メディアとつきあうツール  更新:2009-01-09
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第三次世界大戦

新・帝国主義でこうなる!/世界恐慌でこうなる!
――佐藤優/田原総一朗(対談)

第三次世界大戦 新・帝国主義でこうなる!(佐藤優・田原総一朗/アスコム) 第三次世界大戦 世界恐慌でこうなる!(佐藤優・田原総一朗/アスコム)

著者●佐藤優/田原総一朗 発行●アスコム 2008年12月 定価●税込み 各1785円

※このページの内容は、掲示板やMLなどへの転載・ご紹介を大歓迎します。

「第三次世界大戦」のご紹介

 「BOOK」データベースから 

 クライマックスの大戦争があるのかないのか、それを論じても意味がない。必要なのは、第三次世界大戦はすでに始まっているという前提で国際情勢を見るという思考実験である。第三次世界大戦をキーワードにお金と欲望から日本の未来を解読する。それが本書の狙いである。政治、経済、軍事、宗教を、「第三次世界大戦」という切り口から見れば、その裏側や本質がハッキリ見えてくる。世界と日本の大問題の意味がわかってくるのである。

 なぜ、いま、第三次世界大戦か?──構成担当・坂本によるご紹介 

 二十世紀は、まさに「戦争の世紀」だった。現在ある国や国境、各国の社会制度、私たちの周囲にあるさまざまな工業製品などを、注意深く見てほしい。それらの多くが、二十世紀の前半に戦われた二つの世界戦争──第一次世界大戦と第二次世界大戦の産物であることに気づくはずだ。

 第一次大戦が始まった1914年、地球上の全陸地面積の実に85%が、スペイン・ポルトガル・オランダ・フランス・アメリカ・ベルギー・ドイツ・イタリア・日本などの列強によって支配されていた。この植民地が世界戦争を経て再編され独立して、今日の国境の原型を作った。60年代のアフリカ諸国の独立も、90年前後の冷戦終結による旧共産圏の独立も、世界戦争が未解決として残した問題を解消する道筋であって、この意味で戦争の産物といえる。

 二つの世界戦争は文字通りの総力戦だったから、戦った国民は、戦後に相応の権利を得た。女性の参政権も、社会保障も、戦争の産物だ。原子力、ジェット機、宇宙ロケット、コンピュータ、インターネットも、間違いなく戦争の産物である。だから、二十世紀は戦争の世紀といっていい。

 ところが、世界の全人類を何度か皆殺しにできるほど大量の核ミサイルを東西両陣営が互いに向け合っていた冷戦は、二十世紀の末に終わった。では、「平和の世紀」が来たのかと思えば、全然、そんなことはなかった。

 それどころか湾岸戦争、コソボ紛争、9・11、アフガン戦争、イラク戦争、グルジア紛争、パレスチナ紛争と、世界の民族・宗教・国境紛争は、冷戦時代よりむしろ激化しているではないか。これは、いったいどういうわけなのか。なぜ、こうも人類は、戦争が大好きなのだろうか。

 「だから、第三次世界大戦だ。ある意味で、それはすでに始まっている。テロとの戦い、非対称の戦争として」と佐藤優は言った。「クライマックスの大戦争があるかないかを論じても意味がない。第三次世界大戦がすでに始まっているという前提で世界を見るという思考実験が、いまこそ必要だ」とも。これに「なるほど、それはおもしろい。第三次世界大戦をテーマに、徹底的に討論しよう」と、田原総一朗が応じた。聞いていた私(坂本)は「うん、おもしろい。絶対に売れる」とけしかけ、アスコムの高橋克佳も「やりましょう」と引き受けた。

 こうして1年越しの対談を重ね、できあがったのが佐藤優/田原総一朗「第三次世界大戦」という本である。

 ときになごやかに、ときにケンカごしで繰り広げられた膨大な討論は、到底1冊の本には収まらない。そこで、主として「戦争と宗教」の問題を扱う1冊と、主として「カネと欲望」の問題を扱う1冊に分けた。

 「知の怪物」((c)文藝春秋)佐藤優が、日本を代表する「権力党」党員の田原総一朗と、「戦争と宗教」と「カネと欲望」という二つのメスを使って、この世界を大解剖していく。この2巻本を読めば、政治・軍事・宗教といった国際情勢も、金融危機・恐慌・貧困といった経済問題も、丸ごとわかる。構成・執筆者は、そんなことを意図して対談をまとめた。

 二人の話は、聞いているうちからおもしろかったが、書いていてなお、おもしろい。当然、読んでもおもしろいはずだ。なるべくわかりやすく、読みやすい本にすることに、気を配ったつもりである。

 いま世界は、社会はこうなっている、そして今後はこうなるという佐藤優と田原総一朗の認識は、あるときは一致するが、あるときは完全に平行線のままだったりもする。そんな討論を手がかりに、読者一人ひとりが世界や社会に対する自らの立ち位置、接し方を考えていただければ、本のまとめがいがあったというものである。

 お知らせと御礼 

 おかげさまにて、佐藤優・田原総一朗対談「第三次世界大戦」(新・帝国主義編と世界恐慌編の2分冊。税抜き各1700円。アスコム刊)は、たいへんよく売れています。誠にありがとうございます。1月8日に増刷5000部×2が決まり、初版1万3000部×2と合わせて3万6000部までいきました。アスコムには書店からの注文が殺到している由。まだお読みでない方は、ぜひどうぞ。一部まだ置いていない書店もあるようですが、店頭でのご注文をお願いします。

田原総一朗による「第三次世界大戦」まえがき(抜粋)

 2007年秋のある日、私は都内のホテルでたまたま佐藤優さんと会い、しばらく立ち話をした。そのとき佐藤さんは「田原さん、私たちは第三次世界大戦について徹底的に議論しなければなりませんよ」と言った。佐藤さんは、「もうそれは始まっている。テロとの戦いとして、非対称の戦争としてね」と付け加えた。この言葉を聞いて、私は、ここ何年かずっと考えてきた「日本の自立」という問題を、改めて思い出していた。

 私の問題意識は、こうだ。日本はアメリカの“子分”である。じつは私は長い間、日本はアメリカの子分でいるのがよいと考えていた。私たちは、ソ連の子分にも中国の子分にもならず、本当によかった。日本がアメリカの子分でなければ、現在のように豊かで平和な生活は、実現できなかったに違いない。

     (中略)

 そして、この時期を境に、アメリカの子分という立場に甘んじ、安穏としてきた日本のあり方も、深刻に問われるようになった。それ以来、私は、折に触れて日本の自立について考えてきたのである。

 同時に、日本の“親分”であったはずのアメリカが傾いてきた。アメリカはイラク戦争で大失敗をした。北朝鮮にも核開発を許して腰が引けている。東西冷戦の終焉で、アメリカはかつてのローマ帝国に匹敵する唯一の世界帝国、超軍事大国になったといわれたが、イラクも北朝鮮も満足にコントロールできない。さらに、アメリカを震源地とする金融大破綻が起こった。いま世界は大不況に襲われ、大恐慌の恐怖におののいている。

 親亀がコケれば子亀もコケる。親分のアメリカが倒れつつあるときに、子分の日本が、これまでのやり方で生きていけるはずはない。日本はどうすればよいのか? 私たちは、自立した日本を、どのように構築していけばよいのか?

 そんなとき、知の怪物とも知の塊ともいうべき佐藤優さんが「第三次世界大戦」というキーワードを示したのである。これに乗らない手はない。この言葉を切り口に、世界や日本がどうなっているかを徹底的に議論し、日本の自立について考えようと、私は思った。佐藤さんとは結局、およそ1年にわたって、けんか腰の討論を繰り返した。

 こうして世界と日本の現状を冷徹に見通し、日本の自立を考えるには欠かせない、とてもおもしろい本ができあがったと自負している。議論は尽きず、戦争や宗教など国際問題と、カネや欲望など経済問題を2分冊にまとめることにした。どちらが欠けても、私たち二人の言いたいことは伝わらない。2冊合わせて、じっくり読んでいただきたい。

     (後略)

田原 総一朗

ご参考:第三次世界大戦の新聞広告(アスコム)

第三次世界大戦の新聞広告(2009年1月5日「日本経済新聞」朝刊)


 2009年1月5日、アスコムが日本経済新聞に打った「第三次世界大戦」2巻本の広告(全5段)です。ちなみに、3刷が刷り上がった竹中平蔵と田原の単行本「ズバリ!先読み 日本経済 改革停止、日本が危ない」も坂本が担当。1月10日に新創刊の「月刊石川遼」には書店からの注文が殺到し、アスコムはたいへんなことになっているらしい。