軟骨魚類 全頭亜綱

軟骨魚類の現存種は全頭亜綱Holocephalimorphaのギンザメ目 1目3科6属、板鰓亜綱Euselachiiのサメ類 9目34科105属・エイ類 4目います。 シルル紀の地層から最初期の鱗化石が、決定的となるデボン紀前期の化石ではすでに系統樹が全頭亜綱と板鰓亜綱に枝分かれしていました。

Janassa bituminos
Janassa bituminosPetalodontiformes
石炭紀~ペルム紀 / 国立科学博物館

上顎が頭蓋骨の腹面と一体型というか全接型なので「全頭」と名付けられた全頭亜綱のギンザメはサメとは違います。サメではなくてギンザメです。ざっくりした特徴は 1枚の鰓蓋の中に4対ほどのエラ、胃袋が無く、大きな後基鰭軟骨と丈夫な第一放射線状骨で支えられた2重基底式の胸ビレは倒せるなどがあります。

ギンザメ
Hydrolagus colliei

現存する全頭亜綱はギンザメ目Chimaeriformesのみ。深海魚です。

ギンザメの学名キメラChimaeraとはギリシャ語のΧίμαιραがラテン語化したもので、ギリシャ神話の怪獣キマイラが由来しています。 体側面の側線がつなぎ合わせラインのようだったり、巨大な目、羽ばたきの様な遊泳、楯鱗が消失した粘膜の体表面など異なる生物同士を組み合わせたような容姿から、たまにSNSで釣りあげられたクリーチャーとして投稿されています。 身は唐揚げムニエル煮付けなど美味しいらしい。

ギンザメ
ギンザメの歯

ギンザメの背ビレは2基で1基目のみ有毒な棘があります。歯は底生性の貝類や甲殻類などを破砕する硬餌食に適した歯板型で、どことなく形状がネズミを連想させるので英語名はラットフィッシュratfish。 化石種では短く幅広いアゴに顎骨から離れて列で並ぶサメ型もありました。

ギンザメ目の化石種も含め、オスはの交尾の際に頭の前額部(ぜんがくぶ)にある多数の棘が密生した鉤状の軟骨突起を使ってメスを刺激し固定させるフックとして使用します。そのため腹ビレ内側の交尾器のほかに前額部の突起の有無でも雌雄判別することができます。

転がるギンザメ卵
ギンザメの卵

軟骨魚類の簡単な特徴

古代から現代へ サメやエイの仲間