ガーパイクとは?

ガーパイクとは ガーgarとパイクpike2種類の長柄武器「槍」を組み合わせた意味があります。体型や硬さから槍のように細く尖ったサカナといったことでしょうか。でもこれ英語名なので学名とはまた別の呼び方になります。

gar 古英語で槍・銛(もり)、現在の英語ではスピアー(spear)
この形状の起源は古く、狩猟生活を営んでいた人類が獲物を捕まえるために使っていた槍を示します
pike フランス語由来で突き通すもの、刺すもの、槍・矛(ほこ)
歩兵槍が特に騎兵に対して用いた武器のパイク(pique)で、6m前後の長い柄に30cmほどの木の葉形の刃がつく

ところで「ガーパイク」を「ガー」と略すことはありますが「パイク」とは略しません。 パイクとはノーザンパイクなどカワカマス目 カワカマス科 カワカマス属、1科1属5種の魚類で、名前にカワが付くので川にいるカマスの仲間っぽいけど本当のところは見た目がカマスに似ているってだけらしい。 本来のカマスはスズキ目 カマス科 なので全くの別もの。それから「ガーパイク」は「ガーフィッシュ」とも言いません。ガーフィッシュの英名はGreen garでダツ目 ダツ科のダツを示します。 どの魚類も細くて尖ったぽい体型なので、ちょっと混同させてしまうと会話が異次元に飛んできます。

学名は?

Marcus Élieser Bloch

ずばりレピソステウス。このレピソステウスとは2つの単語 lepis と osteus を組み合わせたもので直訳すると鱗骨魚(りんこつぎょ)になります。 一般的な動物学名分類では接尾辞が ~mesで終わるのが目、~daeで終わるのが科となるので、レピソステウス目はLepisosteiformes、レピソステウス科はLepisosteidaeとなります。

「科」の中で同質集団が「属」で、スポテッド、ロングノーズ、ショートノーズ、フロリダスポテッドはレピソステウス属Lepisosterus、 アリゲーター、マンファリ、トロピカルジャイアントはアトラクトステウス属Atractosteusに分類されます。

それぞれの学名の意味は以下の通り。

atractosギリシャ語で紡錘(ぼうすい)、矢印の意味
紡錘とはコマの回転力を利用して繊維をねじって撚りあわせて紡いで糸にする道具。はずみ車とかスピンドルとも言う
lepisギリシャ語でウロコ・鱗片の意味
osteus原意はギリシャ語のτό ὀστέον、osteosがラテン語化したもので骨格・骨のように硬いものの意味
ostreatusは牡蠣のように粗くて硬いことを示す

プレートの上のガーパイク

地球内部のマントルの温度差で引き起こす対流が表面の大陸を移動させるプレートテクトニクス。

生命がいたのか いなかったな時代、地球上にはヌーナ大陸がありました。 三葉虫の登場あたりでロレンシア大陸・シベリア大陸・バルチカ大陸・ゴンドワナ大陸ができたが、 ロレンシア大陸とバルチカ大陸は合体してユーラメリア大陸になり、 やがて全ての大陸が集合してパンゲア超大陸となったが、再び北半球のローラシアと南半球のゴンドワナに分かれ、南北アメリカ大陸・ユーラシア・アフリカ大陸へ分裂し、 さらに南アメリカ大陸・アフリカ大陸・南極大陸・オーストラリア大陸・インド大陸に細分化したように、移動と合体しつつ現在の大陸になった…という20億年をボカシ気味にさせたくなる説。

Aeduella sp.
ペルム紀の軟質骨グループ

生命の源「海」で誕生した硬骨魚類。すでに多くの捕食者や強敵ライバルがいたこともあり、それらを避けるように大陸内部の淡水域に生息圏を移しはじめます。 しかしそこは栄養素として欠かせないミネラル分が不足しやすく、塩分濃度の浮力も得られず、天候など何らかの条件で水量・水深が変化、ときには溶存酸素量までも不足する水域でした。 このような過酷な環境に適応するかのようにヒレを進化させ湿地を這いまわるグループや、ときには激しい河の中でも遊泳しやすいよう鰭条に進化させたグループに分岐します。 鰭条を持つグループの中から、硬骨化がすすんだ骨格と安定した遊泳力を持つ全骨類が登場し、この全骨類にレピソステウスの仲間が含まれています。 しばらくすると地球生命史上 最も悲惨なペルム紀末の大絶滅がおこり海洋生物の約96%は姿を消しました。その空白を埋めるように全骨類は淡水域はもとよりヒエラルキー崩壊した海水域へ生息を広めるようになります。

白亜紀
白亜紀の大陸と分布
始新世
始新世の大陸と分布

レピソステウス科の最古化石は全骨類が進化の絶頂に達していたジュラ紀には、現生種が生息する北~中央アメリカの他にインド・ヨーロッパ・アフリカなどから化石が発見されており、オーストラリアと南極大陸を除いた地球上に広範囲にわたって生息していたことが分かります。 しかしすでにジュラ紀には一続きで特大サイズの超大陸はすでに分裂していたことが解明されています。 化石発見地とプレートテクトニクスを照らし合わせると合致するので、分裂以前に河川ルートから各地に分布を広め、その後プレートとともに移動して各地に広がっていったのかもしれないし、 もしくは最初期のレピソステウス科Nhanulepisosteus化石が海洋生物と同じ水域で発見されていることから、現存種アリゲーターが汽水域や沿岸部にも生息していることから海を渡ったのかもしれないといった仮説があります。化石記録から答えを導き出すのは難しい。