メディアとつきあうツール  更新:2005-04-06
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NHK報道局「絶対匿名」座談会
聞いてくれ!
これがNHKの報道現場だ!!

≪リード≫
2004年夏以降に露呈したカネがらみの不祥事の山。
傲慢な対応が招いた受信料不払いの嵐。
内部告発でわかった政府高官らの政治介入の暗闇。
そして海老沢勝二会長の辞任。……と、まさに激震状態のNHK。
そんなNHKの内情を、報道局員の30代中堅職員3人
(職歴は十数年前後/いずれも男性)が語り尽くす!
司会/構成 坂本衛(「サイゾー」2005年03月号)

4月13日頃(店頭に確実に並ぶのは15日頃)「徹底検証! NHKの真相が発売。この座談会出席者とはまた別の管理職を含む現役記者たちが、貴重な証言をしています。「月刊民放」4月号巻頭特集は「まもろう!放送法」に執筆の 「元政府高官の番組干渉はなぜダメか?」も合わせて、ぜひご一読を!!

≪参考リンク≫
サイゾー

 海老沢勝二会長、退任はしたけれど…… 

NHK報道局「絶対匿名」座談会
聞いてくれ! これがNHKの報道現場だ!!

司会●まず、NHKの報道の現場で、いま切実に思っていることを一言ずつお願いします。

 X ●NHKは、真実が真実として通用せず、巧みに潰されていく巨大システムです。それが80年間、脈々と築かれてしまった。職員一人ひとりは変えなきゃいけないという気持ちを持っていますが、どうにもならない無力感も感じます。壁が厚いというか、私たちはアリが象に向っていくようなもの、というか……。

 Y ●数々の不祥事、会長以下の独善、政治介入と、これだけ外堀が埋まって、受信料の不払いがどんどん増え、NHK首脳も制作現場も困るし、ひいては視聴者も困る状況。それなのに首脳陣も現場も改革に踏み切れないのはなぜだろう、と思っています。職場で大っぴらには批判できなくても、陰ではみな「会長は辞めるしかない」と話し、「辞めた暁にはエビパーティーやろう。いやタコ焼きパーティーだ」といいつつ、辞任まで半年かかった。しかも、与党筋からの新会長案が報じられ、その通りになりましたよね。内部の僕らに、は組織を動かす決定権は100%ないのでは、とすら思ってしまいます。

 Z ●政治とNHKの距離の問題は、出るべくして出た話ですから、もうこうなったら腐ったウミはできる限り多くさらけ出すべきだと思います。政治介入の有無にかかわらず、NHK内部では上層部や外部の意向を忖度《そんたく=推し量ること》し自主規制することが、往々にしてある。“日本忖度協会”の実態を全部出してから、再出発しなければいけないでしょう。

海老沢2期目以降、締めつけが次第に強化

司会●Zさんは島桂次会長末期、XさんとYさんは川口幹夫会長時代の入局ですね。当時と比べて海老沢体制はどう? いつごろから、おかしくなった?

 X ●川口会長時代に現在ほどひどい問題はなかったですね。海老沢会長も就任当時は、やり手だなとは思ったが、悪い人だとは思わなかった。やっぱり3期(1期3年。97年就任で3期目途中に辞任)が長すぎたんですよ。周囲にイエスマンしか置かず文句をいう人を排除しはじめたのは、2期目以降でしょう。4〜5年くらい前から、あらゆる場面で締めつけが厳しくなっていった。

 Y ●なんでもかんでも「会長がこう言っている」という話が下りてくるようになったね。NHKビジョン(NHKの経営計画)も、日頃から海老沢会長が局員向けに話している案が、まとめられていく。あの年代の人にしてはテレビのパワーや可能性にちゃんと気づいている力強いプランで、なるほどと思わせる内容だし、リーダーシップがあって、よいこともいうんだ。それがだんだん「物言えば唇寒し」で、盾突いたら災いを招くようになった。

 Z ●それと、ここ4〜5年は、政治や国会につながる話題は、取材してもニュースにならないことが多くなった。

 X ●報道が扱うテーマは、以前は部長レベルで決定されていたのが、どんどん上に諮《はか》られるようになった。とくに国策がらみ、政治がらみ、戦争ものなどは、上層部が意思決定する。ものによっては会長まで上がったはずです。逆に「これをやれ」「誰を出せ」と、テーマや人物が理事クラスから下りてくることもある。テーマは、たとえば「少子化だ」という指令だけが下りてくる。ここ2〜3年、そんなトップダウンが限りなく多いですね。報道局ではそれに従って当然という雰囲気になり、閉塞感が充満する。今の中間管理職からそういう傾向が強まって、彼らの背中を見る僕らもそれに倣《なら》ってしまった。人物は政財界の誰かなんですが、きっかけもネタもなく、突然「出せ」という(苦笑)。それでみんな頭にくる。

 Y ●それはよく聞くね。イベントがらみとかじゃないのは、すごく困る。災害報道の強化も海老沢指令です。中越地震報道では夜7時のニュースを1時間にのばし、40分を地震関連で埋めた。さらにBSでも総合でも正時のニュースでやりましたが。現場の感覚では、そこまで需要があるのかと思わざるをえない。情報は限られているから、明らかにスカスカの水増しニュースを流したわけです。24時間キャンペーンも必要とは思えなかった。

 X ●ただ、今回明るみに出たETV「裁かれた戦時性暴力」ほど、上からああしろこうしろとひどくいわれたのは、僕らも聞いたことがなかった。

 Z ●内部告発は、まさに寝耳に水でしたね。

 Y ●首脳が局長試写はよくあるなんていったが、そんなことない。国際関係のテーマなどは必ずしも問題に精通したスタッフがつくるわけではないから、関係部局に大丈夫かと試写でチェックしてもらうことはあるけど。『クローズアップ現代』などはよくそういう試写がある。ちなみに、いま扱いにくいテーマは、イラク、自衛隊、年金、社会保険庁、道路公団などかな。

 Z ●イラク戦争は海老沢体制の絶頂期に始まったが、反戦ものは取材してもニュースに出ません。さんざん苦労して粘ればちょっとは出るが、「戦争支持者もいる」という報道と同時に出さないとダメ。劣化ウラン弾の報道もオンエア寸前にお蔵入りになりました。あとは政界に斬り込む取材ですね。KSD汚職、鈴木宗男、橋本龍太郎元首相の1億円小切手受領事件などは、取材した政治家が否定しても、おかしなカネの流れがあると事実関係が明らかになれば、ほかのメディアが報道する。しかし、NHKでは明らかにそれができない。上が「本人が認めなきゃ出せないだろ」というからです。そんなの認めるわけがないのに(笑)。だからNHKは捜査当局が動くまではニュースにしない。

 X ●悲しいけど、私たち制作の現場レベルでテーマを自主規制することもある。出してもムダと事前に“忖度”する。でも、最近急に自主規制が強まったという感じは、あまりない。入局当初から「公平・公正」ということを繰り返し言われてきましたから。

 Y ●NHKは物理的な公平へのこだわりが強いんです。対立する意見がある場合はインタビューの尺(時間)もバランスよく調整して、どっちからクレームがきても対応できるようにつくる。それは、前からだよね。

楯突く記者は地方に飛ばす恐怖政治

司会●では、海老沢体制のこの時点から急激に風通しが悪くなった、というきっかけがあったわけではない?

 X ●そう。だんだんにです。小さなきっかけは1年に1回の人事(6〜7月)のときにあったということでしょう。うるさく上司に意見をいった者が、地方に配置転換される。それを見てみんな「これはあれに対する報復人事だ」というふうに学習していく。明らかに多いのは社会部記者です。政治部はハナから海老沢支配下ですからね。ニュースで「ここを変えろ」といわれて抵抗する記者が飛ばされる。NHKは記者が骨格を作っている組織で、それ以外の職種はド真ん中の本流には進みにくいんです。たとえば番組企画も、ディレクターの名前だけでなく「○○記者も押している」といわないと通りにくい。だから記者が狙われる。同じ報道局でも番組制作部門は影響が少ないですね。ただ、地方飛ばしには巧妙な仕掛けがあって、役職的には上がっていたりするから、制裁人事と断定するのが難しい。100%納得できなくても、本人も受け入れてしまう。

 Y ●みんな東京近郊に生活基盤を構えているから、地方飛ばしは、とくに管理職の人間には恐怖感があります。子どもの学校が大事な時期だったりしますからね。地方からまた地方へという人事も多く、それがまた悪循環を生み出す。地方局で、冷や飯食いを続けている上司に提案しても、東京とのパイプが弱いから企画をねじこんでもらえない。すると、出先でも部下に信頼されなくなる。東京でも地方でも、みんな中央を向いているんです。

 X ●そういうところからNHKの「親分子分」体質が育《はぐく》まれ、トップが変わると下がごそっと変わる「報復人事」が繰り返されてしまうのかな。あと番組の評価というのは、曖昧で主観が入りやすいもの。自分でイマイチだと思っていても、上から「局内の評価は高いぞ」と言われれば、そうかなと思う。で、誉めてくれる人になびく。

司会●歌会始《うたかいはじめ》を伝える7時のニュース冒頭に前会長が映った。本人が辞任を示唆していた段階で、なんであんなバカなことをする?

 Y ●会長車は「1111」ナンバーの黒塗りです。まわりが“忖度”してその番号にしたのでも、納得して乗っているんだから、やっぱり目立ちたがりなんじゃないですかね(笑)。本人は「撮られるのは好きじゃない」といっていたようだけど。

 X ●カメラを向けると会長は「撮るな!」というが、上司は「撮れ!」という(笑)。

 Y ●カメラマンに聞くと「必ず海老沢会長を撮れ」という指令が管理職から出ていたそうです。それも「たまたま映り込んだと言い逃れできる絵を撮れ。いろんなシーンを撮ってこい」とね。たとえば、会長が誰かと話している絵は「エラい人を撮っていたら、たまたま話の相手が会長だった」からOKなわけ。

 X ●パン(カメラを左右や上下に振る撮影)では、頭とお尻に会長が映ると意図的と思われるからNG。パンの途中に出てくるなら、「左右全体を撮ったら、たまたま途中に会長がいて映ってしまった」からOK(笑)。そんなのニュースじゃないだろと思うけど、7時のニュースで流れる。昔からそうだったのではなく、私たちの敬愛すべき先輩がだんだんそれを受け入れていったんです。管理職に「なぜ?」と聞くと、「わかるだろ」という。自分だけの問題じゃない、お前たち部下を守るためだ、とね。ごくたまに突っ張ったままの人もいるが、そういう人は決定権のある役職にはつけません。

会長交代で、NHKは再生できるのか?

司会●2005年1月に会長・副会長・放送総局長が交代した。これでNHKは変わると思う?

 Z ●それは関係ない。代わるだけじゃ、まるで意味がない。

 Y ●トップの顔ではなく、NHK内部の体制、やり方、意識が変わらないと。

 X ●僕らより若い人を見てよく思うのは、上の人の意向を汲むのが妙にうまい。私たち以上に忖度体質にどっぷり漬かっているんです。「お前、何ができるんだ?」といっても「何ができるんですか?」と聞き返される。おっしゃる範囲でやるので指示願います、というわけです。意識の問題は根深く、変えるのは大変。

 Z ●経営委員会(NHK経営委員会。NHKの最高意思決定機関で、会長の任命・罷免をはじめ、予算や事業計画などを審議、決定する権限を持つ。衆参両院の同意を得て首相が任命した12人の委員で構成)がお墨付きを与えて、若い職員が話し合うような場を設定しないと。学識者の諮問機関なんて、いくらつくってもダメだと思う。

司会●そういう場を作れという要求は? 8500人を擁する組合「日放労」(日本放送労働組合)は何をしている?

 Y ●組合がそういっている、というのではダメなんですよ。

 Z ●そう、組合の枠を脱しないと。若い管理職、40代の人間たちが話をしないとダメ。この場の3人は「NHKは報道機関だ」と思っているが、経理や人事など管理部門の職員は9時から5時まで働けばいい大きな会社と思っているんです。職員の意識を変えなければ、という危機感は薄い。

 Y ●今まで組合員が一致したのは、寮(職員住宅)と賃上げ問題だけ。それが昨年、会長たちの参考人招致の模様を国会中継しなかったことについて組合を使って問題にしようと、放送現場が初めて一致した。

 X ●部門ごとに温度差はあったが、営業部門から不払いの話が出て後押しした。組合を突き動かしたのは、受信料不払いですよ。

 Z ●正直、“不払い11万3000件”という数字も、他のメディアが報じるから「ああ大変なことなんだ」と認識した(苦笑)。それくらい、中は感覚が麻痺している。絶対に潰れない、どこかが支えてくれると思っていますから。

司会●いまだに? 政権与党の御用機関とわかったから、受信料不払いが数百万に達しても不思議はないですよ。

 Z ●年末に『NHKに言いたい』を放送しましたが、年が明けても「あれはよかった」という人がいました。管理職ではない人間が、ですよ。「あそこまで謝ったのに、理解しない世論がおかしい」とね。世間からズレているのは上層部だけじゃないんです。

 X ●番組の翌日、銀行の窓口に解約が殺到するかもという意識がなく、感覚が麻痺している。実際には放送翌日の12月20日、銀行窓口で解約申込用紙がなくなったらしい。殺到した人が多すぎたからだという説と、NHKの誰かが紙を隠したという説がある(笑)。

 Y ●管理職と話すと、「このままなんとか乗り切れる」という気持ちのほうが、「なんとか改革をしなければ」という気持ちよりまだ強いのがわかりますよ。

司会●1月中旬の時点で目覚めている人は、1万2000人中、何人くらい?

 X ●500人くらいでしょう。1000人もいない。

 Y ●こっち(改革派)が官軍と思えば、みんなついてくるでしょうけど(苦笑)。

 Z ●闘うときには入念な準備が必要で、核爆弾ぐらいを用意しないとダメ。竹槍でB29に立ち向かえというのは間違いですよ。で、僕らが核爆弾を持っているかというと、ない。

 Y ●今まではね。でも、100万に達するかもという受信料不払いが核爆弾でなかったら何なんだ、ってこと。ここで何とかしなければ、国営放送になるか、公共放送として生き残これるかという瀬戸際だと思う。

 X ●不払いで給与も減らざるを得ませんが、個人的には減ったほうがいいと思っています。ここで「給料が減ったらヤダ」という人には、もうお引き取りいただいたほうが組織再生のためですから。

 Z ●確かに、番組制作費を守るための給料カットは当然。ただ、それには経営陣に死ぬような思いをしてもらうのが大前提です。

 X ●5年分くらい返してもらうとかね。前会長以下の退職金の自主返納も当然ですよ。

司会●最後に、今後に向けて一言ずつお願いします。。

 Z ●NHK内部でみんなが異口同音に言うのは、現場をやりやすくする改革が必要だ、ということ。理事の顔ぶれなんて関係ない。そのためにできる限り努力しなければと思っています。

 Y ●勝てるケンカをやらないと、と思う。2004年の段階では、「がんばってくれよ」と組合にカンパを出す管理職もいたそうだけど、もう組合や管理職がどうという段階ではありません。1万2000人が本当に自己矛盾を打開しなければ、NHKは再生できない。

 X ●まさにNHKの一人ひとりの行動が問われている。全員、一度退職してやり直すぐらいでの気持ちでないとダメだと思います。

司会●ありがとうございました。

コラム:公共放送を腐らせた二つの体質

NHK問題の、何が核心か!?

 NHKは、職員によるカネがらみの不祥事が発覚した2004年夏以降も、視聴者をバカにした傲慢不遜な態度を崩さず、受信料不払いの急増を招いた。05年1月には海老沢勝二会長が辞任に追い込まれたが、なお不払いや解約は拡大中だ。今年半ばまでに受信料不払いが100万の大台に乗る恐れも強く(注 サイトアップの時点での心配は、これまで受信契約3800万といっていたものが今年半ばまでに3300万前後になることです。4月上旬時点ですでに3400万程度であり、そうなる恐れは強いと筆者は見ています)、NHKは、まさに存立の危機に直面している。

 NHK問題の核心は二つある。一つは、身内の不祥事を軽視するどころか視聴者大衆をも軽んじて幹部らの国会参考人招致を中継しなかった一件が象徴する「NHKの隠蔽体質」。もう一つは、内部告発で発覚した政府高官の番組への干渉(01年)が如実に示す「NHKの政治的な偏向」だ。

 第1の隠蔽体質については、経営陣にまるで反省の色がない。政治介入問題では、総務委員でもない国会議員に「事業・予算案を説明にいった」だの「政治家に事前に番組内容を説明するのは当然」だのと虚言を弄する。それを4年間隠蔽し続けたことへの反省はゼロ。辞任した会長らをこっそり顧問に就任させ、猛烈な批判にあって撤回したが、顧問報酬がいくらとも明かさない。

 NHKの根幹を支える受信料制度が「二重に不公平なシステム」――受信料を払う人と払わない人の間で不公平があり、払う人の間で衛星カラー、カラー、普通(白黒)など金額の不公平(高い人と安い人で倍以上違う)があることも隠蔽している。「受信契約率が8割」などというのは大ウソで、全国平均でも6割前後、大都市では5割以下と見るのが妥当だ。

 NHKの隠蔽体質は、経営陣から局長、部長、その下と、ピラミッド型「公共伏魔殿」の全体を覆っている。風通しの悪い陰湿な組織の実態は、座談会でNHK職員たちが暴露している通りだ。このような腐ったウミを出し切らなければ、NHKに再生の道はない。

 第2の政治的な偏向については、NHK放送総局長が自民党国会議員である政府高官を訪ねて放送前の特定番組の内容を説明し、意見を聞いたことを誰も否定していない。だから、放送番組への干渉(放送局への政治介入)があり、放送法違反、憲法違反があったことは確実。それをやったNHKは言論報道機関として「とっくに死んでいる」のだ。

 イラク戦争、自衛隊派遣、1億円小切手受領事件、中越地震などで、NHKの報道が政権与党に都合の悪そうなニュースを自主規制して流さないことは、公然の秘密。時の政権にすり寄りすぎるから、キバを抜かれ毒にも薬にもならないニュースが氾濫する。NHKが過去の過ちを認めて「政治とは距離を置く」と約束しなければ、やはりNHKに再生の道はない。

 以上、NHK問題の核心である二つの問題が解決されず、改革の道筋すら示されていないから、イヤ気のさした視聴者は「受信料不払い」という奥の手を使いはじめた。視聴者が伝家の宝刀を抜いてNHKに反省を求めている――これが現在の状況だ。

 二つの問題は、放置すると受信料不払いに直結する。「楽に取れるところからしか取らない」受信料の不公平の隠蔽は、NHKが払っている人をナメているのを隠していることになるから、きちんと払っている契約者を怒らせてしまう。政治的な偏向は、野党に個人的に献金しているとか、選挙で非自民候補に投票するという人を怒らせてしまう。その人たちが「もう受信料は払いたくないない」と思うのも無理はない。だからこそ、指摘した二つがNHK問題の核心なのだ。

 ところが、HNKの新しい会長・副会長は、技術畑出身や長く組織を離れていた人で、クリーンでよい人でも、NHKの隠蔽体質や政治的偏向には詳しくない人である。これでは、NHK改革は望み薄ではないか。(坂本 衛)