2017.10.28

フランス革命下の殉教 9 革命側の異教的祭典

フランス革命についての或る記事にこんな画像がありました。

Tradition in Action

聖職者民事基本法に署名する司祭たち

Priests signing the Civil Constitution of the Clergy

この絵はフランス国立図書館のサイトで見ることもできます。

私は「へー」と思いました。「この議場には変な形象が飾られてるんですね」と。

まるでこれじゃないですか。「そのまんま」ですよね。

フリーメイソンのとあるロッジ

しかし、驚くことはないのです。
「フランス革命」とはこれら↓なのですから。

① フランス人権宣言(1789年)wiki

さて、私はフランス革命に関する一冊の本を手に取りました。私にとっては “いけ好かない” 本で、ほとんど読まなかったけれど、中に掲載されたフランス革命にまつわる画像は参考になりました。以下の白黒の画像はその本からスキャンしたものです。質の悪い画像ですが、ネットにある質の良いものも紹介します。

② 自由の殉教者

仏 Martyrs de la Liberté
英 Martyrs of Lliberty

この絵はココでも見ることができます。或いはココ、又ココ

この者たちルペルチェマラーシャリエは革命側が讃える「自由の殉教者」たちなのだそうです。しかし、私の関心は彼らの上にはありません。この絵の一番上の中央に見える形象は何でしょう。それは、必ずしも「フリーメイソン起源」のものとは言いませんが、フリーメイソンができる以前からあったものかも知れませんが、しかし兎に角フリーメイソン “も” 非常に好むところのシンボルである「水準器(水平器、Level)」ではないでしょうか。参照参照

③ 統一の祭典(イシス神)

仏 Fête de lUnité (Isis)
英 Festival of Unity (Isis)

時:1793年8月10日 所:バスティーユ監獄の跡地

再生の泉 = 

仏 La fontaine de la régénération
英 The Fountain of Regeneration

この絵はインターネットの中に容易に見つけることができます。
仏語検索英語検索

現代の私たちの目にはこのような絵はややもすると「幻想的」に映ったりするものですが(一種の “想像画” なのではないか? などと)、否、幻想でも何でもなく、実際にこのような “祭典” が催されたようです。

或る英語のサイトは次のように書いています。

La Révolution Française par l'image

「再生の泉」
1793年8月10日に催された「再生」または「統一(Unity)」の祭典に於けるこの像は、エジプトの女神イシスに姿を借りた「自然」を象徴する女性像であり、フランス人の再生を表わしています。この像は、革命の始まりを告げたバスティーユ監獄の跡地に置かれました。この像は石で作られたもののように見えますが、実際は急ごしらえの張りぼてpapier-mâchéでした。…

"The Fountain of Regeneration"
In this engraving of the Festival of Reunion or Unity of 10 August 1793, a female statue of Nature in the form of the Egyptian goddess Isis represents the regeneration of the French people. It sits on the site of the Bastille prison, whose fall signaled the beginning of the Revolution. The engraving depicts the statue as made of stone, but in fact it was hastily constructed of papier mache. …

また、フランス革命当時の Charles Monnet という画家が、その時の模様を描いたようです。参照  人がこの像に水でもかけているのでしょうか? 画像   違うようです。逆に、この像から水が噴き出していて、それを人が器に受けているようです。これは「再生の泉」だからです。

記念メダルも発行されたようです。参照参照参照
どれもはっきりと「イシスの泉(la fontaine d'Isis)」と書いています。

イシス神。それはエジプトの神です。そして、フリーメイソンがエジプトの古代宗教に親しいことは、フリーメイソンについて少し読んだ人なら誰でも知っています。

そして私は、「どうせ99%の人は耳傾けない」と諦めているベイサイドの預言から、たまには引用することにしましょう。

Masons worship gods of nature
あなた方は天主の十戒を思い出さなければなりません。「わたしが」と天主様はおおせられました、「わたしがあなた方の神である。それゆえ、あなた方にとって馴染みのない神々を拝んではならない」〔出エジプト記 20:2-3、申命記 5:6-7〕と。では、フリーメイソンや魔術が拝んでいる神は何ですか? イシスです! … (1977年11月1日

④「最高存在」の祭典

仏 Fête de l'Être suprême
英 Festival of the Supreme Being

時:1794年6月8日 所:テュイルリー宮殿およびシャン・ド・マルス公園

これが史実であることを説明するために、私は苦労する必要がありません。何故なら、これは 日本語の Wikipedia にさえ載っているからです。
映画にもなっています。YouTube  / 映像の情報

そして、この「最高存在」という言葉は、All Seeing Eye に飾られた「フランス人権宣言」の条文の中に出て来る言葉です。

⑤ 理性の祭典

仏 Fête de la Raison
英 Festival of Reason

時:1793年11月10日 所:パリのノートルダム大聖堂

これもまた、史実であることを説明しようとして、私は苦労する必要がありません。何故なら、これも日本語の Wikipedia に載っているからです。革命政府の新政策理性の祭典

澤田昭夫先生も言及なさっています。参照

ネットには、この祭典を描いた別の絵も、幾つか見られます。その一つはこれです。参照参照

ノートルダム(Notre-Dame = Our Lady = 聖母)に捧げられた大聖堂に於ける、その正に聖堂内部に於ける、人工的・象徴的・理神論的「女神」の祭典。

しかしここでは、これをした「革命側」のことばかり見るわけにはいきません。教会の指導者たち(司教、司祭)も、教会の中で(聖堂で)このようなことが行なわれるのを許したものでしょう。

そして、私は、こういうのは、実は、現代の神父様方も全く無縁ではないと思っています。形こそ少し違えど。

⑥ 理性の女神

仏 Déesse de la Raison
英 Goddess of Reason

この絵も、フランス革命に関する同じ本の中にあったものです。
(その本からはこれで最後になります)
右上に All Seeing Eye のようなものが見えますね。
この絵はフランス国立図書館のサイトで見ることができます。

ネットには次のような絵もあります。「理性の女神の行列」だそうです。

La Révolution Française par l'image

理性の女神の行列 / 作者 Étienne Béricourt

Procession de la déesse Raison / Auteur : Étienne Béricourt (via)

この絵もフランス国立図書館のサイトで見ることができます。

結 論

さて、私は以上のものを「陰謀論趣味」や「オカルト趣味」から並べたのでしょうか? 私は「いいえ、違います」と言わせて頂きます。私の今日のこの記事の表題は「フランス革命下の殉教」であるままです。何故?

何故かと云うと、私は、ここに於ける物事は下のような構図のもとに見られていいと思うからです。

1793年8月10日 

統一の祭典(イシス神)

1793年11月10日

理性の祭典(大聖堂で)

1794年2月1日 

殉教(アンジェ)

1794年4月9日 

殉教(ルタン修女)

1794年6月8日 

「最高存在」 の祭典

1794年6月26日 

殉教(アラス)

1794年7月6日~26日 

殉教(オランジュ)

1794年7月17日 

殉教(コンピエーニュ)

1794年10月17日、23日 

殉教(ヴァランシエンヌ)

革命側は、このような異教的あるいは理神論的なお祭りをしながら、天主の婢女[はしため]たちを殺していったのです。

「フランス革命下の殉教」について、これで終わります。

「罪の概念は中世の哲学が聖書の内容を悲観的に解釈したものである、という考えを徐々に刷り込むことによって」

フリーメイソンの雑誌『Humanisme』1968年11月/12月号 より

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