メディアとつきあうツール  更新:2003-07-10
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これでいいのか!? 北朝鮮報道

「北朝鮮報道のあり方」を考える記者会見・討論会
2002年11月22日
東京・参議院議員会館

2002年11月22日、ジャーナリスト有志が集まり、「『北朝鮮報道のあり方』を考える記者会見・討論会」を開きました。坂本は、呼びかけ人の1人として、ジャーナリストへの出席要請・メディアへの告知・発表資料作成などに協力し、出席者としても意見を述べました。

北朝鮮報道をめぐる「メディアへの提言」
記者会見・討論会出席者のプロフィール
欠席者から寄せられたメッセージ
記者会見・討論会に先立って開かれた「北朝鮮政権による拉致犯罪を糾弾し、真相究明を求め、在日への嫌がらせ・暴力・脅迫行為に抗議する」記者会見のプレスリリース
事前配布のプレスリリース
11月22日の坂本の発言要旨
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 ↑寝てるような写真が載っているが、寝てないゾ。

TV論からむニスト「キム・ヘギョン会見に物申す」「安易なお涙頂戴報道」やGALAC+ismの北朝鮮報道に関する記述もご覧ください。

北朝鮮報道をめぐる「メディアへの提言」

(1)日朝首脳会談が開かれ拉致被害者5人が帰国したいま、朝鮮半島への関心はかつてないほど高まっています。これは日本と朝鮮半島の過去、現在、未来を考える絶好の機会です。

メディアは、もっと多様な見方、複眼的な見方を提示すべきです。また、日本と朝鮮半島の関係への歴史的な視点を踏まえた報道や解説を流すことも必要です。

(2)北朝鮮報道における論調はもちろん自由でなければなりません。北朝鮮に対しても、そのほかのどんな対象に対しても、報道は基本的に自由でなければなりません。

しかし、メディアは、報道が日本社会に住むおよそ百万人の在日韓・朝鮮人に対する民族差別や排外意識を助長しないように充分に配慮すべきです。また、在日韓・朝鮮人への嫌がらせや暴力被害の実態を報道し、防止を訴えるべきです。

(3)北朝鮮は入国が困難で、自由な取材が許されない情報鎖国の体制下にあり、さまざまな事実の確認は容易ではありません。

メディアは読者や視聴者に対して、報道する内容が確認された事実なのか、当局の発表なのか、報道する側の推測なのかを明示すべきです。コメントを発する識者や関係者に対しても、発言の根拠を確認すべきです。資料映像については、出所や撮影時期を明示すべきです。

(4)現地取材をはじめ、北朝鮮当局に許可を求める報道は、その政治宣伝に利用される恐れがあります。

北朝鮮のコントロール下で取材が行われる場合、メディアは報道が実現するまでの経緯、映像や質問に関する制限の有無などを、読者や視聴者に明らかにすべきです。

(5)最近の報道には、帰国した拉致被害者5人の日々の動向を興味本位に報じてよしとするものが目立ちます。また、拉致被害者やその家族の問題だけをクローズアップするあまり、内容が画一的になっていたり、いたずらに感情的な側面ばかりを強調する表現が目立ちます。

メディアは、被害者やその家族の人権やプライバシーに十分配慮しなければなりません。真摯な姿勢で拉致問題の望ましい解決を目指す報道をするべきです。また、感情に流されない冷静で正確な報道を心がけるべきです。

(6)最近の報道には、記者や制作者・出演者の朝鮮半島問題への知識や理解の浅さを感じさせるものがあります。

メディアは、朝鮮半島問題への理解を一層深める必要があります。とくにテレビは、朝鮮語のできる専門職を配置するべきです。

(7)日本における北朝鮮報道と国際社会における北朝鮮報道は、かなり様相が異なっています。両者が異なることは当然ですが、北朝鮮も日本もアジアの中、そして国際社会の中で生きる存在であり、その将来は国際社会の論調や世論に大きく影響されます。

メディアは、北朝鮮問題に対する国際社会の見方も、国内の見方と同様にバランスよく報道すべきです。

2002年11月22日

「北朝鮮報道のあり方」を考える記者会見・討論会 呼びかけ人

石丸次郎(ジャーナリスト/アジアプレス)
魚住 昭(ジャーナリスト)
小田桐誠(ジャーナリスト)
蟹瀬誠一(ジャーナリスト)
坂本 衛(ジャーナリスト/「GALAC」編集長)
下村健一(市民メディア・トレーナー)
神保哲生(ジャーナリスト/ビデオニュース代表)
野村 進(ノンフィクションライター)
森 達也(ドキュメンタリー映画監督)

※この提言は、2002年11月22日参議院議員会館において開かれた「〜これでいいのか!? 北朝鮮報道〜『北朝鮮報道のあり方』を考える記者会見・討論会」で発表したものです。

記者会見・討論会出席者のプロフィール

(五十音順・敬称略)

石高健次(いしだか・けんじ)●1951年大阪生まれ。81年、在日コリアンへの差別を告発したTVドキュメンタリー『ある手紙の問いかけ』でJCJ奨励賞。97年、横田めぐみさん拉致事件を報じ、被害者家族会を立ち上げた。それを描いた『空白の家族たち』で97年度新聞協会賞。著書:有本恵子さんらの拉致の事実を暴いた『金正日の拉致指令』(朝日新聞社)、横田めぐみさん拉致報道の経緯と原敕晁さんなどの拉致の物的証拠を示した『これでもシラを切るのか北朝鮮』(光文社)

石丸次郎(いしまる・じろう)●1962年大阪生まれ。ソウル延世大学語学堂に2年半留学。在日韓国・朝鮮人問題などを取材。93年から94年にかけて、中国の朝鮮国境1300キロを踏破。北朝鮮取材は国内に3回、中朝国境地帯には25回以上。これまで北朝鮮難民とのインタビューは400人近くにおよぶ。著書に『北のサラムたち』(インフォバーン)、『北朝鮮難民』(講談社現代新書)など。ビデオ取材に「北朝鮮難民の証言」(NHK ETV特集)、チャンネル4、ドイツARDなどでもリポート。

魚住 昭(うおずみ・あきら)●1951年熊本生まれ。75年、共同通信入社、主に事件取材にあたり、96年に退社してフリーに。著書に「沈黙のファイル」(共著・新潮文庫)、「特捜検察」(岩波新書)、「渡邉恒雄 メディアと権力」(講談社)、「特捜検察の闇」(文藝春秋)などがある。

太田昌国(おおた・まさくに)●1943年釧路生まれ。出版社・現代企画室編集長。民族問題・南北問題を研究。日頃の主な発言は、http://www.jca.apc.org/gendai/「状況20-21」欄に。主著『日本ナショナリズム解体新書』『ゲバラを脱神話化する』『<異世界・同時代>乱反射』『ペルー人質事件解読のための21章』。

小田桐誠(おだぎり・まこと)●1953年青森生まれ。亜細亜大学法学部卒業。出版社勤務をへてフリー。教育問題や放送メディアなどをテーマとして、精力的な執筆活動を続ける。「検証・テレビ報道の現場」「NHKに明日はあるか」「テレビ業界の舞台裏」ほか、ノンフィクションの著書多数。

蟹瀬誠一(かにせ・せいいち)●1950年石川生まれ。74年、上智大学文学部卒業。Ap、AFp通信社記者、TIME誌東京特派員をへて、1991年に日本のテレビ報道界に転身。TBS「報道特集」、テレビ朝日「ステーションEYE」「スーパーJチャンネル」などをへて、2002年3月までテレビ朝日「スーパーモーニング」キャスター。

坂本 衛(さかもと・まもる)●1958年東京生まれ。早大政経学部政治学科中退。在学中から月刊誌・週刊誌の取材・執筆活動を開始。96年、放送批評懇談会の放送専門誌「放送批評」編集長。97年から同じく「GALAC」(ぎゃらく)編集長。ホームページは
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/index.htm

下村健一(しもむら・けんいち)●1960年東京生まれ。85年、東大法学部卒業、TBS入社。96年ニューヨーク特派員。99年TBS退社。現在、ライフワークである「市民メディア・トレーナー」としての仕事のほか、TBS「サタデーずばッと」、TBSラジオ「下村健一の眼のツケドコロ」に出演。

神保哲生(じんぼう・てつお)●1961年東京生まれ。米コロンビア大ジャーナリズム大学院修士課程終了。Ap通信社記者をへて93年独立、ビデオジャーナリストとして活動開始。1999年、日本初のニュース専門ネット放送局ビデオニュース・ドットコム(http://www.videonews.com/)を設立。近著に『漂流するメディア政治』(春秋社)。

野村 進(のむら・すすむ)●1956年東京生まれ。上智大学外国語学部中退。アジア・太平洋関係、先端医療、メディア論などの分野で、ノンフィクション作品を発表してきた。97年、『コリアン世界の旅』で大宅賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞。99年、『アジア 新しい物語』でアジア太平洋賞を受賞。著書多数。

森 達也(もり・たつや)●1956年広島生まれ。報道とドキュメンタリーを中心にテレビディレクターの仕事を続ける。97年、ドキュメンタリー映画「A」を発表。ベルリン映画祭など海外でも高い評価を受ける。その後は「放送禁止歌」「職業欄はエスパー」「1999年のよだかの星」などのテレビドキュメンタリーを、同タイトルの複数のノンフィクション執筆と並行して手がけ、2002年「A2」を発表する。

欠席者から寄せられたメッセージ

≪蟹瀬誠一からのメッセージ≫

 急な北京行きが決まったため本日の議論に参加できず残念です。

 今回の北朝鮮拉致被害者ならびに関係者に対する取材攻勢は、あらためてメディアの姿勢を問う結果となりました。例えば横田めぐみさんの娘とされるキム・ヘギョンさんへのインタビューは業界内ではまぎれもないスクープですが、なぜこれほどまでに一般の視聴者から批判を浴びたのか。私たちは真剣に考える必要があります。

 ジャーナリズムとヒューマニズムは時としてぶつかり合います。かつてフランスの田舎町で未婚の母親がスーパーマーケットで万引きをして捕まったことがありました。つい魔がさしたということで法的には微罪として軽い処分で済みましたが、地元紙がこの事件を報道したため母親ばかりでなく子どもたちまでもが世間の冷たい視線に晒されとうとう引っ越しを余儀なくされてしまいました。この事件を境にフランスの一流紙「ル・モンド」紙は微罪を報道するのを止めたそうです。

 報道機関には国民の知る権利が付託されていますが、それは何をしてもいいという免罪符ではありません。私たちはいったい誰の為に何を伝えようとしているのか。この原点にたちもどらないと、公権力のメディア規制を後押しする不幸な結果を招きかねません。

≪下村健一からのメッセージ≫

 私が現在関わっている某局の週末番組に、ここ数週寄せられている視聴者からのメールを、一部ご紹介します。番組の独自のスタンスを評価する意見は、必ず、最近の北朝鮮報道一般への疑問の声とセットになっています。

●「今回の拉致問題のマスメディアの取り上げ方、事の進み具合に、全くノンポリの私も、ずーっと疑問を感じていました」

●「最近のテレビ(ジャーナリスト)番組は、異常です。とても怖いです。色んな意見があってこそ、言えてこその自由圏日本ではないのですか」

●「どの局でも一斉に同じ事を言い続けて、まるでそれこそ視聴者を洗脳するような報道のあり方にうんざりしていたところです」

●「毎日毎日、どこの局もどの番組も、スイッチを入れれば朝鮮の恐ろしさや気味悪さばかりを強調しています。恐怖さえ感じます」

●「どのチャンネルも『日本に住みたいと言え』とばかりに報道しています。何かが変だとずっと思っていました。一億総日本人が、一つの方向に向けられることの方がどれだけ怖いか」

●「いつの頃からか、報道された事柄が、いつの間にか世論となり、この世論と反対の意見や疑問を持つことが、いけないとまではいきませんが、他人に話しにくい状態になっているように私は個人的に感じていました。私は、押し付けの情報は要りません。あらゆる角度から客観的事実のみ得たいのです。そして、自分の意見を持ちたいのです」

●「報道機関がその時々の事件を過剰に報道することで、かえって人々は次から次へと起きる出来事に目を奪われて、落ち着いて問題を一つ一つ地道に考えていくことに対する気力を失っているようにも思えます。マスコミ自身が、過去に自分たちが何を伝えてきたかを冷静に見ることができるならば、その報道はより大きな説得力を持ち、社会的により大きな貢献ができるのではないでしょうか」

―――これらの悲鳴に背中を押されて、私も、今日の会の呼びかけ人に加わります。

※下村健一は、予定を曲げて記者会見に出席し、途中で退席。

「北朝鮮政権による拉致犯罪を糾弾し、真相究明を求め、在日への嫌がらせ・暴力・脅迫行為に抗議する」記者会見

 9月17日の日朝会談で日本人の拉致が明確になりました。同時に在日を取り巻く環境も一変しました。

 日本の朝鮮植民地支配以降、国家権力によってその人生を翻弄《ほんろう》され続けてきたのが在日です。その苦しみがわかる在日にとって、今回の北朝鮮政権の犯罪は断じて許すことのできない国家犯罪です。

 北朝鮮政権による拉致事件は、被害者の原状回復と真相究明、加害者の特定と処罰がなされなくてはなりません。

 しかし一方で、拉致事件とはなんの関係もない在日朝鮮人(韓国籍、「朝鮮籍」の人たち、朝鮮人と共に暮らす人やそのこどもたち、日本国籍取得者など)、中でも子供たちが、拉致犯罪を犯した北朝鮮政権と同一視され、一からげにされ、暴力や脅迫にさらされている事態を一刻も早くとめなくてはならないと思います。

2002年11月21日

《呼びかけ人》
辛 淑玉(シン・スゴ) 人材育成技術研究所所長
朴 慶南(パク・キョンナム) エッセイスト
梁 澄子(ヤン・チンジャ) 語学講師
李 政美(イ・ジョンミ) 歌手

《賛同者》
呉 光現(オ・グワンヒョン) 聖公会生野センター総主事
姜  誠(カン・ソン) ルポライター
金 石範(キム・ソクポム) 作家
鄭 暎惠(チョン・ヨンエ) 大妻女子大教員
梁 石日(ヤン・ソギル) 作家

事前配布のプレスリリース

PRESS RELEASE
報道各位

2002年11月20日

〜これでいいのか!? 北朝鮮報道〜
「北朝鮮報道のあり方」を考える記者会見・討論会のお知らせ

日 時 2002年11月22日(金)
     開  場 午後0時30分
     記者会見 午後1時〜2時(マスコミへの提言を発表します)
     討 論 会 午後2時〜4時

場 所 参議院議員会館(千代田区永田町2-1-1)第3・4会議室
     地下鉄「永田町」「国会議事堂前」下車、徒歩5分
     入り口で係の者から入館証を受け取り入場してください。
     一般の方も入場できます。(入場無料)

出席者 石高健次(朝日放送報道情報局プロデューサー)
      石丸次郎(ジャーナリスト/アジアプレス)
      魚住 昭(ジャーナリスト)
      小田桐誠(ジャーナリスト)
      蟹瀬誠一(ジャーナリスト)
      坂本 衛(ジャーナリスト/「GALAC」編集長)
      下村健一(市民メディア・トレーナー)
      神保哲生(ジャーナリスト/ビデオニュース)
      野村 進(ノンフィクションライター)
      森 達也(ドキュメンタリー映画監督)

※出席者は都合により変更する場合があります。
※午後1時から、「北朝鮮政権による拉致犯罪を糾弾し、真相究明を求め、在日への嫌がらせ・暴力・脅迫行為に抗議する」記者会見(呼びかけ人辛淑玉ほか)が開かれます。
これに引き続き、上記の会見・討論会をおこないます。

問い合わせ先 石丸次郎/綿井健陽
(TEL 03-5692-4101 アジアプレス東京事務所内)

9月17日の日朝首脳会談をきっかけに、とりわけ北朝鮮による拉致被害者5人が帰国して以来、新聞・雑誌・テレビで北朝鮮関連報道が洪水のように繰り返されています。日本人拉致を金正日政権が認め、謝罪した衝撃は大きく、拉致被害者と家族の怒りや哀しみ、帰国した被害者との再会の喜び、今後の事態への不安と当惑はもっともであり、拉致被害者の気持ちと立場は当然伝えられなくてはなりません。拉致問題の解決の方法を考える報道も必要です。

しかし、私たちは日々膨大に伝えられる北朝鮮関連報道に接しながら、憂慮の念を禁じえません。その量に比して内容が画一的であり、いたずらに民族間・国家間の憎悪をあおる恐れを感じます。記者や制作者の朝鮮半島問題への理解の浅さ、同じ日本社会に住む在日韓・朝鮮人への配慮のなさ、感情に過度に訴える手法、帰国拉致被害者の毎日の行動・発言・表情を追い回しニュース素材としてよしとする姿勢、日本と朝鮮半島の間の歴史的視点の不足など、マスメディアは北朝鮮報道に向き合う姿勢を真剣に反省すべきです。

私たちは、北朝鮮に対する批判的な報道それ自体を問題とは考えません。しかし、それが在日韓・朝鮮人へのいわれなき差別や排外意識を助長する可能性があることを、マスメディアは十分に自覚すべきです。インターネット上の各種掲示板に醜悪な民族差別書き込みが横行し、朝鮮人学校の学生・生徒への嫌がらせ行為や在日韓・朝鮮人関係団体などへの脅迫行為が発生していることに、マスメディアはもっと注意を払わなくてはなりません。

日本社会が現在考えるべき北朝鮮・朝鮮半島に関わるテーマは多岐にわたります。たとえば、日本による植民地支配の問題、在日韓・朝鮮人の権利の問題、金正日政権の圧制のもとで苦しむ北朝鮮の人びとの問題、中国に脱出せざるを得ない難民の問題、北朝鮮に帰国した在日朝鮮人とその日本人配偶者の人権問題などです。拉致問題だけにとどまらず、私たちの社会が考えるべきさまざまなテーマについても、マスメディアは積極的に報道すべきであると考えます。

そこで、私たちは上記のように記者会見・討論会を開き、北朝鮮報道をめぐる問題を広く訴えたいと考えます。新聞・雑誌・テレビなど、マスメディアの現場のみなさんの積極的なご参加と取材・報道をよろしくお願い申し上げます。

「北朝鮮報道のあり方」を考える記者会見・討論会 呼びかけ人

石丸次郎(ジャーナリスト/アジアプレス)
魚住 昭(ジャーナリスト)
小田桐誠(ジャーナリスト)
蟹瀬誠一(ジャーナリスト)
坂本 衛(ジャーナリスト/「GALAC」編集長)
下村健一(ジャーナリスト)
神保哲生(ジャーナリスト/ビデオニュース)
野村 進(ノンフィクションライター)
森 達也(ドキュメンタリー映画監督)

11月22日の坂本の発言要旨

11月22日の記者会見・討論会での坂本の発言要旨は以下の通り。問い合わせや抗議がありましたので掲載します。なお、11月25日現在、当日の録画を取り寄せ中で、以下は記憶を頼りに書いていることをご承知おきください。確認のうえ追加や修正が必要であれば、そうします。

(1)北朝鮮報道は、拉致問題に加えて核、生物兵器まで出てきてわけがわからなくなっている。こうした混迷のときに拠《よ》り所となるのは歴史。マスコミに歴史的な視点がないのは問題だ。植民地化の話が出たが、遡《さかのぼ》れば秀吉の朝鮮征伐があり、逆に元寇《げんこう》のときは朝鮮の軍隊が先兵となった。さらに遡れば帰化人が先進文化を伝えた。2000〜3000年遡れば朝鮮と日本の違いなんてどうでもいいという話になる。この機会に、そのような日本と朝鮮半島の歴史を伝えるべきだ。

(2)(なぜこうも画一的な報道なのか、何か意図があるのか、という会場からの質問に対し)まず、その話題が世の中の流行《はや》りであり、視聴率が取れるから。それから、隣の局が行くから自分もいくという話。深い考えがあってのことではないと思う。多くのマスコミは、何も考えていない。子どもたちはそんな報道を見て「うざったい」といっている。

(3)今日は教えている大学生と一緒に来たが、マスコミに就職しようかという放送学科の学生が、「自分たちは朝鮮のことを何も知らない」という。日朝問題はまだ清算が済んでいない。これから新しい国際関係を築いていかなければならない若者たちや子どもたちが、過去の歴史を何も知らないまま、ただ『北朝鮮はとんでもない』というイメージだけを抱くことになるような報道はよくない。