≪はじめに≫ ≪『aura』2008年10月31日号の目次(特集部分のみ)≫ |
編集部から各専門家のみなさんにお送りしたアンケートの質問内容は以下のものです。
▼あなたは、現在、日本で進められている地上デジタル放送への完全移行の政策をどのように評価されていらっしゃいますか。
また、この完全移行に向けた作業が進められるにあたって、あなたのお立場から指摘しておきたい課題やご提言などがありましたら、600字程度でお書きいただけますでしょうか。
現在進められている地上デジタル放送への完全移行の政策は、2011年7月24日の期限までに終了できない。
テレビ受像機の普及が間に合わないことが、絶対確実な情勢だからだ。
詳しくは、「放送レポート」2008年9月号か筆者サイトに掲載の「2011年地上アナログ放送を停止できない10の理由」を参照。
テレビとは、現実の光・音信号をカメラ・マイクでとらえて電気信号に変換し、それを家庭その他の受像機で光・音信号に復元して疑似現実を得る「トータルな」システムである。
その後ろ半分の担い手は視聴者。システム後半は、視聴者が自分でカネを出し、自分でアンテナ・CATVケーブルや受像機を設置して整備する。
後半が整って初めてトータルな全システムが機能する。その後半部分のデジタル化が間に合わない以上、アナログ地上放送の完全停止を延期するほかに道はない。
後半部分が未整備のまま地上デジタル放送への完全移行を強行すれば、システム前半の担い手(放送局)に史上最大のクレームが殺到し、NHKの受信料不払いと民放の広告収入の激減が、かつてない規模で起こる。
放送局はこれに耐えられない。
だから、最近の経済悪化が「予想外」だったことを口実として、延期すればよい。
なお、生活保護世帯への補助は、低所得者層のごく一部しか対象とせず効果が小さい。
また、まがい物の類の簡易チューナーの普及を前提とする地上デジタル放送への完全移行策は誤りである。
原文はジャスト600字で、冒頭一字下げのほか、改行はまったくありません。サイトでは読みにくいので、改行し一字下げにしてあります。
文化的独自性をどう維持していくのか/立正大学文学部 講師 桂 敬一
自己目的化した地上デジタル放送/読売新聞 編集委員 鈴木嘉一
説明と広報不足による混乱は必定/全国消費者団体連絡会 事務局長 阿南 久
地上波放送の従来の概念が崩壊の可能性/ITジャーナリスト 佐々木俊尚
国策と認識した責任ある政府方針を/放送批評懇談会 名誉会長 志賀信夫
地デジ「構造改革」に見直しを/法政大学社会学部 教授 須藤春夫
デジタル化の「ほんとうの理由」をもっと説明すべきでは?/評論家 歌田明弘
親身になった情報の提供がカギ/放送批評懇談会 専務理事 隈部紀生
国民の理解を進める努力を/(社)日本ケーブルテレビ連盟 石橋庸敏
地デジで視聴者との距離が縮まるだろうか/日本大学法学部新聞学科 教授 日本マス・コミュニケーション学会 会長 大井眞二
現代最大の人権問題となりうる/青山学院大学 名誉教授 清水英夫
アナログ地上放送の完全停止を延期するほかに道はない/ジャーナリスト 坂本 衛
「※掲載は回答の到着順です」とのこと