[ 事件 index / 無限回廊 top page ]

犯罪関連用語の基礎知識

[ 犯罪関連用語の基礎知識 index ]

【 た行 】

- 50音順 -

 

胎児
逮捕
逮捕から起訴まで
逮捕監禁罪
逮捕許諾請求
大麻取締法
代理処罰
多重人格
堕胎の罪
DARC
痴漢
チケット不正転売禁止法

地検特捜部
血の酩酊
地方更生保護委員会
通貨偽造の罪
通信指令システム
通信傍受法

出会いサイト規制法

DSM−5
DNA鑑定
敵意帰属バイアス
デフェクト
テロリズム
投影同一化
統合失調症
逃走罪
当番弁護士制度

盗品等に関する罪
通り魔
篤志面接委員
毒樹の果実
毒物及び劇物取締法
特別公務員暴行陵虐
賭博及び富くじに関する罪
ドメスティックバイオレンス防止法
トリアージ

トリカブト
取り調べ監督制度

 

 

胎児

胎児

胎児は「人」とは見なされない。だから、妊婦の腹を刺して胎児を殺しても殺人罪には問われない。それでは、どの時点で胎児は「人」となるのか。それについては3つの学説がある。

[ 1 ] 「一部露出説」・・・母体から頭の一部分でも外に出れば、その時点で「人」と見なす。
[ 2 ] 「全部露出説」・・・文字通り、赤ん坊の全身が外に出た時点で「人」と見なす。
[ 3 ] 「独立呼吸説」・・・産声をあげて肺に空気が入った時点で「人」と見なす。

今のところ、判例では「一部露出説」を採用しており、少しでも胎児が外に出た状態で、殺した者は殺人罪になる。だが、民法上では事情が異なり、相続については胎児でも生まれたものと見なされる。

逮捕

逮捕

被疑者の逮捕には、あらかじめ逮捕状を用意してから行なう通常逮捕(令状逮捕)、逮捕した後にすぐ逮捕状を取る緊急逮捕、そして目の前で犯罪を行なっている者を捕らえる現行犯逮捕がある。

緊急逮捕とは、たとえば3日前に強盗の被害を受けた人が、たまたま街角で自分を襲った犯人を見つけたので、警察官を呼んで逮捕してもらうことである。犯罪が起きたのは過去のことだから現行犯逮捕はできないし、その時点で犯人は特定されていないから逮捕状もない。しかし、だからといって逮捕できないのであれば困る。放っておけばまた逃げてしまうから逮捕状を請求しているヒマもない。ということで、逮捕してからすぐに証拠を揃えて逮捕状を請求し、それを裁判官が認めれば合法的な逮捕になる。だが、原則的には現行犯でないかぎり、逮捕状なしに逮捕することができないので、学者によっては緊急逮捕を違憲とする説を唱える人もいる。最高裁の判例では、逮捕したという事実と逮捕状の請求を一体の行為と見るかぎり、事前に逮捕状を用意して逮捕したのと変わらないとしている。

現行犯逮捕は捜査権を持たない私人も行なうことができ、犯人を捕まえて縄で縛っても罪にはならない。

殺人事件の犯人として目をつけている者を警察がそれとは別の軽い犯罪の容疑(別件)で逮捕し、身柄を拘束した上で、殺人事件についての取り調べを行なったとき、この逮捕を別件逮捕という。これは明らかに違法な捜査である。だが、たとえば死体遺棄罪や死体損壊罪で逮捕した被疑者に殺人の取り調べを行なった結果、殺害したことを自白した場合に改めて殺人罪で逮捕しても別件逮捕にはならない。それは死体遺棄・死体損壊と殺人には明らかに関連性があるからだ。

日本では裁判所から逮捕状が発付されているのに被疑者に対して任意同行を求めるケースが非常に多い。すべて被疑者やその親族に対する捜査側の配慮、温情というのがその理由。任意同行の場合、捜査員が被疑者に手錠をかけることはなく、任意同行を求め、警察署内の取調室で逮捕状の執行を行う。任意同行を拒まれ、捜査員が危険に晒されたり、被疑者に逃亡されたりすることがたびたび起こっており、そういうことを考えると手錠をかけてしまえば楽だが、その場に小さな子どもがいると父親が手錠をかけられて連行される姿はずっと記憶に残るといったことに対する配慮。欧米ではこの点に関してはどんな状況であろうと平気で逮捕を執行する。日本は例外的と言える。

逮捕から起訴まで

逮捕から起訴まで

刑事事件は基本的に、捜査→逮捕→送検→勾留→起訴という流れになる。

警察は逮捕した被疑者をそのまま何日でも拘束しておけるわけではなく、被疑者を勾留するには裁判官の許可が必要で日数にも制限がある。

警察は逮捕から48時間以内に被疑者を送検しなければならない。被疑者の身柄を拘束したまま書類や証拠物とともに送致するのが「身柄送検」、被疑者が在宅のまま書類や証拠物を送致するのが「書類送検」である。「書類送検」は証拠が不充分なときや、あっさり犯行を認めて逃亡や証拠隠滅のおそれもないときなどに身柄を釈放するが、強制捜査を行なった事件はすべて検察に送らなければならないので、「書類送検」となる。「身柄送検」を受けた検察官は24時間以内に裁判官に勾留請求する。そこで裁判官が被疑者に尋問(勾留質問)を行い、勾留の必要があると認められれば、勾留状が発行される。

勾留期間は、検察官による勾留請求が行なわれた日から原則として10日間。その期間内に起訴しないときは、検察官は被疑者を釈放しなければならない。10日間では捜査が充分に行なえなかった場合は、勾留期間の延長を裁判官に請求し、それが認められればさらに、10日間の勾留が可能で最長20日間の勾留ができる。つまり、逮捕から最長23日間、被疑者を拘束することができることになる(例外的にさらに5日間)。

取り調べの途中で別の犯罪容疑が明らかになって、被疑者が再逮捕されることもあるが、このとき、改めて10日間の勾留を請求することができる。できるだけ取り調べの期間を長く確保するために、最初の勾留期限が切れるギリギリのところで再逮捕することが多い。同じく最長20日間の勾留が可能。

送検したあと、事件の捜査そのものをすべて検察官に任せてしまうわけではなく、その後の取り調べはほとんど警察に任されている。検察官のほうは必要と思えば途中で被疑者に会うこともあるが、普通は警察の取り調べがある程度まとまった段階で取り調べを行い、供述調書を取る。そして被疑者を裁判にかける必要があると判断すれば事件を起訴する。

逮捕や勾留なしでいきなり起訴になる場合もある。たとえば、国税庁から検察に脱税の告発があった場合、任意の事情聴取で相手が脱税の事実を素直に認めれば、逮捕して身柄を拘束する必要はない。特に、脱税の被疑者が有名人などの場合、逃亡するおそれのないときは逮捕も勾留もせず、在宅のまま起訴する。

逮捕監禁罪

逮捕監禁罪

継続して人の行動の自由を奪うのが逮捕監禁罪刑法220条)で、3ヶ月以上7年以下の懲役。身体を直接拘束するのが「逮捕」で、一定の区画された場所から出られなくするのが「監禁」。親しい間柄の人であっても、また同意で乗車したとしてもドライブ中に「降ろして」と言われたのに、そのまま走り続ければ監禁罪になる。監禁は必ずしも「囲い」を必要とせず、嫌がる相手を無理矢理バイクに乗せて走った場合も監禁罪になる。

逮捕監禁した結果、怪我させたり死に至らしめた場合は監禁致死傷罪(刑法221条)になり、致傷罪は傷害罪と監禁罪を比べ、刑の重いほうで処罰し、致死罪は傷害致死罪と監禁罪を比べ、刑の重いほうで処罰する。監禁と怪我に因果関係がないときは、監禁罪と傷害罪の併合罪となる。

逮捕許諾請求

逮捕許諾請求

国会会期中に捜査機関が国会議員を逮捕するために議員の所属する議院の許可を得る手続き。憲法50条により、国会議員は現行犯を除き、原則として会期中は逮捕されない「不逮捕特権」が保障されている。これは不当逮捕などによって議員の自由な政治活動を妨害することを防ぐために設けられている。

そのため、捜査機関が国会法に基づいて、裁判所に逮捕状を請求したのち、裁判所が逮捕許諾要求書を内閣に提出。内閣は閣議を経て該当の議院に逮捕許諾請求を提出する手続きをする。

大麻取締法

大麻取締法

大麻取締法1条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。
大麻取締法3条 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。
2項 この法律の規定により大麻を所持することができる者は、大麻をその所持する目的以外の目的に使用してはならない。
大麻取締法4条 何人も次に掲げる行為をしてはならない。(二〜四&2項、省略)
一 大麻を輸入し、又は輸出すること(大麻研究者が、厚生労働大臣の許可を受けて、大麻を輸入し、又は輸出する場合を除く)。
大麻取締法24条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
3項 前2項の未遂罪は、罰する。
大麻取締法14条 大麻栽培者は、大麻をその栽培地外へ持ち出してはならない。但し、都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。
大麻取締法24条の2 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。
3項 前2項の未遂罪は、罰する。
大麻取締法24条の3 次の各号の一に該当する者は、5年以下の懲役に処する。
一 3条1項又は2項の規定に違反して、大麻を使用した者
二 4条1項の規定に違反して、大麻から製造された医薬品を施用し、若しくは交付し、又はその施用を受けた者
三 14条の規定に違反した者
2項 営利の目的で前項の違反行為をした者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。
3項 前2項の未遂罪は、罰する。

代理処罰

代理処罰

日本の刑法は「日本国内において罪を犯したすべての者に適用する」と定めている(刑法1条1項)。国内で事件が発生して、もし犯罪者が日本にいれば、日本の警察が逮捕して、日本の裁判所が日本の刑法を適用して裁くことになる。だが、外国に逃亡して、その国で逮捕された場合、その国との間で犯罪者身柄引き渡し条約が結ばれていれば、日本からの要請で犯人を日本に移送して取り調べを行うことができるが、条約が締結されていなければ、身柄の引き渡しはできない。現在、身柄引き渡し条約が締結されているのは日本ではアメリカと韓国だけである。そこで、海外に逃亡した犯人に対する容疑を裏付ける証拠書類などを提出して、その国の法律で処罰するように要請し、それによってその国の政府や警察機関が行う処罰のことをいう。代理処罰の要請を受けた国は、犯人を処罰する義務を負うわけではない。外国の捜査機関が刑事事件として扱わないと判断した場合、日本政府はどうすることもできない。また、代理処罰の場合、日本の法律は適用できないので、日本で裁判を行った場合との不均衡が生じる。
★日本が外国に代理処罰要請した事件の例
1993年(平成5年)、東京都豊島区のマンションで淡路恵(33歳)が殺害された事件で殺人容疑で国際手配されていたタイ国籍の男・ウイラサック・イアンポングサがタイ国内に潜伏していることが分かり、警視庁がタイの捜査当局に対し現地の刑法で日本の事件を処罰する代理処罰を要請したことが捜査関係者への取材で分かった。警視庁によると、ウイラサック・イアンポングサは淡路の知人で事件直後に海外に逃亡。警視庁は1993年4月に殺人容疑で逮捕状を取り、国際刑事警察機構(ICPO)を通じ国際手配していた。2011年(平成23年)12月にタイ国内にいるのを現地の捜査当局が確認し、警視庁に連絡があった。日本とタイの間には「犯罪人引き渡し条約」がなく、警視庁は代理処罰を求めるため2012年(平成24年)5月に捜査員をタイに派遣。9月下旬にはタイからも捜査関係者が来日し事件現場を訪れていた。殺人罪の時効は事件当時15年だったが、男が出国したため、その間は時効が停止されていた。10月7日(現地時間)、タイ南部のナコンシータマラートでウイラサック・イアンポングサ(当時40歳)が現地警察に身柄を拘束された。容疑を認めているという。2013年(平成25年)8月19日、タイのバンコクでこの男の裁判が行われ、警視庁の捜査員が証人として出廷した。警視庁の捜査員が海外の裁判で証言するのは初めて。9月30日、バンコクの刑事裁判所は殺人罪で起訴されたタイ人のウイラサック・イアンポングサに禁錮9年の実刑判決を言い渡した。
1999年(平成11年)7月26日、静岡県浜松市で高2女子生徒(当時16歳)がひき逃げされた事件で、4日後にブラジルに帰国した被疑者の日系ブラジル人のヒガキ・ミルトン・ノボル(当時32歳)を2007年(平成19年)1月、ブラジルで在宅起訴。翌2月の初公判で被告は起訴事実を認めている。
2000年(平成12年)、東京都大田区で妊娠中の女性が殺害された事件で、国外逃亡していた中国籍の女が、日本政府から代理処罰の要請を受けた中国当局に拘束され、2008年に執行猶予付きの死刑判決を受けていたことが、捜査関係者への取材でわかった。警視庁は公判の詳細や女の現状などの確認を進める。捜査関係者によると、中国で執行猶予付きの死刑判決を受けたのは、事件直後に中国に逃亡していた李富春(当時48歳)。警視庁は殺人容疑で李の逮捕状を取得し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配していた。日本政府が中国に代理処罰を要請したところ、中国当局が李容疑者を拘束。2008年2月に執行猶予付きの死刑判決が下り、同年5月に確定していた。殺害を認めているという。昨年12月に判決文が警視庁に届き、ICPOを通じて身柄の場所や詳しい供述内容などについて問い合わせているという。女性は宇野純子(21歳)で、1998年に中国から来日して、帰化。2000年2月19日に、住んでいた大田区蒲田のアパートで首などを刺されて殺害された。妊娠8ヶ月だったという。警視庁は同年7月に宇野の伯父夫婦とその息子夫婦の計4人を殺人容疑で逮捕。入国をめぐる金銭トラブルが背景にあったとされる。伯父ら3人が殺人罪に問われ、東京地裁で実刑判決を受けた。
2001年(平成13年)6月4日午前2時15分ごろ、東京都葛飾区に住む無職の川上芳考(33歳)が自宅に侵入した2人組の男に射殺され、妻(当時42歳)が銃で殴られ、重傷を負わされた事件で殺害を依頼したとして弟らが逮捕されたが、2011年(平成23年)10月5日、警視庁捜査1課は実行犯として殺人容疑などで国際手配していた日系ブラジル国籍のマルセロ・フクダ(逮捕当時31歳)クリスチアノ・イトウ(逮捕当時35歳)の男2人がブラジル国内で身柄拘束されたことを明らかにした。2人はすでに現地の法令に基づいて起訴されているといい、警視庁などは今後、現地当局に代理処罰を求める。同課によると、2人の男は事件直後、日本を出国していたが、現地時間の4日夜、ブラジル南東部のカンピーナスで現地の捜査当局に身柄拘束された。2人の容疑者は当時、日本国内におり、暴力団員らから殺害の指示を受けたという。川上の双子の弟、池辺哲守(てつお/2人の容疑者の逮捕当時43歳/殺人罪などで無期懲役が確定)が知人を通じ、暴力団員に犯行を依頼していた。事件をめぐっては、池辺と暴力団員ら計7人が逮捕、起訴されるなどしていた。
2001年(平成13年)10月14日午前、群馬県太田市でシルバー人材センター嘱託の木村唯雄(69歳)が刺殺された事件で、殺人容疑で国際手配中のディアス・サンチェス・リカルド・モイセスがペルー捜査当局に拘束されたことが連絡を受けた県警への取材で分かった。ディアスは当時、現場近くで建設作業員として働いていた。2004年(平成16年)6月に別事件で逮捕され、9月に国外退去処分となったが、現場の遺留指紋と一致したことなどから国際刑事警察機構(ICPO)を通じ国際手配されていた。2010年(平成22年)10月6日、ペルーのリマ高裁はディアス(当時43歳)に対し、求刑通り禁固8年の実刑判決を言い渡した。ディアスが控訴しない意向を示したため、判決が確定した。ペルーで日本の代理処罰による判決が出るのは初めて。事件当時、木村は4歳の孫娘と一緒だった。
2001年(平成13年)12月26日、遼寧省出身で最初の事件直前まで大分県内の私立大に在籍した朴哲(逮捕当時33歳)と張越(逮捕当時35歳)が大学を退学した7日後のこの日、共謀して大阪市北区のホテルで女性(35歳)からキャッシュカード2枚を奪った後、刃物で刺して殺害した容疑と2002年(平成14年)1月18日に女性殺害事件の共犯を含む元留学生ら3人と共謀し大分県山香町(やまがまち/現・杵築(きつき)市)の建設会社会長・吉野諭(73歳)方に押し入って吉野を刺殺、吉野の妻にも重傷を負わせたなどの容疑があり、中国側から「身柄を拘束した」と日本政府に連絡が入ったことが、捜査関係者への取材でわかった。吉野は地元の中国人留学生の身元保証人になるなどの支援活動を続け、「留学生の父」と慕われていた。日中間には犯罪人引き渡し条約が結ばれていないため、身柄が移送される可能性は低く、警察当局は、中国の国内法で司法手続きを行う代理処罰を求める方針。残り3人は日本で逮捕され、福岡高裁が無期懲役、懲役15年、懲役14年を言い渡し、確定している。
2003年(平成15年)2月、ジュリオ・アンドラーデはほかの男2人と共謀し、茨城県千代田町(現・かすみがうら市)の郵便局で現金約190万円を強奪したほか、3月、茨城県水海道市(現・常総市)の県道で近くの無職女性(79歳)を乗用車ではね、死亡させたとされる。その後、ジュリオ・アンドラーデはブラジルに帰国した。2010年(平成22年)6月、日本政府はブラジル政府に代理処罰を要請。2011年(平成23年)4月、ブラジル国パラ州の検察がジュリオ・アンドラーデを強盗と過失致死罪に相当する罪で起訴していたが、身柄は拘束されず、2014年(平成26年)3月、ジュリオ・アンドラーデ(38歳)が何者かに射殺された。このため、現地の検察は起訴の取り下げをバラ州裁判所に要請し、裁判所は8月27日付で要請を認めた。
2003年(平成15年)7月10日、長野県松本市で貸金業の全達守(59歳)が殺害されて現金約40万円が奪われた事件で、2008年(平成20年)1月28日、ブラジル・サンパウロ州検察庁が、日本政府の代理処罰要請に基づいて、被疑者で逃亡中のブラジル国籍のソノダ・ジュリアノ・エンリケ・デ・ソウザが強盗殺人罪で起訴された(ブラジルでは、凶悪犯罪の容疑者が逃亡中でも潜伏地域がほぼ特定されている場合には起訴することができる)。4日後の2月1日、サンパウロ州で被疑者のソノダが逮捕され、同月、サンパウロ州裁判所で公判が始まった。2015年9月25日までにサンパウロ州裁判所はソノダに対し禁錮30年の判決を言い渡した。この事件で共謀した日本人男性は無期懲役が確定している。
2005年(平成17年)、静岡県浜松市で起きた強盗殺人事件で、2007年(平成19年)12月17日、ブラジルの州裁判所は被告人で日系ブラジル人のアルバレンガ・ウンベルト・ジョゼ・ハジメに禁固34年5ヶ月を言い渡した。
2005年(平成17年)10月、静岡県湖西市で日系ブラジル人のパトリシア・フジモトが軽自動車を運転していた際、信号を無視して交差点に進入し、理子ちゃんの母親の理恵が運転する乗用車と衝突。後部座席にいた理子ちゃん(2歳)が頭を打って死亡した。フジモトは事故直後に帰国したが、2010年(平成22年)11月、日本政府の代理処罰要請に基づき、フジモトが起訴された。2013年(平成25年)8月12日、サンパウロ州地裁は過失致死罪に問われたフジモトに対し、禁錮2年2ヶ月と運転免許6ヶ月の停止の有罪判決を下した。ただ、1年間、社会奉仕活動をすれば、禁錮刑は免除するとした。2日後の8月14日、サンパウロ州検察は「量刑が軽過ぎる」として控訴。被告側も無罪を主張して控訴。2014年(平成26年)4月14日、サンパウロ州高等裁判所での判決公判でフジモトの時効を認定した。判決によるとフジモトの量刑を1審の禁錮2年2ヶ月から2年に減刑。その上で、量刑に応じて決まる時効期間の4年が経過したと認定した。サンパウロ大の二宮正人教授=弁護士=によると、現地の刑法で「禁錮1〜2年」に当たる罪の時効は4年、「禁錮2〜4年」が8年。今回の判決を「1審判決から減刑した理由は分からない」とした上で、国外の事件でも時効進行の中断はなく、「残念だが、仕方ない」という。2015年(平成27年)9月末までに、ブラジル連邦高裁は時効が成立したとする控訴審判決を破棄し、禁錮2年2ヶ月とした1審判決を支持する決定を下した。報道によると、フジモトは決定を不服として、10月上旬までに連邦高裁に異議を申し立てたという。
2006年(平成18年)4月、東京都渋谷区の代々木公園の公衆便所で米国籍の元英会話講師のロベルト・マックニール(34歳)が刺殺された事件で、警視庁代々木署捜査本部に殺人容疑で国際手配されていた元駐日コロンビア大使の長男のグティエレス・ロマノ・リカルド・アンドレス(当時33歳)が殺人罪で有罪判決を受けていた。グティエレスは事件後、コロンビアに帰国したため、日本側は同年11月にコロンビア当局に代理処罰を要請。グティエレスは2008年(平成20年)11月、ボゴタ地裁に出頭して身柄を拘束され、2009年(平成21年)2月に有罪判決を受けた。4月に刑期が言い渡される見通しという。捜査本部は現場に残っていた血痕のDNA鑑定などからグティエレス被告の犯行と断定。薬物売買をめぐるトラブルとみていた。
2006年(平成18年)12月18日、静岡県焼津市のアパートで交際相手の派遣社員・ミサキ・ソニア(41歳)と15歳と10歳の子ども2人が絞殺された事件で、その翌日、被疑者のネベス・エジルソン・ドニゼッチ(当時44歳)がブラジルに出国。日本政府はブラジルに代理処罰(国外犯処罰)を要請、2008年(平成20年)1月、ネベスが逮捕された。2008年(平成20年)2月21日、ブラジル・サンパウロ市の裁判所で初公判が開かれたが、ネベスは「何も答えません」と起訴事実の認否を留保。2008年(平成20年)7月2日までにサンパウロ州高裁はネベスの拘束を憲法違反とする弁護側の申し立てを認め、拘束を無効と決定した。これに基づき、2日夕(日本時間3日未明)、ネベスは釈放された。1審の裁判所の判事は、公判が州の管轄ではないなどと裁定。これを受け弁護側は、ネベスの拘束は「管轄する裁判所が文書で作成した命令に基づかない限り何人も拘束されない」との憲法の規定に反すると主張。サンパウロ州高裁の判事3人が検討した結果、全員一致で拘束は無効と決めた。その後、ネベスは姿をくらましていた。2013年(平成25年)8月15日、ブラジルで逃走していたネベスが現地警察に再び身柄を拘束された。2016年(平成28年)9月10日、サンパウロ州裁判所は禁錮56年9ヶ月の実刑判決を言い渡した。
2000年(平成12年)、東京・大田区で23歳の女性が殺害された事件で、直後に中国に逃亡し、その後、代理処罰により現地で実行犯として死刑判決を受けた女を警視庁が殺人の疑いで書類送検した。2000年(平成12年)2月、大田区東蒲田のアパートの一室で中国出身の宇野純子(23歳)が首など十数カ所を刺され殺害された。この事件では、宇野の伯父夫婦ら4人が殺人容疑で逮捕され、3人が実刑判決を言い渡された。一方、実行犯として指名手配された李富春(当時48歳)は、事件直後に中国に逃亡していた。李は日本政府から代理処罰の要請を受けた中国当局によって拘束され、2008年(平成20年)2月に現地の裁判所で執行猶予2年付きの死刑判決を受けた。2021年(令和3年)年12月になって中国側に求めていた判決などの書類が警視庁に届き、これを受けて中国側による代理処罰が確認できたことなどから、警視庁は2022年(令和4年)5月31日、宇野を殺害した疑いで李容疑者を書類送検した。捜査関係者によると中国では、執行猶予期間が終わると死刑が無期懲役などに減刑されることがあり、李は現在も中国国内で服役している可能性があるという。

多重人格

多重人格

Multiple Personality 1人の人間の中にふたつ以上の明らかに異なった人格が存在すること。ある時点でその異なる人格のひとつが優勢となり、ある時間本来の人格を押し退け、その人間を支配し、優勢となる人格は、時間の流れの中で交代する。これを「交代性多重人格」と言うが、それぞれの人格をお互い知らないタイプ(相互忘却型)が多い。Aという人格はBの人格を知っているが、逆に、Bという人格はAの人格を知らないタイプ(一方通行型)も珍しくない。複数の人格が同時に現れる「同時性多重人格」は極めてまれである。

★解離性同一性障害(多重人格)が、刑事裁判の被告人に認められた例

2008年(平成20年)2月6日、東京地裁は東京都新宿区の公園内で男性(26歳)を刺殺したとして、殺人罪などに問われた無職のO(当時21歳)に解離性同一性障害(多重人格)と認定した上で懲役11年(求刑・懲役16年)の判決を言い渡した。Oは公判で「刺していない」と無罪を主張。弁護側は病歴などから「心神喪失か心神耗弱の状態にあった」と訴えていた。秋葉康弘裁判長は弁護側請求に基づき、精神鑑定を実施。「被告は犯行時、多重人格状態だったが、責任能力は完全にあった」とする精神鑑定の結果を採用した。

2007年(平成19年)1月3日夜、東京都渋谷区の歯科医師(当時62歳)宅でバラバラに切断された長女で短大生の武藤亜澄(あずみ/20歳)の遺体が見つかった。翌4日、次男で兄の予備校生(当時21歳)が死体損壊容疑で逮捕された。受験に3度失敗し、私大歯学部への進学で苦しむ中、不仲になっていた亜澄に「勉強しないから夢がかなわない」「(親に迷惑を掛けている)受験生のくせに」などと最も触れられたくない部分を指摘され、逆上したとみている。2月9日、警視庁捜査1課は犯行に使われた木刀や遺体を切断したのこぎりなど証拠品4点を紛失したと明らかにした。他の廃棄物とともに誤って捨てた可能性が高いという。2008年(平成20年)5月27日、東京地裁(秋葉康弘裁判長)は兄に対し懲役7年(求刑・懲役17年)を言い渡した。死体損壊罪については「解離性同一性障害(多重人格)で生じた別人格に支配され心神喪失状態だった」として無罪とした。多重人格を理由に心神喪失を認めた司法判断は極めて異例。6月4日、東京地検は死体損壊罪について無罪とし、殺人罪についてのみ懲役7年とした東京地裁判決を不服として控訴。6月6日、弁護側も東京地裁判決を不服として控訴した。2009年(平成21年)4月28日、東京高裁は懲役7年とした1審・東京地裁判決を破棄し、懲役12年を言い渡した。1審は殺人の成立のみ認め、死体損壊を無罪としたが、2審は両罪の成立を認めた。5月9日、弁護側が懲役12年とした東京高裁判決を不服として上告。9月15日、最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)が弁護側の上告を棄却。これで懲役12年とした2審・東京高裁判決が確定した。

幼女連続誘拐殺人事件(宮ア勤幼女連続殺人事件)では死刑判決が確定した宮崎勤の1審段階での鑑定書の1つに解離性同一障害(多重人格)と記載されたが、判決では認定されなかった。

堕胎の罪

堕胎の罪

刑法212条(堕胎) 妊娠中の女子が薬物を用い、またはその他の方法により、堕胎したときは1年以下の懲役に処する。
堕胎の罪は自然に分娩期に先立って人為的に胎児を母体から分離・排出させる犯罪である。
保護法益については胎児の生命の安全のほか、身体の安全および母体の生命、身体の安全のいずれかを含むかに関して争いがある。いずれの説をとっても胎児は堕胎行為のときまで生命力を有していなければならない。
堕胎の罪はいずれも故意犯であり、過失による堕胎は過失致死傷罪にあたる場合のほか処罰されない。
母体保護法は堕胎罪につき違法性阻却事由を定める。しかし、すべての人工妊娠中絶を認めるものではなく、一定の正当化理由を要求している。
刑法213条(同意堕胎および同致死傷) 女子の嘱託を受け、またはその承諾を得て堕胎させた者は、2年以下の懲役に処する。これにより、女子を死傷させた者は、3ヶ月以上5年以下の懲役に処する。
ここでいう「女子」とは妊娠中の女子をいう。
刑法214条(業務上堕胎および同致死傷) 医師、助産師、薬剤師または医薬品販売業者が女子の嘱託を受け、またはその承諾を得て堕胎させたときは、3ヶ月以上5年以下の懲役に処する。これにより、女子を死傷させたときは、6ヶ月以上7年以下の懲役に処する。
刑法215条(不同意堕胎) 1項 女子の嘱託を受けないでまたはその承諾を得ないで堕胎させた者は、6ヶ月以上7年以下の懲役に処する。
不同意堕胎の未遂)2項 前項の罪の未遂は罰する。
刑法216条(不同意堕胎致死傷) 前条の罪を犯し、これにより女子を死傷させた者は、傷害の罪と比較して重い刑に処断する。

DARC

DARC

「ダルク」と読む。DARCはDrug(薬物)、Addiction(嗜癖、病的依存)、Rehabiritation(回復)、Center(施設、建物)の頭文字を組み合わせた造語。覚せい剤、有機溶剤(シンナーなど)、市販薬などの依存性薬物を自己使用することがなかなかやめられない人を呼び寄せている民間リハビリ施設。同じ症状をかかえる仲間たちと悩みを共有し、生活をともにすることによって症状を改善させていくことを目的にしている。
全国薬物依存者家族連合会 → 全国ダルク

痴漢

痴漢

痴漢は国によってはあるいは地域によってはほとんど存在しない犯罪であり、ほとんど公共交通機関で満員状態の中で行われる。このことが痴漢する者の多くに罪悪感が認められない原因のひとつになっている。つまり、自分が悪いのではなく混雑した電車やバスにたまたま乗り合わせた被害者が悪いかあるいは不運だという理屈である。もうひとつの理由は被害者が大声をあげて抵抗したり、犯人を捕まえて告発したりすることが少ないため、被害者がそれほど迷惑を感じていないのではないかという大変な誤解によるところが大きい。しかし、痴漢はもちろん性犯罪であり、被害者が苦痛を感じていないわけではない。
東京都 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(迷惑防止条例)
5条 何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。
8条 次の各号(下記の「2号」以外省略)の一に該当する者は、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2号 5条1項または2項の規定に違反した者
より悪質な痴漢(衣類・下着の下に隠れた身体の部分に触れるなど)は強制わいせつ罪(刑法176条)の対象になり、6ヶ月以上10年以下の懲役になる。

チケット不正転売禁止法

チケット不正転売禁止法

特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律が正式名称。2018年(平成30年)12月14日、交付。2019年(令和元年)6月14日、施行。
第2条 この法律において「興行」とは、映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツを不特定又は多数の者に見せ、又は聴かせること(日本国内において行われるものに限る。)をいう。
4 この法律において「特定興行入場券の不正転売」とは、興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものをいう。
つまり、チケットの販売価格以下であれば譲渡しても「不正転売」とはならないということになる。
第3条 何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。
第4条 何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。
第9条 第3条又は第4条の規定に違反した者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

地検特捜部

地検特捜部

政治家や官僚がらみの贈収賄事件や大規模な企業犯罪は、地検特捜部が自ら事件に取り組み捜査するケースが多い。ロッキード事件での東京地検特捜部の活躍は今なお記憶に新しい。ただし、政治家がらみの事件でも警察の捜査2課や生活安全課が担当することはある。たとえば、オレンジ共済組合をめぐる事件は警察が担当した。

企業犯罪は、基本的には捜査2課の担当だが、暴力団が関係していると捜査4課が担当する。総会屋への利益供与事件や、大手証券会社を巻き込むような大事件、企業ぐるみでの事件では地検特捜部が動くこともある。

特捜部は東京地検の他、大阪地検や名古屋地検にもある。

血の酩酊

血の酩酊

ドイツの犯罪精神医学のなかで言い伝えられた言葉で、犯罪者が殺人を犯すとき、最初に血を見ることによって一種異様な興奮状態に陥り、あとは夢中で殺戮を続け、結果として多数の人間を殺傷する大量殺人にいたることが多い現象を指している。
このような血の酩酊が起こる場合、1人目の殺人にはもっともな動機があっても2人目以降の殺人には動機がないかあっても希薄な場合が多い。また、心因性の朦朧状態に陥ったと考えられるケースでは殺人の後半の記憶が欠けているか断片的である。

地方更生保護委員会

地方更生保護委員会

刑務所からの仮出所や少年院の仮退院などを決定する機関。高等裁判所の管轄区域に合わせて、全国8ヶ所に設置されている。少年院の仮退院については、少年院側の申請に基づき、委員3人で構成する合議体で可否を決定する。委員は保護観察所や刑務所、検察庁などの職員らが務めている。
ちなみに「更正(あらため正す)」ではなく「更生(生まれ変わる)」が正しい。「矯正(きょうせい)」(=正しくない状態に対して、力を加えて正しい状態にすること)という言葉があり、こちらは「矯正施設」=犯罪を行った者や非行のある少年を収容し、改善更生のための処遇を行う施設=刑務所・少年刑務所・拘置所・少年院・少年鑑別所・婦人補導院のことで、ごっちゃになって覚えている人が多い。マスコミもよく間違える、、、。
法務省 → 法務省の紹介 → 保護局 → 全国の地方更生保護委員会・保護観察所所在地一覧

通貨偽造の罪

通貨偽造の罪

刑法148条1項(通貨偽造) 行使の目的で通用する貨幣、紙幣または銀行券を偽造し、または変造した者は無期または3年以上の懲役に処する。
「通用する」とはわが国で現に強制通用力が認められることをいう。古銭や廃貨は本罪の客体とはならない。
「偽造」とは通貨発行権を有しない者が一般人として真貨と誤信させるような外観のものを作り出すことをいう。真貨に手を加える場合でも溶解するなどして元の真貨との同一性を失わせるときでもともに偽造となる。
2項(偽造通貨行使) 偽造または変造の貨幣、紙幣または銀行券を行使し、または行使の目的で人に交付し、もしくは輸入した者も前項と同様とする。
刑法149条1項(外国通貨偽造) 行使の目的で日本国内に流通している外国の貨幣、紙幣または銀行券を偽造し、または変造した者は2年以上の有期懲役に処する。
2項(偽造外国通貨行使) 偽造または変造の外国の貨幣、紙幣または銀行券を行使し、または行使の目的で人に交付し、もしくは輸入した者も前項と同様とする。
刑法150条(偽造通貨等収得) 行使の目的で偽造または変造の貨幣、紙幣または銀行券を収得した者は、3年以下の懲役に処する。
行使の目的で収得することが必要で、偽貨であることを知って収得することが要件となる。
刑法151条(未遂) 前3条(148条&149条&150条)の罪の未遂は罰する。
刑法152条(収得後知情行使等) 貨幣、紙幣または銀行券を収得した後にそれが偽造または変造のものであることを知って、これを行使し、または行使の目的で人に交付した者はその額面価格の3倍以下の罰金または科料に処する。ただし、2000円以下にすることができない。
刑法153条(通貨偽造等準備) 貨幣、紙幣または銀行券の偽造または変造の用に供する目的で、器械または原料を準備した者は、3ヶ月以上5年以下の懲役に処する。
通貨及証券模造取締法・・・偽造といえるまでの精巧さはないが、日本の通貨と見た目が似ていてまぎらわしいものを製造・販売すること。通貨偽造罪と違って「行使の目的」がなくても成立する。
第一条 貨幣、政府発行紙幣、銀行紙幣、兌換銀行券、国債証券及地方債証券ニ紛ハシキ外観ヲ有スルモノヲ製造シ又ハ販売スルコトヲ得ス
第二条 前条ニ違犯シタル者ハ一月以上三年以下ノ重禁錮ニ処シ五円以上五十円以下ノ罰金ヲ附加ス
第三条 第一条ニ掲ケタル物件ハ刑法ニ依リ没収スル場合ノ外何人ノ所有ヲ問ハス警察官ニ於テ之ヲ破毀スヘシ
第四条 第一条ニ掲ケタル物件ニハ明治九年布告第五十七号ヲ適用ス
すき入紙製造取締法
1 黒くすき入れた紙又は政府紙幣、日本銀行券、公債証書、収入印紙その他政府の発行する証券にすき入れてある文字若しくは画紋と同一若しくは類似の形態の文字若しくは画紋を白くすき入れた紙は、政府、独立行政法人国立印刷局又は政府の許可を受けた者以外の者は、これを製造してはならない。
2 政府は、前項の許可を行う場合において、独立行政法人国立印刷局に必要な調査を行わせることができる。
3 第1項の規定に違反した者は、これを6ヶ月以下の懲役又は5千円以下の罰金に処する。

通信指令システム

通信指令システム

110番通報に的確に対応するために都道府県警に通信指令室が設けられている。110番通報を受理した通信指令室では、ただちに通報内容を警察署などに伝え、パトカーや交番などの地域警察官を現場に急行させるとともに、必要に応じて緊急配備の発令、他の都道府県警への通報なども行っている。ちなみに、2005年(平成17年)中の緊急配備の実施件数は10133件(前年比1674件減)であった。
また、通信指令室が110番通報を受理し、パトカーなどに指令してから警察官が現場に到着するまでの所要時間をリスポンス・タイムというが、2005年(平成17年)中に警察本部の指令室で直接受理した110番通報に対するリスポンス・タイムの平均は7分3秒であった。実は2000年(平成12年)以前はリスポンス・タイムは平均5分程度であった。その理由として固定電話や公衆電話からの通報の場合、通信指令室でどこから電話をかけているか通報場所を特定することはできたが、携帯電話の普及による携帯電話からの通報により、通報場所を特定することが困難になり7分まで悪化したのである。そこで、警視庁では電柱や交通標識の管理番号を読み上げてもらい、その管理番号によって受電台のモニター画面に現場付近の地図を表示させることができるようになった。

通信傍受法

通信傍受法

犯罪捜査のための通信傍受に関する法律の略称。銃器、薬物、集団密航、組織的に行なわれた殺人の4種類の犯罪を対象として、組織犯罪を摘発するために、捜査機関による通信傍受を限定的に認めたもの。「通信」には電話の他、FAX、電子メールなどのコンピューター通信も含まれるが、この法律が電話盗聴を前提として作られているため、FAXや電子メールなどにそのまま適用するには制度面や運用面で問題がある。また、憲法21条の「通信の自由の保障」に反するなどの反対意見もある。この法律は第145回通常国会において可決成立した「組織的犯罪対策三法」のうちのひとつ。残りの2つは、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律と刑事訴訟法の一部を改正する法律。1999年(平成11年)8月18日に公布、「通信傍受法」は、2000年(平成12年)8月15日に施行された。

出会い系サイト規制法

出会い系サイト規制法

インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律が正式名称。出会い系サイトを利用して児童買春する事件が多発していることから、(1)出会い系サイトで金品を渡す約束をして交際を求めたり、性交渉の相手として18歳未満の少女を誘ったりする書き込みを禁止。少女側が遊ぶ金ほしさに交際を求める場合もあることから、18歳未満の少女が同様に書き込んだ場合も処罰の対象になる。違反者には100万円以下の罰金。(2)サイト運営者は利用者が18歳未満でないことを確認することと規制した。違反者には都道府県公安委員会が是正命令を出し、命令違反には6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金。2003年(平成15年)6月13日、公布、9月13日、施行された。(2)については12月1日に施行された。

DSM−5

DSM−5

Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders を略してDSMと呼び、その第5版(2013年)がDSM−5。DSMはアメリカ精神医学会が制定した「精神疾患の診断・統計マニュアル」のことで、世界的に最も有名で権威のある診断基準。

「しばしば他人をいじめ、脅迫したり威嚇する」「動物に対して身体的に残虐であったことがある」「故意に他人の所有物を壊したことがある」・・・・・・などの「行為障害」(他人の基本的人権や年齢に応じた規則や決まりを守れないことが繰り返されたり、持続する障害)の症状がいくつあるかによって診断名が決まるので、診断する人の主観によって診断が左右されることが少なくないのが特徴とされる。

関連書籍・・・
『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院/日本精神神経学会[監修]/2014)

DNA鑑定

DNA鑑定

DNAは、Deoxyribonucleic Acid の略で「デオキシリボ核酸」のこと。日本で正式にDNA鑑定が用いられるようになったのは1992年(平成4年)からのことで、全国的にシステムが整備されたのは1996年(平成8年)の末という。世界初のDNA鑑定法は、1985年(昭和60年)に、イギリスのアレック・ジェフリー博士が考案した「DNA指紋法」だと言われている。DNA鑑定にもさまざまな種類があるが、PCR法(合成酵素連鎖反応法)と呼ばれるDNAのコピー方法が生み出されてから急速に広まった。

日本では警察庁科学警察研究所が「MCT118」という部分を比較する独自の鑑定法の開発に成功して、正式に導入されるようになったといういきさつがある。現在は、MCT118型の他、HLADQα型、1996年(平成8年)から新たに導入を開始したTH01型及びPM検査の4種類ある。

DNA鑑定はABO式血液型鑑定とこれら4つの鑑定法を併せて実施することにより、同一の型が現れる割合は、最も出現頻度が高いものでもおおよそ日本人数万人に1人となることから、殺人、強盗事件などの犯罪の現場で犯人のものと判断し採取した血液、精液などのDNA型と、聞き込みなどの捜査から浮上した被疑者のDNA型が一致した場合、その被疑者が犯人である可能性が極めて高く、逆に、DNA型が一致しない場合は、その被疑者を捜査対象から除外することができるとしている。

1997年(平成9年)6月までに鑑定が行なわれたのは約1100件で、証拠として使われたのは約120件にすぎないという。

[ DNA鑑定の長所 ]

[ 1 ] わずかな血液(血痕なら直径2ミリ程度)や体液、毛髪、皮膚片、骨片などの試料でも被害者や犯人の特徴が分かる。
[ 2 ] PCR法を使って古い試料でも鑑定可能。
[ 3 ] 採取試料の凍結(氷点下80℃)保存が可能。
[ 4 ] 血液型鑑定ではやれなかった3親等異常の親子・兄弟鑑定が可能。

[ DNA鑑定の弱点 ]

[ 1 ] DNA細胞が同一の一卵性双生児には鑑定不能。

[ 制度的には ]

[ 1 ] 「究極の個人情報」とも言われ、親子関係から遺伝病、過去の病歴まで分かるDNAとプライバシーの問題。
[ 2 ] 被採取者の防御権の問題などがある。

現状ではDNA鑑定の結果をかなり有力な証拠として扱っているが、それだけで有罪にすることはなく、他の証拠と合わせて判断材料のひとつとしている。

2004年(平成16年)12月から犯罪現場などに被疑者が遺留したと認められる血痕の資料(遺留資料)のDNA型の記録を登録し、検索する遺留資料DNA型情報検索システムの運用を開始し、2005年(平成17年)9月にはDNA型記録取扱規則に基づき、遺留資料のDNA型の記録に加え、犯罪捜査上の必要があって適法に被疑者の身体から採取された資料(被疑者資料)のDNA型の記録を登録し、DNA型記録検索システムとして運用を開始した。このシステムにより、被疑者の特定、被疑者の余罪の捜査、別々の事件が同一の被疑者によって引き起こされたかの検証、変死者などの身元の確認を行うことができるようになった。

敵意帰属バイアス

敵意帰属バイアス

心理学における「帰属」は出来事や他人の行動の原因を説明する心的過程のこと。「バイアス(bias)」とは傾向、偏向、先入観、施行や特定の偏りをもたらす思い込み要因、得られる情報が偏っていることによる認識の歪みのことで、「敵意帰属バイアス」とは、認知バイアスの一種で、ある人が他人の曖昧な行動についてそれを好意的ではなく敵対的と解釈する心理的傾向のこと。
例えば、ある子どもが他の2人の子どもがひそひそ話をしているのを目撃した際に自分について否定的なことを話し込んでいると思い込む。人混みの中で他人と肩がぶつかったときに相手に悪意を感じる。車を運転していて追い越されたときに悪意を感じる等々。
敵意帰属バイアスに陥りやすい人の特徴として・・・
(1)自己肯定感(ありのままの自分を受け入れる感情)が低い。
(2)言語能力(言葉で伝える力)が低い。→暴力による解決をする。
(3)排他的。
敵意帰属バイアスが強い人は他者への攻撃も強いことが分かっている。

デフェクト

デフェクト

欠陥状態(Defect State)または、欠陥分裂病(Schizo-Phrenic Defect)を略して精神科医がよく用いる言葉。一般には激しい妄想や幻覚の出現する急性期の分裂病のあとの、感情の平板や無気力、社会的ひきこもりの状態を指す。精神分裂病の進行に伴い、人格レベルの低下が進行してしまい、無為自閉の世界から出られなくなることもある。発病前に非常に優秀だった人でも、この状態になると読み書きの能力さえかなり低下する。

テロリズム

テロリズム

Terrorism テロ、テロリズムの語源は18世紀末のフランス革命時代の「恐怖政治」に起因するとされている。暴力による政治的、宗教的、党派的イデオロギーの主張、行為である。テロの対象は国家組織などの集団や個人で、誰でもどこでも標的になりうる。米国が標的にされやすいのはそのグローバルな影響力と際立ったプレゼンスを保持しているからである。しかも最近は国際的連携が進み、世界中いたる所がテロの攻撃対象になりうる。

投影同一化

投影同一化

自分の中の悪い部分を相手に投影し、相手をコントロールしようとする心理的な防衛を指す用語。たとえば、攻撃性を相手に投影すると相手が攻撃性をもつ。すると、攻撃性をもっているのは自分ではなく相手なのだと感じることができて、自分は不快な感情をもたなくて済むという防衛である。元々は投影する側のファンタジーの世界で起こると考えられていたが、実際の対人関係でもこのメカニズムによって、相手に攻撃性を引き起こすことが精神分析の世界で問題となり、これがいじめなどを誘発するという仮説がある。

統合失調症

統合失調症

青年期に多く発病する内因性精神病のひとつ。病状は病型によって異なるが、現実との接触を失い、考え方・感じ方・行動の仕方が全く理解できないものになる。原因は未だ不明だが、何らかの遺伝的素質に、幼児期の生い立ち、さらに特定のストレスが引き金になって発病すると考えられている。大きく分けて以下の3つのタイプがある。

(1)破爪型・・・自発性が徐々になくなり、感情が鈍化する。元来、内気・孤独であったのが、ますます人間嫌いになり、就寝や起床などの面で、生活が不規則になる。また急に怠惰で不精になる。やがて妄想や幻覚などが見られるようになり、次第に自閉的になっていく。

(2)緊張型・・・比較的急性に発病するタイプ。意味不明な内容の多弁、目的不明の多動などが見られ、一種の興奮状態になる。逆に表情がなくなり、仮面のような印象を与える。

(3)妄想型・・・幻覚、妄想を主な症状とする。人格障害は他のタイプと比べ軽い。妄想内容は被害的なものや、誇大的なものもある。

「精神分裂病」という名称は “schizophrenia”(シゾフレニア)を訳したものですが、2002年(平成14年)の夏から「統合失調症」という名称に変更されている。

逃走罪

逃走罪

裁判の執行により拘禁された既決または未決の者が逃走したときは、逃走罪刑法97条)とされ、1年以下の懲役。

裁判の執行により拘禁された既決の者とは、判決が確定して刑務所に入れられた受刑者のことで、裁判の執行により拘禁された未決の者とは、勾留中の被疑者のこと。起訴もされていないのに、「裁判の執行により」とは疑問に思われるかもしれないが、勾留は裁判官の勾留の勾留状に基づくものだから、これも一種の「裁判の執行」になる。

ただし、逮捕から送検までの48時間以内に被疑者が逃走した場合は、逮捕状も裁判官が出すものだが、これは「裁判の執行」には当たらず、逃走罪は適用されない。だが、裁判で有罪になったときは、「反省する態度が見られない」ということで情状酌量がなされない可能性が大きい。

前条(97条)に規定する者または勾引状の執行を受けた者が拘禁場もしくは拘束のための器具を損壊し、暴行もしくは脅迫をし、または2人以上通謀して逃走したときは、3ヶ月以上5年以下の懲役に処す(刑法98条 加重逃走)。

「勾引状の執行を受けた者」とは被告人・被疑者に限らず勾引された証人も含まれる(東京高判昭33.7.19)。勾引状の執行を受ければ足りるのであって、一定の場所に拘禁される以前の者も本条の適用を受ける。

「拘禁場」とは、拘禁の用に供される場所をいい、監獄、警察の留置場などである。

法令により拘禁された者を奪取した者は、3ヶ月以上5年以下の懲役に処する(刑法99条 被拘禁者奪取)。

法令により拘禁された者を逃走させる目的で、器具を提供し、その他逃走を容易にすべき行為をした者は、3年以下の懲役に処する(刑法100条 逃走援助)。

2項 前項の目的で、暴行又は脅迫をした者は、3ヶ月以上5年以下の懲役に処する。

法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者を逃走させたときは、1年以上10年以下の懲役に処する(刑法101条 看守者等による逃走援助)。

この章の罪の未遂は、罰する(刑法102条 未遂罪)。

当番弁護士制度

当番弁護士制度

日本弁護士連合会が都道府県の各弁護士会の協力を得て1992年から全国的に実施している制度。逮捕された場合、弁護士の名前や連絡先などを知らなくても「当番弁護士を呼んでくれ」というだけで弁護士に会うことができ、第1回目の接見は無料で受けることができる。2回目以降は私選となるが、その費用についても法テラスからの援助を受けることができる場合がある。

盗品等に関する罪

盗品等に関する罪

刑法256条(盗品譲受け等) 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2項 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。
刑法257条(親族等の間の犯罪に関する特例) 配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で前条の罪を犯した者は、その刑を免除する。
2項 前項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

通り魔

通り魔

犯罪の多くは金や物を目当てにしていたり、個人的な怨恨によるものが多いが、近年は不特定多数を対象とした理由なき犯罪が注目されるようになってきた。通り魔はその代表と言える犯罪である。
警察庁は通り魔について(1)人の自由に通行できる場所で(2)確たる動機もないまま(3)通りすがりの不特定の相手に凶器を使用して(4)殺人、傷害、暴行などを引き起こす犯罪と規定している。
通り魔事件の犯人には独身者が多く、安定した職業に就いている者はまれで、性格的にはもともと粗暴で、社会的には家族・地域などの集団から疎外された状況にあり、孤立感を深めている。挫折・欲求不満などの状況におけるストレスやフラストレーションが動機となって社会に対して恨みや憎しみを抱き、街中の縁もゆかりもない人々に対する攻撃によって自らの満たされない気分を発散させようとするのである。
主な通り魔事件・・・深川通り魔殺人事件(1981年) / 西成覚醒剤常習者通り魔事件(1982年) / 池袋通り魔殺人事件(1999年) / 下関通り魔殺人事件(1999年) / 名古屋自転車通り魔殺傷事件(2003年)

篤志面接委員

篤志面接委員

それぞれの社会経験や専門知識、特技などを丸ごと生かしながら、刑務所の受刑者などと接し、腹を割って話し合うことにより、受刑者が出所してからひとりの社会人として目覚めていくよう支援する民間ボランティア。

毒樹の果実

毒樹の果実

毒樹の果実とは違法捜査によって発見された証拠(原証拠もしくは第一次証拠)に基づいてさらに発見された二次的な証拠(派生的証拠)のことで、一定の場合、このような証拠の証拠能力は否定される(毒樹の果実の理論)。

毒物及び劇物取締法

毒物及び劇物取締法

毒物及び劇物取締法15条の2、24条 毒物や劇物を定められた手続きに従わずに捨てると3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
毒物及び劇物取締法3条、24条 都道府県の許可を得ていないのに毒物や劇物に指定されている物質を勝手につくると3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

特別公務員暴行陵虐

特別公務員暴行陵虐

刑法194条(特別公務員職権濫用) 裁判、検察官もしくは警察の職務を行う者またはこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して、人を逮捕し、または監禁したときは、6ヶ月以上10年以下の懲役または禁錮に処する。
刑法195条 裁判、検察もしくは警察の職務を行う者またはこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行または陵辱もしくは加虐の行為をしたときは、7年以下の懲役または禁錮に処する。 
2項 法令により拘禁された者を看守しまたは護送する者がその拘禁された者に対して暴行または陵辱もしくは加虐の行為をしたときも前項と同様とする。
刑法196条(特別公務員職権濫用等致死傷) 前2条の罪を犯して人を死傷させた者は傷害の罪と比較して重い刑により処断する。

賭博及び富くじに関する罪

賭博及び富くじに関する罪

刑法185条(賭博) 賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
刑法186条(常習賭博及び賭博場開帳等図利) 常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。
2項 賭博場を開帳し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3ヶ月以上5年以下の懲役に処する。
刑法187条(富くじ発売等) 富くじを発売した者は、2年以下の懲役又は150万円以下の罰金に処する。
2項 富くじ発売の取次ぎをした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
3項 前2項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、20万円以下の罰金又は科料に処する。

ドメスティックバイオレンス防止法

ドメスティックバイオレンス防止法

Domestic Violence 「家庭内暴力」と訳されるが、親密な関係(夫婦や恋人)にある男性から女性に加えられる暴力のことで、略して「DV」。配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律 通称・DV防止法は、2001年(平成13年)4月6日成立、4月13日公布、10月13日施行された。

保護命令には、半年間の接近禁止命令と、2週間の退去命令がある。命令に違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。私人の申し立てにより裁判所が出した命令が刑事罰により担保されるのは、日本では初めて。

トリアージ

トリアージ

Triage 「選別」を意味するフランス語が語源。災害や事故で多数の傷病者が出た際、医師らが緊急度や重症度で分類して治療や搬送の優先順位を決める。一般に赤(重症)、黄(中等症)、緑(軽症)、黒(死亡など)の順でタグを傷病者に付ける。アメリカの救急医療の分野で確立され、日本では1995年(平成7年)の阪神大震災以降に普及、2005年(平成17年)のJR福知山線の脱線事故でも行われた。
2008年(平成20年)6月8日の秋葉原通り魔事件では被害者17人のうち7人が死亡しているが、死亡などを示す黒タグは5人、重症の赤タグは7人(うち後に2人が死亡)、軽症の緑タグは3人に付けられ、タグなしが2人(2人とも重症)、中等症の黄タグは0人となっている。東京都メディカルコントロール協議会の事後検証委員会は、最優先で搬送される重症の赤タグの5人を救命できたとして「トリアージの手法、手順、実施結果ともに適正だった」と評価した。

リカブト

トリカブト

日本では古くから暗殺に用いられた有毒植物。『日本書紀』にもその記述が認められる。1メートル近い茎の上に青または紫の花が付いている観賞植物で、この全草に毒があるが、特に種子や球根は猛毒であり、アコニチン、ヤパコニチンなどの猛毒成分がある。アコニチンは胃の粘膜から素早く吸収され、興奮が始まり、嘔吐、呼吸困難、舌の麻痺、続いて手、足、指と麻痺していく。そして、わずか0.002〜0.004グラムを食べると、口から泡をふいて瞳孔が散大し、視聴覚に異常をきたし、呼吸麻痺となり死亡する。

取り調べ監督制度

取り調べ監督制度

捜査部門以外の警察官が取り調べの内容をチェックする制度で、都道府県警察本部の総務部門に新設された組織が監督にあたり、警察署では警務係が所管。監督官は取り調べの様子を透視鏡やドアスコープなどを通して観察するほか、報告書などで状況を確認する。被告全員が無罪となった志布志事件や富山での強姦冤罪事件を受けて導入が決定された。2009年(平成21年)4月から本格実施。警察庁は3年計画ですべての取調室に設置するとしている。

[ 犯罪関連用語の基礎知識 index ] [ 事件 index / 無限回廊 top page ]