メディアとつきあうツール  更新:2005-04-01
すべてを疑え!! MAMO's Site(テレビ放送や地上デジタル・BSデジタル・CSデジタルなど)/サイトのタイトル
<ジャーナリスト坂本 衛のサイト>

日録メモ風の更新情報(坂本衛)
2004年10月〜12月

2004年10月〜12月の更新情報

12-31
●夜10時過ぎJohnny's "BIG SURPRIZE" Countdown@後楽園ドーム。嵐、V6、TOKIO、Kinki Kids、少年隊ほか。バックネット裏の文字通り記者席(東京中日スポーツさんの席)で、野球を見るにはこれ以上ない席だが、センター方面に設《しつら》えたメイン舞台まではなかなか遠い(双眼鏡は忘れた)
●ジャニーズ白波瀬傑に、今年1年の御礼と来年もGALAC表紙よろしくと挨拶。打ち上げ会場で、「あっ!」というお姉さんの顔に「小野チン?」。小学館DIMEでお世話になりお世話もした小野綾子でした。いまは「ちゃお」副編集長。昔、家に来て息子(赤ん坊だった)をだっこしたのは十数年前! 彼女から、ある人が一家で安否不明と聞き、これにもたいへん驚き、無事を祈っています

12-30
即刻ニューヨークで提訴せよ、提訴! 損害賠償100億円?くらいで。ニューヨーク州弁護士・内藤篤に相談すべし
●スマトラ沖地震で29日現在、日本人数百人が行方不明! 100人単位で日本人が死んでいる恐れも強いのに、政府が何か有効な対策を講じているようには見えない。なぜ? 10万規模のアジア人が死に、「放っておけばその倍の人びとが死ぬかも」と世界保健機関(WHO)が警告しているのに、日本政府が派遣する医療団・救助隊は何十人という規模(新規に死者が出てもいないイラク・サマワへの派遣自衛隊員数の何分の1か)。なぜ? 日経記事によれば、出国ラッシュの成田では被災地タイ・プーケットに向かう家族連れも少なくない。腐乱死体がころがっている場所に家族で遊びにいく日本人とは何者? 外務省はボランティアを除く観光客の渡航自粛要請もしない。なぜ? 年末年始で休みだから?
外務省サイトを調べていて、実にタマゲました!! 外務大臣会見記録。外務省詰めの記者たちは、本当に外務大臣に「(問)具体的には北朝鮮側にいつこの内容をお伝えになるのですか。それとももうお伝えしているのですか。」というようなおかしな敬語を使って質問をしているのか? 拉致問題の対応が手ぬるいと追及するときは、「外務省様の北朝鮮に対するご対応はお手ぬるいと愚考致しますが、どのようにお考えか、お聞かせ願えませんでしょうか」とか聞くのか? 自分たちの質問がこんな馬鹿げた表現にされて、なんで抗議しないのか? 「バカにされている」「外務大臣に対して自分を卑下する『格下の者』として扱われている」という感覚はないのだろうか?
●ところで、フランスの外務大臣は昨日タイに入った。日本国の外務大臣はどこに? 本物が行かないなら、民主党・影の外務大臣が行ってポイントを稼げばいいのにと思うが、その気配もない。外務省は電話20台並べ、安否問い合わせに「わからない」「直接現地に問い合わせたほうが早い」などと夜を徹して答えているそうだが、それって何か「対策」といえるもの? 現地入りした観光客連中が感染症にかかれば、外務大臣はまた「自己責任」というわけ?

12-29
●スマトラ沖地震の死者は10万人に迫り、超えることもありうる見通し。現地に住む人やツアー客でない日本人も相当数おり、日本人死者は数十人〜100人以上に達する可能性がある。ところが政府もマスメディアも年末年始モードらしい。3日後に年が明けるが、「おめでとうございます」という気がしません。「国際貢献」とは何か、「人道支援」とは何か、考えさせられます
●おお、こんなページを発見! 山賀 進のWeb site「第二部−2− 地球の科学 第1章 地震」。津波の基礎知識はここで。隕石についても。お懐かしや、高校のときこの人の地学を取った(文系の定番、地学と生物ってヤツ)。いつも白い上っ張りを着て、頭のてっぺんから甲高い声を出す若い先生(30年前は)だった。「地震は空中にあるもの(接地していないもの)に何か影響を与えることがあるか?」と質問した記憶がある。「ない」との答えでした。津波の話から「人頭税」や「琉球の八重山・宮古支配」に言及し、関東大震災の解説で「夜の満州は甘粕が支配する」にブッ飛ぶなんざぁいい。地学をやる中高校生に超おススメのサイト
●一家で出かけ響で夕食。理清蘭に寄って帰る

12-28
●津波犠牲者が2万数千人に迫る。インドネシアだけでその数との見方もあり、各国合計で4万数千人以上、数万の規模かも。恐竜が絶滅したときの大津波はアメリカで300m以上だったらしく、2029年にはそうならないことを願いたい。国境なき医師(MSF JAPAN)副会長の外科医・臼井律郎はスリランカへ調査ミッションに出発。以下臼井からのメール、朝7時前に受信。帰国時にはまた連絡が入るでしょう。MSFは映像も持っています。報道各社にはMSFを通して取材されることをオススメします。読売新聞は臼井たちの出発のところから書いている。中日新聞も。なお、臼井が毎日20件ほど手術したというスリランカ・ミッションのVTRはMSFサイトで入手可。ところでスリランカといえば、日本は目の玉(角膜)の最大の輸入国
-----臼井メールここから-----
●21世紀最悪の年かもしれない1年に、最悪の自然災害。10日か2週間で帰ってきます。ヘチマ、残念ながらまた欠席させてください。
●津波の被害は一発なので、裕福な国は、それなりに対応すると思います。一番大変そうなのは、インドネシアのアチェ(震源近く)と、スリランカの、LTTE(タミールの虎)占領地域(北東側)で、スリランカだけでもすでに1万人以上の死亡者が出ているので(インドネシアはまだ情報が不十分)、多分その数倍以上の避難民が出ているはずです。これに対応しないと、水食料の不足などからあっという間に下痢が蔓延したりして、子供など、弱者から犠牲になります。もともと貧しい地域は、何かあるとダメージが大きい。
●アチェは、以前から独立運動でテロが多発しており、援助者の立ち入り禁止地域になっていますが、昨日からすでにMSFがスタンバイして、入る許可を待っています。
●スリランカは、2年前に停戦ができて状況が改善し、いくつものミッションを閉めて帰ってくるまで、MSFが20年近く活動した国なので(僕も2度行っている)、タミール人地域の貧しくて一番需要のあるところへも、すぐ入っていけると思います。首都でパリからの2人と、東京からの僕ともう1人、ミャンマー・ミッションからの1人の計5人が合流して、東海岸のタミール人地域を中心にみて、ミッションの必要性があれば、すぐ立ち上げることになると思います。
-----臼井メールここまで-----
アジアの大国にしてほとんど唯一の先進国・日本が、アジアのために何ができるか。大袈裟にいえば太平洋戦争以来、何度かしかない正念場。大東亜共栄圏なんてエラそうなことをいっていたわけで……
●今年のへちまは来年に回し、1月7日午後6時30分〜@神楽坂もー吉
●息子とテレビ報道を見ていたら「津波の犠牲者というが、俺はその言葉は使わないほうがいいと思う」という。ちなみに広辞苑第四版によれば<ぎ‐せい【犠牲】(1)[礼記月令] 天地・宗廟を祭る時に供える生きた動物。いけにえ。また、供犠(クギ)のために殺した動物、ごく稀には植物(穀物など)。(2)身命を捧げて他のために尽すこと。ある目的を達成するために、それに伴う損失を顧みないこと。「―を払って敵陣を奪取する」「自らは―となって人命を救う」(3)自分の意志によらず戦争・天災・事故の巻きぞえなどで生命を失ったり傷ついたりすること。「戦争の―者」「交通禍の―となる」>。(1)(2)は「何かのため」に身を捧げる、(3)はその「何かのため」がないじゃないか、といいたいらしい。辞書に載っている以上、別に間違った言葉の使い方ではないが、戦争・天災・事故で死ぬことに「犠牲」、つまり「生け贄」という意味の言葉をあてた日本人の心性については、一考の余地があると思います

12-27
●スマトラ島沖地震で津波被害者1万2000人超。日本人も数十人が安否不明。死者はもっと増えるでしょう。前回、万人単位で津波死者が出たのは1896年(明治29年)の明治三陸地震(死者2万7000人=理科年表による。すべて津波被害者多くは津波の死者だが、地震の直接被害による死者数は未確認)ではないかと思いますが、地震大国ニッポンは何の国際貢献もできなかった【1月3日追記。中1のとき買った「理科年表」第四十四冊によれば、「三陸沖:震害はない。津波は北海道より牡鹿半島に至る海岸に襲来し、死者27122人、家屋流失全半壊8891、船の被害7032、波高は吉波24.4m、綾里21.9m、田老14.6mなど。津波はハワイ、カリフォルニアに達した」。その後の調査で最大波高は綾里で38.2mとされたようです。死者22000人とする資料もあり、その後の理科年表では死者数も訂正されているのかもしれません。なお、この地震のとき知恵者が山に火をつけて人びとを高台に集め、命を救ったそう。私の母が、昔の教科書に載っていたという】
●サイト読者chokawaから誤字の指摘があり、18日記事中の安倍晋三を訂正。「安部」になっており失礼しました
●1か月前に新婚旅行でモルディブに行った玲子の報告。「もう昨日の夜は、いろんなところから『危なかったねー』とメールが来ました。モルディブは環礁なので、ようするにサンゴの砂が積もってできた島々が集まった国なのです。点々とある島に各一つずつリゾート(およそ200)があり、首都マーレとリゾート間の交通手段は、その日によって飛ぶ時間がバラバラのエア・タクシーと呼ばれるセスナ機かスピードボート。比較的大きい島である首都が3分の2水没してるということは、リゾートなんてひとたまりもないと思います」
●「実際、私が行っている間は雨季の終わりで、ものすごい台風みたいなものが来たのですが、ロビーなどがある建物は壊れていました。ま、壊れるものは壊れるんだから、壊れたら直せばいいや、という考えのもと、作られている建物でしたね〜。モルディブのリゾートは水上コテージが売り(とくに日本人には人気)なのですが、この建物は人工の浅瀬に作られています。海面3〜4mの高さにあるのですが、海に面して開けていることが売りなので、もし、テレビで言われているような津波が来ていたら、相当被害が出てると思います。そして、もし被害が出てたとして、エアタクシーやボートでどれだけ、救助ができるのか、なぞです…。日本人の被害も増えるような気が…」
●「おそろしいです・・・

12-26
●スマトラ島沖地震で津波被害。玲子はモルディブに新婚旅行にいったんじゃなかったっけ?

12-25
●NHK武蔵パクリ訴訟について私の考え。ダイオキシン報道で最高裁は、みんながテレビを見て「××だ」と思えば、テレビは「××」を伝えていると解すべき、とした。これに従えば、「七人の侍」を見たことのある者ならみんなパクリと思うはずで、パクリはあったと解すべき。だが、いいものはマネされるのだから、騒ぐほどの話ではなく、謝罪で十分。地裁も素直にそんな「常識的な判断」を下せばよいものを、「表現の本質的特徴」「芸術的要素」など持ち出してくるのが気にくわない。先の「女性国際戦犯法廷」問題でドキュメンタリージャパンだけが悪いとしたトンデモ判決同様、裁判官がNHKを特別視しているらしいのも困ったもの
●この手の問題で私がいつも思い出すのは、こんな話。「ブラームスの交響曲第1番を聞いたある人が、当人に『ベートーベンの第9番の旋律と似ていますね』といった。するとブラームス『そんなことはロバでもわかる』」。後期印象派の画家たちが盛んに日本の浮世絵を油絵で描いたが、あれは「表現の本質的特徴」をマネようとしたに決まっている。後から描いた連中はマネだのモネだのゴッホだのロートレックだのだから、「高い芸術的要素はうかがえない」とはいえない。だから何だっていうんですかね。手塚治虫の絵のあるものはディズニーにそっくりだし、ディズニーのライオンキングは手塚にそっくり。でも、そんなのどうでもいいじゃないか、と私は思います。つまり、誰かの創造物を、ただパクッて複製することと、創造行為においてパクることは、(広い意味では著作権の話でも)分けて考えるべきだと思います。地裁判決は、ゴッチャにしてドツボにはまった印象
●エンタテインメント弁護士・内藤篤に「どうよ?」と聞いたら、「非常に関心があるが、見ていない」という。ビデオを探そううとしたが、放懇にもなかった。どなたかお持ちの方いらっしゃいませんか?

12-24
●東大で物理をやってる石川隆から、「25年後に小惑星が衝突? 確率300分の1、NASA」の朝日記事を読んだかと電話あり。「300分の1は、天文学上の数値としてはムチャクチャ高い確率だ」と。2029年4月13日に、300分の1の確率で広島型原爆の約10万倍(1600メガトン級)の爆発を伴う衝突が起こる可能性がある。直径400mならロケットに水爆を積んでブチ込み、もう少し小さくバラすことはできそう。日本国にはできないから、例によってカネだけドーンと出して、アメリカに頼むわけでしょうか
●昨年のNHK大河「武蔵」の冒頭は、誰がどう見ても「七人の侍」のパクリで、しかし何のために命がけで野武士と戦うのか理解不能・説得力ゼロ、おまけに西田敏行だったかが、行きずりの人間らしいのに主人公になぜか極めて重要なことを言い残し、しかもすぐ死ぬというハチャメチャな展開で、正視に耐えない出来でした。そのパクリ問題で東京地裁が盗作を否定。毎日記事によると判決は、「侵害が成立しうるのは、複数の共通点の組み合わせがストーリー展開の重要な役割を担い、見る者(視聴者)が表現の本質的特徴の類似を感じ取る場合。双方の脚本には一定の共通点があるものの、『武蔵』には『七人の侍』のような高邁(こうまい)な人間的テーマや高い芸術的要素はうかがえない」としたそう。つまりNHK大河は黒澤映画と似ている箇所があるが、それはストーリー展開からしてどうでもよい場所で、しかも低次元のクズ作品だから著作権侵害にならないという判決。ドラマ批評としてはその通りでも(その領域まで裁判官が踏み込むことに私は反対)、「表面的に」必要以上に似ていればパクリはパクリだと私は思いますが。実際、NHKも脚本家側も「参考にした」といったん謝罪したわけです(損害賠償の対象になるかどうかは別問題)。それにしても、裁判官にここまでコケにされて「『七人の侍』とは全く異なる作品であるとのNHKの主張が認められた妥当な判決と考える」というNHK広報局も哀れ。裁判で「黒澤映画とは違い、もっと下世話で低レベルの非芸術的なドラマ」とでも主張したのでしょうか。これがテレビ制作者の言葉でないことだけは確かです【この項25日朝に一部加筆修正】

12-23
●天皇誕生日、平成天皇が「これに先立ち、宮内記者会の質問に文書で回答」と共同通信の記事。こういうときだから、というのはわかる(例年は記者会見)。しかし、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて」(日本国憲法第一条)、こういうときだからこそ、文書でなく肉声で語られるべきと思います。先の戦争の終結時には、昭和天皇が「肉声で伝えるしかない」と判断した(ただし、書いたものの朗読をレコード録音して放送)。あのときから60年がたとうとしています。毎月1回くらい映像付きで平成天皇の肉声や対話が流れてもよいはずだ、と私は思います
●文書を読むと相当に突っ込んだ内容で、記者会見よりも本音の肉声が色濃く出ている印象。記者会見なしの文書にも2種類あり、文書だからより肉声に近い場合と、文書だからより肉声から遠い場合があるわけです。前者は報道する価値がおおいにあるが、後者にはあまりありません。離婚芸能人が文書を出すのをマスメディアは盛んに報じますが、あれは後者の例で、多くの場合、文書以上のものを入手しようと努力した形跡がない
●NHKは「風通しの悪い組織」という。私もいいました。しかし、風通しが悪いのは日本全体ですね。風通しの「風」とは、人びとの考えや思いや声がいったりきたりすることです。いうまでもなく、風の通じをよくするのはマスメディア(マスコミ)の仕事。そして本音や肉声から遠い公式文書をいくら流通させても、風通しはよくならない。NHKや役所の一方的な発表をいくら伝えてもダメなのです。卑近な例ではスタートから1年経過した地上デジタル放送。その最大の推進者であるNHKは、都合の悪い不祥事や受信料の問題を隠してきたことが露呈しました。同じようにNHKは(総務省も)、都合の悪い地上デジタル放送の問題を現在でも隠しています。それを明るみに出すのはメディアの仕事です。2011年に風通しがよくなっても後の祭りですから

12-22
●単行本の原稿書き
●21日、田原総一朗と単行本2冊の打ち合わせ、まえがき・あとがきの手配。本題を2時間近くやったあと、北朝鮮問題、NHK問題など小一時間、突っ込んで話しました。19日の特番「NHKに言いたい」については「ただのつるし上げ番組。全然つまらない。NHKについて知らない人ばかり集めた」と。むろん田原には当サイトNHKページ(A4で19枚)のプリントを渡し済み。夜、サン毎から同番組の評価について電話取材。次号に載るでしょう。特番中に紹介された受信契約数3700万弱の数字は、NHKがこれまで公表してきた数字(12月22日現在、NHKサイトに載せている公式数字=10月末38,269,304件)より130万件以上少ないのに、出席者の誰も突っ込まず、NHKも一言も説明しないというトンデモ番組! そのことを指摘する主要新聞・テレビが皆無って、いったい何なのだ? 東京電力(ガスでもなんでもいいが)の契約者数が突然(説明なしに)2か月前より100万減れば、そのことだけで担当取締役はクビ(降格)では? 19日の数字がウソか、これまでの発表(今日なおサイトに載せている!)の数字がウソか、2つに1つで、どっちにしろウソをついたことになるからです
●GALACで「青春18メディア紀行」を連載中の岩本太郎から、19日「NHKに言いたい」を評するメール(注:連載は、カネがない編集部が青春18切符代だけ出すから、九州でも北海道でも行って放送と市民の接点をルポしてくれというすまん企画)。以下に勝手に転載
-----ここから岩本太郎メール-----
●番組を見ながら正直、苛立ちと不快感がこみあげてきました。「いったいこれって何のためにやってる番組なんだ?」って。もちろん、こういう番組をやった価値はあると思うんですよ。我々から見れば今まで「カーテンの向こう側の存在」だった海老沢会長や経営委員の人を引っ張り出しつつ、寄せられてくる視聴者からの声(一定の取捨選択バイアスはかかっていたと思うけど)を引き合いに出しつつ番組を進めるということで、ある程度アジェンダ・セッティング(坂本注:課題設定や問題提起の意)ができた側面があるのは否定しない。ただ、結局「エビジョンイル体制が問題だ。会長は辞任せよ!」って叫んでウサ晴しする側と、「会長が出てきて話すんだから文句ねーだろ?」っていう開き直りの経営陣の「双方向のガス抜き」に終始したんじゃないかな……。
●どうせ「双方向」でやるんならガス抜きじゃなくて「対話」をしなきゃ駄目ですよ。だから番組のタイトルからして間違ってると思うんだけど、「NHKに言いたい」じゃなくて「NHK(の人たち)と(視聴者が)対話しよう」ってのが、今一番求められる態度なんではないかと愚考する次第。
●取りあえず、11月7日の日放労集会に出てみてNHKの労組が一連の問題に対してどんな感じで向き合っているのかってことは(納得できない部分は多いにしても)わかった。で、一昨日の番組を見てトップがどんな態度でいるかってことも(これも納得できない部分がやたら多いけど)わかった。でも、「普通のNHK職員」が何を考えてるかってことは全然外部に伝わってこないし、そういう人たちが視聴者と膝詰めで大っぴらに議論しあう機会が未だにないわけでしょう?
●おそらく現在のNHKの状況からして、あの番組のスタジオに会長と現場職員が一緒に出てきて率直に意見を述べたり、質問に答えたりっていうのは難しいんだろうと思う(坂本さんが日記で紹介されていたように、取材者に対して「俺の所属部署名を書かないでくれ!」なんて言ってるくらいだし)。でも、本来ならあそこでは現場の職員が出てきて語るべきですよ。スタジオの後ろの方にずらり引っ込んで電話番だけやらされてる職員さんの中にも「俺にマイク貸せ!」とヤキモキしてる人が何人かはいたんじゃないか、と思いたいんだけど。
●昔、TBSがオウム問題で矢面に立った時も事後対応のマズさがさんざん指摘されたけど、でも、あの時のTBSだって問題当事者のプロデューサーや関係者を検証番組に引っ張り出して、事件の本質に迫ろうということはやってた。今回のケースでは、例の磯野さんが既にとっ捕まってるわけだから同じようなことはもう無理なんだろうけど、それにしたって、もっと早く動き出していればできたことだろうし、そもそも今ごろになって会長が出てきて紋切り型に答えたところで、いったい何でこんなことが起きたかなんてわかるわけがない。
●パネラーについていえば、今野さんはちょっと浮いちゃってるようにも見えたけど、個人的には一番共感を覚えました。今野さんの「管理志向が強まった。『お前はどんな番組作りたいんだ?』って聞いてくる人がいなくなった」という発言が、もしかしたら結構重要なポイントなのかもなと思ったし、それこそ一般職員や視聴者を混じえた場所で、その辺の掘り下げをしてほしかった。一方で、その他の人たちはというと何か事大主義的というのかな、「天下のNHKがこんなことをすべきではない」とか「不祥事が部長レベルで止まってたのは解せない。普通の会社ではありえない」なんて高みに立った言い方をしてたけど、何を言っておるのか。いま日本のそこら中の組織(それこそ連合や毎日新聞社も含めて)でもこういうことは起こりうるんですよ。組織内にいたら自分だってそういう間違いをやりかねないという自省をせめて持たないと。鳥越さんが「私のやってるラジオ番組ではリスナーの9割が『会長が辞めないと受信料払わない』と言ってた」とか、会長と経世会の関係がどうこうとかって話を持ち出していたけど、あれも(持ち出す意義はないとは思わないけど)あの限られた時間の中で話を持ち出したところで膨らみようがないし、結局鳥越さんによる自分のファン向けのパフォーマンスで終わっちゃっていたような……。
●最後にもう一つへそ曲がりな感想を述べれば、視聴者が「信頼を裏切られた! もう受信料を払いたくない!」なんて盛んに言ってるのを聞きながら「ほんとかよ」なんて思いましたね。っていうか俺、前から受信料払ってないもんだから(笑)。むしろ「NHKへの絶大なる信頼感のもとに受信料を払ってる視聴者なんていうのがこの国にはそんなにいたのか!」って驚いたくらい。いや、皮肉でなしに。もちろん、NHKは批判されるべき。けれども、そんなわけでどうもこの間の批判の大合唱には加わる気がしないんだよな……という、以上は天の邪鬼のぼやきでした。
-----ここまで岩本太郎メール-----

12-21
●今朝の「朝日新聞」にNHK関連でコメントしています(例によって元コメントは電話で小一時間)。午後からサイゾー揖斐編集長と打ち合わせ、田原総一朗・朝日と打ち合わせ取材、田原総一朗・アスコムと打ち合わせ取材
NHK不祥事と「受信料不払い」拡大の経緯(参考リンク付き時系列表)
●サッカー、ドイツ戦で久野明のコメント。「恥ずかしい試合。韓国は3−1でドイツに勝利ですからね。高い入場料を取ってるんだから、選手は恥を知れって感じです」「攻められない日本。唯一、三都主のシュートしか見せ場がなかった……」「最終予選が恐ろしい。北朝鮮だって、簡単に勝てるはずがない。小野伸二が手術で間に合わないし、欧州組の俊輔、中田英は、スケジュール的にしんどい。国内組がもっとがんばらないと」「というより、ジーコの人選に疑問。サイドをえぐれるスピードのある選手、FC東京・石川とかレッズ山田などを試さないと、攻撃パターンがありませんから……残念!」

12-20
北米航空宇宙防衛司令部NORADが24日、衛星やレーダーなどを駆使してトナカイ(ルドルフって名)の赤鼻が出す熱線を探知し、サンタを追跡するそう。ちゃんとその日に来るわけだよね。9月11日に来たりすると、追跡できんことがある。10月頃からEメールで連絡を取り合っている(サンタとNORADが)らしい。米国内ではF-16ファルコンかF-15イーグル、カナダ国内ではCF-18ホーネットがエスコート飛行する予定(その際サンタは減速する

12-19
●午後9時〜11時15分、NHKが不祥事反省番組「NHKに言いたい」放映。時間がないので要点のみ。【1】会長の発言は、「辞任はしない」点のみ極めて具体的だったが、それ以外は「みなさまの声を聞き真摯に反省し努力」という抽象論・精神論に終始。結局、「会長が口先だけで取り繕い、辞任だけはせずに居座る」という趣旨の番組となった。NHKは最後のチャンスに大失敗したように見える。あれでは受信料不払い・保留はさらに増え、NHKは来年5月末(引越シーズン後の受信料支払い者が確定)までに危機的な状況を迎える可能性が大きい(それ以前に現執行部退陣は避けられないが、口座を解約した視聴者は二度と戻らないかも)。【2】パネリストにNHKに詳しい人が入っていないため、職員12000人中8500人が会長辞任を要求、受信料は取りやすいところからしか取っていない、受信料は高すぎる設定だというような事実が出なかった。そのような人を集めたのだから仕方ないが。【3】NHK経営委員会がまったく機能していないお飾り組織であることが露呈した。私なら「仕事は月2回の会議出席。本来なら夏休みの8月にもやった」という出席経営委員に「では、あなたの報酬は年にいくらですか?」と聞く。「NHKの政府からの独立性を担保・維持するために経営委員会がある」という話になって、誰も突っ込まなかったのも笑止。経営委員は首相が任命するのだから、経営委員会が政府与党から独立しているわけがない。【4】NHKの番組だから当然といえば当然だが、視聴者からの声の紹介で「会長は辞任すべき」と「会長辞任より先に後始末、NHK改革」のバランスが妙に取れていた(前者を2通読んだら後者も2通というように)。一見「公平」なようだが、実際に届いた声がたとえば「8対2で辞任要求が多い」としたら、あれはゴマカシ(番組でいっていたことがホントなら、NHKはそういうのを分析・発表するのでしょう)。9時44分頃、メイン画面が会長アップで、画面下の視聴者からの声字幕に「新経営陣の下で〜」と出たとき、字幕を消したのはなんで? わざとか? 「李下に冠を正さず」という言葉を知らないか? 直に冠をかむると痛いから、そこに手ぬぐいでもなんでも当ててかぶれってんじゃないよ。女三階に家なしということは、女が三階にいて降りてくるのが大変だ。【5】録ったVTRを見直す時間がないが、会長が一瞬、不払い「200万」と口走ったような(モゴモゴしていたので100万といった?)。事実なら、来年前半までに不払いが1割に近づくか超えるかするかも。その水準だとNHKの事業計画は狂います
●何いってるかわからない箇所については、志ん生全集CD50枚組を聞くべし

12-18
北朝鮮にきわめて詳しい人(名前は出さないが、金正日と面識があり、朝鮮総連関係者ではない日本人)の話。「北朝鮮が別人の骨を寄こしたことを、普通の国がやることと思うと間違える。北朝鮮は、同時期に死んだ人があれば何人かの遺体をまとめて土葬にする国。葬儀屋に行けば骨壺が手に入るところではない。戦前の日本どころではない、どうしようもなくムチャクチャな国だ。ビジネスでもまともな契約書を作って交わすことができない(それができる人間がいない)。日本が輸入する冷凍エビは、船上海水ボイル・急速冷凍設備を備えた船などないから陸上で冷凍にする。陸揚げまでに時間がかかり痛んだものが含まれることがある。くさっていては困るというと『冷凍エビをほしいというから送った。何の問題がある?』と開き直る。チェチェ思想を正しく唱え、上に忠実な者だけが出世していく国で、後先考えず子どもじみた嘘を平気でつく体制だということを押さえておかなければ。今回の別人の骨も、騙そうと何か仕組んだというよりも、『証拠? じゃあこれ』ときわめて杜撰《ずさん》に出してきた。管理がきわめて悪い共同墓地などを、たぶんこのあたりだろうと掘り出し、念のためよく焼き、手近な(使い回しの)壷に入れたというような可能性がある。骨が違うから生きていると思うのは、ご家族の心情としては痛いほどわかる(坂本注:拉致ではないが、この人も日朝間で身内と離ればなれ)が、政治家や評論家が唱えるべき分析といえるだろうか。遺骨が別人だったことで、『処刑死または病死したが、見つからないから遺骨を出すことができない』というケースを否定できるとは思えない」
あるジャーナリストの話(日本外務省の見方もこれに近いでしょう)。「北朝鮮の外交当局(以下北外務省)と特殊工作機関(軍の一部)は別系統で、特殊工作機関は北外務省にとってもアンタッチャブル。外務省同士で交渉し、北外務省ができる限りのことをするといって、特殊工作機関に要請した。それで出てきたものを、北外務省は信じるほかないはず。戦前の日本で日本外務省が軍部の末端までコントロールできたか、戦後のアメリカで米国務省がCIAの秘密工作をすべて把握できていたかと考えれば、そんなことはありえないのと同じだ。だから、骨が別人だったことでいちばん驚いたのは北朝鮮の外交当局だったかもしれない。さらにいえば、金正日にも把握できない末端での取り繕い策だった可能性がある。もしそうなら、いちばん驚いたのは金正日かもしれない」
●安倍晋三が「考えるのも忌まわしいことだが、遺骨にこだわると、生存者の身体の一部を切り取って焼いて送ってくることすらありえる」という意味の発言をしましたが、まったくその通りです。生存している人物の指や髪の毛を切り(脂肪摘出手術や血液採取などダメージを与えない方法もある)、衣服や木片と一緒に焼けば、死亡しているという証拠を出すことは容易。しかも、北朝鮮は旧ソ連や中国と同様、政府高官などを粛正・処刑するのになんの躊躇《ちゅうちょ》もしない国なのだから、ある人物の骨が必要ならば殺して取るでしょう。それなのに北朝鮮が遺骨すらも提示することができないのは、現時点では、生存・死亡にかかわらず、北朝鮮当局がその人物の所在を掌握していないことを意味するだろうと、私は思います。(生きているとか亡くなっているとかを、推測しているのではありません。生きているとすれば身柄、亡くなっているとすれば遺体や遺骨、そのいずれをも把握できていないだろう、と推測しています)
●繰り返しますが、サダムフセインは、「宮殿に査察団を入れたくない」というだけの実に馬鹿げた理由で、イラク側死者10万以上ともいわれる大戦争を回避しませんでした。逆にいえば、そんなフセインを抹殺するのにイラク人10万を殺す(米兵死者1300人・負傷兵1万人の犠牲も払う)のは、馬鹿げたことです。ブッシュのアメリカの新戦略上は、明日にも平壌空爆が始まって全然おかしくない(注:その新戦略はもちろんおかしい)ですが、それも馬鹿げており得策ではありません。対北朝鮮経済制裁は、北朝鮮と日本のパイプをすべて閉じ、6か国協議をご破算にし、核問題・拉致問題の交渉も(日本が参加するものは)途絶させることを意味します。遺骨問題でそれに踏み切ることは、まったく得策ではないと、私は確信しています

12-17
●鐸木能光(たくき・よしみつ)がasahi.comのコラム「地上波デジタル計画中止は可能か」で、当サイトに言及。ありがたいことです
●単行本原稿書き。午前中、日大授業(年内ラスト。全員ノート持参のこと。ノートを見せない4年生は成績がつかない。←3人いた。単位を落とすと卒業できない者は19日までに連絡せよ)。7時@かわうち、長野朝日放送・木村珠子(朝8時から上司のクビを締めて「落とした」豪傑女。卒業以来5年で完全にオヤジ化!! 長野朝日のみなさんお疲れさまです)、中村玲子(ダンナも)、櫻井恵(さっさと結婚しろ!)、井上千穂、横山由貴で三島鍋(加藤愛からは欠席メールが)。渡部夫妻、遅くまですみません。12時半、新宿経由埼玉タクシー組と別れ、中村夫妻と神楽坂へ。すみれ会の面々(響の女将、花豊の娘、うちの奥さん)と合流し3時半帰宅

12-16
●朝日新聞社会部、向井貴之記者から電話取材。大事件がなければ明日からNHK問題を連載スタートだそう。2月中頃に出る某月刊誌もドカーンとやるそう
●昨日、臼井律郎からこんなメール。「15日の世界のメディアに、日本に関係する重要なニュースが2つ載った。日本の3大紙のWeb見た範囲では、読売がごく小さく載せていた以外は何も見つからない。テレビでは何かやったのか。新聞も、明日には大きく載せる気があるのか」との趣旨。「ひとつは、北朝鮮が、日本が経済封鎖するのなら宣戦布告とみなし”物理的”に報復すると言った話」(BBC N Korea warns Japan on sanctions)。「もうひとつは、中国人従軍慰安婦の賠償請求を、(記事によれば)事実は認定しながら、現在の日本は軍国日本の責任は負わないといって棄却した話。読売によれば請求期限切れで棄却」(The Guardian Wartime Chinese sex slaves lose compensation fight
●「対北朝鮮経済制裁(封鎖?)は、本当に大変な事態なので、いままでの北朝鮮のブラフと一緒にしてのんびりしているのは、ちょっとまずいのでは」と臼井は心配するが、坂本の見るところ、米中ロ韓の4か国が経済制裁に同意しない(6か国協議参加国のうち北朝鮮を除き、日本以外の全構成国が同意しない)ので、経済制裁はやらないし、できない。小泉首相はそういっており、「経済制裁しかない」と拳を振り上げる政治家は、本当にやるべきと思っている者もいれば、やらないのは承知のうえでポーズを取っただけの者もいると思います。いずれにせよ北朝鮮はアメリカだけを恐れており(金正日はフセインだけにはなりたくないと思っており)、アメリカと中国は北朝鮮軟着陸路線で共同歩調を取っている(米中はあと20年や30年は仲良しでいる)。1月20日大統領就任式後、ライス国務長官の出方を見ないと、日本は何もできません。それに北朝鮮は「経済制裁は宣戦布告と見なす」と以前からいっている(そのことと、「北朝鮮憎し」の世論がますます沸騰することを恐れ、メディアは沈黙しているのでしょう)。本当に1発でもミサイルを日本に落とせば、北朝鮮は崩壊すると思う。核兵器をミサイルに載せるほど小型化できていないというのが専門家の見方だが、「貧者の核」こと生物化学兵器を使ったらどうなるか。アメリカは核で反撃すると宣言しています(それを中国も認めるはず)。金正日はフセインになるどころではない、北朝鮮という国が消滅するから、そんな馬鹿なマネはしないでしょう。そのようなアメリカの戦略や、在日米軍の意味や、使う核はグアムにトマホークで何発てなことを全部明かす本(小川和久との共著)が、もうすぐできあがります

12-15
●書き忘れていましたが、GALAC1月号が発売中。表紙は滝沢秀明(坂本が記事を書いています)。単行本原稿以外に、次号GALAC中尾彬(この人は「テレビはバラエティだ(テレビにドラマはいらない)」「さんまや紳助の芸なき芸は大したもの」など、とても核心を突くことをいっておもしろい)原稿、潮市民講座(NEETとは)などを執筆

12-14
●いま出ている「週刊Spa!」「サンデー毎日」がNHK問題を追っており、坂本もコメント。Spa記者からは「取材後、校了にかけて、話を聞いたNHK関係者から『書かないでほしい』『曖昧にしてほしい』という連絡が相次いだ。『××部はもちろん××局もダメ』『記者もダメで職員にしてくれ』と。組合幹部も『実名はやめて、組合関係者か職員Aにしてほしい』と。いってきたのは、集金スタッフなど弱い立場の人でなく、みんなNHK本体の人。しかも、たいした話じゃないと思われる部分について。それでも、NHKを変えるために、外部からどんどん批判をしてほしいらしい。12月4日のフォーラムに現状を変えようとするNHK職員が集まったのには感動したが、かなりがっかり」という趣旨のメール。12000人中8500人が「会長は退陣せよ!!」といっているんじゃないの? 自分だけは絶対匿名、異動なんてもってのほかという安全地帯にいながら、「海老沢勝二会長」と名指しで「辞任」(つまりは異動)を要求するのは、虫がよすぎるのでは? しっかりしなさいよ、NHKの8500人!!
●神楽坂でNHK問題について「サイゾー」(1月18日発売)の取材。畠山志穂。最近出た「できるポケット グーグル&ヤフー!で仕事が100倍速くなる本」の共著者。おめでとう!! もうひとつ、おめでとう!!(敢えてこれ以上はいわん) サイゾー編集長・揖斐憲によろしく。今度ゆっくり飲もうぜ

12-13
●原稿書き。5時〜7時@ANA、田原総一朗、朝日新聞出版局と打ち合わせ。田原の「週刊朝日」連載ギロン堂を本にする件。スケジュールやタイトルなどあれこれ。その他、北朝鮮問題について、学校や子どもたちの問題について議論。「マスコミはつねに安全地帯に身を置いて発言する。それが最大の問題。北朝鮮問題でも、読者や視聴者を恐れ、おもねり、媚びはじめた。危険だ」と田原

12-12
●9日のテレ朝「報道ステーション」が白川勝彦の職務質問事件を扱ったそうで、見ていた教え子から、「警察の偉い人だったオレのポケット調べるって、どういうことだ、バカヤロー!!」って話にしか見えなかった、とメール。彼女の記憶によれば、次のような構成
●古館「元国家公安委員長の白川さんが、とにかく怒ってます」→渋谷の町で出来事再現VTR。白川「こんな風に4人で取り囲まれまして云々」角澤照治アナ他、スタッフが警察官役→元警視庁捜査第一課課長・田宮榮一登場VTR。職務質問でどの程度までが許されてるか、やる。手首をつかむのは説得行為だからOK。体張って止めちゃダメ、任意だから。身体検査でぽんぽん体触る、ポケットの中身を出させるまではOK。ポケットの中に手を入れちゃダメ。→渋谷で職務質問されたことある人アンケート→再び、白川激怒コメント。渋谷警察に行って「署長に文句言った」という。→古館「こういう日本は怖いですねー」的なコメント
●「手首をつかむ」くらいは認められるというのは、相手が逃げ出そうとする場合だけ。おとなしく職務質問に答えようとしているのに警官がいきなり手首をつかんだら、説得行為でなく拘束行為だから基本的人権の侵害(憲法違反)で、それは警官による犯罪です。世の中には両手首のない人だっているのだから、「手首をつかむのはいい」なんて法律に書いてあるはずもない。白昼堂々街中で警察官が「身体検査でぽんぽん体触る」のも、相手が女性ならセクハラか痴漢行為であって、OKなわけがない。警察OBのいうことなら100%信じてよいと思うのは、大きな間違い。番組が万一、以上のような注釈なしに警察OBの一方的な解釈だけを流したのだとすれば、とんでもない話(直接見ていないのでこれ以上いわないが、再取材のうえ「これでいいのか、警察国家」とでも題した特集を流すべきかも)。弁護士・河原崎弘の解説が参考になります
国境なき医師団JAPAN副会長・理事・外科医の臼井律郎から「日本の、北朝鮮に対する食料援助についてちょっとだけ」メール。以下、そのまま転載。なお国境なき医師団は1999年度ノーベル平和賞を受賞
●「日本は、2000年に、何とか北朝鮮と対話を再開したい一心で10万トンの米を送り、さらに同じ年の10月には、WFP(国連世界食糧計画)があと20万トンだけ必要といっているのに、何を考えたか50万トンの米を送っています。しかしこの戦術はそのときは機能せず、2001年には北朝鮮のスパイ船沈没事件を機に、WFPからの再三の要請にも関わらず、日本政府は“人道支援”を打ち切っています」
●「ところで、北朝鮮ではすべての外国人が厳重な監視下におかれ、WFPでさえ実際にどのくらいの人が飢えていて、どのくらいの食料が必要か、援助が入って状況がどのくらい改善したか、ぜんぜん把握していません。出る数字は全部、北朝鮮側からのものか、非常におおざっぱな推定です」
●「脱出者からの多くの証言によれば、国際援助が必要とする人に届いたことは一回もなく、彼らはそんな援助のことは見たことも聞いたこともなく、わずかに少数がブラックマーケットでそれらしきものを見たことがあると証言しています。また、国際機関の視察が入る直前に、大量の食料が軍の施設から子供の保護施設などに移されたり、視察用に飢えた子供がつれて来られたり、言い訳に調理場が作られたりしています(一回も使われていない出来立てのピカピカの調理場で、“ここで調理しています”という説明がされるなど。でも食器もない)。つまり、日本が“人道支援”の名で送っている食料は、政府や軍の高官への贈り物で、必要な人には一切渡っていないことを、日本政府は重々承知していると思います
●「日本やアメリカが、政治的カードとして食糧支援を使っているあいだに、北朝鮮では毎年数万人単位の餓死者が出ています。日本政府は、北朝鮮の政治家や軍人を太らせたり締め上げたりするカードとして食糧援助を使い、同時に何万人もの人たちを見殺しにすることを、信念を持ってやっているのだと思います。北朝鮮が、日本人に対して非人道的なことをするのは絶対許せないが、相手が北朝鮮人民なら一向にかまわず、日本政府はそれをする犯罪者が太るために、平気で余分な30万トンの米をくれてやるというわけです。大変人道的な政府ですね。何しろ、ファルージャ攻撃を最初に支持した国ですから」

12-11
 ご注意!!  新宿区にお住まいで、小学生のお子さんがいらっしゃる方へ 本日、牛込地区のある小学校で「児童の自宅に児童宛ての代金引き替え小包を届け、料金を詐取しようとする事件が発生。母親が受け取りを拒否したため未遂に。ほかに同様事犯の連絡が6件あるとのこと。くれぐれもご注意ください
●「暴論かもしれないが、一度自衛隊に入って、サマワみたいなところに行って、緊張感をもって地元に感謝されながら活動したら3か月で瞬く間に(人間性が)変わるという考え方もある」と自民・狂牛幹事長。暴論かもしれないが、まず国会議員の息子や娘をバクダッドやファルージャに送って、緊張感をもって地元に感謝されないまま活動させたら、(議員連中の考えが)変わるという提案もある(いま提案した)
●対北朝鮮の「経済制裁」という言葉だけが独り歩きし、「経済制裁」と「経済封鎖」をゴッチャにしている人も少なくないようです。メディアは経済制裁のメニューは何か(改正外為法、特定船舶入港禁止特別措置法の発動なんて書くだけでは伝わらない!!)、経済封鎖とどう違うのかを、わかりやすく伝えなければ
●私たちが食べたエビや松茸、夏に使ったバーベキューの炭、量販店で買ったスーツやコートなどは北朝鮮から来たかもしれず、私たちが軽トラ回収業者に出したバイクや家電、処分した車や古タイヤ、大負けしたパチンコ代、うまかった焼肉代などはすでに北朝鮮に渡ったかもしれない。衣料品にMIDE IN CHINAと書いてあっても、北朝鮮に下請けさせたものを中国が対日輸出したのかもしれない。ここ何年か、北朝鮮への送金に毎日せっせと1000円くらいずつ拠出した結果と(事実上)なっているパチンコ好きの人が「許せない。経済『封鎖』だ!!」(送金・貿易の全停止?)と叫んだとしたら、マンガでしょう(注:むろん、そんなことになっていないパチンコ店も多数存在します)。日朝貿易(上記品目のほか日本は、機械や車などを輸出、鉱産物・魚介類・農産物などを輸入)で生計を立てる日本人・企業もあるわけです。そういうものと「経済『制裁』」の関係は、もっとていねいに報道する必要があります。なにしろ日本は、「経済制裁」も「経済封鎖」も、昔アメリカにやられたことがある国なので

12-10
●2時〜日本テレビ「ザ・ワイド」でNHK問題についてコメント。昨日30分以上ビデオ収録したものの「ごく」(←書き忘れてた!)一部が放映される見込み
●2時〜フジテレビでNHK問題についてビデオ収録。放送は11日(土)朝の「めざまし土曜日」。「研究書や資料などに囲まれた場所で収録したい」(仕事場に取材に来たい)というから、「悪いけど足の踏み場がない。お台場まで行くから部屋を探してほしい」と。これ以外は、ずーっと原稿書き。日大授業は今日は試験休み、17日は補講あり。4年生はノートを持ってこないと成績がつかないので注意!!(友だちに託すのはOK)
●NHKコールセンター(フリーダイヤル0120-151515)にかかる電話の大半(ある職員の話では昨日受けた10本に9本)が「解約希望」。月曜日から電話本数が激増し、常時、数本の電話が保留で、つながるまでに数分待たされる状態のようです。センターでは「口座引き落としは、いったん停止(支払い方法を訪問に変更)。集金担当者がお詫びにうかがうので、そのときまでに支払いを検討してほしい」と対応(マニュアルがそうなっている)。解約はNHK営業部の対応です。あたり前の話ですが、「壊れたテレビを粗大ゴミに出した」など契約者が受信機の設置をやめた場合は、必ず解約になります。この場合は、解約しないと放送法違反
前代未聞!? 元国家公安委員長・白川勝彦を渋谷署員が4人がかりで「違法な」(弁護士である白川による)職務質問!!

12-09
●自民党筋の情報。永田町で次期NHK会長候補の名が飛び交っています。たとえば某商社会長とか。NHK会長はNHK経営委員会が(12人中9人以上の多数決で)任命し、NHK経営委員は両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命します(経営委員長は委員の互選。次期経営委員長はすでに内定)。以上は放送法の規定ですが、事実上、NHK会長の人事は時の政権が決めています(経営委員は形式的です)から、NHK会長に引導を渡すのは自民党。その検討がすでに始まったわけです
●NHKの東京コールセンターは神奈川県・溝ノ口にあります(手狭になって渋谷から移転)。ここに寄せられる抗議電話は(つながったものだけで)日に2000本というような数に達している模様
●原稿書き。17時から日テレでNHK問題についてビデオ収録。放映は10日午後の「ザ・ワイド」予定とか
●「横田めぐみさんのもの」なる遺骨は別人の骨!! 北朝鮮もバカなことをしでかしたものです。一気に経済制裁論が盛り上がっても当然。ただ、嘘ばかりつくしょうもないクソ餓鬼を叱るのに、「お前は食事抜き。こづかいもやらん」とキリキリ締め上げれば嘘をつくのを止めるか、という問題がある。こっちはガキじゃなくて大人だから、必ずしも「ぶったな。じゃ、1つぶち返す」とやる必要はないわけで。「対話はもう不要。圧力には経済制裁しかない」との主張があるが、むこうはコメが途絶えて50万、100万人が余計に死のうが、あまりこたえないトンデモ国家。経済制裁に踏み切って(小出しに始めて広げていき)効果がないときどうする、という確かな展望が必要。北朝鮮は「経済制裁は宣戦布告と見なす」ので6か国協議の枠組みも崩れるが、それが得策かも考えないと。フセインに「大量破壊兵器がないのに、なぜ国連査察を受け入れなかったんだ?」と聞いたら、「宮殿に入ってこられて、贅沢だの放蕩だのがバレるのがイヤだった」と応えたそう。そんなバカ相手に戦争するのはくだらないでしょう(くだらんが、アメリカは戦争したほうが得だと思った)。北朝鮮もサダム同様くだらない理由でバカをやっている可能性が強いから、バカ相手に強硬手段をとるのは得か損か、考えてからにしたほうがいい。なお、「藪中局長の握手によって横田さんの夫とされる人物の細胞片か汗かを採取。結果は別人」との週刊誌報道があるようですが、帰国直後にある人物(むろん局長と接触のある人物)から私が聞いた話は「日本側一行に警察関係者――科捜研(科学捜査研究所)係官が入っており、その握手(一行全員と握手した)でサンプルを採取した。鑑定中で結果はハッキリしない。結果が出ていて日本政府が伏せているのか、そのデータでは断定できないのかは不明」でした。どちらが正確な話かは知りませんけども

12-08
●昨日の「毎日新聞」朝刊記事。NHK受信料についての坂本の見方が載っています。記事では月額1200円にラクに下げられるといっていますが、本当は取るべきところからちゃんと取れば、NHK受信料は月額900〜1000円でよい!!!(月額2000円払っている人は驚くでしょうが、確かな話です。現在でも1契約あたり平均収納額は月1400円にすぎない。4日フォーラムで「1200円」といったので、記事がその数字になっているだけ)。NTTの電話代(月額)が同じ時間・距離で通話しても、高い人は2000円で平均は1400円で安い人は900円だったらヘンでしょう? ところがNHKの受信料は同じ時間視聴しても、高い人は2000円で平均は1400円で安い人は900円なのです。公的負担金だから、額が違って当然? 冗談じゃない。対価でなく公的負担金だからこそ、全国一律同額でなければならない(自民党はわかっていて――そんなNHKの首ねっこをつかんで制御したいのかもしれないが、公明党、民主党、社民党などは、なぜ黙認しているのでしょうねえ)
●今日の毎日社説は「受信契約の義務規定は改めるべきだ」(放送法改正)と書いています。「受信料を下げるべきだろう」までは賛成だが、最後の2行はマズイ。義務だからこそ、値下げの余地があるわけで。なぜ一気にそこまで飛躍する? と思わざるをえない。受信料が義務でなくなれば、NHKは国営放送になるか民放になるか。いまどき国営放送なんて流行らないから、世界最大規模の民放を新設するのか。そうなれば地上デジタル放送計画は根底から崩壊する(日本の広告費はNHKが民営化してもたいして増えないから、現在の「民放売上高+α」をNHKと民放で分けることになり、全放送局が減収となって、全計画がおじゃんとなる)と、わかって書いているのかしら。最後の2行は、デジタル化と受信料の非義務化が両立すると読めるが、それは無理です
●3時「SPA!」の取材。テーマは「会長退陣が濃厚だが、辞任したとてNHKの問題が解決するのか」だそう。4時、滋賀県スタッフ、田原総一朗と「琵琶湖塾」打ち合わせ
●あるNHK職員からメール。「先日(12月4日)のフォーラムに関しては、犯人捜しが始まりました。誰が、どんな発言したのか、管理職が特定し始めています。おかしな会社になってしまいました。」。そんなくだらん職員イジメに血道を上げていると、本当に見放され、NHKは潰れてしまう。現段階でNHKが認める滞納(不払い含む)は120万契約(約3%)。これが380万(1割)にならないとNHKが本気で反省しないなら、視聴者大衆はバカではないから、そうするかも。組合もいまは「労働条件に関すること」から外れるため会長交代を団交やストの要求項目に入れていないが、380万が滞納すれば給与カットなど労働条件に関わる問題が生じるから、いざとなればストも辞さないはず。まあ、その前に「朝まで生テレビ」がNHK問題をやる(1度やりかけた)。そのとき、NHKの非管理職8500人が「自分たちも悪かった。組合は寝ていた。すみません。しかし、もう手の打ちようがない。助けてほしい」といえば、視聴者大衆の大半は8500人を支持するでしょう。いまの会長と放送総局長ではイメージが悪すぎ、到底もたない。そのとき必要なものは何か? もちろん「古田敦也」です

12-07
●気乗りしないが、馬鹿バカしいデータを誤解して引用するメディアがあると困るので少々。2004年10月末時点でのBSデジタル放送普及世帯は四百数十万以下(主催者側発表の受信件数700万弱から、アナログCATV受信192万はじめ、不良品、在庫、単体チューナーとチューナー内蔵プラズマPDP・液晶テレビの重複[たぶん数十万]を除外する必要があるため)。放送開始から4年だから年100万余の普及ペース。直近1年の増加はPDP・液晶100万とデジタルCATV60万が牽引した。主催者側発表データを引用する方は、PDP・液晶の平均価格、デジタルCATV局の数とサービスエリアをご自分で調べて、それが何を意味するか考えてからにされることを、強くおススメします。たとえば9月17日の朝日新聞記事に「放送開始から3年9カ月で約651万世帯」とあるのは、主催者側発表を鵜呑みにした明らかな間違いです
●PDP・液晶テレビの売れ行き好調を見て「地上デジタル放送はイケる」と勘違いする論者も登場した由。2ちゃんねるが専用スレで原稿流用(使い回し)などを丁寧に報告・批判しているそうです。PDP・大型液晶テレビだけが地上デジタルを牽引しているように見えるのは、この新しいメディアにとって「悪いニュース」に決まっている。詳しくはぎゃらく式放送未来図をご参照ください

12-06
●「毎日新聞」臺記者から電話。明日の朝刊にNHK受信料の話が載ります。TBSラジオ「アクセス」からも電話。今晩10時45分ころから公共放送・NHKのあり方について(SBC信越放送のスタジオにいる田中康夫と)話す予定(ナビゲーターは長峰由紀)。先週末から取材や問い合わせが多いので(原稿を書くヒマが全然ない!!)、先ほど私の最新の見解をサイトにアップ。受信料とは? NHKはだれのもの 50年目の曲がり角 曖昧・受信料をどうする?をぜひお読みください

12-05
●昨日、防衛庁長官がサマワに出発。ありえない映像にシビレました。防衛庁長官といえば、アメリカならばラムズフェルドに当たる人物(一応「格」としては)。それが、盟友ブッシュが「全土が戦闘地域」と見なすイラクのサマワに出発するのに、飛行機便を全世界にむけて堂々と公開!! しかも、農協ツアーのような風采の上がらない格好で、時代遅れのバッグをぶら下げているように見えた。補佐官や国務次官補クラスがアタッシュを持つのは見かけたことがあると思うが、ラムズフェルドがあんなふうに荷物を持つか? それとも隠密行動のつもり? 隠密が記者に囲まれるはずがないとすれば、ただ、ああいうおじさんなわけ? あれで長官が何か事件に巻き込まれたら、出発日を世界にさらして出かけたのだから「自己責任」というのでは?(同じ内閣構成員の外務大臣は、香田証生のイラク入りを「理解不能」と批判したが、あれは「理解できる」のか?) 途中で米軍の護衛を頼むこともあると思うが、その護衛部隊の兵士一人ひとりの命の危険が、黙っていく場合より増大しているという自覚は?(これは自衛隊員についても同じ。明らかに部下の命の危険を増大させている) なんというか、とにかく恥ずかしい。自衛隊のみなさんの恥ずかしさ、いたたまれなさに、心から同情します。あんなのに、シビリアンコントロールされたくないという気持ちは、よくわかる
●朝5時すぎ、あんまり激しく雨が窓を打つので、その音で起きる。うちでは、このまえ最大の死者を出した台風時より、強い風が吹いた
●朝日記事は、出稿(昨夜10時半にはFAXで送ってきた原稿もチェック)したが、紙面の都合でカットになったそう。昼過ぎ、そのように電話あり。失礼しました
●国境なき医師団・臼井律郎からメール。「イギリスGuardian UnlimitedにNaomi Kleinという女傑記者がいるようで(本名かな? 実はアラブ人だったりして。アラブ語がわかるみたい)、11月26日に彼女の記事が載りました。まず、イラク戦争にからめてアメリカ人をさんざん馬鹿にし痛烈に皮肉って、次に、イラクやアフガニスタンでのアメリカの戦争犯罪に話を持っていき、ブッシュ再選でこれが全部無罪になったと書き、さらに今回のファルージャ攻撃では、情報が漏れないよう医者、ジャーナリストやイスラム教の指導者などを排除(Eliminate)した報道管制を批判し、最後に、ケリーが選挙運動中ブッシュ政権の犯した戦争犯罪を(国民感情を考慮して)攻撃しなかったことを責めて、“ケリーからブッシュへの(当選以外の)もうひとつ贈り物は、戦争犯罪を犯しても無罪というお墨付きを与えたことだ”と書いています」「これに駐英アメリカ大使が大人気なく噛みついて、“Eliminateとは何ごとか、記事を撤回するか、さもなくば証拠を示せ”などと手紙を送ったらしく、Naomi Kleinの返事が記事になって載っていました。これが証拠ですと詳細にデータをあげて、アメリカ軍が今回のファルージャ攻撃でいかに情報源をEliminateして報道を抑圧しているかを、アメリカの悪口も交えてコテンパンに書いてます」「記者も新聞も骨があるねえ。少し左だけど、日本でいえば朝日といったところで、結構読まれている新聞と思います。日本の新聞も、アメリカ駐日大使を怒らせて、文句を言われたら、さらに反論するくらいの骨があればねえ。その前に、まず少しは勉強して、対等に戦えるくらいの知識を持ってもらわないと無理だけど」「ファルージャはじめ、イラクで起きていることに関する記事としても秀逸だけど、日本のマスコミに爪のアカでもせんじて飲ませたいという意味でも面白い記事でした」。ご参考:アメリカの「ファルージャの顔」(マルボロ海兵) アメリカ以外の世界での「ファルージャの顔」(たとえば、右側In picturesの上から3番目、Week Twoの3枚目の写真の「遺体にすがる子ども(遺体も子どもも、首があるようには見えない!!)」、10枚目の写真の「片足の赤ん坊」ほか)。アメリカ以外の世界では、イラク戦争のイラク側死者10万といっています。日本人はこの「片足の赤ん坊」の味方では、絶対にない。片足を奪った側の味方であることだけは間違いない。イラク少年の目を治すのにカンパした人も、自分が払った税金で赤ん坊の足を奪った側を支援していることを、断じて忘れるべきではありません
●日放労フォーラム出席者の1人から感想メール。「日放労の辞任要求、何もしないよりいいのは当然ですが、ハタから見れば、経営側と労組がこれまで一緒になってつくってきた『ラクでおいしい職場』を守りたいだけのようにも見えます」「社会保険庁ほどではないでしょうが、おそらくNHKにも非常識な手当てとかがいくつもあるのではないでしょうか(想像ですが)。労組はこの際、積年のウミを全部吐き出して自ら血を流す覚悟がないと、視聴者の共感は得られないでしょう。たとえば、年金への視聴料の充当など、なぜ労組側から『やめましょう』といわないのか不思議です」「しかし、ある意味ではぬるくていい職場だとは思いますね。魂を売ったくらいで一生面倒を見てくれるような組織、きょうび大企業でもそんなにありませんからね。文句をいって地方に飛ばされたとしても、別にクビになるわけでもないし。政治家が息子を入れたがるのも、もっともです。ま、これは皮肉ですが」「確かに、『密告社会』と声をあげた記者には、ある種の覚悟を感じました。ああいう人は貴重ですね。彼が飛ばされるようなら、ホントNHKは終わりです」

12-04
●日放労フォーラムで雪印乳業の社外重役・日和佐信子(消費者団体連絡会前事務局長)は、雪印再生の鍵は「トップ交代。社長1人だけではダメで、経営陣の交代が必要だった。取締役は2回総とっかえした」。トップ独裁、自由にものがいえない雰囲気、縦割りなどの弊害は、NHKと共通(ただ、雪印は製品がバタッと売れなくなって危機とわかるが、半ば税金感覚の受信料で運営するNHKでは危機感が伝わらない)。岐阜県御嵩町町長の柳川喜郎(NHKのOB)は「組合も含めてNHK職員は『沈黙の共謀』をしていた。それはダメだ。声を挙げていこう。海老沢会長は2年後輩だが、人間引き際が肝心。清く辞めるべき」。会場からはあるNHK職員が絞り出すように「やっぱりみんな、地方に飛ばされるのが怖いんですよ。私は地方でもなんとかやれると思うから、こうして発言するが、普通は声をあげないし、この場にも来ない。私がこういったと30分後に経営幹部に伝わる。NHKはそういう密告社会」と発言。私の発言は「巨大組織に腐敗は付き物。必要なのは(1)再発防止=対症療法、(2)体制・構造・土壌の作り替え=根治療法、(3)不祥事以外の問題摘出と改善(たとえば政権与党よりの偏向報道、「安否情報」が象徴するメディア・マスターベーション、地上デジタルの暴走、取りやすいところからしか取らず高すぎる設定の受信料など)=人間ドック入りして徹底検査とリハビリ。これまで組合は寝てた。日放労からNHK労組に改名して再出発したらどうか。職員の4人に3人を占める多数派が封じ込まれて何もできないなら、視聴者を味方につけるべきだ。その鍵は受信料と地上デジタル」など。フォーラムが終わった後、日和佐信子は「報復人事があれほどヒドいとは」と呆れ顔
●明日の「朝日新聞」朝刊にNHK問題でコメント。お読みください
●フォーラム終了後7時半まで、NHK職員10人くらいと話し合う。渋谷シダックスのビルは2〜6階が「レストランカラオケ」。その一室でビールにピザなどつまみながら。大画面薄型モニタにソファ、ワインが何十本も寝かしてあるやけに豪華なカラオケルームと思ったら、「オーナーのプライベートルーム」だそう(7階がシダックス本社)。薄型大画面でNHK7時ニュースを見る。芸能P逮捕を伝えるときに出たNHKの建物映像に、誰かが「これって、中に入れないときに撮る絵だろ。自分の建物の中には入れるんだから、中を撮せっての」。NHK会長の謝罪については、記者会見なし、一方的な言い分のみのタレ流しは、メディア企業として失格だと思います。山一証券が、雪印乳業が、浅田農産が、三菱自動車が、三井物産が、質問を許さない社長の一方的な謝罪ビデオを流しただけで済みましたか? 各社の謝罪会見にNHK記者も出席し、質問し撮影してニュースで放映したのでは? なぜ自分のところだけは一方的な謝罪ビデオで済むと思うのか? 「だから傲慢で反省していないんだ」と思われることに、なぜ気づかないのか? これは異常な経営感覚であると思います
●2〜4時、田原総一朗司会で日放労シンポジウム@渋谷シダックスホール。私もパネリストとして出席。NHKの受信料不払い・保留者が10万を突破。これは理由を明示した数で、黙って解約・不払いの者を含めるとその数倍に達している模様(経営側もそう見ている)。4倍いるとすれば、現段階で50万以上の不払いが発生と見られる。この数が20万を超えれば、実際は100万人かも、という話。これは文字通り危機的状況で、来年の引越シーズンが終わった4月に、意思表示未払い者20万〜60万(推定未払い者100万〜300万)の水準なら、NHK会長の辞任は回避できないと思います。その高いほうの水準(不払い1割に迫る)だと、ハッキリ番組の劣化が起こり、地上デジタル放送その他の将来計画も狂います。0.3%などと楽観できる状況ではない。NHKは「届く声は批判より応援のほうが多い」と公言している。これは0.3%など痛くも痒くもないというも同然。ならば、残りの99.7%が、「不払いは痛くも痒くもないらしい。じゃあ自分も払わないことにしよう」と思うのは、時間の問題でしょう。今日のシンポではその話も出るはず。新聞・雑誌のみなさんには、ぜひ取材をオススメします

12-03
●2〜4時半、神楽坂でNHK社会部記者、報道局制作センターと映像センター所属の制作者2人と打ち合わせ
Asia Times of Hongkongにファルージャの記事「From Guernica to Fallujah」。ブッシュのファルージャ制圧戦をフランコのゲルニカ空爆になぞらえ、ファルージャは大部分廃墟に、推定死者6000人以上、その多くは市民(イラク赤新月社による)、南半分はいまだ未制圧、米軍はナパームガスを使用(これはアルジャジーラ既報)、などと伝えています。教えてくれた友人は「反米感情が強い記事で、割り引いて読む必要があるかも」。そうしてください。ただ、世界の半分がこの記事を信じても、不思議ではない。イラク政府の発表を信じても、死者2000人以上、拘束者1600人以上で、ファルージャ戦直前の武装勢力推定3000人を600人超えているから、数百人の市民・女こどもが死んだ可能性がある。フセインは大量破壊兵器疑惑を払拭することができたのに、それをしなかったから攻撃されても仕方なかった(とアメリカも日本もいう)。アメリカは大量虐殺疑惑を払拭することができるのに、それをしなかったら? アメリカは攻撃されても仕方ないだろうと私は思います(日米の理屈に従えば)。アメリカ最大の支援国である日本が巻き添えを食っても仕方ないでしょう

12-02
●4日14:00〜16:00、NHKの組合・日放労(なぜないのかこれまで不思議だったサイトもオープン!!)のシンポジウム渋谷シダックスホール。司会・田原総一朗、パネリスト柳川喜郎(岐阜県御嵩町町長・元NHK解説委員)、日和佐信子(雪印乳業社外取締役・消費者団体連絡会前事務局長)、長村中(日放労委員長)(登壇はせず)、それに坂本衛。職員を対象としてNHKの今後を考えるシンポジウム(セミナー)だが、報道には公開するそうです(ただし、テレビカメラはご遠慮願いたいとのこと)。日放労はNHK約1万2000人のうち管理職を除く一般職全員約8500人が加入する組合で、11月9日に海老沢勝二会長の辞任要求書を提出済み。前回のシンポジウムについては当欄の11-0711-10をご参照ください
●「サンデー毎日」12月12日号に「日テレ名義株はあの正力サンにも内証だった」の記事。坂本もちょっとコメントしています
●2日、中尾彬GALAC表紙撮影・取材@TADスタジオ。3日、日大授業@江古田。4日、ジャニーズ「ウエストサイドストーリー」舞台稽古@青山劇場。(白波瀬さん申し訳ないです)これ以外は原稿書き
●時間がないが、家にVHSテープが100本ある、アナログ機の消滅が心配だ、という方に一言だけ。そんな人が100万人、大量のテープを前に「これがムダにならないなら、3万円くらい出してもいいんだけどなぁ」と嘆いているとしますね。すると動くかもしれないカネは300億円!! そこで、本当に製造中止になったら「自分でアナログ録再機を製造する会」サイトを立ち上げ、登録者を募る。年金もらっているからタダで手伝うよというメーカーOBなんかも現れる。で、300億円を東南アジアに渡して作らせりゃいい。というか、そのカネがあればメーカーを買えますけど。インターネットで、そういうことが(原理原則として)できる結構な世の中になりつつあるわけです(それにいち早く気づいたからDellはエラい。儲かって当然)。100万人は10万人かもしれず、3万円は2万円かもしれないが、それでも20億円集まって、ポンコツ会社なら経営権を握れる。消費者はメーカーの言いなりじゃない、いざとなったらそんなこともできるんだ、という「強い消費者」になっていただきたいと思います(「かしこい消費者」って言葉はキライ)。「見るテレビから使うテレビへ」といっても、局・メーカー・総務省が決めた使い方以外はできません。しかし、「見るネットから使うネットへ」は誰も使い方を指定してない。当サイトのつまらん御託を読むだけでなく、もっとすごい使い方ができます。なお、以上は「考え方」「心構え」について書いたまで。実際には、世界の大勢《たいせい》はまだアナログだから、サイトを立ち上げる前に「日本のみなさんお困りですか? ご注文はこちら」サイトがアジアにできる。そのさらに前に、20億円稼ごうと思う「良心的な」メーカーが製造を続けるでしょう

12-01
師走!! いよいよ時間がなくなってきましたので、2月までサイト更新が滞ると思いますが、ご了承のほどを
●行きがかり上コピーワンス問題だけ。メールをくれたサイト読者の納得できない心配は、(1)アナログ録画機の今後の需要は?(2011年段階でなくなってしまうのでは?)、(2)AV評論家が「コピーワンスはエアチェックする気をなくさせるのが目的」との放送局側の話を紹介。局は視聴者が録画して楽しむことを認めないのか?、の2点
●(1)について。HDD・DVD録画機への急速な移行はVTRの先細りを示す。しかし、各家庭にはVTRテープが大量にある。テレビ録画テープも、パッケージの映画ビデオも、ビデオカメラで録った子どもの成長ビデオ、旅のビデオ、結婚式ビデオなども。消費者はメーカーに「これを全部、再生不能にするつもりか? ふざけるな!!」といえる。大量のテープの存在を考えると、あと10年やそこらでVHSが消滅するとは思えない。製造社と台数は絞られても、まだまだ存続するはず。消費者(=視聴者)は、メーカーより局より、誰よりもいちばんエラい。「あと20年はVHSビデオを作れ!!」と要求する権利がある。その要求の集まりが「需要」。「誰のお陰で、ハイビジョンやDVDを作れると思っているんだ? うちはお前のところのVHSデッキを3台も買ったぞ」と、メーカーをどやしつければいい。1万人が5万円ずつ出すから作れといえば作るだろうし、日本で作らなければ、中国か韓国か東南アジアのどこかが作るでしょう
●(2)について。放送局の連中のいい加減な言葉に、振り回されないで。私にいわせれば「2011年アナログ停波」は、まったく実現不可能な「たわごと」だが、みんな停波するといっている(できると思ってない大多数も含めて)。そんなもの、いちいち気にしていたら時間のムダ。その発言は、ただの冗談。「名前出していいか」と確認すれば、「待ってくれ」というに決っている。AV評論家が、本当に捨てておけない問題だと思うなら、実名と局名を挙げて徹底的に批判すべきだが、やっていない。相手にする必要はないでしょう
●この読者は、ベータ、VHS、8ミリビデオの順に導入し、ベータや8ミリ(機械が次第に姿を消し、修理もできなくなっていった)からVHSへのダビングをしたことがある。規格が乱立するDVDで同じことが起これば、アナログなら面倒でもコピーできたのに、コピーワンスでコピー不能だから困る、といっています。いまの規格乱立や次世代ディスクは何という状況を見れば、その心配も無理はない。局やメーカーが「コピーワンスでは、その心配はない」と消費者を納得させられなければ、コピーワンスはデジタル放送の逆風となりかねません
●ちょっと自分のことを書けば、最近CSやBSの映画をDVDに録ることが多いですが、これは10〜20年持てばいいと思っています。私は映画の画質でなく内容を見るので、スカパー画質かアナログBS画質で十分。衛星デジタル波は天気が悪けりゃグジャグジャ=ブロックノイズ出まくりだから、お天道様に文句をいえない以上、画質の苦情を誰にいってもムダ。ディスクを踏んづけて割ったら、自分の不注意で100円損した、と思うだけ。バックアップさせない誰かが悪い、とは思わない。そうこうするうちに死ぬ(機械でなく自分が死ぬ)から、どうでもいい。地上アナログ放送は仕事で必要なものを録るだけ(息子や娘は好きなドラマや音楽番組[好きなアーティストの箇所だけ]を録画する程度)。地上デジタル放送が本格化しても同じで、コピーワンスでかまわない。たかがテレビじゃないか、と思います。だって、元首相が、自分の事務所が予約した料亭で「1億円の小切手をもらった」ことを「覚えていないが、記録によるともらったらしい」といったらしいのに、どの面さげていったのか、テレビで見ることができない。30年前の画質でいいから、白黒でいいから、コピー禁止でもいいから見せろと思います(国会が非公開と決めたんだから仕方ない、それは放送局の仕事じゃない、と思いますか? ところが「撮影させろ」「記者を入れさせろ」と要求するのは、言論報道機関の仕事の一つなのです)。テレビは何が映っているかが大事で、どう映っているかはどうでもいい(価格が同じならば、よく映っている製品を選ぶだけ)。だから、まあコピーワンス問題には、あまり興味がないわけです。たいへん申し訳ありませんけれども
●ほかにも何通か、コピーワンスを疑問視する方からメールをもらいました。「なぜ日本人は録画好きか?」という問題提起も。いずれも参考にさせていただき、時間ができたら、当サイトにコピワン・ページを作ります

11-30
●おととい昨日と、デジタル放送のコピーワンス問題に触れましたが、メールをくれたサイト読者は、まだ納得できない点が残るとのこと。メールのやりとりが一段落したら、この欄で書くか、別のページにまとめます
●とりあえずいえるのは、次の3点。(1)テレビ局の「CMスキップはしないでほしい」という希望も、デジタル放送の「コピーワンス」も、どちらも視聴者の録画に関する自由を損ない不便を強いるもので、それを進めるテレビ局はけしからん、と考えている人がいる。(2)その人は、デジタル放送に強く期待し歓迎している熱心な視聴者らしいのに、そう思っている。(3)その人は、地上デジタル放送推進協会はじめコピーワンスを解説するサイトを熱心に調べたうえで、なおそう思っている。――このことを放送局やメーカーは、もっと真剣にとらえたほうがよいと思います。ハイビジョンや地上デジタル放送受信機やHDD/DVDレコーダーをいち早く買い、デジタル放送の強い味方になってくれそうな視聴者に、不信感を抱かせてしまっているわけなので。D-paのQ&Aも、作り直したほうがよいかも。新しいメールには「視聴者がいくら疑問を放送局やコピー制御センターに送っても、いつも一方的なコメントしか返ってこない」とあります
●ってことは、おととい昨日とこの欄で書いたのは、放送局やコピー制御センター(B-CASのことかな)の尻ぬぐいだったわけか。クソ忙しい年末に、洒落にならん。頼むぜ、民放連の××!!(冗談だよ)

11-29
【付記】エンタテインメント弁護士・内藤篤によると、当欄11-28の坂本見解「黄門さまの印籠が出るシーンだけを録画しようが、個人の自由(著作権法違反ではない)」については、「議論としては、著作者人格権侵害になり得る、ということは一応言われている」そうです。「なぜか人格権については、家庭内録画で明示には免責されるとはなっていないから。ときめきメモリアルの改造データの製造販売が人格権侵害とされたのは、それともからんでいる。本来ゲームの改造データでゲームを楽しむのは個人の自由ともいえるが、最高裁はそうした反論を許さなかった。」と。しかし大方の学説では、「改造データのように外で売っているものを使って家の中で遊ぶのはともかくとしても、テレビの録画のように、徹頭徹尾、家の中から出ないような行為は、人格権侵害を惹起しないと考えている。」そう。つまり、それも個人の自由とするのが大方の説だが、議論の余地がないわけではない、というところでしょう。以上、念のため
●昨日の話の追加。「CMスキップと著作権違反の可能性(?)」と「コピーワンス」は、分けて考えたほうがよろしいです。前者については、誰とはいいませんが著作権問題を専門とする弁護士に朝日記事を読ませたところ、(記事が発言を正確に伝えているものだとすれば)「民放連も、何をご乱心、という感じですね。かつてトリミングのできるテレビが発売されて、ときの監督協会の理事長の大島渚が著作者人格権侵害とかいったのも相当にズレていたが、それ以上のズレぶりだわな。ちょっと、こういう意見を公けにする上で、恥ずかしくないの、という感じ。顧問弁護士の意見ももらったうえでのことなんですかぁ、とか聞かれないと思っているのかしら?」との感想。なお民放連サイトの会長定例記者会見ページは、朝日記事とかなり異なっています。どちらが実際の発言に近いか調べる気もないので、ここまでで、この話は終わりです(ネットでは2週間ほど前に話題になったようです。なお、弁護士の「(CMスキップ録画)現行著作権法には違反しないといえそうです」というコメントを見かけましたが、なぜ「違反しません」といわないのか意味不明。200ページある本の必要な箇所10ページだけを私的使用のため複製(コピー)したら「著作権法には違反しないといえそう」なんじゃない。「著作権法上、絶対に違反ではない」のです)
●後者については、いわゆるデジタルハイビジョンが「極めて高画質なデジタル放送」であるため、たとえば「もののけ姫」(先日、日本テレビでやっていましたね)を放送すると各家庭で「高画質もののけ姫ビデオ」を作成でき、その無制限コピーを許すと「もののけ姫ビデオ」は金輪際売れなくなる恐れがあるので、私的録画はデジタル記録媒体に限って「1回だけ可」とさせてくれ、という話。これは、筋は通っていると思います。それで生じる不便の大きなものは、(a)2枚以上のDVDが作成できない(高画質バックアップができない)、(b)現在の録再機では編集が面倒くさい(必要部分だけいいとこ録りして、お気に入りDVDを作ったりするのが面倒)、(c)規格や方式がゴチャゴチャしてよくわからない、などでしょう(いや、こんな問題もあるよ、という方はご教示ください)
●で、以下は著作権法で認められている家庭における「私的使用のための複製」の場合ですが、(a)はチューナーと録画機が2台ずつあればDVDが2枚作成できるから、1枚をバックアップにするなり友だちに渡すなりすりゃいい。現時点でテレビ放送から同じVTR録画テープを2本作成するにはVTRデッキが2台必要(1台に2つついているのは除外)なんだから、DVD2枚作成するのにDVD録画機が2台必要でも文句はないでしょう。各家庭にあるテレビ2〜3台を全部ハイビジョンにするのが「国策」なのだから、チューナーは各家庭に2〜3台あるわけで。低画質バックアップならアナログ録画機を使えばいい。同一のものを5セットほしいというときは、VTRなら2台あればよいのに、チューナー付きDVDは5台必要になりますが、それはもはや「私的使用のための複製」かどうか疑わしい(それでも可能は可能です)。(b)(c)は、コピーワンスを実現するプロセス(具体的には機械)の問題で、不便ならば修正すべきでしょうが、コピーワンスの考え方そのものがダメという理由にはなりません
●問題は、たとえば著作権法で認められている「学校その他の教育機関における複製」の場合です。学校でテレビ放送を利用して教材を作るとき、(a)(b)によって、DVD1枚だと複数の教室で同時に使えないから困る、同じ素材から高学年用DVDと低学年用DVDを作ることもできない、パワーポイントに静止画を貼り付けたいのにできない、といったことが起こります。アナログでできるといっても、「いや、この高精細のお月様の映像を、理科を勉強する子どもたちに大画面で見せたいのだ」といわれれば、教員の気持ちはわかる。これについては、深夜にコピーワンスを外した教材番組を放送する、NHK教育テレビの学校教育番組についてはコピーワンスを外す、などの対応が必要になるかもしれません(放送局はいまは「全デジタル放送にコピーワンスをかける。例外はない」といってますが、そんなのは将来どうにでもなります)。NPOが番組を利用して啓発ビデオを作らせてくれと局に申し出て、著作権者である局が許可しても、DVD1枚しか作れないというようなことも起こるので、これは今後の課題でしょう
●私が何年も前から主張しているのは、そもそも全家庭の全テレビ(小型も含めて)をハイビジョンにするのはものすごく大変で、時間もかかる、それは軽自動車も含めて全乗用車をベンツクラスに買い替えろというようなものだ、ということです。全家庭のクルマをベンツに替える計画が進んでいるなら、「全家庭にそのカネがあるか」を議論をすべきだと思いますが、「いや、ベンツの乗り心地は……」という議論はヒマ人にまかせておけばよい。だから当サイトには、コピーワンスがどうこうというページがないのです

11-28
●この項目は、11-27先に読んでください
●(1)への坂本見解。民放連会長が、広告放送を流す立場から、CMはなるべくカットしてほしくないという「希望」を述べたとすれば、それは当然です。HDD録画がさらに普及し、1週間分の全番組が録画機に入っているような状況になって、ドラマやバラエティを録画で(CMを飛ばして)見ることが一般化すると、広告企業からの収入が減り、民間放送局は甚大な影響を受けかねませんから。もっとも私は、テレビは高画質・高音質なんてどうでもよく「同時共有性」こそがキモだと考えていますから、すぐれた番組ならば必ず放映と同時にCM付きで見られるはずで、あまり心配はないと思っています。ところで、私的録画(私的使用のための複製)は著作権法第30条で認められており、個人が何をどう録画しようと勝手です。メーカーも広告主ですから、自動CMカット録画機を積極的には売ってませんが、手動で編集できる録画機は売っています。それを使って、CMを飛ばして録画しようが、金八ドラマを金八の顔だけすべてカットして録画しようが、黄門さまの印籠が出るシーンだけを録画しようが、【注 11-29の付記を参照】そんなことは著作権法が認める個人の自由です(金八カットの金八ドラマVTRや黄門さま印籠シーン収録DVDを販売すれば、それは私的録画ではないから著作権の侵害)。著作権法が認めていることが、著作権法違反に当たるはずもなく、違反の可能性はゼロ!! 著作権法が認めていることを問題だと思うなら、「著作権法違反の可能性がある」ではなく、「著作権法に不備がある可能性がある」といわなければなりません。なお、デジタル化の進展で著作権法が改正され、私的録画でも権利者の許諾が必要になる可能性がまったくないとはいいませんが、デジタル放送に関してはコピーワンスを認めた(著作権法の規定で機器価格に含む補償金を払っている)以上、新たに録画制限を加える余地はないでしょう。あとたった7年で終了予定のアナログ放送の録画について、著作権法を改正する余地がないことも、いうまでもありません
●(2)への坂本見解。コピーワンス(1回だけ録画可)は、デジタル放送(注:CS除く)からデジタル記録媒体への場合だけです。つまり、地上デジタル放送をDVD(デジタル)で録画するのは1回だけ可で、コピーDVDを1枚しか作れません。しかし、地上デジタル放送をVHS(アナログ)で録画して、コピーテープを100本作ろうが1000本作ろうが、それは禁止されません(コピーテープを1本でも売れば著作権の侵害)。ですから、20xx年にアナログ録画機が一切消滅していれば、「DVDに録画したが、踏んづけて割ってしまった。コピーワンスで替えがない。どうしてくれる?」と文句がいえます。しかし、アナログ録画機がすべて消滅することはない見通しですから、番組の保存は(バックアップも含めて)できます。番組保存が「事実上ほぼ不可能になってしまう」ことは、ありません
●(3)への坂本見解。いまから10年前は、「アナログ放送しかなく、アナログ録画(何回でも録画可)しかない」状況でした。これが、いまから10年後か15年後かわかりませんが、「デジタル放送しかなく、デジタル録画(1回だけ録画可)とアナログ録画(何回でも録画可)とがある」状況になると考えられています。つまり、20〜25年間で、(a)アナログ放送がデジタル放送に変わり、(b)デジタル録画(1回だけ録画可)が追加され、(c)アナログ録画に変わりがないわけです。視聴者の番組保存に関係する変化は、(b)の追加だけですから、別に反対する必要はないでしょう。メーカーが「全アナログ録画機を製造中止にする」と発表すれば、私も「ふざけるな」といいますが、そうはいってないはずです。たとえばディズニーのDVD(1枚2000円以上)にはコピーガードが付いている(コピー不可である)と思いますが、誰もそのことを問題視していませんね。それなのに、テレビ局の番組を録画したDVD(1枚100円くらいで、ソフト代はタダ)だけは2回目以降の録画も可とせよ(コピー不可とするな)という主張は、私には理解しかねます
●なお、以上に書いたことと、2011年以降にそのような時代が問題なく来るかどうかは、まったく別の話(少なくとも予定通りには来ないことは明らか)です。メールをくれたサイト読者のようにコピーワンスに疑問を抱いている視聴者は相当数いるはずですが、それを放置しているのは、デジタル放送への信頼性を損なわせる無責任な話だと思います。また、以上に書いたことと、現在のデジタル録画機(DVDレコーダーやHDDレコーダー)の規格その他がバラバラで混乱していることも、別の話です。デジタル録画機では「HDD録画は1回と数えるが、HDDからDVDなど外部のデジタル記憶媒体に出すときに限り『移動』と見なして2回とは数えない」はずなのに徹底していないとか、DVDにも種類があって大混乱している(録画は可だが再生は不可とか、わけがわからない)とか、HDDからVHSにコピーできない機種がある(両方搭載しているのに)とか、ひどい状況です。放送・家電業界ではデジタル放送とHDD・DVD録再機の統一対応表を作ろうとしたが、あまりにもムチャクチャなため、作成を断念しました。そのようなことも、デジタル放送への信頼性を損なっています。まあ、10年もたてば少しは落ち着くでしょう

11-27
●サイト読者から、次のようなメール。趣旨は「(1)民放連会長の日枝氏が、DVDレコーダーで番組のコマーシャルをカットしたり見たくない場面を飛ばしたりして見ることが著作権法に違反する可能性があると発言。どう思うか? (2)デジタル放送のコピーワンスとアナログ放送廃止で、視聴者が番組を保存することが事実上ほぼ不可能になってしまう。どう思うか? (3)自分は何年先だろうとすべての放送をコピーワンスにすることに絶対反対。どう思うか?」
●民放連会長発言とは、朝日11月12日付記事。見出しは《CMカット機能「著作権法違反も」 日枝・民放連会長》。本文は《日枝久・日本民間放送連盟会長(フジテレビジョン会長)は12日の記者会見で、DVD録画再生機を使ってCMや見たくない場面を飛ばして番組を録画・再生することが、「著作権法に違反する可能性もある」と述べた。電機メーカーなどに何らかの対応を求められないかを検討するため、民放連で研究部会を設けた。》《高性能のDVD録画再生機は、見たくない部分を自在に飛ばす「編集」ができ、CMカットも容易に出来る。日枝会長は「放送は1時間すべてが著作物と考える学者もいる。いろんな問題を含んでいる」と語った。》《十数年前に三菱電機などがCMの自動カット機能付きのビデオ録画再生機を売り出した時も、民放連は販売抑止などを働きかけた。この時は広告主でもあるメーカーがカット機能を手動方式に変えるなどした。》(もとの記事は朝日サイトから消えているので、Googleキャッシュから引用もとの記事はこちら
●坂本の見解は、明日この欄にて。なお、11月23日付け「民間放送」は、ハードディスク(HDD)録画機とCMスキップ問題について、「民放局としては、放送されたものと録画されたものが同一であることを求めたい。録画する際に、機械がCMを自動的に飛ばし、放送内容を変えるのはいかがなものかとの意見もある」との会長発言を伝えており、著作権法違反うんぬんの部分は記載がありません

11-26
●国境なき医師団・臼井律郎からメール。例によってほぼそのまま転載
●「思ったとおりアメリカ軍は、着々とイラクを制圧しているようです。今週くらいから、ファルージャはじめイラク各地で行われている戦闘に関しては、連合軍大本営発表以外の情報が世界中どこを見てもまったく出ていない。エジプトで先進国がイラクの今後を話し合っているのを隠れみのにしながら、現場の情報に関しては、アメリカ軍は厳重な報道管制を敷いているようです。アメリカ兵が、戦闘能力のないゲリラを1人撃ち殺した話が先週BBCに出て、今後一切情報を漏らさない腹を決めたみたいです」「戦前にファルージャの外へ逃げた避難民たちは、帰るのはまだ何週間もあとと言われているみたい。米軍は、武器弾薬の隠し場所の捜索とか苦しい言い訳をしているけど、町の大掃除をしていることは間違いない。かすかに、イギリスのThe Independentに証言記事を見つけました」
●「いまさら戦争を汚いといっても仕方がないけど、汚い」「エイドワーカーもジャーナリストも全部追い払って目撃者をなくし、モスクも病院も民家も平気で攻撃すれば、兵力に雲泥の差があるのだから軍事的に制圧するのはまあ難しくありません。ただし、軍事的にしか制圧できないけど」
●臼井はメールで、ファルージャでの市民の犠牲者数に言及していますが、あくまで推定で、数字が独り歩きすると具合が悪いので、その部分はカットさせてもらいました。イラク政府によれば抵抗勢力側死者(ほとんどイラク人)は2000人以上、拘束者1600人以上。死者は瓦礫の下から出てきた、重傷者が死んだなどで増えるので、さらに増える可能性がある。その2割や3割(数百人以上)が女や子どもを含む何の罪もない市民であっても、全然不思議はありません(臼井のいう数はもっと多い)。ただ、米軍が「疫病の蔓延防止」という理由で遺体処理(焼くか埋めるか)を始めれば(始めているはず)、数などわからない。ファルージャに人びとが戻り「あいつがいない」というのを集計すれば、ある数は出るが、その人を知る人が全員死んだ場合は、数に入らない
一般人の死者数はハッキリしないが、ハッキリしているのは、私たちの国はこの戦争を熱烈に支持している世界で数少ない国の一つであり、軍事的な貢献度では米または米英の次だということです。「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」(憲法第9条)なーんていったって、代わりに武力行使する米軍を助けている。ヤクザの出入りでいえば、直接ドンパチや切った張ったに参加しなくても、一方の組事務所をタダで提供したり、組員を輸送したり、カネや弾薬燃料を渡したりしている。「自分は反戦だ」という人も、税金を納めていれば、そのカネの一部は米軍支援に回る。相手の組からは、敵と見なされて当然です。天皇の戦争責任がどうとか、むかし日本がやった戦争がこうという人も含めて、日本人にはイラク戦争に関する戦争責任があると私は思います。これをお読みのあなたにも、書いている私にも、です。小泉首相には責任があるが自分にはない、なんて言い訳は通用しない

11-25
●単行本の原稿、まとまった時間が取れず毎日少しずつ書いていますが、効率が悪い。各方面ほんとうに申し訳ありません。1時、神楽坂で逢坂巌の取材を受ける。東京大学大学院法学政治学研究科の助手(現代日本政治・メディア政治専攻)で、テレビ政治に関する博士論文を準備中とのこと。3時〜5時、田原総一朗と打ち合わせ。アスコムから4人。田原選集は来年7月刊行開始、「ときどき月刊田原総一朗」は6月第1号発刊予定

11-24
●1時半新潮社。「フォーサイト」編集部・堀口晴正と矢来町のレストラン「ラ・ペ」でランチ(カキフライ)後、神楽坂の喫茶店に移動。放送・テレビの話をえんえん5時まで。来年2月以降、同誌に書かせてもらうことに。なお、アナアナ変換の話も2月に出る「放送レポート」に執筆を予定。某地方の電器商にアナ変作業の下請けが回ってきて、最初1軒500円(国では1軒30000円を想定し、みなさんの携帯電話代から電波利用料を徴収するなど予算措置)というので何それともめたとか、馬鹿な話が伝わってきています
●死者40人の中越地震の被害推定額は約3兆円(新潟県の数字)。死者6000人の阪神・淡路大震災が約10兆円(兵庫県の数字)。土地代含め物価が大きく変動したとは思えず、地震と被害の規模・被災者数などから見ても、新潟が阪神の3分の1に迫るとはどういうことか、という疑問がわきますね。メディアで解説する人を見ませんが。新潟の被害額が相対的に見て大きな理由は、(1)道路、橋、トンネルその他の公共事業にムチャクチャなカネが投じられている(田中角栄のお陰も甚大だが、山間部だから道1本通すにもケタ違いのカネがかかる)、(2)都市より田舎のほうが豊かである(土地代を除けば、家は大きく家財道具も多い)、(3)サラリーマンなど都市生活者は仕事に関する財産を(カネに換算できるかたちでは)持たないが、農家や畜産業者は生産物をはじめとする財産を持っている、などでしょうか。死者1人につき2億円と計算しても、新潟は80億円、阪神は1兆2000億円にしかならないから、被害額というのは人の命でなく、もっぱら物の価値だけを測るわけです
●たとえば、私の持つ仕事に関する財産が地震や火災でダメになっても、大量のノートや書類や古本や使用済みテープ・CD・FDや中古PC・FAX・ワープロや薄汚れた机・本棚といったものが消滅するだけ。むろん私は1億円で買うというヤツが出てきてもおかしくない資料だと思っていますが、被害額を算定すれば、たぶん5万か10万という額でしょう。つまり錦鯉1匹に及ばない。これも「箱モノ主義」というか、この国のかたちは、そうなっています

11-23
●前日に書いた住基ネットの件。取材を考えておられる方など、詳しくは訴訟代理人である「さくら通り法律事務所」の清水勉・弁護士まで。長野県の「本人確認情報保護審議会」の委員でもあります。なお、長野県知事の田中康夫が、現在発売中の「週刊SPA!」で当サイト「すべてを疑え!! MAMO's Site」を紹介してくれています。ありがたいことです

11-22
住基ネット侵入実験の発表中止問題、専門家が総務省を提訴(ITmediaニュース20:17更新)。米国のセキュリティ専門家イジョビ・ヌーワー(SecurityLab Technologiesの最高技術責任者CTO)が19日に総務省を提訴。長野県の依頼で2003年9月〜11月、住基ネット侵入実験を実際に担当。侵入実験に関する発表が総務省の要請で中止を余儀なくされ、言論の自由を侵害されたと主張しています
みちのくはじめの気ままな日記 マスメディア集中排除原則についての言及があります
「迷惑メール」の世界最大の被害者はビル・ゲイツ君で、毎日400万通(CNNサイト)。迷惑メールはインターネット通信の約80%とも。ゲイツ君は、その迷惑メールの全世界流通システムの構築者だから自業自得。だが、マイクロソフトの防止技術により、実際に受信ボックスに届くのは2〜3通って、ちょっと待て。私のところなど日に数十通きて9割方ゴミ箱に入るが、残りは手作業で削除する。ビル・ゲイツ君一派には、ここ10年くらいで10万円やそこら渡してあるはず。その防止技術とやら、タダでちょっと分けてくれてもいいのでは?
●「80%」という数字も、わかったようなわからんような。私のところに迷惑メールが来るのは、主としてサイトの全ページにアドレスを載せているせいでしょう。で、日にメールが50通きて、うち40通がゴミであれば、実に迷惑な話とも思える(迷惑率80%)。しかし、たとえば日に500人がサイトを読んでくれていれば、当方からものすごく長いメールを500通出したのと同じだから、私にとっての迷惑率は7%(=40÷550×100)に下がる
●いずれにせよ、インターネット通信の約80%が迷惑メールなら、本来1の容量でまかなえるところ5の通信容量を確保している(そのためのカネをみんなで出し合っている)わけです。ムダもいいところだが、メールは着信しないと迷惑かどうかわからないから、原理的に発信時の規制ができない。メールを大量に出す者の通信料を引き上げるという手はあるが、そもそも経済原則に反するし、それこそMSやNTTが怒り出すのでダメ。テレビ番組規制やCM規制の話と、ちょっと似たところも

11-21
●昨夜、田原総一朗から電話で「朝日新聞のオピニオン欄に書いた。感想を聞かせてくれ」というので、ある人に送ってもらって読み、あれこれ話す。田原が書いたのは「日本の民主主義60年は来年で定年。戦後の解放が行き詰まり、閉塞感と不安を招いている。いまこそ公《おおやけ》を見直すべき。この公は愛国や道徳ではない。それはねじ曲げられた公。個人が主体性を持ちつつ信頼できる人間関係をつくる共存の仕掛けが公だ。それには問題意識の共有が必要で、現状を理解する情報の公開が欠かせない」との趣旨
●坂本の意見は「趣旨には賛同。ただし『公』は使い古された言葉で、誤解を招きやすい。原義は『おおきな家』で、古代いちばんデカい家は天皇の御殿(宮殿)だから、公=朝廷、政府、官となった(つまり、別にねじ曲げられてない)。それを再構築せよという主張はわかるが、『公』という言葉を使わなければダメ? 愛国や道徳とは違う意味と注釈が必要なら、いっそ違う言葉にしたら」。田原「戦後、左は公アレルギー、公タブーだった。一方の右は公=国といい、そちらが勢いを増している。それは違うといいたいから、わざと公の見直しと書いた。違う言葉って?」。坂本「やはり『個人』という言葉を使いたい。徹底した個人の追求とか、真の個人主義のような」。田原「それじゃ、戦後民主主義、戦後個人主義と一緒だ。つまり私権の拡大」。坂本「いや、私権の拡大は一部勢力が他から掠《かす》めとる形でやった。徹底してやってない。個人主義がダメなのではなく、徹底してないからダメだった」。田原「西洋ではパブリック」。坂本「そこです。publicはラテン語のpopulus(人民)やギリシャ語のpallo(ざわめく)と同系統の言葉。民衆が集まってザワザワやってたのが西洋の公。天皇がデカい家に1人静かにいたのが日本の公。まるっきり正反対」てな話。あと、坂本「田原さんは戦後は『解放』だったという。私たちは解放という感覚がない。生まれたときからそうだったから。世代論だが、解放を知る強みというのがある」。田原「そう。強み。というか、それを知るからこそ発言すべきだと思っている」うんぬん。ところで、この記事の見出し「情報開示が”公”育む」は、どうかと思います

11-20
●このところ単行本原稿書きつつ、GALAC滝沢秀明(12月6日発売号表紙)、同MyBestTV、潮オレオレ詐欺原稿など書く。昼過ぎから日芸放送学科99年度マスコミ演習VI生徒・黒川玲子の結婚式@ホテルオークラ。お相手は中村太一。おめでとう!! 新堀俊明・前日大教授(80年代前半のTBS系「JNNニュースコープ」キャスター)と女講釈師・神田京子(二代目神田山陽の最後の弟子)の間の席。神田京子が2人の出生から結婚までをビデオ映像付き講談で語り、バカ受け

11-19
Sorry Everybody(「みんなごめん」サイト)に関する英Guardian記事。反撃する「俺は絶対謝らねえ」サイトや、反撃のそのまた反撃サイトが出現。「謝罪は受け入れた」サイトも(情報提供は臼井律郎)。こういうサイトがあるよ、というのは伝える価値のあるニュースだと思いますが、なぜテレビで紹介しないんでしょうねえ(私が見てないだけだとしたらゴメン)
●日大授業。授業後30分ほど、双方向テレビについて学生(木村建治ほか)の卒業制作ビデオ収録。ところで兼高センセによると「東京23区の複数の区役所から中越地震の救援物資が出発するシーンをテレビで見た。区の名前をデカデカと書いたトラックが出かけるとき、区職員が大勢並んで万歳を叫んでいるんだ。実にいやーな感じがした。区役所もだが、その映像を流したテレビも。天皇家が婚約発表を延期したときに、バンザイ。何なのだろね、一体」。私はその映像は見かけなかったが、夕方の首都圏ニュースなどで流れたという。万歳は「祝福の意を表すため両手をあげて唱える語」(広辞苑)であって、ま、普通はめでたい時にやる。出征兵士を送るときは、お国のために尽くし武勲をあげるめでたい機会なので(戦争そのものもめでたいので)、万歳でいい。救援隊を送るのに万歳は(地震がめでたくないので)、馬鹿です。自分のポケットマネーを出したわけではなかろうし(災害備蓄品は期限切れが大量に出るから、捨てる間際のを送るなら、誉めるような話じゃない)、何もせずに黙って出かけりゃいい。そもそも勤務中なら、列を作って見送るヒマなどないはず

11-18
何日か前に思いついた、どうでもよい提案。今後、立ち小便をして怒られた子どもは、「ボクはおしっこをトイレですることにしている。ボクがおしっこするところはトイレだ。だからこの壁がおじさんの家だとしても、これはトイレなんだ。ボクは悪くない。だって小泉さんも、自衛隊がいるところは非戦闘地域だといってるじゃないか」というようにしたらどうか。高校生が公園でタバコを吸って大人に「お前、未成年じゃないのか?」といわれたら、「タバコは大人しか吸ってはいけない。それを吸っているのだから、私は未成年ではありません。知らないんですか? 日本では自衛隊がいるところは非戦闘地域なんです」というようにする。駐車違反の場合も、お巡りさんに「あなた、日本では車を滅多なところに止めると駐車違反ですよ。私も免許を取ったときに駐車違反は絶対しないと心に誓いました。その私が車を停めたこの場所は、非『駐車禁止』地域に決まっているじゃありませんか。なぜならば日本国の小泉首相は……」
●サンデー毎日11月28日号に「放送に詳しいジャーナリスト、坂本衛氏もこう語る。『対等にわたりあった古舘氏の姿勢を評価したい』」とあるらしい。まだ届かないので読んでいませんが、インターネットで見つけたところによれば。「頑張ってよく食らいついた」「善戦した」「評価する」といったが、「対等」という言葉はちょっとねえ。というのは石原慎太郎がゲストでインタビュアー古舘伊知郎はホスト。第三者が石原と古舘を呼んで対談させた(その場合は対等)わけではなく、もともと対等ではない。もちろん石原を言い負かすのが古舘の仕事ではなく、おだてたり怒らせたりなだめすかしたりして、おもしろいことを引き出すのが仕事。ま、週刊誌記事は「記者のもの」というのが私の考えなので、これ以上はいいませんが。坂本がサンデー毎日に寄せたコメントは11-11の項を参照。【付記】さっき(午後2時すぎ)届いたのを読むと、上記の表現を除き、坂本コメント部分は言った通り(の正確な要約)。そしてコメント部分を全文読めば、普通の意味の対等などと考えていないことはわかる。引用者が「対等」の文字の見える一文だけを抜き書きし、つまりは、為にする紹介をしたわけです
●ちょっとヘンだと思うのは、マスコミはなっちゃいないと盛んにいう者の多くが、誰某《だれそれ》はこういったと引用するマスコミ記事については、その通りだと信じているらしいこと。新聞や週刊誌のコメントは、記事中でほんの何行かでも、30分〜小一時間話しているのが普通。紙・誌面に出る何行かは記者の主観的な要約ですから、念のため。国会答弁なども同様で、記事は手がかりにはなるが、国会会議録で直接確認しなければならない(昔こんなものはなく非常に便利。誤植が目立つのが難)。いつか坂本の新聞コメントを読んだ右翼(恐喝で逮捕歴のある人物の実名)から「今後、出歩くときは気をつけろ」というメールが来たことがある。「ちょっと待て。私の言い分はサイトのここを読んでくれ」と返信したら、「貴殿のことを誤解していたようだ」と返事が来ました(むろん記者はこの件を知らない。その記事は何人かの話をまとめて坂本コメントにしてあったが、他紙が取り上げないテーマで、書いてくれただけありがたいものだった)。私はそういうこともあろうと、自分の考えをダイレクトに伝えるためにこのサイトを開いています
自衛隊を占領軍と規定 イラクのサドル師派(共同通信記事) 綿井健陽サイトにあったこちらもぜひ。共同通信写真班・原田浩司による「サマワへ戻ろう」

11-17
●ラジオ4チャンネルを放送していたミュージックバードがBSデジタル放送から撤退(11月中に放送終了)。4月からCSデジタル放送に移行し、これには新しいチューナーが必要とのこと。BSデジタル放送のラジオが始まる前から立ち行かないとは、4年前のBSデジタル放送1000日1000万台が"絶望的"な10の理由で書いたようにわかっていましたが、新規にチューナーを売ってもそのほうがまだビジネスになるとは……。BSデジタルにはほとんど誰も聴かないラジオがまだ乗っている。地上デジタルラジオも始まった(受信機はゼロで誰も聴かず、しかもテレビと違って現行アナログラジオを停波する計画はない)。モバイル放送も新たに始まった。「電波が足りないからデジタル放送をやる」という総務省と放送局とメーカーは、「誰も見聞きしない放送を流す電波の余裕があるのはなぜか?」について納得できる説明をしなければならない
●11時30分サンデー毎日取材、マスコミ集中排除原則の省令違反が蔓延の件。1〜4時アスコム、「(仮)月刊田原総一朗」打ち合わせ。MSF-Japan(国境なき医師団Japan)副会長の臼井律郎からメール。以下そのまま転載
●ファルージャのことは、これから従軍記者たちが帰るにつれてさまざまに報道されるのでしょうが、すべて後の祭りです。アメリカは、なりふりかまわずやることをやったのでしょう。ジュネーブ条約も国際人権法も、アメリカ人が保護されるとき以外は一切関係ないという、しっかりしたポリシーがあるしっかりした政府だと思います。この戦争は、短期的にみれば多分アメリカの勝ちに決まったと思います。アメリカも苦しいが、ゲリラたちも本当に苦しくなりました。一般のイラク人たちは「もう何でもいいから止めてくれ」だと思います。香田さん級の悲劇が1日に1000回ずつ起こっても、もはや何も感じないくらい感情が麻痺していると思います。アメリカは、選挙登録者数がイラク有権者のたとえ30%でも予定通り選挙をし、無理やり自分たちの正義を主張して、そしてなるべく早く出ていく算段でしょう。もうハリバートンあたりの利権にかまっている余裕はないと思います。しかし、イラクの人たちは絶対忘れないと思います。僕たちが生きているうちに、アメリカ市民が安全に中東を旅行できる日はもう来ないと思います。21世紀のはじめを血で汚した過ちは、何世代もかかって償う以外に方法はありません。これは、日本人も同様です。彼らにすれば日本も共犯です。外国軍の大部分が出ていったあと、イラクが曲がりなりにも国家の体を保てるのか、内戦になるのかはわかりません。地方軍閥の割拠のような今のアフガニスタンに近い状態が、考えられる理想と思います。
●コンドレッツァ・ライスがヒステリックに叫ぶ顔が、いまから想像できます。ケリーでなくブッシュの顔を毎日テレビで見たいと思って投票所へ行ったアメリカ人たちは、ライスの顔も毎日のように見ることになったわけです。ブッシュに負けてほしいと内心一番強く願っていたのは、じつはパウエルではなかったのかと、ちょっと考えてしまいます。彼は、本当はいい人なんだろうね。彼には、無事やめられておめでとうといいたい。
●ところで、ちょっと気が早いのですが、12月1日が何の日かご存知ですか。世界エイズ・デーです。世界中の150人に1人が感染者で、しかも毎年増加の一途をたどっている今、世界中が何とかしようと官民そろってさまざまな行事を組み、この問題を考える日です。去年のこの日、日本の3大紙には世界エイズ・デーも、エイズも、1行も書かれていませんでした。中国国家主席でさえ、エイズ患者のホスピスを慰問し世界に報道されているときに、日本では、エイズの「エ」の字も書かれないようです。たとえ世界がエイズで滅びても、日本だけは生き残ると信じているのでしょう。おめでたいことです。

11-16
●臼井が教えてくれた米学生によるSorry Everybodyサイト。galleryページで、アメリカの連中が世界にむけて「すまん!!」と謝っております。「俺んとこは頑張ったのに」とか「僕はテキサスだから何もできんかった」とか。日本語を学ぶ学生か、「申し訳ありません」と書く者も(「あ」の字がどうもうまく書けない)。世界から「わかった」「あんたが悪いんじゃない」「次がんばって」のメッセージも
●上記サイトのf.a.q.(よくある質問)もおもしろい。「あんたら、アメリカ人であることを恥じているの?――いいえ。あなた、人間であることを恥じてます?」てな具合。こういうものにはユーモアがないと。写真に活字を入れたきれいな画像より、手書きノートなどを掲げた写真のほうが、メッセージ性が強くおもしろいことも改めてわかる。私は中1のとき五線紙のようなノートを渡されABCを練習した覚えがあるが、あんなの全然必要ないこともわかる(「英習字」をやった日本人が書くABCのほうがきれいだが、無意味)

11-15
●昨日も今日も原稿で、他に何もするヒマがない。昨夜遅く田原総一朗から電話があったが、サンプロを見ておらず(朝食中についてたフジに安部幹事長、NHKに町村外相・岡本行夫が出ていたのは顔だけ見たが)。イラク問題などについて話し「イギリスを含めても1年間派遣延長なんて国はないでしょう」というと、「政府は期限を定めずに延長するんじゃないか」「選挙も1月にできるかどうか、わからない」とのご託宣。あと「むこう(ファルージャ)で何が起こっているか、全然わかんない」と。米兵38人死亡、武装勢力1000人死亡はわかったが、民間人の死者は? そもそも武装勢力と民間人の遺体をどう区別する? ハッキリ覆面姿なんてヤツはいいとして「そばに銃が落ちていれば武装勢力」なら、1200人のうち1〜2割が間違えられても不思議はない。民間人300人死亡なんて数字が出ると、ちょっとどうしようもないのでは? それとも「死者は全員武装勢力」と数えるのか? それって「自衛隊がいる場所が非武装地域」と似すぎていないか?

11-14
●13日(土)午後、高田馬場へメガネ(レンズのコーティングが急速にヘタッてきた)を新調に。なにしろメガネを外すと何もできず、店に行くにも付き添いが必要。家人と予定がやっと合った。うまい具合に在庫があり、1時間半ほどイタめし屋で時間を潰すうちにできあがって、二度手間にならずにすむ。行きは地下鉄だが帰りは歩く。途中、かわうちに届け物をすると、まあ一杯というので少々ご馳走に。原稿なかなか難航中

11-13
●読売新聞の保有株(地方局の株式)が「マスメディア集中排除原則」の複数局支配を禁じた「出資規制」に抵触する問題で、朝日新聞と朝日放送でも同様の事実が発覚。月曜発売の「週刊東洋経済」に出ます。調べればもっと出てくるでしょう
●この問題、パーセンテージの多寡《たか》にかかわらず、キー局の地方局支配、独占的な番組供給(←放送法はその契約を禁止)、新聞社から放送局への天下り、新聞社編集トップが放送局社長となる人事慣行の固定、発表報道に集中する横並び報道など、マスメディア集中は排除されていない(形式的な出資比率より、よっぽど問題のマスメディア集中が別にある)という観点から、私たちはあまり触れてこなかった。これは反省点です。放送局は旧郵政省・現総務省に資本構成を報告しているが、密室免許や官僚天下りという馴れ合いの実態を見ればチェックなど期待できず、何かきっかけがないと表面化しません。もっとも「20%超はまずかったので、19.9%に直しました」と是正されても、それで読売が株を持っていた地方局の番組に何か変化が起こるわけではない。じゃあ、20%の上下で区別する意味はなに?という話になる。ルールだから守らなければならないが、守ったからどうってこともない

11-12
●MSF-JAPAN副会長・臼井律郎からのメール(11日夜受信)から、サマワ自衛隊に関する記述を紹介
●昨日の“日本軍駐留1年延長決定”は、世界のメディアでも結構大きく取り上げられていました。イラクの今後がまったく読めない今、1年後のことまで約束した国は日本だけで、肝腎の英米にしてからが1年後には尻尾を巻いて逃げ帰っているかもしれないのに、すごい決断!というニュアンスです。“世界が見えない日本”と、馬鹿にされているのでないことを祈ります。日本軍(これは世界のメディアの表現)についてはその他にもいろいろ書かれていて、ただ、せっかく法律の名前にまで入れた“人道”という言葉は、世界では使ってもらえないようです。イギリスのメディアは、最近は“再建”という枕詞が定番のようです。“基地に閉じこもっている(confined)日本軍”という表現も、最近はよく目にします。フランスのルモンドなどは、最近はいつも“非戦闘ミッション”をしている“日本軍”と書いています。フランス人らしいユーモアのある書き方です。“日本軍”を馬鹿にするのにも、それぞれお国柄が出るようです。
●ゴッホ末裔殺害事件で急速に反アラブ感情が高まっているらしいオランダは、もしかすると気が変わるのかもしれませんが、今の予定ではイラク総選挙が終わったら出ていく気のようです。で、そうなると、一体誰が”日本軍”を守ってくれるのか、ちょっと心配です。アメリカも、いよいよ人手が足りなくて大変のようです。とりあえずは、任期切れのイラク駐留中の2000人だかの任期を2か月延ばして、総選挙までつなぐ腹のようですが、先が見えません。先日も、イギリス軍をバグダッド周辺へ回してくれという話になり、イギリスでは“なぜアメリカ人のためにイギリス人を危険にさらすのか”と、議論になったようです。結局イギリス軍の一部がバグダッドへ入り、早速テロで3人殺されたりしています。アメリカの人に聞いた話ですが、徴兵する話も出ては消えているようで、でもこれは、反対が強くてさすがに強行できないようです。自分の軍歴さえ怪しい人が国のトップでは、一般市民の士気も下がろうというものです。
●オランダ軍にすれば、自分の基地のすぐ周辺へ着弾したロケットの実地検分までしてもらう軍隊を守るのは、自分たちの安全さえ確保しにくい状況では大変だろうと思います。それで“日本軍”の実際の仕事は、ほとんど現地のイラク人に金を渡しているだけで、守っているオランダ人たちは、「外務省の役人3人いればできる仕事をするのに、なぜ500人も来て居座っているの?」と思っていることでしょう。本当は、ヨルダンの首都あたりからでもできる仕事なのでしょう。
●自衛隊派遣のときもそうで、駐留延長の話でもそうですが、政府は「アメリカから要請があったのか」という記者の質問に対して、いつも「ない。日本が独自に決めた」と返答しています。本当なら、一度ペンタゴンにでもちゃんと聞いたほうがいい。実は邪魔だと思われているかもしれません。自分を守れない軍隊500人を守るために、別に本当の軍人500人送るのなら、最初からそんな軍隊はいないほうが楽です。今のイラクは、オミソにかまっていられる状況ではないと思います。日本の一部政治家の自己満足のために、世界中が迷惑しているとしたら、とんだ笑いものです。コイズミくんも親友に電話でもして、本当のところを率直に聞いたらどうでしょうか。(引用ここまで)
●最後の段落については、それは要請はあった。櫛の歯が抜けるように多国籍有志軍が撤退するなか、アメリカは日本軍になんとしてもいてもらいたいでしょう。ブッシュは「逃げ出した」スペイン首相からの再選おめでとう電話を取らなかったそうだから。で、イラク戦争における日本の貢献は極めて大きい(世界最大・最強の第7艦隊を支えているのは日本で、米海軍主力は日本から直接出撃した。燃料も弾薬も大量に日本から送っている。日本は第7艦隊に母港を提供し自衛隊が守っている――土地代はタダなうえ、駐留経費毎年何千億円を負担し、さらに防空・対潜哨戒をしてやっている。そんな国は世界のどこにもない――のだから、サマワの自衛隊を守ってくれといえば、米軍は喜んで守るに決まっています。しかし、米軍に守ってもらうことが得策かどうかは、まったく別の話

11-11
●11月8日テレ朝「報道ステーション」石原慎太郎生出演(古舘伊知郎インタビュー)の件で、サンデー毎日からの電話に応える。石原とメディアの関係を象徴するのはMXテレビが中継する都知事会見で、石原先生の講義を記者たちが謹んで拝聴という趣。たまにあさっての質問して怒られたりしてる。全新聞があれでは困るから、やったのはとりあえずよいこと。まあ、古舘があれこれ食いつこうとしたが、とりつく島がなく軽くあしらわれたとの評価が多いだろうが、別に論争して勝ち負けを決めるのが目的ではない。あれこれ引き出せればそれでよい。たとえば「国歌国旗で座ってるのは生徒の勝手」「北朝鮮は10人+2人は死亡といっていると仄聞《そくぶん》するが、そうだと思う」など、ほかの人間がいわないことを引き出した。政府・外務省も全新聞・全テレビも10人+2人は絶望と判断していると思うが、誰もそうは言ってないのだから、言わせたことは評価する。視聴率や反響はテレ朝広報で聞いてもらえばいいが、おもしろかったし成功だろう。テーマが拡散しすぎ浅いという意見もあろうが、2回目3回目とテーマを絞り込めばいい。たとえば国と地方の問題に絞れば、石原が戦っている国のアホらしさが浮き彫りになるはず。古舘はやはりたいへんなタレント(才人)だ。うんぬん
●今日届いた週刊文春1000人アンケートによれば、225票獲得で見たくないキャスターのダントツトップが古舘伊知郎。しかし、逆にいえば4人中3人までは、古舘ダメといってない。久米宏でも田原総一朗でも話は同じだが、10人中8人から嫌われても、視聴率20%を取る可能性はあるわけで、それでよいのです。必要なのは「大勢が一致してよいという番組」が増えることではなく、できるだけ「他と異なる見方をする番組」が増えて多様化すること。とりわけ報道部門はそう。蓮実一隆、頑張ってくれ
●ファルージャ米軍は航空兵力で街区を集中攻撃した後、海兵隊が建物一棟一棟をチェックする戦法。抵抗勢力・民衆側に米兵死者10人(10日未明段階)とはケタ違いの死者(一説に初日で数百人以上、米CBSによる米軍推定は500〜1000人)が出ている模様。「皆殺し作戦」に近いやり方だと、ファルージャは沈黙させられても、イラク各地で米軍・傀儡政権批判の声が増大する。そうなる恐れは大きい。ところで日本の指導者は、米軍の特定の作戦について「支持する」などといわないほうがいい。米軍の作戦なんて誰も責任が持てないのだから、「虐殺を支持する」といったも同然の結果になりかねない(「広島・長崎への原爆投下を支持」は明らかに「広島・長崎での虐殺を支持」と同義)。「できる限り少ない犠牲で、ファルージャの治安が回復されることを願う。そのための米軍の行動は支持する」といえばいいのに。そう忠告する顧問役は、誰かいないのか(まあ、民主党・岡田克也に「冒頭『総理、あなたは広島・長崎原爆投下を支持しますか?』と聞け。『しない』といえば『無辜の民を殺したから当然ですね。ところでイラクのファルージャで無辜の民が1人も殺されないと、あなたは確証がありますか?』と聞け。たぶん『そんなこと知るか』という意味のことをいうから、『矛盾してるじゃないか』『盟友ブッシュさんに無辜の民を殺すなと注文したのか』『注文できない理由が何かあるのか』といえ」と忠告するヤツもいないわけだが)。これは相手が軍服を着ていない不正規戦なのだから、抵抗勢力側の遺体の前で(持っていた武器は隠して)民衆が泣けば、それは市民を殺したことになる。家族が殺されたのを恨んで銃を取った女・子どもの遺体が出れば、女・子どもを殺したことになる。世界には(イラク全土にもアラブ世界にも)そのように伝わるのです
●思いのほか抵抗が少ないのは、皆殺しが奏功したか、サッサと逃げ出したか――たぶん両方によるのでしょう。それにしても、制圧地域が半分ちょっとの段階で、もともと生死不明・所在不明のザルカウィが早々に遁走という米軍発表はウソくさい。大量破壊兵器はずっと探して見つからないのに「あるはず」といった。「ないと困る」からです。ザルカウィはちょっと探して見つからないのに「逃げた」(未制圧地域にいない)といった。「どこかにいないと困る」からでは? 人質事件をみても48時間で殺す場合もあれば、生かして交渉に使おうとする場合もある。同じザルカウィ組織を名乗っていてもバラバラな印象があり、ザルカウィから断固たる統一指令が出ているとも見えない。テロリスト側も米軍側もザルカウィをわかりやすいシンボルに使っており、実在とは無関係の可能性があるように思えます。ザルカウィが各地を行き来しているかのような報道も見ましたが、各地で混乱が起こる(各地で制圧作戦をする)ことへの予防線として米軍がリークした情報に乗せられたのでしょう。みんな「ザルカウィ容疑者」などともっともらしい言い方をしているが、「すでに死んでいたと後でわかった場合」に備えて予防線を張る(注釈をはさむとか)くらいのことはしてもいい
●イラク情勢を見ていると、戦争を継続するのにもっとも肝心なことの一つは「敵をつくること」だというのがよくわかる。どっちの側でも、それが「敵をやっつけること」の次くらいに重要なので、戦争はなかなか終わらない

11-10
●来ました、メールが。以下に岩本太郎の日放労シンポ(7日)レポート&感想。【↓引用はじめ↓】
●日放労集会ですが、確かになかなか面白かったですね。すっかり様変わりした品川駅東口の、真新しさの残るコクヨホールが会場だったんですけど、これも会場が直前まで決まらなかったためだとか(どうせなら渋谷のNHKホールでやりゃいいのに)。定員270人の会場がほぼ満員で、うちNHK関係者の参加が140人とのことでした。
●冒頭から例の「倫理・行動憲章」への署名の件(服部孝章さんが「拒んだ職員には上司が何度も署名を強要した。しかもそういう話が外部に漏れてこない」と批判)や、1週間前になって「24時間放送」がこの日に設定された件(田原総一朗さんが「NHK職員をこの会に出させないようにしたんだ。言論弾圧だ」と非難)が話題になってましたね。これはすでにあちこちで書かれてるけど。
●ただ、最初に森達也さんが「今回の不祥事には実は興味がない。企業の不祥事は普遍的な問題であり、今のメディア全般に通じる問題だ」と言ってたんだけど、これはまったくその通りだと思いましたね。新聞や週刊誌がここぞとばかりにNHK叩きに走るのには私も違和感があったし、ようするにここ数年、日テレやTBSやテレ朝が叩かれたのと同じ役回りがNHKに回ってきただけだって気もする。もちろん、受信料制度をベースに肥大化するNHKへのやっかみも大いにあるんでしょうが。
●とはいえ、一方ではNHK自身が抱える問題の一端も、今回の集会を通じていくぶん明らかになったような印象もありましたね。
●田原さんや吉岡忍さんが、日放労の長村中さんへ盛んに突っ込みというか時に挑発するような質問をしていたけれど、それに答える長村さんの言葉に滲む当惑やためらいに、参加者の多くは組織が抱える病巣(というと長村さんに申し訳ないけど)を見ていたんじゃないかな。
 吉岡:この問題について、NHK内部の今の空気はどうですか?
 長村:本来こういう時に一番重視しなければならない世間の人々の声へ耳を傾けるのに臆病になっている。組合がこういうことをやろうとしても、局内が「そうだそうだ!」という空気になっていない。
 吉岡:早い話が「日和見してる」ってことですか?
 長村:簡単に言えばそういうことかもしれませんが……。経営に対して態度を決めてもらいたいとは言っている。けれども、これが経営だけでなく自分たちの問題なんだという方向で、執行部としても上手くまとめきれなかった……。
 ――といったやりとりを見るに、特にそんな印象を受けましたね。
●やっぱりNHKっていう組織がどんどん肥大化していく中で、自己中毒というか内輪のタコツボでの秩序維持みたいなことにばかりに思考が凝り固まってしまい、本来一番きちんとメッセージを伝えるべき組織の外の一般市民との感覚的なズレが大きくなってしまっているのではないかな、と。だから組合も職員もこういう時、視聴者の声を見方につける形で経営に対して上手く戦っていくことができないんじゃないかな、と……。
●加えていうなら「信頼を回復するために(公共放送NHKへの提言)」っていう集会タイトルにも少々引っ掛かりを覚えた次第。「信頼を回復する」って、じゃあいったいなんのために信頼を回復するの? 受信料の支払いを拒んだ人から元通りお金が貰えるぐらいに「信頼が回復」すればそれでいいのか?
●「公共放送NHKへの提言」とかって日放労が自分で言うのもなんだかなあ……。これはNHKに限らず民放(こちらも一応公共の放送ですよ)で起きたとしても(事実似たようなことが起きてるけど)大問題ですよ。なのにそんな標題をつけるあたりにも妙なプライドというかエリート意識がまとわりついているような……。
●連合の笹森清さんが「倫理・行動憲章の中には『経営責任』という言葉が一つもない。NHK開局以来の危機ではないか」と言っていたけど、これには同感しますね。どうもNHKの経営陣には、この問題が自らの組織の構造的な問題点から生じたという認識がないのかもしれない。むしろ「ウチの組織の組織の中に不心得者がいて我々に恥をかかせた。やっぱり我々がもっと厳しく、未熟な職員どもの手綱を締めてやらないと」っていうのが経営陣の本音なのかもしれない(田原さんも「結局みんな個人のせいにしてるけど、会社が経費とか締め上げるからああやって現場の職員が裏に走るんだよ」と指摘してましたけど)。
●で、私も休憩中、配られた「質問・意見用紙」に「どうも職員や組合が経営から舐められてるんじゃないか?」ということを書いて提出したら、再会直後に会場係の人から「フリーライターの方からこういう御意見もありました」って読み上げられてしまった(汗)。実名はさらされずに済んだけど。(坂本注:ここで実名はさらされたわけだが)
●まあ、集会の進行についていえば、全体的にパネリスト6人の視座や論点がまちまちだったせいか、話がややとっ散らかりすぎたというきらいはありました。
●本来ならばこの話、
(1)メディアに限らない、一つの企業不祥事としての分析、(2)NHKに限らない、メディア企業における不祥事としての分析、(3)事件の背景にあるNHKという組織の構造的・制度的な問題点、(4)それをきちんと公の場で議論できないNHKの「経営」「労組」「職員」それぞれの問題点、(5)さらにはそんなNHKを取り囲む他のメディアや政治家や有識者や視聴者の問題点、(6)以上を受けて、では具体的にどんな対応策や解決策を講じればよいか
 ――といった具合に論点整理のうえ順序立てて議論したほうがよいと思うんですが、今回はその辺が全部ごっちゃになってしまいましたからねぇ……。
●森さんが「受信料支払い拒否3万1000件という数字が一人歩きしないように、中身のある議論にしていってほしいと思う」みたいなことを言ってましたけど、ほんとにそう思います。どこぞの馬鹿なメディア批評誌のような、アタマの悪い反権力ルサンチマンに訴えて終わりの展開で終わっちゃうのもつまらないし。
●もっとも、NHKの問題をめぐってこういうフォーラムが開かれるのは初めてということだし(私も10年近くライターやっていて初めてだった)、この不祥事を奇貨としてこういう催しが開かれたのは意義あることだったんじゃないかなとは思いましたね。
【↑引用おわり↑】 ずいぶん前ですが、GALAC1999年9月号で「放送局労組よ、どこへいく」という特集を組んだことがあります。「TBS労働組合は死んだ。」という絶対匿名証言などを掲載し、当時の「放送レポート」編集長・太田喜晟が「この企画だけは、うちでもやれない」といっていた。今回、会長辞任要求の記者会見をした岡本直美(日放労中央書記長)も見開き論文「市民との交流や連携が課題」を寄せています。岩本太郎のルポや服部孝章の提言も掲載。興味がおありの方は、放送批評懇談会に在庫の問い合わせを
●5年前に岡本直美が書いていたように、NHK非管理職8500人の視聴者大衆(←「市民」という言葉を、私は好きじゃないので使いません)との交流や連携が、いまもなお最大の課題である、と私は思います。NHK本体が開局以来の危機にあるならば、日放労もまた設立以来の存亡の危機にあるに決まっています。この点は、会長のクビをすげ替えりゃいいという問題ではありません(←念のため、会長への辞任要求が不当だといっているのではありません)。
●たとえば、NHK受信料は事業所のテレビについて放送法の規定通りに取っていませんが、規定通りに徴収すれば、今の月額2000円を月額1500円に値下げできる可能性があると、私は思っています(6年前と古いが「NHKはだれのもの 50年目の曲がり角 曖昧・受信料をどうする」を参照)。視聴者大衆が大切なら、NHKの組合はそのような提言を出すべきだと思いますが、出たとは聞かない。このところNHKニュースの価値判断は狂っていると私は思いますが、NHKの組合が問題視しているという話も聞かない。フォーラム第2弾、第3弾……が必要ではないでしょうか

11-09
●田原総一朗は7日の日放労シンポで「海老沢会長は金正日といい勝負」、会長参考人招致の生中継なしを「傲慢で幼稚だ」、24時間テレビを「職員がシンポに来られないようにした、明らかな言論弾圧」、「理事や経営委員会から海老沢さんに異論を唱える声が出ないと、この組織は危ない」、「局員にも視聴者にも情報開示せよ」などと主張。立教大の服部孝章は、「NHK経営委員会は御用機関」と発言(サンスポその他による)。オジサンたちは元気。若い衆も頑張ってくれ
●MSF-JAPAN副会長の臼井律郎がMSF理事会のML(メーリングリスト)に「アメリカの有権者の48%へ」と題して「世界中のすべての国の首長選挙の歴史の中で、もっとも多くの『No!』をもらった(5500万票)大統領さま、おめでとうございます」と書いたら、フランス人理事らから反応があり、あるフランス人理事は「選挙前にブッシュ支持を言った首長は世界で3人。ウラジミール・プーチンとアリアル・シャロン、……そしてコイズミ・ジュンイチローです」と返信を寄こしたそう。ブレアもハワードも事前には言わなかったわけか。ブッシュ、プーチン、シャロンは実際に世界で武力行使中の軍事大国のトップですが、4人目のコイズミが平和憲法(ボロボロのむしろ旗かもしれないにせよ)を掲げる国のトップというのは、妙といえば妙な話。世界には200近い国があるのに

11-08
サマワで陸自が活動再開 8日ぶり(共同速報)。非常事態宣言で街に出歩く人影も見えなくなったので、さっそく駐屯地から出てきたと。「煙も見えず影もなく テロも起こらず波立たず」――「よーし、出動!!」という勇敢なる自衛官。とっても正直でわかりやすく、微笑ましいとさえ思える我らが日本軍です。しかし、なんか格好悪いというか恥ずかしいというか、聞いてはいけない悪い冗談を聞いてしまったような感じを受けるのは私だけか。「非戦闘地域にいるのに非常事態宣言が出ないと基地から出られない軍隊」って、その存在こそが非常事態といいますかねえ。まだ鎮まずやファルージャは
岩本太郎からのメール15:18受信を無断転載。「先週私が『GALAC』の取材で訪ねた兵庫県豊岡市(台風23号の被災地。でも中越地震後は全国メディアではまるっきり報道されなくなった)でも次のような話を聞きましたよ。」「豊岡市は市域の9割が水に浸かり、中心街でも床上浸水。市内を流れる円山川の堤防が決壊した右岸の住宅地では建物の1階部分が軒並み水没し、水が引くまでの2日間、住民たちは2階からゴムボートなどで外部と連絡を取り合うという惨状。」
●「(私が知り合ったおばちゃんは、その堤防から2キロほど離れたところに住んでたにもかかわらずアパートの1階が水没。2日後に電気が復旧して初めて『堤防が決壊した』ことをテレビで知ったとか)」「建物はおろか乗用車の大半も泥水に浸かって使い物にならなくなり、水害後の怪我人や物資の輸送にもかなり支障をきたしたらしいのですが、そんななかで地元のタクシー会社に残された数少ない走行可能な車両が『取材にやってきた報道陣によってほとんど一日中借り切られてしまい、市民がまったく使えなかった』(前記おばちゃんの証言)とのこと。」
●「しかもその貴重なタクシーを独占した報道陣が何をやってたかといえば、堤防が決壊した現場の対岸の堤防の上にずらりと横並びで陣取るばかりで、待たされたタクシーの運ちゃんたちは横で暇そうに新聞を読んでたそうで・・・。」「『ああいう取材って、どこか一社が代表でやるってわけにいかないのかしら』と前記のおばちゃんも言ってましたが・・・。ともかく、彼女は『報道の人たちがいなくなってほっとした』とも言ってました。」「その後、中越地震が起こってからはテレビ局なんかはほとんどいなくなってしまった(私が行った時点でもほとんど見かけなかった。唯一、NHKの中継車を見たくらい)けど、小泉首相が視察に来た時は上空にヘリとか飛ばしてまた大騒ぎだったみたい。」
●「それにしても被災地を訪ねてみて改めて思ったのですが、マスメディアというやつはひとたび天然災害などでその場の普段の日常が壊れたら最後、まるで機能しなくなるのですね。電気がとまればテレビもラジオもPC(バッテリーで動くものは別として)もタダの箱。新聞も雑誌も当然流通がストップしたらおしまい。携帯電話だって洪水地帯に2日も閉じ込められれば電源も切れて役立たずと化す。その一方で、現場に大挙してやってくる報道陣は上記のようにむしろ現場の足手まといにしかならない。」
●「『テレビ(や他のマスメディア)は災害時に何ができるのか』という話が今度の地震や台風でも盛んに言われてますけど、もしかしたら『何もできない』というのがその答えなんじゃないか(少なくとも災害現場において必要な情報の伝達手段としては)という気さえした次第です。一応その同業者の端くれである自分としては辛い感想ですけど、せめて後は『地域の外の人たちや後世に向けて、現状を伝える』という残された役割を担うしかないんでしょうか・・・。」メールここまで
●「日放労フォーラムの感想も書こうと思いましたが、長くなりそうなのでやめときます(苦笑)。」というが、長くてもいいから送ってくれ。なお、上記メールにある「1社代表取材」について、兼高助教授の知人の新潟医師も「A社は小千谷、B社は山古志、C社は川口町というように分担できないのか」との感想を口にしたそう。談合でメディアを絞ったり振り分けることは、報道の自由の観点からやるべきではないし、そもそも全取材者を網羅する談合など物理的に不可能。誰も振り分けなどしないのに自然「うちはあそこを重点に伝えよう」と分散していくのが理想だが、人と違うことを伝えようとするメディアは少数派、人と同じことを伝えようとするメディアが多数派だから、そうならないわけですね
●CNN10:48記事「米国防総省筋によると、イラク治安部隊の第36奇襲大隊が7日、中部ファルージャ西の病院を奇襲し、占拠した。これをもって、武装勢力の拠点掃討を目的とする米海兵隊とイラク治安部隊による総攻撃は開始したという」「ファルージャの通常人口は約25万人だが、ほとんどが市内を脱出し、現在は約5万人」「海兵隊は、この5万人のうち、市内にたてこもる武装勢力強硬派は約3000人とみている」
●7日付、英Times onlineのファルージャ・レポート。西側の新聞で現地にいるただ1人の記者が、武装勢力側の話などとして「街路に起爆ケーブル、自爆用車両100台以上、国外からの自爆志願兵300人、ヘリ攻撃用地対空ミサイル保有、青酸カリ(シアン化物)を含む毒性化学物質をミサイル先端に装着」と伝えています(ただし、確認はできていないと)。対して、包囲する米軍1万は、すでに交通を遮断。化学兵器に対しては米軍は一切容赦しないから(大規模な使用には核兵器で報復する)、万一本当に青酸カリ弾を撃てば(あるいは撃つ前にも)猛爆・猛砲撃で皆殺し作戦をとるのでは。市街戦は武装勢力側の思うつぼかも
●米軍の劣化ウラン弾を批判するときは、武装集団の青酸カリ弾も批判しないと、もちろん具合が悪い

11-07
●夜、田原総一朗から電話。「今日の日放労シンポジウムはおもしろかった。NHKは組合員を動員させないため、24時間テレビをぶつけてきた。怖がって降りたパネリストもいたようだ」と。バタバタで出席できず、すみません。「いつまで不祥事にこだわっていてもしょうがない。問題はその先のNHKのあり方だと話した。デジタル化に突き進んでどうなるなんてとこまでは、いかなかった」とのこと。テレビ報道は3局くらい来ていたそうだが、放送するかどうか
●13時〜16時30分。NIPPOROフォーラム「信頼を回復するために」〜公共放送NHKへの提言〜@品川・コクヨホール。【パネリスト】笹森清(連合会長)、田原総一朗(ジャーナリスト)、服部孝章(立教大教授)、森達也(映画監督)、長村中(日放労委員長)。日放労はNHKの組合(NHK約1万2000人のうち管理職を除く一般職全員約8500人が加入)で、海老沢勝二会長の辞任を要求する方針を固め、9日に正式決定し辞任要求書を提出する見込み。管理職以外の職員8000人規模の辞任要求は、これはなかなかキツイ
●以下「NHK海老沢会長“辞任要求”に開き直り」とのスポニチ11月5日記事 NHKは今週末の6〜7日にかけて、被災者支援24時間特別番組を急きょ編成したが、日放労は7日にフォーラムの開催を予定。特番は全局態勢の取り組みで、組合員には事実上“禁足令”がかけられた状態。このため「特番による組合つぶし」との指摘も上がっているが、会長は「何の関係もないでしょ。なんで、そういう勘繰りするんですか。NHKの当然の仕事(である特番)をやらない方が責任を問われる」と気色ばんだ。

11-06
三位一体で知事揺さぶりも 自民、急浮上の3選禁止 信じられん低次元の嫌がらせで、ソ連KGB出身のプーチン以下だ。どこが「自由」で「民主」なんだ? 知事が多選辞退を表明したり県議会が知事の3選禁止を決めるのと、国会が全国一律に決めるのは、全然違う話だと思わないのだろうか。戦後60年もたって、なお、地方自治とは何かを理解していないとは……。もう国会議員なんてやめて、みんな田舎に帰れ。21世紀にもなって「地元への利益誘導(つまりは自分への利益誘導)が難しい」なんて嘆いてるんじゃない。国が潰れちまうぞ。愛国心はないのか? あるのは郷土愛と自己愛だけか? 民主党は全国首長を巻き込んで「民主主義と自治を否定する暴挙!」と立ち上がり、愚劣構想を叩き潰せ!!
●原稿書き

11-05
NHK夜7時のニュース、トップに流した字幕が「勇太ちゃん」。弛緩報道も、とうとうここまできたかと、感慨深いものあり。なお、正しくは「優」太
●原稿書きでムチャクチャな状態のなか、日大授業と思いこんで行ったら、ゲー祭とかいうお祭りをやっていやがった。仕方がないから放送学科に顔を出すと、みなさん呆れてました(去年も同じことがあったような……)。しょうがないから兼高研究室に遊びにいき、地震やブッシュ君の話など。兼高助教授の知人で新潟の医師が中越地震ボランティアをしている。その証言によると「おにぎりを配ると、最初に×××(←あえて名は伏せるが東京キー局)が取りにくる。むしゃむしゃ食べたあとで、おにぎり配布シーンの取材を始める。避難所では大顰蹙」だそう。よく「報道陣は、ついでに支援物資の1箱も運べ」という声を聞くが、私はこれには反対です。戦場を取材する報道陣が弾薬や負傷者を運ぶ必要はないのと同じで、災害を取材する報道陣が救援活動を手伝う必要などありません(取材を円滑にするためにやる、余裕があるからやるというのは、もちろん自由ですが)。しかし報道陣は、最低限、自分たちの水と食糧は自前で調達すべき。避難所で余っているものをもらうくらいは、まあ見逃してもよいが、全員に配り終えてからもらわなければ(と、書いているこちらが恥ずかしくなるほど愚か)
●阪神・淡路大震災のあと、最初の3日間で取材の障害となったことを大坂・神戸のテレビ局(8局)にたずねたら、全局が「道路渋滞」と「電話の不通」と答え、6局が「食糧等スタッフの装備不足」を指摘しました。17日に取材クルーを出したラジオ6局では4局が「食糧等スタッフの装備不足」が取材の障害になったと答えています(9年前に書いた阪神・淡路大震災報道の記録)。だから報道車にスタッフの3日分の水と食糧を常備しておくのは常識。車内にスペースがなければ屋根に積めという話
●地震初期の、各地で村が孤立し連絡が取れないとの報道で、なぜ無線を使わないのだろうと不思議に思っていたら、なんと多くの自治体で停電によって防災行政無線が使えなかったそう。自家発電とつなぐ知恵もなく、そもそも自家発電装置のない自治体も1つあったと。あまりにアホらしく論評のしようもありません。機械を買って備えつけ、システムは構築したが、災害時は本来の目的使用に役立たないという「箱モノ行政」の典型。見ているといい、防災無線が使えなかったことで何か責任を取る自治体職員は1人も出てこないでしょうから

11-04
●原稿書き

11-03
Four More Years!! うーん、またこのお方と4年間も……。ブッシュ君再選の決め手は、ビンラディン君のVTR応援演説だったような
共同電「バグダッドの日本大使館は事件発生後、香田さんの身体特徴を記した英文の書類をつくり、米軍当局に捜索を依頼した。(1)身長一七三センチ(2)体重六〇キロ(3)血液O型(4)後頭部にはげた部分『BALD SPOT(ボールド・スポット)』がある(5)腹部に傷あとがある―などの内容だった」。英語ができても、伝えるべきことがわかっていなければ、伝達能力がないという見本。この条件にほぼあてはまる日本人――身長170〜175cm、体重55〜65kg、O型、円形脱毛症か傷によるハゲあり、腹に盲腸その他手術後か傷跡ありという人は何万何十万人いるやら。しかも、写真はなく、服装その他の情報もなく、戦場で血液検査や身体測定はできず、出血量や死後経過時間で体重は変動し(そもそも何か月も一人旅で現体重がなぜ60kgとわかった?)、損傷を受ければハゲ・スポットや腹の傷あとはわからず、米兵は日本人を直に見たことすらないかもしれず――そういうことを、なぜ考えないのか。遺体取り違えを「米軍様」のせいにした開き直り発言はこれ→「ロケット弾が降ってくるかもしれない中、無償で遺体を安置所から空港へ運び、さらに飛行機に乗せてくれると言っている米軍に、本人確認を優先しろなどと言える道理がない」(外務省筋)。では外務省は「本人確認を優先せずに、そこらにころがってる遺体を回収してくれ。たぶん日本人だから」と米軍に頼んだわけだ。だったら、せめて外務省だけは本人確認を優先してもらいたい。家族に電話したり、会見でほぼ間違いないとデマ情報を広げる前に。日本の外務省にロケット弾が降ってくる心配はないんだから、悠々と(のうのうと、と言ったほうがよい?)本人確認を優先できたはず
●それにしても外務省は、「日本は、ロケット弾が降ってくるかもしれない中、タダで何かしてやろうという米軍に、頼み事をいえる道理がない」などと、軽々に発言しないほうがよい。というのは、じゃあ「イラクは、ロケット弾が降ってくるかもしれない中、タダで何かしてやろうというサマワ自衛隊に、頼み事をいえる道理がない」のか、と突っ込まれてしまうからね。サマワの人びとが水をくれ雇ってくれと頼み事するのを、日本外務省が「道理がない」といったらまずかろうが。それは外務省筋が「自衛隊はサマワにいる道理がない」と言ったも同然だから。サマワの人びとの頼みを命がけで聞いている防衛庁・自衛隊は、命がけの米軍には日本の人びとの頼みを言える道理がないと匿名コメントする無責任な外務省に、断固抗議したほうがいい。議会もマスコミも、これを匿名コメントに終わらせるべきではない
●テロリストどもが、香田さん殺害時のビデオ映像をサイトで公開。サイトにはビデオ画像7枚が掲載され、13か所から同じビデオファイルをダウンロードできるようになっています。映像は3分弱で、星条旗の上に座らされた香田さんの背後に黒ずくめの3人が立ち、メッセージを読み上げた後に斬首。生首を掲げ、顔をアップで撮すという極めて残酷な映像です。なお、香田さんは覚悟を決めたのか、取り乱したりせず、静かな最期でした。ここからテロリスト・サイトにリンクするかどうか大変迷いましたが、とりあえずやめておきます(報道が自主規制されすぎてよくないと判断すれば、リンクするかもしれません)。香田証生さんのご冥福を祈ります。テロリストどもの許し難い残虐非道な行為に抗議します。報道によれば、テロリストどもは「東京が身代金数百万ドル(数億円)を提示」と主張しています(報道によればサイトにそう書いてあるようだが、アラビア文字なので読めない)
●共同速報「細田博之官房長官は2日午後の記者会見で、(中略)香田証生さんのクウェートから福岡空港までの遺体搬送費用について『家族に負担いただくのが原則だと思っている』と述べ、香田さんの遺族に請求する考えを示した。」。ところで、日本政府は遺族に遺体取り違えの件で謝罪したのか? 最初の遺体でほぼ確実といい、いや別人だったとホッとさせ、翌日別の遺体で本人と確認したのだから、遺族にいらぬ心労をかけたことは確かだろう。その慰謝料・見舞金代わりに、遺体搬送費用くらい出したらどう?

11-02
●うーむ。173cmは、ちっちゃいヤツの肩まで、デカいヤツの胸までしかない。頑張ってくれ、田臥勇太!!
中国前副首相:ブッシュ・ドクトリンを痛烈に批判(毎日記事)。やるもんですね、中国も。首相や自民狂牛幹事長が「ブッシュでないと困る」と、ケリー当選の暁には新政府に不快・不信感を与え、ブッシュ当選の暁には米政府に弱みを見せる(どっちに転んでも必ずマイナスになる)トンデモ発言を口走った日本とは、えらい違い。中国はここ20〜30年はアメリカと事を構えるつもりがないが、裏を食わないようにブッシュ号もケリー号も買って保険をかけた。日本は全財産を投じてブッシュ号一本買い。痛すぎ
●原稿書き。昼、響でアメリカから帰国したフリーライター岩見美江、中島好登と
11/01 イラクで反米勢力が優位 国務長官も認めると米誌 ニューズウィーク1日発売号によれば「イラクで反米武装勢力が多くの角度から見て米軍やイラク治安部隊より優位」「主導権は反対勢力にある」。ケリー応援記事で誇張があるかもしれないと留保のうえで、万一これが確かなら、早晩、もう1度イラク戦争をやり直さなければならない。年内の大規模掃討作戦が失敗すれば、1月国民選挙はまともに実施できず、来年中に傀儡《かいらい》政権の崩壊もありうると思っていたほうがいい。そうなりそうなら自衛隊はオランダ軍と同時期に撤退するしかない。英米軍に守ってもらうのは自殺行為。引き際を誤ると自衛隊に死傷者も出るでしょう(当たりどころが悪ければ、最近撃ち込まれた信管抜きのロケット弾で死者が出ていても不思議はない)。
●阿呆らしく時間の無駄なので書く気も失せますが、やっぱり書いておきます。1日のNHK夜7時ニュース、冒頭のフラッシュは(1)優太ちゃん退院(2)新札発行(3)改正道路交通法(4)魁皇の決意。本編は(1)7時42分まで地震関連(2)新札(3)改正道交法(4)サマワ自衛隊ロケット弾(5)7時54分から数十秒イラク日本人人質事件(6)年賀はがき(7)魁皇の決意。念のため。これは、バクダッドで発見された遺体を10月31日午前10時に日本政府が香田さんと確認したその翌日の、NHKのメインの夜ニュース(1時間番組)ですよ。あまりにも愚かで、受信料を支払っている国民を馬鹿にしています。NHKはニュースの価値判断がムチャクチャに狂っているうえに、恣意的に国民を欺く情報統制をおこなっているのと同然と断言してよいと思います
●長時間取り上げた中越地震ニュースは問題ないかといえば、やっぱり価値判断が狂っています。(1)余震情報(2)土砂崩れ・地滑り規模の国交省調査(3)優太ちゃん退院見通し(4)真優ちゃん遺体搬出作業(5)エコノミー症候群(6)学校再開・閉校中など子どもたちの様子(7)高齢者・介護関連(8)開店できず、観光地に打撃など経済関連(9)自治体合併(10)ライフライン復旧、住宅の手当て、緊急融資など、という順序と内容。(1)はトップでよいが、その次には今晩にも新たな死者が出るかもしれない緊急の問題を持ってくるべきでした――(5)と(7)。(2)は例によって役所の発表した細かい数字(1662か所、7000万立方メートルの土砂)、(3)(4)はもはや緊急性を失った感動の押しつけ
●昨日の記事中の小泉発言に関して。小泉純一郎が「自衛隊の駐留か撤退か」の二元論に問題を単純化して答えていることに注目。これは、テレビの手法そのものです。小泉純一郎の言葉は、いつも非常に短く断片的で、しかもそのままキャッチフレーズに使えるような強く印象的なものですね。これも、テレビの手法そのものです。私は小泉純一郎という人物は、テレビと不即不離の極めて現代的な政治家で、しかも事前に分析などして言葉を選んでいる感じがないから、その意味で天才的な政治家だと思います。世の中の人はみんなテレビを馬鹿にしているが、同時にものすごくテレビを身近に感じ、テレビに身を委《ゆだ》ねていますね。そんな構図も似ています

11-01
●共同「小泉純一郎首相は1日夜(中略)自衛隊を撤退させないと事件直後に言明したことが、人質殺害につながったとの批判に対し『(判断は)正しかった。仮に自衛隊が撤退しますとか、撤退を考えているとか言ったらどうなっていたか、批判する人は考えてもらいたい』と強く反論した」。撤退しますと言ったら、若者は助かっていたかもしれない(むろん、やっぱり殺されていたかもしれない)。それはさておき、首相が自衛隊を断固として撤退させないつもりだったとしても、「ビデオその他の情報を分析中」「拘束グループと接触する道を探る」「交渉が必要になるかもしれず、拘束グループを刺激する発言は控える」などといって時間を稼ぐ作戦はありえたでしょう。テロリストを刺激するリスクを負ってまでも、どうしても直ちにアメリカむけに断固たる姿勢を見せる必要があったとは、考えにくい。アメリカには、盟友ブッシュに直接「この件で自衛隊を撤退させるつもりはないが、当面は救出に注力したい。国内事情を察してくれ。この件は内密に」といえばいい。盟友なんだから「わかった」というのでは。そんな相談もできないほど、日米関係というのは脆《もろ》いのか? ならば日本政府は戦後60年間、何をやっていたのか? 以上のような作戦も検討したが、それは国益に沿わないと判断し敢えて「撤退させない」と言ったのなら、その判断の根拠を教えてもらいたい。さて、ここからが肝心です。記者が「人質殺害につながったとの批判があるが……」と聞くと、冒頭の答えしか返ってこない。だから、記者は「これこれの発言で時間を稼ぐという作戦を選ばなかったのは、どのような理由からですか?」と質問しなければならない。首相が何かいうのをメモしたり録音したりするのが記者なのではない。首相に何を言わせようかと考えて質問するのが記者の役目でしょう
●香田さん家族のメッセージ「支えていただいた多くの方々に、大変なご心労をおかけしましたことを心からおわび申し上げますとともに、お礼と感謝の気持ちでいっぱいです。このようにはなりましたが、イラクの人たちに一日も早く平和が訪れますようお祈りいたしております」。息子が死んだ第一声が「謝罪、御礼、感謝、そしてイラク平和祈念」で、「悲しい」とも「残念だ」ともいえない国、日本。ここは北朝鮮ではないはずだ。日本を、こんな腐った国にしてしまったのは誰だ?
●首相・小泉純一郎「人質を解放できなかったことは残念だ。しかし政府は最善を尽くした」(1日昼)。首相は地震視察中に「テロには屈しない」と吐き捨てるようにいい、外務大臣はまず「(イラク入国は)理解しがたい」と自国民を責め、死後数日の太ったハゲの中年遺体を日本人若者と取り違え、それで最善を尽くした? どこがどう最善? ふざけるのもいい加減にせよ。アメリカが「大量破壊兵器はある」といえば「大量破壊兵器はある」といい、米軍が「死体を見つけた」といえば「死体を見つけた」という。なんなのだ、この政府は?
●明日、東京で緊急シンポジウム「イラク人質殺害事件〜香田さんの死をどう受け止めるのか」。以下、綿井健陽からのメールを転載。【主催者から】イラク戦争の意味を問い返しながら、米国の戦争を支持する日本と日本人の責任について考えるためのシンポジウムを開催いたします。【パネリスト】及川仁(共同通信前バグダッド支局長)、森達也(映画監督)、吉岡達也(ピースボート共同代表)、綿井健陽(ビデオジャーナリスト/アジアプレス)※パネリストは事情により変更する可能性があります。【司会】野中章弘(アジアプレス・ネットワークAPN編集長)【日時】11月2日(火)午後6時30分〜8時30分【場所】日本青年館(3F国際ホール)【会場案内】地図(JR中央・総武線各駅停車 千駄ヶ谷駅より徒歩9分 信濃町駅より徒歩9分、地下鉄銀座線 外苑前駅渋谷寄り3番出口より徒歩7分、地下鉄大江戸線 国立競技場駅A-2出口より徒歩7分)【資料代】500円(当日先着200名まで受付。予約不要)【主催】アジアプレス・ネットワーク(APN)
●メディアのみなさんには、ぜひ取材・紹介をおすすめします。この国にはもっと多様なものの見方が必要です

10-31
●忘れてましたが、月刊民放に書いた「政治的公平」の議論は番組で深めよをup済みでした
●ここ数日で、多くのメディアを巻き込んだ人の生死に関する大誤報が2件(一つは生き埋め母子3人全員無事、もう一つはイラク日本人人質の遺体発見)連続して起こったわけです。とりわけ民放テレビと地方新聞は、通信社への依存度が大きいため、元が間違えると多くのメディアも間違ってしまう。共同通信社は地方紙の社説すら配信する(冒頭に地元の話題などを入れ、結論に独自色を出すなどアレンジするが、大元は配信記事というケースがある――つまり自社の社説を他社に書いてもらう新聞社が存在する)と聞いています。もっとも27日の生き埋め現場報道では、NHKすら早い段階で子ども2人を救出との誤報を流したようでもあり(見ていた日大学生がそう明言。私は直接見ていませんので伝聞にとどめます。万一間違っているのであれば、ご指摘いただければ幸い)、必ずしも通信社依存のせいばかりともいえない。個々の報道現場での検証と、今後の対策が肝心です
●昨日の別人ではない、斬首遺体がバクダッドで発見。AP通信によれば、APTN(APテレビニュース)がVTR撮影、遺体搬送先の病院関係者が「ビデオ映像は記憶している。同一人物だと思う」と証言、警官ヤシン・ハシム氏が「星条旗に包まれ、ジーンズにベージュ色のシャツ」と証言。残念ですが、今度は間違いないかもしれません(午前10時、日本政府は香田さんと確認)
●イラク情勢に関連して、綿井健陽の「誰がイラクから伝えるのか?」。まだの方はご一読を強くおすすめします

10-30
まさかと思っていましたが、NHK夜7時ニュース、トップは「優太ちゃん」!! 1日中、日本人人質殺害のニュースが錯綜し、中越地震では7万人の避難民が寒い夜を過ごすというのに。日本放送協会は、ニュースとは何かという判断が、完全に狂っています。いくら特殊法人だからって、特殊すぎ。なお、香田さんのビデオ映像は報道管制によって放映が止められている模様(多くの局が流さないか、「小泉さん」の音声をカットする自主規制)
●MSF-Japan副会長・臼井律郎からのメール(30日18時20分受信)。「また早とちりでぬか喜びだといけないのですが、今回は誤報でないことを祈って書きます。誤報に基づいた類推で、ご本人やご家族、関係各位の名誉を傷つけ、ご迷惑をおかけしたこと深くお詫びし、前言を撤回させていただきたく存じます。僕の考えが正しければ、今現在生きていてくれれば、まだ希望はあると思います。香田さんは優しい青年のようで、犯人たちのなかにも殺すのは忍びないと考えるものがいるかもしれません。少しでも長引かせれば、たとえば12月ころまで生きていてもらえば、開放の可能性はあると思います。政府としては自衛隊撤退は無理なのでしょうから、少しでも交渉が可能になるように、関係者には言動に最大限の注意を払っていただき、マスコミにも十分注意してもらって、同時に国内に香田さんを救おうという強い世論ができることが必要だと思います。さらに、最大限の誠意を見せることも必要と思います。香田さんの無事のご帰国を心から祈っています。」(引用ここまで)臼井は先のメールを「殺害が事実とすれば」と書いているので、私は撤回する必要はないと思いますが
●共同サイト「【15:52】細田博之官房長官は30日午後、イラクで発見された遺体を香田証生さんのものではないとした理由として(1)歯型(2)虫歯の治療跡(3)頭がはげている(4)死亡推定時刻が違う――ことを挙げた」「【15:38】外務省幹部は30日午後、イラクのバラドで発見された香田証生さんとみられる遺体が既にクウェートに到着していると明らかにした」。何それ? 未明から外務省が「ほぼ間違いない」といってたのは、いったい何を根拠にしていたんだ? 土曜で休みじゃなくて、そもそもガセネタで大騒ぎしていたのか。これは驚きました。ダメだ、こりゃ。もう本気で救出する気もないし、どうでもいいんでしょう、たぶん
●14時半現在、共同通信はじめ主要新聞社サイトをざっと見ましたが、拘束後、瞬間湯沸かし器のように「撤退はしない」「理解しがたい」と反応した総理大臣も外務大臣も、「日本国民の殺害を最大級の言辞をもって非難する」とも「お悔やみを申し上げる」とも言っていないようです。なんたることか? 今日は土曜で休みか? 以下は毎日新聞サイトから。止めた一人の映画監督、四ノ宮浩さん(46)は(中略)「彼はただ観光旅行に行ったように言われているが、全く違う。『どうしたら世界は平和になるんでしょうか』などと語る純粋な若者だった。戦争というものを肌で感じて、そこから平和について考えようとしたのだと思う。行動は無謀だったが、真実を知りたいという姿勢を僕は評価したい」と話した。
●「米軍の情報に完全に振り回されている」外務省幹部は30日昼、こう語り、現地の情報が直接確認できないもどかしさをにじませた。これは読売新聞。そんなにもどかしけりゃ、スンニ・トライアングルに職員を出せ。奥たちの遺体すら引き取りに行かなかった連中が、何いってるんだか。振り回されているのは米軍のせいではなく、外務省が何もしてないせいに決まっているではないか
●MSF-Japan副会長・臼井律郎からのメール(30日10時30分受信)。「香田さん殺害が事実とすれば、残念です。心からご冥福をお祈りし、ご家族に心からの追悼の意を表します。事実とすれば、今回の誘拐は、タイムリミットをすぎてすぐに殺した、たぶん最初の例です。いままでの例では、タイムリミット後にもう一度映像を流したりして要求を繰り返しています。48時間といいながら、実際は何週間もたってから殺されたりしています。今回は初めて、最初のタイムリミット通りに殺害されてしまった。そうなった理由として2つの可能性が考えられます。ひとつは、日本国トップのはっきりした拒絶にあって、誘拐者たちはその時点で殺害を決定した。もうひとつは、犯人たちから日本国首相の発言と、それにともなう殺害決定を伝えられた香田さんがパニックになり、収拾がつかなくなったので、殺害場面のビデオ撮影もあきらめてさっさと殺した。いずれにしても、日本政府はいざというとき自国民を見殺しにする程度ではなく、犯人たちがピストルの引き金を引きやすい状況まで作ってやって、自衛隊派遣を守ったことになります。さぞや本望でしょう。こうした状況を作ることに関わった人たち、尻馬にのったマスコミの人たちも、今後一切、愛国心などという言葉は使わないでいただきたい。」
●【この項目のみ、臼井律郎の31日午前11時30分受信メールを、後から挿入。「一点だけ、香田さんがパニックになったかもしれないという昨日のコメントは訂正させてください。昨朝の時点で、それまでの誘拐犯たちの殺害方法とは異なる遺体の様子が伝えられていたので、そのような可能性を考えたのですが、本日の報道では、香田さんが取り乱したことを示唆するものは何もありません。この点だけ、お詫びして訂正させてください。」先のメールは可能性についての言及ですから、私(坂本)は訂正する必要はないと思いますが】
●昨夜のNHK7時ニュースはすごかった。7時40分頃まで地震続報で埋め尽くし、斬首期限切れで多くの人びとが「どうなった?」と思っているイラク人質事件を後回しに。現時点で首がつながっているかどうか心配な若者のニュースより、みんな何度も見た2日前の2歳児救出映像が先!? ニュースに対する価値判断、テレビ報道を運営する感覚が、完全に壊れています。夕食時に家族で見ていましたが、高校生の息子が「この国にはほかのニュースはねえのか」
●未明、自民党総務会長・久間章生はイラクで発見された遺体について「顔の特徴から香田証生さんに間違いないだろう」との連絡を外務省から受けていると明言。NHK朝ニュースは無視。政府与党からそのような要請があったかどうかは不明ですが、NHKが「できるだけ小さく扱う」という方針なのは確か
●全国民、全マスコミが「自分探しの旅に出よう、何でも見てやろうっていうじゃな〜い。自己責任で、悪いのは君! 残念!! アブムサブ・ザルカウィ斬り!」ってノリでいいのですか。そりゃ彼は不注意だった。馬鹿で軽率な若者で、日本政府にも国民にも大いに迷惑をかけました。しかし、馬鹿さ加減では、アメリカの開戦の理由づけや占領政策の失敗のほうが、はるかに巨大な問題でしょう。ムチャクチャ大きな嘘はバレないか、バレても放置されるというのは、ヒトラーの時代から明らか。ユダヤ人が劣等民族というのは非科学的な真っ赤な嘘だが、その嘘が立派に通用して600万人を殺したわけです。その時代から60年、大量破壊兵器の嘘が立派に通用しました。24歳の若者の馬鹿さ加減を責める前に、私たちには目を向けるべきことがあるのです

10-29
●日大授業。90分のところ60分地震報道の話
●高校生だというサイト読者のN君(とりあえずイニシャルにしておきます)からメール。そのまま転載します
●「今回の事件に関して私もマスコミの扱いの酷さに閉口しました。26日の朝に第一報があり、私は学校の友人の話で知り、帰宅してから早速テレビをつけたのですが、どの局も新潟・母子救出の全く同じ映像を流しているのです。救出は難航していてほとんど動きがないのに、人質事件に関してL字型画面で文字情報を流すことさえしていませんでした。それでも私は仕方がないのだろうと思っていました。」
●「しかし今日になってもその扱いに改善が見られなかったことにはさすがに腹が立ちました。不謹慎を承知の上で申し上げますが、新潟の方は2人死亡・1人生存という一応の結末は出たのです。一方人質事件は生死が定まっておらず(しかも殺される可能性の方が高い)、タイムリミットも迫っているのですから後者の方がどう考えても緊急性としては上だと思うのです。それなのに、どのニュース番組も昨日からの救出ドキュメントや3人の事故前の映像を延々と流し、呑気にこちらの涙を誘おうとしているのです。」
●「人質家族や外務大臣へのインタビューはアルジャジーラに丸投げ。本来は日本のマスコミが率先して行い、救出を望む一般市民の声も交えてアルジャジーラに送るべきではないでしょうか。いずれにせよ、このマスコミの無関心さは犯行グループに加担する形になっていると思います。もはや日本は同じ国民が拉致されても無視するような国になっていってしまうのでしょうか。そんな国が北朝鮮との拉致問題を解決できるのでしょうか。」
●「また仮に香田さんが解放され帰国する際に、再び自己責任論が台頭しそうで怖いです。4月のときもそうですが、本人に自己責任があるかどうかに関係なく、事件のショックでただでさえ憔悴しきっている時に自己責任という本人が傷つく言葉で批判するのは明らかに人権侵害だと思います。どうしてそこを誰も指摘しないのか不思議でなりませんでした。4月の事件の際は国民の半分が公然とその人権侵害を犯したのです。人権思想の根付いていない本当に恐ろしい国だと思います。」(引用ここまで)
●人質にされた若者を「困った奴だ」と思うのはよい(思って当然)。しかし、いつ首を斬られるかわからない当人が「すみませんでした」と謝り悔やんでいるものを、追い打ちをかけるように個人攻撃する外務大臣は、自らの立場をわきまえない困った奴です。外務大臣は社会的な権力者であって、その言動はメディアに乗って全国に伝わる。そのような立場にある者は、24歳の若者の個人的な行動をメディアで批判することがどんな社会的影響を与えるか自覚が必要であり、思ったことでもすぐには口にしない自制が必要です。私の場合は、この外務大臣が「このようなテロは許し難い。日本政府・外務省は断固として抗議する。テロリストは人質をただちに解放せよ。外務省は全力を挙げて救出にあたる」というより前に、「あれだけいっているのに、行くとは理解しがたい」との言葉を聞きました。外務大臣は、言葉を発する順序を知らないか、メディアがどんな言葉を大きく伝えるか知らないか、どちらかでしょう。どちらにせよ、政治家としての資質にも行政官としての資質にも欠けています。憔悴しきった家族のところに、夜中電話したりファクシミリを入れたりする連中も、困った奴です。自分のうさ晴らしにしかならないことを、困っている他人に対してする者は卑怯者だと、私は思います

10-28
●国境なき医師団JAPAN副会長・臼井律郎のイラク人質事件に関する意見。「4月の人質事件と異なり、今回はエイドワーカーではなく一旅行者の事件のようなので、MSFとして今のところ公式に言うべきことはありません。ただし、旅行者とエイドワーカーを一緒くたにして、またぞろ渡航制限など人道援助者の独立を侵害するような議論が始まればこの限りではありませんが。ですから、以下はあくまで僕の個人的意見です」との断りつき。ちょっと長いですが、以下に引用紹介します(部分的に赤字にしたのは坂本)
●「まず、日本人が誘拐されて生命を脅かされ、誘拐者からのたった一つの要求が自衛隊撤退というときに、日本国首相の最初のメッセージが(少なくとも世界のメディアに伝わったのは)、“自衛隊は撤退させない”というのは驚きです。各国首脳で、自国民誘拐のときにこのような対応をしたものはいないと思います。相手を”テロリスト”と知ったうえで、相手の要求をいきなり真っ向から拒否することの意味がわかっているのでしょうか。こうした事件の最初の対応では、少なくとも表向きはすべての選択肢を残すのが基本で、それが“救出に全力を尽くす”ということです。この時期に自衛隊撤退を明確に否定したのは、この国にとって最優先の事項は自国民の保護ではなく、自衛隊派遣であると宣言したことになります。非常に単純で正直な態度ですが、政治家のものではありません。ブッシュ氏とさぞや気が合うことでしょう」
●「4月のエイドワーカーやジャーナリストの場合とは異なり、今回誘拐された日本人に非があったことは明らかです。しかしこのことによって、自国民を保護するという政府の義務が相殺されるわけではありません。日本外交の責任者の“理解に苦しむ”という発言は、誘拐された者を非難し、最悪の事態となったときの日本政府の責任をあらかじめ回避するかのような言い方です」
●「さらに驚くべきことは、マスコミや国民の態度です。主要紙すべて、首相の自衛隊非撤退発言を支持し、誘拐されたものの非を述べています。実際に撤退しないことと、それを今言うことは別の話です。日本人たちの無関心は、新潟の話で忙しい今は、異国で首をはねられようとしている若者にかまっている暇はないといっているかのようです。イギリス、イタリア、フランス、フィリピン、どこでも自国民の誘拐に対しメディア、国民はとても強く反応しています。そろって、人質救出のためにそれぞれができることを何とかしようとする、真剣な態度です。その中で、日本のメディアと国民の対応は際立っていると思います。政府の対応にも反映されることでしょう。理由や責任がどうあれ、あと24時間で首を落とされようとしている人やその家族に対する日本全体からのメッセージは、“君が悪いのだから仕方がない”のようです」
●「誘拐者たちの第一の目的が、自衛隊即時撤退だと考えるほど単純な人たちがまだいるのにも驚かされます。フィリピンとは異なり、ひと一人の命くらいで日本の政策がすぐ変わるとは、彼らも考えていないでしょう。恐怖感を与え治安の悪化を印象づけて、先進国の人たちをイラクから追い払うのが、彼らの大きな目的のひとつです。イラク“再建”を少しでも妨害して混乱を作り出したい人たちの、先進国からの投資をとめるための戦略です。ムキになって自衛隊撤退を拒否する一方、危険地域、渡航自粛などの言葉を繰り返す政府の対応は、彼らの思うつぼかもしれません。もう少し考えてからものを言ってはいかがでしょうか」(引用ここまで)
●とくに付け加えることもないですが、人質にされた若者が軽率すぎたことはみんなわかっているのだから、救出にあたる責任者の外務大臣がわざわざ個人攻撃する必要などない。怒りの感情を抑制できないケツの穴の小さな男だ、と思われるだけ。むろん「自己責任」だから、政府外務省は当然、遺体の搬送実費を実家に請求するのでしょう。命の安い嫌な国の嫌な政府ですね。じゃあ軟弱地盤の上に地震に弱い土壁の家を建てて下敷きになった人びとにも「自己責任」といってみれば? 思ったことを口に出さずにはいられないのであれば。ついでに、料亭で1億円もらって黙っていた連中の「自己責任」とか、インサイダー取引疑惑の堤義明の「自己責任」とか、厚生労働省で監修料をかすめ取った税金泥棒どもの「自己責任」とか、全部まとめてなんとかしてくれ(首をハネられて当然だ、とはいわん)
●昨日の救出で、3人の生存を確認(「全員無事」の字幕を出した局あり)、呼びかけに母親が応えた、生命反応装置で3人の心音を確認した、母親の手がハンドルにかかり脈が取れる状態、などのデマ・誤報の出所・原因は? 数時間誤報を流し続けたテレビは、きちんと検証せよ
●昨日の新潟日報サイトから「不明の母子3人生存 新潟県中越地震で行方不明になっていた同県小出町の主婦皆川貴子さん(39)ら母子が27日午後、長岡市の土砂崩れ現場の乗用車内で生存して見つかった。東京消防庁などのレスキュー隊が午後2時31分、肉声を確認。続いて子供2人を救出した。皆川さんは23日朝、長女真優ちゃん(3つ)と長男優太ちゃん(2つ)を車に乗せ、新潟市内に出掛け、地震直後から連絡が取れなくなっていた。26日午後、車だけが見つかった。[共同ニュース10月27日(水)](2004-10-27-14:58)」。これはテレビ生中継を見ていれば防げた誤報。節目節目できちんと情報を出さない救出側もよくない。寄せ集め部隊だからか、段取りも悪い。一刻も早く毛布か何かで幼児をくるむのが普通だと思うが、用意しておらず、気がついた誰かがジャケットを渡した。青いシートで車が覆われたとき、落石監視要員が全員ガケから目を離し車のほうを見ていたのも、プロにあるまじき弛緩した行動。なお、2Hドラマに詳しい家人は、青いシートの登場に「遺体を隠すため。絶望」と断言。テレ朝系情報ニュースは母親の搬出後、作業中断を撤収と見て、「長女も一緒に搬出したのかも」などと憶測。「わからないことは言ってはいけない」ルールは、さすがにNHKでは守られていた
●朝日新聞サイト27日20:50記事「車は26日午後3時半ごろ、ヘリコプターからつり下げられた県警のレンジャー隊員が、両側を岩に挟まれ、前部を上にした状態で発見した。車内の大部分が土砂に埋まっていたうえ、降り続く雨で周囲の地盤が緩んでいたため、捜索は難航。県警は『26日の捜索で車のナンバーを確認した時は、生存の兆候は確認できなかった』としている」。スイス政府が全世帯に配っている国防マニュアルには「生き埋め現場では、金属パイプなどに耳をつけて音を聞け。叩いて、返ってくる音があるか耳をすませ」と書いてある。県警レンジャー隊員は、車体に耳をつけて聞いたのか?

10-27
●時事通信記事(26日22:52)報道関係者、自衛隊ヘリが救助=孤立地区で「乗せてって」−県が各社に抗議・新潟 新潟県中越地震による土砂災害で道路が寸断され、周囲から孤立した同県長岡市蓬平地区で26日、報道関係者6人が航空自衛隊のヘリコプターで救助された。県災害対策本部は「孤立地区に入り込んだ経緯は分からないが、自ら入り込み、帰りは救助ヘリというのであれば、救助活動の著しい妨げとなる」として、報道各社に抗議した。どこの社?
●今回の地震でも、電話がつながりにくくなりました。これを電話輻輳《ふくそう=一か所に集中して混みあうこと》と呼びます。放送専門誌GALAC2003年9月号では、まちづくり計画研究所の渡辺実の「大災害でケータイは役立たない! 三陸南地震〜電話輻輳回避のための提言」を掲載。テレビは大地震の直後に「NTTは災害用伝言ダイヤルを開設」と速報し、171の使い方を解説すべきとの提言ですが、きちんとやっていた局は少なかったようです(掲載時に「本稿の提言に対して具体的な対応をおとりの放送局はぜひご連絡を。各局の参考のためぜひ紹介したいので」と添え書きしましたが、連絡は皆無)。NTT東日本は23日18時15分に運用開始、だいぶ後になってテレビ朝日が使い方ビデオを放映したのは見ましたけれども。NHKなどの初期報道は、時刻、震度、震源位置と「津波の心配はない」「余震に注意。壊れた建物には絶対近づくな」を繰り返すばかりで、ロクな情報がない。映像も、震度図と発生時の固定(天気・局内など)カメラ映像だけ。だから、災害用伝言ダイヤルに関するお知らせを流す時間は十分にあったはずです
●ただし、災害用伝言ダイヤルは自分が連絡をとりたい相手が171から録音していなければ、役に立たない。被災地で生きるか死ぬかの目に遭っている最中の人が、そうそう利用するとは思えませんから、避難所に落ち着き電話も復旧、NTTが臨時電話の設置を始めるといった段階にならないと、本格的な運用は望めないでしょう。新潟市など人口の多い被災地の周辺へは「どうだった?」と電話する人が多かったはずですが、被害のない新潟の人は171を利用するまでもないと思うでしょうから、171を開設しても、やはり電話輻輳は起こってしまう
●それでも、NHKが放送した安否情報よりは段違いに効率的で確実な情報のやりとりができますから、171は積極的に利用すべき。テレビメディアは、地震直後から「周辺への見舞い電話は避け、171の利用を。使い方は……」と繰り返し放送すべきです。なお、今回のNHK安否情報は「西村博之(2ちゃんねるのひろゆき)から田代正(田代まさし)へ」というような冗談情報が複数回放映された模様で、私が見たときには携帯電話番号を画面に表示していました。不特定多数が見る放送で個人名と携帯電話番号をさらすとは、非常識極まりない。懲戒免職で警察に突き出すNHK職員の場合は、プライバシーを理由に名前すら隠すのに、まったくどうかしています。そういうのはハネるというルールもなしにやっていたのでしょうか
●結局、被災地の人が誰かに「大丈夫」と伝えるもっとも確実方法は、地震が収まった直後に、遠くの親戚に電話すること。被災地以外の多くの人が、どこで地震が起こったか知らない段階では、電話線が物理的に切れていなければつながります。阪神・淡路大震災のときも、直後は東京―明石で電話が通じ、午前中しばらくは公衆電話から現地に通じました(注:被災地で停電時は硬貨が必要。非常持出袋には硬貨を入れておくとよいです)

10-26
子供投票でブッシュ氏再選 米教育誌が発表 この記事は非常に興味深い。第1に、日本ではこれは公職選挙法(第138条の3「人気投票の公表の禁止」)違反です。同条項は「何人も、選挙に関し、公職に就くべき者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数若しくは公職に就くべき順位)を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない。」で、学校などで模擬投票をやってもよいが、事前に結果を公表してはならないとされています。なんと、アメリカてのはいい加減なこと(共同記事がそのことに触れていないのも、なかなかですけれども。逆にいうと、アメリカでは、日本で日常茶飯事の事前予測報道への与党の介入が起こりにくい)。第2に、「同誌は、1956年以降行った模擬投票で、実際の大統領選を正確に予測した結果が出たことが多いとされる」というのが、ものすごくよくわかる気がして、なんとも不気味。たかがガキどもの投票ともいえるわけですが、彼らが現職大統領として実績を積み、露出度が高く、愛嬌あるブッシュを選ぶというのは、たいへんよくわかる。それにしても、幼稚園児まで模擬投票とは、何を考えてるんだか
●原稿書き。朝のうち「天候不順」という理由になっていない理由(天候が不順で、地盤の動きが不順だから、10万人が困っている!)で現地視察の中止を発表した首相・小泉純一郎の一行は、やっぱり行くことにしたそう。どのバカがいったん中止と決めて発表したのか、報道は明らかにしていただきたいものです
●一つ提案。阪神大震災のときと同様に今回も、自衛隊、警察、海上保安庁、放送局などのヘリまたは航空機が出て、地上の様子を撮影しています。しかし、非常にもどかしいのは、どこを撮影中なのかが「小千谷市上空」というような大雑把な言い方以外にわからないこと。GPSとカーナビを連動させて現在地の地図が出せるのだから、ヘリの位置と連動させて画面に地図を出すくらいのシステムは開発できないのでしょうか。このシステムで空撮映像と右下に小さな地図(地名を読むのに、ときどき全画面に拡大)を出せば、たとえば関東直下型の大震災時、どの街区が燃えているというようなことが直ちにわかる。国土交通省が音頭を取り、そのようなときに航空機を飛ばす全機関を参集させ、5億でも10億でもかけて開発したらよいと思うのですが、どんなものでしょう

10-25
マスコミの仕事は、「公的機関の発表を伝えること」で、事実を伝えるとは「公的機関のいった数字を伝えること」なのか? 新潟県中越地震報道を見ていると、多くのテレビ関係者がそう信じ込んでいるらしいことがわかります。まったく困ったものです。たとえば「震度×が起こる確率は10%」といったのを、ちょっと多そうだと思えば「20%」に変える気象庁は、もともと確たる根拠があって予測しているわけではない。違う地震の過去例を参考にしているだけだから、「この数字の倍かもしれない。警戒を」という(実際は、いえる者を探し出していわせる)のがマスコミの仕事。同じように新潟県庁は、山間部の被害をすべて掌握して「けが人は何人」「避難民は何人」「救援物資は足りているようだ」といっているわけではない。だから「この地域の被害は不明。現在の自衛隊の対応は」と伝えるのがマスコミの仕事。マスコミ(に出た者)がいわなければ、ほかに誰もいわないからです
NHKの安否情報は、ほとんど何の役にも立っておらず、電波と受信料の浪費。食糧をどうする、赤ん坊のミルクをどうする、年寄りのケアをどうするといった心配で手一杯の被災者が、停電でテレビが映らず、連絡したくても電話も不通なのに、いつ自分の名前が呼ばれるかわからない教育テレビやFMラジオに四六時中かじりついているはずはありません。被災者は、どうしても連絡が必要な人には、「心配しています。連絡ください」などといわれなくても、電話が通じたときに連絡するに決まっています。阪神大震災のとき、NHKの経営企画の若手から「実効がなく、役に立たないことはわかっている。視聴者対策でやっているのです」と聞きました。あれよりは、1チャンネルをつぶして「伝言ダイヤルの使い方ビデオ」を流しっぱなしにしたほうが、まだ役に立つ。NHKは安否情報のあり方を全面的に見直すべきとの、阪神大震災当時の論考はこちら
●原稿書き

10-24
●今回の地震報道について、とりあえず。現地との連絡が取れず、土曜日で手薄だったこともあって、初動はパッとしなかった。NHKはただちに全国放送(全メディアがNHK総合と同じに。教育とFMは安否情報)に移行したが、交差点映像や局内カメラの映像の繰り返し、「×時×分に震度6強、×時×分に震度5、×時×分に……」の連呼、各地の役場の担当者に電話で聞く、気象庁の会見があれば挿入するというスタイルで、新しい映像や情報がなかなか出ない。役場担当は自分で見たことしか話せない素人で、しかも停電で暗いから、たいしたものを見ていない。基本的な情報――「小千谷市、十日町市、川口町の人口は何人?」てのを、全局誰一人聞かないのは、何なのか(だいぶ遅くなって「長岡市は20万人」というやりとりはあった)。「××市で1万人が避難」という情報は、××市の人口が3万か30万かで、意味が違うだろう
●民放は、地震学者や局の防災アドバイザーなどを早い時間に出し、これはよかった。溝上恵・東大名誉教授は「震源は10キロより浅く、たぶん数キロ」と、気象庁発表の深さ20〜10キロには誤差がある(深すぎる)ことを示唆。また「信濃川沿いは地盤が非常に悪い。山際のよい水が出る場所(扇状地)に集落があり、そこから谷を登った奥にもまた小さな集落がある。山を背負っているから危険」と、市街地ではない場所での被害の可能性に言及。NHKの気象庁発表だけを細かく繰り返し伝える姿勢、あるいは手持ち映像(当然、市街地のものしかない)だけを流す姿勢と極めて対照的だった
●昨夜7時すぎに帰宅しテレビをつけ、すぐに自衛隊の災害派遣が必要な大災害だとわかったが、自治体が出動要請をしたのはもっと後。自衛隊は地震発生と同時に偵察部隊を出し、出動準備を始めていたようであり、夜が明けないと実質的な救助活動はできなかったから、出動要請が遅いことによる問題は露呈していない。しかし、大都市で昼間ならば、1時間の要請の遅れが数百人の生命を奪う(阪神大震災では2000人規模の生命を奪った!!)。テレビを見ていた限りでは、「災害派遣はどうなっているのか」「おたくの知事や市長や町長は、どこにいて何をしているのか」と質問したり取材しようとしている者は、見かけなかった。しばしばチャンネルを変えたから見逃したのかもしれないが、それでもまるで見ないというのは不思議だ。どうなっているのか
●「××病院ではケガ人50〜60人、△△病院では……」とアナが繰り返し伝えているのだから、誰か足し算して「けが人××人以上」という字幕を出せばよいものを、「けが人多数」なんて字幕を出し続けるのはみっともない(NHK)。字幕を書き換えるヒマがないなら、アナが「ざっと足しただけでも300人以上のケガ人が出ている模様」とコメントすべき
●画面をL字分割するか画面下に1行スクロール欄を設け情報を伝えるという方式は、すっかり定着。よいやり方だと思うが、某局で突然「あ」が増えていき「ああああああああああああああああああ」と出たのには、思わず「ああああああ」といってしまった。「東北電力によりますと、……停電しています」「JR東日本によると、……は運転再開」という具合に、ですます調が混在した局もあり、オペレーターの混乱ぶりが垣間《かいま》見えた。あるアナは、すべての情報を1文1文「……ということです」とつけて紹介し、全部伝聞に過ぎませんと正直なのはいいが、ありゃシツコすぎ

10-23
●15〜17時、放送批評懇談会の臨時総会@東京厚生年金会館5階「雅」。NPO設立に関して。鈴木典之の名議長采配により、滞《とどこお》りなく全議題を可決承認。志賀信夫は「放懇設立後、渋沢秀雄先生に田園調布の家に呼ばれ、『君は放送批評で放送をよくすることができると思っているようだが、それは間違いだ』と叱られ、『それができるのは視聴者だけだ。君はその手助けをこそすべきだ』といわれた。そこで日本視聴者会議をつくり、たいへん苦労したが、集めた視聴者代表はもっとおもしろい消費者運動に流れ、挫折してしまった。NPO放送批評懇談会は、その険しい道を再び歩み始める」と挨拶
●さすがに渋沢秀雄(渋沢栄一の息子)、鋭いことをいう。私も視聴者だけが放送を動かすことができると思っています。逆にいえば、視聴者を無視しては放送は動かない。地上デジタル放送もです
●終了後、小田桐誠(GALAC編集長)、岩本太郎、中島好登、福島美子、坂本で放懇そばの焼肉「イドンカルビ」。ジンロ1本、イドンカルビ(骨付き)、中落ちカルビ塩、レバ、ホルモン、海鮮チジミ(注文外にナムルなどつまみ5皿)で1人2000円ちょいはなかなか。焼肉中に地震発生、震度3くらいを体感。長い横揺れに遠方の大地震を心配し、テレビのチャンネルをNHKに換えてもらう。地震情報に見入るうちニンニクが焦げて炭となる。新幹線脱線のニュースに、こりゃヤバイと帰宅。深夜まで地震関連ニュース。途中、市ヶ谷を飛び立った自衛隊大型ヘリ(政府先遣隊)が頭上を通過。10時間分くらいをHDD録画

10-22
●未明、GALAC放送お騒が史part4を7ページ分入稿。まだ1970年でウロウロ
●日大授業。台風23号の大被害に関して、次のようなことを話す。(1)堤防てのは絶対に切れる。せいぜい30年や数十年に1回の雨に耐えればよいように造るからだ。1000年に1回の雨に耐えるように造るとコストがかかりすぎるし、小さな川を高さ10mの堤防で囲うなんて不便極まりない。高知でも10mの堤防を20m近い波が襲ったが、20mの堤防は可能ではあるが現実的でない。(2)それに、雨量、風の強さ、波高といった自然現象は地形その他の条件によって、10のものが13や15になるのではなく、10のものが50や100になる。たとえば九十九里のような浜で3mの津波がすぐ隣りの入江の奥では30mや50mになりうる(入江は円錐を縦半分にしたものを寝かせた形だから、半円底から入ってきた波が、頂点のところで行き場を失って溢れる)。ある山の麓《ふもと》で風速3mのとき反対側が風速30mでも、何の不思議もない。(3)だから、今回「何十年も住んでいるが、こんなことは初めて」という住民が多数いたが、「30年や50年同じ場所に住んでいれば、こんなことが1度くらい起こるのは当たり前」なわけだ。そして、津波が3mの場所と30mの場所で同一放送を流すシステムだから、こういうときテレビやラジオはクソの役にも立たない。よく覚えておきたまえ
●「天災は忘れた頃にやってくる」といったのは寺田寅彦です。これは「人は忘れっぽい」という意味も含みますが、「自然はそのようなサイクルで(人の想定を超えた動きを)繰り返す」という意味だと、私は思います
●台風報道で思い出したことを1つ。NHK夜ニュースでアナウンサーが雨の映像を見せながら「間断なく降っています」と発言(字幕なしのアドリブ)。一緒に見ていた高1の娘に「カンダンってわかるか」と聞いたら、「寒くもなく暖かくもなく?(ちょっと考えて)じゃないか、カンダンのカンは間っていう字か」といいました。「絶え間なく降ってます」「ずーっと降り続いています」といえばよいものを、「間断なく降る」というのが格好いい、より正統である、よりうまく伝わると思うアナウンサーの発想は、明らかにズレています。その言葉は、まず間違いなく小学生や中学生には伝わっていません。報道局の誰かが、そのようにアナ(NHK夜7時を担当する看板アナです)に注意していないならば、できるだけ広く人びとにニュースを伝えるという意識が欠如しているのです

10-21
●フジの朝番組が伝えるところでは、今年に入って台風による死者・行方不明は176人。共同サイトなどを見ると今回の人的被害はFNS調べより多いようですから、200人規模の死者・行方不明といってよいでしょう。これは多いのか少ないのか。イラクで1年半戦争している米兵の死者は1100人。1つの国をブッ壊す大戦争と考えれば、その5〜6分の1という死者はたいへん多いようにも思えます。一方、日本国の自殺者は年間3万人以上ですから、台風による死者は2日分の自殺者を上回る程度。そう考えれば、大した数ではないとも思えます
●いずれにせよ確からしいのは、私も含めて多くの人が、3万人の自殺者、1万人ではすまないイラク人死者、1100人の米兵戦死者、200人の台風死者といったものに、あんまりピンときていないこと。国会なんかの様子を見ると、明らかにまるでピンときてない。そもそも「死」はいつだって「他人の死」ですし、それどころではない、ゆっくり考える生活の余裕がないということもある。マスコミの報道の仕方という問題もあるでしょう。この項の冒頭に「台風23号に遭われた方々にお見舞い申し上げ……」というようなことを書こうかと思いましたが、白々しいからやめました。200人死んだと「事実」を伝えるのは簡単ですが、血が通った情報として伝えることは実に難しいと、改めて思います
●今回もまた、すでに台風が近づいているのに屋上に上がって亡くなった人がいる。気象情報を伝える人は「厳重な警戒が必要です」というだけでは効果がないのだということを、もっと深刻に考えたほうがよいと思います。もちろん気象に関わる人だけの問題ではない。全国あちこちの小学校で1時間目を潰し、台風からいかに身を守るかという話をしてもいいはず。パズルのようなくだらない文章題を解くより重要な問題ですからね。たぶん、直接大きな被害を受けた地域以外では、やっていないと思いますけれども

10-20
●今回の台風の名前は「トカゲ」。朝、ベランダの植木鉢やテーブルなどを風の影響の少ない場所に移動。どうも台風が来ると落ち着かず、仕事がはかどらない。結局、深夜0時現在まで、雨は降ったが風はほとんど吹かず、仕事部屋(東京・新宿区のビル4階)は北側の窓を15cmほど開けっ放しで問題なし。西日本は大変だったようで死者・行方不明は50人規模。21世紀に入って、なお台風一つでこれだけの犠牲者が出るのかと、タメ息が出ます。北朝鮮がどうの在日米軍がどうのと安全保障論議が盛んですが、一方でこの国には、裏山がいつ崩れてくるかわからず不安に暮らす人が何百、何千といる。日々の暮らしの安全保障はどうなっているのか
●昨日、小林道雄から新刊「個性」なんかいらない!を送っていただく。おめでとうございます。教育関係者、子育て中の親たち、大学〜高校生のみなさんに、ぜひ読んでいただきたい本

10-19
●小林道雄が「大丈夫か?」と、この3〜4日サイト更新していないことを心配する電話をくれる。ありがたいことで、「いま更新中。すみませんねえ」と答え、けやき舎の面接を受けるという女の子から電話があったこと、さらに神楽坂のこと、辻和子、細木数子の話など雑談。田中角栄がなくなり辻和子の周囲から人が離れていったとき、唯一人最後まで相談に乗ったのは後藤田正晴だった由。なるほどねえ
●16〜18時、田原総一朗、アスコム高橋克佳、柿内尚文、増澤健太郎と新雑誌打ち合わせ@ANA。田原は「2005年は、つまり日本の戦後民主主義の定年だ。その大転換を撃つものにしたい」と。週刊新潮の田原記事の話になって「全然、悪く書いてないじゃないの」というと、田原「うん。昔はこういう記事は政治家や財界の大物なんかを対象にした。それを僕や久米宏や筑紫哲也でやるっていうことは、いかに世の中から悪者がいなくなったかってことだね」
クマ鶏舎襲い150羽死ぬ 見出しだけ見ると、クマ公は一体どうやったのかと思いますね。実は……(アッという間にリンク先の記事が消えましたので、以下を追加)クマがブチ殺したのは数羽で、残り百四十羽以上は同時に「ショック死」したらしい。どういうメカニズムなのか、知りたいところ。ニワトリってのはしょうもない、というか情けない生き物ですな

10-18
●潮市民講座「児童虐待防止法」の原稿書き。本文ではカットしましたが、厚生労働省が現行法での対応を主張したため児童虐待防止法は議員立法で作られた、したがって法律の不備が目立った(その改正法が10月1日に施行)、改正児童福祉法が年金騒ぎで棚上げにされたまま、ようするに児童虐待問題では図体だけデカく官僚化・硬直化が進む厚生労働省があらゆる面で後手後手に回っている、といった問題が歴然

10-17
●原稿書き

10-16
●原稿書き。午後から津久戸小創立100周年の祝賀会(午前中の式典は申し訳ありませんが欠席。座席表を見ると新宿区長、教育委員長、与謝野馨、海江田万里らの名)。現校長小滝岩夫、前校長荒木喜久子、元校長イサオちゃんこと小笠原功、同緒方良子、元教頭ミッチーこと佐藤美智子、いまは鶴巻小教頭のハッチーこと八田瑞穂、子どもがお世話になった並木文(長男が小1のとき小笠原から転入してきて担任、その後結婚し、2人の子を産み、ケガで入院し、まーぁだ同じ学校にいる。エライ!!)、寺田尚代(長男小6の担任)、同窓会長臼井健之、PTA会長高野浩樹、前会長宇佐美正芳、元会長石井要吉、奥さんにPTAの役員としてお世話になった(よく気のつく献身的な人でホント助けられました)喜多山健二、区議久保合介ほか、懐かしい大勢のみなさんに会う。当日の様子は、けんじのページに早くもアップ
●記念誌には全卒業生の名前が年次ごとに載っており、角栄の息子田中京と臼井は同級生とか、ふーん白銀のマリちゃんはオレより2つ年上なのか、おお文悠のオヤジと響のアニキと蒔田清は同学年だったか、写真用品製造卸の長女ナオコはお茶屋の愛ちゃんと同学年で、次女ノリコ(子どもの幼稚園の先生)は花屋のかおりと同学年ね、なんてことがわかっておもしろい

10-15
●日大休講。タッキーGALAC表紙撮影と取材@六本木Studio23。写真家のTAD末武和人は「これから沖縄に飛ぶ」と慌ただしく出ていく。遅い夏休みとかなんとか。中島好登らとサムソンの入るビル1階のチャイナ・キッチンでスーラータン麺(黒酢ラー油ラーメン)。風邪の引きはじめにはいい。帰って原稿書き

10-14
●原稿書き。やや風邪気味。小川和久がメールで心配してくれるには「まずは風邪を『回避』。私の風邪対策は、外出から帰ったらすぐに行ううがいと手洗い、それに就寝時にタオルを首に巻いて、安全ピンで留めて寝ることです(夏でもやることがあります)。これだけやっているだけで、罹患率はぐっと下がります。ただし、スモーカーの場合は風邪が抜けるまでの禁煙が必須条件ですが」。タオル巻きも含めてやってますが、問題は最後の「必須条件」である禁煙。私の場合、原稿書きに喫煙が必須条件なもので

10-13
●原稿書き
●日芸放送学科15日休講の件、学生諸君が寄こしたアドレス宛に案内したところ、au携帯宛は問題ないが、docomo携帯宛のほとんどが戻ってきちまったぞ。なんなのだとNTTdocomoに問い合わせたところ、迷惑メール拒否の設定ONのためパソコンからの全メールが不達になっているのでは、とのこと。iモードメニュー→オプション→メール設定→受信拒否の設定と進んで、迷惑メール拒否の適用除外として坂本のhotmailアドレスを入力しなさい。まったく世話が焼けるったらない。メディア・リテラシーなんてのを研究するのもいいが、携帯リテラシーもよろしく
●琵琶湖塾は、来年分のゲスト人選が決定。「週刊朝日」の田原連載ギロン堂が2年分以上たまっているので、田原とその単行本化の話も

10-12
●原稿書き
●東京新聞の藤波記者から電話あり、地方テレビ局による独自の情報発信についてコメント
●明日、田原総一朗、滋賀県琵琶湖塾スタッフと打ち合わせ
●15日(金)日大授業は休講します。ジャニーズ滝沢秀明のGALAC表紙撮影がどうしても動かせないため。キャリアによるのか、学生諸君の携帯メールにグループ発信すると戻ってくるものがある。これを読んだ者は友だちに伝えておいてください
●男女7人秋心中物語。「秩父署によると、ワゴン車の運転席にいた女性の近くには『お母さんはもう死んじゃうけど、あなたたちを産んで幸せだった』と子供にあてたとみられる遺書があった」(以上共同記事)。ふざけんな。まったく反吐《ヘド》が出るくだらなさ。お前は幸せでも、子どもはずっとずーっと不幸なんだよ。「馬鹿野郎、死ね!!」といいたいところだが、この場合は「地獄に堕ちろ!!」というほかない。子どもたちは、こんなバカ親と早く別れたことがせめてもの幸いと思って、力強く生きてくれ
●[アルビル(イラク)10日 ロイター]「予告なしでイラクを訪問したラムズフェルド米国防長官は10日、西部のアサド空軍基地で1500人の米海兵隊員を前に演説し、『武装勢力は、軍事的には我々を負かすことはできないと承知している。ただし、士気で勝ろうとしている。これは士気が試されている戦いだ』と述べた」。じゃあ負けだよ。武装勢力を何千人何万人殺しても、士気では絶対に勝てない。っていうか、アメリカ軍には士気なんか関係ない、ガム噛みながら鉄砲逆さにかついで戦争するから、あるいはプレイボーイ読みながら爆弾落として焼き尽くすから、だから米軍は強いの。そんな米軍は世界最強で、知らずやここに二千年、鍛え鍛えし大和魂などと精神で押しても勝ち目はない。その米軍に士気がどうのこうのと演説すること自体、これはヤバい証拠

10-11
●原稿書き
●各方面にお待たせして誠に申し訳ないのですが、昨日は、ジジイが体調を崩しており、楽しみにしてくださる方もあるので、1日休ませてもらい神楽坂で焼き肉。三上(「なんでお祭りでは終わった頃来て、青空市は朝からいるの」と不満げ)ほか花豊の面々、かわうち渡部、ふーちゃん、響・愛ちゃんと隆貴、奥村夫妻、安田一家、もー吉安部、小林道雄夫妻ほか多数。娘がパン屋でバイトをしており、理清蘭に来たやつは、そっちにも送り込む。今回は、焼肉(ハラミ・トントロ各500円。不況によりタン塩・カルビなし)、チョリソ2本300円、チジミ300円、牛スジ煮込み300円、キムチ(価格忘れた。500円か800円かな)、あとウーロン酎、サワー缶、ビール缶だが、4時すぎには売るものナシ。もー吉に誘われ響で鮨。安部夫妻とその娘(うちの長男と同じころ白銀公園デビュー)、手塚夫妻(かっちゃんは坂本の次のPTA会長臼井の従姉妹)、山本、上野(お風呂でキュッキュッキュッ東京新聞のCM制作オヤジ)、睦美、坂本の9人。2階で盛り上がりすぎ、大声が1階まで響いて大顰蹙《ひんしゅく》だった模様。なので防音設備のあるカーニバルへ移動(カラオケね)。11時すぎ帰宅
●昨日の記事の補足。こんないい加減な気象庁ホームページを安直に引用すると、こんなおかしな新聞記事が出てしまう(キャッシュしか残っていません。0929付け本欄記事も参照)。なぜこんなことが起こるのでしょうか。考えられる理由は、記者が「役所が書いたり言ったりすること」なら間違いないと信じている、あるいは記者が「役所が書いたり言ったりすること」の正誤を判断できない、のいずれかでしょう。むろん雨の降り方など、どうでもよい取るに足らない話。しかし、見過ごしてはならない巨大な問題は、イラク問題でも地上デジタル放送問題でもほかのどんなテーマについても、同じように政府発表を鵜呑みにした記事が氾濫していると考えなければならないことです

10-10
●今日12時〜18時、神楽坂の上半分(神楽坂上交差点〜赤城神社入り口付近)で青空市。理清蘭の屋台は花豊のちょっと上
●気象庁サイトの台風の用語。同じ気象庁サイト内でも「強風域の内側で平均風速25m/s以上の風が吹いている範囲を暴風域と呼びます」などと、不正確な用語の使い方をしていますので、テレビニュースの用語がムチャクチャなのは無理もないかも。こんないい加減なページ気象庁がつくるから、マスコミがおバカな引用をしてしまう。「バケツをひっくり返したように降る」のは人の受ける「イメージ」ではなく、強い雨を形容する「比喩」です。たとえば「海水浴場が芋を洗うよう」という言葉があるからといって、多人数の雑踏する様子を見てみんなが「芋をイメージする」とはいえない。最初にそういった人は想像力たくましく芋をイメージしたかもしれないが、多くの人は比喩として使っている。同様に、時間30ミリ以上50ミリ未満の雨の中で、みんなが「バケツをひっくり返したように降る」というイメージを受けるとはいえない。こんなおかしなページは、作り直さないとみっともない

10-09
●素人がレーダー画像を見るときわかりにくいのは、台風の目の位置ですね。ドーナツ型の雲が見えればその穴の部分のどこかなわけですが、穴の中心ではなくて北か北西のほうにズレている。それと、台風22号が相模湾にいるあたりまでは穴が見えていたのが、その先ハッキリ見えなくなった。それでも、だいたいの位置はわかるし、雨が止みそうだというのはハッキリわかります
●それにしても関東合成レーダーの画像はおもしろい。10分前に台風がどこにいたかがわかります。伊豆半島の先端に上陸した(か、かすめた)ようで、いま(17時10分現在)三浦半島の南を通過して、房総半島に再上陸した。東京では大した風は吹かないだろうとか、静岡市の雨はほぼ止んだとか、いま都心で降っている強い雨はもうすぐ小降りになるとわかる【17時23分記】
●昼以降、気象庁は「最大級」との言い方を「最も中心気圧が低いクラス」と変えました。暴風・強風圏の大きさも、だんだん小さく発表しています。920ヘクトパスカルという気圧に引きずられ、台風の「勢力範囲」を過大に見た気配は濃厚です。ただし、予想よりコンパクトな台風だとしても、中心部の勢力はかなり強く、直撃すると猛烈な風が吹く。台風が30キロほど南を通過したと見られる御前崎では15時前に風速25m(注 最大瞬間風速は50m)、石廊崎では16時前に29mでした(15キロとごく近い松崎では同時刻に6mの風。15キロは渋谷―川崎間くらい)。そのような風が東京または関東で吹く可能性がある。そして、台風は急行並のスピードなので、静かだったのがいきなり強風になり、1〜2時間やそこらで収まるということです。先の台風でも屋根を補強しようとして落ちて亡くなった人がいたと記憶しますが、吹きはじめてからでは何をやっても遅い。土砂崩れの危険がない限り、雨漏りしても瓦が飛んでも、家の中にいるほうが安全でしょう【16時00分記 この項、台風が軽視されかねない表現を修正】
●ここ十数年で最大級の台風が関東地方を襲うとのこと。昨日からずっと雨だが、昼前後には雨は止み、風もない。レーダー画像によれば東京都心部もそろそろ降り始める見込み。しかし、気象庁の各地のデータからは、暴風・強風圏内に入っているはずの場所であまり風が吹いていないように見える。なんで?【13時40分記】

10-08
●日大授業。神楽坂・文悠書店のGALAC売上代金を届けに放懇へ行き、中島好登、久野明と昼食。岩本太郎のネット配信中継(Next Generation Challenging ユビキタス村TV&地域づくりの道具展〜ITが創るひと、地域の未来〜@幕張メッセ)を見た後、川崎へ。山手線車中で偶然、平井景に会う。品川駅で偶然、吉本義人に会う。吉本と一緒に川崎臨海部へ
●何かというと「かわさき現代彫刻展2004」(出品作家は石井厚生、酒井勝久、建畠朔弥、山田恵子、吉本義人。12月17日まで。無料)。旧日本鋼管(川鉄と合併後はJFE)渡田地区がTh!nk(テクノ・ハブ・イノベーション川崎)なるサイエンスパーク(研究開発機能中心の工業集積地区)に生まれ変わった。その一角のアウマンの家(アウマンは明治期の鉄鋼業を指導したドイツ技術者)周辺で、現代彫刻展が開かれている。仕掛け人はJEF都市開発藤森隆。彫刻展実行委員長の吉本義人は、坂本が美術部中3のとき川口政弘(その後山口大)の後釜で麻布美術科に赴任してきて以来30余年の付き合い。クソ雨のなか彫刻を見たあと、4時すぎから「作家が自作を語る会」のスライドショー。麻布高3が4〜5人いたので、美術部はいないのかと聞くと1人いた。こちらの卒業年次をいうと「生まれてません」。そりゃそうだ、私の長男と1歳違うだけ。麻布PTA会長さんとも立ち話
吉本義人&容子、酒井(堺? お容ご学友)、泉・元カメラマン、大留真一、坂本は川崎駅に移動し、仲見世通りで焼肉を食うことに。いきあたりばったりで入った「くだら屋」という店でジンロ2本。中2階の狭く妙な空間に6人で入り、みな新宿・小茶の2階を思い出す(その昔、吉本が某永松を階段から蹴落としたりしていた。小茶といえば卵焼きに煮しめ。四畳半に最大10人くらい入ったとき、2階から小茶の婆《ばばあ》に「煮しめね。3人前くらいかな」と注文すると、「そんなもん、2人前でたくさんだ」とか怒るようにいって超大盛りを出した。前田の婆も小茶の婆も、ずいぶん前に亡くなりました。もう1人坂本が知る飲み屋の婆は渋谷「すま」の婆。大正生まれの娘と2人、ケンカしながら店をやっていた。元芸者で某土建の妾で、青柳の陰に誰やら……なんて小唄を教わった。「あなた500円お出しなさい」といい、自分も出して卓に並べ「さあ、賭けだ。あたしの歳はいくつか」ってやるんだが、もう何度も繰り返しているから、こちらは答えを知ってるわけです。20年近く前に89歳だか90歳だかだった。そういう店はすっかり姿を消してしまいました)

10-07
●原稿書き
●相変わらずBCCメール、CCメールの使い方を知らない人が多いので閉口します。おかしなメールを送った段階で、お里が知れてしまうことに、もっと敏感になったほうがいい。あるとき戦争反対のチェーンメールが送られてきて、前の前の発信者が某誌にパソコン関係の記事を書くライターだったので、驚いたことがあります。むろんその後、その人物のIT関係記事は一切読む気がしませんでした。メールについていえば、そもそも「BCC」だの「CC」だの普通の日本人にはわけのわからん名前のボタンを平然と配置して説明不足の不親切メールソフトを売るビル・ゲイツくんのマイクロソフトその他が悪い。第三者アドレス宛のBCCメールを送信するとき「宛先欄のアドレスは同時に送る××人に公開される。送信OK?」という警告文を出す(同時に使い方ヘルプへのリンクと、「以後この表示をしない」ボタンを配置)くらいの配慮は当然必要なはず。ただ、ソフトの出来が悪いから間違った使い方をしてもいいという話ではありません

10-06
●原稿書き

10-05
米軍、水爆捜索に着手 大西洋に46年前投棄 って、いまごろ何やってやがるんだ? ま、爆発はしないはずですが、1発爆発したほうがアメリカのため世界のためかも、と一瞬思う今日このごろ
ポーランドも来年12月撤退 米英を中心の「有志連合」が1ヌケ2ヌケ……と寂しくなりつつあり。日本以外で唯一イージス艦を持つことを許されたスペインも撤退。マッカーサーが軍を指導しマッカーサーに解放されたフィリピンも撤退。ソ連大嫌いアメリカ大好きポーランドも撤退。残る「優等生」は、有名どころでは日韓オーストラリアのみ。うーむ
●4日のプロ野球巨人―横浜戦は、史上最低の入りで、観客300人程度だったそう。主催者側発表は10000人(笑)。ホリのコメント「今日のお客さんに感謝!

10-04
●あの夏は何だったんだ、と思う涼しさ。いちいち記さない日も含めて原稿書き。当欄をまとめて更新
●イラク米軍が1月選挙のため各地で掃討作戦に出ています。バクダッド陥落直後の2003年5月にブッシュが終わったと宣言した大規模戦闘で連日、女こどもを含む市民を殺して、国民選挙も民主化もないもんだと思いますが。確かに「1月選挙」も理由の一つですが、ハッキリ「11月選挙」対策の意味もある。線は細いがインテリ度ではブッシュ君よりケリー君のほうが上ですから、戦争中だと強く印象づけ「やっぱり戦争指導者は俺(ブッシュ)に限る」と見せたいわけです
●なぜ誰もそう解説しないのか不思議ですが、先月末に始まったイスラエルのパレスチナ自治区ガザ侵攻作戦も、米大統領選にハッキリ連動しています。アメリカは、イスラエルのシャロンに自制を求める立場ですが、選挙前はユダヤ票が気になって強くいえない。シャロンはそれを見越して作戦を継続・拡大中。「イスラエルはアメリカ国内問題」の象徴的・典型的な動きというべきです。その大統領選、ほとんどブッシュで決まりかと思っていましたが、テレビ討論1発目はケリー圧勝。ケネディ対ニクソンのときのようになるかも

10-03
●2日夜、明美一家が泊まりに来る。生後11か月の「ちー」も。予定された神楽坂青空市は雨で中止となり、10月10日(日)12〜18時に順延。次の日曜は神楽坂の「よしや」向かいで理清蘭の出店あり。うちから焼き肉コンロ、テーブル・ベンチ8人分などを搬入済み。おヒマな方はどうぞ

10-02
●3日前に来た、国境なき医師団JAPAN副会長・臼井律郎のメールを(悪いけどテキトーにつまみ食いして)ご紹介。大手マスコミがほとんど触れないスーダン、ダルフールの話で、メディアのみなさんには参考になるはず
●「ようやく日本でも認識されるようになってきた。ただ、まだこんなことが起こっている、大変だという啓発レベルなのは、やはりヨーロッパからは1年遅れていますけど。この危機に対する特効薬は、他のアフリカの危機同様に存在しないけれど、それぞれのアクターの立場が明らかになってくると同時に、少し何かが見えてきた感じはします。アメリカは、大統領選挙のネタにして強いアメリカの必要性をアピールしたいのと、アルカイダをかくまったスーダンに対する偏見とうらみがあるので、まともな交渉者になれないことは最初から明白。しかし、アメリカが強気で押すのを、ヨーロッパとアラブ世界が止めて、それで何とかバランスがとれるという9.11の前のパターンになってきた雰囲気も。そうなるといいのだけれど」
●「ナイジェリアはじめアフリカ連合軍は、シエラレオーネでの活動を出すまでもなく軍紀がなっておらず、ゲリラと一緒に略奪したりレイプしたり場合によっては戦争を始めたり、なかなか大変。まあ以前よりは改善したかもしれないのと、実際スーダンに入ったとき、よそ者の雰囲気をいくらかでも薄められるので、現実的な選択肢ではある。プライド高い彼らの、アフリカのことはアフリカ人が何とかしたいという使命感もあるでしょう。軍隊はアフリカ人、送るカネは先進国、儲かるのはアフリカの政治家と偉い軍人とばかり考える必要は、必ずしもないのかもしれません」
●「現在、緒方さんのあとのUNHCRの親分やっているオランダ元首相Ruud Lubbersという人(この間、東京に資金探しに来た。NGOともミーティング)は、ダルフールはじめ各地方に大幅な自治権を与え、スーダンを連邦制にするのがいいなどとUNHCRにあるまじきことを言い出して、一瞬みんなあせりました。しかし、スーダン政府にも結構まじめに聞くような人がいたりして」「これまでスーダンに行き、誠意を見せて話している人は、少しはいいほうへ向かわせる役に立っている気がします。逆に、パウエルのようにハナからケンカ腰の人は反発を買うだけ。6月にフランス外相バルニエが行ったのが、一連の先進国首脳の本格的なコミットメントのはじまりと思いますが、彼はスーダン政府とちゃんと話したようです(ルベルスは今年の初めに行っていますが、インパクトはなかった)。その後アナンが行って、パウエルも。イギリスのジャック・ストローも。そして今度のルベルス再訪です。こうして要人がじゃんじゃんやってきて、世界中がダルフールを見てますよというのが、現地で戦争や虐殺をしているやつらにも少しわかってきた。アフリカの片隅でこっそり悪さしてる、ではすまなくなっていることを理解すれば、みんな馬鹿ではないので少しずつでも落ち着いてくる。そうなることを祈ってます」
●「アメリカの言うように、絶対無理な1か月の期限を切ってジャンジャウィードの武装解除、できなければ石油禁輸の経済制裁(スーダンから石油を取ったらすぐ干上がる)、で改善しなければ軍事介入?という脅迫コースでは何も解決しない。反発されるだけ。当たり前のようですが、とにかく頻繁に話し合って、少しずつでも説得すること、というより、情報を入れること。生きた情報があれば、彼らは考えます。アフリカ人も、もちろん僕たちと同じ普通の人間です」「戦争以外の方法で危機を解決できる可能性があり、みんなでその方向でがんばりましょうというコンセンサスは、国際社会の中にできつつある気がします。これは、戦争は何の解決にもならないことを、あらためて世界に教えてくれた米大統領ブッシュさまのおかげか。プーチンさまあたりも、この教訓を共有してくれるといいのですが。それと、肝腎のブッシュさまご本人も。日本のかたがたは全部他人事で、自分たちが戦争に加担したという実感がないようなので、まだ無理」
●安全保障理事会での日本の常任理事国入りについては「安全保障理事会でアメリカに2票やる必要はないというのが、大方の見方では」。同感です。マスコミには「アジアでの戦後処理が終わっていないから、靖国問題で中国が反対しているから、難しい」という見方は出ているが、もっとも肝心な論点である「日本は安全保障について5大国と互して主体性を発揮できるのか」という問題提起が、ほとんど見られない。これは「憲法上、他国のような軍隊を運営するのに制約がある」という問題以前の話。憲法9条があったって、日本はイラクに対する最大の債権国(フセインのイラクに対してもっともカネを出していた国)なのだから、「お前このカネどうしてくれるんだ。馬鹿なことをするんじゃない」といえたはず。しかし、何も言っていない。憲法9条があったって、スーダン政府の説得を試みることはできるはず。しかし、各国のような大物を誰一人派遣していない。戦後50年、世界の安全保障や外交面で、日本国が主体性を持って何かした――何かが解決した、あるいは解決に向けて一歩前進したという例は、ほとんどないでしょう。これまでカネだけは世界最大級に出し、湾岸戦争では世界最大級の貢献をしたが、そうは(アメリカの一部を除き)誰も認めていない。1票増えるアメリカ以外、積極的に日本票を望む国があるとは思えません。「外務省の悲願」だそうだが、スポーツでいえば練習せず実績もないのに、メダルくれとか大会役員になりたいとかいっているようなものでは。「課長級」が大臣や補佐官をやる国ではねえ
●小川和久がイラク問題で外務省に「アラビア語ができるのは何人?」と聞いたら、「3人いました」というので、「なんで過去形か?」と重ねて聞いたら、「1人死にました」。そんな状態では交渉すら始められない

10-01
●日大授業。先週と今週はテレビ報道の話。朝鮮戦争の話題になり「これはいつ?」と聞いたら「1910年頃でしたっけ」とかいうので、朝鮮半島を黒板に描いて歴史の講義。それにしても、なんで俺がこんな話をしなくちゃいかんのか。小学校、中学校、高校、大学教養課程の教師どもは何を教えてたんだ? 学生諸君も頼むぜ、おい。あと1〜2年後で放送局に入り、報道部門に行くヤツもいるんだろ。お前たちにわかるように書くから、小川和久と一緒に出す本を読め
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2003-05-25
●リニューアル版運用開始。リニューアル終了まで2〜3か月かかる見込み。旧版は残します
2002-04-11
●ホームページ試験運用開始。キリがないので、未校正ありのまま見切り発車しました。あしからず
●この欄、文中敬称略ってことでよろしく願います