病名と対策

さくいん
白点病
症 状1㎜以下の白点が体表面に現れ、体を底砂などに擦りつけて 痒がるような動作。 進行すると無数の白点が体表面を覆う 動作が鈍くなる、餌食いが悪くなる、表皮の剥がれが起こる など。
原 因原生動物の繊毛虫 イクチオフチリウスIchthyophthirius multifiliisの寄生。
表皮・真皮の上皮組織やエラで繊毛運動しながら崩壊細胞を摂取して成長する。寄生の刺激によって体表粘液が過剰分泌し、エラ寄生では粘液が呼吸を阻害するため急死しやすい。
体長0.7~1㎜の球型か卵型。イクチオフチリウスは水温7℃で20~21日、19℃で7~8日で成虫になり、壁や水底でシスト(胞子嚢)になる。 厚い膜に覆われたシスト内で分裂を始め、0.03~0.05㎜と極めて小さい遊走子(仔虫)を1日に数百~数千匹作りだす。遊走子は遊泳して宿主を探すが、辿りつけない遊走子は20時間前後で感染力を失い、48時間で死滅する。
耐性温度6~25℃ 至適温度15~18℃ 2℃以下の低水温や30℃以上の高水温などの悪条件でシストは休眠状態に入り、条件が整うまで活動停止する。
対 策水槽や池など閉鎖的な環境で、水温・水質悪化・飼育環境の急変により感染を受ける側に何らかの原 因がある場合に発症しやすい。 薬浴効果は宿主から離れてシスト化までと遊走子が宿主まで遊泳する期間のみで、粘膜内部での寄生期間やシストでは得られない。 水温28℃以上の塩水浴で飼育魚の体調を整える。重症の場合には ニューグリーンF・グリーンF・ホルマリンなどによる薬浴。
ヒレ腐れ病
症 状参照:カラムナリス病
ヒレに2㎜程度の淡黄色の点が付着。点は淡黄色の粘液物となってヒレが赤黒く溶けて腐敗し、千切れる。やがて扇状の軟条骨だけの骨組みになり、最終的には軟条骨も分解され全てが欠ける。
ポップアイ
症 状
ポップアイ
エロモナス病との合併症。参照:エロモナス病
眼球の突出、末期的症 状は眼球の壊死して取れてしまう
ポリプテリィ
症 状参照:マクロギロダクティルス ポリプテリィ
ポリプテルスの体表面に細い虫がいる
マクロギロダクティルス ポリプテリィ
症 状
マクロギロダクティルス ポリプテリィ
頭の上に にょろにょろポリプテリィ
ポリプテルスの体表面を起毛綿のような細い虫が動いている
原 因扁形動物 単生類 ギロダクチルス科 マクロギロダクティルス ポリプテリィMacrogyrodactylus polypteri
ポリプテルス科のみに寄生する淡水寄生虫 ギロダクチルス症の1つ。参照:ギロダクチルス
表皮・真皮の上皮組織の崩壊細胞を摂取して成長。宿主は寄生刺激により体を底砂などに擦りつけて 痒がるような動作をする。体表粘液も過剰分泌するようになり、エラ寄生では粘液により機能が阻害される。食欲低下や2次感染で死に至る場合もある。
ギロダクチルスにはライフサイクルが無く、雌雄同体の胎生で増殖する。親虫の体内にいる子虫の体内に孫虫が発生する三代虫。 宿主の体表面で次々に増殖するためら、魚群の中の1匹だけに寄生していることもある。色は半透明~白色 体長2~2.5㎜ 腹面の繊毛を使いヒルのような伸縮運動で移動する。
対 策多くのワイルド個体に寄生。たいへん繁殖力が強く 完全に駆除するのは難しく、ポリプテルスの薬品耐性から大量発生を除き水換えで様子見が望ましい。 250ppmホルマリン溶液やトロピカルN、トロピカルゴールド、リフィッシュなどの薬浴。
松かさ病
症 状エロモナス病との合併症。参照:エロモナス病
ウロコが松ぼっくり状に逆立つ、体表色が悪くガサガサしたように見える、皮下出血による赤斑、ウロコ・ヒレの充血
ミズカビ病
症 状綿状のものが体表面に付着
原 因淡水性 常在真菌類 ミズカビ科Saprolegniaceaeに属する ミズカビ属Saprolegnia、ワタカビ属Achlya、アファノマイセス属Aphanomycesなど。
魚卵・食べ残した餌・水中内の死体、魚体のスレ傷・寄生虫による吸血傷・エロモナス病などの患部にも寄生し、綿毛状の菌糸の集塊を形成する。寄生後は表皮組織から真皮、皮下、筋肉へと菌糸が伸び、組織を壊死させ、最終的には浸透圧の調整機能障害で死に至る。
患部で菌糸を増殖したミズカビは無性生殖を行い、一次型の遊走子を作り出す。一次型の遊走子は繊毛で遊泳して壁や水底でシスト(胞子嚢)になると、造卵器と造精器の有性生殖を行い、二次型の遊走子を作り出す。二次型の遊走子は繊毛で遊泳して新たな宿主を探す。
対 策1次的被害の処置を施し、数時間後にミズカビ病の処置を行う。2次的被害なので水質の安定に心がける。 ニューグリーンFまたはグリーンFリキッドで薬浴させるが、薬浴効果が期待できるのは遊走子の遊泳期間のみ。 菌糸が大きい場合には 魚体を傷つけないよう配慮してピンセットなどで取り除き、対応薬剤や外科消毒用イソジン液(人間用)を10倍希釈で直接塗布。
ミズミミズ
症 状
ミズミミズ
水槽のヘリや水中に細い生き物が動いている
原 因環形生物 水生貧毛類のイトミミズ目 ミズミミズ科Naididaeの淡水性ミミズ。
様々な過程を経て河川から水槽へ運び込まれたもの。土壌にいるミミズと同様に直接的に害はないが、水槽内に老廃物などの有機物が溜まり富栄養化すると大量発生するため気分的な問題となる。 ミズミミズ科の種類はとても多く 一般的には白色~乳白色の体長10~20㎜の種を示す。チゴヤドリミミズは透明で体長1~5㎜、エラオイミズミミズは淡赤色~褐色で体長10~40㎜。
対 策完全に駆除することは困難で、水換え、濾過槽・底砂に溜まった有機物の掃除、濾過槽の拡大化などで対処。アナバス類、金魚、メダカに捕食させる。
目の白濁
症 状
目の白濁
眼球レンズに透明感がない、もしくは白く濁る
原 因擦傷・水質悪化など底性肉食魚によく見られる。水質悪化は合併症を引き起こしやすく、ポップアイや眼球周辺に水泡ができたときなどはエロモナス ハイドロフィラ菌の関与も考えられる。 悪化すると充血し腫れあがり、眼球の芯の部分までの壊死、眼球そのものが取れてしまったりする。
対 策こまめな水換えによる自然治癒。2次的被害防止に市販のスレ傷病薬による薬浴で処置。
立鱗病
症 状参照:エロモナス病
ウロコが松ぼっくり状に逆立つ、体表色が悪くガサガサしたように見える、皮下出血による赤斑、ウロコ・ヒレの充血
リンホシスチス病
症 状綿状または水疱状の白く濁り盛り上がった物が付着
原 因イリドウィルス科 リンホシスチウイルス属Lymphocystisによるウィルス感染。
DNAウィルスで親魚からの遺伝・寄生虫が媒介とする皮膚感染で細胞内に感染し、水温・水質悪化・飼育環境などのストレスで発症する。海水魚や淡水魚など問わず 頭部・眼球面・ヒレ・体表面・筋肉・内臓諸臓器の表面など、リンホシスチス細胞の病巣部が多数できる。 病巣部は結合組織の細胞が巨大化し 水泡状の突起のように盛り上がる。リンホシスチス病だけでは直接的な死亡原因にはならないが、その外観から商品価値が0に等しくなる。
対 策治療法がないため 水質・水温管理に気を付けて自然治癒。病巣部の2次的被害には観賞魚用パラザンDなど
さくいん