メディアとつきあうツール  更新:2004-07-07
すべてを疑え!! MAMO's Site(テレビ放送や地上デジタル・BSデジタル・CSデジタルなど)/サイトのタイトル
<ジャーナリスト坂本 衛のサイト>

個人情報保護法案に反対する

≪リード≫

WEB現代が2001年5月、作家、編集者らから個人情報保護法案への反対アピール原稿(1人400字)を集めた。以下はそれに応じたもの。45人のアピール原稿は、小冊子として「個人情報保護法『バスターズ』5.29大集会」参加者に配布されたそう(つまり、小冊子をもらってない!!)。なお、もともとタイトルはなく、改行も1か所だけ。

≪付記≫

どうでもいいことですが、こういうとき、400字といわれているのに字数制限を越えて書く人がいますね。タダで頼む原稿だし面倒くさいから、編集側もそのまま載せてしまうが、私はこういうのほどピタリの字数で書くことを心がけています。規定字数に収められないのは恥ずかしいし、規定通りに書く人にも失礼ですから。

≪参考リンク≫

個人情報保護法案への反対アピール
坂本 衛(ジャーナリスト/GALAC編集長)

最大規模の個人情報を独占的に持ち、その流出がもっとも懸念される組織とは、ほかならぬ国――日本国政府だ。

ついで自治体(の全体)、さらに民間情報関連企業という順序であって、国が持つ個人情報の取り扱いの規制が緊急の課題である。

これをスッ飛ばし、民間の個人情報だけを規制しようとする今回の法案は、そもそも話の前提が狂っている。

政官優位・民間蔑視の時代錯誤の法案だ。

内閣官房は盛んに「立法意図」なる言葉を使い、立法に際してメディア規制の意図はないと主張する。

だが、それをいうなら、日本国憲法の立法意図に「軍隊を持つ」意図はなく、実際しばらく持たなかった。

それでも、憲法を変えずに世界有数の軍隊を持つことができたのだ。

同じように、現行の法案が通れば、立法時の意図の有無にかかわらず、メディア規制はできる。

そんな危ない法律をメディアは断じて黙認すべきでない。

私は今回の個人情報保護法案に断固として反対する。

国が持つ個人情報の取り扱いの規制が
緊急の課題である「証拠」

 共同通信社は2004年7月6日に「個人情報の流出378件 公的機関が民間上回る」との見出しで、以下のような記事を配信した。(出所は共同通信サイトhttp://www.kyodo.co.jp/)

 政府が6日午前に閣議決定した答弁書によると、2001年4月から04年5月までに公的機関や民間事業者から個人情報が流出した事案は378件に上った。国、地方公共団体、独立行政法人(独法)などは計254件で、民間の124件を大きく上回った。

 公的機関での内訳は社会保険庁、防衛庁など国の行政機関が63件、警視庁と各道府県警を含む地方公共団体が180件、独法、特殊法人などの機関が11件だった。

 政府は今年4月に国、地方自治体、企業などが取り組むべき「個人情報の保護に関する基本方針」を閣議決定しているが、流出の再発防止に向けて一層の対策が求められそうだ。

 データが流出した人数を見ると、国では法務省秘書課広報室で委託先の従業員が同省ホームページに登録された6583人分のメールアドレスを誤って漏えいしたケースや、国立釜石病院で患者の医事会計情報3290人分が紛失した案件などが目立った。(共同記事ここまで)

 朝日新聞記事によれば、「政府や地方自治体、独立行政法人の行政側からの流出は計254件に及び、67%を占めた。長妻昭衆院議員(民主党)の質問主意書に対する答弁。」で、「02年5月に防衛庁海上幕僚監部の情報公開室が、開示請求者の氏名や住所など142人分をほかの職員に流したことや、昨年6月に青森県弘前市の職員が約4万1000人分の市民の給与支払報告書を漏洩した、などの具体例が並んでいる。」とのこと。

 個人情報の流出がもっとも懸念される組織とは、ほかならぬ国――日本国政府、その次が自治体、そのさらに次が民間情報関連企業という順序であることは、共同通信や朝日新聞が伝えた政府答弁書で明らかである。

 それなのに政府は、政府・自治体の持つ個人情報についてはなんの対策も講じることなく、民間の個人情報だけを規制する個人情報保護法を成立させた。政官優位・民間蔑視の時代錯誤の法案であるという3年前の私の認識は、まったく変わっていない。そんな個人情報保護法の成立に、新聞・テレビなど大手マスコミが最終的には反対しなかったことも、忘れてはならない。