ここでは、坂本衛が講師を務めた1999年度日大芸術学部放送学科「マスコミュニケーション演習4」の成果の一つ、テレビに氾濫する字幕スーパー(テロップ)の徹底研究を紹介します。まあまあの出来でしたので、編集委員会に諮《はか》り「GALAC」2000年04月号でも発表させてもらいました。以下では、誌面の都合上カットした部分も掲載します。ただし、文章は坂本が手を加え、ちゃんとした日本語に直してあります。
この研究では、とりわけバラエティ番組によく出てくる字幕を一括して「テロップ」と呼んでいます。「字幕」(subtitles。もとは外国映画のセリフ日本語訳を指し、のちにテレビ映像にかぶせられる文字を指すようになった)、「スーパーインポーズ」(super-impose。映画フィルムに文字など別のフィルムを重ねて焼き付けたことから、重ね映像・文字[の手法]を指し、のちにテレビでも使われるようになった。「字幕スーパー」もこの一種)、「テロップ」(TEROP。もとはアメリカのテレビ用タイトル投影機Television opaque projectorの製品名で、画面に文字や図を重ねること[または装置」。のちに[テロップ・カードやロール・テロップに描かれた]文字や図そのものも指すようになった)など、現在のテレビではいずれも「映像に後から重ねた文字」という意味で使っています。
【注】似たような意味の言葉をいくつか解説しておきます。
タイトル(title):題、題名、表題。映画やテレビ番組冒頭の題名を大映しにしたもの(オープニング・タイトル、メイン・タイトル)のほか、それに続く出演者・スタッフ名など一連の字幕を指すこともある。「終」「The end」「FIN」(やそれに続く一連の字幕)はエンド・タイトル(クロージング・タイトル)。大物俳優など一人の名だけが出るもの指して「一枚タイトル」という場合も。テレビの放送開始時に出るタイトル(局名・コールサイン・周波数などを知らせる)をオープニング・タイトルという場合もある。タイトル・バックは、タイトルの背景に使う写真・映像・デザイン。
クレジット・タイトル(cresit titles):提供者名や著作権者名などの表示。「提供 ○○食品」「制作・著作 ××」の類。略して「クレジット」。
キャプション(caption):説明文。(雑誌などの)写真などに付ける短い文章で、ネームともいう。映画では、字幕を指す場合がある。
クローズド・キャプション(closed captioning):テレビ放送における主として聴覚障害者向けの文字表示方法で、文字情報を電波の隙間に入れて送る文字多重放送の一種。普通は見えず、特定のチューナーで操作してはじめて見える仕組みなので「クローズド」と呼ぶ。字幕放送とほぼ同義。
ようするに字幕というと、映画字幕や字幕放送を連想してしまうので、敢えてテロップという言葉を使ったわけです。ただし、ただしテロップは、やや一般的ではないようにも思いますので、サイト掲載にあたって、小見出しなどに出てくる「テロップ」の表記に限って「字幕テロップ」と書き換えてあります。
≪リード≫ ≪研究・執筆者≫ ≪このページの目次≫
≪参考リンク≫ |
最近のバラエティ番組を眺めると、ほとんどの番組がテロップ(字幕テロップ、字幕スーパー、あるいは字幕)で占領されている。いつのまにか、テロップはバラエティ番組になくてはならない存在となっている。はたして、テロップなしでバラエティ番組は成立するのか。テロップは、わたしたちにとって本当に必要なものなのだろうか。
わたしたち日本大学芸術学部放送学科マスコミュニケーション演習4テロップ研究班は、まず同世代を中心にアンケートを配布し、テレビ視聴においてどの程度テロップは意識されているか調査した。そしてバラエティ番組で画面を占領している多くのテロップについて、ひたすら観察し分類を試みた。そこから見えてきたものは……。
読者の皆さんにとってテレビを考えるいい機会になることを願いつつ、ここにわたしたちの研究を報告する。
バラエティー番組で使用されているテロップの実態を検証するにあたって、テロップ意識調査を実施した。
有効回収票は183票、そのうち「テロップを意識してバラエティ番組を見ている」と回答した人が92.3%にのぼり、テロップに対する関心の高さがうかがえる。
また、「テロップを意識している」と回答した人のうち、「テロップが必要」と答えた人は84.6%、「必要ない」と答えた人は15.4%。今のバラエティ番組にテロップは欠かせない要素となっているようだ。
次にテロップが必要な理由を聞いたところ、「おもしろいから」が40.6%でトップ。以下「わかりやすいから」(36.4%)、「テロップがあるのに慣れてしまったから」(14.0%)となっている。
そのほかテロップが必要な理由については、「周りがうるさくても、テロップがあると何を言っているのかわかる」、「目からの情報と、耳からの情報は時には効果的だと思う』といったような肯定的な意見に加えて、「今のバラエティでテロップをなくしたら、さらにひどいバラエティになりそうだから」、「今テロップなしで、視聴者を笑わせることができる芸人がいないから」といったような消極的な(否定的だが必要悪とする)意見も数多く見られた。
最近の視聴者には、「テロップがあるとおもしろい」=「テロップがないと笑えない」という意識が高まってきているといえるだろう。
次に、最近のバラエティ番組でテロップが多いと思われる番組を挙げてもらった。(番組データの詳細については、本文末のNotesを参照のこと)
順位 | 番組名 | 放送系列 | 回答数 |
---|---|---|---|
1 | HEY! HEY! HEY! | フジテレビ系 | 32 |
2 | めちゃめちゃイケてるッ! | フジテレビ系 | 15 |
3 | 進ぬ!電波少年 | 日本テレビ系 | 12 |
4 | ASAYAN | テレビ東京系 | 9 |
5 | ぐるぐるナインティナイン | 日本テレビ系 | 7 |
6 | 速報! 歌の大辞テン!! | 日本テレビ系 | 6 |
6 | ウンナンの気分は上々 | TBS系 | 6 |
8 | とんねるずの生でダラダラいかせて | 日本テレビ系 | 5 |
8 | 学校へ行こう! | TBS系 | 5 |
10 | ウッチャンナンチャンのウリナリ!! | 日本テレビ系 | 4 |
10 | うたばん | TBS系 | 4 |
次点 | 1億人の大質問!?笑ってコラえて! | 日本テレビ系 | 3 |
番外 | いいとも増刊号 人気者でいこう ロンドンハーツ マジカル頭脳パワー ネプい さんまのスーパーからくりTV ダウンタウンのガキの使いやあらへんで そこがヘンだよ日本人 わらいの時間 歌番組全般 バラエティ番組全般 ナインティナインの番組全般 など | 2以下 |
上位10位までに挙げられた番組のほとんどが「おもしろい」という評価を受けているが、6位の『速報!歌の大辞テン!』は、この番組を挙げたすべての人から「おもしろくない」と評価されている。理由には「出演者の言うことをすべてテロップにするのは視聴者をバカにしている」、「そのまま言っていることをテロップにしているだけで、テロップを使用している意義が見いだせない」、「あまりのテロップの多さに腹が立つ」など、テロップの過剰使用に対する批判的な意見が目立った。
反対に、テロップが少ない番組を挙げてもらったところ、具体的な番組名は出ず、単に「NHKの番組全般」や、「明石家さんまが出演している番組」といった回答が多かった。
また、テロップが少ない番組の評価は概して高く、全回答とも「おもしろい」という評価であった。とくに、『躍る!さんま御殿!!』など、明石家さんまが出演している番組に対しては、「さんまのトークだけで十分楽しい」、「テロップなしで笑わすことができる数少ない番組」といったように、テロップを使用しなくてもバラエティ番組として成立している点を評価している意見が見受けられた。
以下では、テロップの分類結果をテロップの類型表にまとめた。
バラエティ番組では、映像をよりおもしろく、わかりやすく視聴させるための演出部分にテロップが使われる。そこで、「演出意図による分類」として、なぞり、説明、画面切り換えという3つの分類を試みた。この分類を便宜的に”系”と呼ぶことにする。
すると、すべてのテロップは、”××系○○型”として表すことができる。
わたしたちは、アンケートでベストテン入りした番組をひたすら観察し、テロップの数をカウントしながら、分類したテロップの特徴を列挙してみた。厳密にいえば、また違う分け方もあるだろうが、なるべく演出方法について有効な分類を整理しようと考えた。
”系”については、3分類のそれぞれにいくつかの種類があると思われたので、これは甲、乙、丙……に分けた。
どんな番組がどのようなテロップを好んで使っているのか。また、映像を飾る文字のバリエーションはどのくらいあるのか。表を見て、楽しんでもらいたいと思う。(表中のボタンをクリックすれば、実例と分析を表示します。Internet Explorerをお使いの場合は、キーボードでボタンに対応するキーと[Altキー]を同時に押しても表示できます。閉じるときは[Alt+X]です)★★★画像は準備中です。しばらくお待ちください★★★
【注】すべてのテロップは、ある「演出意図」をもって画面に挿入され、ある「表現形態」(見た目のかたち)を持つ。演出意図――それが正しく伝わるのであれば「機能」と言い換えてもよい――には何通りかあり(ここでは3つの系に分類し、さらにそれぞれを甲乙丙丁に細分化)、表現形態にも何通りかある(表では8つの型に分類)。もちろん、系や型あるいはその細分化は見方によって異なるし、時とともに新しいタイプが登場するだろうことも、いうまでもない。
わたしたちはアンケートの最後に、テロップについての自由な意見を求めた。賛成・中立・反対に分けて整理しよう。
●多すぎて飽きるが、笑いの渦にまきこまれてタレントが何を言っているのかわからないときなどは便利。(18歳・女・学生)
●話の説明として出てくるテロップはおもしろいし、タレントの話がわかりやすく出てきてよいと思う。効果音といっしょに字がどんどん大きくなったり、流れて来たり、むかつくマークとかも入ってて工夫してあって楽しい。(12歳・女・小学生)
●テロップはあるとおもしろいし、聞き取りにくい言葉もまとめて下に出てくるからわかりやすい。あったほうがいい。(11歳・女・学生)
●最近のバラエティは言語だけじゃなく、action的に笑いをとる指向があるし、それはそれでおもしろいし、テレビは視覚にうったえるから、いんじゃないかな?(18歳・女・学生)
●入りこみやすいからGOOD。(20歳・女・会社員)
●目と耳の両方から情報が入ってくるということで、インパクトは倍増されるからそれを強調したいとのことだろう。バラエティ番組っていうのはあんまり考えないで見るのでラクでいい。(23歳・男・学生)
●聞き取れなかった事を人に聞いている間に番組が進んでしまうけれど、テロップが出たらすぐわかってよい。(23歳・女・その他)
●活字に対する受け入れやすさが以前とは違うから、ウザさを感じない。色の使用なども演出の一つとして有効。ただ読みにくい字は勘弁。(26歳・男・自営業)
●ないよりもニュアンスが伝わりやすい。グラデーションや大きさの変化や色など、技術的な効果がさらにニュアンスに表現を与えている。(32歳・女・フリーター)
●音、映像に文字というのは、テレビの情報としては基本的なもの。これが楽しいか、役立つが、その他は個人の問題と思う。(49歳・女・会社員)
●テロップに同感できて、さらにおもしろく見ることができる。(51歳・女・主婦)
●テロップが多い時は少しイライラするけど、適量ならなんとも思わない。耳が聞こえない人にはいい。(10代・女・学生)
●どこも横並びで工夫がないが、字幕放送が増えたと思えばテロップが多いのもよいことだと思う。(32歳・男・会社員)
●テロップは一つの笑いのテクニックだから、きっとおもしろい人、笑いを分かってる人が作らないと、しつこくなったり、おもしろくなくなったりする。(22歳・女・学生)
●テロップが多いと疲れる。テロップを入れる前と後とで、視聴率にどれくらいの変化があるのか気になる。(20歳・女・学生)
●テロップを出せばなんとかなるという番組づくりには疑問。かといってNHKのバラエティのようにテロップを乱発しないのも、最近の視聴者には受けないと思う。新たなバラエティの演出が求められているのでは。(21歳・男・学生)
●「テロップによって日本語が変えられる」と言ったら大袈裟かも知れませんが、若者視聴者への影響は何らかの形であるように思う。(21歳・女・学生)
●笑い過ぎて静かにテレビが見れなくなった。実際にそう思い込んでしまって、洗脳されている自分がいる。(24歳・女・会社員)
●想像力の欠如が問われて久しいですが、マンガや劇画で育った人たちには違和感がないだろうと思います。(43歳・女・会社員)
●あまり意識してないが、あっておもしろいのとそうでないのがあるので、内容にあうくらいの量にして欲しい。(26歳・女・主婦)
●まさにテロップのセンスの問題。おもしろいテロップは笑いを二倍にするけど、タイミングの悪いセンスの悪いのはマイナス×2となる。(?・男・?)
●視覚に訴えるのでわかりやすいしおもしろいけど、番組のテーマとかキーワードとかとは何の関係もない、タレントの言葉の端々をテロップにするのは不必要。(25歳・男・公務員)
●おもしろくない事でもテロップを出していると、一つ一つのテロップの面白味がなくなる。(18歳・男・学生)
●どこが笑うタイミングかわかりやすくしているのって、押しつけがましい。最初はまだ新鮮だったけど、ここまでやるとなおさら。親切すぎて自分がバカになった気分。(23歳・女・学生)
●読みづらいテロップが多い。あまりムダにテロップは出さないほうがいいと思う。普通のことをわざわざ文字にされても何もおもしろくない。(20歳・女・学生)
●一時的には「へぇ、こんな手法もあるんだ」と興味を持ったが、最近どの番組にも、同様にテロップが入るので、特化できなくなってつまらない。(35歳・女・会社員)
●テロップしだいで一コの映像を「喜怒哀楽」どれにでもできることがある。テロップが当り前のことになって、無意識に受け入れる視聴者も怖い。音声を消してもストーリーがわかってしまう番組はどうかと思う。テレビはあくまでも「映像」で勝負してほしい。(21歳・女・学生)
●解り切ったことをテロップにするのは目障りである。(63歳・男・無職)
●くだらないのが多い。(51歳・男・自営業)
●何でもかんでもテロップをつけるのは間違っている。人がいった事をそのままテロップにするというのもつまらない。必要に応じて、またおもしろさを追求するために、テロップをつけてほしい。(23歳・女・アルバイト)
●安易にテロップを出しすぎる。出して何の意味があるのかわからないのがおおすぎる。バラエティなら出演者の話芸で楽しませたり納得させたりするのが、本当の姿だと思う。ロンブーは大きらい。電波少年も大きらい。(36歳・男・会社員)
●『いいとも増刊号』には必要だと思わない。最近のテロップ流行の流れでやっているのかもしれないが、あれは演出ともいえないし、わかりやすくするためのサービスにもなっていない。ただの”コビ”にしかうつらない。うっとおしい。(22歳・女・学生)
●おもしろいわけでもないし、強調するわけでもないのに、出演者の発言をそのままテロップででっかく出している番組の考えがよくわからない。(たとえば『歌の大辞テン!』)(21歳・女・学生)
●芸人(あえてタレントと呼ばない)のしゃべりに、なぞるようにテロップを入れる制作側の親切心(?)なのかもしれないが、その話芸の一瞬の笑いを打ち消してしまう。これは笑いの堕落でしかない。もっと緊張感ある笑いがあってほしい。(42歳・男・編集者)
●テロップがあるとおもしろさが倍増するとは思うけれど、頼りすぎると(テロップに)映像の意味がなくなってしまうと思う。このままだとお笑い芸人などがテロップに頼って自分たちの”芸”がなくなってしまうと思う。(21歳・女・学生)
●芸人の質が落ちる(23歳・男・学生)
●テロップは、いつのまにかバラエティ番組になくてはならない手法として取り入れられてしまった。テロップがあることが、当たり前になってしまった。そして、テロップがなかった頃のバラエティ番組を思い出せなくなっている自分がいる。
テロップがなかったとき、私はバラエティ番組をどのように見ていたのだろう? もし、今のバラエティ番組をテロップなしで見たら、私は笑うことができるのだろうか?
ちょうどそんな疑問を抱いていたとき、この研究に携わることができた。少しでも自分の抱いている疑問に答えが出るのならば、と思って参加した。
いろいろな人の意見を聞き、冷静な目でテロップの分類をしてみて、出た答え。それは「きっと、今の私はテロップなしでは笑えない」ということ。今の私は、テロップに笑わされている自分に腹が立ちつつも、テロップなしでは笑えなくなってしまっている。
でも、それもしょうがないかな、と思ってしまうのは「テロップ分類表」を見れば一目瞭然。テロップはこんなに計算しつくされた笑いだから。1秒1秒かわる画面に、ポイントを突いてテロップを当てはめていく。こんな高等な笑いの手段にはお手上げである。
だとすると、今私がおもしろいと思っているのは、画面に出ている芸人ではなく、テロップということ? そうだとすると、本当に私たちを笑わせているのは、芸人ではなく、番組制作者?
また、新しい疑問が出てきてしまった…。(筆者不詳……細井? 木村? なお、この文章が入っていたFDはウイルスに汚染されていた!)
●テロップなしのバラエティ番組を、いまや思い出せないようになってきたわたしたち世代が、テロップを意識して考える機会を持てたのは貴重な体験だった。
アンケートを配布してわかったのは、テロップに対し問題意識を持って考えてくれる人が以外に多かったことだ。
アンケートの年齢層を広げようと試みたが、50代から上の世代は、テロップ自体の意味をなかなか理解してもらえず苦労した。年齢が高くなるほど、バラエティ番組の視聴者数が減っていく。しかし、テロップの氾濫を孫や子どもの将来を危惧する方向で意見してくれた人もいたのは収穫だった。
わたしたちがいま思うことは、「演出者たちは、こんなにもテロップにこだわって番組を作っているのか」ということだ。一秒一秒計算された”間”の中に組み込まれる文字の多さを前にして途方にくれてしまう。
制作者たちの「ここで笑わそう」「ここで感動させよう」という仕掛けは、テロップとなって、今後も多様化していくのだろう。この表ではもうすでに、収まりがつかなくなっているのかもしれないのだから。(木村珠子・本田尚子・渡部香・細井章子)
●テロップは、番組の演出に幅を持たせる革新的な手段だ。ひらがな、カタカナ、漢字、記号。大袈裟に言えば多用な文字を使いこなす日本の文化ならではのもの。(鈴木絵里)
●テロップを演出の一環としてきちんと意識して作っている番組は、やはりおもしろい。テロップは非常に”テレビ的”な演出方法だった。(小泉亜矢)
●今後はテロップに慣れた視聴者によって、センスのあるテロップが使われていき、それ自体に魅力のある番組が選ばれ、その他は自然と淘汰されていくのではないか。(加藤由梨)
●テロップが氾濫する今、芸人達も独自の笑いを生もうと試行錯誤しているのではないだろうか。(大澤由紀子)
●今回、多くの人がアンケートに協力してくれて嬉しかった。ありがとうございました。この研究が氾濫しているテロップの改善に役立つことを願います。(川村富美子)
最後にわたしたちは、テロップは必要か、不必要か、その問題を考えることをあえて避けようと思う。個々の問題意識の中で、この研究がもう一度考える材料になることを期待するから。
【凡例】 タイトル(系列)/放映日時(時間)/主な出演者/主なスタッフ
HEY!HEY!HEY!(フジ)/月曜20:00〜(60分)/ダウンタウン/P・演出=水口昌彦 演出=城野智則 D=富田哲郎、城間康男 ほか
めちゃめちゃイケてるッ!(フジ)/土曜19:53〜(60分)/ナインティナイン 極楽とんぼ よゐこ 鈴木紗理奈 雛形あきこ/総合監督=片岡飛鳥 D=中村肇、近藤昌広、戸渡和孝 ほか
進ぬ!電波少年(日テレ)/日曜22:30〜(25分)/松本明子 チューヤン/P・演出=土屋敏男 P=鈴木雅人、小西寛 D=〆谷浩斗 ほか
ASAYAN(テレ東)/日曜21:00〜(60分)/ナインティナイン/演出=タカハタ秀太 D=小林啓一、松原孝二 P=佐藤哲也、井口高志 ほか
ぐるぐるナインティナイン(日テレ)/金曜19:00〜(60分)/ナインティナイン/総合演出=伊藤慎一 宮下仁志 チーフP=桜田和之 演出=海野裕二 ほか
速報!歌の大辞テン!!(日テレ)/水曜19:58〜(60分)/企画総合演出=五味一男 P=土屋泰則、森貫陽三 D=豊村剛、矢頭寛 ほか
ウンナンの気分は上々(TBS)/金曜23:00〜(30分)/ウッチャンナンチャン/チーフD=安田淳 P=荒井昌也、佐藤啓 構成=高須光聖 ほか
とんねるずの生でダラダラいかせて(日テレ)/水曜21:00〜(60分)/とんねるず/監修=秋元康 演出=佐藤俊一郎 P=大澤雅彦 ほか
学校へ行こう!(TBS)/火曜19:54〜(60分)/TOKIO みのもんた/総合演出=合田隆信 チーフD=江藤俊久 P=田代秀樹 ほか
ウッチャンナンチャンのウリナリ!!(日テレ系)/金曜19:58〜(60分)/ウッチャンナンチャン/演出=工藤浩之 加藤幸二郎 P=土屋敏男、戸田一也 チーフP=棚次隆 ほか
うたばん(TBS)/木曜19:54〜(60分)/石橋貴明 中居正広/P・演出=阿部龍二郎 チーフD=中鉢“Sorry”功 P=大崎幹 ほか
以下は、このテーマについてNHK広報局の勉強会(2002年2月)で話した際のレジュメです。ご参考まで。
○音声を補完―翻訳・電話・騒音・方言・身障者・変声……
○90年代?以降、新しいテロップの登場
「出演」音声の補完――おもしろいセリフ・クスグリ・オチの強調
「演出」音声の露出――本来ならP・D・Nの音声で、間・区切り・転換・解説・ツッコミ
○「人」の笑い(全員集合→ひょうきん族→笑う犬)
プロ・舞台(スタジオ)・芸・つくりこみ・アドリブ・フジ
○「企画」の笑い(元気が出る→マジカル・電波・ウリナリ)
素人・ドキュメンタリー・芸の解体・おいこみ・テロップ・日テレ
○価値観の変化/多様化(旧来の価値の崩壊)、意味から気分へ、バラエティ全盛時代へ
○演出意図と表現形態のマトリックス分類
意図――効果的なもの/意図不明で逆効果、ウルサイだけのもの
形態――多様化、細分化、自己増殖
○日本語との関連
漢字という「表意文字」との関連――短い/強い/瞬間に意味を伝達/わかりやすい
マンガ(の吹き出し)・絵文字・インターネット(の表記法)・携帯との関連
○細分化(わからない人には伝わらない)、ウルサイ、お節介(視聴者をバカに)
○誤植の氾濫(×今だに ×という話し ×する様に)
GALAC「氾濫する字幕番組の功罪」(1999.6 坂本)
「テレビ画面に躍る文字たちの生態学」(2000.4 日大マスコミ演習IV)
「事典日本の文字」(1985.4 大修館書店)