく移民も少ない国は、スウェーデンやベルギーのように弱くなる一方。イングランドやイタリアは相変わらず強いが、国内の層はかつてより薄くなっており、相対的な地位の低下は明らかだと思います。層が薄いのを現役有力選手でカバーしようとするから、世代交代が遅れるわけです
●第四に、そうは言っても現在はまだ過渡期だから、欧州リーグのスター選手がちらほらいる程度では、アフリカは上にはいけない。まだまだ不安定(たとえばコートジボアールやカメルーン)。これに対して、ドログバやエトーほどの選手はいなくても組織力があるチームは、「へたなりに」ある程度いける。これがアジアやオセアニアの善戦でしょう。これらの国はカネ回りがよく、選手を厚遇していますから。アメリカのサッカー事情は詳しく知らないが、まあ、あそこはどんなスポーツをやらせても強い。本質的に移民の国で、実力あるヤツが上にいく。そのうえカネ回りが非常によい、という話なのでね
●ということで、先の【1】〜【5】はだいたい説明できそうですが、いささか屁理屈気味なところはご愛敬。ただ、これからアフリカ勢はどんどん強くなり、「南米対ヨーロッパ」の時代から、やがて「南米対アフリカ」の時代になりそう。で、欧州リーグのスターは、南米かアフリカの連中ばっかりになると。20年後はそうなるでしょう
●なお、同じ欧州の国ながら、ドイツが南欧のようにヘタれないのには、いくつか理由があります。【a】ラテン系で開放的な南欧に対し、ゲルマン魂の自助努力を重視する誇り高い閉鎖的な国なので、ドイツ人だけでチームを編成しようとする(早い話、黒人を入れたくない。お気楽で怠け者の南欧、経済危機のギリシャなんか救わんでいいとの考え)。だから自国の選手育成にとても熱心。【b】もともと生真面目な社会主義っぽい国なので、国家的な選手育成に熱心というだけでなく、上手で徹底している(青年奉仕団、なんたらユーゲントなんかが昔からの伝統)。【c】東ドイツを取り込んだので、選手層が厚い(移民取り込みと似ているが、ドイツ人の兄弟たち以外はダメという点が、フランスと全然違う)。【d】以上のことから世代交代に成功し、チームがとても若く、速く、強い。【e】もともとサッカーは、大きくラテン系とコンチネンタル系のスタイルに大別できる。ラテン系は、スペイン・ポルトガル・イタリアなど南欧や、スペイン・ポルトガルの植民地だった南米の、個人技の強い華麗な攻撃的サッカー。アフリカもそっち。コンチネンタル(=ヨーロッパ大陸)系は、ドイツやソ連・東欧、中北欧などの、ハデさはないが組織的で堅実な守備的サッカー。半世紀以上前からそういわれていたところ、イタリアが極端な守備的サッカー(負けにくいサッカー)を始めて、ブラジルも習ったと。これ以降、国際大会では5-3なんて点取り合戦は少なくなり、1点差ゲームとか、0-0や1-1でPK戦というゲームが増えた。現代サッカーは基本的にこの流れのなかにあり、守備重視。で、もともと守備的なドイツのサッカーは、クローゼが出場停止でもなんとかなる。対してラテン系のサッカーは、点取り屋が不調だとチームそのものが足踏みしてしまう。とりわけW杯のような短期決戦では、総合力重視で守備的なチームのほうが勝ち残りやすい。だから、スペイン・ポルトガルに優勝経験がないわけです
●27日夜の対イングランド戦でも、前半はイングランドのボール支配率のほうが高かったでしょう。ドイツは壁をつくって、ボールを回させていたと。しかし、それは守りきり、若いヤツを走らせて入れるときは入れると。今大会ではそんなドイツ・サッカーの強みが、よく発揮されている。アルゼンチン対ドイツ戦が事実上の決勝戦かもしれない、とすら思います。あと、あの審判は国に帰っていい。得点の判定だけは、たとえば線審用モニタ2台をライン際に置き、微妙なときは再現映像で確認したほうがよいのでは。今回は点差が開いたからサポーターも諦めがつくが、1点差か同点PK戦で負けたら、暴動や殺人事件に結びつきかねない

06-27
●あれま、1〜2日は間があるのかと思っていたら昨夜、韓国-ウルグアイをやっていて、テレビをつけたら1-1だった。初日はウルグアイ(対韓国)とガーナ(対アメリカ)が勝つと見た(ガーナは半分アフリカ応援)。今日以降の勝者は、ドイツ(対イングランド)、アルゼンチン(対メキシコ)、オランダ(対スロバキア)、ブラジル(対チリ)、パラグアイ(対日本)、スペイン(対ポルトガル)と予測。日本は第3戦の調子がよく、ニュージーランドと引き分けたパラグアイはそこそこだから、望みがないわけではない。スペイン-ポルトガルはどちらもイマイチで、どちらが勝っても、引き分けPK戦でも不思議はない。低調な凡戦は勘弁してほしい。あとブラジルはカカの出来しだいで、思わぬ落とし穴があるかも
●ついでだから、続く四強はウルグアイ、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイの南米独占。決勝はブラジル対アルゼンチン。メッシのアルゼンチン優勝と予測しちゃいましょう。7月3日のドイツ-アルゼンチン戦が一つの山かと
●終日、地デジの取材・執筆と7月17日提言発表の準備

06-26
●6月13日付け当欄に書いたW杯グループリーグ勝ち上がり予測の再掲。赤字は的中、( )内太字は実際の結果。A組:フランス/南ア(ウルグアイ/メキシコ)、B組:アルゼンチン韓国、C組:イングランドアメリカ、D組:ドイツガーナ、E組:オランダ/カメルーン(オランダ/日本)、F組:イタリア/パラグアイパラグアイ/スロバキア)、G組:ブラジルポルトガル、H組:スペイン/スイス(スペイン/チリ
●16チームのうち11チームだから的中率69%。1位2位もかなり当てて、まあ悪くはないが、私としてはハズレすぎ。フランス完全崩壊、カメルーンほぼ崩壊、イタリア停滞が、まさかあれほどヒドいとは予測できず(これは世界中の多くの専門家も同じ。以上三つも当てて的中率88%の予定)、南アへの期待しすぎもあってA組は予測とまったく逆に、また日本がグループ最下位との予測もハズレ。ただし、A組はメキシコがフランスに勝てばメキシコ勝ち上がり(フランス敗退)、F組はニュージーランドが最下位(スロバキア3位)、H組はチリ-スイスの勝者が2位という補足説明はまあまあ
●昼12時すぎ、早稲田大学大隈タワー(26号館)15階のレストラン「西北の風」にて、立教大准教授・砂川浩慶と打ち合わせ。「懐かしいナポリタン」を注文。このビル15階のエレベータホールからうちが見える(望遠鏡があれば)

06-25
●午前3時に目覚ましをかけて起たら、キックオフまで時間がありそうだったので、テレビの音を絞った。で、気がつくと、おおおっ!!、2-0で、日本がデンマークに勝っている!(1時間以上寝てた) この点差なら大丈夫だろうと見ていたら、PK。入れられたが、川島イイ。さらに後半42分の本田、あの時間帯であのクイック反転は、エラい(このときは前半を見ておらず、どの程度走って、どれくらい疲れていたか不明だが)。さらに、ここまでゴール左上に2本はずしていた岡崎にパスして入れさせたのは、とてもエラい。大口を叩くだけのことはある。守備陣は頑張り、長友の切り込みもよかった。VTRで見た前半のフリーキックもイイ。遠藤のFKもイイ。やったね!
●と誉めたところで、冷静な話をすると、前半開始早々はかなり危なかった。あれをしのいだのが勝因の一つ。先に1点入れられていたら負けでしょう。FK2発が入ったのはラッキーだが、喜びすぎは大間違い。2発とも練習で、同じ距離・選手配置でやってみればわかる。そう簡単には入らず、たぶん4〜5本に1本くらいしか入らない。だから、次戦以降大きな武器になるものの、直接の得点力としてはさほど期待できない。本田・遠藤をFKの名手と思わせ警戒させておいて、どんな多彩な攻撃ができるか。期待はやはり闘莉王でしょう
●当たり前ですが、サッカーは肉弾戦。身体能力に劣る日本は、相手に競り勝ちながらの得点が難しい。カメルーン戦で松井の挙げたボールは、敵のバックス4人ほどが誰もマークせずボールの出所しか見ていなかった。だから競り合いがなく、ひょいと後ろに位置を変えた本田がフリーで受け、ゆっくりシュートする余裕があった。明らかにカメルーンの守備がイカれていたことによるタナボタ点で、組織プレーで崩したわけでもない。FKの直接2点も、なにしろボールを置いて蹴るから競り合いなし。ようするに4点中3点までが、かなりラッキーな得点であって、日本の得点力には依然として大きな課題があるのです。長友や大久保がドリブルで突っ込んでいって遠くから枠外シュートというのはあったが、裏を取る動きはほとんどないでしょう。押し込んでないからコーナーキックが少なく、闘莉王・中澤の惜しいシュートもない
●10時40分〜日大授業。サッカーの影響か、人数少なし。13時、『放送レポート』編集長(メディア総合研究所事務局長)岩崎貞明と昼食がてら打ち合わせ@四ッ谷。四ッ谷見附から新宿通りを三丁目方向にちょっと歩き左折した左側にあるフランス料理「イル・ド・パスィオン」。うちまで歩いて帰る。途中バジルのポット植え(数本が30cm近く伸び、かなり状態がよいのに、90円は安い!)を三つ買う。ビデオ屋でエヴァンゲリオン全話揃いを見つけ、買う(昔、GAINAXで庵野秀明を田原と一緒にインタビューしたことがあり、借りたか何かして全部見た。当時の劇場版2作は試写して見せてくれるというから、これは久野明と岩谷健一を誘って3人で試写室で見た。テレビ放映版のビデオはかなり持っているが、何話か抜けているので)

06-24
●13時四ッ谷駅前プラザエフで会見場の下見。一回り広い部屋がふさがっていてちょっと狭いが、ポケットマネーで借りるのだから仕方ない。それでも詰めれば60人やそこら入る3階「コスモス」という部屋。四ッ谷しんみち通り「政吉そば」で小海老のタレの冷やしそば(一服できるのがいい)。うちまで歩いて帰る。途中、新宿区の歴史博物館で神楽坂の文士たちの展示をやっていたのでのぞく。大した展示でもないのに写真撮影禁止は、なんでなのか。黙って撮ろうかと思ったが、モメるのも面倒なので、誰が何年にどこに住んでいたというのをメモ。外苑東通りぞいの花屋でサンチュのポット植え(葉が10枚ほどついており即収穫できそう。210円)を三つ買う。外側から2〜3枚ずつ採り、焼き肉に巻いて食おうと。ビデオ屋でサウスパークの中古ビデオを3本(1本100円)買う

06-23
●7月17日(土)午後3〜6時(のうち2時間程度)、四ッ谷駅前プラザエフにて「(注:名称は仮です)地上デジタル放送全面移行・現行アナログ放送停止の延期を提言する」記者会見を開きます。現時点での発起人は、坂本衛、清水英夫(青山学院大学名誉教授、弁護士)、砂川浩慶(立教大社会学部メディア社会学科准教授)、原寿雄(元共同通信編集主幹・社長)で、あと2名ほどに依頼中。発起人は17日に出席を予定。来週中に提言をまとめて発表のうえ、賛同者を募り、賛同者リストと合わせて17日に発表します。当サイトに告知ページをつくるほか、主要メディアにはニュースリリースを出します。通信社、新聞社、雑誌・出版社、放送局、ネットメディアのみなさんは、ぜひ取材し、地上デジタル放送の現状と見通しを報道してください。ネット中継も歓迎いたします。もう65年もたっているのだから、いつまでも大本営発表報道でもないでしょう
●夕方、四ッ谷駅前プラザエフ。夜、東銀座で若林宗男(J:COM放送・制作部長)、川喜田尚(Jスポーツ、日本大学藝術学部放送学科)、砂川浩慶(立教大社会学部メディア社会学科准教授、前民放連)と飲み会
●げっ、昨夜のキックオフは23時半というので、22日22時すぎテレビの前に横になり(家人たちが『絶対零度』とか、そんなのを見ていた)、起きたら朝5時半でした。おおっ、A組はW杯史上最低のスキャンダルの一つともいうべきフランスのチーム崩壊により、私の予測(6-13の項をご参照)は百八十度ハズレて、ウルグアイ・メキシコが決勝進出。B組は予測通りアルゼンチン・韓国。10日前に「韓国が、ナイジェリア戦で引き分け以上なら2位」なんて書いているところが、我ながら渋い
●念のため、私が「予測」というのはもちろん、ある組の4チーム中この2チームが強そうという漠然とした話ではなく、全試合をざっとシミュレーションして導いた「事前の推測」。だから「予想」という言葉を使わないのです。「事前の想像」じゃないのでね(こんなこと書くと、また田中ノリピーこと田中典子に「あなたのそういうところがよくない!」て言われるけれども。でも、W杯の勝ち負けなんてどうでもいいが、たとえば地上デジタル放送については、数百万世帯からテレビを取り上げるのかという話になりかねないから、予想でなく、取材と分析を重ねた予測を語らなければダメなのです)。C組は、今日イングランドがスロベニアに、アメリカがアルジェリアに勝って英米が決勝進出、というのが10日前の私の見通し。D組は、明日ドイツがガーナに勝ち、セルビアはオーストラリアに勝つが、私の予測ではドイツはセルビアに勝っていたはずだから、ドイツ・ガーナが上に行くと。ところがアホなスペイン裁判、じゃなかったスペイン審判が出したレッドカードが予測の範囲外だった
●しつこいが、当欄は学生諸君も読むのでもう一言(以下は坂本受講生向け)。以上の話で、わかるね。予測は根拠があるから、ハズレたときその理由を検証できる。「二つ目の根拠が甘かったな。次回は気をつけなくっちゃ」というように反省もできる。すると次回の予測精度が上がる。漠然とした予想は「ハズレちゃった」でおしまい。何かを右から左に伝えるだけがメディアの役割ではなく、その何かが人びとに将来もたらすだろう結果までも見通して伝えるべきならば、ちゃんと根拠ある予測を報じなければならない。たとえばイラク開戦で、子ども手当で、農家への戸別所得補償で、口蹄疫で、消費税で、だよ。いいか、あなた方が40〜50歳の働き盛りになり、あなた方の子どもが社会に出ようというとき、収入の何割くらいが税金と社会保障費で持っていかれるか、現段階でほとんど予測できるわけ。このままでは月収100万円でも毎月50〜60万円以上持っていかれる社会になる(いまは40万円くらい)。きみらの子どもは、まだ生まれてもいないのに、だぞ。平均70歳で新党を立ち上げるなんてジジイたちが、90年代以降にそんな日本国・日本政府をつくったのよ(若い連中が、坂本もそのジジイどもと同罪だというなら、反論はしない)。そういう予測をメディアは伝えているか。あるいは伝えなくてよいのか。よく考えてごらん

06-22
●7-0のポルトガル・北朝鮮戦につき。北朝鮮はテレビの生中継があり、前半を折り返したあたりでは、アナや解説者が「まだまだいける」と力んでいた。そのうち「わがチームのほうが試合場への移動距離が長くて不利」などと負け惜しみを言いはじめ、3〜4点取られてからは完全に沈黙した、と報じられています
これこそテレビの偉大な力、大きな強みです。新聞・雑誌・書籍・映画などは後から操作できるが、テレビ生中継は操作できない。できる操作はブチ切るくらいだが、少なくとも隠そうとした企《たくら》みがバレてしまう。国際社会にとっては、無許可で放送され権利を侵害されたというマイナスよりも、北朝鮮国民がサッカーにおける世界との距離や自分たちの代表の実力を如実に目撃したというプラスのほうが、はるかに大きい。このような経験を北朝鮮の人民にさりげなく、しかしジワジワと重ねさせることが、かの国のソフトランディングにはきわめて重要で、つまり日本の安全保障にとってきわめて重要なのです
●私は、北朝鮮にいる日本人拉致被害者向けの日本からの宣伝ラジオ放送(日本政府提供)は、彼らが聴くことができても誰一人亡命すらできない現状ではほとんど無意味、監禁などされて聴くことができなければなお無意味だ、と思います。必要なのは、北朝鮮の人民が受け入れることができ(北朝鮮を一切攻撃せず)、しかも、さりげなくジワジワと、国際社会はこうなっていると現状を伝える対北朝鮮向け放送です。「対北朝鮮向けの宣伝・プロパガンダ放送は、北朝鮮を攻撃・非難する内容に決まっている」などというのは、ド素人やガキの考え方。本当の謀略放送や情報操作というのは、一見そうは見えないことが最重要の条件。映像の歴史を見れば明らかなように、多くの宣伝・プロパガンダ映像や音声は、特定の誰かを攻撃していない。そんなことは当ったり前(これについては「テレビ報道を考える!!」ブログを参照)。テレビCMは(政治的ではないものの広義には)宣伝・プロパガンダの一種ですが、特定の誰かを攻撃していないでしょう。そのほうが広く受け入れられて、得だからです。もちろん以上は、北朝鮮に一切圧力をかけるなという主張ではない。圧力は、圧力としてかければいい。しかし、一見すると圧力とは見えず、むしろ親北朝鮮と思えるような映像を北朝鮮に送ったほうがはるかに効果的だ(日本政府はそれをやってよい)、と私は主張しています
●浜名湖ボート転覆事故(女子中学生1人が死亡)。一報に接し、麻布学園の相模湖事件を想起しました。1954(昭和29)年10月8日に、麻布中2が相模湖に遠足に行き遊覧船に乗ったところ、定員オーバーで浸水・沈没。生徒22名が水死した事件です。私は在学中、講堂棟の新設で校舎をぶっ壊す直前に空っぽの職員室をうろつき、床にうち捨てられていた相模湖事件の記録本を入手した。いまも実家にあるはずです
●現地での組別集合写真には生徒の玉井裕(革マルをへて麻布・世界史教員。故人)が写っていたし、引率のドブチューや伊月道海(事件後、仏門に)もいた。本には、遺体収容作業を手伝った地元の元力士が、生徒二人が抱き合う遺体を引き上げて「わしは、こんなかわいそうな姿は見たことがないよ」と号泣した、見つからなかった最後の遺体は小田原かどこだかの漁協の協力を得て巨大な漁網でさらって収容した、父兄の一人が自衛隊幹部だったので自衛隊車両に2棺ずつ遺体を載せ隊列を組んで帰校したといった話が記され、東洋英和の中2有志からの見舞いの手紙なんかも載っていた。この事故以来、学校行事では遊覧船の類に乗らないことになっており、自由行動でも「お前ら、ボートだけは乗るなよ」と注意される。私も、たとえば芦ノ湖で海賊船に子どもと乗るときは、必ず救命具を確認していましたけどね
●相模湖のときは、うろ覚えだが定員の倍以上乗り込むというような無謀な話で、出船のとき喫水線が甲板にかなり近づいており、一目ヤバそうな感じだった(だから敬遠した生徒もいた)。船長は刑事責任を問われたはずです。今回の事故も明らかに人災でしょう。みな救命胴衣をつけていたのだから、すぐには溺《おぼ》れない。転覆して何人かが一時閉じ込められたボート内を最終確認せずに現場を離れた大人は、責任を問われる
●忘れてならないのは、これ、正規の教員でなくPTA行事で引率する保護者だって、同じように責任問題が発生することです。小学校PTAの仕事をしたとき、地域の老人団体が例年通り運動会を開くから生徒たちを参加させてくれという話があった。私が「ケガなんかがあったときの保険はどうなっていますか?」と聞いたら、老人団体はおろか、前年まで子どもを送り込んでいた各校PTAも「保険のことなど考えたこともなかった」と答えたのには驚きました。乗り気ではなかったが、PTAとして正式に参加(子どもは希望者のみの自由参加)したのは、事故が心配だからでした
●この手の話は、すぐれた教員でも、わかっていない場合がある。長男が小1〜2のときの担任は、小笠原(希望者が多い)から転任してきたとても優秀な先生で、うちは大の仲よしだった(子どもの祭りのダボシャツ、股引き、腹掛けなんかは、お下がりが先生の息子に)。で、小2のとき結婚式を挙げて、教え子たちに来てほしいという話になったんだけど、「ちょっと、簡単に言わないでよ」と。当然PTAの公式行事ではないから、有志のおっ母さんたちが引率し、地下鉄で行く。万一ホームから転落したなんて事故があれば、刑事責任すら問われかねない(民事では、学校行事なら役所が賠償するが、ふつうのおっ母さんは一生が台無し)。だから、絶対に事故を起こさないようにと念押ししたことがあります。まあ、私の経験からすれば、教員の過半数と、保護者(小学校でざっと1000万人以上)の大半(アンケートを取れば90%より100%に近い割合)が、わかっていないでしょうね

06-21
●17時30分〜19時30分、THE COVE問題で弁護士会館へ
●昨20日は13時〜18時、放送批評懇談会の理事会・総会・懇親会@西新宿スバルビルB1会議室。全館禁煙らしく、B3の喫煙室に五井千鶴子ギャラクシー賞ラジオ[←勘違い失礼]CM部門委員長に新任)、上滝徹也(テレビ部門委員長に2年だけの約束で返り咲き)、石井彰(放送作家)と休憩のたび入り浸る
●総会の事業報告で、ギャラクシー賞報道活動部門委員長だった(この日限りで退任)坂本が述べた大意は以下。「報道活動部門は、私のほか副委員長としてテレビマンユニオン出身で現場に精通する碓井広義さん、委員として大空社のドキュメンタリー年鑑を執筆されている鈴木典之・田原茂行の二大巨頭をはじめ、毒舌の麻生千晶さん、日大放送学科を牛耳る上滝徹也さん、GALAC前編集長の小田桐誠さん、『法とジャーナリズム(改訂版)』著者の山田健太さん、駿河台大・文化情報学研究所長の今村庸一さん、フジテレビOBの露木茂さん、某新聞のテレビの生き字引・小林英美さんというきわめて重厚な布陣というか、うるさい委員、言い換えれば話が超長い委員のみなさんとともにギャラクシー賞を選考しました。(中略)なお、私は本日限りでめでたく2期4年の満期退任となります。長い間ご協力ありがとうございました」
●総会終わり間近の一言自己紹介では「放懇ジャニーズ担当の坂本です」と言って、ちょっとウケた。実は「サイト『すべてを疑え!』というのをやっています。1月8日以降更新がないと、各方面からお叱りをいただいておりますが、どっこいガンガン更新しております。サッカーW杯と地上デジタル放送に関しては必見サイトです」と続けようとしたが、時間が押していたので略。ざっと見わたしたところ出席者は、飯田みか、石井 彰、石井清司、石橋さや夏、市村 元、入江たのし、碓井広義、小田桐誠、音 好宏、小原道雄、兼高聖雄、隈部紀生、五井千鶴子、上滝徹也、桜井聖子、嶋田親一、千田利史、滝野俊一、田代勝彦、田中典子、中島好登、永田俊和、中村正敏、丹羽美之、信井文夫、橋本 隆、稗田政憲、藤田真文、藤久ミネ、山田健太、渡辺久哲、事務局からは中島のほか福島美子、久野明のみなさん
●なお、新しいギャラクシー賞報道活動部門委員長は碓井広義。懇親会の挨拶で、「報道活動部門は、春秋に居酒屋を昼すぎから借り切って選考会を開き、夕方店が開くと同時に飲み会・宴会になだれ込むというすばらしい方式を採用している。これはぜひ継承したい」というから、「ええっ? 継承することは、それだけかい!?(笑)」と。ま、飲み屋にホワイトボードやマーカーを持ち込みそのままになっているから、せいぜい使ってください。その日は8時頃、ぶらりと行くわ
●昨日はスロバキア-パラグアイ戦を見て寝る。パラグアイ強い。カメルーンは壊れたのをなんとか修繕しつつあるが、フランスは完全に壊れた。選手追放・練習ストライキは、エグい。トルシエは何を狙っているのか、盛んに日本をヨイショ。ヨイショしたからって、呼ばれはしないでしょう。久野明によると、犬飼人脈でブッフバルトって話があるそうだけど
●書き忘れていたけど17日、私も見ていたNHKのW杯関連番組で、若い女子アナが、オランダ戦の19日はNHK-BSで午後1時から10時間ぶっつづけで放送と告知した際、「コマーシャル、ありませんからね」と発言した件。おおっ、正直に言っちゃったなと思っていたら、翌日以降、降板になったようですね。テレビ朝日が猛烈に抗議

06-20
●昨日の当欄で紹介した「ザ・コーヴ」上映予定の映画館が全国から参集する集会は、創・篠田博之から「すみません告知はやめてください。会場が小さいのでもう一般の空席はないのです」とのメールが来ましたので、あしからずご了承ください
●昨19日は、夜8時、母と一緒に東戸塚の兄宅を出て、世田谷・奥沢の実家に一泊。移動中1セグで対オランダ戦を観る。7人がけシートに3〜4人座るような混み具合で、うち一人くらいは携帯で見ていた印象。JR・東急では谷間やビル間は画像が乱れたり止まったり。日吉や田園調布のように空が見えない駅構内では、もちろん受信できない。前半はオランダがやりすぎと思うほど引き、0-0でよいという様子見。後半は、日本が1点を失い負けたが、大善戦でしょう。0-2か1-3くらいが妥当な実力差なので
●頑張っていたと健闘を称えるべきは、長友、闘莉王、中澤、阿部らのバックス陣とキーパー川島永嗣。ただし、スナイデル(シュナイダー)の1点は、あれは完全にキーパーのミス。ボールの出所《でどころ》を正面にドンと構えて、出所方向に弾き返すべきなのに、身体が右側に流れすぎ、手のひらを左側に差し出す形になって、ゴール内に弾いてしまった。直前にボールがブレったって、あのスピードで飛んでくるものが、目の前で(たとえば50cm手前から)5cmもブレる(カクッと曲がる)はずがない。勢い余って、あるいは目測を誤って、身体を寄せすぎたことによる失点です。今大会に出ている海外のキーパーであれば、止めるヤツのほうが多いでしょう。もっとも川島は、それとは別に失点2点くらいを防いだから、差し引き大健闘
●それにしても、スナイデルが打ったとき、彼のそばでお気楽に片手を挙げているアホな日本選手は誰なんだ? 反則をアピールしたとは見えないから、俺にボールをくれという合図だと思うが、闘莉王がダイビングヘッド体制に入った瞬間に、「ヤバい! 入れられそうなピンチ」と判断できないのは、どうかしている。あの体勢からのクリアは大して飛ばないこと、闘莉王が立ち上がって体勢を立て直すまでの1〜2秒センターバックが一人欠けることは明らかで、しかもミドルシュートをもっとも警戒しなければならないスナイデルが近くにフリーでいたからです。あそこでスナイデルをフリーにした段階で、もう限りなく1点マイナスに近い。スナイデルにいちばん近い日本選手が、10m離れていたとしても、3〜2秒前から守備の意識で動き出していれば、なんとかなったかもしれない。それがちんたら棒立ちどころか、その場でゆっくり片手を挙げるヒマがあったと。日本代表は、全員で守り、全員で攻撃するんじゃなかったのか? 今大会の日本代表戦で、最低に気の抜けたシーンの一つでした
●あと3本立て続けに入りそうもないシュートを打ったフォワードがいたが、ありゃ、まずいでしょう。枠に飛ばないか、枠に行っている場合はユルユルで、どの隅に行こうがキーパーが間に合うというのでは(敵は全然ビビらない)。日本選手がペナルティエリア外から打って入るのは、よほどの場合ですから、1本はいいとしても、別の得点の取り方を追求すべきです。サッカーは気力合戦じゃないのでね。岡崎のシュートは、あれは仕方がない。日本のストライカーは、あんなものです。後ろからの難しいシュートだから、練習で10本打っても1〜2本しか入らないでしょう。海外のうまいヤツなら5〜6本入る。だから、日本はシュートが数本〜10本では「ゼロ封」にされる恐れが強いのです。ああいうシーンを何度か作る必要があり、それには岡崎一人が頑張ってもどうにもならない(念のため、ペナルティエリア外から入りそうもないシュートを連発して数を増やしても無意味)
●途中出場の選手たちは、全然ダメでしたね。したがって、あのメンバー交代は監督の大失敗です。とくに中村俊輔は、もう出番はないでしょうね

06-19
●創出版から、以下の案内あり。◆〈来る6月21日(月)午後5時半から霞ヶ関の弁護士会館で、「ザ・コーヴ」上映予定の映画館が全国から参集し、集会を行うことになりました。(中略)21日の集会は映画館が今直面している実情を明らかにするとともに、表現者との間で議論や意見交換を行い、それをマスコミ各社に来てもらって、取材報道してもらう予定です。〉とのこと◆【日程】6月21日(月) 【時間】マスコミ受付:17時00分〜(ムービー、スチール、共に先着順)シンポジウム:17時30分〜19時30分(映画上映はしません) 【場所】 弁護士会館3F 301C(千代田区霞が関1-1-3)※丸ノ内線・日比谷線・千代田線「霞が関駅」B1-b出口より直通 【主催】東京弁護士会、第二東京弁護士会 【登壇者】各公開劇場支配人、加藤武史(『ザ・コーヴ』配給会社代表)、篠田博之(「創」編集長)、日隅一雄(弁護士)、田原総一朗(ジャーナリスト)、石坂啓(マンガ家)、綿井健陽(ジャーナリスト)他
●昨日の当欄記事で、「役所の誰かを呼びつけて検証・指導・叱責する仕組みが、この国にない。役所が民間を呼びつけて指導する仕組みはあるが(JALも相撲協会も日本振興銀行も)、その逆がない。自民党が長い間、役人とつるんでいたから、国会にその仕組みがなく、特捜などが逮捕する以外に指導のしようがないわけです」と書いたことにつき、ちょっと補足
●本来ならば、マスメディアがその仕組みの一部を担わなければならない。でも、まったくやっていないとは言わないが、ちゃんとやっていない。臼井律郎と先日その話になり、臼井「だって、ジャーナリズムなんかの最初は、そういう権力チェックじゃないの? 言葉の由来とかは」という。私が言ったのは「いや、違う。ジャーナルの語源はラテン語のディウルナ(diurna)。日々の刊行物というような意味で、カエサル(「ブルータス、お前もか」のジュリアス・シーザーね)がローマ政庁前の掲示板に張り出させた紙が最初よ。もともとの意味は、権力側の日刊情報で、ローマの兵士たちが今日はどこそこで大活躍をしたとかさ」「新聞が社会に警鐘を鳴らすという意味で、『私たちは社会の木鐸です』と胸を張るでしょ。この語源も正反対。木鐸は、木の舌がついた鉄の鈴(=金口木舌《きんこうもくぜつ》。中国で、新しい法令などを民衆に示すときに鳴らした。もともとは権力側の告知、お触れのしるしなわけ」(後からの注:論語八〓[にんべんの右側が、八の下に月]に「儀封人請見曰。君子之至於斯也。吾未嘗不得見也。從者見之。出曰。二三子。何患於喪乎。天下之無道也久矣。天將以夫子爲木鐸。」とあり、早い段階から比喩的に「世人を覚醒させ教導する人」を意味することはあった)「だから東西ともに、ジャーナリズム(民衆に対する日々の情報伝達)の起源は、権力側の広報。大本営日報。それではダメだというのは、のちのちのヨーロッパの権力批判を通じて出てきた話」と
●それも最初は、政治闘争や宗教闘争に勝つためにやっていたわけだから、「民衆のための権力チェック」機能なんてのは、ごく最近の話です。明治初期とか大正にはあったけど、65〜70年前の日本では完全に封殺されていた。「権力チェック」機能は、ジャーナリズムや報道にもともと備わっているものではなく、ジャーナリストや報道する者が不断に獲得し続けなければならないものだ、というのが、当たり前ながら私の考えです。昨日の日テレ『太田総理』はよかった。カネをつかまされて権力チェックを疎《おろそ》かにしているのではないか、という根本的な話をしていましたから
●あれま、ドイツがセルビアに負けちまった。あのスペイン審判のドイツ潰しはまずい。いくらなんでもイエロー出し過ぎで、試合をブチ壊しに。ドイツ#16の、明らかにボールだけをとらえ、相手の足が後から引っかかったタックルまで、ファウルにしていた。昨日見たのはこれだけですが、おやま、イングランドがまだスイッチ入らず。古い話で恐縮ですが、アルゼンチンは完全にスイッチが入った。メッシの得点はまだだが、ストライカーは1点入れれば、あとはポンポン入ることがよくある。韓国戦でキーパーが弾いたのを、あの瞬間の反応でちゃんとポストに当てるというのは、いやはやどうも。アルゼンチンで頑張っているのはテベス。自分でやればと思うのまで、献身的なパスをしまくっている。エラい! あと、フランスもスイッチが入っていないのではなく、壊れているらしいことが判明
●昼、実家へ行き、母を連れて横浜の兄宅へ。日本の対オランダ戦は、3点以内の失点ならば、まあ、よろしいのでは

06-18
●今朝の東京新聞で、スポーツに詳しいジャーナリストで私もよく知っている谷口源太郎が「相撲協会は解体して出直すべき」とコメントしている。賛成です。あの組織を財団法人として優遇しなければならない理由がない(税金のムダづかいであって、事業仕分けの対象になって当然)。監督官庁の文部科学省課長が、ちゃんとしてくれなければ困るというように説教をしていたが、暴力団関係者をかぶりつきにご招待したのが悪いのは当然として、文科省役人や同省に関係の深い政治家は、協会からチケットを回してもらったことがないのか? 世の通例からすると、過去に当然あったはずだと思いますけどね。多くの財団・社団は官僚の天下り先なので。放送関係なんてひどいものです
●あの課長の説教で思い出すことはもう一つ。文部省は過去にリクルート疑獄で、省内トップである事務次官の逮捕者を出している(坂本・前屋著『官僚たちの熱き日々』などをご参照。私がインタビューした初代生涯学習局長は、雑誌記事が出ないうちに辞任してしまい、校了直前だったので肩書きに「前」とつけるほか手の打ちようがなかった。同局長はその後、放送大学に天下り)。大問題は、そんな不祥事に結びつきそうなことや、不祥事とはいえないまでもロクでもない政策を役人がやっているとき、役所の誰かを呼びつけて検証・指導・叱責する仕組みが、この国にないことです。役所が民間を呼びつけて指導する仕組みはあるが(JALも相撲協会も日本振興銀行も)、その逆がない。自民党が長い間、役人とつるんでいたから、国会にその仕組みがなく、特捜などが逮捕する以外に指導のしようがないわけです。素人政治家がわからないままやっている最近の「脱官僚」でも、財務官僚に乗せられて事業仕分けなんて枝葉末節を大々的に打ち出すだけ(まあ、消費税もですね。菅直人は、そのうち財務省事務次官になる現主計局長・勝栄二郎の言う通りにやっているように見える)
●ヒドいのは総務省で、地上デジタルも放送法改正も、たいへん具合が悪いが、政治家はほとんどわかっていない。仕方がないから参院選の7月11日以降24日までのどこかで、放送に関係する仲間たちと一緒に「地上デジタル放送全面移行・現行アナログ放送停止の延期を提言する」記者会見を開こうと考えています。あわせて、もう無理だ、延期したほうが国民も放送局もメリットが大きい、国のやり方はここがダメだという要点を、短いアピール文にまとめて出します(これには賛同者を募ります。文章を読まない[だって、まだ書いてないのでね]段階ながら、立教大教授・服部孝章と作家・小林道雄と元朝日新聞・柴山哲也は賛同すると)。メディアのみなさんには会場などが決まり次第、個別にご案内を出しますので、ぜひ取材をしてください。その後に、総務省の言い分・反論をきちんと取材し、それを報じてください。普及率80%以上という直近の普及調査には、きわめて大きな問題があります。地上デジタル放送全面移行・現行アナログ放送停止の根拠には絶対になりません。総務省の担当官にも社会調査の専門家にも取材したうえ、私はそう断言しておきます
●10時40分〜日大授業

06-17
●昨日の『ちょんまげぷりん』完成試写前の舞台挨拶では、錦戸亮、ともさかりえ、子役の鈴木福、原作の荒木源、監督の中村義洋が順に登場し、一言ずつ。錦戸「すごく濃い撮影期間だった。お見せできるのがすごくうれしい」。ともさか「中村組ですごした幸せが皆様にも伝わるのでは」。福「僕は友也役をできてすごいよかったです」。荒木「学生時代に映研で、いつか映画をつくってみたいと思っていた。クレジットに名前が載り、野望を果たせた」。中村「ワーキャーの音程むちゃくちゃ高くてびっくりしている」
ついでだから、錦戸・関ジャニファンに大サービス! 続く質疑応答で撮影中のエピソードを聞かれ、錦戸「かつらとか衣装とか準備があったから、東宝スタジオの楽屋に1回も行ったことなくて……。これといったエピソードはないっすね」。ともさか「エピソード。えーと、エピソードというか、本当に錦戸さんと現場でお話しした記憶がまったくなくて、セリフ以外は『おはようございます』『お疲れさまでした』だけで。打ち上げで初めてお話ししました」。福「ボクは、あのー、りえちゃんと一緒にしゃべったのはー、あのぉ、なんかあったんですけどぉ、でも、忘れちゃった」【錦戸さんとは?】「はー、いろいろしゃべったの、あのー、うーん、あのぉ、うーん、あのぉ、まとまら#?@%$……」【なんて呼んでいたの?】「はい、はい、『錦戸』って呼んでました」【どうして?】「錦戸が、『錦戸って呼べ』っていわれたから、錦戸って呼んでました」(場内爆笑)。中村「まるで会話がない空気になってますが、極端に人見知りの男と極端に人見知りの女が共演してますんで。1週間くらいたって、一言もしゃべっていないらしいと(わかった)。いい現場でしたよ」【映画の見所は?】「錦戸亮の目力《めじから》、ともさかりえのリアクション、福ちゃんの泣き声」
●一種のファンタジー映画で、おもしろかった(痕跡探しの展開は予想と合致しすぎたけど)。会場にいたファンは、錦戸を半ばコメディ・アイドルと見なしているのか、錦戸がヘンっぽい場面で盛んに笑っていた。最後のほうのあのシーンって、そんなに大笑いする場面か、と思いましたけれどもね。まあ、ちょんまげ錦戸が、ちょっと消臭プラグを連想させることも事実か。ともさかりえは、どーんと存在感があったが、かわいい(とくに寝顔が)。会場にいたジュリー藤島Kに「おめでとうございます。いつもお世話になりありがとうございます」とご挨拶。シーさんこと白波瀬傑とも少々相談。お土産は、ちょんまげぷりんてぬぐいと、ちょんまげぷりんストラップ。7月31日全国公開予定
●相撲の力士ら65人が賭博行為への関与を自己申告。だから、たとえば内館牧子のように「大相撲のご立派な連中によって日本の歴史・伝統が守られ維持されている(または、されなければならない)」という考え方そのものがイカレている、と私は思います。彼らは、横綱を張っていた大鵬・柏戸がアメリカ巡業で拳銃と実弾を密輸し、ヤバくなってこっそり隅田川に捨てたってお咎《とがめ》めなしの、もともとロクでもない異形《いぎょう》の者たち。だからこそ、一部神様につながることを担ってきた。多くの歴史・文化で、そのときどきの社会の大枠からはずれた者(出自や肉体的・精神的な特徴が標準と大きく異なるとされた者)が、神様の世界に近く、普通の者が持たない特別や能力を持つと考えられてきた。その連中に「普通であれ」というのは簡単だが、かなり無理がある。多くが中卒、しかも中学時代にまともな勉強をしておらず、甘やかされて育ち、社会人として最低限必要なルールすらわきまえていない。ちゃんとした日本語すらしゃべれない者が多いわけで(朝青龍よりまともな日本語を話す日本人力士が何人いる?)
●そんな集団でも、現代日本では法律を守らなければならないし、見ている多くの子どもたちに悪影響を与えるような行動は慎まなければならない、と。しかし、関与者全員をちゃん調べてちゃんと追放すると、大相撲は存続できないんじゃないですかねえ。現役65人がやっていたなら、OBや親方も相当数がやっていたに違いないと考えるのが自然なので。ピストル不法所持の大鵬は二度とテレビに出すな式のキツいやり方は、いかがなものか。美空ひばりは暴力団と密接な関係があった(身内だった)から、テレビ・ラジオで一切流すな、DVDもCDも封印せよというやり方は、全然おもしろくないし、世の中のためにならない。まあ、とりあえず次の場所は1回休みにして、「あんた方は、存続の危機に直面しているんだよ」と、一人ひとりにわからせるのがよろしいのでは
●私は一度だけ、相撲協会と取材交渉をしたことがある。草柳大蔵の対談に当時の理事長を呼ぼうとした。草柳は、昭和天皇逝去のとき1日中NHKに出ずっぱりだった人だから、(天皇やNHKが大事に違いない相撲協会は)喜んで出てくるだろうと思ったら、全然違って、ひどく驚いた。電話の口調がヤクザそのもので、しかも「なに、誰だって? 知らねえな」と、草柳大蔵という存在そのものを知らない。そんなのが広報担当だから、頼み事するのもアホらしく、人選をやり直しましたけど
●おおっ、スイスがスペインに勝った! 前半はスペインが15回とか20回くらいボールをつなぎスイスがさわれない場面が目立ち、この10分間の支配率80%てな雰囲気でしたが、ついに得点できず。アルゼンチン、イングランド同様、ストライカーのスイッチが入っていない感じ。それでも負けるとは思わなかったが、日本が勝ったように、ああいうこともある。しかし、試合内容は雲泥の差。両チームとも最後まで自分のやり方を貫き、実におもしろい、タフな試合でした。#14のクロスバー直撃は、今大会ここまでで最強(最速)のシュートでしょう

06-16
●18日くらいから、坂本が構成・まとめを担当した榊原英資・竹中平蔵共著『絶対こうなる! 日本経済──田原総一朗責任編集! 2時間でいまがわかる』(アスコム刊)が、書店店頭に並びます。このご時世に初版2万部! 書いた者がいうのも何ですが、これはおもしろい!
●どこがおもしろいかというと、大蔵省・財務官出身の榊原英資は民主党の最高経済ブレーンで、民主党政権で財務大臣の声すらあった人物。竹中平蔵は小泉内閣で5年間にわたって経済・金融責任者を務め、郵政民営化もやった人物。で、かつて榊原は竹中を「無免許でスポーツカーを疾走させている」と批判した。竹中は榊原を「官僚上がりの学者に何がわかる」とこき下ろした。政治的に対極に位置し、世間で犬猿の仲と思われている二人が、田原総一朗の仕切りで日本経済について大激論したのが、この本なのです
●間違いなくいえることは、榊原・竹中の二人が一致して批判する問題は、政治的立場に拘《かか》わらず日本が解決しなければならない緊急の課題であり、榊原・竹中の二人が断固対立する問題は、これこそ日本の真の論点・対立点だということ。それをハッキリ示し、日本経済の本当の姿を浮き彫りにし、私たちが選ぶべきいくつかの大きな選択肢を提示してある(それを狙って書いた)。鼎談で足りない部分は、私が個別に榊原・竹中にインタビューし、すべて盛り込んであります
●たいへん興味深いというか、衝撃的なやりとりは、たとえば民主党の経済ブレーンである榊原英資が「(現政権には)だから成長戦略もへったくれもないし、ようするに、経済政策そのものがない。まったくないんだ」といい、田原「この二人が、『民主党にはマクロの経済政策がない』と断言するんだから、本当にないんですね」榊原・竹中「ない」田原「マクロの経済政策がない先進国って、世界中にありますか?」榊原・竹中「ない」と断言している箇所とかね。これは一例で、「ええっ、そうなのか?」と思うやりとりが、至るところに出てくる。財政赤字、国債、消費税などでも、最低ここまでは一致、ここから先は大対立というのがわかる
●とくに若い人たちは、この『絶対こうなる! 日本経済』を読んでから、選挙に行ってほしい。今後、大借金を返済していかなければならないと(選挙権もないうち、生まれてもないうちから)すでに確定している若者たち(やその子どもたち)が、この国とどう付き合っていけばよいのか──つねにそう思いながら、原稿をまとめました。あなたがた若い人たちは、もっとジジイたち、オヤジたちの世代に対して「あんたたち、なんてことをしてくれたんだ!」と怒るべきです。戦争のときもそうだった。ジジイたちのバカな決定で最大の被害を被るのは、いつだって若者たちなのだから
●いまこの国は、本音を口にせず、摩擦やトラブルを避け、間違っていると思っても大勢に迎合する風潮が、ますますヒドくなってきたと思います。自民・民主両政権の財務大臣級が「日本には経済政策も成長戦略もない。こんな先進国はありえない」といっているのに、経団連やら経済同友会やらのジジイたちが、「おかしいじゃないか! なんとかしろ!!」といわないのは、妙だと思わないですか? 大企業は、エコ・ポイント(臼井律郎いわく「エコは『エコノミー』のエコで、『エコロジー』とは無関係」。あと『依怙贔屓』《えこひいき》のエコという説も)をつけてもらって、自分たちの製品が売れさえすればいいのかって、いいたくならない? エコ・ポイントやエコ減税は、新車を買える人、家を買ったり持ち家を直せる人だけが恩恵を受け、薄型テレビ・冷蔵庫・エアコンなど高額で巨大な大企業製品ほど恩恵が大きい。だから、広く薄く取る税金を使って、高所得層や大企業をより優遇する結果になり、所得再分配の逆になる。でも、広告が入るからマスメディアはそんな側面には一切触れない。どちらかといえば低所得層に手厚いはずの民主党や、連立を組んでいた社民党が触れない訳は、これは”謎”ですけれども
●一見すると全然違う話だが、似たような点がなくもない話を一つ。手元に『日本史〈50年周期〉逆引き年表』(吉川弘文館)という本がある。その2010年のページを開くと、【50年前】の項に「6.10ハガチー事件。6.18安保改定阻止国民会議、第18次統一行動、33万人のデモ隊、徹夜で国会議事堂を包囲。6.19国会、午前0時をもって新日米安保条約を自然承認。6.23新日米安保条約批准書、交換され、同条約、発効」とある。「6.15全学連デモ隊が国会に突入し、警官隊と衝突。東大生・樺美智子が死亡」と書いてないのは、どうかと思うけど、50年前にそういう大騒動があった。【100年前】の項には、「5.25大逆事件の検挙、始まる。6月1日、幸徳秋水、逮捕」とあり、50年の古さ、長さをじわーっと感じます
●で、メディアは「節目の報道」や「折折の報道」が大好きなので、昨日今日の新聞には樺美智子の記事が載っている。ところが、あの安保反対運動を総括する記事は、あまり見ない。これは田原総一朗著『日本の戦後』や『日本政治の正体』(こちらは坂本が手伝った)に書いてあることですが、旧・日米安保条約(独立回復の1951年に策定)の特徴三つは、(1)アメリカには米軍を日本国内・付近に配備する権利がある(日本はその権利を与え、アメリカは受諾する)。(2)アメリカは日本を防衛する義務を負わない(「外部教唆や干渉による内乱鎮圧や、日本防衛のために米軍を使うことができる」と書いてあり、「必ず使わなければならない」とは書いてない。なお、米軍が日本人に武器を向けることが想定されていたことに注意)、(3)期限がない。これに対して岸信介が改定を目指し、労働組合や樺美智子をはじめとする学生らが30万人を動員して成立を阻止しようとした新・日米安保条約(1960年6月に成立)の特徴三つは、(1)アメリカは、米軍が日本で施設・区域(その使用については別途行政協定で決める)を使うことを許される、(2)アメリカは日本を防衛する義務を負う(「日本への武力攻撃をアメリカの平和・安全を脅かすものと認め、危険対処の行動を取る」と宣言している)、(3)10年の期限がある。原文にリンクしています。どうぞ、ご自分で確かめてください
●ようするに、岸信介がやった「安保改定は、改正か改悪のどちら?」といえば、「改正」です。この点では私は、岸の孫である安倍晋三と同意見。日本の平和・安全・国益により寄与する方向での改定であり、51年の旧条約より60年の新条約のほうが、日本(人)にとってよいものであることは、疑う余地がない。だって、旧条約には「アメリカは、日本政府に頼まれれば、赤色国家にそそのかされて暴れた日本人を鎮圧するために米軍を使ってよい」と書いてあったんだから。ところが日本人は、51年から60年まで、現行の安保条約はヒドい、なんとかしろという反対行動で国会を取り囲んだ形跡がない。それが突如、新安保条約だけはダメだと猛反対した。おかしいでしょう? おかしいのです、そこだけを見れば。田原は「連日国会デモに行った。A級戦犯になりそこなった岸信介なんて極悪人に決まっている。その岸がやろうとしている安保改定は、日本を戦争に引きずり込む改悪に決まっていると思っていた」という。じゃあ樺美智子は、何を目指して死んだのか。これは総括しなければならない。50年前に国論を二分した安保闘争は総括しなければ。そういう記事は見かけず、50年前に純真な女学生が亡くなったという記事だけが出る。なんで?
●W杯、ポルトガルはまだスイッチが完全には入っていないようだが、ロナウド1発とデコ折り返しはじめ見所満載。コートジボアールが大善戦し、ハイレベルのおもしろい試合でした。ブラジル-北朝鮮は、最初3分くらい見たが、すぐ深い眠りに。スカパー!のスタジオ・キャスターは、もうちょっと丁寧な、まともな日本語を使うべき。あれで専門チャンネルっぽい、プロっぽいと思っているなら、大きな勘違い
●18時半〜『ちょんまげぷりん』完成試写@新宿明治安田生命ホール。錦戸亮、ともさかりえ、鈴木福ほかが舞台挨拶予定。錦戸はとてもうまい役者で、ややオーバーアクションというか一本調子気味の部分がさらに枯れれば、日本を代表する俳優の一人になると思う(たとえば09年夏の『にぃにのことを忘れないで』。あそこまでやれる俳優は、現在でもほんの一握りだけ)。ともさかは、なかなかこれという役に恵まれないが、好きな実力女優の一人

06-15
●今夜20時5分から、ピアニストの本田聖嗣がNHKラジオ第1(594=「国宝」と覚える)の「おしゃべりクイズ疑問の館『ショパン生誕200年』に生出演するそう。企画内容はすべて本人が考え、トークも本人だと。月曜9時はテレビ神奈川「佐藤しのぶ出逢いのハーモニー」レギュラー、平日朝7〜10時はデジタルラジオOTTAVA frescoに生出演。クラシック好きの人はどうぞ
『ザ・コーヴ』出演者を迎えての明治大学での上映会&ティーチ・インが急きょ中止に! 何ですかね、これは。明大側は、このイベントに教員その他が一切参画しておらず、本当に会場貸しだけなのか(それは、ちょっと考えにくいような)。こういうのは、授業としてやれば、中止圧力は「言論表現の自由」に対する圧力に加えて「学問の自由」への圧力となり、「大学の自治」に差し障るから、資産管理課なんかの出る幕ではなくなる(「学長、あなたの学者としての立ち位置は何なんだ」という話になる)。しかも、フツーの大学は、玄関に警備員がいて不審者を誰何《すいか》するから、事前申し込み制にすれば、上映できないはずがなかろうと思いますけれども。だって明明後日《しあさって》の金曜日に、日大藝術学部放送学科の授業で、私が借りて持っている『ザ・コーヴ』のDVDを学生むけに上映することは、著作権法上も何の問題もなく(大学にも配給会社にも相談不要で)できますから。そこに知り合いや関係者を呼んできたと言えば、ティーチ・インもできる。他の大学がなんでできないというのか、よくわからない
●おおっ、あの岡田ジャパンが勝った! やったね! ま、勝てば内容はどうでもいいんだけど、次もあることだし、一応分析しておきます。日本の勝因は、【1】カメルーン代表が壊れていた。イングランドやアルゼンチンのようにスイッチが入っていないチームは珍しくないが、スイッチが壊れているチームは、今大会初登場。ゲームメーカーの中盤ソングを無意味に欠いたうえ、”内紛”でメンバーを大幅に入れ替え、最初からガタガタ。組織的守備ができない弱点がモロに出た。しかも後半は、ただボールを放り込み「あとは個人技でなんとかしろ」ってしょうもない攻めを繰り返し、最低の羽根つきゲームに。ここまでのW杯でサイテーの凡戦。【2】本田圭佑に好き勝手にやらせた。右に左に中央にと、点を取れそうな場所を探し、勝手によく動いた。結果的に1トップ起用という”その場しのぎ”策が奏功。【3】2〜3人で詰めていく守備が、まあ機能した。壊れた相手やアジア予選レベルなら機能する。日本の基本戦略は以前と同じ。闘莉王がイエローをもらわなかったのもイイ(次のオランダ戦でもらう予定なので。阿部勇樹は次戦で気をつけないと、デンマーク戦がヤバい)。【4】選手交代がいつもよりやや早かった。毎度の致命的な遅れは避けられた。【5】運がよかった。前半は両チームぐだぐだ。後半はバカげたパワープレーを繰り返したカメルーンが6-4か7-3でボール支配。入ってもおかしくない惜しいシュートは日本が2本(前半に入れた本田と、後半37分オフサイドになった岡崎のポスト直撃。総数5本)、カメルーンが3本(いずれも後半。4分エトー突っ込みアシストから左上にはずれたのと、40分ゴール左上角直撃と、47分中澤への回転背中斬りファウル直後の。総数9本以上)。コーナーキック数の違いも痛すぎ(闘莉王と中澤の得点力がゼロに)。優勢なのに勝てなかったのは、壊れたカメルーンです
●というわけで、「やることはすべてやった」(岡田監督)結果があれならば、依然として前途多難。監督は「前半は0-0か、0-1でもいい」といったそうだが、0-1ではよくて引き分けだから、何いってんだか。「冴えた岡田采配」「大きく前進」と書く記者の気が知れない。応援し元気づけるのと、的ハズレに喜ぶのは違いますから。オランダとデンマークには勝てないでしょう
●オランダは、ロッベンを欠きながら、エリアなんて若いのが途中から出てきてあれだけ働くのは強い。デンマークのバック#15もいい選手ですね。味方の背中にヘッドして1点取ったけれども、入るゴールを上に蹴出して1点救った

06-14
●1時、放懇へ。二、三受け渡し書類・データがあったのと、ご母堂の体調不良で今回南ア行きを泣く泣く諦めた久野明にW杯テレビ観戦グッズを差し入れ。中島好登・福島美子・久野明と韓国料理ののち、家人が近所で買ったグッズに追加するため東急ハンズほかを物色。放懇に戻るとデザイナーと打ち合わせ中のとGALAC副編集長・飯田みかに遭遇
●観戦グッズたって、ブーブー(ブブゼラ)は売ってない。入手したのは、勝つ(柿)ピー、日本代表カード2枚付きポテトチップ、キャップにボールを描く眠眠打破ドリンク、韓国海苔味ポテトとジンロ(本選に進むかもしれない唯一のアジアチーム応援用)、日本代表公認「お風呂でポン!サッカー日本代表チームユニフォーム型マスコットタオル」(入浴剤を風呂に入れるとユニフォーム型タオルが。背番号はお楽しみ)、FIFA公認クリアファイル、南ア大会記念ライターなど。代表カードはその場で開けて、カズやゴンが出たのでウケる
●本日、サッカー日本代表のカメルーン戦。日本のメディアはお祭り好きで、「みんなが盛り上がっているところに水を差しかねない発言は自粛しよう」と思う。だから、小泉人気が爆発するとき小泉批判をせず、鳩山人気が爆発するとき鳩山批判をしない。イラク戦争も日本がイケイケどんどんのときは、批判しない。根は同じです
●で、私はそういうのはよくないと思っていますので、書いておきます。まず、日本代表を率いる岡田武史監督は、(1)リーダーの資質に著しく欠けており、(2)戦略・戦術が定まっておらず、(3)代表選手の選出にも難があります
●(1)は5月24日の対韓国戦に0-2で負けた直後の発言に明らか。岡田監督は、日本サッカー協会の犬飼基昭会長に「自分が監督を続けてよいのか」とたずね、慰留されたことを、自分から明かした。歴代の日本代表監督のなかで最低で、せいぜいコーチ止まりが相当の指導者です。私はインタビューの中継映像を見ていましたが、最初「会長に問い質した」といった言葉を使い、「……じゃなかった、たずねた」というように訂正した(録画したわけじゃないから、一字一句この通りではないとしても、そんなやりとり)。公開の場で無礼もよいところの妄言で、かなり平常とかけ離れた精神状態だったと思います。あの一件だけで、代表監督の資質に欠けると断言できる。小学校の学級委員が大失敗した直後、「先生に僕でいいのかと聞いたら、続けろと言われた」と、誰もたずねもしないのに口走ったら、クラス全員が「バカか、お前」というでしょう。オマケに翌日「ありゃ冗談だった」と。あれは、選手に動揺が走ったから言いつくろった嘘です。あれが冗談なら、もちろん「ベスト4を目指す」も冗談に決まっている。でも、指導者には言ってよい冗談と悪い冗談がある。総理大臣なんかも同じです
●日本サッカー協会会長も、指導者の資質に欠ける。岡田監督が進退に言及したとき、犬飼会長がいうべきセリフは「バカ者! 初戦まで3週間のいま、お前を換えられると思うか? それにいくらカネがかかると思うんだ? そんなことできるはずないと知っていながら、そう聞くのは、『続けてよい』という言質《げんち》がほしいだけじゃないか。ふざけるな! そんなこと二度と口走ったら、ただじゃおかん。いまのやりとりを絶対に口外してはならんぞ。わかったか!」です。そう言わないから直後に、クビすげ替えの声が高まるのに先手を打とうと、岡田が愚かな発言をして、選手たちに「この人に付いていっていいの?」と思わせた(ま、最初からそう思っているわけだけど)。1勝もできなければ二人とも辞任するしかないと思います
●(2)は、だって岡田は何年間、日本代表監督をやっているわけ? この期におよんで本田の1トップって、「ブレている」以外に形容のしようがない。ようするに日本選手は身体的能力に劣り、1対1では世界と勝負できない(ボール・キープできないし、奪えないし、高さもない)。だから、相手選手と接触しないように、速いボール回し(ゴロの速いパス)と速い移動(つねに裏を取る。基本はいわゆる三角パス)で攻める。「前方にフィード」などというアホなこと(ありゃパスじゃない)はしない。守るときは1人に2〜3人で対応し、フォワードもパスの出し手に詰めていく。以上、全員守り・全員攻撃をやると、とても疲れる(たとえば中村俊輔は90分もたない)。だから、早めに選手交代していく──これが日本の基本戦略であって、それができない選手はいらないと(オシムのように)いうべきです。その基本戦略のうえに細かい戦術があり、誰を1トップ・2トップなどというのはその部分。基本ができていないところで、誰を起用しても勝てない。岡田監督の選手交代のタイミングがいつも遅すぎるのも、基本戦略よりも誰某《だれそれ》に頑張ってもらうというその場しのぎ戦術を優先させているから。後半37分に出して何とかしろでは、出した選手が気の毒。前半で交代させるべきだったのにパスミスから点を失う選手も気の毒(動けなくなった中村のミスから取られた点が、何点あった?)。監督や選手が負けるたびに「世界との壁を感じた」「課題が見えてきた」「あとは気力だけ」などというのは、どれも的ハズレ。壁と課題は10年前と同じなんでね。気力や精神力のせいにするのも違う。必要なのは日本の戦略に求められる体力と技術力です
●(3)で、少なくともスポーツ記者は指摘したほうがよいと思うのは、「Jリーグで何十時間もプレイしてあまり点を入れたことがない控えフォワードを、対世界戦で15分出して、1点取れると思うか」ということ。まあ、前田遼一を選ばない手はないでしょう
●で、まともに分析すると、以上に加えて、日本代表は直前の国際試合・練習試合の内容が悪すぎて話にならない。6月7日にセルビア相手に3-4で負けたカメルーンは、ディフェンスに確かに難あり。といっても、日本は4月7日にセルビア2軍とホームでやって0-3で負けている。6月6日にコートジボアールとやって0-2で負け。10日にFIFAランキング110位のジンバブエとやって(30分×3本)0-0で引き分けは、ここ10年くらいで最弱の日本代表といわれても、反論できない無惨な結果。「ケガしないように押さえた」と語っていた選手がいたが、ケガせずに3、4点入れなければならない相手に、何をいってるのか。まあ、みっともないから3点以上取られないようにと祈りつつ、応援しています
●私は、いまの日本代表でいちばん得点力があるのは田中マルクス闘莉王、次が中澤佑二だと思っています(イングランド戦で、二人で3得点はすごい! 3本中2本はゴールの向きが違ったけど)。で、ずーっと以前から闘莉王をフォワードにコンバートしろという説ですが、守備の代わりがいないので、しょうもない。川平慈英のものまねで出てきた博多華丸が、日本代表のバックスは誰か聞かれ「日本は4バック。中澤、田中、マルクス、闘莉王の4人」と数えたのには笑った。みんな得点力あるセンターフォワードが必要だと思っているでしょうが、背が高くスピードのあるセンターバックが一人いたほうが、日本のため。あと、長友佑都はとても好きな選手だけれども、サイドバックも。中盤の選手層が厚く前と後ろが人材不足に見えるのは、小中高を通じてサッカー指導者に問題があるんじゃないですかね。野村克也は「小中高の野球指導者が適材適所ということをわかってない。そのわかってない連中が決めたポジションを疑うプロも少ない」と言っていた。足がそう速くなく、なんとなくキャッチャー的体格だから「お前キャッチャーやれ」と言われ、プロに入っても、なんとなくキャッチャーを続けていると。同じことがサッカーにも言えるかも

06-13
●私は担任だった故・小沢シゲ子先生の影響で小3からサッカーを始め(かれこれ四十数年前!)、中学のサッカー同好会では10番をつけておりました(WMシステム3-2-2-3の真ん中の「ハーフ」で青学なんかと試合。当時はMFという言葉は使わなかった。鵜の木グランドで芝中とやったときはセンターフォワード)。テレビの生中継で見た最初のW杯は74年大会です。決勝は、”皇帝”ベッケンバウアー、”爆撃機”ゲルト・ミュラー、左足専門のオベラート(最近では「オフェラート」と書くらしい。ハーフにもう一人いたネッツァのほうが個人的な能力は上だったと思うが、ベッケンバウアーと相性が悪く、はずれた)らの西ドイツが、ヨハン・クライフのオランダを粉砕。というわけで、そこらの若い記者や解説者よりはよほど試合を見ていますので、ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の予選突破チームを予測しておきます(注:予測時点で最初の3試合が終わっており、完全な「事前」予測でない点はご勘弁。そううまく時間が取れないので)。もちろん、テレビが流すいい加減な予測よりは当たるでしょう
●A組:フランス/南ア、B組:アルゼンチン/韓国、C組:イングランド/アメリカ、D組:ドイツ/ガーナ、E組:オランダ/カメルーン、F組:イタリア/パラグアイ、G組:ブラジル/ポルトガル、H組:スペイン/スイス
●以下、補足の解説。◆A組は南アのホーム&ブーブー効果が恐ろしく強力なので。0-2で負けるところ1-1にする(得点力で南アに1点加え、敵から1点削ぐ)くらいの効果がある。メキシコは初戦に勝てなかったのが痛すぎ、フランスに勝たなければ望み薄(その場合はフランスが予選敗退の恐れ大だが、そこまでの番狂わせは考えにくい)。◆B組はヤケに調子よく気合いの入った韓国が、ナイジェリア戦で引き分け以上なら2位に入りそう。◆C組は波乱なし。◆D組は順当ならセルビアが2位だが、アフリカ勢に奏功するブーブーを加味。もっとも気分屋ガーナは大コケの恐れあり。◆E組は波乱なし。日本は3連敗で最下位敗退だと思う。一つでも引き分ければ御の字。◆F組は、パラグアイとスロバキアのどっちが強いか、よくわからない(ニュージーランドはオマケ。本来ならW杯に出るチームではなく、3連敗で最下位敗退の見込み)。◆G組は波乱なし。◆H組はチリ-スイス戦の勝者が2位だと思うが、引き分けた場合は後半に弱いヤツと当たるスイスが有利

06-12
●17時〜23時近く、国境なき医師団JAPAN元会長・臼井律郎と久しぶりに西早稲田かわうち。渡部雄一が鮎の塩焼きを出してくれる。話題は、普天間、日本の政治、メディアの役割(「ジャーナリズム」「社会の木鐸」のルーツ)、ザ・コーヴ、シー・シェパードの逮捕話、MSF(国境なき医師団)、とくにオランダ人医師が人質に取られた件、フランス流の議論・会議の仕方(なぜ彼らが他と大きく違うか)、古代日本のルーツ、古代の対朝鮮関係、イスラエルと日本(アメリカ庇護下の国際的KYとして、よく似ている)、ジャレド・ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』(1998年度一般ノンフィクション部門ピューリッツァー賞)をめぐって、多磨全生園(ハンセン病の国立療養所。中高同期の臼井も村上龍司もここの医者)、終末期医療、安楽死、日本の医療費についてなど、あれこれ
●臼井律郎の本は、「出す」といってくれている出版社があり、必ず出します。臼井「好きに書いて」坂本「いや、そうもいかん。著者は臼井だぜ」と。これまでのインタビューテープは10時間分以上あるかな。今回も、いい話で微妙な(ヤバい)話が結構あったので、レコーダーを回せばよかった

06-11
●10時40分〜日大授業。『オリンピア』第二部後半を見せるつもりが、普天間、アメリカにとっての米軍基地の意味、イラク戦争、メディアの役割、『ザ・コーヴ』問題などを話しているうち時間切れ。映画は次週。議論の中身は、日本大学芸術学部放送学科「放送特殊研究V」ブログ テレビ報道を考える!!(11日付記事)をご参照
●亀井静香が辞任。亀井という人物に私は会ったことはないけれども、人柄や人間、つまり感情・情緒・人情といった側面では魅力的というか、「いい男」なんだろうと思います。お人好しで、好人物。ところが、戦略的思考や、知的・合理的でクールな判断力には、欠けるところが大。お人好しすぎて足下をすくわれるということが、ままある
●最大のそれは、小泉純一郎に裏切られたことです。小泉政権ができる直前の自民党総裁選に立候補したのは小泉、橋本龍太郎、亀井静香の3人。小泉は「自民党が変わらなければ、私がぶっ壊す!」と絶叫。田中真紀子の応援もあって、予備選(地方投票)で優位に立った。しかし、本選(国会議員投票)で亀井が橋本と組めば、小泉は勝てない。そこで中川秀直と安倍晋三が使者に立ち、亀井を小泉陣営に取り込む工作をした。このとき中川・安倍は「小泉は100%あなたに相談する。だから小泉を推してくれ」と亀井を説得。亀井も相変わらずの経世会、しかも2回目の橋本よりは、小泉に乗ろうと考えて、総裁選から降りた
●だから亀井静香は、小泉政権の生みの親の一人であり、小泉純一郎の大恩人なのです。ところが、小泉は組閣のとき、(従来の自民党の常識では)副総理格で入閣を求めても何の不思議もない亀井に、一切相談しなかった。それどころか亀井派の平沼赳夫に、亀井の頭越しに政調会長就任を打診し、亀井は激怒。このとき徹頭徹尾無視されて、亀井は「反小泉」になった。以来、郵政がその典型ですが、小泉純一郎のやろうとしたことに徹頭徹尾反対するのが亀井静香の立ち位置。理屈や合理性は抜きに、そうなのです(以上、詳しくは、田原総一朗著『日本政治の正体』朝日新聞社に書いてあります。これは田原の聞き書きをまとめ、09年の総選挙前に出した本。ついでながらこの本には、田原総一朗が官房機密費1000万円を、どこでどんな女性から、どのように渡され、どのように返したかが、詳細に書いてあります。ちゃんと京都の政治家と推測できるようにね。あと、田原が田中角栄から渡されて早坂茂三に返したカネは、ありゃ官房機密費じゃない。角栄が自分の金庫から出してきたカネで、封筒には角栄のハンコがドーンと押してあった。このことも書いてある。おもしろいですよ。念のため、官房機密費は、政府首脳に対するいわゆる「ご進講」とかアドバイスの報酬として、つまり漠然と「よろしくね」と渡すのではなく何かの対価として支払われる場合がある。支払先リストに載っている全員が買収されているわけではないから、誤解なきよう)
●で、話を戻すと、菅直人という人物は、理想主義者のようで、ちゃっかりリアリストの面がある。なので参院選以降は、亀井がやり過ぎれば、民主党が国民新党を切るシナリオがありうるでしょう。小泉は、党内に亀井を代表とする抵抗勢力を作り、それと戦っている姿を国民に見せてウケた。同じように民主党内で、党内に敵を作り、それと戦っている姿を国民に見せるとウケる。これが「非小沢」です。田原によると、かつて菅直人は「野球でいえば、小泉と戦っているのは自分たち野党なのに、マスコミはベンチの中の内輪ゲンカばかり報じている」と嘆いた。これ、いまは谷垣禎一の心中でしょう
●ところで、郵政民営化の見直しは完全にイカレていると、私は思います。民間を圧迫してよくないから郵貯は500万円までに制限せよというのが、民主党の本来の主張。それが日本の全銀行の中で、ゆうちょ銀行だけが2000万円+利息まで保証する(他銀行はすべて1000万円+利息まで。潰れたときペイオフされる金額)なんて、アホで不公平な話はありません。地銀や信金のカネが郵貯に流れて倒産騒ぎを招きかねない。郵政問題はアメリカがWTO(世界貿易機構)に提訴し、日本は確実に負けるだろうとも思われている
●郵便局は親方日の丸で、民間のように働かず、税金も払わず、赤字が積み上がっている。国家公務員なのに世襲制なんて、北朝鮮と同じでヘンだ。使途を問わない「渡し切り費」1000万円などという怪しいカネを国庫から(税金から)全郵便局にバラ巻き、郵便局が組織的に自民党の選挙活動をするのはおかしい──これらが郵政民営化の理由であって、近代国家ならば民営化して当然。その民営化をなるべくもとに戻して、プラスがあるとすれば、郵便局の票をもらえることくらいでしょう。でも、そんなのは数十万票やたかが100万票単位の話、ミニ政党の何人かが当選するかどうかという話であって、国政の大勢には影響しない
●このあたりの民主党の見通しの悪さは、普天間問題でも同じです。民主党は、09年の総選挙で「最低でも県外」と言わなくても、「政権交代」とだけ言っていれば、政権を獲得できた。当欄で繰り返し述べているように、「郵政民営化をやる」と言った小泉純一郎に300超の議席を渡したのも、「政権交代をやる」と言った鳩山由紀夫に300超の議席を渡したのも、間違いなく同じ日本国民なのです。政権を獲ろうと思う者は、ここをメイン・ターゲットにしなければ
●私は、郵政民営化をちゃんと説明さえすれば、依然として過半数の国民が支持すると思います。だって、民営化して悪いことなど、ほとんどない。JR西日本の大事故は、「民営化が悪い」んじゃなくて、「JR西日本という民間会社が悪い」のです。この二つは違う話でしょう? 国営じゃないと郵便が届かなくて心配? じゃあメールは? コンピュータなんて大事なものを、民間会社どころかアメリカの会社にすべて丸投げして、なんで心配ないわけ? 「民営化で効率ばかり追求され、地方が切り捨てられる」ともいう。そんな過疎地の郵便事情の改善に必要ならば、国費を投じればよい。しかし、なんで全国一律に(都市部も地方も)郵貯は2000万円、他の全金融機関が1000万円? 国民サービスの劣化をどうするかという問題とは、まるで関係ない話でしょ。郵便局に対する不当な利益誘導以外に、理由はないでしょう
●サッカーW杯が開幕。南ア-メキシコは、ブーブーなしの中立国でやれば、メキシコが勝つと思う。1-1まで持っていったのは、強い。G・ドスサントスってえらく若い、女の子のような顔をした選手は、なかなか。フランスは「仏国籍アフリカ出身選抜」みたいなチームですね。アフリカの黒人選手たちは、たらたら走っているように見えて最後の2〜3歩とか、ひょいと出す1歩の「質」が違うように感じます。「届くか、それ」と思うボールに、ちゃんと足がさわる。A組は順当ならばフランスとメキシコが勝ち上がるでしょうが、南アがフランスに勝てば南アとメキシコと見た

06-10
●『ザ・コーヴ』問題。NHKサイトがまとまっているので、ご参考まで。◆イルカ漁映画 上映会とシンポイルカ漁映画出演者 理解訴えイルカ漁映画 上映中止広がるイルカ漁映画 配給会社が対応
●NHKによれば、昨9日の上映会で「映像ジャーナリストの綿井健陽さんは『太地町の人にとってはイルカ漁も生活の一部で、彼らの言い分も伝えるべきではないか』と指摘」したそうだが、まあ、これはわかっている綿井の、何というか一種政治的な、配慮をきかせた発言でしょう。あるいは「(この映画の中では無理でも)太地の人びとの言い分は別の方法(たとえばテレビ、別の映画、シンポなど)できちんと伝えるべきだ」という趣旨かも(綿井は7〜8日と太地町を取材したそうだから、自分でやろうとしているのかも。私は昔、太地町に行き、クジラ博物館もイルカショーも見たが、イルカ漁には気づかなかった)。それならば大賛成。というのは、「この映画の中で」太地町の人びとの言い分を伝える必要など、全然ないからです。必ずそうしなければならないならば、たとえば、バクダット空爆のうち誤爆で苦しむイラク民衆を描く映画について、「米軍兵士にとっては空爆も生活の一部で、彼らの言い分も伝えるべきではないか」と言えるわけ。そんな馬鹿な! そんな必要は、まったくない
●広島の原爆で苦しむ人の映画の中で、米軍の言い分を伝える必要などない。水俣病を描く映画の中で、原因者のチッソや、自分たちの責任を長く認めなかった日本政府の言い分を伝える必要などない。ある右翼がある信念から誰か悪人を暗殺したとして、その右翼を描く映画の中で、殺された人物の言い分を伝える必要などない。誰かが靖国神社礼賛映画をつくったとして、その映画の中で反靖国論者の言い分を伝える必要もない。永山則夫の獄中の肉声を伝えるドキュメンタリーの中で、被害者遺族の言い分を伝える必要もない。「映像製作者は、必ず両論併記しなければならない」なんてルールは、世界のどこにもありません。放送には、それらしいものがあるが、それは放送全体として。単一番組の中で、ではない! しかも放送は勝手に家庭内に入り込んでしまうからで、カネを払って見たいヤツだけが見る映画とはルールが異なる
●そもそも本には256ページめど、映画には90分メドというような限界がある。自分は一方の言い分を伝えたいのに両論併記したら、スペースが半分になるから、まあインパクトやら根拠の説明やらも半分になる(喩《たと》えですよ、喩え)。わざわざそんなことするドキュメンタリ作家やノンフィクション作家なんて、いるはずないじゃん。当然おもしろさも半分になり、本の売れ部数も半分になり、収入も半分になりかねないからね。過去に評価が高かったドキュメンタリー映像、ノンフィクションやルポルタージュ書籍を、落ち着いて振り返れば、ほとんどすべて一方的な言い分であることは明らか。作者が、ある人物や民衆に入れ込み、魂が乗り移ったようにつくるからこそ、よいものができる。そうせずに両論併記しろなんて主張は、表現とは何かがまったくわかっていない愚論。それは「表現の自由」以前のレベル
●もちろん、映画に描かれた人びとに対する「人権侵害」「違法行為その他」があれば、これはまた別の問題。それは名誉毀損でも何でも訴えればよいし、地元メディアその他を使って自分たちの言い分とやり方を広く伝えればよい。映画の製作者も、それは望むところでしょう。自分たちが逮捕されたとしても、あのイルカ追い込み漁をやめさせることができれば本望だ、と思っている連中がつくった映画なんだから
●昨9日夜7時半〜8時のNHK『クローズアップ現代』は、たいへん興味深かった。ずっと私が大切に考えている「歴史的視点」、先日小林道雄とも話した「来歴の重要性」につながる内容であるうえ、NHKそのものの問題点も浮き彫りにする番組だったのでご紹介(録画はしておらず、ぐちゃぐちゃの走り書きメモから。荒っぽい点はご勘弁。発言者の取り違えがあれば、ご指摘を)
●テーマは「イラク戦争を問う〜英国・検証の波紋〜」。アメリカの同盟国としてイラク戦争に参戦したイギリスで、昨年から戦争参加を問う検証が始まった。歴史学者、元外交官、議員ら5人による独立調査委が、機密文書へのアクセスも認められ、ブレア元首相はじめ関係者80人以上に公開聞き取り調査し、すべてネットに出していく。元官房長官「いったん決定されるとくつがえす意見が出ず」、閣僚「内閣ではまともな議論がなかった」など、戦争をめぐる判断、政治(決定)システムの問題を問う証言も。◆The IRAQ INQUIRYブレア元首相の証言ビデオ(6時間以上!)
●英オックスフォード大アダム・ロバーツ教授の見解……【国谷裕子《くにや・ひろこ》インタビュー:検証の意義は?】開戦時、政府内で意見が分かれていたことを認識。日本人もそうだろうが、英国民は米のプードルはイヤ。決定に問題がなかったかを問うことに。【透明性については?】意義深い。重大な事実を学んだ。内閣顧問の国際法専門家が、国連決議に基づかない参戦にハッキリ反対していた。【なぜ英は独自の視点を出せず?】労働党政権とリーダーシップの問題。歴史的視点がなく、過去と似ているのに学ばなかった。独裁者さえ排除すればよいのだと思ってしまった。【安全保障上、どんな問題が?】政府に危険があるとわかった。【最大の教訓は?】日本も参考になるかも。国際的に他国の言いなりはよくない。少なくとも英首相は米に従うと決めた。イラクでは1920年代に苦労したが、その歴史に学ばなかった。【今後、軍事的な判断をしにくくなる?】可能性はある。その場限りでなく、数年後でも国民にきちんと説明できる政治決定が必要だ
●英ロンドン大ギアソン教授の見解……密室での決定ではダメ。公開の流れができた。もう後戻りできない
●防衛大・等松春夫教授の見解……【国谷インタビュー:意義は?】歴史的視点の重要性。英はイラクでそれを忘れた。日本で深刻なのは65年前の検証をしていないことだ。【日本の安全保障の軸は?】主体性を持つことが肝要。それとリアリズム(バランスの取れた現実感覚)
●局取材……イギリスでは過去200年間、大戦争のたびに検証・記録作業がなされてきた。最初は1800年代はじめのナポレオン戦争で、軍事作戦の成否など。1982年フォークランド紛争のときは、国民の戦争支持が強くイマイチ。最近では政治判断まで問うように。イラクでは英軍戦死者178名。アフガンに転戦し戦闘中だから、なおさら。年末には報告書がまとまる見込み。
●ここからは坂本の見解。政治家個人の判断の是非を問うたり、責任を追及するのでなく、どのような政治決定システムが機能した(または、しなかった)かという事実を各方面の証言や機密文書から検証するのは、よいこと。議院内閣制で、首相や内閣のあり方が似ている日本は、おおいに参考にすべき。民主党政権は普天間問題で、政治とカネ問題で、これをやれ! どちらも自民・民主ともに問題があった。「個人の責任は問うが、罪は負わせない。なぜなら政治的立場に拘《かか》わらず、みんなが間違えた問題だから。政治システム全体が二度と間違えないようにするため、問題を浮き彫りにし、反省することが目的だから」というスタンスで、検証し報告書をまとめればいい
●ところで、番組ではゲストから「日本は65年前の戦争を検証していない」という話が出た。しかし、イラク戦争に参戦はしなかったものの世界最速でアメリカへの全面支持を表明し、イギリスに次ぐ軍事的貢献をした(バクダッドに最初にトマホークを撃ち込んだ駆逐艦/イージス艦も、5000回も攻撃機を飛ばした空母も、横須賀や佐世保から出撃していった)日本国の政治決定の検証は? あの企画をやって、小泉内閣の「こ」の字も出ないというのは、いったいどういうわけか? NHKの「他人事報道」には、いつもながら呆れます。30分の枠に収まらないなら(収まらないと思う)続編で、あるいはNHKスペシャルで検証すべきです
●NHKがよく番組化し検証するのは、たとえば40年以上前に連続ピストル射殺事件を起こし13年前に刑執行された死刑囚との対話、2000年前からの朝鮮-日本問題、65〜70年前の大日本帝国海軍の問題といったもので、それぞれ今回のギャラクシー賞大賞、特別賞、優秀賞を受賞した。作品だけを見れば、確かに受賞に値するよい出来。いずれも部厚い取材を重ねた、きわめて完成度の高い番組で、民放には到底つくることができない。しかし、いかんせん、話が古い。「歴史的視点」は重要だが、「現在」あっての視点のはず。NHKは、こうした番組と同時に、歴史的視点から「いま」を問う番組をつくるべきです。なぜ『死刑確定囚109人との対話』『シリーズ普天間の15年間』『自衛隊幹部の証言100時間』という番組をつくらないのか? あるいは、なぜつくれないのか? 私は4年間、ギャラクシー賞報道活動部門の委員長でしたが(この6月で4年の任期を終え退任予定)、以上のことは、ギャラクシー賞選奨委員たちにも強く訴えたいと思います。テレビを映画のように、完結した作品とだけ見ると、大事なことを取りこぼしてしまう。放送全体を見て、歴史的視点を踏まえた現在を問う批評が必要だと、私は考えています
●2005年にアスコムから出た(現在は改訂版が新潮文庫刊)『日本の戦争力』は、軍事アナリストの小川和久が坂本の質問に答えるかたちの本で、たとえば次のような問いが並んでいます。
◆イラク戦争を日本はいち早く支持しましたが、国内には反対の声も少なくなかった。このときの日本のイラク戦争支持は筋が通っていたと思いますか?
◆平和主義を掲げる日本は、イラクに首相級の特使を派遣するなどして戦争を回避する努力を惜しむべきではなかったですね。開戦前に、マスコミがそのような独自の努力をせよと提言してもよかったはずだが、それもなかった。日本は今後、そういうことがいえるようになると思いますか?
◆米英がイラク戦争に踏み切る最大の理由とし、日本がイラク戦争を支持する際の理由でもあった大量破壊兵器は、核も生物・化学兵器も存在しなかった。戦争支持の理由が崩れたとは、いえませんか?
◆開戦直後(2003年3月27日)の小泉内閣のメルマガには「問題の核心は、イラクが自ら保有する大量破壊兵器、生物兵器、化学兵器を廃棄しようとしないこと、国連の査察に無条件、無制限に協力しようとしないところにあります」という小泉首相の言葉が載っています。後半部分はよいが、前半部分は言い過ぎだったのでは?
◆ブッシュ政権がイラク戦争を正当化するために示した根拠は、(1)サダム・フセインは多くの国連決議を踏みにじり大量破壊兵器を保有している、(2)イラクを残忍な独裁者から解放すべきである、(3)フセインはアルカイダなどのテロ集団に大量破壊兵器を提供する恐れがある、の3つでした。2003年のブッシュ大統領の年頭教書演説、同年2月5日のパウエル国務長官の国連安保理演説でも、そう主張しています。この3つのうち、日本が国として乗っても構わないのは(3)だけで、残り2つはまずいわけですね?
●こういうことを私は以前から考えており、いまだに「検証が必要だ」と思っています。まあ、以上は単行本だから角を丸めてある。イラク開戦の2003年当時、私が編集長を務めていたGALACの連載はもっと過激。なにしろ、「ブッシュのアメリカが馬鹿な理屈で対イラク開戦 北朝鮮攻撃も支持するのか?」ってタイトル。「この戦争を見て北朝鮮は核武装を考えるに決まっている」と断言したら、それが現実となった。これは取材力の問題ではなく(その時点で取材したって、そんな事実は出てこない)、想像力の問題。そして歴史的視点の問題でしょう。北朝鮮によるとされる韓国哨戒艇撃沈事件を見ても、「似たような事件はなかったっけ?」と考える癖をつけるとよい。張作霖爆殺事件、盧溝橋事件、トンキン湾事件、ラングーン事件、大韓航空機爆破事件とか。どれも少しずつ似た点があるのでね
●忘れてましたが、サイトの制作環境/ハード編サイトの制作環境/ソフト編のページを更新。なぜ日本製PCが高価格なのかと疑問に思っている方は、ハード編をどうぞ

06-09
●半年ほどサイト更新をサボって、何かいいことでもあるかしらんと思ったのですが、とくに何にもない。そこで、突然ですが、再開します
●まずは、3月以降に書店に並んだ小川和久著『この1冊ですべてがわかる普天間問題』(ビジネス社刊)の話から。この本は、昨年末、軍事アナリストの小川和久が「鳩山首相から直接電話があり、11月16日に官邸で会って普天間問題をレクチャーした」というので、「小川さんのレク内容を含む普天間問題についての考え方や、96年以降に関わってきた経緯を、誰か本にしたいと言ってきましたか?」と坂本がたずね、「誰も何も言ってこない」「では、私が出版社を探し、原稿をまとめますから、本にしましょう」と単行本にしたもの。坂本による小川インタビューは10年1月8日の半日1回だけ。テープ起こしが上がってきたのが1月20日。2月に入ってから書きはじめ、18日には最終原稿を渡し、あとは小川和久が細かい点を修正しました
●ご参考まで、その後の経緯を書いておきます。3月20日には鳩山由紀夫が官邸で小川和久に「普天間問題担当の首相補佐官に就任してほしい」と要請。この話は『週刊文春』6月3日号、『週刊朝日』6月11日号が書いた通り、佐野忠克・首相秘書官(政務担当)ら(平野博文・官房長官も、でしょう)の反対で潰れました。その後、小川和久は5月の連休中に「民間人」として訪米し、各方面と交渉したようで、これが5月の日米政府合意に至ります。鳩山前首相が5月4日、沖縄で「学べば学ぶほど(海兵隊はじめ沖縄の米軍が)連携して抑止力を維持しているのがわかった」と述べたのは、何に学んだかというと、この『この1冊ですべてがわかる普天間問題』という本に、です。直前に、小川和久が「この本の、とくに3章と4章を念入りに読んでほしい」と伝え、前首相はその通りにして、あの発言に至ったと聞いています
●この本は5月19日に2刷が決まりました。民主党政権であれ自民党政権であれ、この本に載っていない解決策を導き出すことは、きわめて難しいだろうと、私は思います(注:もちろんこの本には、「辺野古に移設せよ」などとは、書いてありません)。もちろん、そう思ったから本にしたわけです。菅内閣に変わっても、この本の鮮度は全然失われていないと、私は確信しています。というか、少なくとも新聞・雑誌記事やテレビの解説より説得力があることは、企画・構成を担当した私が保証致します。メディアは、誰某《だれそれ》が嘉手納統合案を言った、長崎はどうかと言った、グアム・テニアンがいいと言ったと報じるだけでした(首相のクビが飛ぶほどの大問題なのに、普天間問題で2時間スペシャルや、3夜連続特番なんかを放映した放送局がいくつあった? なんで、ないわけ? おかしくね?)。しかし、この本には「これこれの理由で無理だ」と、ちゃんと書いてありますので。さらに言えば小川和久は、ただ軍事専門家というだけでなく、1996年段階からこの問題にかかわってきた当事者なのです。網羅的でわかりやすい普天間問題の入門書としても、これまで出た本の中で最良のものの一つと信じます。興味がある方は、ぜひお読みください。とくにメディアのみなさん、本書の内容くらいわかったうえで記事を書き、レポートしてください
●ところで、たぶん「県内移設以外の選択肢はほとんどない」ことに、鳩山由紀夫は11月中頃には気づいていたように思います。小川レクを受けた直後の09年11月下旬に「自分で決める」と発言していますから。ただ、その後はブレまくった
●そもそも昨年夏の民主党マニフェストには、「普天間の県外・国外移設」が明記されていない。実は、このあたりから話はおかしいのです。この点は、本を書くとき念入りに調べました。マニフェストに言葉は出てこないものの、首相発言や民主党「沖縄ビジョン2008」の内容からして、「普天間の県外・国外移設」は事実上、民主党の選挙公約だったというべきです。沖縄選出の民主党議員は全員が「普天間の県外・国外移設」を訴えて当選したのだから。それをマニフェストに明記しないのは妙でしょう。だから、前首相も不勉強だったが、沖縄ビジョンを策定したりマニフェストを策定した民主党議員たちも、同じように不勉強だったと思います。普天間返還合意から14年間も何もできなかったのは自民党政権ですから、自民党議員たちもエラそうなことは言えないですね
●じゃあ、どうすりゃいいんだという話は、また今度

06-08
●7日午後10時すぎ、私も賛同者に名を連ねている「〔緊急アピール〕映画『ザ・コーヴ』上映中止に反対する!」の声明文が送られてきました。5日にチラと述べた、草案に対する私の主な意見は以下
◆全編を通じて「です・ます」調のほうが、高圧的なもの言いをする上映中止圧力側と同じレベルにならず、好ましいと私は思います◆映画『靖国』と似ているとは、言わないほうがよいと私は思います。「『靖国』と同じ。反日映画だ」と言いたいのは右翼だからです。右対左なんて関係ないという立場なのだから、わざわざ上映中止圧力側と同じレベルに近づく必要はないでしょう◆「公開国の人びとと日本人に情報ギャップ・断絶が生じ、海外の人びとが日本にどんな印象を持つかという日本の利害・国益に直結する問題を、日本人だけが考えない結果になってしまう」という趣旨を盛り込むのがよいと思います
●私はこの映画を、アジアプレスの綿井健陽から知らせをもらい、4月8日の試写会で見ました。会場には佐藤忠男もいたようで、試写終了後、配給会社アンプラグド代表の加藤武史、アジアプレス野中章弘、元TBS下村健一、綿井健陽の5人でしばらく立ち話。そのとき私が話したことは、「おもしろい。アカデミー賞を取るだけのことはある。あのようにおもしろがらせる手法を、ドキュメンタリー制作者はもっと学んでいい」「カネがかかっていてすごいね、あの機材。日本のドキュメンタリーでは考えられない」「本来なら、この映画が描く問題は、地方の放送局とか、日本の誰かが撮影していてもおかしくない。しかし、注目した日本人は(私の知る限り)誰もいなかった。ここは考えどころだ」「もちろん見せないのには反対。広く見せて議論すべきで、上映中止なんてダメ」「途中、日本語の解説が何か所か入った。あれは、海外版に入る解説は英語のまま日本語字幕をつける、日本版にだけ入る解説は日本語で流すというように、峻別したほうがよかった」など。8日は久しぶりに綿井健陽と秋葉原ヨドバシ上の串カツ屋で一杯
●さらに田原総一朗を誘って、5月17日の試写会にも行きました。田原は「おもしろい。あの情熱はすごいね。あの情熱は、どこから来るんだろう? ただ、結局は、文化の違いという問題だと思う」てなことを言っていた。対して私が言ったのは、以下
●この映画は「わんぱくフリッパー」のイルカ調教師の物語、彼の反省記であり(後)半生記だ。イルカを手の中で亡くした彼の情熱が第一でしょう。盗撮プロジェクト参加者それぞれが、イルカとの強いつながりを持っていることが第二。第三に、支援団体のカネと力じゃないかな。田原さんは「文化の違い」という。でも、作中でも言っているが、あのイルカ漁は日本の伝統・文化なの? 私は、そこは疑問。クジラ漁は江戸時代にやっていたが、イルカの追い込み漁は戦後だし、日本人が知らない話だし。たとえば犬を食うのは、中国や朝鮮の文化でかまわないし、食いたきゃ食えばいいと思うけど。でも、中国や朝鮮のどこかの街の袋小路に、中国人や朝鮮人が100匹からの犬を追い詰めていき、片っ端からバットでブチ殺して血しぶきが上がる映像が全世界に流れたら、まあ、そんなやり方はやめたほうがいいんじゃないのと、誰でも思いますよ。犬の肉好きでもそう思うはず。それと同じでしょ
●二つ三つ付け加えると、映画『ザ・コーヴ』は「反・イルカ追い込み漁映画」であり、その意味で「プロパガンダ映画」「宣伝映画」です。この点は、制作側が映画の中で「太地のイルカ追い込み漁をやめさせるために作る」と明言している。で、私は、宣伝映画やプロパガンダ映画は見る価値がないとか、上映すべきでないとは、まったく思いません。現に、いま日大放送学科の授業では、もっとも成功したナチ(その親玉がヒトラー)のプロパガンダ・宣伝映画『オリンピア 民族の祭典/美の祭典』(注:リンク先には全面的ネタバレあり)を、3週にわたって学生に見せています。その前は、戦前の日本の主だった国策映画(プロパガンダ・宣伝映画)を見せた。1929(昭和4)年『日いづる國』、1939(昭和14)年『靖国神社』、1943(昭和18)年『学徒出陣』とか(何を見せ、学生たちがどんな感想を抱いたかは、上のリンクを参照。日大3〜4年生は、戦前の映像をとても素直に受け入れていて、おもしろい。愛國行進曲を歌えるようになっちゃった、という学生もいると)
●ところで、映画『ザ・コーヴ』は、露骨な「反日映画」には見えません。当たり前でしょう。反日色を強く打ち出したら、日本人を敵に回し、映画の主目的である「宣伝」に差し障りますから。これは1938年、ということは第二次世界大戦勃発の前年に制作された『オリンピア 民族の祭典/美の祭典』が、反英米映画でも反仏映画でもないのと一緒。プロパガンダ・宣伝映画なんだから、アメリカ人も喜ぶように作ってある。これはテレビCMも同じで、宣伝なんだからおもしろく、なるべく反発が出ないように作るわけです
●もっとも、この映画は間違いなく「反『太地のイルカ追い込み漁師』映画」です。つまり、漁師たちを悪役に仕立ててある(注:日本版では日本人の顔をボカし、特定できないようにしてある)。すると「だから、イコール反日映画だ。なぜなら太地の漁師たちは、私たち日本人の一部、私たちの仲間なのだから」と思う人もあるかもしれない。しかし、その考え方はヘン。間違い。その考え方に基づくと、水俣病映画は(日本人が勤めるチッソという日本企業を悪役にしているから)「反日映画」、反原爆映画は(投下したアメリカを悪役にしているから)「反米映画」という話になってしまうのでね。そんなことは、ありえない。まして、上映中止を求める理由にはならないでしょう

03-10
●以下、毎日サイト2010年3月9日20時58分記事
 見出し 地デジ:アナログ一時停波し警鐘 政務官が検討指示
 本文引用ここから→  地上デジタル放送への切り替えを促すため、長谷川憲正・総務政務官はアナログ放送の一時停止の検討を指示した。デジタル対応への遅れを視聴者に認識させる荒療治として、米国でもアナログ停波を実施したことがあるが、実現には曲折がありそうだ。
 地デジ対応受信機の世帯普及率は、09年9月時点で69.5%と、目標の72%を下回っている。ビル陰などの受信障害がある世帯が利用している共同受信施設(共聴施設)に限れば、地デジ対応は25.8%と、10年3月末の目標値50%の半分にとどまっている。
 9日の政務三役会議で長谷川政務官が「政府のCM枠内ででも『今から10秒間、アナログ波を止めます。止まった方は地デジに非対応なので早急に変更を』と呼びかけられないか、事務方に検討してもらっている」と説明した。
 石川県珠洲市では今年1月、48時間にわたってアナログ波を実験停止したが、大きなトラブルはなかった。ただ、ある放送局の広報担当者は「全国一斉では苦情が殺到するのでは」と話す。【望月麻紀】 ←本文引用ここまで 
●記事中の長谷川政務官は、昭和42年に郵政省に入り、九州郵政局人事部長、四国郵政局長、東海郵政局長、大臣官房国際部長、郵務局長、郵政審議官など歴任した典型的な郵政官僚上がりの政治家です。郵政省(現・総務省)が国民の都合を無視して決めた杜撰《ずさん》な地上デジタル放送計画の問題点を棚上げにして、テレビを10秒切って国民を驚かせてやれという身勝手で馬鹿げた考え方には、なんともあきれ果てます
●この政治家は、郵務(郵便行政)出身だから無理もないというべきか、テレビが重要なライフラインであることを、まったく理解していません。もちろん放送を切る10秒間の前後に巨大地震が来て、秒を争う緊急地震速報が伝わらない恐れがある。この一点だけでも、放送を切ってはならないし、切ることはできない。阪神・淡路大震災級の地震が襲い、地震速報が出なかったことによる死傷者が出たら、政務官はどう責任を取るつもりだという話。そこを考えていないのだから、国民の安全を守るべき政治家として無責任きわまりない。この無定見な郵政官僚上がりの政治家の発想は、椿発言事件を伝えたサンケイ新聞に載った当時の放送行政局長の「停波もありうる」という身勝手な発言を思い起こさせます。こんな連中が地上デジタル放送計画に関わっている限り、2011年7月24日にアナログ放送の停波などできるはずがないと、私は確信しています
●CM枠を買った政府の関係者が、その枠であれば放送を切ることができるのではないかと思うのも、愚劣な発想です。問題は、放送事故と間違われて苦情が殺到することだけではない。毎日の取材に応じた放送局の広報担当者は、全然わかっていません。それは、放送の自主自律を損ねるとんでもない暴挙であって、放送局のトップ全員がそろって「ふざけるな!」と抗議すべき話。違いますか? CM枠を買ったヤツが放送を切っていいなら、カネさえ出せば民放を止めることができるわけです。民放なんてその程度のメディアだと政務官が思っているようだから、民放は「バカにするな」と意思表示したほうがよいでしょう。たとえば私のサイトは、カネをいくら積もうが止めることはできない。民放も、うちは言論報道機関だからカネには左右されないよと言うべきです。「政府の命令には黙って従うメディアだ」と思われたくなければ
●どうでもいいけど、もう一つ問題なのは、政府CMを見ている人の数がきわめて少なく、効果が期待できないだろうということですね。仮にNHK紅白をブチ切ったとしても、そのときテレビ(NHK以外を含む)を見ている世帯の半分にも伝わらない。だから、そもそも全世帯の半分がテレビを見ていなければ、4分の1にも伝わらない。どの時間の政府CMを想定しているか知らないが、仮に視聴率が3〜4%の番組なら、日本の世帯の40分の1に伝わるかどうかという話になる。それは125万世帯を驚かせるかも、という程度の話。政府の主張通り地デジ世帯普及率が70%もあるなら(もちろん非現実的で過大な見込み数字です)、アナログ40万世帯がビックリするかもねという話。少なくとも1500万世帯、おそらくは2000万世帯以上のデジタル化をどうするかが現在の問題ですから、効果があったとしても誤差の範囲内のバカ話。まあ、ようするにテレビのことをよく知らない総務政務官が、くだらない妄想のたぐいを事務方に検討させているわけです
●もうちょっとテレビのことを知っていれば、たとえば画面を真っ黒にしてデカい字幕を出し、「ご覧の放送はアナログ放送です。この画面が表示された方は、地デジに非対応なので早急に変更を」とやったらどうかと、提案するのが当たり前でしょう。でも、そうであればれは現在やっている地デジCMの見せ方を工夫しろという話にすぎない。推進協会にそう言えばいいので、事務方に言うべき話ではない。ただ、それをやって、本当に2011年7月24日にアナログ放送を切ることができなければ、「なんなんだ、テレビの嘘CMは」という話になってしまう。テレビは嘘の広告や誇大広告は流してはいけないことになっている。いつ 「2011年7月24日にアナログ放送は終了する」という表示をいつやめるか検討しているときに、そんな話に民放が ほかに有効な推進策がいくらでもあるのに、なんで思いつかないんでしょうね
●ついでに不思議なのは、放送行政に関与している総務省の役人なら、以上に書いたことくらい知っているでしょう。私が20分ほどで書いたんだから、総務省の事務方も1時間でメモをまとめて政務官に提出すりゃいい。誰が何日間くらいかけて検討するのか知らないが、税金のムダづかいです

01-08
●14〜17時半、小川和久、岩谷健一と普天間緊急本の作業。引き続き新年会@かわうち

01-07
●12時45分〜琵琶湖塾スタッフの奥野修、山崎弘、堀江?と過門香・赤坂溜池山王店でランチ。13時〜田原総一朗と2010年の琵琶湖塾打ち合わせ、ゲストの人出し。14時〜田原、アスコム高橋克佳、小林英史と『オフレコ!』打ち合わせ、巻頭言や後記の取材

01-06
●午後『オフレコ!』原稿書き。

01-05
●午前中『オフレコ!』原稿書き。午後、サイト更新。夕方、奥沢の実家へ

01-04
●国際政治・軍事アナリストの小川和久と(仮タイトル)『緊急出版:どうする!? 普天間移設!』をビジネス社から2月末メドで出すことに。鳩山由紀夫は「中央公論」2008年2月号の小川論文を読んで電話を寄こしたそうで、09年11月16日には小川和久が首相官邸に出向き、普天間問題を40分ほど説明しています。同じ日に日本記者クラブでも講演している。『日本の戦争力』でも何度か普天間問題に触れているので、「普天間問題ならばこの1冊!」というのを速攻でやりませんかと坂本が企画。時間もないので100ページほどのブックレット版で、税別価格952円を予定。年末企画が2月末に本になるというのは、月刊誌なみ(GALACよりハッキリ1か月以上速い)
●18時〜劇団ロロの芝居『LOVE』@王子小劇場。演劇をやっている娘が制作と演出助手のほか、ちょこっと出ると。おもしろい芝居。光の演出がたいへんきれい。照明、音楽、音、小道具の使い方はうまいと思う。三つの愛の物語が同時進行するが、あれこれてんこ盛りで、盛り込みすぎた観も(なので、わかりにくかったり焦点がボケたりする)。劇団主宰で脚本・演出の三浦直之に、ちらとそう言ったら、思い当たる節があるような返答だった。日本大学藝術学部演劇学科の4年(だと思う)が、なかなかの才能。頑張ってと。八月もなかなかカワイイ

01-03
●午後、他のライターの『オフレコ!』原稿をチェック。手を入れて入稿するのに半日かかってしまった

01-02
●昼すぎ、神楽坂に戻って仕事。夜、『オフレコ!』榊原英資・竹中平蔵・田原鼎談原稿を送信

2010-01-01
●あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます
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2003-05-25
●リニューアル版運用開始。リニューアル終了まで2〜3か月かかる見込み。旧版は残しますサーバーから削除しました
2002-04-11
●ホームページ試験運用開始。キリがないので、未校正ありのまま見切り発車しました。あしからず
●以前のものは、≪総目次≫から日録メモ風の更新情報
●この欄、文中敬称略ってことでよろしく願います

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