気功の原理

1、「気功」とはどのようなものでしょうか?

「気功」という言葉は中国では悠久の歴史を持っています。気功に関する内容は古代に吐納、導引、行気、服気、練丹、修道、座禅等と称されていました。古書の中に気功という記載は殆ど無く、たまに気功という言い方があっても、完全な解釈はされていませんでした。

1950年代になってから、劉貴珍が「気功療法実践」という本の中で「気という文字はここでは呼吸の意味を代表している。功ということは絶えず呼吸と姿勢の練習を調整することである。」と書き「気功」の二文字の意味はその時から確定し、流布したといわれています。

海外で気功を「深呼吸鍛練法」と翻訳した人がいますが、これは気功の意味の深遠さが認識されていません。実は、気功鍛練は呼吸、姿勢、意念の三種類の手段を含んでいるのです。またそれぞれの一種類の中にはまた多種類の鍛練方法があり、深呼吸はただ、その沢山の呼吸鍛練方法の中の一種類にすぎないのです。

だから、気功を「深呼吸鍛練法」と定義することはその一面に過ぎません。 中国医学では、気功は養気(気を養う)、積精(精を積む)、全神(神気を保全する)等を通じて、人体の真気を鍛練する能力と認識されています。真気は人体の生命活動の原動力です。人体のすべての生命活動、例えば言語、動作、感覚等はみな真気の作用した結果です。

真気が充実すれば、生命の活動は旺盛になり、真気が虚損すれば、人体は虚弱で病気に罹る。真気がなくなったら、生命も停止する。気功の練習は体内のこの原動力を養成するために行う鍛練方法の一つの種類なのです。

近年、中国の一般的な認識では気功によって練習者が変性意識的能動性を発揮し、総合的に調息(呼吸の鍛練)、調身(姿勢と体力の鍛練)と調心(心理の鍛練)との三種類の手段を通じて心身(精紳と形体)を鍛練し、自身の生理的潜在力を発動し、養成することを通じて身体をつくり、病気を治療する目的に至る医療保健運動の方法とみなされています。

以上の認識を一言でいえば、気功は中国民族文化特色に基づいた自己心身療法であるということです。心身療法の種類はたくさんがありますが、気功と他の自己心身療法との大きな差は中国民族文化特色に基づいているということです。すなわち、中国人に特有な、中医理論の気を核心として導かれた実践活動なのです。

現代医学から見れば、気功鍛練は心身健康に役立つある良性行為を学び、訓練し、条件反射などの方法で制御された行動療法と言えるでしょう。 心理学、生理学から気功を定義すれば、気功は主に自己暗示手段で意識が自己睡眠状態に入ることを促進し、心理-生理-形体の自己調整機序によって心身平衡を調整し、健身治病の目的に至る自己鍛練方法という事が出来るでしょう。 これから未来の科学の発展にしたがって、現代医学の知識で気功を認識できるようになる時がくれば、れわれの気功の実体についての認識が深まると信じています。

2、気功鍛練はどの様な特徴がありますか?

私達は気功が有効的で、実用的な医療保健方法であると思っております。その特徴は主に次の通りです。

(1)気功練習者の能動性意識を発揮させる。 この特徴は次の三点から反映されることと思います。

①受動を主動に変える: 今までの治療方式は殆ど患者は医師に診察してもらい、診断され、治療してもらうというように、患者はいつも受動的な状態にいます。気功療法は患者の自身で気功練習を通じて、自分で自分自身に治療するという、受動を主動に変えることができます。

②外部を内部に変える、他養を自養に変える: 現代医学はよく外界から治療の方法を求めます。例えば、絶えず古い薬品を変化させて合成新薬を開発したり、研究開発した新しいワクチンで伝染病を予防する、微量元素を多く含んだ食品を生産する等、この外部療法を重視する医学方式は、人体自身の内部条件の重要性を無視しがちです。

しかし人体内部に大きな潜在力を持ている心理-生理-形体の自己調整機序(ホメオスタ-シス)があることは科学で証明された事実です。この規律を認識し、掌握し、利用して、自分自身の保健医療に役立てることは気功鍛練が意識能動性を発揮することのもう一つの表現です。

③物質的なものから精神的なものへ変える: 現代医療は物理的方法、化学的方法、生物学的方法等を取り入れることがほとんどです。これらはみんな物質治療に属すると思います。しかし、気功療法は気功練習者の修身養心を要求し、自我の精神調節と情緒の改善、意志の培養、良好性格の養成、を通じて心理健康レベルの昂揚を強調します。

(2)呼吸、身体、心理鍛練の有機結合 呼吸、姿勢、意念の三種類の鍛練方法は気功練習の三つの要素とも称されています。その中で意念は鍛練のリーダー格で、決定の主導作用を発揮しています。古人が述べた「心意で功夫を練習する」という言葉ははこの思想を示しています。意念の鍛練は実際は心理鍛練の一種ですが、普通の心理療法とは違っています。姿勢の鍛練に一番重要なのは体形、体力についての鍛練です。即ち、「外練筋骨皮」(外部の練習は主に筋肉、骨格、皮膚を練習する)ということにつきます。

又、気功鍛練の多くの種類の呼吸方法は生体に対して一定の調節作用を持っています。気功練習するとき、丹田呼吸法を行えば、入静の状態に入ると、呼吸も柔らかで、ゆっくりし、均一、深長になり、呼吸も緩慢になります。要するに、気功は単純な心理療法ではなく、また単純な体育運動療法でもない、心理、体力、呼吸の鍛練を有機的に結合した、鍛練方法の一種であるといえます。

(3)心身両面からの身体観 気功は自己心身鍛練の方法の一種です。即ち、精神と肉体の両面とも練習することが必要です。性情を薫陶し、ある程度人間の性格を変化させることができます。心身とも練習することのもう一つ意味は気功鍛練の整体性にあります。気功鍛練するとき、現れた効果はただ一つの内臓、一つの系統に役立つではなく、全身の各系統、組織、器官及び心理にも同時に調整作用があります。

(4)人体の生理的潜在力を開発し、養成する 人間の心理活動は有効的に身体の生理機能の変化と潜在力の開発に影響することができます。時として潜在力開発が激しくなされる時に、人体の形態の実質の変化も引き起こしことがあります。 この心理-生理-形態反応のシステムは中国伝統養生気功が治療効果があることの重要な仮説です。

即ち、中国伝統気功の作用は人体潜在力の開発と養成にあるということです。この規律を研究し、掌握し、利用すれば、現代医学に対しても一つの重要な補充になり、大切な補助療法となりえると思います。

3。気功というのは一種の自己心身鍛練の方法と言えますか?

ここでいう「心」は心理、精神を指します。「身」は形体及び生理機能を指します。その字の通りに、自己心身鍛練の方法は意識の能動性を発揮し、自身の精神、形体にたいして鍛練する一種の方法です。

(1)気功鍛練は豊富な心理鍛練の内容を含んでいます: 中国医学典籍の「黄帝内経」に気功についてこのように書いてあります:「虚無、真気従之、精神内守、病安従来」「呼吸精気、独立守神、肌肉若一」。この「精神内守」と「独立守神」は古人が気功鍛練するとき、精神に対する要求を述べています。

さらに、気功でよく言われる言葉の「全て心意で功夫を練習する」は、心理活動が気功練習時の主導的地位を締めることを示しています。気功鍛練の一つの重要な内容は意識を「寝るようで寝るではない、覚めるようで覚めるではない」の入静状態に入らせることです。このように能動的に自己の意識状態を調整し、覚醒から入静に入る過程も自己心理鍛練の体現であるということです。

各種の具体的な練功方法は例えば、両脚が木のように根を生じることを想像したり、意念で丹田を守るとか、意念で守る部位に対する気感の体験等、それらは心理学感知、注意、想像、自己暗示、自己催眠等の内容の応用です。

(2)気功で身体の鍛練を実現する二つの道: 一つは身体に対する直接の鍛練です。これは主に動功の鍛練中に現れます。「外練筋骨皮」とは気功動功或いは外功が身体に対する直接の鍛練作用を指します。気功の動功鍛練するとき、肢体運動の様子は緩慢で、柔らかなようにみえても、初心者のうちは全身疲労を感じらることがあります。

このことから、この緩慢で柔らかな運動でも身体に対する鍛練作用がかなり強いことは分かることでしょう。また静功では、例えばタントウ功(立禅)もかなり強い身体鍛練作用を持っています。この作用の強さはまた、タントウ功(立禅)時体位の高さにしたがって相応の変化を発生させます。

低ければ低いほど、体力の鍛練強度は強くなります。気功の身体鍛練に対するもう一つの道は一種の間接作用があげられます。気功練習で心理活動の変化を引き起こし、心理変化がまず神経、内分泌のシステムを通じて機体の生理機能の変化を発生させ、生理機能の変化は必ず形態の変化を引き起こすことでしょう。

この作用は心理-生理-形態反応のシステムを通じて実現するでしょう。 この数年来、社会の発展、学問の発展にしたがって、人間は健康、疾病及び医学パタ-ンの認識も根本性的に変化してきはじめました。

ますます心理社会素因がその中に重要な位置を占めることは認識されてきました。そして一般的に気功鍛練が心身健康を保持し、心身疾患を治療するに重要な作用があることも認識され始めていると思います

4.気功というのは自己養生方法ですか?

これまでの医学では、外部からの手段で治療を求めることが重要視されてきました。例えば、絶えず新しいより有効的な化学薬物を探して、古い薬物を代える;声、光、電気、熱、磁気等の物理研究方面の新しい技術で検測、診断、治療の機械を開発する;新しい生物ワクチンを開発してより有効的に伝染病を予防する;日光浴、温泉浴、砂療法、泥療法等の自然療法を利用する等。

もし、外界の素因を利用して身体の機能を調整するによって疾病の予防と治療する目的に至ることを外部療法と言えば、人間の内部条件の作用も重視しなければならないでしょう。

人間の心理活動が有効的に身体の生理機能の変化に影響を与える事が出来るという、この心理-生理-形態反応システムの自己調整機能の変化がもし積極的な方向へ発展すれば、身体を丈夫にさせて、疾病を治療するに役立つでしょう;もし消極的な方向へ発展すれば、人体に損傷を与えて、疾病を引起こすことがあるのではないでしょうか?
この数年来、心理学、生理学、免疫学等の発展にしたがって、人体内部の秘密はだんだん解き明かされて来ています。

人間が自己コントロールと自己調整を通じ、自分自身の生理と病理状態を変え、疾病を治療し、身体を丈夫にさせる目的に至ることができることはもだんだん証明されています。
しかし、現在、このシステムについての認識と研究はまだ系統的にまとまっていません。それに、今まで多くの人に自覚的に重要視されてもいませんでした。

だから、このシステムを認識し、掌握し、利用して自分自身の保健医療に奉仕することは現代医学の重要な補充と発展となる事と思います。気功鍛練は主に人体内部の自己調節機能の開発と利用を現実化するものです。すなわち、自己養生の方法であるといえるでしょう。

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