
ガー:分類図
水族館で泳ぎ回るサカナをイメージしてみよう。だいたいわたしたちがイメージするサカナは同じようなもではないでしょうか。放射線状に広がった鰭条に薄い膜のヒレをパタパタして泳ぐサカナ。 このヒレをしているのが条鰭類で、条鰭類をさらに細分化したのが約2万6800種以上からなる真骨類になります。地球上、ほぼ真骨類なのでイメージはこれかなと思います。
この真骨類より原始的な系統を全骨類といい、2つ合わせて新鰭亜綱というグループをつくっています。ガーは原始的な系統の全骨類に含まれ、その中でレピソステウス目レピソステウス科として分類されています。これを英語名に言い換えればガー目 ガー科。 この「科」の中で同質な集団をさらに細かく分類したものが「属」となり、アリゲーター・マンファリ・トロピカルジャイアントはアトラクトステウス属、スポテッド・ロングノーズ・ショートノーズ・フロリダスポテッドはレピソステウス属となります。
![]() 吻が太め ずんぐり体型 アトラクトステウス |
![]() 吻が細め スレンダー レピソステウス |
条鰭綱Actinopterygii | ||||
腕鰭亜綱Brachiopterygii ポリプテルス類 | ||||
軟質亜綱Chondrostei チョウザメ類 | ||||
新鰭亜綱Neopterygii | ||||
全骨類Holostei | ||||
Ginglymodi | ||||
レピソステウス目Lepisosteiformes | ||||
Semionotiformes† | ||||
Halecomorphi | ||||
アミア目Amiiformes | ||||
真骨類Teleostei 一般的な条鰭類 |
全骨類がいた時代よりさらに前、条鰭類は海水域から淡水域に進出してきました。 淡水域は広大で常に安定した環境の海水域とは異なり、干潮による影響や雨期と乾期のような気候変動により水量は常に激変、ときには厳しい環境下に取り残され溶存酸素量が不足する不安定な水域です。 その水域で対応進化すると内骨格は硬骨化し、安定した遊泳と内臓器官・鱗などが発達しはじめました。全骨類の登場です。 全骨類は地球上の広範囲にわたって生息するようになりますが、すでに原始的な条鰭類などが生態系の頂点にいたことや、全骨類から敏捷な運動性を獲得した真骨類が派生登場したことで、全骨類が表立つことはなかったようです。 真骨類の適応放散は素晴らしく、原始的な条鰭類も全骨類も圧されて絶滅状態となりました。かろうじてレピソステウス目 2属7種とアミア目 1属1種のみ現存しています。
ときどきガーとアミアは近縁といった表現があるけど、宝くじに当たったときのよく分からない親戚からの連絡レベルな関係だと思う。
分類上ではレピソステウス目と近縁にあたるのがセミオノタス目Semionotiformes菱形で重厚構造の硬鱗と鋭い歯、前部分が凸型 後部分が凹型の椎骨形状、異尾、肺の有無など さまざまな内部・外部構造を含めてレピソステウスとの類似点が数多くみられることからGinglymodiとしてグループ化されています。
古生代ペルム紀に登場したセミオノタスは その後多種多様化し、真骨類のような近代的な体型をしたダペディウム科Dapediidaeや、セミオノタス科Semionotidaeが多くをしめるようになります。 レピソステウスは中生代白亜紀に登場し多様化したため、セミオノタスのどの系統から派生進化したものか、どこに位置するかなどが審議されています。
古生代 | 中生代 | 新生代~現在 | |||||||
シルル紀 | デボン紀 | 石炭紀 | ペルム紀 | 三畳紀 | ジュラ紀 | 白亜紀 | 古第三紀 | 新第三紀 | 第四紀 |
セミオノタス | レピソステウス最古化石 |
化石記録の経緯から、レピソステウスはGinglymodiレピソステウス科とされたり、セミオノタス目レピソステウス科とされたり、ただ単純にレピソステウス目レピソステウス科など様々な分類をされることがあります。逆にレピソステウス目セミオノタスとして分類していることもあるので ややこしい。