●川越城跡コース
川越の歴史文化地区でもあるが、良く巨樹・古木を残し、緑の景観が楽しめるコース。
川越駅(スタート)
東口をデッキ通路からアトレ内通路を歩き、階段を降りる。信号を渡り、歩道沿いに歩いて、すぐ右に曲りさらに小さな稲荷神社を左に曲がる。八幡通りを直進する。
↓600m(8分)
@八幡神社(南通町)の縁むすびのイチョウ
鳥居から境内に入り、ケヤキの古木が立ち並ぶ参道から本殿前に出る。左側にイチョウの巨樹があり、「縁むすびの木」の名札が立ち、御神木のしめ縄が掛けられている。
↓500m(7分)
A山口家のケヤキ
個人住宅の庭にあり、大谷石の塀外から眺められるケヤキの巨樹。嘉永年間(1800年頃)に植えたと伝えられている。住宅街でもあり、太い枝は剪定されているが、元気な枝葉を伸ばしている。(敷地内からの見学不可)
↓500m(7分)
B中院のシダレザクラ
本堂に向かって右側にあり、川越で最も早く咲くシダレザクラ。境内の桜は30本を数え、シダレザクラは5本ある。この他にも見応えのある樹木が多数あり、川越第一の庭園である。
境内は市の文化財(史跡)に指定されている。
↓700m(9分)
C三変稲荷神社のムクノキ
川越地域で最も古い古墳の上にあり、稲荷神社の後方にあるムクノキ。ムクノキでは川越で最大級の巨樹。幹肌は剥がれ、根張りも強くでて、風格ある姿をしている。
境内は市の文化財(史跡)に指定されている。
↓550m(7分)
D東照宮のサクラ(エドヒガン)
通称、信綱桜と呼ばれ、石鳥居の左側に2本ある。鳥居近くの樹は柵囲いされており、共に幹周り250cmを超える古木。川越では最大級のサクラで、樹高が高く、小粒の花をつけた姿には気品がある。
境内は市の文化財(史跡)に指定され、また本殿ほか5棟が国の重要文化財(建造物)に指定されている。
E喜多院の天海僧正お手植槇と三本イチョウ
天海僧正お手植槇
天海槇と名前のついたこのコウヤマキは、大黒天の裏にあり、直幹ですっくと立ち、木肌に割れ目が出て年輪の多さを見せている。柵囲いされ、大切にされている樹である。
境内は市の文化財(史跡)に指定され、客殿ほか5棟が国の重要文化財(建造物)に指定されている。
三本イチョウ
山門を入ると、左手に3本接近して並び立つ巨樹。見る方角によって2本にも見える。初冬の黄葉と落葉は見事である。
F喜多院公園の大イチョウ
喜多院の境内をぬけ、奥の公園の中央にあるイチョウの巨樹。太い幹、芽吹いた枝がコブになり、ごつい幹をみせている。4月下旬、新芽が出て、花が咲く時が見頃となる。
↓900m(12分)
G富士見櫓跡のクスノキ
小高くなっている川越城富士見櫓跡地、東南の角地中段にあるクスノキ。多くの樹木がある中で際立つ巨樹であり、高くそびえ、枝を四方に伸ばしたこの樹は、遠くからも望むことができる。
一帯は「川越城跡」として県の文化財(史跡)に指定されている。
↓350m(5分)
H三芳野神社のクスノキ
社殿右側にあるクスノキは、端正な根張りをみせる。地上3mのところで幹分れし枝葉を広げていたが、台風により大枝が折れ、多くの枝を剪定した。現在は、小枝が勢い良く出て、太い枝の先が丸く茂っている。天神様に学業成就の絵馬をかける姿を見守ってきた巨樹である。
社殿・蛭子社・大黒社は、県の文化財(建造物)に指定されている。
↓800m(10分)
バス停(市役所前)
●町の巨樹コース
川越の市街地にある巨樹と寺町、そして新河岸川(旧赤間川)の流れに沿ったコースで、巨樹・古木が歴史を語りかける探訪コース。
川越市駅(スタート)
川越市駅の改札口は1つ。改札を出て、階段を降りるとタクシー乗り場、その先の交番前を直進し、300mほどで信号。ここを右に曲がり花屋さんの前の細道を右に曲がると20mほどで右手に川越女子高校前のサクラ並木がある。
↓450m(6分)
@川越女子高前のサクラ並木
川越では一番古いサクラ並木。明治44年(1911年)の校舎新築の時に植えられたが、現在の並木は昭和前期に同窓会が植えた二代目であり、古色蒼然とした姿をつくっている。幹の割れたところから、空中根が出て生き抜く力を見せている。満開時のサクラ並木はすばらしく、静かな花吹雪が楽しめる。
↓200m(3分)
A六塚福寿稲荷神社の御神木のシラカシ
社殿の左奥の玉垣内にシラカシがある。苔が生え黒々とした幹は、かつて六軒しか無かった町を見ていたようだ。太い枝は剪定され、樹形は枝伸びが少ないが小枝を出し、元気な回復を見せている。
↓600m(8分)
B鴉山神社の大ケヤキ
神社本殿の右奥に市街地では最大級のケヤキがある。「何故こんなところに」と訪ねた人を驚かせる。川越城富士見櫓を建てる時、見通しを効かせるため伐採された森の跡に建てられた歴史ある神社。明治26年(1893年)の川越大火で幹の上部が焼け、幹割れができたが、今では焼け跡も隠すほどの成長をみせている。裏側の幹割れの中に数十本の空中根がさがり、一見に値する。
↓250m(3分)
C栄林寺のシダレザクラ
川越の寺院にはシダレザクラが多くあるが、最大の幹周りを持つこのシダレザクラは本堂左手に石垣で保護され、形の良い姿をしている。いつ頃植えられたのか記録は無い。市街地にありながら観光の道筋から離れているため静かに楽しめるシダレザクラである。(古木のため、強風時には落枝に注意)
↓500m(7分)
D見立寺のヒマラヤスギ
新河岸川(旧赤間川)に面した台地にあり、高沢橋から見る姿は空に向かって大きく枝を広げている。山門に登る坂道の右手で、太い幹を見せてくれる。立地の良さが成長を早めている。
↓700m(9分)
E東明寺の大イチョウ
山門をくぐると左手に大イチョウがある。戦国期、川越夜戦があった史跡にある寺院。住職の話では、市街地にあるイチョウとの恋が毎年実るという。南の松江町にある出世稲荷の大イチョウ(雄木)から花粉が飛び、北の東明寺の大イチョウ(雌木)が受粉、秋に多くのギンナンが実るという。鮮やかに色づいた姿が見事である。
境内は「川越夜戦跡」で市の文化財(史跡)に指定されている。
↓550m(7分)
F田谷堰の5のポプラ
新河岸川の堰は、ここにしか残っていない。田谷堰のたもとにある農家の庭にポプラ並木がある。筆を立てたような樹形で5本が並び、風に穂先を揺らせて雄大な姿を見せている。この家の長子誕生を記念して植えたポプラ。四季を通じて価値のある風景である。
↓200m(3分)
G新河岸川のサクラ並木
川とサクラの景観は川越第一。多くの市民に親しまれている。田谷堰から宮下橋までの両岸に83本が植樹されたのは昭和22年頃である。幹は黒々と古木の様子を見せている。幸町の菓子舗の先代が戦争でご子息を亡くした悲しみと、川越の賑やかさが南に移り、北の寂しさが増すなか、サクラが咲く季節にはこの桜堤に足を向けて欲しいとの願いから植樹された。
氷川神社の裏出口に「誉れ桜」の植樹記念碑が立ち、裏に「北の里 誉れさくらに 足を止め」の句が刻まれている。
↓350m(5分)
H氷川神社の大ケヤキ
本殿右奥に、しめ縄がつけられた氷川神社で最大のケヤキの巨樹。主幹の上部が枯れていて古木感を増している。この他にも境内にはケヤキやスダジイが多くあり、大ケヤキの近くと表通りの垣内にもある。
朱塗りの大鳥居脇にはモミの古木もあり、見上げる価値がある。
本殿は県の文化財(建造物)に指定されている。
↓400m(5分)
I川越高校のクスノキ
校門を入った目の前に2本のクスノキがあり、奥の樹は双幹で3本にも見える。広い空間に枝葉を広げ、川越高校のシンボルとなっている。古い写真から推定すると大正初期頃の植樹と思われる。樹冠は、春の新芽、初夏の緑と、陽を浴びた色合いとさまざまな姿を見せてくれる。
↓400m(5分)
J川越小学校のクスノキ
小学校の西門にあるこのクスノキは、道路際にあるため剪定され、樹冠は小さく枝の広がりは少ない。幹の模様は、クスノキ特有の縦模様を綺麗に見せ、長い年月を刻んでいる。川越城跡内に立つ川越小学校と川越高校、富士見櫓跡のクスノキは、同じぐらいの太さで、ほぼ東南方向の直線上にあり、同時期に植えられたのかもしれない。
↓1150m(15分)
K出世稲荷神社の大イチョウ <市指定天然記念物>
稲荷神社の境内の入口に2本が並び立ち、ともに端正な幹をもつ巨樹であり、近づくとその大きさに圧倒される。
市街地にありながら川越で最大の幹周りの巨樹であり、樹齢は600余年と推定される。11月下旬頃に色づいた姿は見事。落葉が多く近隣の方達が行う清掃は大変な量だが、大切に見守られている巨樹である。
↓500m(7分)
本川越駅
●新河岸川舟運コース
舟運で栄えた新河岸川流域、残された数少ない巨樹と新河岸の歴史が見える郊外探訪のコース。
新河岸駅(スタート)
新河岸駅の改札口を出て、左手に向かい、地下道をくぐる。出口から左手に歩き、二つ目の十字路を左折。
↓750m(10分)
@砂氷川神社のシラカシ
境内入口左に石垣に食い込んだ根元が目に入る。ゴツゴツと膨らみを見せた異様な根張りが、古木を立ち上がらせている。夏になると樹液を出し、虫がたくさん集まるので、虫の観察も出来る。
↓450m(6分)
A新河岸日枝神社の御神木のムクノキ
道路に面して根張りを広くした幹が立ち上がっているムクノキ。 幹は深い凹凸があり、幹肌はムクノキ特有の剥がれがある。腐れのある太枝を剪定しているが、今は勢い良く小枝を繁らせている。
↓850m(11分)
B勝福寺コウヤマキ
戦国時代に物見台として使ったと言われている古木。幹肌が剥がれ、根元には大きく穴もあき、焦げ跡もある。樹勢の衰えも目立つが、古くからこの地の歴史を見続けた風格ある老木である。
↓2850m(35分)
C獅子宮氷川神社のケヤキ
道端にあるこのケヤキの巨樹は、太枝が剪定されており、枝の伸びは少ない。幹はケヤキ特有の鱗剥がれをみせている。往時の姿は今は見られない。
↓30m(1分)
D古市場のヒイラギ
獅子宮氷川神社前の民家の間を抜けると、左手にこんもりとしたヒイラギがある。近くにある旧家が祀った祠で、「あたけの稲荷」と呼ばれている。石鳥居をくぐると小さな祠が祀られており、そのうしろに根元から8本に幹別れした樹幹が立ち上がり、半円の樹形を作っている。このヒイラギは、枝1本でも切ると災いがあると伝えられており、小枝1本さえ切り落したことがない。11月の末ごろに咲く白い花は、四方に良い匂いを漂わせている。
↓1400m(18分)
E奥貫家長屋門脇のクスノキ
久下戸の奥貫家の長屋門は、川越市の指定文化財になっており有名。この長屋門の左脇にこんもりとしたクスノキがある。四方に枝を伸ばした巨樹。幹の根元は笹で見えにくが、陽を存分に浴びた葉先は艶のある緑を見せている。5月の葉がわりに出る新芽は、赤味を帯びて美しい。
↓1300m(17分)
F並木の大クス <県指定天然記念物>
川越では最大のクスノキであり、住宅建設で伐採の対象となったが、保存運動により公園の樹木として保存され、市所有となった巨樹。根元を保護するため、クスノキの枝先の範囲まで、路面より高くした石垣で囲っている。根張りを四方に伸ばし、太い幹を支えている姿は、驚きの目で樹上まで目線を上げてしまう巨樹である。
↓300m(4分)
G氷川神社(並木)のケヤキ
神社境内の中ほどに大地をしっかりと握む根張り、空に向かって勢い良く伸ばした小枝、夏のそよ風にその葉先を揺らせる姿は見事である。
↓300m(4分)
南古谷駅
●伊佐沼周遊コース
川越の東郊外、春は田植えの田園風景を、秋は実りの稲穂を眺め、伊佐沼のほとりまで足を延ばし、年代を経た巨樹・古木を訪ねる。野中の路を友と語り合い、大きな景色に身をゆだねられるコース。
南古谷駅(スタート)
南古谷駅前の広場を右手に進み、信号を右に曲がり、踏切を渡り、2つ目の信号を右折し、ふたまた道を左に進む。
↓1100m(14分)
@愛宕神社(大中居)のクスノキ
大中居から伊佐沼に抜ける道の脇に立つこの巨樹は、曲がりの無い幹立ちである。以前に太枝が切られたのか枝の広がりは少ない。秋、たくさんの実を路上に落とし、元気さを見せている。
A氷川神社(大中居)のクロマツ
愛宕神社と道路を挟んで向かいにあるこの氷川神社は、昔、同じ境内にあったのではないかと思えるほどの近さにある。鳥居の脇にあるクロマツは、幹の鱗が大きくなり古木感を漂わせている。幹がやや西に傾き高く空に伸びている姿は、広重の描いたマツの古木そのものである。川越で最大級のクロマツである。境内の手入れは氏子の方達が行い、樹木を大切にしている。
↓950m(12分)
B八ツ島公民館のラカンマキ
大中居から望める田の中にあり、昔の集落と地名を今に残す地域。人々が憩う公民館の庭にあり、台風が吹きつけた大風で幹が傾き、支え木が付けられた。特に枝剪定の様子も無く、こんもりとついた小枝は、新緑の出る6月下旬から7月初旬が美しい。
↓1400m(18分)
C薬師神社のケヤキ
伊佐沼を右回りに歩くとサクラ並木が終わるほとりに、植栽されたハスが見られる。左手には薬師神社が望め、神社裏にケヤキの巨樹がある。太い幹は剪定され、ケヤキ特有の小枝は揃っていないが、重なり合った二本の太い枝が、長年の触れ合いで空中結合した珍しい樹形が見られ、一見の価値がある。眼病平癒を薬師様に願うと共に、ケヤキの枝先や緑陰を眺めるのも良い。
薬師神社は、市の文化財(建造物)に指定されている。
↓950m(12分)
D鴨田八幡神社のアカマツ
伊佐沼のほとりの旧戸田家住宅の信号を右折する。マツの古木が立ち並んだ参道は、昔の街道を思わせる。さほど広くない境内だが、静けさの中に浸れる。左手にある社務所の横に長い年代を経たアカマツがあり、幹肌に赤味を出し、見応えのある樹形となっている。
↓2200m(28分)
E善仲寺のアカマツ
寺院の入口に石垣で根回りを一段と高くした、年代を経た見事なアカマツがあり大切にされている。古尾谷氏の館跡との由来もあり、歴史深き寺院を引き立てている松でもある。また、本堂の前にある斜幹のアカマツも見事である。
↓400m(5分)
F実相院のアカマツ
寺院庫裏の庭にあり、庭木としての手入れが十分になされている。幹肌の色と松葉の緑が調和して、心安らぐ風景を作っている。歴史を重ねたアカマツと思われる。
↓550m(7分)
バス停(川越聖地霊園入口)
●笠幡サザンカコース
川越西部の郊外、小畔川流域に広がる緑地が見られ、栗林が残る。古き道、高麗街道も通っている地域で、「さざんか通り」の名称もあるコース。
笠幡駅(スタート)
JR笠幡駅の改札口を出て左手の細道を行くと、信号のある日高街道に出る。左に進み交差点を左に曲がると踏切があり、渡って前方の空を見上げると、ケヤキの樹冠が大きく見え、延命寺入口となる。
↓450m(6分)
@延命寺のケヤキ
門前に広い駐車場があり、自然石で根元を保護されたケヤキが直立している。幹周りは巨樹に達していないが、無数の幹肌剥がれを見せ、古木感をかもし出している。昔はこのような直立したケヤキが多くあり、寺院建築に太い柱として使われたと想像される。晴れた冬日、葉が全て落ち細かい小枝が現れ、冬枯れの姿も見所となる。
↓900m(12分)
A山畑家のケヤキ
道沿いに栗林が残る丘陵に白壁の建物が見え、近くに直立したケヤキが2本並んでいる。昔は、山林の境木として多くのケヤキが立ち並んでいたが、開墾された畑に落とす影で、作物に日当りが悪くなるので伐採された。樹の根元に立つには家人の了承を得る必要がある。葉が落ちた冬枯れの姿は遠くの道からでも見られ、野に立つケヤキは絵になる姿である。
↓950m(12分)
B神田家のサザンカ <市指定天然記念物>
さざんか通りに面した家で、門の中庭にある古木。道路から見える門とその中にあるサザンカの花姿は、時を忘れさせ、さわやかな心にしてくれる。樹形は、丸く刈り込まれ、見栄え良く手入れされている。樹の下からのぞくと、枝が網の目のように絡み合い融合し、驚きとともにこの樹が相当の年輪を重ねていると思われる。門内に入り眺めるには家人の了承が必要。
↓650m(8分)
C尾崎神社のスギとヒノキ <県指定ふるさとの森>
境内はスギとヒノキがうっそうとしており、川越では最大の社叢となっている。神社正面の参道を歩くと、古くから続く社を訪ねた森閑さに包まれる。スギとヒノキが対に立ち、高さを競っている。静けさを求め、古木と対面が出来る格好の社叢である。
↓1900m(24分)
笠幡駅
●名細・鯨井コース
川越の北部名細地区、河越氏館跡から鯨井の古木を訪ね、歴史を感じる探訪コース。
霞ヶ関駅(スタート)
霞ヶ関駅の改札口は一つ。左手の歩道を通り、地下通路を出て、住宅街を抜けると畑地になる。野道のT字路を左に曲がると茶畑。この先が鈴木家。
↓750m(10分)
@鈴木家長屋門前のウメ
長屋門脇の蔵を改築する時に前庭に移植したウメの古木。幹は半ば朽ちかけており、古木感を漂わせている。
↓500m(7分)
A常楽寺のシダレザクラとウメ
河越館跡に立つ寺院で、仁王門をくぐった本堂の左手にあるシダレザクラの古木。3月末の花の咲く頃には静かな鑑賞ができる。また、仁王門に入る手前の右手に梅林があり、この中にひときわ大きなウメがある。早春の花は香りを一面に漂わせている。
河越館跡は国の文化財(史跡)に指定されている。
↓1000m(13分)
B鯨井のヒイラギ <市指定天然記念物>
東方薬師如来堂の境内にあるこのヒイラギは、県道の拡幅工事のために移植されている幹は板状となってしまっているが、旺盛な艶のある新芽を出している古木。このヒイラギがひとつでこの地の古き歴史がうかがえる、11月末頃に咲く白い花は、香りを四方に漂わせている。
↓600m(8分)
C日枝神社のサクラ(ソメイヨシノ)
境内にサクラの古木が多いなか、本殿前左に立つこのサクラは、幹周りが太く地上1.4mの所で2本の幹に分かれ、枝先を広げている。春には花芽が多く付き、境内を桜色に染め、夏には大きな木蔭をつくり涼を呼ぶ。
境内は市の文化財(史跡)に指定されている。
↓750m(10分)
霞ヶ関駅
●コース以外の巨樹・古木・名木
川越の郊外、古き歴史を持つ神社・寺院に見応えのある巨樹や古木・名木がある。歩いて訪ねるにはやや遠いが、天候の良い花時にはハイキングとして訪れ、川越の広さと歴史を感じ取るのもよい。
@下小坂の大ケヤキ
下小坂白鬚神社の境内にあり、埼玉のケヤキコンクールで一位となった巨樹。2本が間近に並び立つ姿は、大空に向かってVサインを送っているようだ。社殿に向かって、右側はアカケヤキ、左側はアオケヤキ。根元に立つと幹の重量感に圧倒される。
→(ブログ)下小坂の大ケヤキ
A潅頂院(古谷本郷)のサイカチ
潅頂院には、数多くの樹木がある。その中には川越でも数少ないサイカチがあり、その高くした樹形は遠くからも見ることができる。
B菅原神社(今福)のモミ
今福地区を開墾した村人の神社。明治の中頃までは、明見院と同一の境内であったと思われる。モミは、本殿玉垣の中にあり根元には近づけない。
ここの地形は、新河岸街道より高くなった台地で、雑木林が続く中にある。
一段と天高く伸びている樹形が遠くから見られる。
C明見院(今福)のシダレザクラ
このシダレザクラの親樹は、中院のシダレザクラであり、植樹年が安永8年(1779年)本堂落慶の記念樹と記録にある。このため、川越のシダレザクラ樹齢推測の基準木になる。花時は、夜間照明され、静かで見事な花見が出来る。
樹 種 名 | 幹周り(cm) | 所在地 | 所 有 者 | 備 考 |
アカガシ | 346 | 小仙波町 | 喜多院 | |
イチョウ | 780 | 松江町 | 出世稲荷神社 | 市指定天然記念物 |
イチョウ | 737 | 小仙波町 | 喜多院公園 | |
イチョウ | 584 | 小仙波町 | 喜多院 | 三本イチョウ |
イチョウ | 576 | 松江町 | 出世稲荷神社 | 市指定天然記念物 |
イチョウ | 462 | 志多町 | 東明寺 | |
イチョウ | 377 | 増 形 | 白山神社 | |
イチョウ | 362 | 小仙波町 | 喜多院 | 三本イチョウ |
イチョウ | 342 | 小仙波町 | 喜多院 | 三本イチョウ |
イチョウ | 327 | 小仙波町 | 喜多院 | |
イチョウ | 304 | 南通町 | 八幡神社 | |
イチョウ | 300 | 郭 町 | 三芳野神社 | |
イヌザクラ | 341 | 笠 幡 | 霞ヶ関中央病院前 | |
エノキ | (277・77) | 喜多町 | 矢島家 | |
カヤ | 368 | 藤 間 | 東光寺 | |
カヤ | 323 | 今 福 | 明見院 | |
クスノキ | 679 | 並 木 | 並木大クス公園 | 県指定天然記念物 |
クスノキ | 535 | 郭 町 | 川越小学校 | |
クスノキ | 461 | 郭 町 | 川越高校 | |
クスノキ | 454 | 郭 町 | 三芳野神社 | |
クスノキ | 444 | 郭 町 | 富士見櫓跡 | |
クスノキ | 430 | 郭 町 | 川越高校 | |
クスノキ | 344 | 郭 町 | 三芳野神社 | |
クスノキ | 336 | 小仙波町 | 喜多院 | |
クスノキ | 330 | 久下戸 | 奥貫家 | |
クスノキ | 317 | 新富町 | 元鏡山酒造 | |
クスノキ | 315 | 大中居 | 愛宕神社 | |
クスノキ | 303 | 小仙波町 | 喜多院 | |
クスノキ | 300 | 新富町 | 元鏡山酒造 | |
ケヤキ | 634 | 下小坂 | 下小坂白鬚神社 | 市指定天然記念物 |
ケヤキ | 632 | 下小坂 | 下小坂白鬚神社 | 市指定天然記念物 |
ケヤキ | 533 | 仲 町 | 鴉山神社 | |
ケヤキ | 488 | 宮下町 | 氷川神社 | |
ケヤキ | 461 | 宮下町 | 氷川神社 | |
ケヤキ | 440 | 南大塚 | 山田家 | |
ケヤキ | 431 | 小仙波町 | 喜多院 | |
ケヤキ | 411 | 並 木 | 氷川神社 | |
ケヤキ | 387 | 石田本郷 | 天満宮 | |
ケヤキ | (382・282) | 中 福 | 吉沢家 | |
ケヤキ | 376 | 宮下町 | 氷川神社 | |
ケヤキ | 375 | 富士見町 | 愛宕神社 | |
ケヤキ | 356 | 西小仙波町 | 山口家 | |
ケヤキ | 352 | 小仙波町 | 喜多院 | |
ケヤキ | 352 | 仲 町 | 鴉山神社 | |
ケヤキ | 348 | 郭 町 | 三芳野神社 | |
ケヤキ | 343 | 大袋新田 | 内田家 | |
ケヤキ | 341 | 小仙波町 | 喜多院 | |
ケヤキ | 340 | 宮下町 | 氷川神社 | |
ケヤキ | 339 | 上松原 | 宮岡家 | |
ケヤキ | 339 | 宮下町 | 氷川神社 | |
ケヤキ | 335 | 小仙波町 | 東照宮 | |
ケヤキ | 334 | 宮下町 | 氷川神社 | |
ケヤキ | 333 | 小仙波町 | 喜多院 | |
ケヤキ | 331 | 笠 幡 | 山畑家 | |
ケヤキ | 327 | 小仙波町 | 喜多院 | |
ケヤキ | 326 | 中 福 | 吉沢家 | |
ケヤキ | 325 | 中 福 | 吉沢家 | |
ケヤキ | 321 | 菅原町 | 菅原神社 | |
ケヤキ | 320 | 大袋新田 | 菅原神社 | |
ケヤキ | 320 | 古市場 | 獅子宮氷川神社 | |
ケヤキ | 320 | 宮下町 | 氷川神社 | |
ケヤキ | 314 | 今 福 | 戸守家 | |
ケヤキ | 311 | 下赤坂 | 川村家 | |
ケヤキ | 311 | 中 福 | 吉沢家 | |
ケヤキ | 310 | 仙波町三 | 長徳寺 | |
ケヤキ | 308 | 下松原 | 戸田家 | |
ケヤキ | 305 | 中 福 | 吉沢家 | |
ケヤキ | 304 | 伊佐沼 | 薬師神社 | |
ケヤキ | 302 | 郭 町 | 初雁球場 | |
ケヤキ | 300 | 志多町 | 東明寺 | |
コウヤマキ | 541 | 寺 尾 | 勝福寺 | |
コウヤマキ | 351 | 小仙波町 | 喜多院 | |
シラカシ | 416 | 小仙波町 | 喜多院 | |
シラカシ | 379 | 小仙波町 | 東照宮 | |
シラカシ | 375 | 砂 | 砂氷川神社 | |
シラカシ | 366 | 六軒町 | 六塚稲荷神社 | |
シラカシ | 331 | 郭 町 | 初雁球場 | |
シラカシ | 325 | 小仙波町 | 東照宮 | |
シラカシ | 308 | 小仙波町 | 喜多院公園 | |
シラカシ | 301 | 郭 町 | 三芳野神社 | |
シラカシ | (288・124) | 下赤坂 | 八幡神社 | |
スギ | 329 | 笠 幡 | 山畑家 | |
スダジイ | (334・72・64) | 小仙波町 | 東照宮 | |
ソメイヨシノ | 356 | 鯨 井 | 東洋大学 | |
ソメイヨシノ | (273・153) | 上 戸 | 日枝神社 | |
ニッケイ | 156 | 笠 幡 | 山畑家 | |
ヒノキ | 301 | 小仙波町 | 喜多院 | |
ヒノキ | 300 | 笠 幡 | 尾崎神社 | 県指定ふるさとの森 |
ヒマラヤスギ | 345 | 元 町 | 見立寺 | |
ムクノキ | 600 | 小仙波町 | 三変稲荷神社 | |
ムクノキ | 419 | 新河岸 | 日枝神社 | |
ムクノキ | 388 | 小仙波町 | 東照宮 | |
ムクノキ | 353 | 小仙波町 | 喜多院 | |
ムクノキ | 345 | 小仙波町 | 喜多院 | |
ムクノキ | 321 | 志多町 | 東明寺 | |
ムクノキ | 316 | 小仙波町 | 喜多院 | |
ムクノキ | 301 | 小仙波町 | 喜多院 | |
モチノキ | (285・54) | 寺 尾 | 城山稲荷神社 | |
ヤブツバキ | (222・116) | 吉 田 | 個人所有 |
樹 種 名 | 幹周り(cm) | 所在地 | 所 有 者 | 備 考 |
アオハダ | (132・77) | 下赤坂 | 八幡神社 | |
アカシデ | 169 | 今 福 | 金子家 | |
アカマツ | 206 | 鴨 田 | 鴨田八幡神社 | |
アカマツ | 149他 | 古谷上 | 善仲寺 | |
アカマツ | (114・110・81) | 古谷上 | 実相院 | |
アカメガシワ | 140 | 小仙波町 | 中 院 | |
イヌガヤ | (91・30・30) | 菅原町 | 妙善寺 | |
イヌシデ | 237 | 富士見町 | 愛宕神社 | |
イヌツゲ | 149 | 的 場 | 法城寺 | |
イヌツゲ | (80・57・51) | 岸 町 | 熊野神社 | |
イヌビワ | (43・34・30・27・18) | 渋 井 | 蓮光寺 | |
イヌマキ | 181 | 上老袋 | 江田家 | |
イロハモミジ | 170 | 霞ヶ関 | 霞ヶ関神社 | |
イロハモミジ | 159 | 小仙波町 | 喜多院 | |
ウメ | 204 | 上 戸 | 鈴木家 | |
ウメ | (106・89・62) | 上 戸 | 常楽寺 | |
ウルシ | 129 | 小仙波町 | 東照宮 | |
ウワミズザクラ | 235 | 下松原 | 大木家 | |
ウワミズザクラ | 203 | 吉 田 | 小嶋家 | |
エゴノキ | 103 | 小 堤 | 八幡神社 | |
エドヒガン | 274 | 小仙波町 | 東照宮 | |
エドヒガン | 269 | 小仙波町 | 東照宮 | |
カキ | 192 | 吉 田 | 小嶋家 | |
カキ | 103 | 大 袋 | 東陽寺 | ゼンジマル |
カシワ | 136 | 郭 町 | 川越第一小 | |
キンモクセイ | 266 | 小仙波町 | 中 院 | |
キンモクセイ | (110・102) | 安比奈新田 | 時田家 | |
ギンモクセイ | (104・89・70・54) | 藤 間 | 東光寺 | |
クヌギ | 229 | 岸 町 | 熊野神社 | |
クロマツ | 225 | 岸 町 | 熊野神社 | |
クロマツ | 216 | 大中居 | 氷川神社 | |
クロマツ | 106 | 小仙波町 | 中 院 | 大正天皇御手植松 |
ケヤキ | 202 | 笠 幡 | 延命寺 | |
ケンポナシ | 187 | 中 福 | 落合家 | |
ケンポナシ | 154 | 中 福 | 落合家 | |
コブシ | (173・56) | 古市場 | 澤田家 | |
ゴヨウマツ | 129 | 上 戸 | 鈴木家 | |
サイカチ | 223 | 的 場 | 八瀬大橋脇 | |
サイカチ | 185 | 古谷本郷 | 潅頂院 | |
サザンカ | (113・98・91) | 笠 幡 | 神田徹家 | 市指定天然記念物 |
サルスベリ | 130 | 豊田新田 | 福田家 | |
サンゴジュ | (118・99・73) | 元 町 | 高沢六塚稲荷神社 | |
シダレザクラ | 252 | 末広町 | 栄林寺 | |
シダレザクラ | 210 | 今 福 | 明見院 | |
シダレザクラ | 209 | 小仙波町 | 中 院 | |
シダレザクラ | 197 | 小仙波町 | 喜多院 | |
シダレザクラ | 168 | 上 戸 | 常楽寺 | |
センダン | 196 | 南大塚 | 関根増男 | |
タイサンボク | 142 | 大 袋 | 東陽寺 | |
ダイオウショウ | 161 | 大 袋 | 氷川神社 | |
タギョウショウ | (89・94・81) | 小仙波町 | 中 院 | 多行松 |
タラヨウ | 160 | 古谷本郷 | 潅頂院 | |
タラヨウ | 111 | 石原町 | 本応寺 | |
チャンチン | (146・99・93) | 下松原 | 柿沼家 | |
ナギ | 120 | 大手町 | 川崎家 | |
ニワトコ | 106 | 三久保町 | 永島家 | |
ノウゼンカズラ | (29・23・18) | 元 町 | 見立寺 | |
ハクウンボク | 168 | 小仙波町 | 中 院 | |
ハリギリ | 105 | 下赤坂 | 石川家 | |
ヒイラギ | (174・156・105他) | 古市場 | 有山家 | 市指定天然記念物 |
ヒイラギ | 235 | 鯨 井 | 東方薬師如来堂 | 市指定天然記念物 |
ヒイラギ | (127・93・74) | 上老袋 | 江田家 | |
ヒイラギモクセイ | (122・103・67) | 今 福 | 志村家 | |
ボダイジュ | (113・98・71) | 小仙波町 | 喜多院 | |
ホオノキ | (147・17) | 中 福 | 稲荷神社 | |
ポプラ | 250他 | 宮元町 | 個人所有 | |
ミズキ | (195・48) | 小仙波町 | 喜多院 | |
ムクロジ | (143・48) | 的 場 | 法城寺 | |
ムクロジ | 135 | 古市場 | 氷川神社 | |
メタセコイア | 198 | 下赤坂 | 深田建設 | |
メタセコイア | 195 | 下赤坂 | 深田建設 | |
モクゲンジ | 133 | 連雀町 | 蓮馨寺 | |
モッコク | 165 | 寺 尾 | 城山稲荷神社 | |
モミ | 246 | 宮下町 | 氷川神社 | |
モミ | 236 | 今 福 | 菅原神社 | |
ユーカリ | (115・114) | 神明町 | 神明神社 | |
ユズリハ | 102 | 霞ヶ関 | 霞ヶ関神社 | |
ラカンマキ | 198 | 小 室 | いも膳 | |
ラカンマキ | 195 | 八ツ島 | 八ツ島公民館 |
ナンジャモンジャというと、おもわず聞き返したくなるような奇妙で得体の知れない響きがあります。その昔「この木はなんじゃ?」と尋ねられた人が聞き取れずに「なんじゃもんじゃ」と聞き返したところ、問を発した人がそれを木の名前と勘違いしたのが最初だとか、あるいは樹木崇拝に関係した名前だとかいわれています。もともとがそういう由来の名前なので、特定の種類を指すのではなく、あちこちになんじゃもんじゃと呼ばれる大きな木が存在します。牧野富太郎博士によるとこの名前の木は全国に八本あり、実物はカツラやイヌザクラ、アブラチャンなどだったそうです。彼の説では利根川沿いの神埼神社のクスノキが本物のなんじゃもんじゃだとのことですが、現在ではヒトツバタゴを指し、明治神宮外苑に植えられていた大木がナンジャモンジャと呼ばれ天然記念物にも指定されていました。この木は残念ながら枯れてしまいましたが、木全体を真っ白に染めて咲く五月の花のころには大勢の人が訪れたそうです。
さて、ヒトツバタゴはモクセイ科の植物で和名は単葉のタゴ(トネリコ)という意味ですが、日本のほか、朝鮮、中国、台湾にも分布します。けれども日本でその自生が知られているのは東海地方と長崎県の対馬の二カ所だけで、どちらの地域でも生育地は極めて限られています。対馬には1,000本前後の個体からなる集団がありますが、生育場所はただ一カ所しかありません。一方の東海地方では東濃地方の湿地に点々と出現しますが、一つの集団には数個体程度のヒトツバタゴしか生育していません。化石では最終氷期以前に近畿地方と関東地方に分布していたという記録があるので、現在の分布は分布域の縮小による遺存的なものと考えられています。東海地方では集団の数は複数あるものの、集団の個体数は少なく、さらに近年開発によってその生育環境がどんどん破壊されているので存続が危ぶまれています。現在すでに各集団は互いに隔離されてしまっていて、遺伝的な交流はかなり制限されていると思われます。天然記念物に指定されて大事にされている木もありますが、ヒトツバタゴの生育地である湿地はそこだけ残しても、周りが開発されてしまえば水の循環が変わり、いずれは乾燥してヒトツバタゴは生育できなくなってしまうでしょう。もうすでに手遅れで、東海地方のヒトツバタゴは遠からず絶滅してしまう、と断言する学者もいます。
なんじゃもんじゃ、この念仏を唱えるような愉快な名前をもつ木があっさりなくなってしまうのは寂しいことではないでしょうか。今ある木を天然記念物に指定するだけでなく、生育環境を守り整えて子孫を継続的に生み続けられるようにしてほしいものです。(副島顕子)