メディアとつきあうツール  更新:2008-04-26
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<ジャーナリスト坂本 衛のサイト>

日録メモ風の更新情報(坂本衛)
2007年4月〜9月

2007年4月〜9月の更新情報

09-30
●大相撲がヒドいですね。しかし、朝青龍問題でも思っていたことですが、なんでみんな相撲取りに「品格」なんて求めるのか。そもそも日本では1871(明治4)年に断髪廃刀令で禁止された丁髷《ちょんまげ》を二十一世紀になっても結い、回し(締込、ふんどし)で陰部を隠すだけというほとんど裸体で人前に現れ、病的なまでに太った者でも問題にされない、極めて普通ではない人びと、社会から逸脱した非日常的な異形《いぎょう》の者たちですよ。異形の者の典型は巨人、こびとなどですが、それは神話や伝説では過去や他民族など(現在や支配者と対立する他者)の表象であり、同時に社会の周縁にいるハズレ者だからこそ特別な力を持つ(端的にいえば神に近い)とされ、神事や占いに関わったりする。また、権力者が特別にかかえる慰み者や見せ物ともなる。力士はそれらに近い存在だから、普通ではない姿形をし、神事(農耕儀礼)や祭で重要な役割を担い、宮廷にも召された。天覧相撲は、現在では天皇が国技館で観戦することとと思われているが、1300年以上前からやっていることです
●この二十一世紀に、そんなかつての異形の者たちを存在させようというんだから、その集団が常識からかけ離れているのは当たり前といえる。今でこそ学生相撲出身者(大学卒)もいるが、多くは中卒で相撲部屋に入り、稽古に明け暮れるから、世間一般の教養や社会常識に欠けた者も少なくない。それでも強ければよい、という世界。私は、確か両国中学だったか、北の湖(現・相撲協会理事長)の中学時代の子分というか使いっ走りだったヤツから直接聞いたが、成績は最低(体育以外は1と2のみ)、いつも中学生では考えられないカネ(万札)を持っていて、みなに奢っていたという。普通の中学生なら「不良」でも、強けりゃいいのです
●古墳時代の埴輪や土偶にも相撲(のルーツ)らしき姿が見え、国技だ日本の伝統だともいう。「古事記」にある神さま同士の「力くらべ」を除けば、日本で最初の相撲は、伝説によれば垂仁天皇7年7月7日に行われた野見宿禰《のみのすくね》と当麻蹶速《たいまのけはや》の対戦だそうで、これが相撲節会《すまいのせちえ》の起源とされ、勝った宿禰は日本相撲の始祖として神社に祭ってある。それはいいけど、勝ったといっても、宿禰は蹶速のわき腹(肋骨と腰)を蹴り踏み折ってブチ殺したのです。開祖が人殺しなら、品格もへったくれもないともいえる。なお、宿禰は日本柔道の元祖でもあるらしい
●で、相撲界の不祥事というのは昔からあって、たとえば当サイト放送お騒が史1960〜1969にも当時の現役横綱大鵬・柏戸や北の富士(後の横綱)のピストル不法所持の記事があります。大鵬・柏戸は、アメリカ巡業の際に拳銃と実弾を買い、日本に密かに持ち帰り、ヤバいとなって隅田川に捨てたのです。40年前の横綱だって非常識で、品格など期待できない。当時の九重親方(元横綱千代の山)は1965年5月11日にコルト1丁と実弾5発を持って警視庁に出頭している。朝青龍問題で大鵬が「横綱たる者、品格がどうたらこうたら」という趣旨のコメントをしていたので、私はよくいうよと思った
●その連中に比べたら、朝青龍なんて、たいして悪いことなどしていない。朝青龍はここ数年一人で大相撲を支え続けた、相撲界にとっての大恩人です。相撲協会内でルール違反をしたとしても、少なくとも大鵬・柏戸のように社会ルールを犯し、逮捕相当の悪事までは働いていない。私は、マスコミの朝青龍批判はイカれていると思います
●もちろん現代社会では、異形の者たちも社会ルールは最低限、守らなければならない。若い力士のリンチに荷担し、瀕死の状態でもなかなか救急車を呼ばず、遺体を親に見せず火葬にしようとした親方など、社会のルールにも人の道にも外れた人間の屑《くず》です。逮捕されて当然だし、メディアが糾弾して当然。しかし、自殺者を出した学校の校長に対しては、マスコミは強く出るが、弟子をビール瓶で殴り見殺しにしたも同然の相撲部屋の親方に対しては、強く出ない。相撲協会の責任者である北の湖に対しても、誰も責任を問わない。おかしな話です

09-29
●午後7時、五木寛之と田原総一朗の対談@都内ホテル。アスコム11月刊行予定『オフレコ5号』宗教特集のため
●東京新聞朝刊に「経営委との対立鮮明に NHK次期経営計画案」の記事。NHK次期経営計画(2008-2012)の考え方はこちら。5ヵ年経営計画(執行部案)についての経営委員会の見解はこちら。たとえばNHK改革を小手先の値下げという読売新聞社説はこちら
●2007年2月22日の衆議院総務委員会で菅義偉総務大臣が語った要旨は、以下の通りです。◆訴訟手続によらずNHKが自力で受信料債権の回収を行う「強制徴収制度の導入」は検討していない。自分が検討しているのは受信料支払い義務化だ。今の受信料体制で本当にいいのか、現状では国民になかなか理解されないんじゃないかと思っている。◆現状では、5000万世帯が受信料支払い(の対象)世帯で、うち4600万世帯の7割に料金を納めていただいている。この5000万という世帯そのものも母数として疑問がある数字じゃないかなと思っている。住宅戸数は5400万戸、そのほかに事業所やホテルなどいろいろあるから、これも改めて見直ししてもらう必要があると思う。いずれにしろ国民から見て不平等にならないような形が大事だ。◆多くの国民の皆さんに受信料の現状をわかってもらう必要がある。今の数字で3割の人が払っていない現状は、支払者に負担がかかり過ぎている。そうしたことを各方面から指摘されている。そのなかで支払い義務化を導入するには料金値下げとセットでなければならないし、NHKそのものの改革をしっかり示さない限り国民から理解されない。◆仮に、受信料支払いが一連の不祥事以前の80%水準まで回復し、これに受信料義務化に伴う効果が加われば、現在の70%は85%ぐらいまで高まり、年間約1200億の増収効果が見込まれる。これにNHK自身による経費削減(たとえば6000億円の料金徴収コストは12〜14%だが、海外は4%ぐらい)努力もNHKに求めたいと思う。◆以上のことから、2割の引き下げは問題のある数字じゃないと思っている。必要であれば資料も提出したい【前総務大臣の考え、ここまで】
●この前総務相のもと6月に就任した現NHK経営委員長は、当然以上に近い考えです。ところがNHKは、菅(スガ)総務相を「シギ」「市議上がり」と陰口を叩きつつ、安倍改造内閣で交代必至と見て値下げ案の検討を遅らせるなどした挙げ句、総務相の疑問に応えない経営計画案を提出。却下されてしまったわけです
●押さえておくべき最近の状況変化は、(1)自民党では田中派系の大物逓信ボスが野中広務を最後に姿を消し、構造改革派が全面に出てきた。(2)総務大臣も竹中平蔵以後、主として構造改革派が就任している。(3)そこで総務大臣=総務省ではなく、総務官僚が大臣に振り回されている。(4)最後に残った典型的な逓信族議員、NHKに理解ある片山虎之助(元総務相)が先の参院選で落選し、自民党とNHKの仲介役がいなくなった。(5)NHKでは、自民党・田中派系の大物逓信ボスれに対応する実力会長が海老沢勝二を最後に姿を消した。(6)海老沢手下の政治担当も退場し、NHKの政治との距離が問題化したこともあって、NHKの政治力が低下した、などです。ようするに「自民党─NHK経営委員長─NHK会長」の連携(玉突きシステム)は、かつてとまったく様変わりした。このことをNHKは甘く見すぎているように思える。自民党には、例によって、自分たちが参院選で負けたのはNHKが年金・政治とカネ問題をガンガン報道しすぎたからだという逆恨みの声があり、NHK批判が強まっています
●NHK経営委員会は、NHK本体(執行部)の業務について微に入り細をうがって口を挟むべきではないとしても、NHK会長の任命権を持つ。その経営委が、橋本元一・現NHK会長の任期が2008年1月24日で終わることを見越して、次期経営計画案(本来は2008-2012)白紙撤回・1年後の再提出を求めたことは、当然、現NHK会長のクビのすげ替えを想定しています。現会長に何か求めることがあれば、年内に出せというはずでしょう
●私のNHK受信料のあり方についての考え方は、1998年に書いた「NHKはだれのもの 50年目の曲がり角 曖昧・受信料をどうする?」と基本的に同じ。むろん総務大臣の国会答弁レベルの論点は、98年段階ですべて書いています。そして、NHKや総務相のいう現状の支払者率(放送法上、NHK受信料を支払うべき者のうち、実際支払っている者の割合。受信契約率、受信料収納率などとは異なる)7割についても、98年段階で「受信契約率は7割どころか、5割を切っている可能性すら否定できない」と書いた通り
●話はそう難しくありません。日本にはおそらく1億2000万〜3000万台のテレビがあり、5000万世帯の99%以上が平均ほぼ2台のテレビを所有しているから、家庭分で5000万契約が必要になる(生活保護世帯その他の免除分は、誤差の範囲)。一方、事業所数は650万で、ここが2000万〜3000万台以上のテレビを所有していると思われる。事業所のテレビは部屋ごと・自動車ごとの契約で、1部屋にテレビが2台置かれることは少ないから事業所分で2000万〜3000万契約が必要になる。家庭分と事業所分を加えれば最大7000〜8000万契約が必要。事業所では広いワンフロアにテレビが10台あっても1契約というような場合がありうるから、大マケして事業所分を1500万契約と数えても、日本全体で6500万契約という話になる。実は、私が1億2000万〜3000万台と計算したときには数えなかったが、これ以外に、PC内蔵・外付けチューナーによってNHKの放送を受信できるPCが1000万台以上、テレビチューナー付きカーナビも数百万台以上の規模で存在します(ちゃんと調べてないが、どちらも1000万以上かも。これは地上アナログ用だから、2011年の停波時に全部ゴミにするのかと問題になる)。それは数えずに6500万契約。一方、現時点でNHK受信料が支払われている契約数は3300万以下だから、NHK受信料を支払うべき者のうち、実際支払っている者の割合(支払者率)が7割などということは断じてありえず、私はせいぜい5割前後だと思います。この点、総務省の試算は前提が間違っています
●ところで私は、公共放送NHKが、ときの政権与党の思惑や都合で右に左に振り回される状況は、まったくもって望ましくないと思います。しかし、政権与党の思惑や都合に正当な主張が含まれている場合は、NHKは受け入れざるをえない。NHKは、経営委員会が求める項目ごとに、ここはその通りだから改善する、ここは違うから受け入れないと、ハッキリ主張すべきです。その際「受信料2割値下げは絶対に無理だ」と主張するためには、「現在7割取れている」という前提を引っ込めざるをえないように、私には思えます

09-28
●10時40分〜日本大学芸術学部放送学科「放送特殊研究V」後期の最初の授業
●争乱のミャンマーで27日、APF通信社(東京・港区)の契約記者/カメラマンの長井健司が兵士に撃たれ死亡。第一報の段階では、群衆に向けた発砲の流れ弾に当たったのかと思いましたが(たとえばこの読売記事でも「流れ弾」と表現)、今朝のフジ『とくダネ!』が流した映像によれば、至近距離から兵士に狙い撃ちされた。APF通信社代表の山路徹はGALACに登場したことがあり、当サイト「ビデオジャーナリストが日本人の視点を変える日 マスコミ界の本質に関わる問題だ」記事中でも私が名を挙げている人物で、まったくもって他人事ではありません。心から冥福を祈ります
●上掲記事中にもある「誰も行かないところに誰かが行かなければならない」との言葉はジャーナリズムの基本であって、すべての新聞・雑誌・放送などに関わるすべての記者が、自らの仕事と重ね合わせて自省すべき言葉です。ある程度時間を割いて長井健司の死とミャンマー情勢を伝えた今朝の『とくダネ!』は、そんな自省の一つの表れと高く評価したいと思います
●ただ一点、当たり前のことですが、ジャーナリストはなるべく死なないほうがいい。私は、自らの判断に基づき「危険を顧みず命がけで突っ込む」という記者を止めるつもりはなく、ジャーナリストは絶対に死ぬべきではないとはいわない。実際、綿井健陽はじめアジアプレスの記者などは、紛争地域の取材には必ず遺書を残して行く。長井健司にも当然、覚悟があったでしょう。しかしそれでも、的確に情勢をとらえる判断力や、危険と見れば速やかに退く柔軟性は、どんなときでも失うべきではありません

09-27
ART KAWASAKI 2007のお知らせ(昨年までは「かわさき現代彫刻展」と称していた。今年で4年目)◆会期:2007年9月25日(火)〜12月15日(土)◆会場アウマンの家・周辺広場(THINK=テクノハブ イノベーション川崎。旧・日本鋼管渡田ビル付近)◆入場料:無料。基本的に無休で、THINKの門が開いていれば誰でも入れます◆参加作家:阿部佳明/井川惺亮/大木道雄/フラホロ/鞍掛純一/酒井信次/島田忠幸/樋口正一郎/ヒグマ春夫/真鍋武/村上洋一/山本伸樹/吉本義人/神奈川県立大師高等学校/川崎市立臨港中学校/東京ガラス工芸研究所◆オープニング・パーティー:9月28日(金)5時〜7時◆吉本義人の作品はこちら。相変わらずもたれかかっていますね。現代彫刻は自立していないし、自立できないと主張しているようなもんです◆イベント情報はこちら。土日に作家のトークがあるほか、舞踏家などのパフォーマンスも。11月11日のふれあい祭には屋台なども出る。11月24日(土)には坂本も行く予定。吉本蓉子、林武も来るはず
●6時半〜NPO放送批評懇談会の理事会@新宿5丁目。市村元、岩本太郎、小田桐誠、音好宏、隈部紀生、坂本衛、志賀信夫、篠原俊行、嶋田親一、滝野俊一、田代勝彦、永田俊和、事務局は中島好登、福島美子、久野明

09-26
●昨夜、東京新聞からNHK経営委員会がNHK経営計画案を却下した件につき電話取材があり、30分ほど話しました。今日の朝刊15面に『経営委、異例の判断』の記事があり、坂本コメントも載っています(WEB記事では服部孝章、坂本衛のコメントが省かれています)。十何行かの短いコメントですが、私の見解は、およそ次の通り◆50円とか100円という受信料値下げ案一つとっても、まったく中途半端で不十分。私は、総務省が言い出す前からNHK受信料は大幅に値下げ可能と主張しているが、それはNHKの受信契約数に比べて、受信料を払うべき世帯数・事業所(の部屋)数がかなり多いから。日本には5000万世帯があり(テレビ普及率は99%以上)、それ以外に事業所が650万あり、ホテル・旅館の部屋数だけ数えても百数十万ある(事業所のテレビは部屋ごとに契約が必要)にもかかわらず、受信契約数は約3750万。事業所がNHKと結ぶべき受信契約が仮に2000万なら、現在の受信契約率は54%(=3750÷6930×100)。これを70%や80%まで引き上げれば、大幅に値下げできる(値下げするから払ってくれと頼むべきだ)というのが私の主張。しかし、事業所と本来結ぶべき契約数すら不明、しかも取りやすい一般家庭からしか受信料を取らないかのような姿勢で、値下げ額だけが50〜100円と具体的なのはおかしい。◆前会長が辞任に追い込まれた理由の一つ、政治との距離の問題も、何ら解決していない。「ちゃんとやる」と宣言だけはしているが、たとえば放送前に特定の政治家に番組内容を詳細に(少なくとも政治家が偏向と判断できる程度に)説明することは、絶対にやめたのかどうか不明。ようするに抽象的で具体性に欠ける。◆以上二点に限っても、私は今回のNHK経営計画案は不十分だと思う。これを不十分として却下したNHK経営委員会の判断は、私の考えと同じであり、まともであると思う。◆これまでのNHK経営委員会は、もっぱらNHK会長を指名するための組織で、NHK会長やNHK本体の意向に対して強く異議を唱えることはしない形式的な存在だった。経営委員会は「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命」(放送法第16条)し、「会長は、経営委員会が任命する」(第27条)から、NHK会長には事実上、首相や自民党(とりわけ旧逓信族)の意向に沿った人物が就任してきた。古森重隆・現委員長は安倍晋三を囲む経済人の集まり「四季の会」のメンバーで前首相に近く、前首相のもとで菅義偉・前総務大臣が示したNHKに対する強行姿勢(国際放送についての命令、NHK受信料義務化・値下げ圧力)などに一定の理解がある人物。(記者:こういう政権交代の混乱の中でも、主張は以前と同じなのか?)当然、変わらない。任命者の意向に沿っている。NHKを何とかせよという考え方は、竹中平蔵・総務相のときからだ。◆経営委員会とNHK本体が緊張関係にあることは、なれ合っているよりは、よいことだ。ただし、なんでもかんでも経営委員会の言う通りにすればよいというものではない。NHKの最大の客、最大の目付役は、受信料を支払っている国民だ。経営委より何より、国民がNHKに何を求めているかを真剣に考え、国民に了解してもらうことのできる経営計画案を打ち出すべきだと思う
●事業所の契約について、NHKは、正確なテレビの台数(部屋ごとや自動車ごと)を申告し、全部支払ってくれれば、2契約以降は半額程度までに値引きする方針のようです(事業所の受信料体系の見直しについて)。これは一般家庭と比較してものすごい割引。たとえば、1000室にテレビが1000台あるホテルからは、「1契約のみ正規料金+999契約は半額」を取ると言っているから、全体でほぼ半値にするとの同じ。なぜ一般世帯が50〜100円の値引きで、企業はほぼ半額という大幅値引きなのか、NHKは国民に対して納得できる説明をすべきです。マスコミがこの問題をほとんど報じていないのは、どうかしています
NHK受信料問題とは? 曖昧・受信料をどうする? NHK不祥事と「受信料不払い」(支払い拒否)拡大の経緯を、ご参考まで。「NHK受信料を値下げする」「事業所には割引を導入する」というNHKの方向性は、私が何年も前から主張していることと同じで、間違ってはいません。しかし、方向性は合っているが、内容が、なってません。「世帯の値下げは50〜100円が限界」で「企業は、ほぼ5割引でオーケー」なのはどうしてか、誰か理解できますか? 私には相変わらず国民をナメている、一般庶民という取りやすいところから取ろうとしているとしか見えません。納得できる根拠を示さなければ、たいへん具合が悪いと思います
●原稿書きなど
●『日本照明家協会雑誌』という月刊誌の9月号、STAGE DOOR『テレビの光と影』というエッセイを書いています。どこかで見かけたらお読みください
●夜7時、吉本義人、藤森隆と新宿で待ち合わせ。「三日月」で飲む。焼酎に、秋刀魚刺身、土瓶蒸し、オムレツ、ピータン豆腐、オールグリーン(シシトウ、ピーマン、アスパラ、ニラ、絹サヤなどの塩胡椒いため)、莫久来(=ばくらい。ホヤと海鼠腸[このわた=なまこの腸]の塩辛。ホヤの、あの強烈さはないです)などを頼む。政治論に始まり、藤森は3月まで麻布PTA会長だったので、麻布の話、教育論ほかあれこれ。麻布には女先生が大勢いて頑張っているそう(30年前は一人もいなかった)なので、年末までに校長の氷上信廣とセットでへちまに招くことに。ゴールデン街パインツリーに寄って11時半帰宅

09-25
●原稿書き
●前から思っていたことで、政治家の1円以上の領収証について。落ち着いてよく考えてください。誰か、1円の領収証って、もらったことありますか? 私は、これまで50年近く生きてきて、1円領収証をもらったことは1度もない。昭和60年頃から確定申告を続けているが、100円以下の領収証も経費に入れたことはほとんどないと思います。その金額の領収証はまず発生しない(たとえば50円の消しゴムはオフィス・デポで他の文具と一緒にまとめ買いする)し、発生したとしても経費算入が面倒くさいからです。だから、私は確定申告の際に1円領収証の提出を求められても一向に困らない。存在しないものを出せと言われても、何も出さず、計算その他の手間は以前と変わらないので
●1円領収証だけに限れば、政治家も私と同じように考えるでしょう。ところが、自民党は1円以上の全領収証の添付・公表にこれまで頑として反対だった。そして今回、福田政権では公明党と連立政権合意を交わし、人件費を除き1円以上すべての支出について、政治資金収支報告書に領収書添付を義務付けることにした(領収書の公開方法については、第三者機関の新設を含め、与野党で協議)。この経緯を見ても、もちろん「1円」という額が問題でないことは明らかです。1円領収証では経理が煩雑になるという従来の主張も、とってつけた理由にすぎません。ようするに、政治資金収支には公開したくないものがあるから使途を隠したいというだけの話です。今回の合意は、相変わらず抜け道が用意されているから隠すことができると判断してのことでしょう
●もちろん、自殺した松岡農水相のナントカ還元水も、複数の政治家の高額すぎる事務所経費も、本来の使途を隠して付け替えているにすぎない。絶頂期に全政治家中トップ3に入るような資金力を誇っていた鈴木宗男は、外務省の接待費の付け回し(外務官僚たちが海外からの客の接待でドンチャン騒ぎをし、鈴木に回して寄こした領収証)一晩数百万円分を自ら支払ったと語っています。それはアスコム刊『反省』で「やってはいけないことだった。国民のみなさま、申し訳ありません」と反省し謝罪していますが、当時は適当にごまかし、うまく取り繕っていたわけです。この種の表に出したくない支払いは、子分政治家への手当て、官僚その他への謝礼や寸志・酒手・心づけ・祝儀、政敵への懐柔費、マスコミへの口止め料、世間では贅沢と見なされる会合費や遊興費、地元支持者への接待費や弁当代など、いろいろとある。たとえば、いつか国会で爆弾質問してやろうと思っているライフワークがあり、2〜3年コツコツ調べて情報提供者にカネも渡しており、それがバレると隠匿工作が行われてしまいマズいということだって、あるかもしれません。この場合は、その政治家が何を調査しているかバレないほうが、国民のためかもしれない
●こう考えると、政治家は政治資金のすべての使途を必ず明らかにしなければならないかどうかは、やや疑問です。企業に対しては、ヤミ献金や贈賄などにつながる不明朗な支出を抑制するため、使途不明金(損金不算入で[経費として認めず]所得に課税)や使途秘匿金(損金不算入で支出額の40%の追加課税。住民税負担も入れると、支出額とほぼ同額の税金を取られる)を認める制度がある。そのように、政治家がある覚悟や信念を持って使途不明な出費をする場合は認めるが、それには何らかのペナルティを課す(たとえば、その政治家の属する政党への政党助成金を使途不明額に応じて削るとか)仕組みを導入するのがよいと思います
●もちろんそれ以前の問題として、◆政治家の資金管理団体はただ一つとし、政治家が複数の政治団体を持つ場合でも、各々の団体の政治資金の収支すべてを、その資金管理団体が(政党経由のカネも含めて)一括・合算して公表することを義務づける(添付領収証は、5万円以上ではマズいが、まあ1万円以上でも3000円以上でも構わない。全関連政治団体の全領収証を出すならば。コピーの添付はインチキできるからダメ。なお現在は、政党支部・政治団体・資金管理団体などがバラバラに収支報告をし、領収証添付の対象は資金管理団体だけ)◆確定申告の収支内訳書のような簡潔な書式を用意し(何をどの費目に入れるという詳細なガイダンスも付し)、全政治家分をホームページなどで一覧できるようにする。現在は、収支報告書の提出先が都道府県の選管・総務省などバラバラ。とりわけ総務省は与党政治家をトップとする場合が多いから、政治家の収支報告の宛先としては不適切に決まっている。宛先は、政治的公平を確保できる新設の第三者機関とし、政治家はこれに対して報告書・添付領収証を提出。これが報告書・添付領収証を保管のうえ、必要なものをホームページその他で情報公開する。求めがあれば、添付領収証も含めてすべて閲覧できる仕組みにする。その際、「プライバシーの侵害だ」「個人情報だから保護しなければ」と言わせないために、使途不明金の存在を認めておいたほうがいい。使途不明金が多い政治家は、基本的に怪しい。怪しいから退場させるか、怪しいけれども役に立つから黙認するかは、選挙民に判断させればよい◆最低でも、以上二点が必要です。同じようなことを国民は税務署に対してやっている。夫婦二人だけで切り盛りする零細商店でも、経理が煩雑だから帳簿づけは5万円以上の出費だけにしてくれなどとは言わず、徹夜してやっている。月に何度も料亭やゴルフ場に通うヒマとカネがある国政レベルの政治家であれば、やって当然でしょう
●それと野党政治家は、自分のホームページで収支報告はここまで出すというのを実践すべきだと思います。民主党議員のサイトをいくつか見たら、「政治団体の収支を法令で規定されている様式で報告申し上げます」と公開する政治家はいた。もっとも、これは民主党が不十分だと主張している様式のはずです。自らの政治資金や収支について一切言及のないサイトも数多くありました。なんでですかね。「やましいことなどない。見せろと言われれば見せる」と思っているのかもしれないが、最初から見せたほうが得だと、なぜ思わないのか不思議
●政治とカネでは、「国から補助金を受け取っている団体・企業から献金を受けていたことが後から判明した」と、政治家が返金するケースがよくある。この補助金は、日本の行政制度全体の問題で、構造改革の最大テーマの一つです。国の補助金の渡し先が地方自治体なら、何に使ったかはわかる(注:わかれば適正な補助というわけではない)が、怪しい財団や社団やNPOに渡すと、そこから先はわからない。補助金をつけろと活動した政治家に多額の献金がされていれば、これは賄賂と同じことです。何億円という補助金を受け取って老人ホームをいくつか建てた人物が、豪邸に住みベンツを乗り回しているのは、明らかにインチキくさい。補助金を受け取っている学校その他でも学長や理事なんかがあまりに金持ち然としているとか、株式を何十億円も運用しているという場合はインチキくさい(むろん有力私大は兜町の大得意先)。そこで私は、国は大規模な「補助金データベース」を整備すべきだと思います。国の全セクションで1円でも補助金を出したら、必ず日付・交付先・代表者氏名・金額・根拠法令その他の事由を、統一されたフォーマットで打ち込み、自動的にデータベース化する。データ量は何百万件になるか知らないが、検索機能をつけて、たとえば「銀行」「財団法人××」などと打ち込めば、補助金を受け取った団体・企業名がわかるようにしておく。ついでにいえば、補助金ではないが税の減免など特別な優遇措置を受けている企業・団体のデータベースも整備したほうがいい。マスコミは新聞社も放送局も全社、優遇措置を受けていますから。租税特別措置法の放送局関係分はこんな感じ。地方税(都道府県税)のうち住民税よりも額が大きい事業税を新聞社が払い始めたのは、ついこの間のことですし、いまでも消費税を免除にせよと要望し続けています

09-24
●原稿書き
●午後、安倍晋三が病院で記者会見。退陣の決断に関しては、体調悪化が「最大の要因」だったと説明。共同通信によれば、「所信表明演説直後の最悪のタイミングとなり、与野党関係者、国民に多大な迷惑をかけたことをあらためておわびしたい」「首相が在職中に体調について述べるべきでないと考えた」と述べた
●なに、12日の会見は嘘をついていただって!? ふざけんな!! それにしても、どこまでもバカな男ですね。「与野党関係者、国民に」って何なのだ? 詫びる順序が違うだろう。それに、「首相が在職中に体調について述べるべきでない」のは、首相を続けるときの話に決まっているではないか。何が美しい国だ。現時点で日本国首相であるこの男は、全然美しくなく、醜い。何が戦後レジームからの脱却だ。安倍レジームから脱却できて、日本人全員が胸をなで下ろしている。安倍晋三は「教育再生」を主張していたが、こんな大嘘つきが日本国の首相や日本国の国会議員として存在し続けることは、教育上はなはだよろしくない。さっさと議員辞職したほうがお国のためでしょう
●そもそも「戦前の日本に存在せず、敗戦によってアメリカその他からもたらされた新しい体制」を「戦後レジーム」と呼ぶならば、戦後の体制・制度・仕組み・構造などのうち重要と思うものをたとえば100個挙げ、現在の日本社会でどのような意義があるか冷静に検討すべきです。そのほとんどは「いまでも、あってよかった」に決まっている。人によっては100個中三つが気にくわない、八つが時代遅れだなどと主張するとしてもです。その検討なしに、「戦後レジームからの脱却」などと空疎なキャッチフレーズに振り回されてはならない。爺さんから聞いたか本で読んだか知らないが、「首相は在職中に体調について述べるべきでない」から「辞めるときも違う理由をいう」などと、イカレた考えを口にする者が、「戦後レジーム」と言ったのだと再確認しなければ。私たちは、そしてメディアも、政治家が口にする胡散臭そうなキャッチフレーズには、立ち止まって、何を意味しているかよく考えたほうがいいと思います
●【追記】爺さん(岸信介)と書いたのに関して一言。岸首相(1960年当時)は、群衆が国会を取り巻き安保反対を叫んだとき「デモ隊は声ある声だ。自分は声なき声に耳を傾ける。後楽園は巨人戦で満員じゃないか」という意味のことを言った。これは大衆という存在の本質を半ば言い当てていると思いますが、同時に岸信介は自衛隊を出動させようとし、最悪の場合は声ある声のデモ隊との武力衝突も容認し、その武力制圧まで考えていたことを、紹介しておくべきでしょう。◆当時、産経新聞の水野成夫《しげお》、産経をへて椎名悦三郎の秘書になった福本邦雄(水野と福本は共産党出身。水野は獄中転向。福本イズムの福本和雄を父に持つ福本は50年のコミンフォルム批判で除名)が、椎名に自衛隊出動の阻止を強く進言(水野「椎名君、自衛隊出動は命をもって阻止しよう」)。椎名は防衛庁長官だった赤城宗徳(バンソウコウの祖父)を呼び、阻止方針を固めて首相官邸へ。◆官邸では、岸首相、佐藤栄作(岸の弟、後の首相)ほかがいて、デモ隊におびえ、自衛隊出動を要請しようと検討していた。佐藤栄作は「せめて中間地点まで出してほしい」(市ヶ谷と永田町の中間、三宅坂付近まで出して待機させられないか)と言った。赤城はこれに断固として反対。「官邸からの緊急脱出に備えてヘリを準備してあり、12分で着く。それまでは我慢してもらうしかない」と言い、警備の警官が何人殺されても仕方ない、自衛隊は出せないと押し切った。岸や佐藤は苦虫をかみつぶしたような顔をしていた◆以上は、その日その場にいた福本邦雄が語ったことで、私も田園調布の福本邸で聞きました(2003年9月刊『オフレコ』第3号の田原インタビューをご参照)。「声なき声に耳を傾ける」は、それだけ聞けば間違ってはいないが、「声ある声のデモ隊は自衛隊をもって制圧してよい」という考えとセットであれば、ちょっと待てというほかない

09-23
●原稿書き
●夜、クイズ・ミリオネアに田原総一朗が登場。数日前、田中康夫と話したとき「応援に行ったよ。13問まで行ったんだけど、惜しかった」と聞いていました。それにしても、芸能人はじめ著名人が出るときの問題が易しいこと。田原の回も、だいたい小6問題でしたね。ウィリアム・テルを知らんかねえ!?
●2000年と古いですが、坂本がAP通信記者に語った『クイズ・ミリオネア』に関するコメントはこちら。「日本は巨大な一つの村みたいなもんだ」なんて言ってますが、ようは、視聴者がクイズに正解を重ねて大金を得るなんて番組は、アメリカでは受けても、日本では受けない。アメリカでは宝くじに当たった者がヒーロー然として名乗りを挙げるが、日本では当たっても黙っている。多くの人にとっては、自分と同じような分際の者がそんな幸運を得ることは理不尽と思えて、嫉妬や怨嗟の対象になるからだ。だから、日本では、視聴者参加番組の多くが視聴者の不幸を扱う番組である(身の上相談、家出人捜し、貧乏生活の暴露など)。ついでに言えば、これは、人にスポットを当てるドキュメンタリー番組に戦争(とくに原爆)・差別・障害者・高齢者・病気などを扱う暗いものが多く、脳天気なヤツの気楽で明るい成功物語など一向に題材にならないことにも関係がある。そこで、日本に輸入された『クイズ・ミリオネア』は、芸能人・政治家・その他著名人がクイズに挑戦し、正解を重ねて大金を得るという番組に変質している。これなら、どこからも文句は出ない。日本のテレビに、出演者がその本来の芸を見せるためでなく、ただ芸能人であるという理由で出演している番組が多い(私のいう「ひな壇バラエティ」は全部そう)のも、同じ理由による──てな話です
●逆に言えば、『東京フレンドパーク』(AP記事にもあるのは私が指摘した)のような番組は、アメリカでは、あまり受けない。私がGALAC編集長のとき、日本にいる外国人に「今月のベスト&ワースト」(各三つまで寸評)を書いてもらっていましたが、彼らは、フレンドパークのどこがおもしろいのか全然わからない。また、『SMAP×SMAP』の料理コーナー「ビストロ・スマップ」に、「若い歌手たちに、あんな料理を考え出せるはずがない。なんで、あんなことをやらせるのか」と怒っている人もいた。彼らが歌ったり踊ったり演じたりすることは素直に受け入れるが、彼らがゲームに興じたり専門外の料理を作ったりするのはなぜなのか、なぜそんな番組が成立するのか、理解しがたいようでした
●アメリカも日本も世界的なテレビ大国ですが、同じ番組とかコンテンツといっても、テレビのあり方はこうも違うのです。日本では、映画俳優も小説家も評論家も、最近では確か「ジャーナリスト」という肩書きだったはずの人物まで、平気でテレビCMに出ます。しかし、(すべて調べたわけではありませんが)世界のほとんどの国で、映画俳優や小説家や評論家やジャーナリストはテレビCMに出ないはず。少なくとも、アメリカの映画俳優はテレビCMには一切出ません。ブラピだのブルース・ウィリスだのが日本でCMに出ているのは、契約書に映像を日本国外に絶対に出すなという一項が入っています。この種のことは、日本におけるテレビを考えるうえでさまざまなヒントを与えてくれると思いますが、なかなか調べるヒマがない。以下おまけ。APの記事を探していたら、こんなのも発見。田原総一朗を原田総一朗と間違えているのはご愛敬。Digital Television’s December Descent

09-22
●テレビは相変わらず、自民党総裁選の候補者二人に密着する形式的でムナシい儀式を繰り返しています。彼らを「一目見ようと」遊説ポイントに集まって、キャーキャーいったりケータイで写真を撮ったりする人びとも映ります。あれ、地元自民党が動員した人数も多いのでしょうが、子ども連れとか学生とか、動員されたふうとは見えない人も少なくない
●ところが、考えてみると、立会演説会が二人の地元で開かれた場合を除き、群衆のなかに福田康夫・麻生太郎に投票した人は一人もいない。また、群衆のなかに自民党(国会)議員に投票した人はいても、その議員が福田・麻生を首相に推すことを前提に投票した人はほとんどいない。1か月前の時点で、「麻生太郎が次の首相にふさわしい」と思っていた人は1000人に100人前後、福田康夫がふさわしいと思っていた人は1000人に50人前後いるかもしれないが、各種調査の結果からそれ以上いるとは考えにくい
●群衆の多く、おそらく8割以上は、「自分以外の誰かの判断によって、どちらかが自民党総裁に選ばれ、したがってどちらかが次期首相になることが確実な、そして、そのことを理由として最近テレビに出まくっている二人の政治家」を、わざわざ見に来ている。そして、場合によってキャーキャーいったりケータイで写真を撮ったりする。マイクを向けられれば、たいていテレビや新聞で見聞きしたことのあるもっともらしいことをいったりもする。「なんであんたらなの!?」なんてヤジは飛ばないから、多くの人が「次期首相は福田・麻生のどちらかという、自分以外の誰かの判断(選択)」を、あまり深くは疑わず、受け入れているように見えます
●そこで、こういうのは、近代以降の国家が前提とする自立した「個人」、ようするに「市民」なのか、この国は本当に「民主主義」をやっているのか、という感じがある。もっとも、小泉純一郎の登場を大歓迎し、安倍晋三にも相当程度期待した国民大衆も同じ存在。そして、いま大勢としては「ダメだこりゃ。ここは民主党、小沢一郎にやらせたほうがいい」と感じている国民大衆も同じ存在。いまや最大の政治勢力というべき「無党派層」(支持政党なし)も、同じ国民大衆の過半数です。もっといえば、先の戦争でイケイケどんどんだったのも、戦後マッカーサー様ありがとうといったのも、同じ国民大衆だったのでしょう。むろん、その判断にただ従うだけでは、それこそポピュリズムですが、その判断を尊重しない行き方もできない。昔、吉本隆明が「大衆の原像」ということをいい、そこに信を置く、それを自分の拠りどころにするのだと述べた。大衆はしょうもない判断をするけれども、生活者としてのあるがままの存在としては全部受け入れるというか、引き受けるしかない。それを引き受けない思想は全部ダメ、親鸞のようにイイ感じで引き受けているのがインテリの理想だというのが、早い話が吉本の考え方。私も、その考え方に近いと思いますが、そういうことを考えはじめたのは、かれこれ30年以上前ですかねえ
●古いヤツだとお思いでしょうが、そういう考えがあるから、ただ大衆はこう思っているという通信社や新聞社の世論調査を鵜呑みにはせず、その結果は何を示すのかと疑ってかかる(09-17の項参照)。で、何から何まで 真暗闇よ すじの通らぬことばかり 右を向いても 左を見ても ばかと阿呆の からみあい、と思ったりもします
●共同に続いて、15〜16日に読売と朝日が同じような調査をしています。もちろん私の見方は共同の調査のときと変わりません。朝日新聞によれば「次の首相に福田康夫元官房長官と麻生太郎幹事長のどちらがふさわしいかを聞くと、福田氏が53%で麻生氏の21%を大きく上回った」、読売新聞によれば「どちらが総裁にふさわしいかでは、福田氏を挙げた人が58%にのぼり、麻生氏の22%を大きく上回った」。読売のほうが、よい質問の仕方で、調査方法を注記しているのもよい。ほとんど同じような数字が出ていることから、千数百人規模で聞き千人程度が答える世論調査は、ある程度信頼性があることがわかります。読売読者の一部は朝日調査に、朝日読者の一部は読売調査にそれぞれ非協力的なことから、どちらもその社論に近い答えが若干高いパーセンテージで出る。たとえば自民党内閣や憲法改正の支持率は、読売のほうが朝日より高く出ます。実際の世論は、読売と朝日の平均を取れば大きく間違えることはないと、業界では思われています

09-21
●今朝の東京新聞、社会面(三面)裏の見開き「こちら特報部」に、「政府批判は『不公平』? 権力介入の根拠にも」の記事。立教大・服部孝章、政治評論・森田実、弁護士・喜田村洋一とともに、坂本もコメントしています。記事によると昨夕、舛添要一・厚労相は「明日(注、つまり今日)TBSが謝罪番組を流して終わり」と述べたそうだが、TBS側(湯川哲生広報部長)は「(謝罪番組での謝罪は)把握していない。(発言は)にわかに信じがたい」とコメント。当欄、昨日の記事をご参照ください
●忘れてました。朝日新聞に「東京TV事情 午後のワイドショーが消える?」の記事。19日の朝刊かな。坂本のコメントはこれだけでも、記者とは2時間半ほど話しています
●午前中、GALAC「報道活動Galaxy」ページの原稿書き。立教大学社会学部准教授・砂川浩慶と昼食がてら地上デジタル話あれこれ。情報通信審議会の答申に名を借りた現在の総務省の見解では「地上アナログ放送終了の際(2011年7月)に現時点で予期し得ない状況も考えられる」というんだけど、それって現段階で考えられるんだから、「終了の際に何かが起こるかもしれないとは予期できている(ただし何かは、わからない)」わけでしょ。だから審議会は、次の会合でその「何か」について話し合ったほうがいい
●昼に母と家人が父の墓参り。4時すぎ実家へ。夕方、自由が丘「鳥ぎん」で食事。娘も来る。私のみ実家に1泊

09-20
●このところ寝ていなかったせいか、昨夜12時半頃寝たら(6時に一度目覚めたが)9時半まで爆睡@大津プリンス35階。シャワーを浴びるなどするうち、朝食のバイキング(10時まで)を食べそこねてしまった。昼前、京都発の新幹線で帰宅
●新幹線のデッキに出るドアの上に電光掲示板があって、各紙の字幕ニュースが流れたり、「ただいま××駅を通過」なんて出ますね。あのニュース、短い文字数で何をどう伝えるべきかを考える、よいサンプルになる(マスコミを目指す学生はボケッと見てるんじゃない!)。たとえば「『野党3党』が参議院首班指名で小沢に投票する方針」というように出たので、私は民主・社民・国民新が小沢一郎と書くことで合意したのかと思った。その後、別の社提供のニュースで「共産・社民・国民新の3党が」と出て、なんだと思った。前の新聞社のニュースは落第、後のが正解です。朝日新聞は「何が、どうして、どうなった」と主語述語の順序を変えずにダラダラと流すのに、他社は「誰某を逮捕。警視庁。なんたら容疑で。どうたら」なんて流したり、違いがわかるのもおもしろい。たいてい、まだ何文字か削れます。「いじめで高3女子生徒と両親が提訴」は「高3女子と親が提訴」でもオーケーとかね(私が読んだのは、名古屋地裁一宮支部に提訴とまで伝えて、誰を訴えたか書いてなかった。「一宮市を」とか「市教育委を」と入れなければ落第)。ひどいのは、ダン・ラザーがNBCを訴えたことを伝えた最後に「米メディア。」と出た。「米メディア報道によれば」という意味らしいが、これは前のほうで3文字削って「米メディア伝える。」としなくちゃダメ。それにしてもダン・ラザーってしょうもない男ですね。椿発言問題の93年頃、「久米宏や田原総一朗など日本のキャスターは偏向しているが、それに比べてアメリカのキャスターはちゃんとしている。たとえばクロンカイトやダン・ラザー」と、盛んにいわれた(新聞なんかがよく書いた)ものですが、9.11が連中もロクなもんじゃないことを全世界に示した
●電光掲示板に出て、何これと思ったのが「切符紛失にご注意。切符をなくすと、改めてもう一度買ってもらうことになる。領収証があっても、切符ではないから、買いなおしてもらう」という趣旨の注意喚起。JR東海はふざけてます。これは「以上の文言は、お客様の法律上の権利を何ら制限するものではございません」と付け加えるべき、一方的・高圧的で不愉快な表現だと思います。たとえば、車中でスリに財布をすられて、切符をなくすことだってありうる。そのとき、スリの被害者に「あなたは切符がないから、もう一度買ってくれ」というのか? いうなら、私は非人間的でふざけた鉄道会社だと思います。いわないなら「紛失時には、改めて買い直してもらうこともありうる」と書くべきであり、「紛失時には、何が何でも買い直してもらう」と受け取れる表現で客を恫喝すべきではない。それは、たいへん下品です
●午後、東京新聞特別報道部の田原記者に電話でコメント。厚生労働相の舛添要一が18日、17日放送のTBS「ピンポン!」について、一方的な内容で政治的な公平性に欠け、放送法上の問題があるとしてTBSに文書で抗議した件。記事は、21日朝刊に載るのではないかと思います。私の見解は、◆舛添要一は、不祥事が相次ぐ年金問題における政府の責任者。この問題を、政府が問題と認める前から追求してきた民主党の長妻昭が、舛添の写真をデカデカと掲げ、しかも舛添を呼ばない番組で、政府または政府の責任者(厚労大臣)を一方的に批判しても、そのこと自体は何の問題もない。政府や大臣は、その程度の批判は甘受すべき◆番組でアナが「大臣に出演を依頼したが断られた」と言い、実はそんな事実はなく、他の番組での依頼と勘違いしたとされる点は(ちょっと考えられない、ありえないミスだが)、TBSは弁解の余地がないミスと認め、舛添要一にも視聴者にも謝罪すべき。ただ、その謝罪は、政府を批判したのが悪かった、という意味であってはならない。もちろん、そんなミスをする番組は最低だと、TBSを批判するのは自由◆舛添要一は「完全な欠席裁判。その場にいない自分の発言をあげつらったのは、公平な放送を求める放送法違反」と主張しているようだが、この考え方は間違い。こんなことで放送法違反を持ち出しては、見識が問われる。ある単一の番組だけを見たとき、そこで一方的な主張がなされることは当然ありうる。新聞も、ある記事(たとえば舛添へのインタビュー記事)だけを読めば一方的な主張がされている。しかし、だからといって、その新聞全体が偏向しているとか、公正中立でないとはいえない(新聞は、全体として偏向していて、公正中立でなくても、もちろん構わない。念のため)◆ある放送局の放送法違反は、特定の問題について、たとえば1か月や3か月という期間、その局がどんな報道をしたかを見続けた結果、あきらかに中立公正の度を越しているという場合に初めて問題になる。放送法は、「一つの番組内だけで、必ず対立する論者を二人出演させてバランスを取れ」などと、求めていない。そんなバカな話はありえない。必ず対立する論点を提起しなければならないならば、これまで放送された『総理と語る』は、すべて政治的公平を失っている放送法違反である。野党の主張を一切報じていないからだ。だが、『総理と語る』という番組はあってよい。野党だけが集まって政府批判する番組があってもよい。ここは北朝鮮ではないのだから、当たり前の話。安倍晋三もニュースステーションに対して同じことを言い、出演拒否をしたことがあるが、同じ誤りだ。かつて野党側が、大臣が出続ける番組を問題にしたとき、政府(放送を所管していた郵政省)は単一番組だけを見て偏向とか中立公正でないとはいえないと答弁している◆だから舛添要一は、TBSに対して、放送法違反だ、BRCに持ち込むなどといわず、「この前のは、いくらなんでもちょっと一方的すぎる。あれはマズい。今度ゆっくり時間を取るから、番組に呼んで、ちゃんと言いたいこといわせてよ」というべきだったと思う。それが大人の対応というものだろう。TBSが、それにも一切応じないということは考えにくい◆BRCは、これが放送法違反だなどという結論は出さない
●以下は、記者には言わなかったが、「誰かを批判するときは、必ずその者をスタジオに呼ばなければならない」ならば、ブッシュ批判も、金正日批判も、テレビでは一切できなくなる。安倍晋三批判も、なにしろ彼は入院中なので、できない。そんなことを主張するヤツは、ただのバカで、まるで問題にならないでしょう。テレビで一方的に批判されるのが嫌なら、このテレビ民主社会では政治家になるな、というほかありません。私はこの種のことについて過去にさんざん書き、当サイトにも関連記事があります。いくつか挙げておきます。◆「政治的公平」の議論は番組で深めよ(政治介入・公平中立・政治とテレビ)―特集 テレビ放送の「政治的公平」―まもろう!放送法――元政府高官の番組干渉はなぜダメか?参院選直前 政治の「テレビ脅し」を許すな!!【Q&A】BPO(放送倫理・番組向上機構)入門
●なお、東京新聞の田原(拓治)記者は、麻布で私の4年ほど後輩だそう。「この前、吉本と飲んだぜ」と言ったら、「よく知ってますよ。相撲部だったから」。麻布に相撲部があったかどうか記憶にないんだけど、あったなら吉本義人が顧問だったのか。なにしろ芸大相撲部(学科は彫刻科)のとき日大の輪島とやったそうだから。先日飲んだときいうには「あのクラスは、強いというかズルいというか。もう全然触らせてくれず、コテン」と負けたそう

09-19
●昨夜からいわゆる「赤ちゃんポスト」につき原稿を書いていたが、「貧しき者は幸いである。天国は彼らのものである」に始まり、「ふーん、カール大帝は、教会財産は貧民の財産ってか。教会は孤児や寡婦や病人の面倒を見ろといってるな」、「ようするに天国への門が狭い富者は、慈善・善行をやらないとダメ。そのチャリティやカリタスの精神がビル・ゲイツに至るわけだ」「『都市の空気は自由にする』のころ、手工業者や商人ギルド・兄弟団なんかが富裕層として登場し、病人やら捨て子の面倒を見てるね。旅人も同じ範疇か。都市貴族も私財を投じ施療院や孤児院をつくると。世俗修道会も活躍している。お、このころの修道院や孤児院に、赤ちゃんポストがあるじゃん」と、話はあさっての方向へ。大幅に書き直し、わっ、明け方までかかってしまった。3時間ほど寝て、11時前の新幹線で京都へ。京都→(JR湖西線)→西大津→(徒歩)→皇子山→(京阪石山坂本線)→坂本駅と乗り継ぎ、カメラマン石川健一郎(週プレのグラビアなんかも撮ってる。佐藤寛子とか。よく知らんけど)と待ち合わせ。叡山学院を駅前の地図で見ると案外近く、タクシーが通りそうもないので歩く。蕎麦屋(日吉そば)の角を入ると「坂本商店街」。これが渋い。大文字屋なんて歴史的建造物で味噌を売っている。いきなり時代劇のロケでも始められそうな雰囲気。さらに行くとムチャクチャ渋い蕎麦屋「鶴喜そば」を発見。「すごい建物だな、あれ」と近づくと有形文化財登録の掲示があって創業280年とか。しまった。こんなそば屋があると知ってたら、絶対1時間早く来て食うんだった(石川カメも同意)。今度、比叡山に来るときは必ず寄るつもり。午後2時半〜叡山学院院長・堀澤祖門師の取材(『オフレコ!5』用)
●4時半、大津に戻りピアザ淡海へ。7時〜琵琶湖塾。ゲスト講師は、女子マラソン(バルセロナ五輪銀、アトランタ五輪銅)の有森裕子。おもしろい! 赤ちゃんのとき股関節脱臼で、母が「おかしい」と気づいてくれなければ今ごろ車椅子。歩けるようになっても、フラフラとしか歩けず、すぐ転んでしまう子どもだった。小学校時代も何をやってもノロく、出来のいい兄と比べられ、自分にまったく自信が持てなかった。中学時代は体育祭の800mで3連覇(ただし、その中学校内で)し、走ることだけには自信を持てたものの、高校では「中学時代、陸上部ではなかった」との理由で、しばらく陸上部に入れてもらえなかった。京都の女子駅伝は3年間補欠で、補欠で3回というのは有森が最初だった。しかし、諦めることだけはせずにトライし続けた。リクルートに入ったときも、自分だけ何一つ実績がなかった(インターハイ、国体、全部予選落ち)。それでも「走りたい」という気持ち、気迫、意気込みだけは、誰にも負けなかった(小出監督は、そこを、そこだけを見込んでリクルートに入れた)と
●それでバルセロナ五輪「銀」、続くアトランタ五輪「銅」ですからねえ。まあ、なんともスゴイ、強い人です。アトランタでゴールしたあと口にした「自分で自分をほめたい」は、高石ともやが女子駅伝の開会式で語った詩の一節だった。有森はそれを補欠で聞いていた。なんでバルセロナで言わなかったのかと聞いたら、「それどころじゃなかった。全然思いつかなかった」そう。女子マラソンは北京でメダルが取れるかと聞いたんですが、可能性はあると。条件というか根拠も聞いたが、それを書くと誰のことを想定しているかわかってしまいそうなので略。通称「裏塾」なる飲み会をやり、12時近くに大津プリンスへ。なお、本日の長野県本人確認情報保護審議会は、申し訳ありませんが欠席です(事前に無理と伝えた日に決まってしまった)

09-18
●午前中、長野県本人確認情報保護審議会の報告書、坂本担当分を執筆。前回の「住基ネットに関する行政事務の効率化と行政サービスの向上についての自治体アンケート調査結果報告書」(2006年5月15日)は、自治体は住基ネットを、自治体行政の事務効率化、住民サービス、費用対効果バランスという観点からどうとらえているかを調査した、都道府県で他には例がない報告書です(他の46都道府県本人確認情報保護審議会では、この種の調査をやらない)。それによると長野県内の自治体では、【1】住基ネットは、行政事務の効率化・職員や予算の削減にあまり役立っていない(3分の2が「効率化していない」「どうちらともいえない」と回答)、【2】住基ネットは、住民の利便性を大きく向上させていない(半数が「変わらない」と回答)、【3】住基ネットは、費用対効果のバランスを欠いている(82自治体中2自治体のみが「適正なバランス状態にある」と回答)、と思っています
●住基ネットは国のIT戦略(e-Japan戦略)でも推進することになっています。ところで、e-Japan戦略の第一の目標として掲げられた「高速で安価な世界最高水準のインターネット網を5年以内に3000万世帯に普及」は、2006年1月の期限までに達成できなかった。通信や放送の融合や放送のデジタル化も、国の計画通りには実現できない。以上は主として民間が担う部門だから、国の計画に無理があれば、計画通りに進まないことは当然ですね。では、なぜ住基ネットが普及しているのかといえば、行政部門がコストや効果を無視して進めているから。全国の自治体で、この端末から打ち出したカードは何枚、1枚当たりコスト何万円という状況で、5年経過したから端末を更新する(買い換える)というような事態が進行している。ダムや道路では改善されつつあるが、舞台を土木建設から情報通信に移して「箱もの行政」が続いているわけです
●午後いっぱい取材の仕込み、明日の長野県審議会に出す質問と意見8枚弱、潮市民講座原稿8枚など。夕方6時半〜9時、放懇グランドデザイン小委員会@新宿5丁目。石井彰、入江たのし、岩本太郎、小田桐誠、音好宏、深川章、坂本衛、事務局から中島好登
●書き忘れてました。先週末手元に届いた『週刊プレイボーイ』に「格差ワイド『難民』だらけニッポン、暴発寸前!」(ネットカフェ難民、医療難民、地デジ難民、出会い喫茶難民、ハケン難民 切り捨てられた弱者たちの漂流が始まった!)との記事。地デジ難民の記事は私が取材に応じましたが、一箇所訂正あり。私の肩書きは「放送ジャーナリスト」ではなく「ジャーナリスト」または「放送に詳しいジャーナリスト」です。ゲラでは直したのに、直ってない。なお、私は2011年7月には地デジ難民は発生しない(大量の難民を出さないために延期する)と思っていますが、それをいっちゃうと企画が成り立たないので、記事中では触れていません
●09-09付当欄に「安倍首相の言った『職責にしがみつくことはない』は日本語としてヘン」という趣旨を書いたら、あるサイト読者が「永六輔氏がラジオ(永六輔その新世界/毎週土曜日AM8:30〜TBS)で全く同じ意見を述べられておりました」と教えてくれました。ありがとうございます。普通はそう思うはずですよね。記者会見場で若い記者が「ん? 職責? 職席?」ととまどってしまい、突っ込みを入れられなかったとしても、本社論説はおかしいと言わなければダメ。辞書を引く時間も、国語学者に電話する時間もあるはずだから。ところが、誰も言わなかった。日本語能力が欠けているのは、首相だけではないし、若い連中だけでもないのでしょう

09-17
●昨日の続き(16日の項を先に読んでください)。2005年8月8日の参議院郵政法案否決・衆議院解散の直前、福田擁立のシナリオで動いていた有力政治家のうち、小里は引退、綿貫と亀井は脱党、青木は参院選大敗北を受けて(表面上は)謹慎中。だから今回は、森喜朗と古賀誠が中心になって13日中に福田一本化工作をまとめ上げた。ドン・キホーテのように風車に突っ込んでいってる麻生太郎は、一見すると根性ありげに見えますが、なぜそうなったかと考えれば、安倍晋三に最後まで寄り添って禅譲されるつもりになり(つまり、党内の空気がまるで読めず)、自民党の他派閥から「何様だ? あいつだけは許せん」と思われたからです。誰もそこまではいわず、「安倍政権を支えた政治責任がある」くらいでとどめているが、本音はそう。そこで麻生は、マスコミが一時煽った「国民的人気」を背景に自民党の党員票(地方票)に期待するほかなくなった、しかし、この状況は小泉がそれを期待し圧勝したケースとは全然違う。小泉は最初から「自民党をぶっ壊す」(当然、派閥もぶっ壊す)と言って総裁選に出馬した。麻生は首相に寄り添い、派閥を無視してオイシイところの独り占めを図り、それがダメになって出馬した。結果もまったく違い、惨敗です
●ところで、共同通信は13〜14日に全国緊急世論調査を実施。結果は「福田氏28%でトップ 次期首相、麻生氏は18%」。細かい結果を書くと、「安倍首相の次の首相に誰がふさわしいと思いますか。次の中から1人だけお答えください。(五十音順、敬称略)」とたずねたところ、麻生太郎18.7%、石原伸晃1.6%、小池百合子1.1%、小泉純一郎15.7%、谷垣禎一3.8%、額賀福志郎0.5%、福田康夫28.1%、舛添要一11.9%、町村信孝2.1%、与謝野馨0.6%、その他2.2%、分からない・無回答13.7%だった。こういう数字は、何を意味していると思いますか?
●ちなみに主要紙朝刊の論調は13日「麻生出馬、福田擁立の動き」、14日「福田優位」、15日「福田総裁が確実」。言うまでもなく朝刊記事は前夜までの情勢判断に基づき、13日夕方以降、ネットやテレビは福田優位を伝えていた。ということは、13日の夕方以前にたずねた人は「次は麻生では」という報道に引きずられ、それ以後にたずねた人は「次は福田になりそう」という報道に引きずられた可能性が強い。それが証拠に、参院選大敗後に「次の首相にふさわしい人は?」と聞いた世論調査(複数)では、小沢一郎、安倍晋三、小泉純一郎、麻生太郎らの名前が挙がり(以上は2ケタ)、福田はぐんと放されて1ケタです。今回の世論調査は、質問は同じで、辞める安倍と野党の小沢・菅らをリストから除いたもの。前回の調査から今回までに、福田康夫の政策や人柄や考え方その他に変化はなく、「みんなに押された」という環境変化があっただけ。だから、福田康夫と答えた人(全体の3割弱)の大半は、福田康夫の「政策や人柄や考え方その他」を評価したのではなく、もっぱら「みんなに押された」という環境変化だけに反応して「次の首相にふさわしい」と答えたことになる。仮に11日に同じ質問をすれば、福田と答える人の割合は谷垣と答える人と大差ないだろうし、そもそも「次の中」の人名リストに載らなかったかもしれない。小泉、舛添、谷垣その他と答えた人は、ここ数日の報道の影響を受けていない(報道が何と伝えようと、意中の人を指定した)ことになる。しかし、根強い国民的な人気を考えても小泉が15%、年金問題などでガツンとやるという姿勢を見せメディア露出が多かった舛添が11%、線は細いけどまあまともじゃないのという谷垣が4%弱。以上合計して、ようやく「みんなに押された」だけの福田康夫に匹敵するにすぎない。「次の首相にふさわしい人は?」という判断において、いかに政治家の政策や人柄や考え方が軽視されているかがわかるというものです
●2ちゃんねるに「”次の首相は?”って聞かれたら、福田って答える人は多いだろうな 本当に、”次の首相にふさわしい人は?”って聞いたのかな?」という書き込みがありました。センスは悪くない疑問ですが、ネットを調べればそう聞いたことは確認できる。だから、真っ当な疑問は、「なぜ多くの人は、『次の首相にふさわしい人は?』と聞かれて、『次の首相になりそうな人』を答えてしまうのかな?」です。なぜでしょうか?
●(よくわかんないな。新聞には麻生出馬って書いてあった。ほかには誰かな。ま、いいや)はい、麻生◆(ニュースで福田優位と言ってたぞ。小泉のときの官房長官だ。安倍も小泉の官房長官だったよな)ま、福田でしょう◆(自民党の総裁が首相になる。自民党の大勢が押す人こそが、首相にふさわしいに決まっているな)当然、福田ですね◆(おっ、共同通信の緊急調査か。ここは襟を正してマジメに答えなくっちゃ。間違ったら格好悪いしな。たしか朝刊には福田で決まりと書いてあった。つまり、これが正しい答えだ。これなら間違わない)えーと、福田だと思いますけど◆(どうせ麻生対福田だろ。麻生はアルツハイマーがどうとか失言した。国際知識はゴルゴ13から得るらしいし、ガラもちょっとな。福田はクールな感じでいいじゃん。国民年金問題の引き際もよかったし)福田です◆以上は、半ば冗談ですが、半ば本気。まあ、大半はこんな感じなのではないかと思います。最後の例以外は、突き詰めていけば自分の確たる意見が、ほとんどない。でも、自分で考えていないとはいえず、何かしら考えてはいる。その際、メディアを通じて流れる報道や情報を大いに参考にしている。ほとんどメディアにおける露出度(視聴率を考慮した時間のパーセンテージ)と相関しているのでは、とすら疑われるほど。ただし、マスメディアの言いなりになっているのではなく、マスメディアが伝える風向き、大勢、気分、世間ってだいたいこんな感じよ、というところに沿っている。9・11衆院選で小泉に300議席渡したのも、今回の参院選(改選議席121)で民主に60議席渡し自民に37議席しか渡さなかったのも、そういう国民、そういう選挙民なのだろうと、私は思います。また、マスメディアの中でとりわけテレビは、以上のような作用をもたらす機能が大きいから、さまざまな意味で「慎重に」取り扱わなければならないとも考えています(たとえば、くだらないから見なけりゃいい、では済まない)
●昨日、『オフレコ!別冊 最高権力の研究 飯島勲前秘書官が語る! 小泉官邸の真実』(アスコム刊)を紹介しましたが、参考書籍をもう1冊紹介。上杉隆『官邸崩壊』(新潮社刊)は、たいへんよく調べて書いてあります。ブログによると、9月初旬には配本が追いつかず多くの書店で品切れになったそう。上杉隆は、朝日ニュースター『ニュースの深層』のキャスターでもあり、私をゲストに呼んでくれたことがある。その際、そのうち地上デジタルもやりましょうと言ってましたっけ
●昼、お盆明けにデカいプランター(75cm×42cm×深さ30cm)二つにまいておいた空芯菜をプランター一つ分収穫(高さ20〜30cmのものを地上5cmで刈り取る)。ニンニク(潰すかスライス)、鷹の爪を多めのごま油で炒めたところに、空芯菜を茎、葉の順に入れ、中華味と塩をふり、速攻(最大1分)で炒めて食べた。家族にも好評。中華屋で一皿850円くらいで出てくる「空芯菜炒め」が、晩秋まで1週間〜10日おきに自宅食卓に載る予定。牛肉や厚揚げなんかを入れてもよさそう。なお、空芯菜は東南アジアでは水田で作るそうで、暑さは問題ないが、水切れは厳禁。栓ができるプランターならヒタヒタに水を溜めてもいい(ある程度デカくなってから)

09-16
●かつて私が東京新聞に書いた福田康夫に関するコラムはこちら。「若い記者よ、福田の首を取れ!!」。当時、政治部で好評だったと聞きました。5年前、生半可な知識を若い記者たちに開陳し、問題が大きくなると記者のせいにした。こういう人物を総選挙をへずに首相にするのだと、私たちは、しっかり自覚していなければならない【この黒丸、夕方に追加】
●昨日あたりから、新聞もテレビも福田康夫首相の誕生を確実視し、プロフィール紹介報道を始めました。ちょっと待ってくれ、次の事実は押さえておく必要があるんじゃないの、と思います
●郵政民営化法案否決(2005年8月8日@参議院)による小泉純一郎の衆議院解散、9.11総選挙で、国民は自民党に300議席を与えました(正確には自民党296、公明党31)。このとき、小泉純一郎が目指した解散にもっとも強く反対し、秋には小泉を降板させて首相になろうと思っていたのが、誰あろう福田康夫です。その経緯は、たとえば『オフレコ!別冊 最高権力の研究 飯島勲前秘書官が語る! 小泉官邸の真実』(2007年1月、アスコム刊)に出てくる。この本は田原総一朗による飯島インタビューをまとめたものですが、私も取材に同席し、私が執筆しました。あのとき、自民党のほとんどの有力議員(小里貞利、綿貫民輔、亀井静香、森喜朗、古賀誠、青木幹雄といったクラス)は直前まで「法案否決、秋に小泉退陣」のシナリオを描いていた。彼らが小泉に替えて擁立を図ったのが福田康夫です。8月6日土曜の午後には福田康夫が小泉と会い、カンカンに怒りまくって退出した。その夜に森喜朗が小泉と会い、潰したビール缶と干からびたチーズを手に出てきた森が「変人以上だな。俺もサジを投げたよ。総理は『殺されてもいい。郵政民営化は俺の信念だ』って」と語った。福田と森は小泉に同じことを言いにいったのです。森が乗ってきた車に福田が乗っていたという話もある
●何が言いたいかといえば、国民は「郵政民営化、イエスかノーか?」と聞かれて「イエス」と応え、小泉に対して300議席与えた。安倍晋三に対しては300議席与えていない。さらに福田康夫に対しても300議席与えていない。それどころか、福田康夫は、小泉に300議席与えることになる選挙の実施を直前まで阻止しようとした勢力の代表だった。その人物が、小泉に与えた300議席によって、つまり自ら否定し、断固阻《はば》もうとした総選挙の結果によって、日本国首相となる。「皮肉な話だ」との感想だけで済むでしょうか? 国民の意思は、どこへ? 小泉自民党を支持して投票した国民は、コケにされ、いいように利用されたことになりませんか? 福田政権の「正統性」には、疑念をはさむ余地があるのでは? なぜ新聞やテレビは以上のことを報道せず、既定の次期首相として、福田のプロフィール紹介や、福田と麻生を同席させる儀式を繰り返し流すのか? 報道の順序が違ってやしませんか?
●小泉事務所に辞表を出した飯島勲の意図と今後がいまいち不明ですが、いま彼に取材すれば、おもしろいことは確かでしょう。あと、〈緊急ワイド 史上最低の「無責任な官邸」全真相 このスクープで総理は職を投げ出した! 最大の「政治とカネ」スキャンダルは総理の政治団体に〉と題する「週刊現代」の記事も要チェック。安倍晋三首相の「相続税3億円脱税」疑惑を報じています。彼は、まだしばらく日本国首相なのだから、説明責任をどう果たすか注視しなければならない。ヘタすれば、政界引退に追い込まれる致命傷を受けてしまう

09-15
●昨日、新聞記者にも予定外の話題ながら小一時間余計に話したのですが、地上デジタル放送がヤバいことになっています。現時点は放送開始から3年10か月、アナログ放送終了・デジタル放送への完全移行まで3年10か月、つまり日程的には折り返し点。しかし、現在の世帯普及率は2割前後で約4000万世帯が未対応。2011年段階で約6000万台以上のテレビがアナログ対応のまま残ることが確実です。いよいよ2011年7月24日までの完全移行は不可能という見通しが確かなものになってきました
●私は、2003年秋に〈地上デジタル放送 現行計画「すでに破綻」の決定的な理由10〉と題する論考で「二〇一一年段階では四〇〇〇万〜七〇〇〇万台のテレビが地上デジタル放送対応にならない計算だ。したがって、二〇一一年段階で地上デジタル放送に『取り残される』テレビの数は数千万台以上と見積もられる。」と書きました。現時点での電子情報技術産業協会(JEITA)の予測は2011年段階で累計6000万台出荷ですから、申し訳ないが私の予測と同じです(別に申し訳なくないか)
●2007年8月2日には、総務大臣の諮問機関である情報通信審議会(会長=庄山悦彦・日立製作所取締役会長)が「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」と題する第4次中間答申を出しました。この文書は、「終了の際に現時点で予期し得ない状況も考えられる」とか「アナログ放送の終了について、同一の放送対象地域内においても、親局を中心に一斉に終了させるのか、一定の条件が整う場合にネットワークを構築する末端の中継局から先行して終了する方策があるのか等について検討していくべきではないかという提案があった」という言い方で、ちゃっかり延期のための伏線を張っています。素人ではないのだから、3年10か月後のことは、すべて予期してくれないと国民大衆が大迷惑を被ります。悲しいかな、記者たちはそれが伏線・アリバイづくりであることに気づいていないか、または気づいているのに保身その他の理由によって黙っています
●上の報告書が出たことを報じたメディアは、「簡易チューナ5000円で製造・販売を要請」「生活保護世帯に支援策」など、末梢的な話題を二、三伝えただけで、完全にズレまくっていました。チューナ価格が5000円でも、それとは別にアンテナは本体5000円前後、業者に頼んでベランダにつければ数千〜1万円、屋根につければ2〜3万円以上、屋内配線(たとえば1階と2階にアンテナコンセントを設置)をすれば数万円以上かかる。ある実例では12万円かかる。CATVに加入しても年3万円以上かかる。そこまでやって、いま持っている低画質テレビで地上デジタル放送を見続けても、映っているものの大きさは現在見ているものと比べて半分近くまで小さくなってしまう。このこと、みんな、ちゃんとわかってますか? 2007年のいま縦横比3対4の14型テレビの画面いっぱいにアナウンサーの上半身が映っているとして、2011年に同じテレビで同じものを縦横比9対16の映像で横いっぱいに映すと(横長なんだから縦いっぱいには映せない)、横長を収めるために縮小する分だけ縦も短くなり、ようするに長さが75%に縮小され、ということは面積は0.75×0.75=0.56、つまり6割以下となり、ほとんど半分となる。テレビが映す文字の大きさもです。視力にもよりますが、14型テレビではプロ野球のカウント表示が読めないということが起こります。日本には75歳以上の高齢者が1000万人以上いますが、彼らの平均視力は矯正後で〇・三程度。数百万〜1000万人規模の年寄りが「ふざけんな!」と怒り出すかもしれないと、私は懸念しています。「交換しなくても、チューナさえ買えば、現在のテレビでそのままお楽しみいただけます」は、大嘘です。【注】古いテレビで縮小しない場合は、左右を切るしかありません。その場合は、映像・文字その他の表示が左右で欠けます。欠けても問題がないようにするためには、横長9対16画面の中央部分だけに字幕を出す、重要なものは必ず中央部分だけに映し込むという、現在のサイマル放送(アナログ・デジタルの同時並行放送)における地上デジタル放送の見せ方を続けるしかありません。そのときは高価な地上デジタル放送対応テレビを買った6000万人が「ふざけんな!」と怒り出すでしょう。そんな地上デジタル放送は「失敗」に決まっています
●しかも、チューナ5000円+アンテナ工事費を出した世帯の古いテレビは、その翌年か3年後か5年後か知らないが、いつか壊れる。そのとき代替する9800円テレビや12800円テレビは存在せず、14インチだった人は38900円のテレビを買え、20インチだった人は78000円のテレビを買えというような話になる。不幸にして2012年に壊れた人は「詐欺同然だ!」と怒り出すでしょう。そんな世帯が数十万〜100万世帯以上あっても不思議はありません。10年前の2001年に売られたアナログテレビは900万台近く。普通に使えば、そのほとんどが2011年でもまだ映るテレビです。1億2000万〜1億3000万台のうち6000万台が置き換わるとの予測から、その半分はデジタルテレビに置き換わると見なせますが、残りは400万台以上。なにしろ10年目のテレビだから、古いテレビ全般の置換率が50%のところ置換率90%と見積もっても、5000円チューナを買って接続する人が90万人もいる計算になる。これは10年目を迎えたテレビに限った話であって、9年目、8年目、7年目のテレビでも(台数、壊れる確率とも低くなるにせよ)同じことが起こる。時間がないので計算を端折《はしょ》りますが、そういうテレビが300万台あれば、そのほとんどが数年以内に壊れる見込み。ならば1年目に数十万台壊れても不思議はないのです
●また別の考え方で、2011年段階で簡易チューナが500万台普及したとします。すると、これに接続された古いテレビは500万台。その多くが購入後2〜3年未満といった比較的新しいテレビならまだしも、残念ながらそうはならない。そのテレビは、高齢者世帯や低所得世帯のテレビや2〜3台目のテレビである可能性が高く、どちらかといえば信頼性に欠けるメーカー製(安物)である可能性が高いことも考えると、2012年に10分の1の50万台が壊れても、やっぱり全然おかしくありません。テレビの寿命はほぼ10年だから、「もっぱら新しいテレビだけを簡易チューナにつなぐ」という特別な操作をしない限り、11年目には10台に1台程度が壊れると考えるのが自然です。なお、以上は6000万台残るアナログテレビを5500万台捨てた場合の話です。つまり、多くの家庭でテレビが2台から1台に減ってしまうことを許容して初めて、2012年に怒り出す人を数十万規模まで減らすことができます。そんなに捨てず、3000万台のアナログテレビを使い続けた場合は、2012年に壊れて「騙された」と怒り出す家庭は200〜300万以上でしょう。6000万台を使い続けた場合は、2012年に500〜600万世帯が「5000円返せ」というでしょう。総務省はさておき、民間企業である放送局やメーカーが、そんな状況に耐えられると本気で思っているならば、どうかしています。不二家は、自社製品でお腹を壊した人が1億2700万人中1人も名乗り出ていないにもかかわらず、全商品の販売停止に追い込まれたのですから
●2011年段階で「チューナ接続なんて面倒くさい。2台目の古いテレビは捨てちゃおう。子どもや爺ちゃん婆ちゃんには、しばらく我慢してもらおう」と考える世帯は、相当数に上ると思われます。2000万世帯が2台目テレビを放棄すれば、たとえば2011年8月に5000万世帯にテレビが8000万台(デジタル6000万、アナログ2000万、簡易チューナも2000万)あるという状況になります。ところで、日本の企業は、5000万世帯にテレビが約1億台普及している現在、年に2兆円以上のテレビ広告費を支払っています。ならば企業は2011年以降、「テレビの台数が減り視聴者も減ったから、2兆円を1〜2割まけてくれ」と主張して当然です。読売新聞の全面広告がいくらという価格は九百何十万という部数を前提にしており、仮に700万部に落ちれば同価格では商売できない。民放は、この問題を真剣に考える時期を迎えています。【追記】放送局側は「携帯電話はじめワンセグ放送受信機が新しく2000万台普及したからいいじゃないか」と反論するかも。企業側は「視聴率を調べていない媒体にカネは出せない(税務署や株主が正当な経費としての広告費と認めない恐れがある)」「ケータイはテレビリモコンにモニタがついているようなものだから、CMは一瞬で飛ばされる。据え置きテレビと同じ媒体価値があるとはいえない」「うちは高齢者(子ども)相手の商売。年寄り(子ども)ケータイにワンセグがついてないからダメ」「うちは文字主体の告知。ケータイでは小さすぎて読めないからダメ」なんて再反論するでしょう
●私は、地上デジタル放送を推進している友人たちの力も大いに借り、2003年段階で予期できることを全項目書きました。なお「現時点で予期し得ない状況」などという言い逃れなど、到底看過できません。それならば、現時点で私が予期することを全項目公表しようと思います。というわけで、1週間ほど前から「地上デジタル放送への問題提起」という原稿を急ぎまとめています。上に書いたことは、そのほんのさわりにすぎません。新聞・雑誌がほとんど触れない大問題を、できるだけ盛り込むつもりですが、長文なのでサイトで公開するしかなさそうです。もうしばらくお待ちください。それを読めば明らかで、現状では延期しか選択肢はありません。「生活が、第一」を謳う民主党は〈「消費者」「生活者」「納税者」の立場を代表する党として、常に消費者の視点に立った政策実現をめざしてき〉たそうですが、いつまでこの問題に目をつぶり続けるつもりなのかと、私はたいへん訝《いぶか》しく思っています。田中康夫は小沢一郎にきちんと話したほうがよろしいです
●昨日、記者に話したことのうち一言だけ。「ベトナム戦争やイラク戦争について、ホワイトハウスと米陸海空軍と軍需メーカーの三つだけをグルグル回って記事が書けると思う? 記事は書けたとして、その記事が戦争の見通しを正確に伝えると思う? 地上デジタル放送について、総務省と放送局とメーカーの間を三角にグルグル回って記事を書くことは、それと同じだと思いませんか? ほとんどすべての新聞がそれをやっているのよ。こんなことでいいと思う?」
●原稿書き、サイトアップ作業など。夕方5時、小林道雄と待ち合わせて赤城神社(牛込の総鎮守)のお祭りに行く。祭は今日と明日です。一度神楽坂に出かけてみようと思っている方にはおススメ
●【以下16日朝に追記】赤城神社に参拝し、屋台をのぞいたり、入れ替わりで入ってくる各町会の御輿を見物したり。それから神社を出てブラブラ散歩。上の道を「象さん公園」まで行き下の道で戻る。私は1986年から7年ほど赤城下町に住んでおり、「このマンションのあの部屋ですよ」なんて説明していると、左官屋のオヤジで久保合介後援会長の江波好男と遭遇。ここの孫とうちの娘が同い年で、よく遊んだもんです。神社に戻り(油井夫妻に会った)、舞台で始まった大太鼓を見物などした後、神社西側の石段を下った角にあるモツ焼き「加賀屋」で軽く一杯。タン・ハツ・レバ2本ずつ、煮込み、イカ刺(いける!)、こまいを頼む。安くてうまい。記憶できない都市、欧米由来の近代的自我・個人を核とする思想の破産、安倍と福田と麻生、少年法、子育ての話などあれこれ
●たとえば現在の少年法は、内実を失って形式化・形骸化し、時代遅れで役に立たないものになっている。少年(子ども)を発展途上で可塑性のある存在ととらえ保護の対象と見る精神はよいとしても、実際の運用は子ども用刑務所にブチ込むだけの話で、更生させる力が弱すぎる(再犯率も高い)。そもそも二十世紀はじめ頃にアメリカで生まれた少年に対する保護主義は、背景にキリスト教(プロテスタント)共同体がありその伝統があった。戦後、日本に輸入されたとき(少年法は1948年成立)、日本にも地縁・血縁共同体があり地域社会がありその伝統(教えやルール)があった。現在ではその共同体や地域社会が崩れ、核家族化も進行し、生物的存在として生まれた人間が社会的存在となっていく(子どもを育てていく)プロセスがかつてと異なる(崩れている)。だからこそ生じている子どもの問題を、旧来のプロセスの存在を前提として作られた少年法の枠で解決できるはずもない。もちろん、少年法を厳罰化すれば悪い少年が減るとか、子どもに愛国心や道徳を注入すれば万事解決するという主張は、まったく的外れ。生まれたての子どもを純粋無垢の天使のようにとらえる考え方にも大きな問題がある。では、何をどうすればいいのかという話。これ以上は、小林道雄が書いている本の中身をバラすことになってしまうので略

09-14
●今朝の信濃毎日新聞に「県、住基ネット利用方針固める 来年1月から」の見出し記事。以下に引用。
● 県は13日までに、来年1月から、県の行政事務に住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)を利用する方針を固めた。住基ネットは、長野県を除く46都道府県が利用しているが、県はこれまで、住基ネットに関し意見を述べる「県本人確認情報保護審議会」の一部委員から、費用対効果を疑問視する声が出たことなどから利用を見送っていた。
 県が具体的な利用先として検討しているのは、恩給受給者の生存確認や、宅地建物取引業の免許交付時の本人確認など5事務。4月からは、旅券(パスポート)発給の際の本人確認にも利用する方針だ。県は、住基ネットの利用で恩給受給者が市町村役場に出向く必要がなくなるほか、免許や旅券の申請者が住民票の写しを提出する手間も省け、利便性が向上するとしている。
 住基ネットをめぐっては、田中前知事が「国民総背番号制」につながる懸念や安全性への疑問を指摘し、県としての利用を見送っていたが、同審議会が2004年8月、独自の安全対策などを前提に、利用開始を提言。県はいったん旅券発給事務への利用を決めたが、審議会の一部委員から異論が出されたことを受け、実施を先送りした。
 これに対し、村井知事は今年1月の記者会見で、住基ネットについて「当然に活用されるべきで、進めてまいりたい」との考えを示していた。
 県は、今月中にも開く同審議会(会長・清水勉弁護士、5人)に、住基ネットの利用を検討する県事務の内容や安全性の確保策などを報告する方針。
●以上で引用終わり。「県本人確認情報保護審議会」とは、住民基本台帳法で次のように設置を義務づけられている審議会です。
第30条の9(都道府県の審議会の設置)
 都道府県に、第30条の5第1項の規定による通知に係る本人確認情報の保護に関する審議会(以下「都道府県の審議会」という。)を置く。
2 都道府県の審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、都道府県知事の諮問に応じ、当該都道府県における第30条の5第1項の規定による通知に係る本人確認情報の保護に関する事項を調査審議し、及びこれらの事項に関して都道府県知事に建議することができる。
 同審議会のメンバーは、関聡司((株)楽天)、御手洗大祐((株)日本技芸代表取締役社長)、坂本衛(ジャーナリスト)、清水勉(弁護士)=会長、片桐雅彦(松川町総務課財政係長)。任期は平成17年12月2日〜平成19年12月1日)。私も加わっておりますので、記事につき簡単に個人的な見解を述べておきます
●【1】まず、事実誤認について。記事中〈「県本人確認情報保護審議会」の一部委員から、費用対効果を疑問視する声が出たことなどから利用を見送っていた。〉〈審議会の一部委員から異論が出されたことを受け、実施を先送りした。〉の「一部委員」は、事実は委員6人中の5人である。残り1委員は「上伊那情報センター所長」という立場から反対しなかったのであり、「費用対効果を疑問視する声」「異論」は、審議会のほぼ総意であったことについて注意を喚起しておく。
●【2】長野県が、住基ネットに関し意見を述べる「県本人確認情報保護審議会」に費用対効果を疑問視する意見があったことを主たる理由として、これまで住基ネット利用を見送っていたならば、見送り方針を変更するときは、同審議会が費用対効果を疑問視しなくならなければ理屈が通らず、行政の一貫性・連続性を保つことができない。審議会が知事の私的な諮問委員会ならば、前知事時代に就任した委員の意見を尊重しようが無視しようが勝手だと思うが、この審議会は法律に則って設置されており、知事の御用機関ではなく中立機関だからである(だからこそ、田中康夫知事時代に県の方針に対して待ったをかけ、県もそれを尊重し今日まで実施を先送りしている)。
●【3】では、現行審議会委員が住基ネットの費用対効果をどうとらえているかといえば、これまでの審議会議事録や報告書で明らかなように全員が疑問視している。安全性についても、9月19日に開かれる審議会で広域連合でつくる情報センターにおけるセキュリティ問題について報告書を出し、問題を指摘することになるだろう。以上を踏まえて、審議会は県知事に対して必要な意見を述べることになると思われる。なお、この記事は審議会の事務局である長野県市町村課に取材しなければ書くことができないと思われる。少なくとも坂本は、事務局の対応に問題はなかったのかという疑問点を含めて、県に問題点を質す書面を、19日の会合に合わせて提出するつもりである
●安倍辞任の弁が、あまりにヒドいので二言三言。安倍晋三首相は、「テロとの戦い」が継続できないことを辞任の主たる理由としました。これは、【1】「テロとの戦い」を、政治とカネ、年金、消費税、教育、経済(景気)、環境その他、自分が職責を果たすべきすべてのテーマのうち最優先のものと考えている点で、まったく話にならない。この点、日本政治史上に残る衝撃的に愚かな首相であると思います。何が大事なことか、わかっていないわけですから。【2】インド洋上の給油以外に「テロとの戦い」の継続方法がないと思っている点で、まったく話にならない。「テロとの戦い」とは何かが、わかっていないわけですから。【3】その後、緊急入院したが、健康上の理由を隠していた点で、まったく話にならない。何度も「説明責任」を口にしていたが、その意味を全然わかっていないわけですから。デカい絆創膏を張って公衆の面前に現れ何もいわず怪しいヤツと思われた大臣と同じレベルです。【4】小沢一郎に面会を断られたなんて……。あまりにムナシイため、以下略
●今朝、小泉純一郎が福田康夫支持を鮮明にしたようで、自民党の次期総裁はほぼ決まりでしょう。「数のうえ」では。しかし、自民党内はそれで決まりでも、私には、国民が納得できる首相候補とは到底思えません。◆71歳と高齢すぎる(国際的に見栄えが悪い)、◆内閣官房長官以外に事実上閣僚経験がない(調整能力はあるといえようが実務能力が未知数。この点、安倍晋三に似ている)、◆総裁・総理を目指すかどうかについて過去に不鮮明な態度を示しすぎ(優柔不断な人物と見られている)、◆小泉首相の女房役で小泉構造改革の推進者のはずだが、改革の影の部分をもたらした責任について、またその部分を今後どうするかについて何も語っていない(今回担ぎ出されなければ、一生語らなかったと疑われる)、◆田中真紀子更迭以後の官邸外交を仕切ったが、外務省の腐敗堕落に何の手も打っていない、◆人を、とくにマスコミをバカにするような言動が目立つ(愛嬌に欠ける。この点、小沢一郎に似ている)──など、いずれも首相としての資質にかかわるマイナスです。結局、次期政権は暫定政権、一種の選挙管理内閣以上のものにはならず、年内か来年には衆院総選挙をやらざるをえないでしょう。そして、いつやっても、自民党は勝てないと思います。福田康夫はそれを覚悟で出てきたし、だから麻生太郎以外が尻込みしたわけでしょう
●私の周囲で聞くと、多くの人が、まかせてもダメかもしれないが(またはダメに決まっているが)、ここは一度民主党にやらせるべきだ、という。自民党支持者にも、そういう人が少なくない。国民大衆の多くも、そう思っているでしょう
●ちなみに福田康夫は、麻布中・高から早大政経(私と同じルートですが、福田は経済学科卒業、私は政治学科中退)。麻布出身の政治家は橋本龍太郎・元首相がそうですが、「麻垣康三」の中に、福田康夫と谷垣禎一の二人がおり、与謝野馨、平沼赳夫、中川昭一も麻布卒。首相候補に名前が挙がったことがある政治家における麻布学園出身者の比率は、他の私立受験校出身者との比率は大きく異なるようだが、なんでですかね。他校と比べてより自由で、ガリ勉が少ないことは確かで、東京にあることも理由の一つでしょうが、それ以上の理由はよくわからない。ところで、もう亡くなったから書いても構わないと思いますが、橋本龍太郎は学校に「実■入りの■■」を持ってきたことがあるという話がある。私は、これは単なる噂でなく本当の話だと思っています。ヘンな学校でしょ?
●午後1時半〜4時すぎ、朝日新聞記者から取材を受ける。テーマは民放の10月改編、とくに日テレ『ザ・ワイド』など午後帯の一部番組終了の理由や局の狙いについて。あと、19日の審議会に出す報告書の坂本担当分を執筆

09-13
●午後3〜5時、アスコム刊『オフレコ!』第5号鼎談。上田紀行+佐藤優+田原総一@ANAホテル。『オフレコ!』第5号は、なんと宗教特集です。瀬戸内寂聴、五木寛之、梅原猛、堀澤祖門(叡山学院長)といった大御所も登場します。東工大准教授の上田は、ダライ・ラマとの対話集『目覚めよ仏教!』、お寺ルネッサンスを唱える『がんばれ仏教!』(いずれもNHKブックス)などを著した文化人類学者。佐藤優は母親の影響で子どものときから教会に通い、同志社大学神学部時代に洗礼を受けたクリスチャン。鼎談では、佐藤の「キリスト教の『経営者側』の論理」が大爆発!!。上田も田原も私たちも「おもしろい!」と感心することしきり。11月発売予定です。ご期待ください
●なお、坂本がまとめを手伝った鈴木宗男/佐藤優著『反省』(アスコム)は6月発売で現在5万8000部。小林信彦が週刊文春の連載で「こんなおもしろいと本を自分だけで楽しむのはよくないと『反省』した」と大絶賛してくれました。この『反省』本、ホントにおもしろい。書きながら笑ったと、まとめた本人がいうんだから、間違いない。ぜひ、お読みください
●ところで、『反省』本で鈴木宗男は「もうこの人が総理大臣になることはないだろうから」と、田中真紀子とセットで自分が追い落とされた際の事情を語っています。オフレコ懇談などで「鈴木が逮捕されても小泉政権に何ら影響はない」との言い方で、逮捕容認・推奨のメッセージを送った人物がいたと、実名を出しています。鈴木宗男の予想に反し、その人物が次の首相になりそうな気配
●6時、アニメ時代劇映画「ストレンヂア 無皇刃譚」試写会@有楽町朝日ホール。6時半から声優を務めた長瀬智也、知念侑李、監督の安藤真裕が会見。知念くんは、いつか少年隊のミュージカル@青山劇場で初めて見ましたが、歌と踊りが図抜けており、3年後か5年後にはすごいことになっていそうな気配濃厚

09-12
●「連れていきたい店がある」という吉本義人(彫刻家・麻布学園教員)と夜7時に待ち合わせ@新宿・紀伊国屋。まず、風林会館そば「三日月」へ。吉本は毎週水曜、ここで夕飯代わりに飲むそうで、店では「先生」と呼ばれていた。テーブル一つと詰めて3人がけのベンチが二つという小さな店。ムチャクチャ渋い。先代から数えて56〜57年やっているそう。縞鯵刺身、タンニラ、ピータン豆腐(二人前が「皿」というよりは「ボール」で出た。最初、目の前に置かれたとき、ここから二人前を取って出してくれるのかと思った)、松茸土瓶蒸し、ウナギ肝煮などを頼む。頼まなかったがステーキ、オムレツ、オールグリーンなどのメニューも捨てがたい感じ。酒は焼酎。氷、飲むグラス、水のグラス、および焼酎を一回り小さいグラスでくれるのが、おもしろい(焼酎の瓶を置く場所がないためか)。「こんなに長くいたことはない」と吉本がいった9時すぎまで、かなり飲んで一人5000円強だから安い
●ゴールデン街にいこうというので、久しぶりに行く。途中、唯尼庵(ユニアン)のキヨが2年前に死んだと聞く(ネットで調べたら2005年11月20日の朝、布団の中で冷たくなっていたのが見つかったとか。アルコールか、それ以外か)。昔、大学の頃によく行った店です。なぜか青木貞伸(私の前の前の『放送批評』編集長)のことを「お兄ちゃん」と呼んでいた前田のババアが死んだと聞いたときと同じ感慨あり。店は「パインツリー」で豚角煮をつまみにウイスキー
●戸山ハイツまで歩いて帰るというので一緒に歩き、途中で「小茶」へ。まだババアがいるとき(10年以上前)に来たことがあり、違う場所にあったが20年くらい前まではよく通った。「顔は覚えてるよ。太ったね」とミオ(美緒)がいうから「卵焼きが懐かしいな」「そんな時代もあったわねえ」。小茶といえば、小茶のババアであり、二階の三畳(以前、四畳半と書いたかも)とちゃぶ台であり、煮しめであり、卵焼きです。つまみは頼まず高清水を2杯。記憶によれば20年前はホワイトのボトルが1900円だったが、ビル1階に入居するいまは、そんな安い酒は置いてないし、面倒なつまみも出ない(なんとホームページがあった)。0時ちょいすぎまでいて、戸山ハイツ前で吉本と別れタクシーで帰宅。昔話あり、政治の話ありの楽しい数時間でした。なお、ネットを見て回ったら前田のババア(婆)や小茶のババア(婆)を「おばあちゃん」と表記しているサイトがある。20〜30年前に、そんな呼び方をしていたヤツは誰もいない。キヨも、向こうはこっちをつねに呼び捨てだったのだから、「キヨさん」なんて書く気がしません。私がもう一人、鮮烈に記憶するババアは渋谷「小料理すま」のババアです。娘と、といっても大正生まれだったけど、始終ケンカしていた。ババアと娘のケンカは、小茶と右に同じ
●午後2時、首相の安倍晋三が辞任の記者会見。安倍内閣が「持たない」ことはわかっていましたが、このタイミングの最期の姿は想像すらできなかった。本当に驚きました。こんなバカで情けない無責任男がトップだったのかと、改めて日本という国のしょうもなさを実感しました
●私は、最初から(首相になる前から)安倍晋三という人物をあまり信用していません。当サイトにはこの人物に触れた論考がいくつかあります。たとえば2005年1月〈NHKに政治介入。政府高官が圧力・干渉、番組内容を改変。受信料問題に影響も。ETV「裁かれた戦時性暴力」で〉、2005年4月〈まもろう!放送法――元政府高官の番組干渉はなぜダメか?〉です。いずれも、この政治家には政治介入をしたのに自覚がない(無自覚)、民主主義社会におけるテレビ報道の役割・意義がわかっていない(無知、大局観に欠ける)、部分的に正しいことを理由に自分は全然間違っていないと言い張る(頭が固い、視野が狭い)などを指摘しています。しかし、私がそのように思っていたよりも、現実はなおヒドい。ほとんどビョーキです。あるいは「壊れた」「自爆した」という感じ。自民党には、こんな人物を総裁に戴き、首相に据え、支持し続けた責任がある
●責任は「ある」と認めるだけではダメで、「果たす」必要があります。何か行動し、責任を果たしているところを人に見せなければ、責任を取ることにならない。安倍晋三は「自分に任命責任がある」と何度も繰り返したが、「任命責任をまったく果たさなかった」から、同じ失敗を二度までも繰り返した。自民党が安倍のクビをすげ替えるだけでは、安倍晋三が農水大臣のクビをすげ替えた(正確にいえば一度はすげ替えずに自殺に追いやり、その後二度すげ替えた)経過と同じです。私には、いまの安倍首相が自殺した松岡農水大臣に、そしていまの自民党が松岡農水大臣が自殺したときの安倍首相に、それぞれ重なって見える
●ここ数日間に家人に、むろん100%冗談のつもりで「ま、安倍が自殺するなんてことはないよな」と二度ほど口にしたのですが、政治的にはそれに近いことが起こってしまった。安倍晋三という政治家は、前首相・元首相として衆議院議員を続けることはできるが、もう二度と総理大臣にはなれません。「蒲柳の質」という言葉がありますが(晋書顧悦之伝「松柏之姿、経霜猶茂、蒲柳常質、望秋先零」)、この人はその典型で、首相の激務に耐えないし、戦争や大規模災害が起こったときのリーダー役もまかせられないことがハッキリした。その意味でこの人は、政治生命を落としてしまった。「政治的に自殺した」といえると思います

09-11
●原稿書き

09-10
●朝、朝顔が97個咲き、今年の最高記録でした(株は四つ)。先週の嵐で痛めつけられ、もう最期とばかり思いっきり咲いたのか。あと、うちは4階ながら、うちで育ったカマキリがうろうろしています
●地上デジタル放送についての原稿書き

09-09
●安倍晋三首相がシドニーで驚くべき発言。「国会は厳しい状況にあるが、国際公約となった以上、大きな責任がある。自衛隊の補給活動継続にあらゆる努力を行わなければいけない」「民主党をはじめ野党の理解を得るため、職を賭して取り組んでいく」「職責にしがみつくことはない」などと言明
●現時点で、自衛隊の補給活動を継続できないことは100%明らかです。中断後に再開することはできるが、それは継続とはいわない。何を血迷ったのだ、と思います
●とりわけ訳がわからないのが、「職責にしがみつくことはない」という一言。「職責」=「職務上の責任」であって、普通は「職責を果たす」「職責をまっとうする」などと使います。「彼は職責を果たしていない」「職責をまっとうできず逃げ出した」というように逆の言い方もあるが、しがみつく対象ではない。「後先考えず、むやみにポストに就任し続けることだけにこだわることはない」「肩書きになど執着しない」との意味で、「総理大臣という職にしがみつくことはない」という言い方はある。だが、この言い方と「総理大臣という職責にしがみつくことはない」との表現は異なります。何をバカなこと言ってるんだ、日本語としておかしいではないか、という話でしょう。まさかとは思うが、「職席にこだわらない」と言ったつもりなのか。「職席」という言葉は、通常の日本語辞書には載っておらず、そんな言葉は事実上存在しない(使えば誤用と見なされる。むろん首相が記者会見で使うべき言葉ではない)と考えなければならない
●──と、私は安倍発言を聞いた瞬間に思ったのですが、そのように指摘するメディアが見あたらないのは、一体どうしたことなのか。「職責にしがみつかない」=「職務上の責任にしがみつかない」=「職務上の責任を投げ出す」という意味になってしまうから、その場にいる記者は、「総理、それは職務上の責任を放棄するという意味ですか?」と聞かなければなりません。で、誰か聞いたの?
●安倍首相は松岡利勝・農林水産大臣が自殺したときも「慚愧(慙愧)に堪えない」と口走り、何を言っているんだろうと思いました。慚愧は「恥じ入ること」です。小学館「佛教大事典」(1988)は「恥じ入る心。自らの罪を恥じ入ること。自らの罪を恐れること。これらについてはさまざまな解釈がある」と書き、五つの解釈を紹介していますが、どれも「恥じ入る」の意味が入っている。安倍晋三は「松岡さんが自殺した結果、自分は恥ずかしく恥ずかしくててどうにもならない」と発言したのであり、それを聞けばわれわれは「首相は、松岡大臣の自殺は自分のせい、自分の罪だと思っており、そのことに恐れおののき、恥じ入る思いでいる」のだとしか解釈できない。もちろん、そのように発言しても構いませんが、問題は、本人がそういう意味の発言をしたと思っていないことです。安倍晋三が認めたのは「自分に任命責任がある」ということまでで、「大臣の自殺に責任がある」(自殺に追い込んだのは自分である)とは認めていない(それはそれで構わない。そんなことを首相が認める必要などありません)。にもかかわらず「自殺に追い込んだ自分の罪に恐れおののき心底恥じ入っている」と受け取れる発言をしている。この人の日本語能力は、私は不十分だと思います

09-08
●「のりぴママ」こと田中典子から「まあ、いろいろお忙しいとは存じますが『社会的責任』遂行!!!、よろしくお願いします」とメール。ちょっと前には電話があり、デカい声で「何やってるの!! 古いのは書かなくていいから更新しなさい」とご叱正。なので、明日から更新を再開します

07-17
●朝5時55分、浜野から「先ほど病院から電話があり、川島政一郎、5時50分心肺停止。いま病院に向かっている」と緊急電。(旧姓)川島明美の父、キッコーマン総合病院にて永眠。65歳。「わかった。残念だが仕方ない。お母さんをしっかり助けてくれ。ギリギリで会えてよかったよ」と。午後には家人が野田の明美実家へ。明美は、うちの子が2歳と1歳のときから高田馬場ビッグボックスのプールの先生。そのオヤジ政ちゃんのところには何度も泊まりに行った。当時は、まだ孫がなかったから、本当にかわいがってくれた。15日夕方、一家で見舞いに行ったときは、意識もハッキリしており、「退院したら将棋を指しましょう」と話したのだが。合掌
これはヒドい。丸川珠代氏、選挙権なし…NYから帰国後3年、転入届未提出。と「スポーツ報知」の記事。元テレビ朝日アナウンサーの丸川珠代は、3年ほど前に海外勤務から帰国したにもかかわらず、今年4月まで転入届を未提出。そのため選挙権(投票権)がなく、期日前投票で門前払いに(被選挙権はある)。3年間一度も選挙投票に行ったことがない人物が、今度の参議院選挙では自分に投票してくれと、どの面下げて他人に頼むつもりか!? こんないい加減な人物を、テレビに出ていて顔が知られているという理由だけで、首都・東京選挙区の参議院議員候補に強く推した安倍晋三首相・自民党総裁以下、官邸の責任は免れない。任命責任ならぬ指名責任はハッキリしている。記事によれば、転入手続きが済んでいない以上、3年間の住民税はどうしていたのかとの疑惑も浮上とか。話にならん
●昨日から新潟県中越沖地震のテレビニュースや報道特番を見ているが、メディアは相変わらずよくない。まずNHKは、地震の直後に手近な場所に送り出した記者、うまく連絡が取れた役所の職員などに「自分の回りでは何も起こっていない」とレポートさせるのを、いい加減やめるべきだ。視聴者に「そうか、何も起こっていないのか」という誤った情報(実際は死者9人以上、負傷者1000人以上の大規模災害が起こっていた)を伝える以外に、ほとんど意味がないからである。阪神・淡路大震災時の第一報をいまだに反省していないことになる
●これは民放のほうが問題だが、記者たちは「ものすごい地震だった」と伝えたいあまり、「完全に倒壊している」「車が完全に家に押しつぶされている」と「完全」を連発しすぎだ。だが、映像を見れば、その家はまだ3分の1ほどは建っている。車は前半分が潰れずに見えている。全然「完全」ではない。どこの局とはいわないが「完璧に潰れている(完璧にペシャンコ)」と伝えた若い男性記者がいた。いうまでもなく「かん‐ぺき【完璧】クワン・・ (きずのない玉の意)欠点がなく、すぐれてよいこと。完全無欠。『―を期する』」(以上、広辞苑第四版)で、この記者の言葉遣いは誤り。慣れないカメラマンや経験の少ない記者が動員されていることを割り引いても、ヒドい。複数局が「上越新幹線の復旧のメドは立っていないが、復旧に9時間ほどかかる/夜には動く見込み」と伝えていたのも「?」。メド立っているじゃん
●ところで、日本国総理大臣たる者、死者10人負傷者1000人規模の災害や事故で、いちいち現地に行くのか? それは「軽すぎる国 日本」だ。テロや戦争になったら、首相はいつ、どこへ行くつもりなのか? 横田めぐみさんの歌コンサート、多摩川でのゴミ拾い、殉職警官の見舞いといった姑息な人気取り策は、ほとんど裏目に出たが、今回も同様だ。このクソ忙しいとき、首相の現地入りとなれば、輸送や警備のため自衛隊も警察も人を取られてしまう。一国の指導者は、まだ生き埋めになった被害者がいる段階で、自衛隊や警察のマンパワーを削ぐ行動、または削いでいると誤解されるような行動を取ってはならない。首相は、16日夜には視察を終えて官邸に戻った。9人目の犠牲者は、新潟県柏崎市大和町で17日午前2時50分、医師によって死亡が確認され、午前4時12分に遺体が収容された(以上、朝日新聞)。首相の輸送や警備に割く自衛隊員や警察官がいるなら、なぜ生き埋めの救助に回さないかと「誤解」されて当然の行動だろう

05-23
●終日、原稿書き

05-22
●昼までに「反省本」関係の原稿6枚。あと3枚ほど書けば初校分が手離れ
●午後4時@ラジオ・テレビ記者会(NHK内)で【記者会見 第44回ギャラクシー賞 入賞作品および特別賞、個人賞、DJ賞の発表、マイベストTV賞グランプリの発表】。放送批評懇談会から選奨事業委員長・藤久ミネ、CM部門委員長・兼高聖雄、報道活動部門委員長・坂本衛、マイベストTV賞プロジェクトリーダー・滝野俊一、事務局長・中島好登が出席。第44回ギャラクシー賞入賞作品の報告、テレビ・ラジオ・CM・報道活動の各部門の傾向と審査経過、第1回マイベストTV賞グランプリの発表、質疑応答など
●NHK14階にある放送記者会(記者クラブ)には30人やそこら記者がいるはずですが、集まったのは一ケタでちと寂しい。欠席の記者さんも含めて、5月31日のギャラクシー賞贈賞式・記念の宴はぜひ取材を!! 個人賞を受賞した篠原涼子が出席します。2〜3日前にはスポーツ紙・週刊誌・局(番組)にもリリースを出しますので、カラーでデカデカと出してください
●終了後、藤久、兼高、中島、坂本で渋谷センター街の「魚や」。駅前で買い物後、西早稲田「かわうち」

05-21
●22時から2時間寝て、28時前「潮」7月号(6月5日発行予定)市民講座入稿。全国学力テストについて。400字9枚
●18時、「GALAC」7月号(6月6日発行予定)特集「決定!ギャラクシー賞」の報道活動部門総評を脱稿。400字5枚弱
●15時、「月刊民放」6月号(6月1日発行予定)特集「(仮)番組ジャンル考」の「いま、視聴者はテレビの何をみているのか」を脱稿。400字14枚ちょい。同特集では坂本以外に、上滝徹也(日本大学芸術学部教授)が総論の番組ジャンル論を書き、丹羽美之(法政大学社会学部准教授)が情報番組論を、村木良彦(メディア・プロデューサー)が制作者への注文を書くそう(依頼状の予定が変わっていなければ)
●昨日は3時すぎ〜6時前、青空市へ。理清蘭一家、しょうちゃん、神田二代目がんこ鮨晋ちゃん(すまんねえ、なかなか行けなくて。近いうちに必ず行きますよ)、案山子ママなんかに会って一杯。花豊ママ、オヤジ、三上、かおちゃんにもご挨拶。黄色いハイビスカスとドラセナを買う。あと仕事
【日大芸術学部の学生諸君へ】麻疹(はしか)の流行に伴う休講措置について ←必ず読んでおきなさい。放送学科助手・藤井見江子からのメールによると、授業日程変更の詳細は以下の通り。「7月9日〜14日…通常では補講期間ですが、今年は正規授業期間になります。7月17日〜20日までの4日間が補講期間になります。7月21日〜27日までがA試験期間になります。7月28日〜31日までがB試験期間になります」だってさ。

05-20
●東京はいい天気、「雲一つない快晴」というあれです。昼12時〜夕方6時、神楽坂の大久保通り交差点(神楽坂上)〜音楽之友社付近で「青空市」があります。午後2〜3時くらいには顔を出すつもり。理清蘭、花豊、文悠あたりも店を出すはず。時間がある方は、この地図でも持って、散歩がてらにどうぞ。これまでは5月末か6月頭の日曜日にやり、必ずといってよいほど夕方から雨になるので、なんでもう1週間早めないかねと十数年前から思っていましたが、今年はそうなってよかった
●集団的自衛権の問題がクローズアップされています。いま、この国ですぐ手に入るいちばんいい参考書は、小川和久の『日本の戦争力』と3月に出た『日本の戦争力vs.北朝鮮、中国』です。企画・構成・聞き手は坂本衛。手前味噌ですが、テメエで仕込んだミソがいちばん上等なんだから仕方ない。「アメリカは日本を守ってくれているんだから、集団的自衛権を発動して、アメリカがやられたら助けに行くんだ」「とんでもない。集団自衛権を認めれば日本は戦争に巻き込まれてしまう」という低レベルの議論(どっちもダメです)から脱却し、まともな議論をするために、どっちの側の方もお読みください。ちなみに、おととい初会合を開いた安倍政権の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」委員には、前者の立場が多いように見受けます
●ご参考まで、5月9日付けフジサンケイ ビジネスアイ(日本工業新聞社)に載った『日本の戦争力vs.北朝鮮、中国』の書評です。お次は毎日新聞、自衛隊、本当の実力 軍事アナリスト・小川和久さんに聞く(本の紹介もしてくれてありがたいことです。この記事を読んで「ふーん、小川はそういう意見か」と思った人は、さっそく本屋さんへ! 新聞記者さんは、私が少なくとも数十時間以上かけて聞いたことを、せいぜい1〜2時間で聞いてるわけなのでね)。公明党代表の太田昭宏や党憲法調査会座長の赤松正雄も読んだらしい。党の外交安全保障調査会の顧問でもある赤松は「……この分野については議員になっていらい、慣れ親しんできたのだが、改めて整理して考えさせられ、非常に勉強になった。現代における『戦争と平和』を考え、語るうえで必読の書だと思う」と書いています。5月14日付け読売朝刊の政治面にも公明党がらみの記事が出ていたようです

05-19
【緊急のお知らせ 日本大学藝術学部の学生・関係者のみなさんへ】「はしか」のため5月21日(月)〜5月31日(木)まで藝術学部は休講となります。この間、江古田校舎および所沢校舎には、立ち入ることができませんのでご注意ください。念のため周囲の関係者にも連絡し、このことを徹底してください。
●今日夜7時すぎ、放送学科事務室の岡野圭祐から、上記趣旨のメールが届きました。昨日、放送学科で「はしかにかかった学生が4人いる。来週か再来週あたり休講になる可能性がある」という話を金龍郎准教授から聞いたばかりでした。発熱、鼻水、のどの痛み、激しい空せき、眼の充血など風邪様の症状が出たら、そのままにせず、医療機関で受診することを勧めます。なお、休講期間分は、夏休みに食い込んで開講することになるので、学生諸君は10日間も授業がなくてラッキーとぬか喜びしないように
●更新できずに、すみません。急に入った仕事で、本を1冊書いていたもので。来月、遅くも中旬までにアスコムから鈴木宗男・佐藤優著『反省』という本が出ます。政治(とくに自民党、共産党、小泉政権、田中眞紀子さん)に興味のある方、行政(とくに官僚・官僚制の腐敗、外務省、検察庁、税金の使われ方)に興味のある方、司法(とくに裁判所、裁判官)に興味のある方、外交問題(とくに対ロシア外交、北方領土問題、北朝鮮拉致問題)に興味のある方、マスコミのあり方(とくに記者クラブ、中でも霞クラブ、税金が使われる記者のアルバイト・その他の便宜供与などメディアと官僚の癒着、メディアスクラム、発表ジャーナリズム、集中豪雨的取材)などに興味がおありの方、日本国の先行きを憂いている方、とりわけ、人や組織の失敗と反省に学ぼうというお気持ちがおありの方に、強く一読を勧めます。驚愕し、言葉を失う方が多いはずです。この関係の作業が17日に一段落し、更新を再開します。申し訳ありませんが、すっ飛ばしていた原稿は月曜日に入れますので、よろしくお願いします
●朝ニュースで立てこもり犯の逮捕シーンを見ましたが、両手を挙げた犯人に警官たちが正面からだらだら近づいた。あれ、教科書通りですかねえ。早撃ちのヤツなら一人二人撃たれても不思議はない(目の前で拳銃を捨てても、腹に隠し持っているかもしれない)でしょう。なんでアメリカみたいに「地面に伏せろ。手を頭の後ろで組め」とやらんのか。弁当だかペットボトルだかを持っていたというんだけど、ペットボトルの中身はガソリンとかヤバい液体の可能性もあるでしょうにね

05-18
●10時40分、日大授業。午後「人はテレビの何を見るか」につき原稿書き。22日午後4:00〜第44回ギャラクシー賞記者会見@NHK テレビラジオ記者会室(選奨事業委員長・藤久ミネ、CM部門委員長・兼高聖雄、マイベストTV賞プロジェクトリーダー・滝野俊一、報道活動部門委員長・坂本衛が出席予定)のリリース原稿書き。引き続きその他の原稿書き
●立てこもり事件を伝える夕方民放ニュースをチラと見る。しゃがんだ、立った、2〜3歩退いたと、警官の一挙手一投足に現場レポーターが「動きがありました! 新たな展開を予想させる動きです!」と絶叫。だから何なんだと、苦笑せざるをえない。もう人質はいないのだから、注意すべきは自殺と火着けだけ。特殊部隊員が大音響閃光弾をぶち込んで突入するか、静かに取り囲んで犯人の消耗を待つ(必ず眠くなって捕まる)か二つに一つ。それ以外の警官の一挙手一投足などどうでもいいんだという情勢判断ができない。現場でできなければ、PやDが指示を出すか、専門家に「事件は終わっている。二つに一つで必ず捕まる」と解説させればいいものを、知識がないからかやらない。ところで、画面では見なかったが、消防車は待機していたのか?
●警官が一人撃たれて亡くなりました。誠に気の毒でお悔やみ申し上げます。しかし、それでも、警察の失態は強く批判されるべきだと思います。【1】最初に撃たれた(途中で救出された)警官の対応は適切だったのか。少人数で駆けつけたようだが、ヘルメットや防弾チョッキを着用し、拳銃を抜き、応戦できる態勢で踏み込んだのか。メディアは検証すべきです。【2】犯人の発砲を織り込み済みで、なおSAT隊員が射殺されたのも、明らかに警察の失敗です。盾で全身を隠せないならば、工事現場に敷いてある鉄板2枚と台車でデカい盾を作る(そんなもん、町工場に頼めば1時間でできる)くらいの知恵が、なぜ働かないのか? 自衛隊や米警察みたいな装甲車両を持っていないことが問題なのではない。必要な装甲がなければ作りゃいいという知恵が働かないことが問題
●ついでに、誰も言わないのであえて書きます。線路に身を投げた女性を救った警官が亡くなり、総理大臣までが見舞いに駆けつけた。誠に気の毒で心からお悔やみ申し上げますが、私はあの勇気ある警官には、残念ながら判断ミスがあったと思います。あのとき必要だったのは「自分の生命の安全を確保しながら、死ぬ気で飛び降りた女性の命を救う」ことだから、女性が暴れたら警棒で足を2〜3発思いきり殴るべきだった。女性の行動能力を奪って線路脇に移動させれば、死なずに済んだはずです。骨を折ったとしても、命を救ったんだから当然許される。警官はプロフェッショナルなのだから普通の人のように行動してはダメ、ましてかけがえのない命を落としてはダメだと思います。たとえば阪神淡路大震災のような大災害を思い浮かべてください。ああいう状況で自衛官や警官や消防は、被害者救出のため「身代わりになって死ぬ」などということは許されない。他に救わなければならない人が何千といるとき、命と交換に一人を救って終わりでは、他の大勢を救えないからダメなのです。人を救って命を落とした警官を世間やマスコミや政治家が英雄視するのはいいが、警察部内では真剣に反省しなければならない。殉職警官が相次いだことで、その反省が欠けているのではないかと、私は懸念しています
●夜9時すぎから、日テレ系でやっていた井筒和幸監督『パッチギ!』を見る。「イムジン河」は中学の頃から歌っていた。当時出会い今でも友人の一人のオヤジは韓国人だった。映画の通夜シーンで「お前たち日本人は何も知らない。出ていけ! 出てってください」という言葉が出てきます。「知らない」のはダメです。同時に「出ていけ」というのもダメです。日本側はできる限りのことを知り、朝鮮側は出ていけといわない──歴史は動かせず、隣人も選べないのだから、日本と朝鮮の付き合い方はこれしかないと私は思います

05-17
●昼過ぎ、最後のいちばん長い第3章を脱稿。神谷弘一がまとめてくれたGyao連載に手を入れて送信。久しぶりに昼寝

05-16
●1〜3時、「週刊ダイヤモンド」副編集長の田中博、同じく深澤献の取材を受ける@神楽坂ベローチェ(いつものジョナサンが改装中だった)。テレビ・放送の大特集を組むそうです。これ以外は終日、原稿書き
●今日5月16日から5月27日(日)10時〜18時、東京六本木の国立新美術館(千代田線乃木坂下車が近い)で第29回日本新工芸展が開催。うちのも出していますので、興味がおありの方はぜひお出かけを。22日(火)は休館です。その後は以下の3か所を巡回。名古屋松坂屋美術館(6月6日〜12日)、京都市美術館(7月10日〜15日)、北九州市立美術館市民ギャラリー(7月18日〜29日)

05-15
●朝5時半起きで風呂。7時すぎの朝食をはさんで原稿書き。8時45分頃タクシーで大津駅。JR西日本トロすぎ。窓口では、すぐ前の人がどの列車に乗るかにつき研修中のヤツと指導中のヤツが5分ほどグダグダ。後ろでボケッと立っている女性に「9時すぎの京都発新幹線に指定券を換えたい。9時何分がある?」と、サッサとやらんかとプレッシャー。結局、8時51分だったかの大津発には乗れなかったが、「急いでいるから研修中じゃない者に代われ」といって座った者が「9時15分京都発がある。9時大津発の普通に乗ればギリギリ間に合う」というから、グリーンを奮発。しかし、ホームに上がって待っていると「5〜6分遅れ」とアナウンス。先に来た9時3分発の快速に乗ったが、これまたアナウンスも表示もないものの実は9時5分発車。で、京都駅で走ったが予定の列車には乗れず。次の新幹線に切符を換えてもらおうと「みどりの窓口」に行くと5〜6人の列。閉まっている窓口のカーテンをこじ開けたら、席の後ろに男女2人が立って談笑中。「次のがすぐ来る。何とかしろ」「コンピュータが止まっていて無理です」。こんなバカどもには付き合えんと、ホームに上がって来た列車に乗り、仕事しながら帰ってきました。コンビニでは2〜3人の列ができると隣のレジを開けるが、JR西日本はボケッと立っているだけ。働く意識がコンビニのバイト以下です。あと驚いたのは、大津に遅れて来た普通が、ものすごいスピードを出して、京都駅では快速より先に着いた。あんなに人が死んでも、なお同じことを繰り返しているわけですね。終日、原稿書き

05-14
●ギリギリまで原稿書き。第4章を上げて、2時13分発の新幹線で京都へ。車内ではノートPCで原稿書き。5時すぎから滋賀県知事公館で琵琶湖塾スタッフ・運営委員と顔合わせと運営方針の討議。6時すぎ田原総一朗も到着。7時から琵琶湖塾新年度の記者発表。8時すぎ、さっさと飲み会に行くつもりが、田原が「もう20〜30分話そう」というので運営委員とさらに質疑応答。田原がようやくホテルに帰ったので、有志で、県庁前の店に移動。出席者は後送(誰かメールして)。10時すぎ、お先に失礼して大津プリンス。1時すぎまで仕事

05-13
●終日、原稿書き

05-12
●終日、原稿書き。第2章と短い第5章up

05-11
●終日、原稿書き。第1章up

05-10
●終日、原稿書き

05-09
●終日、原稿書き。ギャラクシー賞の選評チエック。夕方、最後のテープ起こしが届く

05-08
●夕方まで原稿書き。夜7時30分、原宿の朝日ニュースターへ。8〜9時『ニュースの深層』生放送にゲスト出演。テーマは「問われるテレビジャーナリズム」。司会がジャーナリスト・上杉隆とサブキャスターの重信メイ。重信メイは、日本赤軍の重信房子の一人娘。9時半帰宅。番組では、私が田原総一朗を手伝っているアスコム刊「オフレコ!」4号もバッチリ紹介してくれました
上杉隆は「週刊文春」かな、小泉首相の秘書官・飯島勲インタビューを執拗に申し込んでいたそうで、私たちがやった「オフレコ!別冊まるごと飯島勲」が出た日も、車に同乗するだか飯を食うだかしたと。で、本屋で買ったばかりの「オフレコ!別冊」を出し、「これ、どういうことです?」と迫った。何であいつらのには出てうちに出てくれなかったんだとね。すると飯島勲は「そ、それは、田原さんがオフレコだと言ったんだよ」と。このあまりにもベタな言い訳に、それ以上突っ込むのを止めたとか。雑誌名としては、なかなか使えるタイトルでしょう
●昔、仲間うちでよく話していたのは「『月刊これ』ってどうだ? キオスクとか本屋でみんな『これちょうだい』『これいくら?』というじゃないか。その人に、全部売りつけちゃうっていうのは」とか。放送批評懇談会の「GALAC」は200やそこらアイデアを出し合った編集委員会で、私が出した案をみんなで討議し、最終的に私が決めましたが、ほかに私が出した案で覚えているのは「放送批評宣言」「新・放送批評」「放送ペンギン」。最後のは、いまでも結構、気に入ってるんですけどね。上滝徹也も、これがいいと言った。もっと昔には「百歳万歳」に対抗する雑誌名をこれまた300くらい、神楽坂のマンションの1室で議論し、私の出した「人生悠悠」に決まりかけたとき、草柳大蔵が安倍隆典に「安倍くん、それは『花も嵐も』だよ」と言って、それに決まった

05-07
●夕方まで原稿書き。琵琶湖塾パンフ原稿、ギャラクシー賞選評など。夜8時半〜永田町の鈴木宗男事務所。佐藤優、アスコム高橋克佳、小林英史と

05-06
●日大OGを自宅に呼んでバーベQの予定が雨。2〜3時頃が本降りで風も強いというので、前日の予報を見て「万一の場合はよろしく」頼んでおいた西早稲田「かわうち」へ。肉以外に焼く野菜・納豆揚げ巻・もちその他つまみと、トング・紙皿・紙コップなど一式を持ち、タクシーにて1時半着。2時すぎ、玲子一家、愛、恵、友紀、千穂、あと直接の教え子でなく初めて会う希文《きふみ》が来る。みんな自分の飲み物を持ち込むというルール。バーベQというより、完全に焼肉大会になっちまった。玲子のところのふーちんは、なぜか私によくなつく。人形を渡して「これあのお姉ちゃんにあげて」と愛や恵に差し向けても、すぐ戻ってきて私にしか渡さない。「ほらな。子どもは誰が優しくて、いい人かわかるんだ。初めての犬なんかも俺には腹を出すぞ」というと、玲子いわく「いや、うちでは二人の祖父が、ベタベタに可愛がりまくっている。先生は、その二人のおじいちゃんと同じ範疇にカテゴライズされているんじゃないですかね」「なんだそりゃ」。かわうち主人と女将の渡部雄一夫妻は、うちに客として招待したところ、休みの店に押しかけられた形となり大迷惑。ま、渡部はそれも忘れて、結構飲んでゴキゲン。夕方から三々五々解散。その後、息子・娘その友だちなんかも来て、10時すぎに最終解散。それにしても渡部夫妻、お疲れさんで、ご協力誠にありがとうございました

05-05
●終日、原稿書き。深夜、前回のテープ起こしが届く

05-04
●終日、原稿書き。家人と娘は自分の実家、息子は友だちのところで泊まりで静か

05-03
●原稿書きの後、4時、一家で世田谷の実家へ。兄一家も来ていて、庭仕事少々。咲き終わったサツキやツツジの刈り込み(剪定)とか掃除とか。6時、目黒の香港園で食事。母の坂本幸子は皮革工芸家でして、春は日本新工芸展、秋は日展に大きなものを出すほか、2年に1回くらいお弟子さんたちと展示会(バッグなどの小物も作る)をやっている。今年は第29回日本新工芸展で日本新工芸会員賞をいただいたので、そのお祝いも兼ねて。兄は泊まるといったが、私は時間なし

05-02
●午前10時、起訴休職外務事務官・佐藤優、アスコム高橋克佳、小林英史と打ち合わせ@丸の内ホテル。11時、永田町の鈴木宗男事務所に移動。1時すぎまで鈴木・佐藤対談。その後、「黒澤」で食事と軽く一杯。佐藤優は支払いのとき、今日のように4人なら「3人と1人に分けて、領収証を書いて」と店に頼み、自分の分は必ず自分で支払う。ホテルの喫茶代もそうしていた。4人分全部を出版社がもつのが普通だが、そこは実に徹底しています。アスコムに寄り資料を受け取った後、放送批評懇談会事務所へ。21日のシンポジウムを8時間撮影してくれた株式会社ディジタルメディアのプレゼンを見る。滝野俊一、岩本太郎、中島好登、久野明と。なんでもそのうちにIWAMOTO TARO TVというものが始まるらしい【これより上の記事は19日にup】

05-01
●映画「バベル」照明点滅で観客が体調不良との報道。当サイト[検証ポケモン事件]ピカチュウからの警告をご参照。ただ「疲れた」「気分が悪くなった」というのは、光感受性発作ではない可能性もあり、診断には脳波検査(閃光刺激を与えて脳波の異常[光感受性発作波]をとらえる)が必要です。点滅するシーンでは、目を細め、片目を掌《てのひら》で覆《おお》うとよい(ただし、両目を閉じてしまわないほうがよい)とされています
●原稿書き

04-30
●天気もよいし、今度ベランダでバーベQをやるし(「かわうち」渡部夫妻も参戦)、庭を片付けがてら空いているプランターに何か植えようと、昼頃、家人の車にて椿山荘となり、目白通りぞいにあるガーデンショップ(音羽建物グリーン事業本部またはグリーンショップ)へ。赤玉小粒やら腐葉土やら何種類か苗だのを買う。帰り、江古田の日大まで行ってみようということになり、ちょっとドライブ(って休日だし、神楽坂と江古田の往復は40分もかからない)。帰って夕方まで庭仕事
●夕食に西早稲田かわうち。最近、映画「ナルニア物語第1章」というのをスカパーでもWOWOWでもやっていて一応録画したのだが、深夜、見るかどうか迷った挙げ句、見てしまった。で、予想通り幻滅。本と筋が違うなどと野暮なことはいわないが、指輪の影響が強すぎ、ようするに合戦物語として描こうと思った時点で製作者と監督はアウトです。そのためアスランが大本営のいちばん奥のいちばん立派なテントから出てくる(飼い慣らされたライオンじゃないからテントでなど寝ない)、ピーターは戦争なんて危ないから帰ろうと言い出す(そこだけ現実的でヘン)、スーザンは弓の練習をする(必ず当たるのに)、ルーシィはナイフの練習をする(女が参加する戦いは醜いと忠告されたはずだが)、フォーンだの何だのも鎧《よろい》や鎖帷子《くさりかたびら》に兜《かぶと》で武装する(前日まで長い冬で魔女が支配していたのに武器はどう集めた?)、わけのわからん人馬将軍(冬の間どこに隠れてたんだ)が突撃する、というおバカな話になってしまう。結果、エドマンドの裏切りとアスランの贖《あがな》いという焦点がボケ、中途半端に。あと、髪の毛の色の違いは許すとして、ルーシィはあんなキャーキャーいう幼稚な子ではなく、少なくとも前歯に隙間はない。スーザンも違う。白い魔女も違う。あれは半分巨人の血を引く女帝で、もっとでかくてキツい(どこかで見たと思ったら「コンスタンティン」で羽根を燃やされちゃう大天使ね)。ま、これはこれで楽しいという人もいるでしょうし、それはそれで結構なことですけれども

04-29
●原稿と雑用いろいろの後、16時〜嵐コンサート「凱旋記念公演 ARASHI AROUND ASIA+ in DOME」@後楽園ドーム。5時から囲み取材。6時から公演。今日の歌は、Overture、1)A・RA・SHI、2)サクラ咲ケ、3)ハダシの未来、4)Lucky Man、5)COOL&SOUL、6)I want Somebody、7)a Day in Our Life、8)アオゾラペダル、9)秘密、10)Rain、11)La tormenta chapter II、12)CARNIVAL NIGHT part2、13)きっと大丈夫、14)Love so sweet、《MC》、15)涙の流れ星、16)We can make it!、17)Blue、18)Anti-Anti、19)Tell me what you wanna be?、20a)侍BGM、b)RIGHT BACK TO YOU、21a)PIKA☆NCHI、b)SUNRISE日本、c)明日に向かって吠えろ、d)EYES WITH DELIGHT、e)君のために僕がいる、f)PIKA☆NCHI DOUBLE、22)言葉より大切なもの、23)感謝カンゲキ雨嵐、《ENCORE》1)台風ジェネレーション、2)Hero、2b)曲名不明、3)WISH(もらった紙は以上のようですが、アンコールはHeroから始めた。その次の曲は悪いけど知らん)
●22曲目の後、一人ずつ終演の挨拶。桜井「ありがとうございました。僕たちは僕たちなりのやり方で、僕たちなりに進んでいきたいと思います」大野「楽しかったです。このドームという広い空間の中でみんなと一つになれたことがうれしかったです。またみんな遊んでください」相葉「このコンサートが僕は大好きなんすよ。みんなの笑顔をもらって力になっている、支えられているなって。これからもみなさんを楽しませていきたい」二宮「1年前アメリカから帰ってきて妙にみんなと会うのが恥ずかしくて、でも、会った瞬間僕が戻る場所はここなんだと思いました」松本「99年デビューしてから歩いてきた点を線にした思いです。(今日のコンサートを)どう受け取ってもらえたのか気になります。今日を通過点にずっと線を描いていきたいと思います。これからも僕らについてきてください」──まあ、要旨こんなことをいってましたっけ
●あと、嵐サイトに載っていないらしい情報としては、嵐2007 SUMMER CONCERT TOURが決まったそう。7/14〜16大阪城ホール(14夜のみ)、7/22北海道きたえーる、7/29〜8/1横浜アリーナ(30昼のみ)、8/5長野ビッグハット、8/8石川産業展示館4号館、8/12広島グリーンアリーナ、8/14マリンメッセ福岡、8/17鹿児島アリーナ、8/21〜22名古屋ガイシホール(21夜のみ)、8/26宮城スーパーアリーナ、8/30浜松アリーナ、9/2新潟コンベンションセンター(特記していない日は昼夜2公演)
●昨日は夕5時半〜9時すぎ@かわうち。小林道雄が鶴川に越したら、町田周辺に巨大団地がいくつもある。付属するかたちでスーパーがあるから行ってみたが、品揃えがヒドい。うまそうなものもない。そこで、よれよれの爺さんがしょぼい買い物をしていると。飲み屋なんかもダメだと。ポプラ並木で街は立派、家並みも長年勤め上げたサラリーマンが頑張って建てた立派なものだが、街として活気がなく、生活や歴史や文化の軸・核がなく、ダメだという。小林はこの言葉は使わなかったが、街も家も全体が「箱モノ主義」──個人を殺してひたすら30年40年会社勤めを続けやっと家を持ったが、それだけの話で、あまりにも空虚だということでしょう。私たちは役所を箱モノ主義と批判するが、実は人びとの多くも箱モノにとらわれている
●で、小林道雄がいうには「俺ならこの街でカメラを回す。これこそ日本の縮図だからだ。ところが、そんなドキュメンタリー、1本でも見たことがあるか?」と。同感です。よくドキュメンタリーやルポのネタ探しに、ヒマラヤの奥地とか東南アジアとか中東、中南米なんかに出かける若者がいるんだけど(GALACでも溜め息をつきながら紹介した)、この日本や東京でネタを見つけられないヤツが、そんなとこ行って何が見つかるかいと、いつも思います。ドキュメンタリーとくれば、原爆、戦争、障害者、病気、差別というテーマ設定にも、私はうんざりしています
●あと「坂本衛サイト日録04-19の記事をプリントアウトして4月21日のシンポに行ったのだが、ありゃなんだ。議論が薄っぺらい!」とも。ま、厚さよりも広がりを取ったわけで、申し訳ないことで。次はもっと絞り込んだ深いのをやりますので、よろしく
●小林道雄が鼎談本を出しました。「笠智衆のように枯れたい」って妙なタイトルの本
●昨日の当欄、恋愛ドラマ批評家中町綾子(失恋ドラマ実践家、かどうかは知らない)の記事中、pdfファイルがデカいと書きましたね。画像だけで5.5MBだかあると。これにつきちょっと一言。みんな画像はキレイなほうがいいはずだということで、高解像度のままファイル化し、メールで送ったりサイトに出したりするわけです。ところが、高解像度・高画質すぎると無意味どころか弊害大なのです。当サイトに置く画像は、本の表紙で40〜50KB前後、細かいものでも70〜80KB以下。5.5MBの70〜100分の1サイズです。仮に、現在WEB上にある全画像のデータ量がある日突然70倍に増えたら、10億人やそこらの全員が「WEB閲覧が遅くなった!」とイライラし始めるはず。それを改善するには何兆円か必要になるわけです。アナログ現行放送→ハイビジョン放送への時間あたりデータ量の拡大は、いいところ4〜5倍なのに、こんなに大騒ぎしているんですからね。PDFは軽さこそ命なので、作成する前に必ずこれ(→PDFのファイルサイズを小さくする方法)を読むように
●似たような話で、こちらが送ったメール内容をそのまま付けて返信する人が多い。最初のメールがサイズ5KBで、返信の付け足しが2KBだとすると、最初のメール[5KB]→返信[2KB+[5KB]]→その返信[2KB+[2KB+[5KB]]]→さらに返信[2KB+[2KB+[2KB+[5KB]]]]……という具合に増えていく。ここまで計32KBが流通した。[5KB]→返信[3KB]→その返信[3KB]→さらに返信[3KB]ならば、半分の計14KB程度で済むはずなのに。こういうRe:Re:Re:のRe:メールも、馬鹿げているだけでなく、世界中が迷惑するから絶対にやめましょう

04-28
●GALAC編集長のとき、ドラマに関する論考を何本も書いてくれた中町綾子(日大藝術学部放送学科准教授)が本を出しました。おめでとうございます。タイトルは『ニッポンのテレビドラマ 21の名セリフ』(弘文堂刊、1,995円)。中町は、ギャラクシー賞審査委員、日本民間放送連盟賞審査委員を務めドラマ批評家(とくに恋愛ドラマ批評家)として活躍中。惹句をいえば「セリフの向こうに時代が映る──『ドラマ深読み本』ということらしい。以下、本の紹介チラシを転載します
*****『ニッポンのテレビドラマ 21の名セリフ』紹介チラシここから*****
「ロンバケ」(1996年)のあのセリフに心ときめいたのはなぜか?
太陽にほえろ!の「なんじゃこりゃぁ」(1972年)が名セリフなのはなぜか?
「すいか」(2003年)に心癒されたのはなぜか?
テレビの歴史も50余年!(放送開始は1953年)  気がつけばドラマはいつもそばにあった/ある。
あの時代にドラマは何を伝えていたか。
あのとき私たちは何を感じていたか。
21の名セリフを手がかりに、その想いをたどります。
あの時、ドラマを見て熱くなったのには、じつはこんな理由があった。
心の奥底に・・・  大切な記憶としてテレビドラマがある人に読んで欲しい一冊。
★ こんなドラマについて読めます ◆「ありがとう」(当時人気絶頂だったチータこと水前寺清子がヒロインのドラマ)の世界 ◆「太陽にほえろ」の「なんじゃこりゃぁ!」はいったいどんなセリフで、実際にはどういうシーンなのか ◆名言の宝庫「金八先生」第1シリーズの杉田かおる妊娠時の名セリフとはどのようなものだったか ◆「木更津キャッツアイ」にぎやかな仲間との時間の奥にあるクドカンのシャイな気持とは ◆「僕は死にません」野島伸司/武田鉄矢の愛の叫びは本物です ◆「東京ラブストーリー」ドラマ史のエポック!「カァンチ!」に弾ませる恋する気持 ◆「セーラー服通り」青春はドラマとともにあった ◆「北の国から」これまた泣けるセリフが満載!とっておきの名セリフとは? ◆「踊る大捜査線」青島の叫びの熱い想いへの共感はこうして生まれた ◆「寺内貫太郎一家」ホームドラマの不朽の名作 向田邦子の世界とは ◆「王様のレストラン」 三谷幸喜が紡ぐ奇跡のドラマ。元気になれる格言・名言 ◆「アフリカの夜」 生きていくってそういうことなのだと納得のセリフ ◆「男女七人夏物語」さんちゃん(明石家さんま)しのぶ(大竹しのぶ)を結びつけた恋のセリフとは ◆トレンディドラマの元祖「抱きしめたい」の世界とは そのほか、韓国ドラマブーム(「冬のソナタ」、「美しき日々」)、キムタクブーム、トレンディドラマブームについて分析したコラムを収録。
*****『ニッポンのテレビドラマ 21の名セリフ』紹介チラシここまで*****
●なお、上記★印以下の黒四角は元のビラでは黒丸なのですが、当サイトの黒丸と紛らわしいので替えておきました。あしからず。あと、紹介チラシのPDFファイルはこちら(←送られてきたそのままだけど、ファイルサイズでかすぎ)。これが表で、裏に上記の能書きがあれこれ出てくる。ドラマ好きの方には楽しく、なるほどと思わせる本だと思います。とくに十代後半〜三十代半ばくらいの女性には、オススメなのではないかと。もちろんそういう女性たちを大好きな男どもが読んでもいいわけですが。ジュンク堂サイトを見ると在庫なしになっている。探すより書店で注文するのがよいかも
●夕方5時半から小林道雄と神楽坂で飲む予定のところ3時半現在、ものすごい嵐。どうなっているのか。なお、当サイト@神楽坂に駒安を追加。神楽坂マップも一新しましたので、覗いてみてください

04-27
●10時20分、四つめの黒丸で触れた本につき、昨日アスコムでの打ち合わせを踏まえた構成案を作って先方へ。何日か後に一つ対談をやり、過去何回かの対談と合わせてまとめる予定
●21時35分掲載の読売サイト記事によると、オリンピックの消火活動はまだ続いているとのこと。最近は行ってないが、1階では木炭、ストーブ用ボンベやクーラーボックスなどよく燃えそうなものを売っているほか、靴売り場の面積が広かったと記憶しています。うちのクーラーボックスも、津久戸小のウォータージャグ六つも、この店で買った。悪ガキの火遊びの可能性があるようだが、付近の小中PTAはただちに緊急対策に着手せよ! イジメやバカ教師(Mちゃん)どころの騒ぎではない。自分たちの子どもが人殺しになるところだったかもしれないと、おののき震撼せよ!!(新宿区立津久戸小学校元PTA会長 坂本 衛)
●夕方5時現在、明治通りと諏訪通りがぶつかる諏訪町交差点角にあるディスカウント「オリンピック」1階から出火し炎上中。家のベランダから見ると西方上空に少なくとも9機のヘリが旋回。家から直線距離で1700〜1800mの場所だが、うるさい。戸山高や学習院女子のそばです。キャンプ道具なんか買いに何度か行ったことがある。5時23分に見るとヘリは2〜3機を残し撤収
●東京は快晴だが、風が冷たい。10時40分、日大授業。午後、本の構成づくり。二人の人物の共著で、彼らの大反省というか、徹底懺悔録が6月上旬にアスコムから出ます。どの二人かは、この欄を1週間ほど読んでくださればわかるはず
●今回出てきた昭和天皇の元侍従・卜部《うらべ》亮吾の日記、報道の通りであれば、ものすごい内容です。1988年11月3日「常陸宮同妃 加藤(健三)侍医によると助けてとかどうにかならないかの頻発でお気の毒の由」、11月16日「嫌だようの愁訴きこえる」、2001年7月31日「靖国神社の御参拝をお取りやめになった経緯 直接的にはA級戦犯合祀が御意に召さず」。11月3日記事の主語がいまひとつ不明確ですし、あれこれいうのは詳しい分析の後にしますが、私にとっては富田メモよりも衝撃的
●99年度日本大学藝術学部放送学科でマスコミュニケーション演習VIに出ていた人は、5月6日に坂本宅でバーベキューをやるよ。今のところ恵、愛、由貴、友紀、玲子(一家?)が出席、永子が欠席、千穂は応答なしだそう。参加希望者は、どこでどうしてるか知らんけどメールして

04-26
●下記講演会に行く予定が、昨夜アスコムから電話で今夜打ち合わせをしたいと。たいへん残念ながら欠席。午前中サイトやPC回りの仕事あれこれ。夕方から資料読み。夜8〜10時半アスコム。高橋克佳、小林英史と。11時帰宅
●午後7時(開場6時半)〜「断絶の証言者──プリーモ・レーヴィを語る」徐京植講演会@イタリア文化会館。要事前申し込み アジアプレスの綿井健陽ブログで教わった。翌日、ダヴィデ・フェラーリオ監督『プリモ・レーヴィの道』特別上映会(イタリア語版日本語・英語字幕付)があり、上映後、監督のトークイベントとビュッフェ・ディナーがあるそう

04-25
●夕方6時半〜放懇理事会。終了後、21日の御礼がてら岩本太郎、久野明と東順永。後から中島好登も参戦
●理事会に専修大准教授・山田健太から討議資料として「個人情報取扱マニュアルについて」なる文書が出された。これに「ウエブサイトを運営されている方をはじめ多くの方が該当すると思われます」「文筆業=法の適用外でないことに、十分注意を払ってください」とある。本欄はじめ当サイトには「氏名によって個人を識別できる情報」を何千人分だか知らないが載せてあります。もちろん、特定の個人情報を検索できるよう体系的に構成しておらず、データベースには該当しないから、これについては関係ない。ただし、坂本の個人的な住所録や仕事で集めた住所録に加えて、市販・非売品を問わず手持ちの名簿何冊かを合わせると、個人データ数5000人分を超え、「個人情報取扱事業者」として法の対象になる可能性がある(山田健太の見解)。手元にある旧郵政省の天下り名簿だけでも当然この数は超えています(むろん、天下りなんて書名ではありません。電気通信関係職員録だったかな。10年分やそこらある)。こちらについては、第三者に提供しない、電子化しない、外部に持ち出さないなど、注意が必要
●天下りで思い出したが、1か月ほど前、某キー局報道から電話があり、「天下りで夜ニュースのコメントがほしいので、夕方までにビデオ収録できるか」という。「あなたは記者?」と聞くとADとのこと。「別にいいけど、放送局が郵政省・総務省からの天下りを受け入れていることを知ってのうえで、私に電話しているの? 私は当然その話もしますよ」といったら、都合によりなしになった。いつかはNHK社会部記者からも「V収録したいが、午後に待機は可能か」という電話があったけれども、たぶん上司か周囲に「お前、バカか。坂本をうちのニュースに出せるわけないだろ。さっさと断れ!」といわれたんじゃないかと推察します。しばらくして「なしになった」と連絡あり。テレビのみなさんは「こいつは放送に詳しいらしい」という曖昧情報だけに基づくのでなく、当サイトの論考を5本やそこら読んでから、取材の電話をかけてくるようにお願いします。【これと一つ上の●記事は27日朝に追加】

04-24
●夜7時〜9時すぎまで、飯田橋駅そば(JRの北側線路沿いの道を2〜3分水道橋方向に歩く)の光邦で「オフレコ!」4号の出張校正。本文は何度か読んでいるので、柱や見出しなどキモ部分のみざっとチェック。「田原の直しは」とアスコム小林英史に聞くと「明日の朝なんです」「なんじゃ、そりゃ。見る時間ないじゃん。もっと早く寄こせっていわなきゃダメよ」と。あと、表紙のデータがどこへ行ったとかなんとか大混乱中。小林「紙、白紙ありませんか」というのでレポート用紙を渡したら、なんと手書き台割を作った。校了(予定)日に作り直すか、そんなもん!
●神楽坂下、志満金(しまきん)並びの花屋の角を入った焼鳥「駒安」で遅い夕食。水道橋にあった居酒屋が移転してきてずいぶんたつが、ようやく顔出しできました。遅くなりましたが、開店おめでとうございます!! 焼鳥を焼くオヤジは店の社長で、通称「とーちゃん」こと伊里茂。カウンターに立つはスーパーサブの末光靖。どちらも理清蘭常連。ちなみに「神楽坂もんじゃ」は、ここの親戚筋。30席ほどある店は満員に見えたが、一つだけ空いていた。そのうち四月大歌舞伎・二代目中村錦之助襲名披露(夜の部)帰りの家族3人も合流し、11時すぎまで。@神楽坂ページに追加します
政府がホテル・飲食店を採点、顧客満足度を公表へ(読売新聞) こんなの税金でやる政府の仕事ですかね。民間で競争するホテルやレストランなどのサービス業は、サービスが悪ければ客が来ず、やがて潰れるから、放っておけばよい。問題は競争がない部門、政府を含めた役所や特殊法人、国会、裁判所のサービスがどうなっているかでしょう。役所ごとに、国民に〈1〉行政サービスの質に満足しているか〈2〉支払った税金や手数料に見合っているか〈3〉期待通りの内容だったか──などを聞き取り、苦情の有無や再利用意欲なども勘案し、顧客満足度指数を100点満点で評価し、毎年公表するのが先だと思います。誰か国会でそう質問すれば? 大臣ごとに国民満足度指数を出せと
●Googleで遊んでて驚いた。「Four More Years」(小文字でも同じ)でウェブ全体から検索すると、「four more years の検索結果 約 550,000,000 件中」で、14番目に当サイトが出る。やってみてください。全世界5億5000万件中14位てのは、なかなか。ま、Googleの検索窓に三つの単語を入れた結果は、信じないのが正解
ゴジラ? ゴジラが出てくるとき、こんな感じになりますよね(読売新聞)

04-23
●各方面への御礼の連絡、サイト更新など。「オフレコ!」4号が5月9日に発売予定。最後の原稿2本を夜11時45分に入稿済み。なお、5月8日の朝日ニュースター「ニュースの深層」(司会:上杉隆)に兼高聖雄と坂本衛が出て、テレビのいまを語ります。よろしく

04-22
●昨日は、8耐シンポ「テレビを問う!」へのご参加とご協力、誠にありがとうございました。日大側の集計作業は23日以降になりますが、常時200ほどの客席が埋まり(ピークで300人前後)、のべ人数(受付を通った人)はたぶん500人以上の数。パネリストを含む登壇者約30人やスタッフ数十名を含めて数百人が参加し、事故もなく成功裏に終えることができました。オーマイニュースの同時ネット中継は3000〜4000のアクセスがあり、同社としては多いほうだったそうです(音声がいまいちだったようで、失礼しました。田原総一朗なんてあっちこっち向いてしゃべるんで、隣の席の私にも聞こえないときがあった。テレビはピンマイクを付けるからいいんですが)。田中康夫が「時間、短すぎるよ!」と文句をいってましたが、この不平不満は当然で、8時間を30で割ると1人たった15分しか持ち時間がない(会場から10人発言を求めれば12分)。とりあえず大勢集めて花火を上げ、こんな問題があるのだという提起ができればと思っておりましたので、その意味では大成功ですが、パネリストや会場参加のみなさんには行き届かなかった点が多々あったと思います。すべては総合P坂本の責任で、伏してお詫び申し上げます。懲りずにこの種の催しをやるつもりですので、懲りずにご参加をお願いします。ネット中継を使って少人数が10時間、たとえば地上デジタルについてだけグダグダと話し続ける、というようなことも難しくないとわかりました。あれこれ考えてみます。ご意見ご批判お待ちしています
 Special Thanks  今回のイベントでは、とりわけ以下の方々にお世話になりました。改めてお名前を記し、心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。◆岩崎貞明、小田桐誠(年甲斐もなく子ども[自分の子はもうオトナなので、よその子]と駆けっこして、アキレス腱をどうしたとかで、松葉杖で参戦!)、柴田鉄治、砂川浩慶、内藤篤、前川英樹、綿井健陽、岩本太郎、岩瀬達哉、清水勉、田中康夫(新党日本のワゴン車で登場)、原寿雄(「あんたを激励に来たんだ。補聴器を忘れちゃった。発言はなしに」ということで、指名しませんでしたが)、山田健太、ピオ・デミリア、音好宏、下村健一、田原総一朗(直前にいた横浜からの移動で、翌日は朝っぱらからテレビがあるわけで、すみませんねえ。72歳の爺さまに無理いって)、西渕憲司、野中章弘のパネリストのみなさん。ノーギャラどころか車代も出さずに長時間ありがとうございました。◆当日参加してくださった一般のみなさん、学生さん。当日見かけるか言葉を交わした方では、小林道雄、露木茂、平山誠(新党日本事務局長。田中康夫が出るラウンド2が終わる頃、とてもうれしそうにどこからか帰ってきて、チラと短時間での収穫を見せる)、中野有(有は「たもつ」と読む。国際フリーター。このシンポのためにニューヨークから駆けつけてくれた)、鈴木嘉一、原真、石井清司、竹内淳、堀木卓也、安斎茂樹、成田勝也&山本清久(湯島花月のかりんとう差し入れ、ありがとうございます)、田代勝彦、田中典子、安田天、安田みゆ、ほかのみなさん。(この項、あとで受付名簿を見て追加します)◆日大藝術学部学部長・野田慶人、事務局長鈴木三夫、学部次長・上滝徹也、映画学科・宮澤誠一教授、放送学科主任・橋本孝良教授、兼高聖雄教授、中町綾子准教授、石渡さくら講師(当日ディレクター)、助手・茅原良平、藤井見江子はじめ、日大の教員・学生・看護師さん(万一のため救護室で8時間耐久待機)・守衛さんほかのみなさん。◆柴山哲也、飯沼良祐、小川明、小川和久、西村敏雄(ご家族の容態がよくないということで、京都から来て即とんぼ返り)、小黒純、保阪正康(えらく体調が悪いところ駆けつけてくれ、控え室で二つ質問したいといったら一つで勘弁と。結局、司会席から見ても具合が悪そうだったので指名せず)の現代メディア・フォーラムのみなさん。◆現代メディア・フォーラム側スタッフとして8時間ぶっ続けで手伝ってくれた柴山延子(TBSニュースバードの最古参キャスターで9年目。ということは、日本の24時間ニュースチャンネルでもっとも経験豊富なキャスター。Wikipediaによれば元トヨタプリティ[本人によれば、就職氷河期だったこともあり卒業後2年間トヨタのイメージレディ]。実は柴山哲也の姪っ子)、久野明(8時間ぶっつづけで写真撮影と会場連絡係)、石橋さや夏(高給バイトを休んで朝から控え室接待お局2号)、うちの奥さん(控え室お局1号)
●当日の主な発言など、(発言者の了解を得て)おいおいサイトで紹介することになるかと思います。たとえばバクダッドにいるときシンポの出演交渉をしたジャーナリストの綿井健陽は、「自分はハイビジョンや放送のデジタル化にはまったく興味がない。戦場取材でも現行方式に変えるメリットは一切ない」と断言した。テレビ局の社員には、思っていたとしても絶対に口にできない意見です。以下は、パネルでなく終わってからの立ち話ですが、「三脚立てて夕焼けや砂漠の風景を撮るには、そりゃキレイでしょう。しかし、ハイビジョンカメラは砂ぼこりにすごく弱い。砂漠の戦争取材には使えませんよ」と。地上デジタルでバラ色の未来が来ると思っている人は、文字通り第一線で、それも巨大メディアが一切立ち入らない場所で、命がけで取材しテレビ報道を支えている彼らの声に、耳を傾けるべきです。綿井のこの発言を紹介できただけでも、シンポジウム「テレビを問う!!」をやってよかったと、私は思っています
●21日夜は、江古田駅そばのイタメシ「ラ・ピエトラ」(放送学科御用達)にて、「のりぴ」こと田中典子(特別参加)、ピオ・デミリア、柴山哲也、飯沼良祐、小川明、小川和久、柴山延子、石橋さや夏、坂本睦美、坂本衛で打ち上げ。日大側は後片付けがあり参加できず、またの機会ということで。夜10時半頃帰宅して兼高聖雄に御礼の電話を入れたら、「いま学生を帰したところ」と。遅くまで本当にありがとうございました。お疲れさま!
●22日は朝8時半まで爆睡。青木貞伸夫人の青木(榎本)芳子が、区の高齢者専用共同住宅に入居が決まり24日に引っ越すというので、昼すぎ高井戸へ。ウェンディーズで昼食後、新居のチェック。何をどこに置き何を捨てるなど、あれこれ打ち合わせ。枕元にナースコールのような呼び出しボタンがついていて、昼は管理人、夜は警備会社につながっているほか、キッチン天井にセンサーがあり、12時間人の動きがないとベルが鳴るという安心システム。夕食にそばを取り、狭くなるので持っていけないという着物だの壺だのをいくつかもらって帰宅。7時45分、ギリギリで投票を済ませる。その後の選挙速報で、羽柴秀吉リードを伝える夕張の第一報にちょいと驚く。新宿、目黒の区議選に知り合いが何人か出ているので、深夜、NHKデータ放送でチェックしてから就寝

04-21
●今日、日大江古田キャンパスで8耐シンポ「テレビを問う!」をやります。広い大講堂ですので、席にはまだ余裕があると思います。田原総一朗も田中康夫も来ます。「あるある」について議論することを承知で、フジテレビの情報制作局長も来ます。夕方6時までやっており、いまからでも間に合います。ぜひ、お越しください。遠方の方は、オーマイニュースが8時間ぶっ続けでネット中継します。ディジタルスタジオもハイビジョン収録します
●パネリストからは「いま準備されている放送法改正の危険性を訴えたい」「第53条の8の2は憲法違反だ!!」との声が寄せられています。この問題は、まったく捨てておけませんので、時間ができたらサイトにも書きます。総務省は明らかに暴走しています。この問題では、新聞・雑誌・テレビの全メディアが共闘できるはずで、私は共闘して叩き潰すべきだと思います。自民党のみなさんは、現野党の誰かが総務大臣になったとき、こんな恣意的な法律を使わせていいのかと、落ち着いて考えたほうがよいでしょう。「ヤバいよ、こんなの」と思わなければ、どうかしています

04-20
●10時40分、日大授業。4月21日のシンポジウムの準備。柴山哲也と遅い昼食。15時、「オフレコ!」第4号につき田原総一朗と最終打ち合わせ。アスコム高橋克佳・小林英史と

04-19
8耐シンポ「テレビを問う!」4月21日に江古田で開催。誰でもどの時間からでも入場できます。ぜひご参加を!)につき、昨日、共同通信から連絡あり、事前にイベント告知をしてくれるとのこと。ありがとうございます。今日か明日には加盟各紙に載るようです。オーマイ・ニュースからネット中継の申し込みがあり、現在調整中です。また、朝日ニュースターが24日以降、番組で取り上げてくれる見込みです
●「すぐ、誰にでも、安く、簡単に、音つき映像で」情報をもたらすテレビ放送は、速報性、リーチ、コスト、機器の操作性、情報量の各部門でトップにある情報ツールであり、その意味で巨大な影響力を持ち、現代社会に欠かせないメディアです。同時に、各部門トップであることと裏腹に、欠落部分やマイナスを合わせもったメディアなのです。◆たとえば、「生」が象徴する速報性と引き換えに、正確性・確実性・網羅性・客観性といったものがある程度失われますし、歴史観や大局観も割り引かれてしまう。「誰にでも」と引き換えに、正確性や論理性が失われ、単純化されすぎた白黒二元論や情緒的な訴えだけが語られてしまう。「安く」と引き換えに、カネを出すスポンサー至上主義が跋扈《ばっこ》し、批判性が失われ報道部門が弱体化する。機器の操作性がよいことと引き換えに、情報が本来対象者として想定しない層に届くこともある。「映像と音」という膨大な情報量と引き換えに、情報の質が劣化し、正確性・確実性・網羅性・客観性・論理性に欠けた感情的・情緒的な情報が氾濫するわけです。◆だから、というか、しかし、というべきか。「テレビは不正確だ」と批判するだけの議論には発展性がない。「不正確でも、一刻も早く伝えたほうがよい」ケースがあることは明らかだからです(たとえば地震速報。速報段階の震源やマグニチュードは仮の値で、もともと不正確)。一般論では、より正確なほうがよいことは当たり前ですが、現実には個別論でよしあしを判定するしかありません。極端な話、「不正確きわまりないあいまい情報」でも速報すれば日本人の命を1000人単位で救うことができたケースが存在します(阪神・淡路大震災の第一報。テレビは1000人単位の命を救う力を持ちながら、救えなかった)。「テレビはスポンサーべったりじゃないか」という一般論からする批判も同様で、「それでも、見かけ上タダで(新たな情報コストなしで)これだけの情報を流せる商業放送システムは、ないよりあったほうがよい」という一般論でかわされてしまう。個別論で「このケースのスポンサーべったりは、やり過ぎだ。スポンサー企業の社会的責任上も許されない。なぜならば……」と批判しなければ有効ではないでしょう。◆また、テレビは報道・教養・娯楽・癒し・学習といった多くのジャンルを含むメディアですから、部門によっては欠落部分やマイナス部分が、それほど大きなマイナスとはなりません。もともと「バカをやって徹底的にみんなを笑わせる」ための番組ならば、情報の不確実性など大きな問題にはならない。報道番組では大きな問題になるとしても。ところで、最近のテレビはジャンル分けがどんどん不明確になっており(バラエティ化)、バカをやるのが仕事のお笑い芸人が政治を扱う番組で本質的なことをいったり、ジャーナリストがバラエティ番組でバカをいったりするので、これはこれで分析が必要ですが。いわれている「放送と通信の融合」「テレビとネットの融合」も、「テレビは速報性、リーチ、コスト、機器の操作性、情報量の各部門でトップ」という事実にどう向き合うかを明らかにしなければ、無効です。2歳児や3歳児が自分でテレビをつけてNHK「おかあさんといっしょ」を見ているのに、しかも、どの家でも2歳児や3歳児にパソコンをさわらせないのに、「テレビはパソコンで見ればいい。やがて両者は融合するであろう」なんていうのはバカな話で、無効でしょう? 「テレビはけしからんから、放送法改正で規制を強めればいいんだ」という一般論も、テレビの機能やジャンルを無視しているから無効なのです。◆グダグダ何がいいたいかというと、テレビはみんなが見ていますから、意見や批判も実に多様で、しかし結構、一般論が多いのです。その一般論は、まさにテレビが流している情報と同じで、正確性・確実性・網羅性・客観性・論理性に欠けた感情的・情緒的なものが少なくないとも思います。4月21日に8時間もグダグダ何をやりたいかというと、そのような話を確実に網羅的に論理的にやりたいのです。一般論から個別論へとキリキリ突っ込んでいけば、説明にはある程度、時間がかかります。話すほうも大変ですが(パネリストは全員が無報酬です。電通さんに頼む政府のタウンミーティングでこれだけの面子を集めれば、3000万か5000万かかるんじゃないかと思いますが、私どもは日大藝術学部の絶大なるご後援を得て、タダでやります)、参加して聞いてくださる方も大変です。それでも、集まったみんなで「テレビのいま」について、いくつかの重要な問題提起ができるだろうと考えています。みなさまの積極的なご参加をお待ちしています
●今日は1日中この準備。「オフレコ!」4号と重なってしまい時間が取れず、とくにパネリストの方には、ご連絡や告知が遅れがちで、ご迷惑をおかけし申し訳ありません。あさってに迫りました。よろしくお願いします
●安倍首相が「『捜査当局によって厳正に捜査が行われ、真相が究明されることを望む』との自分のコメントは、事件発生10分後のコメントとしては間違っていない」と、子どもじみた開き直りをしたようです。みっともないというか、美しくない。では1万歩譲り「10分後のコメントとして正しい」として、「こんな事件は許せない」という趣旨のコメントは何分後に出したのか? 翌朝か? なぜ20分後、30分後に出さなかった? 首相官邸は、最初のコメントが17日夜10〜11時の段階で繰り返し報道されていたことを、認識していて何もしなかったか、認識していなかったかのいずれかであって、いずれにしても話にならないのでは?──と、番記者はツッコミを入れなさいよ

04-18
●午前中、シンポの準備(引き続き4月21日(土)の8耐シンポ「テレビを問う!」をよろしくお願いします)。朝刊に塩崎恭久官房長官のコメントが載っていた。首相に劣らず(17日の項を参照)、このセンスも悪いと驚きます。「理由を問わず、公職にある者に対する暴力は誠に卑劣な行為で、絶対に許すことはできない」(東京)。公職にない者に対する暴力も同様に誠に卑劣な行為だから、「公職にある者」は余計でしょう。議員や市長は「公職」にある特別な存在で、庶民大衆よりエラいのだとでも?
●昼、番町「きく亭」でアスコム小林英史と昼食(すっぽん雑炊)後、夜まで「オフレコ!」第4号の校正作業

04-17
●昨夜から徹夜。朝7時前に10枚ほど入稿し、昼まで寝る。その後、シンポ関係の準備ほか、バタバタと。夕食後、久しぶりにテレビ。テレ朝ロンハーSP。馬鹿バカしいが、テレビのいい加減さ、自分たちのいい加減さ、バカさを見せつけながらやるという点だけはいい。PTAをおちょくりつつ、メディアリテラシー向上にこれほど効果的な番組は少ないともいえる。なお、中国・神仙池に初めてカメラが入るようなことをいっていたが、テレビ映像で見たことがあるから間違い。ウソはいかん。NHKの盲導犬訓練士も、おもしろく興味深く見ました
●夜10時前から報道ステーション、NHKなどで長崎市長銃撃のニュース。私の周辺でもこの手の襲撃について警戒・警備を強めたことがあり(新幹線で私が付き添い、降りたときにボディガードと現職刑事にバトンタッチとか)、他人事ではありません。理由は問わず、自分だけが拳銃という殺傷能力のある武器を手にして人を襲うのは、卑怯卑劣で野蛮な行為であって、断じて許すことはできません。しかも堅気を背後から撃つとは、ヤクザの風上にも置けない屑野郎の蛮行。市長は心肺停止と報じられ、極めて危険な状態にあるようですが、回復を祈ります
●ところでNHKニュースは、安倍晋三首相のコメントとして「捜査当局によって厳正に捜査が行われ、真相が究明されることを望む」との内容を繰り返し報じた。何というセンスの悪い、愚劣なコメントかと呆れます。一応は民主主義国の、選挙中に起こった候補者に対する銃撃事件への危機感の表明がゼロ。見舞いの一言もなく、人間味のかけらもクソもない。このコメントにOKを出した安倍晋三もヒドいが、案を出した首相秘書官は、ほとんど救いようがない。サッサと更迭したほうがよいのでは
●なお、テレ朝の報道ステーションは、事前に容疑者から届いた市長への告発文を「犯行声明」なるテロップで報道。妙だと思っていたら、抗議か疑問視する声が寄せられたのか、途中で不適切な表現と認めて訂正。プロデューサー、ディレクター、キャスター、コメンテーターが、「犯行声明」と出せば「お前ら、それが事前に届いていたのに警察に連絡しなかったのか? 『許せない』といいながら事件を予防せず、殺人未遂を黙認したも同然ではないか」という人がいるかもしれないと思わなかったならば、その想像力の欠如とチェックの甘さは重大な問題。NHKニュースは一瞬「死亡」テロップを出してしまい、すぐに訂正。こちらは単純ミスでしょう

04-16
●引き続き4月21日(土)の8耐シンポ「テレビを問う!」をよろしくお願いします
●TBSラジオ&コミュニケーションズが、デジタルラジオやインターネットに向けたクラシック音楽専門ステーション「OTTAVA」(オッターヴァ)を開局。ラヴェルをこよなく愛するピアニスト・本田聖嗣が月〜金の朝7時〜9時半にプレゼンターとして登場。タイムテーブルはこちら。本田聖嗣ブログはこちら。ストレスフルな都市生活者の朝を美しく爽《さわ》やか健やかな時間に変えてくれるらしいです。ぜひ聴いてみてください。au携帯でも聴くことができるとのこと
●本田聖嗣は麻布学園卒で、私見によれば、麻布が生んだ山下洋輔以来の大ピアニストです。5月にはドビュッシーとモンポウの入っているCDを発売予定。2007年10月7日にはリサイタル「馥郁シリーズV」@浜離宮朝日ホールも決定し、そろそろチケット発売のはず。それで思い出した。書くのを忘れていましたが、私は2007年3月に出た『麻布学園PTA会報』というものの特集「先輩たちのMy Way」68〜71pに「あれこれ疑って、My Way」なる文章を寄稿しております。同じ号にはPTA会長藤森隆のエッセイ「『海を流れる河』との出会い」、内藤篤「オトナになったら何になる?」も載っている。真ん中に「麻布の不思議」というページがあり、それによると氷上信廣のヘアバンドは「自分を戒めるためで、出席簿のとじ紐」らしい。あと、この学校はゲーム機持ち込みOKらしい
●NHK放送記者会(ラテ記者会)に21日のニュースリリーフ配布。潮連載の原稿書き

04-15
●昨日は、山田健太のみ他の会合とぶつかって書面参加。2時半スタートで予定通り5時ちょいすぎに終了。談論風発、委員それぞれ確固とした立脚点・評価軸に立ってハッキリものをいい、しかしグダグダと持論に執着せず譲るところは譲るという、よい審査会だったと思います。大学関係者などはとりわけ年度はじめの忙しい時期に、1週間かそこらで十数時間分のビデオを見てもらい審査をお願いしているわけで、本当にありがとうございます。上滝徹也は徹夜しても終わらず、最後の1本のラジオはクルマの中で聞きながら来たと。ちなみに委員が受け取る報酬は税込み5000円!(審査会出席も含めて時給300円見当ってところ)。キー局だけでなく、なかなか注目されにくい地方局やCATVの報道活動を応援したいという考えから、応募時の審査料を20000円に抑えています。安いでしょ? もっともっと応募してください
●審査終了後、碓井広義、小林英美、堀木卓也、福島美子、坂本で中華・東順永へ。9時すぎ解散。審査2時間半で飲み3時間半は、なかなか健全な時間配分。審査の続きほか、放送法改正の大問題(局は「あるある」捏造問題でビビって声を上げずにいたところ、とんでもない改正案が出てきて、民放連はかなりキツい反対声明を出した。総務省あたりは、「こんなんなら最初にいってよ」と)、BSデジタル増波の傾向と対策、相変わらず売れ続けているアナログテレビの問題などなど。こんな話も。坂本「地デジ3波共用受信機の110度CS分のコストは、いくらくらいかね」「1000円くらいじゃないの」坂「受信機1000万台だから100億円だ。メーカーが取ってるこの100億って何よ?」「110度の契約数は40万くらいだね」坂「そんなにないよ。20万か15万以下だろ。放送をやめるしかない。3波共用もやめるしかない。地デジ1波だけのチューナーを積んだテレビを出すしかないぞ!」「でもこのケータイ、使わない機能いっぱい付いてるよ。使わないチューナー積んでもいいんじゃないか」坂「ケータイは積んでない機種を選べる。地デジは選べないからマズイと思うね」とか

04-14
●引き続き4月21日(土)の8耐シンポ「テレビを問う!」をよろしく。東京新聞が13日付朝刊で紹介してくれました。ありがとうございます
●午後2時30分〜私が委員長を務めているギャラクシー賞報道活動部門委員会の下期・年間審査会@放送批評懇談会事務所。ここで下期の優秀作4本前後を選びます(これと上期選出作品を合わせた中から、5月31日までに、年間のギャラクシー大賞、優秀賞、選奨その他を選出します)。委員は、麻生千晶(作家)、碓井広義(テレビマンユニオン、千歳科学技術大学助教授)、上滝徹也(日本大学教授)、小林英美(読売新聞)、坂本衛、田原茂行(元TBS)、露木茂(元フジテレビ、東京国際大学教授)、堀木卓也(民放連)、山田健太(元新聞協会、専修大学助教授)、山室英男(元NHK解説委員長、評論家)。事務局からは福島美子、それに選奨事業委員長の藤久ミネ(目白大学教授)も来てくださる由。10時間以上ぶっ続けで、なんとか見終わりました。キー局も含めて力作ぞろい、とりわけ地方局は頑張っていると感じます。テレビのマイナス面ばかりが強調されますが、みなさんにも見ていただきたいものだと思います。見れば、ほとんどの人が報道部門は頑張っている、テレビも捨てたもんじゃないという印象を受けるでしょう
●国民投票法案、ひどいですね。山田健太は表現規制法案だと断定していますが、私もその側面が大きいと思います。最低投票率を設定していないのがダメ。最大の政治勢力は無党派層であるにもかかわらず、既存政党だけを特別扱いし、政党だけが憲法改正論議に大きな役割を果たすことができる仕組みもダメ。憲法記念日までに何をどうしたいという安倍晋三の発想は、陸軍記念日その他記念日にどこそこを占領するという無茶な計画を立てた旧軍の参謀(戦後は衆議院議員)辻政信を思い出す。まあ、こんな拙速なやり方では、憲法改正は5年か10年は遠のいたかもしれない

04-13
●4月21日(土)の8耐シンポ「テレビを問う!」(10〜18時@日大江古田キャンパス)にぜひご参加ください。中学生以上くらいから、どなたでも、何時から何時まででも、出入り自由で参加できます。会場から発言の機会もあります。詳しくは表紙のポンチ絵下をクリックしてください
●今日から日大芸術学部放送学科の授業が始まります。放送特殊研究Vは午前10時40分から。よろしく

04-12
●久々の更新ですみません。8時間耐久シンポジウム(8耐シンポ)「テレビを問う!」の準備が大詰め。今週末に放送記者クラブ、主要テレビ局、スポーツ紙、雑誌などにニュースリリースを出します。メディア関係のみなさん、よろしくお願いします。このサイト読者のみなさんで参加ご希望の方は、ぜひ事前申し込みをしてください。また、下記または告知ページの内容を掲示板・MLその他に流していただければ幸いです。オーマイ・ニュースからはネット中継、CSの朝日ニュースターからは事後の番組化の、それぞれ打診が来ています
●8時間耐久シンポジウム(8耐シンポ)「テレビを問う!」◆日時 2007年4月21日(土)9時45分〜18時20分(9時開場)◆場所 日本大学江古田校舎・大講堂 案内図◆主催 現代メディア・フォーラム/日大藝術学部放送学科◆後援 日本大学藝術学部◆入場無料(定員1000名) 参加のお申し込み◆パネリスト 原寿雄、澤田隆治(調整中)、田原総一朗、筑紫哲也(交渉中)、田中康夫、前川英樹、西渕憲司、草野厚、岩瀬達哉、野中章弘、綿井健陽、保阪正康、小川和久ほか多数
●いま、テレビ批判がかつてないほど広がっており、政府・総務省や与党はここを先途とテレビを規制する姿勢を強めています。私は日々のテレビ番組を見て、もちろん役に立つこと教えられることが少なくありませんが、実にくだらないものが多いとも思います。また実際に、テレビ報道の弱さ、地上デジタル放送の進め方、放送局への天下り問題などについて、さんざん批判をしてきたつもりです。しかし、それでもテレビの内容面に対する規制をこれ以上強めることには、私は断じて反対です。くだらないバカ番組、はかなく弱く嘆息せざるをえない報道番組でも、政府・与党(もちろん、現野党が与党になった場合も含む)の規制でがんじがらめにされたテレビよりマシであると信じます。21日には、そんな議論ができればよいと考えています(もちろん「あるある大事典」の問題も議論します。3時からのラウンド3では、その話が出るという前提で、フジテレビ情報制作局長・西渕憲司さんが来てくれます)
●GALAC4月末発売号(本来は5月6日ですが、ゴールデンウィークのため前倒し)の表紙は日本テレビ系『喰いタン2』でグルメ探偵の主役を務める東山紀之。その冒頭インタビュー原稿を入稿

04-11
●4月末発売予定アスコム刊「オフレコ!」4号のラスト原稿、田原総一朗による堀江裁判解説10枚(坂本聞き書き)を入稿

04-10
●小川和久への聞き書き「日本の戦争力vs.北朝鮮、中国」が、アスコムから3月30日に発売となりました。編集者の森秀治によれば「出だしはとても順調です。出だしだけを見ますと、前回よりもいいです」とのこと。前回というのは、日本の「戦争力」。これとは重ならないように構成・執筆してあります。ぜひ、お読みください。一段落したら、サイトにページを作ります
●7時、アルカディア市ヶ谷(旧私学会館)で日大芸術学部放送学科懇親会。学部長・野田慶人、学部次長・上滝徹也、放送学科主任・橋本孝良、教授・兼高聖雄、准教授・中町綾子(懇親会の司会)、専任講師・石渡さくら(21日は現場ディレクター)、助手・茅原良平、講師の廣瀬惠之佑(前年度で退任。自動車ジャーナリスト)、藤平芳紀(新著の「視聴率の正しい使い方」が朝日新書から出るそう。GALACにも長く連載していただいた日本のテレビ視聴率研究の第一人者)、椎名達人、浅利光昭(ともにメディア開発綜研の主任研究員。所長の菊地実は3月で講師を退任。21日のシンポもどうと声をかけたら、いま食育の研究で忙しい由。なおメディア開発綜研は「」御用達)、本橋春紀(民放連、今回BPO事務局長に。こりゃ大変!)のみなさんらと話す
●兼高聖雄と神楽坂に移動し、理清蘭で一杯。店にはコージと亮輔がいた。荻原亮輔は今春から大東文化大スポーツ科学部に進学で、時間割表を作成中。坂本「なんだ、土曜日に日本国憲法かよ? つまんなそうだな」とか、兼高教授「1限が多いね。止めたほうがいいよ」と余計なお世話。「ちょっと、やめてくれる!?」と京蘭

04-09
●「オフレコ!」4号に掲載する猪瀬直樹・田原総一朗対談を40枚ほど入稿。猪瀬直樹は7人で始まった道路関係四公団民営化推進委員会に大宅映子と二人だけ、最後までとどまって奮戦した。今回の対談は、その猪瀬が語る道路の権力との攻防記。2001〜2003年頃、道路公団についてさまざまな人物がさまざまな立場から発言し、新聞を中心とするマスコミもあれこれ書いた。その裏側はどうなっていたのか、どのジャーナリストにはどの権力がついて情報を渡していたかを、猪瀬が暴露しています
●私は、前首相・小泉純一郎の政策や考え方を100%支持するつもりは毛頭ありませんが、郵政民営化や道路公団民営化は、やったほうがやらないよりは断然マシであったと思っています。当サイトの提言「放送行政委員会」を設置せよで「民営化で普通の企業にしたほうが、私たち国民にとってどんなにプラスか知れない」と書いたのは1997年の暮れでした。当サイトのこのページ、小泉純一郎(衆議院議員/元郵政相・厚相)テレビは若者に政治を伝えよ!に書いた通り、郵政省やテレビに関するいくつかの考え方ではこの人と私の意見は同じ。だから、猪瀬直樹の気持ちはよくわかる。このままではダメだと、ジャーナリストや作家の一線を越えて大奮戦したことは評価します。ぜひ、「オフレコ!」4号をお読みください
●ただ、猪瀬直樹は「道路の権力」「道路の決着」などを書き、真相はこうだったんだ、朝日経済部や日経をはじめ新聞なんてリーク情報ばかりだと主張しているわけですが、ああいうやり方ではなかなか真意が伝わらないだろう、ちゃんと最後まで付き合って(読んで)くれる人が何人いるんだ、という感じは持ちます。私などは、テレビに関する本なんてどうせ売れっこないから、それでカネ儲けすることはハナから諦めて全部タダでサイトに出しているわけですが、やっぱり真意が伝わらない。ちゃんと最後まで付き合って(読んで)くれる人が何人いるんだ、という感じがします
●まあ、なかなかサイトを更新できない(つまりサボっている)せいもありますが。たとえば現時点でBSデジタル放送を見ている世帯は、公式発表によれば2000万世帯以上といわれることが多いわけですが、最近の調査によれば実際に見ている世帯は900万世帯程度で、まだ1000万に達していません。あるいは、地上デジタル放送の受信世帯も、受信機をただ足し算して2000万世帯に近づいているといわれることが多いわけですが、いいところ1000万+α世帯です。3月末現在のデジタル放送の普及状況(速報値)発表を、単純に世帯数だと思っている人が新聞記者も含めて多いのですが、これは間違い。地上デジタルチューナーを積んだPDP・液晶テレビ約1100万台と、「ブラウン管テレビ72万台・デジタルチューナー(内蔵録画機も含む)360万台・ケーブルテレビ用STB約388万台」はほとんど重なっていると考えなければなりません。そんなことは当たり前。チューナーや録画機だけ持っていてハイビジョンテレビを持っていないヤツは、ハイビジョンは見ていないわけだから、テレビで数えるしかない。地デジ対応CATVはアナログ現行放送にも対応しているのだから、どっちで見るかはテレビで数えるしかない。しかも、正確な普及世帯数を出すには、重複を除いたうえで、不良交換品、同一世帯の2台目以降の需要、家庭外(企業・役所など)の設置台数、店頭・流通在庫、店頭展示品、地上デジタル受信アンテナ・ケーブルにつながれてない台数などを考慮しなくてはならない──なんてことは、当サイトを読めばわかりそうなものだと思いますが、伝わっていませんからね
●ちなみに、昨2006年の1年間に出荷された非地上デジタル対応テレビ(ブラウン管テレビと4対3液晶テレビ)は約280万台でした。同じ時期に出荷された地上デジタル対応プラズマテレビは約77万台、液晶テレビは約454万台で、合わせて約530万台。ようするに、昨年1年間に800万台以上売れたテレビのうち3分の1以上が、いまだに非地上デジタル対応テレビだったのです。あと千五百何十何日かで非地上デジタル対応テレビが使えなくなると、政府、メーカー、放送局が盛んにPRしている(280万台には2011年以降映らない旨の黄色いシールが貼ってある)にもかかわらず、です。私はこれは大ニュースだと思います。これはまずい状況だとも、責任者は何をやっているのだとも思います。でも、そんな話はテレビはもちろん、新聞雑誌にも載っていない。なぜかといえば、政府やメーカーや放送局が発表せず、多くのメディアが知らないからでしょう

04-08
●娘の大学入学式。未成年なので大学名は書きませんが、演劇を勉強するそう。夕方、その祝いというほどのこともないが、都知事投票を済ませてから、一家と家人の母の5人で西早稲田かわうちで夕食。なお、息子はもう1年、浪人で頑張るそうです
●映りが極めて悪いかわうちのテレビで開票速報を見る。石原慎太郎の圧勝と思っていましたが、その通りの結果。民主党は最初から不戦敗で、浅野史郎がプレスリーだかなんだかのふりで歌っている映像を見て「こりゃダメだ」とダメ押しで思いましたけれども。私は、月尾嘉男と一緒に都庁のデカい部屋で石原インタビューをしたことがある。そのとき若いカメラマンが一生懸命に写真を撮った。大物相手で絶対失敗できないと念入りに、ちょっとしつこく撮ったわけです。すると石原慎太郎は、写真を撮られるのが好きではないと聞いてはいましたが、いきなり不愉快そうに「キミ、もういいだろう」と怒鳴った。いちばん下っ端の者に対して、ああいう物言いをするのだけは止めよう、と私は思ったものです。月尾には「先生ね、この都庁の建物のモチーフは何ですか」というような口ぶりでしたが(この質問にも結構驚きました。一目でノートルダム大聖堂とわかるように造ってあるわけで)
●「中国人はバカ」「三国人で治安悪化」「ババアはどうしようもない」「外務省某は爆弾仕掛けられて当然」「余人をもって代え難い」といった石原慎太郎の低次元な発言(ちょっと病的だと思います)は、当サイトでも何度か批判的に書きましたが、今回は「反省すべきは反省する」と低姿勢だったのが幸いした。基本的には都民も国民も強いリーダーを待望しており、大きなマイナスにはならなかったのでしょう。あとは、やはり公明党が強いのと、相手が弱すぎたうえにバラけた
●石原慎太郎のよいところはよい(国との対決姿勢、安全重視、財政改善、ディーゼル車規制など)とハッキリ誉め、それは継承すると宣言したうえで、文句のつけようがない主張(4年後78歳になる老人に巨大東京をまかせる不安、オリンピック誘致不可能〔客観情勢からして不可能でしょ?〕、傲慢・親バカ批判など)だけで戦ったほうが得策だと思うんだけど、なんでそうしないんでしょうね

04-07
●「オフレコ!」4号の原稿書き

04-06
●「オフレコ!」4号の原稿書き

04-05
●夜、「オフレコ!」4号の経済鼎談(吉崎達也+匿名エコノミスト+田原)の原稿40枚ほどを入稿
●12時すぎ、日大芸術学部に出向き、4月21日のシンポジウムについてごあいさつ。柴山哲也と正門で待ち合わせ兼高聖雄を呼び出して、鈴木三夫事務局長、映画学科の宮澤誠一教授(工事の関連)、放送学科の上滝徹也(学部次長)・橋本孝良(学科主任)両教授に面会し挨拶。柴山哲也と近所で昼食と思ったが、目当ての店が2軒休みで、初めての中華屋に入る。あれこれ打ち合わせして帰宅

04-04
●10時半、4月21日のシンポジウム打ち合わせ@外国特派員協会(有楽町電気ビル北棟20階)。柴山哲也、飯沼良祐、兼高聖雄、坂本衛の4人。兼高は次があると昼過ぎに帰り、3人でランチ

04-03
●12時、六本木ミッドタウン内のUSEN本社で、Gyao MAGAZINE連載の連戦姉妹との対談。テレビCMの話を1時間半以上。終わってから3人でイタメシ。話自体は、まあおもしろく過激で、テレビはもちろんGyao MAGAZINEでもちょっと出せない内容。◆ラジオ広告というのは、たとえば30秒のものを27〜28秒に早回ししても、人間の耳にはそうおかしいとは聞こえない。だから全部の広告でこれをやれば、CM時間の1割を空白時間としてひねり出すことができる。そこにCMを入れれば、本来CMを100本流す時間に110本流すことができる。で、これを実行していたラジオ局がある。私は、その局の関係者から直接聞いたけど、みなさん聞いたことがありますか? ◆昔、テレビ朝日『ザ・スクープ』が原発問題をやっていたら、なんと東京電力がスポンサーについた。で、もちろんその問題をやるのは止めたなんて話も、あまり聞いたことがないでしょう。◆東京電力はテレビCMを打っても打たなくても売り上げにはまったく関係ない(ないでしょ? 地域独占企業で、ある地域に住めば必ず東京電力の客になり、ある地域から引っ越せば別の電力会社の客になるんだから)。それなのに、なぜああも大量にテレビCMを打つのか──当然、反原発問題をあまりやらないでくれという以外に理由がない。まあ、これもあまり学校では教えてくれない
●ペコちゃんの不二家は、古いものを新しいと偽って売った(古いのに隠していた)ことで、全面的な操業・営業停止に追い込まれ、会社存続の危機に立たされた。テレビでは司会者やコメンテータたちが、口を極めて不二屋が悪質であることを言い募った。ただし、不二家は、死者はもちろん、おそらく腹痛を起こした被害者も出していない(少なくとも誰も名乗り出なかった)。では電力各社は? 臨界事故、つまり原子炉内で核分裂がコントロールできずに勝手に進行してしまう重大事故の発生を隠していた。日本では臨界事故で死者が二人出ている(臨界事故と同様の核分裂反応による死者ということなら、広島と長崎に30万人規模でいたともいえる)。しかし、臨界事故、ああそうですかというくらいの話で終わり、電力会社は営業停止にも会社存続の危機にも立っていない。電力会社は悪質であるというテレビ司会者やコメンテータはいない。そもそも電力会社に乗り込んで取材し責任追及しようというテレビ局も見あたらない。平岩外四なんて人は、読書家で財界の良心であるかのようにいわれているが、この人物が東京電力社長や会長や顧問の時代に、同社が何を隠蔽し、その責任はどうなんだと問うたメディアの話を、私は聞いたことがない。なぜかは、説明するまでもないでしょう
●夕方、「オフレコ!」4号の絶対匿名座談会原稿およそ50枚を入稿

04-02
●原稿書き

04-01
●原稿書き
●夕方、近所に夕食に出ようということで、まずえびす亭に行くも時間切れ(6時半になっていなかったと思うが、おしまい)。ついで焼肉の三宝(大久保通り沿い、大江戸線牛込神楽坂駅の神楽坂上交差点に近い入口そば)に行くも、最近の神楽坂ブームのせいかいっぱいで入れず。しょうがないので、しょうちゃんに行く。例の盆栽焼き鳥各種(ここの皮は、どうやって焼き串に刺すんだという芸術品)軟骨、ホタテ、じゃこ奴、和風サラダ、厚揚げ、トマトなど、あれこれ頼む。駒見(しょうちゃん)は「相変わらずヒマだ」とかなんとかいっていたが、あれよという間に満員に。かっちゃん(臼井健之の従姉妹)も来て、さらに帰ろうとした直前、もー吉のオヤジ安倍俊彦が来て捕まる(家族3人はこの時点で帰宅)。銀座のナントカいう画廊のご主人、『信長の棺』(たしかそう聞いたような)の装丁家も一緒で、筑摩書房の磯知七美が大編集者になったという噂。なんだ、いま調べたら2004年10月から筑摩新書の編集長じゃん。今度「俺の本出してくれ!」って言いにいくとするか。「本当のテレビ入門」はどうよ? 磯知七美のプロフィールにある「85年早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務」の出版社が、私が神楽坂に住んでいるという理由からいまタワーマンションの建っているふもとあたりのマンションに準備室を作り、その後、丸岡陶苑の2階でスタートした山河社。磯はしばらくいて、やがて筑摩を受けるというので夏目漱石かなんか読んでいた。「うん、やっぱ漱石だよな。猫それから、こゝろが明暗なわけだ」なんて言った記憶がある
●安倍俊彦、装丁家氏と、ビア・バーBitterへ。神楽坂通りからは本多横町(肉まんの五十番の角)を入り、軽子坂、ホテルゆたかを通り過ぎて右側2階。矢来町のベルギービール店ブラッセルズの店長が出した店だそう。結局、ちょいと夕食だけ出るつもりが深夜1時だか2時だかに帰宅。げ、原稿が〜
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2003-05-25
●リニューアル版運用開始。リニューアル終了まで2〜3か月かかる見込み。旧版は残します
2002-04-11
●ホームページ試験運用開始。キリがないので、未校正ありのまま見切り発車しました。あしからず
●この欄、文中敬称略ってことでよろしく願います