病名と対策

さくいん
外傷
症 状参照:スレ傷参照
水槽から飛び出したときの傷、ヒレの裂け、ケンカによる傷 など
カラムナリス病
別 名エラ腐れ病、尾腐れ病、ヒレ腐れ病、口腐れ病、コットンマウス
症 状クチやヒレ・エラなどに2㎜程度の淡黄色の点が付着。点は淡黄色の粘液物になり、やがて赤黒く溶けて腐敗し、千切れ始める。 エラ感染では呼吸機能の低下によってクチと鰓蓋の開閉速度が速まり 水面で鼻上げを始める。ヒレ感染では扇状の軟条骨だけ残り、最終的には軟条骨も分解されヒレの全てが欠ける。感染部位によって病名が変わる。
原 因グラム陰性の細菌フレキシバクター カラムナリスFlexibacter columnaris
淡水魚~汽水魚に多くみられる淡水系の条件性常在菌。初期症状はミズカビ病と類似しているが菌糸がないことで区別できる。患部の細菌コロニーが特徴的なカラム状の柱構造物であることから名づけられた。 屈曲運動で移動し、無酸素状態で生育できない偏性好気性、細胞形状が細長い棒状または円筒状の桿菌などの特徴がある。感染進行で患部が広がり 菌が生成したタンパク質分解酵素により感染部位の潰瘍組織が融解壊死する。
一般には水温5~35℃ 適温27~28℃ まれに35℃でも発育する、発育可能pH6.5~8.5 最適pH7.5、最適塩分濃度0.5% 2.0%では発育しない。水の硬度が高いほどカラムナリスの生存期間は長い。
対 策傷ついた場所から体内進入し、伝染力が強く治りにくい。水温・水質悪化・飼育環境などの体調不良で発症。塩水浴、観賞魚用パラザンD・ニューグリーンF・グリーンFなどの薬浴で処置。
ギロダクチルス
症 状体表面に細い虫がいる、体を底砂などに擦りつけて 痒がる、鰓蓋が腫れ上がる、エラ内部の変色
原 因扁形動物 単生類 ギロダクチルス科Gyrodactylusの淡水寄生虫の寄生
エラ・体表面・ヒレなど寄生部分にイカリ状突起を差し込み、上皮組織の崩壊細胞を摂取して成長する。寄生の刺激によって過剰分泌した粘液が呼吸を阻害すると、鰓蓋が腫れ上がる。 全体に広まる頃にはエラ組織は壊死、エラに血液が流れず変色し、同様に呼吸ができず窒息する。
ギロダクチルスにはライフサイクルが無く、雌雄同体の胎生で増殖する。親虫の体内にいる子虫の体内に孫虫が発生する三代虫。宿主の体表面で次々に増殖するため、魚群の中の1匹だけに寄生していることもある。
対 策たいへん繁殖力が強く 完全に駆除するのは難しい。新しくサカナを増やすときのボディチェック、特にワイルド個体には注意。 250ppmホルマリン溶液やトロピカルN、トロピカルゴールド、リフィッシュなどによる薬浴で処置。完治してもエラの変形は元に戻らない
口腐れ病
症 状参照:カラムナリス病
クチの周辺に2㎜程度の淡黄色の点が付着。点は淡黄色の粘液物になり、ただれ・充血を起こし赤黒く溶けて腐敗し、クチが欠ける。
コショウ病
症 状参照:ウーディニウム病
コショウのように細かいのが体表面に付着。体を底砂などに擦りつけて 痒がる動作をする。
サビ病
症 状参照:ウーディニウム病
サビのように細かいものが体表面に付着。体を底砂などに擦りつけて 痒がる動作をする。
スレ傷
症 状水槽からの飛び出し事故、混泳魚とのケンカなどによる体表面の傷、擦り傷、ヒレの裂け など
原 因砂に潜る習性、水槽からの飛び出し、ケンカまど。外傷の原因は飼育環境下による。
対 策傷ができる原因を見極め混泳魚、水槽内の環境、設置場所、設備などの変更を行う。細菌性の2次感染の防止として やや高めの水温で自然治癒もしくは塩水浴。重症ではスレ傷病薬で薬浴。
赤班病
症 状参照:エロモナス病
体表がガサガサし色が悪くなる、皮下出血による赤斑が出る
背曲がり
症 状
ガー
湾曲した体型になった
原 因栄養を必要とする成長期の偏食、高脂肪の餌を与え続ける、ビタミンB1破壊酵素 サイアミナーゼが含まれている餌 など。 実際には栄養の偏りや栄養過多による栄養障害、先天性、繁殖に使用されるホルモン剤の副作用、不適切な飼育環境なのか 確実な原因は不明。
栄養欠乏で起こる症状例
ビタミン E背コケ病、脊椎湾曲 など
ミネラル P脊椎側湾 など
ミネラル Cu脊椎骨の変形 など
対 策完全に曲がると内骨格を補強する筋肉も変形している可能性が高く完治は見込めない。 成長期はバリエーションのある餌を与える あくまでも餌の与えすぎには注意。成魚個体の場合には水槽サイズや過密飼育が原因の場合もある。
ダクチロギルス
症 状体を底砂などに擦りつけて 痒がる、鰓蓋が腫れ上がる、エラ内部の変色
原 因扁形動物 単生類 ダクチロギルス科Dactylogyrus
淡水性の寄生虫で、エラにイカリ状の突起を差し込み上皮組織の崩壊細胞を摂取して成長する。寄生刺激によって体表粘液が過剰分泌し呼吸を阻害するようになり鰓蓋が腫れ上がる。 全体に広まる頃にはエラ組織は壊死、エラに血液が流れず変色し、同様に呼吸ができず窒息する。体長0.8~2㎜のウジ体型。繁殖は卵生。
対 策たいへん繁殖力が強く 完全に駆除するのは難しい。新しくサカナを増やすときのボディチェック、特にワイルド個体には注意。 グリーンFゴールドによる薬浴で処置。 完治してもエラの変形は元に戻らない
チョウ
別 名ウオジラミ
症 状5㎜前後の円形のものが付着。体を底砂などに擦りつけて 痒がるような動作
原 因チョウ目に属する甲殻類 アルグルスArgulus japonicus
体表面を自由に動き回る寄生虫で、浮遊して次の宿主へ移る。腹部前方にある一対の吸盤で取り付き、吸血の刺針から注入する毒液で宿主は炎症・出血を起こす。大量寄生されると死に至る。
オス3㎜ メス4~5㎜。どちらも扁平な円形型で色は半透明もしくは青淡色。産卵は夜間に行い、ゼラチン質で覆われた100~500個の卵の塊を水草などに産み付ける。 一生のうち10回産卵期が訪れる。 2~3日で孵化した幼生は0.7~0.8㎜、すでに寄生能力を持つ。脱皮を繰返しながら水温25℃の場合 約26日かけて成虫になる。
対 策新しくサカナを増やすときにはボディチェック、運搬時の水は極力水槽に入れない。 トリクロルホンなど有機リン系の殺虫剤は成虫・幼生のみ効果が得られ、卵には無効。 2~3週間の間隔で2~3回散布。吸血時に受けた傷の2次被害 防止のため、リフィッシュなどの薬浴で処置。
ツリガネムシ
症 状ウロコに白点が生じる。次第に立体的になり白斑部のウロコが立鱗・ウロコの欠損、充血・炎症を起こす。綿状のものが体表面に付着。
原 因参照:エピスチリス
原生動物の繊毛虫 ツリガネムシVorticella sp.
寄生というより着生に近い。エピスチリスと同じ繊毛虫なので症状は類似するが、単独生活を行い柄が螺旋状に収縮するのが特徴。個体サイズは30~150㎛。
転覆病
別 名うきぶくろ病
症 状おなかを上にひっくり返り 水面に浮ぶ、まれに水底に沈んだままの症状も
原 因主にリュウキンなど丸い体型をしたサカナに見られ、ウキブクロの異常や腸炎によりガスがたまることによって起こる。 水温低下・水質の急変によるストレス、餌の食べ過ぎ・消化不良、病気などによる体力低下、先天性な内臓疾患など。
直接的な死因にはならないが、長期間に空気に体表面が露出するため細菌感染しやすい。冬期の外気温度による凍傷の危険や、正常に泳げず捕食できないため衰弱死の可能性もある。
対 策完治方法はなく、水温低下によるものならば温度を上げる、消化不良ならば絶食など、そもそもの原因を見極めて対処。 水面上から出た体表面は細菌感染しやすく、2次被害の防止に塩水浴やエルバージュで保護。
さくいん