メディアとつきあうツール  更新:2008-04-26
すべてを疑え!! MAMO's Site(テレビ放送や地上デジタル・BSデジタル・CSデジタルなど)/サイトのタイトル
<ジャーナリスト坂本 衛のサイト>

日録メモ風の更新情報(坂本衛)
2007年10月〜12月

2007年10月〜12月の更新情報

12-31
●2007年、〆《しめ》のご挨拶を少々。またまた、ロクでもない1年、いったい何やってたんだと忸怩《じくじ》たる思いの1年でした。このサイトの読者はじめ、お世話になったみなさま、お付き合いくださりありがとうございます。2008年もボチボチやりますので、よろしくお願い申しあげます。
●サイトでも本や雑誌・新聞などでも、あれこれ勝手なことを言ってますが、結局のところ私は、物事の基本、システムの原理、目先の事象にとらわれない「大局観」を伝えようとしていた気がします。それだけを言うと、浮世離れした傲岸不遜《ごうがんふそん》な説教になりがちですね。だから、目先の事象や物事のディテールにこだわり、細かいことをグダグダいいながら、「歴史観」や「大局観」は忘れずに、どこかでチラとでも伝わればと
●どこまでうまくいったかは、みなさんの評価におまかせします。ただ、たとえばテレビとは、地上デジタルとは、あるいは安倍晋三とは、福田康夫とはと私が書くとき、雑誌や新聞がその場その場で書いていることとはほとんどかけ離れていても、1年2年と時が経過するとともに、世の中のほうがこのサイトに書いてあることに近づく。そのことに私はある程度、自信を持っています。また、そのことを示すには、ウェブというのは絶好のツールと思います。私が「NHK経営委員長は現会長を再任しない」「2011年7月の地上デジタル完全移行は無理だ」「安倍晋三は民主主義がわかっていない」「福田政権には正統性がない」と、いつの時点で書いたのか、ハッキリ残りますのでね。もちろん、あの野郎こんなバカなこと、間違ったこと書いていやがるという証拠も、ハッキリ残る(【追記】そういう場合は、あとからゴメンと書き足すかもしれないが、間違っていた記述そのものは消さない。消せば「誤りの隠匿」であり、それはインチキなので)。だからおもしろい。私はウェブの匿名性の美点(長所、メリット)を大いに認めていますが、大事なことを言うときと他者を批判するときは、名前を出してやる主義です。ということで、明日からもよろしく(地上デジタルの話は、もうちょっと待ってて)
●午後、世田谷の実家へ。夜、ジャニーズカウントダウン@後楽園ホールドーム(←ボクシングじゃないもんね)

12-30
●ちょっと前のネタですが、日刊ゲンダイに「亀梨和也ファンの予約が殺到した放送専門誌」なる記事。同紙芸能部長・峯田淳の仕業と思われ。ただ、「同会の月刊誌『GALAC』が年明けに発売する2月号の表紙に亀梨を起用すると予告したところ、亀梨ファンが怒涛の予約注文をしてきた」とあるのは、悪いけど間違いね。亀梨ファンは『GALAC』の存在なんて知らんのだから、予告しても伝わるわけがない。亀梨ファンに予告し必要な情報を流したのは、むろん当サイトで、あとはファンのみんなが彼らのなかで広げていったこと。もちろん、告知の仕方にもそれなりのノウハウがありますが(そこらの頭の固い連中には到底無理)
●終日、原稿書きとサイトの手直し。サイトの制作環境ページ(後から入れたフリーソフトの項を参照)にも書きましたが、Microsoft Officeなんてものにカネをかける時代は終わりでしょう。ご参考:OpenOffice.orgや軽量言語,仮想化に注目集まる

12-29
●このところバタバタで、当欄に書くことができたのは日程断片くらいにて失礼しました。ちょっと時間が空いたので、21日の欄に遡《さかのぼ》って記事を追加しておきます
●神楽坂の書店「文悠」に『GALAC』最新号10部を納品(ここで売っているGALACは毎月1度、坂本[多くの場合は、うちの奥さん]が直接持っていき、売れ残りを回収しています。話題の亀梨和也表紙号です)。夕方、某出版社の編集者某と神楽坂で打ち合わせ。本の企画を二つほど
ディスカバリー・チャンネルを視聴でき、地上バカ番組に飽きている方にお勧め。12月30日午後3時から1時間のドキュメンタリーを6本(上下3本)放送。「タイタニック号 悲劇の検証1&2」「世界各地の誕生日 第2弾1&2」「イブの遺伝子1&2」です。最後の1本は、現在生きている全人類約60億人の持つミトコンドリアDNAを調べると、約14万年前に東アフリカにいた一人の母親にたどり着く。世界は一家、人類は皆兄弟。全員が彼女の子孫であるという話。なんだ、たかだか十数万年遡《さかのぼ》るだけで、みんな親戚じゃん。仲よくしようや、という話です。息子にそう言ったら「だから、親殺しや子殺しがあるように、戦争があるんだ」との意見。この人類アフリカ単一起源説によれば、人類はこんな感じに移動していった。参考:MITOMAP

12-28
●午前11時30分頃のTBSニュースで、パキスタンのブット元首相暗殺について、日本政府首脳のコメントを紹介。町村官房長官「こうした卑劣なテロ行為は断固として非難されなければならない」。高村外務大臣「極めて卑劣で許し難いことだと思っており、これを断固非難したいと思う」。日本人、あるいは日本の政治家特有の抑制的な表現といえないことはないが、やっぱりヘン。二人とも「断固非難します」というべきです。「××は非難されなければならない」「××を非難したいと思う」は「私は××を非難する」と意味が違う。よくあるのは、「私たちは謝罪しなければならない」「私たちは謝罪したいと思う」で、これ、「私たちは謝罪します。ごめんなさい」と意味が違います。2001年5月とちと古いですが、「それは謝罪の言葉か? あなたは責任を認めたのか? 記者はいちいち突っ込め」をご参照。なお、28日未明に出た外務大臣談話では「我が国は断固としてこれを非難する」となっているが、こっちは新聞には載っても、茶の間に直接は届かない。ちょっと前に木村太郎が夕方ニュースで、たしか食品偽装した企業の謝り方をめぐって「『ダイエットする』と『ダイエットしたい』『ダイエットすべき』は違う」と言っていたが、同感
●昼、郵便局ほか神楽坂で買い物。昨日の火事は赤城神社境内、うちの子も通って風山繁子・園長先生、菊地(古積)亜矢子、片桐(藤原)典子はじめみなさんにお世話になった赤城幼稚園のすぐ奥のアパート。隣家へも類焼し死者1名(東京新聞都内版による)。幼稚園の建物が切れたところに非常線が張られ、消防と警察が現場検証中でした
●4時半、田原総一朗と『オフレコ!第6号』ほか打ち合わせ(今年の反省会と来年に向けての戦略会議)@ANAホテル1階喫茶。「現」岡部朱美、アスコム高橋克佳、同小林英史と。春か初夏に出す『オフレコ!第7号』は「日本を明るくする若き突破者(とっぱもん)たち」の大特集に決定。そばの席に起訴休職外務事務官・佐藤優がいたので、田原以下ゾロゾロと立って挨拶し、その場で次の単行本企画(佐藤・田原対談本)も決定。そこに宮崎学も来て、日本を代表する怪しい人びとの立ち話に。本のテーマはまだ伏せますが(何しろ、『オフレコ!』が最初にやったナベツネ靖国発言や佐藤優・手嶋龍一インテリジェンス対談のように、すぐパクられるのでね)、席に戻って「どう? おもしろい?」という田原に、私は「おもしろい! ここ2〜3年でいちばんおもしろい企画ですよ」と断言。1月5日には第1回目の対談をやります。ご期待ください。なお、佐藤優は、私がまとめた鈴木宗男との対談『反省』に満足の様子で「外務省の歴史に残る本になりましたね」と。外務省研究、日本の官僚研究に欠かせない本で、アスコムから絶賛発売中です。まだの方はご一読を。ホント、おもしろい本です
●6時、潮市民講座Q&A歴代編集者との忘年会@西早稲田かわうち。阿部博(潮出版社広告担当局長)、大浦靜雄(同広告部長)、泉吉和(『潮』編集部。以下の二人も)、朝川桂子、「潮情報ボックス最高顧問」こと岩崎??と坂本。阿部博は、田原番の"伝説の編集者"の一人(月の3分の2くらい会社に泊まっていた)で、もう二十数年の付き合い。私の結婚式に「今日は偵察に来た(自分のがあるので)」なんか言って来てくれたのですが、もう長女が大学1年だそう(うちの娘と同じ学年)。昔の『潮』がいろんなライターのデビュー作を載せた話(沢木耕太郎、立花隆、船戸与一とか)、月刊誌の部数の話(40万部超は『文藝春秋』と『潮』くらいで、女性誌を除き、ほかは極端に少ない)、図書館で本とCDを借りまくる話、iPodに何千曲PCには2万曲だか入っていて聞きまくっている話などなど。久しぶりに泉吉和の「腹話術」も大爆発

12-27
●正午前後に神楽坂方面で火事。矢来町のうちからは、火元は見えないが煙はよく見え、一帯が焦げ臭い。消防多数が出動し、ヘリも旋回中
●1時半〜3時半、竹中平蔵(元経済財政政策担当大臣・総務大臣)と田原総一朗の対談@ANAホテル。本を1冊作ります
●終わってからの雑談で、NHK会長・副会長人事、通信・放送の総合法体系、NHK国際放送、地上デジタル放送などについて。田原は先に次の打ち合わせへ。国際放送は「NHKにやれというから無理がある。国営でやればいいじゃないですか」と坂本がいうと、竹中「それでもいい」。「日本の放送は国内最後に残る最大の護送船団。しかもテレビと新聞が一部くっついていることが、日本のメディアの最大の問題」と私がいうと、竹中「おっしゃる通り」。坂本「ただ、地上デジタルの2011年7月完全移行は無理ですね」竹中「いや、できますよ」坂本「いや、できませんよ。受信機が間に合わない」竹中「受信機? ああ、アナログ停波は、無理なところは延ばせばいい。でも、それはごくマイノリティの話でしょ。鍵はIP放送です」──ここで時間切れとなったので、おいおい話を聞き、受信機普及に関する正確な情報と私の見方(マイノリティの問題とは全然思っていない)を伝えるつもり。次回は1月7日
●5時半〜小林道雄@かわうち。小林は最近、白内障の手術をし、「空の色が変わった」そう。また、2008年から廣済堂の社史編纂の仕事をするそうです。グローバリズム、実需経済と金融資本の乖離《かいり》、マルクスの検証、構造改革、小泉純一郎の天才、テレビの力(半径1メートルのメディア)、環境ファッショから、吉本隆明、三島由紀夫、小林秀雄まで、あれこれ議論
●帰ると、テレビではTBSで映画『半落ち』をやっていて、昔、骨髄移植推進財団を取材したことを思い出しました。集英社『SPUR』連載の1回で、ドナー(提供者)のリスク(全身麻酔の死亡率)を書くかどうかでさんざん迷い、確か結局、書かなかった。骨髄移植推進財団のQ&Aはこちら。移植例が8000件を超えていますから、死亡事例うんぬんの記述は、早晩、書き換えることになるでしょう。この映画に続くニュースで、実に不思議な映像が出ました(午後11時20分頃)。C型肝炎問題で裁判所がどうたらという話題のとき、なぜか国会図書館の絵が出た。よくある、看板のアップから引いて建物全景を映す資料映像です。ああいうのは、天気のよい(ドピーカンはよくない)ヒマな土曜日なんかに官庁街に行って撮りだめておくものですが、どうやら裁判所と図書館を取り違えたらしい。訂正や謝罪はなし。バラエティじゃない、報道ニュース番組ですよ。いや、驚きました

12-26
●雑用と原稿書き

12-25
●午前11時、田原総一朗、奥野修(滋賀県大・地域づくり調査研究センター)、西村文彦(滋賀県政策調整部企画調整課)と来期の琵琶湖塾の打ち合わせ@佃のレストラン「ル・ファール」。統一テーマ、ゲスト講師の人選、その他について。田原にNHK会長選考についての参考資料を渡す。フランス料理でも食うのかと思ったら、田原は時間がないといって去っていき、3人でもんじゃ焼き屋へ。適当な店を教わろうと佃島の住人・藤森隆に電話すると会議中。家にかけ直すと、藤森由美子がわざわざ出てきて店の前まで案内してくれる。「おしお」でビール、明太もちと牡蠣のもんじゃに焼きそば
●午後、ケーキ(神楽坂リトルマーメード「パーティクリスマス」てのがイチゴ・チーズムース・マロン・チョコが二つずつ入っていてオシャレ。切る必要がないのもイイ)とプレゼントを持ってNPO放送批評懇談会へ。あみだくじによって、中島好登が入浴剤、福島美子がマル福印のガール・ペン、久野明が超大型電卓、バイトのあすみちゃんがブタ型ケース入りジェリービーンズ(背中を押すと茶色いのが尻から出る)をゲット。コーヒーを御馳走になり帰宅

12-24
●午前11時半、世田谷の実家に回って、父の墓参@新横浜貴雲寺。実家に戻り、自由が丘で買い物後、帰宅
●昼頃、音好宏から電話。要旨「デジタル時代のNHK懇談会の有志が、次期会長選考過程の透明化を求める要望書をNHK経営委員会に提出する。この件で長谷部恭男、吉岡忍、音が1時から記者会見を開く予定。明日の朝刊に田原総一朗さんのコメントを掲載したいという記者がいるが、つかまらないようなんだけど」と。田原に連絡し、午後3時以降に記者に会えるか聞いたら、「今日はもう無理。もっと早く言ってくれなきゃあ。そっちでコメントまとめといてよ」と、次のようなことを話していました。関心ある方は田原事務所に電話すればよいでしょう
●以下ご参考。田原総一朗のコメント:「【1】財界から企業経営の経営者を連れてきさえすればNHK改革は成功するが、財界出身者でなければ失敗するという古森重隆・NHK経営委員長の発想は、根拠がなく、おかしな考え方だ。【2】古森委員長は『選挙期間中は歴史番組の放送に配慮を』と表現の自由に抵触するような発言、『NHKの番組は忙しいから見ていない』と番組にまるで愛着がないような発言を平然と重ね、テレビ番組やNHKを愛している者、つまりNHK部内の者を次期NHK会長の候補にするのは危ないと、考えているように見える。この考え方こそ、私は危険だと思う。【3】NHK経営委員は、放送法上も、職業・地域・政党などの偏りを排するように選ぶことになっている。国民全体への広い目配り、適度のバランス感覚が必要だからで、経営委員会の議論には公開性や透明性が不可欠だ。ところが今回は、経営委員長が自らの考えをごり押ししている。これは非常によくない。このようなやり方でNHK会長が決められていくことには私は反対だ。NHKの将来を強く危惧している」
●【坂本の見解追加】今回のNHK会長人事は、古森重隆・NHK経営委員長の人事というよりは、前総務大臣・菅義偉(現・自民党選挙対策副委員長)による人事です。人選が難航した背景には、国会に呼ばれ議員から注文をつけられる面倒な仕事が敬遠されたことに加え、財界人の序列という問題があった(財界では傍系の現・経営委員長が先輩で格上の財界人を指名する形になるのが、どうもという感じがあった)ようです。一部報道に出ているように、新会長は、就任要請を3回断り4回目にOKしています。NHK側の抵抗も強かったといわれていますが、外部に全然出てこない抵抗では、どうしようもない。経営委員2人の"造反"も、推薦した相手にヤル気がないうえ、放送法の欠格事由に抵触するというのでは、あまりにもお粗末。新聞各紙は「ジャーナリズムに理解があるかどうかが懸念」といった論調ですが、まあ、ジャーナリストにもロクでもない人物はいるから、財界人がダメでジャーナリストならいいというものではない(同様に、ジャーナリストやテレビ関係者がダメで企業経営者OBならいいというものでもない)。また、現場の理解なしに、会長一人が何を言っても、NHKが簡単に変わるはずもない(トップが変われば何でもできるなら、厚生労働省や社会保険庁が、あんなバカなことにはならない)。当面は、新会長が何をどうするつもりかを見守り、政治との距離その他をチェックしていくしかないでしょう

12-23
●13時半〜15時半、北海道新聞(東京支社)社会部・大口弘明の取材を受ける@ジョナサン神楽坂店。地上デジタル放送について
●ようするに、2003年段階で「1億2000万〜1億3000万台」(根拠は地上デジタル放送現行計画「すでに破綻」の決定的な理由10を参照。これは坂本だけが勝手に推定している数字ではない。NHK海老沢勝二前会長が公の席でまったく同じ数字を言うのを私はその場で聞いたことがある)あったテレビのうち、2011年にはほぼ半数しかデジタル対応テレビに置き換わらない
●以上は電子情報技術産業協会JEITAの予測数値から明白。これを倍増させるデジタル対応テレビの生産計画は地球上に存在しない。「いざとなれば大増産するだろう」などというのはド素人のまったく根拠のない無責任な妄想。たとえば薄型液晶・プラズマテレビの画面に使う平面ガラスは、旭硝子、日本電気硝子、米コーニング以外には作れず、倍の大増産には莫大な投資(工場新設)が必要だが、そんな投資計画はない。地上デジタル放送受信機の累計出荷台数が2700万台(JEITA、11月末)も、何の慰めにもならない。これが1億2000万に達すればよいのではない。この数字に対応する地上アナログ放送受信機の普及台数はざっと2億台以上(テレビ1億2000万〜1億3000万台+VTRデッキ/アナログDVD・HDDレコーダー数千万台+アナログCATV用STB千数百万台)であって、現時点ではその2億台以上のうち(テレビ1億台のうちじゃない!)2700万台がデジタル対応に置き換わったに過ぎない
●で、問題は、テレビの半数前後しか地上デジタル放送に対応していない2011年段階に、地上アナログ放送を止めることができるかどうかという話。止めたければ勝手に止めればよいが、そのときは、NHK会長はもちろんクビ、総務大臣もクビ。NHK受信料をまじめに払ってきた高齢者のうち何割かは、受信料を払わなくなる(NHKは銀行振込の前払い何百万世帯分を払い戻すのか?)。民放各社社長もテレビの台数が半分になるので、広告収入が激減し、軒並み大赤字となってクビ。社員の給料も必ず下がる。テレビ局は、そんなのは嫌でしょう。しかも、年寄り用のテレビ、子ども部屋のテレビ、台所のテレビなど同一家庭にある2台目以降のテレビはゴミ。視聴者大衆国民の大多数も、そんなのは嫌でしょう。だから私は、2011年段階で現行アナログ放送を止めることは絶対にできないと、2003年段階から主張している。以上の問題を徹底的に論じつくす原稿を、なんとか年内にサイトupの見込み。今年は年賀状を書けるかと思っていましたが、諦めて、サイトupを優先させることにします
●夜、WOWOWで「硫黄島からの手紙」。二宮イイ

12-22
●日大卒業見込み生の成績を発送
●昼前、秋葉原に出かけて買い物。個別ケース入りDVD-R(富士フイルム製)60枚税込み2007円(単価33.45円)というのがあって、安い!

12-21
●昨日、田原総一朗と電話で話したら、NHK問題に関心がある様子であれこれ聞いていた。日放労は、またシンポジウムでもやったらどうですか。私がNHK経営委員長・古森重隆という人物について田原にいったのは、「民間の経営感覚を入れるとの発想はいいが、問題は、テレビや放送の社会的・文化的な役割に対する見識があるとは見えず、テレビ番組への愛着もなければ、番組を作って送り出すNHKの現場に対する敬意や配慮も感じられないこと。記者会見を開いた委員二人は、委員として委員会の中で問題解決ができなかった点でどうかと思うが、そのような行動に至らせてしまった委員長もお粗末」と
●放送法は、第16条「委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。この場合において、その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」同2「前項の任命に当つては、委員のうち八人については、別表に定める地区に住所を有する者のうちから各一人を、その他の委員については、これらの地区を通じて四人を任命しなければならない。」同4「次の各号のいずれかに該当する者は、委員となることができない。四 政党の役員(任命の日以前一年間においてこれに該当した者を含む。)」同5「委員の任命については、五人以上が同一の政党に属する者となることとなつてはならない。」など、NHK経営委員の職種・地域・政治性(政治的な立場や信条など)についての多様性を求めている。ところで、富士フイルムホールディングス社長の古森重隆は前首相(自民党総裁)安倍晋三を囲む「四季の会」メンバーで、政治的には自民党に非常に近い人物。もちろん自民党員でも共産党員でも、政党役員でなければ(同一党員4人まで)NHK経営委員に就任できる規定だから、前首相のおともだちが経営委員長であっても構わない。しかし、放送法がこれだけ委員の多様性を求めているのは、経営委員会の決定が、たとえば特定の政党よりにならないなど、できる限り社会的なバランスを考慮したうえでなされるべきだから。したがって、経営委員長は経営委員全員の意見をよく聞き、なるべく多数の委員の合意を求めるべきであって、「経営委員長のオレが決めるんだ。文句あるか」というような態度を取るべきではない。放送法上の精神からして、そうなのです。今回の経営委員長の発想や手法は、放送法上の規定になじまないと、私は考えています
●で、後任のNHK会長候補を伝えるGoogleニュースはこちら。福地茂雄って誰?
●前回の民間出身NHK会長は、住友銀行の磯田一郎が連れてきた三井物産の池田芳蔵。私は、池田が国会で突然英語でしゃべり出した頃(1988年末〜89年)、文藝春秋本誌でこの問題を取材し、原稿も書きました。磯田もろとも池田芳蔵が辞任したので記事はお蔵入りとなったが、我ながら実におもしろい内容(機会があれば当サイトにupするが、手書き原稿なんで手間がたいへん)。磯田は旧制一高以来のおともだちで、国策「イラン石油化学」で国家的な大損害を招いた池田芳蔵に、最後の花道を用意してやった。当時、物産はNHKに対し「秘書と専用車を提供する」と申し出たが、NHkはそんな前例はないと断った。ところが新会長が来て、秘書や公用車の使い方があまりに無茶苦茶だったので、NHK側はなぜ物産があんなことを申し出たか得心したのです。なにしろ池田は、NHK会長に就任していきなり会長室の机(何百万かする代物)を取り替えさせた。ゴルフ大好きで公用車も使い放題。NHK会長として渡米したとき、わけのわからん企業とNHKのエージェント契約を結んでしまい、違約金を払うのもたいへんだった(この話は当時の副会長・島桂次、在米支局長ほかごく限られた人しか知らないはず)。つまりは、ボケ老人がNHK会長だったわけです。今回は、そんなことにならないように願いたいものです
●午後4時、全情報通信労働組合(約1500人。総務省[総合通信基盤局、情報通信政策局、大臣官房、情報通信政策研究所、地方総合通信局])及び独立行政法人情報通信研究機構の職員により構成されている労働組合)の担当者と打ち合わせ。1月の同労組業務対策会議で地上放送のデジタル化について話す予定
●午後6時〜NPO放送批評懇談会の理事会と忘年会。なお、亀梨和也が表紙の『GALAC』1月4日発売号は、通常の刷り部数よりも今回限りの増刷部数のほうが多い(!)という異常事態になっている模様(笑)。編集部に来た注文が1800件以上、角川扱いの書店分が1400件以上(通常より1000近く多い)だそう。これ以外にネット書店分数百と、事前予約なしに本屋で買う読者分を見込むと、そうなっちゃう。【15時20分追記】なお、NPO放送批評懇談会では、別に予約申し込みを打ち切ってなどいませんので、よろしくね

12-20
●終日、サイトの作業あれこれ
NHK経営委員長暴走中。NHK会長人事は経営委員9人以上の多数による議決とされている(放送法第27条)ので、12人中4人が反対すれば流れてしまう。そんな委員会で、委員2名が委員長の手法が強引すぎるとわざわざ記者会見を開くのは余程のことで、委員会運営に問題があったのは確かでしょう。番組介入につながりかねない発言を一向に反省していないことからも、経営委員長としては不適格で、本人の再任はもうありません(民主党が多数を占める参議院の同意が得られないため)。だから任期中にNHK会長を強引に意中の人にしようとしているのでしょう。産経記事「『古森委員長はこう言った』 会見のNHK経営委員が備忘録を公表」によると、「私自身も最初は経営委員長として、マスメディアから大いにバッシングされたが、今ではメディアからも大いに尊敬されている」だって(笑)。どのメディアのことですかね。思い当たる人います?

12-19
●雑用とサイト関連作業。テロップ生態学(テレビ字幕の研究)をup。バラエティ番組を中心に、テレビ画面にやたらと字幕・テロップ・スーパーの類が出てきて辟易《へきえき》しているみなさん、氾濫する字幕番組の功罪(「GALAC」1999年06月号)と合わせてお読みください
●地上デジタル放送をザッピングしていたら、NHK教育で俳句がどうこうといっていたので目を止めると、講談師の神田京子が「ケツコンしてしまいました」なんかいっておった。上記「テロップ生態学」の≪研究・執筆者≫に出てくる本田尚子が、つまりは神田京子です。最後の弟子となって形見分けにもらった二代目神田山陽の入れ歯を大切にしているそう

12-18
●『オフレコ!』第5号がアスコムから絶賛発売中。12月17日の『朝日新聞』朝刊4面には広告も出ました。田原総一朗が電話してきて「ほんのかわいらしい広告が出たね」とかなんとか。「まあまあ、アスコムもいろんな本や雑誌をやっていてたいへんなんでしょ。年末に今年の反省会と来年に向けた作戦会議をやりましょう」と。「次のオフレコ!のアイデアは、もうあるんだ」と申しております。当サイトでも告知しますので、もうしばらくお待ちを

12-17
亀梨和也が表紙の『GALAC』2月号(←GALAC編集委員の岩本太郎によれば、「信じ難い表紙になってしまった」らしい)は、先週編集部に聞いたときは1500件だったか予約注文が来ていたようで、ありがたいことです。特集は、山路徹、野中章弘、亀山亮、高世仁、宮嶋茂樹、山本美香、山本宗補、綿井健陽ら戦場ジャーナリストがガンガン登場し、報道関係者は必読! これはNPO放送批評懇談会が出している放送専門誌・批評誌で、発行部数が通常は4000部程度と少ないうえ、大部分は会の維持会員である放送局その他の企業に送っています。今回のように事前に注文があると、注文分+αを刷り増ししますが、部数設定がなかなか難しい。多すぎると余って困るし、少なすぎると店頭ですぐ売り切れてしまい在庫もなくなって困る。予約注文しても入金しない人もある程度いますので。ま、何はともあれ、編集部では2007年12月27日までに入金確認ができた分については1000部でも2000部でもその日のうちに発送するとのこと。申し込み日ではなく入金日が問題であり、とくに郵便振替は入金から入金連絡までに5日程度かかるので、どうしても年内に入手したい人はご注意。詳しくは放送批評懇談会サイト表紙右肩のニュース欄をご参照
●原稿書き。夜、コンピュータ利用教育協議会10周年記念出版『(仮題)コンピュータ利用教育ハンドブック─学びとコンピュータの新しい関係─』(編者:佐伯胖CIEC会長、東京電機大学出版局から2008年6月発行予定)用の原稿をupし、京都精華大学人文学部教授・筒井洋一に送信。筒井は、岩本太郎と市民メディア関係で付き合いがあり、7月には精華大学人文学部学科講演会に呼んで「フリーライターという生き方」について話してもらった由。1月の琵琶湖塾のとき飲む予定

12-16
●だいぶ楽になってきたものの、腰の調子がイマイチ。原稿ほか進まず。午後1時すぎ、2時からの西早稲田かわうち寄席(林家正雀の落語三席)へ家人、その母と。3000円で落語を聞き、かわうち特製弁当と飲み物(生ビール、日本酒、焼酎などなんでもOK)が出る。噺は『お花半七、馴れ初めの一席』『寝床』『鹿政談』。一席目の枕に「夜寝るときCDを聞く。すっと眠れるのが志ん生師匠。目が冴えちゃうのが黒門町=8代目文楽師匠。うちの師匠、林家正蔵(のち彦六)も眠れない。小言を聞いているよう」という話が出て、昭和33〜34年頃から落語家のテレビ局専属契約が始まり(40年頃まで)、TBS専属だった文楽の落語は名古屋で全然流れなかった、みんな専属契約で家を建てた、ただ稲荷町の彦六は息子を一人前の日本舞踊家にするため家にカネをかけることをせず長屋暮らしだったと。あと、どういうわけか寺町の脇にはホテル街があるといい、川柳「弔いを山谷と聞いて親父行き」(若い者に行かせると吉原に引っかかっちゃう)を紹介。新宿もそうでしょうね。神楽坂にも横寺町というのがある

12-15
●終日、原稿書き
●東京新聞15日付朝刊に、首相・福田康夫のあまりにも困ったコメント。見出しは《年金公約「不可能」 首相「個人的にすまないと思わない」》。前首相・安倍晋三の7月参院選時の公約「最後の一人までチェックして解決する」が実現不可能になったことを「すまないと思うか?」と聞かれ「私はそういうことを言ったことはないから、個人的にはそうは思わないけど、今の立場からするとそうはいかない」と述べた(14日夜、TBS番組収録で)
この男は、政治家としての心構えが、なっていない。いや、政治家である以前に人間として、ヘンです。前政権の首相・自民党総裁が国政選挙で口にした公約が実現不可能になったら、そのときの自民党員の幹部である国会議員(とりわけ、自民党総裁選や国会の首相指名で「安倍晋三」と書いた者)は、国民に対し政治家として、もちろん人間としても、個人的に「すまなかった」と思うのは当たり前。その当たり前の感覚がないのは、政治家としても人間としても「異常」です。違うか?
●なに? 自民党の国会議員というのは、自民党の総裁が口にした国政選挙の公約が守られようが破られようが、自分がその公約を口に出して発言したことがなければ、個人的には全然責任を感じない者たちの集まりなのか? たとえば、ヒドいイジメで自殺者を出した学校の校長が、「当校は、過去にイジメを撲滅するとの方針を出しているが、それは前校長が言ったことであり、私はそういうことを言ったことはないから、個人的にはすまないとは思わない。今は校長だから、そういうわけにもいかんけど」といって世間様に通用すると、本気で思うのか? 文字通りFY首相(Fukuda Yasuo)というほかない。雰囲気が読めず、KYとイコール

12-14
●10時40分〜日大授業。4年生はこれが最終授業です。12月19日深夜までに、ブログへの所定の書き込みがない場合、成績はつかないので注意。3〜4年共通で21日の補講はなし。代わりに1月末頃に飲み会あり。詳しくはブログに書くので参照のこと
●最近見たテレビ番組につき感想二つ。9日放送のNHK、ETV特集「愛と生を撮る〜女性映画監督は今〜」。蜷川実花、西川美和、浜野佐知、河瀬直美らに映画プロデューサー李鳳宇がインタビュー。とくに浜野(エロ映画を何百本だか撮った)と河瀬はおもしろかった。本筋と関係ないが、ドキュメンタリーでありがちなことで気になった点を一つ。女性監督の日常に密着する取材映像で、監督が幼い子どもをクルマの助手席に乗せたシーンがあったが、私にはシートベルトもチャイルドシートも使っていないように見えた。あの歳の子どもをクルマに乗せるとき、チャイルドシートを使わず、シートベルトもさせず、助手席に座らせるのは、極めて非常識な、親として恥ずかしい行為(厳密には道路交通法違反!)。スタッフが注意し、社会的な常識に則った映像を撮らなければダメです。14日夜、ザッピング中にチラと見た徳永英明(キンスマ)は、あれこそまさに今年の漢字一字「偽」の象徴の一つと思いました。元歌をヘンなところで切り、ややかすれ気味の、高音が伸びない声で歌う。「時代」をチラと聴いてやめたけれども、私の場合は中島みゆきのCDを聴いたほうが癒される。蓼《たで》食う虫も好き好きですが

12-13
●福田康夫が、だいぶ首相の職に慣れたらしく、自分のペースや調子を出してきました。記者をバカにした、皮肉っぽい言い方が増えた。「公約違反というほど大げさか?」「解決すると言ったのかな」とね。前首相の安倍晋三は7月参院選の際、「来年3月までに約5000万件の年金記録の照合を終えると約束する」「自分の内閣で必ず解決する」と、明らかに宣言していた。これが公約でないならば、何が公約なのか? 記者をバカにする態度は、そのまま自分たちをバカにした態度と、国民大衆には見えているはず。年金問題、防衛利権問題(沖縄方面で真っ黒けという大臣級が少なくとも3〜4人いる。このうち1人のクビも取れないようなら、東京地検の権威は地に堕ちてしまう)、増税問題、所得格差問題をガンガンやられれば、小沢一郎があれだけ迷走したにもかかわらず、次の衆院選で自民党は勝てないだろうと、私は思います。民主党が、宴会の出欠など筋悪のくだらない問題に拘泥《こうでい》せず、明らかに政府与党によって国民の生活が悪化した問題だけを追及し、しかも、有効な対案を出した場合の話ですが
●2007年を象徴する漢字一字は「偽」だそうです。以下は、ホリエモン逮捕に関連して私が書いた2006年1月17日付けの当欄記事の一節
●嫌疑は「風説の流布」「偽計取引」とのこと。この1年を表す漢字一文字をどっかの坊さんがヘタな字で大きく書いて見せるのがよくありますが、私はいまの日本を象徴する一文字は「偽」だと思います。「いつわり【偽り・詐り】イツハリ 事実でないこと。ありのままでないこと。また、だますこと。」(広辞苑第四版) 耐震強度偽装、偽計取引、偽作、偽証、偽造、偽名、偽証文、偽物(贋物)、偽者(贋者)、偽札(贋札)……。やらせ、パクリ、偽ブランド、なりすまし、オレオレ詐欺リフォーム詐欺なんていうものも、お仲間たち。みずほ行員の13億5000万円着服は、個人の着服額としては史上最高ですが、おそろしく小さなフツーの記事。そんな時代、そんな社会になってしまった。だから「すべてを疑え!!」といっているわけです。「偽」の背景には高度情報化(通信・ネットワークの高度化=顔を見せずに話せる社会へ、デジタル化=複製が誰でも容易な社会へ)があって、「情報化の光と陰」の陰の部分といえますから。ところで「偽瓢虫」って読めますか? 私は読めなかったが、「てんとうむしだまし」って虫の名前だそう【2006-01-17記事ここまで】
●私がまともなジャーナリスト(に値する)かどうかはさておき、私は、ジャーナリストに必要なのは、世の中でまだ(あまり)言われていないことを明るみに出し、問題提起をすることだと思っています。「偽」の一文字については、世の中より1〜2年早かったから、ちょっと満足。世の中の出来事を後追いして「こうでした」と報告することだけが、メディアの役割なのではない
●まあ、事前に「警鐘を鳴らす」といってもよいですね。ところで、なんとなく意味が近そうな「社会の木鐸《ぼくたく》」という言葉があります。新聞記者がよく使うけれども、私はこの言葉が大嫌い。というのは、木鐸は「世人を覚醒させ、教え導く人」の意味に解されている(「論語」ではその意味)が、もともとは「中国で法令などを人民に示すとき鳴らした木製の舌のある鉄製の鈴。金口木舌《きんこうもくぜつ》」のことだから。つまり木鐸は、権力者・支配者のいうことをそのまま伝えるときの道具だった。それを、記者クラブの旧弊《きゅうへい》や発表ジャーナリズムという問題をかかえる新聞が、自分たちは世を教導する者であるという意味で口にするのは、全然シャレになっていない

12-12
●昨夜のNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、絵本作家の荒井良二の回で、とてもよかった。たいへんなテクニシャンであり、本当の大人の作家だということが、よくわかる。むろんハイビジョンの大画面で見たほうがいい番組
●朝、KDDIに電話して、「家族(実家母含む計5台)のケータイ料金の請求先が家人の名になっているのを私に変更したい。必要な手続きは?」と聞いたら、「チカミ」と名乗るKDDIのオペレーター(若い男)がバカすぎ、なんと40分ほどかかった! 「5台の契約者全員がauショップに来る必要がある」というから、「5台の契約者とは誰? 全部、家内一人の名義か?」と聞くと「わからない。そちらで5台の申し込み契約書を調べるか、1台ごとにEZwebで調べればわかる」などと、わけのわからんことをいう。最終的に、【1】私の使っているケータイ(申し込みのとき本人確認が面倒なので家内名義にしていた)の契約者を私本人に変え(二人でauショップに行き手続きが必要)、【2】この電話で請求する「住所支払い変更届」に必要事項を記入のうえ返送すればOK、とわかった。「なら、先に二つのことが必要だと、そういえ。なぜ40分もかかる?」というと、KDDI「最初からそう申しあげている」。坂本「この電話をかけて35分以上経過しているぞ。あんた、住所支払い変更届のことを何分頃に言った?」(坂本注:明らかに30分近く経過していた)KDDI「わからない」坂本「この電話による説明が、客にとってわかりやすかったと思うか?」KDDI「わからない」
●バカとの電話は切り、同じ電話番号にクレームを伝えると、今度はちゃんとした女性につながり、要旨【1】その内容で30〜40分もかかるはずがない。誠に申し訳ない。【2】必ず上司に伝え、本人はもとより、オペレータ全員に徹底する。【3】(最初の電話では、auショップに出向く際に「シャチハタでない印鑑」が必要と説明があった。「ゴムのスタンプ式の印鑑はダメというのに、企業名のシャチハタを出すのはおかしいじゃないか」と言ったら、「シャチハタとはシャチハタ式のことで、当社ではそう呼んでいる」と応えた件については)この場合はハンコは不要で、サインでもよく、その説明は誤り。新規契約など印鑑が必要な場合でも、企業名シャチハタを出すのはKDDIとして不適切。必ず改めさせる
●こういうことは、KDDI、NTT、自治体レベルの役所、あと郵便局(不在通知が入っていた荷物の再配達を頼む電話。確か沖縄につながって、まったく不要と思われる情報[たとえば荷物の中身や当方の電話番号]を答えさせようとする。宅配便は顔見知りのドライバーに直で電話するからまったく問題なし)などで頻繁に起こります。とりわけ増加しているようで問題だと思うのは、「自分にも悪かった点があるかもしれない」と反省することができない者に、よく当たってしまうこと。これは大学でもよく耳にする話で、「絶対に自分は間違っていない」と言い張る若いヤツが増えている
●よくあるらしいのは「自分はなぜB判定なんだ?」とか、しつこく食い下がってくるバカ学生。私は経験がないし、一度下した判定を覆《くつがえ》すこともあり得ませんが、「いるんだよね、そういうの」とはよく聞く。私なら「うん、それはね」といって、採点基準を記した紙を、机の引き出しやカバンから取り出して見せますね。その紙には「『自分の成績は違うのではないか』と疑問を言って寄越すと思われる学生は、B判定とする」と書いてある。そういう紙をB、C、D……と何枚か用意しておきゃあいい(適合する紙を見せないとダメ)
●auショップに行く以外は原稿書き
●【以下の項は夕方6時前に記】ガ〜〜ン!! 神楽坂auショップに行って驚いた。印鑑不要どころか、auショップに出向く必要すらなかった。ケータイ5台のうち1台(実家の母用)は私の名義なので、KDDIが送ってくる紙に必要事項を記入して送り返せば事が足りた(とショップでわかったから、そこで記入して完了)。ショップでは「5台の契約者は電話番号・生年月日・暗証番号(注:ロック番号とは別)がわかれば照合できる」といい、5台全部の契約者名(名義)を調べてくれたが、朝の電話のバカは、契約者はわからないと言い張っていた。しかも、朝のバカは「【1】auショップで手続きし【2】その後に届く書類を送り返してくれ」と説明したが、auショップでは「auショップで手続きせよといったならば、ショップに必要な書類があるから、2段階に分ける必要などない。届く書類は破棄してください」という。「auお客様サポート」てのは、バカが出てきて話がややこしくなるだけだから、電話しないほうがよさそうです。みなさんもお気をつけください

12-11
●昨夜は24時すぎ、ようやく潮原稿を入稿。腰のダメージが思いのほかキツくて長引き参りました。暖めたりベルトしたりして、だいぶ軽くなってきましたが。明らかに歳ですね。放送関係でやり残しがあれこれあるので、10年計画でやっつけるつもりでいますけれども。それはともかく、急ぎの原稿があと1本。なんとか今日中にup予定
●今朝の新聞各紙に、「来年1月に任期を迎える橋本元一NHK会長の後任人事について、学者やジャーナリストらでつくる有志の会が10日、任命権を持つNHK経営委員会(委員長・古森重隆富士フイルムホールディングス社長)に対し、原寿雄元共同通信編集主幹と永井多恵子NHK副会長の2人を候補として推薦すると申し入れ」(以上は時事通信の配信記事から)に関する記事。私も推薦賛同人になっていますが、永井多恵子は現職の副会長である以上候補になって当然、原寿雄は本人がこのような形で候補になることに意味があると思っているならば(これについては世話人の一人である野中章弘に確認済み)推薦してもよいとの考え。「市民団体」が推薦と書く新聞もあるようだが、私の理解では、そんなのは初耳
●ところで私は、現在のNHK経営委員長の発言でおかしいと思ったことについては、たとえば当欄10-10の項で批判しています。逆に、NHK経営委のいうことがまともでそれに応えないNHKのほうがおかしいと思えば、当欄09-29のように考えを述べています。私がたいへん不思議なのは、NHK経営委員長が、明らかに番組制作や編成の自由への介入につながる発言を公然としているのに(9月11日の経営委の要望)、NHK内部、とりわけ番組制作や編成の現場や日放労(NHKの組合)が何の声も上げないこと。日放労サイトは1年以上前に停止したままに見えるし、いやホント、どうなってんだか

12-10
●朝、たまたま見たNHK「生活ほっとモーニング」が認知症を取り上げており、早期発見が鍵、やり方次第で病気の進行を遅らせ生活を豊かにできると、丁寧にレポートしていた。発見から4年になる妻とその夫が積極的に取材協力し、いろいろと教えられました。なかなかのもんだ、こういうのがギャラクシー賞報道活動に応募してくれりゃいいんだと思ってNHKサイトを見ると、10月に一度放送したものを、国会中継があるのでやや短く再構成して放送したらしい(見ていて物足りないという感じはなかった)。夫は脳に有効かと思って脳トレ教材(100マス計算だの漢字ドリルだのの類)をやらせたが、妻は大嫌い。ストレスがたまるばかりで効果がなかったと。これ、小学生なんかでも同じことです。あんなことをやらせても、同じ種類の問題が出てきたときに早く間違えないというだけであって(んなことは、ふつうの大人にとっても、中学受験生にもとくにプラスにはならない)、嫌いな子どもにはストレスになるだけ。あと、妻が得意な紙芝居(登場人物になりきってセリフを読むのがとても上手)で老人たちを喜ばせ、それが自分の生活の張りにもつながると。こういうことも子供たちに適用できる。つまりは、認知症と診断されたって、されなくたって、人間として自然なことを、ゆっくりその人のペースでやればいいんだと。そのとき本人、家族、介護士や医師の連携こそが大切で、たとえば夫は医師の役割を果たす必要などないわけで、これ、大事。親が教師の役割を果たす必要がないのと同じですね
●GALAC亀梨和也くん表紙号(2008年2月号)の予約注文は、この申し込みページからどうぞ。あわせて当欄12-04の項もご参照。記事タイトルは「俺なりの"アイドルの崩し方"」にしましたよ。表紙写真も、悪いけどそこらの雑誌とは出来が違う。たとえば緒形拳や山崎まさよしやネプチューンのこんな写真、見たことないでしょ(今回ここまでブッ飛んじゃいないけど、まあ、あまり見ない写真のはず)。先週金曜夜までの注文が100件ほど、今朝メールを開いたら累計500件になっていて、年末進行の事務局はパニクッております。すぐにはメールの返事が来ないこともあるのでよろしく。あと、なるべく電話しないで
●年末月刊誌の原稿執筆中にて、以上取り急ぎ。仕事が終わらず、映画「陰日向に咲く」完成試写会@六本木ヒルズTOHOシネマは欠席

12-09
●仕事。夕方、家人と息子で高田馬場へ。イタメシで夕食

12-08
●原稿書きのはずが、調子悪くグダグダ

12-07
●10時40分、日大授業
●夕方6時、青木芳子(亡くなった青木貞伸の奥さん)と高井戸駅で待ち合わせ。沖縄系創作料理「一心」へ。ほどなく放懇事務局・久野明も現れて食事と酒。久野も青木貞伸が亡くなったとき、引っ越し作業を手伝ってくれた(あと小林英美も愛車ゴルフを駆って鎌倉まで来て手伝い、散逸させるのは惜しい放送関連雑誌その他をクルマに詰め込んで3人で東京に帰ったら、CDチェンジャーがぶっ壊れた。ただし、小林は年末この時間はどうせ無理だろうと今回は声かけせず)。家人が持たせた土産(神楽坂の和菓子に、わかさぎ屋にゅうめん5袋、リンゴ2個、山芋そば2束、マグロ缶2個とかなんとか)の紙袋が、ちょっと重いので、3人でタクシーにて青木宅へ。コーヒーをいただき、12時頃帰宅。そうそう、最近入居したが「まだ青木の仏壇を出していない。天袋に入れたまま」というから「じゃ、降ろしますよ」「今日はもう遅いから今度でいいわ」「今度と化け物には会ったことがない。すぐやろう」と二人で天袋を探すも、ない! どっか他のところに仕舞ったらしく、「じゃ、今度来たとき」ということに

12-06
●午後4時〜小川和久とお茶@オークラ別館。『日本の戦争力』文庫化、国際変動に関する小川構想、最近の防衛省問題などについて2時間弱。当欄11-29の項に書いた、防衛調達とたとえば建設・ゼネコン談合問題は同じ構図という私の見方を言うと、まったくその通りだと。防衛省問題について小川和久は、いま出ている『諸君!』に「石破大臣よ、防衛省に怒りの鉄槌を振りおろせ」を書いている。一読をおススメします。石破茂もそういうことをやっていくと、先週末のテレビで言っていた。『中央公論』にも何か書くそうです(喫茶室に行ったら「待ってる間にプロットができた」と)。なお、『諸君!』記事の惹句は「機密漏洩から守屋疑惑まで、不祥事の連鎖が止まらない。体質改善の秘策、われにあり」ですが、問題は体質ではなく構造だと、私は思いますが。90年代初めのゼネコン汚職のとき長時間取材した業界の広報担当が、「新聞はゼネコンの談合体質と書くが、ちゃんちゃらおかしい。体質じゃない、談合構造なのに」と憤慨していたことを思い出します
●それにしても今回の防衛問題で、政治家、ジャーナリズム、アカデミズム(学者)の頓珍漢さ加減というか、レベルの低さに呆れるという点では、意見一致。「民主党なんか、小川さんのところに意見を求めに来たり、勉強会に呼んだりしない?」と聞いたら、「ない」と。自民党政治家は、個別に話を聞かせてくれと言ってきて、某長官も一生懸命ノート取っていたそうですが。メディアも、週刊誌が「おねだり妻」などと盛んに書くけれども、そもそもあの事務次官が4年の長きにわたって防衛庁・省に君臨し、そこに記者クラブがあって各社記者が常駐していながら、彼がトップの間は何の情報も出ないというのは、なんで? 4年間、あいつゴルフ行き過ぎなんじゃないの、という記事すら新聞にもテレビにも載らなかったのは、バカな話でしょう? 腐っているのは防衛省だけじゃない、記者クラブもだと、私は思います。新聞は「なぜ私たちは守屋問題を言い出せなかったか」という記者座談会を載せるべき。NHKスペシャルも、家族の肖像も中国も戦時中の話もいいけれども、「悲劇の支援戦闘機F-2」をやるべきです
●昨日あたりから腰がヘン。年か。ぎっくり腰ではないが、首の寝違えみたいなことが腰に起こったらしく、立ち上がるときアタタタとか、気持ち前屈みで歩き回る感じ。朝っぱらから風呂に入ったり膏薬を貼ったり、もろもろ(原稿含め)効率悪し。2〜3日前、ベランダの冬ごもり作業で、プランターや室内で冬越しさせる鉢を移動したりした。寒い中ヘンな姿勢で土をいじったりしたので、そのせいかも

12-05
●夕方6時半〜NPO放送批評懇談会グランドデザイン小委員会@新宿5丁目の放懇事務所。石井彰、市村元、入江たのし、岩本太郎、小田桐誠、音好宏、丹羽美之、深川章、坂本衛、事務局から中島好登。NPO放懇の目指すところ、組織のあり方などについてあれこれ議論。放懇会員からアンケートを取るべしと提案

12-04
●原稿書き
●GALAC編集部から原稿の督促がてら、いくつかの亀梨和也ファンサイトやブログに事前情報が載っていたと連絡あり。なので、正確なところを書いておくと、GALAC2月号の表紙と巻頭グラビア3pに亀梨くんが登場。表紙撮影は末武和人。記事は私が書きますが、まだ書いていません。この号は2007年1月4日発売号だが、印刷製本の都合で年末27日頃に前倒しでできあがり、年内に編集部から発送可能となる予定。大都市の大書店や放送局そばの書店以外では手に入りにくく、小さな書店は注文を受けることすら嫌がる(電話したり伝票を書いたりして儲けが100円だか200円では面倒くさいだけと考える。「5週間前に注文して」なんていうのは「注文お断り」の意味)ことがあります。確実に入手したい人は、このGALAC注文ページから申し込むか(まだ先の号なので、注文フォームができていないサイトから予約注文ができます)、同じページにある編集部の電話に直接申し込んでください。ちゃんとビニール袋に入れて送ってくれます(封入作業は指紋がつかないよう手袋をしてやっている)。堂本光一表紙号はファンから13001800件くらいの追加注文(ふだん購読していないと思われる注文)があったそう。よろしくね。【追記 数が違ってたと中島好登から連絡あり。私が編集長をしていたときの二宮和也表紙号なんて、注文が殺到して雑誌がなくなってしまい、実費だけもらって表紙カラーコピーを300部だか500部だか発送したことがある】

12-03
●終日、原稿書き。なかなか終わらない
●CSのシネフィル・イマジカでスイスのドキュメンタリー映画『トスカの接吻』(1984年、ダニエル・シュミット監督)をやっていた。伊ミラノに、ヴェルディが私財を投じて建てた「ヴェルディの家」と呼ばれる音楽家たちの養老施設がある(開館は死の翌年の1902年)。サラ・スクデーリ(ソプラノ)、ジョヴァンニ・プリゲドゥ(作曲家・指揮者)、レオニーダ・ベロン(テノール)、ジュゼッペ・マナキーニ(バリトン)はじめ、ここに暮らすかつての名歌手や音楽家たちの日常を描いた傑作。ドキュメンタリー映像にとって、ナレーション(説明)はかならずしも必要なものではなく、場合により光(照明)や音(劇伴)さえも必要ではないことが、よくわかる。テレビでは、饒舌《じょうぜつ》多弁に見えて空疎な映像が氾濫し、ああ、いいものを見たとしみじみ思う機会があまりにも少ない。テレビ制作者こそ、このような映像を真剣に見てほしいと思います。参考(ヴェルディの足跡をミラノに訪ねる 牧野宣彦)
●来年度、日大で2コマ持つことになりそうなので、一つはドキュメンタリー研究なんぞもよいかと思うこのごろ。手元にあるものを思いつくままにいくつか挙げれば、レニ・リーフェンシュタール『民族の祭典/美の祭典』、アラン・レネ『夜と霧』、土本典昭『ある機関助手』、原一男『ゆきゆきて神軍』、キアロスタミ『ABCアフリカ』、シミューセン&エプスタイン『ハーヴェイ・ミルク』、ダニエル・シュミット『トスカの接吻』、あとマイケル・ムーアとか。これに牛山純一や田原総一朗『ドキュメンタリー青春』、森達也、綿井健陽あたりも混ぜて10本にして、毎月1本見ては、あーだこーだいって、田原や綿井も呼んじゃうてのは、どうかな

12-02
●片付け、掃除に原稿書き。夕方5時35分頃、ちょっとした事件。家人がちょっと近所まで出るとき、マンション階下の一室から警報音とともに「ガスが漏れていませんか?」の音声がしているのに気づき、ドアをガンガン叩くも反応なし。慌てて1階の大家さんに連絡し、すぐ4階まで駆け戻って、私に「すぐきて」と怒鳴る。下りていくとムチャクチャ、ガス臭い。大家が鍵を開け入るところだったので「窓を開けて」と怒鳴り、廊下のガスボックスを開けて元栓(メーターガス栓)を閉め、家人に「東京ガスに電話しろ」とまた怒鳴る。私も部屋に入って残りの窓を開け、しばらくガスを逃がすと警報が止んだので、それらしい機器を点検するも原因不明。5時55分頃、東京ガスに「少なくとも10分以上前に電話したが、まだ来ない。いつ来るの?」と再び電話。「西新宿から、いま向かっている」というので大家と待ち(「入るとき電気つけた? 爆発する恐れがあるから、今度からスイッチに触っちゃ絶対ダメですよ。消すのもダメ。阪神大震災で、避難先から帰ってきて電気をつけたら火事になった」などとおしゃべり)、サイレンが聞こえたところで路地入口まで迎えに出る。6時5分に到着。ちょうど部屋の住人も外出から戻ったので、経過メモ(ガス屋を待つ間に走り書きした)を渡して撤収
●その後、東京ガスが各戸を回って点検。今回のガス漏れは、ガスファンヒーターをつないだ壁のガス栓(コンセントガス栓)が劣化して漏れたので、その場で交換したという。うちではコンセントガス栓は使っておらず、各部屋のものの多くはタンスの裏など見えないところに封印してあるので、キッチンや風呂など見える箇所だけ一応チェック。以下、東京ガスのお兄ちゃんとの会話。坂本「都市ガスが爆発するのはどんな場合? 空気との混合比によるわけでしょ?」東京ガス「密閉した室内で、ガス濃度が4〜15%のとき、電気スイッチの火花や静電気で爆発する恐れがある。呼び鈴(ドアホン)も鳴らしちゃダメだし、電気を消してもダメです。とにかく窓を開ければ、ガスはすぐに抜けます」家人「あれま、さっき鳴らしちゃった」坂本「ガスコンロを大で出しっぱなしにしたとき、たとえば10畳の部屋で4%に達するまでの時間は?」東京ガス「うーん、ちょっとわかりません」坂本「こういうときは119番で消防を呼んでもいいわけ?」東京ガス「呼ぶ人もいますし構いませんが、その場合もうちに連絡が来る。消防はガスを検知すると、マンション全戸の避難誘導をするはずです」坂本「消防のほうが、オオゴトになるわけね」
旧ガス栓の交換についてはこちら。古いのは、オイルの劣化などで漏れることがあるらしく、長年使わなかったのをいじったりすると漏れが始まったりする。なお、東京ガスのガスはほとんど天然ガス(9割方がメタン。臭いは人工的につけたもの)で、そのまま吸っても一酸化炭素中毒にはなりません。また、空気より軽く天井に溜まります(プロパンはまた別)。ふつうの鼻なら空気との混合比が0.1%以上でガス臭いと感じるそう。以上、ご参考まで
●野球日本代表戦、久々におもしろかった(というか、今年初めて野球1試合をほとんどまるごと見た)

12-01
●原稿書き。家人が朝から群馬の法事へ。夜、母・兄と帰ってきてうちに泊まるというので一杯
●朝青龍が11月30日に帰国し謝罪会見。いや、たいしたもんです。日本語であれだけ受け答えができるのは立派。「モンゴルの新聞に暴力事件の記事があったが?」と聞かれて「いい加減な新聞なんで、よく考えてから質問してください」なんて返し方は、なかなかできるもんじゃない。北の湖や朝潮なんかより、はるかにちゃんとした日本語を話す! 前首相や元農相や前防衛省事務次官なんかより、はるかに品格がある! 英語でもドイツ語でも中国語でもなんでもいいが、外国語であれだけの記者会見に応じることができる日本人スポーツ選手が何人いるか? いや、そういう日本人は何人いるか。そして過去数年来、朝青龍以上に相撲界に貢献した者がどこにいるというのか? そもそも横綱審議委員会の委員長は前NHK会長で、2004年7月20日に『週刊文春』がNHKの不祥事を暴露して以来、翌年1月まで「辞める気はまったくない」と明言し続け、結局は辞任に追い込まれた人物。その会長のもと、相撲の八百長問題やリンチ死問題には沈黙し、朝青龍に対してだけは引退を口にする横綱審議会委員てのは、いったい何様?

11-30
●10時40分、日大授業。新宿区役所に回って「住基カード」を入手(500円)。なんだ、区役所1階で写真が撮れる(600円)のか。駅なんかにあるのより100円安い。なぜ、区役所窓口で写真が必要だというとき、同じフロアに機械がありますと一言いわんかねえ
●新評論『市民的自由の広がり JCLU人権と60年』(自由人権協会編)を献本していただく。山田健太も「放送の自由と自律」の項を執筆しており、関係者は必読。それにしてもこの本の値付け(3000円+税)には驚いた

11-29
民主党は、落ち着け! 2006年12月4日にあった東京・人形町「濱田家」の宴会に、財務大臣・額賀福志郎が出たか出ていなかったかが、本当にそんなに重要な問題か? 元米国防総省日本部長ジェームズ・アワーが出ていた宴会に前・防衛庁長官が顔を出すのは、そう不自然な話ではない。出ていたからといって即、贈収賄が疑われるわけでもない。仮に出席していたとしても、記憶違いの謝罪で済む話。それよりは、防衛官僚OBによる口利き証言のほうが突っ込みどころがあるはず。何つまらんことに血道をあげているのか? 【追記 守屋逮捕で財務大臣の証人喚問は取り下げへ。当然です】
●防衛調達問題は、防衛省官僚が兵器の運用戦略を持たない(なぜならば軍事戦略がないから)うえに、ものの値段がわからないため、調達を商社に丸投げし、日本仕様への余計な改造などでメーカーに儲けさせ(税金をムダづかいし)、その官民談合構造のなかで官僚が商社やメーカーに天下るという問題で、ゼネコンによる建設談合などと同じ構図。建設の場合は、建設官僚に道路の運用政策がないうえに、橋やトンネルの値段がわからないため、調査や見積もりをゼネコンに丸投げし、そのときすでにカネを使っているゼネコンに建設工事をやらせ、そこに天下る(入札制度があっても、ボーリング調査なんかしたヤツが工事を取るのです。だから談合はなくならないわけ。この構造問題を問わずに談合だけなくせというのは、まったく無意味。「また官製談合」なんて書く報道は無意味です。談合は官製に決まっているのだから)。同じ話でしょう? いま問うべきは、この巨大な問題です
●なぜアメリカの戦闘機やヘリとほとんど同じものが、日本では2〜3倍の価格となり、同じ予算ならば米軍の2分の1〜3分の1の兵力(戦闘機やヘリの機数)に甘んじなければならないか? 当面の仮想敵を極東に限定するならば、その国が持つ戦闘機やヘリは世界水準からすれば2〜3世代は時代遅れであり、戦争中のアメリカやイスラエルが持つ世界最先端の戦闘機やヘリを買う必要はないかもしれないのに、なぜ必ずバカ高い買い物をしなければならないか? 中ロ最新鋭機にスクランブルをかけるような部隊を除き、自衛隊のパイロットは、75億円の戦闘機20機で戦争するのと150億円の戦闘機10機で戦争するのと、どっちがいいのか?(注 敵はポンコツで、どっちでも楽勝。よく調べていないが、部品が多く複雑な電子機は稼働率が低いはず。実際には、常時飛べる状態にあるのは75億円17機に対して150億円6機というような話になる可能性が大。また、高価格機は日本メーカーの関与の度合いがいくら高くても、肝心の部品はブラックボックス化されており壊れたら輸入ということになって、運用の手間やランニングコストがこれまたバカ高い) 以上のような問題に比べれば、前防衛事務次官夫婦が何百万円奢ってもらったなんて、どうでもいい話。ケタが四つ五つ違う話
●で、なぜテレビ報道は、どうでもいい話だけ伝えて、肝心の問題を伝えないか? 頼むから、『ナショナル・ディフェンス』と『戦艦ミズーリの長い影』の2冊だけでいいから、読んでから取材してくれ

11-28
●朝方、ヘリがぶんぶんうるさかった。防衛省前事務次官は今日明日にも逮捕でしょう(追記:東京地検特捜部は28日、守屋武昌とその妻を収賄容疑で逮捕、山田洋行元専務・宮崎元伸務を贈賄容疑で再逮捕。ガサ入れがあったのか、夕方もぶんぶん)
●終日、原稿書き

11-27
●26日夜は、理事会終了後、岩本太郎、中島好登、福島美子、久野明、坂本で、放懇そばに最近できた中華「四季茶房」へ。紹興酒ボトル(750mlくらいの)2本に、胡瓜冷菜、苦瓜と腸詰め、空芯菜炒め、揚げポテト黒酢炒めで6500円弱は、まずまずリーズナブル(開店セールの10%割引券を使ったけど)
●当欄前日記事の『カーズ』に触れ、アメリカの連中の志の高さを話し、翻って日本のアニメやドラマは何だと議論。私の意見はこうです。「失われた十年、格差社会、年金や老後の不安、地方経済の停滞というが、その気配すら感じられない浮世離れしたアニメやドラマばっかりなんて、ふざけているではないか。リメイクもの、ヒット小説やマンガ原作ものなど、テレビによるオリジナル脚本に基づかないドラマが増えているのも、とりあえず当たったという実績にもたれかかる制作者たちの志の低さを示すものだ。これは何なのだという記事がGALACに載らないのは、何なのだ?」と
●深夜、CSでも見ながら寝るかと思ったら、おおっ、Vパラダイス(ch319)で『ゆきゆきて、神軍』をやっていた。監督の原一男は田原総一朗『あらかじめ失われた恋人たちよ』の助監督で、この映画の公開(1987年)直後に会い、『潮』に原一男論(またはインタビュー記事。聞き手は田原で、書き手名義も田原のはず)を書いたことがあります。「撮影対象と制作者の共犯関係」なんて言葉をキーワードだった。ホテルの一室にビデオデッキを持ち込み、ベッドの上で、原一男、田原総一朗、高橋良典、阿部博らと一緒に見た記憶がある。あれから20年かいと、思わず見入りました。途中からだったので録画しそこなったが、29日夕5時半、30日午後3時半にも放映あり。テレビの地上放送では絶対に見ることができない、しかし、日本人ならば、必ずや見ておくべきドキュメンタリーです
●企画書書きほか、雑用あれこれ

11-26
●この土日、WOWOWでディズニー特集をやっていた。子どもが小さい頃よく見せていたので、クラシックを中心に長・中編はほとんど持っている(LDやVTRで何十本か)。私見では『ピノキオ』が最高傑作だと思いますが、好きなのは『不思議の国のアリス』かな。今回やっていた『ダンボ』もなかなかの名作です。1941年製作で、コウノトリの編隊飛行、鼻から吸い込んだピーナッツ掃射、ダンボ爆撃隊と命名なんてあたりが、往時を思わせる。それにしても昭和16年、つまり太平洋戦争開戦の年に、アメリカはこんなもんを作っていた。1937年『白雪姫』、1939年『風とともに去りぬ』、1940年『ピノキオ』──こういうものを、たとえば戦前の日本人の7〜8割方にちゃんと見せておけば、これを作った国と戦争しようなどとは思わなかったんじゃないかと、いつも思います
●で、今回、2006年公開の『カーズ』を見て驚きました。これはスゴい。風景のボディへの映り込み、クルマの微振動や微妙な傾き、タイヤの回転の仕方、レース場のゴミ(ゴム片とか)の舞い方など、作り込みがムチャクチャものすごい。『ピノキオ』に出てくる猫フィガロの毛のツヤを思い出しました。ストーリー、キャラともにおもしろく、日本語吹き替えもよくできている(山口智充、ジローラモ、いい!)。ハイウェイの開通で廃れゆくルート66沿いの田舎町ラジエーター・スプリングスと、そこに住む気のいい連中に、大切なものを気づかされる、才能はあるが自分勝手な若者というのは、まあ、ありふれた設定ともいえるが、ここまでやれば立派。日本のアニメやドラマに、栄えていた田舎町のメインストリートがシャッター通りに変わってしまったというシーンは、あまりでてこないと思いますが、このアニメはそういうものをしっかり描く。久しぶりに、アメリカ以外では絶対に作ることのできない映画を見た気がします
●午後、新宿区役所。6時30分、放懇理事会

11-25
●24日は3時すぎから、川崎THINK(旧NKK京浜ビル前)アウマンの家にて、彫刻家・吉本義人のアーティストトーク。モニタにデジタル画像を表示しながら、要旨「現代彫刻は、それ自体として自立できない。だから、だらしなく依存し、壁その他にもたれかかる。もたれかかる場所を探し、なりゆきまかせで、グダグダ連なり、変容し広がっていく。それが連態、壁態、依存と名づけた一連の作品。8月の仙台メディアテーク・オープンスクエアも、今回のART KAWASAKI 2007もそうだ。作品を使い回したり、10本セットのうち1本だけを個展に出したり、サイズの違うものを追加したり。昨年の川崎彫刻展作品は、エキスパンドメタル(金網)にアルミ缶やペットボトル(つまりゴミ)をくっつけていき、途中で解体、観客に新たにくっつけてもらった。これは彫刻家の作品といえるのかという話。『インスタレーション』と呼ばれる仮の(一時的な)空間展示や表現の一つともいえる。なんでも包んでしまうクリストはその先駆者の一人だし、穴を掘っては土を積むなど地球に対して作業するアースワーク(ランドアート)というものもあった。これらは作品は残らず、作家のメモ、ドローイング、記録写真といったものしか残らない。2000年から滞在し作品を造ったベルリンでは、現代彫刻はそのようなものばかりだった。しかし一方で、自分では根っからの彫刻家だ、ものを造ることが大事で、それにとことんこだわるという(古典的な)思いがつねにある。美術評論家・平井亮一の言葉を借りれば"自己限定的な媒体形式"としての彫刻にこだわりたい。平井はインスタレーションを"拡散的な媒体"として、これに対置させる。僕は、自己限定的な媒体でありながら拡散するという矛盾の中にしか彫刻の未来はないと思っている」といった話
●質疑応答で、私が「現代彫刻は自立しえないという思いは、いつごろから、どうして?」と質問。吉本「三つ子の魂というか、僕のデビュー作(1969年、第1回現代国際彫刻展@箱根の森彫刻美術館)の樹脂パイプの作品(坂本注、錆ドメ色に塗った巨大パイプが「∩∩_ 」のように並んでいて、地中で連続していると見える)もある種、依存していた。芸大のとき発泡ウレタン100kgを爆発させた作品は、出来上がりがどうなるかわからなかった。一度こういうものを造るともうまともな彫刻家には戻れない、こんなのは許されない、と教授たちは言っていた。だから最初から、そういう思いはあった」坂本「パイプは、自分で立ってはいるが、大地に依存していると?」吉本「そう」坂本「では、年とともに依存が深まった。昔は自分で立っていたが、いまは壁や柱にもたれているから。ようするに、よりだらしなくなった?」吉本「そうなのです」。終わりかけに、もう一つ質問。「自己限定的な媒体形式はよくわかる。その部分で、今回の東邦画廊の作品は、1979年第1回ヘンリー・ムーア大賞展の佳作、記憶としての構造そのものでは? 熱を加えてひっぱたいたりしているけど、構造は」吉本「そうです」
●私が初めて吉本義人の作品を手伝ったのは、1975年の荒川河川敷野外展で、これは川岸のアシを一辺4mくらいの正方形部分を残して刈り取り、その周囲を畳大の鉄板を何枚もロの字型に敷き囲って月1回定点観測する(後で記録写真をシルクスクリーンで刷りカレンダーに)というインスタレーション(当時こんな言葉はなかった)。中3の終わり頃で(私と林武も行った)、設置作業後、小岩かどこかにあった吉本のアパートにみんなで行き、一升瓶で酒がガンガン出た。いま、そういうことをすると、麻布の教員はクビになるそうです。ヘンリー・ムーアのときも彫刻の森に設置しに行ったが、もう30年前なのか。なんでも麻布の生徒が展覧会にあんまり来ないのは、生徒たちからすると、吉本はもう爺さんに近い年齢であって、そうそう遊びに行くという感じではないらしい
●6時30分から徳田ガンの舞踏。今回の吉本作品は、日本鋼管(1912年設立)の創業時の正門門柱にもたれかかっている。その付近で30分ほど演技。「死神を連想した」との感想を言った人があったが、徳田にとっては「死」はテーマの一つだそう
●7時半〜9時半、JFEから産業道路をバス停三つ分ほど北へ歩き、池上町の焼肉「道飛館」(ドヒカン)へ。この一帯は日本鋼管や東電の土地に朝鮮の人びとが住みついたとされる細い路地の町。道飛館は、浜川崎付近からだと産業道路の右側を歩き、桜本一丁目信号を越えてから、運河沿いに右に入る[「つり幸」が目印]。2本目を左に入り、途中で右に折れるとすぐ。月曜休み。夜11時まで。私は、川崎臨海部に来たら、この焼肉屋に必ず寄ることに決めました
●焼肉参加者は、吉本義人・蓉子、土屋邦美(芸大相撲部→竹中工務店設計部で合ってますかね)、徳田ガン(舞踏家)、吉本裕美子(ギタリスト)、氏名不詳(東芝でデザインしてる)、斉藤晃生(麻布OBで私より8期くらい下)・真智子、麻布OBの凸凹2浪コンビ(彫刻と日本画)、坂本の11名(1人乾杯だけして帰った)。桜町停留所から乗ったバスがしばらく貸し切り状態だったので、車内で記念撮影。なお、桜町バス停から道飛館に行くには、裏の高架下駐車場を抜け、プロパン2本と青いアパート階段の間の路地を入ると突き当たる
●夕方、家人と実家へ。目黒・香港園まで出て母と夕食(栗子牛肉がちょっと珍しいかも)後、帰宅

11-24
●午前中、テレ朝『スクランブル』を見ていたら、「香川・姉妹と祖母不明 残された鍵と新事実」なんてコーナーで、あまりにも頼りない元兵庫県警刑事、話すとき三白眼の異様な形相になる精神科関係者、イケメン(とされているらしい)弁護士、女優、タレントらが、ムチャクチャな推理合戦。元刑事は港で血痕を発見し捜査本部に伝えたそう。釣り人と「魚をさばいた血かも」「いや、魚からそんな多くの血は出ない」とバカ話をしていたが、魚は3尾分かも5尾分かもしれない。しかも、犯行現場で大量出血があった人体を移動するときは、ビニール袋などに入れるのが普通。だから、海に持っていったとしても、血痕が残らないのが普通。この連中は、港で人をさばいたとでも思っているのか? また、弁護士は「犯人は必ず指紋を残したはずだから、指紋を調べる捜査方法もある」という意味の発言。なんで? ビニール手袋をすれば指紋は出ないし、警察が指紋を探さないはずもないから、なぜ、こんな恥ずかしいことをいうのか意味不明。指紋が採取された人物の中に必ず犯人がいると遠回しに言いたいならば、ブログ炎上の某女優と五十歩百歩の発言。テレビのやっていることは秋田の幼児殺人事件のときと同じで、本当に馬鹿バカしい。視聴者は元刑事とか弁護士とかいう肩書きに騙されないように。言っていることはド素人そのものなので
●3時、川崎の「ART KAWASAKI 2007」へ。吉本義人がトーク。6時半から徳田ガンの舞踏。その後、飲み会。吉本蓉子や林武も来ます。こんな問題があったのか。藤森隆も吉本も苦労するね

11-23
●終日、雑用
●昼、家人らと散歩と買い物。ラムラのぼてぢゅうで昼食。街で文悠女将、伊藤勲奥さん、加藤ゆうじ(娘の同級生)と遭遇

11-22
●3時45分、浜松町の文化放送。田原総一朗のラジオ収録に付き合った後(収録前に時間を取るような話だったが)、単行本2冊の打ち合わせ。アスコム高橋克佳、小林英史と。その後、小林と軽くビールを飲みつつ企画の詰め。秋葉原で年末年始用DVD-Rを100枚買って7時帰宅。パッケージ汚れ(破けをセロハンテープで補修)とかで、ビクター製の5ミリケース入り20枚パックが1000円。日立マクセル製は10枚400円以下。安い!
●昨夜、オリンピック日本代表が北京行きを決めた試合を見たが、いやはやどうも。ホームであれかい。2〜3点入れておかしくない試合だ。頼むから、とにかくシュートを打ってくれ! 枠内に蹴れ! (打ちやすいボールでなく)いきなり足許にきたボールを枠内に蹴り込む練習をやれ! 以下、放懇編集部サッカー担当・久野明からきたメールを無断転載
●まあ、所詮オリンピック世代のサッカーですから。あんな程度でしょ。といっても、世界ではU−22といったら、立派なスター選手がゴロゴロいますが。
 だれが監督しても日本の決定力不足は直りそうにありません。日本の指導では、フォワードでも、フリーな味方がいたらパスを選択することが美徳ですから。
 フォワードは、そんなの関係なくシュートを打って、はずしたとしても、「味方のポジションが悪いからパスもできない、俺は悪くない」ってぐらいのエゴの塊のような悪いやつでないと。そんな選手を育てる指導者はいないでしょう。教育の一環だから、気配りのできる良い子しか求めない。で、日本では気の利いたパスは出せるが、自分で勝負しない選手が多くなるんでしょうね。
●某女優が自分のブログの11月19日付記事で、香川県の祖母・孫二人行方不明事件につき「あれは絶対■■の仕業だよ!」「あんだけテレビで証言してるけど、実は犯人でしたって捕まるのが見たい!」(■■は家族の一人を指す言葉)と書いて炎上、芸能活動1年間休止になったと。不特定多数が読むブログやホームページは、全世界や日本社会や世間様や他人様にものをいうのと一緒であって、家族や友だちと話しているんじゃないのだ、家の中では素っ裸でもパンツ一丁でもいいが一歩外に出たらそれではダメなのだ──ブログやホームページは、そのことをわかっている者だけが書くべきものです

11-21
●3時、アスコムで打ち合わせ
●アジアプレスより放懇経由で「長井さん殺害事件を振り返り総括・検証する公開学習会」のお知らせが来ました。興味がある方はどうぞ。◆大阪:11月27日(火)19:00〜@アジアプレス大阪事務所(06-6373-2444)◆東京:11月29日(木)19:00〜@代々木八幡区民会館(03-3466-3239)◆各会場で500円〜1000円程度の資料代が必要◆主催:アジアプレス・ネットワーク
 長井さんがビルマで殺害されて2ヵ月が経とうとしています。生前の長井さんを知っていた者も、知らない者も、デモを取材中のジャーナリストが射殺されるという惨劇を、映像によって目の当たりした衝撃は、いまだ胸に強い痛みとして残っています。ビルマ軍政に対する強い憤りを持続させることはもちろん必要ですが、私たち報道に携わる者は、なぜ長井さんは死ななければならなかったのか。あの事件は回避することができなかったのかを考えなければなりません。長井さんの悲しい死に涙するだけでなく、しっかり総括・検証して、日本の(世界の)ジャーナリズムの「遺産」とすることが必要だと考えます。アジアプレスでは、以下のとおり長井さん事件を改めて考える学習討論会を開くことにしました。
 多くの方のご参加をお待ちしています。どなたでもご参加できます。とりわけ危険地帯取材に関わる記者、編集者、プロデューサーなどジャーナリストの皆さんの参加をお待ちしています。
 学習会の内容は大まかに次のようなものを考えています。討論の流れと時間によって、多少の変動があるかもしれません。(1)銃撃は回避できなかったか? 安全問題を考える(入国から事件までの長井さんの行動を振り返る。/長井さんは危険を回避できなかったか?/危険地帯取材のあり方について、イラク、アフガン、パレスチナ、北朝鮮などを例に/残された者、救援者の苦悩/あらためて考える紛争地取材での安全問題)(2)メディアとフリーと危険地帯取材、そしてジャーナリズム(危険地帯に行かないメディアとフリーの関係/危険にさらされる現地人通信員)(3)ビルマの現状について
●この問題に関連して、アジアプレス代表の野中章弘が『朝日総研リポート AIR21』2007年11月号に「緊急リポート 映像ジャーナリストの現状 長井健司さんの死を受けて」を書いています。フリーランスに仕事を発注したことがあるすべての放送局、新聞社、雑誌・出版社のトップや現場責任者が必ず読んでおくべきリポートであると私は思います。ジャーナリズムを目指す学生諸君も必ずお読みなさい
●なお、アジアプレスの石丸次郎は2008年1月16日の琵琶湖塾にゲスト講師として登場します

11-20
●終日、片付けなど雑用
●10-30当欄で前防衛省事務次官・守屋武昌と同期入省組の元官房審議官・太田述正《のぶまさ》を登場させた東京新聞特報欄を誉めましたが、その太田が財務大臣・額賀福志郎の口利きを暴露。額賀側は否定していますが、暴露話が具体的だから、まるで説得力がない。自殺大臣や絆創膏大臣のように、ただ否認を繰り返したり沈黙するだけでは、もう誰も信用してくれない。この大臣はもう、もたないように思います

11-19
●GALAC、ギャラクシー賞報道活動部門ページのコラムほか原稿書き。夕方、高田馬場で買い物(DVDや本)
●17日未明サブプライムローン問題の原稿を書き上げましたが、ヒドいというか、お粗末というか、バカみたいな話(1000万円で壺を買わされたとか、出資金を集めては高い利子だけ払って破滅するネズミ講に騙されたというのと、ほとんど変わらないバカ話)。アメリカは「金融イノベーション」とかいって、焦げ付き必至の債権を組み込んだ金融商品(住宅ローン担保証券=RMBS、債務担保証券=CDOなどとと呼ばれる)を全世界に売りつけたと。本来ならば全世界がアメリカを「世界に害毒を振りまいた。反省しろ!」と怒っていい話と思いますが、この世界は自己責任。みんなオイシイ儲け話に一枚かもうとしたわけだから文句は出ない
●しかし、別にカネ儲けのつもりなどなく、ただ必要だから銀行を利用しているとか、最低限の保険(生保や損保)に加入しているだけとか、親が持っていた何十万円かの株式をそのまま相続しただけという庶民も、取引先の銀行・生損保・証券が大損こいた煽《あお》りを必ず受けてしまう。おバカなシステムに自然、組み込まれてしまっているわけです。しかも、それら金融機関は過去に税金(公的資金)を入れて立て直したもので、会社はこのところ過去最高益だがロクに税金を払っておらず、社員は高給というのは、フツーにおかしい。普通におかしいことを、なぜメディアはおかしいと書かないか?

11-18
●17日夜の件。ギャハハハ、講談師・神田京子と結婚した詩人・桑原滝弥てのは、「ひとびとよ 全世界のひとびとよ かるがるしく詩人となのりなさい」なんかいって、実にヘンなヤツですねえ(なかなかのキャラにて、テレビ関係者は要注目!)。いきなり暗がりのなかから出てきて、花火焼きの詩その他を朗読パフォーマンス。京子の講談は「南部坂雪の別れ」(赤穂義士伝より。連判状の件《くだり》に持っていくのに大はしょりでやったら、吉良方の間者をいきなり柱に縛りつけちまった)に「英語版Taro URASHIMA」。その後、桑原は羽織袴、京子はウエディングドレスで登場し、「お前」「あなた」と絶叫したりつぶやいたり。二人の出会いから今日に至るメールのやりとりや詩、エピソード(谷川俊太郎のところに挨拶にいったら京子が「それでいいのか」と一言だけいわれた、とか)を、互いに相手のものを読んで紹介。で、早くも本日、「離婚宣言!」。なんじゃそりゃと思っていると、ブルーとレッドの「ケッコン仮面」に変身して、ひとしきりパフォーマンス。観客のパワーももらって結局、二人は仮面を脱ぎ捨て、やっぱりホントの夫婦だと。また「お前」「あなた」とじゃれつくうち、京子が「お前」、桑原が「あなた」と呼び始め、ついに桑原が京子の胸に飛び込んで抱かれる(ホントに、男が女をベッドに連れていくように抱かれる。女が男をだけど。なにしろ桑原のほうが頭一つ小柄なので)。最後に、今日の連判状が届いたと芳名録全員の名を読み上げ、二人で瑤泉院《ようぜいいん》のように畳ならぬ舞台に三つ指つき、深々とお辞儀しておしまい。まさに「狂っている 正しく狂っている この日」でした。おめでとう! 頑張ってガンガン馬鹿やってください
●どうでもいいけど、忠臣蔵に出てくる南部坂は、有栖川公園脇の南部坂(広尾駅方面からナショナル麻布スーパーマーケット前を通って上る坂)ではないです。谷町(六本木2丁目)のV字のところで六本木通りを赤坂アークヒルズの反対側に渡り、久国神社を正面に見て右折。その先で左に上る坂が、忠臣蔵の南部坂(米大使館宿舎の脇)。討ち入り直前、大石内蔵助が四十七士の連判状を手に瑤泉院(浅野内匠頭《たくみのかみ》の未亡人)を訪ねたが、間者(スパイね)の存在を察知し仇討ちの意志などないといって歌日記を残し、これが実は連判状とわかって瑤泉院が深々と頭を垂れる雪の別れは、史実ではないそう
●日大マス演OGは、玲子、愛、千穂、珠子がいて、私も一枚かんで花とシャンパンでお祝い。後で彼女らから聞くと、いまや作家であり漫画家である鈴木ともこも会場にいたそう。彼女もおもしろいことをズケズケいう子だった。玲子は休憩中に家に電話したら、娘が転んで泣いているとかで、そのまま帰宅。終演後、愛、千穂、珠子と4人、すし好でミニ宴会。日大4年生のとき会った連中が、いまやライター、編集者、テレビ編成として活躍中で、「二十代の男の子を叱ったら、会社に出てこなくなった。何なんだ!」とか怒っているのがおもしろい。0時すぎ帰宅
●なお、詩人・桑原滝弥と講談師・神田京子については、『週刊新潮』11月22日号の「結婚」欄に1ページ記事あり。写真付き

11-17
おめでとう! 詩人・桑原滝弥☆講談師・神田京子 結婚披露特別ライブ♪ケッコン(仮)面@築地ブディストホール(東京)◆東京以外の日程と場所:11月22日(木)@TOKUZO(名古屋)、11月24日(土)@Common Cafe (大阪)◆時刻:開場18時30分/開演19時30分 料金:前売3500円/当日4000円 出演:詩人・桑原滝弥&講談師・神田京子◆名古屋・大阪公演は飲食代が別途必要◆問い合わせ先 東京公演:パブリックスペースエンターティメント public_space_entertainment@yahoo.co.jp 名古屋公演:TOKUZO info@tokuzo.com ※チケットぴあでも同時発売 大阪公演:オレペコ企画 orepeko@nyc.odn.ne.jp
●その後、日大OGたちと飲み。いまのところ玲子、愛、千穂、由貴が来るほか、長野の山の中から遠路はるばる珠子も出て来るかも(由貴は飲みのみ参加、恵は「家庭の事情」で欠席)
田中康夫が明日18日(日)、7時半〜フジ系列「報道2001」に民主党の小沢一郎代表と、10時〜テレ朝系列「サンデープロジェクト」に各党参議院議員と、出演するそうです。田中康夫は「利権の分配に与《あずか》る議員の集団である自民党は、理念はバラバラでも分配率を決める唯一点でバラけない。理念だけで集まる議員の集団である民主党は、バラけやすく見える」という意味のことをテレビで語っていたが、まったくその通りです。防衛省の腐敗を見ても、その利権の分配構造を壊すのが、相変わらず日本の課題だと思います。田中康夫のメッセージはここで読めます。「実はここにも」天下り先が誕生している総務省では、地上デジタル放送に触れています。ただ「強かな官僚体質」は、多くの読者が読めないのでは? 「《したた》か」とルビを振ったほうがよいような
●昨日『週刊新潮』について書いたついでに、巻末グラビア手前の高山正之「変見自在」がおもしろい。高山は《「斯界の権威という青山学院大教授(当時)、清水英夫の著作も読んだ。文中に毎日新聞のドイツ特派員のコラムが引用されていた。(中略)教授が有難がって使った大本の特派員コラムは一読してインチキと分かる》と書く。この本は仕事場のどこかにあると思うが、ちょっと見つからなかった。高山のいうのは、特派員は自分の担当国の人や文物をなにかと尊敬したがり、ネタがないときは自分の思いをその国の人物に仮託して書く習性があって、「知り合いの外人が」という書き出しはその常套句だと。もう一つ例を挙げて《「訪日した外国人に、以前尋ねられたことがある。並んで頭を下げる姿を毎日テレビで見るが、何かの儀式なのか、と」 これは朝日新聞の天声人語の書き出しだ。一読してこれも嘘と分かる》ともいう
●ま、私なら「とても嘘くさい」とは書いても、「嘘」とは書かないと思いますけれどもね。というのは、天声人語子が「いや、この外国人は誰某で、ホントにそんな趣旨のことを言った。本人に問い合わせてみれば」と反論する余地があるので(その外国人と後から口裏を合わせていたとしても、その証拠は出ないだろうから)。日本を代表する全国紙の一つの編集委員クラスに質問するほどの外国人なら英語くらい理解でき、新聞やテレビを通じて日本のことをある程度わかっているはずで、日本人のお辞儀という慣習も知っており、毎日テレビを見たなら英語音声で聞くだろうから、不祥事を起こした企業の社長が謝罪しているとわかるはず(だから「儀式か?」なんて聞くはずない)というのは、その通りですが
●で、みんなテレビには嘘や、いわゆる「やらせ」が多いと感じていると思いますが、私にいわせれば、この種の嘘や作り話は、新聞や雑誌など、活字のほうがはるかに多い(バレてないだけ)。少なくとも、活字のほうが嘘や作り話は簡単です。というのは、テレビで嘘や作り話を流そうとすると(もちろんドラマは嘘でよいので、ここでいうのはドキュメンタリーやニュースについて)、複数の人が嘘や作り話であると了解しなければならないから。たとえば、ディレクター、カメラマン、音声・ビデオエンジニア、照明担当など、少なくとも3〜4人は嘘とわかっている。当然、その嘘はバレやすい。活字は、筆者1人が嘘・作り話であることを隠すだけで、嘘・作り話が流通してしまう。昔、朝日新聞は伊藤律(地下潜行中の共産党幹部)の架空会見記を大々的に掲載したことがある(1950年9月)が、あれはテレビでは不可能です。これはテレビの強みだと私は考えています。ただ、テレビは映し出すもの(空間的にも時間的にも現実のごくごく一部分だけを切り取ったもの)のリアリティを、映さないものと比べてものすごく過大なものに感じさせる。これはテレビの強みであると同時に弱みです。テレビのカメラマンは、タバコの箱くらいの大きさの窓から世界を見ているにすぎないことを、忘れてはならない。どうでもいいけど、昔スチール・カメラマンに「一眼レフで撮っているお前は、決定的瞬間をつねに見ていない!」と難癖をつけた人があった

11-16
●日大授業。メールを寄こした者にはパスワードを送信済み。まだの者は急げ! 終了後、上滝徹也、兼高聖雄と打ち合わせ
●『週刊新潮』に田原総一朗の北朝鮮訪問をクサす記事。ま、編集部に知り合いもいることだし、これはこれで別に文句もないが、出てくるコメントに匿名が多いのがちょっと。というのは、外務省関係者が出てくるが、田原が会っているのは総合外交政策局長やアジア大洋州局長といったクラスなので。自民党関係者も出てくるが、この件で田原が会っているのは自民党総裁・首相の福田康夫なのでね(渡邊恒雄が「新聞の『首相動静』欄に載らずに首相と会える」というのは、そのとおり)。それより小者が匿名で何かいってもしょうがない。それに宋日昊(=ソン・イルホ。北朝鮮の日朝国交正常化交渉担当大使)とはカメラなしで6時間半か7時間近く会っている
●あと、田原総一朗は何でもかんでも怒鳴りつけているわけでもない。いつか森喜朗がある民放キャスターに対して「無礼なことを言うな」というように怒ったそうですが、田原に対して森がそういわないのは、テレビに映らない、はるかに長時間の付き合いがあり、信頼関係があるから。これは15日夜、滋賀県大の学生たちに「みんな、この人、いつもほかの人の話を遮って、『ダメだそんなの』とか怒鳴っていると思うでしょ。この人はテレビディレクターだから、自分に演技をつけているところがある。いつか二人でタクシーに乗って話していたら、運転手さんが振り返って、『田原さんですよね。テレビに出ている、あの田原さんでしょ。田原さんて優しいんですね』と言ったよ」と話したとおり。田原は、小泉とも安倍ともそういう付き合いはあり、しかも、民主党、新党日本、社民党、共産党、さらに右翼や新左翼との付き合いがある。だから、このオッサンはヘンテコで、おもしろいわけです。意見が合わないところも多々あるが、私が付き合っているのはそんな理由
●で、話は飛びますが、私は2008年中の日朝首脳会談もありうると思います。福田は2度目の小泉北朝鮮訪問のとき、実は自分が行きたかったはず。ああいう国だから、事を進めるには、トップ同士がさしで会うしかないのでは。一気に解決に持ち込めば、総選挙を戦えると思うかもしれない。民主党は、そこまで想定しておいたほうがいい(以上は坂本私見。田原の意見は一切入っていません)

11-15
●昨14日は、田原は西明石から、姜尚中は予定を早めて彦根城など散策後に現地入りとのことで、私がいちばん遅れて到着。控え室では滋賀県立大学学長・曽我直弘、同大学理事(地域貢献・渉外担当)田邉俊夫も交えて懇談中。19時から、まず姜が40分ほど講演。熊本生まれの在日コリアン二世にとっての国家と御国(邦、くに)について、1971年の初訪韓について、パク政権(朴正煕=パク・チョンヒ大統領。74年8月15日、在日韓国人・文世光に狙撃され夫人が死亡。79年10月26日、側近の金載圭KCIA部長によって射殺され死亡)に近かった叔父の話、映画『ユゴ』(有故。原題『その時、その人々』)の話、73年8月8日の金大中(キム・デジュン)事件、自らの20代と重なる激動の1970年代について、などなど。「70年代は自分にとって疾風怒濤、まさにシュトゥルム・ウント・ドランク(Sturm und Drang=嵐と衝撃)の時代で、その10年が自分のコア。私は70年代の申し子で、最近ますますそのことを悟るようになった。70年代との対話をしながら、21世紀の日韓・東アジア問題を考えている」と
●その後、姜、田原、坂本が壇上で鼎談。ちょっと姜の講演が難しく、とくに時代背景を知らない学生たちにはわかりにくいと思って、最初二つ三つ会場から質問を受けようと考えたが、いまいち手が上がらず。なので舞台上で進めたが、「なぜ金大中は、自分の大統領時代に何もいわず、最近になって金大中事件についての日本政府の対応を批判したのか」につきゴチャゴチャ些細なやり取りになっていったので、北朝鮮問題に移行。これは田原総一朗が最近の訪朝話などを披露し、まずまずわかりやすかった。姜は宿泊せず、そのまま帰京。帰り際に握手したら、姜尚中は、私がこれまで生きてきた49年間に握手した人の中で、間違いなくもっとも強く手を握った人物です。ホント、「ええっ!?」とビックリするくらい強い力で握ってましたねえ
●車座は、県大学生が田原を囲んで質問をぶつける。世話役学生としては恋愛話あり就職の悩みありの展開にしたかったらしいが、ジャーナリズムについて、新聞やテレビの見方についての質問が多く、田原の隣で私もあれこれ発言。「テレビは、作り手や話し手が伝えようと思っていない雑多な情報、ノイズまで伝える。それが強みであり弱み」とか、「テレビは、視聴者が客なので、客の悪口は一切いわず、批判もしない。そこを間違えないように。ベビーカーが電車のドアに挟まれたら、いちばん悪いのは、車掌や駅員ではなく、駆け込み乗車しようとした母親に決まっている。いじめ問題でも、なぜ気づかなかったかと校長を詰問するが、親には聞かない。家族数人で一緒に暮らしている親が気づかないことを、生徒を何百人も見なけりゃならない校長が気づくはずないだろう」とか。最後に記念撮影して終了。10時半、田原とホテル着。フロントに届いていた『オフレコ!5号』表紙・グラビアのカラー校正刷りをざっとチェックし、編集部に連絡。その後、部屋に届いた弁当で夕食
●15日は、9時29分米原発の新幹線で帰京(琵琶湖塾で取ってくれた切符では間に合わず、時間を早めたら、指定が満席で自腹にてグリーンに乗るハメに)。12時すぎ目黒のスタジオ入り。『GALAC』表紙・グラビアで亀梨和也の取材。亀梨は、とても人なつっこくサービス精神が旺盛で、しかもマジメな男。あれならみんなに好かれるはずです。ジャニー喜多川が「ユー、やっちゃいなよ」と何につけても背中を押してくれる、クルマのカタログを見てたら「ユー、買っちゃいなよ。高いの買って払えなかったら、靴磨きでも何でもやって返せばいいじゃない」と言った、なんて話がおもしろい。3時すぎ、中島好登と昼食@香港園

11-14
●本日、公開琵琶湖塾@彦根(滋賀県立大学「交流センター」)。田原総一朗と。15時すぎの新幹線。19時〜、ゲスト講師は姜尚中(かん・さんじゅん 東京大学情報学環教授)。姜はそのまま帰京するが、引き続き車座集会。彦根プリンス泊予定
●本日午後開催の第6回長野県本人確認情報保護審議会は、誠に残念ながら欠席です。長野県のみなさま、委員各位、申し訳ありません。昨日「欠席のお詫びと意見」と題した書面を提出済みで、これを審議会で配布していただく(できれば議事録末尾で紹介してもらう)段取りになっています
●『オフレコ!5号』はアスコムから11月末に発売です。キャッチは「一冊まるごと宗教! 一億総ウツ時代の生き方、死に方」。大特集に登場するのは五木寛之、瀬戸内寂聴、堀澤祖門(天台宗大僧正・叡山学院院長)、鎌田實(長野諏訪中央病院名誉院長)、高橋卓志(神宮寺住職)、佐藤優、上田紀行町田宗鳳鎌田東二、川田洋一、斉藤克司(以上二人とも創価学会副会長)、アルポムッレ・スマナサーラ(スリランカ上座仏教長老)、ボーズ・ビー・アンビシャス(坊主よ大志を抱け!)の若手僧侶たちほか。ここだけの話、田原総一朗は創価学会副会長たちに「池田大作さんが亡くなったらどうする?」なんて聞いておりますよ
●恒例の「オフレコ!匿名座談会」(田原の小沢論付き)、「ワシントン発匿名座談会」もますます好調。防衛省高官逮捕(秒読み開始の段階)、アメリカによる北朝鮮「テロ指定国家」解除(ほぼ年内が確実。アメリカは、拉致問題は「テロ指定とはあまり関係ない」と公式に言い出している)の先の話をしています。ご期待ください!!

11-13
●午前中、放懇関係の資料づくり。午後、長野県本人確認情報保護審議会関係の資料づくり。6時半、グランドデザイン小委員会@放懇となり成田屋(事務所が他の会議で使えないため)。石井彰、市村元、入江たのし、岩本太郎、小田桐誠、音好宏、深川章、坂本衛、事務局から中島好登。終了後、石井彰と久しぶりに東順永。紹興酒に腸詰め、胡瓜もみ、ザーサイ。メニューが写真付きで新しくなっていた。事務所で委員会を終えた橋本隆・ラジオ部門委員長以下委員の面々も別のテーブルで宴会。その後、小田桐・中島も合流し11時前まで飲む。石井は「で、GALACはいつ誌面刷新するの? なんとしても成仏させなくちゃ」と挑発
●安部晋三は、戦前の日本にもいいところがあったと言っていたが、確かにそうです。たとえば明治時代の官僚は、現在の防衛官僚よりは、よほど清く正しく美しい。「明治の官吏服務規律に書いてあることだが、家族の商業従事の禁止、浪費や分不相応の負債の禁止など、官僚は厳格な倫理規制を受け、清貧に甘んじて国家のために義務を遂行するという伝統があった。これを「吏道」《りどう》と呼ぶそうで、(清廉に役所勤めをした場合は)辞めるとき、あまり大きな家には住んでいないし、財産も少ない」(当サイト「21世紀に郵政天下りなど通用しない!!――放送局のみなさん、いいかげんにやめません?」から)。部下にカネを預けて投資させ、マイナス分は補填させる。そんなバカが防衛省27万人の官僚・自衛官でいちばん偉かったとは。戦前ならば、こんなもんイチコロでブチ殺されています。二・二六の青年将校だって、東北の貧しい農家のことを真剣に心配していた。まさに「ああ人栄え国亡ぶ 盲たる民世に躍る」です

11-12
●午後3時、『オフレコ!5号』朱入れ戻し。7時前、最終作業@アスコム。みないっぱいイッパイらしく、お茶の一杯すら出ず。11時すぎに帰宅し夕食

11-11
●ゲラチェックなど。2時すぎ家人と神楽坂方面、飯田橋ラムラまで散歩と買い物。神楽坂ではボーイスカウトがバザーをやっていて、喜多山夫妻、浜野夫妻、井上マリ、油井さんはじめおっかない、じゃなかったキレイなおっ母さんたちが、焼きそばだの杏仁豆腐だの盆暮れの贈答品だのを売っていた。神楽坂下・志満金上のイタリア食堂で昼食。帰り道、バンドに出かけるタカオ(ジェンヌの息子)と遭遇。「ボーイスカウト出ないんかい?」「いや、ああいうのはちょっと」とかなんとか

11-10
●終日、『オフレコ!5号』のゲラ読み
●小林道雄から電話あり、40分ほど長話。今日ただいまの日本国の懸案は、インド洋上給油なんかではなく、現実に「1000万世帯」規模でいくつと数える低所得層をどうするかだ、で意見一致。2006年に年収200万円以下の労働者が1000万人を越えた。世帯数でもほぼ1000万が年収200万円以下で、その人口は2000万人近い。彼ら(二人として)の国民年金・健康保険は年50万円規模で、差っ引けば残り150万円。家賃と食費でパーであり、旅行にも行けず入院もできない(普通は国民年金を払わない。暮らしていけないんだから当たり前!)。年収368万円以下の世帯が2000万(人口では3000〜4000万人)もあるが、日大の授業料は年100万円以上だから、3分の1以上の家で子どもを大学にやれない! 日大でこの話をして「どこが世界第2位の経済大国だ、ふざけんな!」と言ったら、学生どもは絶句した。先月、竹中平蔵に「これどうする?」と聞いたら、「日本は貧困調査をちゃんとやってない、やるべきだ」と言っていた。民主党が政権を取る早道は、大連立なんかではない。年収400〜500万円以下の世帯の有権者に投票してもらうこと、これに尽きる。そのために必要なのは、バラマキ政策ではない
●夕方6時すぎ、石橋さや夏から突然「いま、神楽坂駅前にいるんだけど」と電話。ええっ!? 芝居を見に来るからお茶しようって言ってたのは11日じゃなかったっけと思いつつ、慌てて出かけてお茶にサンドイッチ。石橋は今出ているGALAC12月号で、岩本太郎によれば読み応え十分の「巨大化した"お笑い市場"のゆくえ」なる特集の"編集長"を務めた。お笑いに興味がある方はぜひご一読を。頑張りすぎフヌケ状態でいるのを見透すように、久野明が「次の原稿は?」と催促メール攻撃をしているって噂
●芝居小屋の前で石橋さや夏と別れ、7時すぎ、もつ焼き「加賀屋」で娘と夕食。隣の席にカッチャン、もー吉の女将がいて、やがて安部俊彦の娘も登場。こっちは津久戸小PTA会長、むこうは市谷小PTA会長だったので、運動会などで行き来があり、小学生のときから知っている。というか、うちの長男とは赤ん坊のときから白銀公園仲間。それが来年は就職とか。こっちが年取るわけだ。帰宅後、石橋からの「矢来町降臨」メールを調べたら10日で合っていた。失礼! ゴメン!

11-09
●10時40分〜日大授業。一部出稿が遅れており、今晩から明日未明にかけて予定していた『オフレコ!5』作業@アスコムは月曜に。日大のあと、午後2〜4時、放懇で打ち合わせ
●田原総一朗監督『あらかじめ失われた恋人たちよ』は、11月中にあと4回上映があります。本人も15年ぶりくらいに見たと言っていたけど、なかなかスクリーンで見るチャンスはないと思うので、興味のある人はぜひお出かけを。「あのおっさん、こんなことやってたのか」と、たぶん驚くんじゃないかな。上映スケジュールは11月14日(水)11時半〜、18日(日)14時〜、22日(木)16時30分〜、27日(火)19時〜。シネマート六本木
●夜『オフレコ!5号』の校正刷りが、グラビアや各論考の扉を除き届く。月曜朝までにチェック

11-08
●午後3時までに、『オフレコ!5』レポート2p、巻頭言3p、奥付原稿などを入稿。あと9〜10日、アスコムで徹夜して校了予定
●7時、田原総一朗監督『あらかじめ失われた恋人たちよ』上映と舞台挨拶・トークショー@シネマート六本木に顔出し。当サイト読者であるらしい田原敦子(テレ朝『世界の車窓から』、『徹子の部屋』P。初めて会ったのは高校生のときで、今二十歳のうちの長男が生まれたとき病院に来てくれて抱っこなんかしてた。いまはオバサン、いや双子の母。その孫についての田原エッセイが東京新聞に週1かなんかで載る)も付き添いで来ていた。田原にさっき書き上げた原稿を渡しチェックを頼む
●この映画は、ATG1971年作品。脚本・清水邦夫。ご存じ桃井かおりがすっぽんぽんで出てくるデビュー作で、他に出演は石橋蓮司、加納典明、緑魔子、カルメン・マキ、蟹江敬三など。蜷川幸雄が機動隊隊長役で出てくるんだけど、アップがない。撮影段階ではあったのを、清水が「あんなヘボ役者のアップなんていらねえ」といって、結局カットになった由
●田原総一朗が上映前の挨拶でいったのは、「この映画にはセックスシーンがいっぱいあるんだけど、撮影前、宿の部屋に桃井かおりさんが『私はキスの経験もない。どうやったらいいんですか?』と聞きに来た。僕はテレちゃって『大丈夫、なんとかなるから』とかなんとか応えた。後で大島渚にこの話をしたら、『バカ者! 何を考えてんだ! そういうとき監督は、懇切丁寧に教えてやんなくちゃいかん』と怒られた」。それから「若い人のために時代背景をちょっといえば、1971年は、69年の東大安田講堂陥落をピークに全共闘運動が、過激になると同時に見放され、混迷を深めていった時代。よど号とか連合赤軍とか内ゲバとかね。盛んに演説し、世の中をアジっていた全共闘の饒舌さ、言葉の軽薄さ──これが全共闘崩れの石橋蓮司。それに聾唖者の桃井かおり・加納典明を対比させ、沈黙することの意味を象徴的に描くという狙いがありました」と
●上映後のトークセッションでは、こんな話。◆題名は?「リルケの詩の一節で、清水邦夫がつけた。こんな長い題名の映画は絶対に受けないといわれたが、その通りだった」◆桃井さんキャスティングの理由は?「オーディションに来た女の子の付き添いで来ていた。まず、顔や雰囲気がよかった。それから、彼女はイギリスに留学してバレーをやっていたので、身のこなし」◆ドキュメンタリー作家がなぜ映画?「テレビはタダ。観客がわざわざカネを払って見るというものを作ってみたかった。これはドキュメンタリーも同じだが、おもしろくなければダメだと、つねに思っている」◆テレビとの違いは?「テレビは民主主義。映画は監督による独裁。僕はなかなか独裁者になれず、とまどい、苦労した。曖昧なことをいうと、スタッフに怒られちゃうか、バカにされちゃう。『駅の看板裏の乱闘シーンに女の子を集めてくれ』『何人ですか』『12、13人かな』『そんなあいまいなことじゃ困る。どっちかハッキリさせてくれ』とかね。石橋蓮司が波打ち際を歩くシーンで上半身裸にネクタイだけさせたかったので、『ネクタイ買ってきてくれ』『どんな?』『水玉かな』『色は?』(モノクロ映画なんだからどうでもいいやと思って)『赤でも青でも』『そんないい加減なことじゃダメです』と、結局買ってきてくれなかった。だから映画監督はムチャクチャなことを言ってればいいの。篠田正浩みたいに。矛盾してても意味不明でも、断固として『こうだ!』って言わないと」◆しゃべりまくっている石橋さん、アドリブは?「日本人の……という看板を右から読むシーンだけ。あれ以外はすべて台本通りです」◆石橋はじめ個性的な俳優たちをどうコントロール?「『実存だ!』といえばいい。当時は何でもかんでも実存なの。便利な言葉で『不条理』ってことだから、何にでも使えた。ここで脱ぐのが実存だ、とか」◆外国映画の影響は?「ゴダールとかアラン・レネとかヌーベルバーグ映画には大きな影響を受けたと自覚している。カメラでペンのようにスケッチする、エイゼンシュテインのモンタージュ論、映画の文法を壊すと。もう一つは『イージーライダー』。南部に行って殺されてしまう若者たちの行き場のなさ。あれを北陸に持っていった」
●深夜、田原から電話があって私がいった感想は、「おもしろかったですよ。全共闘のカリカチュア(戯画、諷刺画)として。ちょっと見直したね、田原総一朗を。それと桃井かおりが、これはものすごくいい。鮮烈で斬新」「いいね、桃井かおり」「若い人にはどうでしょうね。石橋蓮司の演説も、私など遅れてきた全共闘世代には聞いててわかるけど」「うん、ほとんどわかんないかもしれない」「最後のほう、砂浜に蜷川機動隊が迫撃弾か何か打ち込みますね。ところがドカンドカンと音だけすごいんだけど、上がる煙が何ともしょぼいですねえ〜。田原さんとATGで600万円ずつ出したといってたけど、ホント予算がなかったんですね」「ああ、そうだ。しょぼいね」「あのしょぼさにはちょっと驚いたけど、よかったですよ。そうそう、会場の質問が途切れたら聞こうと思っていたのは、『田原さん、もう映画つくらないんですか?』って質問」とかなんとか

11-07
●なに、これ? 自民・伊吹幹事長、ラジオ番組でどんな「息吹」? あのね、この番組は、これまでの自民党の主張(たとえば安倍晋三、舛添要一その他)を受け入れるならば(注:私は受け入れない)、明らかに政治的に不公平な番組であり、放送法違反なわけです。朝日新聞もテレビ朝日も、この種の問題をめぐって、NHKや自民党とさんざんやり合ってきたわけ。その朝日新聞に、なんでこんな牧歌的な、寝た記事が載るんだ? 記事には「麻生太郎前幹事長のころに構想が浮上し、タイトルは『麻生太郎 ニッポンの底力』の予定だった」とある。これは露骨な麻生応援番組だから、これが問題ないなら、「自民党以外を応援しよう」といった椿貞良・元テレビ朝日取締役報道局長なんて全然問題ないわけ。椿は個別番組を作っておらず、そう口走っただけだから。でもクビになり、テレ朝の免許は条件付き更新になった。あるいは40年以上も昔から、田中角栄が出る『大蔵大臣アワー』はじめ、この種のことは問題視されている。──というようなことを、もう新聞記者は誰も知らないのか? 新聞記者なのに、その番組のスポンサーはどこだろうって、気にならないのかね?
●展覧会案内を二つ。◆吉本義人彫刻展東邦画廊◆2007年11月5日〜24日(11時〜7時、日祭休み)。もう一つは私のおっ母さん(坂本幸子)の話で恐縮ですが、◆日展◆国立新美術館◆11月2日〜12月9日(10時〜6時、毎週火曜休み)◆工芸美術の第1室にあるそうです
●昨日発売の『GALAC』2007年12月号に、ギャラクシー賞月間賞に入賞した二宮和也の記事が出ています。「演技力に対し、選奨委員から世代を超えて賞賛の声が集まり」(音好宏)、「若手俳優の中ではずぬけた存在感」「彼は『他者を理解する力』あるいは『他者に共感する力』が豊かなのだと思う。自己中心的で自意識過剰な人間には欠如している能力を、彼はもっているのだろう」「『自分を消す』ことに熱心なアイドルなんていままでいただろうか」(佐藤由子)など。ま、私は何年も前から若手随一と評価してますけどね。よかったね。ところで最近、誤植多すぎないか? 『青の炎』だよ、「青い炎」じゃない!!
●終日、原稿書き

11-06
●6時〜8時すぎ、田原総一朗と『オフレコ第5号』の最終打ち合わせ@ANA。今回の小沢一郎をどう考えるか聞き、必要なら2ページくらい新たに盛り込むかも。アスコム高橋克佳、小林英史と
●田原の小沢論は、座談会を30行削って入れるといった対応では収まらず、無理やり2ページひねり出してブチ込むことに。なので、ここでは詳しく書けませんが、まあ一言でいえば「『虎穴に入らずんば虎子を得ず』の小沢戦略が、民主党内では理解されなかった。その種の独断専行によるミスを、小沢は何度も繰り返しているんだけど、またそれが出た」と。詳しくは11月下旬『オフレコ第5号』をお読みください
●田原には北朝鮮訪問の話も聞いたが、これは、おもしろすぎて書けない。「この件で福田さんに会うの?」と聞いたら「テレビが先」だそうなので、次回サンプロをご覧ください。あと単行本の話を二つ三つ
●帰宅すると、小沢辞意撤回のニュース。やれやれ。「政治生命が終わった」はずが復帰の小沢一郎は、いわばゾンビ党首ですね。もっとも現首相・福田康夫の政治生命も、安倍政権成立の段階でみんな終わったと思っていたわけだから、似たようなもの。改めて「ゾンビ国会」スタートです
●押さえておくべきと思うことを三つだけ。◆民主党は「政治は生活である。」といい、自民党の新しいポスターは「暮らしに安心。」という。両者とも同じことをいい、しかも両者とも掲げたスローガンとは関係ない話で連立談義した。インド洋上給油なんてどうでもよい問題についての「アメリカの圧力」によって、日本が自公連立でいくか、自・民大連立でいくかという大騒動になる絶望的なアホらしさ。オバケによってゾンビが右往左往する馬鹿さ加減を、私たちは自覚すべきです。◆政治家が発する言葉の薄っぺらさ、嘘くささが、安倍晋三に続いて小沢一郎でも露呈した。政治家がキレる現象も、安倍・小沢ともに観察された。政治不信は、かつてないほど高まっている。安倍や小沢のやり方でいいんだと、子どもたちに説明できますかね。このマイナス効果は今後、ボディブローのように日本にきいてくると思う。◆「ぼくたちみんなダメなので、どうしてもあなたに導いてほしいのです」といって小沢一郎を党首に戴いた民主党は、時限爆弾を頭に載っけているようなものだと自覚すべき。「民主主義者」ではない小沢一郎は、健康問題もあって、いつ何をするかわからない。しかも、150億円資産隠しか 山田洋行元オーナー 回収機構と和解時(東京新聞)の記事でわかるように、防衛省スキャンダルは政治家を巻き込むかもしれない。自民党防衛族はじめ、野党大物と山田洋行のカネの問題すら、暴露される恐れがある。そのとき「やっぱり党首じゃなくて、特別顧問くらいにしときゃよかった」と思っても遅い

11-05
●夜7時半〜9時半、さくら通り法律事務所@四谷。とりあえず集合できる清水勉(弁護士)、関聡司(楽天社長室長。86年警察庁入庁。防衛庁、宮城県警などをへて2000年退職。ネットワンシステムズなどをへて現職。早大国際情報通信研究センター客員研究員)、坂本の3人で長野県本人確認情報保護審議会の打ち合わせ。雨のなか歩いて帰る。2キロ半ほど
●小沢一郎が4日午後、潤んだ目で記者会見をした背後のパネルに、民主党スローガン「政治とは生活である」が見えた。私は、これは正しいと思います。そして、「政治は生活」の立場にたてば、インド洋上給油なんてどうでもよいという以外の結論は出ない。各種世論調査でも、イラク戦争大事、テロとの戦いが重要なんて答えるのは完全に少数派。多数派から票をもらって政権奪取を目指す民主党が、このスローガンを掲げるのも当然。【この項の以下、午後3時前に追加】減税枠の撤廃、消費税納付事業者の売上高3000万円から1000万円への引き下げ(私のような個人事業主はいきなり30万円といった増税となるも同然!)など税金が上がり、ガソリン・灯油はじめ多くの物品が値上げされ、年所得206万円以下の世帯が1000万(同368万円以下の世帯が2000万、同557万円以下の世帯が3000万)世帯もいて、1世帯あたりの平均年収は1996年(661万円)から2005年(563万円)までで、実に100万円近くも減ってしまった(しかも6割の世帯が、平均年収以下で暮らしている)のが日本の現実です(厚生労働省「平成18年 国民生活基礎調査の概況」)。9年間で全世帯の平均収入が15%も減って、政権党が変わらないほうがおかしいでしょう? 失政の最たるものだと、私は思いますけれども。社長が9年間に社員の平均給料を15%も減らしたら、普通は辞めませんかね
●しかも海上給油は、現実として、国際政治上どうでもいい案件なのです。アメリカさえも「日本は無理するな」というメッセージを送り続けており、防衛省スキャンダルのせいにすれば来春まで待つし、日米同盟は断じて揺るがない。2008年には世界最新鋭の最強空母が母港・横須賀にやってくる。つねにアメリカと一緒に戦争しているように見えるイギリスすら、アメリカに空母の母港など提供していない。インド洋上給油の有無など、日米安保にとっては末梢的な問題です。『日本の戦争力』『日本の戦争力vs.中国、北朝鮮』(小川和久著・聞き手坂本)をちゃんと読んでもらいたい
●パキスタン駆逐艦は日本の高品質な油が必要? そんなのデタラメです。パキスタン軍事独裁政権はミャンマー以上の強権を発動し、野党指導者を軒並み拘束している。国際社会は援助差し止めなどの圧力を検討すべきであって、こんな政権の軍艦にタダで給油してやる必要などない。北朝鮮とミャンマーには援助しない、パキスタン軍には油をタダでくれてやるなんて国際貢献が、どこにある? アメリカのダブル・スタンダードに付き合う以外、意味はない
●独仏は、日本が給油しないと許してくれない? まさか。ドイツやフランスは米英のイラク開戦に反対した国ですよ(日本は世界最速で支持を表明)。日本が給油しないのはけしからんと、どの面下げていえるわけ? あとロシアと中国は、日本が給油しないほうが好都合。以上、日本国自衛隊がインド洋上給油を半年や1年サボっても、国際社会の大勢からは強い文句は出ない。「できれば給油してほしいんだけど」というのは当たり前(単純にカネをもらうのと一緒だから)
●問題は、安倍晋三にも福田康夫にも、そして小沢一郎にも、以上のような国際政治の視点が欠落していること。日米安保の本質を見ず、木を見て森を見ずに、ただ「アメリカに見放されるのが怖い」といっているようなもの。小沢一郎は、なぜアメリカに半年待たせて「政治は生活」路線で政権を取ろうとしないのか。朝テレビを見ていたら「福田首相は訪米で何をいわれるかわからない」とアメリカ恐怖論を煽る司会者がいたが、まったく始末に悪い。ちゃんとした分析なしに「海上給油の継続か否かが焦点」というのは、メディアの堕落です

11-04
●【この項11-04午後11時55分に追記】時事20:34配信記事「民主党の菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長、輿石東参院議員会長は4日午後、小沢一郎代表の辞表提出をめぐり党本部で対応を協議し、『民主党に勢いがあるのは、小沢代表がリードしているおかげだ。小沢氏が代表を辞しては、とても党として持たない』として慰留する方針を決めた」。どうすんだ、本当に辞任したら。代表代行、幹事長、参院議員会長が雁首そろえて「小沢なしでは、民主党は党として持たない」ことを請け合うんだな。じゃ、小沢一郎が病で倒れたら民主党はおしまいか。バカじゃないか、この連中は
●【この項11-04午後9時半に追記】夜9時前のニュースで、民主党幹事長の鳩山由起夫が「小沢代表を慰留する。辞められると党がもたない」という趣旨の発言。何なんだ? 政権奪取、ホントにヤル気あんのか? 慰留する気持ちがいくら強くても、政治家はこういうことをテレビで口にしてはならない。慰留できなかったとき「ふーん、民主党はもたないんだ」と思う国民が100万人単位で出るからです。民主党の幹部連中は、何でこうも「自分たちは、本当はダメな政党なんです」と言いたがるんですかね。んなこたあ、わかってるから黙ってろっての。これって本当に政治権力集団なのか? きょうび、生徒会長を選ぶ高校生だって、もっと言葉を選ぶんじゃないか?
●小沢一郎が辞任表明。福田康夫の大連立もちかけにも驚いたが、これはもっと驚いた。昨日当欄記事で「そんなにバカですかね、小沢一郎は」と書いたが、そんなにバカでした。私は民主党にほとんど期待していないが、現在の自民党政権を続けさせるよりはマシだから総選挙をやり、民主党に一度やらせてみれば(そのことで自民党も民主党もレベルアップする。それが日本のためである)という説。それには小沢一郎が(首相にはならないまでも)大きな役割を果たすだろうと見ていた。しかし、この男を買いかぶりすぎたようです。私が4年前に会ったとき、小沢は「政権交代、この一点で大同につく」と言っており、いいんじゃないの、それでと思っていたが、どう壊れたものか。「民主党内、絶対まとめる」大連立は小沢氏が持ちかけとの読売記事が間違いないなら、小沢一郎の行動は、国民の意思の軽視、国政選挙の結果の軽視であり、日本国民を完全にバカにした行為です。自民党に投票した人も、民主党に投票した人も、小沢に対してふざけんなと思うに決まっています
●【この項11-04午後9時半に追記。上記の読売記事につき】小沢一郎は4日の会見で、次のように発言。「私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけたとか、今回の連立構想について、小沢首謀説なるものが社会の公器を自称する新聞、テレビで公然と報道されている。いずれもまったくの事実無根。党首会談、および会談に至るまでの経緯、内容について、私自身も、そして私の秘書も、どの報道機関からも取材を受けたことはなく、取材の申し入れもない。」──小沢がこういうなら、私は小沢のほうを信じます。ただ、辞意表明をした時点で「小沢は終わった」という判断には変わりがない
●安倍晋三という人物も無責任だったが、小沢一郎もほとんど同じレベルですね。安倍も自爆したが、小沢も自爆したという印象。いや、自爆どころか、朝日記事によれば小沢は「民主党は、次の衆院選を考えた時、様々な面で力量が不足している。自民党もだめだが、民主党も政権担当能力あるのか、国民から疑問を提起されており、次の選挙も情勢はたいへん厳しい」と述べ、自爆の爆風で民主党を大きくよろめかせてしまった。民主党もロクなもんじゃないなんてことは、国民はわかっている。それでも「一生懸命やるから、まかせてくれ。こことあそこがダメなのは、改めるから」というのが、政権を狙う野党第一党の党首だろう。幕末の討幕派が「俺たちはさまざまな力量が不足している。政権担当能力があるか、疑念を持たれている」なんてグズグズいって、幕府を倒せると思うのか? 革命てのは、あいつら全部バカ野郎だ、まだ俺たちのほうがマシだと思ってやるもんじゃないのか? もう小沢一郎の政治生命もおしまいです。いやホント、がっかりしました

11-03
●11月2日、福田康夫(首相・自民党総裁)と小沢一郎(民主党代表)が会談し、福田は「大連立」を打診したが、小沢は役員会に諮ったうえで拒否すると決め、電話で回答した
●だから、当欄09-14、09-16、09-17で、福田政権は正統性がなく問題だと書いたでしょうが。政権に正統性がないから、法律が成立せず、国家的な意思決定ができないわけ。「ねじれ国会」というが、ねじれているのは参議院じゃない。衆議院の構成と国民の支持がねじれているのです(メディアは「ねじれ国会」と表現すべきではないとも、当欄で指摘済み)。ようするに、国家による迅速な意思決定を止めているのは、選挙で投票した国民です。ところが迅速な意思決定ができないのは問題だから、与党トップが「大連立しませんか」と野党第1党にもちかける。これは明らかに、国民の意思の軽視、国政選挙の結果の軽視であり、日本国民を完全にバカにした行為です。自民党に投票した人も、民主党に投票した人も、ふざけんなと思うでしょ? 「大連立」などという姑息な手段で日本国を右に左に動かせるなら、二院制も選挙も小選挙区もいらない。お前らのやっていることは、全部やめちまえという話。福田政権の命運は完全に尽きたというべきでしょう。
●私は今回の報道に接して非常に驚いた。政権を追いつめていると実感している民主党が一顧だにするはずのない阿呆な提案を、まさか首相自らがするとは思っていなかったからです。官房長官の町村信孝が「こんなに早く拒否回答がくるとは思わなかった。率直に言って、意外であり残念」と述べたことは、驚きを通り越して脱力するほかない。政治も民主主義のことも全然わかっていないと公表したも同然の首相や官房長官のほうが、意外であり残念ですよ、国民大衆は。「ここまで提案して拒否されたから、あとは衆議院3分の2でガンガン強行採決すりゃいいんだ」──その免罪符をもらったんだと自民党が思うなら、そうすりゃいい。国民はそんなにバカではない。次の総選挙では、ますます勝ち目がなくなるでしょう
●さて、自民党総裁自らが「自民党と民主党は、小異を捨てて大同につく余地がある」との判断をおおやけにした。このことの意味は決定的に重要だと、私は思います。これで、ある意味「なんでもあり」となる。これで小沢一郎が自民党を切り崩すのもあり、池田大作に会って一緒にやらないかというのもあり、です。なぜならば、自民党総裁が「組んでもいい」と判断したからです。そうでしょ? このことを各紙社説がどう書いているか調べるとおもしろい。読売は大連立論者のワタツネ私論、朝日は唐突すぎとビックリするだけ、日経・産経は何とか自民党政権を持たせたい、まあまともなのは「国民世論を無視する提案」という観点を打ち出している毎日くらい。ただ毎日は「小沢氏の対応も理解に苦しむ。首相との会談を続けてきたのは連立に前向きだったからと思われるからだ」と書くが、そんなにバカですかね、小沢一郎は。私は、首相にそこまで言わせた小沢のポイントは高いと思います。小沢が福田を引っかけようと思っていたかどうかは知らないが、結果的には引っかけた形になったわけで
●どうでもいいけど、MSN産経ニューストップページの右側「最新の話題」に「原爆に爆弾持ち込んだ男逮捕」の見出しが(昼12時45分現在)。原爆に爆弾ってどうやるのか不思議な人は、確かめてみよう

11-02
●テロ特措法で、政府は「インド洋上給油をやめると国際社会の信頼を失う」の一点張りだが、本当なのか? 中村哲(ペシャワール会。アフガンで医療や井戸掘りなど民衆支援を二十数年来)と伊勢崎賢治(東京外大教授。2003年に日本政府特別代表としてアフガン軍閥の武装解除に従事)が、アメリカが主導するアフガン復興の欺瞞を強く批判しています(『週刊朝日』11月9日号)
●アフガニスタンでは、戦争プロセスとして8000名規模の米軍が「不朽の自由作戦」というアルカイダ/タリバン掃討作戦を継続中で、平和構築プロセスとしてはNATO軍指揮下の37か国4万人によるISAF(国際治安支援部隊)が復興支援・治安維持・哨戒活動などをしている。基本的に殺しつつ助けるというインチキで、それがうまくいかず、最近はISAFの一部が戦闘行動に踏み切ったと。伊勢崎は「(2003年当時)私たちが武装解除を実現できたのは、日本人は対テロ戦争には加わっていないという『美しき誤解』のため」だったが、テロ対策新法が注目されるいまは、「日本は結局、民生部門で活動するNGOをも危険にさらす事態を招いているのです」という
●私もそうだろうと思います。大マスコミはアフガンで民衆に、あるいはアメリカで民衆に、日本の国際的な信頼をどう認識しているか、もっと取材すればよいと思うのですが。面倒なら日本にいる海外の特派員などに聞いてもいい。その際、米大使館員に聞いてもしょうがないし(米政権の意向を聞くわけだから)、補給を受けている国に聞いてもしょうがない(タダの石油はもらったほうがいいに決まっているから)。ブッシュの泥船にいつまで付き合っても、日本はどこにも行き着けないことに、いい加減気づいたほうがよい
●午前中の日大授業は芸祭のため休み。夜、家族に家人の母、娘の友だち1名と「かわうち」で夕食

11-01
●「すべてを疑え」なんてサイト名をつけていますが、ホント、うんざりするほど嘘、インチキが出てくる世の中です。一から十まで全部嘘、丸ごと捏造というのはないが、今日作ったの食い物は実は2週間前とか、鶏は鶏でも廃棄鶏なんだけど比内地鶏と書いてあるとか、耐火性能が40分のところ1時間とか、その手の嘘。どれも、内部告発があって初めてわかるが、所管官庁も調査機関も取引先もそれまで知らず、まして一般消費者にはわからない
●そこで、マスコミ報道はじめみんな「嘘はよくない。責任者出てこい」という。非常に疲れるモグラ叩き状態とでもいうか。叩いても叩いてもモグラは出てくる。モグラに「もう出てくるな!」といったり「責任モグラ出てこい!」といっても、ラチが明かない。もっと戦略的に対策を考えたほうがよいと、私は思います。当然さまざまな部門(セクター)や関係者ごとに対策は異なります
●まず所管官庁は、(1)天下り・談合その他で業界となれ合っているからチェックが甘いのが問題。いつも「行政の責任」が問われ「もっと厳しく」というが、構造的に無理で、現行組織にやらせるのは税金のムダです。役所が作る第三者機関も、業界代表と御用学者なんかを並べるだけだから効果なし(厚労省の年金でもエイズでも、郵政省・総務省のデジタル政策でも、役に立っていないでしょ?)。調査・検査機関は「役所のアメとムチ」のムチではダメで、役所の影響力が及ぶ範囲外にあって、役所とケンカしながら調査や検査をするシステムのほうがいい。役人にも業界関係者にも、この国や社会の未来を真剣に考えている者がいるはずで、彼らと政治家が結託するのを国民が後押しする形で、そんなシステムを地道に作っていくしかないでしょう
●(1)と密接に関わる問題ですが、(2)内規や法律で基準や規則を設けても、罰則がない、または罰則規定が機能していないのが問題。たとえばJAS法や食品衛生法には法人の罰金1億円以下といった罰則があるが、発動されるのは嘘がバレて会社存続の危機に立たされるときで、1億円取っても遅い。有名企業では嘘発覚による減収が罰金をはるかに上回るはず。それでもやるんだから、1億円取るぞという脅しがきいていない、つまり罰則が抑止力になっていないわけです(悪い子どもは小さくても刑務所にブチ込むぞ、死刑にするぞといっても抑止効果がほとんどないのと似ている)。ミートホープの場合は、JAS法・食品衛生法が表示基準を定めた消費者向けの最終製品を作っていたわけではないから、取り締まる法律すらない。仕方なく不正競争防止法違反容疑(詐欺容疑も視野に)で逮捕したにすぎない。福田首相が、全官庁に法律の不備の見直しを指示したという報道がありましたが、(1)に書いた通りあまり期待できず、効果的なシステムを作るまでのつなぎにしかならないでしょう
●時間もないので途中を飛ばして、(3)一般消費者はどうすべきかといえば、このモグラ叩きに付き合うのはバカらしい。そこで、食品パッケージや企業宣伝ビラの表示を信じるのをやめ、自分の舌や胃腸や脳ミソを信じることにすればよいと思います。たとえば、和菓子や洋菓子は、食べてうまく、腹も壊さなかったらそれでよしとする。廃鶏の燻製と比内地鶏の燻製を食べ比べても違いがわからない者(大部分の日本人がそうらしい)は、ニワトリの燻製は馬鹿バカしいので食わないか、どうでもいいから安いものだけを食う。1時間有効の耐火壁は30分しか持たないかもしれんので、木造家屋と隣接させて自分の家を建てるのはやめ、庭を造り木を植え(種類にもよるが、水を含むから類焼防止効果あり)、スプリンクラーなんかも設置しておくと
●よくないのは、ちょっとでもインチキをやった会社は潰れりゃいいと突き放してしまうこと。それをやると、失業者が出る(インチキと関係ない部署の者や取引先まで路頭に迷う恐れがある)は、伝統のブランドが消えるは、内部告発が出てこないは、ロクなことがない。それらの損は結局のところ社会、つまり消費者全体で引き受けるしかないからです

10-31
●サイト読者の吉田さんが、当欄10-28の誤植にまつわる記事を読んで、最近おもしろいことがあったとメールをくれました。「27日(先週土曜日)埼玉新聞の広告のことです。この日は『文字・活字文化の日』だったそうで、それに関連した読み物風広告が紙面の何カ所かに掲載されてました。それぞれ、各界の著名人が文字にまつわるお話をしているのですが、その中で愛川欽也氏のものを見て、目が点になってしまいました。」「タイトルより大きな文字で、欽也ならぬ『欣也』と印刷されています。」「記事のフッタ部にあるプロフィール欄にも「欣也」となっているので、私が勘違いしているのか、はたまた別名や改名など何か事情があるのか気になってネットですこし検索しましたが、そのような情報は見あたりません。」と。デジカメ写真はこちら。よく見ると記事本文中にも誤植がある。×「妻に先立たられた」→○「妻に先立たれた」。「一人の水商売の女性を一途に最後は悲しい別れが待っている」も日本語として×。「一途に思う(生きる、慕うなども可)が最後は」が○。文字・活字文化がなってないくせに、このネタで広告を取ろうとは、新聞社はとても恥ずかしい。新聞広告は審査・チェックのうえで掲載する建前なので、いいかげんな広告会社の原稿を載せちゃったという言い訳もムナシイ。愛川サイドが「ちょっとこれはねえ。別の話でもう1回、ちゃんと出してよ」といえば、新聞は紙面を割くでしょうね
●なお埼玉新聞は、すでに2003年5月11日に「愛川欣也」と表記しています
●最初に誰かが間違え、他の者に「まさかこんなもの(あまりにも基本的な、初歩的な情報)を間違えるはずがない」という思い込みがあるため、チェックの網を最後まですり抜けてしまう誤植が、たまに起こる。私が28日記事の末尾に「人のことは、あまりいえないにせよ」と記したのは、鳥取県知事の○「片山善博」を×「片山義博」と単行本丸ごと1章分書いてしまったことがあるから。ここだけの話ですよ! で、青焼き(最終段階の校正紙)チェックを「時間がないからこちらで」という出版社にまかせたら、そのまま本になっちゃった。出版社が詫びを入れたら、片山知事はニコニコして全然、気にしてなかったそうですが。自分が関わった本はほとんど初校ゲラで読むが、それができず(たぶんゲラが出なかったか、青焼きでまとめて読むことにしたか、どちらか。刊行まで日がないとそうなる)、しかも最後まで読まなかったのは、この本だけ。その唯一のケースで間違いが起こったわけで、私は深く反省しました。これに懲りて以後、人の名前は執筆段階でしつこくチェックし、単行本は必ず通しでチェックする(出版社が時間がないといっても、聞き入れない)ことにしております
●子どものとき兄なんかと地図帳を広げて、一人が書いてある地名をいい、もう一人が探し出す遊びをよくやったけど、小さな字の村名なんかよりは、字は大きいが広範囲に連なっている地域名なんかのほうが見つけにくい、なんてのにも似てる。中学の頃か、ポーの「盗まれた手紙」を読んで、なんだよ、知ってるよそんなこと、と思いましたけどね。ようするに本文の校正と、見出し・プロフィール欄・写真キャプションなんかの校正は、全然別の作業として改めてやったほうがいい。本文のついでにやると、つい見落としがちになってしまう

10-30
●東京新聞10月30日朝刊の特報記事俊逸。ネットではリードしか読めない。29日の前防衛省事務次官・守屋武昌の証人喚問中継を、同期入省組で元官房審議官の太田述正《のぶまさ》と記者が一緒に見て、太田が述べたことを逐一書いている。これこそテレビの仕事だと思えます。再喚問で、テレビが太田述正を起用し、新聞記者に語ったような音声を逐一伝えれば、これはスゴい。地上放送がやれば、私ならそれだけで「ギャラクシー大賞は決まり!」ってくらいのもんです(注:私はその審査には一切関与してないので念のため。関与する立場なら、こんなこと書かない)。NHK経営委員長なら「やめてくれ」といい、地上民放はみな自粛してできないだろうが、CSのニュース専門局は、そのくらいやっても全然文句は出ない(政治的不公平とか偏向といわれたら、CS関係者は「ええっ? あなた方、政党CSチャンネルがほしいっていってませんでしたっけ? どうぞどうぞ、いつでも開設してください」といえばよい)。ぜひ、やってください
●山田健太から昨日、「これ読んでないでしょ」と毎日新聞のコピー。奈良・田原本町の放火殺人:鑑定医秘密漏示・3氏座談会 「捜査機関が本の表現内容まで踏み込んで関係者を強制捜査・逮捕したこと、それによって社会を威嚇したこと、ようするに表現の自由を軽視していることは、『公権力の介入』という点で極めて問題」という山田の主張はまったく同感。逮捕は明らかにやりすぎで、全メディアが一致して抗議してしかるべきでしょう。ただ、ジャーナリストは、そのような(ときに逮捕までする)権力を相手にしているのだという自覚がないことには、話にならない。また、本のダメなところは、徹底的に批判すべきです。それでもなお、言論の自由を守るといわなければならない。いつか弁護士の内藤篤が書いた。「『お前の書く本は下劣で、最低だ。話にならん。だが、そのお前の言論の自由を、俺は全力で守る』といった弁護士に、俺はしびれる」とかなんとか。私も、それがかっこいいと思いますね
●山田健太は、トークセッション「井上ひさしと『憲法』を熱く語ろう〜改めて自由と平和を考える〜」の聞き手を務めるそうです。◆日時:11月22日(木)午後6時〜7時30分◆場所:日本プレスセンターホール◆参加費:500円(当日受付)◆主催/問い合わせ先:自由人権協会
●もう一つお知らせ。日本初のテレビドキュメンタリー事典とも年鑑ともいうべき『全国テレビドキュメンタリー'07年』が田原茂行・鈴木典之の責任編集で大空社から刊行されます。定価6000円+税。放送局はじめメディア各社、大学、図書館、研究者は備えておくべき本だと思います
●『放送レポート』2007年11月号、「戦後放送の夜明け」なる記事を見て驚愕。事実誤認や不明瞭な箇所が多すぎる。編集部は何やってんだ? メディア総合研究所初代所長の青木貞伸は、草葉の陰で泣いて、いや、絶対に怒っているぞ。猛省すべきだ。本論であるファイスナー関連記述については準拠資料を示せ。ファイスナーの感慨を地の文で書いた箇所は、創作か、推測か、引用か、本人に取材した結果か、明記すべき。こんなことで、『放送レポート』はテレビを批判できるのか? 時間を割くのも惜しいが、同誌は学生も読むから放っておけない。まあ、何かの手違いで、校正前のものが印刷されちゃったのかもしれない(私は『創』でやられたことがある)。敗戦直前の日本に触れた見開き2ページだけにつき、私が不適切と思う箇所を指摘しておきます。次号は気をつけて
◆「昭和20年2月15日、名古屋に敵機八〇機来襲。」→戦争に関する資料館調査会によれば、同日はB‐29来襲60機で死者61名。なぜこの日を特記するか不明。これより大規模な名古屋空襲は、昭和19年12月13日(B‐29来襲70機、死者330名)、18日(70機、334名)、昭和20年1月3日(70機、70名)、14日(60機、94名)、3月11日(200機、519名)、19日(230機、826名)、24日(130機、1617名)、4月7日(160機、302名)、5月14日(440機、338名)、17日(100機、505名)、6月9日(42機、2068名)、26日(120機、426名)など。
◆「航空母艦から日本本土へ発進してくる。」「米空母は一〇〇〇機を載せ、日本に波状攻撃をつづける」→前後にB‐29のことしか書いてないから誤解を招く。B‐29は空母に積めず、墜落・不時着を除く全機がグアム、サイパン、テニアンその他から日本本土を往復した。2〜3月に米機動部隊の航空攻撃が目立ったが、作戦に参加した艦載機は1200機以上(空母艦載機の合計はもっと多い)。
◆「ミッドウエイ海戦の敗北で、日本の海軍力は壊滅している」→明白な誤り。同海戦は昭和17年6月。日本は大敗北を喫したが、これで開戦以来の西太平洋における日本の海軍力優位が崩れた(空母を4隻失い[米側は1隻失い]、空母戦力はほぼ均衡。航空戦力は優秀なパイロットを失ったぶん劣位に)。日本は同海戦で戦艦を1隻も失っておらず、戦艦大和も武蔵も依然健在。海軍力が壊滅して、戦争を3年間も継続できるはずがない。
◆「3月1日の東京大空襲の死者は二万六〇〇〇人、焼失家屋は約一〇万、罹災者は約一〇〇万人」→東京大空襲は3月10日で、死者8万以上、焼失家屋二十数万、罹災者100万人。3月1日前後に死者2万6000人が記録された東京空襲はない。
◆「いよいよの3月10日。(中略)米B29長距離爆撃機一〇〇機以上が襲来」「江東区中心に」→作戦参加機は320機以上で「300機以上」が正しい。爆弾投下機は約280機。江東区は当時まだない(昭和22年発足。深川区、城東区はあった)から「江東地区」か「現・江東区」と書くべき。
◆「戦中、(略)情報局総裁は、戦後日本民主政治の要人となった緒方竹虎その人だった」→内閣情報局は1940年12月発足、45年末廃止。歴代総裁は伊藤述史、谷正之、天羽英二、緒方竹虎、下村宏、河相達夫。
◆「東京大空襲の惨禍」→これは編集部でつけたと思われる小見出しだが、対応する文章に4月10日の空襲についての記載しかない。それは「東京大空襲」ではなく「大空襲」でもない。4月に入りB‐29の任務は沖縄戦支援と本土の大都市・工場爆撃に分かれた。4月10日に東京空襲があったならば後者の「普通の空襲」。
◆「団体で学童集団疎開し」→白い白馬!
◆「東久邇日記では、昭和21年4月1日の項で」→昭和20年の誤り? 昭和21年4月の項に戦前の回想が出てくる? どっち?
◆「2008年からの高校、中学生向け日本史教科書」→沖縄戦・集団自決への軍の関与について検定意見がついたのは、すべて高校教科書。中学生向けは誤り

10-29
●原稿書きほか。6時半、放懇理事会。出席は、入江たのし、岩本太郎、小田桐誠、音好宏、隈部紀生、坂本衛、志賀信夫、滝野俊一、田代勝彦、永田俊和、橋本隆、堀木卓也。事務局からは中島好登、福島美子、久野明
●とりあえず、視聴者はテレビの何を見ているのか?をup
10-22当欄の、緊急地震速報について補足。兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災を引き起こした地震)のときの神戸海洋気象台データ(図3-2)によれば、P波を記録し始めたのが1995年1月17日午前5時46分56秒、続いてS波をとらえたのが同5時46分59秒だから、タイムラグは3秒しかない
●最初の震源から4キロの場所にいた私の兄によると(今回の記事につき所見を聞いた)、「エレベータが1階に着く手前で揺れを感じた。動いているエレベーターの中でハッキリと揺れを感じたから、かなり大きな地震だと直感した。1階に着いてエレベーターを降りた時、初めて物凄い揺れを感じた」「ロープで中吊り状態のエレベーター内では、揺れは軽減されているはずだと思う。5円玉を結びつけたヒモの上端を激しく振っても、5円玉はあまり揺れないのと同じ原理だ」「従って、(1)エレベーター内で感じたのがP波で、エレベーターを降りた時にS波が来た? (2)P波、S波がほぼ同時に来たが、エレベーター内では揺れが軽減された?──このあたりはわからない。もし、(1)であるとすれば約5秒といったところでしょう」という。東工大院卒の技術者の観察なので、まあ信じてよい。エレベーターの場所は神戸気象台より震源に近いから、たぶんエレベータ内でS波は届き始めていたのでしょう
●ところで、兄は「そもそも活断層地震の速報にP波・S波を適用できるか」ともいう。「活断層地震の震源直上では、揺れが伝播してくるのではなくて、自分が立っている地面が割れているのだから。これは自説であって検証していない。しかし、阪神大震災の被害が活断層上に集中していること、実際に活断層のズレが地表に現れていること、必ずしも震源からの距離と被害の程度は相関しないことから、揺れで建物が壊れたというより、地面が割れたから壊れたというほうが納得できる」と。これは、ようするに地震は地下の大規模な地滑り(活断層の動き)で、それは明石海峡付近(震源)で始まったが、ツツツーと北東方面へ(野島断層の延長方向、神戸、西宮、宝塚などへ)伸びていった。その線上では順次地下が破壊されていっているから、震源からの距離がどうだからP波・S波がいつきたなんて、あまり関係ないんじゃないかという疑問です。わかりやすくいえば、地震は救急車がサイレンを鳴らして走っているようなもので、P波・S波はサイレンの音(音波)。救急車が速ければ速いほど、音波を調べる意味が薄れるわけです(マッハ1より速いジェット機は、頭上に来たときいきなりドカンと衝撃音を出すので、近づいてきたと知るために音を調べても無意味)。もっともな疑問なので、ちょっと調べたら、破壊速度はS波よりも遅い(7〜8割。秒速3キロ前後)らしい。だから、P波をとらえることで、破壊そのものが近づくことも速報できます。ただし、最初の震源から近い場所では、やっぱり間に合いません
●1995年1月17日午前5時44分頃、兄を出張に送り出した兄嫁によると「仙台あたりで地震があった時に東京で感じる揺れは、確かにP波・S波とわかる。しかし、阪神大震災の揺れはまったく違い、最初にドンと突き上げがあって、今のは何だろうと思っていると激しく揺れ出す。体験上は、カタカタ揺れるP波とかグラグラ揺れるS波なんてものはなかった」そうです。最初の突き上げがP波だったんでしょうが、それはいわゆる「初期微動」なんてものでは到底なかったと。なお、前日には、後から考えれば明らかに前兆と思われる地震があったそうです。これは神戸気象台でも観測していた
●活断層の図でご注意。東京23区内や神奈川東部なんてほとんど線が引いてないが、これは地下に「ない」のでなく「わからない」だけです。念のため

10-28
●サイト更新作業などあれこれ。夕方、世田谷の実家に行き、植木に水やり。6時、自由が丘の鳥ぎんで家族と待ち合わせ、夕食。はす向かいの古本屋で7〜8冊買って帰宅
●税別定価9500円の原書房「オックスフォード世界児童文学百科」(1999年)が3500円だったのはいいが、子どもの頃に読んだ本に関する項目をパラパラ見ていると、ドリトル先生物語の項に、『航海記』には「パンクさせると空気が抜けて縮んでしまう浮島」など「奇想天外な創作物もある」との記述あり。奥付を見れば、この項の訳者は、××大学院の博士課程修了者で××大児童文化学科講師の誰とわかる。恥ずかしい! これはクモサル島のことで、ドリトル先生が王様にさせられたとき島中央部の谷で即位式があり、大歓声で山頂の岩が火口に落ちて地下の空気室を突き破って島が沈んだ。しかし、縮んでなどいない。島の下降によって海岸部の村々が水没し、島の「面積が縮小する」とはいえるが、日本語では通常それを「空気が抜けて縮む」とはいわない。読者なら小学2年生でも誤りとわかる記述ですから、訳者はちゃんと読んだことがないのでしょう。監訳者はアーサー・ランサム全集を訳した神宮輝夫(この人が訳した本は、過去何百時間と知れず読んだ。いや、本当にお世話になりました)ですが、あとがきで「間違いや不備な点は、ご教授いただきたくお願い申しあげます」なんて書いている。むろん「ご教示」の誤り。ものすごく恥ずかしい
●だから、何か「書いたもの」について書くときは、まず原典に当たることです。また校正は、優れた校正者(できれば2人)に十分な時間を取って頼みたいけれども、優れた校正者の数が極めて少ないうえに、たいてい出版までに時間的余裕がなく、予算もない。現実的には、どこかで打ち切りにするしかないですが、よくある誤植くらいは編集者レベルで直さないと。上の「ご教示願いたく」と「ご教授」、あるいは「ご査収ください」と「ご査証」なんてのは、字と音が似ているうえに、意味もなんとなく近そうな雰囲気なので、結構間違えてしまう人がある。気をつけましょう。昔は、「岩波の本には誤植がない」なんていわれたもんですが、最近は全然そんなことはない。どの出版社でも、ものすごく誤植が増えています
●いつかテレビに進む学生にいったのは、手帳でもなんでもいいから「日本語ノート」を作れと。文字や表記関係のことは(とくに一度間違ったら)、それに必ず書いて、一生持ってろと。最初の間違いは仕方ないとしても、二度と間違えないようにすべきですから。テレビの字幕を打つ者一人ひとりが、このノートをつければ、テレビの日本語の間違いはかなり減るだろうと、私は思っていたりします。ま、人のことは、あまりいえないにせよ

10-27
●午前2時半、オフレコ!5号の絶対匿名座談会原稿30枚をメールし、一段落。今日は片付けとか雑用いろいろ。日大マス演VI99年度卒業生へ連絡。「〜詩人・桑原滝弥☆講談師・神田京子 結婚披露特別ライブ♪ケッコン(仮)面」(11月17日[土]19時30分〜@築地ブディストホール=築地本願寺境内)に黒川玲子、加藤愛、桜井恵、井上千穂が行くそうで、私も行く。終わってから彼らと飲む予定で、横山由貴は飲み会だけ参加だってさ。参加希望者は勝手に来るように
●ネット上のいわゆる「わいせつ画像」について、昨日の続き。新聞雑誌やテレビで報じられたことは、あまりないと思いますが、日本社会の現状はこうです。大企業や役所のオフィス(事務部門。工場など現業部門や大半が外に出かける営業部門は除く)で、就業時間中のパソコンによるホームページ閲覧先を調べてみる。見ているものは、「仕事関係サイト」(直接的には取引先、官庁、ライバル企業、調査研究機関のサイトなど。間接的には一般的なお役立ちサイト、消費者の生活や考え方がわかる各種サイト、メディア関係など)と、「仕事関係でないサイト」に分かれる。たとえば調査レポートを書く者は、役所の統計サイトや、大学の研究室サイトや、論文の書き方サイトを見るかも。出張に出かける者は、乗り換え案内サイトや、出張先のレストラン情報サイトを調べるかも。以上は、仕事関係サイトと見なす。仕事関係でないサイトは、ヒマだから趣味のサイトを見る、ナイターの結果を見る、来週から休暇なので遊びに行く先の情報を調べる、妻に「買ってきて」と頼まれたものの入手先を調べるなど、いろいろあると
●このとき、のべ閲覧者・ページ数がもっとも多く、接続時間がもっとも長いのは、特別にアクセス制限をかけていない企業の多くで、わいせつ画像を掲載するエロサイトです。大手町や丸の内に本社があって、従業員1万人超というような日本を代表する一部上場の大企業で、就職ランキングのベスト10やベスト20の常連で、一人1台PCがある会社で、ほとんどの場合そうなのです。このような企業はセキュリティ体制が厳しく、専門部署が社員のPCの使い方をチェックしている。財閥系名門商社でもどこでも、担当者に聞いてみれば「そうそう。トップはエロサイト閲覧。それがいちばん悩みの種なんだ」と答えるはずです。もちろん私は、直接聞いたことがあるから書いている
●まあ、聞いたのは2〜3年前だから、いまでは対策が進んだかもしれない。企業のセキュリティ管理部門でアクセス制限をかけるとか。銀行なんかでは、一人1台PCがあるが、私用メールを一切禁じているところがある(オフィスのPCから「今夜は遅くなる」と家にメールできない!)。先進企業では、私用ケータイ・ノートPCは社内持ち込み禁止というところも多い(携帯はカメラ機能がついていないものを企業が貸与)。中央官庁のヒマな公僕どもがWikipediaの都合の悪い部分をせっせと書き換えているという話がありましたが、セキュリティ管理がいちばんなってないのが、カネ儲け感覚ゼロの役所。役人がWkiも見てるがエロサイトも見てるなんてことは常識。新聞沙汰にはならなかったが何年も前、旧厚生省で個人情報満載のノートPCが盗まれた事件があった。個人情報保護法なんて存在しない時代から、そんなことはザラなのです
●日本人の10人に9人までが、「エロサイトのわいせつ画像を規制せよ」と思っても別に構わないが、以上のような現状は踏まえておいたほうがよいですね。 大企業の社員や中央官庁の役人は、いくらわいせつ画像を見ても通常は性犯罪に走ることはないので、わいせつ画像を規制しても彼らが関与する性犯罪はほとんど減らないわけです(仕事効率は相当程度アップするでしょう。欲求不満で何かやらかすヤツは増えるかも)。もちろん、「90%がそう思っているようだ」という情報を伝えるメディア関係者は当然、現状を踏まえておかなければダメです。彼らはメディア規制を受ける側だからです

10-26
●10時40分、日大授業
ネット有害情報「規制すべき」9割…内閣府調査(読売ほか)。わいせつ画像を提供したり、自殺・犯罪を誘引するインターネット上の有害情報(有害サイト)の規制を求める人が90・9%、規制すべきでないとしたのは4・5%だけ。もちろん私は、「原則として規制すべきでない」という考えですが、同じ考えの日本人は20人に1人しかいないのか? そんなこともなかろうと私が思うのは、今回の調査は、わいせつ画像・自殺・犯罪をすべて一括りにして規制の是非を聞いているらしいからです。まだ内閣府サイトに情報がないため詳細は不明ですが、そうならばムチャな話で、質問の仕方が悪い。違法な犯罪サイトは規制されて当然で、「規制すべき」が100%でも不思議はないでしょうから
●たとえば、仮に「イジメをしたり、シンナー吸ったり、盗みを働く小学生は補導すべきか?」と聞いて、「補導すべき」の回答が90%だったとしても、これは質問が悪い。10人に9人までが「イジメに加わった小学生は全員補導すべき」と考えているという話にはならない。小学校6年間で1度たりとも誰かをイジメたことのない子は珍しいだろうから、ほとんど全員を補導したほうがよいという話になってしまい、イジメは解決できないので。余談ですが、私が小学校6年のとき、クラスの男子の大半が、ちょっと調子に乗っているAを締めようという話になり、ある日の帰り道に締めた。私はくだらないと思い加わらなかった(止めもしなかった)ら、その日の夕方Aのおっ母さんが泣いてうちの母に電話をかけてきたことがある。翌日、担任の野坂允はみなに注意したが、陰湿なイジメではなく、その場限りの制裁だったので、話はそれで終わった。ただ、Aを締めている現場に大人がいたとすれば、明らかにイジメと判定されたでしょう。これとは別に、女の子たちの多数派が叱られたことがあって、担任は「あなたたちのほうが(男子に比べて)始末に悪い(陰湿だ)」という意味のことを言った。仲間はずれやシカトの類ですが、これは私にも明らかにイジメと見えた(止めもしなかった)。以上のようなことは普遍的に起こるので、どうってことはない。クラスで解決できるし、担任以外の大人が介入して解決すべきではない(それは解決にならない)話。ようするにヘタな質問をすると、まるでトンチンカンな答えが返ってくるので、アンケートは専門家が作らなければカネの無駄遣い。そして、役所のアンケートというのは多くがカネの無駄遣いです(当サイトにある1万人規模の愚かな調査例はこちら。ページ末尾の≪厚生省実態調査の珍妙なる結果について≫を参照)
●調査への疑義はひとまずおき、私が原則として規制に反対する理由は、以下の2点です
【1】規制できたとしても、問題の主因を排除することにならず、したがって効果が薄く、ムダだから。ムダな努力はやめて、効果的な対策を講じるべき。
 ネット上からわいせつ画像をすべて排除しても、絶対に性犯罪はなくならない(わいせつ画像を入手するための犯罪まで数えれば、たぶん件数は増えるでしょう)。少年少女がセックスに興味があるのは当たり前で、いわゆる「わいせつ画像」を見たいのも当たり前で、見たくないヤツのほうが危ない。あなたもそう、またはそうだったでしょう? でも性犯罪者じゃないでしょ? また、自殺を誘引しそうな有害サイトをすべて排除しても、絶対に自殺はなくならない(たぶん件数は同じでしょう)。自殺者はインターネットが普及しはじめた1990年代半ば(たとえば1995年2万2445人)から現在(2006年3万2155人)まで1万人しか増えていないから、仮に増加分をすべてインターネットのせいにし、インターネットを全部やめたところで、自殺は3分の1しか減らせない。別の方法で3分の2を減らしたほうがはるかに有効。もちろん、実はほとんどの自殺がインターネットと無関係。犯罪については、1995年の認知件数178万2,944件に対して2006年の認知件数205万850件。仮に増加分をすべてインターネットのせいにし、インターネットを全部やめたところで、犯罪は30万件しか減らせない。別の方法で8〜9割を減らしたほうがはるかに有効。もちろん、実は大半の犯罪はインターネットと無関係。ただし、犯罪を露骨に呼びかけるサイト(誰某を殺せ、火を着けろなど)、それ自体で明らかに違法行為をしているサイト(売春斡旋、詐欺、麻薬・銃その他の販売、名誉毀損など)は、規制すべきなのは当然です。違法でないサイトで、犯罪を誘因するかもしれないサイトについては、【2】をお読みください
【2】事実上、規制はできないから。インターネット上でいわゆる「有害情報」に接しても犯罪をしない人間を育てるほうが、有効である。
 インターネットは、全世界につながっているからこそ、存在意義がある。そして、たとえばいわゆる「わいせつ画像」についての考え方は世界中で異なるから、全世界につなげておく限り、規制はできない。規制するには、インターネットをインターネットでなくする(巨大国内LANとする)しかないが、全然おもしろくなくなるし、役にも立たなくなるから絶対反対。日本は中国じゃないんでね。そもそもその国内LANの運営者や規制者(になりそうな人びと)を、私はまったく信用していません。「違法ではないが、犯罪を誘発するかもしれないサイト」については、事前に特定できず、規制できません【後からの注:犯罪を誘発したサイトを一つひとつ潰していっても、すべて犯罪後(犯罪件数に数えた後)だから件数は減らない】。どんなサイトでも犯罪を誘発する可能性はある(たとえば当サイトで、この役所はおかしいとかテレビ局はおかしいという記事を読み、殴り込む人が皆無とは断言できない)ので、規制するには全サイトをやめるほかなく、不可能だし無意味です
●なお、出会い系サイトについては、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」というエグい法律で、すでに規制されています。ちなみに「児童=十八歳に満たない者をいう」は、常識的にはヘンですが、それをいえば児童福祉法もヘン。それにしても、警視庁は「中高生のみなさん」と呼びかけるページから1クリックで、「児童を性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、他人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは他人に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)の相手方となるように誘引すること。」って書いてあるページに飛ばす。ついこの間まで6年生だった中1にも、読ませるつもりらしい。なかなかやるもんです。PTAのおっ母さんたちは、どうですかね? 出典を伏せてこの文章だけ読ませたら、100%が「有害だ! 規制しろ!」っていい出すかも
●ついでに、余計なお世話。Googleがもてはやされていますが、「看護婦」「素人」「義母」なんて言葉で検索してみてください。インターネットは、こういう状況なんだ、世界中がエロ画像見つけまくりのGoogleに競ってカネを出しているのだということは、理解して議論しないと。このインターネットを、安く高速な常時接続で、できるだけ多くの家庭に導入することが、現在の国策です。予算もガンガンつけてます。カネも人によっては、とくにPTAのおっ母さんたちなら、出てくるものに驚愕し、「Googleは規制せよ」という話になりかねないでしょうけどね

10-25
●この2〜3日、オフレコ!5号の匿名座談会原稿書き。今日中に入稿予定
渦中の大物官僚と業者幹部は逮捕に至る見込み。ゴルフ接待200回超は、メシも食わせるんだから1000万円規模の利益供与。「なぜ(この会社に発注しては)ダメなんだ」との官僚発言まで伝われば、単なる倫理規定違反でなく賄賂──そう見ているから検察は細かいディテールまで小出しにし、逮捕に向けたいわば環境整備をしているわけです。ま、こんなの、戦前の日本ならさっさとブチ殺されている(切り捨てた軍人は2〜3年でシャバに出て、以後出世する)ってくらいのもん。平和国家でホントよかったね、って話。シビリアンコントロールがどうたらいうが、政治家である大臣を除けば防衛省の最高責任者、軍人(制服)をコントロールするはずのシビリアン官僚(背広)のトップを、日本国民はコントロールできていないとわかった。テロ特措法(海上給油法)の来年への持ち越しも確定。この際、沖縄の米軍基地移転予定地の事前買い占め疑惑なんかも、徹底的に洗い出したほうがいいと思います。これこそ、ぶっ壊すべき戦後レジームの典型です【後からのつけたし:今号「週刊新潮」が載せた業者側元専務の手記によると、元専務の前の会社(いまは50人を連れて出て別会社を設立)からはめられたと主張。ゴルフやメシのカネは全額が奢りではなく(毎回、当人も1万円とか5000円とかを出した)、ゴルフ場で仮名を使ったのは社内向けの工作だったという。新聞記者も接待したとも言っています。「週刊朝日」のインタビュー記事も、骨子については似たような内容(記者接待の話はむろんなし)。検察サイドの話だけではバランスが悪いと思い直し、つけたしておきます】
●安倍晋三のぶっ壊したかった戦後レジーム(戦後体制)が何を指したか、いまいち抽象的で不明ですが、いま私たちが享受している戦後の制度の多くは、戦前の日本にはなく、アメリカがくれたものです。GHQには、米民主党のルーズベルト政権下でニューディール政策(1933〜39)をやった連中が入っている。ちなみにルーズベルト後継のトルーマンも民主党で、1933〜53年の20年間はずっと民主党
●ちょっと横道にそれると、よくある誤解は「民主党は平和好き、共和党は戦争好き」。事実は逆で、レーガンやブッシュ以前は、ケネディやジョンソンのベトナム戦争が典型的なように、民主党が戦争する。やや正確にいうと、伝統的にはどちらかといえば「民主党は連邦主義・国際協調・中央集権的、共和党は州権主義・孤立主義・分権的」。以上の立場と戦争との関係を大雑把にいえば、こうなる。欧州大陸で戦争が始まると、「ほかのヤツなんて知るか。アメリカだけよけりゃいいんだ」という孤立主義の共和党は、戦争したくない。国際協調主義の民主党は、「いや、連中を助けなくてはいかん」と戦争する。ところが、グローバル化が進んで世界が一つになると話が違ってくる。中東でモメると、国際協調主義では「ちょっと待った。もっとみんなの意見を聞こう」となるところ、孤立主義では「欧州のやつらは優柔不断だ。単独でもフセインいてまえ」となる。それと、田舎(南部)は共和も民主もあまり関係ない(歴史的にも共和党と南部民主党はよく連携する)ので、田舎大統領のテーマ(石油・軍需産業とキリスト教原理主義)に沿えば戦争すると。まあ、ニューヨークがあれだけやられれば(9・11)、彼らにすれば、どこかの国を一つくらいぶっ潰さなければ収まりがつかなかったともいえる。東京であれが起これば、メディアも世論も「やっつけろ! 戦争だ!」というでしょう? 1人も腹を壊したことが確認できない不二家、ミートホープ、赤福だって、あんなのぶっ潰せと煽るんだから
●話を戻せば、GHQには民主党の連中が入っており、戦争突入で中断した政策を、理想に燃えて日本でガンガンやった。ニューディールは大恐慌対策の公共事業政策(有効需要創出)と思われているが、実はそれでは本格的な景気回復はできなかった(37年には後退局面。アメリカの本格的な回復は戦争特需による)し、TVAだけではない。民主党のニューディールは労働者保護、農民保護、貧困対策、社会保障制度の整備などを含むもので、それを日本でやったのです。戦後の焼け跡を一種の実験場、種撒く荒野と見なしていた節がある。1945年10月にマッカーサーが号令を出した五大改革(婦人解放、労働組合結成奨励、教育民主化、秘密法制撤廃、経済民主化)は、その象徴的なものです。いまの日本で女性に参政権があるのも、企業に労働組合があるのも、貴族や大地主・小作がいないのも、教育委員会も自治体警察も、都道府県知事を住民が直接選挙で選ぶ仕組みも、現在の放送の制度も、基本的には全部アメリカがくれたものです。そして、制度そのものは、かなりよいものです。当時の世界最先端を行く制度といっていい。しかし、日本にすんなり導入するため官僚機構をそのまま残した(残さない弊害はイラクを参照)。その結果、今日では【1】当初の狙いからかなり変質し、【2】官僚機構による弊害がものすごく蓄積され、【3】なにしろ60年前のシステムだから、ものによっては時代遅れになったわけです。しかし、だからといって制度そのものが悪いとはいえない。農地改革なんて、普通の世界の歴史を見れば、「革命」でやるもんです。貴族をなくすのも。だって、神様を人間にしちゃったんですよ! で、ぶっ壊した旧体制を革命後のフランスでは「アンシャン・レジーム」(旧体制)と呼んだ。当たり前の歴史観によれば、日本の戦前が「アンシャン・レジーム」に相当し、戦後レジームは古いのよりはマシな新体制。それを安倍晋三は、説明なしに戦後レジームだけぶっ壊せというから、私は愚かな、何をいってるんだと思いました
●ただし、安倍晋三の名誉のためにいえば、説明不足だったし、やり方も稚拙だったと思いますが、彼が、小泉純一郎のやり残した公務員改革を本気でやろうと考えていたことは間違いありません。これは、官僚の猛烈な抵抗にあって、ほとんど表面化すらしていませんが、私はその方向性は間違っていないと確信しています。安倍晋三や塩崎恭久が官僚によって引きずり下ろされた側面も、多分にあるでしょう。厚生労働省や防衛省で噴出する官僚の腐敗や不作為は、多かれ少なかれ、どの省庁でも、またどの都道府県庁や市町村レベルでもあり、日本にとってたいへんな足枷《かせ》、重しとなっています。これは、自民党も公明党も民主党も関係なく、政治が連携して手がけるべきテーマでしょう。やらなきゃ、日本はオシマイだと私は思っています
●官僚がやるクソの役にも立たない仕事の典型が、この全国学力テスト。冷静に考えてみてください。江戸時代に全国学力テストをやったとして、どの藩がトップになると思う? そのテストで最低点の連中が、明治の日本を造り、近代日本の基礎を造ったに決まってるじゃん。だから、こんなくだらないテストを、ありがたがるヤツのほうがバカなのです。違いますか? 戦前の日本でやれば、どの地域(朝鮮半島、台湾、南樺太を含む)がトップになると思う? 日本語のテストなんだから、最低点は朝鮮や台湾や樺太に決まっている。彼らは日本が戦争に負けることで独立した。それでいいでしょう、学力テストのほうがバカなんだから。ビリの沖縄は、こんなくだらないテスト受けられるか、ふざけんなと拒否すればいい。俺らは琉球だ、独立するぞと中央政府を脅すか、沖縄戦の問題を出せと要求すりゃいいと思う。秋田もトップクラスなんて喜んでいるんじゃない。自殺者が多いから「締めてるだけじゃないのか」と疑われて当然だ。大阪の国語の点が悪いのには笑ったが、大阪弁をしゃべってるうえに、周囲への気遣いに欠けるきらいがある(あの乗車の仕方は日本標準じゃない)から当たり前(傍線部の主人公の気持ちを次の四つから選べ、なんてのが、たぶん苦手)。だから何なんだ、どうでもいいよそんなの、という話。少なくとも、77億円(文部官僚の人件費はじめ一般管理費を除き、06年度と07年度の予算ベース)も出してやるべき事業とは思えない。受託先のベネッセコーポレーションとNTTデータに文部官僚の天下りがいないかどうかも、ちゃんと調べたほうがよい。そもそも学力テストの出発点は、地域格差の問題などではなく、国際的にみて学力低下が目立ち始めたからヤバいという話。この点、マスコミ報道は全部ズレまくっています
以下、『潮』7月号「市民講座」記事から引用
 たとえば今回、小六の国語で「友達の家に電話をした。(   )、友達はいなかった。」のカッコに何が入るか、選択肢四つから選ばせる問題が出ました。正解は選択肢2「けれども」です。しかし、選択肢1「そのため」が完全な間違いとは言い切れません。いじめっ子が「あと一時間で行くからな」と電話した場合は、「そのため」でも意味が通りますから。けれども、そんなことは考えず、出題者が求める常識的な答えを書くかどうか調べるのが、学力テストというものなのです。
 教師が知らないクラスのいじめを一人心配し、小さな心を痛めている優しい子どもは、このテストに間違えるかもしれません。あるいは、単純に国語力が弱くて間違えるかもしれません。その違いを見極めることこそが、親の仕事です。学校のテストは、児童生徒の全人格を調べるわけではありません。親はたかが学力テストの結果に一喜一憂せず、学校のテストで測ることができない生き方、勇気、思いやりなどを教え、評価してやるべきでしょう。
 テストは勉強がどこまで進んだかを調べる手段にすぎず、テストでよい点を取ることが勉強の目的ではありません。しかし、手段と目的を取り違え、テストの準備として勉強する子どもが多いのです。教師や親の多くも、そんな本末転倒の考え方をしています。試験制度に学校教育が従属し、そのうえ家庭教育までもが従属するのでは、逃げ場のない子どもたちが不幸だと思います。

10-24
●忘れてました。私のおっ母さんの話で恐縮ですが、静岡松坂屋本館(JR静岡駅向かい)6階の画廊・美術サロンで「坂本幸子革の会作品展」というのを今日からやってます。24日(水)〜10月30日(火)。静岡はかつて母の実家があって、いまでも革の会教室があり、月2回教えに行く(私が子どものときは毎週金曜日に行っていた)。静岡方面の方はよろしくお願いします
●防衛方面で騒がれている某氏宅がうちのそばでして、黒塗りやら中継車やらがへばり付いている。各方面の情報を総合するとどうやら秒読み体制に入ったらしい。官僚と出入り業者の裏というか先に、大臣級の政治家の名が挙がっており、検察は沖縄関係を相当調べている。二ケタの巨額の贈収賄事件になるかどうか、政治家ルートが明るみに出るかどうかが焦点。こりゃテロ特措法どころの話ではなくなった
●水越伸はおもしろい。実は19世紀終わり頃のアメリカで、音声生理学者のベルはレコードかテレコのようなものが作りたく、発明家のエジソンは電話のようなものを作りたかった。なのに、ベルが作ったのは電話で、エジソンが作ったのはレコードだったと。ヨーロッパではラジオ以前に、電話がラジオ的なサービス(コンサートを流すとか、ちゃんとプログラムがあった)をやっており、初期のラジオはプログラムなしだから編成のルーツは放送でなく電話にあったと。ケータイでネット接続する人の3割(調査により二十数%〜三十数%)は、ケータイでしかネット接続しておらず、こんな国は世界中どこにもないと。いや、勉強になりました
米カリフォルニアで山火事。ギリシャの山火事でも思ったんですが、これって普段よりCO2をいっぱい出すんだから、その量はどのくらいなのか、環境学者は教えていただきたい。大島三原山や三宅島の噴火なんかも、CO2その他の温室効果ガスを出すだろうから、その量も。それと国別排出削減量だの追加抑制枠だのとの関係も。火事で想定外に余計出た分や、地球が勝手に噴火して出た分は、当然数えないでしょうが、数えないのが全体の何%なのか知りたい。CO2を減らして「地球に優しく」というんだけど、地球の噴火分が相当程度に多ければ、話が違ってくる。「地球は優しくない」わけだから。さらに、ただダラダラとガスを放出するだけではない巨大な火山噴火は、火山灰を地球規模でばらまくことによって低温下をもたらすから「地球に優しい」ともいえる。この点はどうなのか?
ゴアはじめ環境派が全然答えていないと思うのは、「人類の工業化の結果としての温室効果ガス排出」による温暖化(のレベルや規模)と、「工業化とは無関係な地球本来の気候変動」による温度変化(温暖化〜ほとんど変化なし〜寒冷化の途中のどこかの、レベルや規模)の関係がどうなっているか。世界大百科によると、200万年前の「第四紀」以降は寒冷化の時代。100万年前以降に大きな氷河期が5回(ドナウ・ギュンツ・ミンデル・リス・ウルムの各氷河期)あった。この最終氷期以降(後氷期)は温暖化の時代。ただし寒暖の波は小さいながらあり、1万4000年前まではかなり寒冷(アークティック)、その後1万年前まではやや上昇(サブアークティック)、9000〜4000年前は温暖期(とくに6500〜5500年前は「ヒプシサーマル」と呼ばれ、世界的に現在より高温)。3000〜1900年前は寒冷期(1650年前までは現在より低温)。1600〜800年前は温暖期(8世紀と10世紀にピーク)。800〜600年前以降はやや寒冷で、とくに500〜150年前は寒冷期(小氷期)。ということは現在の温暖化は、その後に始まった最近130〜150年間の現象です。1880年代の低温期は1883年クラカタウ火山噴火のせいでしょう。で、最近の温暖化の原因の一つとして「人類の工業化」を挙げることには文句はないが、気候変動がそれだけに起因するはずは絶対にない。このことは上記200万年の気候変動を見れば明らかです
●たとえば、およそ1万8000年前の最終氷期のピーク時に、海面はいまより100mも低かったわけ。海はその後だんだん上がってきたのですが(日本では「縄文海進」という)、過去1万8000年間で100mなんだから、1800年間で10m。つまり平均すれば100年に55cmずつ、海面はこのところずっと上昇してきたのです。だったら、2100年までに1m上昇しそうだからってガタガタ騒ぐんじゃないというのが、私の考えです(ゴアのいう6mはウソくさい。ゴアは「インターネットを考え出したのは自分だ」といった不都合な過去のある男)。人類が絶滅してCO2を一切出さなくても、45cm上昇して不思議がないならばね。そうじゃない、100年平均50cmなんて上昇は××年前に終わったんだ、というならまだわかるが、するといちばん急激な海進は100年あたり何cmだったのか。たぶん1mなんてことも過去にはあって、人類はそれを乗り越えてきたのでは? ならば、やっぱりガタガタいうんじゃないと思う。私は素人なので、現在の温暖化は、浅間山や箱根山の過去最大級の噴火に相当する巨大噴火がたった1発くるだけで吹き飛んでしまうかもしれない、とすら思います。そのとき人類は「寒い寒い。寒さの夏だ。異常気象だ」とおろおろするでしょう。もっとCO2出して暑くしとくだったんだと思うヤツすらいるかも。人類という連中は、そのくらいどうしようもないもんかも、と思ったりもする。環境学者のみなさんは、以上のような素人考え、または妄想に、ぜひ答えていただければ幸い
●よくある回答の一つは、「よくわからないから、できることをやるべし」というものでしょう。これは素人がいうならわかるが、専門家の回答としては落第。「テレビの青少年に対する影響は、よくわからないから、できる規制はやるべし」というのと同じで、そのようなテレビの専門家を、私はさんざんバカだと書いてきました
●午後1〜4時。放懇セミナー「<デジタル時代の視聴者像>ケータイ、ネットサービスと放送」@アルカディア市ヶ谷(旧私学会館)。勝野正博(博報堂DYグループ iビジネスセンター長)と水越伸(東京大学大学院情報学環准教授)の講演。これ以外は原稿書き

10-23
●今日、午後1時から40分間、田中康夫が参議院の総務委員会で総務大臣に質問するそうです。地上デジタル放送やNHK問題にもちょっとは触れるでしょうから、放送に興味がある方や記者は、見たほうがよいかも。参議院のウェブ生中継はこちら
●あれま、見てたら40分ほとんどが地上デジタル放送関連で、途中速記が止まったりして、最後にNHk経営委員長の資質に重大な疑義を呈して終わっちゃった。ま、聞いていた記者たちに問題点を伝えただけでも意義はあったでしょう。5000円のアダプタは5000円じゃすまない(アンテナ代が必要)とか、それじゃ画面が小さくなって高齢者など弱者にはキツすぎ、何年も使っている古いテレビにつけるんだから早晩テレビが壊れて買い直しになる(そのとき5000円はムダになり数万円かかる)と国会で指摘したのは、田中が最初でしょうから。この話は、新聞にすらまだ載っていないのだから

10-22
●21日23時50分、潮編集部の朝川桂子から「社内でスタンバイしていますので、 明け方までに原稿いただければすぐ出稿いたします」なんてメールが入ったのに、結局、22日朝5時までかかってしまった。ゴメン!! 話は10月1日からNHKが流すと決めた「緊急地震速報」について。詳しくは11月上旬発売の『潮』をお読みください
●日本全国1000か所に置かれた地震計の一つが地震のP波(初期微動、縦波、秒速約7〜8キロの波)をとらえると、直後に次のことがわかる。【1】震源はその地震計のそば(陸部と沿海部を地震計ごとに1000地区に分けたとき、その地震計のテリトリー内。とりあえずエリアの重心と推定)または(日本列島の外周をとりまく地震計の場合は)は地震計の海側のどこかとわかり、【2】最初の1秒で波が来るおよその方向がわかり、【3】最初の2秒で震源からのおよその距離がわかる(「立ち上がり」方などというが、急激に揺れが大きくなる度合いを調べれば、これは地震の規模ではなく、震源との距離に関係するので)。【4】その場所での揺れ方は、最初から観測され、いずれ最大振幅がわかる。以上が「単独観測点処理」で、3秒目くらいから中央(気象庁)の大型コンピュータに情報を送り始め、【4】については毎秒1回送り続ける
●2つめの地震計が揺れ始めると、誤報ではない(機器の故障や、付近に落ちた雷の震動ではない)とわかると同時に、さらに正確な位置がわかる。3〜5つの地震計が揺れた段階では、震源の位置、地震の深さ、マグニチュードがほぼわかる。以上がわかれば、全国どこでも到達時刻と震度が予測できる(経験から得られている地震減衰式という公式に入れれば計算できる)。100キロ離れた場所で起こった地震なら、地震のS波(主要動、横波、秒速約4キロの波)が到達して大揺れが始まるまでに25秒前後の余裕があるから、たとえば15秒で警報を末端まで届けることができれば、10秒で火を消し、机の下にもぐるくらいはできると。こういうのが緊急地震速報です。
●NHKは10月1日以降、テレビとラジオの全放送で、最大で震度5弱以上が予想される地震について、震度4以上が予想される地域向けに「緊急地震速報」を流します。それより弱いと見込まれる地震では速報そのものを出さず、速報を出す場合でも「強い地震に警戒」とだけ伝えて、震度は表示しない。到達までの秒数も表示しません(関東広域圏ではみんな同じ放送を見ており、地域によって震度や秒数はバラバラだから、出しても意味がない)。民放やラジオもNHKと同様に速報します。そのうち携帯でも始まるでしょう(現行機種ではダメ)
●ただ、震度5というようなクラス以上の地震は、たいてい近場で起こる。近場でないと、その震度にならない。地震のタイプによりますが、阪神・淡路大震災のような直下型では、緊急地震速報はまったく役に立ちません。そんなものを出している間もなく、大揺れが来るからです。とくに地上デジタル放送では、受信機その他で遅延が大きいため、アナログ放送よりも2秒ほど表示が遅れ、なおさら間に合わなくなってしまう
●私の兄は、阪神・淡路大震災のとき、震央(震源真上の地表点)から4キロという神戸市垂水区(もより駅は朝霧か舞子)に住んでいた。1995年1月17日は朝イチの新幹線に乗る出張で、午前5時44分頃マンション5階の自宅を出た。エレベータに乗り2階を通過するころ揺れ始め、1階でドアが開いてホールに出た瞬間、ものすごい揺れが来たと。冬の朝5時46分の神戸は真っ暗ですが、このとき空が真っ白に光り(稲妻どころじゃない明るさだったそう)、ものすごい揺れなのに2本足で立っていられたという。上下動しか来なかったんでしょう。で、震源の深さは16キロ(震源までの距離は約16.5キロ)だから、P波は約2秒後、S波は約4秒後に届く。エレベータ内で感じたのがP波の揺れで、それが2秒ほど続いた後にS波が来たとすれば、計算は合いますね(念のため。S波が来るとP波はおしまいになるのではなく、P波も届き続ける。大揺れのほとんどはS波によるが、P波による揺れも混じっている)。この場合は、偶然の一致で震央に地震計が置かれていたとしても、ようやく震源の位置がわかり情報を送りはじめる時点で、震度7の揺れが始まってしまう
●まあ、震度5や6の地震は多くの場合、震源から数十キロとか100キロ圏内で起こる(近いからこそ、大きく揺れる)。だから、テレビの緊急地震速報は、それが本当に必要な場所では、間に合わないことのほうが多いでしょう。あまり期待しないほうがいいですね。たとえば私は神楽坂に住んで21年になるが、震度5弱以上の地震が来たことはなく、震度4もたぶんない(震度3は何度かあった)。ということは、緊急地震速報は10〜20年に1度出るか出ないかという速報です。しかも速報の受信手段をテレビに限れば、見ている時間に地震が起こる確率は、十数%以下(1日あたり4時間視聴で4÷24×100=16.6%。2時間しか見ない人は8.3%)。緊急地震速報が間に合う確率を50%とかなり大きく見積もっても、震度5弱以上の地震で役に立つ人は、10人に1人かせいぜい2人という話になる。いつもつけっぱなしでオンライン接続の地震警報装置は、かなり役立ちます(企業はすでに活用しており、高額ながら家庭にも設置できる)。気象庁その他の地震観測網に依存しない警報装置(上記「単独観測点処理」をその場でやって警報を出す)は、震源が直下である場合を除き、ほとんどつねに役立ちます(これも市販されている)。マナーモードにしておいた携帯が、いきなり警報音を発し「震度5。あと10秒、9、8、7……」と秒読み開始したら、相当に役立つ。でも、電車の中で一斉にそうなったら、これは、かなり怖いですねえ
●それより、地震対策としてはるかに重要なのは、古い木造家屋の耐震補強と重い家具の固定です。これが、阪神・淡路大震災に襲われた地域で万全であれば、死者6400人は1500人以下に、負傷者4万4000人は1万人に減らすことができただろう、と考えられている。もっとも死者が6400人ですんだのは、たまたま社会・生活活動が始まっていない時間帯だったからで、通勤時などに発生すれば死者は2万人を越えただろうともいわれる。何はともあれ、まず、耐震補強! この衝撃映像(防災科学技術研究所)を見て思い当たる節のある方は、保険に入るより先、海外旅行より先、大型ハイビジョンテレビを買うより先に、お願いだから家を補強してください。100万円で命が救えます。行政の補助制度もあるはずです。少なくとも、木造の古い家(1981年より前に建った築26年以上の木造で、筋交いがあまり入っていない家。木造でもツー・バイ・フォーは大丈夫)では、頼むから2階に寝てください。非常食も飲み水も、そんなことはどうでもいいから。私の母方の祖父は、横浜で関東大震災に直撃され妻を亡くした(つまり私の祖母は後妻)。その後、静岡に住んだとき、瓦屋根も二階も造らせなかった。一番町にあったデカい家で、滝つきの池がある庭があり、離れ家まであったのにです。子どものとき、こんなデカい家なのにトタン屋根は妙だと思って、母に理由をたずねたことがある
●地上デジタル放送についての原稿書き。30枚くらい出来。さらに整理して、明日あたりからupします

10-21
●二宮和也が2007年度9月度のギャラクシー賞月間賞に入賞。詳しい情報は11月6日発売の「GALAC」2007年12月号に掲載されます。毎月4本の番組を選ぶのが普通ですが、ごくたまに個人が選ばれることがある(私の記憶では、せいぜい年に1、2回)。おめでとさん。なお、年に1度のギャラクシー賞個人賞とは別の賞
●夜までに、緊急地震速報についての原稿8枚。来月上旬の『潮』市民講座に載ります
●20日は0時から、Wikipediaによれば「事実上、日本国内のテレビ番組作りの最高の栄誉となっている」ギャラクシー賞の報道活動部門応募作(上期=4〜9月放送分)DVDを見始め、なんとか朝8時前に見終わる。2時間半ほど昼寝して「地上デジタル放送に関するメモ」を400字10枚。これを骨格として、来週からから当サイトにupを始める予定です。現時点までに総務省、メーカー、放送局が出しているデータだけに基づいても、2011年7月24日までの地上アナログ放送停止・地上デジタル放送への完全移行が絶対に不可能であり、完全移行の延期、国の政策と放送局の計画変更が不可避であることを検証します。まあ、放送関係者や放送に関して取材・執筆する者の多くがそうなるだろうと思っていることですが、そうなるだろうとほとんど誰も堂々と(実名を出して)断言したことがない内容。太平洋戦争に突入したとき日本は負けるだろうと思った記者は少なからずいたが、誰もそうは主張しなかった。当時は、書けば牢にぶち込まれたし、新聞社や出版社は潰された。いまは、牢にはぶち込まれないし、潰されもしない。しかも、すべての新聞社や出版社が書けないとしても、インターネットというものがある。だから書くと。みなさんもタダで読むと。いい時代になったものです
●1か月ほど前に会った放送担当の新聞記者(たまたま朝日でしたが、読売でも産経でも聖教新聞でも赤旗でも同じことをいったはず)には、「いま書けば他紙をリードできるよ」といい、「それとも広告があるから書けない?」と聞いたら、「それはない。絶対にありません」と言っていた。ところで、赤福がついに営業停止に追い込まれましたね。家族に好きな者が約1名いるので、私は京都に行くたびに駅で700円の小さいほうを買って帰っていたんだけど。いつもならば、ここの社長ってこんなしょうもないヤツとか、政治家の誰某さんは仲良しなんじゃないの、というような記事が載って不思議はない『週刊文春』や『週刊新潮』が、赤福問題で沈黙しているのはなぜか。いま出ている両誌の巻頭グラビアに、赤福が同じ見開き広告を載せている(注:前からずっと載せている)ことと、私は無関係ではなかろうと思います。商業誌だから当たり前ですが。どうでもいいけど、今週号は紅葉の写真で、両誌を並べると色がものすごく違う(『文春』のほうが、より赤っぽい)のには結構、驚いた。多くの企業では宣伝部が厳密に色校正をしますが、赤福ではその担当者がいい加減か、赤福が丸投げした広告会社の担当者がいい加減か、印刷会社がいい加減か、いずれかでしょう。カラー印刷というのは刷りはじめと刷り終わりで色味が変わったりしますが、ここまで違うと、まともな企業の宣伝部長ならクレームをつけるでしょうね
●20日15時からギャラクシー賞報道活動部門選考会@放送批評懇談会事務所。出席は麻生千晶(作家)、碓井広義(千歳科学技術大学教授)、上滝徹也(日大芸術学部教授、BPO放送倫理検証委員会委員)、小林英美(読売新聞)、坂本衛=委員長、田原茂行(元TBS、近著『視聴者が動いた 巨大NHKがなくなる』)、堀木卓也(民放連)=副委員長、事務局からは福島美子。所用で欠席の露木茂(元フジテレビ、オジサンズ11がスタート)と山田健太(専修大学准教授、こんな顔)は書面参加。山室英男(元NHK解説委員長、評論家)は体調を崩され、今回は視聴も含めてお休み。13本のうち4本を上期の入賞候補作に選出(発表は11月19日です)。前年度は、大半が防災・環境・地方行政(含む地方議会)の三つのうちどれかに入るという感じでしたが、今回はバラエティに富んでいてたいへん結構。◎○△×評価で大雑把にいえば、まず過半数が◎をつけた2本がスンナリ入賞。◎2票と○2〜3票がついたのが2本、◎1票と○2〜3票がついたのが2本あって、ここは議論になったが、結局前者2本が入賞。このほかの7本は△か×の選外ということで全員文句なし。その後、早い段階で残念賞と決まった7本に重きをおいて(上位作は議論済みなので)、なぜ賞に該当せず、どこに問題があるか、今後に何を期待するかを議論。最後に選評の執筆者を決めて17時半すぎ終了。18時前から事務所向かいの寿司「加賀屋」で懇親会(麻生、上滝、坂本、堀木、福島。他の委員は残念ながら欠席)を21時すぎまで、テレビの現状につき談論風発というか、激論というか。それにしても碓井広義は前日北海道から、上滝徹也は当日松本からの参加で(むろん飛行機代も新幹線代も出ない)、じつにありがたいことです。10時間以上DVDを見てもらい、選考会で3時間拘束して、出すのは「審査料税込み5000円+お茶+弁当だけ」なんだから
●問題は、上の議論の中身を、応募してくれたテレビ制作者、とくに入賞できなかったみなさんに伝えて励ましたいのですが、GALAC本誌では100字程度の短評しか書けないこと。放送批評懇談会サイトに載せられればよいが、他部門とのバランス上、具合が悪い。そこで各方面から了解が取れれば、当サイトにページを設け、私の勝手な感想の中でこんな意見もあったと書こうかとも思います。どんなもんでしょう
●すっかり忘れてました。草薙厚子は私に取材したことがあったんだ。たぶん4年近く前、この記事「『地上デジタル』テレビはいつが買い?」のときです

10-20
●昨日は夜6時40分、『オフレコ!5』に掲載する瀬戸内寂聴と田原総一朗の対談。23ページ分、400字で65枚出来。なんでも今週末に先方に渡さないと、講演旅行に出かけちゃってゲラ戻しが11月になっちゃうそうで、滑り込みセーフ。私が入れている原稿は、26字×22字×2段×23ページ全1012行ピタリで小見出し位置指定付き(「泣き別れ」なんていいますが、何行分という小見出しがページをまたぐ位置にあると具合が悪いでしょ。それが発生しない)、句読点のぶら下がりも1箇所もない、数字他全表記が最初からその雑誌仕様になっている、編集者と校正者が泣いて喜ぶ完全原稿。出てくる仏教用語や人名は全部必ず、広辞苑、小学館『佛教大事典』、平凡社『世界大百科事典』で二重、三重にチェックしてあり、それでも調べがつかなきゃ平凡社『大辭典』を引くと。なので結構、時間がかかります
●『ウィキペディア(Wikipedia)』は、頑張っているし、タダなのがエラいし、かなり使えますが、使い方を間違えないようにしないと。取材のとき、時事問題の経緯とか人物の経歴・エピソードを印刷して電車の中で読むなんてのはよくやります。あと、世間一般の理解はどうかを見るとか。ただ、最終的にWikipediaに信をおいて書くのはマズい。ヒマな官僚が自分たちに関する記述を都合のいいように編集したりしていますから。だから無意味だとは思っておらず、そういうのは次第に修正されていくんだというWikipediaの考え方も支持しますが、まだ発展途上ということは踏まえないと。あと、文章がヘタなのは、いかんともしがたい。もっとも『世界大百科』だって信用はできない。たとえば南京大虐殺の記述は「犠牲者数について中国側の公式見解は30万人とするが,戦闘行為による戦死者を除き,上海から南京への進撃途上から38年2月初めまでの期間をとれば,10数万人から20万人前後に達するとみられる」。これよりは、異なる被害者数を推定する主な見解を並べて書くWikipediaの記述のほうがまとも
●19日夜8時半から3時間寝て起き出し、ギャラクシー賞報道活動部門の応募作を視聴。放送局のみなさん、ご応募ありがとうございます。徹夜でちゃんと見ますから、ガンガン応募してください(報道活動部門については、今回出せなかった方も、2007年4月〜2008年3月放送分ならば2008年3月にエントリーできます)。げっ、11本じゃなくて13本だった。おっ、15分なんて短いのもあってラッキー。でも、関連資料が5cmくらいの厚さなのがイタい。たぶん20日昼までかかる。午後3時〜ギャラクシー賞報道活動部門審査会@放送批評懇談会事務所。終わってから寿司「加賀屋」で懇親会。3時から「オフレコ!」匿名座談会があって、いつもは進行役を(田原の独演会にならないように)やるんですが、本人にまかせて欠席

10-19
●昼前電話で話したのですが、小林道雄は10年ほど前に『少年審判』という本を講談社から出している。これがなぜ小説の形を取っているのか。当時、小林はどんな取材をし、どれだけ供述調書を読んだか。講談社の編集者は著者や、古い編集者(みんなOBですが)に聞いてみればいい
●本日の日大授業は休講。すまん。学生諸君は藤井助手を経由して届くメールの指示通りにしてください。日暮れまで原稿書き
海上自衛隊の給油につき、米国防総省が声明(日本時間18日深夜)。なかで「燃料使途の完全な特定は困難。燃料は混ざり、艦艇に複数の任務があるからだ」と言っています。これは1週間以上前の当欄に書いてあること。以下、10-11(任務について)と10-12(燃料について)の記事を再掲。◆2003年3月20日にバクダッド空爆で始まった戦争をやる軍隊は、3週間前には戦闘状態にある。◆新たに給油した燃料は前のと混ざります。仮に「ときわ」が「ペコス」に給油した燃料が、真っ赤な着色料で染めてあったとする。で、3月20日に艦載機を飛ばしてバクダッドを空襲した空母キティホークの燃料タンクを調べたとする。燃料は極めて薄いにせよピンク色をしているでしょう。つまり、空母キティホークは日本国民の税金で買った燃料のごくごく微量であれ一部を使って、イラク空爆をしたことになる。当たり前でしょ、そんなこと
以上の「当たり前」を、米国防総省が声明を発するまで、日本の新聞・テレビが報道せず、国会でも誰も質問しないのは、なぜか?  国境なき医師団JAPANの会長は、ブラックジャックみたいなすごい外科医(「そこらの寝た医師が1時間かける手術を自分は15分でやる。それで命が救われて手術代50万円なんてふざけた話があるか。こっちは命を救ってんだ」といいつつ、砲声轟《とどろ》くスリランカなんかで月手当て10万円也で、腹に穴の空いたのとか指が飛んだのとか、日に20件だか30件だかの外科手術を1人でやったってヤツ)なんだけど、12日付け坂本宛メールで「キティさんの油のタンクというのは、大1個きりなのですか? それとも、いくつかに分かれているの?」と、まっとうな質問を寄こしている。軍事専門家でなくても、当たり前の質問はできる。何十万人かが同じ疑問を抱いたはず。にもかかわらず新聞テレビはその疑問に答えず、米国防総省様のありがたいご託宣としてならばニュースにする。疑問に思う姿勢の欠如、質問力の弱さ、メディアの思考停止──そんな言葉が頭をよぎります。頭が悪いとか、ものを知らないというのではない(それは本を読んだり勉強したり経験を重ねれば、ある程度なんとかなる)。世の中やものごとと向き合う態度、姿勢が問題でしょう(不勉強よりはるかに始末が悪い)
●みながあまり発しない疑問を一つ。Googleってすごいとみんないうんだけど、「『Four More Years』って言葉が出てくるサイトは?」とGoogle君に聞くと、「ウェブ全体で4億9600万件ありますねえ。たぶん大事なのはこの872件です」とか教えてくれて、「いちばん重要なのはこれです」というわけ。こんなの、まともに信じられます? 昨日は6億1000万件以上の中でと言っていた。全世界でなんと900件以下しか表示しないんですよ。非英語圏に「Four More Yearsだとよ。ふざけんな」というサイトやページがいくつあるか知らないが、まるで表示しない。Googleの窓から世界の何分の1が見えているのか。アメリカの連中のSEOに関する理解や技術がろくでもないことにも驚くけど、「Googleを100%信じるとまずい」と思いませんか? 現時点ではどんな人物でも、当サイトにその人に関するページをつくれば、Googleの窓に「名前 テレビ」または「名前 放送」と入れたとき、そのページがトップ10件中に表示されてしまう。田中角栄、小泉純一郎、小沢一郎、海老沢勝二、氏家齊一郎、澤田隆治、横澤彪、日下雄一、誰でもで、テレビ・放送業界の人物については名前だけで上位表示するでしょう(やってみて)。私としては、Google君がそうしてくれることに文句はないが、Googleはそういうもんだと了解のうえで、Googleに広告を出す人は出すように。電通も博報堂もこういうことは知らないか、知っていても教えてくれないのでね

10-18
●昼過ぎ、アジアプレスから回ってきたお知らせ。以下そのまま転載。ただし、視聴は有料とのこと(月525円)。なお、石丸次郎は来年、琵琶湖塾に登場します
アジアプレス・ネットワークで新連載開始!
スクープ!世界初 これが北朝鮮・平壌の裏通りだ。
8月下旬、リ・ジュンたち北朝鮮内部の取材チームは、首都平壌にビデオカメラを持って潜入し、平壌の普通の庶民の暮らしの一端を撮影することに成功した。情報統制の厳しい北朝鮮の、その首都平壌において、これだけ生々しい庶民の暮らしが撮影・公開されるのは初めてのことである。北朝鮮人ジャーナリストの渾身の取材を、シリーズで公開していきます。(取材:リ・ジュン、解説:石丸次郎、撮影:2007年8月下旬)
●原稿書き。とりあえず、19日の明るいうちまでにあと65枚書けば『オフレコ!5』は一段落。ったって20日午後3時までにギャラクシー賞報道活動部門の応募作DVD11時間分を視聴し、さらに17日締め切りといわれた別の1本を、どこかでぶっ込まないと。こりゃ日大1回休むしかない
●ちょっと暇な方は、Googleの窓に「Four More Years」と入れて検索してみて。6億件以上の中で、どのサイトのどのページを最上位に表示するか。笑えますよ

10-17
●1時〜3時すぎ、田中康夫とランチ@西早稲田かわうち。康夫ファンの渡部雄一は、まっ昼間から刺身をドーンと出してくれる。地上デジタル放送、NHK経営委員会などにつき意見交換。小沢一郎のスタンス、民主党内の情勢、小泉チルドレンの怪しい動き、飯島勲の消息その他についても、いろいろとおもしろかった。【以下18日追記】「うん、それはいい」と田中に私が賛同したのは、「財源は?」と必ず聞かれるから、財源の新規手当ては不要、前年度と予算枠は同じでいいから、「使い方だけ変えろ」って法案を出すと。◆たとえば林野庁予算で、間伐(育ちをよくするため生えすぎを切る)のような純粋な森林整備に回るカネを大幅に引き上げろ、森の木を切って道を通すなんてのは森林破壊だから、そっちむけのカネを森に回せ、予算を組み替えろと。すると、官僚(中央も地方も)と土木業者の利権構造を壊すが、間伐をやる地元のおっちゃんたちにはカネが回り、雇用につながる。◆これは田中康夫が長野でやった手法です。脱ダムは、官僚とゼネコンや県内大手土木の利権構造は壊すが、河川改修をやる地元中小土木にカネを回す。ダムでは建設費の8割方が長野県外のゼネコンに還流するんだからそんなの止めて、地元業者による河川のメンテナンスに切り換えれば、全体のカネはしょぼくなったとしても地元中小は潤うという話。高速道路を新規に通すより、県内道路のメンテナンスのほうが、地元は儲かるというわけです。◆この手法は、国と地方の借金1000兆円以上、人口縮小社会に突入、都市と地方の格差拡大、官僚の腐敗とたかりの構造といった大状況、大問題を解決するベクトルを、明らかに持っている(一石何鳥かになる)。しかも、肝心なことは、ゼネコン社員より中小零細土木事業者のほうが、農協職員より農家のほうが、地元ボスより地元庶民のほうが、必ず数が多い。単純化していえば、自民党は業界や地元のボスにカネを回し、そのボスのバラマキによってボス支配下にある者たちの票を取っていた。民主党は、ボス支配下にあった者たちに直接カネを回せば、彼らの票を取れる。そっちのほうが数が多いんだから、選挙にも勝つでしょう。◆と、ここまではいいとして、子ども一人当たり月2万6000円出す民主の子ども手当て法案には、以上のような一石何鳥かのメリットがない。しかも、みんな(低所得者を含む)から取ったカネを子どもがいるみんな(創価学会の家も資産100億円という大金持ちの家も含む)に渡すんだから、どちらかといえば低所得者層が多い民主党は、彼らの票を失うでしょう。だから私には、何やってんだか理解できないわけです。田中康夫も私と同じような考えでしょう。◆小沢一郎は「でも、(マニュフェストを一度)出しちゃったからなあ」なんていわず、いまからでも遅くないから、「月26000円出すといったが、いろいろ考えたら、ちょっとまずい点もある。5兆8000億円の総額は変えずに中身を組み替えることにした。たとえば給食費無料でいくら……」と、見直すべき。マニュフェストなんて、誰も読んでないんだから、まだ間に合うと思いますね
●あとは原稿書き。夜、『オフレコ!5』に掲載する五木寛之と田原総一朗の対談。23ページ分、400字で65枚出来。五木はこんなことを語る。「浄土真宗・東本願寺の就任祝いで祝辞に立ったのは3人け。一人は門徒代表。一人は西本願寺の大谷さんで天皇家と縁のある人。もう一人が部落解放同盟の代表。だから本願寺は、天皇家から被差別部落までを結ぶ、いわば社会的な煙突。本願寺が何に支えられているかというのは、そこがいちばんおもしろいんだよ」と。その通り、実におもしろい。内側から外側にむかって、城下町は城・堀・町という構成だが寺内町は寺・町・壕や土居《つちい》という構成(つまり寺内町は境内)とか、織田信長の楽市楽座のルーツは何だとか、金沢も大阪も本願寺を焼いた上に城を建てたとか、被差別部落の神社は白山神社で寺は浄土真宗の寺だ(一茶「穢多寺に 今年も 桜咲きにけり」)とか、久しぶりに歴史の勉強。なお、蓮如に取り憑かれていた五木は、いよいよ親鸞をやるらしい。詳しくは、11月下旬アスコムから発売予定『オフレコ!5』にて

10-16
●6時半〜9時、放懇グランドデザイン小委員会@新宿5丁目放懇事務所。石井彰、、市村元、入江たのし、岩本太郎、小田桐誠、音好宏、深川章、坂本衛、事務局から中島好登。夜、『オフレコ!5』その他企画につき、高橋克佳と30分ほど電話で話す。宗教大特集にふさわしく、巻頭にて世界的な宗教指導者のインタビューを掲載すべく交渉中(没になるかもしれませんので誰とは書きませんが、そう、その方です)
●あとは原稿書き

10-15
●原稿書き。夜、『オフレコ!5』に掲載する堀澤祖門(天台宗大僧正、叡山学院長)と田原総一朗の対談。12ページ分、400字で30枚出来。祖門師は「仏教の自己崩壊」「本当の危機感」を表明。たとえば「坊さんが生活に安住し、本当の意味での修行や勉強を真剣にやってない。実社会は競争で、まごまごしていたら消される。その中で競争に勝ち、淘汰された人たちが、現代の一線で社会をつくっている。その社会に不勉強な坊さんたちがノコノコ入っていっても相手にされない。仏教界とか出家とか在家というのはもう関係ない。一般の方のほうが知的レベルが高かったりするんだから」「日本の仏教で宗教的なマグマが爆発した時代は、平安朝と、それから鎌倉時代。それ以後、あれだけの宗派を作る人は出てこなかったね。ということは、その後ずっと沈静化してしまっている。平成あたりで、ひと爆発しなければいかんのだけど」と
●昨夕までに、『オフレコ!5』に掲載する佐藤優と上田紀行と田原総一朗の鼎談。23ページ分、400字で65枚出来。熱心なクリスチャン(プロテスタント)の佐藤優は「教会学校に来ているガキどもって、えらい性格が悪い。クリスチャンというのは基本的に偽善者の仲間みたいなもので、親の前だけいい格好しい」「ルターなんというのは、アドルフ・ヒトラーが一番尊敬した人物。ドイツ農民戦争で、ただちに農民をぶっ殺せ、皆殺しだと言った。今殺されれば、魂はそれほど穢れていないから、最後の審判で救済できると……。(田原 オウム真理教と同じじゃないか。ルターは麻原彰晃か?)一緒、いっしょ」「怒りはキリスト教ではハッキリしている。神様は、嫉妬深くて怒りっぽい。すぐ怒るんです。趣味はジェノサイド、皆殺しです。旧約も新約も基本的に同じ。どういう発想かといえば、自分が作ったものだから壊してもかまわない。基本的には嬰児殺しの発想」「ブッシュさんは、猿の惑星のコーネリアス博士とザイアス博士を足して2で割ったような顔をしている。あの顔からすると神様を信じているんでしょう。信じていなければ、あんなイラク戦争なんてこと、できっこないでしょ」と、絶好調。絶対おもしろいこと、保証します。読んでください!

10-14
奈良の調書流出事件、鑑定医を秘密漏示容疑で逮捕と読売新聞。情報源を秘匿できず、情報提供者を守れないジャーナリストは、その点では失格。単純に、信用を失い、今後は危なくてその者に大事なことを話せなくなるから。出所が限定される(あいつかこいつかと絞めていけば特定できる)資料はダイレクトに使うべきではない。法律違反に問われる可能性がある場合は、情報をくれとメールを打つべきではない(証拠が残らないよう)し、書類は手袋をしてコピーすべき(指紋が残らないよう)。基本がなってない
●そのことと、ジャーナリストの仕事に社会的な意味があるかどうかは別。「情報源はバレるかもしれないが、敢えてこの問題を明るみに出す」というジャーナリストの判断はありうる。そのときは、情報源に「覚悟してくれ」というべきで、情報源が「あんな形で使うとは思っていなかった」と漏らすようではお粗末。私ならば、ある子どもにもその父親にも長時間話を聞かず、当局が取ったその子どもの供述調書とその他の周辺取材だけに基づいて、「ある子どもが自分の父親を殺そうと決断した」(本のタイトルはその意味)という結論を出すことは、絶対にしない。単純に、その手法で事実に迫ることはできないから。その手法では、まったく犯罪に関与していない者が無罪かどうかすら判別できない。富山の冤罪事件で、同じ手法で「俺は女を犯そうと決めた」という本を書けば、これはただのバカ。子どもは何をやったかすら、夢のようにわからなかったかもしれないのに、事件直後、子どもの専門家でもない当局担当者がキリキリ追いつめて取った調書に、どれほどの意味があるかは、当の子どもに(信頼関係を構築したうえで、長時間、慎重に)話を聞かなければ判定不能。そう思わない者に子どもの問題がわかるはずがない。だから私は、問題の本をもちろん読んでいません
●表現の自由は、以上と密接に関わるが、また別の問題
●このジャーナリストは過去に「ゲーム脳」と少年犯罪を結びつけた記事を書いているらしい。むろんゲーム脳と普通の脳を区別する科学的な知見はない。ボードゲームの人生ゲームは問題ないが、テレビゲームの人生ゲームを長時間やれば少年犯罪を誘発するという証拠は、一切ない(ボードゲーム派は友だちが多いがテレビゲーム派は孤独で、友だちが多いヤツより孤独なヤツは何かと問題を抱えがち、という声はあるかも。でも、そりゃ脳の話じゃない)。ゲーム脳の持ち主が、それを理由に犯罪に走るなら、将棋指しのタマゴなんて全員が犯罪予備軍。大人のゲーム脳も問題なら、四六時中モニタとにらめっこする空港管制官、ゲーム開発者なんかもそう。んなアホな
●原稿書き

10-13
●国境なき医師団JAPAN会長・臼井律郎から、自衛隊によるインド洋上の補給活動につき、「何を議論しているんだかわからん。どうなっているわけ?」メール。いきなり当欄でご回答。臼井の疑問をもとに、質問を適宜整理してあります
日本は朝鮮戦争、ベトナム戦争当時から今回の給油のような戦争協力をしているのに、いまさらキレイ事いって偽善者の議論をしても仕方ない、と言いたいのか?
◆質問後段は、それに近い。ただし、朝鮮戦争(1950〜53)のときは、北軍は釜山まで南を追いつめたんだから、反撃する国連軍(実態は米軍)は日本を足がかりにして、日本から出撃した。日本は掃海艇を出し戦死者も出ている(長く秘匿された。公式には湾岸戦争で初めて出したことになっている)。仁川上陸作戦も旧日本軍関係者がアドバイス。土嚢《どのう》袋・毛布やテント・鋼管・鉄条網・コンクリ・糧食など軽工業品の生産のほか、砲弾や兵器(部品)の生産、戦車を含む車両や艦艇・航空機の整備や修理も日本がやった。ただ、自衛隊は1954年創設だから、やったのは民間(いわゆる朝鮮特需)。日本は貧乏だったから、アメリカに油の無償提供はしてない(はず)。ベトナム戦争でも沖縄その他が出撃・補給基地となり、B52は沖縄・嘉手納《かでな》基地から北爆に出撃した(1965〜68)。当時の沖縄は占領下にあり「日本ではない」ので、米軍が日本を舞台に自分のオペレーションをやったという話。今回ような給油はなかった(はず)
佐世保だか沖縄だかの機能の一部がインド洋まで出張しただけで、やってることは昔と同じ
◆いや、ちょっと新しい。米軍は鶴見と佐世保に米本土(ノーフォーク海軍基地)を除けば2番目と3番目にデカい石油基地を持ち、自分で勝手に給油する。その燃料代は、基本は米軍持ち(在日米軍基地の日本人従業員の給与や、米軍基地に付属する施設の建設[アル中病院から教会まで。教会建設に日本国の税金を使うのは、厳密にいえば憲法違反かも]は日本側が負担しており、基地の地代も米側から一切取っていない。日本は米軍むけに毎年、数千億〜1兆円以上に相当する莫大な資金負担をしているとはいえる)。これに対し、今回の海上補給は、海自補給艦がホルムズ海峡付近まで出張っていき、湾岸諸国の岸壁に横付けして、日本の税金で買った油を、洋上で併走する米軍艦艇に給油する。つまり、対テロ戦争の海上警備艦艇(2001年から5年間で回数が多い順に、米、パキスタン、仏、カナダ、英、伊、独、ニュージーランド、オランダ、ギリシャ、スペインなどの駆逐艦、および米英の補給艦)に給油し、後方支援この言葉くせ者。別の言葉では「兵站《へいたん》」で、立派な軍事活動)すると。ま、アフガンのテロリストどもがインド洋上に出てくるなんてことはあまりないはずで、作戦的には大して意味がない。せいぜい海賊狩りってとこ。燃料費の肩代わり+米英艦艇の手間はぶき(寄港せずに済む)+わざわざ行って共同作戦し、国際貢献しているってパフォーマンス
燃料は船用? 戦闘機に使う油は?
◆メインは船の燃料だけ。キティちゃんは、米補給艦を介して数日の航行分をもらった(海自補給艦が米補給艦に渡し、それがほぼそっくり空母に渡った。空母に直接は渡してない)。艦載ヘリ用の燃料も一部給油する場合があるらしい。空母艦載機(ジェット機)の航空燃料はまた別で、米軍自前(のはず)。米英パなどの対テロ海上警備に関わる艦艇の燃料の大半を、これまで油代何百億円かかけて補給した。補給艦の警備にイージス艦も出している。で、根拠法がテロ対策特別措置法(イラク特措法とは別)だから、イラク戦争用の給油はできない建前。ところが、日本を出撃した米第7艦隊はこのあたりを通るので、米主力空母に渡った。話が違う、対イラク戦争協力じゃないかという議論。ピースデポってNPOの調査・緊急報告はこちら
対テロ戦争への貢献度からいってリーズナブルな負担か?
◆米英軍を満足させる点では「安い」といえるかも。ただ、日本列島全体でハワイ以西〜アフリカ東岸をカバーする世界最強の海軍機動部隊=第7艦隊を支えているという対米貢献度(米海軍に母港を提供する国は全世界で日本のみ)からすれば、どうでもいいレベルの話。だから米側も「日本は無理せんでいい」と言っている。ガタガタいわれて「日本から出てけ」となるのが困るから。この点、前日本国首相は何一つわかってなかった。恥ずかしい
◆対テロ貢献については、いくつか異なるレベルがあるでしょう。途上国への援助(貧困対策とか医療支援とか産業育成とか、その国がテロリストを生む土壌にならないよう自立を助ける)、テロ予備軍が生まれつつある国への特別な対策、テロリストをかくまう国への圧力や制裁、国際的なテロ行為への警戒、テロリストそのものの撲滅(軍事力行使)という具合に。以上を、地域の重要性、日本との関連(たとえば石油の輸入先として特段に重要だ、とか)などを勘案しつつ、日本がどこで何をどんな組み合わせでやるかという中長期的な国家戦略を立てて実行していくことが、本当に「テロと戦う」ことのはず(小川和久がよくいうのは「病気と戦う」のと同じ。病院整備や新薬開発や手術の技量向上ばっかり力を入れてもダメで、予防、公衆衛生、啓発なんかを組み合わせるんだと)。しかし、日本にそんな戦略があるとは聞かない。日本でいま対テロ戦争といえば、軍事力を使う後の二つ(アラビア海の海上警備、アフガンやイラクでの掃討作戦)につき、建前上参加できないから後方支援すると(イラクでは空自が米兵や軍需物資を輸送中)。これでは、テロはなくならないと思う。援助はODAなんかでガンガンやってるじゃないかといっても、いい加減なカネの出し方でしょうもない政府を太らせるだけでは、民衆にテロリストの種が芽生えていたりするわけで。このODAのポンチ絵だけで国家戦略といわれてもねえ
他の方法でなく、これを続けるのがよい国際貢献になるわけ?
◆アメリカは悪の枢軸やっつけろの一辺倒で、テロリスト撲滅しか興味がないようだから、対米国際貢献としては覚えめでたかった。しかし、全世界のためになるよい国際貢献かといえば、もっと優先順位の高い貢献がいくらでもあるでしょう。アメリカも対北朝鮮では政策を変えてきたし、いつまでもコバンザメみたいにくっついているとバカを見る
◆「日本は、北朝鮮が攻めてきたとき助けてもらうために、イラクやアフガンで協力するんだ」という人があるけど、大嘘。そんなの関係ない。イラクやアフガンで何もしなくても、アメリカは日本への攻撃に反撃するとの約束が日米安保条約。万一、アメリカが日本を助けようとしなければ、「日米安保は破棄だ。役立たずの米軍は日本から出ていけ。核武装するぞ」と連中を脅しゃあいい。それって北朝鮮よりはるかに恐ろしい国が極東に出現することだから、アメリカは日本を助けるほうを選ぶに決まっている。しかも日本軍(自衛隊)は米軍をしっかり守っている。9.11で在日米軍が厳戒態勢を敷いたとき、自衛隊や日本警察が米軍基地の周囲を厳重警備した。テロリストが突っ込んできたら、自衛隊や警察は米軍より先に発砲したはず。岩国や三沢には米攻撃部隊(攻撃機)がいるけど、基地上空を防衛する戦闘機はいない。代わりに空自の邀撃機《ようげきき》や陸自の対空ミサイルで守っている。政府や自衛隊は「日本本土を守っているだけ」というんだけど、実態は在日米軍を守っているわけで、いざとなれば自衛隊は米軍のやらない反撃をする。だから事実上、集団的自衛権を発動していることになるが、政府も野党も「憲法上、それは発動できない」なんていう。こういうのは、臼井のいう偽善者の議論に近いし、現実を見ない空想的な議論ともいえるでしょう

10-12
●10時40分、日大。あと原稿書き
●東京新聞10月10日夕刊から〈石破防衛相によると、海自補給艦「ときわ」は二〇〇三年二月二十五日、インド洋上で米補給艦「ペコス」に八十万ガロンを給油。ペコスはペルシャ湾に近いホルムズ海峡に移動し、キティホークに六十七万五千ガロンを補給。キティホークはそのまま海峡を通過し、ペルシャ湾に到達した。
 石破防衛相はキティホークの燃料消費量を詳しく説明。キティホークがペルシャ湾への移動で、補給された燃料を使い切っているとの見方を示し、「(アフガニスタンでの)『不朽の自由作戦』に使われたと考えるのは極めて合理的だ」と述べ、イラク戦争への転用を否定した。〉
石破茂は、もちろんわかっていて屁理屈をいっている。私の屁理屈は、こうです。みんな、ガソリンスタンドで車に給油するとき、前のガソリンを完全に使い切ってから入れますか? んなヤツはいない。ガソリンスタンドまでたどり着けないかもしれないからで、艦艇も同じ。新たに給油した燃料は前のと混ざります。仮に「ときわ」が「ペコス」に給油した燃料が、真っ赤な着色料で染めてあったとする。で、3月20日に艦載機を飛ばしてバクダッドを空襲した空母キティホークの燃料タンクを調べたとする。燃料は極めて薄いにせよピンク色をしているでしょう。つまり、空母キティホークは日本国民の税金で買った燃料のごくごく微量であれ一部を使って、イラク空爆をしたことになる。当たり前でしょ、そんなこと。で、政治家は当たり前のことを質問せず、新聞テレビも当たり前のことを報じないのは、全然当たり前でない

10-11
●昨夜、田原総一朗から電話があり、NHK経営委員会が暴走している件をひとしきり話したら「そんなのムチャクチャだ。書いたものはある?」。読売、朝日、東京の記事と当欄10-10記事をFAX。サンプロでやるつもりかも。舛添要一が「TBSは欠席裁判をした。放送法違反」と口走った件で田原がいうには「サンプロに何度も呼んでいるが、舛添は長妻と一緒だと絶対出ないんだ」そう。当サイト「政治的公平」の議論は番組で深めよ(政治介入・公平中立・政治とテレビ)ページを更新したので、興味のある方はどうぞ
●東大大学院教授(経済学研究科)・醍醐聰のブログがNHK問題をガンガンやっています。本日付記事では「NHK経営委員の小林英明氏は安部幹事長(当時)の訴訟担当弁護士だったのか?」と、NHK経営委に関する安倍内閣の新たな「お友だち人事」疑惑を伝える(「新たな」というのは、経営委員長・古森重隆がお友だち人事であることはわかっているので)
●そうそう、忘れないうちに二つほど。誰か(ド忘れ)が外国人特派員に「メディアが『衆議院と参議院のねじれ』という言葉を使うのはよくない、それだけでマイナス・イメージを伝えるから」といわれたと、何かで読んだ。アメリカでは2年ごとに上院(任期6年で3分の1ずつ改選)・下院選挙(任期2年)があり、解散はない。4年に一度の大統領選と重ならない年の「中間選挙」では、与野党逆転する場合が多いが、それを「ねじれ」とは呼ばないと。本当にそうですね。「参議院で野党が多数」を「ねじれ」と表現してしまうのは、衆議院と参議院で自民党(または自民党+連立党)が過半数を占めている状況を「正常」「当たり前」と感じているから。日本の戦後62年間に自民党が野党になったのは片山政権と細川政権だけだから、無理はないともいえるが、ほぼ60年近く「一党独裁」が続く国は、西欧民主主義国からすれば「異常」なことは確か。福沢諭吉がアメリカに行って「ワシントンの子孫はどうしているか?」と質問し、「どこかで普通の人として暮らしている」と聞き、感心した(「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」をやっていると実感した)。いまアフリカの未開国から日本に来た者が「福田元首相の子孫はどうしているか?」と質問し、「息子が首相をやっている」と聞いたら、「ふーん。日本は人の上に人を造る国なんだ」「首相の世襲制度があるのかな。中世みたいだね」と思うかも。アメリカに行っても事情は同じなのが、笑えるというか、絶望的に悲しいというか
●もう一つ。石破茂・防衛大臣が「イラク戦争の直前、自衛艦が空母キティホークに(後からの注:米補給艦を介して)給油したが、それはペルシャ湾に入る前に3日で消費。3週間後に始まるイラク戦争には使ってない」と説明。マンガですね。2003年3月20日にバクダッド空爆で始まった戦争をやる軍隊は、3週間前には戦闘状態にある。むろん多数の特殊部隊も潜入を開始している(映画『今そこにある危機』のようにやるために)。その時期の米主力空母への給油は、戦闘部隊への直接支援であり、明らかに戦争協力です。考えてみてください。1941年11月26日、択捉《えとろふ》島の単冠《ひとかっぷ》湾に集結していた帝国海軍の機動部隊は、ハワイに向けて出撃し、12月8日に真珠湾(パールハーバー)を空爆した。仮に第三国の補給艦が、単冠湾で空母赤城に給油したら、当時のアメリカは許したと思いますか? 私は、アメリカはその第三国を攻撃すると思います。日本は、フセインのイラクに対してそのようなことをしたのだという自覚が必要です。そもそも、日本にこれだけの米軍基地を置き、米第7艦隊に母港を提供している時点で、集団的自衛権は事実上行使されている。イラク戦争で最初にトマホーク(巡航ミサイル)を撃ち込んだほとんどの米艦艇は、日本の鶴見や佐世保で給油し、日本から出撃していった。つまり、沖縄県民や佐世保市民や横須賀市民をはじめ日本人は、フセインのイラクから見れば、立派な戦争協力者です。このことを自覚しない反戦運動は、私は無効だと思います。そんなバカなと思う方は、日本の「戦争力」をお読みください
●うちで育ったカマキリが、まだ頑張っています。朝顔の咲き終わった花を摘《つま》んでいたらボソッと落ち、鎌を振りかざして怒ってた。ダラダラと原稿書き

10-10
●NHK経営委員会の古森重隆・委員長(富士フイルムホールディングス社長)が9月11日の経営委で「選挙期間中の放送については、歴史ものなど微妙な政治的問題に結びつく可能性もあるため、いつも以上にご注意願いたい」と異例の要望。NHKの橋本元一・会長は10月4日の定例会見で「心外だ。経営委も同じNHKであり、公共放送としての主体性を分かった組織であってほしい」と不快感を表明。昨9日の定例会見でNHK経営委員長は、「十分注意してほしいという一般論」「NHKの番組は見ていない。朝も昼も忙しい」などと発言。読売新聞は4日の段階で記事に。今日10日は、東京新聞朝日新聞ほか各紙が報道。今回はNHK側の言い分が正しい。NHK経営委員長発言の問題点は、私にいわせれば次の三つです
●【1】露骨な政治的発言・政治的な圧力と受け取られかねず、近年、政治との距離が近すぎることが問題となったNHKの経営委員長として配慮を欠く、極めて不適切な発言である。
NHK経営委員長は、歴史番組について「太平洋戦争など史実が定まっていないデリケートな問題もある」と述べ、「そのような問題を扱う番組は、政治的問題に結びつく可能性があるから、選挙期間中はとくに注意してほしい」と発言した。同時に9日会見で「放送法第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。2 政治的に公平であること。」(1、3、4は略)を持ち出し、「(公共放送は)これが規範だ」と述べている。以上ことから、「微妙な歴史問題を扱う番組は、なるべく事実誤認なんかないように丁寧に作ってね」などと要望したのでなく、「微妙な歴史問題を扱う番組は、選挙期間中は、選挙がない時期より特別に、政治的公平に注意を払ってほしい」という趣旨で発言したことは明らかだ。「選挙期間中の歴史番組は、『与党より』とか『野党より』にならないよう、特別にバランスを取ってもらいたい」と要望したと言い換えてもよい。NHK経営委員長は、そんなこと当たり前じゃないかといいたいだろうが、全然、当たり前ではない。たとえば、いま「沖縄への核持ち込みに関する日米密約」を扱う歴史番組を作れば、それは当時の日本政府(自民党政権。首相は佐藤栄作で、安倍晋三の大叔父)が国民を騙していた(その証拠が最近アメリカで出てきた)ことを伝える内容になる。それを選挙期間中に放送すれば、野党よりは与党にダメージを与えることは明らかだ。「沖縄では戦時中、日本軍が県民に手榴弾を配り、集団自決をうながした」と結論づける歴史番組も、現行政府(総責任者は首相=自民党総裁)がチェックした教科書の内容と食い違うから、選挙期間中に放送すれば、野党よりは与党にダメージを与える。「沖縄で県民集会が開かれた」というニュースも同様だ。以上の例では、どう注意したって、与党にダメージを与えるに決まっている(むろん、どう注意したって、野党にダメージを与える番組もある)。だから、NHKがそうならないように最大限注意を払えば、「番組を制作しない」か「放送しない」以外に手はない。ようするにNHK経営委員長は、NHKに対して、NHKが政治的なバランスに最大限注意を払えば特定の番組を放送できなくなってしまうような事柄について、「注意してくれ」と言ったことになる。その自覚はなかったとしても、だ。だから、この発言はダメである。それは、NHK会長の任免権を持つ者による「選挙期間中は特定政党に不利に働く番組を流さないように注意してくれ」という政治的な圧力と紙一重だから、ダメなのだ。NHKの受信料不払いには、NHKの政治との距離に疑念を抱く者によるものがある。そんな時期に、露骨な政治的発言と受け取られかねない不用意な発言をしたNHK経営委員長のセンスを疑う
●【2】「NHKの番組は見ていない。朝も昼も忙しい」などと、NHKを愛しても、NHKに対して敬意を払ってもおらず、NHKの番組に興味がないかのような暴言をする人物は、NHK経営委員長の資格に欠ける。NHK経営委員長は記者会見を開き、このNHKを軽んじた発言部分については、謝罪・訂正すべきである。
NHK経営委員長の報酬はいくらでしたっけ? このNHK経営委員長は、先日NHKが出した次期経営計画が不十分だと、突っ返したんじゃなかった? 何、NHKの番組を見てないのに、あんなエラそうなことを言ってたのか? NHKは、テレビ受信セットを買った(設置した)者に、番組を見ようが見まいが月千数百円以上の受信料を払ってくれと頼む公共放送。その経営に関わる責任者が「忙しいから見てない」と言い放って許されるなら、NHKの経営なんて興味がないうえに、日々の生活に忙しくNHKの番組を見てない多くの視聴者国民大衆が、「NHKの受信料は払っていない。朝も昼も忙しい」と言い放って当然ではないか。しかも、NHKの現場、テレビ制作者を傷つけ、志気を著しく低下させる、あまりにもデリカシーに欠けたバカな発言。NHKで働く現場は全員、「ふざけんな!!」とNHK経営委員長の更迭を求めても不思議はない問題発言だと思う。参議院の過半数は野党が握っている。NHK経営委員長の任命には両議院の同意が必要だから、今期限りの退任は決まったも同然(途中で辞めさせることは難しいが)。年明けの総務委員会でも、ただではすまないでしょう
●【3】NHK経営委員長も、テレビのことをわかっておらず、「放送の政治的な公平」は個別番組ごとに確保されなければならないと思っているらしい。過去数十年来、政治家その他が同じ過ちを繰り返しているから、その考え方は間違いですよと、誰か教えてやったほうがよい。
朝日記事によれば、NHK経営委員長は「制作現場への圧力と受け取られるのではとの質問には、『特別にそれが響くのなら、後ろめたいことがあるのでは。何の問題もない話だ』とも述べた」という。自分は正しいこと、当たり前のことをいっていると思い込んでいるのは、NHK戦時性暴力番組のときの安倍晋三、TBS年金問題のときの舛添要一と同じ。しかし、別に制作者に後ろめたい点がなくても、番組は、特定の問題をキリキリ追求していくと、結果的に政治的なバランスが取れなくなる場合が珍しくない(鋭く追及する優れた番組ほど、そうなる)。だからといって、個別番組について政治的公平の観点から問題だと主張するのは、誤り。そんなことをいえば、「サンプロ」は成立しない(ある政党の政治家だけが田原に怒鳴られたから)し、「総理と語る」も成立しない(野党党首が不在だから)。そのような主張は、放送のあり方をまるで理解しない非現実的で愚劣な考え方なのだと、NHK経営委員長の考え違いを誰か指摘したほうがよい。新聞記者が質問の中で教えてもいいし、NHKが「政治的公平の考え方について」という文書を出し、その中で説明してもよいと思う
●終日、原稿書き

10-09
●昨夜の嵐@東京ドームのプログラムは、OVERTURE、Everybody前進、Di-Li-LI、きっと大丈夫、Oh Yeah!、Friendship(相葉雅紀ソロ)、Can't Let You Go(櫻井翔ソロ)、時代、Yes?No?、Carnival Night part2、虹(二宮和也ソロ)、夏メドレー(太陽の世界、WAVE)、Love Situation、a Day in our life、ハダシの未来、〈MC〉、リクエストコーナー(風)、HERO、Yabai-Yabai-Yabai(松本潤ソロ)、Song for me(大野智ソロ)、OVERTURE、Cry for you、シングルメドレー(言葉より大切なもの、感謝カンゲキ雨嵐、君のために僕がいる、PIKA☆☆NCHI DOUBLE、A・RA・SHI、サクラ咲ケ)、Be with you、Happiness、〈以下アンコール〉We can make it!、ファイトソング、WISH、Love so sweet、フューチャー、?曲名忘れた?、NA!NA!NA!!、感謝カンゲキ雨嵐
●相葉はオープニングの羽根飾り衣装をなかなか脱がず(興奮して手を振り続け)松潤に怒られた。二宮はピアノの弾き語りソロにメガネで登場。しっとり歌い上げ、最後の「ありがとう」の直前にメガネを外して、ウケた。相葉は7日夜興奮し、酒を飲んで寝た。朝起きたら携帯が「最高だね!!」メールを嵐メンバーに一斉送信する画面になっていて、「気持ちワルー」と慌てて消去。二宮「俺のケータイに相葉ちゃん登録されてない。そんなメール来ても捨てちゃうね」。櫻井は右上腕筋肉の盛り上げポーズを連発。松潤はソロで空中遊泳。ファイトソングのときジャンケンに負け、再びジャンプ。松潤「俺さっきやったから、全然おもしろくねえじゃん」って、同感。ちょっと大野クンの出番というか発言が少なかった印象。私たちの席の隣に、ドラマ「山田太郎ものがたり」の兄弟姉妹役の子どもたちや体育の先生が座っていて、「あんちゃーん」と大声援。二宮も近くにきたときは応えていた。ドーム内はバックスタンド(外野側)がメイン舞台で、アリーナ席の観客頭上を移動ステージが(センター〜ホーム方向に)行ったり来たりする。大中の移動ステージが途中で交差する(ステージは左に90度倒した「コ」の字型。それが大中二つ出て、人を乗せたまま中が大の下をくぐる)演出は初めて見ました。神楽坂までタクシー。かまどかで食事後、帰宅。櫻井は夜11時から日テレNEWS ZEROでキャスター。たいしたもんです
●ラスト直前のシングルメドレー後半が大盛り上がりで、サクラ咲ケの後、メンバーが挨拶。夏の終わりが寂しい相葉は大泣き。櫻井翔「ドームという大きな箱でいちばん奥まで一杯に。デビュー直後,空いている席を見て悔しくて悔しくてたまらなかった。いま嬉しくて嬉しくてたまりません。箱の大きさより、みなさんの気持ちの大きさ、愛情の大きさが大事だし、それが僕らの糧になる」、大野智「すごいいい空間だと思います。みなさんと一緒じゃないと持てない空間。僕らと一緒にいい宝物をつくっていきましょう」、相葉雅紀(泣きながら)「ありがとう。ウアーッ、最高。いつも本当にどうもありがとう」、二宮和也「嵐ってグループは歌はヘタかもしれない。踊りもヘタかもしれない。しゃべりもおもしろくないかもしれない。けれど、やることに全部気持ち入ってます。ずっとみんなのこと考えてコンサートやってます。(一瞬ジーンと来て)負けないゾ。寂しいかもしれないけど嵐の夏は今日で終わり。終わるってことはまた新しい夏が来る。夏じゃなくい季節にみんなと会えるかも。俺らも頑張るけど、お前らもしっかり頑張るんだぞ」、松本潤「コトバノチカラ、いかがだったでしょうか。みなさん生活していながら、今日のコトバがヒントになったり助けになれば嬉しい。自分のコトバノチカラは何だろうと考えたら、それは『夢』。去年のアジアコンサート、今年のドームコンサートと、やりたい夢が叶ってきた。8年も続けられたのは俺ら5人の力だけじゃない。みんながいてくれたから。俺らの夢についてきてくれてありがとう。これからも俺らの夢に付き合って。ここにいるみんなは、1人じゃない。俺がいるから。俺ら5人がいるから」──なーんていってましたっけ
●「中1の1割が『うつ』 『自殺と関係』、対策急務」と今朝の東京新聞。私は昨日の当欄記事で、民主党の子ども手当てバラマキ策を批判しました。物事の順序として、こっちの対策のほうが優先されるべきだと確信しています。子どもたちに選挙権があれば、親にカネをばらまくなんてやめろ、自分たちのために役に立つように使ってくれというでしょう。というか、うまくいっている家庭にカネを撒いてもムダ。うまくいっていない家庭には、子どもに必ず渡る方法でカネを配り、同時にカネを個別に渡しても改善できない諸問題(うつ、生活習慣病、引きこもり、不登校、いじめ、虐待、保育所・幼稚園・学校の問題などなど)の対策を実行すべき。そんなの当たり前の話だと思うんだけど、なんでそうしないのか
●今日は原稿書き

10-08
●夜6〜9時すぎ、ARASHI SUMMER TOUR 2007 Time─コトバノチカラ─@東京ドーム。娘と
●昨日は午後6時から本田聖嗣ピアノリサイタル〜馥郁《ふくいく》たるパリの香り〜V@浜離宮朝日ホール。ロビーで本田のご両親に挨拶。C.A.L社長中尾幸男、田代勝彦、中島好登、その友だち、放懇会員の美女軍団、斉藤敬之にも遭遇。兄一家(娘=私の姪っ子がピアノをやっている)も来る。途中休憩でタバコを吸いに行って会った演出家・鶴橋康夫には、「『天国と地獄』、とてもよかった。もう1本(『生きる』)がダサダサだったから、余計目立ちましたねえ」と。鶴橋はプログラムに、本田聖嗣を紹介するすばらしい文章を寄せています。
●演目は、ドビュッシー/映像第1集(水の反映、ラモー讃、運動)、/シャブリエ/スケルツォ・ワルツ、シャミナード/森の妖精、サン・サーンス/アレグロ・アッパショナート、プーランク/三つのノヴェレッテ、仮面舞踏会のフィナルによるカプリス、15分休憩をはさんで棚田文紀/プレリュード(書き下ろし初演)、ドビュッシー/アラベスク第1番・第2番、ベルガマスク組曲(前奏曲、メヌエット、月の光、パスピエ)、喜びの島、アンコールに応えてドビュッシー/前奏曲集から(ヒース茂る台地、花火)
●本田聖嗣は風邪を引いたらしく、事前の弾き込みが足りなかったのかも。1曲終えて立つたびにコホコホいっていたのが気の毒。そのせいもあってか、全曲に譜めくりが付いたのには、ちょっと驚いた。書き下ろし本邦初演の棚田文紀作品は、譜を付けるのが当然としてもね。譜めくりのタイミングがとまどった箇所、本田の手が一瞬迷うように見えた箇所は、ま、ご愛敬。プーランクの仮面舞踏会、ドビュッシーの喜びの島、アンコールの2曲あたりが、自由奔放な盛り上がりを見せて、よかった。で、身体がたいへんそうに見えたからサッサと帰って寝りゃあいいのに、そんな素振りは一切見せず、ロビーでCDを買った人全員と、丁寧に声を交わしサインしていた。本田聖嗣らしいすばらしい気遣いなんだけど、くれぐれもお大事に、あんまり仕事しすぎないようにと思います
●隣の席のオバチャンは、1曲終わるたびに「ああーーっ」「ふーーーっ」「はーーーっ」と深〜〜い溜め息をつき、小声で「まあ」「すごい」「すばらしい」と独りごちていた。3曲くらい立て続けに弾くときは、3曲目が終わって奏者が立ったときまとめて拍手するわけですが、オバチャンは1曲ごとに密かに小さな拍手。結構耳障りでしたが、これもご愛敬。本田クンのためなら、よしよしと思えた。久しぶりにゆっくり音楽に満たされたひとときでした。本田聖嗣、おめでとう&お疲れさま&ありがとう。兄一家とカレッタ汐留B2「炭遊 車屋」。黒豆豆腐、ほたるいか沖漬、さつま揚のピリ辛ねじり揚(いか)、おでん、鳥焼盛り合わせなどつまみに一杯やって帰宅
●民主党が7月参院選マニフェストの柱とし、今国会へ提出する「子ども手当」法案の概要が明らかに。報道によれば、親の所得制限を設けず、ゼロ歳から中学校卒業までの子ども1人当たり月額2万6000円を支給。コストは約5兆8000億円。私は、日本の政治のためには一度、ダメモトで民主党に政権を担当させたほうがよいと思っていますが、なんでこういう典型的なバラマキ政策を出してくるのか、本当に理解に苦しみます。すべての親がちゃんとしているわけではなく、月2万6000円を全額パチンコに注ぎ込む親もいる。その親に子ども1人当たり年に30万円以上渡すのはムダ。ならば、給食費全額無料、遠足代全額無料、小中教材費全額無料、出産費・妊婦検診全額無料、乳幼児医療費全額無料、文具専用クーポン年×万円分支給、保育所クーポン年×万円分支給(クーポンは期限付き、記名式で転売不可)、児童相談所の拡充といったきめ細かい施策を組み合わせるほうが、子どもに役立ち、しかもムダを生じないことは明らか。所得制限を設けないのも疑問。ホリエモンや村上世彰に子どもがいるかいないか知らないが、彼らに子どもがいたとしても、低所得者も含めた全国民から集めた税金を使って彼らに年30万円以上渡す必要などない(ないでしょう?)し、彼らも「そんなもんいらん」というに決まっている。いまどきこんな政策を打ち出せば投票してもらえると本気で思っているなら、バカじゃないですかね。ひょっとして、参院選で小沢民主党に投票した人びとは、民主党のマニフェストを読んで投票したわけではないことに、気づいていないのか? 頼むから、もっとまじめにやってくれないか
●9月30日のサンプロに、自民・民主両党の政調会長が登場した。私はチラとしか見なかったが、民主党はボロボロで、谷垣禎一が気遣って、民主党さんがいいたいのはこういうことねなんかフォローしており、何これと思った。田原総一朗からは「話にならない。あまりひどいから突っ込むのを止めた。あれが民主党の政策の責任者なんだよ」と、打つ手なしの感想を聞きました

10-07
●神楽坂の青空市。一家で「花豊」に顔出し。コケモモの鉢ほかを買い置きにしてもらう。そのまま神楽坂上からタクシー。午後2時〜「理清蘭」長男・荻原大輔の結婚披露パーティ@九段会館。控え室で、5月末に亡くなった元・大洋ホエールズ伊藤勲の奥様(伊藤はるみ)と会う。更新をサボっていた時期なので、共同通信が配信した訃報を紹介しておきます。《伊藤 勲氏(いとう・いさお=元プロ野球大洋ホエールズ選手)26日午前0時16分、肺がんのため東京都内の病院で死去、65歳。仙台市出身。葬儀・告別式は6月1日午前11時から東京都文京区大塚5の40の1、護国寺で。喪主は妻はるみさん。東北高から61年に大洋(現横浜)に捕手で入団し、79年に南海(現ソフトバンク)へ移籍、オールスターゲームに5度出場した。通算1771試合で1054安打、152本塁打、495打点。現役引退後は大洋のバッテリーコーチや社会人野球のNTT東日本でコーチを務めた。》理清蘭の最重鎮客の1人で、奥様は元宝塚。うちの娘がダンス教室に通っていました。理清蘭のジジイ(荻原道雄)が亡くなったのは2006年6月、伊藤勲はその1年後。みんな死んでしまう。「むこうで二人さんざん酒飲んでるでしょうね」と言おうかと思ったが、虚しく場違いな感じがあってやめました。形見分けにスーツかセーターを着てというから、ありがたく何か1枚くださいと
●大輔は、幼なじみのと2〜3年前に入籍。昨年1月には赤ん坊も生まれ、披露宴はだっこして登場。おめでとう。荻原家側は、京蘭《ぎょんらん》、志帆、亮輔、清美、美姫、リカや、荻原道雄の兄弟ほか。会場にはとうちゃん(神楽坂下の焼鳥「駒安」オヤジ)はじめ、かわうち渡部雄一夫妻、安田一家、黒田、幹夫、幸治、末光、和美など、いつもの顔も。大輔が働く渋谷・カタナ ダイニングの社長が長〜〜〜い挨拶。大輔の友だちの落語、バンドライブなどにぎやか。ラスト京蘭の挨拶で、ジジイを思い出して涙する人多し
●午後5時半、本田聖嗣コンサート@朝日ホール。明日の記事にて
●テレビ報道でも新聞報道でも指摘できる大問題の一つは、何か事件や問題が起こったとき、組織(企業・役所・学校・病院・その他団体など)の責任や、それらがつくる現行制度の問題は指摘されるのに、その事件や問題の被害者となったふつうの人びとの責任が一切不問に付されていることです
●思いつくままに例を挙げましょう。◆神戸の私立高校生徒のいじめ自殺事件→学校はなぜ気づかなかったのかと追及されるが、親がなぜ気づかなかったかは報道されず、たぶん取材もしていない。私は、親が気づかないことを学校に気づいてくれと期待するほうが、どうかしていると思う。◆乳母車が電車のドアに挟《はさ》まれ、そのまま発車してしまった事件→ホームに駅員が不在、車掌から見えにくかった、ドアは数センチのものを挟めば検知できるはずなどと報じられるが、閉まりかけたドアに乳母車を押して駆け込むバカ親の責任は一切報道されない。◆エスカレーターの穴に指を挟まれ切断された事故→発生後2〜3日は、国内の全エスカレーター全段に黄色い枠が描かれ、これを踏むなという注意アナウンスや掲示もしばしばなされており、黄色い枠の内側に足を置く限り事故は防げたはずという事実が、ほとんど報じられなかった。◆妊婦を乗せた救急車が、受け入れを拒否する病院の間で「たらい回し」にされ、死産などにつながった事件→病院や産科医が少ない医療体制の不備は語られる。私は、かかりつけの医院がなぜ患者を受け入れないのか訝《いぶか》しく思っていたが、今朝の中日新聞東京新聞で、受け入れを拒否される妊婦は、妊娠しているのにそもそも医者に一度も行っていないことが多い(8月に救急車内で死産した奈良県の妊婦もそうだった)と知った。妊娠に気づかなかった、受診するカネがなかったなど理由はさまざまでも、赤ん坊を死に至らしめた責任の一部が当の妊婦にあることは明らかだ。◆古い家電製品が発火して焼死した事件→たとえば30年間使った扇風機が火を噴く場合、絶縁部品が経年変化によって劣化したという報道はあるが、ホコリやゴミが詰まっていたとは報道されない。テレビも煙を出したり火を噴くことがあり、部品の劣化や設計ミスが直接の原因になることもある。しかし、ユーザーが内部のホコリ・ゴミ掃除を怠ったことが発煙や発火の直接の原因になったり、それを広げる間接的な原因になるケースが、非常に多い。「5000円の扇風機の安全性についてメーカーに30年後まで責任を持て」と要求するのは、明らかに酷であり非現実的な話。社会通念上の耐用年数(まあ、いいところ10年。法定上は数年)を超過した製品の安全性は、使用者が第一義的に責任を負うべき。◆一時盛んに報じられたシュレッダーによる幼児などの指切断事故→高い製品は、そもそも指が入りにくい設計にしてあるが、紙を入れて使う製品なのだから、絶対に隙間は必要。そして、幼児や赤ん坊の髪の毛の厚みは、紙の厚さと同等だから、シュレッダーに幼児や赤ん坊の身体の一部が挟まる事故は、原理的に避けることができない。だから、シュレッダーを幼児や赤ん坊がさわれるような環境に置く親はバカであり、子どもが事故にあえば当然、責任がある
●いくらでもありますね。時津風部屋はムチャクチャですが、週刊誌報道によれば殺された若い力士は親に「いい子になるから、迎えに来てください」という趣旨の電話を入れていたらしい。迎えに行かなかった親は、子を見捨てた責任がある。高校を中退したこの若者は、親からすれば必ずしもいい子ではなく、たぶん世間でいう「不良」だったのでしょう。親は子をもてあまし、「存分に鍛えてやってください」などといって部屋に預けたのかもしれない。学校から見放され、親からも見捨てられ、師匠や兄弟子たちになぶり殺された若者が哀れです。犯罪者が処罰されるのは当然でも、犯罪者は必ずしも責任者とイコールではありません。そして、事件や事故を減らすには、そのことに責任ある者の責任を正当に指摘し、その者に対策や改善を求めなければならない。その責任者が、ふつうの人、ふつうの親などの場合は、テレビや新聞にとってはお客さんだし、政治家にとっても票を入れてくれるお客さんですね。だからテレビや新聞も、政治家も、お客さんの責任を問う発言をあまりしないのです。しかし、私たちはみな、ふつうの人であり、ふつうの親なのだから、その責任は、誰にいわれなくても自覚しなければならない
●以下は余談。私は家電製品を捨てるとき分解して中を覗く「趣味」(?)があり、子どものときから何十台もバラバラにしている。小学生のとき、動かない時計を、どうなっているか覗き、できれば直そうと思って分解していたら、ゼンマイ式なのを押さえている途中に電話がかかってきて、仕方ないから電話に出て、再組み立て不能になるとかね。で、古いテレビや扇風機のカバーを外して元に戻すのは、順序よくドライバーを使い、ネジをなくさなければ簡単(外したネジの種類が異なるときは、テープで穴とネジに合い番号を振っておくなどする)。4〜5年以上たったものは、内部に掃除機をかけたほうがよいでしょう。ファンが付いているパソコンなんかは、ホコリだらけになるので、もっと頻繁に掃除が必要。お年寄りの世帯では難しいが、それこそ近所の電器屋が一帯にビラを配り、「1000円で分解掃除。2台目以降は500円」というような商売をすればいい。みんな新製品は大型量販店で買い、その価格では勝負できなくても、近所の電器屋は「電球一つからお届け。高いところでも交換。実費プラス500円」ってメンテナンス商売ができるはず。実家でも一人暮らしの母が「電灯の球は、××電機にいえば持ってくる。2000円くらい払う」とか何とかいうから、「そりゃいいや」と応えたことがあります。ところが大問題があって、電器屋の高齢化によって、最近そのサービスが滞っているらしい

10-06
●終日、原稿書きのはずが、なかなか進まない
●日大授業のブログ「テレビ報道を考える!!」を8か月ぶりに更新。また使い始めます。学生諸君はコメントを記入のこと
●日大の「放送特殊研究V」の前身は「マスコミュニケーション演習IV」で、1999年度から始まりました。その「花の99年度卒業組」に、本田尚子というヘンテコな女の子がいて、秋から授業に出てこなくなった。どうしたと周囲の子に聞くと、「女講談師になるらしい」「二代目神田山陽に弟子入りした」と。それが、神田京子です。なんでも、神田山陽さんは「お前は今日来たんだから、京子だ」と命名した。また、山陽最晩年の弟子なので、もっぱら師の入れ歯を洗うばっかりで、あまり講談は習わなかったらしい。という噂だが、真偽のほどは不明。神田京子は1年ほど前に結婚(入籍)したと聞いていたが、今回下記のような案内が来たので、お知らせまで
詩人・桑原滝弥☆講談師・神田京子 結婚披露特別ライブ♪ケッコン(仮)面日程と場所 2007年11月17日(土)@築地ブディストホール(東京公演)、11月22日(木)@TOKUZO(名古屋公演)、11月24日(土)@Common Cafe (大阪公演)◆以下は全公演共通 時刻:開場18時30分/開演19時30分 料金:前売3500円/当日4000円 出演:詩人・桑原滝弥&講談師・神田京子◆名古屋・大阪公演は飲食代が別途必要◆問い合わせ先 東京公演:パブリックスペースエンターティメント public_space_entertainment@yahoo.co.jp 名古屋公演:TOKUZO info@tokuzo.com ※チケットぴあでも同時発売 大阪公演:オレペコ企画 orepeko@nyc.odn.ne.jp◆当サイトにある神田京子画像はこちら

10-05
●10時40分日大授業。1時から生田斗真主演「ヴェローナの二紳士」ゲネプロ@東京グローブ座。西早稲田まで歩き、途中オリンピックによって買い物。5時すぎ「かわうち」。各所から家族も来て夕食。店で林家正雀と遭遇。次回の西早稲田かわうち寄席は12月16日(日)です
●あとは原稿書き
●安倍晋三・前首相の病状が極めて深刻。鬱または鬱っぽいのは、別の病気の結果にすぎない。本人も病名は知っている。機能性なんたらなどとごまかさず、ちゃんと記者会見を開いたほうがよいと思います

10-04
●昨日は、午後1時すぎ京都着。岡部朱美がホームまで来ていて、田原総一朗と3人でタクシーで嵯峨野にある寂庵へ。京都のタクシーはおもしろい。八条口には大型・中型・小型の乗り場があり、大型のところにデカい黒塗りベンツがいたのでこれに乗る。一見ハイヤーだが、運転手さんに聞くと、企業・官公庁その他からの下取り車を使った個人タクシー。寂庵でも待っていてもらい、同じ車で大津まで行くことに
●瀬戸内寂聴は今年85歳だが、まあなんと可愛らしいお婆ちゃん。田原は何度か会っているそうで、昔「男断ちのために出家した」と聞いていたので同じ質問をしたら、「いや、出家したから、結果的に男を断つことになったのよ」と、若干ニュアンスが変わっていた(笑)。出家のとき、仏教の礼拝《らいはい》でもっとも丁重な礼とされる五体投地《ごたいとうち》(両肘・両膝・頭の五箇所を地につけ、掌《てのひら》は上向きにして仏の足を受ける)を3000回義務づけられた話が出てくると、これを実演。身体がものすごく軟らかい。頭をつける位置にはタオルを置くが、500回もやると向きがわかんなくなって、汗と涙でぐしゃぐしゃになってたいへんとか、仏様の名前なんてそうそう覚えられないわとか。出家に際して今東光に相談しにいった話、『美は乱調にあり』をめぐる大杉栄、辻潤、伊藤野枝らの話、永田洋子との往復書簡の話など、たいへんおもしろかった。いまでも机に向かい執筆し、昨年来パソコンでメールを覚えたておもしろくてしょうがないそうで、目が悪くなっているから原稿書きもパソコンにしようと思っている由
●大津ピアザ淡海には5時前に到着。田原は昼にあんパン1個しか食べてないというので、レストランで一服。タクシーの移動も長かったので、久しぶりにあれこれ話しました。6時半、嘉田由紀子知事、竹中平蔵が相次いで控え室入り。県財政の問題など話す。7時〜8時半、琵琶湖塾。竹中の主張は明快で、「グローバリズム化、世界との競争は避けられないのだから、構造改革し競争に耐える国づくりをするしかない。その結果、格差が生じたとしても、全体が沈没するよりまし(全体が底上げされていればよしとするほかない)」というもの。たとえば坂本が質問したのは「5000万世帯を5分割したときの最低所得1000万世帯は年所得二百何万円以下、平均130万円以下。2000万人やそこらいるこの層はたいへんなのでは?」竹中「日本は貧困調査をちゃんとやるべきで、やっていないのはよくない。低所得層の実態をきちんと把握し、個別に対策を考える必要がある」。坂本「世界との競争なんか知らん。自分はあと10年生きるか5年生きるか。しかし収入がほとんどなく生活が苦しい。なんとかしてくれ、という高齢者は少なくないと思う。どうする?」竹中「そういう人は、若者に石を投げられる。私はそういう年寄りにだけはなりたくない」。慶応大湘南キャンパス学の話が出たので、坂本「慶応の学生の目の輝きは? 彼らに将来を託すことができるか?」竹中「慶応のトップはハーバードのトップと同じレベルと考えていい。ただ全体がどうかというと、ちょっと。ハーバードは学費年300万円。クラスの人数は30人まで。慶応はやっぱり200人、300人の授業がある。慶応三田は、ものすごく古ぼけたところ」と
●私は、世にいう「構造改革」の方向は大筋では間違っていないと思います。現在、それを阻んでいる最大勢力は、いうまでもなく官僚。私は、日本が沈没するとすれば日本丸に乗る官僚の重みで沈むと思うし、郵政民営化にも道路公団民営化にも基本的に賛成、ほかのも全部やれ!と思う。安倍内閣は、小泉純一郎が手を着けなかった公務員制度改革に乗り出そうとして、徹底的にサボタージュされ、反撃され、潰された。これは内閣や官邸の手には負えない問題で、もちろん自民党だけでも民主党だけでも到底手に負えず、政治と国民が結託してブチ壊すしかないと思っています。ただし、官僚の数は国100万人・地方300万人で400万人。日本の家の10軒に1軒は現役公務員の家庭で(1000万人以上が現に公務員の給与で暮らしており)、退職公務員の家庭や、現役公務員に扶養されている高齢者世帯などを数えれば、たとえば2000万人とか3000万人が公務員に対して払われるカネで生きているという話になる。国や地方が出すカネ(公務員が関与して出るカネ)をアテにして暮らす人は、たとえば公共事業を請け負う土木建設業が典型的だが、それだけではない。たとえば学校関係では教員、主事、給食のおばちゃんなど実際に学内にいる人のほか、間接的には正門前の文房具屋とか、紙やチョークや体育館のマットの納入業者とか、出入りの校医とか、休日のガードマンなんかまで数えなければならず、まあ、日本では5000万人やそこらが国や地方公共団体がこれまで通りカネを出し続けてもらわなければ困るという形になっている(数えたわけじゃない、だいたいそんな感じではという話)。日本ではついこの間まで社会主義をやっていたというのは、このこと。このシステムのダメなところを摘出し、必要な構造改革をするには、まあ30年とか50年とかかかって当然
●9時45分まで実行委員や塾生有志と車座集会。その後、田原はホテルに帰り週刊朝日の連載原稿書き。私は有志と裏塾(飲み会)。参加者は後ほど(誰かメールして)。12時すぎ大津プリンス
●4日は10時にホテル発。1時すぎ東京着。だらだらと原稿書き

10-03
●午前中の新幹線で京都へ。午後、瀬戸内寂聴と田原総一朗の対談@寂庵。5時半すぎ、大津へ。7時から琵琶湖塾。ゲスト講師は竹中平蔵。大津プリンス泊予定
●ミャンマーでジャーナリスト長井健司が射殺された件で、撃ったと見える兵士の履き物に気がつきました? 手元に映像がないので、間違っていたらごめんなさいですが、私はサンダルか草履か何かを履いているように見えた。いくらミャンマーが貧乏国でも、首都警備の精鋭部隊に草履は履かせないだろうから、あれは田舎から連れてきた兵士じゃないかと思います。そこで、まず押さえるべきは、どの国のどの戦争でも、同じ国内なら田舎出身やスラム出身の兵士のほうが残虐だということです。国が違えば貧しい国の兵士のほうが豊かな国の兵士より残虐です。なぜかといえば、人は他者を攻撃するとき、自分が攻撃された(虐げられた)方法を使うのが一般的だからです。ついでにいえば兵士の残虐さと強さは、古い戦争(非近代的な戦争)ほど紙一重です
●だから私は、見てきたわけではないが、日中戦争のとき日本軍と八路軍とどちらが一般的に残虐だったかといえば、八路軍のほうだと思います。ただし、当時は八路軍は人民の支持を背景に日本軍と戦い、日本軍は中国軍と中国人民を敵に回していたのだから、民衆に残虐行為を働いたのはもっぱら日本軍。その日本軍のなかでは、たとえば東京の部隊より東北地方の部隊のほうが残虐だったろうし、陸士出の士官より二等兵のほうが残虐だったろうと思います(余計なことですが、よくジャーナリストが、たとえば「南京攻略に参加した部隊の兵士30人に直接取材したが、全員が残虐行為はなかったと証言している」などというが、馬鹿げています。前線に投入する部隊には役割があるので、とにかく××地点を占領せよと命じられれば、途中に敵がいても交戦を避けるし、途中の村にとどまり略奪行為や残虐行為を働くヒマもない。その部隊の兵士に聞けば全員が「ただ急いでいた。残虐行為など皆無」というに決まっている。以上、半藤一利の受け売り。もっといえば、強さ・残虐さで知られる部隊は激戦地に送るから、生還者が少なく、証言者が少ないのも当然)。もちろん戦後、八路軍が中国人民解放軍に編入されて以降は、日本軍が殺した中国人より、中国人民解放軍が死に追いやった中国人の数のほうが、ケタ違いに多いでしょう(百万のケタと千万のケタ)。これも見てきたわけではないが、文字通り総力戦で白人も黒人もこぞって出征した第2次大戦当時の米軍よりも、白人のなかではスペイン系やイタリア系、そして黒人の比率が高いイラク戦争を戦う米軍のほうが、(数十年間に人権意識が一般に向上したという点を除けば)残虐でしょう
●以上のようなことは、「いじめ」にもいえるだろうと思います。いじめ集団が誰かをいじめ殺すとき、いちばん残虐なのは大抵いちばん下っ端のヤツです。そいつは、その集団で常にいちばん虐げられているからで、命令に従ったからというのは二つ目の理由にすぎないでしょう。集団の中心にいるヤツは、あまり残虐なことをやりつけていない(やられてもいない)うえに、頭がよかったりするので、関与の度合いが少ないとか、せいぜい命令しただけ、あるいは明確な命令は出していない、という話になりがちです。ミャンマーの事件でも、軍部は「群衆を狙って撃てとは命令していない。まして日本人を狙い撃ちしろなどと命令するはずがない」といだろうし、たぶんそれは事実でしょう。場合によっては、撃った「残虐な」兵士を特定し、銃殺刑にして、日本政府に「これでいいか」というかもしれない。ところが、あの兵士は、ジャーナリスト長井健司がもっとも同情を寄せていたミャンマー国民の典型的な一人、貧しい、学もない、ふだんから虐げられていた、かわいそうな田舎兵士の一人かもしれないのです。その可能性は十分あるだろうと、私は思っています。軍部と兵士は同じもので全部まとめて粉砕すべき、などという単純な発想では、途上国の問題は何一つ解けません
●さらにいえば、沖縄戦で日本軍によって集団自決に追い込まれた民衆がいたことを私は確かだろうと思うし、文科省官僚が軍(=国)の関与を示す文言を教科書から削ろうとするのは姑息だと思います。しかし、ギリギリの段階で人びとに手榴弾を配り「立派に死ね」と言った兵士の中に、地元沖縄出身者がいても不思議はないとも思います。また、地元民のグループを率い、あれこれ世話をやきながら米軍から逃れ、最後に「もうダメだ」と全員射殺して自決した沖縄出身の兵士がいても、まったく不思議はないです。「沖縄の人びとは、虐げられたうえに、よく戦った」けれども、「沖縄の人びとは、虐げられたからこそ、よく戦った」という側面が必ずある。原爆の被害者は、いまでは全員が平和主義者ですね。しかし、原爆の被害者であふれたある病院では、8月15日の敗戦を迎えたとき、患者たちが「ふざけるな。戦い続けよ」と怒り狂ったと伝えられている。こういう話は教科書には出てこない。教科書なんて、誰がどう書いたってロクなもんじゃない、というのが私の考えです(学生諸君は誤解しないよう。教科書は常識が書いてあるので、最低限それを勉強してから、別の本を読んだり、人に会ったりするように)
●教科書で私が思い出すのは、若尾徳平という人です。映画『宮本武蔵』の脚本家なんだけど、麻布の日本史の教師で、私が高2のとき担任のまま亡くなった。黒川紀章の奥さん・若尾文子の叔父さんです。若尾の授業はガリ版刷りのB4のプリントを配るもので、さながら物語日本史の趣きがあった。ある日、二、三人が騒いだら、「黙れ! 君らがそういう態度なら、私は文部省の教科書通りの授業をする。それでいいのか」と怒鳴り、生徒たちはシーンと静まりかえった。──という話を後年、麻布の現校長・氷上に話したら、「それは生徒がエラい」といった。ま、そんなもんです

10-02
●終日、オフレコ!5号の原稿書き。長く、切れ目なくおもしろいものを、おもしろいままに起こしの5分の1というようなボリュームに収めるのが、結構たいへん
●日頃思っていることを二つほど。一つは、絵とか小説とか個人が好き勝手につくるものでは問題にならないが、多くの人にカネを払ってもらう製品その他でたまに起こる問題。昔レイモンド・ローウィという工業デザイナーがいて「口紅から機関車まで」なんでもかんでもデザインしまくった。「口紅から〜」は彼の自伝タイトルで、私の子どものときからの愛読書の一つです(昭和28年7月刊の上下2冊本で、ボロボロだがいまも手元にある。広告関係に進む学生は必読)。煙草のピースのデザインはローウィ作。その昔ラッキー・ストライクの古いデザイン(緑地に赤いマトで裏面に文章が入っていた)を現在のもの(両面とも白地に赤いマト)に替えたのもローウィで、プレゼンのとき(1)インク代バカ安でインクの匂いなし、(2)広告費ゼロで人目につく機会倍増、と主張し納得させたのは有名な話。この本に、自動車をデザインし、実物模型まで作って最終段階のチェックをしていたとき、ある方向から見ると「カエルの顔に見える」と誰かが言い出し、そのデザインを止めたか変更するかした、という話が出てくる
●テレビを見ていて、このエピソードを思い出させたのは「化粧惑星」というCMです。私には、いつ聞いても「化粧は、くせえ」と聞こえます。で、いつも「うん、化粧は臭いよな」と思う。仮に私がこの化粧品会社の重役か何かでCMの最終チェックに立ち会っていたら、「『化粧は臭え』に聞こえる。『化粧、惑星』の『、』の間を、もっと開けてくれ」と言ったでしょうね。これに限らず、何でこんなCM流すかねえ、俺なら絶対買わないぜと、不快感すら覚えるCMをたまに見かける。この会社の連中センス悪いね、広告会社に騙されてるなと、見るたびに思うんですがねえ
●全然別の話題をもう一つ。19世紀の英首相ディズレーリは「嘘には三つある。嘘、真っ赤な嘘、そして統計だ」と言った。私のような仕事は統計を扱うことが多く、NHK受信料に関する統計、地上デジタル放送にかかわる統計などのインチキさ加減は、繰り返し述べている通り。基本の数字を間違えると、その後の政策をすべて間違える。太平洋戦争に突入したとき、日本政府が持っていた彼我の戦力を示す数字は明らかに間違っていた。間違っていた数字に基づき、なんとかなるかもしれないと思って戦争し、不様に負けたわけです。私は「すべてを疑え!」主義なので統計数値そのものを疑うのは当然として、同時にいつも考えるのは「統計の背後にある数字」のことです。役所の統計だけに基づいて記事を書くメディアでは、あまり語られることがない。たとえは悪いが、端的にいえば「ゴキブリ1匹見たら、30匹いると思え」というのに似た話
●いくつか例を挙げておきます。◆日本の自殺者は年に3万人。ということは、自殺未遂者が相当数おり、一説には自殺者のほぼ4倍です。つまり年に10万人以上が自殺を試み、3万人が自殺に成功するのが、この美しい国のおそらく正確に近い姿。何度も自殺を試みる人はいますが、10年間でのべ100万人以上が自殺を図っている! 世田谷区に10年住んでる人は、世田谷区の全員が必ず1度は自殺を図るという姿を想像してみてください。◆日本の出生数は年110万。統計では妊娠中絶の数は年30万。実際の中絶数はその2倍とされます。つまり日本で1年に生まれてくる赤ん坊(110万)の半分以上に当たる赤ん坊(60万前後)が、人工的に間引かれている。産めよ増やせよの少子化対策で、この問題はどう取り扱われていましたっけ? 母親の胎内にいて生まれる可能性を持つ赤ん坊の3分の1以上を人工的に生まれないようにしておきながら、赤ん坊の数が足りない足りないと騒いでいる日本社会は、私は狂っていると思います
●まだあるんだけど、時間がないのでここまでに。自殺者3万人に関しては、補足しておくべき点がある。バブル崩壊(91〜92年)以降に自殺者が急増したと錯覚しがちですが、これは違います。実はカネ余り、世界最大の債権国、未曾有の好景気といわれた1980年代半ば(84〜87年)に、すでに2万5000人規模の自殺者がいた。これが5000人増えて3万人規模になったのは1998年以降で、背景に金融危機や倒産・失業の急増があることは間違いないが、それは数千人の自殺者増を説明できても、以前からいた年2万5000人の自殺者を説明できません。そもそも、あまり裕福でない病気がちな高齢者が自殺したとき、その理由は経済問題かそれとも健康問題なのか、簡単に判定はできない。「カネがあれば病院に行ったはずなのに、なかったから自殺した。だから原因は経済問題」ともいえるし、「カネがなくても、病気にならなければ自殺する必要はなかった。だから原因は健康問題」ともいえる。たぶん原因は「経済問題と健康問題」でしょう。そして、一般に高齢者は経済的に豊かでなく、健康に問題をかかえることが多いから、高齢者の自殺は他の世代よりはるかに多い。若者なら耐えられる貧困や健康状態でも、もう何十年も生きたから無理しなくていいと考える高齢者は多いはずで、同じレベルの貧困でも自殺の原因になるかどうかは年齢によって異なる。自殺者2万5000人のときは黙っていて、3万人を越えたら大変だたいへんだと騒ぐのは妙な話ともいえる。10年間でのべ100万人以上が自殺を図っている状況は、20年前だって変わりないのだから。もちろん、若者の自殺が急増しているというのも間違いです

10-01
●終日、原稿書き
●綿井健陽から、「イラク取材などで私もお会いしたことがあるジャーナリスト・長井健司さんの追悼の意味合いもこめて、以下の集会を有志の皆さんで開くことになりました。急な日程で申し訳ありませんが、ご参加いただければ光栄です」とのメモ付きで以下のご案内。坂本は琵琶湖塾で滋賀におり出席できませんが、転載しておきます。なお、抗議声明中の「関わらず」は正しくは「拘わらず」です。みっともないから直したほうがいい(以下では直した)
●抗議声明と10月3日(水)ミャンマー(ビルマ)情勢緊急集会
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)は以下の要項で、緊急集会を開催します。
「ミャンマー(ビルマ)情勢緊急集会〜これまで何が起きてきたのか」■10月3日(水曜日)開場午後6時30分 開会6時45分〜8時30分■明治大学リバティータワー1114教室(JR御茶ノ水駅下車徒歩3分)地図はこちら■定員130名限定 当日受付のみ・先着順 ※満員になり次第、受付・入場を終了します。会場収容人員の都合上、あらかじめご了承ください■参加費1000円■主催/連絡先 日本ビジュアル・ジャーナリスト協会事務局■報告者 山本宗補(フォトジャーナリスト)/吉田敏浩(フリージャーナリスト)/根本敬(上智大学教授、ビルマ近・現代史専門)/ポーンミントゥン(在日ビルマ人活動家)※APF通信社より長井健司氏の関連映像を上映(5分程度)予定。※報告者・発言者は事情により変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。(注 以下、報告者プロフィールが付いているが、坂本が略)
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【抗議声明】
 日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)は、軍事政権下にあるビルマ(ミャンマー)の旧首都ヤンゴンで、9月27日の一般市民らによる平和的な反政府デモの取材中、治安部隊の兵士により銃で至近距離から狙い撃ちされ、殺害された日本人ジャーナリストの長井健司氏の死に対し、ビルマ(ミャンマー)の軍事政権に強く抗議をするものである。
 長井氏が殺害される瞬間の映像から、治安部隊が取材中である長井氏を射殺した経緯が明らかであり、「長井氏が観光ビザで入国しデモを取材中に巻き込まれたために死亡した」という国営テレビによる報道は、自由な報道を全く許さずに政府の広報機関としての機能を担う国営メディアを使い、当局が殺害の責任と国際社会からの非難を回避しようとする意志が読みとれる。こうした当局の報道に対しても抗議するものである。
 軍事政権及び当局は速やかに長井氏のご遺族に謝罪するべきである。また、平和的な反政府デモに対する武力弾圧という蛮行を速やかに止め、撮影機材の押収や、ジャーナリストに対する脅迫と暴行、身柄の拘束など、事実を取材し報道しようとする内外のジャーナリスト及び報道機関の権利を踏みにじる一切の行為を止めるべきである。
 また、8月以来ビルマ(ミャンマー)各地で行われてきた反政府抗議行動に対しての軍事政権による暴力的鎮圧と武力行使は、辺境地域の少数民族に銃口を向け、数十年来にわたり政府軍が無数の自国民を殺戮してきた軍事政権の一貫した方針を証明したにすぎない。
 この間、国連をはじめとする国際社会が軍事政権に対して毅然とした外交姿勢をとっているにも拘わらず、長井氏殺害事件が起きる直前まで、事態を静観し発言を控えてきた日本政府の人権を軽視した、あいまいで軍事政権に対し寛容と思える外交姿勢に強い疑念を覚えるものであることも付記しておきたい。
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)
2007年9月30日
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2003-05-25
●リニューアル版運用開始。リニューアル終了まで2〜3か月かかる見込み。旧版は残します
2002-04-11
●ホームページ試験運用開始。キリがないので、未校正ありのまま見切り発車しました。あしからず
●この欄、文中敬称略ってことでよろしく願います