アゴ振り三年

脊椎動物は8群に大きく分けることができます。四肢動物の哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類と、一般的に魚類とよばれる硬骨魚類・軟骨魚類、そして絶滅した棘魚類と板皮類。 魚類にはアゴがない無顎類もいますが、無顎類の中での進化過程で脊椎ではなく原始的な脊椎動物の構造の脊索で生涯を終える脊索動物も存在していたことから脊椎動物から除外されています。 脊椎動物は進化を通して海水域や淡水域、陸上などの環境に適応進化してきましたが、基本的な構造は変化しておらず 頭側の頭蓋骨に巨大な脳があり、脊椎によって支持された強固な内骨格を持ち、内臓臓器は腹腔内に宙づりに、腹側の心臓の収縮により駆動される循環系が発達している点などがあげられます。 そのため初期の無顎類は魚類というよりは、あくまでも魚類起源のグループとなります。

というのが前説で、硬骨魚類・軟骨魚類・棘魚類・板皮類の脊椎動物魚類群と、除外されている無顎類との最も顕著な違いにアゴの進化があげられます。ざっくり言えば脊椎動物魚類群はアゴのある有顎類。

無顎類の構造は、咽頭部の後方の両側にいくつかの上下一対になる弓状骨 鰓弓(さいきゅう)を持ち、これでエラの排出口である鰓孔(えらあな)を支えています。 初期の無顎類は上下の顎が無いためポッカリ開いたクチから海中や海泥底にいるプランクトンを吸い込み、鰓孔から排出する際に鰓弓に引っかかるプランクトンや、海泥底を吸い込み鰓弓に引っかかるプランクトンを濾しとる濾過食を行っていました。

鰓

有顎類はアゴその物を形作る顎弓と その顎弓を支える舌弓とで構成されています。このことからエラを支えていた鰓弓の一部が変化し、上下一対の顎骨になったというのが一般的な考えです。 アゴの獲得は咀嚼はできなくても、クチを開閉できることにより咬む力が著しく増大、大きな餌を逃がさず捕え、食い千切る攻撃力が生まれます。 このことが捕食者と被食者の生存的な軍備拡張競争での進化関係に拍車をかけ、その後の進化と多様性につながる世界が変わり出す第一歩となりました。